技術情報レポート 2007年度 - 光産業技術振興協会

技術情報レポート
2007 年度 成果報告
財団法人 光産業技術振興協会
光産業.indb 1
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光産業.indb 2
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─ CONTENTS ─
ごあいさつ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
光産業動向調査
1.光産業の国内生産動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
2.情報通信分野の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
3.情報記録分野の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
4.入出力分野・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
5.ディスプレイ分野・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
6.光エネルギー分野の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
7.レーザ加工分野の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
8.センシング・計測分野の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
9.光産業のリソースの動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
10.IOA 会議にみる国際動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
光技術動向調査
1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
2.光材料・デバイス(第1分科会)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
3.光通信ネットワーク(第 2 分科会)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
4.光メモリ・情報処理(第 3 分科会)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
5.ディスプレイ(第 4 分科会)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
6.ヒューマンインタフェース(第 5 分科会)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
7.加工・計測(第 6 分科会)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
8.太陽光エネルギー(第 7 分科会)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
9.アグリフォトニクス(第 8 分科会)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24
10.海外実地調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
11.国際会議速報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
12.特許動向調査委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
光テクノロジーロードマップ
1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
2.情報通信ロードマップ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
3.微細構造光デバイス・ブレークスルー技術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
4.アグリフォトニクス・ブレークスルー技術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
5.シリコンフォトニクス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
研究開発の推進
1.次世代高効率ネットワークデバイスの技術開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
2.超高速/大容量電子制御型波長多重スイッチノードデバイスの開発の成果普及事業・・・・・ 35
3.大容量ストレージのためのナノマスタリング技術の研究開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
4.低損失オプティカル新機能部材技術開発・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
5.レーザ加工分野における省エネルギーの可能性に関する調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39
6.自然な立体視を可能とする空間像の形成に関する調査研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
7.特許出願技術動向調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
新規事業の創造
1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42
2.技術アドバイザ制度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42
3.新規事業創造支援・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42
4.開発プロジェクト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
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創薬研究支援用・光計測システムの開発
ファイバフォトニクスオンライン分析ツールの開発
額帯鏡代替のカメラ付新規診察装置の開発
紫外線レーザー加工用光学システムの試用・評価
通過帯域幅/波長独立可変光フィルタの開発
SMFを用いた高輝度光凝固システムの開発
研究会・懇談会
1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
2.光ディスク懇談会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
3.フォトニックデバイス・応用技術研究会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
4.光材料・応用技術研究会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
5.多元技術融合光プロセス研究会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53
6.NGN 時代の光技術・産業懇談会・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54
標準化
1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56
2.ファイバオプティクス標準化委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59
企画調整分科会
ダイナミックモジュール分科会
建物内光配線システム分科会
3.光ファイバ標準化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61
4.光コネクタ標準化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62
5.光受動部品標準化委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63
6.光能動部品標準化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64
7.光増幅器標準化委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66
8.光サブシステム標準化委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67
9.光測定器標準化委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67
10.TC 76/ レーザ安全性標準化委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68
11.ISO/TC 172/SC 9 国内対策委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69
12.光ディスク標準化委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69
第1メディア分科会(光磁気)
第2メディア分科会(相変化)
第3メディア分科会(ROM)
フォーマット分科会
規格メンテナンス分科会
13.新型太陽電池標準化委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 72
14.IEC/TC 82/WG 2 国内対策委員会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 72
15.産業技術研究開発事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 73
16.基準認証研究開発事業【ポリマー光導波路の性能評価に関する標準化】(P プロジェクト) ・・・・・・ 75
人材育成・普及啓発等
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77
2.レーザ安全スクール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77
3.レーザ機器取扱技術者試験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77
4.光産業技術シンポジウム・光技術シンポジウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 78
5.インターオプト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 79
6.マンスリーセミナー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80
7.第 23 回櫻井健二郎氏記念賞(櫻井賞)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80
8.普及・啓発活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 81
◆◆◆◆◆
2007(平成19)年度の主要委員会等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 82
賛助会員名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 84
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財団法人 光産業技術振興協会
専務理事 小谷 泰久
財団法人 光産業技術振興協会が 2007(平成 19)年度に実施した活動の概要をまとめ、こ
こに技術情報レポート(成果報告)として皆様方にお届けいたします。
我が国の光産業はアジア近隣諸国の追い上げ等厳しい国際競争環境の中、昨年は4%の成
長をとげたと見込まれるとともに 2008 年も 6.4%の成長が予測され、米国におけるサブプラ
イムローン問題等をきっかけとして伸び悩んでいる日本の経済成長を支えております。
液晶、プラズマ等の薄型ディスプレイの堅調な推移、新たな技術としての有機 EL ディス
プレイの商品化、生産額が 1 兆円を越えたデジタルカメラ、青色レーザを用いた次世代 DVD
の好調な滑り出し、2010 年度を目標に FTTH 契約者数 2,000 万件を目指すなど光技術は日本
の家庭内における日常の技術として浸透してきています。
当協会は、多くの有望な光技術の中から産業として発展していく可能性のあるものを選び
出し、こうした可能性を着実に現実のものとするため、①光産業技術に係る現状および将来
動向の調査・研究 ②技術開発の推進 ③標準化の推進 ④新規事業創造 を重点課題に掲
げ、これらの課題に対応して積極的に事業を展開しております。2007 年度もこれらの事業に
力を注ぐとともに、
その成果をもとに光産業技術に係る普及・啓発、
国際交流・協力および情報・
資料の提供活動を実施してまいりました。
個別事業の活動内容や成果については本レポートをご覧いただくとして、ここでは昨年度
の特筆すべき事項についてご紹介したいと思います。まず、
「フォトニックネットワーク技術
の研究開発」プロジェクトのリーダーが「産学官連携功労者表彰」の最高賞である「内閣総
理大臣賞」を受賞いたしました。当協会の歴史の中でも輝かしいできごとだったと思います。
また、新たな産学連携プロジェクトである「次世代高効率ネットワーク技術」、終了プロジェ
クトの成果を実用化するための「大容量ストレージのためのナノマスタリング技術」、標準研
究開発としての「ポリマー光導波路の性能評価に関する標準化」の 3 プロジェクトが昨年度
より開始されました。このほか光テクノロジーロードマップ策定事業では省エネ・環境をテー
マとした研究を実施し、政府の地球温暖化対策の目玉のひとつである「グリーン IT イニシ
アティブ」への貢献が期待されております。
当協会といたしましては、今後とも、光産業技術の発展のため、経済産業省を始め独立行
政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構、財団法人 JKA、財団法人 日本規格協会など
政府関係諸機関のご指導の下、賛助会員を始めとする産業界、学界等多くの方々のご理解、
ご協力を得て、ニーズに合致した事業活動のさらなる充実強化を図ってまいりたいと考えて
おります。皆様方にはどうぞ一層のご指導、ご支援、ご協力を賜りますよう心からお願い申
し上げます。
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光産業動向調査
当協会では,1980 年の設立以来,毎年度,関係企業
ネルギー,レーザ加工,センシング・計測)および統計
の多大なるご協力と関係委員の精力的な活動のもとに,
解析調査専門委員会において検討を行い,日本国内の光
「光産業動向に関する調査」を行い,国内生産規模の現
産業の生産額等としてまとめる。
状分析と将来予測を行うと共に,光産業のリソースおよ
光産業は光機器・装置と光部品を合わせて下記の 7 分
び海外の光産業の動向等の把握を行っている。光産業の
野に分類する。
堅調な足どりを見るとき,この活動が光産業の発展の一
1. 情報通信:光伝送機器・装置,光ファイバ融着機,
助になっているものと考えている。
発 光 素 子, 受 光 素 子, 光 フ ァ イ バ, 光
長く続いてきた日本経済の景気拡大は息切れが懸念さ
コネクタ,光受動部品など
れており,光産業も,デジタル家電の価格下落および海外
2. 情報記録:装置(再生専用型,記録型),媒体(追
生産シフトが進む等の厳しい状況の下で厳しい展開を図ら
記型,書換型),半導体レーザなど
ざるを得ない。このような状況では,今までにも増して光
3. 入出力 :光学式プリンタ, デジタル複合機, デ
産業および光技術全体の動向を的確に把握し,それにもと
ジタルカメラ,デジタルビデオカメラ,
づいて短期的ならびに中・長期的な研究開発および事業の
アレイ型受光素子など
戦略を立てて行くことが重要であると考えられる。
4. ディスプレイ:フラットパネルディスプレイ,プロジェ
光産業動向の調査について,本年度は光産業動向調査委
クションディスプレイ, 発光ダイオー
員会において下記の 7 項目の基本方針を策定して活動した。
ド(照明用,表示用)など
1. 7 つの分野別調査専門委員会および統計解析に関す
5. 太陽電池:太陽電池
る調査専門委員会の計 8 つの専門委員会を設置して
6. レーザ加工:レーザ応用生産装置,医療用レーザ装置,
活動を行う。
気体レーザなど
2. 国内生産額統計は,① 2006 年度実績,② 2007 年度
7. センシング・計測:光センシング機器,光測定器
見込み,③ 2008 年度予測についてアンケート調査
8. その他 :非通信用個別受光素子,複合光素子など
を行う。
1.2 2006,2007,2008 年度国内生産額の調査結果概要
3. 光産業リソースに関するアンケート調査を行う。
4. IOA(International Optoelectronics Association)
2006 年度生産実績額,2007 年度生産見込み額,2008
2007 年会に出席し海外の光産業の動向を調査する。
年度生産予測額の『総括表』を表 1 に示す。また,3 年
5. 光産業の市場動向をタイムリーにまとめ,Web 版オ
間の光産業国内生産増加額に対する各分野の寄与度を図
1 に示す。
プトニュ-ズ(リサーチ&アナリシス)に発表する。
6. アンケ-ト調査のカバリッジ,回収率,および信頼度
● 2006 年度(実績)は 7 兆 8,648 億円,成長率 4.3%
を上げるための方策について継続して検討を進める。
情報通信は FTTH の急速な普及により,また,レー
7. アンケート調査の調査項目について分野別調査専門
ザ加工とセンシング・計測は自動車・半導体産業の好
委員会で検討し,統計解析調査専門委員会で整合
調に支えられて,いずれも二桁成長した。情報記録は
性を取る。
プラスに転じたが,太陽電池は初の減速となった。
● 2007 年度(見込み)は 8 兆 1,795 億円,成長率 4.0%
1.光産業の国内生産動向
1 兆円を超えたデジタルカメラが入出力を牽引し
1.1 光産業の国内生産額調査
た。情報通信,レーザ加工,センシング・計測は伸
光産業の国内生産額調査は,以下のようにして取り組んだ。
び率が鈍化したものの堅調であった。一方,ディス
日本国内の光製品(光機器・装置,光部品)関連生産
プレイ,太陽電池は伸び悩んだ。
企業に対して,2006 年度生産実績額および 2007 年度生
● 2008 年度(予測)は 8 兆 7,042 億円,成長率 6.4%
産見込み額,2008 年度生産予測額のアンケート調査(ア
入出力はデジタルカメラの高価格帯を中心に好調
ンケート調査発送時期 2007 年 10 月,対象企業数 339 社)
を維持する。情報通信,レーザ加工は引き続き堅調
を行う。その結果をもとに,光産業動向調査委員会と,
であり,ディスプレイと太陽電池は成長率が回復す
その下に設置されている 7 つの製品分野別調査専門委員
ると予想される。
会(情報通信,情報記録,入出力,ディスプレイ,光エ
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光産業動向調査
表 1 光産業の国内生産額(総括表)
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図 1 生産増加額の分野別寄与度推移
1.3 光産業国内生産額の推移
大し,さらに LCD など新たな光製品も次々と加わり,
1991 ~ 2008 年度までの 18 年間の国内生産額の推移
光産業は製品群が大きく様変わりしながら拡大発展し現
を図 2 に示す。また,1980 年度の光産業国内生産額の
在に至っている。1980 年代前半は光部品生産額が光機器・
調査開始時点から現在までの推移を光機器・装置と光部
装置生産額を凌駕していたが,1980 年代後半以来光部品
品とに分けて図 3 に示す。
は 30 ~ 40%を推移し,2000 年代に入って 40 ~ 45%とディ
図 2 には光産業規模の推移を日本経済,他業種の規
スプレイ素子や太陽電池が増加し上昇傾向にある。2007
模の推移と比較するために,名目 GDP と電子工業国内
年度~ 2008 年度はデジタルカメラやディスプレイ装置
生産額も参考のために載せてある。この 18 年間,名目
の増加により光部品の割合が若干低下している。
GDP はほぼ 500 兆円前後で推移している。電子工業国
内生産額についても,20 ~ 25 兆円を推移している。一方,
1.4 光製品分野別推移
光産業は 1980 年度約 800 億円の規模であったが,以後
1.4.1 光製品分野別構成比率の推移
一貫してプラス成長を持続し 20 年後の 2000 年度には 7
光製品の分野別構成比率の推移を図 4 に示す。ディ
兆円の大台にのった。IT 不況の影響で 2001 年度は調査
スプレイ分野,入出力分野で全体の約 7 割を占めるが,
開始以来初めてマイナス成長を記録したが,2002 年度に
価格下落,海外への生産シフトが進み,構成比率は減少
はいち早くプラス成長(2.7%)に反転し,2005 年度(0.3%
傾向である。情報記録分野も価格下落,海外への生産シ
減)は横ばいとなったものの,2006 ~ 2008 年度は前述
フトが進むものの次世代 DVD が大幅に増加し,回復す
したように堅調な成長を続けていく見込みである。
る。レーザ加工分野は半導体産業に支えられ,増加傾向
である。情報通信分野,太陽電池分野,センシング・計
図 3 には光部品が全体に占める割合も併せ示してあ
る。1980 年当時は光部品が全体の約 80%を占めていた。
測分野は,堅調に推移している。
内訳は,表示用 LED,通信用光ファイバ(マルチモード),
1.4.2 光製品分野別生産額の推移
受光素子などの光部品,光学式プリンタ(ガスレーザ)
光製品国内生産額の 1991 年度実績から 2008 年度予測
などの光機器・装置が主な製品であった。その後,シン
までの 18 年間の推移を分野別に示したものが図 5 であ
グルモードファイバや半導体レーザが登場して市場を拡
る。生産額の大きな落ち込みがあった 2001 年度までは
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光産業動向調査
図 2 光産業国内生産額,名目GDP,電子工業国内生産額の推移(1991 ~ 2008)
*1 平成 20 年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度,1/18/08(閣議決定)
*2 電子情報産業の世界生産見通し,JEITA,12/20/07
図 3 光機器・装置/光部品別国内生産額の推移(1980 ~ 2008)
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図 4 光製品の分野別構成比率の推移
図 5 分野別光製品生産額の推移(金額ベース)
各分野ともに同じような傾向で推移していたが,以降の
あったが,2008 年度はサイズの拡大と高性能化で価格
展開は分野ごとに大きく異なる。
下落を補い,北京オリンピックおよびアナログ放送終了
2001 年度の落ち込みを経験しなかった太陽電池分野
などの要因により順調に伸びると期待される。入出力分
は 2006 ~ 2007 年度にシリコン材料不足のため停滞した
野は 2004 ~ 2005 年度に 2 度目の縮小を経験しているが,
ものの,2008 年度は解消し,地球環境の取組みによる
2006 年度以降はデジタルカメラが高価格帯を中心に好
世界的な需要増で,再び伸びが期待できる。2000 年度
調を維持している。情報通信分野は,2004 年度を底に,
比の成長率でも 5 倍超に伸びている。ディスプレイ分野
FTTH の本格普及により回復基調にある。情報記録分
も 2005 ~ 2007 年度は価格下落に見舞われて停滞気味で
野は,海外への生産移管および価格下落がさらに進む
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光産業動向調査
中,2006 年度以降,次世代 DVD の伸びに期待大である。
に迫っており,大容量の映像伝送など伝送需要は今後さ
レーザ加工分野は半導体産業に支えられ,センシング・
らに増えることが予測されており,より経済化された省
計測分野は自動車産業の好調およびセキュリティ関連の
エネ型の伝送機器,装置が伸びることが予測される。
ニーズ増により堅調な成長が続いている。
2.2 光ファイバ融着機
このように,分野別では状況が異なっているが,新技
2006 年度生産額実績は,121 億円で前年比 31.3%と大
術を取り込んで着実に成長している。各分野の詳細な動
向については,以降の 2 章~ 8 章に述べられる。
幅に増加した。2007 年度は,134 億円と前年度比 10.7%
と継続して増加が見込まれており,世界全需として光
(村田健治・大熊仁明)
ファイバケーブル敷設用途の旺盛な投資が継続的に行わ
2.情報通信分野の動向
れていることの証ともいえる。光ファイバ融着接続機の
本委員会は,「情報通信分野全体の市場動向および本
需要動向に関しては,今後もここ数年と同様で緩やかな
分野の製品群に見られる特徴的な市場動向の分析,本分
増加傾向が続くものと予想される。BRIC's に代表され
野のトピックスの調査」について重点的に活動した。
る振興国とそれに続く各国の旺盛な投資等,世界的な
光通信網の継続的な発達と FTTX ブロードバンド通信
2.1 光伝送機器・装置
サービスの提供拡大,需要増により新規建設設備だけで
なく保守用途などの需要は,堅調で確実な成長を支える
2006 年 度 の 生 産 実 績 は 2,723 億 円( 前 年 比 成 長 率
事が予想される。
25.5%)と 2005 年度(同 6.3%)に引き続き増加している。
2007 年 度 は 2,901 億 円(同 6.5%) と 微 増 見 込 み,2008
2.3 通信用半導体レーザ
年度は 3,155 億円(同 8.7%)と増加が予測されている。
2006 年度大きく伸びた分野は映像伝送が 78%,加入者
全 体 の 2006 年 度 生 産 額 実 績 は 331 億 円 で, 前 年 比
系が 59%,幹線系が 26%であり,加入者に近い足回り
11.8 % 増 加 し て い る。2007 年 度 は 400 億 円, 前 年 比
領域が伸びており,FTTH が急速に普及しつつあり 1,200
21.1%の増加が見込まれており,2008 年度は 532 億円,
万加入において DSL に取ってかわろうとしているのと
32.9%の高い成長が続くことがと予測されている。
波長帯別の推移予測を図 6 に示した。
呼応している。
幹線系は,2006 年度は 26.1%増加,2007 年度見込みも
10.8%増加するが,2008 年度は -8.3%と減少予測である。
メトロ系は 2006 年度 -9.8%と一時減少したが,2007 年
度見込みは 19.7%,2008 年度も 22.5%の増加が予測され
ている。加入者系は 2006 年度 58.8%と大幅に増加した。
2007 年度見込みは 4.8%と微増,2008 年度は 33.6%の増
加が予測されており,2008 年度には幹線系生産額に迫
る勢いである。光 LAN は 2006 年度 3.8%と微増したが,
2007 年度見込みは -31.3%と減少,2008 年度は横ばいの
予測である。 光 LAN の 2007 年度のマイナス成長は,
IP 電話も含め QoS を保証した NGN サービスが開始さ
れようとしており,このため一時的に投資が控えられた
図 6 通信用半導体レーザの生産額
ものと見られる。映像伝送については 2006 年度 78.4%
と大幅な伸びが見られた。2007 年度見込みは -0.5%、
2.4 通信用個別受光素子
2008 年度も 1.5%と横ばいの予測である。光ファイバ増
幅器は 2006 年度 -29.0%と一時減少したが,2007 年度に
2006 年度の生産額実績は 33.2 億円で,前年比 73.3%
は 114.2%と大きく回復の見込み,2008 年度は横ばいの
増 と 大 幅 に 増 加 し て い る。2007 年 度 は 42.8 億 円 と
予測である。
28.9% の 増 加 を 見 込 ん で お り,2008 年 度 も 56.9 億 円 と
33%増加すると予測されている。通信用個別受光素子の
全体的には,2011 年の放送の完全デジタル化が目前
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生産額の推移予測を図 7 に示した。
順調に増加することにより,再び増加傾向となることが
期待される。
2.7 光コネクタ
2006 年 度 実 績 265 億 円( 前 年 度 比 成 長 率 24.3 %),
2007 年 度 見 込,265 億 円( 同 0.2 %),2008 年 度 予 測,
273 億円(同 3.0%)と成長基調となっている。ブロー
ドバンドサービスの普及によるユーザ数の増大に伴って
使用量が増えているものと考えられる。
2.8 光受動部品および光回路部品
光アイソレータ,光減衰器,光分波合波器,および光
図 7 通信用個別受光素子の生産額
分岐結合器などの光受動部品と光スイッチおよび光変調
器などの光回路部品とを合わせた 2006 年度生産額実績
2.5 伝送リンク
は 311 億円(前年度比成長率 12%)であった。2007 年
光伝送リンクは光ファイバに接続するための O/E お
度生産額は 349 億円と増加が見込まれており,2008 年
よ び E/O で 構 成 さ れ る 光 送 受 信 モ ジ ュ ー ル で あ る。
度も 321.6 億円と高いレベルの生産が継続すると予測さ
光伝送リンクの国内生産額は,2006 年度実績 389 億円
れている。
(前 年 比 成 長 率 20.9%),2007 年 度 見 込 は 508 億 円(同
3.情報記録分野の動向
30.8%),2008 年 度 予 測 は 702 億 円(同 38.1%) と 高 い
伸びが予測されている。
本委員会は「光技術を用いた情報記録(光ディスク)
映像信号がネットワークを流れる時代を迎えており,
の装置・媒体についての,国内生産額の調査とその結果
10 Gb/s 以 上 40 Gb/s 未 満 の 光 伝 送 リ ン ク の 国 内 生 産
分析および特徴的な市場トピックスの調査と報告」につ
額 を 見 て み る と,2006 年 度 実 績 136 億 円( 同 91.3%)
いて重点的に活動した。
と 大 幅 な 生 産 額 の 増 加 と な っ て い る。2007 年 度 見 込
光ディスクの 2006 年度国内生産額の実績は,5,855 億
は 170 億円(同 24.8%),2008 年度予測は 231 億円(同
円となり前年度に比べ 2.8%増と増加となった。2007 年
36.6%)となっている。10 Gb/s 伝送リンクはテレコム
度 見 込 み は 6,122 億 円(2006 年 度 比 4.6%増) と な り,
市場とデータコム市場に共通するビットレートであり,
2008 年度予測は 6,339 億円(2007 年度比 3.6%増) と増
国内生産額の面で主力が 10 Gb/s 光伝送リンクに移行し
加傾向にある。
たと考えられる。
情報記録分野の製品は,レコードから CD へ,カセッ
40 Gb/s 以上の光伝送リンクの国内生産額は 2006 年
トテープから MD へ,VTR から DVD へと光ディスク
度 実 績 8 億 円 に 対 し て,2007 年 度 見 込 37 億 円( 同
製品に移行し,2000 年度には光ディスクの装置・媒体
321.0%)と急激な増加が見込まれ,2008 年度予測 48 億
の国内生産額が 1 兆 1,748 億円とピークを示した。 2001
円(同 30.0%)と市場の立ち上がりが期待されている。
年度は IT バブル崩壊と製品の低価格化および生産の海
外シフトにより,国内生産は 25.0%減と初めてマイナス
2.6 光ファイバ
成長を示した。2002 ~ 2003 年は DVD レコーダおよび
2006 年 度 生 産 実 績 1,259 億 円( 前 年 度 比 成 長 率
HDD 付き DVD レコーダの登場により再びプラス成長
14.9%)と成長を続けており,2007 年度の生産見込み額,
となったが,2004 ~ 2005 年は製品の低価格化と生産の
1,248 億 円(同 -0.9%),2008 年 度 生 産 予 想 額,1,244 億
海外シフトが進み,国内生産額は,2004 年度は 4.9%減,
円(同 -0.4%)とほぼ横ばいとなることが予想されてい
2005 年度は 19.0%減とマイナス成長を示した。
る。FTTH 需要が牽引してきたが,アクセス系の新規
このように情報記録分野の製品には,新方式の登場
エリア展開が一段落したため,光ファイバケーブルの需
による市場の拡大と製品の低価格化および生産の海外
要も横ばい傾向となっていると思われるが,加入者数が
シフトの進展による国内生産額の減少とが繰り返し起
光産業.indb 8
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光産業動向調査
こっている。今年度の調査期間である 2006 ~ 2008 年に
行うために細目化し、デジタルカメラについては一眼レ
おいては,継続的低価格化と DVD 製品の海外生産移行
フとコンパクトの 2 タイプに、デジタルビデオカメラに
というマイナス要因に対し,次世代 DVD の登場という
ついてはハイビジョン相当と NTSC 相当の 2 タイプに
プラスの要因がバランスして,前述の増加傾向が維持さ
分け調査・分析している。
れている。ハイライトとしての次世代 DVD は,2006 年
4.1 国内生産の動向
はハイビジョンテレビの録画装置として BD(Blu-ray
Disc)および HD DVD が登場し,2007 年には両方式の
入出力装置全体の 2006 年度生産実績は 1 兆 6,676 億円
普及価格機が投入されて市場が拡大した。2008 年は,
で,2005 年度比で 2.4%の増加となった。これはデジタ
HD DVD の撤退があったものの,BD レコーダの更なる
ルカメラとデジタルビデオカメラなどの入力機器が 1 兆
普及が進むものと思われる。
3,462 億円と 7.3%の増加に対し,光学式プリンタや光学
再生専用装置(CD, MD, DVD, 次世代 DVD)は BD・
式 MFP などの出力機器が 3,214 億円と 14.0%の大幅減少
HD DVD プレーヤの変動(2006 年度:1,053.1%増 , 2007
となった結果である。2007 年度以降の光入出力機器全
年度:16.8%増 , 2008 年度:30.1%減)が大きく影響す
体の国内生産は、微増ないしは横ばいと予測している。
るため,2 年連続してプラス成長を示した後,2008 年に
4.2 動向分析
は一転マイナス成長を示すと予想される。2008 年の減
(1)光学式プリンタ
少予想は BD プレーヤおよび BD を再生できるゲーム機
の海外生産シフトによるものである。再生専用装置の国
光学式プリンタの 2006 年度国内生産額は海外への生
内生産はカーナビを含む車載用 DVD プレーヤが中心で
産移行などにより,1,226 億円と前年度比 17.6%の大幅
あるが,今後も減少していくと思われる。
減少となったが、2007 年度は 1,244 億円と予測され国内
記 録・ 再 生 装 置(CD, MD, DVD, 次 世 代 DVD) は
生産額の下落傾向に歯止めがかかりそう。
BD・HD DVD レコーダの大幅増加(2006 年度:634.9%増 ,
光学式プリンタ市場全体としてはここ数年台数ベース
2007 年 度:242.6% 増 , 2008 年 度:217.5% 増) に よ り 3
で高い成長を遂げている。この成長は中国をはじめとす
年連続してプラス成長を示すと予想される。2006 年に
るアジアやロシア、東欧など新興地域によるものである。
プラス成長を示した DVD レコーダ,HDD 付き DVD レ
2007 年度以降の国内生産額は、先進諸国の市場にか
コーダは,低価格および生産の海外シフトが進み,2007
げりが見られ、カラー製品の成長も鈍化しつつあること
年度にマイナスに転じた後も減少を続けると思われる。
から、カラー製品が低価格化するのと併行して高額 / 高
光ディスク媒体の国内生産額は 2006 年度:4.4%増,
付加価値製品が海外へ生産移行することも予想される。
(2)光学式 MFP(デジタル複写機含む)
2007 年度:9.0%減の後,2008 年度は 2.6%増と予想され
る。今後,低価格の記録型 DVD は海外に生産をシフトし,
光学式 MFP の 2006 年度国内生産額は 1,988 億円で前年
国内では付加価値の高い BD の製造に注力していくもの
度比 11.6%と減少している。2006 年度出荷台数としては、
と思われる。
日米欧の市場で前年比モノクロ MFP が 7.5%の増加、カ
(村田健治)
ラー MFP が 43%と大幅増なのに対して、カラー、モノ
4.入出力分野
クロ問わず海外生産が拡大されているためと考えられる。
当分野では光を媒体とした光学式プリンタ,MFP(デ
2007 年度見込み、2008 年度予測では微減ないしほぼ
ジタル複写機を含む),バーコードリーダ、デジタルカ
横這いと見ており、堅調な高速領域の製品を中心に 1,800
メラ,同ビデオカメラなどにつき市場動向,生産動向の
億円規模の国内生産が今後も継続すると見られる。モノ
調査と特徴的な製品動向を調査している。
クロ機や低価格機を中心に海外生産は拡大が続くと予測
な お、 デ ジ タ ル 複 写 機 は 昨 今 の MFP 化 を 反 映 し て
される。
(3)デジタルカメラおよびデジタルビデオカメラ
2004 年度より MFP と合算した形での分析とし、光学式
ファクシミリは単独機能製品の国内生産額が縮小したこ
この数年デジタルカメラの国内生産額は年率 20%以
とから 2005 年度で調査を終了した。
上の増加で推移してきたが、2005 年度は 4.4%増、2006
一方、2006 年度からデジタルカメラとデジタルビデ
年 度 は 8,997 億 円 の 4.9% 増 と や や 鈍 化 し た。2007,2008
オカメラについては市場・製品動向のより正確な分析を
年度は一転 12%台の成長が見込まれ、初めて 1 兆円の
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大台に乗る見込みである。この背景に低価格帯カメラで
委員の知見を加え,以下の統計が得られた。ディスプレ
は海外メーカや海外移転の影響があるものの、市場が堅
イ装置の国内生産額は 2006 年度が 1 兆 1,434 億円(前年
調に推移していることや国内生産が主流の一眼レフカメ
度比 10.0%減),2007 年度が 1 兆 2,007 億円(5.0%増,見
ラ市場の伸びが続いていることなどに加えて、市場が高
込),2008 年度が 1 兆 3,003 億円(8.3%増,予測)である。
価格帯と低価格帯の 2 極化傾向を強めている結果、高価
またディスプレイ素子は 2006 年度が 2 兆 1,393 億円(9.4%
格帯に強く国内生産比率の高い主力メーカのシェアが高
増 ),2007 年 度 が 2 兆 977 億 円(1.9% 減, 見 込 ),2008
まっていることが考えられる。
年度が 2 兆 1,494 億円(2.5%増,予測)である。フラッ
デジタルビデオカメラの 2006 年度国内生産額は 3,788
トディスプレイの国内生産額の成長率は,価格下落と数
億円で前年比 13.0%と増加した。2007 年度見込み値は
量増大のバランスにより鈍化傾向にある。価格下落は市
8.0%の減少、2008 年度は再び 8.8%の増加が予測されて
場拡大に向けてはプラス要素であるが,国内・海外を問
いる。昨年度からこの国内生産額を NTSC 相当機種と
わずますます厳しい事業環境が続き,多くのメーカーの
それ以上の解像力機種(HiVision 相当)とに分けて調査
収益力が悪化している。その結果,業界再編の動きも顕
している。これによると HiVision 相当品の生産額が顕
著になってきた。
著に伸びており、来年度には NTSC 相当品を上回ると
(1)液晶ディスプレイ装置および素子 予測されている。
(4)イメージスキャナ
①装置:モニタ用途の国内生産高は 2006 年度の 1,132
2006 年 度 の 国 内 生 産 額 は 313 億 円 で 2.5 % の 微 増 と
億円(38.6%減),2007 年度は 1,016 億円(10.3%
なった。2007 年度は 418 億円の 1.7%増加が見込まれて
減)と見込まれるが,2008 年度予測はさら
いる。今後はビジネス用途での文書電子化の動きと低価
に 7.9%減の 936 億円である。テレビの生産
格化の動向が大きく影響を及ぼす。
台数は好調であり,2005 年に液晶テレビの
生産台数が CRT を上回った。生産額は 2006
4.3 海外生産動向
年度の 6,492 億円(27.4%増)に対して 2007
当分野は生産の海外シフトが進み,国内生産額が国内
年 度 見 込 は 7,264 億 円(11.9 % 増 ),2008 年
メーカの生産活動を正しく反映しないため、2000 年度
度予測は 8,135 億円(12.0%増) と伸びる。
から「国内生産金額」
「海外生産金額」
「国内出荷金額」
「海
PDP テレビとの競合に伴い,価格下落が年
外出荷金額」の 4 種類の調査をしている。回答者の負荷
率約 20%と大きい。
増加となっているが、その変動情報は非常に貴重なデー
②素子: 素子全体の国内生産額は 2006 年度が 1 兆 8,008
タとなっている。
億 円(3.8 % 増 ),2007 年 度 見 込 が 1 兆 7,543
入出力装置の海外生産比率は 1999 年度 18%程度だっ
億 円(2.6 % 減 ),2008 年 度 予 測 は 1 兆 7,788
たが,2001 年度には 29%,2003 年度には 47%と増えた後,
億円(1.4%増)とほぼ横ばいである。4 型未
2005 年度 41%に一時期減少後、2007 年度は 50%となる
満の携帯電話用パネルがディスプレイ素子
見込みである。
の牽引役となっている。 MFP は 1999 年 度 に は 38%程 度 だ っ た が,2002 年 度
(2)PDP ディスプレイ装置および素子 には 72%と急増した後,2004 年度 67%に一時減少後、
2007 年度は 78%と更に増加の見込みである。デジタル
PDP テレビ市場は液晶テレビの勢いに押され気味と
カメラは 2003 年度の 36%が 2004 年度には 27%まで減少
はいえ,毎年順調に拡大を続けている。
したが 2006 年度は 36%、2007 年度は 40%程度と予測さ
①装置:2006 年度の 1,900 億円(8.5%増)に対して,
れる。デジタルビデオカメラは 2006 年度には 25%,光
2007 年度は 1,930 億円と 1.6%増が見込まれる。
学式プリンタは 74%となっている。
2008 年度予測は 4.0%増の 2,007 億円である。
(稲田 孝)
②素子:2006 年度が 3,200 億円(39.4%増)に対して,
5.ディスプレイ分野
2007 年 度 は 3,162 億 円 と 1.2% 減 が 見 込 ま れ
5.1 ディスプレイ分野の産業動向の分析結果
る。2008 年 度 は 3,256 億 円 と 3.0% の 増 加 が
本分野の生産額は,関連各社へのアンケートの結果に
予測される。 10
光産業.indb 10
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光産業動向調査
(3)有機 EL ディスプレイ素子 このような状況から,今回の『Cool Earth 50』計画では,
有機 EL ディスプレイ素子の生産額は 2006 年度が 154
これらの技術開発と並行して新たに「革新的太陽光発電
億円(7.6%増),2007 年度が 223 億円(44.8%増,見込),
技術の開発」を発足させ,2050 年までに現状効率の約 2
2008 年度が 341 億円(53.3%増,予測)と,未だ額は高
倍,40%以上の変換効率と火力発電並みの安価な発電コ
くないが大きく成長しつつある。テレビ用途として開発
スト(7 円 /kWh 以下)を実現し,温暖化効果ガス CO2
がさらに進むと,爆発的伸びが予測される。 発生量の半減に大きく貢献するよう求められており,
(4)プロジェクションディスプレイ装置 2008 年度より具体的な技術開発への取り組みが要請さ
2006 年度の生産額は 1,745 億円(3.1%増)であったが,
れている。
2007 年度が 1,601 億円(8.2%減,見込),2008 年度が 1,629
6.1 太陽電池分野の市場動向分析
億円(1.8%増,予測)である。文教用途など需要の増
加が予想される反面,価格の低下および液晶テレビや
2006 年 度 に お け る わ が 国 の 太 陽 電 池 出 荷 量 は,872
PDP テレビとの競合により,成長は停滞気味である。
MW 対前年比 1.4%減となり従来からの高い伸びから一
転してマイナス成長となった。マイナス成長は 1993 年
5.2 本年度の注目された産業動向と今後の予想
以来 13 年ぶりの不振であった。背景には,Si 原料が十
今年度は,「プロジェクタ光源の産業動向(2007 年 11
分確保できなかったことや,中心マーケットである住宅
月 WEB 掲載)」,「LCD 用ドライバ IC の産業動向(2008
用太陽光発電システム市場が縮小し,国内市場の拡大が
年 1 月 WEB 掲 載),「LCD 用 バ ッ ク ラ イ ト の 産 業 動 向
図れなかったことが主な要因として挙げられる。一方で,
(2008 年 3 月 WEB 掲載)」の 3 件を調査した。 わが国の太陽電池メーカーは生産能力拡大のための設備
中国生産のウエイトが次第に高まり,またセット組立
投資を継続しており,新規参入メーカーも続出している。
工程として東欧や南米への工場新設も増加しつつある。
用 途 分 野 別 に み る と, 民 生 用 分 野 は 0.3 MW, 対 前
2008 年は北京オリンピックによる特需に期待がかかる。
年比 85.7%減となった。民生用分野は,1990 年度の 9.0
さらに 2011 年のアナログ放送終了に向けて順調な伸び
MW をピークに減少傾向が続いている。電力用分野は
が期待できる。今後,有機 EL や電子ペーパーなどの新
871 MW,対前年比 11 MW 減となり,わずかなマイナ
技術が大きく伸びることを期待する。
スとなった。2001 ~ 2006 年度までの対前年比伸び率は,
37.0%,46.4%,49.6%,62.4%,34.3%,△ 1.2%となり,
6.光エネルギー分野の動向
ここ数年にわたって続けていた高水準を維持することは
政府は 2007 年 5 月の「地球温暖化対策に関する内閣
できなかった。しかし,総出荷量に占めるシェアは,
総理大臣演説」において,2050 年までに温暖化効果ガ
ほぼ 100%まで高まっており,日本の太陽電池供給構造
ス CO2 の排出量を半減する『Cool Earth 50』計画を発
は電力用分野が牽引している。この理由は,住宅用や産
表し,このための 20 項目の重要技術の 1 つとして太陽
業・公共用の太陽光発電システムが電力用分野の中心と
光発電を取り上げた。
なり,さらに欧米への輸出が急増しているからである。
太陽光発電の利用拡大に関して,独立行政法人 新エ
07 年度は出荷量,出荷額とも 0.6%程度の伸びにとど
ネルギー・産業技術総合開発機構では 2004 年に技術開
まる見込である。Si 原料の供給不足が太陽電池生産に
発ロードマップ PV2030 を策定し,2030 年までの期間を
ブレーキをかけていると考えられる。
太陽光発電が地球環境問題や資源問題に対応した主要な
2006 年度の材料別の出荷量および構成比は表 2 の通
エネルギー源の一つになるための“認知と信頼獲得の期
りである。Si 薄膜である a-Si 型は電力用分野での本格
間”と位置づけ,これに向けて変換効率 25%レベルの
的採用が始まったことから,生産能力増強も順調に進
高性能化と汎用電力並の発電コスト(7 円 /kWh)に向
み,50 MW 規模に拡大している。現状の生産能力およ
けた技術開発を進めている。これらの技術開発で可能と
び今後の拡張計画から供給体制は結晶 Si 型が絶対優位
なる国内の太陽光発電導入量は,ベースケースとして約
にあるものの,近年の太陽電池用 Si 不足の続く結晶 Si
100 GW,加速的ケースでは 200 GW レベルと想定され
型に対する a-Si 型の大幅な生産能力増強も継続して進
るが,上記の CO2 の排出量を半減するためにはさらに
められている。
向け先別出荷量および構成比は表 3 の通りである。
この数倍の利用が必要となる。
11
光産業.indb 11
08.5.27 5:55:52 PM
表 2 材料別の出荷量および構成比
Si 単結晶 Si 多結晶 Si 薄膜
出荷量
(kWp/ 年) 318,326
構成比
36.5%
その他
置には,さまざまな気体レーザや固体レーザが使用され
ているが,歯科、外科、眼科など医療の分野ごとに分類
計
502,833
50,474
5
871,638
57.7%
5.8%
0.0%
して調査している。一方,材料加工用レーザは,用途が
鉄骨,橋梁,造船の重厚長大産業からエレクトロニクス,
IC ウェハーに至る軽薄短小産業まで広範囲になってい
るのが特徴であり,使用するレーザも重複して複雑化し
表 3 向け先別出荷量および構成比
国内出荷
出荷量
(kWp/ 年) 268,175
構成比
31%
輸出計
U.S.A
ヨーロッパ
ている。そのため、産業動向を把握しやすくするためレー
その他
603,463
115,511
401,099
86,853
69%
19%
67%
14%
ザの種類別に炭酸ガスレーザ(CO2 レーザと略記),固
体レーザ,エキシマレーザ等に分類して分析している。
7.1 医療用レーザ装置
国内と輸出の割合は 2004 年度に初めて輸出が国内出荷
医療用レーザ装置は,非常に厳しい環境にある。07
を上回り,ドイツを中心とするヨーロッパ市場での急激
年度生産額は,前年度の大幅減少に引き続き,今年度も
な需要拡大を背景に,2006 年度はヨーロッパ向けが 400
総額約 87 億円と前年度比で -0.1%の微減が予想されて
MW 規模に成長している。わが国の太陽電池事業は,太
いる。医療用レーザ装置は,眼科用,外科用,歯科用,
陽光発電システムの世界的な導入拡大により,国内中心
疼痛緩和用,美容用などに分類されているが,眼科用お
から世界を相手にしたグローバルな展開を始めている。
よび疼痛緩和用レーザ装置は微増したものの海外勢に押
され,ほとんど成長が止まっている。また,大半を占め
6.2 海外動向
る歯科用、外科用とも 06 年度には先年度の成長の反動
2006 年の大きなトピックスは,
で -7 ~ 8%のマイナス成長であった。その余波で 07 年
① IEA 加盟国 20 ヶ国の年間導入量が,1,323 MW か
度も減少が見込まれる。
ら 1,514 MW に拡大し,初めて年間 1.5 GW を突破
7.2 材料加工用レーザ装置
した
②ドイツが年間導入量で 866 MW から 953 MW にな
材料加工用レーザ装置は CO2 レーザ,固体レーザ,
エキシマレーザに分類して調査している。
り,世界の導入量拡大を牽引している
③累積導入量では,ドイツが 2,863 MW となり,年間,
CO2 レーザ装置総生産額は約 967 億円と 2006 年度に
はリピート期とも重なり前年比で 36.5%と大幅に成長し
累積ともに 2 年連続で世界一となった
④日本の年間導入量は 287 MW,累積導入量で 1,709
たが,07 年度はやや低い 4.7%の成長が見込まれている。
MW となったものの,若干のマイナス成長となり
しかし堅調に推移していて,初めて生産額が 1,000 億円
導入拡大の勢いが後退している
を突破することが見込まれている。
固体レーザの用途は多様化しており,光の集束性が
⑤ ア メ リ カ の 年 間 導 入 量 は,103 MW か ら 145 MW
となり,再び拡大基調に転じている
主 に 利 用 さ れ て い る。2007 年 度 の 総 生 産 額 は, 約 529
⑥このほか年間の伸び率では,韓国が 324%,スペイ
億円で前年比 12.2%増となった。分野別シェアはトリミ
ンが 198%,イタリアが 83.8%,フランスが 55.7%,
ング・リペア 29%が主で,次にマーキング 26%,溶接
アメリカが 40.8%で大きな伸びを示している
19%,切断・穴あけ 13%である。特にエレクトロニクス
太陽光発電システムの普及拡大のスピードはフィード
関連のマーキングとトリミングの成長が顕著である。し
イン・タリフ制度が広がるヨーロッパや韓国で加速され
かし,国内の IT 産業の設備投資が鈍化していて,海外輸
ており,途上国を含めて今後も導入拡大への流れは本格
出に大部分が依存しているため,世界経済に大きく影響
化すると思われる。
されることから個体レーザの動向はやや不明瞭である。
(津田芳幸)
エキシマレーザ装置は,総生産額 251 億円で,昨年度
7.レーザ加工分野の動向
に比べ 15%程度の増加となった。しかし生産額は全体の
本委員会の調査範囲は,大別して医療用レーザ装置、
98%を占めるリソグラフィ装置に依存しており,当該装
材料加工用レーザ装置、発振器である。医療用レーザ装
置の若干の微増が生産額を大きく押し上げる結果となっ
12
光産業.indb 12
08.5.27 5:55:53 PM
光産業動向調査
ている。
テムに移行することも好調の要因となっている。それに伴
い,超高速光ネットワークを制御するシステムやデバイス
7.3 発振器
開発に必要な計測機器の需要は増加していくであろう。
発振器は,気体レーザ全体では前年度比約 14%の成長
8.2 光センシング機器
が予測されるが、その内訳は主に CO2 レーザとエキシ
マレーザである。固体レーザでは全体で 10%以上の成長
光センシング機器については,個々のセンサの生産規
は予想されているが,その中心は Nd:YAG レーザであ
模は大きくはないものの,多種多様な製品が存在し,
る。大出力 LD,ファイバレーザなどの新しい固体レー
それらの需要は生産設備投資に大きく左右される。本年
ザ発振器は海外からの輸入品が大半で,大出力 LD は国
度は自動車,デジタル家電などの半導体産業を中心とす
内生産が始まろうとしている段階にある。全体として
る内需拡大,来年度以降もオリンピック,万博が開催さ
は,短波長・短パルスレーザが微細加工に、また従来装
れる中国を中心に需要が期待される。本年度が前年比プ
置では出力増大に伴ってマクロ加工の新技術開発分が進
ラス 36.7%の伸びで,今後は原油価格の高騰などの懸念
んでいる。
はあるものの,依然として上昇傾向と予測される。赤外
(外所哲郎)
線カメラとその応用機器は,昨年度の調査でも 2006 年
8.センシング・計測分野の動向
度の国内生産額が前年比プラス 300%以上の成長が見込
当委員会では,光計測器と光センシング機器について
まれていたが,本年度の調査では 2006 年度の実績額が
調査を行っている。光計測器は,光のエネルギー,周波数,
前年比プラス 1456.5%と,予想を大きく上回る大幅な増
波形,伝搬特性など光の基本的な性質を計測する測定機
加となった。これは,業界の再編とともに,自社向けに
器と,測定用光源に関連する製品群である。また光セン
製造していたモジュールなどを製品として販売するメー
シング機器は,強度,位相,波長,周波数などの光の性
カーが現れた影響と思われる。赤外線カメラの応用分野
質を利用したセンサやセンシング機器である。調査対象
としては,侵入者監視用のセキュリティ機器,火災など
に含まれる製品群は非常に多岐にわたり,技術動向など
の防災監視機器,生産ラインにおける温度管理,構造物
の影響なども強く受けるため,用途,動作原理,製造技
の非破壊検査,人体温度計測機器などに広がっており,
術に基づいて分類することにより,継続的調査の安定性
今後,低価格でメンテナンスフリーの非冷却型の市場が
を確保している。また調査結果の分析作業にも,委員に
拡大していくと思われる。光センシング機器は産業用の
よる長時間の議論と補完など多くの努力がなされている。
ものが大半を占めるが,防犯・防災分野で民生機器の割
合も増加しており,安全・安心に対する需要とともに伸
8.1 光測定器
びが予測される。また,指紋認証,静脈認証,顔認証,
光測定機はほとんどが光通信システムの敷設・保守用
虹彩認証などのバイオメトリクス機器,人体センサなど
の計測器であるため,生産額は光通信ネットワークの拡
の製品群の増加が顕著である。
充と強い関係をもつ。2000 年前半までは,光ファイバ
8.3 計測・センシング機器
通信網は拡大の一途をたどった。光通信装置や光部品の
生産能力拡大に伴い,国内の光測定器関連企業は需要拡
計測・センシング機器は国内光産業の中で約 3.5%程
大の恩恵を受け,大規模な設備投資が行われた。また同
度を占めていて,その規模は 271,435 百万円となってい
時に研究開発,生産ラインの検査用の需要も大きく伸
る。しかしこれらの機器は,あらゆる産業機器の基盤で
びた。しかし 2000 年後半以降の IT バブルの崩壊で急
あり,新しい産業機器の開発やインフラの整備に必要不
減速し,海外国内とも壊滅的な打撃を受けた。2003 年
可欠のものである。また,いったん設備投資を行うと,
度からこの状況は徐々に回復を見せ始め,2006 年度の
しばらく更新することなく使用する傾向がある。そうし
国内生産額実績で前年度比プラス 16.8%と,大きな増加
たことをふまえると,ここ数年緩やかに伸びていること
となった。今後の見込と予測についても増加傾向が示さ
はよい傾向といえる。
れ,今後の発展が期待されている。このような光計測機
報告書では今後の動向として,「赤外線カメラとその
器の需要増加の主な要因は,世界的な FTTH サービスの
応用機器」と「光 MEMS の動向」を採り上げた。赤外
普及である。また,今後光通信ネットワークが次世代シス
線カメラは本年度急激に立ち上がったセンシング機器
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であり,動向が注目されるため,今後も継続的調査を
回答社数の多い上位 3 つの増減の傾向(2007 年度 →
行っていく。光 MEMS はセンサの小型化,高機能化,
2008 年度)は,(1)同等 → 同等(36 社),(2)増加 →
インテリジェント化のために,光通信機器,表示機器,
増加(16 社),(3)減少 →同等(6 社)であった。
(3)研究開発投資額
計測機器,医療・バイオ機器などの重要な要素技術とし
て使われていくと思われる。今後は MEMS 自体の低価
2007 年度は増加したという企業が全体の 36%,同等
格化および,ナノテクノロジーや近接場光学を利用した
が 44%,減少が 20%であった。2008 年度は,前年度よ
NEMS(Nano Electromechanical System)への展開が期
り増加させるという企業が全体の 36%,同等が 52%,
待される。
減少が 12%であった。
(黒田文彦)
回答社数の多い上位 3 つの増減の傾向(2007 年度 →
9.光産業のリソースの動向
2008 年度)は,(1)同等 → 同等(24 社),(2)増加 →
9.1 はじめに
増加(18 社),(3)減少 → 同等(8 社)であった。
(4)国内生産額
国内生産額調査と同時に,光関連の常時雇用従業員
数,研究開発者数,研究開発投資額について調査を行っ
2007 年度は増加したという企業が全体の 53%,同等
た。昨年度と同様に,2007 年度見込みについての数字
が 17%,減少が 30%であった。2008 年度は,前年度よ
を求める定量的アンケート調査と,前年度より「増加」
り増加するとした企業が全体の 61%,同等が 26%,減
したのか,「減少」したのか,あるいは「同等」なのか
少が 13%であった。
という定性的アンケート調査を 2007 年度見込み,2008
回答社数の多い上位 3 つの増減の傾向(2007 年度 →
年度予測について実施した。全てのアンケート項目に回
2008 年度)は,(1)増加 → 増加(31 社),(2)減少 →
答していただいた 69 社についてまとめた結果は以下の
同等(9 社),(3)減少 → 増加(7 社)であった。全体
通りである。
の 45%の企業が 2007 年度も 2008 年度も国内生産額を
増やす見通しであった。
(村田健治)
9.2 2007 年度の産業リソース(見込み)
10.IOA 会議にみる国際動向
69 社全体の人的リソースとして,常時雇用従業員数
10.1 はじめに
は約 59,000 名であり,研究開発者数は約 16,000 名である。
また,69 社全体の資金のリソースとして,研究開発投
当 協 会 が 設 立 さ れ た の は 1980 年 で あ る が, そ の 後
資額は約 3,800 億円である。参考値として,69 社全体の
90 年代に入って世界各地で類似の組織が設立されるよ
国内生産額は約 3 兆 2,000 億円である。
うになった。1996 年,当協会がホスト団体となり,そ
の時点で設立されていた 3 団体に働きかけ,光関連団
9.3 前年度からの増減
(2007 年度見込み,2008 年度予測)
体国際会議が開催された。2000 年代に入り参加団体も
増 え 続 け, 現 在 は 10 団 体 に な り,IOA(International
(1)常時雇用従業員数
Optoelectronics Association)と称している。
2007 年度は増加したという企業が全体の 33%,同等
2007 年度の IOA 会議(第 12 回:ミュンヘン)での各
が 47%,減少が 20%であった。2008 年度は前年度より
団体の発表資料をベースに光産業の国際動向を下記に述
増加させるという企業が全体の 36%,同等が 51%,減
べる。
注)光産業のカテゴリーの定義には独自性があり,我
少が 13%であった。
回答社数の多い上位 3 つの増減の傾向(2007 年度 →
が国との厳密な意味での相互比較はできない。
2008 年度)は,(1)同等 → 同等(24 社),(1)増加 →
例)OITDA(当協会)8 分野,OIDA(米国)17 品目,
PIDA(台湾)6 分野
増加(18 社),(3)減少 →同等(7 社)であった。
(2)研究開発者数
10.2 各国の光産業の動向
2007 年度は増加したという企業が全体の 32%,同等
(1)台湾(PIDA による)
が 56%,減少が 12%であった。2008 年度は,前年度よ
り増加させるという企業が全体の 28%,同等が 68%,
台 湾 に お け る 光 産 業 生 産 額 の 2005 ~ 2009 年 の 推 移
減少が 4%であった。
をみると年率の伸びは 12%と著しく,2005 年に 360 億
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光産業動向調査
USD であった生産額が 2009 年には 560 億 USD になる
USD であり,シドニーが全体の 65%を占める。分野別
としている。牽引しているのは 6 割以上を占める FPD
売上げは,1. エネルギー関連(49%),2. 通信(33%),3. セ
であり,これが台湾光産業の特徴である。2005 ~ 2006
ンシング(12%),4. 測定器(6%)となっている。
年の伸び率でみると太陽電池が 136%と大きく伸張して
(村田健治)
いるが,生産額はトップテンに入っていない。
(2)韓国(KAPID による)
KAPID は韓国光産業の輸出入統計を毎年定点観測し
ている。輸出が輸入を上回って推移しており,2006 年
に輸出は大きく 32%伸び,以降輸出の伸びが輸入を上
回っている。2008 年には輸出が約 200 億 USD,輸入が
約 100 億 USD になると予測している。
光情報機器(ディスプレイが光情報機器の約 50%)
が輸出全体の約 75%を占め,輸入額には輸出のような
大きな偏りはない。
2015 年 に は ア ジ ア で 最 高 の 光 集 積 地 点 と な り 光 に
関し,世界第 5 位の座に就くことを目標としており,
こ の 目 標 を 実 現 す る た め に“LUXKO (Co-brand for
certified Korean OE products)”と称する韓国光産業の
共通ブランドを作り,国内外での積極的マーケティング
を推進している。
(3)中国(中国全土の代表団体が存在せず,香港光協
会(HKOEA)が発表)
オプトエレクトロニクス+情報技術の「光谷構想」,
エネルギー問題への関心の高さから固体照明に関しての
「5 National SSL Base + ONE」などの開発プロジェクト
により,限定された地区の産業統計は存在するが,中国
本土の光産業においては現状,さまざまな困難により産
業統計が存在していない。
(4)イギリス(スコットランド光協会(SOA)による)
イギリスにおける光産業は,従業員数が 9 名以下の小
企業が全体の 70%を占め,250 名以上の企業は 1%に過
ぎない。生産額の報告はなかったが,光関係の研究開発
費は 2003 年以降拡大している。
(5) ド イ ツ( ド イ ツ 9 団 体 ネ ッ ト ワ ー ク の 窓 口
(OpTech-Net)による)
世帯当りのブロードバンド普及数を国別に見ると
2006 年ではドイツは世界 14 位(日本は 8 位)であるが,
ドイツでは 2009 年度には 2006 年度の 1.5 倍となる。
また,太陽電池の国別生産量および設置量を見ると,
ドイツは生産量でこそ日本についで世界 2 位であるが設
置量では突出して 1 位の座にある。
(6)オーストラリア(APF による)
2004 年 の オ ー ス ト ラ リ ア の 光 産 業 の 収 益 は 3.6 億
15
光産業.indb 15
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光技術動向調査
1.はじめに
出)など多くのタイプがあるが,動作温度と検出感度は
当協会では,光技術動向調査事業として,毎年,光技
トレードオフの関係にあった。今後,発生器や検出器(特
術動向調査委員会を構成し,国内外の光に関わる科学技
にイメージング検出器)の高性能化,小型化に伴い,実
術全体の大きな流れを捉えると共に,随時新たな動きを
験室レベルからフィールドでの実用化はさらに進むと思
トピックスとして取り上げ,調査・分析を行っている。
われる。
本年度は,下記の八つの調査項目に対応した分科会(ア
2.2 中赤外域
グリフォトニクスは時限)を構成し,調査を行った。調
査結果は,2008 年 9 月に開催されるインターオプト展
中赤外域は環境ガス計測として着目されており,4 ~
示会の光技術動向セミナーで紹介される予定である。ま
5μm 帯 の 半 導 体 レ ー ザ は InGaAs/AlAsSb 系 や InAs/
た,15 件に及ぶそれぞれの分野での最新の技術動向が,
AlSb 系量子カスケードレーザで実現されて来たが,V
Web 機関紙オプトニューズのテクノロジートレンドの
族に Sb を用いていることから結晶成長やプロセスが複
記事として掲載された。
雑であった。このため,今年度は作製が容易な InGaAs/
海外光技術動向の実地調査として,欧州へ調査団を派
InAlAs 系量子カスケードレーザで,波長 4.1μm,室温,
遣し,ファイバーレーザー・レーザー加工分野と太陽光
パルスでの 80 mW の光出力,波長 4.6μm での DFB レー
発電分野についての調査を行った。
ザの発振などが実現された。また 2μm 帯の発光・受光
(岡部正博)
素子においても,従来は GaSb 系が主流であったが,今
2.光材料・デバイス(第1分科会)
年度は光通信用の InP 系発光・受光素子での長波長化
光通信用や光記録用のモジュール,デバイス,材料に
で 進 展 が あ っ た。 発 光・ 受 光 と も InP 基 板 上 に InAs/
ついて,毎年,技術動向を調査している。また照明,環境,
InGaAs 系量子井戸構造を用い 2.3μm での DFB レーザ
ディスプレイなどの他分野においても,将来の基盤技術
やヘテロ接合フォトトランジスタ(受光素子)などが実
になると思われる光デバイスや材料について,トピック
現している。
ス的に技術調査を行っている。調査範囲はテラヘルツ(波
2.3 近赤外域(光通信)
長:100μm 付近)~中赤外(2μm),光通信用の近赤外,
可視~紫外である。調査項目は継続的に調査している項
光源では光送信器の小型・低消費電力化に向けて 10
目とトピックス的な項目とに分けており,昨年度の重点
Gbps での 1.3μm 帯直接変調型レーザにおいてアンクー
的なトピックスであった「シリコンフォトニクス」と「プ
ルド化が普及して来たが,今年度は 1.5μm 帯変調器集
ロジェクションディスプレイ用レーザ光源」に関係する
積型光源においてもアンクールド化が報告されており,
項目は,今年度も調査を継続した。なお時限分科であっ
今後は 40 Gbps でのアンクールド化の検討も進むと考え
た照明(旧第 9 分科)については昨年度で終了したため,
られる。単体の光変調器としては LiNbO3 だけでなく小
今年度は LED 照明に関係する項目も第 1 分科で継続調
型で低電圧駆動が可能な半導体光変調器も盛んに検討さ
査した。
れており,ポッケルス効果や量子閉じ込めシュタルク効
果による位相変調に加え,最近は DQPSK 変調や QAM
2.1 テラヘルツ域
変調などの多値変調方式への応用も新たに検討されてい
テラヘルツ域は光と電波の中間に位置し,両者の性質
る。また光源以外の光部品としては光スイッチがあり,
を有することから多くの可能性が期待されており,物理
現在,実用水準にあるのは低速の MEMS や LCOS によ
学的興味から身の回りの多くの物にテラヘルツ波を当て
る空間型光スイッチと石英系の導波路型光スイッチであ
る試みがなされている。アプリケーションとしては非接
るが,光スイッチはネットワークの光化に向けてキー部
触での導電性高分子のキャリア密度や移動度の測定,
品となるため,スイッチング速度,損失,規模などの点
アミノ酸の L 体と D 体の混合比の同定,イメージング
で今後多くの改善が進むと予想される。
などが検討されている。このようなアプリケーションを
新しい集積化デバイスとしては,最近 Si フォトニク
実用化するためには,簡便な発生器,検出器などが必要
スが着目されており,昨年報告した Si 細線導波路や微
であり,今年度の調査項目である検出器については,熱
小回路などの Si パッシブデバイスと半導体レーザとの
型(焦電型,ボロメータ)と非熱型(整流効果,量子検
集積化が盛んに検討されている。この集積化の方法とし
16
光産業.indb 16
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光技術動向調査
性が示された。
て貼り合わせが用いられており,従来の Si 基板と化合物
半導体層を直接貼り合わせるだけでなく,プラズマ照射
要素技術としては有機半導体レーザやエピフィルムボ
や BCB を介して貼り合せており,レーザ光を SOI 基板
ンデングを取り上げた。有機材料を用いたレーザとして
上の Si 導波路に直接結合させ,Si 導波路集積型レーザの
は色素レーザが古くからあるが,最近は有機材料を薄膜
室温連続動作や単一モード動作などが実現されている。
にドープし,半導体レーザを目指した高電流密度下での
光通信用光源の新しいアプリケーションとしては,
発光機構の解明,信頼性の向上,デバイス構造の最適化
波長可変レーザを生態内組織の断層像を得るための光コ
などが検討されており,今後の進展を期待したい。エピ
ヒーレンストモグラフィ(OCT)に応用した例を紹介し
フィルムボンデングでは GaAs 系 LED と Si - LSI の融
た。OCT への応用は光通信系に比べ要求される波長,
合に向けて,LED 薄膜を GaAs 基板から剥離し,Si 基
帯域,可変速度などが異なるが,多くの医療分野への適
板に分子間力で貼り合わせている。エピフィルムボンデ
用が期待されており,活発に研究開発が進められている。
ン グ で の Si 上 LED の 特 性 は GaAs 基 板 上 の LED と 同
等であり,アレイ化においてはワイヤボンド数の大幅低
2.4 可視域~紫外域
減,チップの小型化などのメリットが実現されており,
今後も新しい適用が期待される。
LED の短波長化としては,昨年度に AlN による 210
(岡部 豊)
nm での最短波長が実現された後,今年度は 230 ~ 350
3.光通信ネットワーク(第 2 分科会)
nm での光出力の増大や高効率化が進んだ。光出力とし
ては波長 346 nm で 6.6 mW,波長 261 nm で 1.65 mW,
日本のブロードバンド加入者数が 2,700 万加入以上と
波長 227 nm で 0.14 mW などが報告された。また LED
な り,FTTH(Fiber To The Home) 加 入 者 が 1000 万
の低コスト化としては,大面積で安価な Si 基板を用い
加入を超えてブロードバンドの主役が ADSL から光へ
る技術が検討されており,波長 350 nm の Si 基板上紫外
移行している。また,インターネットトラフィックの規
LED において SiC 基板上と同等の内部量子効率(15%)
模が 700 Gbps を超え,1 年間で約 1.4 倍に伸びているこ
が報告された。LED のアプリケーションとしては,自
とから 2008 年度には 1 Tbps に達する見通しである。今
動車用の LED 照明を取り上げており,現状は車内の表
後のブロードバンドネットワークでは,IP 電話,放送,
示部やリアランプがメインで,ヘッドランプへの適用は
インターネットさらには携帯電話など様々なネットワー
一部の高級車に限られているが,今後,発光効率や発光
クサービスが融合し,高信頼かつ経済的に提供されるこ
色の改善,低コスト化,さらには環境負荷低減などによ
とが期待されており,その発展には,光通信ネットワー
り,さらなる普及が予想される。
ク技術は欠くことのできないインフラ技術である。
半導体レーザとしては Blu-Ray Disk や HD-DVD の青
第 2 分科会では,上記のような背景の下で,今年度の
紫色半導体レーザにおいて,記録速度の向上に伴いシン
光通信ネットワーク技術動向に関して,以下の 7 つの面
グルモードでの高出力化が要求されている。要求される
から技術動向と国際標準化動向をまとめた。
光出力は 2 倍速で 130 mW,6 倍速で 200 mW などであ
3.1 基幹光伝送システム
り,赤色 DVD 用レーザと同様に今後,高出力化が進む
と見込まれる。またディスプレイ用青色半導体レーザと
フ ァ イ バ 当 り の 伝 送 容 量 の 記 録 を 塗 り 替 え る 超 20
しては,記録用の青紫色半導体レーザの波長が 405 nm
Tbit/s 伝送実験報告や,次世代高速イーサネットのた
であるのに対し 450 nm 付近であり,In 組成が多くなる(8
めの 100 Gbit/s 級光伝送技術の進展に代表されるよう
→ 16%)ため活性層の劣化が課題であったが結晶性の改
に,将来的な基幹光伝送システムの高性能化を目指した
善に伴い,ブロードエリア型で 1 W クラスの光出力が
研究開発に顕著な進展があった。その実現のための要素
得られるようになって来た。またさらなる長波長化への
技術としては,デジタル・コヒーレント受信機を用いた
基盤技術としては非極性基板の適用があり,従来の非極
コヒーレント通信や,光 OFDM 方式など,デジタル信
性基板上の成長では結晶性が悪く極性面上の素子より特
号処理技術を用いた技術が特に注目を集めた。
性が劣っていたが,今年度はエピ層や基板の結晶性改善
3.2 アクセスネットワーク
により m 面 GaN 基板上の青紫色レーザにおいて C 面と
日本では,ブロードバンドの主役が ADSL から光回
同等の特性,さらに青色レーザにおいては m 面の優位
17
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線へ急ピッチで交代する勢いを示しており,また,海
レコム向けに長距離 100 Gb/s 伝送規格策定の議論が活
外においても,日本ほど急速ではないものの,徐々に
発となっている。一方,ストレージインターフェース動
FTTH サービスが普及しつつある。このような状況の中,
向としては 2006 年に 8 G-FC 規格が完了しており,サー
アクセスネットワークの研究開発では,Next-PON の開
バ向けでは 2007 年 1 月に PCI-Express の 5 Gb/s 化が完
発として WDM-PON を中心に開発が行われている。ま
了し,2009 年には 8 Gb/s 化を予定するなど多方面で更
た,光ファイバ無線アクセス(RoF:Radio over Fiber)
なる高速化が進んでいる。光インターコネクト技術につ
に関しては,FTTH の普及に伴い,既存の PON ネット
いては,これまでスパコン架間配線など狭い領域に使わ
ワークを利用する検討が増えると共に,昨年同様ミリ波
れてきたが,今後,バスの高速化と MSA(Multisource
の生成伝送に関しても精力的な検討がなされている。
Agreement)による光コンポーネントの低コスト化に
より架内ボード間接続へ,100 Gb/s Ethernet の物理層
3.3 光ネットワーク
への適用によりシステム間接続へと適用領域が拡大して
マルチドメイン網やマルチレイヤ網における通信路の
いくことが期待される。
経路を適切に自動選択させることを目的として,IETF
3.6 伝送用光ファイバ
において標準化中の PCE(Path Computation Element)
関連の技術が多数報告された。GMPLS/ASON を対象と
昨年度に引き続き,FTTH の施工性の向上を目指し
したテストベッド構築や相互接続検証の取組みの内容
た曲げ損失低減型ファイバの報告が目立った。また,
は,キャリア間接続,マルチレイヤ,ASON-GMPLS 連
ITU-T において曲げ損失低減型ファイバに関する新しい
携等に移ってきている。光ネットワーク管理技術に関し
勧告 G.657 として制定され,曲げ損失低減型ファイバが,
てもまた,レイヤを跨ってのトラフィックエンジニアリ
研究開発の段階から実用化の段階へと大きく前進した。
ングや障害回復を実現する為の,リソース割当に関する
一方,特殊ファイバは,全光ネットワークへ向けた光信
報告が活発である。
号処理用デバイスとして高非線形ファイバに関する報告
がなされているほか,ファイバレーザ等への適用を視野
3.4 フォトニックノード
に入れた光増幅用ファイバに関する報告が活発化してい
波長選択スイッチを用いてスイッチボックスの中
る。また,微細構造ファイバ (MOF:Microstructured
で,分波,各波長のスイッチング,合波を行う波長ク
Optical Fiber)に関しても引き続き報告がなされた。
ロスコネクトノード(WXC)が主に検討されている。
3.7 標準化動向
オ ン・ デ マ ン ド サ ー ビ ス へ の 対 応 お よ び 経 済 化 を 目
指 し て,ROADM(Reconfigurable Optical Add Drop
最 後 に, 関 連 す る 標 準 化 団 体(ITU-T SG15,IEC
Multiplexer)の製品開発,市場導入が進んでいる。波
(TC76/TC86),IETF,OIF,IEEE802.3)における標準
長クロスコネクトノード(WXC)および光ハブノード
化動向について,今年度の進展を中心にまとめた。特に,
の検討も進み今後の動向が注目される。これらのフォ
IEEE,ITU-T 等で 10 GbE の次の大容量イーサネット
トニックノードでコアコンポーネントとなる波長選択
の標準化が活発化しており,今後の進展が注目される。
スイッチ(WSS)および波長ブロッカー(WB)に関し
また,IEC 等でも光トランシーバ,マルチモードファイ
て,製造性および信頼性の検討が進み,液晶技術を用い
バおよびダイナミックモジュール等の性能標準や測定法
る WSS が報告されている。また,ネットワークのリソー
に関する標準化が活発化している。
(小名篤裕)
スをより有効利用するために,より短い時間で光スイッ
4.光メモリ・情報処理(第 3 分科会)
チングを行う光バースト / 光パケットスイッチとそれを
用いた光ノードの検討も進められている。
2007 年度の光メモリでは,青紫色半導体レーザを用
いた光メモリシステムの普及が進み,次の大容量化方式
3.5 光 LAN /インターコネクト
としての多層化やシート状基板の利用技術の開発が活発
10 Gb/s の次の高速光 LAN の標準化をめざして IEEE
に進められ,それぞれの技術で継続開発中の次世代光記
において 40 Gb/s と 100 Gb/s Ethernet 仕様策定作業が
録システムでは,実用化に向けたより現実的な技術開発
2007 年 12 月から本格化した。連動して,ITU-T ではテ
が展開された。また,IT 社会の進展の中で,光情報処
18
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光技術動向調査
図 1 技術動向調査項目の相互補間関係
4.2 マスタリングとレプリケーション
理が新たな展開を示し始めている。
今年度の調査は,これらの現行や次世代の光メモリシ
今年度も,高密度マスタリングを実現するための,ヒー
ステム,光情報処理の技術動向と,これらの展開に必要
トモードマスタリング,電子ビームマスタリングについ
不可欠な周辺技術や材料や素子などを含めて行った。調
ての動向調査を進めた。また,この 1,2 年展開を早め
査した項目に含まれる技術内容は,それぞれが独立して
ているシート状ディスクの作製技術について調査した。
展開が図られ,かつ,相互に強く結びついている(図 1)
。
ヒートモードマスタリングでは,各種無機系レジストの
次世代技術の実現では新規技術やアイデアだけでなく,
開発が継続的に進められ,より安定したマスタリングの
それらと相互に補間しあえる周辺技術や材料,ソフト等
実現が図られている。また,電子ビームマスタリングも
を含めた総合的な開発がより一層重要になってきている。
含め,光ディスクのマスタリング以外への展開が装置開
発を含めて活発化した。シート状基板の作製では,ナノ
4.1 光メモリ・情報処理に展開された材料
インプリント技術の利用を含めて進展を見せ,現行シス
テム(光学系,材料等)を利用した大容量化システムの
今年度は,高解像レジスト,レンズ収差補正材料技術,
実現性が向上した。
ホログラム材料の現状に関して調査した。高解像レジス
トでは,超高密度 ROM ディスク用原版作製技術等と密
4.3 青色光ディスクシステム
接に関連すると考える,半導体リソグラフィー用の化学
増幅系ポジ型の高解像度化の研究動向を調査した。レン
青色光ディスクシステムでは,商品化が進展するなか
ズ収差補正材料技術では,現行世代を含めたシステムで
で,信号処理を用いたさらなる大容量化や,記録材料の
の利用が考慮された液晶を用いた動的光学素子の現状と
開発による高速化が進展した。また,大容量化を実現す
今後の展開をまとめた。また,次世代技術であるホログ
る多層化のトレンドの中で,より高い S/N で信号を検
ラムメモリの実現に最重要な要素であるホログラム材料
出するためのホモダイン検出方式の光学ピックアップが
の展開についてまとめた。
示された。多層化では,必要な性能をもたらす光学設計
による多層構造を材料の最適化を図ることで実現し,6
19
光産業.indb 19
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層の追記型メディアが開発された。
画表示特性の改善や LED バックライトの採用など様々
な画質向上技術が報告された。
4.4 次世代大容量化技術
また,テレビ用途以外でコレステリック液晶,高分子
今年度も,次世代大容量化技術である,SIL 型近接場
分散形液晶(Polymer Dispersed Liquld Crystal:
光ディスク,ホログラム(ページ記録),Super-RENS,
PDLC)を用いた電子ペーパーへの応用に関して,多
超解像 ROM と多層化,3D bit by bit 記録,熱アシスト
くの報告があった。
磁気記録について技術の開発状況について調査した。ま
(2)PDP:PDP は,昨年に引き続き高精細化,高コン
た,大容量化への要素技術として, 信号処理技術 ,サー
トラスト化,大型化,低価格化などの技術進展がみられ
ボ技術,コンポーネントについても調査を行った。新規
た。CEL 構造を改善することにより黒輝度性能,高コ
技術では,それぞれがより実用化を目指して,信頼性向
ントラスト化および色再現性能が大きく向上した。
上や信号品質の向上等の結果が示された。しかし,次世
また,発光効率の向上による低電力化技術やパネルの
代技術としての方向性の確立は図れていないため,今後
多面取り技術の向上による低コスト化技術などにも着実
のさらなる進展に期待したい。
な技術進展がみられた。
サイズ面では,厚さ 30 mm をきる薄型,150 インチ
4.5 光情報処理
の大型や逆に 32 型の小型の製品発表があった。
(3)有機 EL:今年度は実用化への動きと TV 用大型化
今年度は,最近進展を見せ始めている光情報処理につ
いて調査を開始した。光情報技術の応用と拡がりでは,
技術に大きな進展がみられた。
現在の研究状況をレガシー光情報処理,リバイバル光情
実用化への動きとしては,11 インチ OLED テレビの
報処理,フロンティア光情報処理に分け,その応用先を
製品発表,また,携帯電話のメインディスプレイパネル
含めてまとめた。また,光情報処理研究の代表例として,
への採用機種が増加するなど,OLED の実用化への着実
ホログラムを用いた超高速 2 次元光情報検索システムと
な進展がみられた。
光通信における光信号(情報)処理を取り上げた。また,
また,画面の大型化技術として,RGB 塗分け技術,
光情報処理における空間デバイスでは,これらの処理に
White + CF 技術による成膜技術,バックプレーン技術
利用されている 2 次元空間光変調器について調査した。
による TFT 作成技術などに技術進展がみられ,大型化
に期待される。
(稲田 孝)
(4)電子ペーパ:今年度は,電子ペーパ表示搭載の携
5.ディスプレイ(第 4 分科会)
帯電話販売が 1,000 万台に迫る勢いをみせた。
今年度,テレビ用ディスプレイは,CRT テレビから
また,電気泳動方式の電子ペーパが,電子書籍端末と
FPD テレビへの移行が加速された。このような状況を
して市場で着実な評価を得られるなど,本格的な立ち上
背景に,液晶 TV,PDPTV,OLED(有機 EL)TV など,
がり時期を迎えたといえる。
(5)プロジェクション:今年度はマイクロプロジェク
それぞれにおいて高画質化,薄型化,大型化などの着実
な技術進展がみられた。第 4 分科会では,これらを背景
タと投射形スクリーンを調査した。
に以下の分野の技術進展を調査した。
マイクロプロジェクタは,ポケットプロジェクタ,
また,トピックスとして,透明電極材料,テレビの消
ピコプロジェクタと称される 1 kg 以下の小型でバッテ
費電力,動画表示技術を取り上げた。
リー駆動可能な物を対象としており,ビジネス用の携帯
できるプロジェクタとして開発が進んでいる。光 源開
5.1 電子ディスプレイデバイス
発が課題とされ,この技術開発も進められた。
(1)LCD:LCD は,色再現性,携帯電話用半透過形技
(6)立体ディスプレイ:立体ディスプレイには特殊な
術などに加え,フレームレートの高速化技術および薄型
眼鏡を利用する方式と,裸眼で立体映像を鑑賞する方式
化技術において,特に顕著な技術進展がみられた。液晶
がある。フラットパネルの高精細化に伴って,後者に属
の表示方式は,VA(Vertical Alignment)モードおよび
する 2 眼式立体ディスプレイの技術が各社より発表され
IPS(Inplane switching)モードが主流であるが,OCB
た。本技術関連団体からの研究と普及活動も活発に行な
われてきている。
(Optical1y Compensated Bend)モードの利用による動
20
光産業.indb 20
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光技術動向調査
(7)無機 EL:無機 EL は,ナノ蛍光体の開発,分散型
落の気配がある。一方で pH イメージング等のバイオメ
EL の再検討,厚膜/薄膜ハイブリッド構造,色変換技術,
ディカル応用の研究は活発に進められている。
有機材料との融合などの技術開発が行われ,従来方式に
6.2 災害時における情報技術の課題と対策
比べて高効率化,色純度の改善,フレキシブル化など新
しい可能性が提示された。大画面ディスプレイ,フルカ
災害時に利用される通信手段のメインは有線系であ
ラー透明ディスプレイ,フレキシプル照明光源など,今
り,有線系をバックアップする手段として,あるいは有
後の実用化に向けた開発が期待される。
線系では対応できない用途のために無線あるいは移動系
が利用されている。有線系には,加入電話回線の他,専
5.2 トピックス
用線系,インターネット系,情報ハイウェイ系などがあ
(1)透明電極材料:透明電極は,液晶,有機 EL,PDP,タッ
る。これらの回線を利用して,自治体を全国規模で結ぶ
チパネル,太陽電池など,さまざまな商品で使用される
LGWAN(Local Government Wide Area Network)
,国交
重要な部材である。現在,希少資源のインジウム(In)
省地方整備局間の通信網,各自治体の防災情報システム
が使用されているが,In を用いない新しい透明電極材
などが運用されている。無線系では,携帯電話,テレメー
料の開発が進んでいる。
タ,衛星通信,防災無線,ヘリコプター位置映像情報シ
(2)TV の消費電力:地球温暖化の点から TV の消費電
ステム,河川や国道沿いに敷設された LAN と移動車両
量に対して認識が高まってきており,今年度はこの現状
とを結ぶ無線 LAN(IEEE802.11 系)などが利用されてい
を調査した。当初,消費電力測定にブラウン管テレビに
る。実際の災害の中で,様々な現象が発生しており,有
適用した規格を用いたが,FPD にはそぐわないことが
線系と無線系の使い分けについて模索が行われている。
わかり,省エネ法や国際規格の新たな制定を進めるなど
の規格整備活動が進んでいる。また,これと合わせ,省
6.3 バイオメトリクス(個人認証への光応用)
エネ技術の開発も着実に進められている。
IT の普及とライフサイエンスの進歩により,医療が
(3)動画表示:動画質は,テレビ受像機など動画用ディ
高度化するとともに,医療情報の電子化とユビキタス化
スプレイにとって,良好な総合画質を得る上で重要な要
が加速しつつある。具体的には,①生涯健康医療電子記
素である。今年度も,動き補償倍速表示法(120 Hz 表示)
録(EHR:Electronic Health Record),② IT 戦略本部の,
による LCD の動きぼやけ改善など LCD を中心に活発な
技術進展がみられた。
健康情報,年金や医療等の給付と負担の情報をオンライ
(川井隆志)
ン等で入手・管理できる仕組み,③厚生労働省の進める
「電子私書箱(仮称)」サービス,④医薬品へ付与された
6.ヒューマンインタフェース(第 5 分科会)
バーコードの活用による,個人への薬剤投与記録の電子
本分科会では入力デバイスから応用技術まで,広く
化,等々である。健康情報の電子的活用が実現されるこ
ヒューマンインタフェースの最新技術動向を調査してい
とで,①個人の健康情報を自らが管理と病歴や体質に応
る。本年度は,従来からの調査分野に加え,「災害時に
じた医療の提供,②異なる医療機関間における継続性医
おける情報技術の課題と対策」,「ロボットのユニバーサ
療の提供,③疾病情報や臨床データの分析による根拠に
ルデザイン」,「知的生産性と作業環境照明」,「エンタテ
基づいた医療の提供が可能となり,医療の質の飛躍的な
インメントのインタフェース」を加え調査をおこなった。
向上が期待される。
6.1 イメージセンサデバイス
6.4 画像入力デバイス・機器
CMOS センサの画素微細化は画素間トランジスタ共
デジタルカメラの進化が,画像入力機器全体に大きな
有技術により 2μm 台画素が製品化, 学会レベルでは
影響を及ぼしている。携帯電話用小型デジタルカメラ
1.4μm ~ 1.2μm が報告されている.しかし今後画素サ
は,800 万画素の CMOS カメラモジュールが登場した。
イズは劇的にシュリンクできる見込みはなく,画素を
小型化ではスルーチップ技術を用いたチップスケールカ
微細化した際に顕著に現れる RTS(Random Telegraph
Noise)ノイズをいかに抑制するかが課題となっている。
メラモジュール,さらには光学系(レンズ)をウェハ上
広ダイナミック化競争,3 次元距離計測の開発等は一段
に一体で作成し,複数の異なるレンズを作成したウェハ
21
光産業.indb 21
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(1970 年代),携帯性と家庭への進出(1980 年代),現実
を接着した後,センサ基板を組み合わせ,カメラモジュー
ルを作成するウェハレベルカメラモジュール等の技術も
感の追求(1990 年代),身体性の導入(2000 年代)と進
開発されつつある。また高機能化としては,CMOS イ
化してきている。特に身体性の導入では,ゲームセン
メージセンサや画像処理チップの付与によるワイドダイ
ターなどで導入に限られていたが,近年,汎用性の高い
ナミックレンジ化への動きもある。
身体性インタフェースを有するコントローラを搭載した
任天堂 Wii により一気に広がりを見せている。Wii のコ
6.5 ユビキタスインタラクション
ントローラは赤外光を受光するセンサと,3 軸の加速度
ウェブのユニバーサルデザインとは,高齢者,障がい
センサを有している.ゲーム画面が出力されるテレビな
者を含むすべての人が利用できるウェブコンテンツのデ
どの機器の上部あるいは下部に赤外 LED を特定の周波
ザインのことである。最近ではブラウザ等に対して音声
数で発光させる機器(センサーバ)を置き,赤外光によ
読み上げソフトが使えるようになり,新聞が読めない全
る測距と加速度センサによる加速度変化に基づいてコン
盲の方でも,ウェブのニュースであれば音声に変換して
トローラの位置・方向・速度等をリアルタイムに計測し
情報を得ることができるようになっている。これは情報
ている.これらの結果は Bluetooth によりゲーム機本体
通信技術がもたらした革新的な進歩である。またロボッ
に送信され,入力として処理される。この機構により,
トのためのユニバーサルデザインも注目される。従来,
コントローラそのものをいろいろな実物体に見立てて制
工場等の限定された環境では通路へのマーキング,作業
御することが可能となり,スポーツなどの身体性の高い
対象物へのマーカ付与等で,ロボットが動作することが
ゲームを,現実感高く行うことができるようになってい
できる環境をつくってきた。将来,家庭内でのロボット
る。
(山口博之)
の作業を容易にし,人とロボットの共生のために環境を
7.加工・計測(第 6 分科会)
構造化する試みが(独)産業技術総合研究所で始まり,
ユニバーサルハンドル等の提案,作業の際に必要となる
今年度の加工・計測分野の調査では,加工用光源技術
位置決めを簡単・確実にするためのビジュアルマーカ,
として「パルスファイバーレーザ」,「ファイバーレーザ
作業プログラムテンプレートが開発されている。
の海外動向」,「高出力半導体レーザ」を,加工技術とし
ては,
「EUV リソグラフィ」の動向を光源とリソグラフィ
6.6 知的生産性と作業環境照明
技術そのものに分けて取り上げた。計測技術としては「光
ホワイトカラーを対象とした知的生産性の向上への関
バイオプシー」と「画像計測による外観検査の最新技術」
心は高まっており,オフィスにおける新しい執務空間への
を調査した。
取り組みなどに注目が集まっている。そのために,環境影
7.1 加工用光源技術
響評価と環境制御技術の開発が行われている。すなわち,
オフィス空間の快適性には光環境,温熱環境などさまざ
加工用光源としてのファイバーレーザは,年々高性能
まな要因が作用するものであるが,これらの環境条件を
化・高出力化を続けている。これまで,2003 年,2004 年,
適切に制御することで,高水準の快適性をもち,かつ生
2006 年とファイバーレーザを調査対象に取り上げてき
産性の高い執務空間が創出できるものと期待されている。
たが,今回は,「パルスファイバーレーザ」を調査した。
このオフィス空間等における知的生産性,プロダクティ
また,2007 年は光協会の調査団が欧州に派遣されたこ
ビティに関する研究は近年活発に行われるようになり,
ともあり,技術調査報告と合わせて海外(サザンプトン
作業環境照明,知的生産性向上照明システム,快眠シス
大学,SPI 社,IPG 社)動向調査報告が付加された。過
テム等様々な提案がなされるようになってきている。
去の報告もまとめると,それぞれ異なる立場(産業界,
レーザー研究者,加工研究者等)からの執筆であるため,
6.7 エンタテインメントのインタフェース
ファイバーレーザに関する様々な期待や考え方が浮上す
最先端技術がいち早く取り入れられる分野のひとつ
る。また,新たに期待されるレーザとしてフェムト秒レー
に,コンピュータゲームに代表されるエンタテインメン
ザや Yb 系レーザ,ディスクレーザなどを調査してきた
ト分野がある。常に先進的で斬新な刺激を渇望し,新し
が,ファイバーレーザの産業界への浸透ぶりは群を抜い
さこそが重要な価値のひとつであるこの分野は,黎明期
ている。これらの調査結果から,ファイバーレーザが,
22
光産業.indb 22
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光技術動向調査
ユーザーのニーズにマッチしたレーザ光源であることが
ための画像処理・認識のほとんどを人手に頼らずにコン
益々判然としてきた。
ピュータで自動構築する技術の一端が紹介されている。
半導体レーザは,光産業の重要な基盤技術となってい
また,工業製品を対象とした画像計測による検査技術
る。特に高出力半導体レーザはファイバーレーザを含む
は,工業製品のみならず生体の良・不良判定にも役立つ
固体レーザの励起源としても,直接加工用光源としても
と期待される。同じ技術を工業製品に使えば産業応用,
重要な技術である。欧米では政策的にプロジェクト研究
生き物に使えば生体応用であり,レーザ光源も計測・加
が進められている。我が国でも長期的視野に立った政策
工も同様である。今後の進展が期待される。
的な半導体レーザ開発が必要であることが調査を通じて
明らかにされた。
8.太陽光エネルギー(第 7 分科会)
7.2 加工技術
て き て い る。2007 年 ノ ー ベ ル 平 和 賞 に 輝 い た IPCC
再生可能エネルギーへの期待は世界的な流れになっ
加 工 技 術 と し て 取 り 上 げ た「EUV リ ソ グ ラ フ ィ」
(Intergovernmental Panel on Climate Change, 気 候 変
は,平成 14 ~平成 19 年度の間,経済産業省(あるいは
動に関する政府間パネル)は 2008 年になって再生可能
NEDO)の「極端紫外線 (EUV)露光システム開発プ
エネルギーに関する特別報告書の作成に着手した。再生
ロジェクト」として研究開発が行われた。また,並行し
可能エネルギーの中では水力,風力,バイオマスと太陽
て平成 15 ~平成 19 年度の間,文部科学省のリーディン
光,その他海洋発電などを含むがバイオマスと太陽光が
グプロジェクトでも EUV 光源の研究が取り上げられ,
今後最も伸びると期待されている。洞爺湖サミットに向
経産省と文科省が同じテーマを異なる立場で協力して
けた COOLEARTH50 においても太陽光は 5 つの重要な
進めた新しい試みとして注目される。最終年度にあた
技術の一つと位置づけられている。
り,まずは産業界サイドで研究を進めてこられた方々に
8.1 結晶系シリコン太陽電池の高性能化と低コ
スト化技術
EUV リソグラフィ光源とリソグラフィ技術そのものを
分担執筆いただいき,実用化の見通しを解説頂いた。
EUV リソグラフィ光源開発プロジェクトは,一つの
世界的な太陽電池市場の急拡大に伴うシリコン原料不
産学官連携の社会実験であったと言える。産業界では研
足の問題は今年も未だに続いている。それゆえ,結晶シ
究組合を作り実機試験を目指した。学界は研究ネット
リコン太陽電池分野における話題の多くが,低コスト原
ワークを構築し実験・シミュレーションにより理論的な
料の使用,ならびに単位ワットあたりに使用するシリコ
サポートを行い,羅針盤の役目を果たした。それぞれの
ン量の低減である。結晶シリコン太陽電池の低コスト化
立場,役割が的確かつ明確であり良い協力関係が保たれ
には,いわゆるソーラーグレードなどの低品位原料を用
ていることなどが明らかになった。
いる必要がある。しかし,重金属や炭素などの不純物を
多く含む低品位原料を使用する際には,それら不純物等
7.3 計測関連
が原因となる新たな問題が結晶成長時や得られた結晶に
計測関連の調査の一つ目は「光バイオプシー」であ
おいて多く発生している。一方,単位発電量あたりの使
る。光を用いて病態を検出・分析する技術が「光バイオ
用シリコン量低減を実現するための薄型化,高効率化に
プシー」と呼ばれている。この報告では,特にラマン分
関する発表が多くなされ,20%を超える高い変換効率を
光分析を用いた光バイオプシー技術について,分光学の
有する太陽電池が商業生産に移行する段階にある。
基礎も含めて紹介されている。光で生体を診ることへの
8.2 シリコン薄膜系太陽電池
期待は高い。吐き気を我慢する内視鏡検査,X 線被爆を
気にする透視等はできれば避けたいからである。高齢化
今年度は微結晶 Si (μc-Si)では高速製膜(1.5 nm/
が進む日本社会,患者への負担が少ない医療技術,どこ
sec 以上)での高効率化,アモルファス Si およびアモ
まで深く体内を診ることができるか,今後の光計測技術
ルファス Si /微結晶 Si タンデムでは大面積化(~ 5.7
の発展が願われる。
m2)が話題となった。進捗の見られた技術開発テーマ
二つ目の「画像計測による外観検査の最新技術」で
は以下のとおりである。
は,工業製品の疵検査や良・不良判定などの外観検査の
・多接合化と光閉じ込めによる高効率化
23
光産業.indb 23
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8.6 屋外発電量評価の開発状況
・高速製膜技術
・大面積装置によるフルターンキー
国内では,複数の太陽電池モジュールについて屋外で
・プラスチックス基板
発電量の実証比較を行う研究開発体制が整いつつある。
NEDO「太陽光発電システム共通基盤技術研究開発 8.3 化合物薄膜太陽電池
発電量評価技術の研究開発」では,産業技術総合研究所,
今年度は小面積 CIGS セルの効率更新はなかったが,
電気安全環境研究所,日本気象協会,岐阜大学が共同で,
ソーラーグレードシリコンの供給不足から,世界的に商
IEC 61853 に対応した発電量定格技術の研究開発を行っ
業化への動きが加速し,大きな転換期を迎えた。現在,
ている。今年度は,新型太陽電池標準化委員会の協力の
ベンチャー企業を含め世界の CIGS 太陽電池メーカーは
もと,結晶系メーカ 3 社および非結晶系メーカ 3 社の計
約 20 社 と な り,2010 年 の 生 産 能 力 は 2006 年 実 績 の 5
6 社の参加を得て,太陽電池モジュールの発電量定格検
MW/ 年から 1.5 GW/ 年程度になると予想される。これ
証のためのラウンドロビン測定を開始した。
に伴い,原料コストの削減や Cd フリー CIGS セルなど,
(津田芳幸)
商業化を念頭においた研究やフレキシブル太陽電池など
9.アグリフォトニクス(第 8 分科会)
の用途拡大を目指した研究が活発化した。
人類の繁栄は,光合成により植物体内に蓄積された太
8.4 色素増感型太陽電池
陽エネルギーを化石燃料として消費し,食糧として摂取
色素増感型太陽電池はモジュール化技術や耐久性など
することによって維持,拡大されてきた。今,このよう
2
な人類の生命活動が,地球規模の食料,エネルギー,な
以下の小型セルでの評価が中心であったが,25 cm を
らびに環境の三つの問題で顕在化している。国連をはじ
超える大きさの小型モジュールでの効率向上や,樹脂基
めとする各種機関が,2050 年を一つの指標としてこれ
板を用いたモジュールでの改良に進展が見られている。
ら三つの問題について調査,検討を行っており,世界に
一方,効率向上に向けたセル構造の改良や,より基礎に
向けて提言を行っている。
の実用化に向けた研究が進められつつある。従来 1 cm
2
根ざした研究も盛んになってきた。性能向上には色素等
技術動向/アグリフォトニクス分野は,昨年度に続い
の材料開発によるところが大きく,効率 10%を超える有
て 2 年目の活動であるが,今後発展が期待される「植物
機色素や新たな増感材の登場等,今後の発展の可能性の
工場」について農業技術と光技術,光産業との関わりの
芽も出つつある。また,各種耐久試験も行われるように
観点から,特に,光デバイス/光センシング技術と関係
なり,耐久性に関するデータも出つつある。
深い人工環境における植物栽培の現状調査に主眼をお
き,①農業分野への人口光源応用,②作物生産と光環境
8.5 有機薄膜太陽電池の開発状況
の関係,③農業分野への LED 応用,④植生モニタリング・
有機薄膜太陽電池は,従来の無機系太陽電池と比較し
センシングの動向を調査し,「植物工場」の将来にわた
て,低コスト,軽量,フレキシブルといった特徴を生か
る技術展望を行った。
した用途が期待され,太陽電池特性も徐々に向上してき
①「農業分野への人工光源応用」:人工光源の種類と主
たため,次世代の低コスト太陽電池として,色素増感型
なる用途について調査している。[白熱電球]熱放射が
に次いで,注目を浴びるようになってきた。
多く植物生産用としては使用されない。キクの開花制御
現在,日米欧において政府による研究開発補助も積極
やイチゴの休眠防止用,植物工場での発芽促進用として
的になされるようになっており,研究開発のピッチが急
使われている。[蛍光ランプ]単独では植物生産に必要
速に上がろうとしている。一方,ここまで得られた性能
な光強度が得られないため,発芽や育苗照射用として使
をベースに,ロール to ロールプロセス,低価格フィル
用される。しかし,近接照射するトータルシステムで植
ム型太陽電池をキャッチフレーズに早期実用化を目指し
物生産を達成しているものもある。最近では,省電力を
たベンチャー企業がいくつか立ち上がりつつあり,有機
目的とした電照用の電球型や高効率蛍光ランプが普及し
薄膜太陽電池を取り巻く環境は,急速に変わりつつある。
小型閉鎖型苗生産システムに利用され始めている。[メ
タルハライド MHL]高圧水銀ランプをベースに各種ハ
ロゲン化物を添加したもので,輝線を中心とした発光の
24
光産業.indb 24
08.5.27 5:55:59 PM
光技術動向調査
ものと,連続発光を含むものと多様な品種がある。育成
の工夫,栽培植物に適した波長選択,光源システム設計
放射効率の高い高演色形 MHL は,太陽光併設型植物工
および栽培方法の確立が同時に鍵となる。
場やグローバルチャンバーなどの研究施設,オウトウの
④「植生モニタリング・センシング」:植物が他の生物
着色促進試験などで使用されている。セラミックメタル
と異なる最も大きな点は,光合成を行うことである。植
ハライドのランプの応用として,イネやダイズの高照度
物は光合成により光を糖生産のためのエネルギー源とし
形遺伝子組換体閉鎖施設の報告がある。[高圧ナトリウ
て利用している。またそれらをコントロールするため,
ムランプ]発光管に光透過率の高い透光性多結晶アルミ
光を情報源として有効に活用している。それ故に,植生
ナを使用し,管内にナトリウムアマルガムの形で緩衝ガ
モニタリング・センシングに光を情報収集のエネルギー
スとして作用する水銀が封入されている。高圧放電ラン
源および方法・手段として利用するのは妥当である。植
プの中でも育成放射効率が高いため補光照明用光源とし
生診断としてリモートセンシング用のイメージセンサー
て最も多く使用されている。[発光ダイオード]LED の
と同様にデジタルカメラの利用が農業現場で進んでい
特長は低電圧動作,低発熱,コンパクト,軽量,ノイズ
る。植物が光をエネルギー源あるいは情報源として利用
レス,調光やパルス点灯が容易などがあり,宇宙におけ
しているが,利用した残りは熱や蛍光として再放出され
る植物栽培を目的とした研究より始められた。赤色光,
る。そこで,蛍光分光により植生のモニタリングが地球
緑色光,青色光素子の組み合わせや調光により光合成作
規模,衛星観測としても進んでいる。また,アクティブ
用曲線に近似した光質バランスを達成できる。
[レーザー
手法としてレーザ誘起植物蛍光法が,情報通信技術を用
ダイオード]光変換効率が高いため植物工場用光源とし
いて農産物の栽培状況を実時間でセンシングし海外も含
て検討されており赤色と青色光の混合パルス光照射によ
むグローバルなデータ収集と公開する試みがある。
る将来の可能性が示されている。
10.海外実地調査
②「光環境と作物生産」:植物における光環境は,光強
度,日長,光質の 3 要素が重要であり,施設園芸におけ
光技術動向調査委員会活動の一環として,毎年,海外
る光環境制御は光源の視点から,1)自然光+被覆資材,
での訪問地域を決めて調査団を派遣し,その地域での光
2)人口光利用に大別される。1)に関して,簡易被覆(べ
技術開発状況や光技術動向の調査を行う海外実地調査を
たがけ,雨よけ,マルチ,トンネル)および太陽光型の
行っている。
温室(ハウス,ガラス室)では,被覆資材を用いて光環
本年度は,欧州を調査地域とし,世界を先導している,
境の制御を行う。被覆資材で可能な光環境の制御は,光
あるいは,急速に成長を続けていると言われているファ
強度を低下させること,日長を短縮すること,特定の波
イバーレーザー・レーザー加工分野と太陽光発電分野に
長域の光をカットおよび波長組成を変更すること(光質
ついての調査を行った(表 1)。
調節,光質選択,光質変換)である。2)の人口光の利
ファイバーレーザーは,出力エネルギーに対する集光
用に関しては,植物工場の光の利用形態から完全制御型
性が高く,また,ファイバーを加工箇所近くまで近づけ
植物工場と太陽光利用型植物工場に分けられる。また,
ることができる等の特長を有することから微細加工に広
生育および品質の制御に関連して,植物の成長は栄養成
く使用されるようになってきており,高性能化・高出力
長と生殖成長があり,植物生産においては,両者をバラ
化が急速に進んでいる。今回の調査では,ファイバーレー
ンス良く行わせることが必要である。
ザーメーカーの双璧とも言える独英の 2 社を訪問した。
③「農業分野への LED 応用」:LED は,従来の人工光
IPG 社(独)は垂直統合で LD からシステム化まで全て
と比較すると長寿命,小型,省消費電力,熱発生が少な
社内で進めているのに対して,SPI 社(英)はサザンプ
いなどから,植物栽培に適している光源と考えられてい
トン大学と連携を保ちながら,必要なモノは社外から調
る。さらに,LED の利用や制御によって,生産量の向上,
達して製品化していくという水平分業でビジネスを展開
開花時期の促進効果などの研究が進んでいる。LED 植
している。全く異なるビジネスモデルを持つ 2 社の競争
物栽培普及の最大の課題はイニシャル/ランニング共に
が今後どのような展開を見せるか興味深い。
コストが高いことである。省力化,高効率化の観点から
太陽光発電については,日本では補助金制度が終了し
光源を開発すると同時に光源システムの開発も進める必
たために国内市場は頭打ちとなり,国内年間出荷量だけ
要がある,また,波長の組み合わせや光源の組み合わせ
でなく総導入量においても 2006 年にドイツに追い抜か
25
光産業.indb 25
08.5.27 5:55:59 PM
表 1 訪問日程と訪問先
月日
地域(行程)
11/25(日)
(東京・関西→ライプチヒ)
11/26(月)
ライプチヒ
(ライプチヒ→フランクフルト)
訪問先
主な調査内容
(移動)
Q-Cells AG
太陽電池量産工場
11/27(火)
フランクフルト
IPG Laser GmbH
ファイバーレーザー
11/28(水)
フランクフルト
Gut Erlasee (Solon)
ソーラーパーク
Schott Solar
Applied Materials
太陽電池量産工場
太陽電池量産装置
SPI Photonics
サザンプトン大学
ファイバーレーザー,レーザー加工
ファイバーレーザー関連
11/29(木)
フランクフルト
(フランクフルト→サザンプトン)
11/30(金)
サザンプトン
12/1(土)− 2(日) (サザンプトン→東京・関西)
(移動)
れた。今では,市場規模でドイツが日本の 3 倍,総導入
た。その体制のもと今年度は,光通信ネットワーク,光
量でも 1.5 倍以上となっている。2007 年末にはドイツの
メモリ,ディスプレイ,太陽電池の特許出願動向の定点
Q- セルズ社が生産量で世界一の座につくなど躍進を続
観測に加え,光アクセス系,光インターコネクション,
けている。将来のリスク分散の布石として,結晶系の太
ホログラムメモリ,二光子吸収記録技術,プラズマ ・ 液
陽電池セルから薄膜系への展開を図っている点にも着目
晶ディスプレイの技術動向と製造技術動向;有機 EL と
した。さらに Solon 社のソーラーパークを訪問し,太陽
電子ペーパー,薄膜太陽電池(Si 系,化合物系),色素
光発電事業や発電所運用の現状を探った。
増感型太陽電池についてのその詳細な特許動向分析を実
今回の調査にご協力いただいた方々ならびに訪問先に
施した。また,「標準化に見る特許出願戦略」について
深く感謝する。
調査・分析を行った。
(1)訪問日程と訪問先
12.2 特許庁との懇談会(2007 年 12 月 12 日)
(2)調査団構成(敬称略)
特許庁からは特許審査第一部 光デバイス 柏崎審査
団 長:中野義昭(光技術動向調査委員会委員長)
監理官,近藤技術担当室長,前川主任上席審査官ら 6 名,
副団長:藤田雅之(同 加工・計測分科会主査),近藤
光協会側からは八瀬委員長はじめ 12 名の特許動向調査
道雄(同 太陽光エネルギー分科会主査)
委員が出席した。本年度は情報交換と懇談に重きを置
団 員:北林和大(フジクラ)
き、光協会よりは「光技術の最近の動向」と題して光技
団員,事務局:岡部正博(光技術動向調査委員会事務局)
術動向調査委員会より 3 名の委員関係者が出席し,以下
(岡部正博)
の講演を行なった。
“最近の動向 総括”岡部 事務局(中野 委員長代理)
11.国際会議速報
“光材料・デバイス技術の最近の動向”土屋 主査
国際会議速報は,主要国際会議での光技術研究開発の
“光通信・ネットワーク技術の最近の動向”木下 委員
先端動向を,執筆者の主観的な意見を交え,会議終了後
また特許庁柏崎 審査監理官より,“我国企業の国際競
1 ~ 2 週間以内に E メール配信する情報提供サービスで
争力の強化に向けて”の講演がおこなわれ,最近の特許
ある。本年度は 24 件の速報を発行した。速報タイトル,
出願・審査状況に加えて,特許庁で実施されている種々
開催期間,技術分野を表 2 に示す。
の施策について説明いただいた。さらにこれら講演内容
(山口博之)
を交えて,双方出席者間で熱心な意見交換が行なわれた。
12.特許動向調査委員会
12.1 光技術に関する特許動向調査
12.3 特許セミナー
今年度からは,調査実施体制をひとつの技術分野に対
本年度は以下の講演を実施した。
してワーキング・グループを構成し , 複数のメンバーの
第 1 回(2007 年 6 月 20 日):
衆知を集め,より掘り下げて調査・分析する形に変更し
「コミュニケーションツールとしての技術戦略マッ
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光技術動向調査
表 2 2007(平成 19)年度国際会議速報発行リスト
No.
速報タイトル
開催期間
分野
1
OFC/NFOEC2007 ショート速報[基幹伝送]
2007/3/25-29
第 2 分野
2
OFC/NFOEC2007 ショート速報[光ネットワーク関連]
2007/3/25-29
第 2 分野
3
OFC/NFOEC2007 速報[デバイス関連]
2007/3/25-29
第 1 分野
4
OFC/NFOEC2007 ショート速報 [アクセスネットワーク]
2007/3/25-29
第 2 分野
5
ODS2007 ショート速報
2007/5/20-23
第 3 分野
6
WWCS2007 ショート速報
2007/5/21-24
第 5 分野
7
E/PCOS2007 速報
2007/9/1-4
第 4 分野
8
ICNS-7 ショート速報[窒化物半導体光デバイス]
2007/09/16-21
第 1 分野
9
GFP2007 ショート速報
2007/09/19-21
第 1 分野
10
ECOC2007 ショート速報[光材料・デバイス]
2007/09/17-19
第 1 分野
11
FLC2007 ショート速報[液晶]
12
ECOC2007 ショート速報 [光伝送システム]
2007/09/3-8
第 4 分野
2007/09/17-19
第 2 分野
13
ISOM2007 速報
14
ICALEO2007 速報
2007/10/21-25
第 3 分野
2007/10/29-11/1
第 6 分野
15
MOC'07 速報
2007/10/28 - 31
第 1 分野
16
IDW'07 ショート速報 [3D 関連]
2007/12/5-7
第 4 分野
17
PVSEC17 速報
2007/12/3-7
第 7 分野
18
IDW'07 速報[液晶関連]
2007/12/5-7
第 4 分野
19
BiOS 2008 ショート速報 [生体制御・治療,光音響イメージング関連]
2008/01/19-24
第 6 分野
第 2 分野
20
OFC/NFOEC2008 ショート速報[基幹伝送]
2008/02/24-28
21
OFC/NFOEC2008 ショート速報[アクセスネットワーク関連]
2008/02/24-28
第 2 分野
22
OFC/NFOEC2008 速報[光デバイス関連]
2008/02/24-28
第 1 分野
23
OFC/NFOEC2008 ショート速報[光ネットワーク関連]
2008/02/24-28
第 2 分野
24
BiOS 2008 ショート速報 [光コヒーレンストモグラフィー関連]
2008/01/19-24
第 6 分野
第 1 分野:光材料・デバイス 第 2 分野:光通信ネットワーク 第 3 分野:光メモリ・情報処理
第 4 分野:ディスプレイ 第 5 分野:ヒューマンインターフェース 第 6 分野:加工・計測
第 7 分野:太陽光エネルギ 第 8 分野:アグリフォトニクス
よる「我が国の知的財産戦略」,日高 賢治氏(政策研究
プ」 池上 敬一 氏(経済産業省産業技術環境局)
大学院大学教授)による「最近の中国における知的財産
第 2 回(2007 年 9 月 20 日):
の状況について」の 2 件の特別講演を実施した。
「フラットパネル / フレキシブルディスプレイの競
(山口博之)
合動向と開発戦略」 夫 龍淳教授(成均館大学校)
第 3 回(2007 年 10 月 20 日):
「産学連携と特許流通(東工大の例)」 鷹巣 征行
氏(東工大産学連携本部)「産総研の共同研究に関
する新しい取り組み」 西村 泰英 氏(産業技術総
合研究所)
12.4 特許フォーラム
本年度の特許動向調査結果の報告と特別講演からなる
光協会特許フォーラムを 2008 年 3 月 6 日に開催した。
今年度の光技術特許動向調査結果を報告するとともに,
素川 富司氏(内閣官房知的財産戦略推進事務局長)に
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光産業.indb 27
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光 テクノロジーロードマップ
1.はじめに
ネージメントを含めたソフトウエアとアーキテクチュア
当協会では,今後の光技術への具体的ニーズを明らか
技術の革新により現状比で 1/10 に,③さらに光デバイ
にし,それに応える研究・技術開発の道筋を明らかに
ス技術での革新,ブレークスルーにより性能比で消費電
することを狙いとした「光テクノロジーロードマップ策
力を 1/10 にする。これにより,1,000 倍のネットワーク
定」活動と,最先端光エレクトロニクスの研究開発の促
需要増に対して新たなる環境負荷,エネルギー負荷を与
進に資すべく「ブレークスルー技術フォーラム」の活動
えることなく対応するとの目標を設定し検討を進めた。
を行っている。
この中で,ネットワークの省エネ問題を難しくしている
今年度,具体的な「光テクノロジーロードマップ策
要因として,電源供給はネットワークの 3 階層(システ
定」活動としては,2030 年代を視野に入れ,環境・エ
ムレベル / 装置レベル / 物理デバイスレベル)間にまた
ネルギー,省エネの観点から光技術を整理して現状と今
がる問題でもあり,全体俯瞰と,全体の中での個別技術
後の技術課題,ビジョンを示すことが重要との認識に基
課題をより明確にすることにより,省エネに向けての共
づき,今後のトラフックの需要増大が見込まれるネット
通認識,共通技術基盤を作り上げて行くことが重要との
ワークの省エネについて検討を進め,報告書「省エネに
認識で一致した。具体的な省エネに貢献する光技術とし
貢献するネットワーク技術」をとりまとめた。
て,②については,ネットワーク内に流入する不用トラ
「ブレークスルー技術フォーラム」活動は,光分野の新
フィックの除外方法などの方式と電気処理を廃した光技
たなる発展の突破口として期待される技術の研究・開発
術の本質を活用する重要性に触れてあり,光パスネット
促進のため,異分野の研究者も含め交流の場を提供する
ワークによる省エネ,宅内ネットワークの省エネについ
ことを狙いとしたものである。本年度の具体的な活動と
ても例示されている。③については,ネットワークの基
しては,フォトニック結晶やシリコンフォトニクス,テ
本構成要素であるデバイス,装置,伝送方式に関連して,
ラヘルツ,OCT 用光源などの最新ナノデバイスに関連
光スイッチ,光インターコネクション,これらを支える
して「微細構造光デバイス」を,農業と工学との関係,
成長技術,光伝送方式技術,ストレージ,ディスプレイ
特に植物工場への光技術応用に焦点を当てた「アグリ
などについて省エネの観点からの検討が成されている。
フォトニクス」,シリコン基板上での光と電子の融合を
また,光技術によるデータセンタの省エネについても論
目指した技術として注目を集めている「シリコンフォト
じられている。
ニクス」をテーマに設定し,講演会を企画,運営した。
光テクノロジーロードマップは,「真に必要とされて
いる光技術は何か,今後の光技術への具体的ニーズを明
2.情報通信ロードマップ
らかにし,そのようなニーズに応えるためには,どのよ
光テクノロジーロードマップ策定専門員会では,2030
うな技術開発をどのようなタイムスケジュールで進めて
年代を視野に入れた環境・エネルギー,省エネルギーの
いくべきかの筋道を明らかにする」ものとして活動を
観点から,光技術を整理して現状と今後の技術課題,
行ってきた。この位置付けは揺るぐものではないが,益々
ビジョンを示すことが重要との認識のもと,今後共トラ
多様化する社会・市場・技術のなかで,単に技術・製品
フィックの需要増大が見込まれるネットワークとそれを
開発マップ的なマイルストーンを提示する活動以上に,
支える光通信技術について,課題をより明確にして方向
業界内のみならず産学官連携のもとでの横断的・戦略的
性を示すべく検討を進め,報告書「省エネに貢献するネッ
な取り組み,ビジョン作り的な活動が以前にも増して求
トワーク技術」を取りまとめた。
められているものと認識される。
検討の基本的なシナリオとして以下のように考えた。
特に,環境・エネルギー,省エネルギーに関しては,
トラフィック需要が年 40 %の割合で伸び続けるとする
次世代、次々世代にどの様な地球環境をバトンタッチで
と 2030 年頃のネットワーク規模は現状の 1,000 倍に達す
きるかという問題でもあり,「今,目に見えて実感とし
る。これに対応するための技術として,現状のネットワー
て感じられない」が故に対処,対応がともすれば遅れが
ク機器消費電力と比べて総量で上回ることのない革新技
ちになりやすい現状を踏まえ,地球レベル,国レベル,
術,ブレークスルー技術が求められている。これを解決
地域レベル,企業・団体レベル,家庭/個人のレベル,
するためには,① LSI 技術の進展により電子回路消費
各々でのビジョンづくりとその実践が,今までにも増し
電力を現状性能比で 1/10 に,②ネットワーク全体のマ
て重要となる。
28
光産業.indb 28
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光 テクノロジーロードマップ
[光ネットワークの省電力化]
3.微細構造光デバイス・ブレークスルー技術
ルツ波のメタルメッシュ技術を用いたケミカル/バイオ
今年度,「微細構造光デバイス・ブレースルー技術委
センサーなどへの応用が紹介されている。
員会」では,基盤研究から産業応用へと進展著しいフォ
「 光 コ ヒ ー レ ン ス ト モ グ ラ フ ィ 用 の 光 源 技 術: 鄭 昌
トニック結晶をはじめとした微小・微細化技術にとどま
鎬( サ ン テ ッ ク )」 で は, 光 の 干 渉 計 測 を 応 用 し た 非
らず,微細構造に関わる新材料,新デバイスなどに関連
侵襲性の医療診断技術である OCT(Optical Coherence
して,昨年に引き続き「フォトニック・イノベーション」
Tomography)技術の原理,高速/広帯域波長走査型レー
と題したフォーラムを企画し,関連研究者による討論,
ザ光源を用いた SS(swept source)-OCT システムの特
議論する場を設定した。
徴と性能,今後期待されている OCT 技術を利用したア
プリケーションなどが紹介されている。
具体的には,11 月 30 日,京都大学桂キャンパスにお
いて上記フォーラムを開催し,テラヘルツ,OCT 用光源,
「光スイッチングノード用デバイスの現状と今後の課
光スイッチングノード用デバイス,単一光子を操る量子
題:西村公佐(KDDI)」では,NEDO /光協会の「フォ
通信・量子計測,有機デバイス,将来ディスプレイ,フォ
トニックネットワーク技術の開発」プロジェクトに関連
トニック結晶など次世代の光産業を支えるであろう技術
して基礎技術を確立した全光スイッチ,波長可変レーザ,
について討論した。この講演会で討論,検討されたテー
全光波長変換器,アサーマル超小型 AWG,エルビウム
マを中心に報告書を取りまとめた。
ドープ導波路型光増幅器アレイなどの光デバイス技術,
「テラヘルツ技術の応用可能性:川瀬晃道(名大)」で
およびそれらを組み合わせた光ラベルスイッチノード・
は,電波と光の中間周波数に位置するテラヘルツ波(0.1
サブシステムの動作検証結果について紹介されている。
~ 10 THz)の応用技術を中心に,複数の試薬が混ざっ
「単一光子を自在に繰る-量子通信,量子計測への応用:
たサンプル中の特定試薬の分布密度を画像化するテラヘ
竹内繁樹(北大)
」では,光の光子としての性質を利用し
ルツ分光イメージング技術,新しい非破壊非接触の計測
た量子コンピュータ,量子暗号,量子計測,量子リソグ
診断技術としてのレーザテラヘルツ放射顕微鏡,テラヘ
ラフィー等の量子情報技術の基礎原理紹介と,単一光子
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光産業.indb 29
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源による無条件安全量子暗号通信実験,位相超感度を実
4.アグリフォトニクス・ブレークスルー技術
現した 4 光子干渉実験,量子リソグラフィー,回折限界
植物生産ではエネルギーを消費し,その生産物はエネ
を超えた干渉縞の観測実験などについて紹介されている。
ルギーを供給する。したがった,食物生産は,食料,環
「有機 EL デバイスの新規技術動向:宮口敏(パイオニ
境ならびにエネルギー問題に密接に関わっている。穀物
ア)」では,近年脚光を浴びている有機 EL デバイスに
を含む植物生産をいかに安定に,地域間格差なく,効率
関連して,有機 EL パネルの,広視野角,高コントラス
よく,かつ環境に優しく生産するかが今後数 10 年にわ
ト,高速応答などの特徴と共に,現在残っている技術的
たって解決しなければならない重要な技術的課題のひと
課題とその解決方法,および照明を中心とした今後期待
つである。食物における太陽エネルギーの変換,即ち,
されるアプリケーションなどについて紹介されている。
食物の光合成や光形態形成を科学的に解明し,植生現象
「放送から見た将来のディスプレイ:粟田泰一郎(NHK
を人為的に制御し安定した周年供給と安全な食糧供給を
技研)」では,デジタル放送時代に望まれるフルスペッ
目指す新しい試みとして「植物工場」が注目されている。
クハイビジョン薄型 TV,携帯電話・ワンセグ放送に望
現状,植物工場で生産されている葉菜は在来農法と比べ
まれる高品質な携帯用ディスプレイ,将来のスーパーハ
て割高であるが,無農薬栽培,砂ゴミなどの混入がない,
イビジョン計画とそれに望まれる家庭用ディスプレイと
一般生菌数が少なくそのまま使用できる,下葉まで使え
しての超高精細 PDP の開発状況,ユビキタス・ユニバー
捨てる部分が少ない,色・食感・栄養価が高い,年間を
サル放送サービスを可能とする巻物形フレキシブルディ
通じて安定供給できる,清浄度・安全性が担保されてい
スプレイの開発状況などが紹介されている。
る,などの特徴を持っている。
「フォトニック結晶による光の制御:納富雅也(NTT)」
このような認識に基づいて,今年度,新たにアグリフォ
では,フォトニック結晶による光の負の屈折現象とそれ
トニクス・ブレークスルー技術委員会を発足させ,農業
に伴う特異なレンズ効果,群速度制御による「スローラ
と工業・光の技術ならびに農業経済の側面から「植物工
イト効果」,「光の閉じ込め効果」を利用して開発した超
場」の現状と将来を討論することを目的に,
「アグリフォ
高 Q 値共振器とその応用技術などが紹介されている。
トニクス-光が開く新しい農業-」と題して講演会(6
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光産業.indb 30
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光 テクノロジーロードマップ
月 22 日,機械振興会館地下 2 階ホール)を企画,運営した。
「オプティカルファーミング:亀岡孝治(三重大)」で
この講演会で具体的に,討論,検討されたテーマは以
は,光センシング技術を活用してフィールドの作物の生
下のようであった。
育状態などを正しく認識し,この認識を得た上で,将来
「農業の展開と農学・農業経済学:矢口芳生(東京農工
の外乱など不確定要素を予測し,農業における最終的な
大)」では,21 世紀の農林業の展開方向としての生業的
意志決定を行うとのコンセプトに基づく農産物増殖ある
な農業から産業的農業へ,農産物生産農業からサービス
いは強調システムとしてのオプティカルファーミングが
農業への展開と農学・農業経済学の課題について,共生
紹介された。種々のセンシング機器(蛍光 X 線分析,レー
型農業の 3 つの展開方向と技術 ; 資源管理型農場制農業
ザ蛍光分光,可視分光,可視画像,赤外分光,テラヘル
の確立と農業・環境技術,地産地消システムの構築と流
ツ分光など)と用いた現場情報の計測・収集システム,
通・加工技術,カントリービジネスの確立とサービス技
得られた生物情報・環境情報の規格化により,誰でも,
術などについて報告された。
何処でも簡単に利用できる仕組みをつくることを目指し
「光と植物生産業-苗生産から医療用原材料生産まで:
ている。
後藤英司(千葉大)」では,直物工場が太陽光利用の観
5.シリコンフォトニクス
点から太陽光併用型と完全制御型に分類されその各々の
特徴紹介から,植物工場実用化における開発課題,光環
シリコンフォトニクスに注目が集まっている。LSI 内
境制御による高品質な苗,野菜,花の生産に向けての光
に Si ベースの光配線を集積し,金属配線がいよいよ迎
源および照明システム(ハードウエア)と農園芸分野に
える消費電力低減や信号処理速度の限界を突破しようと
おける光と食物に関する研究融合の重要性,新しい植物
いう気運が高まっており,応用範囲もコンピュータ,光
生産業としての機能性物質の生産,薬用植物の生産,工
通信,モバイル,PC から家電品まで広く期待されてい
業原料の生産,医療用原材料の生産,遺伝子組み換え植
るからである。このため,光テクノロジーロードマップ
物栽培例などが紹介された。
策定事業の一環として,8 月より委員会設立の準備を始
「農業分野への人工光源の応用:田澤信二(岩崎電気)」
め,当協会のミッションである産学官連携の立場から,
では,光と植物育成に関する基礎事項(有効放射の波長
企業,大学,独法の研究機関に所属する 14 名の委員と
域,光合成の光強度,光合成作用曲線,光形態形成反応)
2 名のオブザーバからなるシリコンフォトニクス・ブレー
の概要から,人工光源(高圧ナトリウムランプ,メタル
クスルー技術委員会を 11 月 1 日付で正式に発足した。
ハライドランプ,蛍光ランプ,白熱電球,LED など)
今年度の委員会は 3 回開催し,第 1 回目の 12 月 11 日
の施設園芸,植物工場,害虫駆除照明などへの応用例が
の委員会では,各委員より専門家の立場からシリコン
紹介された。
フォトニクスに対する見識を述べて頂き,本委員会設立
「現場から見た日本の植物工場:小倉東一(バイオエッ
の意義を確認し合った。第 2 回目は 2 月 1 日に行われ,
クス)」では,現在稼働中の 6 施設について,具体的な
シリコンフォトニクス研究を牽引しておられる東京大
施設概要,生産品目・生産品の特徴,安全性への取り組
学 の 和 田 一 実 教 授 よ り,”Si-Photonics Past Present &
み,植物工場の構成要素などと共に,これまでに展開さ
Future”と題する講演を頂き,この分野の重要性と将
れた取り組み・今後の展望等が紹介された。
来性を説いて頂いた。第 3 回目は 3 月 10 日に開催し,
「LED を光源とした植物栽培研究:渡邊博之(玉川大)」
経済産業省の昌原明植氏により,「グリーン IT イニシ
では,最近の LED の高輝度化,高効率化を踏まえて,
アティブ」と題する講演を頂き,シリコンフォトニクス
LED の植物栽培光源としての特徴と LED ランプによる
技術に対する省エネや環境保全の観点からの期待を述べ
植物栽培の研究事例が紹介された。具体的には,LED 光
られた。また,この委員会の終了後,ホテル・グランド
の単色性を利用したタバコの薄層栽培法(TCL)を用い
パレスにて,当委員会主催の“シリコンフォトニクス技
ての花芽形成に関する植物生理学的な研究例,LED が作
術フォーラム”を開催した。ここでは,この新分野を開
り出す特殊な光環境のハーブや薬草の有効成分への影響
拓中の講師の方々をお招きし,シリコンフォトニクスの
に関する研究例などと共に,LED チップの水冷パネルの
経済社会的意義づけを始め,光源から導波路を経て光検
工夫により光量当たりのランプコストと時間当たりの償
知器にいたる各要素技術の最新動向を解説頂き,参加者
却費を低減した大規模野菜工場の例などが紹介された。
数も約 130 名で予想以上の活況を呈した。
31
光産業.indb 31
08.5.27 5:56:07 PM
本フォーラムでは最初に,大橋啓之氏(NEC/MIRAISelete)が「シリコンフォトニクスというアプローチ」
と題する講演を行い,シリコンフォトニクスの長所が,
高度に発達した Si-LSI の製造プロセスによる微細加工
技術を用いることにより,光デバイスや機器の製造コス
トを下げられる可能性を持つことであり, R. Soref の提
案に始まるシリコンフォトニクスの考え方について基本
に立ち返りながら,どのように実用化を進めていくべき
か総論的に述べられた。
各論の第一は,木村忠正教授(電通大)の「シリコ
ンフォトニクスにおける光源開発の最前線」と題する
講演で,バンド間再結合発光効率が 10-6 と小さいバル
ク Si をベースとした高効率発光材料とデバイス開発へ
のさまざまな試みと成果について最新の状況をレビュー
された。続いて,石川靖彦講師(東大)より,「Si 上 Ge
受光素子」と題する講演があり,Si 基板や SOI(Siliconon-Insulator)基板をプラットフォームとすることで,
CMOS 技術の信頼性や生産性を光素子作製に適用でき,
光・電子素子のモノリシック集積も視野に入るという観
点から,受光素子の最新動向を解説された。そして,山
田浩治氏(NTT)より,「シリコン光導波路とデバイス
集積」と題する講演が行われ,シリコン細線導波路型フォ
トニックデバイスの特性は,現状では石英系導波路や
III-V 化合物デバイスに及ばないが,集積化については
シリコンが格段に有利である。今後はデバイス特性の向
上に加え,集積化などシリコンフォトニクスの特徴が活
きる応用形態の確立が重要である,と力説された。最後
に,小柳光正教授(東北大)より,「シリコンフォトニ
クスへの期待」と題する講演があり,LSI チップ間やチッ
プ内の配線遅延や消費電力の急増から,近い将来,チッ
プ間やチップ内にまで光インターコネクションを採用し
ようとする動きも活発になっている。しかし,光素子の
低電力化,高効率化,高精度実装技術など,問題が山積
しており,これらの課題を解決する可能性を持つ技術と
して,シリコンフォト二クス技術が注目されている,と
締めくくられた。
以上の調査内容は,「平成 19 年度シリコンフォトニク
ス・ブレークスルー技術委員会調査報告書」としてまと
められ,関係機関に配布された。この技術は,デバイス
性能の向上と省エネや環境保護への寄与が同時に期待さ
れるだけに,今後の振興が強く望まれる。
32
光産業.indb 32
08.5.27 5:56:08 PM
研究開発の推進
1.次世代高効率ネットワークデバイスの技
術開発
電 力 が 240 mW(= 4.8 mW/Gbps) と な る こ と を 確 認
研究開発の内容および成果等
較すると,1/4 ~ 1/10 となる。25 Gbps/ch にしても光
した。市販 SFP+ モジュールの光 Tx 側の消費電力と比
【高速多重・分離回路技術】
Tx/Rx-1 ch の消費電力は高々 1.2 倍程度に留まるとの
高速多重・分離回路技術に関しては,光 NIC に搭載
見積結果に加え,更なる微細化,回路パラメータ最適
すること目指した上で高速性(40 Gbps)と従来の 1/3
化,およびリンクに応じた LD 電流マネージメントの適
以下となる低消費電力を実現する事を目標とする。19
用を考慮すると,光 Tx 単独で 2 mW/Gbps 程度まで低
年度は,はじめに,多重・分離回路の機能調査,高速
減できると考えられ,光 Rx 側も含めた消費電力を 10
I/O インタフェースの外部接続条件の検討行い,内部回
mW/Gbps まで抑えた光 I/O の実現にも目処が付いた。
路構成を検討し,目標特性を設定した。高速 I/O 回路
また,光 I/O の高信頼化を検討するため,VCSEL 故障率,
開発においては,予備調査として 20 Gbps 動作のテスト
冗長構成,エラー訂正機能,復旧時間,システム規模等
回路を試作・評価し,シミュレーションと実測値の比較
を考慮した簡単なモデルによる通信無エラー率の算出を
結果をデバイスモデルにフィードバックし,高速シミュ
行った。その結果,100 ch 規模のシステムにおいては,
レーション技術の精度向上を図った。このシミュレー
光 Tx の 2 重冗長化により,無エラー率が約 35 ~ 99%
ション技術に基づき,40 Gbps 動作のテスト回路,およ
にまで改善することなどが判明した。
び他の個別要素回路(発振回路,クロック同期回路など)
【LAN-WAN 間大容量信号変換技術】
を設計し,更に,要素回路を集積化した IC の設計試作
LAN 側の 40 GbE/100 GbE 技術については IEEE802.3
を前倒しで実施した。更に,試作した IC の高速性能を
委員会,WAN 側の OTN 技術については OIF や ITU-T
評価するための小型パッケージの試作を行った。高速
の動向を調査し技術動向を把握すると共に,10/40/100
I/O インタフェース,CMOS プロセスの最新動向を調査・
GbE 等 の イ ー サ 系 信 号 を 収 容 し た 次 世 代 OTN 収 容・
整理し,電子情報通信学会研究会で報告を行った。
転送技術について検討行い,その結果を 2008 年 1 月の
【超高速光受信アナログ FE の技術開発】
インタネットアーキテクチャ研究会並びに 2008 年 3 月
25 Gbps の高速動作と 10 mW/Gbps の省電力動作を実
投 稿 締 切 の SAINT2008 ワ ー ク シ ョ ッ プ へ 投 稿 し た。
現するため,トランスインピーダンスアンプ(TIA)の
WAN 側の転送技術については,ITU-T SG15 全体会合
実現性を検討した。高速動作性能の指標であるトランジ
へ寄書提案を行った。LAN/WAN 間信号収容変換回路
スタ特性と動作周波数の関係を調査し,25 Gb/s 動作に
の開発を進めるためには,その高速インタフェース回路
は電流遮断周波数 fT が 80 GHz 以上必要であることを
部の評価・検証が必要になる。現状,高速インタフェー
見出した。更に SiGe プロセスをベースに基本回路を設
ス回路を測定するための測定器が存在しないため,評価・
計し,シミュレーションにより 25 Gb/s 動作する見込み
検証に時間がかかる可能性がある。そこで,本年度は高
を得た。また,現状試作可能な SiGe-TIA の電力消費は
速インタフェース測定器を開発した。開発した測定器の
10 ~ 15 mW/Gbps 程度と見積もった。さらなる省電力
有効性確認のため,富士通分室で開発を行っている高速
化に向けて,CMOS-TIA のシミュレーションを開始し
CMOS インタフェース回路の基本機能部分について共
た。デバイスパラメータの充実による高精度化が今後の
同で検証実験を実施した。合わせて,省電力化に向けた
課題である。また,パッケージにおける高周波伝送シミュ
高速インタフェース回路の検討を行った。
レーションを実施し,25 Gb/s 信号伝送の見込みを得た。
【超高速・省電力面出射レーザの開発】
InP プロセスを用いた TIA 回路を基本実装基板上に搭
本開発では高速動作特性と省電力性を兼ね備えた
載して高速動作を評価し,異常な発振の無いこと,25
1.3μm 波長帯の面型レーザとして,水平短共振器面出
Gb/s 適応に充分な帯域を有していることなどを実験的
射型レーザの検討を進めている。H19 年度は,水平短共
にも確認した。
振器面出射構造の作製プロセス技術ならびに超高速動
【超高速光送信ドライバの開発】
作に向けた素子設計技術を検討した。まず,作製プロセ
プロセスの微細化(130 nm SiGe BiCMOS)および回
ス技術の検討では,短共振器レーザの面出射化実現に向
路パラメータの最適化を行った LD ドライバを用いて
けて,高温動作特性に優れた InGaAlAs 系レーザ共振器
12.5 Gbps-4 ch の小型光 Tx モジュールを試作し,消費
構造上に,全反射ミラーとビーム狭窄用レンズをモノリ
33
光産業.indb 33
08.5.27 5:56:08 PM
シック集積する基本技術を開発した。次に,素子設計技
SOI 基板を用いたリブ型導波路を採用した。このリブ型
術の検討では,短共振器レーザの高速動作化に向けて,
導波路は,メサ部のサイズを適切に設計することで,実
歪量子井戸の非線形利得飽和,量子井戸へのキャリア捕
質的にシングルモード条件を満たしつつ,曲げ導波路の
獲についてモデル検討した。また,高温動作に向けて,
曲率半径を 30μm程度まで低減することができ,その
バンドオフセットなど InGaAlAs 系材料のバンド構造パ
結果リング共振器の共振周波数間隔(FSR)の拡大がで
ラメータ依存性やリーク電流のデバイス構造依存性を検
き,波長可変光源の小型化および波長可変幅の拡大が可
討し,次年度の試作方針を立てた。
能になることを確認した。また,このシリコン・リブ型
【高速直接変調レーザの技術開発】
光導波路と SOA との間を高効率・低反射で結合するた
低消費電力の高速直接変調レーザ技術の実現に向け,
めの結合構造として,SOA とスポットサイズがほぼ等
低動作電流で高速動作可能とするよう活性層体積を低減
しい SiON 導波路を介して結合させる構造を検討した。
でき,かつ両端面を無反射コートとして素子端面での回
更に,上記のシリコン・リブ型導波路を用いたリング共
折格子の位相ゆらぎの影響なく単一モード発振できるよ
振器と SOA を上記の SiON 導波路を介して結合させ,
うに,回折格子を有する受動導波路と回折格子を有する
波長可変光源の発振および波長チューニングの基本機能
活性領域を組み合わせた共振器構造をシミュレーション
を実証した。
技術を基にして検討した。これをもとに共振器構造を設
【高効率半導体光増幅器の技術開発】
計し,回折格子を含む導波路作成技術の検討を踏まえて
LAN-SAN の OTDM-NIC の集積化・省電力化に向け
AlGaInAs 系埋め込み型レーザ構造で素子の試作を行い,
た高効率な半導体光増幅器(SOA)の実現を目指し,原
単一モード発振を確認した。また,量子ドットレーザ技
理的に高効率で高温動作が期待できる量子ドット SOA
術に関しては,高速化の制限要因となっている量子ドッ
を中心に開発を進めている。平成 19 年度は,既存の量
ト固有の強いダンピング現象の緩和に必須の利得特性の
子ドット SOA の増幅特性の電流依存性と温度依存性を
改善を目指して結晶成長技術の改良を進め,量子ドット
評価して現状の特性を把握し,シミュレータを構築して
の高密度化による量子ドット活性層の利得向上効果を検
量子ドット SOA の高効率動作化の設計指針を得て,試
討した。
作によりその効果の基本確認を行った。既存の量子ドッ
【高感度光受信モジュールの技術開発】
ト SOA では高温動作時の利得低下が大きく,その改善
平成 19 年は,25 Gbps 動作可能な小型・高密度光受
には活性層からの漏れ電流の抑制が重要との知見を得
信フロントエンド用フォトダイオードの実現に向けて,
た。これに基づき,活性層を越えて流れる無効電流を低
高速性,高感度性ならびに高密度実装性を兼ね備えた
減する構造を持つ新しい量子ドット SOA を試作し,従
フォトダイオードの基本構造の提案ならびに基本設計
来と比べ高注入時に高エネルギー側の利得が増加し,高
を行い,さらに計算機解析による性能評価を行った。そ
温動作時に高エネルギー側の利得低下が抑制されること
の結果,3 dB 帯域が 30 GHz 以上,受信感度が 0.8 A/W
を確認した。今後,さらに漏れ電流を抑制する構造や量
程度の高速かつ高感度なフォトダイオードの実現が可能
子ドット構造の最適化を検討し,高効率 SOA の実現を
であることがわかった。さらに,高密度集積実装の検討
目指す。
を行った結果,光結合トレランスの改善のため,フォト
【入力ダイナミックレンジ拡大波長変換器】
ダイオードにレンズを集積化することが重要であること
半導体光増幅器(SOA)を集積したマッハツェンダー
がわかった。そこで,集積レンズの作製プロセスの検討
干渉計構造を基本とする波長変換器において,信号光入
を行い,良好な集積レンズ作製技術の確立に成功した。
力のパワーに依存しない波長変換動作(入力ダイナミッ
【小型省電力波長可変光源の技術開発】
クレンジの拡大)を開発目的とする。そのため信号光入
シリコン光導波路と半導体光アンプ(SOA)を組み
力のパワー変動に対して一定の信号光を出力する安定
合わせた小型低消費電力波長可変光源の要素技術とし
動作用 SOA を波長変換器に組み合わせる構成を検討し
て,基本構成要素の構造および製造プロセスを検討し
た。平成 19 年度はこの安定動作用の単体 SOA の構造を
た。具体的には,小型低消費電力波長可変光源に適した
設計し,試作を行った。試作した安定動作用 SOA に 40
光導波路として,製造誤差や波長に対するトレランスが
Gbps の信号光を入力し,入力光パワー変動が 9 dB の範
比較的大きく,小型化にも適している点等を考慮して,
囲で出力光パワー一定の良好な 40 Gbps 波形を出力する
34
光産業.indb 34
08.5.27 5:56:09 PM
研究開発の推進
ことを検証した。 光ルータ技術の導入を促し,実用化が推進すると期待し
ている。国際学会 - 国内学会発表 3 件
研究発表 / 講演 7 件,特許出願 11 件。
(小野佑一・伊藤雄一郎)
(小野佑一・伊藤雄一郎)
2.超高速/大容量電子制御型波長多重スイッ
チノードデバイスの開発の成果普及事業
3.大容量ストレージのためのナノマスタリ
ング技術の研究開発
本事業は,平成 14 ~ 18 年度まで実施されたプロジェ
2007 年度に独立行政法人 新エネルギー・産業技術総
クト「フォトニックネットワーク技術の開発」のうち,
合開発機構(NEDO)が財団法人 光産業技術振興協会
『超高速/大容量 電子制御型波長多重光スイッチノード
((財)光協会)と共同研究契約したプロジェクト「大
デバイスの開発』における研究開発の成果普及を目的と
容量ストレージのためのナノマスタリング技術の研究開
したものである。
発」は,2006 年度に終了した「大容量光ストレージ技
情報通信社会の進展に伴う通信トラヒックの爆発的な
術の開発」プロジェクトで開発した 1 テラビット /inch2
増加を踏まえ,近い将来には,光・電子・光(OEO)
級の要素技術を実用化に結びつけるために,記録密度
変換しないで経路切り替えを行う,低消費電力光ルータ
300 ギガビット~ 1 テラビット /inch2 級の超高密度・大
の開発が必須だと考えられている。我々は,先行する「超
容量ストレージに対応したディスク原盤やスタンパー
高速/大容量 電子制御型波長多重光スイッチノードデ
(金型)を作製するナノマスタリング技術の実用化研究
バイスの開発」プロジェクトにおいて,高速な光マトリッ
開発を行うと同時に,外部評価等を通じて,要求仕様
クススイッチを用いた光バーストスイッチング(OBS:
に応じて原盤からスタンパーに至る作製条件を最適化
Opitcal Burst Switching)ノードのプロトタイプ開発に
し,製品レベルの原盤,スタンパーを確実に作製する実
成功し,光メモリを用いることなく光信号の衝突を回避
用化技術としての確立を目指している。研究開発期間は
する実用的な衝突回避や,異なる通信伝送速度のデータ
2007 ~ 2009 年度である。
の混在が可能な柔軟な信号伝送など,OBS に求められ
このプロジェクトでは,(財)光協会が研究開発責任
る機能を世界に先駆けて実証した。しかし,これらの検
者となり,(財)光協会内に設置した光ストレージ推進
証は全て安定した研究室環境で行われたものであり,
機構内に,3 企業の研究開発者を集め,①記録密度 300
様々な信号劣化要因が存在する実システムにおいての適
ギガビットト /inch2 の光ディスクに対応するナノマス
用性は,未だ検証されていない。今後,本技術の実用化
タリング技術の実用化開発,②記録密度 500 ギガビット
を推進するにあたって,これらの実環境に対する耐性を
~ 1 テラビット /inch2 の固定型ディスクに対応するナ
検証することは不可欠である。
ノマスタリング技術の実用化開発の 2 テーマの研究開発
このような背景のもと,本事業では,当該 OBS 装置
を行う。
の実環境試験を行うことで,光ファイバの温度変化や架
高度情報化社会の発展による保存情報量(デジタルメ
空区間の振動などの複合的な影響を受け複雑に信号劣
モリ)の飛躍的な伸びに伴い,光ディスク装置や固定型
化する実網環境においても,十分に耐性があることを実
ディスク装置等の情報ストレージ装置普及台数の大幅な
証することを目的とした。具体的には,JGN2 光テスト
増加が見込まれ,これらの機器を動かすのに必要な総電
ベッドの大手町~小金井間に敷設された実ファイバ(片
力消費量も大きく増加することとなる。そこで,保存情
道 46 km)に当該 OBS ノードを接続し,各種機能を検
報量の伸びを抑えること無く,この総電力消費量の増加
証した。その成果として,ビットレートが混在した(10/40
を抑えていくことが,情報化社会の発展と省エネルギー
Gbps)大容量波長多重光バースト信号について,1 ホッ
とを共存させるための重要な課題である。本開発の目的
プ・2 ホップルーティング, 衝突回避な ど 各 種 シ ナ リ
は,情報ストレージ装置の高記録密度化を従来のトレン
オを想定し,全ての場合において安定なエラーフリー
ドよりもさらに増大させ,装置 1 台当たりの記録容量を
フィールド伝送に成功した。さらに,40 Gbps イーサフ
より大きくすることでエネルギー消費効率を上げる。そ
レームの転送,実アプリケーションのデータの伝送,
して,本開発により得られた技術を 2011 年度に商品化
QoS 機能の付加にも成功し,上位レイヤとの整合性を実
することで,2012 年度の省エネ効果量は成功率 1/3 を
証した。本成果により,通信キャリアや機器ベンダに,
考慮して原油換算 8.8 万 kl/ 年を目指す。
35
光産業.indb 35
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図 1 開発の位置付け
図 2 高性能ディスクの形態と流れ
①記録密度 300 ギガビット /inch2 の光ディスクに対応
発し,さらに,開発した技術について外部評価を通じて
するナノマスタリング技術の実用化開発のテーマでは,
実用化技術として確立する。図 1 に本テーマの目標と
記録密度 300 ギガビット /inch の光ディスクに対応す
位置づけについて,図 2 に高性能ディスクの形態と外
るナノマスタリング技術の実用化開発を行うため,対応
部評価等普遍技術の確立から新規市場創出までのフロー
するナノマスタリング装置と,フォーマッタシステム技
について示す。
2
術を開発し,これらを用いた光ディスク原盤試作と,試
本年度は初年度にあたり,①,②のテーマとも,電子
作した原盤からのスタンパー作製技術を開発する。さら
ビーム描画装置立ち上げ,全プロセスを通したスタンパ
に,開発した技術について外部評価を通じて実用化技術
試作と課題抽出,80 ギガビット /inch2 サンプル試作を
として確立する。次に,②記録密度 500 ギガビット~ 1
目標に研究開発し,これらの目標を達成した。また,
2
テラビット /inch の固定型ディスクに対応するナノマ
2006 年度に終了した大容量光ストレージ技術開発から
スタリング技術の実用化開発のテーマでは,記録密度
ナノマスタリングに関係する機械装置を本プロジェクト
500 ギガビット~ 1 テラビット /inch2 の固定型ディスク
に供用換えし研究開発する。 (杉森輝彦・村上照夫)
に対応するナノマスタリング技術の実用化開発を行うた
4.低損失オプティカル新機能部材技術開発
め,対応するナノマスタリング装置と,フォーマッタシ
平成 18 年度に独立行政法人新エネルギー・産業技術
ステム技術を開発し,これらを用いた固定型ディスク原
総合開発機構(NEDO)が財団法人光産業技術振興協会
盤試作と,試作した原盤からのスタンパー作製技術を開
(光協会)に委託したプロジェクト「低損失オプティカ
36
光産業.indb 36
08.5.27 5:56:12 PM
研究開発の推進
ル新機能部材技術開発」は,従来の光学部品の性能を超
す。本年度は昨年導入した機械設備および開発した成果
える新たな部材創出を目的とし,動作原理に近接場光を
を基に各要素技術を深耕し,ナノ構造を用いた低損失偏
用いた低損失オプティカル新機能部材実現を目指したも
光制御部材で中間目標を達成できる目途が立つなど画期
のである。そして,平成 22 年度までに,ナノ構造を用
的な成果が得られる等,大幅な進捗を得た。以下本プロ
いた低損失偏光制御部材について,赤,青,緑,各波長
ジェクトで開発した主要な成果について報告する。
領域において透過率 75%,消光比 1:2000(33 dB)が
4.1 基盤技術研究開発
得られることの実証を目標としている。さらに,ナノ構
造部材オプティカル新機能応用技術として光論理ゲート
・共同研究している国立大学法人・東京大学で,平成
と近接場光導波技術について検討し,機能を確認する。
18 年度に得たシミュレーション結果を元に,2 次元
このため,(財)光協会にナノフォトニクス推進機構
構造体と 3 次元構造体の高効率偏光板の最適化と,
を新設し,これを核に 6 企業,3 大学の研究者を集め,
作製技術を考慮したシミュレーションを行い,60%
東京大学・大津元一教授を研究開発責任者に,開発項目
以上の偏光変換効率が得られるナノ寸法 2 次元構造
にあわせて,①近接場光基盤評価技術,②近接場光媒体
体と 3 次元構造体の各配列を得た。その結果,既存
技術の 2 テーマの研究開発を行っている。本プロジェク
の原理では到達不可能な高効率偏光板の設計に成功
トでは,国立大学法人・東京大学,東京工業大学と,独
し,偏光板作製・評価に着手している。
立行政法人・国立高等専門学校機構 ・ 国立東京工業高等
・近接場光領域と伝搬光領域を統合したシミュレー
専門学校と共同研究し,川上(サイエンス),川中(テ
シ ョ ン 技 術 の 開 発 に 着 手 し,FDTD 法 に よ る 計 算
クノロジー),川下(プロダクト)の垂直連携で情報機器,
結果から伝播光領域における偏光状態を計算する
家電分野に不可欠な新機能部材を開発し,川下産業の競
基本的手法実現の目処を得た。また,定常状態の効
争力強化に貢献している。図 3 に本プロジェクトの推
率 的 な シ ミ ュ レ ー シ ョ ン と し て RCWA(Rigorous
進体制を示す。近接場光はナノ寸法物質表面に発生する
Coupled Wave Analysis)法がナノ構造効果の効率
伝搬しない電磁場で,ナノフォトニクスではこの近接場光
化の方策として有用であることを示した。
を介して起こる励起エネルギー移動を活用して,計測,光
・数十ナノメートルレベルのナノ構造部材作製技術の
デバイス機能の発現,微細加工等を行います。ナノフォト
各種要素技術を検討し,中間目標に対応した加工を
ニクスにより,これまで超えられなかった光の回折限界を
可能とする基本プロセスを抽出した。
超え,光技術に質的,量的変革をもたらすことができる。
・試作した Z 型偏光素子について,微小領域光学特性
基盤技術研究開発のテーマでは,川上のサイエンスか
顕微分光評価装置を用いて 30μm の狭い領域でも高
らテクノロジーまで共通基盤技術として,ナノ構造部材
精度の光学特性評価が可能なことを確認した。
の設計・作成・評価技術を開発すると共に,ナノ構造部
・光論理ゲート素子を作製する要素技術について,
材に発現する近接場光の機能を動作原理とするオプティ
GaAs 基板上に InAs 量子ドットを成長させる MBE
カル新機能部材を検討し機能を確認している。
(Molecular Beam Epitaxy)制御条件を最適化した。
このために基盤技術として,シミュレーション技術,
・平成 18 年度に導入したチップ増強ラマン分光装置
ナノ構造作成のための微細加工技術,評価技術を開発す
を用いて,金属ナノ粒子近傍でのプラズモン増強現
ると共に,開発した基盤技術の新規な光機能部材への応
象と,100 nm オーダーの空間分解能を確認した。
用を検討している。 ・ナノ構造部材の光学・形状特性を評価するプローブ
ナノ構造を用いた偏光制御部材研究開発のテーマで
構造を検討し,φ 4 nm の光スポットが得られる光
は,ナノ領域での近接場光の特性を利用し,プロジェ
ナノプローブを提案した。
クト開始後の平成 22 年度に,赤色,青色,緑色それぞ
・昨年度東京大学に設置した装置で,半導体量子ドッ
れの波長領域において透過率 75%以上,消光比 1:2000
ト資料の基礎光学特性を測定し,ナノフォトニック
(33 dB)が得られる低損失偏光部材を開発している。そ
論理動作が可能なことを確認し,半導体量子ドット
してこの目標を達成するために,ナノ構造を用いた偏光
の積層構造で論理回路動作に必要な量子ドット間の
制御部材設計技術と作製技術を開発している。図 4 に
近接場光エネルギー移動を確認した。
低損失偏光制御部材を用いたプロジェクター光学系を示
・金微粒子を用いたナノフォトニック論理ゲートの出
37
光産業.indb 37
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図 3 プロジェクト推進体制
図 4 低損失偏光制御部材を用いたプロジェクター光学系
力部,伝播光と近接場光との変換手法としてスポッ
計算の目処を得た。 トサイズ変換導波路を検討した。
・金属ナノ構造を用いた偏光制御部材を作製し,微小
・ナノ粒子等のナノ構造部材を用いた導波路として,
領域を測定できる偏光光学評価装置で金属ナノ構造
銀ナノ粒子高密度分散材料やコアシェル型金属ナノ
による位相差付加機能を確認した。続いて,大面積
粒子を検討した。
化のための基盤技術の検討を開始した。
(杉森輝彦・村上照夫)
・昨年度着手した金属ナノ構造を電気双極子分極モデ
5.レーザ加工分野における省エネルギーの
可能性に関する調査
ルで近似する解析的手法に基づき,偏光制御部材特
近年では地球温暖化やエネルギー資源の枯渇が問題視
性との統合計算手法を検討し,局所領域の光学特性
されており,加工技術自体にも省エネルギー化が求めら
4.2 ナノ構造を用いた偏光制御部材研究開発
38
光産業.indb 38
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研究開発の推進
れている。 レーザ加工には従来加工法にない優れた特徴
22.9 万 kℓ/ 年
が多いため,適切な加工工程への導入により,大幅な省
c)ワイドギャップ半導体デバイスの電力制御適
エネルギー化が期待できる。レーザ加工全般について,
用により 280 万 kℓ/ 年
エネルギー消費量および省エネルギー技術を幅広く調査
b.動力機器や運輸機器への適用
し,今後のレーザ加工に関する研究開発の基礎データと
a)自動車の軽量化・燃焼効率の改善・摩擦損失
することが,この調査の目的である。
低減・走行抵抗の低減 7.9 万 kℓ/ 年
レーザ加工による省エネルギー化の方策として,次の
b)次世代電車 車体軽量化・直接モータ駆動等
三つを想定した。(a)従来加工法のレーザ加工への置換
の省エネ新技術 45.5 万 kℓ/ 年
え(b)レーザ加工法の別のレーザ加工法への置換え(c)
c.電子情報機器などの量販部品での適用 127 万
レーザ加工機のエネルギー利用効率の向上。また,レー
kℓ/ 年
ザ加工の特徴を生かした副次的な省エネルギー効果も,
【他方式加工の中でレーザ加工に置換え可能な装置の省
重要な調査項目とした。近年の市場動向およびエネル
エネルギー効果】
ギー消費動向より将来のエネルギー需要を予測し,上記
1)プリント基板用レジスト剥離のレーザ加工への置
方策による 2030 年のエネルギー需要の低下分を原油換
換え 19.1 万 kℓ/ 年
算して,省エネルギー量とした。調査結果を次に簡単に
2)FPD・太陽電池・Si 半導体・LED 製造のレーザ
まとめる。
加工への置換え 100 万 kℓ/ 年以上
【現状のレーザ加工についての省エネルギー効果】
【重点課題の抽出】
1)省エネルギー改良技術によるもの
(1)即効型国産技術革新課題:日本が誇るレーザ技術
a.ガスフロー型 CO2 レーザ
をより強化して省エネルギー効果を探る
a)放電励起 / 共振器の最適化 / 冷却装置・送風
1 - 1 CO2 レーザの第二世代技術革新
機・熱交換器の効率向上 69.6 万 kℓ/ 年
1 - 2 エキシマレーザの第二世代技術革新
b)切断加工におけるビーム照射条件やビーム制
(2)国際競争力育成に資する技術革新課題:未発達な
御技術の最適化 35.0 万 kℓ/ 年
レーザ技術を強くして省エネルギー
b.エキシマレーザ露光機:運転率・光利用効率・
2 - 1 高輝度・高出力 LD の開発
2 - 2 高出力・高効率・高ビーム品質な連続発
リサイクル効率の向上 6.1 万 kℓ/ 年
2)新たな省エネルギー開発技術によるもの
振(CW)ファイバレーザの開発
a.金属の切断加工用レーザ:CO2 レーザの総合効
2 - 3 LD 励起パルス発振固体・ファイバレーザ
の開発
率向上 153.2 万 kℓ/ 年
b.個体レーザ
2 - 4 深紫外コヒーレント光源の開発
a)LD 励起等による個体レーザの効率向上 6.4
(3)国際競争力育成に資する科学技術革新課題:新規
万 kℓ/ 年
レーザ科学技術開発で省エネルギー
b)自動車産業他への応用(金属溶接などの新規
3 - 1 ピコ秒(1 ps -10 ps)パルスレーザの開発
分野) 63 ~ 76 万 kℓ/ 年
3 - 2 サブピコ秒( < 1 ps )ファイバレーザの
c.微細加工用の新個体レーザ:大きな二次的省エ
開発
ネ効果
3 - 3 空間レーザビーム制御技術の開発
d.半導体レーザ直接加工:高効率個体レーザや微
3 - 4 波長変換技術の開発
細加工用新個体レーザの開発が肝要
(黒田文彦)
3)製品の高品質化・軽量化・高品質化・省力化等に
よる二次的効果
6.自然な立体視を可能とする空間像の形成
に関する調査研究
a.電力機器や発電素子への適用
a)太陽電池製造への適用 モジュール変換効率
2006 年度には「立体画像ディスプレイフィージビリ
向上により 310 万 kℓ/ 年
b)変圧器鉄心への適用 鉄損の軽減により ティ調査」(日自振からの補助事業)として,技術開発
39
光産業.indb 39
08.5.27 5:56:17 PM
状況から応用分野に至るまでの幅広い調査・分析を行
い,立体ディスプレイ普及のための方策と今後行うべき
技術開発課題を検討した。
2007 年度は,上記調査で明らかにされた技術開発課
題の中で最も重要な研究開発とされた「自然な立体視を
可能とする空間像の形成技術」に的を絞り,財団法人機
械システム振興協会からの委託により調査研究を行っ
た。立体ディスプレイの技術開発状況の調査結果に,応
用面からの要求と自然な立体視の条件を加え,将来の技
術開発の目標となる立体ディスプレイの開発モデルを構
築した。このディスプレイを実現するための技術課題を
図 5 自然な立体視ディスプレイ
摘出して今後の技術開発の方向性を示した。
6.1 自然な立体視ディスプレイ
従来の2眼式立体表示は眼精疲労や運動視差欠如等の
問題があったが,これらの問題が生じない自然な立体視
が可能な立体ディスプレイ(図 5)の方式についての調
査を行った。多眼表示,超多眼表示,高密度指向性表示,
インテグラルイメージング,1 次元インテグラルイメー
ジング,フラクショナル・ビュー方式についての調査を
行った結果,各方式において自然な立体表示を実現する
ためには,立体画像源(フラットパネルディスプレイ)
に非常に多くの画素が必要であることがわかった。さら
図 6 開発モデルの作成とデバイス開発への要求
に普及を考える上で重要と思われる携帯端末,自動車,
ゲーム,分子設計,設計製造,教育・訓練,放送の 7 つ
の応用分野について,立体表示の利用状況,立体表示の
パーハイビジョンよりもさらに高い技術レベルが要求さ
有効性に加えて,将来の立体ディスプレイに求められる
れることがわかったが,数値的な検討を行った結果,実
表示性能について調べた。
現の可能性は十分あることが示された。立体光学デバイ
スでは,レンチキュラレンズシートとそのアクティブ化
6.2 開発モデル
について調査したが,レンズ材料の膨張率や位置合わせ
人間の視覚特性の観点から,従来の立体ディスプレイ
精度などに幾つかの課題はあるものの,携帯端末型と卓
の問題点と,それを解決する自然な立体表示条件につい
上端末型は十分実現可能であることが判明した。テレビ
て調査した。立体表示方式,将来の立体ディスプレイに
型については,低 F 値のレンズを実現する必要がある
求められる性能,自然な立体視を得るための条件に関す
ため,パララックスバリアや新しい構造のアクティブ光
る検討結果をもとに,自然な立体ディスプレイの開発モ
素子の研究開発が必要であることがわかった。画像作成・
デルを構築した(図 6)。さまざまな応用分野をカバー
処理では,実写表示に必要な画像圧縮はデプス情報を用
するため,携帯端末型,卓上端末型,および,テレビ型
いる MPEG 方式が利用できることが示され,コンピュー
の 3 種類のディスプレイを設定し,定量的な目標性能を
タ画像合成では,GPU の能力が飛躍的に向上している
示した。
ため,これが有効に利用できることが示された。
6.3 デバイス開発
6.4 今後の技術開発
立体画像源,立体化光学デバイス,画像作成・処理の
将来の自然な立体視ディスプレイの実現に向けて,
各技術分野において,開発モデル実現に必要な研究開発
調査分析の結果判明した研究開発項目を取りまとめ技術
課題を摘出した。立体画像源では,精細度においてスー
ロードマップを作成した。海外での立体ディスプレイの
40
光産業.indb 40
08.5.27 5:56:20 PM
研究開発の推進
技術開発,標準化,さらにコンテンツ開発が活発化して
情報技術総合研究所 チームリーダ
いる中で,我が国としても立体ディスプレイの研究開発
調査結果については,特許庁より調査報告書(565 頁)
を集中的かつ戦略的に推し進めることが必要と思われ
として出版,社団法人 発明協会より販売される。また
る。
要約版(41 頁)が特許庁ホームページに掲載されている。
(岡部正博)
(山口博之)
7.特許出願技術動向調査
本年度は特許庁の公募する平成 19 年度 特許出願技術
動向調査「光伝送システム」に応募し,その調査を実施
した。特許出願技術動向調査は,特許庁が第 3 期科学技
術基本計画において重点推進 4 分野および推進 4 分野と
定められた 8 分野(ライフサイエンス,情報通信,環境,
ナノテクノロジー・材料,エネルギー,ものづくり,
社会基盤,フロンティア)を中心に,出願件数の伸びが
大きいテーマ,今後の進展が予想されるテーマを選定し
て,技術動向調査をするものである。「光伝送システム」
については平成 12 年度に当協会が,受託・実施しており,
今回は,7 年前の調査結果を更新するとともに,技術革
新の状況,技術競争力の状況の変化に基づき,今後の展
望を予測し,日本の目指すべき方向性について提言をお
こなうことを目的としている。
調査は,①特許調査,②研究開発動向調査,③市場動
向調査,④政策動向調査から構成されている。
特許調査としては,世界 5 極(日本,米国,欧州,中国,
韓国)に出願された特許で,優先権主張年(PCT /パ
リルートおよび国内優先権)が 1999 ~ 2006 年のものを
対象としており,総件数は 28,400 件に上る。
研究開発動向調査としては JDream II より抽出した
研 究 論 文 5,363 件, お よ び OFC2006 お よ び ECOC2006
を対象とした。
調査・分析にあたっては,下記有識者よりなる委員会
を組織し,調査の進め方,調査結果・分析に対する指導
と助言をいただいた。
座長 三木 哲也 国立大学法人 電気通信大学情報通信工学科 教授
今井 崇雅 神奈川大学工学部情報
システム創成学科 教授
津田 俊隆 株式会社富士通研究所 常務取締役
萩本 和男 日本電信電話株式会社 未来ねっと研究所 所長
福知 清 日本電気株式会社
システムプラットフォーム研究所 主幹研究員
水落 隆司 三菱電機株式会社
41
光産業.indb 41
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新規事業の創造
1.はじめに
談内容と回答を,前年度掲載分(2005 年度の技術相談例)
光協会では光産業分野に係る新規事業の積極的な創
とともに掲載した。
業・育成支援のため,以下の三つの活動を行っている。
2.3 本年度の成果
・技術アドバイザ制度
技術指導を行う技術アドバイザ制度において,68
本年度の本制度および本制度に関連するものと位置づ
件のアドバイス活動を行った。
けられた技術相談件数は 68 件であり,昨年度の 56 件よ
・新規事業創造支援委員会
り増加している。この中で制度を適用して技術アドバイ
本年度は光ベンチャービジネスセミナーでの 4 件の
ザを選任し,技術相談を実施した案件は 43 件であった。
講演と光ベンチャーブースへの 10 件の展示の支援を
残りの 25 件に関しては事務局で対応した。
行った。
・開発プロジェクト
相談分野を大別すると以下の通りである:
光技術応用機器,装置,システムの開発を行おうと
レーザ 55 件(レーザ加工装置 7 件,レーザ測定器 11
する企業を対象にして新規開発プロジェクトの募集,
件,医療用レーザ 3 件,通信用レーザ 1 件,その他レー
審査を行い,3 件を採用した。この新規プロジェクト
ザ 33 件),LED10 件, 新規物質市場開拓 1 件, 色温度
および昨年度開発が完了し試用・評価を行っている 3
測定法 1 件,照明 1 件
件のプロジェクトへの支援と評価を行った。
本年度の相談企業数は 60 社であり,再利用の企業も
(三枝一主)
多数ある。制度利用の簡便さ・有効性が評価されたもの
と思われる。
2.技術アドバイザ制度
本制度は,光技術に関わる新規事業創造を支援するた
相談内容としては,レーザ安全に関する相談が例年通
めの技術指導を行う目的で運営されており,要請に応じ
り多かった。レーザ安全の国際規格である IEC 60825-1
て指導相談員(技術アドバイザ)を紹介し,アドバイス
は 2007 年改定でレーザと LED が分離されたが,国内規
を行うものである。相談分野は新規事業創造に関するも
格である JIS C 6802(最新版は 2005 年改定)は LED が
のだけでなく,新商品開発や販売などで必要となる技術
レーザ安全に組み込まれたままである。さらには厚生労
相談も行っている。技術アドバイザは,大学教官が中心
働省の「レーザー光線による障害の防止対策について」
であるが,光技術全般がカバーできるよう民間の方にも
(基発第 325002 号)は最新の JIS を参照しているが,通
委嘱している。
商産業省の消費生活用製品安全法に基づく「携帯用レー
ザー応用装置」の規定は旧 JIS を参照しているなど,混
2.1 実施方法
乱を招く要因が山積している。これらのことが,問い合
相談内容が本制度の趣旨に合致するかどうかを判断
わせの多い理由である考えられる。
し,本制度を適用する場合は専門分野などから最適な技
このようなニーズに対し,当協会としては,レーザ安
術アドバイザを選定し,本人の了解を得て技術相談をお
全の標準化に真正面から取り組んでいきながら,技術相
願いした。相談内容等は厳重に秘密保持に努めており,
談にも答える窓口もあるという両輪を持つ特徴を生かし
相談者から要請があった場合は機密保持契約を締結でき
ていきたい。
(村田健治)
る規定が設けられているが,2007 年度には該当案件は
3.新規事業創造支援
なかった。
光技術を応用したベンチャー(光ベンチャー)を支援
2.2 情報の公開
する創造・新事業展開支援事業の一環としてインターオ
相談内容に一般性があり普及効果が高いと思われる
プト ’07 における「光ベンチャービジネスセミナー」を
案件については,相談者と技術アドバイザの了解のも
開催し,併せて「光ベンチャーブース」を設置した。
とに協会のホームページに公開した。ホームページには
3.1 光ベンチャービジネスセミナー
2006 年度の技術相談例(37 件の件名)と,レーザ安全
光ベンチャービジネスセミナーは,インターオプト
関連の相談で普及効果のあるもの 13 件についてその相
42
光産業.indb 42
08.5.27 5:56:21 PM
新規事業の創造
'07 の関連セミナーとして平成 19 年 7 月 11 日千葉幕張
本自転車振興会の補助金を受け,当協会が実施するもの
メッセにおいて 4 件の講演を実施した。(表 1)
で,次の条件を満たすテーマを対象とする。
本年度も,光ベンチャー等の直接起業に関係している
『光技術を応用した機器,装置またはシステムで,実用
方々だけではなく,光産業分野で新規事業に関心を持っ
化が可能と予想され,かつこれらの開発・試作および試
ている方々にも広く参加を呼びかけた。
用・評価を通して光エレクトロニクス技術の実用性,将
来性などが実証し得るもの。』
表 1 光ベンチャービジネスセミナー
開催日
2007
7/11
講演テーマ
具体的には,年度始めにベンチャー企業,中小企業な
どを中心にプロジェクト提案を公募し,この応募プロ
講師(敬称略)
光技術と産学官連携イノベー
ション
-国際競争力向上を目指して-
立野 公男
首都大学東京
水と温暖化問題を解決する太陽
励起レーザー
矢部 孝
東京工業大学
フェムト秒レーザー照射による
有機・タンパク質の結晶化受託
ビジネス
安達 宏昭
株式会社 創晶
ナノ構造酸化亜鉛/色素ハイ
ブリッド電析膜を用いたプラス
チック太陽電池の開発
吉田 司
岐阜大学
ジェクトを開発テーマの候補とする。候補となったテー
マは,光協会の「開発プロジェクト審査・評価委員会」
にプロジェクト提案され,提案者に対するヒアリングを
行って,採否を審議する。
委員会には,技術的学識経験者の他に,事業投資に見
識を持つ委員並びに経営財務に見識を持つ委員を加え,
①技術の新規性,②光産業市場への貢献度,③成果の社
会的貢献度,④事業化計画の信頼性,⑤産学の連携度合
いを十分審査できるよう配慮している。
3.2 光ベンチャーブース
現在のプロジェクトの標準的な進め方は「開発推進」
光ベンチャーブースは,光産業市場への貢献性や期待
と引き続き行われる「試用・評価」である。委託先は,
性が認められる光ベンチャー並びに関係者の PR 活動を
開発推進フェーズ(初年度:期間 9 ヶ月)において開発
支援するもので,このブースでは,光技術を応用した光
を実施してシステムないし機器を試作し,続く試用・評
機器,光装置,システムの研究,開発,製造,販売等の
価フェーズ(次年度:期間 1 ヵ年)においてあらかじめ
光ベンチャーやその関係者の製品並びにサービスを出展
定めておいた「試用者」にこの試作品を託して試用して
紹介した。(表 2)
もらい,第三者の目で製品化を見据えたときの利点や問
(外所哲郎)
題点を評価してもらうことになっている。したがって,
表 2 光ベンチャーブース
出展社(50 音順)
最終時点では,実用化の見通し,ないしは少なくとも今
後どのような努力をすれば実用化に結びつき得るかの情
URL
インテックス株式会社
http://www.intexs.com/
エキスフォ日本事務所
www.EXFO.com
有限会社 サイバーアシ
スト・ワン
http://www.caone.co.jp
株式会社 ゼオシステム
http://www.geo-system.co.jp
先端フォトニクス株式
会社
http://www.advancedphotonics.
co.jp
株式会社 トリマティス
http://www.trimatiz.com/index.
html
報を得ることができる。また,開発プロジェクト審査・
評価委員会には,各プロジェクトについて,各年度の開
始には基本計画書,年度中間には進捗報告書,年度終了
には成果報告書案を評価いただくので,的確な助言を得
ることができる。
本年度は,表 3 の開発推進フェーズに示す 3 件のプ
ロジェクトを採択し,同 3 件と昨年度に開発推進フェー
ズを終了し次年度の試用・評価フェーズに入った 3 件の
ナレッジネット株式会社 http://www.knowledgenet.jp
プロジェクトを実施した。また,試用・評価フェーズの
ハイテク情報サービス
株式会社
http://hitec-cushion.his-net.jp
3 件のプロジェクトは,平成 19 年 7 月開催の「インター
株式会社 ヒキフネ
http://www.hikifune.com
オプト ’07」において試作品を展示し,本制度とその成
株式会社 ランドマーク
http://www.landmarkinc.co.jp
果の PR をおこなった。
開発推進フェーズの 3 プロジェクトは,各々次年度へ
4.開発プロジェクト
の展開が大いに期待できる重要な成果をあげて,初年度
開発プロジェクトは,正式には「光技術応用機器,装
を終了できた。また,試用・評価フェーズの 3 プロジェ
置,システムの開発プロジェクト」と称し,財団法人日
クトも,その研究成果を市場向けの製品に効果的に結び
43
光産業.indb 43
08.5.27 5:56:21 PM
4.1.3 開発の概要
つけるためには,もちろん更なる努力と実証を要するに
しても,それぞれに非常に有望な見通しを得て完了でき
本提案では,回折格子,レンズからなる空間光学系を
たものと評価される。
光可変フィルタに応用する。空間光学系とすることで,
従来の光可変フィルタで課題であった,通過帯域幅内の
表 3 2007(平成 19)年度に実施した
開発プロジェクト
フェーズ
開発推進
プロジェクト名称
サンテック㈱
紫外レーザー加工用光学シ
ステムの開発
㈱清和光学
製作所
SMF を用いた高輝度光凝固
システムの開発
㈱ニデック
ファイバフォトニクスオン
ライン分析ツールの試用・
評価
タツタ電線㈱
額帯鏡代替のカメラ付新規
診察装置の試用・評価
さらに,スイッチング部に反射領域幅が変化する独自の
委託先
透過帯域幅/波長独立可変
フィルタの開発
試用・評価 創薬研究支援用・光計測シ
ステムの試用・評価
挿入損失の均一性や群遅延の非線形性の改善を目指す。
可動ミラーを採用し,通過帯域幅可変機能を加えた高性
能な光可変フィルタを実現する。(図 1)
4.1.4 開発の状況
今期の開発では,製品化を最優先したため未だ大学/
企業の研究所での研究用光測定機器用途として許容でき
る性能レベルであり,光通信用デバイスヘの展開を考え
ると今後更に性能を向上させていく必要がある。
表 4 中,通過帯域可変幅は,顧客の使用用途に大き
ブレイン
ビジョン㈱
く依存しており,狭線幅~広線幅までを 1 台でカバー
マイクロ
ニクス㈱
する用途はそれほど多くない。高速伝送信号の OSNR
(Optical Signal to Noise Ratio)耐力が重要である長距離
以下に各プロジェクトの今年度の進捗の詳細を記す。
光通信システムでは,目標仕様よりも狭い狭線幅化(0.15
(村田健治)
~ 0.4 nm)が求められ,一方,比較的広い波長帯域を
利用する短距離(アクセス)光通信システムでは 10 ~
4.1 通過帯域幅/波長独立可変フィルタの開発
(サンテック)
100 nm と,使用先のシステムにより求められる帯域が
4.1.1 開発委託先
これらの要求に対しては各々最適な光学設計が異なるた
異なることが今期のマーケテイングを通じて判ってきた。
開発委託先:サンテック株式会社
め,今後は狭線幅,広線幅用に特化した光フィルタの最
4.1.2 開発の目的
適構成を構築し,様々な顧客要求に対応していきたい。
ネットワークの将来像として掲げられている,伝送
また,表 4 の No.2 ~ 5 の項目に関しては,本開発品
フォーマット,伝送レート等の異なる複数種の光信号が
を光通信網内へ展開する場合,必須の特性要求となるの
同一伝送網に混在する NGN 光ネットワークを実現する
で,駆動系改善による更なる安定化,および光学構成見
には,各々の光信号に対して最適な通過帯域幅でフィル
直しによる特性改善に努めていく。同時に駆動部のない
タリングする光フィルタが必須となる。また,次世代の
構成,例えば液晶を応用したフィルタリング方法も検討
40 Gbps - WDM システムは,従来の 10 Gbps システム
していく。 (岡部豊)
に比べ波長分散 / 偏波分散耐力が急激に低下するので,
光フィルタは,最高の受信感度を得るために中心波長の
表 4 光学特性目標未達項目
みならず,通過帯域幅をも最適化する動的制御が要求さ
れる。さらに,従来の光システム伝送実験,光部品検査
Unit
目標
仕様
1 通過帯域可変幅
nm
0.2 ~
0.25 ~ 6.0 3 dB バンド幅
25
フィルタシェイ
プファクタ
-
> 0.5
GHz
±2
± 3.77
4 通過帯域設定精度 GHz
±2
未評価
No.
では,固定の通過帯域幅を有する波長可変フィルタを測
定対象毎に複数所有する必要があり,一台であらゆる試
験を可能とする万能な波長,通過帯域幅独立可変光フィ
2
ルタが望まれていた。
Item
3 波長設定精度
これらの要求に応えるために,従来の波長可変フィル
タに通過帯域幅可変機能を追加し,目標仕様をクリアし
5 波長分散
た光可変フィルタを開発することを目的とする。
試作機
結果
> 0.36
コメント
3 ~ 20 dB の
バンド幅の比
全波長,通過
ps/
< ± 10 < ± 40 帯域可変幅に
nm
おいて
44
光産業.indb 44
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新規事業の創造
図 1 本提案の光可変フィルタ構成
表 5 目標性能比較一覧
4.2 紫外レーザ光加工用光学システムの開発
4.2.1 開発委託先
4.2.2 開発のねらい
近年,フラットパネル ・ ディスプレイの大型化,高精
細化が進んでいる。各パネル・メーカーでは,安定した
性能の維持と生産性の向上のため,様々な取組みを続け
ている。そのひとつに,レーザーによるパターンのリペ
解像力
レーザー加工
NA
WD
本光学系
0.45
12.0
600 lpm
○
×
○
既存 UV
光学系
0.52
10.0
800 lpm
×
○
○
既存
可視光学系
0.4
18.3
500 lpm
×
×
○
開発委託先:株式会社清和光学製作所
546 nm 266 nm 365 nm 532 nm
ア加工があり,この分野でも高精細化が切望されている。
これまで,355 nm でのリペア加工が一般的であるが,
しかった。今回は,新しくスーパーアポクロマート補正
更なる高精細化には対応しきれず,266 nm への短波長
方式の設計方法を確立したことに加え,スペーサー方式
化への模索が続いている。
を採用することにより加工しやすさ,組み立てやすさ,
本開発の目的は,更なる大型化,高精細化を進めるフ
歩留まりの改善が実現できた。
ベンチマークテスト用プロトタイプ(図 5) を試作
ラットパネル製造にとって,安定した性能の維持と生産
性の向上を実現する光学系を開発することにある。
し,レーザー加工を実施した。レーザー発信装置から射
4.2.3 開発目標
出したレーザー光は,結像光学系・対物レンズを通り,
加工用光学システムの目標性能(既存光学系との比較
ワークに照射される。得られたレーザー加工パターンで
一覧)を表 5 に示す。
はレーザー発信装置内の絞り形状が忠実に再現されてお
4.2.4 システム構成
り,可視レーザー(532 nm),紫外レーザー(266 nm)
装置組み込み用 FA タイプ(図 2)を設計・製造する。
ともに表 4 の目標性能を満足する加工性能を持つこと
装置組み込み用 FA タイプの組み立ては,既存装置を利
が確認できた。
用したベンチマークテストを経て行う。
4.2.6 今後の課題と展望
4.2.5 今年度の成果
オートフォーカス(AF)機構はお客様により仕様が
本システムの根幹をなす光学要素として開発した対物
異なっており,今回のプロトタイプには組み込むことが
レンズを図 3,図 4 に示す。従来から用いられてきたオ
できなかった。装置組み込み用 FA タイプの市場導入,
プティカルコンタクト方式は,加工,組み立てなど生産
お客様サイドでの性能検証を実施してその結果を反映し
上難易度が極めて高く,歩留まり,光学性能の確保が難
ながら製品化を進める必要がある。
45
光産業.indb 45
08.5.27 5:56:25 PM
図 2 装置組み込み用 FA タイプ
図 3 対物レンズ外観
図 4 対物レンズ構成図(スペーサー方式)
図 5 ベンチマークテスト用プロトタイプ外観(左:正面図,右:側面図)
46
光産業.indb 46
08.5.27 5:56:30 PM
新規事業の創造
その性能によっては,半導体業界では 3 次元ウェハー
や高集積メモリーへの展開,液晶分野では 10 世代向け
ラインの検査・修正に大きく貢献し,高い歩留まりを実
現する役割を担い,業界発展に寄与することになるであ
ろう。また,この光学系の発展形には 196 nm 対応のニー
ズもあり,次々世代にはこのノウハウを応用し挑戦して
いく計画である。
(津田芳幸)
4.3 SMF を用いた高輝度光凝固システムの開発
4.3.1 開発委託先
開発委託先:株式会社ニデック 図 7 光凝固システム構成
4.3.2 開発の背景と目的
昨年度本プロジェクトで開発に成功したオレンジファ
イバレーザ光凝固装置(波長 580 nm,590 nm)は,眼
表 6 開発目標と試作品評価結果
科光凝固治療実験において良好な評価結果を得ている。
更にこのオレンジファイバレーザ光源は,従来の固体
レーザ光源に比べて,そのビーム品質 M2 が格段に優れ
評価項目
ている。今年度はこの特長を利用して,光源と照射デリ
バリー間の光伝送手段を昨年度のマルチモードファイバ
(MMF)から,シングルモードファイバ(SMF) に置
SMF 光凝固システム
目標値
評価結果
MMF 光凝固
システム
(比較用)
最小照射スポット径
5μm
6.8μm
50μm
凝固出力
50 ~ 700
mW
50 ~ 700
mW
50 ~ 700
mW
き換えることにより,従来装置の 50μm よりも非常に
小さなスポット径 5μm の照射が可能な高輝度光凝固シ
更に将来的には高倍率顕微鏡デリバリーシステムとの
ステムを開発する。
組み合わせで,黄斑部において病変細胞のみを照射す
照 射 ス ポ ッ ト 径 を 5μm と す る こ と に よ り, 照 射 パ
る超微細手術(マイクロサージェリー)等の全く新しい
ワー密度が 100 倍となり,従来の光凝固治療に加えて,
手術手法の開発も期待でき,患者の QOL(Qμality of
緑内障治療における高輝度レーザ虹彩切開手術を実現で
Life)向上につながる。
きる。また光源出力を下げられることから,光源部分の
4.3.3 試作品の評価結果
小型化とコストダウンが可能となる。
光 源 と 照 射 デ リ バ リ ー 間 の 光 伝 送 手 段 に, モ ー ド
フ ィ ー ル ド 径(MFD)4.7μm の SMF を 使 用 し,SMF
入射光学系用に設計した眼科用顕微鏡取付け型照射デリ
バリーシステム(図 6 参照)を試作して,その照射スポッ
ト径をナイフエッジ法で測定した。その結果,スポット
径 6.8μm が得られ(表 6),目標の 5μm をほぼ達成し
た。また SMF 入射光学系用に試作したシャッターユニッ
トを組み合わせた光凝固システム(図 7 参照)を製作し,
卵白および人体ゼラチンへの照射実験を行った。模擬生
体試料においては実測のスポット径より広い範囲が凝固
されること等貴重なデータが得られた。
4.3.4 まとめ
SMF を用いた光凝固システムを試作し,従来のほぼ
1/10 である微小照射スポット径 6.8μm を達成し,光凝
固システムの高輝度化の見通しをつけた。また模擬生体
図 6 眼科用顕微鏡取付け型照 射デリバリーシステム
試料への照射実験を行い,微小スポット照射した場合の
47
光産業.indb 47
08.5.27 5:56:32 PM
影響(凝固・熱変性)の貴重なデータが得られ,今後照
がある。本研究の開発では,吸収分光法のキャビティリ
射エネルギー密度の最適化を行い,実用化に向けた評価
ン グ ダ ウ ン 分 光 法(Cavity Ring Down Spectroscopy:
を進めていく予定である。
CRDS)に注目し,液相中の水分濃度をオンラインで直
(株)ニデックより,応用物理学会,レーザ学会等で,
接的に高感度測定できる技術の開発に取り組んだ。
4.4.2 開発の概要
本開発に関して計 10 件の報告がなされた。特に秋季応
用物理学会では,一般講演約 3,800 題中 6 題の「注目す
CRDS の測定系を光ファイバで構成し,損失を補償す
べきトピック」の 1 つに選ばれ,プレスプレビューを行っ
るために光アンプをキャビティ内に挿入する光アンプ型
た。
CRDS 測定技術を開発した(図 9)。 光アンプ形 CRDS
(小名篤裕)
で得られたリングダウン波形を図 8 に示す。また,今
4.4 ファイバフォトニクスオンライン分析ツー
ルの試用・評価
回開発した高感度化・低損失サンプルセルを図 10(テー
パファイバセル)および図 11(穴加工ファイバセル)
開発委託先:タツタ電線株式会社
に示す。
4.4.1 開発の背景・目的
4.4.3 試用評価
近年,半導体製造プロセスで用いられる液相原料の厳
分析機器メーカーと試用評価を計画実施中であるが,
しい品質管理が要求されている。これらに含まれる水分
当初目標の少量サンプルでの高感度測定は達成したが
は,プロセスの性能の劣化や製造装置の低寿命化の原因
SOA(Semiconductor Optical Amplifier)による光アン
となるため,シビアに管理すべき項目であり,オンライ
プ型 CRDS システムの安定性に問題が残った。
ンで直接,水分濃度を測定する技術が望まれている。
4.4.4 今後の課題
さらに,化学プラントでの検査工程における安全性のた
今後,SOA のフィルタリング,信号処理の最適化に
めに微量なサンプルで対象物質の濃度を測定できる必要
より S/N 比を改善し,システム安定性の改良を行う予
定である。
図 8 光アンプ型 CRDS における
リングダウン波
図 9 CRDS 測定ユニット
図 10 テーバファイバセル
図 11 穴加工ファイバセル
48
光産業.indb 48
08.5.27 5:56:36 PM
新規事業の創造
4.5 創薬研究支援用・光計測システムの試用・評価
は最適な方法である。このシステムにより,光計測法の
開発委託先:ブレインビジョン株式会社
普及が加速することを期待している。
4.5.1 はじめに
今後は製品化に向けて,信頼性,安全性,環境適合性
薬物の生理活性を研究する研究者や学生が,薬物の効
を確保するために,本システムで用いられる全ての部品
果を生物試料により確認する効率の良い光計測システム
の安全性適合(LVD 指令),電磁波環境性適合(EMC),
を開発した。高速低雑音イメージング装置,プログラマ
特定金属の含有量規制(RoHS)の試験を実施する。こ
ブル電気刺激装置,高開口率・低倍率対物レンズ,超高
れらに適合するようハードウェアは全面改修し,認定試
輝度・高安定 LED 照明装置など,実験に必要な全ての
験機関の検定試験を経て製品化する。また心臓学会,神
ハードウェアとソフトウェアが集積されている。昨年度
経科学会,薬理学会への展示などのプロモーション活動
開発したこのシステムを試用評価し,実用的なものとす
と製薬会社への直接の営業活動を強化して,製品の普及
ることが今年度の目標である。
に努める。販売拡大のため,国内外の代理店との交渉も
4.5.2 評価と改良
進めている。
(黒田文彦)
徳島文理大・香川薬学部の冨永准教授の協力により,
評価実験を行った。ラット海馬のスライス標本を用い,
4.6 額帯鏡代替のカメラ付新規診察装置の試用・評価
様々な実験課題で光計測を行い解析した。その評価に基
4.6.1 開発委託先
開発委託先:マイクロニクス株式会社
づき,ソフトウェアやハードウェアを改良し,性能や操
4.6.2 開発の目的
作性を高めた。その結果,振動成分の除去,色素の退色
補償,アベレージングなどによるノイズの除去といった
本提案プロジェクトは,耳鼻咽喉科の医師等による鼻
基本機能が確認された。一例を図 12 に示す。また計測・
腔,外耳道,咽頭など深部にある患部の診察能力を向上
解析結果を分かりやすく提示し,インプレッシブな発表
させる診察装置の開発と,診察の記録とその管理システ
が可能となるよう,三次元表示の強化と擬似カラーの配
ムの開発を目的とした。なお,平成 18 年度の開発によ
色設定,時間と空間の関連を 1 枚の画像に再構成したス
り試作品が完成している。
トリップ表示といった機能を追加した。これらにより,
4.6.3 契約期間中に達成された成果
応用に即応できる様々な解析機能を統合した,トータル
(1)小型軽量式ハンディタイプの電子額帯鏡の完成
(図 3,図 4,図 5 参照)
システムとして完成した。
4.5.3 課題と将来展望
(2)伝送方式の変更
新薬開発では,いかに早く網羅的なスクリーニングを
FM 周波数帯から 1.2 GH マイクロ波に変更してノイ
行うかが最重要ポイントであり,膜電位を用いた光計測
ズによる画面乱れなどが無くなり見易くなった。
図 12 海馬スライスの膜電位変化・基本イメージング
49
光産業.indb 49
08.5.27 5:56:38 PM
4.6.4 プロジェクト終了後の予定
本プロジェクトにより得られる観察技術および,観察
本プロジェクト終了後は,試用評価により得られた知
データ記録技術,電子カルテとの連係システムに関する
見を開発品の改良にフィードバックするとともに,本開
技術は,このような内視鏡診察にも応用できると考え
発品の量産化に向けた技術開発を行う予定である。ま
る。また,医療の分野においては救急救命士の車中の応
た,電子カルテとの連係システムについても,規格化の
急処置において専門医師へ指示を与える際に利用するこ
必要の要否等を検討しつつ,実用化に向けて技術開発を
とや,往診用の診察装置,歯科医師の治療において治療
続ける予定である。将来的には,開業医向けのパーソナ
状況の記録に利用することへの応用についても考えられ
ルコンピュータや病院向けのオフィスコンピュータと連
る。更に,額帯鏡技術は,医学の分野のみならず,工学
係した診察具として事業化を目指す。
分野において手先で細かな作業を行う実験の様子の記録
4.6.5 将来展望
などに応用できると考える。例えば,精密機械の組み立
耳鼻咽喉科医の分野において,現在の額帯鏡を用いた
て手順や様子の記録や,学習用として応用できると予想
診察のほかに,内視鏡を用いた診察がある。
する。
(外所哲郎)
図 13 小型軽量式ハンディタイプの電子額帯鏡の完成
図 14 観察部(小型軽量ハンディタイプ)の詳細
図 15 パソコンでの受信撮り込みも確認
(電子カルテに貼り付け)
50
光産業.indb 50
08.5.27 5:56:42 PM
研究会・懇談会
1.はじめに
3
2007/9/21
(159) E*PCOS 報
告 / ヘッド
/ デバイス
/ ホログラ
ム
時代の先端を行く光技術分野の最新情報を交換して新
しい流れを汲みとり,学会・産業界に貢献するために当
協会では「研究会・懇談会」を設けている。2007 年度は「光
ディスク懇談会」,「フォトニックデバイス・応用技術研
究会」,「光材料・応用技術研究会」,「多元技術融合光プ
ロセス研究会」,「NGN 時代の光技術・産業懇談会」の
五つの研究会・懇談会を設置し,産学官の各界の会員に
より各々の技術分野に応じた独自の活動を展開した。
4
2.光ディスク懇談会
光ディスク懇談会は発足以来,光ディスクに関する技
術動向,国際会議報告および標準化の動向等の議論の場
を提供してきている。今年度は,富永淳二(産総研)代
下表に示す 6 回の懇談会を開催した。次世代光ディスク
など最先端技術を含む広範なテーマを講演に取り上げ,
累計参加者 358 名を迎え,活発な活動を行った。
回
(通算) 開催日
1
2007/5/18
(157) 展示会報告
/ メディア
技術
(川井隆志)
講演テーマ
講師
λ =405 nm,NA=0.85
菊川 隆
システムを用いた 6 層追 (TDK)
記型光媒体
Super-RENS ディスクの 中野 隆志
超解像読み出しスポット (産総研)
の光学特性解析
CSS を使用した DVD
長谷部 剛
Video コンテンツ配信の (パイオニア)
概要
光ディスクにおける著作
上林 達
権保護技術- HD DVD
(東芝)
を中心として-
プラズモニック・メタマ 田中 拓男
テリアルを用いた光波制 (理化学研)
御
ガラス成形による反射防 田中 康弘
止構造の作製
(松下)
液晶空間光変調器と光波
原 勉
面制御への応用
(浜ホト)
イメージスタビライズ方
式を用いた高転送コアキ 高崎 浩司
シャル ホログラム記録 (ソニー)
再生装置
2007/11/9 リサンプリング法を用い
入江 満
ISOM 報 た光ディスクの期待寿命 (大阪産業大)
告 / アプリ 推定法
ケーション
前田 武志
/ ゲーム ISOM2007 の報告
(日立)
近接場光ヘッドを用いた 西田 哲也
パターン媒体へのハイブ (日立)
リッド記録
FDTD 法を用いた光シ
並木 武文
ミュレーション
(富士通)
フォトポリマーの記録過
程を考慮した多重ホログ
山本 学
ラム記録再生系のシミュ (東京理科大)
レーション
6
2008/3/14 コアキシャル・ホログラ
福本 敦
(162) 将来技術 ム記録の高密度化技術
(ソニー)
/ 市場動向 コンピュータ用バック
渡辺 利幸
アップテープの技術動向 (日立)
藤原 卓利
光ストレージ業界 / 市場 (ふじわらロス
の現状と将来展望
チャイルド)
光ディスクにおいて用い 佐藤 数史
られる Video Codec につ (ソニー)
いて
2
2007/7/20 ODS2007 報告
島野 健
(158) ODS 報告
(日立)
/ 光ディス ホモダイン検出方式によ 三上 秀治
ク基礎講座 る光ディスク信号の増幅 (日立)
マイクロリフレクタ光
齊藤 公博
ディスクのドライブシス (ソニー)
テムと再生特性
3
2007/9/21
(159) E*PCOS 報
告 / ヘッド
/ デバイス
/ ホログラ
ム
山田 昇
(松下)
みたい DVD が自宅で焼 大槻 健一郎
ける「DVD Burning」サー (KDDI.)
ビスの全貌
映像セキュリティシステ 福地 孝志
ムの動向
(松下)
御園 耕輔
BD-Java 概要
(ソニー)
5
2008/1/25 光ディスク国際標準化動
山下 経
(161) 信号処理 向
(日立)
いろは / シ LDPC 符号とその光記録 宮内 俊之
ミュレー への応用
(ソニー)
ション
準同期サンプリング技術
と適応型 PRML 技術を
山本 明
用いたリードチャネルシ (松下)
ステム
超解像光ディスク向けシ 峯邑 浩行
ミュレーションおよび信 (日立)
号処理技術
表幹事以下 10 名の幹事により運営し,会員数 75 名で,
E/PCOS2007 報告
1 Tbits/inch2 の記録密
渡辺 哲
度を目指した表面プラズ (ソニー)
モンヘッドの開発
川島 久典
UDO ディスク装置の現 (コニカミノ
状と今後の方向性
ルタオプト)
光ディスク用半導体レー 浅野 竹春
ザの技術動向
(ソニー)
2 層光ディスクの媒体作 松本 郁夫
成技術
(ビクター)
光ディスクシステムにお 東海林 衛
ける記録再生方式の基礎 (松下)
HDD 産業のアーキテク
チャと国際的展開:長期 天野 倫文
競争優位性と戦略・組織 (東京大学)
のダイナミズム
技術者が考える光メモリ
の将来技術
辻岡 強
-光産業技術振興協会ア (大阪教育大)
ンケートから-
3.フォトニックデバイス・応用技術研究会
当 研 究 会 は 1986 年 に 設 立 さ れ, そ の 名 称 を「OEIC
技術懇談会」(1986 ~ 1992 年),「OEIC・光インターコ
51
光産業.indb 51
08.5.27 5:56:43 PM
ネクション技術懇談会」(1993 ~ 2004 年),
「フォトニッ
4
11/29
5
2008
1/31
クデバイス・応用技術研究会」(2005 ~)と改称しなが
ら活動しており,その設立から 20 年以上を経た伝統あ
る研究会である。当初の OEIC 技術に加えて光インター
コネクション技術,光デバイス全般およびその関連技
術,応用技術分野について,現状および動向・展望を話
し合い,産官学会員相互の情報交換と討論を通じて,光
産業における本技術分野の育成と振興をはかるべく,神
戸大学の和田 修教授を代表とする 13 名の幹事により
運営されている。
本年度活動内容としては,例年同様に会員以外も参加
できる一般公開方式のワークショップ 1 回を含む計 6 回
の研究会を主催し,毎回活発な討議・情報交換を行った。
ディスプレイ用赤色半導 平田照二
体レーザとその応用
(ソニー)
ポリマー光導波路関連技 戒能俊邦
術の動向と将来展望
(東北大学)
岸田欣増
高精度商用化ブリルアン (ニューブレ
計測技術および応用事例
クス)
会員数は 91 名と IT バブル期の人数に回復しつつあり,
第 16 回ワークショップでも,会員以外の一般参加者が
40 名を超えるなど,積極的な活動が出来た。また本年
度よりポスターセッションも開始し,講師の方と会員間
でのより深い議論ができるようになったと好評を得てい
る。
(小名篤裕)
回
開催日
1
2007
6/6
2
3
4
7/26
10/10
11/29
石油・天然ガス探査にお 山手 勉
ける光センサー技術の現 (シュルンベ
状と動向
ルジェ)
清倉孝規
(NTT マイク
携帯可能なレーザ血流計 ロシステム
インテグレー
ション研究所)
第 16 回ワークショップ
『光が創る新たな潮流~ NGN・情報イ
ンフラからデジタル家電まで』
今中秀郎
(NTT サービ
次世代ネットワーク
スインテグ
(NGN)とは
レーション基
盤研究所)
光 LAN・ 光バックプレー 西村信治
ン技術の現状と将来展望 (日立製作所)
波長可変レーザの現状と 佐藤健二池
澤克哉
今後の展望
(日本電気)
6
講師(所属)
※敬称略
光導波路全般・有機導波路
美野真司
石英 PLC・AWG 技術と (NTT
フォ
その応用・今後の展開
トニクス研)
講 演 題 目
川上直美
マルチモードポリマー光 (NTT アド
回路技術
バンステク
ノロジ)
強誘電体のエピタキシャル 佐藤桂輔
膜と光デバイスへの応用 (富士通研究所)
シリコンフォトニクス・
フォトニック結晶
シリコンフォトニクスとゲ 石川靖彦
ルマニウム受光デバイス (東京大学)
シリコン超薄膜からの電 斎藤慎一
流注入発光
(日立製作所)
フォトニック結晶および 山田博仁
Si 細線導波路素子による (東北大学)
光集積回路の研究動向
3/12
小山二三夫
面発光レーザの現状と展望 (東京工業大学)
VCSEL・光集積回路
PLC 集積型波長可変レー 山崎裕幸
ザの技術と今後の展望 (日本電気)
VCSEL のレーザプリン
桑田靖章
タ,DVI 光リンク応用と(富士ゼロッ
その展開
クス)
フォトニック結晶面発光 野田 進
レーザ 発振原理から青 (京都大学)
紫色発振の実現まで
4.光材料・応用技術研究会
光材料・応用技術研究会は,光材料の産業応用への積
極的な展開を図るため,光学結晶・光材料から関連デバ
イス,応用技術までの幅広い分野について研究者・技術
者の交流・情報交換の場を提供してきた。
この研究会は 1989 年度に発足した「OEIC 用 LN 結晶
評価委員会」に起源をもち,以降「LN 結晶研究会」な
ど数回の名称変更を経て,その時々の主要テーマに活動
光インターコネクション
ビジョンチップとその応 石川正俊
用
(東京大学)
光インターコネクション 宍倉正人
用 10 Gbit/s/channel 光 (日立製作所)
トランシーバ
を適合させてきた。1998 年に名称を「光材料・応用技
術研究会」とし,現在に至っている。
本年度の会員は 60 名で,皆方代表幹事はじめ幹事 11
名により運営されている。本年度の研究会講演は表に示
コンピューティングシス
テムに用いられる光イン 中川 茂
ターコネクションの可能 (日本 IBM)
性と課題
光センシング・フォトニクス応用技術
痛みの分かる材料・構造 保立和夫
のための光ファイバ神経 (東京大学)
網技術
す通りで,先進の技術・研究についての紹介とそれに基
づく毎回活発な討議が行われた。特に第 3 回研究会は浜
松にて泊まりがけで開催され,夜遅くまで討議・情報交
換を行なうなど会員間の密な交流に寄与している。
(稲田 孝)
52
光産業.indb 52
08.5.27 5:56:44 PM
研究会・懇談会
テーマ
(開催日)
第 1 回 通信技術
5.多元技術融合光プロセス研究会
講 師
(敬称略)
並木 周
OFC/NFOEC2007 報告 (産業技術総
’07/6/15
合研究所)
遊部雅生
CLEO 2007 報告
(NTT)
ボードレベル光配線化の 三上 修
ための光接続技術
(東海大学)
量子暗号システムの研究 田島章雄
開発
(NEC)
コヒーレント光 QAM 伝 中沢正隆
送技術
(東北大学)
第 2 回 基盤材料と シリコン光導波路デバイ 山田博仁
しての Si スの現状と展望
(東北大学)
再発見
佐藤桂輔
PLZT 膜の電気光学効果 (富士通研究
と光デバイスへの応用
’07/9/14
所)
講演テーマ
近年レーザ加工をはじめとする光プロセス技術の進展
が著しい。 こうした新しい技術を産業に適用するために
は,適用される材料や構造,形態,製造されるデバイス
の種類や用途などに応じて,光源,光学系,物理化学現
象,前後工程,制御系や計測 ・ 分析技術など,これまで
出会うことのなかった多元的な技術を効果的に融合する
必要がある。 こうした,光プロセスに興味を持つ多様な
技術の持ち主が一堂に会し,有効な光プロセス技術を開
発するための議論の場を提供することが,本研究会の目
的である。平成 19 年度も,下表に示す 5 回の研究交流
会を開催し,光プロセスの基礎過程から現場に於ける課
ハイブリッド型シリコン 栗村 直
フォトニクスに向けたニ (物質・材料
オブ酸リチウム非線形光 研究機構)
学デバイス
題の抽出まで,活発な議論が展開された。また今年度よ
り新たに工場見学会を併設し,現場の様子がよくわかる
人工水晶・レーザー耐光 菊川信也
性の向上と応用
(旭硝子)
第 3 回 新領域技術 光 MEMS
羽根一博
(東北大学)
’07/11/16 厚膜熱酸化膜を応用、光 川崎正寛
導波路から光 MEMS へ (KST ワールド)
光合成タンパク質を用い
たバイオ FET 光センサ
皆方 誠
−異分野融合による新デ (静岡大学)
バイスの創成−
有機無機ナノ複合光学材 股木宏至
料とその応用
(KRT)
横山英明
高分子多孔体を用いた薄 (産業技術総
膜の屈折率制御
合研究所)
と好評であった。 講演テーマ
多元技術融合光プロセスの最
新動向
第1回
レーザープ
ロセッシン
グの基礎か
ら最新動向
まで
‘07/7/10
サブ波長周期構造を持つ 菊田久雄
光学素子とその応用
(大阪府立大学)
平等拓範
国際会議 NLO 報告
(自然科学研
究機構)
栗村 直
国際会議 CLEO PR、
(物質・材料
FPD 報告
研究機構)
国際会議 MOC 報告
(黒田文彦)
山本和久
(松下電器)
レーザ微細加工における多元
技術融合プロセスの最近の動
向 : 基礎研究を中心に
レーザプロセスの基礎過程
レーザの異分野・産業連携に
よる新展開とベンチャーの創
生
フェムト秒レーザによる透明
材料加工
大学機関における光プロセス
に関連した起業実践への取り
組み
時空間レーザ結晶化制御によ
るナノ構造ガラスの創製と光
機能応用展開
レーザ直描デジタルホログラ
ムのデバイス検討
講師(敬称略)
パラダイム
レーザーリ
サーチ
鷲尾邦彦
慶應義塾大学
小原 實
北海道大学
坪井泰之
大阪大学,
(株)創晶
森 勇介
サイバーレー
ザー(株)
鎌田将尚
光産業創成大
学院大学
沖原伸一朗
東北大学
藤原 巧
キヤノン(株)
富田佳紀
ロフィン・バー
光が創る電 太陽電池製造プロセスにおけ ゼルジャパン
子デバイス るレーザ加工
(株)
の世界
空田和彦
‘07/9/11
パワーデバイス向けレーザア フェトン(株)
ニール装置
松野 明
有機 EL-TV に向けたソニーの ソニー(株)
プロセス開発
平野貴之
総合討論“光デバイスは
どこに向かうのか”−講 全員参加
師、顧問を囲んで−
第 4 回 レーザ・非 フェムト秒レーザ加工の 伊東一良
線形光学技 マイクロフォトニクス (大阪大学)
術
高いビーム品質をめざす 藤崎 晃
ファイバレーザー
(古河電工)
’08/3/7
福部 博
高出力ファイバーレーザ (IPG
フォトニ
の最新動向
クスジャパン)
第2回
フェムト秒レーザ− 3 次
元マイクロ加工とバイオ
杉岡幸次
マイクロチップへの応用 (理化学研究所)
−
面発光半導体レーザの波 金田有史
長変換の研究
(アリゾナ大学)
平等拓範
Advanced Solid − State (自然科学研
Photonics 2008
究機構)
第3回
みえない『光
の貢献』を 自動車産業におけるレーザ加
見る−工業 工
製品製造に
おける“光”
の役割
‘07/11/15
トヨタ自動車
(株)
三瓶和久
53
光産業.indb 53
08.5.27 5:56:45 PM
第 3 回に NTT 武蔵野通研,第 4 回には慶應義塾大学デ
ジョブショップに於ける自動 (株)レーザッ
クス
車部品などのレーザ加工
坪井昭彦
みえない『光
浜松ホトニク
の貢献』を フェムト秒レーザを用いた加
ス(株)
見る−工業 工と計測
青島紳一郎
製品製造に
名城大学
おける“光”Si 基板上高出力半導体レーザ
実現のための結晶成長技術
成塚重弥
の役割
‘07/11/15
(株)レーザッ
工場見学
クス本社工場
地球環境観測における実用化 東北工業大学
されたライダー技術、これか
浅井和弘
らのライダー技術
第3回
第4回
レーザ多光子イオン化による
環境分析の最前線
レーザ誘起蛍光分光法による
植物生理情報のセンシング
環境・エネルギー問題へ挑戦
するマイクロ固体フォトニク
ス
新世代の環
境 / エネル
ギーにチャ
レンジする
光・多元融
合
‘08/1/10 宇宙の太陽 未来エネルギーに
建設分野におけるレーザ技術
の応用
軸対称偏光レーザビームの集
光特性と発生法
第 3 世代レーザレーダ
~二次元スキャン機構による
広視野、高分解能~
生活習慣病に挑む! 眼底分析
第 5 回 イメージング技術の新しい展
開
快適、安全
な社会を支 外科医の新しい目・手・脳を
える光技術 創る-脳外科領域での応用と
‘08/3/14 展望-
眼疾患のレーザ治療 -加齢
黄斑変性に対する光線力学療
法-
産業界におけるレーザ加工の
動向
ジタルメディア・コンテンツ統合研究機構および第 5 回
に情報通信研究機構の研究施設をそれぞれ見学した。討
論会終了後は講演資料(講演要旨,講演使用スライド,
パネル討論の概要で構成)を Web 公開(会員限定)した。
本年度の特徴は,「NGN イノベーション」と題して,
11 月 30 日(金)に NTT 武蔵野研究開発センタにおい
て講師 9 名を招いて 1 日がかりの公開ワークショップを
行なったことである。システム,ベンダ,ユーザ各層か
東京工業大学
藤井正明
信州大学
斉藤 保典
自然科学研究
機構
平等拓範
宇宙航空研究
機構
森 雅裕
大成建設㈱
永井 香織
東北大学
佐藤俊一
ら先端で活躍されている講師の方を招き盛んな議論が交
わされた。参加者も 90 名(会員外 25 名)と好評を博し
た。
(岡部 豊)
回
1
オムロン(株)
宮崎秀徳
産業技術総合
研究所
白井智宏
東京女子医科
大学
伊関 洋
聖隷浜松病院,
浜松医科大学
尾花 明
東成エレクト
ロビーム(株)
榊田正之
2
6.NGN 時代の光技術・産業懇談会
NGN 時代の光技術・産業懇談会は,NGN 時代の光技
3
術における光ルータと光スイッチ,次世代光ファイバ,
アクセス系,光インタコネクションの①技術動向,②市
場動向,③標準化動向に関する情報収集および意見交換
を行うとともに,それらの将来動向の展望について産業
講師
(敬称略)
公開討論会「光ルータと光スイッチの展
望」
フォトニックネット
神野正彦
ワークの将来展望
(NTT)
光ルーティング技術
尾中 寛
平成 19 年 の動向
(富士通研)
5 月 15 日
光ルータ,光パケッ
(火)
和田尚也
トスイッチ(OPS)
電通大
(NICT)
研究の動向
開催日
講演テーマ
パネル討論「光ルー
タと光スイッチの展
講師全員
望」
見学会
電通大施設
公開討論会「次世代光ファイバ」
次世代光ファイバ技
清水正利
術~空孔構造光ファ
(NTT)
イバの研究動向~
平成 19 年
7 月 4 日 POF 技術
田中爾文
(水)
(旭硝子)
電通大
フォトニック結晶
田中正俊
ファイバの応用
(三菱電線工業)
パネル討論「次世代
講師全員
光ファイバ 」
公開ワークショップ「NGNイノベー
ション」
次世代ネットワーク
篠原弘道
(NGN)とそれを支え
(NTT)
る光技術
KDDI の FMBC ネッ
松本修一
トワーク
(KDDI)
米田 進
平成 19 年 ソフトバンクグルー
(ソフトバンクテ
11 月 30 日 プの次世代ネット
ワーク実現へ向けて
レコム)
(金)
NTT
林 哲史
ユーザーから見た
武蔵野
NGN への期待と課題 (日経コミュニ
通研
ケーション)
界の関係者を中心に学官を交えて討論することにより,
光通信分野の産業の育成と振興を図ることを目的として
運営された。会員数は 79 名(幹事 19 名含む)で,青山
友紀代表幹事(慶應義塾大学)はじめ 19 人の幹事で運
営された。
岸川徳幸
NEC ビッグローブの (NEC
ビックロー
NGN への取り組み
ブ)
オラクルの NGN ビジ
浅野 洋
ネスへの取組
(日本オラクル)
次世代ネットワーク 中条孝文(富士通)
&サービス
5 回開催された各討論会は設定された中心テーマをカ
バーする講演と講演者によるパネル討論で構成された。
パネル討論は聴講者からの質問に答える形で実施し,好
評を博した。さらに見学会も企画し,第 1 回に電通大学,
54
光産業.indb 54
08.5.27 5:56:46 PM
研究会・懇談会
3
4
5
NGN を支える光ネッ
陶山茂樹
トワークインフラへ
(NEC)
の取り組み
Cisco SP NGN
木下 剛
Solution
(シスコシステムズ)
NTT 武蔵野通研
見学会
施設
討論会「NGN に向けた光アクセス系のシ
ステム・敷設・運用にわたる技術動向と
課題」
10G - PON 技術の最
中川潤一
新開発動向
(三菱電機)
光アクセス網技術の
山内 修
動向
(NTT)
平成 20 年
高橋 聡
1 月 23 日 プラスチック光ファ (小池フォトニク
イバの実用化と導入
(水)
スポリマープロ
慶応大学 状況
ジェクト)
パネル討論
「NGN に向けた光ア
クセス系のシステム・
講師全員
敷設・運用にわたる
技術動向と課題」
4K 超高精細デジ
見学会
タル映像のデモ
公開討論会「次世代高速イーサネット
(40G/100G Ethernet)」
高速イーサネット規
石田 修
格の標準化動向
(NTT)
システム側から見た
西村信治
平成 20 年 通信方式の動向
(日立製作所)
3月5日
デバイス側から見た
柳町成行
(水)
(NEC)
情報通信研 伝送部品の動向
究機構
パネル討論「高速イー
サネットのアプリ
講師全員
ケーションと実用化
の課題」
情報通信
見学会
研究機構施設
平成 19 年
11 月 30 日
(金)
NTT
武蔵野
通研
55
光産業.indb 55
08.5.27 5:56:47 PM
標準化
1.はじめに
体レーザの測定方法-第 1 部:総則」を受託,ISO への
当協会設立以来,標準化事業は協会の活動の重要な一
提案文書を作成し,次年度新規提案の予定である。太陽
翼を担っている。当初,レーザ安全性および光伝送の規
電池関連では,NEDO からの委託を受けた「包括的太
格化を目標に始まった標準化作業も,光メモリ関連,太
陽電池評価技術に関する標準化」が 2 年目の調査研究に
陽電池セル・モジュールの規格化,そしてそれらに関連
入った。
する ISO,IEC 等国際標準への審議委員会も加え,広範
また,標準化シンポジウムは,2008 年 2 月に北海道
囲なオプトエレクトロニクス分野での標準化を対象とす
工業大学 佐々木教授による「光ファイバ応用の可能性
るに至った。図 1 に本年度の標準化委員会組織図を示す。
-防災から見た光標準化」および社団法人 情報通信技術
2007 年度は,経済産業省からの委託を受けた基準認
委員会 井上理事長による「新しいパラダイム-グロー
証開発事業「ブロードバンド FTTH 時代に向けた高品
バル化と地域化」という二つの講演を主題に開催した。
位光伝送システム用光部品・モジュールの安全性および
当協会が原案作成した JIS は,本年度 9 件の制定・改
信頼性の標準化調査研究」が 3 か年の計画を無事終了,
正がなされた。本年度までに当協会各分野別標準化委
IEC 規格への提案を行なった。加えて本年度より新たな
員会で素案作成を行い制定された JIS を 表 1 に, また
テーマ「ポリマー光導波路の性能評価に関する標準化」
OITDA 規 格 お よ び 新 設 さ れ た 技 術 資 料(TP) を 表 2
を 3 か年の計画で受託した。また,新規分野・産業競争
に示し,以下各委員会の活動について報告する。
力強化型国際標準化提案事業として「センシング用半導
(増田岳夫)
図 1 標準化委員会組織図(2007 年度)
56
光産業.indb 56
08.5.27 5:56:54 PM
標準化
表 1 オプトエレクトロニクス日本工業規格(JIS)リスト
番 号
制定改正日
光受動部品
建物分科
委員会
1
ビルディング内光配線システム(Type II)
規 格 名 称
TS C 0017
公 2006/1/20
(限 2009.01.19)
光受動部品
光ファイバ
1
光ファイバ通則
JIS C 6820
改
2005/3/20
光ファイバ
2
光ファイバ機械特性試験方法
JIS C 6821
改
1999/7/20
光ファイバ
3
マルチモード光ファイバ構造パラメータ試験方法
JIS C 6822
改
1995/1/1
3
(2008 年 03 月 31 日現在)
干渉フィルタ試験方法
JIS C 5871
制
空間ビーム光用光アイソレータ通則
JIS C 5872
廃 2006/11/20
1992/9/1
光受動部品
4
空間ビーム光用光アイソレータ試験方法
JIS C 5873
制
光受動部品
5
光伝送用受動部品通則
JIS C 5900
改 2006/11/20
1992/9/1
光受動部品
6
光伝送用受動部品試験方法
JIS C 5901
改
7
光ブランチングデバイス通則(波長選択性の
ないもの)
JIS C 5910
改 2006/11/20
2001/3/20
光ファイバ
4
光ファイバ損失試験方法
JIS C 6823
改
1999/4/20
光受動部品
光ファイバ
5
マルチモード光ファイバ帯域試験方法
JIS C 6824
改
1997/8/20
光受動部品
8
波長スイッチ通則
JIS C 5912
制
2006/3/25
光ファイバ
6
シングルモード光ファイバ構造パラメータ試験方法
JIS C 6825
改
1995/1/1
光受動部品
9
光サーキュレータ通則
JIS C 5914
制
2006/3/25
シングルモード光ファイバ損失試験方法
JIS C 6826
廃
1999/4/20
光受動部品 10 光伝送用分散補償器通則
JIS C 5916
制
2006/3/25
JIS C 6827
改
2005/1/20
光受動部品 11 光減衰器通則
JIS C 5920
改 2005/12/20
光ファイバ
光ファイバ
7
光ファイバ波長分散試験方法
光ファイバ
8
光ファイバコード
JIS C 6830
改
1998/2/20
光受動部品 12 光スイッチ通則
JIS C 5930
改 2005/12/20
光ファイバ
9
光ファイバ心線
JIS C 6831
改
2001/8/20
光受動部品 13 光スイッチ試験方法
JIS C 5931
制
光ファイバ 10 石英系マルチモード光ファイバ素線
JIS C 6832
改
1999/7/20
光受動部品 14 光伝送用光アイソレータ通則
JIS C 5932
改 2006/11/20
光ファイバ 11 多成分系マルチモード光ファイバ素線
JIS C 6833
改
1999/2/20
光受動部品 15 光伝送用光アイソレータ試験方法
JIS C 5933
制
1993/10/1
光ファイバ 12 プラスチッククラッドマルチモード光ファイバ素線
JIS C 6834
改
1999/2/20
光受動部品 16 光伝送用レンズ通則
JIS C 5934
制
1999/7/20
光ファイバ 13 石英系シングルモード光ファイバ素線
JIS C 6835
改
2005/1/20
光受動部品 17 光伝送用レンズ試験方法
JIS C 5935
制
2005/1/20
光ファイバ 14 全プラスチックマルチモード光ファイバコード
JIS C 6836
改
1999/4/20
光ファイバ 15 全プラスチックマルチモード光ファイバ素線
JIS C 6837
改
1999/4/20
光ファイバ 16 テープ形光ファイバ心線
JIS C 6838
改
光ファイバ 17 屋内用テープ形光ファイバコード
JIS C 6839
光ファイバ 18 光ファイバ偏波クロストーク試験方法
1988/11/1
1
光伝送用半導体レーザ通則
JIS C 5940
改
1997/8/20
光能動部品
2
光伝送用半導体レーザ測定方法
JIS C 5941
改
1997/8/20
2001/3/20
光能動部品
3
再生および記録用半導体レーザ通則
JIS C 5942
改
1997/8/20
改
2008/1/20
光能動部品
4
再生および記録用半導体レーザ測定方法
JIS C 5943
改
1997/8/20
JIS C 6840
制
2006/3/25
光受動部品
5
光伝送用半導体レーザモジュール通則
JIS C 5944
改
2005/4/20
光ファイバ 19 光ファイバ心線融着接続方法
JIS C 6841
改
1999/7/20
光能動部品
6
光伝送用半導体レーザモジュール測定方法
JIS C 5945
改
2005/4/20
光ファイバ 20 光ファイバケーブル通則
JIS C 6850
改
2006/1/20
7
光ファイバ増幅器用半導体レーザモジュール通則
JIS C 5946
制
2005/1/20
光ファイバ 21 光ファイバケーブル特性試験方法
JIS C 6851
改
2006/1/20
光能動部品
8
JIS C 5947
制
2005/1/20
JIS C 6861
改
1999/4/20
光ファイバ増幅器用半導体レーザモジュール
測定方法
光能動部品
9
光伝送用半導体レーザモジュールの信頼性評価方法
JIS C 5948
制
2007/3/20
光能動部品 10 光伝送用発光ダイオード通則
JIS C 5950
改
1997/8/20
光能動部品 11 光伝送用発光ダイオード測定方法
全プラスチックマルチモード光ファイバ機械
光ファイバ 22
特性試験方法
全プラスチックマルチモード光ファイバ
光ファイバ 23
構造パラメータ試験方法
全プラスチックマルチモード光ファイバ損失
光ファイバ 24
試験方法
光ファイバ 25 マルチモード光ファイバモード遅延時間差試験方法
JIS C 6862
制
1991/9/1
JIS C 6863
制
1990/6/1
JIS C 6864
制
2008/1/20
光ファイバケーブル-第 2 部:屋内ケーブル-
JIS C
品種別通則
6870-2
光ファイバケーブル-第 2-10 部:屋内ケーブル-
JIS C
光ファイバ 27
1 心および 2 心光ファイバケーブル品種別通則 6870-2-10
光ファイバケーブル-第 2-20 部:屋内ケーブル-
JIS C
光ファイバ 28
屋内配線用多心光ファイバケーブル品種別通則
6870-2-20
光ファイバケーブル-第 3 部:屋外ケーブル-
JIS C
光ファイバ 29
品種別通則
6870-3
光ファイバ 26
制 2006/11/20
JIS C 5951
改
1997/8/20
12 光伝送用能動部品-性能標準-第 1 部:総則
JIS C
5953-1
制
2007/3/20
光伝送用能動部品-性能標準-
13 第 3 部:2.5 Gbit/s 変調器集積形半導体レーザ
モジュール
JIS C
5953-3
制
2007/3/20
制
2008/1/20
光能動部品 14 光伝送用フォトダイオード通則
JIS C 5990
改
1997/8/20
制
2008/1/20
光能動部品 15 光伝送用フォトダイオード測定方法
JIS C 5991
改
1997/8/20
光能動部品 16 低速光伝送リンク用送・受信モジュール通則
JIS C 6110
改 1997/11/20
光能動部品 17 低速光伝送リンク用送 ・ 受信モジュール測定方法
JIS C 6111
改 1997/11/20
18 中・高速光伝送リンク用送・受信モジュール通則
JIS C 6112
制
中・高速光伝送リンク用送・受信モジュール
19
測定方法
JIS C 6113
制 1997/11/20
制 2006/11/20
光コネクタ
1
光ファイバコネクタ通則
JIS C 5962
改
2001/3/20
光コネクタ
2
光ファイバコネクタ試験方法
JIS C 5961
改 2005/12/20
光コネクタ
3
光ファイバコード付き光コネクタ通則
JIS C 5963
制
光コネクタ
4
F 01 形単心光ファイバコネクタ
JIS C 5970
改 2005/12/20
光能動部品 20 光変調器モジュール通則
光コネクタ
5
F 02 形単心光ファイバコネクタ
JIS C 5971
改
1998/5/20
光能動部品 21 光変調器モジュール測定方法
光コネクタ
6
F 03 形単心光ファイバコネクタ
JIS C 5972
改
1998/5/20
光コネクタ
7
F 04 形光ファイバコネクタ
JIS C 5973
改 2005/12/20
光コネクタ
8
F 05 形単心光ファイバコネクタ
JIS C 5974
改
1998/5/20
光コネクタ
9
2001/3/20
光能動部品 22 pin-FET モジュール通則
光能動部品 23 pin-FET モジュール測定方法
光増幅器
F 06 形単心光ファイバコネクタ
JIS C 5975
改
1998/5/20
光コネクタ 10 F 07 形 2 心光ファイバコネクタ
JIS C 5976
改
2001/3/20
光コネクタ 11 F 08 形 2 心光ファイバコネクタ
JIS C 5977
改
1998/5/20
光コネクタ 12 F 09 形単心光ファイバコネクタ
JIS C 5978
改
1998/5/20
光コネクタ 13 F 10 形単心光ファイバコネクタ
JIS C 5979
改
1998/5/20
光コネクタ 14 F 11 形光ファイバコネクタ
JIS C 5980
改
1998/5/20
光コネクタ 15 F 12 形多心光ファイバコネクタ
JIS C 5981
改 2005/12/20
光コネクタ 16 F 13 形多心光ファイバコネクタ
JIS C 5982
改
2001/3/20
光コネクタ 17 F 14 形多心光ファイバコネクタ
JIS C 5983
改
2006/1/20
光コネクタ 18 F 15 形光ファイバコネクタ
JIS C 5984
制
2001/3/20
光コネクタ 18 F 16 形多心光ファイバコネクタ
JIS C 5985
制
2001/3/20
光コネクタ 19 F 17 形光ファイバコネクタ
JIS C 5986
制 2006/11/20
光コネクタ 20 F 18 形光ファイバコネクタ
JIS C 5987
制 2005/12/20
光増幅器
光コネクタ 21 F 19 形光ファイバコネクタ
光増幅器
光受動部品
JIS C 5988
制 2005/12/20
1
空間ビーム光用受動部品通則
JIS C 5860
改 1997/11/20
2
干渉フィルタ通則
JIS C 5870
改
1
光増幅器
光増幅器
光増幅器
光増幅器
光増幅器
1992/9/1
光ファイバ増幅器通則
光ファイバ増幅器-品質評価規格-
第 5-2 部:光ファイバ増幅器の信頼性評価
光ファイバ増幅器-測定方法-
3
第 1 部:利得パラメータ測定方法
光ファイバ増幅器-測定方法-
4
第 2 部:パワーパラメータ測定方法
光ファイバ増幅器-測定方法-
第 3-1 部:雑音指数パラメータ測定方法-
光スペクトラムアナライザ試験方法(Type II)
光増幅器-測定方法-
5 第 3-2 部:雑音指数パラメータ-
電気スペクトラムアナライザ試験方法
光ファイバ増幅器-測定方法-
6
第 3 部:雑音指数パラメータ測定方法
光ファイバ増幅器-測定方法-
7 第 5-1 部:反射率パラメータ測定方法-
光スペクトラムアナライザを用いた測定方法
光ファイバ増幅器-測定方法-
8
第 6 部:漏れ励起光パラメータ測定方法
光ファイバ増幅器-測定方法-
9
第 7 部:増幅波長帯域外挿入損失測定方法
光増幅器-測定方法-
第 10-1 部:マルチチャンネルパラメータ-
10
光スイッチおよび光スペクトラムアナライザ
を用いたパルス法
2
JIS C
6114-1
JIS C
6114-2
JIS C
6115-1
JIS C
6115-2
JIS C 6121
JIS C
6121-5-2
JIS C
6122-1
JIS C
6122-2
TR C 0021
1996/9/20
制
2006/1/20
制
2006/1/20
制
2006/1/20
制
2006/1/20
制
1998/2/20
制
2007/3/20
制
1998/2/20
制
1998/2/20
制 2001/12/1
失 2004/11/30
JIS C
6122-3-2
制
2006/1/20
JIS C
6122-3
制
2001/8/20
JIS C
6122-5-1
制
2001/8/20
制
1998/2/20
制
1998/2/20
制
2007/3/20
JIS C
6122-6
JIS C
6122-7
JIS C
6122-10-1
57
光産業.indb 57
08.5.27 5:56:58 PM
光増幅器-性能仕様テンプレート-
第 1 部:デジタル用光ファイバ増幅器
光増幅器-性能仕様テンプレート-
12
第 2 部:アナログ用光ファイバ増幅器(Type II)
光増幅器-性能仕様テンプレート-
13
第 4 部:マルチチャンネル用光増幅器
11
光測定器
レーザ出力測定方法
JIS C 6180
制
1991/8/1
2
レーザ放射パワーおよびエネルギー測定用検
出器,測定器および測定装置
JIS C 6181
制
1995/1/1
3
レーザビーム用光パワーメータ試験方法
JIS C 6182
制
1991/8/1
20 アモルファス太陽電池モジュール
4
光スペクトラムアナライザ試験方法
JIS C 6183
制
1992/9/1
5
光ファイバ用光パワーメータ試験方法
JIS C 6184
制
1993/10/1
JIS C 6185
改
2008/1/20
JIS C
6185-2
制
2007/8/20
オプティカル タイム ドメイン リフレク
トメータ(OTDR)試験方法
オプティカルタイムドメインリフレクトメー
タ(OTDR)校正方法
公 2006/1/20
(限 2009.01.19)
制
2008/1/20
8
光ファイバ用光パワーメータ校正方法
JIS C 6186
改
2008/1/20
9
光波長計試験方法
アモルファス太陽電池モジュール(追補 1)
21
22
23
アモルファス太陽電池セル・モジュール屋外
出力測定方法
アモルファス太陽電池セル・モジュール屋外
出力測定方法(追補 1)
地上設置の結晶シリコン太陽電池(PV)モ
ジュール-設計適格性確認および形式認証の
ための要求事項
地上設置の薄膜太陽電池(PV)モジュール-
設計適格性確認および形式認証のための要求事項
情報交換用 CD-ROM のボリュームおよびファ
イル構造
非逐次記録を用いる追記形と書換形の情報交換用媒
体のボリュームおよびファイルの構造[要約]
非逐次記録を用いる追記形と書換形の情報交
換用媒体のボリュームおよびファイルの構造
[要約](追補 1)
再生専用形および追記形の情報交換用コンパクト
ディスク媒体のボリュームおよびファイルの構造
[要約]
情報交換用非逐次記録高密度光ディスクの
ボリューム構造およびファイル構造
DVD- 書換形ディスクのボリューム構造およ
びファイル構造
JIS C 6187
制
1999/7/20
10 測定用光減衰器試験方法
JIS C 6188
制
1999/7/20
11 光反射減衰量測定器試験方法
JIS C 6189
制
2004/3/20
12 光ファイバ用光源試験方法
JIS C 6190
制
1993/10/1
13 波長可変光源試験方法
JIS C 6191
制
2005/4/20
14 光スペクトラムアナライザ校正方法
JIS C 6192
制
2008/1/20
15 光ファイバ構造パラメータ測定器校正方法
JIS C 6828
制
2004/3/20
16 光ファイバ波長分散測定器校正方法
JIS C 6829
制
2005/1/20
1
レーザ安全用語
JIS C 6801
改
1988/11/1
2
レーザ製品の放射安全基準
JIS C 6802
改
2005/1/20
6
3
レーザ製品の安全-光ファイバ通信システムの安全
JIS C 6803
制
2006/1/20
7
*
レーザ保護フィルタおよびレーザ保護めがね
JIS T 8143
制
1994/3/15
1
一次基準太陽電池セル
JIS C 8910
制 2001/12/20
一次基準太陽電池セル(追補 1)
JIS C 8910
改
2005/9/20
10 120mm DVD-RAM ディスク用ケース
二次基準結晶系太陽電池セル
JIS C 8911
改
1998/2/20
11
二次基準結晶系太陽電池セル(追補 1)
JIS C 8911
改
2005/9/20
結晶系太陽電池セル・モジュール測定用
ソーラシミュレータ
JIS C 8912
改
1998/2/20
結晶系太陽電池測定用ソーラシミュレータ(追補 1) JIS C 8912
改
2005/9/20
2
3
4
5
6
太陽電池
アモルファス太陽電池分光感度特性測定方法(追補 1)
2005/1/20
1
7
太陽電池
制
アモルファス太陽電池出力電圧・出力電流の
18
温度係数測定方法
アモルファス太陽電池出力電圧・出力電流の
温度係数測定方法(追補 1)
アモルファス太陽電池モジュールの環境試験
19
方法および耐久性試験方法
アモルファス太陽電池モジュールの環境試験
19
方法および耐久性試験方法(追補 1)
6
レーザ安全性
JIS C
6123-1
TS C
6123-2
JIS C
6123-4
7
8
9
結晶系太陽電池セル出力測定方法
JIS C 8913
改
1998/2/20
結晶系太陽電池セル出力測定方法(追補 1)
JIS C 8913
改
2005/9/20
結晶系太陽電池モジュール出力測定方法
JIS C 8914
改
1998/2/20
結晶系太陽電池モジュール出力測定方法(追補 1)
JIS C 8914
改
2005/9/20
結晶系太陽電池分光感度特性測定方法
JIS C 8915
改
1998/2/20
結晶系太陽電池分光感度特性測定方法(追補 1) JIS C 8915
結晶系太陽電池セル・モジュールの出力電圧
・ 出力電流の温度係数測定方法
結晶系太陽電池セル・モジュールの出力電圧
・ 出力電流の温度係数測定方法(追補 1)
結晶系太陽電池モジュールの環境試験方法および
耐久性試験方法
結晶系太陽電池モジュールの環境試験方法および
耐久性試験方法(追補 1)
2
3
4
5
JIS C 8938
改
2005/9/20
JIS C 8939
制
1995/11/1
JIS C 8939
改
2005/9/20
JIS C 8940
制
1995/11/1
JIS C 8940
改
2005/9/20
JIS C 8990
制
2004/6/20
2004/6/20
JIS C 8991
制
JIS X 0606
改 1998/10/20
JIS X 0607
制
1996/3/1
JIS X 0607
改
2001/3/20
JIS X 0608
制 1997/10/20
JIS X 0609
制
1998/2/20
2006/3/25
JIS X 0610
制
120mm DVD- 再生専用ディスク
JIS X 6241
改 2004/12/20
8
80mm DVD- 再生専用ディスク
JIS X 6242
改 2004/12/20
9
120mm DVD- 書換形ディスク(DVD-RAM) JIS X 6243
制
1998/1/20
JIS X 6244
制
1998/1/20
制
1999/3/20
制
2005/8/20
80mm(1.46GB/ 面)および 120mm(3.95 GB/ 面)
JIS X 6245
DVD- レコーダブルディスク(DVD-R)
120mm(4.7GB/ 面)および 80mm(1.46 GB/ 面)
12
JIS X 6246
DVD- 書換形ディスク(DVD-RAM)
13 120mm および 80mm DVD-RAM ディスク用ケース JIS X 6247
制
2005/8/20
80mm(1.46GB/ 面)および 120mm(4.70 GB/ 面)
JIS X 6248
DVD リレコーダブルディスク(DVD-RW)
制
2007/1/20
14
15 130mm 追記形光ディスクカートリッジ
JIS X 6261
制
1991/1/1
16 130mm 書換形光ディスクカートリッジ
JIS X 6271
制
1991/8/1
17 90mm 書換形および再生専用形 光ディスクカートリッジ JIS X 6272
制
1992/9/1
18 130mm/1.3GB 光ディスクカートリッジ[要約]
制
1996/8/1
JIS X 6273
19 130mm/2GB 光ディスクカートリッジ[要約] JIS X 6274
制 1997/10/20
制 1997/10/20
制
1998/7/20
JIS C 8916
改
2005/9/20
22 90mm/640 MB 光ディスクカートリッジ
JIS X 6277
制
1998/7/20
23 130mm/5.2GB 光ディスクカートリッジ[要約] JIS X 6278
制
2001/3/20
24 120mm 再生専用形光ディスク(CD-ROM)
JIS X 6281
改
2006/1/20
JIS X 6291
制
1998/7/20
JIS X 6292
制
1998/7/20
TR X 0001
失
1999/8/6
公
(限
公
(限
公
(限
公
(限
公
(限
公
(限
2005/9/20
2010.09.19)
2005/9/20
2008.09.19)
2005/9/20
2008.09.19)
2005/9/20
2008.09.19)
2005/9/20
2008.09.19)
2005/9/20
2008.09.19)
1998/2/20
結晶系太陽電池モジュール(追補 1)
JIS C 8918
改
2005/9/20
JIS C 8919
制
1995/9/1
25
26
JIS C 8919
改
2005/9/20
27
JIS C 8920
制
2005/9/20
28
JIS C 8931
制
1995/9/1
29
二次基準アモルファス太陽電池セル(追補 1) JIS C 8931
改
2005/9/20
JIS C 8932
制
1995/9/1
JIS C 8932
改
2005/9/20
JIS C 8933
制
1995/9/1
JIS C 8933
改
2005/9/20
JIS C 8934
制
1995/9/1
JIS C 8934
改
2005/9/20
30
光ディスク 31
32
光
光
33
34
90mm/1.3 GB 光ディスクカートリッジ(相変
化光記録)
120mm/650 MB 光ディスクカートリッジ
(相変化光記録,PD フォーマット)
情報交換のための非逐次記録高密度光ディスク
(DVD など)のボリューム構造およびファイル構造
DVD- 再生専用ディスクのボリューム構造お
よびファイル構造
追記形コンパクトディスク(CD-R)システム
(Type II)
ユニバーサルディスクフォーマット(UDF)
2.00(Type II)
DVD- 書換形ディスクのボリューム構造およ
びファイル構造(Type II)
ユニバーサルディスクフォーマット(UDF)
1.50(Type II)
ユニバーサルディスクフォーマット(UDF)
のセキュリティ拡張(Type II)
ユニバーサルディスクフォーマット(UDF)
に基づくファイルシステムの応用プログラム
インタフェース(Type II)
書換形コンパクトディスク(CD-RW)システ
ム」(Type II)
DVD-R ディスクのボリューム構造およびファ
イル構造(Type II)
JIS C 8935
制
1995/9/1
光ディスク 35
アモルファス太陽電池モジュール出力測定方
法(追補 1)
JIS C 8935
改
2005/9/20
光ディスク 36 CD メディア物理的識別のための指針(Type II)
17 アモルファス太陽電池分光感度特性測定方法
JIS C 8936
制
1995/9/1
光ディスク 37 UDF 適合性試験ツール
16 アモルファス太陽電池モジュール出力測定方法
1995/11/1
JIS X 6276
改
アモルファス太陽電池セル出力測定方法(追補 1)
制
JIS X 6275
JIS C 8918
15 アモルファス太陽電池セル出力測定方法
JIS C 8938
21 130mm/2.6 GB 光ディスクカートリッジ
結晶系太陽電池モジュール
アモルファス太陽電池測定用ソーフシュミ
レータ追補 1)
2005/9/20
20 90mm/230MB 光ディスクカートリッジ[要約]
2005/9/20
14 アモルファス太陽電池測定用ソーラシミュレータ
1995/9/1
改
2005/9/20
改
二次基準アモルファス太陽電池サブモジュー
ル(追補 1)
制
JIS C 8937
1998/2/20
JIS C 8917
13 二次基準アモルファス太陽電池サブモジュール
JIS C 8937
改
1998/2/20
12 二次基準アモルファス太陽電池セル
2005/9/20
改
改
結晶系太陽電池セル・モジュール屋外出力測
定方法(追補 1)
開放電圧法による結晶系太陽電池の等価セル
11
温度測定方法
1
改
JIS C 8916
JIS C 8917
10 結晶系太陽電池セル・モジュール屋外出力測定方法
光ディスク
JIS C 8936
TR X 0006
TS X 0025
TS X 0035
TS X 0038
TS X 0039
TS X 0040
TS X 0041
公 2005/9/20
(限 2008.09.19)
公
(限
公
TS X 0067
(限
公
TS X 0068
(限
公
TR X 0075
(限
TS X 0066
2004/12/20
2007.12.19)
2004/12/20
2007.12.19)
2004/12/20
2007.12.19)
2004/12/1
2009.11.30)
58
光産業.indb 58
08.5.27 5:57:02 PM
標準化
(注)制:制定年月日,改:改正年月日,廃:廃止年月
ることにしたが,標準化の推進のためにこれらの運用を
日を示す。
発展させていく。今年度は翼下に企画調整分科会,ダイ
TR については,公:公表年月日,限:有効期限年月日,
ナミックモジュール分科会,建物内光配線システム分科
失:失効年月日を示す。
会の三つの分科会をもち活動した。
表 2 光産業技術振興協会規格(OITDA 規格)
および技術資料(TP)リスト
2.1 企画調整分科会
規 格 名 称
Polarization mode dispersion
measurement using polarization
1 phase shift method(日本語訳題名:
偏波位相シフト法による光受動部品
の偏波モード分散測定方法)
Chromatic dispersion measurement
using polarization phase shift
(PPS) method for passive optical
2
components(日本語訳題名:偏波位
相シフト法による光受動部品の波長
分散測定方法)
光ディスクエミュレーションシステ
3 ム(Emulation System for Optical
Disk)
技 術 資 料 名 称
FTTH 対応 戸建住宅用光配線シ
ステム(Optical fiber distribution
4
system for detached houses in
FTTH)
FTTH 対応 集合住宅用光配線シ
ステム(Optical fiber distribution
5
system for apartment houses in
FTTH)
プラスチック光ファイバ(POF)
建物内光配線システム(Plastic
6
optical fiber distribution system for
customer premises)
2.1.1 目的・活動内容
(2008 年 03 月 31 日現在)
番 号 制定改正年月日
OITDAPD01
制
2004
(Ed.1)
OITDAPD02
制
2006
(Ed.1)
OITDADC01
制
2005
(Ed.1)
(平野隆之)
効率的な JIS 化・標準化活動に向けて,国際標準化を
バックアップする視点からの JIS 標準化戦略,効率的な
JIS 原案作成のための問題点抽出と改善案の検討,すで
2004/08/27
に運用が始まっている OITDA 規格および技術資料(TP)
の推進を行う。
2.1.2 今年度の活動
2006/08/29
(1)標準化活動の基本スタンスの検討
国(知的財産戦略本部)がまとめた「国際標準総合戦
略」および「国際標準化戦略目標(国際標準化官民戦略
2005/07/25
会議)」,「国際標準化アクションプラン(JISC)」をベー
スに今後のファイバオプティクス関連標準化活動の基本
(2008 年 03 月 31 日現在)
番 号 公表改正年月日
TP公
BW01
2007/07/06
2007
表
(Ed.1)
TPBW02
公
2007/07/06
2007
表
(Ed.1)
TPBW03
公
2007/07/06
2007
表
(Ed.1)
スタンスを検討しとりまとめた。関連標準化委員会・分
科会において検討した結果,合意が得られた。
(a)IEC 規格の JIS 化は重要度の高いものとし,日本
における利用頻度,必要度の低いものは必ずしも JIS 化
しない。レベルによって OITDA 規格・TP とするもの,
IEC に対応する日本語規格の無いものもあって良い。
個々の IEC 規格をどの位置づけにするかは各標準化委
員会で判断する。
(b)新規 IEC 規格については,IEC → JIS の流れから,
2.ファイバオプティクス標準化委員会
IEC 国内委員会と連携を取って,OITDA → IEC の流れ
ファイバオプティクス標準化活動を常に先行けん引す
を指向する。
ることを目的に,標準化ビジョンの策定・維持・更新を
(2)OITDA 規格,技術資料に関する検討
通し,ファイバオプティクス標準化活動全体の整合性と
IEC 国内委員会をバックアップし,国際規格へ日本
方向性を合わせることを目的とした,標準化技術委員会
の意見をより反映させるための実現可能な方法として
傘下の企画推進的な役割を担っている。また標準化の問
の 国 内 標 準 の 根 拠 を 示 す OITDA 規 格 の 制 定, さ ら に
題点について調整的役割を果たすとともに,国内の要望
OITDA 規格の推進と実効性をあげるため,規格より前
を国際に反映できるよう活動を行う。各標準化委員会で
段階の案件等について技術レポート/資料としての TP
は JIS 原案を作成して答申しているが,WTO/TBT 協
を公表していくことにして,その運用がはじまってい
定に伴い,JIS と国際標準との整合性が強く言われるよ
るが,今年度には,建物内光配線システム関連で 3 件の
うになり,新規開発する日本の優れた技術を国際標準
TP(技術資料)が公表され,OITDA 規格,TP は各 3 件,
(IEC 規格等)に反映することが,重要な課題となって
合計 6 件となった。なお,TP として IEC の解説を発行
いる。本委員会は,今年度このような問題意識に立脚し,
する等,OITDA 規格の活用方法を今後も検討する。
JIS 化と国際標準化における問題点の改善・戦略提案に
(3)標準化の委員会の横並び問題,JIS 原案作成の省力
ついて重点的に取り組んだ。また団体規格(OITDA 規格)
化に関する検討
およびそれを補完するための技術資料(TP)を公表す
(a)JIS 原案作成の省力化について,関連委員会の要
59
光産業.indb 59
08.5.27 5:57:03 PM
望を調査した。JIS 原案作成で,図面作成の補助の必要
ている。
性,JIS で TR/TS は暫定資料の位置づけとなっているが,
(4)ダイナミック波長分散補償器性能標準における重
一方 IEC の TR は資料として有効とされている,など
要な光学特性である群遅延リップルについて,試験方法
問題点が指摘された。これらについて対応を検討した。
に関する IEC 文書(62343-5-2)発行に向けて継続して
(b)用語(IEC 訳語)
審議を行った。試験方法の適合性を広範に確認すること
JIS 化の省力化の一環として,IEC 規格の訳語を各委
を目的として,光導波路型およびエタロン型ダイナミッ
員会で参照・共有できるよう,昨年度から本分科会事務
ク分散補償器の回覧試験を実施した。
局が幹事になってとりまとめを行ってきた。今年度は,
(5)DM の動作状態での振動衝撃試験法(経済産業省
その他の委員会からもデータの提出を受け,訳語表の追
より受託した「基準認証研究開発事業」の一環)につい
加を行った。
て,MEMS 等を含む光モジュールを搭載した擬似通信
(c)JISC の動向など
装置(ラック)に対するハンマー衝撃・振動衝撃測定に
JIS 化審議状況については比較的順調に進みつつある
加えて,コンピュータシミュレーションによるモデル解
が,規格調整分科会からのコメントについては共通的な
析を実施し,実機を用いた衝撃測定がモデル解析により
事項をまとめ,各標準化委員会にフィードバックする。
正確に再現できることを確認した。これらの結果を用い
(平野隆之)
て,振動衝撃試験法に対するガイドラインを定めると共
に,テクニカルレポートの作成,テスト方法文書の作成,
2.2 ダイナミックモジュール
光モジュール信頼性文書への反映等を行う予定である。
光通信ネットワークは,長距離コア系からメトロ系や
(6)新規テーマ調査として,波長選択スイッチ(WSS),
光アクセスシステムへの展開に合わせてフレキシブルな
光アドドロップ(ROADM),光チャンネル / パフォー
ネットワーク構成に向かっており,それに合わせて光パ
マンスモニター(OCM/OPM) の製品動向調査を実施
ス接続状態や光フィルタ特性などの動的な制御可能な光
した。IEC での新規性能標準文書に繋げていきたい。
サブアセンブリ「ダイナミックモジュール(DM)」の開発・
(岡部正博)
製品化が進められている。IEC においては標準化活動が
2.3 建物内光配線システム分科会
SC 86C/WG 5 で行われており,わが国ではこれに対応
する JIS 標準化組織として DM 分科会が活動を行ってい
2007 年 9 月においてブロードバンド契約者数が 2,776
る。今年度の主な活動成果は以下の通りである。
万件となり,光ファイバを用いる FTTH 契約者数は 1,052
(1)ダイナミック波長分散補償器性能標準規格につい
万と初めて大台を超えた(総務省調べ)。今後も大きな
て,CDV 段階(86C/698/CDV)で出されていたコメン
伸びが予想されている。
トがマイナー修正のレベルであったため,FDIS を飛ば
インターネットに加え IP 電話,映像などの各種サー
し IS として 7 月に発行された。 これにより,SC 86C/
ビスが FTTH に統合され始めている。集合住宅や戸建
WG 5 で制定された性能標準文書としては,ダイナミッ
住宅でこれらサービスを受けるのに必要な情報配線は,
ク利得傾斜等化器に続いて 2 番目のものとなった。
居住者の利用したいサービスや新築・既存住宅などに
(2)DM ソフトウェア / ハードウェアインタフェース
よって異なる。従って,居住者または住宅提供者(住宅
について,2007 年 10 月サンテティエンヌ会合にて技術
メーカ,設計者など)が,希望するサービスを利用する
レポート(62343-6-2)WD の説明を行った結果,発行
ための情報配線等を理解し,配管などの配線環境を整え
に向け審議することが決定された。標準化の対象として
る必要がある。これらの利用環境の構築を支援・推進す
は,今後市場での導入拡大が見込まれる高機能ダイナ
るため,居住者または住宅提供者に向けた建物内におけ
ミックモジュールから着手するとの方針が採択された。
る FTTH 光配線やその技術動向などの情報発信・提供
(3)ダイナミック利得傾斜等化器の応答時間測定方法
が重要となっている。
について,昨年度,日本から NP 提案した規格文書は,
2.3.1 技術資料(TP)の作成
2007 年 3 月アナハイム会合において審議された RVN コ
各種建物に使用される FTTH など光配線システムに
メントを反映させた修正を行い,CD 回覧された。回覧
関する最新技術動向と実際の施工状況などを調査し、下
での審議やコメントに対して,検討,フォロー等を進め
記 3 件の技術資料(Ed.1,2007 版) にまとめ当協会の
60
光産業.indb 60
08.5.27 5:57:03 PM
標準化
HP(http://www.oitda.or.jp/)に公開した。
(社)日本 CATV 技術協会は放送の観点から「集合住宅
(1)技術資料「FTTH 対応戸建住宅用光配線システム」
における光伝送システムに関する設計ガイドライン」を
(2)技術資料「FTTH 対応集合住宅用光配線システム」
作成。(社)日本電線工業会では,FTTH に関するシス
(3)技術資料「プラスチック光ファイバ建物内配線シ
テム, 部材, 用語などを技術資料「FTTH の動向 ・ 技
ステム」
術調査」(第 141 号,2007 年 5 月)にまとめた。
今年度はこれらの技術資料の充実化に向け、更に具体
(稲田 孝)
的事例や性能などの情報調査を行って追加・改訂の検討
3.光ファイバ標準化
を進めている。
3.1 新規標準化に関する検討
3.7.2「TS C 0017」の改訂に向けた光配線システムア
3.1.1 屋外用光ケーブル製品群
ンケート調査結果
標準仕様書 TS C 0017「ビルディング内光配線システ
IEC で改定が検討されている「屋外用ダクト/直埋光
ム」が 2009 年 1 月に改訂の時期を迎えるため、光ファ
ケーブル」および「屋外用自己支持型架空光ケーブル」
イバ配線の実情把握,上記 TS C 0017 の状況把握などの
について新たな JIS 素案を作成すべく検討を開始した。
ためにアンケート調査を行った。
両規格については IEC においての議論がまだ終結して
アンケートは過去の調査(1995 年,2002 年)との比
おらず,特に各種試験の条件や測定誤差,多心ケーブル
較も行った。調査は当協会の関連委員と賛助会員,関連
での特性保証方法などが討議されている。当委員会では
有識者に依頼し 77 通の回答を得た(回答率は約 42%)。
IEC の動向を見守りつつ JIS 素案の作成に向けた準備を
アンケートの主な結果は次の通り。
行う予定である。
(1)TS C 0017「ビルディング内光配線システム」を知っ
3.1.2 偏波モード分散試験方法
ているのは 4 割。うち 3 割が参考にしていた。
近年では,光ファイバを用いた通信の伝送速度が 40
(2) ビ ル 内 光 配 線 シ ス テ ム で は,FTTH で の 用 途 が
Gbps 程度と高速になってきており,長距離伝送におい
LAN と同程度まで普及している。
ては偏波モード分散が伝送距離,伝送速度などの要因
(3)ホーム内光配線システムでは,SM 0.25 mm 心線、
と し て ク ロ ー ズ ア ッ プ さ れ て き て い る。 そ こ で,IEC
現地取付型 SC コネクタ接続が普及してきた。
60793-1-48 で規定されている「偏波モード分散試験方法」
(4) 今 後 の 主 な 課 題 は 光 フ ァ イ バ 接 続 の ス キ ル レ ス
を新たな JIS 素案とすべく議論を開始した。
化,部品の低コスト化。特にホーム内光配線では
美観維持や施工工事の所要時間。ビル内光配線で
3.2 日本工業標準調査会への答申
は許容曲げに由来する布設空間の大きさと接続作
3.2.1 偏波面保存光ファイバ素線
業時間の長さ。
偏波面保存光ファイバについては,2007 年度までに
2.3.2 他標準化関連団体に関する情報とトピックス
JIS C 6840「光ファイバ偏波クロストーク試験方法」の
(1)(社)電子情報技術産業協会(JEITA)情報配線シ
改正素案,「偏波面保存光ファイバ構造パラメータ試験
ステム標準化専門委員会
方法」,
「光ファイバビート長試験方法」の制定素案など,
光ファイバ配線の試験方法 ISO 14763-3“Testing of
同ファイバの性能を規定するために必要な試験方法を記
optical fiber cabling” が制定されたのを受け 2007 年に
す JIS の素案を作成してきた。2008 年度は,昨年度から
JIS 化作業を開始した。本分科会から上記 3 技術資料を
取り組みを始めた偏波面保存光ファイバの製品規格作成
紹介し,専門委員会にて活用頂くことになった。
を目的とした活動を継続し,特に使用波長が 980 nm,
(2)NPO 光ファイバー普及推進協会
1310 nm および 1550 nm となる 3 種類のファイバにつ
エレベータシャフトを活用した既築マンション光化実
いて規格化すべき項目とその数値について討議した。そ
証実験を 2007 年 9 月に実施した。高度情報配線設備ガ
の結果として,新たな製品規格となる「偏波面保存光ファ
イドブックを作成予定。
イバ素線」の制定素案を完成させた。また,本規格の制
(3)その他関連団体の情報
定に伴い JIS C 6820「光ファイバ通則」の形名に関する
NPO 高度情報通信推進協議会は技能五輪の「情報ネッ
規定の変更を行う必要が生じることから,併せて同規格
トワーク施工」競技を主催し当分科分と関連性が高い。
の改定素案を作成した。偏波面保存光ファイバは日本が
61
光産業.indb 61
08.5.27 5:57:03 PM
3.3 今後の課題
技術的な優位を確保している分野であり,光ファイバア
ンプや各種のセンサ類などに適用され,その応用分野も
3.2 に掲げた規格制定/改正の審議が終了した JIS 素
広がっていることから,JIS 化の後には IEC などの国際
案については,日本工業標準調査会電子専門委員会にお
標準化団体に対しても積極的な規格提案を行っていくべ
ける審議の手続きを進める。また,3.1 項に掲げた新規
きと考える。
標準案については,国際規格への整合や新たな提案も視
3.2.2 光ファイバ損失試験方法
野に入れながら,次年度中の答申を目指す。これに加え
IEC 60793-1-1:Optical fibres Part 1-1:
て次年度は,「偏波モード分散試験方法」や IEC および
Measurement methods and test procedures – General
ITU-T などで議論が活発化している「曲げ損失が抑制
and Guidance,2001 年 に 第 1 版 と し て 発 行 さ れ た IEC
された光ファイバ」などについても議論を継続し,必要
60793-1-40:Optical fibres Part 1-40:Measurement
に応じて時機を失することなく JIS 化に向けた検討を行
methods and test procedures – Attenuation, IEC
う予定である。
(冨田 茂委員長;外所哲郎)
60793-1-46:Optical fibres Part 1-46:Measurement
4.光コネクタ標準化
methods and test procedures – Monitoring of changes
in optical transmission, IEC 62221:Optical fibres:
我が国では FTTH サービスの普及が着実に進み,加
Measurement methods – Microbending sensitivity お よ
入者数は 2007 年度末までで 1,000 万を超え, その増加
び 2006 年に第 2 版として発行された IEC 60793-1-47:
ペースは引き続き世界の中で抜き出ている。このような
Optical fibres Part 1-47:Measurement methods and
状況で,本委員会で扱っている各種光コネクタはインタ
test procedures – Macrobending loss を合わせ,シング
フェース部品としての性格上,社会に広く普及させるた
ルモード光ファイバ,石英系マルチモード光ファイバ,
めには標準化が極めて重要である。
多成分系マルチモード光ファイバ,プラスチッククラッ
WTO 加盟に伴い JIS を対応する国際規格である IEC
ドマルチモード光ファイバおよび全プラスチックマルチ
規格に整合させる必要があるが,光コネクタの技術は諸
モード光ファイバに対して適用される損失試験方法の
外国に比べ,我が国での開発が先行し,JIS を元に IEC
JIS 素案を作成した。本規格で規定されている主な試験
へ提案された例が多く,JIS と IEC 規格とが一致してい
方法は,「損失試験方法」,「光導通・光損失変動試験方
ない。また,両者の間では規格の体系そのものが異なっ
法」,「マイクロベンド損失試験方法」および「曲げ損失
ている。そのため,これまで制定してきた JIS を規格体
試験方法」である。
系から作り直す必要に迫られており,当委員会として
3.2.3 屋内用光ファイバケーブル個別規格
は, 数年を要するであろう JIS 規格体系の IEC 規格整
IEC 60794-2-11:Optical fibre cables - part 2-11:
合化の作業を進めると共に,次世代における各種光コネ
Indoor cables - Detailed specification for Simplex &
クタの技術動向に対し,JIS 化もしくは技術的検証を積
Duplex cables for premises cabling,IEC 60794-2-21:
極的に進めてきた。このような状況をふまえ当委員会で
Optical fibre cables - part 2-21:Indoor cables -
は,光コネクタの標準化動向調査 ,JIS 原案作成およびリ
Detailed specification for multi-fibre optical distribution
エゾン活動を行った。
cables in premises cabling お よ び IEC 60794-2-31:
4.1 標準化動向調査 , 試案化検討
Optical fibre cables - part 2-31:Indoor cables Detailed specification for optical fibre ribbon cables for
前年度に引き続き,JIS の IEC 規格への整合化を優先
use in premises cabling の 3 文書対応する「屋内用 1 心
課題とした。新しい JIS 体系が固まりつつあるので,本
/ 2 心構内配線光ファイバケーブル」,「屋内用多心構内
年度は個別の規格についての内容審議を中心に,以下の
配線光ファイバケーブル」および「屋内用テープ形構内
項目について調査,試案化検討を行った。
配線光ファイバケーブル」の JIS 素案を作成した。なお,
① 性能標準の検討討
この規格では ISO/IEC 11801 第 2 版で規定される距離 2
② 光学互換の標準化検
km 未満の構内系ケーブル配線システム全般の内容との
・ 光 フ ァ イ バ コ ネ ク タ 光 学 互 換 通 則 手 引 書(IEC
61755-1 対応 JIS)の素案検討 ※ 1)
整合化も図られている。
・ファイバレベル光学互換(直角 PC)(IEC 61755-2-1
62
光産業.indb 62
08.5.27 5:57:04 PM
標準化
5.1.2 光学要素の JIS 試験・測定法検討
対応 JIS)の試案検討
JIS 試験方法として干渉フィルタ試験方法(改正),
・ファイバレベル光学互換(斜め PC)(IEC 61755-2-2
対応 JIS)の試案検討
偏光子試験方法の委員会試案を作成した。
・ フ ェ ル ー ル レ ベ ル 光 学 互 換( 直 角 PC)(IEC
5.2 WG 2:試験法・測定法の標準化検討
61755-3-1 対応 JIS)の試案検討
5.2.1 IEC 61300 シリーズに対応する JIS 試験法・測定
・ フ ェ ル ー ル レ ベ ル 光 学 互 換( 斜 め PC)(IEC
法の検討
61755-3-2 対応 JIS)の試案検討
IEC 61300 シリーズ試験・測定法に対応する 1(通則),
③ F13 形多心光ファイバコネクタ(MPO)個別規格
の改正素案化検討 ※ 2)
2-45(浸水試験),2-48(温湿度サイクル試験),3-3(挿
④ かん合標準の標準化検討
入損失および反射減衰量変化のモニタ方法),3-20(波
・MPO コネクタかん合標準の素案検討 ※ 3)
・LC コネクタかん合標準の素案検討
長選択性のない光ブランチングデバイスのディレクティ
※ 4)
ビティ測定),3-28(過渡損失測定)の JIS 試験・測定
・SC コネクタかん合標準の試案検討
法案を完成させ,標準化審議に進めた。また,2-14(光
⑤ 試験・測定方法の標準化検討
パワー損傷のしきい値試験),3-6(反射減衰量測定)の
・IEC-JIS 対比一覧表の見直し
JIS 試験・測定法委員会試案を作成した。
・IEC 61300 シリーズの対応 JIS 素案検討
5.2.2 IEC 試験法・測定法の回覧文書に対するコメント
IEC で審議中の 61300-3-2(SMF 光デバイスの挿入損
・IEC 61300 シリーズの対応 JIS 試案検討
⑥ 光コネクタ信頼性規格の検討
失の偏光依存性測定),3-3(挿入損失および反射減衰量
⑦ 多心光コネクタランダム接続損失測定法の標準化検討
のモニタ測定),3-6(反射減衰量測定),3-7(挿入損失
⑧ 光トランシーバモジュール Wiggle 試験法の標準化検討
および反射減衰特量の波長依存性測定)について規定内
⑨ 標準化に向けた調査研究
容を検討し,修正・追加などのコメントを取りまとめ,
・割りスリーブの精度と性能の関係に関する調査
IEC の審議に反映させるべく国内委員会のサポートを
注記
行った。
※ 1)
~ ※ 4) は本年度、JIS 原案として日本規格協
会に提出した。
5.3 WG 3:個別規格・性能標準の検討
4.2 リエゾン活動
5.3.1 JIS 個別規格の委員会案作成
JIS 規格体系を IEC 規格と整合化作業を進める上での
ピッグテール型固定減衰器,光サーキュレータ,光ア
標準化動向調査として IEC,JPCA JIS 光受動部品標準化
イソレータの JIS 個別規格委員会案を作成した。特に,
委員会および S プロジェクトのリエゾン活動を行った。
個別規格案発行に向けて懸念事項であった,環境カテゴ
(川井隆志)
リ U で作成された IEC 文書の JIS への適用指針,高温
高湿試験の温度,湿度範囲について議論を行い,今後の
5.光受動部品標準化委員会
個別規格文書への指針を決定した。
5.3.2 IEC 性能標準案の文書コメント対応
光受動部品標準化委員会では,新規光受動部品の標
準化や既制定 JIS 改正案の作成,光受動部品の試験法・
IEC で 審 議 中 の PON 用 ス プ リ ッ タ,1.31/1.55μm
測定法および JIS 性能標準に関する調査・検討,国際的
WWDM デバイス,CWDM デバイス,光ヒューズ・リミッ
な標準化の動向調査などについて,4 つのワーキンググ
タ,分散補償器の各性能標準案について,修正・追加な
ループ(WG)を編成して取り組んだ。
どのコメントを取りまとめ,IEC の審議に反映させるべ
く国内委員会のサポートを行った。
5.1 WG 1:光学要素の標準化検討
5.4 WG4:通則・総則および信頼性関係の標準
化検討
5.1.1 光学要素の JIS 通則検討
JIS C 5870(干渉フィルタ通則)改正原案,偏光子通則,
5.4.1 IEC 総則審議文書のサポート・コメント対応
位相子通則の新規 JIS 通則原案を完成させ,標準化審議
に進めた。
IEC 総則審議文書(光パワー制御部品 , 光分岐,光ア
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光産業.indb 63
08.5.27 5:57:04 PM
5.6 今後の課題
イソレータ , 光サーキュレータ,光フィルタ,WDM デ
バイス,光スイッチ)について規定内容を検討し,修正・
光学要素の試験法に関して委員会試案を作成したが、
追加などのコメントを取りまとめ,IEC の審議に反映さ
今後,位相子試験法を含めて完成度を高める予定である。
せるべく国内委員会のサポートを行った。
JIS 個別規格委員会案審議過程において,環境条件の
5.4.2 光受動部品のハイパワー評価(基準認証研究開発事業)
差異による IEC 性能標準の規定内容の変更などを整理
経済産業省基準認証研究開発事業「ブロードバンド
し,屋内環境における使用を前提とした JIS 個別規格の
FTTH 時代に向けた高品位光伝送システム用光部品・
規定内容をまとめることができた。今後,案の完成度を
モジュールの安全性および信頼性の標準化」
(S プロジェ
高めるとともに,発行既 IEC 性能標準を基に,日本国
クト)の中で,光受動部品に関するハイパワー安全性に
内で必要性の高い WDM デバイスなどについて JIS 個別
関する評価を担当し,長期試験を実施して,光受動部品
規格案の作成を進める。
の耐久性評価と安全部品の有効性評価を実施し,標準化
光コネクタ標準化委員会と協調して進めている試験・
のためのデータを収集した。
測定法の JIS 化についても継続的に作業を進め,日本国
また,破壊限界基準の考察のため,熱シミュレーショ
内で必要性の高い試験法および測定法はできるだけ速や
ンを同時に進めた。 かに JIS 化を図る。
高出力光パワーによる光受動部品の破壊限界試験,耐
5.5 海外における標準化動向
久性に関する評価結果を光受動部品の標準化に反映させ
5.5.1 IEC における審議動向
るべく検討を行う。
IEC/TC 86/SC 86B では光コネクタおよび光受動部品
さ ら に, こ れ ら JIS 案 の 作 成 に と ど ま る こ と な く,
に関する標準化を進めており,今年度は 2007 年 4 月に
IEC の審議に日本の標準化活動の成果を反映させること
フランクフルト(ドイツ)にて,10 月にサンテティエ
も重要である。引き続き IEC 国内委員会と連携を保ち
ンヌ(フランス)にてそれぞれ会合が行われた。光コネ
ながら,IEC への提案,日本の意見表明を行いたい。
クタ以外に 3 つの WG で構成されているが,サンテティ
(村田健治)
エンヌ会合にて,WG 5 の解散が決定された。
6.光能動部品標準化
総則,性能標準を審議している SC 86B/WG 7 では,
機能,用語の定義および分類などが議論されており,
光エレクトロニクス技術の発展に伴い種々の光能動部
2008 年 2 月現在,メンテナンス文書を含め,17 件の回
品が開発され,映像やオーディオ用などの民生機器をは
覧文書がある(総則 5 件,性能標準 12 件)。さらに,提
じめ光伝送システムなどの産業用基幹部品としても幅広
案段階で審議待ちの総則および性能標準文書がそれぞれ
く使用されている。このような状況において,光能動部
3 件,4 件となっている。
品に関する標準化の推進は,機器の低コスト化とともに
試験・測定法を担当する SC 86B/WG 4 での最近の注
光能動部品技術を通して世界的技術競争に勝ち残りつつ
目される動きは,光トランシーバと光コネクタプラグの
産業の一層の発展を図り,技術の効率的利用の拡大を図
ウイグル試験,マルチモード励振条件を考慮した測定法
るために必要不可欠である。
の審議が活発に行われていることである。
光能動部品関連の JIS は,1981 年度から光産業技術振
5.5.2 ISO における標準化動向(TC 172/SC 9/WG 7)
興協会において進められてきた一連の光伝送用能動部品
ISO/TC 172/SC 9/WG 7 では,現在,回折光学の用語
の JIS 素案作成を中心とした調査研究がもととなって制
の標準化は完了し,マイクロレンズアレイの測定方法の
定されたものであり,その後必要に応じて随時見直し・
標準化もほぼ最終段階にある。新たな動向として,ホロ
改訂等が行われ,現在,光能動部品としては 23 種類の
グラム記録材料の光学的特性評価方法の JIS 化の作業が
JIS が制定されている。
国内で始まっており,これを国際標準化する方向で動い
6.1 審議経過概要
ている。当 WG を国際標準化への担当 WG とする方向で,
JIS 化委員会に協力している。
現行の光能動部品関係の JIS には 4 種類の個別部品の
規格と 6 種類の複合部品(モジュール)の規格,半導体
レーザモジュールの信頼性評価方法に加え,性能標準に
64
光産業.indb 64
08.5.27 5:57:04 PM
標準化
関して総則と1品種が制定されいる。また,昨年度まで
ワークに対応した光能動部品の開発動向を勘案し,波長
の検討で,現在 IEC で規格化されている規格のほとん
可変レーザモジュールなどの機械的可動部品等を一体と
どについて JIS 最終素案が完成している。今後は,波長
して含む光能動部品の標準化について,能動と受動の試
多重通信システムや高速インターネットなどに対応した
験条件の整合性の観点から技術動向を適切に反映した標
新しい伝送用光モジュールや光電子集積デバイスの規格
準化の方向を検討する。
が必要となる。このため,今年度は,昨年度の標準化ニー
(5)IEC/SC 86C/WG 1,WG 3,WG 4, な ら び に SC
ズに関するアンケート調査等で得られた結果をもとに標
47E における光能動部品国際標準化動向の調査を引き続
準化項目の具体化を図り,国際標準化の動向とも歩調を
き実施し,国際標準化動向をウォッチングして JIS との
合わせて JIS 化ができるように進めることを中心に,昨
整合が問題なく進められるように必要な提言を行う。
年度から継続している案件も同時に進めることを基本と
6.2 今後の課題と活動計画
した。このような方針に基づき,2007 年度の活動は,
以下のように進めることとした。
光能動部品委員会では,2002 度から今年度までの 5
(1)光能動部品の新たな標準化ニーズに関して,昨年
年間で,ほぼ現行の光伝送用能動部品関係 IEC 規格と
度のアンケート調査結果を詳細に分析し,技術動向や標
整合した JIS 素案を完成し上程した。 現在, これら波
準化の必要性などを勘案して標準化対象を抽出するとと
長多重通信システムなどに対応した新しい伝送用光モ
もに,今後の標準化の方向性について検討を行う。具体
ジュールや光電子集積デバイスに関する JIS 原案の審議
的には,以下の各項目について検討を進める。
が進められている段階である。今後は,国際的な規格化
・DWDM 用波長可変レーザ
の作業と JIS が歩調を合わせて進むことにより,国際規
・半導体光増幅器
格と整合した JIS が速やかに制定されるように活動を進
・光インタコネクション用 E/O, O/E デバイス
めることが望ましい。そのため,今年度は昨年度実施し
・GPON/GEPON-OLT/ONU 用光トランシーバ
た標準化ニーズに関するアンケート調査の結果を一歩掘
・光増幅器励起用半導体レーザ(ファイバレーザ用も
り下げ,国内および国際的にみて標準化にふさわしい項
含む)
目の検討を中心に活動を行った。その結果,今後具体化
・光ディスク用青色半導体レーザ
が必要とされるいくつかの項目が明らかとなり,その進
(2)光能動部品の新しい国際規格体系に整合した JIS
め方を審議し方向性を見出した。IEC においては最近新
について,昨年度完成した最終素案の速やかな JIS 化を
たに高速光伝送用小型光トランシーバや面発光レーザの
図る。JIS 原案の審議に伴う関連部局からの問合せ・原
規格案が提案されたり,波長可変レーザモジュールや高
案修正等の要請に対し,関連する委員が中心になり適切
出力 LED などの規格化の必要性が議論されており,こ
に対応を図る。
れらの光能動部品に関する新しい動きおよび標準化ニー
・性能標準
ズを考慮して,国際規格との整合を念頭に適切な時機に
・パッケージおよびインタフェース標準
JIS 化が図れるよう活動を進める必要がある。
・試験および測定方法
また,現行の光能動部品関連 23 種類の JIS の中には
(3)「光伝送用半導体レーザモジュール信頼性評価方法
1997 年に制定されたものも含まれており,その後の技
(IEC 61751)」について,IEC の規格の改正作業に本委
術進展に伴い見直しが必要なものも出てきつつある。こ
員会の意見を反映すべく継続的に働きかける。
れらを適切な時期に見直しを図る必要がある。さらに,
具体的には,
2007 年度に制定された JIS C 5948「光伝送用半導体レー
・G&G(61751-1)文書の作成
ザモジュール信頼性評価方法」については,対応する国
・TR(61751-2)文書への信頼性基本部分の内容追加
際規格(IEC 61751)が IEC において改正作業が進行し
・半導体レーザモジュール規定部分の文書(61751-3)
ているため,これと並行して JIS 改正提案を行い,改正
作成
IEC と整合した改正 JIS が遅滞無く制定できるよう作業
などの作業について,本委員会での議論を IEC 国内
を進めることとしたい。
(岡部 豊)
委員会と連携し反映するように働きかける。
(4)今後幅広い展開が予想されるフォトニックネット
65
光産業.indb 65
08.5.27 5:57:05 PM
7.光増幅器標準化委員会
測定方法-第 11-1 部:偏波モード分散-ジョーンズマ
光ファイバ増幅器はエルビウム添加光ファイバ増幅
トリクス固有値解析法(JME))
(5)JIS 申請後の進捗
器を中心に 1990 年代前半から急速に開発が進み,国際
2006 年 3 月に申請した 2 件の JIS/TR は次の通り制定
標準化活動は 1991 年 9 月から IEC で,1992 年 2 月から
ITU-T(当時の CCITT)でも本格的に開始された。わ
/ 公表された。
①「光増幅器おける光損傷および安全に関する光パ
が国では 1994 年に光ファイバ増幅器標準化委員会が発
足し,IEC での対象が半導体光増幅器,導波路型光増幅
ワーの許容限界」(IEC/TR 61292-4):
器などへも拡張されたことを受け,2001 年に光増幅器
2007 年 10 月 TR C 0047 として公表された。
標準化委員会と改称した。
②「光増幅器―性能仕様テンプレート-第 3 部:マ
当委員会は,(1)IEC の規格化審議状況と国情を考慮
ルチチャネル用光増幅器」(IEC 61291-4):
しながら JIS 案を翻訳作成する,(2)国際標準化動向を
2008 年 1 月 JIS C 6123-4 として制定された。
把握し国内委員会経由で適宜提案する,の二つを活動の
7.2 JIS 関連情報の整備
柱としている。
(1)JIS 見直し調査対応
7.1 JIS 案等の作成
日本規格協会より調査依頼があった「既存 JIS の 5 年
(1)次の JIS 原案を作成し,2007 年度区分 C での第 12
見直し調査」について 5 件の対応を検討し報告した。
条提案を予定している。
(2)技術用語の訳語表
昨年度作成した訳語表に本年度 6 件を追加し,用語数
「 光 増 幅 器 ― 測 定 方 法 - 第 10-2 部: マ ル チ チ ャ ネ ル
パラメータ-ゲート付き光スペクトラムアナライザを
は 277 件となった。
用 い た パ ル ス 法 」(IEC 61290-10-2 Ed. 2.0 「Optical
7.3 IEC 動向調査と IEC 活動への提案,協力
amplifiers - Test methods - Part 10-2:Multichannel
parameters - Pulse method using a gated optical
IEC/SC 86C/WG 3 を中心に光増幅器関係の国際標準
spectrum analyzer」)
化状況を調査した。
(2)次の JIS の改正案を作成し,2007 年度区分 C での
(1)既存文書
以下の多くの IEC 文書が見直しの時期を迎えており,
第 12 条提案を予定している。
対応する JIS を必要に応じて改訂する。
「JIS C 6121 光 フ ァ イ バ 増 幅 器 通 則 」(Generic
specification of optical fiber amplifiers)
- 雑音指数パラメータ測定方法(IEC 61290-3 Ed. 2)
この JIS C 6121 は,IEC 61291-1 Ed.1.0 を母体とし,
(JIS C 6122-3)
- 電気スペクトラムアナライザを用いた反射率パラ
IEC/TR 61292-1 Ed.1.0 を附属書として合体させて作成
メータ測定法(IEC 61290-5-2 Ed.2)
(JIS 化未検討)
されている。 本改定案では IEC 61291-1 Ed.2.0 を元に
- 偏 波 モ ー ド 分 散 測 定 方 法(JME 法 )(IEC
JIS C 6121 の改正を行った。
(3)標準報告書(TR)原案の作成
61290-11-1 Ed. 2) JIS(案)作成中
次の TR 原案を作成し,JISC への提案を予定している。
- 光増幅器用部品性能パラメータの技術レポート(IEC
「光増幅器-一般情報-第 5 部:偏波モード分散パラ
61292-1)(JIS C 6121 付属書)
メータ」(IEC/TR 61292-5 - Ed. 1.0 「Optical amplifiers
- 光増幅器分類に関する技術レポート(IEC 61292-3)
- Part 5:Polarization mode dispersion parameter -
(JIS 化未検討)
General information」)
また,以下に示す IEC 標準化文書は技術的に修正す
(4)次期 JIS 化原案の準備
ることがないため再確認された。
次の IEC 規格文書の翻訳作業をほぼ完了し,2008 年
- 漏れ励起光パラメータ試験法(IEC 61290-6-1)(JIS
度区分 A での第 12 条提案を予定している。
C 6122-6)
- プローブ法によるマルチチャネルパラメータ評価法
IEC 61290-11-1 Ed.1.0 「Optical amplifiers – Test
(IEC 61290-10-3)(JIS C 6122-6)
methods – Part 11-1:Polarization mode dispersion –
Jones matrix eigenanalysis method(JME)(光増幅器―
(2)新規文書
66
光産業.indb 66
08.5.27 5:57:05 PM
標準化
本年度より以下に示す標準化の審議が新たに開始された。
品質評価のための強度ヒストグラム評価を用い
(a)MSA(Multi Source Agreement)増幅器
た平均化 Q 値測定(IEC 61280-2-11Ed. 1.0 翻訳)
小型増幅器に関して 2002 年策定の MSA が知られて
②光ファイバ通信サブシステム試験方法:Q 値測
おり,IEC では国際標準化を見据えた製造各社(欧米日
定を用いた低ビット誤り率の決定
韓)への調査を実施した。この結果,日米から反対意見
(IEC 61280-2-8 Ed. 1. 翻訳)
が出され中止になる見込みである。
(3)下記 2 件の IEC につき,JIS 原案作成の事前準備
(b)FWM 評価に関する技術レポート
として翻訳作業中である。
光増幅器の高出力化および WDM の信号波長間隔の
① IEC 61280-2-10 Ed. 1.0 翻 訳( 光 フ ァ イ バ 通 信
狭窄化に伴い 4 光波混合が問題となり,クロストーク評
サブシステム試験方法:レーザ送信機の時間分
価方法に関する新規標準化の検討を開始した。日本企業
解チャープとαファクタ測定法)
へのアンケート結果に基づく測定方法を骨子に文書化を
② IEC 61282-8 TR Ed. 1.0 翻訳(光ファイバ通信
進める。
サブシステム試験方法:時間分解チャープ測定
(c)分布ラマン増幅器に関する技術レポート
値を用いた散ペナルティ測定方法)
近年実用され始めたラマン増幅器に関して文書化が必
要と判断され本標準化が開始された。
8.2 技術用語の訳語表作成活動
(稲田 孝)
昨年度までに翻訳した IEC 規格から抽出した 222 の
8.光サブシステム標準化委員会
用語に加えて,本年度翻訳分の規格からも 18 件の新た
IEC/TC 86/SC 86C/WG 1 は,1990 年の発足以来,光
な技術用語を選出し累計 240 語の日本語訳を確定させ
通信システムおよびサブシステムの物理層に関する標準化
た。今後ファイバオプティックス標準化委員会の企画調
を扱っており,光システムの設計ガイドラインの制定およ
整分科会と協力して,本訳語集の標準化委員会委員への
び光システム(システム一般,デジタルシステム,光ケー
公表,Web 公開に向けて活動予定。
ブル設備や光リンク)の試験法の規格化を進めている。
8.3 国際標準化への対応
日本では,2002 年度に「ファイバオプティックス標
準化委員会」の下に「光サブシステム分科会」を設立し,
本年は米国アナハイム(3 月)と仏国サンテティエン
SC 86C/WG 1 での標準化を支援すると共に JIS 原案作
ヌ(10 月)で開催された 2 回の TC 86/SC 86C/WG 1 国
成を進めてきた。2006 年度以降は,「光サブシステム標
際会合に参加した。
準化委員会」を新たに設立し,「光サブシステム分科会」
日本が貢献した主な成果は以下の通りである。
活動を継承して,JIS 原案作成等の標準化活動を推進し
① IEC 61280-2-3 ジッタとワンダの測定法:石部委
ている。また,今年度はじめて外部(豊田工業大学)で
員がプロジェクトリーダを引継ぎ。CD ステージに
委員会を開催し,並列開催の光増幅器標準化委員会との
移行。
交流を図るとともに,豊田工業大学を見学して光ファイ
②マルチモード励起条件に関する Coordinating Group
バ,太陽電池等に関する最新技術動向について情報収集
に参加し,マルチモード光源による入射条件の決
を行った。
定法に 関する検討を進めた。
③中心波長およびスペクトル幅測定法の改定:日本よ
8.1 JIS 原案作成活動
り,本委員会で修正が必要と思われた点について
(1) 下 記 1 件 の JIS 原 案 を 作 成 し,12 条 提 案 と し て
指摘した結果,中心波長(λ c)は重心波長(λ avg)
JSA へ提出した。
と同一であるため重心波長(λ avg)へ統一するこ
① 光 フ ァ イ バ 通 信 サ ブ シ ス テ ム 試 験 方 法: 光 ア
ととした。
(小名篤裕)
イ パ タ ー ン, 光 波 形 お よ び 消 光 比 測 定(IEC
9.光測定器標準化委員会
61280-2-2 Ed. 2.0 翻訳)
(2)下記 2 件の JIS 原案を作成作業中であり,来年度
IEC/TC 86/WG 4 は,1985 年の発足以来,光システム,
12 条提案として JSA へ原案提出予定である。
光部品,光信号等の検査・評価に関わる光測定器に関す
①光ファイバ通信サブシステム試験方法:光信号
る標準化を扱っており,光測定器の校正法およびその手
67
光産業.indb 67
08.5.27 5:57:05 PM
順に関する規格化を進めている。 化が進められており,各測定器の規格において校正条件が
本委員会では,TC 86/WG 4 での標準化活動を支援す
規定されている。特に温度,湿度等の条件については,
ると共に,その国際規格に整合する JIS を制定すべく,
測定器に依存することなく,できる限り統一していくこと
昨年に引き続き JIS 原案作成等の標準化活動を推進して
が望ましい。本委員会では,日本における代表的な校正条
いる。特に,今年度は TC 86/WG 4 に対して我が国の
件として IEC 等の国際規格へ提案するため,日本国内の
意見を反映させるため,光測定器校正環境条件に関する
研究機関,校正機関,各企業で校正に使用される標準器室
アンケートを実施した。
/ 検査室等の環境条件の規定をアンケート調査した。
9.1 JIS 原案作成活動
基準温度と範囲については,23 ± 2℃との回答が 11 社
測定器メーカーを中心に計 11 社からの回答を得た。
(1)IEC 61746「OTDR 校正方法」の改訂版(CD 文書,
中 6 社であったが,ほぼ全ての回答で 23℃を基準温度
SMF 用と MMF 用に分離された)にもとづいて,下記
として採用している結果となった。一方,基準湿度と範
2件の翻訳 JIS 原案を作成した。今後 TC 86/WG 4 にお
囲については,11 社中 10 社がそれぞれ異なる条件での
ける本規格制定に合わせて,JIS 提案を行う予定。
回答であった。今後,IEC における測定器校正に関する
日本提案ドラフトについては,今回のアンケート結果を
① OTDR 校正法 第 1 部 シングルモード光ファイ
踏まえ,23 ± 2℃を基準温度条件として提案していく予
バ用 OTDR(IEC 61746-1 Ed. 1.0 CD 文書翻訳)
② OTDR 校正法 第 2 部 マルチモード光ファイバ
定である。
(小名篤裕)
用 OTDR(IEC 61746-2 Ed. 1.0 CD 文書翻訳)
(2)IEC 規 格 ド ラ フ ト‘Calibration of wavelength
10.TC 76/ レーザ安全性標準化委員会
meter WD5(2007.10.2)’にもとづいて,翻訳 JIS 原案「光
10.1 IEC 60825-1 の JIS 化審議
波長計校正方法」の作成作業を引き続き行った。
現在の「レーザ製品の安全基準」(JIS C 6802:2005)は,
(3)現行 JIS C 6187「光波長計試験方法」の改訂に
2001 年に発行された IEC 60825-1 第 1.2 版に基づいてい
関して,事前調査した。
る。その後のレーザ技術の進展と応用分野の拡大に伴
(4)昨年に引き続き,「光ファイバ偏波モード分散測定
い,安全基準の見直しが IEC で行われ,2007 年 3 月に
器校正方法」の規格化に関する調査,「光波形の時間領
IEC 60825-1 第 2 版が発行された。これに基づいて JIS
域測定装置」の独自規格化の検討を行った。
C 6802 を改定することが,2007 年度の主要テーマであ
る。IEC 60825-1 第 2 版を逐条翻訳し,国際一致規格を
9.2 国際標準化への対応
目指している。
(1)2005 年度に,JIS 規格 JIS C 6191「波長可変光源
10.2 IEC/TC 76 への対応
試験方法」をもとに作成した規格ドラフトを IEC へ提
案しており,これに対する各国からのコメント,意見
レーザ製品の安全に関する国際標準規格は,IEC/TC
を反映する形でドラフトの再検討・修正を行い,今年度
76(レーザ放射安全とレーザ機器)で審議されている。
10 月の IEC TC 86/WG 4 に修正ドラフトを提出し,今
2007 年の会議は 11 月にミラノ(伊)で開催され,10 ヶ
後 NP 化する方向で進めることが確認された。
国 約 60 名( 日 本 は 9 名 ) の 出 席 が あ っ た。 以 下 に 各
(2)本年度は,英国テディントンで 10 月に開催された
WG の状況を述べる。
TC 86/WG 4 会合に参加し,国際標準化活動を支援した。
WG 1(レーザ放射安全)
「OTDR 校正方法(シングルモード用 / マルチモード
IEC 60825-1 の測定条件の 1 つの理論的根拠が不明で
用)」の CD 案 2 件,「光波長計校正方法」のドラフト 5
あるため,解説書の発行を求めることとした。また走査
版および上記「波長可変光源試験方法」ドラフト3版の
レーザの評価方法や,短いパルス幅の安全限界などが議
審議が行われた。また新規案件として,「光周波数計の
論された。更に現在のクラス分け法は複雑すぎるため,
校正方法」のドラフト 2 版が審議された。
単純な内容から複雑な内容へ進むよう,再構築すること
とした。
9.3 アンケート調査活動
WG 3(レーザ放射測定)
近年,IEC において,「光測定器の校正方法」の規格
クラス分けについて,人により計算法や測定法が異な
68
光産業.indb 68
08.5.27 5:57:06 PM
標準化
るため,IEC/TR 60825-13(クラス分けのための測定)
ファイバ + 蛍光体)の追加は,IEC 60825-1 と双方に追
の文書を修正し,実施方法を統一することとした。ま
加することとなった。
た WG1 と同様,測定条件の図(同文書中の図 5)の理
WG 10(工業用材料加工用レーザおよび関連装置の安全)
論的根拠が不明なため,将来的に同図を削除することと
ISO/IEC 11553-3(レーザ加工機の騒音低減と測定)
し,当面は記述通りに同図を使うこととした。
において,簡単な音圧の測定で済まされるレベルは,原
WG 4(医療用レーザ製品の安全)
案の 60 dB から 5 dB 緩和して 65 dB とすることとなっ
た。
IEC 60601-2-22( 医 用 機 器 の 安 全 ) お よ び TR
(黒田文彦)
60825-8(人体へ照射するレーザの安全)が発行され,
11.ISO/TC 172/SC 9 国内対策委員会
医療用レーザ機器に関する作業は完了したが,近年増大
している医療用の強力光ビームに対応するため,活動領
当委員会ではレーザの国際標準を作成している ISO/
域の拡大を検討中。
TC 172/SC 9(WG 1:レーザの試験方法,試験装置,用語,
WG 5(光ファイバ通信システムの安全)
WG 2:レーザのインタフェース,システム,WG 3:安
IEC 60825-1 の改定により測定条件が変更となったた
全性,WG 4:医用応用レーザシステム,WG 5:一般応
め,IEC 60825-2(光ファイバ通信の安全)も改定する。
用のレーザシステム,WG 6:光学部品とその試験方法,
またハザードレベル 3B の光パワーが増加となるため,
WG 7:レーザ以外の電気光学システム,JWG 1:レー
ラベルに火傷や火事についての注意書きを追記すること
ザ特性に関する ISO/IEC 規格の整合化から構成される)
とした。一方,当協会で行った高パワー特性評価に基づ
における国際規格案に対し,国内意見を取り纏め審議等
いた,IEC 60825-17(高パワー光通信システムの安全)
の諸活動を行っている。
の修正が認められた。但し高パワーの定義につき,1 W
本年度は委員会を 2 回開催した他,到着文書の審議を
以上を主張する日本と,200 mW でも問題と主張する英
e-mail ベースで行った。なお,本年度の国際会議は開
国の意見が対立し,暫定的に 500 mW 以上とすること
催されず,WG 3(=IEC/TC 76/JWG 10)のみが,IEC/
となった。
TC 76 ミラノ会議(2007 年 11 月)で開催された。次年
WG 7(高出力レーザ)
度は 2008 年 6 月にベルリンでの全体会議および WG 会
IEC 60825-4(ビームデリバリシステム)の附属書 G の
議開催が予定されている。
み IEC 60825-1 第 2 版に準拠すると全体が不統一となる
11.1 投票文書の審議
ため,附属書 A から F まで含めて修正することとなった。
本年度の審議結果を表 3 に示す。
WG 8(その他のレーザ機器)
TR 60825-3(レーザディスプレイとショーのガイダ
により,賛成多数で可決された。小型レーザ機器のラベ
11.2 センシング用半導体レーザの試験・評価方
法について
ルから感嘆符マークを外すことが合意され,新しいシン
本年度は,新規分野・産業競争力強化型国際標準提案
ンス)について修正コメントが提出され,その後の投票
ボルを検討することとなった。TR 60825-10(アプリケー
「センシング用半導体レーザの測定方法 - 第 1 部:総則」
ションガイド)は TR 60825-14(ユーザーズガイド)に
としての委託を受け,ISO に提案予定の文書のたたき台
取り入れて廃止する方向で,-14 の改定活動を開始する
を作成した。次年度のベルリン会合で趣旨説明を行い,
こと,また TR 60825-5(製造者のチェックリスト)は,
NP として提案の予定である。
(増田岳夫)
IEC 60825-1 に合わせて改定することで合意された。
12.光ディスク標準化委員会
WG 9(インコヒーレント光源)
IEC 62471(=CIE S 900/E)について,IEC と CIE(国
光ディスク標準化委員会は,光ディスク関連技術の標
際照明学会)と共同でメンテナンスすることとなった。
準化を専門とする標準化グループであり,国内規格の原
尚, レ ー ザ 光 源 に 関 す る IEC 60825 シ リ ー ズ と,LED
案作成,関連技術動向の調査研究等を主な担務とする。
など光環境照明用光源に関する IEC 62471 との補完とし
国内の関連組織から光ディスクと標準化とに関する主
て TR 62471-2(旧 TR 60825-15:非レーザ光の安全)
要な専門家に参加いただき,光ディスク標準化委員会の
を検討している。日本より提案した「LD 白色光源」
(LD+
もとに,物理的な特性に応じた三つのメディア分科会
69
光産業.indb 69
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表 3 2007 年度 ISO/TC 172/SC 9 審議文書と我が国の投票状況
№
1
2
発信年月日
2007/5/25
件 名
NP for Revision of the ISO 12005: 2003 (ISO/TC 172/SC 9 N 316)
ISO 12005: 2003 の改正提案
2007/6/26
ISO/CD 21254-1: Lasers and laser-related equipment - Test methods for laser radiation-induced damage
threshold Part 1: Definitions and general principles (ISO/TC 172/SC 9 N 318)
2007/6/26
ISO/CD 21254-2: Lasers and laser-related equipment - Test methods for laser radiation-induced damage
threshold Part 2: Threshold determination (ISO/TC 172/SC 9 N 319)
ISO/CD 21254-1: レーザおよびレーザ関連機器-レーザ放射により引き起こされる損傷のしきい値-第 1 部 : 定義と一般原理
3
ISO/CD 21254-2: レーザおよびレーザ関連機器-レーザ放射により引き起こされる損傷のしきい値-第 2 部 : しきい値の決
定
4
2007/6/26
ISO/CD 21254-3: Lasers and laser-related equipment - Test methods for laser radiation-induced damage
threshold Part 3: Assurence of laser power (energy) handling capabilities (ISO/TC 172/SC 9 N 320)
5
2007/9/14
ISO/SR 13695: Optics and photonics - Lasers and laser-related equipment - Test methods for the spectral
characteristics of lasers
6
2007/9/14
7
ISO/CD 11990-2: Laser and laser-related equipment - Determination of laser resistance of tracheal tubes - Part 2:
2007/10/23 Tracheal tube cuffs (ISO/TC 172/SC 9 N 326)
ISO/CD 11990-2: レーザおよびレーザ関連機器 ─気管支チューブのレーザ耐性の決定─ 第 2 部 : 気管支チューブのカフ
8
ISO/CD 21254-3: レーザおよびレーザ関連機器 -レーザ放射により引き起こされる損傷のしきい値-第 3 部 : レー
ザパワー(エネルギー)取り扱い能力の保証
ISO/SR 13695: の定期見直し
ISO/SR 15902: Optics and optical instruments - Diffractive optics - Vocabulary
ISO/SR 15902: の定期見直し
ISO/CD 11553-3: Safety of machinery - Laser processing machines - Part 3: Safety requirements for noise
reduction and noise measurement methods for laser processing machines and hand held laser processing devices
2007/10/23 and associated auxiliary equipment (Accuracy grades 2) (ISO/TC 172/SC 9 N 327)
ISO/CD 11553-3: 機械の安全 -レーザ加工機-第 3 部 : 騒音に関する安全性要求事項
9
2007/10/31
10
2007/10/31
11
2007/10/31
12
2007/12/17
13
2008/3/10
NP for Revision of the ISO 11146-1: 2005 (ISO/TC 172/SC 9 N 328)
ISO 11146-1: 2005 の改正提案
NP for Revision of the ISO 11146-2: 2005 (ISO/TC 172/SC 9 N 329)
ISO 11146-2: 2005 の改正提案
NP for Revision of the ISO/TR 11146-3: 2005 (ISO/TC 172/SC 9 N 330)
ISO/TR 11146-3: 2005 の改正提案
ISO/SR 13696: Optics and optical instruments - Test method for radiation scattered by optical components
ISO/SR 13696: の定期見直し
ISO/SR 11252: Laser and laser-related equipment - Laser device - Minimum requirements for documentation
ISO/SR 11252: の定期見直し
(1)120 mm(4.7 GB/ 面)および 80 mm(1.46 GB/ 面)
(第 1 メディア分科会:光磁気(MO),第 2 メディア分
科会:相変化(PC),第 3 メディア分科会:ROM /レコー
+R フォーマット光ディスク(8 倍速まで)(第 3
ダブルディスク),論理フォーマットを主に扱うフォー
メディア分科会)
マット分科会 , および規格メンテナンス分科会を傘下に
(2)120 mm(4.7 Gbytes/ 面 ) お よ び 80 mm(1.46
おき,活動をおこなった。
Gbytes/ 面)+RW フォーマット光ディスク(4
2007 年度は CD/DVD 関連 JIS 整備に関する総務省の
倍速まで)(第 2 メディア分科会)
要望に対応し,以下の 9 件の JIS 原案を完成した。
(3)90mm 光ディスクカートリッジのデータ交換-
70
光産業.indb 70
08.5.27 5:57:11 PM
標準化
容量:1.3 Gbytes / カートリッジ(第 1 メディア
(4)将来技術動向 分科会)
高密度記録・再生技術,媒体・材料,相変化メ
(4)90mm 光ディスクカートリッジのデータ交換-
モリ(電気メモリ),注目すべき技術について主
容量:2.3 Gbytes / カートリッジ(第 1 メディア
要国内外での報告を中心に動向を調査。
分科会)
(山口博之)
(5)DVD-R のボリューム構造およびファイル構造
12.3 第 3 メディア分科会
(ROM /レコーダブルディスク)
(フォーマット分科会)
(6)DVD-RW のボリューム構造およびファイル構
造(フォーマット分科会)
第 3 メディア分科会では,ROM およびレコーダブル
(7)DVD-RAM のボリューム構造およびファイル構
形光ディスクに関連した以下 4 項目の調査を行った。
造(フォーマット分科会)
(1)標準化動向
ROM 形光ディスクおよび,レコーダブル(追記)
(8)120 mm 追記形光ディスク(CD-R)
(第 3 メディ
ア分科会)
形光ディスクについて 12 件の JIS,Ecma 規格,国際
規格の標準化動向を調査し対応表の見直しを行った。
(9)120 mm リライタブル光ディスク(CD-RW)
(第
2 メディア分科会)
(2)規格関連技術動向
また調査研究では,従来から行われている分科会ごと
本年度は,2 光子記録技術,多層化技術,ホログラ
の活動報告とそれに関連する国際標準化動向に加えて ,
フィック記録技術,センチュリーディスクの調査を
光ディスクの信頼性に関する国際標準化動向を調査し
行った。
た。これは,光ディスクに対する利用者の要求に応えた
ものである。
(3)信頼性評価における標準化動向の調査
各種委員会,業界団体を中心として光ディスクの信
(山口博之)
頼性評価基準・測定法の審議が進められており,その
12.1 第1メディア分科会(光磁気) 活動状況を調査した。
第 1 メディア分科会では.光磁気ディスクの標準化動
(4)次世代 JIS 規格調査
向,技術動向および産業動向について調査を行ったが,
DVD ダ ウ ン ロ ー ド(DVD-Download) 規 格,BD-
今年度は,何れにも新しい動きはなかった。
ROM/R 規 格 お よ び HD DVD-ROM/R 規 格 を 調 査 し
ま た 2 件 の JIS 原 案 に 加 え,2004 年 に 制 定 さ れ た
た。
(川井隆志)
ISO/IEC 22533(130 mm 記憶容量 9.1 GB の光磁気ディ
スク)対応の JIS 素案作成を進めた。
12.4 フォーマット分科会
(川井隆志)
フォーマット分科会では,光ディスクのボリューム
12.2 第 2 メディア分科会(相変化)
およびファイルフォーマットに関する調査研究として
本年度は,4 件の JIS 原案の完成に加え,「光ディス
2006 年度からの継続課題をも含め,以下項目の活動を
ク媒体のアーカイバル寿命推定のための試験方法」の
行った。
JIS 原案の作成と分科会審査を完了した。
(1)CD/DVD メディアの流通・保管における機械的負
また以下の調査を実施した。 荷への耐性に関する指針
2006 年度までに CD,DVD メディアの調査研究を
(1)相変化光ディスク関連規格について JIS,Ecma 規
格,国際規格の対応のアップデート。 行い,この調査研究をもとに JIS および IEC の TR 素
(2)国際標準化動向 案を作成した。
Ecma 会議:Ecma /TC31 会議,Ecma /TC44 会
(2)7 件の JIS 原案の作成を完了した。 (川井隆志)
議,Ecma GA(総 会) 会 議,ISO/IEC JTC 1/SC
12.5 規格メンテナンス分科会 23 の各会議の概要とポイント。 (3)規格関連技術動向 (1)規格メンテナンス DVD-RW,HD DVD,Blu-ray Disc,UDO2 の
本 年 度 は,120 mmDVD- 再 生 専 用 デ ィ ス ク,80
最新動向の調査。 mmDVD- 再生専用ディスク,120 mm/80 mm DVD-
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レコーダブルディスク(DVD-R),120 mm DVD- 書
今年度作成・審議した CIS 系太陽電池評価法に係わ
る TS 案は次の 5 つである。
換形ディスク(DVD-RAM),120 mm および 80 mm
DVD-RAM ディスク用ケースのメンテナンス表の更
① TS C JN01 二次基準 CIS 系太陽電池セル
新を行った。又 2007 年 1 月 20 日に新たに JIS となっ
② TS C JN03 CIS 系太陽電池用ソーラシミュレータ
た 80 mm(1.46 Gbytes/ 面 ) お よ び 120 mm(4.70
③ TS C JN04 CIS 系太陽電池セル・モジュール出力
Gbytes/ 面)DVD リレコーダブルディスク(DVD-RW)
特性測定方法
のメンテナンス表を作成した。 ④ TS C JN06 CIS 系太陽電池分光感度特性測定方法
(2)JIS 原案進捗状況 ⑤ TS C JN07 CIS 系太陽電池出力電圧・出力電流の
光協会のホームページに掲載している原案作成から
温度係数測定方法
JIS として出版されるまでの状況を,最新進捗に応じ
更新した。
(b)色素増感型太陽電池
(山口博之)
10%以上の効率が報告され始めた色素増感型太陽電池
についてその性能評価法の検討を開始した。この太陽電
13.新型太陽電池標準化委員会
池の性能評価方法は,いまだ国内外で標準的な方法が確
13.1 はじめに
立されていない。そのため,その性能評価は,従来の結
本委員会では,NEDO から「包括的太陽電池評価技
晶系太陽電池や,アモルファスシリコン太陽電池の JIS
術に関する標準化」を受託し,主に次の 3 つのテーマに
に準拠した方法が採用されてきた。しかしながら動作時
取り組んだ。
定数が極端に遅いなど,色素増感太陽電池特有の問題点
(1)太陽電池の実際に近い屋外環境下での発電量を正
も明らかになってきており,独自の性能評価法を確立す
確に評価するための「太陽電池定格出力評価法標
ることが必要となってきた。しかしこの太陽電池はいま
準化」
だ開発途上であることから,従来の JIS に準拠した方法
(2)今後,市場へ投入される化合物太陽電池,色素増
およびこれまで明らかになってきた留意事項を標準情報
感太陽電池等の新たな太陽電池に対応するための
(TR)として公開することとした。
「新型太陽電池評価法標準化」
今年度作成した色素増感太陽電池に係わる TR 案は以
(3)長期的な耐久性を指標化・標準化するための「長
下である。
期信頼性評価技術標準化調査」
⑥ TR C JN01 色素増感太陽電池の性能評価方法
13.2.3 長期信頼性評価技術標準化調査
13.2 今年度の実施内容および成果
長期信頼性評価技術の標準化に向けた作業としては,
13.2.1 太陽電池定格出力評価法標準化
太陽電池の劣化事例を収集するとともに,太陽電池モ
太陽光発電システムの建設量が急速に増加している
ジュールの寿命とは何かについてアンケート調査を実施
中,システムの発電量予測を的確に行えるための太陽電
し,長期信頼性を見極めるための評価手法との関係を整
池性能指数の必要性が高まってきている。太陽電池を設
理することに努めた。また,国際認証用 JIS である JIS
置する地域の日射条件ならびに気候条件は多岐に渡り,
C 8990 の改正に向けた検討を実施した。 (津田芳幸)
JIS に規定されている基準状態での性能指数ならびに補
14.IEC/TC 82/WG 2 国内対策委員会
正係数のみでは,例えば年間発電量を正確に予測するこ
とは困難である。国際的にも,太陽電池標準モード出力
今年度は 5 月にトロント(加)で開催された第 55 回
測定条件を設定する方向で議論が開始されていることを
WG2 国 際 会 議,11 月 に テ ィ テ ィ ゼ ー( 独 ) で 開 催 さ
受け,具体的に太陽光スペクトル挙動ならびに発電実績
れた第 56 回 WG 2 国際会議に参加した。特に安全規格
を調査して定量的な議論を開始するためのラウンドロビ
#61730 については,端子ボックス充填材の燃焼試験方
ンを実施した。
法やバックシートの部分放電試験方法について,日本か
13.2.2 新型太陽電池評価法標準化
らの提案を行っている段階である。また,国内対策委員
(a)CIS 系太陽電池
会にて,進行中の IEC 新規規格案文書およびメンテナ
ンス文書の審議,提案内容の協議等を行ってきた。表 4
昨年度作成した CIS 系太陽電池 TS 素案について詳細
に検討し,確定する作業を実施した。
に審議中の主な文書の状況を示す。
(津田芳幸)
72
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標準化
表 4 IEC/TC 82/WG 2 の審議中の主な規格(案)文書
新規規格案文書
IEC 文書
No.
タイトル
状 況
# 60904-4
基準セル校正
法,トレーサビ
リティ
NWIP として各国回付され,投票の結果承認された。この各国コメントを反映した原案は CDV
として提出される予定。
# 61853
PV モジュール
エネルギー定格
Part 1(Power rating)についてはトロント会議での審議内容を反映した Draft-G をティティゼー
会議で審議し Draft-H を完成。CDV として提案される。
Part 2(計算パラメータ)は特に風速とモジュール温度の記述を修正,委員会原案 CD を完成さ
せる。
Part 3(Energy rating)については Draft-D を審議中,評価精度について検討することになった。
# 61215
結晶 Si 太陽電池
モジュール型式 出力の絶対値評価が追加され Ed.2 への Amendment から Ed.3 への改定になる可能性があり。
認証
メ
ン
テ
ナ
ン
ス
文
書
# 61730
PV モジュール
安全規格
Ed.1 への修正審議を継続中。日本から端子ボックス充填材の燃焼試験の要求事項を提案,前回
までに燃焼落下物のない V-0,V-1 等級が要求されていたが,HB 等級でも燃焼落下物のないも
の(現在日本メーカは充填材にこのクラスのシリコーンを用いている)は認められるよう提案
した。全体的には理解されたが,HB クラスの電気伝導性について再検討し報告することになっ
た。
又,JET からはバックシートの部分放電試験についての提案と新たな知見を紹介した。
# 61646
薄膜太陽電池モ
ジュール,型式
認証
投票用改定委員会原案 CDV が各国の投票を終え,参加国 21 ヵ国 100 %の賛成で承認された。
CDV 案承認を受け,Ed.2 FDIS 回付が回付された。国内対策委員会で全員の賛成(コメントな
し)で採決した。今回の改定でシリコン系薄膜に加え CIGS 等化合物薄膜も対象とし,試験のシー
ケンス変更,ホットスポット試験法改定,バイパスダイオード試験追加等が主な変更点となっ
ている。
# 60891
温度,照度補正 Ed.2 について改定審議推進中。ティティゼー会議で日本の線形内挿法について文書説明
方法
(「Correction procedure Procedure 3」)。
# 60904-1
IV 特性測定方法 Ed.2 82/433/FDIS 回付。各国 Voting の結果,承認され,IS が発行された。
# 60904-2
基準デバイス要
求事項
Ed.2 CDV 回付。各国 Voting の結果,承認された。次のステップは FDIS。基準セル/基準モジュー
ルを合体,Calibration Traceability,working ref. device 等が加えられている。
# 60904-3
基準分光照射照
度データによる
測定
ティティゼー会議でも,WG2 recommends to go to IS を再確認したが FDIS が回付された。主
な変更点:AM1.5 のスペクトルを最新のデータに基づき変更するというもの。
メンテナンスレポート : CD2006-03, CDV2006-09, FDIS2007-05,IS2007-12
# 60904-7
スペクトルミス
マッチの計算方
法
Ed.2 CDV についてドイツ,ポルトガル,UK からコメントあり。ティティゼー会議で
Document draft 60904-7cdv rev を紹介,文書を審議中。メンテナンスレポート : CD2006-03,
CDV2006-09,FDIS2007-05, IS2007-12
# 60904-9
ソーラーシミュ
レータ性能要求
事項
Ed.2 で日清紡委員より場所ムラ測定方法,時間的安定性について採択されている。ティティゼー
会議で FDIS approved を確認。
メンテナンスレポート : 82/431/MCR: CDV2006-06,FDIS2007-06,IS2007-12
# 60904-10 線形性測定方法
改定審議中 : ティティゼー会議で Document C について,審議開始。6.Two-Lamp Method を加
えた点と 7.Linearity の定義のところが大きな変更点。
メンテナンスレポート : 82/ 432/MCR:CDV2006-10, FDIS:2007-10, IS2008-04
15.産業技術研究開発事業(ブロードバンド
FTTH 時代に向けた高品位光伝送システ
ム用光部品・モジュールの安全性および
信頼性の標準化)
受動部品と光能動部品)の安全性要求事項,光コネクタ
端面の損傷に関する標準化,および新形態通信用光モ
ジュールの信頼性評価方法の標準化についての研究開発
を進めてきた。
ブロードバンド FTTH 時代に向けた高品位光伝送シ
2007 年度は委託研究の最終年度であることから,今
ステムの安全性および信頼性にかかわる問題に対応した
までの検討結果や数々の知見を踏まえてまとめとなる評
国際標準案の作成に寄与するため,当協会は,2005 年
価実験を進めるとともに,実験結果の解析ならびに一般
度に経済産業省産業技術研究開発委託費による表記事業
化を図るためのコンピュータシミュレーション等を行っ
の委託を受け,「光部品・モジュール安全信頼性国際標
た。その主な成果を以下に示す。
準提案委員会」を構成し,3 ヶ年計画で高出力光部品(光
73
光産業.indb 73
08.5.27 5:57:16 PM
1)高出力光部品(光受動部品と光能動部品)の安全性
2)新形態通信用光モジュールの信頼性評価方法の標準化
要求事項
光通信システムの高度化に伴い,光能動部品の磨耗故
① レーザ安全性
障と光受動部品のランダム故障が混在している複合部
IEC/TC 76(レーザ安全性)では,我が国から提案し
品,MEMS のような機械的部品と光部品および電子部
た「高出力光受動部品の安全性要求事項」において,高
品とが混在する複合部品,チューナブル LD モジュール,
パワー光ファイバ通信システムにおける受動部品および
変調器集積型 LD モジュール等の複合機能光モジュール
光ケーブルの使用のための安全要綱の確立を目指してい
が使用されるようになっているが,これらの信頼性に関
る。新規提案文書(TR)の審議が開始され,本研究で
する試験法はまだ確立されていない。本事業ではこれら
の光受動部品および光コネクタの高パワー特性に関する
複合部品類の強度試験,耐湿性試験,高温高湿試験,振動・
成果に基づいた情報を提供した。
衝撃試験および MEMS 等の光部品の動作中振動・試験
② 光コネクタ端面の損傷に関する標準化
法について標準化を進めてきた。
光コネクタ端面傷・汚れとハイパワー光による端面損
① 動作中振動・衝撃試験に関する標準化
傷との関係等についての調査を進めており,簡易で確実
2006 年度末に行ったボードの振動シミュレーション
な光コネクタ端面の傷・汚れの評価方法と清掃方法の標
結果を解析し,光モジュールが取り付けられるボード中
準化を目指している。2007 年度は,ファイバ・ヒュー
央部に加わる衝撃方向依存性,そのピーク衝撃力および
ズの発生ならびに消滅をもたらす光パワーの閾値を調査
振動周波数は,実験で得られた値とほぼ一致しているこ
した。分散シフト光ファイバの場合,1.4 W 以上で発生
とを確認した。また,ボードの大きさ,重量,板厚,殴
し 1.1 W 程度で消滅したとの実験結果を得た。また,こ
打時間等をパラメータに種々の条件にてシミュレーショ
れまでの実験結果から,ハイパワー用光コネクタに対し
ンを行い,振動周波数は,ボードの寸法および重量に反
ては,接続損失 0.25 dB 以下(IEC 61755-1:Grade B),
比例し,板厚に比例することが分かった。
反射減衰量 45 dB 以上(同:Grade 2),接続前にフェルー
ハンマー殴打評価に用いた MEMS 型 VOA を汎用の
ル端面が適切に清掃されていることなどの要求性能をま
振動衝撃試験機を用いて評価・解析した結果,動作振動
とめた。
衝撃評価の妥当な条件は,衝撃 20 ~ 40 G,2 ms,振動
③ 光ファイバ溶融に関する限界値の標準化(光受動部品)
1 ~ 2 G,50 ~ 500 Hz 挿引であると結論付けることが
光受動部品について,2006 年度に実施したハイパワー
できた。MEMS 型 WSS(波長選択光スイッチ)では 2
破壊限界評価実験の結果を踏まえ,2007 年度は光固定
G の衝撃にて 1 dB 以上の減衰量変動があり(減衰量 20
減衰器,光アイソレータ,光スプリッタに対し,500 時
dB 設定時),波長可変 LD モジュールでは 20 G の衝撃
間の長時間試験(長期評価)を実施した。評価の結果,
で 0.5 dB 程度の光出力変動があることが分かった。
いずれの光受動部品においても故障は見られず,評価
② 複合機能光モジュールの試験条件等の整合性に関する検討
後の特性測定結果も良好であったが,光固定減衰器につ
各種の光部品が混合して搭載される複合機能光モ
いては,光ファイバ端面の光ファイバのフェルールから
ジュールに関する性能評価および信頼性評価について
100 nm 以上の突き出しまたは引き込み現象が見られた。
は,光能動部品・光受動部品・ダイナミックモジュール
コンピュータシミュレーションにより熱解析を行った結
それぞれの動作環境カテゴリ・試験条件などが互いに異
果,光ファイバとフェルール固定部分が接着剤の軟化温
なることから,その整合を図る検討を進めている。現状
度以上になることがわかり,この現象の解釈となりうる
調査をした結果,光部品の環境カテゴリについては周囲
ことがわかった。
温度で規定を統一すると全体として整合が取り易いこと
安全対策用光受動部品である光ヒューズ,光リミッタ
が分った。2008 年 2 月末から3月初めにかけて米国サ
について,性能の個体差ばらつき,温度波長等の条件に
ンディエゴで開催された IEC/SC 86C/WG 4 の会議にお
対する依存性の測定を行った。その結果,光ヒューズは
いて,日本案として提案したこの考え方で環境カテゴリ
ヒューズ特性の確認ができたが,光リミッタはリミット
を見直すことが受け入れられた。
(岡部正博)
するまで光出力特性が曲線を描くことがわかった。実用
を考えると注意が必要である。
74
光産業.indb 74
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標準化
16.基準認証研究開発事業【ポリマー光導波
路の性能評価に関する標準化】(P プロ
ジェクト)
は,このようなバックデータをもとに提案することが必
ポリマー光導波回路に適した性能評価法を確立し,評
を実施,同時に提案の裏付けとなる実証試験を行うこと
価データを蓄積することにより,国際規格の制定に寄与
が必要である。光配線板の標準的評価手法を提案し,ポ
するため,当協会は,2007 年度に経済産業省産業技術
リマー光導波回路の試験法について,我が国の主導によ
研究開発委託費による「ポリマー光導波路の性能評価に
る国際標準規格の策定を目指す。
要である。そのためには、該当技術分野で世界の最先進
国である我が国の専門家を結集し,国際標準化動向調査
関する標準化」の委託を受けた。「ポリマー光導波回路
標準規格策定に向けた具体的検討として,試験用ポリ
性能評価方法国際標準提案委員会」を設置して,3 カ年
マー光導波路のレイアウトの開発,試験用ポリマー光導
計画で研究開発を進めている。
波路の試験方法の開発,ポリマー光導波路の劣化メカニ
光配線板として,経済性に優れるポリマー光導波回路
ズム解明および長期信頼性評価基準の開発,機械的負荷
は,次世代 FTTH 構築用有機部材,携帯電話や光情報
をかけた状態での光導波路特性の評価技術の開発,光配
処理装置のボード間,ボード内インターコネクション部
線板実装に適合したポリマー光導波路評価試験方法の国
材など,適用ターゲットが明確になりつつあり,新技術
際標準化についての研究開発を進めている。
開発が順調に進んでいる。これらの用途を対象とした場
(1)試験用ポリマー光導波路のレイアウトの開発
合,高信頼性通信用部材に求められる性能評価法ではな
く,ポリマー光導波回路に適した低コストな性能評価法
マルチモード光導波路について,入力系,出力系を含
の標準化が課題となっている。中でも,安定した製品に
めた測定評価の標準化に適用できるようなデータを取得
よる市場の拡大を図るためには,簡易性能評価法の開
することを目標とした。特に入力系については基準認証
発,評価データの収集,並びに規格化が,製造者および
事業参画企業と協力して検討を行い、取得したデータか
ユーザの双方から強く求められている。
ら共通試験条件を設定した。2007 年度は特に直線導波
現在,光実装部品の標準化に関する光ファイバの試験
路について評価し,試験用レイアウトの再提案になるよ
法は規格化されているが,光配線板として分類されるポ
うな曲線,分岐を含むレイアウトの初期検討を行った。
リマー光導波回路の試験方法については規定されていな
(2)試験用ポリマー光導波路の試験方法の開発
い。よって本調査研究では,ポリマー光導波回路に適し
た性能評価法を確立し,評価データを蓄積することによ
平面光導波路に共通する評価試験条件(光源,入力
モード分布,出力系等)を設定し,これに基づいた平
り,国際規格の策定を目指す。
光配線板の標準化に関しては,1990 年代中頃に ISO
面光導波路データの蓄積を進めた。2004 ~ 2006 年度に
で基本用語等の統一を図るための国際規格が作成された
NEDO/METI プロジェクト「次世代 FTTH 構築用有機
が,測定法等の規格化については実用初期段階であり時
部材開発プロジェクト」において,簡易評価としての
期尚早として規格化は停止した経緯がある。しかし,
チップおよび測定標準化に関する取組みを行っており,
実用化の進展に伴い,近年,(社)日本電子回路工業会
該プロジェクトにおいて得られた知見や課題をベースに
(JPCA)が「高分子光導波路の試験方法」といった独自
試験方法を設定した。2007 年度は,スラブ型光導波路
の規格を制定している。国際規格の制定については,
損失評価法として知られている「液浸損失測定法」の確
IEC/TC86 国内委員会が受け皿となり,光配線板の規格
立と,次世代 FTTH プロジェクトにおいて提案された
化標準化にかかわる IEC/TC 91 とのジョイントワーキ
チャネル型光導波路損失評価法として「45 度カット法」
ンググループ,TC 86/JWG 9(With TC 91)がスター
の改良とデータ蓄積を行い,それらの測定法の比較検討
トしている。JWG 9 での国際規格作成にあたっては,
を行った。
従来の光ファイバを基本とする光配線板の規格での試験
条件をそのまま取り込むことの見直し,必要な裏付け実
(3)ポリマー光導波路劣化メカニズム解明および、長
験,追加データ取得の必要性とともに,国内外関連企業
期信頼性評価基準の開発
各社における技術および各国の標準化状況調査が求めら
上記プロジェクト等,従来報告されているデータを吟
れている。光配線板の標準的な試験法を作成するために
味しつつ,主たる劣化メカニズムと予想される原因の抽
75
光産業.indb 75
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出を行った。
(4)機械的負荷をかけた状態での光導波路特性の評価
技術の開発
JPCA 規格「高分子光導波路の試験方法」の機械特性
試験方法について、フレキシブル先導波路の曲げ試験の
試験方法を検討した。
(5)光配線板実装に適合したポリマー光導波路評価試
験方法の国際標準化
関 連 す る IEC 国 際 会 議(TC 86/JWG 9) へ 専 門 委
員を派遣し,最新データを審議に反映させた。また,
Photonics West,ECOC で,産業および技術動向につい
て調査した。
(岡部 豊)
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人材育成・普及啓発等
1.はじめに ザ製品の安全基準の改訂によるクラス分け変更の浸透,
当協会は,光産業技術を支える人材の育成,光技術関連
光ファイバ通信システムの安全の制定による通信事業関
情報の普及・啓発・広報,さらには国際交流のために多く
係者の参加増等に加え,レーザ製品がより広範囲な分野
の事業を実施し,光産業技術の発展に寄与してきている。
で導入されてきており,レーザ製品の取扱いに従事して
本年度も,人材育成では,技術開発・製造・販売等の
いる方々が増加しているものと考えられる。
現場で必要なレーザ技術の研修事業および試験事業とし
なお,'08 年度の第 23 回レーザ安全スクールは,第 I
て,レーザ安全スクールおよびレーザ機器取扱技術者試
期が 10 月 20 日(月)~ 24 日(金),第Ⅱ期が 11 月 10
験をそれぞれ実施した。
日(月)~ 14 日(金),いずれも東京・新橋の航空会館
普及・啓発・広報では,光産業技術に関する各種のシ
での実施を予定している。
ンポジウムや定期的なセミナーの開催,櫻井健二郎氏記
(川久保信友)
レーザ安全スクールコース別受講者数(単位:名)
念賞の授与等の多彩な活動を展開し,さらに,電子版オ
プトニューズやホームページ等によって光産業技術の普
コース名
第Ⅰ期 第Ⅱ期 合 計
及・啓発活動を継続的に実施した。これらのうち,光産
I コース:光・レーザ入門
65
−
65
業技術シンポジウム,光技術シンポジウム,マンスリー
S1 コース:レーザ工学の基礎
64
103
167
セミナー,および普及・啓発活動の一部は,“日自振補
S2 コース:レーザ安全の基礎
130
155
285
S3 コース:レーザ応用機器の安全
66
94
160
S4 コース:大出力レーザ機器の安全
61
107
168
M1 コース:レーザ安全管理者コース
82
−
82
M2 コース:レーザ安全技術者コース
−
59
59
合 計
468
518
986
助事業”である。
国際交流活動としては,日常的な調査活動や標準化活
動のほか,光技術総合展示会であるインターオプトを開
催した。
2.レーザ安全スクール
3.レーザ機器取扱技術者試験
当協会は,レーザ機器の普及に伴う機器取扱者の傷害
事故の発生を未然に防止するため,レーザ機器の設計開
この試験の趣旨は,レーザ機器の取扱いに起因する危
発,製造,加工,販売,運用等に携わる方々を対象に「レー
険および障害を防止するため,レーザ機器の取扱者や安
ザ安全スクール」を実施している。光技術,レーザ医療,
全管理者および安全技術者に必要とされる知識を身につ
レーザ安全等の各テーマについて現在第一線でご活躍中
けることにより,レーザ機器の取扱いにおける安全を確
の専門家を講師に招き,講義内容は実務に即役立つもの
保し,光産業の健全な発展を図る一助とする事にある。
となっている。プログラムは,入門コースの光・レーザ
試験は,レーザに関する総合知識およびレーザ光の危
入門(I コース)から始まり,基礎知識の S コース[レー
険性と安全法規をテストする「第 1 種」(レーザ安全管
ザ工学の基礎(S1 コース),レーザ安全の基礎(S2 コー
理専門の「第 1 種選択 1」と,レーザ安全技術専門の「第
ス),レーザ応用機器の安全(S3 コース),大出力レー
1 種選択 2」とに分かれる),レーザの基礎的知識をもっ
ザ機器の安全(S4 コース)],専門知識の M コース[レー
ているかどうかをテストする「第 2 種」に区分されている。
ザ安全管理者向けコース(M1 コース),レーザ安全技
第 18 回レーザ機器取扱技術者試験は ’07 年 12 月 7 日
術者向けコース(M2 コース)]と進み,体系的なレー
に,東京・芝公園の機械振興会館で実施された。同日は
ザ安全教育が可能。また各コース講義終了後には理解度
全国からの受験者 166 名(欠席者 8 名)を集めて 3 会場
を確認するための「演習」の時間も設けられている。
に分かれ,午前 10 時から正午まで,また午後 1 時から
第 22 回目を迎えた本年度のレーザ安全スクールは,
3 時までそれぞれ 2 時間ずつの試験が行われた。レーザ
第 I 期 を ’07 年 10 月 15 ~ 19 日 ま で, 第 Ⅱ 期 を 11 月
機器取扱技術者試験委員会の厳正な採点の結果,表に示
12 ~ 16 日 ま で, い ず れ も 東 京・ 新 橋 の 航 空 会 館 を 会
すように合格と判定されたのは第 1 種選択 1 が 2 名,同
場として開催した。各期別の受講者数は,表の通りで
選択 2 が 4 名,第 2 種が 72 名だった。
ある。総受講者数は 986 名で,前回(811 名)と比べて
なお,第 19 回レーザ機器取扱技術者試験は '08 年 12
21.6%,175 名の増,参加企業数は 161 社で,前回(133
月 5 日(金)に東京・芝公園の機械振興会館で実施する
社)と比べて 121.1%,28 社の増であった。これはレー
予定である。
(大熊仁明・川久保信友)
77
光産業.indb 77
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第 18 回レーザ機器取扱技術者試験結果
受験者数
合格者数
合格率
第 1 種選択 1
6名
2名
33.3 %
第 1 種選択 2
8名
4名
50.0 %
第2種
144 名
72 名
50.0 %
合計
158 名
78 名
49.4 %
を牽引する液侵露光技術は,ニコンをはじめ日本の強い
国際競争力発揮のモデルケースである。
」と力説された。
二つ目は,東京大学大学院経済研究科 ものづくり経
営研究センターの小川 紘一氏が,『新・日本型イノベー
ションとしての標準化事業戦略 ~我が国の光ディスク
産業の再興に向けて~』と題して講演され,「光ディス
クを含む,各種製品のイノベーションパターンを紹介さ
れ,フルセット型 ・ 統合型の組織能力を持つ我が国企業
4.光産業技術シンポジウム・光技術シンポ
ジウム
こそ優位に立つ」と熱弁をふるわれた。
4.1 第 27 回光産業技術シンポジウム
技術開発部の田附 幸一氏が,『有機 EL ディスプレイ~
三つ目は,ソニー(株)ディスプレー開発本部 基盤
大画面 TV 向け光プロセス技術~』と題して講演された。
第 27 回光産業技術シンポジウムは,当協会主催,経
済産業省後援により,「日本の“光もの造り”-国際競
氏は,「2007 年 12 月 1 日, 新時代のテレビとして発売
争に勝つ戦略は何かー」をテーマとして,12 月 5 日,東京,
された,“薄くて綺麗”な有機 EL テレビの特長を述べ
虎ノ門パストラルで開催された。最初に,当協会の小谷
られ,製造プロセスとして新たに開発したレーザー応用
泰久専務理事の開会挨拶があり,続いて,経済産業省商
技術が紹介され,生産性の高い製造技術の構築が必要で
務情報政策局 情報通信機器課 星野岳穂氏より来賓のご
ある」と結ばれた。
挨拶を頂いた。同氏は,「これまでの効率向上,信頼性,
最後は,『次世代スパコンのための光インターコネク
安全性確保とともに,省エネが両立できる光技術の益々
ト技術 ~世界最速を目指して~』と題する日本電気
の発展を期待し,今後の政策に反映させたい。」と激励
(株)コンピュータ事業部 エグゼクティブエキスパート
の佐藤 達夫氏の講演で締めくくられた。氏は,「文科省
の言葉を述べられた。
続いて,(株)日立製作所 フェロー(前副社長)の中
は,2010 年度の稼動を目指し 10 ペタ FLOPS 級の性能
村 道治氏により,『光産業技術の国際戦略』と題する基
を持つ次世代スーパーコンピュータの開発をスタートさ
調講演があり,「“光技術”は我が国が世界に誇る科学技
せたが電気伝送が限界を迎えつつある。この限界を打破
術である。環境を含む価値創造連鎖を最適化するために
する技術として光インターコネクション技術の実用が必
須である。」と力説された。
“協創”が必然で,“国際連携”,“多様性の追求”,“問題
解決型人材育成”など新たな施策を実行に移し,他分野
参加者は,昨年の約 1.5 倍の約 227 名に達した。アン
のモデルケースとなるべきである。」と力説された。
ケート調査結果からも,先端技術の動向だけでなく,国
際経済における光産業と技術の俯瞰的分析に基づいた講
続いて,(株)野村資本市場研究所 シニアフェロー
の関 志雄氏により,『中国の台頭と日本 ~日本にとっ
演にも高い関心が払われたことが判明した。
ての機会と挑戦~』と題する特別講演が行われた。「低
4.2 第 11 回光技術シンポジウム
賃金を武器に“世界の工場”として台頭してきた中国だ
が,両国の間には,まだ大きな格差が存在し,相互の関
第 11 回光技術シンポジウム「超高精細映像時代に向
係は競合的というよりは補完的である。2003 年以降,
けた大容量光ネットワークとデバイス開発戦略」を,
日本における景気回復の基調が鮮明になり,対中輸出の
2008 年 3 月 4 日に(独)産業技術総合研究所(以下,
急増が景気を支える要因の一つになっていることから,
産総研と略)臨海副都心センター別館において,産総研
良い中国脅威論が世論の主流となり,中国の台頭は日本
光技術研究部門と当協会との共催により開催した。
次世代ネットワーク(NGN)構築に向けた開発が急
にとってウィン・ウィン・ゲームであるという認識は定
速に進展している中で,今後のネットワークでは超高精
着しつつある。」と分かり易く解説され好評を博した。
午後には,4 つの講演を催した。一つ目は(株)ニコ
細映像のストリーミング,ファイル転送等によりトラ
ン 精機カンパニー 開発本部ニコンフェローの大和 壮
フィック容量が飛躍的に増大すると予想されている。そ
一氏による,『半導体露光装置の戦略 ~液浸ブレークス
こで,超大容量データ転送に適したネットワークのあり
ルー~』と題する講演であり,「半導体集積回路の微細化
方,および伝送容量と同時に消費エネルギーの観点から
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人材育成・普及啓発等
も新しいネットワークを実現可能とする要素技術の開発
レーザやその関連技術,LED 関連,光通信技術等の展
状況に関する講演会を企画した。
示はもとより,新たに,地球環境分野,バイオ・医療福
招待講演として,「スーパーハイビジョンの研究開発
祉分野,農業・水産分野などに向けた光技術に関するも
とネットワーク」(NHK 藤田氏),「光ネットワーク技術
のも見受けられるようになってきている。
の進展と将来の通信網へのインパクト」(名古屋大学 佐
今回のインターオプトでは新たに「光ベンチャーブー
藤教授),「シリコンフォトニクス」(日本電気 大橋氏)
ス」,および「注目される光技術・特別展示ゾーン」を
の 3 件の講演が行われた。また一般講演として,「将来
創設した。「光ベンチャーブース」は光技術を応用した
の光ネットワークとデバイス技術開発戦略」(産総研 渡
ベンチャー(光ベンチャー)を支援する創造・新事業展
辺氏)を初めとして,産総研の研究者より,超広帯域の
開支援事業の一環として設置した。これは光産業市場へ
ネットワーク技術やそれを支えるデバイスの開発状況に
の貢献性や期待性が認められる光ベンチャーの PR 活動
関して,6 件の講演が行われた。
を支援するもので 9 社が出展した。これらのブースでは,
光技術シンポジウム参加者は 80 名であり,当日は講
光技術を応用した光機器,光装置,システムの研究,開
演者および参加者により活発な議論が行われた。
発,製造,販売等の光ベンチャーやその関係者の製品並
びにサービスが展示紹介された。また「注目される光技
(小名篤裕)
術・特別展示ゾーン」は,技術重視のコンセプトで,今
年度初めて設置した。これは当協会 光技術動向調査委員
会の各分科会で,当該分野における注目される技術を推
5.インターオプト
薦して頂き,その技術展示および技術紹介をするもので,
「光 世界を結ぶ(Optoelectronics Links the World)」
6 社が参加した。出展ブースに隣接した場所にオープン
を テ ー マ に 光 関 連 製 品 の 総 合 展 示 会“ イ ン タ ー オ プ
形式のセミナー会場を設置し,出展品の技術講演をして
ト ’07”
(International Optoelectronics Exhibition’07)は、
頂き,展示とセミナーがセットになった形式で開催した。
2007 年 7 月 11 ~ 13 日 ま で の 3 日 間 に わ た り, 千 葉 の
地球環境分野,バイオ・医療福祉分野,農業・水産分野
幕張メッセ国際展示場において開催され,国内・国外の
などに係わる出品・講演があり,今後の光産業を牽引す
「人,物,技術,情報を一堂に集め,ビジネスチャンス
る新たな指標および技術開発の方向性が示された。
を提供する」をコンセプトにして光技術・製品の基礎か
当協会関連では,協会が実施している各種事業を紹介
ら応用までと総合的な展示が見られた。今回,国内外の
した。また当協会が国家プロジェクトを推進してきた
光関連メーカ,商社など 164 社,310 小間の出展であった。
「フォトニックネットワーク推進機構」,「高効率有機デ
国内,国外の内訳は,国内が 105 社,168 小間,国外が
バイス推進機構」,「大容量光ストレージ推進機構」がそ
59 社,142 小間の出展となった。また会期 3 日間の登録
れぞれ独自に小間出展をし,各プロジェクトの研究開発
者数は 7,632 名であった。
成果の内容を展示した。なかでも「フォトニックネット
国外からは団体として,OSA,IEEE/LEOS,SPIE(以
ワーク推進機構」ブースでは,
「フォトニックネットワー
上米国),PIDA(台湾光協会),KAPID(韓国光協会)
ク技術の開発」に関連して荒川 泰彦 東京大学教授,中
が出展,ダイレクトの国外企業出展は,アメリカ(11)
野 義昭 東京大学教授および,菅原 充(株)QD レーザ
を始めとして,韓国(5),台湾(2),中国(4),ドイツ(2),
代表取締役社長が,第 6 回産学官連携推進会議における
5 カ国・地域(カッコ内は社数)の出展であった,これ
産学官連携功労者表彰「内閣総理大臣賞」を受賞した内
に商社小間内等に出品する国(企業)イギリス,カナダ,
容の一部を展示した。
フランス等を加えると 20 カ国・地域となり,例年通り
同時通訳付きで実施する恒例の「出展社セミナー」は、
国際色豊かな展示会となった。国内では国公立試験研究
19 件の講演中 14 件が外国人講師によるものであいかわ
機関等から,
(独)産業技術総合研究所 光技術研究部門,
らず外国メーカの日本市場に対する積極的な姿勢がうか
(独)物質・材料研究機構,
(財)光科学技術研究振興財団,
がえた。恒例の「主催者セミナー」(「光産業ベンチャー
学校法人 光産業創成大学院大学が小間を設けて出展し,
ビジネスセミナー」・「光産業動向セミナー」・「光技術動
最先端の光研究に係わる展示が見られた。
向セミナー」)もテーマによっては立ち見となりあいか
わらず人気の高さを見せていた。
出展傾向としては,従来の光技術の基礎となる各種の
79
光産業.indb 79
08.5.27 5:57:19 PM
次回のインターオプト '08 は開催時期を 9 月に移動し,
2008 年 9 月 10 日( 水 ) ~ 12 日( 金 ) の 3 日 間, 会 場
は同じく幕張メッセで開催される。
(川久保信友)
297
2/19
ナノシリコンテクノロジー
とその応用
越田 信義
(東京農工大)
298
3/18
フォトニック結晶の最近の
進展
野田 進
(京大)
7.第 23 回櫻井健二郎氏記念賞(櫻井賞)
今年度の櫻井賞は,光産業および光技術の分野におい
て先駆的役割を果たした 1997 年以降の業績を対象に応
募 19 件中 3 件が選考された。すなわち,題目「超高速
光ネットワーク向け OTN デジタルフレームの国際標準
化と多値位相変調方式の研究開発実用化」に対し,日
本電信電話(株)未来ねっと研究所の宮本 裕氏,富澤
将人氏,同,フォトニック研究所の村田 浩一氏,同,
ネットワークサービスシステム研究所の松岡 伸治氏の
6.マンスリーセミナー
グループに,また,題目「集積光変調デバイスによる高
当協会では,光産業技術に関連する幅広い分野の専門
速光位相・周波数変調技術の開発」に対し,(独)情報
家を講師に迎え,内外のトピックスや最新の情報をわか
通信研究機構の井筒雅之氏,同,川西 哲也氏,住友大
りやすく解説する「マンスリーセミナー」を定期的(通
阪セメント(株)の市川 潤一郎氏,同,日隈 薫氏のグ
常,毎月第 3 火曜日)に開催している。本年度の開催状
ループに授与された。さらに,今年度は,櫻井健二郎氏
況を表に示す。
記念特別賞として,題目「フォトニックネットワーク用
(外所哲郎)
高速・低電力集積光デバイスの開発と革新的サブシステ
ム実証」に対し,東京大学の中野 義昭教授が研究開発
チームの代表として授与された。
回
開催日
287
2007
4/17
講演テーマ
酸化亜鉛/色素ハイブリッ
ド薄膜の電気化学析出を利
用したプラスチック太陽電
池の開発と課題
吉田 司
(岐阜大)
288
5/15
テラヘルツ波の応用可能性
川瀬 晃道
(名大)
289
6/19
レーザ光によるバイオチッ
プ技術の最新動向
丸尾 昭二
(横国大)
290
7/24
マイクロナノ光造形法と光
駆動ナノマシン
生田 幸士
(名大)
291
8/21
ペタワットレーザーと核融
合研究の現状と展望
三間 圀興
(阪大)
292
9/18
水産を中心とした動物への
LED 応用
藤安 洋
(静岡大)
293
10/16 ナノフォトニクスと光セ
キュリティー
294
11/20 中小型ディスプレイ市場の
現状と展望
岸川 弘
(テクノ・シス
テム・リサーチ)
295
12/18 近接場光と光インターコネ
クション技術
野村 航
(東大)
296
2008
1/15
光通信用デジタル信号処理
技術の現状と展望
櫻井賞は,当協会の理事であった故櫻井健二郎氏が光
講師
(敬称略)
産業の振興に果たした功績を讃えると共に,光産業およ
び技術の振興と啓発を図ることを目的として創設したも
ので,過去 22 回で 17 名の個人,21 グループ,延べ 93
名が受賞している。 受賞の栄に輝いた日本電信電話(株)の宮本 裕氏他
の受賞理由は,「光ネットワークのさらなる大容量化,
経済化のために,40 Gb/s 以上の高速伝送に適した OTN
デジタルフレーム構成を世界に先駆けて提案し,国際標
準(ITU-TG.709 勧告)決定に中心的な貢献をした。また,
40 Gb/s の長距離伝送に適した RZ パルス化 4 値差動位
相変調光伝送方式を開発し,世界初の 40 Gb/s 波長多重
成瀬 誠
(NICT)
光伝送方式を実用化した。さらに,100 G イーサネット
方式向けの長距離伝送技術を提案し,国際標準化におけ
る日本の主導権確保に多大な貢献をした」ことによる。
また,(独)情報通信研究機構の井筒雅之氏他の受賞
理由は,「集積型ニオブ酸リチウムを用いる光単側帯波
水落 隆司
(三菱電機)
発生の進行波型変調デバイスを内外に先駆けて提案・実
証し,さらに最近の各種高速多値変調実証にいたるまで
長年にわたり一貫してその開発を先導し,光の振幅,
80
光産業.indb 80
08.5.27 5:57:21 PM
人材育成・普及啓発等
位相,周波数を高速かつ安定に変調することを可能とし
⑤ Vol.2, No.1(2008)
年頭所感,光産業技術シ
(2008 年 1 月 21 日 Web 掲載)
: ンポジウム報告,櫻井健
二郎氏記念賞表彰 他
た。この技術は,超大容量伝送,伝送波形劣化補償,直
交位相変調など,今後の光ネットワーク構成の中核とな
⑥ Vol.2, No.2(2008)
光産業国内生産額調査結
(2008 年 3 月 18 日 Web 掲載)
: 果他
る技術であり,次世代光通信分野の研究開発に多大な貢
献をした」ことによる。
8.2 2006 年度成果報告 *(冊子,年 1 回刊)
さらに,中野 義昭教授他の受賞理由は,「次世代フォ
トニックネットワークに適する新規高速・低電力集積光
オプトニューズ電子版 Vol.1, No3 (2007)と同一内容
デバイスを提案・開発されるとともに,70 名以上が参
8.3 Annual Report 2006*(海外向け英文誌,年
1 回刊)
画した国内有力企業との産学連携プロジェクトにおいて
卓越したリーダーシップを発揮し,大学人としての新し
い存在感を示しながらこれらの有用性を実証する光ラベ
2006 年度成果報告の英語版
ル処理パケットルーティングのシステムデモンストレー
8.4 光標準化ニュース(光標準化会員向け)
ションを世界に先駆けて成功に導き,本分野の研究開発
に多大な貢献をした」ことによる。
① 85 号(2007 年 5 月):IEC/TC 76 長崎会議報告 他
② 86 号(2007 年 8 月):2007 年度光産業技術標準化
以上の 9 氏に対する表彰は,2007 年 12 月 5 日に開催
された第 27 回光産業技術シンポジウムの終了後に行わ
総合委員会
れた。櫻井健二郎氏記念賞選考委員会田中 昭二委員長
開催 他
(超電導工学研究所長)から選考経過報告の後,賞状,
③ 87 号(2007 年 11月)
:分野別標準化委員会の活動
メダル,賞金が各受賞者に手渡され,引き続き受賞者を
報告 他
代表して宮本氏,井筒氏,中野教授より謝辞が述べられ
8.5 ホームページの充実
(http://www.oitda.or.jp)
て表彰式を終了した。
8.普及・啓発活動
事業計画,事業報告を始め,セミナー,シンポジウム,
オプトニューズ,標準化ニュース,2006 年度成果報
研究会・懇談会等の開催案内等,各種情報を掲載し光技
告,Annual Report 2006(英文誌)を発行した。オプト
術関係者への利便を図っている。
ニューズは 2007 年 No.1 から電子版の発行を始め,2007
主要な(新規・更新)掲載情報:
年 No.3 からは電子版に完全移行し,冊子は終了した。
・光産業の国内生産額調査結果/光産業動向調査報告書
また 1996 年から開設しているホームページには年間多
・光技術動向調査報告書
数のアクセスがあり,年々増加している。
・開発プロジェクト(2007 年度採用プロジェクトの実
施内容)
(3/31 のアクセス数 801,900)
なお,下記のうち*の印刷物は,競輪の補助金を受け
・技術アドバイザ(2006 年度相談例)
て発行し,一般に配布したものである。
・標準化活動(JIS 化原案作成と OITDA 規格の制定)
・賛助会員用のページ作成(オプトニューズ電子版・
8.1 オプトニューズ
成果報告書・国際会議速報・プレスリリースの先行
掲載)
① Vol.1, No.3(2007)
2006 年度成果報告特集
(2007 年 5 月 31 日 Web 掲載)
:
(大熊仁明・吉川実佐)
② Vol.1, No.4(2007)
産学官連携功労者表彰を
(2007 年 6 月 18 日 Web 掲載)
: 受賞 他
③ Vol.1, No.5(2007)
協会専務理事の交代,イ
(2007 年 9 月 25 日 Web 掲載)
: ンターオプト '07 報告 他
④ Vol.1, No.6(2007)
内閣総理大臣賞受賞記念
(2007 年 11 月 16 日 Web 掲載)
: 講演会報告 他
81
光産業.indb 81
08.5.27 5:57:21 PM
2007(平成 19)年度の主要委員会等
(データは年度末時点・敬称略)
開催
回数
委員数
運営委員会
2
12
國尾 武光(日本電気)
○中島,杉山
光産業動向調査委員会
2
11
神谷 武志(大学評価・学位授与機構)
○野口,村田,大熊
情報通信調査専門委員会
4
6
山林 由明(千歳科学技術大学)
○田口,大熊
情報記録調査専門委員会
3
7
伊藤 彰義(日本大学)
○岡部(豊),大熊
入出力調査専門委員会
5
4
上田 歳彦(コニカミノルタ ビジネステクノロジーズ)
○稲田,大熊
ディスプレイ調査専門委員会
3
7
御子柴 茂生(電気通信大学)
○立野,大熊
光エネルギー調査専門委員会
4
15
黒川 浩助(東京農工大学)
○津田,大熊
レーザ加工調査専門委員会
4
7
新井 武二(中央大学)
○外所,大熊
センシング・計測調査専門委員会
3
7
伊藤 雅英(筑波大学)
○黒田,大熊
統計解析調査専門委員会
1
3
石田 宏司(千歳科学技術大学)
○大熊,野口,村田
3
53
中野 義昭(東京大学)
○岡部(正),立野
光材料・デバイス(第 1 分科会)
4
7
土屋 朋信(日立製作所)
○岡部(豊)
光通信ネットワーク(第 2 分科会)
3
7
高良 秀彦(NTT)
○小名
光メモリ・情報処理(第 3 分科会)
5
7
中野 隆志(産業技術総合研究所)
○稲田
ディスプレイ(第 4 分科会)
5
7
打土井 正孝(パイオニア)
○川井
ヒューマンインターフェース(第 5 分科会)
6
6
宮下 隆明(リコー)
○山口
加工・計測(第 6 分科会)
3
7
藤田 雅之(レーザー技術総合研究所)
○立野
太陽光エネルギー(第 7 分科会)
4
6
近藤 道雄(産業技術総合研究所)
○津田
アグリフォトニクス(第 8 分科会)
4
5
岩井 俊昭(東京農工大学)
○田口
特許動向調査委員会
6
15
八瀬 清志(産業技術総合研究所)
○山口,外所
光テクノロジーロードマップ策定委員会
1
16
田中 昭二(国際超電導産業技術研究センター)
○田口,山口
光テクノロジーロードマップ策定専門委員会(情報通信部会)
7
15
荒川 泰彦(東京大学)
○田口,山口
アグリフォトニクス・ブレークスルー技術委員会
3
5
○田口,立野
微細構造光デバイスブレークスルー技術委員会
2
3
○田口,小名
シリコンフォトニクス・ブレークスルー技術委員会
3
14
立体ディスプレイ調査委員会
9
15
高木 康博(東京農工大学)
○岡部(正), 津田
新規事業創造支援委員会
2
6
矢嶋 弘義(明治大学)
○外所
開発プロジェクト審査・評価委員会
2
5
神成 文彦(慶應義塾大学)
○野口,村田,黒田,川井,外所,
津田,岡部(豊),小名
名 称
光技術動向調査委員会
光産業技術標準化総合委員会
事務局
(○印は主担当)
○立野,岡部(豊)
近間 輝美(富士通)
○増田,小林
3
19
羽鳥 光俊(中央大学)
○平野
企画調整分科会
3
8
川瀬 正明(千歳科学技術大学)
○平野
ダイナミックモジュール分科会
6
14
金子 明正(NTT)
○岡部(正)
建物内光配線システム分科会
6
15
古川 眞一(矢崎総業)
○稲田
光ファイバ標準化委員会
6
19
冨田 茂(NTT)
○外所,川井
光コネクタ標準化委員会
8
16
長瀬 亮(NTT)
○川井,小名
光受動部品標準化委員会
9
19
水本 哲弥(東京工業大学)
○野口,村田,岡部(正)
光能動部品標準化委員会
9
13
吉田 淳一(千歳科学技術大学)
○岡部(豊), 稲田
光増幅器標準化委員会
5
14
山田 誠(NTT)
○稲田
光サブシステム標準化委員会
5
10
高良 秀彦(NTT)
○小名
光測定器標準化委員会
6
13
野口 一博(東北工業大学)
○小名,津田
TC76 レーザ安全性標準化委員会
5
27
猿渡 正俊(防衛大学校)
○黒田
ISO/TC172/SC9 国内対策委員会
2
16
有本 昭(ペンタックス)
○増田,小林
ISO/TC172/SC9/WG7 国内対策委員会
1
6
光ディスク標準化委員会
3
18
小町 祐史(大阪工業大学)
○山口,川井
規格メンテナンス分科会
0
9
横川 文彦(パイオニア)
○山口
第 1 メディア分科会(MO)
5
5
前田 巳代三(富士通)
○川井
第 2 メディア分科会(PC)
11
12
菅谷 寿鴻(東芝)
○山口
第 3 メディア分科会(ROM)
6
10
入江 満(大阪産業大学)
○川井
フォーマット分科会
8
11
小町 祐史(大阪工業大学)
○川井
新型太陽電池標準化委員会
5
23
髙倉 秀行(立命館大学)
○津田,大熊
IEC/TC82/WG2 国内対策委員会
5
20
野元 克彦(シャープ)
○津田
光部品・モジュール安全信頼性国際標準提案委員会(S プロジェクト)
3
7
吉田 淳一(千歳科学技術大学)
○岡部(正),小名
ポリマー光導波路回路性能評価方法国際標準提案委員会(P プロジェクト)
5
14
戒能 俊邦(東北大学)
○岡部(豊),野口,村田
レーザ安全スクール実行委員会
1
15
新井 武二(中央大学)
○川久保,大熊
レーザ機器取扱技術者試験委員会
2
15
池田 正幸(北海道大学)
○大熊,川久保
櫻井健二郎氏記念賞委員会
1
7
田中 昭二(国際超電導産業技術研究センター)
○立野,黒田
ファイバオプティクス標準化委員会
1
委員長等(所属)
○増田,小林
82
光産業.indb 82
08.5.27 5:57:23 PM
フォトニックネットワーク推進機構
執行委員会
連絡委員会
研究企画調整会議
プロジェクト運営会議(次世代高効率ネットワークデバイス Pj)
運営委員会
企画委員会
技術委員会
標準化委員会
次世代ネットワーク推進機構
執行委員会
連絡委員会
研究企画調整会議
実用化委員会
知的財産権専門委員会
高効率有機デバイス推進機構
執行委員会
連絡委員会
研究企画調整会議
実用化委員会
知的財産権専門委員会
有機ディスプレイ委員会
大容量光ストレージ推進機構
執行委員会
連絡委員会
事業実施評価委員会
研究企画調整会議
実用化委員会
知的財産権専門委員会
国際標準化専門委員会
市場創出専門委員会
大容量ストレージのためのナノマスタリング技術の研究開発
プロジェクト会議
実用化委員会
知的財産権専門委員会
国際標準化専門委員会
市場創出専門委員会
次世代光メモリ推進機構
執行委員会
連絡委員会
研究企画調整会議
推進委員会
市場創出専門委員会
知的財産権専門委員会
国際標準化専門委員会
アドバイザリーグループ委員会
ナノフォトニクス推進機構
執行委員会
連絡委員会
研究企画調整会議
企画推進委員会
知的財産権専門委員会
国際標準化専門委員会
市場創出・実用化専門委員会
レーザ加工省エネ調査委員会
省エネルギー技術検討委員会
省エネルギー技術検討委員会 ディスプイレイ調査分科会
省エネルギー技術検討委員会 照明調査分科会
光ディスク懇談会
フォトニックデバイス・応用技術研究会
光材料・応用技術研究会
NGN 時代のの光技術・産業懇談会
多元技術融合光プロセス研究会
開催
回数
委員数
1
1
1
11
10
16
久間 和生(三菱電機)
田井 修市(三菱電機)
中野 義昭(東京大学),荒川 泰彦(東京大学)
2
0
2
7
9
15
林 剛久(アラクサラネットワークス) 浅見 徹(東京大学)
浅見 徹(東京大学)
2
2
0
7
5
14
國尾 武光(日本電気)
小山 健一(日本電気)
荒川 泰彦(東京大学)
4
5
1
1
0
0
0
12
12
15
12
13
3
1
0
0
0
0
0
0
10
8
3
15
12
12
12
12
5
0
0
0
0
6
5
5
5
5
0
0
0
0
0
0
0
0
13
12
11
12
5
13
5
5
2
2
7
0
0
0
0
5
1
3
3
8
6
13
6
6
6
6
11
10
6
6
開催
回数
6
6
4
5
5
委員長等(所属)
○小野,伊藤(雄)
○小野,伊藤(雄)
○小野,伊藤(雄)
中村 道治(日立製作所)
○阿部,吉川
茨木 伸樹(TMD)
(9 月末解散時点)
○岡部(豊)
○村上
大津 元一(東京大学)
内山 隆(富士通研)
渡部 昭憲(NTT アフティ)
戸島 知之(NTT エレクトロニクス)
今中 良一(大阪大学)
○杉森,村上
村上 照夫(光協会)
○杉森
今中 良一(大阪大学)
渡部 昭憲(NTT アフティ)
戸島 知之(NTT エレクトロニクス)
○杉森
酒井 清(リコー)
大津 元一(東京大学)
宮本 治一(日立製作所)
栗山 和己(パイオニア)
波多野 洋(コニカミノルタオプト)
小原 實(慶應義塾大学)
御子柴 茂生(電気通信大学)
大沢 通孝(日立製作所)
川上 養一(京都大学)
会員数
75
102
60
78
63
事務局
(○印は主担当)
代表幹事(所属)
富永 淳二(産業技術総合研究所)
和田 修(神戸大学)
皆方 誠(静岡大学)
青山 友紀(慶應義塾大学)
小原 實(慶應義塾大学)
○杉森,村上
○黒田,岡部(豊)
○田口,立野
○立野
○田口
事務局
○川井
○小名
○稲田
○岡部(豊)
○黒田
83
光産業.indb 83
08.5.27 5:57:24 PM
賛助会員名簿
[建 設]
株式会社 きんでん
[繊維・紙パルプ]
東レ株式会社
株式会社巴川製紙所
三菱レイヨン株式会社
[化 学]
安達新産業株式会社
コニカミノルタオプト株式会社
JSR株式会社
昭和電工株式会社
信越化学工業株式会社
新日鐵化学株式会社
住友化学株式会社
住友スリーエム株式会社
住友ベークライト株式会社
セントラル硝子株式会社
綜研化学株式会社
ダイキン工業株式会社
帝人化成株式会社
東ソー株式会社
日産化学工業株式会社
株式会社日本触媒
日本ゼオン株式会社
富士フイルム株式会社
三井化学株式会社
三菱化学株式会社
山本光学株式会社
[2008(平成 20)年 3 月 31 日現在]
住友電気工業株式会社
タツタ電線株式会社
東京特殊電線株式会社
日立電線株式会社
株式会社フジクラ
古河電気工業株式会社
三菱電線工業株式会社
株式会社 東京インスツルメンツ
株式会社 東芝
東芝松下ディスプレイ
テクノロジー株式会社
日本オプネクスト株式会社
日本航空電子工業株式会社
日本信号株式会社
日本電気株式会社
日本電気真空硝子株式会社
日本電産コパル電子株式会社
日本ビクター株式会社
日本無線株式会社
日本ライトン株式会社
ネオプト株式会社
ノリタケ伊勢電子株式会社
パイオニア株式会社
株式会社 白山製作所
浜松ホトニクス株式会社
パルステック工業株式会社
株式会社半導体エネルギー
研究所
日立金属株式会社
株式会社 日立製作所
日立マクセル株式会社
ヒロセ電機株式会社
ファイベスト株式会社
富士通株式会社
富士電機ホールディングス
株式会社
本多通信工業株式会社
松下電器産業株式会社
松下電工株式会社
三菱電機株式会社
株式会社 村田製作所
山一電機株式会社
横河電機株式会社
ローム株式会社
[機 械]
株式会社 IHI
株式会社 アルバック
株式会社 小松製作所
サイエンステクノロジー株式会社
株式会社 ジェイテクト
新明和工業株式会社
ブラザー工業株式会社
富士ゼロックス株式会社
フジノン株式会社
ペンタックス株式会社
株式会社 モリテックス
株式会社 リコー
[商業・広告]
アドコム・メディア株式会社
株式会社オプトロニクス社
伯東株式会社
株式会社
日立ハイテクノロジーズ
株式会社
マブチ・エスアンドティー
丸文株式会社
矢崎総業株式会社
[電子・電気機器]
[電 力]
株式会社 アイメス
電気事業連合会
株式会社 アドバンテスト
電源開発株式会社
アルプス電気株式会社
財団法人 電力中央研究所
アンリツ株式会社
東京電力株式会社
ウシオ電機株式会社
NTT エレクトロニクス株式会社
[その他製造]
FDK株式会社
セラテックジャパン株式会社
沖電気工業株式会社
大日本印刷株式会社
オムロン株式会社
かがつう株式会社
[その他]
カナレ電気株式会社
株式会社 旭リサーチセンター
京セラ株式会社
NTTアドバンステクノロジ
株式会社 金門光波
株式会社
[ガラス・窯業]
サンケン電気株式会社
株式会社 グラノプト
旭硝子株式会社
santec 株式会社
株式会社 KDDI研究所
コーニングインターナショナル
三洋電機株式会社
株式会社 工業通信
株式会社 三和電気工業株式会社
独立行政法人 産業技術総合
コバレントマテリアル株式会社
ジーエスアイ・グループ・
研究所 光技術研究部門
サンゴバン株式会社
ジャパン株式会社
独立行政法人 産業技術総合
ショット日本株式会社
シーシーエス株式会社
研究所 超高速光信号処理
住友大阪セメント株式会社
株式会社
[精密機器]
デバイス研究ラボ
東洋ガラス株式会社
次世代PDP開発センター オリンパス株式会社
株式会社 大和総研
日本板硝子株式会社
シャープ株式会社
キヤノン株式会社
日本電信電話株式会社
日本電気硝子株式会社
スタンレー電気株式会社
コニカミノルタテクノロジー
藤森工業株式会社
HOYA株式会社
スペクトラ・フィジックス株式会社
センター株式会社 武蔵工業大学プラズマ研究室
セイコーエプソン株式会社
シグマ光機株式会社
財団法人
[鉄鋼・非鉄金属]
ソニー株式会社
シチズンテクンロジーセンター株式会社
レーザー技術総合研究所
住友金属鉱山株式会社
第一電子工業株式会社
株式会社 島津製作所
DOWA ホールディングス
大宏電機株式会社
駿河精機株式会社
株式会社 タイコ エレクトロニクス
セイコーインスツル株式会社
日鐵溶接工業株式会社
アンプ株式会社 株式会社 精工技研
株式会社 日本製鋼所
太陽誘電株式会社
大日本スクリーン製造株式会社
多治見無線電機株式会社
株式会社 トプコン
[電線・ケーブル]
ティアック株式会社
株式会社 ニコン
岡野電線株式会社
TDK株式会社
株式会社 ニデック
昭和電線ホールディングス
株式会社 デジタルストリーム
フォトニクス株式会社
株式会社 84
光産業.indb 84
08.5.27 5:57:28 PM
本成果報告の各文末の( )内には,各事業成果の取りまとめにあたった事務局担当者の氏名
を記載しております。取りまとめにあたりましては,関連委員会委員長はじめ委員の皆様方に多大
なご協力を頂戴いたしました。ここに厚く御礼申し上げます。
光産業.indb 85
08.5.27 5:57:28 PM
禁 無 断 転 載
技術情報レポート
(2007 年度成果報告)
発 行 2008(平成 20)年 5 月
編集・発行 財団法人 光産業技術振興協会
〒 112-0014 東京都文京区関口一丁目 20 番 10 号
住友江戸川橋駅前ビル 7 階
電 話:03-5225-6431, FAX:03-5225-6435
URL:http//www.oitda.or.jp
光産業.indb 86
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