大規模変形するメグナ川河口域沿岸部 の監視手法の構築とその

1/9
研究の背景・目的
研究対象地域:バングラデシュ南部、メグナ川河口域
大規模変形するメグナ川河口域沿岸部
の監視手法の構築とそのメカニズムの
解明
・海浜地形変化が非常に激しい地域
→ 侵食による地域社会への影響
・観測データが少ない
→ 詳細な分析がなされていない
比較: 1990年(左)と2010年(右)
卒業論文発表
2013/2/19
激しい地形変化
メグナ川からの土砂供給
波浪
国際プロジェクトグループ
海岸沿岸環境研究室 田口 裕介
指導教官 田島 芳満
2/9
研究手法
30km
30km
研究目的
メグナ川河口域における海浜地形変動の要因を分析する
衛星画像解析
3/9
PALSAR: 能動型マイクロ波センサ
対象期間: 2007年1月~2011年4月、合計21枚
・汀線を抽出し、平面直角座標に変換
(例)
衛星画像から見た汀線変化 = 実際の変化 + 見かけの変化
○汀線変化の現状を認識
陸
○陸地面積を計算
衛星画像によるUrir-Charと
とNoakhaliの面積
の面積(km^2)
衛星画像による
の面積
海
干潟や浅瀬が多い
波浪
流砂量
etc…
125
潮位
120
115
不足しているデータは推定する
→ 少ないデータから汀線変化の原因を解明する
110
105
100
2007/1/1
2008/1/1
2009/1/1
2010/1/1
2011/1/1
潮位の推定①
4/9
グローバル海洋潮汐モデル+流れの場の計算モデル
潮位の推定②
5/9
グローバル海洋潮汐モデル+流れの場の計算モデル
GEBCOによる地形図
背景 ・限られた期間、数カ所の験潮データしか存在しない
・正確な地形データがない
C
2
A
B
C
2
B
グローバル海洋潮汐モデル(Naotide)
・・・任意の地点、時間の潮位を得られる
誤差が大きい
×浅海域では地形の影響があり、誤差が大きい
浅海域
○沖合においては正確
正確
沖合
→南側境界からの入力波として利用
流れの場の計算モデルで湾奥の潮位を計算
A
-1
150
A
B
160
170
180
190
200150
160
170
潮位の推定結果
-1
190
200150
潮位高い→面積小
潮位低い→面積大
-2
-2
180
160
170
180
190
200
(m)
4.00
回帰線からの面積差(km^2)、
、推定潮位(m)
回帰線からの面積差
推定潮位
3.00
6
2.00
4
修正後の地形図
170
200150
0
0
160
190
8
赤:観測値
黒:Naotide
2
面積と潮位に逆の関係が
あることを確認できた。
150
180
(km^2)
10
C
2
1
0
観測値と一致させることができた
→ 任意の時間での潮位が推定可能に
-2
-2
Naotide
2
0
0
0
赤:観測値
青:計算結果
2
1
160
170
180
190
200 150
160
170
180
190
1.00
2
0.00
0
200
-2
GEBCO(大洋水深総図)の地形図を修正
・汀線位置
汀線位置・・・最新の位置ではない
→ 衛星画像で
汀線位置
衛星画像で修正
画像で修正
-1.00
-4
-2.00
-6
推定潮位
・水深
水深
①湾奥の水深が異常 → 測深データで修正
②全体的に浅い → 短期の験潮データでキャリブレーション
-10
2007/1/1
6/9
波浪推算・流砂量
SMB法による波浪推算
5
風の観測データより、有義波波高を計算
4
⁄
2
⁄
= 0.30 1 − 1 + 0.004
= 1.37 1 − 1 + 0.008
⁄
⁄
流砂量の指標
Urir-Char + Noakhaliの面積
2007年
年1月~
月~2011年
年4月の有義波波高
月の有義波波高(m)
月~
月の有義波波高
=
・降水量、河川流量、流砂量、堆積の
ピークには時間差がある
15
2010/1/1
2011/1/1
+
!
!+
%
"#
−
$ +
%
"
%
$ +
"
: 降水量、 : 時間差、 !: 有義波波高
2008/1/1
2009/1/1
2010/1/1
2011/1/1
→ 80
120日で面積変化をうまく再現でき、110日の時に誤差が最も小さく再現性が良かった。
2007年
年1月~
月~2011年
年4月の月別平均降水量
月の月別平均降水量(mm/day)
月~
月の月別平均降水量
12
観測値
9
再現値
降水してから堆積するまでの時間差を考
慮しながら、土砂供給を表す指標として
用いた。
CMAP: 衛星による降水量データ
(CPC Merged Analysis of Precipitation)
6
3
0
Jan-07
!$
最小二乗法を用い、誤差が最小となる係数 ~ を求めた。
(降水量が面積変化に効いてくるまでの時間差)をずらしながら計算していった。
1
18
2009/1/1
7/9
!: 潮位、 #
2
集水域の総降水量を求めた。(CMAPより)
-4.00
2008/1/1
分析方法・結果①
3
0
2007/1/1
-3.00
-8
Jul-07
Jan-08
Jul-08
Jan-09
Jul-09
Jan-10
Jul-10
Jan-11
結果②
8/9
潮汐の影響を取り除いた実面積の変化
実測値(潮位除く
実測値 潮位除く)
潮位除く
再現値(潮位除く
再現値 潮位除く)
潮位除く
9/9
本研究の成果
① 観測データの少ない地域で、不足しているデータを衛星やモデルで補うことにより
メグナ川河口域の海浜地形変動の要因を定量的に分析し、面積の予測式を構築
できた。
=
面積変化の累積
+
!+
%
"#
−
$ +
%
"
$ +
%
"
!$
② 他の地域にも適用可能な、汎用性のある手法の開発・提案
流砂による堆積
変化量
衛星画像を利用したモニタリング
波による侵食
流れの場の計算モデル + グローバル海洋潮汐モデルで潮位や流速の推定
•
モンスーン
乾期
モンスーン
乾期
モンスーン
正確な地形データがない場合でも・・・
→ GEBCO + 短期間の験潮データでキャリブレーション
乾期
ご清聴ありがとうございました
3~7月のモンスーン期が侵食傾向、9~1月の乾期が堆積傾向であることがわかる。
Urir-Charでの
での現地調査より
での現地調査より
この4年4ヶ月で流砂による堆積量は計28.9)* 、波浪による侵食量は−21.8)* であった。