有産階級 - Nomura Research Institute

■野村総合研究所コンサルティング・セクター 組織図
アジア を語 る
セクター担当 執行役員 谷川 史郎
経営コンサルティング部 部長 鳥谷部 史
中国科学院社会学研究所の調査によれば、
呼んでいる。下図は、我々が中国主要都市で
昨年、上海市では年収10万元以上の所得者
定期的に実施している消費者調査プロジェク
急
成
長
﹁す
有る
産中
階国
級の
﹂
市
場
が100万人を突破、総人口の7%に達した模
様である。年収10万元を日本円で換算すると
約140万円ということなるが、中国は生活必需
品物価が極めて安いために購買力平価でみ
ると日本円ベースで400万円から500万円に
相当すると考えられる。この所得水準であれば、
マイホームやマイカーの購入も可能、
教育、
旅行・
レジャーへの出費も積極的、
また、投資や貯蓄
に熱心というように日本のいわゆる中流世帯と
ほぼ同様な消費行動が可能である。この層は
都市部の数%、中国全土では2000万人内外
になっているのではないかと想定される。我々
はこのような購買層を「富裕層」と呼んでいる。
一方、中国では5、
6年前から住宅制度改革
で土地や不動産といった私有資産、
あるいは、
金融資産を持つことが認められるようになった。
最近では、
「富裕層」はもちろんのこと、
「富裕層」
に次ぐ所得を持つ世帯が資産取得ブームの
主役に台頭してきている。典型的なプロフィー
コンサルティング第一事業本部
本部長 谷川 史郎
事業戦略コンサルティング部 部長 原 亮一
金融コンサルティング部 部長 三浦 智康
トの一環で実施したアンケート調査(昨年秋に
中国で実施した1万人消費者調査)の結果で
サービス事業コンサルティング一部 部長 増田 有孝
ある。世帯収入10万元以上の構成比をみると、
コンサルティング第二事業本部
本部長 中野 秀昭
深 ではすでに1割を超えているが、
その他の
サービス事業コンサルティング二部 部長 西川 義昭
都市ではまだ数パーセントの水準である。一方、
世帯収入が5万元以上となると、沿岸部では
1割から2割、内陸・東北部では概ね4、
5%と
なっている。大雑把にみて、
この「有産階級層」
は全国で5000万人程度に達しているのでは
ないかと考えている。
「有産階級層」は所得の
伸びが高く、北京五輪の頃になれば、年収10
万元以上の「富裕層」に育っていると思われる。
その頃の中国は北京五輪のスローガンにある
ように「中進国」への仲間入りを果たしている
可能性が高い。
従来、外資企業は大都市の「富裕層」に限
コ
ン
サ
ル
テ
ィ
ン
グ
・
セ
ク
タ
ー
技術・産業コンサルティング部 部長 木村 靖夫
情報・通信コンサルティング一部 部長 吉川 尚宏
コンサルティング第三事業本部
本部長 此本 臣吾
情報・通信コンサルティング二部 部長 桑津 浩太郎
アジア・中国事業コンサルティング部 部長 此本 臣吾
社会産業コンサルティング部 部長 稲見 浩之
総合コンサルティング事業本部
本部長 山田 澤明
定した戦いをしてきたが、
これからは「有産階
社会システムコンサルティング部 部長 早川 康弘
事業革新コンサルティング部 部長 水上 耕一郎
級層」までを含めた市場に戦いの範囲を広げ
て規 模の経 済を確 立 する必 要がある。そう
ルでいうと、年齢は30歳台、世帯年収で5万元
しなければ、低級品セグメントから攻め上がっ
から10万元、マイホームをローンで購入し、貯
てくる、圧倒的なコスト競争力を持ち、技術の
蓄よりも消費を優先し、最新の家電製品や情
レベルアップも目覚しい内資企業に瞬く間にシ
報機器を積極的に購入するような世帯である。
ェアを奪い取られてしまう恐れがある。
事業企画室 室長 村田 佳生
事業推進本部
本部長 柴山 慎一
業務管理室 室長 臼見 好生
CDP推進室 室長 臼見 好生
我々はこのような購 買層を「有産階級層」と
野村総研
(上海)
諮詢有限公司 総経理
(社長)松野 豊
■「富裕層」と「有産階級層」を合わせると大都市人口の1割近くを形成している
(都市別世帯年収構成比)
0.0
此本 臣吾 執行役員 主席コンサルタント
コンサルティング第三事業本部長兼
アジア・中国事業コンサルティング部長
北京(N=1000)
上海(N=1000)
広州(N=1000)
天津(N=700)
鄭州(N=700)
南京(N=700)
杭州(N=700)
福州(N=700)
武漢(N=700)
瀋陽(N=700)
大連(N=700)
西安(N=700)
重慶(N=700)
成都(N=700)
昆明(N=700)
深 (N=700)
10.0
20.0
30.0
40.0
19.9
50.0
33.5
17.5
70.0
80.0
17.1
34.2
23.9
60.0
35.0
8.9
33.1
27.7
23.9
27.3
57.1
20.6
8.7
9.4
6.6
17.9
56.4
25.1
58.6
11.4
21.0
59.1
27.1
15.4
16.7
35.4
4.9
1.4
2004年4月1日現在
7.6
8.6
5.1 2.4 0.4
4.1 3.4 0.9
8.3
26.0
36.7
マニラ支店 支店長 高野 正志
2.3
5.4 3.3 1.7 0.1
10.4
21.6
64.1
1.9
9.0
8.1
71.6
12.9
10.4
15.6
18.9
台北支店 支店長 川嶋 一郎
4.1 3.4 0.7
10.6
13.0
1.0
海 外 拠 点
3.0 2.4 0.6
11.3
16.3
19.6
34.7
14.0
7.7
23.9
1.7
10.6
22.0
ソウル支店 支店長 米山 晋
3.7
16.2
20.6
56.6
8.6
14.6
10.2
64.3
19.0
90.0
11.2
20.2
(%)
100.0
NRIマネジメントレビュー 2004年夏号 Vol.8 2004年8月12日発行
3.6 2.4 0.6
3.3 3.4 0.6
9.4
1.4
編集事務 野村総合研究所コンサルティング部門事業企画室 〒100‐0004 東京都千代田区大手町2‐2‐1 新大手町ビル
電話.03‐5203‐0699 FAX.03‐5203‐2579 e-mail:[email protected]
13.7
■2万元未満 ■2万元∼
■3万元∼
■4万元∼
■5万元∼
■10万元以上
3万元未満 4万元未満 5万元未満 10万元未満
出所)NRI中国1万人消費者調査(2003年)
28 アジアを語る
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