交通ミクロシミュレーターを活用した道路空間 再構築設計のケーススタディ

交通ミクロシミュレーターを活用した道路空間
再構築設計のケーススタディ
濱本
1正会員
立也2・大脇
鉄也3・上坂
克巳4
工博 近畿地方整備局近畿技術事務所 技術情報管理官(〒573-0166 大阪府枚方市山田池北町
11-1) E-mail:[email protected]
2非会員
工修 中央復建コンサルタント株式会社(〒102-0083 東京都千代田区麹町2丁目10-13)
E-mail:[email protected]
3正会員
4正会員
敬治1・木下
九州地方整備局宮崎河川国道事務所 所長(〒880-8523 宮崎県宮崎市大江2-39)
E-mail:[email protected]
工博 国土技術政策総合研究所道路研究室 室長(〒305-0804 茨城県つくば市大字旭1番地)
E-mail: [email protected]
本稿は、実道路を対象にケーススタディを行い、ボトルネックの改善を行いつつ、路上駐車場や自転車
走行空間の創出した再構築試設計を実施し、ミクロシミュレーションで計測される歩行者・自転車・自動
車のサービス指標を算出するとともに、使いやすい構造などの定性的な達成度を含めた再構築設計の効果
について、比較分析を行った。その結果、設計上のコントロール条件が明らかになるとともに、実道路に
おいても、自動車交通のサービス水準を維持しつつ、歩道内の円滑性や通行環境の改善が図られることが
わかった。
Key Words : pedestrian, bcycle, on--street parking, service level, traffic micro simulation, space restructuring
1. はじめに
かなどの課題があり、それらを払拭するため、設計時の
アイデアを含めた再構築の平面設計手法が求められてい
る。
近年、都市に存する道路は、人への着目や空間的ゆと
りなど時代ニーズを背景に、クルマを中心とした利用形
態から、歩行者、自転車、公共交通機関、緑のための多
様な空間確保が重要となっている。特に、昨今は余暇活
動における自転車利用など自転車利用者の増加に伴い、
その通行空間の確保が求められている。一方、物流や緊
急車両、交通弱者等自動車でなければ移動が困難かつ支
障をきたす交通が存在することに加え、沿道への荷捌き
等の停車空間も必要である。よって、自動車通行や路上
駐停車空間を一方的に削減及び排除するのではなく、両
者がバランスし両立することが重要である。そこで、現
状における自動車の交通を維持しつつ、求められる自転
車通行空間や路上駐停車空間などを確保するには、道路
空間の現状の使われ方を調査・分析し、画一的整備に伴
う余裕を発見し、コストに配慮した道路空間再構築(以
下、再構築)が重要となっている。
しかし、道路及び交通管理者の懸念事項として、再構
築を行った場合は、現状の自動車交通が混雑するなどの
影響があるのか、具現化した設計はどのような内容なの
2. 研究の目的
本研究は、都市部における既存の道路空間の余裕(不
足)を見出し、交差点等のボトルネックの改善を行いつ
つ、路上駐停車を考慮した自転車通行空間の創出を行う
平面設計手法を実道路で検証し、設計アイデアの提案を
目的とする。
3. 研究方法
( 1 ) ケーススタディ道路の概要
対象とした道路は、都心部の幹線道路で交差点間隔が
短い幅員40mの国道L=2.2kmを設定した。そのうち、ケー
ススタディは、特に問題となっている区間L=525mについ
て実施した(図-1)。
1
A B
C
対象区間
図-1 対象としたケーススタディ道路
( 2 ) 対象道路の交通状況とその問題点
再構築を行う対象道路の交通状況は、主として二つの
問題があった。一つ目は自動車交通が多い道路であり、
かつ、車道左側端に路上駐停車が多い。そのため、車道
は自転車と路上駐停車した自動車と競合し、歩道は歩行
者通行が多く、かつ、点在する路上施設など自転車の進
行が困難である(写真-1)。二つ目は対象道路の固有
の特徴である鉄道駅の出入口が交差点部付近に直結し、
かつ、交差点の処理能力が厳しい制約された区間である。
歩道は有効幅員が5m以上あるものの、通勤時の歩行者
が極めて多い。普通自転車歩道通行可の歩道に指定され
自転車が通行できる混合状態であり、著しく歩行者の通
行が妨げられている(写真-2)。
( 3 ) 検証方法
提案する平面設計手法は交通流動の推計と丁寧な平
面設計の二正面方法によるものとしている。まず、対象
道路の交通実態や問題点を調査し再構築を行う上での問
題点や課題を把握する。再構築に伴う交通流動の影響を
推計するために、歩行者・自転車・自動車の交通挙動を
工夫することにより再現できる市販の交通ミクロシミュ
レーター「VISSIM」を用いて計測する。さらに推計結果
をもとに改善する必要性や余地がある場合は、再構築案
を改善するなど繰り返し実施する。次に、通行空間の安
心感や利用者の使いやすさなど交通ミクロシミュレータ
ーで推計できない詳細な部分は、丁寧な平面設計による
対応とする方法である。
( 4 ) ミクロシミュレーション「VISSIM」の概要
PTV社が開発した交通ミクロシミュレーションソフト
「VISSIM」は、追従理論(Wiedemannら1))に基づいた自動
車ミクロシミュレーションの他に、Social Forceモデル
に基づく歩行者シミュレーションの利用が可能である
(図-2)。
対向車
追従
信号
歩行者
進行方向
車両の位置時間を計算する
交差点先詰まり
→繰り返し
図-2 交通シミュレーションの概念図
VISSIMのベースとなっているSocial Forceモデルは、
Helbingら2)が提案した群衆行動モデルであり、歩行者
の個体を粒子に捉えたいわゆる「重力モデル」である。
当モデルを概説すると、ある個体のある時点における
速度ベクトルに対する希望方向・希望速度との差分、及
び近接する相手から受ける力により移動方向のベクトル
を決定するものである(図-3)。
よって、相手の進む方向を予測するなどの先読み行動
について当モデルでは対象としていない。
なお、VISSIMを用いることにより、すれ違い・追い越
し時の側方余裕幅や、通過時間、希望速度からの遅れ時
間を計測できるため、これらを評価指標として、歩行者
自転車空間の安全性・快適性を定量的に評価することが
可能となる。されに入力条件として道路構造や交通条件
を変化させた感度分析も容易に行うことができる3)。
写真-1 歩道及び車道左側端状況
写真-2 駅付近の歩道状況
2
歩行者 A から
離れる反発力
歩行者 B
6.0m
上り
現況
直進@3
歩道
歩行者 A
①単路の断面
(路上停車)
希望方向への
吸引力
希望方向への
吸引力
歩行者 B から
離れる反発力
直進@3
車 道 部
再構築 6.0m 2.5m
実際の移動方向
6.0m
下り
28m(往復6車線)
歩道
2.5m 6.0m
23m(往復4車線)
①
自転車道 路上 直進@2
停車
直進@2 路上 自転車道
停車
3.0m2.0m
25m(往復4車線)
2.5m
②バス停を設置す
る場所の断面
②
自転車道 バス 直進@2
停車
実際の移動方向
2.0m 3.0m
2.5m
直進@2 バス 自転車道
停車
図-4 単路部(案①)
図-3 SFモデルによる回避行動4)
Helbingらの提案するSocial Forceモデルは、以下のよ
うに単位時間Dtごとの歩行者iの加速度ベクトルαiが定
式化されている。
歩道
6.0m
下り
28m(往復8車線)
左折 直進@3
右折 直進@2 左折
車 道 部
歩道
再構築
3.5m 2.5m
①東側断面
α i ( t  Δ t )  η  v i ( t )  v i 0 ( t ) 




x i (t )  x j (t ) 

+τ  exp ζ


x i (t )  x j (t ) 
j


6.0m
上り
現況
①
自転車道 左折 直進@3
…(1a)
6.0m
上り
現況
歩道
ただし、νi(t)、ν (t)、хi(t)はそれぞれ歩行者iの
時刻tにおける速度ベクトルと希望速度ベクトル、位置
ベクトル、歩行者jは歩行者iの周辺歩行者、η、τ、
ζはパラメータである。式(1a)の第1項は現在の速度ベ
クトルから自分の希望する方向の速度ベクトルへと修正
するための項、第2項は周辺の歩行者から離れようとす
る反発力項とされる。上記の式から分かるように、周辺
歩行者の情報は現在時刻tでの位置情報のみである。
②西側断面
右折 直進@2 左折 自転車道
6.0m
下り
28m(往復8車線)
直左 直進@2 右折@2
直進@3
車 道 部
再構築 6.0m
0
i
2.5m3.5m
28m(往復8車線)
歩道
26.5m(往復8車線) 1.5m 6.0m
②
直左直進@2 右折@2
(幅広)
直進@3
専用通行帯
図-5 交差点付近(案①)
6.0m
上り
現況
6.0m
下り
28m(往復6車線)
直進@3
直進@3
歩道
車 道 部
① 6.0m 2.5m
23m(往復6車線)
歩道
再構築
①単路の断面
( 5 ) 再構築の基本構造の立案
再構築案の基本構造を案①、案②とする。
案①
 自転車専用通行帯:現在の左側端にある車道空間
を利用して、歩車道境界を触らず、道路の各側に
自転車専用通行帯を設置
 バス停及び路上駐停車場:植樹ますの合間に、バ
ス停及び路上駐停車を設置
単路部及び交差点部の再構築を以下に示す(図-4,
図-5)。
専用通行帯 直進@3
5.0m 2.5m
②バス停及び路上
停車を設置する
場所の断面
3
直進@3
専用通行帯
2.5m 5.0m
23m(往復6車線)
1.0m
1.0m
②
専用通行帯 直進@3
&バス停車
直進@3 専用 路上
通行帯 停車
図-6 単路部(案②)
6.0m
上り
現況
歩道
28m(交差点8車線)
左折 直進@3
6.0m
下り
右折 直進@2 左折
車 道 部
歩道
再構築
6.25m 2.5m
①東側断面
案②
 自転車道:現在の第一車両通行帯を減じ、歩車道
境界を触らず、道路の各側に自転車道を設置
 バス停及び路上駐停車場:第一車両通行帯と自転
車道の間にバス停もしくは停車帯を設置
単路部及び交差点部の再構築を以下に示す(図-6,
図-7)。
2.5m 6.0m
現況
6.0m
上り
歩道
2.5m5.75m
右折 直進 左折 自転車道
@2
28m(往復8車線)
直左 直進@2 右折@2
直進@3
車 道 部
再構築 6.0m 2.5m
②西側断面
23m(交差点7車線)
①
自転車道 左折 直進
@2
23m(交差点7車線)
6.0m
下り
歩道
2.5m 6.0m
②
自転車道 直左 直進
@2
右折
@2
直進
@2
図-7 交差点付近(案②)
自転車道
( 6 ) ミクロシミュレーションの実施
交通現象を再現するために、自転車と自動車、歩行者
と自転車の混在などを組み込めるミクロシミュレーター
「VISSIM」(PTV 社)を用いた(図-8)。交通流動推
計を行うに当たっては、ミクロシミュレーターの信頼性
やパラメータによる補正及び調整並びに表現挙動の模索
を行いつつ現況再現を確認した。再構築案の自転車の通
行方法について、案①は逆進方向のみ歩道通行を可とし、
案②は二方向に設定した。なお、歩行者及び自動車は法
令及び現状通りである。
表-1 自動車等の評価指標値
現況(推計値)
指標
所要時間
(s/100m・台)
(参考)
捌け交通量
(台/h)
案①『自転車専用通
行帯』整備案
自動車
バス
案②『自転車道』
整備案
自動車
バス
自動車
バス
上
20.4sec
50.4sec
20.9sec
45.7sec
30.9sec
36.4sec
下
17.7sec
48.9sec
16.6sec
43.7sec
18.9sec
31.1sec
上
1,474 台(1.0)
1,532 台(1.0)
1,302 台(0.9)
下
1,505 台(1.0)
1,532 台(1.0)
1,327 台(0.9)
表-2 歩行者・自転車の評価指標値
自転車
歩行者
案①『自転車専用通
行帯』整備案
自転車
歩行者
上
34.2sec
29.9sec
39.8sec
79.3sec
64.6sec
79.7sec
25.0sec
27.0sec
30.6sec
79.0sec
64.3sec
79.8sec
23.1sec
28.8sec
23.6sec
79.2sec
63.8sec
78.8sec
下
32.5sec
32.2sec
33.0sec
80.9sec
68.1sec
75.2sec
24.2sec
28.2sec
26.6sec
80.7sec
70.6sec
73.0sec
23.2sec
26.5sec
23.1sec
81.3sec
68.9sec
73.5sec
上
0.6 回
0.8 回
3.1 回
1.6 回
1.0 回
4.3 回
0.6 回
0.0 回
1.8 回
1.2 回
1.9 回
4.0 回
0.0 回
0.0 回
0.0 回
2.3 回
2.4 回
3.8 回
下
0.4 回
3.1 回
1.1 回
2.6 回
4.1 回
3.2 回
0.4 回
0.0 回
1.2 回
2.0 回
2.8 回
3.0 回
0.0 回
0.0 回
0.0 回
2.2 回
2.7 回
3.0 回
現況(推計値)
指標
所要時間
(s/100m ・
人(台))
不快な交
錯回数(回
/人)100m
当たり
案②『自転車道』
整備案
自転車
歩行者
その結果、自動車交通への影響について、所要時間は
現況(推計値)と比べ、案①が同値であるものの、案②
は悪化している。さらに参考指標である捌け交通量も現
況(推計値)と比べ、案②は低下している。歩行者・自
( 7 ) 評価指標の設定と定義
動車交通が多く、かつ、構造的制約のある実道路では、
本研究は、自動車の交通混雑解消など処理能力向上を
車線を減じる再構築が困難な場合があることがわかった。
行うものではないため、自動車交通に関しては交通処理
歩道内について、案①及び案②とも、歩行者の所要時間
能力が少なくとも現状より下回らないことを設定の基本
はB区間の下りで現況(推計値)に比べ、極めて悪化す
とする。
る結果となった。現在の歩道空間を歩行者・自転車の空
評価指標は、歩行者・自転車・自動車3者の所要時間
と歩道部内の不快な交錯回数とする。不快な交錯回数は、 間に単純に分離するのではなく、歩行者・自転車交通量
など交通の実態に応じた適切な幅員が必要であることが
歩道部内の快適性の指標であり、単路部において一定距
5)6)7)
わかった。また、不快な交錯回数にみられる歩道内通行
離内(既往研究
を参考に 1.25m)ですれ違い・追
の快適性指標値が現況(推計値)に比べ、大きな差がみ
い越した回数である。なお、発生しきれない自動車交通
られなかった。
を見逃し、流れた交通に対する所要時間が算出され、改
善された結果になる恐れがあることから、捌け交通量を
参考値として考慮する。
( 2 ) 更なる改善を行った評価結果
一次評価結果の問題点を受け、自動車交通のサービス
水準及び交通容量に影響を与えない再構築案①について、
歩道空間の改善検討を行った。その内容は、図―9に
4. 研究結果
示す通り、車道部空間の中央帯や車線の幅員を可能な限
( 1 ) 一次評価結果
り縮小し、その幅員を歩道空間に充てる車道部の線形変
表-1に自動車、表-2に歩行者・自転車の再構築
更である。表-3に改善検討の評価結果を示す。
案別区間別の評価結果を示す。表-2に示す歩行者及
その結果、歩行者の所要時間は、上下線とも現況同様
の水準に改善することがわかった。制約条件下にある実
び自転車の所要時間及び不快感交錯回数の上段、中段及
び下段の推計値について、上段はA区間、中段はB区間、 道路の車道部空間においても、自動車交通に支障がない
下段はC区間の区間別の推計値を示している。
範囲で幅員を適切に見直すことで、空間が見出せる場合
もあることがわかった。
図-8 ミクロシミュレーターによる歩道内の挙動再現状況
4
6.0m
上り
現況
歩道
再構築
①東側断面
6.0m
下り
28m(交差点8車線)
左折 直進@3
3.5m 2.5m
右折 直進@2 左折
車 道 部
歩道
2.5m3.5m
28m(往復8車線)
①
自転車道 左折 直進@3
右折 直進@2 左折
自転車道
再構築
改善案 3.5m 2.5m 26.75m(交差点8車線) 2.5m4.75m
①東側断面
①
自転車道 左折
直進@3
右折 直進 左折 自転車道
@2
図-9 更なる再構築の改善検討
表-3 更なる改善検討の評価指標値
自転車
歩行者
自転車
歩行者
自転車
歩行者
案①改
※橋梁部歩道拡幅
※麹町六歩道拡幅
自転車
歩行者
上
34.2sec
29.9sec
39.8sec
79.3sec
64.6sec
79.7sec
25.0sec
27.0sec
30.6sec
79.0sec
64.3sec
79.8sec
23.1sec
28.8sec
23.6sec
79.2sec
63.8sec
78.8sec
25.0sec
27.0sec
27.6sec
79.0sec
64.8sec
80.0sec
下
32.5sec
32.2sec
33.0sec
80.9sec
68.1sec
75.2sec
24.2sec
28.2sec
26.6sec
80.7sec
70.6sec
73.0sec
23.2sec
26.5sec
23.1sec
81.3sec
68.9sec
73.5sec
24.2sec
28.2sec
25.8sec
80.7sec
68.6sec
74.2sec
0.6 回
0.8 回
3.1 回
1.6 回
1.0 回
4.3 回
0.6 回
0.0 回
1.8 回
1.2 回
1.9 回
4.0 回
0.0 回
0.0 回
0.0 回
2.3 回
2.4 回
3.8 回
0.6 回
0.0 回
1.5 回
1.2 回
1.9 回
3.0 回
0.4 回
3.1 回
1.1 回
2.6 回
4.1 回
3.2 回
0.4 回
0.0 回
1.2 回
2.0 回
2.8 回
3.0 回
0.0 回
0.0 回
0.0 回
2.2 回
2.7 回
3.0 回
0.4 回
0.0 回
1.2 回
2.0 回
2.6 回
3.0 回
現況(推計値)
指標
所要時間
(s/100m ・
人(台))
不快な交 上
錯 回 数
(回/人)
100m 当
たり
下
案①『自転車専用通
行帯』整備案
案②『自転車道』
整備案
図-11 終点詳細構造図アイデア例
( 3 ) 設計アイデア集の提案
再構築案に対する評価結果を受け、再構築の平面的な
アイデア集を取りまとめた。その内容は、再構築の平面
的な展開を概括でき、かつ、ミクロシミュレーションで
再現できない交差点部における自転車の通行空間の選択
構造面留意事項など実務等での有用な情報を、幅員、車
線数及び自転車通行空間の構造別に整理している。ここ
では、図-10~12に示す通り、幅員40mの再構築平面図
及び交差点部の詳細構造図を代表図例として紹介する。
現況例
計画例
図-12 起点詳細構造図アイデア例
5. まとめ
本研究では、現況の測定データを用いて交通ミクロシ
ミュレーターによる交通流動の影響を推計し、道路空間
再構築案を検討し実道路で検証した。その結果、以下の
点が明らかになった。
図-10 設計アイデア集の平面図
5
 単路部の車線を減じて自転車道を整備する再構築
は、歩行者と自転車が分離するものの歩道の有効
幅員が拡幅できないため、歩行者の快適性やサー
ビス水準が改善しない場合もある。
 自動車交通に関して、交差点間隔が短い場合やバ
ス停車帯が近接している場合など現状の道路構造
の実態によっては、現況の自動車の交通需要を維
持できない場合もある。
 実道路では、自転車通行空間との競合問題解消の
ために自動車の停車空間の確保が必要である。そ
のため、現状の無秩序な使われ方を改め、車道の
左側端に自転車通行空間と同時に整序化した停車
空間構造を確保するアイデアが有効である。
 この結果は、既存の一般道路においる自転車通行
空間の確保を行う再構築の障壁である自動車交通
への影響を予測する方法や設計計画時のアイデア
等を具体的に示したものであり、技術的な検証や
根拠等が弱いものの、実務において参考になるこ
とが期待できる。
参考文献
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
6
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浅野美帆,井科隆雅,桑原雅夫:交錯交通の容量評
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木下立也,濱本敬治,大脇鉄也,上坂克巳:ミクロ
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大脇・諸田・上坂:シミュレーションを活用した歩
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高岸節夫:すれちがい,追い越しからみた2方向2
車線自転車道の通行帯幅員に関する一実験的考察,
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