I. 委託業務の概要 II. 契約事務手続きに関するもの III. 契約変更に関する

I. 委託業務の概要
II. 契約事務手続きに関するもの
III. 契約変更に関する手続き
IV. 国立機関等への再委託等について
V
V. 経理処理について
1.委託費区分
2.対象経費及び経理上の注意点
3.消費税等処理
4.外注・物品等の調達を行う場合
5.子会社(直接出資比率100%)または
自社から調達を行う場合の利益排除等
6.分室・研究分担先
VI. 機械装置等費について
VII. 労務費について
VIII.「その他経費」について
IX.「一般管理費」について
X.「再委託費・共同実施費」について
XI. 検 査
XII. 委託費の支払い
XIII. 経費発生調書と月別項目別明細表
委託業務事務処理マニュアル
●●● 93
V 経理処理について
経理処理に当たっての基本的な考え方は、次のとおりです。
① 実施計画書の範囲において、委託業務に必要不可欠なものに対して経費を認めます。
② 同等のものであれば、金額の低い方を選びます。
1. 委託費区分
委託業務の実施に伴う経費については、「委託費積算基準」* の「大項目」、「中項目」に
定める区分にしたがって整理してください。
なお、
経費発生調書に計上する額については、
「支払ベース(実績主義)」または「検収ベー
ス(発生主義)
」のいずれかの集計基準で経費計上をしてください。ただし、一度選択した
集計基準は、
年度の途中において変更することはできません。また、労務費は「検収ベース(発
生主義)
」
、旅費は「支払ベース(実績主義)」となります。
大 項 目
Ⅰ.機械装置等費
(調査契約においては発生しない)
中 項 目
1.土木・建築工事費
2.機械装置等製作・購入費
3.保守・改造修理費
Ⅱ.労務費
1.研究員費
Ⅲ.その他経費
1.消耗品費
2.補助員費
2.旅 費
3.委員会費
4.外注費
5.報告書等作成費
6.その他
Ⅳ.一般管理費
Ⅴ.再委託費・共同実施費
*「委託費積算基準第1」(62 ページ)を参照してください
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●●● 委託業務事務処理マニュアル
V 経理処理について
2. 対象経費及び経理上の注意点
(1)対象経費
《基本的考え方》
① 委託費として計上できるものは、委託業務内容から判断して必要と認められるものです。
② 委託費として認められるものは、委託業務に係る経費のうち、委託期間中に発生し、か
つ委託期間中に支払われた経費です。
③ 委託期間外に発生した経費(発注・検収)については、いかなる場合も認められません。
④ 支払いが委託期間外に行われるものであっても、以下の要件(「委託費積算基準第2」
を参照)を満たすもののみ、委託費として認めます。
◇委託費積算基準第2(約款抜粋)
委託期間中に発生し、かつ、その経費の額が確定しているものであって、委託期
間中に支払われていないことについて相当の事由があると認められるもののうち、
その支払期限が委託期間終了日の翌月末日までのもの。
このうち、
「相当の事由」については、以下の理由により、委託期間内に納品、検
収が完了し、適切な請求書を受領し、金額が確定しているものであって、当該経費
の支払い手続きが開始されたことを確認することができ、委託期間終了日の翌月末
日までに支払いが完了したもの、又は支払いが完了する予定のものについて「相当
の事由あり」と認めています。
(a) 労務費については給与等の支払いが翌月になる場合があるため。
(b) 成果報告書作成費については、約款で報告書の提出期限が委託業務の完了し
た翌日から60日以内に提出と規定しているため、成果報告書の成果報告書
作成費を委託期間中に支払うことが困難である場合が多いため。
(c) その他の経費については、研究の進捗上緊急を要し、委託期間の終了月にお
いて経費が発生し、経理処理の都合で委託期間中に発生した経費を支払うこ
とが困難であることが予想されるため。
《留意すべき点》
① 委託期間前に発注を行った場合は、委託費として認められません。
委託期間前に見積もりを徴収しても構いませんが、発注行為は委託期間内に行われてい
なければなりません。
② 「支払ベース」とは、現金支払の場合は領収書の日付、金融機関からの振込支払の場合
は振込金の引落し日に経費計上することをいいます。
③ 「検収ベース」とは、物品又は役務に対する正当な請求書を受領し、支払債務が確定し
た時点で経費計上することをいい、単に物品等が委託先に納入され、または役務が履行
されただけでは支払債務が確定したとは判断できないので、この時点で経費を計上しても、
検収ベースの計上とはなりません。
ただし、委託先の規程等により、請求書の受領に代えて、納品書の受領、支払書の発行
をもって支払債務の金額が確定する場合は、その時点を検収ベースの経費計上時としま
す。
委託業務事務処理マニュアル
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V
V 経理処理について
なお、個々の経費について別に定めている場合がありますので、各経費の項目も参照して
ください。
④ 備品や消耗品等は年度内の委託業務に使用するために購入するものであり、年度末にお
いて、予算消化の観点から購入することは認められません。
⑤ 「委託業務に係る経費」とは、委託業務に直接係った経費のみを指します。したがって、
以下のような経費は、委託業務に直接係った経費とはいい難く、委託費の対象とはなり
ません。
(a) 経理事務に従事する場合の人件費、及び経理事務のために発生した経費
(b) 委託先がNEDOの検査を受ける場合、及び再委託先等がNEDO又は委託先の検
査を受ける場合に係る経費
(c) 協力事項である、概算要求あるいは委託期間外の計画等の打ち合わせのための経
費
(例えば、
「業務委託契約約款(成果委託先帰属)の場合は第53条」を参照して
ください。
)
(d) 経済産業省又はNEDOとの事務的な打ち合わせに係る経費
(2)経理処理に当たっての注意点
① 支払について
支払方法としては、現金支払及び金融機関からの振込支払のみ認めています。
(a) 手形取引
手形払いは、以下の理由により支出額の確定が明確でないため、原則認めていま
せん。
○ 手形が決済できず、不渡りになる可能性があること。
○ 手形が割り引かれ、業者等に支払われる金額が減額する可能性があること。
(b) 相殺決済
委託費分決済の事実及び支払の確認が困難なため、原則認めていません。
(c) クレジットカードの使用
クレジットカードの使用は原則として認められませんが、次の場合は可能です。
○ 委託先の規程等により使用が認められている法人カード。この場合には、そのカー
ドが決済された証明書、カード会社への支払証明書が必要となるとともに、カード
会社への支払いは、委託期間終了日の翌月末日までに完了することが必須となりま
す。
○ 委託先の規程に従えば、旅費においては個人カードの使用が認められます。
(d) 振込手数料
金融機関への振込手数料については、間接経費であり直接経費として認められませ
ん。
ただし、次の要件を満たせれば、認めることとします。
○ 振込手数料が取引した本体価格の内数であること。
○ 振込手数料を取引先が負担していることを支払いの証拠書類等から確認できること。
○ 請求額から送金手数料を差し引いて振り込む場合は、他の通常支払い分と区分す
るために、当該委託業務に係る支払いのみの振り込みとしてください。
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●●● 委託業務事務処理マニュアル
V 経理処理について
(e) 支払の証拠書類について
支払の事実及び支払日を確認できる証拠書類としては、「領収書」、振込について
は金融機関の作成する「振込金受領書」があります。近年振込については、電子
決済により前記の書類が作成されないケースも見受けられますが、この場合は委託
先で作成した「振込依頼電子データ」を帳票としてプリントアウトしたものを保存し
ておいてください。
また、当該委託事業に係る経費を他の経費と合算して振り込んだ場合は、それぞれ
の金額を振込証書上で区分してください。(NEDO分 円・自社分 円、等)
V
② 外貨の円換算について
「II.契約事務手続に関するもの 2.実施計画書の作成について【注意事項】2) 外国
為替レートが必要な場合」
(24 ページ)及び「VIII.その他経費について 2.<中項目 2.
>旅費◆海外の場合(3)(4)」(141 ページ)を参照してください。
③ 端数処理
金額、単価、時間など実際に支出した経費を算出するとき、小数点以下の端数処理につ
いては、国の基準に準じ、原則、切り捨てとします。
ただし、上記に係らず、以下の場合においてはそれぞれ個別に処理方法を定めますので、
それに従ってください。
(a) 一般管理費率の算出の場合は、小数点第2位以下を切り捨てた○.○%を用いる
こととします。
(b) 内税方式で消費税を割り戻す場合の円未満の端数処理は、委託先の経理基準によ
るものとします。
(c) 海外出張、外国製品等の購入(海外への外注代金を含む)する場合についても円
換算に係る円未満の端数は切り捨てとします。
(d) 100%子会社からの調達による利益排除の計算等については、「Ⅴ.経理処理に
ついて 5.子会社(直接出資比率100%)または自社から調達を行う場合の利
益排除等(1)② (c) 」(100 ページ)を参照してください。
④ ソフトウエアの計上費目について
ソフトウエアは、その用途により、以下のように計上する費目が異なります。どの分類に
該当するかをよく吟味した上で経費計上するようご注意ください。
分 類
NEDO資産計上の機器・設備類に組み込
まれ、または付属し一体として機能するもの
自社製作したもの及び購入したもの
外注したもの
計上する費目
I.2.機械装置等製作・購入費
III.1.消耗品費 (上記 I.以外のもの)
III.4.外注費 (上記 I.以外のもの)
委託業務事務処理マニュアル
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V 経理処理について
3. 消費税等処理
《基本的な考え方》
委託契約は、
「役務の提供」に該当するため、消費税および地方消費税(以下「消費税等」
という)の課税対象となります。したがって、委託費の合計(実施計画書の積算項目 I ∼ V
の合計)に消費税率(現在5%)を乗じて消費税等を計上します。
ただし、委託先が非課税団体 * の場合は、経費計上については、消費税を含む取引価格
で計上してください。
* 例えば、前々年度の課税売上高が3千万円以下の場合又は設立後2年未満の団体の場
合は、前々年度の課税売上高が3千万円以下と解釈されるため消費税等非課税業者とし
て取り扱われます。
《留意すべき点》
① 消費税法では、給与を対価とする役務の提供は、課税対象になりませんが、報酬を対価
とする役務の提供は、課税の対象となります。
② 専門的知識・技能等に基づく役務提供は、報酬を対価とする役務の提供に該当し、消費
税課税対象となります。
③ 委員会の委員等に対する謝金、手当等の報酬に係る消費税の取扱については、委託先の
会計処理によるものとします。
④ 国内で発生する以下の経費については、通常支払われる金額が消費税込みの金額である
ため、消費税額を控除した額を計上していただくことが必要です。
(a) 国内出張における旅費(日当、宿泊費、交通機関の運賃)(ただし、早出・遅着日
当などで、税務当局より給与としての取り扱いを受け源泉税の支払対象となってい
るものは除きます。)
(b) 海外出張における支度料、国内交通費、国内の空港使用料
⑤ 海外出張における海外での旅費については、消費税の課税対象になりませんので、支出
額をそのまま計上することとなります。
(例)航空運賃、海外での空港使用料、交通費、日当、宿泊費など。
⑥ 海外出張において、その現地国の法令により課税される場合がありますが、海外の税金
等に関しては、税額控除する必要はありません。
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●●● 委託業務事務処理マニュアル
V 経理処理について
4. 外注・ 物品等の調達を行う場合
《基本的な考え方》
請負工事、外注、物品等調達については委託先等が定めた規程に基づき行っていただくこ
とが可能です。ただし、一契約が200万円以上の場合については、経済性※を確保するた
めに、委託先等の規定にかかわらず、必ず競争原理を用いた二者以上の見積競争等が必要
です(子会社等からの調達においても同様です)。この場合、機器メーカーの代理店を購入
業者として特定するときは、国内外を問わず、その代理店証明書を必ず添付してください。
※ ここでいう
「経済性」
とは、既述のとおり、
「同等のものであれば、金額の低い方を選びます。
」
です。
(1)原 則
一契約200万円以上の場合については、必要とする仕様を定めた上で、二者以上の相見
積もりを徴収し、必要な仕様を満たすもののうち最も安価なものを選定してください。
(2)例 外
発注の際、機種及び業者を特定する必要がある場合は、見積競争方式を行わなかった理
由を明確にするとともに、価格の妥当性についても説明することが必要です。
① 機種を選定する場合には、「機種選定書」において、同等品、類似品との性能比較を行
うことにより、当該機種を選定したことを具体的に説明してください。
② 業者を選定する場合には、「業者選定理由書」において、その業者を選定した理由を具
体的に説明してください。
《留意すべき点》
① 帳票類に、購入した品名を○○一式として記載されている場合は、必ずその内訳を明ら
かにできるようにしておいてください。
(例)装置一式、機器一式、工事一式、パソコン一式、消耗品一式などの場合
② 支出内容を証明する書類として、発注、納品、検収、請求、支払いを証明できる書類を
整えてください。また、機械装置等費や外注費等においては、見積仕様書や発注仕様書
がさらに必要になる場合があります。この際、見積仕様書や発注仕様書は購入する物品・
サービス等の内容を明確にするとともに、物品・サービス等の検収もこの仕様書をもとに
行うのが一般的です。委託先が通常使用しているこれらの帳票類により支出内容と支払い
が、証明できるようにしてください。
③ オンライン発注など、注文書・見積書等の書類が作成されない取引形態の場合は、該当
するデータをプリントアウトする等、書面で確認できるようにしておいてください。
④ 一契約が200万円未満の場合にあっても、委託先等が定めた規程に基づき、見積競争
や代理店証明書取得等が必要な場合は、その規程に従ってください。
委託業務事務処理マニュアル
●●● 99
V
V 経理処理について
5.子会社 (直接出資比率100%) または
自社から調達を行う場合の利益排除等
《基本的な考え方》
(1)子会社から調達を行う場合
① 相見積もりを徴取する場合
子会社から調達を行う場合であって、他に二者(子会社を除く)以上の相見積もりを徴
取した結果、子会社の調達価格が他者の価格を下回ったときには、子会社からの調達に
ついて、利益排除を行う必要はありません。
② 相見積もりを徴取しない場合
相見積もりを徴取せずに子会社から調達を行う場合については、利益相当分を排除して
実績額を計上してください。
利益相当分排除の方法は以下の3つです。
(a) 製造原価または仕入原価を証明する方法。
(b) 子会社との間で、利益率又は手数料等を取り決めている場合はその率。
(c) 直近年度の決算報告(損益計算書)における経常利益率(経常利益/売上高)をもっ
て利益相当額の排除を行う方法。ただし、決算上赤字等※の場合は利益相当分の
排除の必要はありません。経常利益率の算出にあたっては、百分率において小数点
以下二位を切り上げます(例えば、5.
82%の場合、5.
9%です。)。
※「決算上赤字等」とは、決算書上の利益が赤字もしくは0(実数は0ではないが、決
算書に表示された数値の単位で端数を処理した結果0となる場合を含む。)の場合をいう。
(2)委託先の自社内から調達を行う場合
① 経費の計上には、製造原価または仕入原価を用います。委託先において、製造原価の根
拠を示す証拠書類等が明らかにできないときは、製造部門の責任者名によって製造原価
証明書を作成してください。
② カタログ商品等一般に販売している商品で、製造原価または仕入原価を示せない正当な
理由がある場合は、上記「(1)子会社(直接出資比率100%)から調達を行う場合」の「①
相見積もりを徴取する場合」の処理に従うことができます。
100
●●● 委託業務事務処理マニュアル
V 経理処理について
《留意すべき点》
① 利益排除の対象とする「子会社(直接出資100%)」とは、連結決算における持分比率
が100%の子会社・孫会社等も含みます。
(a) 出資関係が以下のような子会社等は、利益排除の対象となります。
子会社B
100%
親会社A
40%
孫会社C
60%
V
孫会社Cに対する親会社Aの持分
=
(Cに対するAの出資比率)
+ {( Bに対するAの出資比率)(Cに対するBの出資比率)}
=60%+(100% 40%)=100%
(b) 出資関係が以下のような子会社等は、利益排除の対象となりません。
10%
他グループ会社D
子会社B
40%
90%
親会社A
孫会社C
55%
5%
他グループ会社E
孫会社Cに対する親会社Aの持分
=
(Cに対するAの出資比率)
+ (Bに対するAの出資比率)
{
(Cに対するBの出資比率)}
=55%+(90% 40%)=91%
② 直接出資比率100%の子会社がその親会社から調達する場合には、利益排除の対象と
なりません。
③ 委託先であるA社にB社の研究員が出向し、A社がB社から調達する場合についても、利
益排除の対象となりません。
④ 期中で出資比率が変動し新たに100%子会社となった場合、あるいは逆に100%子会
社でなくなった場合は、調書への計上日と出資比率の変わった日の前後で取り扱いが決ま
ります。
計上日が出資比率
計上日が出資比率変更日
変更日より前
当日あるいはそれより後
新たに100%子会社となった場合
利益排除不必要
100%子会社となくなった場合
利益排除必要
利益排除必要
利益排除不必要
委託業務事務処理マニュアル
●●● 101
V 経理処理について
6. 分室・研究分担先
(1)分室
委託先が、委託業務を実施するに当たり、委託先の分室を置いている協力企業に対し、委
託事業の業務を委任(協力企業名による機器等の購入を可能にすること。)するときは、委
託先と協力企業との間で、「業務委任契約書」又は 「 業務委任協定書 」 等、業務の一部を
委任することを明確にした書類を取り交わしていただくことが必要です。この書類の取り交わ
しがある場合は、委託事業に係る業務管理及び経理処理事務について、協力企業の定める
ところにより処理することができ、会計証拠書類についても、協力企業名で徴取することがで
きます。
分室形式を採用する場合の一般管理費率及び子会社調達の利益排除の扱いは、以下のと
おりです。
分室の形態
一般管理費率
子会社からの調達における利益排除の扱い
の扱い
協力企業の子会社
委託先の子会社から
締結されていて、分室
協力企業にお
利益排除必要
利益排除不必要
業名で機器等を調達し
費率を適用
利益排除不必要
利益排除必要
「業務委任契約書」等が
の置かれている協力企
支払まで完了する場合
「業務委任契約書」等の
ける一般管理
締結がなく、分室が置
委託先におけ
使用する機器等につい
率を適用
かれている協力企業で
て、委託先名で調達し
る一般管理費
からの調達の場合
の調達の場合
支払まで完了する場合
(2)研究組合における研究分担先
研究組合における組合員である各企業が分担して研究を行う場合の経理処理については、
その企業単位において、経理処理を行うことができます。
※ この場合、経費発生調書について、その分担企業単位の作成が必要であり、一般管理
費率についても、その分担する企業の一般管理費率を使用するものとします。
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●●● 委託業務事務処理マニュアル