2.住宅のエネルギー消費量実測・データベースの作成 2.1 目的 2.2 概要

2.住宅のエネルギー消費量実測・データベースの作成
2.1 目的
本調査の主要な目的は次の通りである。
①家庭内におけるエネルギー消費量(電気・ガス・灯油等)を生活用途別に把握する。
②機器別エネルギー消費の季節別・時刻別変動の詳細を明らかにする
③全国的なデータベースを作成する
行政やユーザーおよび種々のエネルギー関連産業における効果的な省エネルギー対策立案のために
は、生活用途別、機器別等における詳細なエネルギー消費の実態把握が不可欠である。しかしながら、
既存の調査・研究に係るレビューの結果(WG3、H13年度報告による)においても、これらを明
確にしたデータはほとんどなく、また、地域別や住宅特性に着目した資料は皆無に近いことが明らか
になっており、精度の高い全国的な調査データの整備が強く求められている。
本調査は、このような要請に応えるものとして、極めて重要であり価値の高いものとなることが期
待される。
本調査で得られたエネルギー消費量詳細データは、データ種別に応じて各分野で以下のような活用
効果が想定される。
(1)生活用途別エネルギー消費量
■行政
規制対象とするべき用途が明らかになる
■ユーザー
何を節減すると省エネルギー効果が大きいかがわかる
ライフスタイル変更の手がかりとなる
■コンサル
省エネルギーのためのコンサルティングに役立つ
(2)機器別エネルギー消費量
■行政
規制対象として、優先するべき機器が明らかになる
■ユーザー
どの機器の省エネルギー効果が大きいかがわかる
■機器メーカー 省エネ機器開発の必要性や優先するべき機器種別が明らかになる
■コンサル
省エネルギーのためのコンサルティングに役立つ
(3)時刻別エネルギー消費量
■行政
規制対象として、優先するべき機器・時間帯が明らかになる
■ユーザー
省エネルギー効果が大きい時間帯・機器がわかる
■機器メーカー 消費パターンに合致した機器開発の手がかりが得られる
■コンサル
省エネルギーのためのコンサルティングに役立つ
■エネルギー供給事業者
負荷パターンに応じた供給体制整備に役立つ
■新エネルギーシステム開発
開発要件の把握、システム構成の手がかりとなる
(4)エネルギー種別消費量
■行政
エネルギー政策の手がかりが得られる
■エネルギー供給事業者
エネルギー供給戦略の立案に役立つ
(5)地域別エネルギー消費量
■行政
地域ごとの重点規制対象が明らかになる
■ユーザー
地域内での相対比較により省エネルギーの必要性等が理解できる
■機器メーカー 地域特性に配慮した機器開発の手がかりが得られる
■コンサル
省エネルギーのためのコンサルティングに役立つ
■エネルギー供給事業者
地域特性に応じた供給体制整備に役立つ
2.2 概要
調査は、目的・内容に応じて次の2種類を実施した。
(ⅰ)詳細調査
住戸別の、生活用途別、機器別、時刻別等の詳細なエネルギー消費データを取得する。
-3-
(ⅱ)アンケート調査
大量のサンプルから地域や住宅特性に応じた平均値とばらつきなどが明らかとなり、全体
像を把握することができる。
これらの二つの調査は、相互に補完しあうことにより、詳細と全体像が有機的に関連づけられ、両
者の価値が相乗的に高まると考えられる。詳細調査は、極めて精緻なデータ取得を可能とするもので
あるが、サンプル数が限られることから、必ずしもその地域の平均像を示すものではない。しかしな
がら、アンケート調査の結果から導かれる全体像に対してどのような位置づけにあるかを明確にして
おくことによって、有効な解析や活用が可能となる。
なお、本章では詳細調査のみを扱い、アンケート調査については第6章で詳細に記述される。
以下、詳細調査の概要・経過等を記す。
上記の目的や効果を達成するため、詳細調査では次のような目標の元に測定を実施した。
(1) 全国的な比較を可能とするため、測定住戸ならびに測定方法の両面に関して、調査方法
の統一を図る。測定機器についても、専用の機器を開発・購入・配布して測定精度の統
一を図った。
(2) 電力・ガス・灯油などの使用エネルギーの全てを測定対象とした。
(3) 生活用途別のエネルギー消費の詳細を把握するため、機器別・時刻別の詳細な測定を行
った。そのため、必須測定を行う記器を統一し、測定間隔は最短1分間としている。ま
た、季節別の傾向を把握するため、1年以上の測定期間を確保した。
(4) 用途不明分を数%以内に抑えることを目標とし、
個別測定の難しい照明用途等について、
エネルギー消量推計方法の確立を図った。
(5) 対象住戸の属性をできる限り詳細に把握し、使用されている機器リストを整備した。
詳細測定は、北海道、東北、関東、北陸、関西、九州・沖縄、の6地域において、測定実施のため
のSWGを設置して実施した。
平成14年8月頃までに測定住戸の選定、
10月中に測定機器の設置を終了、
11月から測定開始、
平成16年2月までのおよそ16ヶ月の測定データ確保を目標として準備を進めた。
表2−1に最終的な進捗を示す。関東地域のみが16戸、その他の地域では13戸、合計81戸で
測定を開始した。測定開始後に対象住戸の意向(測定拒否や転居)で住戸変更を行ったケースがあり、
また、ガス・石油の測定開始が1,2ヶ月遅れた地域もある。測定の初期段階においては、一部に欠
測データが見られたが、測定システムのソフトとハード面の改善を進め、おおむね良好にデータ取得
が進められた。
2.3 共通事項
2.3.1 測定方法の統一
(1)測定対象住戸の選定
地域SWG毎に、戸建て9戸、集合住宅4戸を目安として選定した。LPGを使用している家庭
は選定していない。
<必須項目>
(ⅰ)戸建住宅において、
「全電化住宅」および「その他の住宅」の各々について、少なくとも2戸
は以下の条件を満たす住宅とした。
a)在来木造で、その地域の新省エネ基準をみたす100∼150㎡程度の住宅
b)家族構成は両親+子供(一人または二人)の3人もしくは4人家族
<選択項目>
(ⅰ)必須項目とした4戸以外の住宅は、各地域の特性にあった(例:北海道地区は高気密高断熱
住宅)シェアの高いものを、戸建て2に対し集合住宅1の割合で選定した。
(ⅱ)必須項目以外の条件は、16ヶ月程度(H14.11∼H16.2)の長期間の測定に協力して頂ける
ことを優先して選択した。
-4-
表2−1 測定対象住戸と備えるべき要件のリスト
戸建て住宅
集合住宅
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ① ② ③ ④
①在来木造
新省エネ基準クリア
延面積 100∼150 ㎡
②地域でシェアの高い住宅
③全電化
④電気と都市ガス等の併用
⑤家族数(3∼4 人)
◎ ◎ ◎ ◎
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
◎ ◎
◎ ◎
◎ ◎ ◎ ◎
⑥18 ヶ月程度の測定協力
◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
(◎;全地域共通の必須住戸とその要件、○;地域の事情に応じて選定する住戸の条件)
(2)測定方法の統一
電気は分電盤から 10 点(うち 1 点は全電力用)
、コンセントから 10 点、都市ガスはメータ
を光学的に読み取った。灯油は暖房用ボイラーと給湯用ボイラーの給油管それぞれにパルス発
信機能付きのオイルメーターを設置した。開放型石油ストーブについても、パルス信号出力付
きの暖房機を測定住戸に配布して計測した。
<必須項目>
用途別のエネルギー消費を測定することが目的であり、空調分、給湯(全電化)に
ついては確実に分離して計測することを目指した。
(ⅰ)エネルギー消費量測定の必須項目
以下の機器は必須測定項目とした。
a)エアコン(分電盤)
:最大7台(関東 SWG 先行実測事例より)
※室外機の数を台数と呼ぶ。
b)冷蔵庫(コンセント)
:最大2台(
〃
)
c)24 時間換気(分電盤・コンセント):最大2台(
〃
)
d)電気温水器(分電盤)
:1台
e)電気調理器(分電盤)
:1台
f)電気蓄熱床暖房(分電盤) :1台
g)都市ガス全体
:1台
h)灯油(給湯用、暖房用)
:2台
※測定器に過不足がある場合は、選択項目での測定器で調整している。
(ⅱ)エネルギー消費量の用途分解
a)照明は点灯時間の長い照明器具に温度計を取り付けて推定(季節ごとに1週
間程度1分間隔で測定)
b)ガス厨房は、レンジフードに温度計を取り付けて推定
(ⅲ)気密性、断熱性の調査
a)気密性は測定機械持ち回りにより測定
b)断熱性は図面より計算
(ⅳ)室温、水温の測定
a)室温はリビングの室温を測定
必須条件の住戸では暖房室と非暖房室の2室を測定
b)水温はトイレの給水タンクで測定
戸建ては各地区1戸で代表測定。集合住宅は全戸測定。
(ⅴ)建物特性等調査
-5-
周辺図(もしくは写真)
、室外機の設置状況、日影の状況、通風が可能か否かなどを質問
する調査票を用意し、測定器設置時もしくはデータ回収時に配布し、回収した。なお、ア
ンケート調査で使用されたアンケート票を用いた調査も全住戸で併せて実施した。
<選択項目>
(ⅰ)エネルギー消費量測定のその他測定項目
環境共生住宅に付随すると考えられる設備(例えば中水設備、太陽熱温水器のポンプなど)
を優先的に測定し、その他は対象家庭特有の電力多消費機器にあてた。
2.3.2 データベースフォーマットの統一
(1)目的
エネルギー消費実測・データベース作成ワーキング(WG1)において各地域で実測で得られるデー
タを,本委員会の共有の資料として活用することを目的として、統一したデータのとりまとめを行う
こととした。このことにより,全国各地の多様な住宅のエネルギー消費量の実態に関するデータを横
断的に検討することが可能となるとともに、他の WG の活動に対して有益なデータの提供が図れるこ
ととなる。
(2)データベースの内容
データベースは,①実測対象住宅の属性や調査内容に関する住宅情報に関するデータベース(DB1)
,
②エネルギー消費量・温湿度に関する実測データの生データ(DB2)
,③機器別エネルギー消費量に
関するデータベース(DB3)
,④用途別エネルギー消費量に関するデータベース(DB4)
,⑤時間別・
用途別エネルギー消費量に関するデータベース(DB5)
、の5種類を作成することとした。このうち、
DB1,DB2,DB3の作成を基本とし、DB4,DB5については、今後の展開の中で検討する
こととした。
以下,各データベースの内容をやや詳細に説明する。
(ⅰ)住宅情報 DB(DB1)
住宅情報に関するデータベースは,Microsoft Excel ファイル形式で作成し,測定対象住宅のデータ
を1つのファイルにまとめる。入力されるデータはシート別に,①住宅属性,②エネルギー状況,③
電力測定状況,④ガス・灯油測定状況,⑤電力測定機器一覧,⑥ガス・灯油測定機器一覧に分類する。
以下に,具体的な入力項目を示す。
シート名
住宅属性
項目名
住宅番号
地域
住宅形態
所在地
建築年
所有関係
居住年数
延床面積
地下 1 階
1階
2階
3階
敷地面積
表2−2 DB1における入力内容
入 力 内 容
測定住宅に共通した通し番号を入力 例)北海道戸建01
住宅が位置する地域を SWG の区分で入力 例)北海道,東北など
「戸建」
,
「集合」のいずれかを入力
住所を市町村名まで
西暦を半角数字で入力
「持ち家」
,
「賃貸」
,
「社宅・官舎など」のいずれかを入力
入居年月で入力
面積を半角数値で入力
面積を半角数値で入力
面積を半角数値で入力
面積を半角数値で入力
面積を半角数値で入力
面積を半角数値で入力
-6-
構造・工法
熱損失係数
隙間相当面積
家族人数
年齢
性別
職業
不在日
続柄
在宅時間
年収
ペット有無
植物有無
エネルギ 暖房
ー状況
冷房
給湯(風呂)
給湯(台所)
調理
電気契約種別
ガス種別
ガス発熱量
その他
電力測定
測定機器
状況
測定内容
ガス・灯油 ガス測定内容
測定状況 灯油測定内容
「在来木造」
,
「ツーバイフォー」
,
「木造パネル造」
,
「鉄骨造」
,
「軽量
鉄骨造」
,
「鉄筋コンクリート造」
,
「コンクリートブロック造」
,
「軽量
コンクリート造」
,
「その他(名称を入力)
」のいずれかを入力
単位:W/㎡・K として半角数値で入力
単位:㎝ 2/㎡として半角数値で入力
人数を半角数値で入力
家族毎の年齢を半角数値で入力
「男」
,
「女」のいずれかを入力
家族毎の職業について「常勤」
,
「非常勤」
,
「在宅勤務」
,
「主婦・家事手
伝い」
,
「児童・生徒・学生」
,
「その他」のいずれかを入力
家族毎の不在となる曜日を入力 例)平日,平日週 2 日など
家族毎の続柄を入力 例)世帯主,配偶者,子など
平均的な在宅時間を半角数値で入力
世帯全体の収入について
「250 万円未満」
,
「250∼500 万円未満」
,
「500
∼750 万円未満」
,
「750∼1,000 万円未満」
,
「1,000∼1,250 万円未満」
,
「1,250∼1,500 万円未満」
,
「1,500 万円以上」のいずれかを入力
「有」
,
「無」のいずれかを入力
「有」
,
「無」のいずれかを入力
エネルギー源について「電気」
,
「ガス」
,
「灯油」のいずれかを入力
エネルギー源について「電気」
,
「ガス」
,
「灯油」のいずれかを入力
エネルギー源について「電気」
,
「ガス」
,
「灯油」のいずれかを入力
エネルギー源について「電気」
,
「ガス」
,
「灯油」のいずれかを入力
エネルギー源について「電気」
,
「ガス」
,
「灯油」のいずれかを入力
電気契約種別を入力 例)従量電灯,時間帯別電灯など
「都市ガス」
,
「LP ガス」のいずれかを入力
ガス種別に応じた発熱量を単位:J/・ で入力
エネルギー源として他のものがあれば具体的に記入
測定機器について「分電盤型」
,
「コンセント型」
,
「その他の機器(具体
的な製品名を入力)
」のいずれかを入力
電力測定対象の内容を具体的に入力
ガス測定対象の内容を具体的に入力
灯油測定対象の内容を具体的に入力
(ⅱ)エネルギー消費量・温湿度生データ(DB2)
実測されたエネルギー消費量・温湿度のデータは,カンマ区切り形式のデータとし,測定対象住宅
毎に1つのファイルにまとめる。入力するデータを以下に示す。
1 行目:地域,住宅番号 ←住宅の識別情報のライン
2 行目:電気 ←生データの種別のライン
3 行目:日時,回路1 情報,回路1 情報,回路2 情報,回路2 情報,・・・・ ←データの内容のライン
4 行目:測定日時,回路 1 の 1 分間の積算電力(Wh)
,回路 1 の 1 分間のピーク電力(W)・・・・
←データ内容に対応した実測生データのライン
以降
**************************************************************************************
X 行目:ガス ←生データの種別のライン
X+1 行目:日時,測定内容 ←データの内容のライン
X+2 行目:測定日時,5 分間毎の積算値(・ )
←データ内容に対応した実測生データのライン
以降
-7-
**************************************************************************************
Y 行目:灯油 ←生データの種別のライン
Y+1 行目:日付,時間,測定点 1 内容,測定点 2 内容,・・・・ ←データの内容のライン
Y+2 行目:測定日,測定時刻,測定点 1 の 5 分間毎の積算値(・ )
,・・・・
←データ内容に対応した実測生データのライン
以降
**************************************************************************************
Z 行目:温湿度 ←生データの種別のライン
Z+1 行目:日付,時間,空調室温度,空調室湿度,非空調室温度,水温 ←データの内容のライン
Z+2 行目:測定日,測定時刻,15 分間毎の空調室温度,同左空調室湿度,同左非空調室温度,同左水温
←データ内容に対応した実測生データのライン
以降
**************************************************************************************
(ⅲ)機器別電力エネルギー消費量 DB(DB3)
電力測定データの内,機器別に分解可能なデータを抽出し,Microsoft Excel ファイル形式にて各測
定対象住宅の 1 分毎の積算値とピーク値のデータを 1 ヶ月毎に1つのファイルにまとめる。
(ファイ
ルの名称;
「北海道戸建010301」のように表示、北海道の戸建て住宅 No.1の 2003 年1月のデ
ータの意味)
データは,①WG における必須測定機器のデータ(エアコン,床暖房,電気調理器,冷蔵庫,電気
温水器,24 時間換気)
,②住宅の測定状況に応じて分離可能な機器のデータ、に分類し入力する。
(ⅳ)生活用途別エネルギー消費量 DB(DB4)
生活用途別のエネルギー消費量のデータベースは,Microsoft Excel ファイル形式にて,シート別に
各測定対象住宅の日積算値のデータを作成し,1つのファイルにまとめる。
エネルギー消費量の生活用途分類は,①全体,②空調,③給湯,④照明,⑤厨房,⑥娯楽・情報,
⑦衛生,⑧その他、とする。
(ⅴ)時間・用途別エネルギー消費量 DB(DB5)
時間・用途別のエネルギー消費量のデータベースは,Microsoft Excel ファイル形式にて,シート別
に用途毎の各住宅のデータを作成し,1 つのファイルにまとめる。入力するデータは,各用途におけ
るエネルギー消費量について,
時間毎に 1 ヶ月間の平均値を算出した結果である。
このデータにより,
平均的な時間・用途毎のエネルギー使用状況が把握でき,各住宅における生活パターンについても検
討できると考える。
2−3−3 熱量換算について
今回の結果は原則として二次エネルギーで熱量換算して記載する。電力・ガス・灯油の値は、
『総合
エネルギー統計』に示された表2−3の値を用いて換算している。測定期間内にあたる平成15年4
月より、
『省エネ法』に示される電力の一次エネルギー換算値が変更されたこと、
『総合エネルギー統
計』の参考値表に示される電力の需要端における熱量換算値(需要端の一次エネルギー換算値)が年
度によって異なることを考慮し二次エネルギーの熱量換算値とした。データベースの中では、これら
の事情もふまえエネルギー毎にいわゆる取引単位による記載も行っている。
電力
灯油
LPG
表2―3 エネルギー換算値
3.6 MJ/kwh
都市ガス(4A∼7C)
36.7 MJ/L
都市ガス(12A、13A)
50.2 MJ/Nm3
-8-
20.4 MJ/Nm3
45.9 MJ/Nm3
2−3−4 用途分類
家庭内のエネルギー消費は、表2−4に示す分類に従い整理する。今回の測定では、家庭へ投入さ
れるエネルギーは電力・ガス・灯油ともすべて測定をしている(必須測定項目)
。電力は原則として1
分間隔、その他は5分間隔での測定である。電力の測定器は文献 1)のものを改良し、電力を1分間隔
で測定できるようにしたものを用いている。
ガスは金門製作所製のロードサーベイメータを使用した。
全体の投入エネルギー以外の必須測定項目は、○をつけた電動エアコン(複数台ある場合はすべ
て)
・電気床暖房・冷蔵庫・24時間換気・電気温水器・電気調理器である。いずれもエネルギー消費
量が大きく、今後増加が見込まれるものといった観点から選定した。これらは全国の測定対象住戸の
全81軒に対して標準的に適用している。
今回の測定では、家庭全体もしくは個別の機器への投入エネルギーを計測しており、機器が発生し
た熱量(たとえばエアコンからの冷温熱や給湯器の発生熱量)や利用料(蛇口からの給湯量)といっ
た負荷を計測しているわけではない。
(1)大分類
大分類は、住宅全体以外に空調換気・給湯・照明・厨房・娯楽情報・家事衛生・その他・発生の項
目とした。
今回の測定では、電力は分電盤の回路毎の計測と、コンセントでの機器毎の測定を併用しているの
で、かなり細かい分類が可能である。特に照明を分電盤で別回路にしている住宅では手元のスタンド
を除けば、照明分としての測定が可能である。回路が分けられていない場合には、照明器具に温度計
を取り付け季節毎に照明時間を計測し、そこから照明用電力を推計した。
ガスについては、家庭への投入量のみしか計測していないが、できる限り調理・給湯・暖房用など
への分離を行った。
太陽光発電の電力発生分については、売電電力量とともに計測した。今後、燃料電池が市場に出た
場合には、燃料電池への投入燃料と発生した電力と熱量の計測は必須となろう。また、冷房排熱を給
湯に利用する多機能ヒートポンプの場合、
『空調換気』と『給湯』とにまたがるため、利用した熱量に
応じて分配するなどの処理が必要となる。しかし冷熱発生量を測定するのは困難であり、このような
システムに対しては今後の検討が必要である。
(2)中分類
大分類のままでは、たとえば空調換気に含まれる冷房用・暖房用が分離されないため、中分類を設
けた。最近の家庭用のエアコンは暖冷房兼用のため、使用者へのアンケートや明らかな中間期の前後
から推定することとした。厨房用もコンロ・電子レンジなどの調理器具と食器洗い乾燥機などのその
他の機器に分離している。また、今後の情報化の進展を考え情報機器という項目も設けた。さらに、
最近では家庭で透析や酸素療法などを行うために電力が必要とされる場合があり、医療器具という項
目を『家事衛生』の中に作っておくことにした。
(3)小分類
小分類はいわゆる個別の機器毎のリストになる。各家庭に設置されている台数や型式・定格消費電
力なども記録している。電力については、コンセントタイプの測定器を用いることで1分ごとの消費
電力を計測している。ガス消費量については、家庭全体について5分間隔で測定しているので、コン
ロや給湯器が単体で運転しているときはそれを用いるが、同時使用されている場合には、単独使用の
場合の値を用いて類推した。
-9-
表2−4 用途分類
大分類
中分類
住宅全体
住宅全体
小(機器)分類
買電
売電
都市ガス(全体)
灯油(除く移動系)
薪など
エアコン(空調機)
エネルギー種別
○二次エネルギー
二次エネルギー
○二次エネルギー
○二次エネルギー
○電気
ガス
電気
電気
扇風機
電気
除湿器
その他(熱交換器等)
電気
○電気
エアコン(空調機)
電気
ガス
ガスエアコン(空調機)
電気
灯油
灯油エアコン(空調機)
電気
電気床暖房
○電気
ガス
ガス床暖房
電気
灯油
灯油床暖房
電気
コタツ
電気
電気カーペット
電気
ガス
ガスファンヒーター
電気
灯油
灯油ファンヒーター
電気
石油ストーブ
灯油
電気式ヒーター(パネルヒーター等 電気
電気
加湿器
電気
電気毛布
電気
その他
24時間換気
○電気
局所
電気
電気
空気清浄機
電気温水器
○電気
ガス
ガス給湯機
電気
灯油
灯油給湯機
電気
その他
その他
電気
電気
ガス
灯油
電気
ガス
灯油
照明機器
電気
電気
スタンド
大分類
ガスエアコン(空調機)
冷房用エネルギー消費量
空調
換気
暖房用エネルギー消費量
換気用エネルギー
(除くレンジフード)消費量
給湯用エネルギー
(浴室)消費量
給湯
給湯用エネルギー
(厨房)消費量
給湯用エネルギー
(その他)消費量
照明
照明用エネルギー消費量
発生
発生エネルギー量
太陽光発電
太陽熱温水器
その他
厨房
娯楽
情報
家事
衛生
電気
その他
○をつけたものは必須測定項目
その他
中分類
小(機器)分類
エネルギー種別
電気調理器(IHおよび200V機器 ○電気
電気
電子レンジ
オーブンレンジ
電気
ガス
ガスオーブンレンジ
電気
オーブン
電気
ガス
ガスオーブン
電気
電気
炊飯器
調理用エネルギー消費量
ガス
ガス炊飯器
電気
ポット
電気
卓上コンロ・プレート
電気
電気
トースター
電気
コーヒーメーカー
電気
ジューサー・ミキサー
ホームベーカリー
電気
ガス調理器
ガス
冷蔵庫
○電気
電気
レンジフード
電気
食洗(乾燥)器
その他機器用エネルギー消費量
ガス
ガス食洗(乾燥)器
電気
製水・浄水器
電気
電気
精米機
電気
テレビ
電気
ビデオ
オーディオ・ラジカセ
電気
娯楽用エネルギー消費量
ゲーム
電気
BS・CSチューナー
電気
電気
無線LAN設備
電気
DVDプレイヤー
電気
パソコン・周辺機器
電話・FAX
電気
インターフォン
電気
情報用エネルギー消費量
電気
電話充電器
シュレッダー
電気
電気
セキュリティ用エネルギー消費量 ホームセキュリティ
電気
洗濯(乾燥)機
ガス
ガス洗濯(乾燥)機
電気
衣類乾燥機
電気
ガス
ガス衣類乾燥機
家事用(除く調理)エネルギー消費量
電気
電気
アイロン
掃除機
電気
ミシン
電気
電気
布団乾燥機
電気
ズボンプレッサー
温水洗浄(暖房)便座
電気
電気
ドライヤー
電気
浴室暖房(乾燥機)
電気
衛生用エネルギー消費量
ガス
ガス浴室暖房(乾燥機)
電気
電気
電気シェーバー
電動浄化槽
電気
電気
医療器具
電気
電動シャッター
その他エネルギー消費量
(熱帯魚)水槽
電気
電気・ガス・灯油
不明分
2−3−5 結果の表示
日本全国を、北海道・東北・関東・北陸・関西・九州と6地域に分け、それぞれの地区で13軒(関
東のみ16軒)の住宅のエネルギー消費量を測定した。
(表2−5)
結果はすべて前述した『大分類』−『中分類』−『小分類』に分けて記載される。
記述にあたって、ある期間のエネルギー消費量を表示する場合には発熱量ベース(二次エネルギー
ベース)の熱量(J)を用いることとした。エネルギー消費の時間変化を見る場合には、電力・ガス・
灯油ともエネルギー消費率(W)を用いて記述する。今回使用した電力の測定器は1分間当たりの電
力消費量(Wh)を測定するので、これを W・min/min へ換算し表現上は単にWと記載した。ガスな
どの燃料についても5分当たりの熱量が出てくるのでこれをWに変換している。
Wで表記する方が、特に電気器具の場合は、稼働していた機器や点灯していた照明との対応がとり
やすいので、本測定においてはこの記載方法をとることとした。
-10-
表2−5 調査対象住戸一覧
断熱仕様
熱損 隙間
失係 相当
数
面積
木造
1.4
0.5
木造
1.5
0.4
1.7 0.52
ブロック+木造
木造
2.1 1.08
木(2x4)造
1.5 0.69
木造
1.69
0.6
1階RC+木造
1.44 0.79
ブロック
2.05 1.12
木造+地下室 0.87 0.35
SRC
1.67 0.72
SRC
2.08 0.99
SRC
0.61 0.16
SRC
0.83 1.06
木造
1.18
木造
1.83 0.93
木造
0.76
木造パネル工 1.77 0.87
木造パネル工 1.79 0.77
2.2
木造2×4工法 1.84
木造
0.7
木造
1
0.4
木造
1.46 0.95
SRC造
1.74
RC造
0.47
RC壁式工法
1.68 1.52
RC造
0.71
木造
3.321 木造
3.213 木造
3.338
1.4
木造
2.935 1.07
木造
2.278
2.6
木造
3.082 ALC
ALC
木造
RC
3.888 RC
2.655 RC
2.184 RC
RC
RC
0.58
木造+RC造
1.4 0.77
木造+RC造
2.2 0.71
木造
木造
0.39
木造
木造
2.33 2.02
木造
木造
木造
RC造
RC造
RC造
SRC造
S造
1.49
地域
延床面
建築年
所在地(市・区ま
構造・工法
建物所有
積(m2)
(西暦)
北海道 戸建て 01
02
03
04
05
06
07
08
09
集合
01
02
03
04
東北 戸建て 01
02
03
04
05
06
07
08
09
集合
01
02
03
04
関東 戸建て 01
02
03
04
05
06
07
08
09
集合
01
02
03
04
05
06
北陸 戸建て 01
02
03
04
05
06
07
08
09
集合
01
02
03
04
関西 戸建て 01
札幌市
江別市
札幌市
江別市
札幌市
札幌市
札幌市
札幌市
札幌市
札幌市
札幌市
札幌市
札幌市
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1999
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1990
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2000
2000
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2000
2002年
2001年
2002年
2001年
2002年
2002年
2000年
1999年
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1994年
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2002
1990
1985
1985
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1989
2001
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
分譲
分譲
分譲
分譲
持ち家
持ち家
持ち家
賃貸
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
市営住宅
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
社宅
社宅
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
社宅
社宅
持ち家
持ち家
持ち家
147
119
157
135
115.7
128
240
140
186
104
97
99.13
80.99
159
153.44
115.94
109.3
141.6
160.6
140
178
149.61
72.33
78
78.3
80
92
106
105
90
132
109
240
108
113
80
67
72
90
148
81
150
133.86
117.49
130.83
148.57
176.37
187.75
178.23
140.08
80.61
80.61
70.35
81.67
158.75
関西
三田市
新家市
西宮市
京都府相楽郡
奈良市
生駒市
大津市
高槻市
吹田市
豊中市
京都府相楽郡
生駒市
生駒市
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北九州市
福岡市
太宰府市
前原市
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那覇市
福岡市
福岡市
福岡市
那覇市
那覇市
2001
1998
2000
2000
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2000
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2001年
1998年
2001年
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2001年
2002年
2002年
2001年
1996年
1996年
2001年
2001年
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
賃貸
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
持ち家
158.75 S造
111.51 S造
97 木造
117.99 木造
125.82 木造
143.56 木造
115.23 木造
124.82 木造
139.04 木造
73.67 RC造
70 RC造
84.94 RC造
110 RC造
134.7 S造
156.2 S造
132.7 在来木造
158.9 在来木造
157.3 在来木造
145.7 在来木造
193.2 RC造
98.4 RC造
82.4 RC造
72.6 RC造
72.6 RC造
92.4 RC造
45.6 RC造
九州
戸建て 01
02
03
04
05
06
07
08
09
集合 01
02
03
04
戸建て 01
02
03
04
05
06
07
08
集合 01
02
03
04
05
-11-
1.49
2.04
2.37
2.41
1.79
1.37
2.61
2.61
2.92
1.09
1.34
0.87
1.55
1.7
2.4
3.7
2.3
2
2.5
1.9
3.5
2.5
3.9
4.5
4.5
4.5
3
1.2
2.4
2.2
エネルギー源
家族人ペット
給湯(風 給湯(台
調理
呂)
所)
暖房
電気
電気
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
ガス
ガス
灯油
電気
灯油
電気
電気
灯油
電気
電気
電気
ガス
ガス
ガス
ガス
電気
電気
ガス
ガス
電気
ガス
ガス
ガス
電気
電気
電気
ガス
ガス
ガス
ガス
電気
電気
ガス
灯油
灯油
電気
ガス
電気
ガス
電気
電気
ガス
ガス
電気
電気
電気
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
ガス
ガス
灯油
電気
灯油
電気
電気
灯油
電気
灯油
電気
電気
電気灯油
灯油
電気灯油
電気
電気
電気
電気ガス
電気
電気
電気ガス
電気灯油
電気
電気灯油
電気
電気ガス
電気
電気ガス
電気灯油
電気
電気
電気
灯油
灯油
灯油
電気+灯油
電気
灯油
電気+灯油
電気+灯油
ガス+灯油
灯油
電気
6
4
4
3
4
2
4
4
2
3
3
3
2
5
4
3
3
4
4
4
2
4
3
3
4
2
3
4
4
3
2
6
4
2
4
4
3
3
3
4
5
3
3
4
4
4
2
3
5
2
4
3
4
4
5
電気
電気
電気
電気
電気
電気
電気
電気・灯油
電気
電気
電気
電気・灯油
電気
電気
電気
電気・灯油
ガス
ガス
ガス
電気・ガス
ガス
ガス
電気
電気・ガス
ガス
ガス
ガス
電気
ガス
ガス
ガス
電気・ガス
ガス
ガス
ガス
電気・灯油
電気
電気
電気
電気
ガス
ガス
ガス
電気
ガス
ガス
ガス
電気・ガス
ガス
ガス
ガス
電気
電気
電気
電気
電気
電気
電気
電気
電気
都市ガス都市ガス都市ガス電気
都市ガス都市ガス都市ガス電気
灯油
灯油
電気
電気
電気
電気
電気
電気
電気
電気
電気
無
電気
電気
電気
無
電気
電気
電気
電気
電気
都市ガス都市ガス電気
都市ガス都市ガス電気
電気
電気
電気
電気
電気
都市ガス都市ガス都市ガス電気
5
4
5
4
4
4
4
2
2
2
4
4
4
2
5
4
2
5
4
3
4
4
6
4
2
2
電気
電気
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
灯油
ガス
ガス
灯油
電気
灯油
電気
電気
灯油
電気
電気
電気
ガス
ガス
ガス
ガス
電気
電気
ガス
ガス
電気
ガス
ガス
ガス
電気
電気
電気
ガス
ガス
ガス
ガス
電気
電気
ガス
灯油
灯油
電気
ガス
電気
ガス
電気
電気
ガス
ガス
電気
電気
電気
電気
ガス
ガス
電気
電気
電気
ガス
電気
電気
ガス
ガス
電気
電気
ガス
電気
電気
ガス
電気
電気
電気
ガス
ガス
ガス
ガス
電気
電気
ガス
ガス
電気
ガス
ガス
ガス
電気
電気
電気
ガス
ガス
ガス
ガス
電気
電気
ガス
電気
電気
電気
ガス
電気
ガス
電気
電気
ガス
ガス
電気
備考
犬1
猫1
犬1
室内植物あ
金魚+メダカ室内植物あ
室内植物あ
有り(犬)
無し
無し
なし
なし
犬
娯楽情報の
無し
無し
有り(猫)
無し
無し
なし
空調には照
無し
犬
エコキュー
犬
エコキュー
2世帯
旧型器使用
魚
旧型器使用
ハムスタ・昆虫旧型器使用
猫
ファンヒータ計測
太陽光発電
兎、金魚、熱帯魚
犬
×
ファンヒータ計測
ファンヒータ計測
ファンヒータ計測
ファンヒータ計測
×
鳥・犬
鳥
×
×
×
×
×
×
×
ハムスター
×
ハムスター
エコキュー
犬
床暖房,PV
循環ホーム
循環ホーム
PVシステム