橋台の動的特性の変化がリブ付きストリップによる耐震補強 - 土木学会

3-200
土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)
橋台の動的特性の変化がリブ付きストリップによる耐震補強効果に及ぼす影響について
九州工業大学大学院
学生会員
○平嶺
和也
九州工業大学
正会員
廣岡
明彦
ヒロセ株式会社
正会員
佐原
邦朋
パシフィックコンサルタンツ株式会社
正会員
濱本
朋久
永瀬
英生
1.はじめに
本研究室でこれまで実施した重力場振動台実験により、橋
85 (単位:mm)
土圧計(上から1~9)
400
ことにより、常時・地震時の橋台背面に裏込めから作用する
変化させた場合、それがリブ付きストリップの補強効果に及
6
3
4
ストリップ
500
レーザー2
568
に桁荷重の 1/2 に相当する錘を取り付けて橋台の動的特性を
5
変位計
1)。本研究では橋台頂部
1
356
土圧が軽減されることが確認された
加速度計4
加速度計3
レーザー1
加速度計2
630
台背面にリブ付きストリップを取り付け裏込め内に埋設する
1036
錘
加速度計1
ひずみゲージ
2
水平
d
基盤部
405
ぼす影響について、振動台実験を実施・検討したものである。
鉛直(手前から1,2)
2.実験システム
ひさし部
鉛直3
入力加速度計
※水平、鉛直1,2,3はロードセル
図 1 に実験システムの概要を示す。実物の橋台としては、
図1
高さ約 15m、幅約 12m を想定し、模型の縮尺は 1/30、その作製にあた
っては井合の相似則を適用した。システム内には、橋台背面土圧を計
表1
実験コード
測する土圧計、橋台の変形を計測するレーザー変位計、橋台に作用す
実験コード
補強材本数
(本)
AS0
0
AS72F10
72
AS0T
0
AS72F10T
72
る水平・鉛直方向の力を計測するロードセル、加速度計を図のように
配置した。地盤は乾燥状態の豊浦硅砂を用いて、相対密度が約 70~80%
実験システム
上載荷重(N)
リブ径
(mm)
0
1.0
0
14.7
1.0
14.7
になるように 11 層に分けて作製し、その際、橋台背面土圧を段階ごとに計測した。補強材の幅は、模型作成上の
都合により実物の 4 本分を 1 本としてモデル化し、設置間隔を考慮することで実物との対応をつけた。設置間隔
の最小値は 5cm(実規模換算:1.5m)であり、模型橋台背面には最大 9 行 8 列の 72 本の補強材を取り付けられ
る。振動実験は、周波数 12.8Hz(実規模換算 1.0Hz)で水平方向に加速度振幅 300gal の正弦波を入力して実施
した。尚、本研究では、補強する場合、橋台背面に 72 本のリブ付きストリップ(鋼製帯状補強材)を設置した。
また、錘を取り付ける場合、橋台に上載荷重として約 14.7N(実規模換算:約 392kN)の錘を取り付けた。表.1
に示すように実験コードについては、入力周波数 12.8Hz を A で、リブ付きストリップの有無をそれぞれ S0、S72
で、リブ径が 1mm であることを F10 で、錘を取り付けたことを T で示した。
3.実験結果及び考察
図 2 に模型内の所定の位置に設置された各加速度計により測定され
450
た応答加速度振幅の平均値を示す。まず、橋台頂部での応答に着目す
400
加速度計1
ると、無補強の場合は錘を取り付けた方がその振幅は大きく、補強し
た場合には錘を取り付けた方が振幅は小さい。結果として、補強によ
Amplitude (gal)
加速度計3
加速度計4
加速度計2
350
AS0
AS72F10
300
AS0T
る振幅の減少は錘が取り付けられたケースにおいて顕著となった。こ
れに対して、裏込め内部では橋台頂部の錘の有無にかかわらず、ほぼ
AS72F10T
250
橋台頂部
裏込め 内部
裏込め 上部
橋台背面から
20cm
〃
〃
60cm
同程度の補強による振幅の減少が観察された。一方、裏込め上部(地
表面)の橋台近傍では振幅の差は、補強材の有無よりも、橋台頂部に
図2
各加速度計の応答加速度振幅
取り付けられる錘の有無により生じていることが窺える。以上より、錘の有無、補強の有無が応答加速度振幅に
影響を及ぼすことが分かったので、橋台竪壁部と裏込め土の相互作用について応答加速度挙動から考察する。図 3
キーワード
連絡先
補強土壁 振動実験 橋台 リブ付きストリップ 上載荷重
〒804-8550 北九州市戸畑区仙水町 1-1 Tel 093-884-3113
-399-
Fax
093-884-3100
3-200
土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)
は橋台頂部(加速度計 1)と裏込め上部(加速度
計 3)の関係を示したものである。両加速度が形
補強無し
補強有り
錘無し
錘無し
成するリサージュ図は概ね右上がりであり、振動
橋台山側
橋台山側
裏込め海側
裏込め山側
橋
台
頂
部
成分の主成分の位相はほぼ一致していることが指
橋台海側
裏込め山側
摘できる。が、加速度の向きが橋台頂部は海側、
橋台海側
裏込め海側
裏込め上部は山側となる、すなわち逆位相となる
裏込め地表面(橋台背面から20cm)
グラフの第 4 象限に注目すると、補強が有る場合
補強無し
補強有り
錘有り
錘有り
より無い場合で、橋台頂部に錘が無い場合より有
る場合で、この象限で軌跡が多く観察され、橋台
と裏込めの運動がお互い干渉しあっていることが
推測される。これが、錘が有る場合において加速
度の応答振幅が若干小さくなった理由であろう。
図3
図 4 に加振による水平土圧増分の深度方向分布を
橋台頂部と裏込め上部の応答加速度の関係
Earth pressure (kPa)
Increment
ofpressure
Earth pressure(kPa)
Earth
(kPa)
Depth(mm)
Depth(mm)
加振によってそこでのリブ付きストリップにより
引っ張り力が導入されたことが確認できた箇所で
ある。この箇所では補強の有る場合は無い場合に
比べて明らかな土圧増分の抑制が観察される。そ
の抑制による減少量は橋台頂部に錘が無い場合に
0
0
5
5
10
10
15
15
20
20
25
25
30
30
35
35
40
40
45
45
50
50
おいては平均 30%、錘が有る場合平均 28%の減少と
Depth(mm)
Depth(mm)
錘の有無別に示す。図中に赤線で囲った領域は、
-1Increment
0
1of Earth
2 pressure(kPa)
3
4
5
-1
0
1
2
3
4
5
補強無し
補強無し
補強有り
補強有り
上載荷重無し
上載荷重無し
図4
図4
なり、全体として橋台の動的特性の違いによる顕
0
0
5
5
10
10
15
15
20
20
25
25
30
30
35
35
40
40
45
45
50
50
Earth
(kPa)
Increment
ofpressure
Earth pressure(kPa)
Earth
pressure
(kPa)
Increment
of
-1
0
1 Earth
2 pressure(kPa)
3
4
5
-1
0
1
2
3
4
5
補強無し
補強無し
補強有り
補強有り
上載荷重有り
上載荷重有り
加振による土圧増分の深度方向分布
加振による土圧増分の深度方向分布
著な差は無いが、位相の違いによる干渉が生じていたと考えられる裏
600
Amplitude(N・ cm)
込め上層部では、橋台頂部に錘が無い場合で約 38%、錘が有る場合で約
20%となり、土圧増分の抑制に差が生じている。このことから、橋台堅
壁部と裏込め土の運動学的相互作用も水平土圧抑制に少なからず影響
を及ぼすものと推測される。図 5 に橋台底面反力の測定値より算出し
た橋台底面反力による B 点(図 1)周り回転モーメント振幅(平均値)
500
400
300
200
100
0
AS0,AS72F10
AS0T,AS72F10T
補強無し
補強有り
を示す。橋台には、橋台に作用する慣性力によるモーメント(-)と
橋台堅壁背後に作用する土圧によるモーメント(-)と補強が有る場
図5
橋台底面反力による回転モーメント振幅
合にはリブ付きストリップに作用する引っ張り力によるモーメント(+)の和がこれと同時に作用し、釣り合っ
ている。すなわち、橋台底面反力の回転モーメントが小さいものほど、橋台に作用する土圧合力が小さい、リブ
付きストリップによる引っ張り力が大きい、あるいはその両方となり、リブ付きストリップによる補強効果を表
している。これによると、橋台頂部に錘が無い場合約 55%、錘が有る場合は約 40%ほど回転モーメントが減少して
おり、両者とも十分な補強効果があることが確認でき、錘が有る場合すなわち、橋台の上部工の重量が大きいも
のほど補強効果が小さくなる傾向があるようである。
4.まとめ
錘の有無、補強の有無が応答加速度振幅に影響を及ぼす。位相の違いによる干渉が生じていたと考えられる裏込
め上層部では、橋台堅壁部と裏込め土の運動学的相互作用が応答加速度抑制と水平土圧抑制に少なからず影響を
及ぼす。錘の有無にかかわらず、補強によって橋台底面反力の回転モーメントは減少しており、橋台の上部工の
重量が大きいものほど補強効果が小さくなる傾向がある。
<参考文献>江藤ら:鋼製帯状補強材の配置と摩擦特性が裏込めを有する橋台の動的挙動に及ぼす影響について、土木学会第
58 回年次学術講演会,2003
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