真のコンカレント エンジニアリングのために 日本無線が選択 - PTC.com

Case Study
真のコンカレント エンジニアリングのために
日本無線が選択したのは
グローバル スタンダードな PLMだった
日本無線株式会社
http://www.jrc.co.jp/
歴史あるメーカーに訪れたビジネス環境の変化
日本無線の創立は 1915 年、2015 年には 100 周年を迎える歴史ある無線通信機器メー
カーだ。現在は、業務用無線や無線 LAN 装置、GPS 受信機など陸上用無線通信機器の
製造、販売、船舶無線やレーダーといった航行支援装置など海上用無線通信機器の製
造、販売、そして各種無線通信機器技術を組み合わせシステムとして提供するソリュー
ション事業が 3 つの柱となっている。
陸上用の無線通信機器は民生用途に近い部分もあり、数的には多くの販売が期待でき
る一方、競合との価格競争は厳しい。ソリューション ビジネスとしては、防災無線やダム
などの水位を計測し遠隔地から知らせるテレメーターなどがあり、公共機関への納入も
多い。日本無線には無線通信分野で得てきた高い信頼性を支える技術があり、ソリュー
ション事業においてもそれをベースに柔軟な提案を行う。
「痒いところに手が届く、顧客
の欲しいものを提案できるのが強みです」と、日本無線 執行役員 技術本部 副本部長の
岡村俊幸氏は言う。
海上用無線通信機器のビジネスでは、中大型船向けを得意としている。衛星を利用した
通信システムや一度に船舶の周りの状況を把握できるレーダー装置など、安全航行には
必須だ。昨今は、日本が強かった造船の世界に韓国や中国が進出し、東アジアを中心に
グローバルな造船市場が形成されている。その結果、造船会社の競合により船価の低下
が進み無線通信機器についても市場価格の低下を余儀なくされている。
日本無線株式会社
執行役員
技術本部 副本部長
岡村俊幸氏
目指した生産構造改革は、国産 PDM では実現できなかった
「無線機は 20 年前は特殊な技術を要するもので、専門技術を持った人しか携われませ
んでした」と岡村氏。しかし携帯電話が普及するようになり、一般家電化しつつある。今で
は汎用部品を組み合わせることで、比較的容易に無線機は作れる。競合参入障壁はかな
り低く、高性能な製品を作りさえすれば評価される時代ではもはやない。今は「顧客立
脚の時代になりました。性能が高いよりも顧客が満足する製品が良い製品です」と岡村
氏は言う。
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新たな時代を迎え、日本無線では全社規模でコスト構造改
革、生産改革そして成長戦略を骨子とした事業構造改革を
進めている。具体的には、グローバル市場の拡大、安心・
安全/環境に配慮した製品展開、各種無線通信機器から得
られる情報を活用する新サービスの展開、M&Aを含む競
合対策強化、効率化と新たなチャレンジのための積極的
なIT投資だ。
陸上無線通信製品は、製品の販売数も多く納期は比較的
短い。一方、船舶用の無線通信機器は小量で多様、納期も
長いものが多い。さらにソリューションとなれば、顧客要求
に合わせたシステムの構築が必要となるため、受注から納
品までかなりの時間がかかるものも多い。
「多様な製品を
さまざまな納期で提供する必要があります。これらをタイ
ムリーで無駄なく生産をするには、生産プロセスの見直し
が必要です。そのためには購買の一括発注化など、生産の
前後の業務も含めたプロセスの再検討を行っています」と
岡村氏は言う。
平面アンテナ可搬型衛星通信装置 JUM-5041
この生産プロセスの見直しのために、積極的な IT 投資も行
う。その 1 つが PLM の導入だ。もともと日本無線では国産
の PDM パッケージを利用してきた。これは「どちらかと言
えば技術情報の管理にポイントを置いたものでした」と岡
村氏。なので、電気や機械の設計情報を入れて管理し、そこ
からの出図がおもな目的だった。
PDM でもそれは実現していたが、レスポンスが悪い、使い
勝手が良くない、さらにはプロセス変更をしようとすると手
間とコストがかかるといった問題があった。また、これから
全社レベルで生産改革するためには、さまざまなシステム
との連携も必要。既存の PDM でも連携はできるが、それ
には大きな手間がかかることが予測された。
「従来の PDM は使い勝手が悪く、ユーザーにアンケートを
とると 9 割くらいが使いにくいと答えるようなシステムでし
た。さらに、生産改革のために PDM の更新を考え見積も
りを行ったのですが、かなりの高額となってしまいました。」
(岡村氏)
そこで、7 年あまり利用してきた PDM を更新するのではな
く、それを捨て新しい PLM の導入を決めた。その際に選ば
れたのが、PTC® Windchill® だった。2013 年 1 月に PLM
への乗り換えを決め、3 月には Windchill を選択、4 月から
導入プロジェクトがスタートするという極めて短期間での
決断だった。
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選択ポイントはカスタマイズの少なさと
使い勝手の良さ
選択の最大のポイントは、カスタマイズなどほとんどなし
で目的とする使い方ができること。Windchill のカスタマイ
ズの少なさ、さらには使い勝手の良さを目の当たりにし「愕
然とした」と岡村氏。使い勝手の良さは、コスト削減にもつ
ながる。
「使い勝手が改善され、仮に 1,000 人が 1 日 2 分
間作業を効率化できれば、年間換算ではあっと言う間に数
千万円のコスト削減になります」とのこと。
さらに、
「アドオンやカスタマイズが少ないので、バージョ
ンアップなどの際にも苦労は少なく、これなら企業成長に合
わせて長く使い続けられると考えています。今 Windchillに
関わっている人間は、将来についての不安をまったく持って
いないと思います」と岡村氏は言う。
岡村氏
もう1つのポイントは、グローバル対応だった。これは、多
言語対応で各国レギュレーションなどにも容易に対応でき
るだけではない。Windchill では、1 つのライセンス形態で
グローバル展開ができる点が大きく評価された。
「船舶用
の無線通信機器では、港に到着した際に修理用部品を発
注し次の国の港でそれを受け取るといった運用がよくあり
ます。他社ツールでは、このように国を跨がると別途ライセ
ンス費用が発生するのです」。これでは、国が増えれば増
えるほどライセンス費用は膨れあがる。このライセンス体
系は、じつは PLMでは珍しくない。
「PTC は、いい意味で
PLM の常識を逸脱しています」と岡村氏。
さらに、システムを動かすサーバーを日本に置き、各国か
らネットワーク越しに利用する際、ネットワーク スルー
プットがあまり良くない国でも良好なレスポンスが得られ
る点も評価された。このようにグローバルにシステム展開
する際は、機能面だけでは計り知れない評価ポイントが
あるのだ。
評価は、机上だけではない。
「全製品データを Windchill
に入れ、必要な検索性能が出るかを調べました。さらに、
実際の使い勝手も検証しました」とのこと。その結果、目
標性能を上回る検索性能が発揮され、使い勝手の評価も
上々だった。
船舶用レーダー装置 JMA-5300MK2
「従来の PDM では 3 クリックでたどり着くような機能が、
1 クリックで OK といったことが多々ありました。将来的に
は水や空気のように意識をせず、存在することがあたりま
えとして利用できるようになってもらいたい」
(岡村氏)
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岡村氏は、生産改革で真のコンカレント エンジニアリング
を実現したいと言う。そのためには、
「ワールドワイドにビ
ジネスを展開していく上でグローバル スタンダードの製品
を利用すべきだ」という上司の言葉が心に響き、その面か
らも Windchill を選んだと言う。海外製のグローバル スタ
ンダード製品は、ともすると日本人には使いにくい。しかし、
Windchill は「日本人が使ってなんら違和感がない」とのこ
と。日本人の要求に十分に応えられれば、海外展開しても
問題はないはずだと断言する。
日本無線では、Windchill を活用し知的作業を30%以上
増やすという目標を立てている。また、データ、ナレッジを
共有化することで、さらなる作業の効率化も目指す。その
ためにグローバルでの PLM の活用情報の提供など、PTC
にはビジネスパートナーとしての一層のサポートが期待さ
れている。
デジタルタクシー無線機 JHM-438
Corporate Profile
日本無線株式会社(Japan Radio Co., Ltd.)
およそ 100 年の歴史をもつ日本無線は、産業用および公共
用の無線通信機器、システムを製造、販売するメーカー。
おもに陸上用の各種無線、通信機器の製造、販売、海上用
無線機器の製造、販売、さらには無線通信機器等を活用す
るソリューションの提供という、3 つの領域で業務を展開し
ている。永きにわたる無線通信分野での実績、そこで培わ
れた高い技術力を核に、創意工夫により独自技術の開発に
注力している。その結果、得意の無線通信機器のみならず、
カーナビゲーションの GPS 受信機ではトップシェアを獲得
するなど、無線通信技術を応用する領域へも積極的な展開
を行っている。創立 1915 年(大正 4 年)。
Web サイト: http://www.jrc.co.jp/
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とがあります。
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