27.レニウム - JOGMEC 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構

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27.レニウム����
27.1 ��動向
レニウムの主な用途は、ガスタービン用 Ni 基耐熱合金、ガソリン用アルミナ担持触媒、レニウム化
合 物 等 である。また高 融 点 、高 強 度 、高 耐 食 性 及 びその電 気 抵 抗 特 性 とタングステンへの少 量 添 加
による特 性 改 善 効 果から、国 内では主にタングステン・レニウム合 金として耐 震 用 電 球 や高 温 用 熱 電
対 等 の電 子 部 品 用 途 に使 用 されている。市 場 は非 常 に小 さいとみられるが、重 要 度 の高 い金 属 であ
る。
レニウムを単 独 で含 有 する鉱 石 はなく、コロンバイト、タンタライト、硫 化 銅 鉱 、モリブデナイトなどの
鉱 石 に微 量 含 まれている。回 収 の主 原 料 である銅 ―モリブデン浮 遊 分 離 によるモリブデナイトの場 合
で 200~2,000ppm 程度の含有である。世界的には銅、モリブデン製錬の副産物として回収されている。
このような形でのレニウムの生産動向を表 1 に示す。2010 年の生産量は 47tで 2001 年比の伸びは
182%である。チリの生産増加が目立つ。国内銅製錬所での生産は現在行われていない。
表1 レニウムの生産量
2005
2006
2007
2001
11.8
2002
4.4
2003
3.9
2004
5.9
0.8
1.7
0.8
1.7
1.0
1.7
1.0
1.7
7.1
1.2
1.7
6.2
1.2
1.7
7.1
1.2
1.7
チリ
カザフスタン
ペルー
2.0
2.5
5.0
14.1
2.6
15.6
2.6
18.1
2.6
20.5
8.0
20.1
8.0
22.9
7.7
ポーランド
ロシア
-
5.0
-
5.0
-
5.0
-
5.0
-
5.0
-
5.0
-
1.2
1.1
1.4
1.0
1.4
0.8
1.4
1.0
1.4
1.0
1.4
1.0
26.0
31.0
32.0
36.7
45.9
44.6
米国
アルメニア
カナダ
その他
合計
2008
7.9
2009
5.6
1.2
1.6
27.6
0.4
1.8
25.0
7.7
5.0
単位:純分t
2010 2010比 10/01比
6.1
13%
52%
0.4
1%
53%
1.0
25.0
2%
53%
59%
1250%
3.0
5.0
2.0
5.0
-
-
80%
100%
-
1.5
3.9
1.5
4.0
1.5
3.9
4.7
1.5
1.5
4%
11%
10%
3%
3%
125%
143%
51.0
56.5
46.2
47.2
100%
182%
出典:USGS
70
その他
ロシア
ポーランド
ペルー
カザフスタン
チリ
カナダ
アルメニア
米国
60
純分t
50
40
30
20
10
0
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
1
図1 レニウムの生産
- 283 -
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構
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27�2 輸出入動向
(1)輸出入動向
レニウムの輸出入は単独の HS コードがなく、輸入はガリウム、ハフニウム、ニオブ、レニウムの合計
値 、輸 出 はガリウム、インジウム、ハフニウム、ニオブ、レニウムの合 計 値 である。従 って参 考 として最
近 10 年間の輸出入動向を表 2、図に示す。
表2 レニウムの輸出入(参考)
2001
塊くず粉
その他
合計
2002
2003
2004
単位:純分t
2005
2006
2007
2008
2009
2010
輸入
173
72
158
189
167
180
255
231
131
204
輸出
77
52
148
253
219
298
321
199
165
255
22
輸入
17
21
36
17
24
13
34
35
28
輸出
23
37
108
34
38
63
83
74
25
48
輸入
190
93
194
206
191
193
289
267
159
225
輸出
100
89
256
287
257
361
405
273
190
304
90
4
-62
-81
-66
-168
-116
-6
-30
-78
輸入-輸出
出典:財務省貿易統計 換算率:100%
注1)輸入はGa,Hf,Nb,Reの合計値、輸出はGa,In,Hf,Nb,Reの合計値
450
400
G a,H f,N b,R eの輸入
G a,In ,H f,N b,R eの輸出
350
純分t
300
250
200
150
100
50
0
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
図2 レニウムの輸出入(参考)
(2)輸出入相手国
特定輸出入相手国について、2010 年のレニウム(前節で述べたとおり輸入はガリウム、ハフニウム、
ニオブ、レニウムの合 計 値 、輸 出 はガリウム、インジウム、ハフニウム、ニオブ、レニウムの合 計 値 )原
料の輸出入を表 3、図 3 に示す。レニウム含有製品は、対象製品のレニウムの分析データが全くない
ためフローを描くことはできない。
2
- 284 -
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構
- 285 -
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構
10%
-23
輸入-輸出
31
3%
比率
輸出
比率
8
7
輸入
0
輸入
24
輸出
輸出
8
輸入
韓国
11%
-13
18
35
10%
22
15
1
20
21
台湾
4%
11
13%
29
11
6
1
23
中国
0
20
40
60
80
100
120
140
韓
国
中
国
台
湾
輸出
輸入
0
2
0
0
0
香
港
-2
1%
2
0%
香港
注1)輸入はGa,Hf,Nb,Reの合計値、輸出はGa,In,Hf,Nb,Reの合計値
出典:財務省貿易統計 換算率:100%
原料合計
その他
塊くず粉
純分t
ベ
ト
ナ
ム
-1
0%
1
0%
0
1
0
0
0
ベトナム
3
0%
1
2%
4
1
0
0
4
ル
シ
ン
ガ
ポ
-2
1%
2
0%
0
2
0
0
0
シ
ア
マ
レ
3
リ
ピ
ン
フ
0
0%
0
0%
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
イ
ン
ド
ネ
シ
ア
-2
0%
2
0%
フィリ
ピン
図3 レニウムの輸出入相手国(参考)
タ
イ
タイ
マレー
シア
イ
ン
ド
0
0%
0
0%
0
0
0
0
0
インド
ネシア
表3 レニウムの輸出入 2010(参考)
シンガ
ポール
ロ
シ
ア
0
0%
0
0%
0
0
0
0
0
インド
米
国
E
U
8
0%
0
3%
8
0
0
0
7
ロシア
ブ
ラ
ジ
ル
27
8%
24
22%
50
6
11
18
40
米国
そ
の
他
7
20%
60
30%
67
2
3
58
64
EU
-97
44%
134
17%
37
0
1
134
37
その他
-78
100%
304
100%
225
48
22
255
204
合計
33
15%
33
0
33
ブラジル
特記以外純分t
その他主要国内訳
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27�3 価格動向
参考として、表 4、図 4 にレニウム(輸入はガリウム、ハフニウム、ニオブ、レニウムの合計値、輸出は
ガリウム、インジウム、ハフニウム、ニオブ、レニウムの合計値)の価格動向を示す。
表4 レニウムの輸出入価格(参考)
2001
塊くず粉
その他
2002
2003
2004
2005
単位:特記以外$/kg
2006
2007
2008
2009
2010
09/00比
輸入
339
197
113
116
132
142
182
218
223
245
82%
輸出
70
104
61
151
511
590
254
319
125
106
105%
輸入
267
306
253
306
260
363
328
383
487
373
165%
輸出
480
325
85
423
491
340
252
330
386
490
81%
出典:財務省貿易統計
注1)輸入はGa,Hf,Nb,Reの合計値、輸出はGa,In,Hf,Nb,Reの合計値
600
塊くず粉 輸出
塊くず粉 輸入
500
$/k g
400
300
200
100
0
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
図4 レニウムの輸出入価格(参考)
4
- 286 -
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構
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27.� 国内市場
レニウムの国 内 市 場 について、時 系 列 で明 らかにできる資 料 は見 当 たらない。古 いが、新 金 属 デー
タブックによれば次のような内訳が記載されている。
・石油精製接触改質触媒
200kg
・電子部品材料(W-Re、Mo-Re)
500kg
・Ni 基耐熱合金
1,000kg
・その他(実験用、開発用など)
少量
・合計
1,700kg+α
最近は、発電用ガスタービンのタービン入口温度が 1,500℃級の機種がリリースされており、レニウム
を添加した耐 熱合 金が使 われている可能性もある。但し、ガスタービンの材料 については空、陸ともに
民 間 、防 需 ともに機 密 事 項 が多 く明 らかにされていないことが多 い。特 に軍 需 防 衛 向 けは全 く外 部 に
は情報は出されておらず、メーカー各社もいかなる場合でも情 報は外に漏 らさないことが徹底されてい
る。
27.5 主要生産者�び生産品目
中間生産物に係る我が国の主要生産者並びに主生産品目は表 7 のとおりである。
表 7 主要生産者並びに生産品目
主要生産者
生産品目
(株)光正
廃触媒から Re 回収
出典:各社ウェブサイト
27.6 海外投資の��
レニウムについて我が国企業による海外投資は行われていない。
27.5 リサイクル
現 在 国 内 で使 用 済 み最 終 製 品 からのレニウムのリサイクルが行 われているが、回 収 量 は非 常 に少
ない(表 9)。国内見掛け消費が確定できないため、リサイクル率の算出は困難である。発電用、航空
機用とも、ガスタービンは定期点検で一定の廃棄品が発生するが、その多くはエンジンメーカーが認定
している溶解業者(米国、英国など)に戻され、国内にはほとんど出回らないとみられる。
表9 レニウムのリサイクル率
内訳
2007
国内生産
0.00
リサイクル
0.00
原料
輸入-輸出
合計①
リサイクル量 ②
0.00
リサイクル率 ②/①
出典:表2、触媒資源化協会
区分
見掛消費
2008
0.00
0.33
0.33
単位:特記以外純分t
2009
2010
0.00
0.00
0.06
0.00
0.06
0.00
5
- 287 -
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構
- 288 -
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構
過レニウム酸アンモニウム
輸入量( 不明 )
1.鉱石埋蔵量(Reserve):2,500t(USGS:MCS 2010)
銅精錬鉱滓
モリブデナイト
<原料>
レニウム粉末
生産量 ( 不明 )
輸入量 ( 不明 )
<中間製品>
レニウム(Re)のマテリアルフロー(2010)
ヒーター、フィラメント他
発電用ガスタービン
ジェットエンジン部品開発
化学プラント部品他
実験用他
Ni基耐熱合金
生産量(少量)
金属レニウム
生産量(少量)
レニウム化合物
生産量(少量)
実験用他
石油精製装置
<主要応用製品>
電子部品材料(W-Re、Mo-Re)
生産量(少量)
レニウム化合物
生産量(少量)
Pt-Re系接触改質触媒
生産量(少量)
<最終製品>
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独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構
輸入
輸出
8
31
韓国
(本文表3)
29
11
中国
22
35
台湾
香港
0
2
0
1
ベトナム
タイ
4
1
シンガ
ポール
0
2
マレー
シア
0
0
0
2
7
フィリ
ピン
インド
ネシア
0
0
0
0
インド
レ��ム(���������輸出�������の輸出入�2010)
8
0
ロシア
50
24
米国
67
60
EU
33
-
ブラジル
-
-
-
-
-
-
その他の主要国内訳
-
-
-
純分t
ᤸཋ᝻เȞȆȪǢȫȕȭȸ