VOL.32 293 CHEMOTHERAPY S-3 AT-2266の 生 殖 試 験(第2報) 雄 ラ ッ トの 生 殖 能 力 に 及 ぼ す 影 響 (連 続 交 配 試 験) 寺 田芳 規 ・西 村耕 一 ・竹 中秀 子 ・吉 田 耕 一 大 日本製薬株式会社総合研究所 AT-2266の ラ ッ トに お け る 妊娠 前 お よ び妊 娠 初 期 投 与 試 験 に お い て,1,000mg/kgの 用量で雄 ラ ッ トに 生殖 障 害(交 尾 雌 に お け る不 妊 お よび 着 床 率 の 低 下)が 認 め られ た。 この生 殖 障 害 は 精 子 形成 阻害 に よ る もの と考 え られ た の で,本 試 験 では そ の メ カ ニズ ム につ い て 検 討 した。 AT-2266の0お よ び1,000mg/kgをJcl:SD系 雄 ラ ッ トに,10週 齢 か ら13週 間 連 続 して 経 口投 与 した 。投 薬 開始 の1週 間前 よ り投 薬 中 止 後10週 まで,雄1匹 に 対 し,週 に2匹 の割 合 で 無 処 置雌 を交配 し,雄 ラ ッ トの生 殖 能 力 の 変 化 を調 べた 。 この 間 に,一 部 の雄 に は さ らに別 の無 処 置 雌 を 交 配 し,交 尾 確 認雌 か ら卵 子 を 採 取 して受 精 の成 否 を検 査 した。 交配 試験 の結果,1,000mg/kg群 で 交 尾 雌 に お け る着 床 率 の 低 下 が,投 与6週 か ら休 薬4週 にか けて,ほ ぼ 連続 して 認 め られ た。 こ の成 績 よ り,AT-2266の1,000mg/kgを 精 母 細 胞 期 か ら精 子 細 胞期 まで連続 的 に暴 露 す る と精 子形 成 に障 害 を及 ぼす こ とが 推 察 され た。 また 卵 子 の 検査 か ら, 着床率 の低 下 は非 受 精 卵 の 増加 に よ る もの とわ か った。 さ らに こ の結 果 か ら,着 床 率 の 低下 に優 性 致死作 用が 関与 しな い こ と も明 らか とな った 。 AT-2266の 生殖 試験(第1報),ラ ッ トに お け る妊娠 前 お よ び妊娠初 期投与 試験1)で 報告 した よ うに,AT-2266の100,300 mg/kgの よ び 水 を 自由 に摂 取 させ た。 用 量は 動物 に 影響 を 及 ぼ さ なか っ たが,1,000mg/kg 3. 投 与量 お よび 投 与 方 法 では,投 与 した雄 ラ ッ ト と交 尾 した雌 ラ ッ トにお い て 不 妊 お よ び着床率 の低下 が認 め られ,ま し,滅 菌 した飼 料(日 本 ク レ ア製 固形 飼 料CA-1)お た 精巣 上 体 の組 織 学 的 検 査 か ら 投 与 量 は ラ ヅ トにお け る妊娠 前 お よび 妊 娠 初期 投 与 試 験1)で雄 ラ ッ トに 生殖 障害 を惹 起 した1,000mg/kgを 用 精子形成 障害 を示唆 す る結 果 が 得 られ た。 今 回 の 試 験 で は, い た 。 薬 液調 製,投 与 経 路,投 与液 量 は 妊 娠 前 お よ び妊 AT-2266の1,000mg/kgを 反 復投 与 した 雄 ラ ッ トに 無 処 置雌 を 娠 初 期 投 与試 験)に 準 じた。 雄 ラ ッ トが10週 齢 に達 した 連続的に交 配 して,精 子 形 成 障害 の メ カ ニ ズ ム に つ い て 検討 し 時,投 薬 を 開始 し,13週 間 連続 投 与 した 。 雌 ラ ヅ トには た。また一都 の雄 に は,さ 投 薬 しな か った 。 投 薬 は1日1回 らに別 の無 処 置 雌 を 交 配 し,交 認雌か ら卵子 を採 取 して 受 精 の成 否 を検 査 し,不 尾確 妊 お よび 低 着 carboxymethylcellulose(CMC)を 床率の原 因を 調べ た。 I. 実 験 材 料 お よ び 方 法 1. 被 検 物 質 本 試 験 に はAT-2266の と し,各 投 与 日の動 物 の体 重 を 基 準 と した 。 対 照 群 の動 物 に は0.2%sodium 投 与 した。 4. 検 査 方 法 1群 あ た り15匹 の 雄 ラ ッ トを用 い,雄 ラ ッ トが9週 齢 無 水 物[1-ethyl-6-fluoro-1,4- dihydro-4-oxo-7-(1-piperazinyl)-1 , 8-naphthyridine- 3-carboxylic acid]を 用 い た 。 (投与 開始 の1週 間 前)に 達 した 時 交 配 を 開 始 し,投 薬 終 了 まで14週 間 連 続 して無 処置 雌 ラ ッ トと交 配 した 。 さ らに,雄 ラ ッ トの生 殖能 力 の 回復 性 を検 討す るた め,投 2. 使 用動物 お よび飼 育 条 件 薬 中止 後 も10週 間 連 続 して 交配 を行 った。 雄1匹 に 対 し, Jcl:SD系 週 に2匹 の無 処 置 雌 を 交 配 した 。 発 情 前 期 の雌 を雄 ラ ヅ の雌雄 ラ ッ トを 日本 ク レア株 式 会 社 よ り4 週齢で購入 した。 予 備 飼 育 の 後,雄 は精 巣 の大 き さが 正 トと1対1で 常で,か つ 左右均 等 な 動 物 を9週 齢(体 重300∼347g) が 認 め られ た 雌 は 交 尾成 立 とみ な し,そ の 日を妊 娠0日 同 居 させ,膣 栓 形 成 あ るい は膣 垢 中 に精 子 で試験に使用 した 。 雌 は発 情 前 期 を呈 す る健 康 な 動 物 を と した 。 交 尾 が 認 め られ た場 合,次 の 交 配 は翌 日の夕 方 8週 齢以降で 交配 に 用 い た。 動 物 の飼 育 は ,温 度24±2 ℃,湿 度55±5%,1日12時 間 照 明(午 前6時 ∼午 後6 垢 中 に 精 子 が 認 め られ なか った 雌 は,雄 か ら離 し,そ の 時)の 空調 動物 室 で行 った 。 金 属 製 ケ ージ で個 別 に飼 育 径 も引 き続 い て膣 垢 検 査 お よび 腹 部 の触 診 を行 った。 今 よ り再 開 した 。2昼 夜 同居 させ て も膣 栓 形成 あ る いは 膣 294 APR. CHEMOTHERAPY 1984 回 の試 験 で は,交 尾 が 確 認 され ず に 妊 娠 した 動物 は い な か ら5週 まで は,平 均85.5∼96.0%と か った 。 た。 しか し,投 与6週 か ら着 床 数は 急 速 に低下 し,以後 交 尾 が 成 立 した無 処 置雌 ラ ッ トは,嫡 娠14日 に殺 し, 休薬3週 まで 平 均63.2∼79.0%の 良好 な成 績であっ 低 値 が続 い た。体薬4 帝 王 切開 して 生 存 胎仔 数,総 着 床 数,黄 体 数 を 記録 した 。 週 には82.9%と 着床 の認 め られ な か っ た場 合 は,黄 体 数 を 数 え なか っ た。 均84.8∼95.7%と これ ら の成 績 を も とに,着 床 率(着 床 数 ×100/黄 体 数) 績 は い ず れ の期 間 も大 きな変 動 はな く,平 均85.3∼97.7 および 着 床 卵 生 存率(生 存 胎 仔 数 ×100/着 床 数)を 求 め %の 成 績 を示 した。 た。 着床 卵 生 存 率 は 優性 致 死 作 用 の 一指 標 と して求 め た 交 尾 成 立 雌 に お け る着 床 率 を雄 ラ ソ トの生 殖 能 力 の指 再 び 良 好 な成 績 に 戻 った。対照群の成 着床 率 の経 時 的 な 変 化 を個 々の動 物 で 見 る と(Fig.1, 2参 照),投 もの で あ る。 回 復 に 向 か い,休 薬5週 か ら10週では平 薬 群 で は,強 い影 響 が4例 の雄 ラ ッ ト(No. 208,209,210,212)で 認 め られ た。 これ らの動物では 標 と した 。 各 雄 に つ い て,そ の週 に 交 尾 した2匹 の雌 か 投与6∼7週 ら平 均 着 床 率 を 求 め,こ の値 を も とに 週 単位 で群 の平 均 って 着床 率 の低 下 が 認 め られ た。 投 薬 群で は,さ らに1 値 を 算 出 した 。 例(No.213)で 対照 群 か ら雄3匹,投 薬 群 か ら生 殖 能 力 に異 常 が ない か ら休 薬3∼5週 まで9ほ ぼ全 期間にわた 投 与13週 か ら休薬3週 まで 連続 した着床 率 の低 下が 認 め られ た。 他 の投 薬 群 ラ ッ トお よび対照群 と判定 され た 雄3匹 お よび生 殖 能 力 に 異 常 が 認 め られ た ラ ッ トでは,散 発 的 に 着床 率 の低 下 が 認め られたのみで, 雄3匹 を選 出 し,こ れ らの雄 ラ ッ トに 無 処 置雌 ラ ッ トを 意 味 あ る変 動 は なか った。 交 配 して,妊 娠0日 あ るいは 妊 娠1日 に 卵管 よ り卵 子 を 投薬 群 の平 均 着 床 率 が 対照 群 よ り推 計学 的に有意に低 採 取 し,受 精 の成 否 を 検 査 した 。 検 査 は 投与10週 か ら休 下 した のは,投 与8週 お よび 休薬2∼4週 薬3週 まで の期 間(生 殖 障害 は 投 与6週 か ら休 薬3∼5 他 の 期 間で も投 薬 群 の 平 均着 床 率 に か な りの低下が認め のみであった。 週 まで 認 め られ た)で 実施 した 。 連 続 交 配 試験 と平 行 し られ た に もか か わ らず,有 意差 が 生 じなか った のは,着 て 検 査 を行 った た め,こ の期 間 中い ず れ か の週 で,上 記 床 率 低 下 の発 現 に 個 体 差 が大 きか った ため で あろ う。 の雄 ラ ッ トは 週 に3匹 の雌 と交 配 した。 検査 に用 いた 雌 2. 着 床 卵 生 存 率(Table の数 は,1匹 着 床 卵生 存 率 は,投 薬 群 と対照 群,い ず れ の期間にお の雄 に 対 して,妊 娠0日 で は1例 ず つ,妊 娠1日 で は2例 ず つ と した。 妊 娠0日 の 卵 子 検 査は,そ の 日の午 後2∼3時 に 実 施 した。 卵 管 を子 宮 の 一部 と と もに 摘 出 して生 理 食 塩 水 に 浸 し,子 宮 角 側 よ り卵 子 を流 1) い て もほぼ 等 しか っ た0 3. 卵管 卵 子 の受 精 率(Table 2,Fig.3∼4) 卵 子 の検 査 は,対 照 群 の 雄3匹(No.101,102,103), 出 させ た 。マ イ ク ロピペ ッ トを用 い て卵 子 を 採 集 し,0.1 投 薬 群 で 生 殖能 力 に異 常 が な い と判 定 された雄3匹(No. %ピ アル ロ ニ ダー ゼ処 理(1分 201,202,203),お 間)を して 放 射 冠細 胞 を よび 生 殖 障害 が 認 め られ た雄3匹 除去 した 後,す べ て の卵 子 を 光学 顕 微 鏡 下 で 観 察 した。 (No.208,210,212)を 精 子 尾 部 の 付 着(精 子 の侵 入)が 認 め られ た 卵 子 を受 精 の数 は,1匹 卵 と し,採 取 卵子 数 と受 精 卵 子 数 を記 録 した 。 妊 娠1日 娠1日 で は2匹 ず つ と した。 の卵 子 の採 取 は妊 娠0日 の方 法 に準 じた。 卵 子 検 査 で は, 対 象 に 行 った 。 検 査 に用いた雌 の雄 に対 して,妊 娠0日 で は1匹 ず つ,妊 妊 娠0日 の 卵子 の受 精 率 は,投 薬 群 の生殖障 害雄 ラッ ビア ル ロ ニ ダ ーゼ処 理 は 行 わ ず,受 精 の成 立 は,卵 子 が トと交 尾 した 雌 で著 し く低 く,8,8%で 2分 割 の状 態 に あ る こ とを も って判 定 した 。 少 ない た め 推 計学 的 に有 意 差 は な い)。 対照 群の雄 ラツ 5. 推 計 学 的処 理 トあ るい は 投 薬 群 の 生 殖能 正 常 雄 ラ ッ トと交 尾 した雌で 各 週 の着 床 率,着 床 卵 生 存 率 の群 平 均 値 を求 め,投 薬 群 と対 照 群 の 間 で,Mann-WhitneyのU検 定を用いて 解析 した。 は,受 精 率 は そ れ ぞ れ,97.8%,97.6%で あ った。妊娠 1日 の検 査 で も,受 精 率 は投 薬 群 の生 殖障 害雄 ラ ットと 交 尾 した雌 で 有 意 に 低 く,18、9%の 成 績で あ った。対照 II. 実 験 結 果 1. 雄 ラ ッ トの 生 殖能 力 の変 化(Table 群 の雄 ラ ッ トあ るい は 投薬 群 の生 殖 能 正常 雄 ラ ットと交 1,Fig.1∼2) 雄 ラ ッ トの交 尾 能力 に 異常 は 認 め られ な か うた。 した 尾 した雌 の受 精 率 は,そ れ ぞ れ,97.3%,95.5%で け る着 床 率 を指 標 と して 評価 した。 投 薬 群 の雄 ラ ッ トの生 殖能 力 は,投 与6週 か ら低 下 し, で 回 復 した.投 薬 群 の着 床 率 は,投 与0週 あつ た。 が っ て,雄 ラ ッ トの 生 殖能 力 は,交 尾 した雌 ラ ッ トにお 休薬5∼6週 あ った(例 数が III. 考 察 性 成熟 した雄 ラ ッ トの 精 巣 に お い ては,精 原細胞か ら 精 子 まで,あ らゆ る分 化 段 階 の精 細 胞が 存在 す る。各分 化 段 階 の 精 細胞 は,精 細 管 内 に規 則 正 し く配列 し,それ 295 CHEMOTHERAPY VOL.32 S-3 Table 1 Implantation group males rates and post- implantation a: Implantations•~100/ b: Live fetuses•~100/ corpora lutea c: One male *: Significantly different from control at p< 0.05 **: Significantly different from control at p< 0.01 implantations died. survival rates in females mated with treatment or control 296 APR. 1984 CHEMOTHERAPY Fig. 1 Implantation rates as an index of the male fertility in the control group (individual data) Weeks of treatment Weeks after cessation VOL.32 S-3 297 CHEMOTHERAPY Fig. 2 Implantation rates as an index of the male fertility in the 1,000mg/ kg dose group (individual data) Weeks of treatment Weeks after cessation 298 APR. 1984 CHEMOTHERAPY Table 2 Examinations of eggs from females mated with treatment or control group males a: b: c: d: e: Eggs without spermatozoa on day 0 of gestation and 1- cell or drgenerate ones on day 1 of gestation Eggs with spermatozoa on day 0 of gestation and 2- cell ones on day 1 of gestation Mean in females Animals whose fertility is not affected; No201, No.202, No.203 Animals whose fertility is affected; No.208, No.210, No.212 (): No.of eggs per female **: Significantly different from control at P< 0 .01 そ れ一 定 した 時 間 で次 の分 化 段 階 へ と移 行 して い る。 精 子 は 精 巣 か ら精 巣上 体 へ 送 られ,こ こで 成 熟 精 子 とな る。 精 原 細 胞 か ら成 熟 精 子 とな る まで の期 間 は,ど の精 子 も ほぼ 一 定 で,ラ ッ トの 場 合 約9∼10週 と され て い る2,3)。 精 子 形 成 過 程 の規 則 性 を利 用す る と,薬 物 投 与 開始 か ら 交 配 まで の 期 間 あ る いは 投 薬 中 止 か ら交 配 まで の期 間 を 変 え る こ とに よ り,交 尾 で 射 出 され た精 子 が い ず れ の分 化 段 階 で 薬 物 に 暴露 され た か を推 測 す る こ とが で き る。 連 続 投 与 の 場 合,投 薬1∼2週 の交 尾 で は 精 巣 上体 精 子 期 か ら射 精 前 ま で薬 物 に 暴露 さ れ た精 子 が 射 出 さ れ る も の と考 え られ る。 また,投 薬6∼7週 ら射 精 前 まで,投 薬9∼10週 で は 精 母細 胞 期 か で は精 原 細 胞 期 か ら射 精 前 まで 暴 露 され た精 子 が 射 出 され る と推 定 され る。 一 方, 10週 間 以 上 投薬 し,そ の後 休 薬 した場 合,休 薬1∼2週 の交 尾 で は精 原 細 胞 期 か ら精 巣上 体 精 子 期 まで,休 薬6 ∼7週 で は 精 原細 胞 期 か ら精 母細 胞 期 まで ,休 薬9∼10 週 で は 精 原細 胞 期 に,そ れ ぞ れ薬 物 に暴 露 され た 精子 が 射 出 さ れ る もの と考 え られ る(表 参 照)。 上 記 の 考 え に基 づ け ば,本 試験 の投 薬 群 で 認 め られ た 雄 ラ ッ トの 生殖 能 力 の変 化 は 次 の よ うに考 察 され る。 投 薬 期 間 中 の交 配 で は,投 薬6週 か ら着 床 率 の 低下 が 始 ま った。 こ の こ とか ら,精 細 胞 は 精 子 細 胞 初 期 か ら射 休 薬 期 間 中 の交 配 で は,着 床 率 は休 薬5∼6週 で回復 し正 常 とな った。 こ の こ とか ら,精 子 は 精原 細脚期から 精 母 細 胞 期 まで の 暴露 で は 薬 物 の 影 響 を受 けず,着 床率 の低 下 が発 現 す るに は,少 な くと も精 子 細胞 初期∼中期 まで 連 続 して 暴露 さ れ る必 要 が あ る もの と思やれ る。 投 薬 期 間 中 お よび 休薬 期 間 中 の 交 配 結果 を総合す ると, 出 まで 薬 物 に 暴露 され て も着床 率 に影 響 は 出な い が,そ 本 薬 の1,000mg/kgが れ よ り一 段 階 前 の精 母 細 胞 期 か ら暴 露 され る と影 響 を受 精 細 胞 が 精 母 細 胞期 か ら精 子 細 胞 期 に かけ て約4週 間連 け る もの と推 定 で き る。 続 的 に影 響 を受 け た 結 果 と して生 じる もの と考え る。 ラ ッ トめ 精 子形 成 に及ぼす障害は, VOL.32 S-3 299 CHEMOTHERAPY Fig. a. A fertilized 3 Eggs recovered egg from a female on day 0 of gestation mated with a control grow, male (No.101). The egg shows a sperm tail (←). b. A fertilized egg from a female mated with a treatment group male (No. 201) whose fertility was not affected. The egg shows a sperm tail c. An unfertilized egg from a female mated with a treatment group male (No.210) whose fertility was affected. The egg shows no sperm tail. Fig. 4 Eggs recovered on day 1 of gestation a. A fertilized egg from a female mated with a control group male (No.102). The egg is in two-cell stage. b. A fertilized egg from a female mated with a treatment group male (No. 203) whose fertility was not affected. The egg is in two-cell stage c. An unfertilized egg from a female mated with a treatment group male (No.212) whose fertility was affected. The egg is in one-cell stage. d. An unfertilized egg from a female mated with a treatment group male (No.208) whose fertility was affected. The egg is degenerate. (←). 300 APR. 1984 CHEMOTHERAPY 次 に,投 薬群 で 認め られ た 着 床率 の低 下に 関 して は, 関 与 は な い こ とが 明 ら か と な っ た 。 着 床 後 の 胚 の 生 存性 当初,受 精 卵 の着 床 前 死 亡,す な わ ち優 性 致 死 作 用 の 関 が 投 薬 に よ っ て 影 響 を うけ な か っ た こ と も優 性 致 死 作用 与 が 疑 わ れ た。 優 性 致 死 とは,ヘ テ ロ接 合 体 を発 生 初 期 の関 与 が な い こ とを支 持 す る成績 で あ る。 に死 に 至 らせ る こ とで,配 偶 子 の遺 伝 子 に突 然 変 異 が 生 (本 実 験 は 昭 和56年12月 じた た め に 受 精 卵が 発 生 途 中 で 死亡 して しま う障 害 を い う。 した が って,優 性 致 死 の 検 出 は受 精 を確 認 す る と こ 1) : AT- 2266の 生 殖 試験 ろか ら出 発 しなけ れ ば な らな い とさ れ て い る4)。 この よ の認 め られ た 雄 ラ ッ トと交 尾 した雌 で は,卵 子 の 受精 率 の 間 に 実 施 した 。) (第1報), ラ ッ トに おけ る妊娠 前 お よ び妊 娠 初 期 投 与 試験 。Cbemotherapy 279∼292, 1984 うな理 由 か ら,本 試 験 で は,妊 娠0日 お よび 姫 娠1日 に 卵 子 の 検 査 を 行 っ た と ころ,着 床 率 の低 下 あ るい は 不妊 寺 田 芳規, か ら57年11月 文 献 西村 耕 一, 小 紫 正 一, 吉岡 真 智 子, 吉 田耕一 2) 高 橋 日 出彦: くす りの 毒性, 300∼302頁, 南 江 堂, 1973 32 (S- 3): 雄 の 生殖 機 能 に対す る毒性, 3) GOMES, W. R.: Chemical agents affecting testicular function and male fertility. The testis III, Influencing factors.(JOHNSON, A. D.; W. R. GOMES& N.L. VANDERMARK)Academic press, pp.485, 1970 4) 着 床 率 の 低 下 あ る いは 不 妊 は,非 受 精 卵 の 増 加,す な わ 浦 口健 二, 上 野 芳 夫, 粕谷 豊, 北 川晴 雄, 酒井 文徳編 : トキ シ コ ロ ジ ー (毒 性 学 の基 本 的 問題 点 とその実際), ち雄 ラ ッ トの 妊性 の低 下 に よ る もので,優 性 致死 作用 の 変 異原 性 (田 島 弥 太 郎), が 著 し く低 下 す る か,あ るい は 受精 が ま った く成 立 して い な か った。 こ の事 実 か ら,AT-2266の1,000mg/kg投 EFFECT 与による 1336∼1348頁, REPRODUCTION STUDEIS OF AT- 2266 (2) ON MALE FERTILITY IN RATS (SERIAL MATING 地 人書 館, 1978 STUDY) YOSHIKI TERADA, KOICHI NISHIMURA, HIDEKO TAKENAKA, and KOUICHI YOSHIDA Research Laboratories, Dainippon Pharmaceutical Co., Ltd. It has been reported that treatment with 1,000 mg/ kg/ day of AT- 2266, a new antibacterial agent, to male rats for 63 days resulted in non- pregnancy or decreased implantations in mated females. The male fertility impairment was considered due to spermatogenesis disturbance. The purpose of the present study was to examine the mechanism of the effect on male fertility. AT- 2266 was administered daily by gavage at a dose of 1,000 mg/ kg/ day to Jcl: SD male rats for 13 weeks. Each male rat was paired with two non- treated virgin females per week from 1 week prior to initiation of treatment until 10 weeks after cessation of treatment. Mated females were cesarean- sectioned on day 14 of gestation and implantation rates as an index of male fertility were recorded. During the mating period, a part of males were additionally mated with non- treated females and eggs from the females were examined for fertilization. Lower implantation rates were observed in the 1,000 mg/ kg dose group from week 6 of treatment until week 4 after cessation of treatment. The result suggests that spermatogenesis is disturbed when germinal cells are continuously exposed to the compound from spermatocyte phase to spermatid phase. Egg examinations revealed that the lower implantation rate was due to lower rate of egg fertilization. Therefore, the lower implantation rate is not due to dominant lethality.
© Copyright 2025 ExpyDoc