資料1 - 循環器疾患等の救命率向上に資する効果的な救急蘇生法の

目
1.分担研究報告
研究要旨
次
······························································
3
································································
3
A.研究目的
····························································
3
B.研究方法
····························································
3
C.研究結果
····························································
4
D.考
察
······························································
6
E.結
論
······························································
6
F.健康危険情報
G.研究発表
························································
6
····························································
6
H.知的財産権の出願・登録状況
············································6
2.資料リスト
資料1、購入理由書・機種選定理由書 ···························· 7
資料2、オートパルス研究会の発足と研究の経緯 ·················· 9
資料3、オートパルスに関わる研究文献リスト ···················· 11
資料4、国内のオートパルス設置状況 ···························· 12
資料5、オートパルス装着のためのプロトコル ···················· 13
資料6、病院前救護におけるオートパルス使用の現状 ·············· 14
- 1 -
研究者名簿
研究担当者
近藤
久禎
日本医科大学
救急医学
研究協力者
白石振一郎
日本医科大学
救急医学
溝端
康光
大阪市立大学 救急医学
中谷
壽男
関西医科大学滝井病院 救急医学
平川
昭彦
関西医科大学滝井病院 救急医学
坂本
哲也
帝京大学病院
救命救急センター
竹内
保男
帝京大学病院
救命救急センター
丸川征四郎
兵庫医科大学
救急災害医学
橋本
兵庫医科大学
救命救急センター
篤徳
- 2 -
AEDを含む病院前心肺蘇生効果の連携にかかわる研究
研究担当者
近藤久禎
日本医科大学救急医学
助教
研究概要:本研究は、平成19年度に立ち上げたもので、市民によるAED(PAD)を含む病院前心肺蘇
生の効果を救急病院まで維持する方法と、それを救急医療体制に組み込む方策の検討を目的とした。
主な阻害要因である用手的胸骨圧迫の搬送途上での中断を回避するために、新たに開発されたLDB
(load-distributing-band chest compression device:AutoPulse)を最重要な手段として検討の対
象とした。本年度は、救命率改善効果の臨床検討、適応基準、使用手順などについて基礎的事項を
検討する。研究目的を達成するため、オートパルス研究会を立ち上げ、5つの研究課題を挙げた。1)
LDBの有効性を検討した国内外文献・発表の検索と分析:救命率改善を擁護する成績はあるが否定す
るものはない。2)我が国のLDB臨床導入状況と使用実績の継続的な把握体制:国内設置台数がオート
パルス研究会でモニター開始後の約6ヶ月で18台から42台に増加し、急速に増加することが見込ま
れ、本研究を急ピッチで推進する必要がある。3)救急現場におけるLDB装着プロトコル作成と普及啓
発:心室細動例では初回除細動後に装着するプロトコルが妥当である。4)病院前LDB使用の救命率に
及ぼす効果の症例集積、多施設共同研究:現時点では病院内外の事例を使用上のトラブルや合併症
を含めて収集する時期と判断した。5)救急初療室における効果的利用に関わる多施設共同研究:予
後評価以外の評価パラメタの必要性が強調された。最終年度にはLDBの有用性を検証し、安全で有効
な導入について提言すると共に、症例集積、多施設共同研究の立ち上げなどについても提案する予
定である。
実現する可能性を高く秘めている(Timerman
A.研究目的
本研究は、市民によるAED(PAD)を含む病院
2004)。そこで本研究班に2台のLDBを設置
前心肺蘇生の効果を、傷病者が救急病院に収容
(資料1)し、本装置の併用によってPAD効果
されるまで損なうことなく継続する方法と、そ
が継続され救命率改善に寄与するか否かを、多
れを救急医療体制に組み込む方策を検討する。
施設共同研究計画を視野にいれた予備的な臨
PADが成功するか否かに関わらず市民の救命救
床検討を行い、適応基準、使用手順など基礎的
助の意思を効果的に継承するには、救急隊によ
事項を検討する。
る二次救命処置と傷病者搬送中の心肺蘇生を
適正に維持する必要がある。しかし、現実には
用手的胸骨圧迫は搬送中に頻回に中断され、救
B.研究方法
研究目的を達成するため、オートパルス研究
命率を抑制するもっとも重要な要因と考えら
れる。この現状を鑑みると効果的な機械的胸骨
会を立ち上げ研究を推進することとした(資料
圧迫装置の導入が不可欠であり、新たに開発さ
2)。研究会は、本研究の研究協力者を固定メ
れたLDB(load-distributing-band chest com
ンバーとして、オートパルスを実際に使用する
pression device:AutoPulse)は、この目的を
医師、看護師、救急救命士、企業など、本研究
- 3 -
に興味を持つ関係者を、テーマに応じて適時、
たが、救命率、退院率ともに有効性を示すこと
招請し議論を深めることとした。
ができなかった(Hallstrom 2006)。しかし、
研究課題として、下記の諸点を挙げた(担当
この研究ではオートパルスの使用法について
者)。
幾つかの問題がありスタディデザインに欠陥
1)LDBの有効性を検討した国内外文献・発表の
が指摘されている。その主なものは、オートパ
検索と分析(全員)
ルス開始時機が遅い(派遣指令の平均12分後)、
2)我が国のLDB臨床導入状況と使用実績の継続
オートパルス群の除細動がマニュアル群より
的な把握体制(近藤、白石、丸川、橋本)
も約2分遅れている、救急隊の力量にバラつき
3)救急現場におけるLDB装着プロトコル作成と
が大きい、LDBを含む蘇生プロトコルが統一さ
普及啓発(坂本、竹内)
れていない、などである。このため、ASPIRE
4)病院前LDB使用の救命率に及ぼす効果の症例
はLDBの有用性を否定するものではないと判断
集積、大規模研究(近藤、白石、丸川、橋本)
されている。
5)救急初療室における効果的利用に関わる多
2)我が国のLDB臨床導入状況と使用実績の継続
施設共同研究(溝端、中谷、平川、坂本)
的な把握体制
オートパルス研究会は2回開催することが
LDB購入実績については、平成19年10月時点
できたが、並行して随時、インターネットでの
で医療機関が8台、消防機関は秋田県2台、岩手
情報交換を行った。
県2台、鹿児島県2台、新潟県2台、静岡県、神
奈川県で各1台の計18台であったが、20年3月に
は医療機関は合計13台、消防機関は横須賀市の
C.研究結果
11台を含め42台(23施設)と急速に増加してい
1)LDBの有効性を検討した国内外文献・発表の
る(資料4)。
検索と分析
使用実績については、医療機関ではまだ試験
平成19年10月時点で、主な海外論文7編が確
的な使用に限られており1施設の使用例は10例
認されたが、20年3月時点での新たな報告はな
を越えないが、消防機関では1消防署で30例を
い(資料3)。
越えるなど積極的な使用が見られる。
病院前救護の有効性を検討した主な論文で
現在、これらの情報は販売企業を介してのみ
は、Casnerらは救急センター到着時の自己心拍
入手可能であり、AEDの実態把握と同様な形態
再開率がマニュアルCPR群(93人)の29%に対し
である。企業との協調は不可欠であり、信頼で
てLDB-CPR群(69人)が39%と有意の改善を認
きる企業であるので現時点では全く問題はな
めた。Ongら(2006)は生存退院率がマニュアルC
い。しかし、原則論から言ってユーザーが設
PR群(499人)で2.9%、LDB-CPR群(210人)が9.
置・使用実態を自主的・主体的に提供するシス
7%と有意な改善を報告した。Swanson(2005)
テムの構築が望ましい。オートパルス研究会を
らは、心拍再開率についてマニュアルCPR群(4
早急に全国組織に拡大し、安全で有効な使用法
05人)が19%、LDB-CPR群(118人)が29%と有意
の確定と普及、有用性に関わる多施設共同研究、
な改善を報告した。Casnerら(2005)も同様の成
適用と非適用基準の作成、合併症の収集と装置
績を報告している。また、多施設共同研究ASP
改良への提言などを目指すべきであろう
IRE(Autopulse
3)救急現場におけるLDB装着プロトコル作成と
l
Pre-hospital internationa
Resuscitation)では、マニュアルCPR群(3
普及啓発
73人)とオートパルスCPR群(394人)を比較し
- 4 -
既に、ZOLL 社から病院前救護処置における
早であり、施設単位で事例を収集し評価すべき
LDB 装着のタイミングに関わるプロトコル
と考える。既に、消防機関には42台が設置さ
(ZOLL 推奨プロトコル)が示されている(資
れているが、不慣れに依る操作ミスや合併症が
料5)。このプロトコルは、初回の心電図解析
多いものと思われ、これらを収集することは今
で VF、PEA、心静止に応じた装着タイミングを
後の安全管理に重要である。
別けているが、実質的には 5 分以内現着の VF、
第2回オートパルス研究会で兵庫医科大学の
5 分以降現着の VF、PEA・心静止の3パターン
橋本らは、78歳女性の目撃のないCPA患者にLD
である。目撃あり 5 分以内現着の VF では初回
Bを使用したが救命できなかった事例を報告し
除細動を実施後に LDB を装着する。これについ
た(資料6)。LDBとの因果関係は不明である
ては異論がない。目撃なし 5 分以降現着の VF
死因に関係のない気胸を合併した。さらに、同
ではマニュアル CPR の時点で LDB 装着し、その
地域では3ヶ月でLDB事例が1例のみであったこ
後に初回除細動としている。これについては、
とから、使用が進まない原因として、現場への
PEA・心静止と同様であり混乱がない。しかし、
初回除細動が LDB 装着時間に応じて遅延する
可能性がある。VF で胸骨圧迫が中断されるこ
とは望ましくなく、マニュアル CPR・初回除細
動の後に LDB 装着とすべきであるとの異論が
あって当然であろう。研究協力者の坂本らは救
急振興財団の研究班で、後者を推奨している。
前者か後者かの選択は、目撃なしのVFと5分
LDB搬入は、重く運搬のためにプラス1名が必要
でポンプ車との連携が行える際に限られるこ
と、このためCPAであることが事前に判明して
いる場合に限られること、充電器が救急車内に
常備できないこと、消防指令と救急隊との間で
LDBに関する共通認識がまだ十分でないころな
どを挙げた。また、稼働時間が限られているこ
と、消耗品価格が効果であることなども使用制
限の要因であることを挙げた。
以降現着のVFを同質とみなすか、マニュアル胸
5)救急初療室における効果的利用に関わる多
骨圧迫とLDB胸郭圧迫の何れが有用かによって、
施設共同研究
その効果が左右される。また、トラブルがなく
最近、何れの三次救急医療施設でも救急医や
装着でき、期待される時間(10 sec)以内にL
研修医の人数が減少し始めている半面で、二次
DBが作動開始できることが確約されるかどう
救急患者が増加傾向にある。このため、相対的
かによっても左右される。しかし、実際には現
な人で不足が助長されている。特に、心肺停止
着遅れが5分か6分かと言う議論もあることか
患者では胸骨圧迫に確実に1名が必要であるこ
ら、救急隊員のマニュアル胸骨圧迫よりもLDB
とから、最低2名の医師が必要になる。LDBの胸
胸郭圧迫が有意に優れているという成績が確
壁圧迫にマニュアル胸骨圧迫と同等かそれ以
立されるまでは、初回解析でVFであればマニュ
アル胸骨圧迫で初回除細動を終了した後にLDB
を装着とするのが妥当であろう。
4)病院前LDB使用の救命率に及ぼす効果の症例
集積、多施設共同研究
上の有効性が確認されれば、医師1名が解放さ
れる。また、疲労や胸骨圧迫交代に伴う効果減
弱も回避できる。
従って、救急初療室におけるLDBの有効性を
実証するための多施設共同研究は不可欠であ
る。溝端は、第2回オートパルス研究会で病態
LDBの臨床的有用性を評価するには多施設共
生理学的な研究プロトコルを提案したが、有効
同研究を計画するべきであるが、LDBを導入し
性を証明する測定パラメタに限界があること
た医療機関の数がないこと、使用例数はおよそ
から、再度検討が望まれ最終年後に持ち越すこ
50件程度と推定され、まだ試行的な段階にある
ととなった。
ことから、現時点では多施設共同研究は時機尚
- 5 -
D.考察
しているか否かに関わらず初回除細動後に装
LDBの評価に関わる国内外の文献・報告を継
続的に検索することは困難ではないが、報告結
着し、それ以外では初回心電図解析の後に装着
するプロトコルが理解しやすい。
果の妥当性の評価は慎重でなければならない。
多施設共同研究を開始するには、もう少し使
特に、担当する救急隊員の力量や蘇生搬送の環
用実績を重ねる必要がある。しかし、試用段階
境が大きく心肺蘇生の効果に影響するので、本
であるからこそ、大小のトラブルが発生し易く、
来なら症例毎にどの様なBLS、ALSが行われたか
安全な使用法を確立するのには重要である。オ
を併記しなければならない。特に、多施設共同
ートパルス研究会でも因果関係は明らかでは
研究では地域のプロトコル、習慣、システムな
ないが、気胸合併症例が報告されており、病院
ど地域性が顕著に影響する。例えば、現場到着
前救護での使用事例の早急な集積が望まれる。
までの時間計測でも、その開始は覚知、出場指
示、出発など地域によって異なる。また、現着
も、救急車が傷病者宅に停止時刻、救急隊員が
E.結論
玄関に到着時刻、傷病者にタッチした時刻など
LDBは、マニュアルCPRに比べて心拍出量が増
必ずしも一定していない。また、搬送中の胸骨
加するとされているが、少なくとも両者が同等
圧迫はしばしば途切れるため、BLSの質には著
であれば、病院前救護では胸骨圧迫の中断の回
しい差異が生じる可能性がある。これらを無視
避、救急初療質では医師が1名解放されること
してLDB群とマニュアル群の蘇生効果を比較す
から、充分に導入する価値がある。それだけに
ることは危険である。
合併症を伴わない使用法の普及、対象の選択が
LDBは基本的には治療機器であり、適正なメ
強く望まれ、安全使用の普及啓発が販売と並行
ディカルコントロールのもとに使用されるべ
して進められるべきであり、研究計画の最終年
きである。従って、LDB臨床導入に当たっては
度に向けてさらに検討を重ねる。
設置登録が行われ、使用報告書が収容医療機関
に提出され、これらが地域メディカルコントロ
文献:文献リスト(資料3)に詳述
ール協議会で掌握され事後検証委員会で評価
されるべきである。また、地域メディカルコン
トロール協議会は、定期的(概ね4半期単位)
F.健康危険情報
に使用実績報告と事後評価結果を報告し、LDB
なし
使用の安全と有効性を担保すべきである。地域
メディカルコントロール協議会は、LDB使用に
ついて包括的指示を救急隊員に与えるべきで
G.研究発表
ある。本研究では、LDB装着のタイミングに関
なし
わるプロトコル案を提案した。最終年度にその
妥当性を検討するが、同時に救急隊員の使用報
告書、事後検証での評価についてもフォーマッ
H.知的所有権の取得状況
なし
トを作成する予定である。
救急現場におけるLDB装着のタイミングは、
できるだけ簡潔に規定されるべきである。その
意味では初回心電図でVFであれば、現着が遅延
- 6 -
資料 1、オートパルス購入理由書
購入理由書・機種選定理由書
品
名
規格・形式等
製造会社名
オートパルス人工蘇生システム
Auto
Pulse
モデル100
ゾール・メディカル・コーポレーション
現在、市民による AED(PAD)の効果は搬送中に心肺蘇生が頻回に中断されるた
購入の目的
( 使用目的 )
め継続性に欠け、救命率を抑制する重要な要因と考えられる。本装置を搬送
途上に併用することで、この事態が改善され救命率の向上が期待できる。そ
こで、PAD 効果の継続性と救命率改善が、本装置の併用によって得られるか否
かを多施設共同研究により検討する。
リース等、賃借契約
が不可能な理由
(業者等との交渉
経緯等詳細に記
当該機種については、リース等、賃借契約について代理店に問い合わせたが、
リース等、賃借契約は行われていないとのことであった。
入すること)
必
要
条
件
左記を必要とする理由
バッテリー駆動が可能なこ CPR実施場所を問わず、またどんな状況下でも
心臓マッサージの中断がないことが求められる
と
ため。
ディスプレイを搭載してい 機器動作状況の確認、バッテリー残量の確認のた
目的を満た
すために必
要な条件
(詳細に記
入 す る こ
と)
ること
めに必要である。
圧迫方式は胸郭圧迫法であ 一点で圧迫する胸骨圧迫法では圧迫位置のズレ
ること
を生じ、心臓マッサージ効果が低下する可能性が
あるため。また胸郭圧迫法はより強力な血圧循環
の回復が得られるため。
圧迫自動停止機能があるこ 圧迫位置ズレによる腹部圧迫等の事故を防止で
と
きる。
座位等どんな体勢でも心臓 階段や狭部での搬送時の患者の姿勢にこだわる
マッサージが可能なこと
ことなく心臓マッサージが可能である。
- 7 -
1.胸部圧迫帯(ベルト)装着はマジックテープ式で迅速なセットアップが可
能である。
指定品の性
能及び実質
的な利点
(操作・安
全性・その
他)
2.患者の胸囲に応じて胸部圧迫深度が自動的に設定できる。
3.ライフボード(背板)と胸部圧迫帯の二重構造で患者を容易かつ確実に固
定できる。
4.ライフボード(背板)には患者固定位置がわかるようにガイドラインが表
示されている。
5.機器搬送のためのキャリングケースが装備されている。
類似品の有
無及びその
性能
指定品の類
似品との比
較
(主要事項
を詳細に比
較のこと)
設備上の付
帯設備等
(必ず記入
すること)
その他(本
機の診療収
益等参考事
項)
KOMSTAT2300(コーケンメディカル社)
Thumper1007(日本船舶薬品㈱)
比較項目
類
指定品
似
AutoPulse
KOMSTAT2300
Thumper1007
自動停止機能
○
×
×
ディスプレイ表示
○
×
×
メンテナンス性
○
×
×
区
分
設置場所または設備の必要の有無
場
所
特に指定無し
給
水
特に指定無し
排
水
特に指定無し
電力(源)
そ の 他
温度調節等
特に指定無し
特に指定無し
特に無し
- 8 -
品
資料2、オートパルス研究会の発足と研究経緯
1、「AED を含む病院前心肺蘇生効果の連携にかかわる研究」の開始
本研究班に、主に市民による AED を含む病院前心肺蘇生効果を損なうことなく、傷病者が救
急病院に収容されるまで継続する方策を検討する研究グループを立ち上げる必要性が提案された。
AED が成功するか否かに関わらず市民の救命救助の意思を効果的に継承するには、傷病者搬送中
の心肺蘇生を適正に維持する必要があるが、用手的胸骨圧迫には限界があり救命不可のもっとも
大きな障壁の一つになっている現状を鑑みると効果的な機械的胸骨圧迫装置の開発が不可欠であ
り,新たに開発された LDB はこの目的を実現する可能性を秘めている。そこで、本研究班に LDB
を急遽設置するための申請し、平成 19 年 9 月に購入し研究を開始した。
2、第1回
オートパルス研究会
平成 19 年 9 月末に既にオートパルスを導入している救急医療施設に「オートパルスの臨床使用
に関わる打合せ」の会合を呼びかけた。6施設のうち4施設から参加の意向があり呼びかけ人を
ふくめ5施設(日本医科大学、帝京大学医学部、大阪市立大学医学部、関西医科大学、兵庫医科
大学)で 10 月 18 日、大阪リーガロイヤルにて会議を持った。会議では、最新情報、我が国の導
入の現状、LDB の病院前を含めた臨床使用基準作り、心肺蘇生効果継続を中心とする LDB 多施
設共同研究について意見交流した。本会をオートパルス研究会(仮称)とし、AED を含む心肺蘇
生効果の維持と円滑な継承に LDB を役立てるための科学的検討を総合的に行うことを目的とし
た。
第1回オートパルス研究会
開催日時:
10 月 18 日
開催場所:
大阪リーガロイヤルホテル(315号室)
出席者
坂本哲也(帝京大学)、近藤久禎(日本医科大学)、白石振一郎(日本医
:
11:00~13:00
科大学)、溝端康光(大阪市立大学)、平川昭彦(関西医科大学)、丸川征四郎(兵
庫医科大学)、橋本篤徳(兵庫医科大学)、岸栄男、管野雄治、阿部将之(日本光電)、
Jack Arends(ZOLL 社)、(欠席者:、中谷壽男)
検討課題
1、オートパルスに関わる文献整理:今後の情報共有
2、各施設における病院内・外での使用経験:有効例、問題点、適応基準など
3、今後の検討課題:研究会の設置
3、第2回
オートパルス研究会
平成 20 年 3 月 11 日
東京ガーデンパレスにて開催。国内のオートパルス普及の現状について
日本光電担当者から報告があった。某消防では既に 30 の病院前救護事例の実績がある。参加施設
での LDB 使用は試験的にとどまっている現状が報告された。橋本医師・丸川医師から消防での使
用が進まない原因分析報告があった(資料6)。溝端医師から「院内使用に関わる共同研究」につ
いて 2 つの提案があったが、再検討となった。竹内救急救命士・坂本医師から「病院前救護での
使用プロトコル」の提案があった(資料5に同じ)。特に AED、CPR サイクルとの兼ね合わせで
LDB 装着時期が異なる 2 つの手順が紹介された。装着手順のデモ DVD 作成を行う。
- 9 -
第2回オートパルス研究会
開催日時:
3 月 11 日
開催場所:
東京ガーデンパレス(芙蓉)
出席者
18:00-20:00
:坂本哲也(帝京大学)、竹内保男(帝京大学)、近藤久禎(日本医科大学)、
溝端康光(大阪市立大学)、丸川征四郎(兵庫医科大学)、橋本篤徳(兵庫医科大学)、
岸栄男、管野雄治、阿部将之(日本光電)、Jack Arends(ZOLL 社)、(欠席者:
平川昭彦、中谷壽男(関西医科大学))
検討課題
1)オートパルス普及の現状
2) 各施設での使用状況
3)院内での使用法の提案
4)病院前での使用手順の提案
- 10 -
資料3、オートパスル研究に関わる文献リスト
1) Halperin HR, Paradis N, Ornato JP, Zviman M, Lacorte J, Lardo A, Kern KB :
Cardiopulmonary resuscitation with a novel chest compression device in a porcine model of
cardiac arrest: improved hemodynamics and mechanisms. J Am Coll Cardiol. 2004 Dec
7;44(11):2214-20.
2) Ikeno F, Kaneda H, Hongo Y, Sakanoue Y, Nolasco C, Emami S, Lyons J, Rezaee M
Augmentation of tissue perfusion by a novel compression device increases neurologically
intact survival in a porcine model of prolonged cardiac arrest.
Resuscitation. 2006 Jan;68(1):109-18. Epub 2005 Dec 2.
3) Timerman S, Cardoso LF, Ramires JA, Halperin H :Improved hemodynamic performance
with a novel chest compression device during treatment of in-hospital cardiac arrest.
Resuscitation. 2004 Jun;61(3):273-80.
4) Casner M, Andersen D, Isaacs SM :The impact of a new CPR assist device on rate of
return of spontaneous circulation in out-of-hospital cardiac arrest. Prehosp Emerg Care.
2005 Jan-Mar;9(1):61-7.
5) Ong ME, Ornato JP, Edwards DP, Dhindsa HS, Best AM, Ines CS, Hickey S, Clark B,
Williams DC, Powell RG, Overton JL, Peberdy MA: Use of an automated, load-distributing
band chest compression device for out-of-hospital cardiac arrest resuscitation. JAMA.
2006 Jun 14;295(22):2629-37.
6 ) Krep H, Mamier M, Breil M, Heister U, Fischer M, Hoeft A : Out-of-hospital
cardiopulmonary resuscitation with the AutoPulse system: a prospective observational study
with a new load-distributing band chest compression device. Resuscitation. 2007
Apr;73(1):86-95. Epub 2007 Jan 24.
7 ) Hallstrom A, Rea TD, Sayre MR, Christenson J, Anton AR, Mosesso VN Jr, Van
Ottingham L, Olsufka M, Pennington S, White LJ, Yahn S, Husar J, Morris MF, Cobb LA :
Manual chest compression vs use of an automated chest compression device during
resuscitation following out-of-hospital cardiac arrest: a randomized trial. JAMA. 2006 Jun
14;295(22):2620-8.
関連文献
1) Lindner KH, Wenzel V :New mechanical methods for cardiopulmonary resuscitation
(CPR). Literature study and analysis of effectiveness. Anaesthesist. 1997 Mar;46(3):220-30.
Review. German
2) Niemann JT, Rosborough JP, Kassabian L, Salami B :A new device producing manual
sternal compression with thoracic constraint for cardiopulmonary resuscitation.
Resuscitation. 2006 May;69(2):295-301. Epub 2006 Feb 2.
3) Ward KR, Menegazzi JJ, Zelenak RR, Sullivan RJ, McSwain NE Jr :A comparison of
chest compressions between mechanical and manual CPR by monitoring end-tidal PCO2
during human cardiac arrest. Ann Emerg Med. 1993 Apr;22(4):669-74.
- 11 -
4) Axelsson C, Nestin J, Svensson L, Axelsson AB, Herlitz J :Clinical consequences of the
introduction of mechanical chest compression in the EMS system for treatment of
out-of-hospital cardiac arrest-a pilot study. Resuscitation. 2006 Oct;71(1):47-55. Epub 2006
Aug 30.
資料4、国内のオートパスル設置状況(H20.3 現在)
東海・北陸
近畿
中四国
九州
甲信越
関東
東北
北海道
医療機関
2
2
2
2
1
2
1
1
合計
13
消防機関
3
1
3
7
3
14
7
4
42
- 12 -
教育機関
1
8
9
ᔃโᱛ
ᙾ
ᔃโᱛ
CPRയᆎ
CPRയᆎ
CPRയᆎ2ಽᓟᬞ
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第2回オートパルス研究会(2008.03.11)
病院前救護における
オ トパルス使用の現状
オートパルス使用の現状
兵庫医大病院 救命救急センター
橋本 篤徳 丸川征四郎
設置の経緯と現状
| 当センターでは、本年1月より、近隣の消防署にオート
当センタ では 本年1月より 近隣の消防署にオ ト
パルス1台を貸し出し、現場から病院までの装着使用
を依頼している。
| しかし、この3か月の間に 使用症例は1症例しかない。
| その1症例を簡単に紹介すると共に、使用実績が伸び
ない理由を考察する。
症例
患者 : 78歳 女性
| 既往
: 心不全
| 現病歴 : 老健施設に入所中。
老健施設に入所中
職員が早朝巡回中、心停止となっているのを発見し、
119要請。(5:25)
救急隊現着時、バイスタンダーCPRは施行されていな
かった。最終生存確認から約2時間が経過 していた。
| 入院経過:
5:48 病着
5:53 オートパルス終了。 初期評価 ・・・ asystol
CPRを施行するも心拍再開せず
6:54 死亡確認
|
来院時の胸部X線所見
結果
| 死因
「胸部大動脈解離に伴う心タンポナーデ」と 診断。
| 気胸
皮下気腫は現着時には確認できなかったとのことで
あり、気胸はCPRに伴うもので、 死因との因果関係
は否定された。
| 適応
LDBには社会的適応が存在することを考慮してほしい。
LDB使用実績が伸びない理由について
消防救急の説明
救急隊は基本3名一組で活動しているが、オートパルス
を携帯するには、もう一人が必要(重く、かさばるため)
| この携帯要員はポンプ車の余剰人員、研修生 などを
動員して対処しているので、事前にCPAと判明しない
場合には携帯が困難
| 充電器を救急車内に常備することが困難
| オートパルス1台ではチャンスを逃し易い
|
LDB使用実績を増やすには・・・
機械の小型化・計量化
・・・ せめてバックボードと一体化できれば。
せめてバックボ ドと 体化できれば
| バッテリーの電圧持続時間(30分)の延長
・・・ アダプターモジュール開発を望む。
| バッテリーの使用回数制限(100回)解除
・・・ エラーメッセージだけにして欲しい。
| 消耗品(ベルトがディスポ
消耗品(ベルトがディスポーザブル)
ザブル)
・・・ ビニール袋等を使用し、血液汚染防止
の工夫をしているが、改善が必要。
|