C-30 共沈法を用いたZnO-Bi2O3-Sb2O3系バリスタの粉末合成と電気的特性 材料技術部無機 ○新素材グループ 宮本 敬 大阪府立大学 今高哲平、岡村清人 (有)ズィンクトピア 伊賀篤志、 ニュー・エコ・マテリアル㈱ 宮本大樹 1. 初めに current (I) ZnOバリスタはI=(V/Vb)αの式で表される、非オーム性の電気的特性を示す。電圧がVb(ブレークダウン電圧)以下で は抵抗が大きく電流を通さないが、Vb以上になると急激に抵抗が小さくなり電流が流れる。広く利用されており大きな ものでは避雷器として、また小さなものでは携帯電話やパソコンなどにおいて、異常電圧・電流からの保護素子とし て利用されている。 I=(V/Vb)α -Vb voltage (V) Vb 0 今回は、共沈法を用いてBi2O3やSb2O3などの添加物も同時に複合粉末を作製することで、原料粉の均質性を向上さ せ、またバリスタ作用を発現する粒界相が形成しやすくすることで特性を改善することを目的とした。 (Vb);varistor voltage (breakdown voltage) 2. 実験方法 原料溶液 の準備 濾過・水洗 共沈(沈殿) 乾燥 仮焼 成形 disks Co(NO3)2・6H2O, Ni(NO3)2・6H2O ZnO, Bi2O3, Sb2O3, Cr(NO3)3・9H2O, Mn(NO3)2・6H2O, Co(NO3 pHの調整方法によって3種類の共沈粉を作製 800℃~1100℃ 10h in air or O2 •density •electric property = non-linear property pH9.5 - 原料溶液にNaOH水溶液を滴下してpH9.5に調整 Non-linear coefficient 1mAα0.1mA = pH14 - pH14に調整してしばらく置いてpH9.5に調整 塩酸酸性溶液 log(I1mA/I0.1mA) pH14# - NaOH水溶液に原料溶液を滴下した後pH9.5に調整 (このときできるだけpH13以上を維持) 沈澱 3. 実験結果 (A) 6 log(V1mA/V0.1mA) 蛍光X線による元素分析 (B) 1 (A) 0.5 M x+/Zn2+ 3 Density (g / ㎝ ) 5 0.03 4 pH9.5 pH14 pH14# pH14# O 2 pH14# CIP pH14# CIP O pH14#2 pH14#2 O 2 3 20μm 900 1000 Sintering temperature (℃) 20μm 0.02 0.01 (C) 2 2 800 評価 1.6㎜×2.5㎜ 共沈法による複合粉末の合成実験 NaOH水溶液を滴下 焼成 1100 図1 焼結体の密度と焼成温度の関係 Bi 3+ Sb 3+ Mn 3+ Cr 2+ 2+ Ni Co 2+ Cl 2+ Starting composition pH9.5 Precipitated powder pH9.5 Calcined powder (500 ℃-2h) pH9.5 Sintered body (1000 ℃-10h) 1 (B) 0.5 50 pH9.5 1000 ℃ air pH14 900 ℃ air pH14 1000 ℃ air 10-4 10-3 10-2 10-1 100 x (mA) 0.03 0.02 100 50 pH14#2 900 ℃ in air 900 ℃ in O 2 950 ℃ in air 950 ℃ in O 2 1000 ℃ in air 1000 ℃ in O 2 1100 ℃ in air 10 -4 10 -3 10 -2 10 -1 10 0 x (mA) 図3.共沈法による焼結体の各電流域における非直線性係数 0.01 Zn 2+ Bi 3+ Sb 3+ Cr 3+ Mn 2+ Ni 2+ Co 2+ Cl 2+ Starting composition pH14 Precipitated powder pH14 Calcined powder (650 ℃-2h) pH14 Sintered body (1000 ℃-10h) 1 (C) Mx+/Zn2+ 100 x+ 150 Nonlinear Coefficient xmA α10xmA nonlinear coefficient xmAα10xmA 150 M /Zn 2+ 20μm 2+ Zn 図2 共沈粉を用いた焼結体の 組織のSEM写真; (A)pH9.5,1000℃-10h、 (B)pH14,1000℃-10h、 (C)pH14#,1000℃-10h 0.5 0.03 0.02 0.01 4. 結論 •(1) 共沈粉を作製する際、pH1~2においてBiOClが生成した。このBiOClが存在すると焼結体は緻密化しなかった。 •(2) NaOH水溶液に原料の酸性溶液を滴下することで、BiOClを経由せずに沈殿が得られた。 Zn 2+ Bi3+ Sb 3+ Cr3+ Mn 2+ Ni2+ Co 2+ Cl2+ Starting composition pH14# Precipitated powder pH14# Calcined powder (650℃-2h) pH14# Sintered body (900℃-10h) この共沈紛は焼成時にBi3+の減少がなく緻密な焼結体が得られた。 •(3)共沈粉pH9.5,pH14の試料においてはBi3+が減少した。またpH14#の試料においてもZn2+が減少した。pH14#2の1100℃で焼成した試料のみ • 優れた電気的特性が得られたのは、組成のずれがその要因の1つと考えられる。共沈法では組成の制御が課題となることが明らかとなった。
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