PDFファイル - 愛知県河川整備計画流域委員会

第 32 回
愛知県河川整備計画流域委員会
議事抄録
<矢作川下流圏域③>
日時:平成 21 年 8 月 6 日(木)10 時 00 分~11 時 50 分
場所:アイリス愛知
1.開
2階
コスモス
会
2.主催者挨拶
3.委員長挨拶
4.議
題
矢作川下流圏域(第3回)
○委員
鹿乗川の課題のある区間について、重要交通網のネックは今回の河川整備で何%ぐらい
解消されるのか。また、解消されるかを整備計画本文に載せる必要はないのか。
○事務局
重要交通網は、JR 東海道新幹線及び JR 東海道本線橋と県道等である。基本的には 30 年
間の整備計画メニューでネックは解消される。
○委員
整備計画本文中に、ネックが解消されることを書いていただきたい。
○事務局
上流から下流に向けて流量が大きくなる流量配分図で、ネック解消を表現している。
○委員
広田川に計画されている 23ha の遊水地は、現在は優良農地となっている。この遊水地で
は、今までどおり農業ができるのか、それともビオトープや公園等を計画するのか。せっ
かくの優良農地なので、日本の食料自給率等を考えると、農業ができるようにしていただ
きたい。
また、鹿乗川等の遊水地計画についても、できるだけ農業ができるようにしていただき
たい。
○事務局
広田川の菱池遊水地は、23ha の用地を予定している。遊水地の整備方法としては、底地
のすべてを買収する方法と地役権という形で権利だけ取得する方法の 2 つある。計画段階
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における菱池遊水地は、田面を掘り下げず、田面の高さを維持したまま周囲提をつくる形
で洪水をカットする計画であることから、買収する方法と地役権方法の両方が選択できる。
地役権方式となれば、そのまま農地の利用が可能となる。ただし、買収方式になると、
跡地の利用をどうするか考える必要があり、公園的な利用やビオトープの利用ついては、
地元の幸田町や土地改良など関係者を含めて今後協議していきたい。
現在、関係地権者と調整中であり、手法については今後決めて行く予定である。
○委員長
鹿乗川の遊水地も同じか。
○事務局
下流遊水地については、既に用地が買収済みである。西鹿乗川の改修が進んでいないた
め、遊水地の土地を暫定的に利用し、治水機能を発揮させたい。
○委員
矢作川下流圏域と矢作川本川との整備計画の整合性は大きな課題である。例えば水量や
水質の問題、さらには生物の環境に対する基本的なレベルは整合性がとれているのか。
全体的な本川の整備計画と下流圏域の整備計画の整合性を図っていただきたい。
○事務局
治水については、矢作古川の分派地点で、200m3/s 分派する計画であり、矢作川本川整備
計画には、同じ地点で矢作川の分派量が 200m3/s と記載されていることから、矢作川本川と
矢作古川・広田川との整合はとれている。
鹿乗川については、160m3/s が鹿乗川から矢作川本川に合流することになっており、矢作
川本川との整合はとれている。
○事務局
矢作川本川と直接関係する矢作古川の低水に関しては、分派堰の建設にあたり国交省が
「現状の自然分派を基本とし、平常時の分派量を減らすことは考えない」としているため、
低水流量の観点からも整合はとれている。
○委員
支川や本川の合流点での生物の連続性などに配慮することが必要である。
○委員
鹿乗川の住民の意向は、水害に対して安全な川をできるだけ早く整備をしてほしいとい
うことである。整備計画はおおむね 30 年間の計画のため、住民には「完成するのは 30 年
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先なので、安全が確保されるのは 30 年先」という心配がある。具体的にどんな整備がいつ
行われるのか、地元に情報提供してほしい。
○事務局
今回の整備計画は 30 年の計画だが、昨年の8月末豪雨での浸水被害を受け、整備計画の
内数で今年度から5年間で鹿乗川の特に浸水被害の著しかった地区を対象に、床上浸水対
策特別緊急事業(以下「床上事業」と記載)を進めている。先ほどネックという話があっ
たが、ネックの解消もメニューの中の一つになっている。平成 21 年~25 年の間に床上事業
を行うことで昨年8月末の床上浸水の解消に努めていきたい。
○委員
整備計画と床上事業は別だが、床上事業は整備計画に含まれることを説明していかない
といけない。場合によっては、整備計画で予定していたことと違う改修を行う事業もあり
得る。
本来は、整備計画を説明する時に 30 年間の段階的な計画を本文中に書き込むことが望ま
しいが、今は 30 年間のメニューだけが書いてある。
昨年末のような豪雨があると、ある部分を緊急的な事業として行うため、整備計画で当
初考えていた安全度を公平的に上げていくということが壊されないかチェックする必要が
ある。
○事務局
床上事業については、本文 16 ページに「平成 21 年からおおむね5カ年」という書き方
をして、また、緊急的に実施すべき河川整備区間を、15 ページにピンクの矢印で表現して
いる。
○事務局
地元説明の際は整備計画と床上対策事業が混同しないように工夫する。
○委員
河川整備の基本理念の副題「~水害に対して安全であるとともに、川を通じて歴史に学
び自然とふれあい、安心で豊かな暮らしを担う川づくりを進めます~」について、「水害に
対して安全」とは、どういう意味か。水害に対して安全ということは、「被害が出たことに
対して安全である」と解釈してしまう。できれば「洪水が発生しても安全である」という
表現にしてほしい。
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○事務局
広田川ではおおむね 10 年に1回程度、その他については 5 年に 1 回程度の洪水に対して
安全な河道及び堤防を整備するという意味である。
○委員
一般的に「水害」とは、水によって人の生命や財産に被害が出るという意味である。た
くさんの水が出たことは「洪水」であり、洪水イコール被害ではない。できれば洪水が発
生しても安全であるという言い回しに変えられないか。
○事務局
治水の目標は、堤内地で起こる被害をいかに軽減するかであり、河道内の洪水のみを対
象とするわけではなく、水害を起こさないように河川の整備を進めるという意味で、「水害
に対して安全」としている。
○委員
須美川は堤防を下げる断面となっているが、ここを下げているのはなぜか。
また、B/C については、基本的には定式化された算定方式なのか。ほかにも治水に関して
の算定方式があるのか。投資したところに人が住むことによって被害が大きくなるため、
最初から土地利用をコントロールすれば B/C の数値もコントロールできるのではないか。
大都会の被害が大きいため、そちらに投資され、地方は投資されないことなど考えられる。
○事務局
基本的には堤防は低い方が安全であり、掘り込み河川の状況が一番よい。須美川の堤防
は、前後の縦断形を比較して、現況堤防高を維持すると前後のバランスが悪くなるため、
下げている。
費用対効果は、事業監視委員会でも使われている治水経済調査マニュアルに準じて算出
したものである。基本的にはこの方式が一般的な算出方法となる。
○委員
須美川の堤防部に地元の要望として上がっている桜を植えることもできないのか。バラ
ンスとは、修景などいろいろなことを考えた上でのバランスか。
○事務局
バランスとは、その部分のみ堤防が高いということであり、桜を植える場合、今の堤防
に腹づけする必要があるので、植えることはできない。
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○委員
展望台にするなど、いろいろあるが。
○事務局
堤防をなくす事ができれば、桜を植えることを考える事も可能である。
○委員
この河川は治水が重要だが、「動植物の生息・生育・繁殖環境に反映する」方針をどのよ
うに考えているのか。
落差を解消すると書いてあるが、縦断図を見るとむしろ落差工を増やしているイメージ
がある。自然に配慮する方針を教えてほしい。
○事務局
「動植物の良好な生息・生育・繁殖環境の保全・創出」の具体的な方針は、水際の植生
の保全・創出、瀬や淵の形成に配慮するということである。
落差工は、例えば須美川だと上流部の4k600 より上流は、1/200~1/150 と地形的に急な
勾配であり、一方、下流はレベルとか 1/2000 の緩やかな勾配のため、地形的に急変すると
ころには落差工を残さざるを得ない。しかし、やむを得ず落差工を築造する際には、魚道
の設置など配慮していきたい。
○委員
具体的にどのように進めていくのか、ある程度方針を持ってやっていただきたい。
○事務局
国の「多自然川づくり基本指針」では、現況河床は極力掘削しないとか、護岸は片岸施
工にして片岸を現状のまま残すという考え方が示されており、このようなことを配慮して
進めていきたい。
○委員
加美橋で一昨年はコイが大分上がっていたが、昨年はコイが上がってこなかった。特に
冬場の水量の確保に配慮願いたい。
アンケートに、「川のごみ拾いや草刈りなどに参加する」という欄があるが、西鹿乗川で
水質を調べようと思っても川まで近づきにくい。こういう点も配慮願いたい。
○事務局
鹿乗川では非かんがい期には水量が少なくなっていく傾向がある。そのような課題を踏
まえ「流水の正常な機能を維持するための目標」で「安定した流量を確保するために、今
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後とも関係機関とも連携して適正な対応に努めていく」としており、水量の確保ができる
ように記述している。
川への近づきやすさとしては、一定区間で階段をつくったりして、改修後には川に近づ
きやすい整備とする。
○委員
生き物に優しい川づくりをしたいということはよくわかるが、安全な川づくりと生き物
に優しい川づくりは相反する。非常に難しいが、ぜひ進めてもらいたい。
今から 20~30 年前に比べると魚類数、種類数並びに個体数が極端に減っている。47 災害
など災害後は両岸コンクリートの整備が進んだため、時間雨量 100mm の雨が降ると、滝の
ような急流河川になり、水生生物が一気に流下してしまう。このため、生き物が流下しな
いための遊水地や淵のような場所を確保してもらいたい。魚の産卵場の確保、洪水のとき
の隠れ家がないと生物は生き残れない。
また、矢作古川最下流に魚道がない地区がある。魚道がなければ回遊魚が上れない。今
後、工事に入る段階になったら、地元に関心のある代表の方を1~2人入れ、どういう整
備がよいかを聞いて活かしてもらいたい。
さらに、先ほど階段の話があったが、コンクリート護岸となっているため川へ降りる階
段がない。100m 間隔ぐらいで階段をつけてもらいたい。
○事務局
地元の方の意見を伺うために平成 18 年から河川アドバイサー制度(「多自然川づくりア
ドバイザー制度」)を創設している。今後も実際の工事に当たっては、地元の意見が反映で
きるように努めていく。
階段の話は、既にできてしまったところは不便をかけるが、今後整備していくところに
ついては階段等をつくる予定である。
○委員
鹿乗川原案の3ページ目の 1556 年(弘冶2年)、弘冶の「冶」が明治の「治」でないと
いけない。4ページの年表と整合させる必要がある。
図-3洪水損所略絵図は、岡崎市郷土館所蔵になっているが、岡崎市の美術博物館に移
っている。
○委員
超過洪水に関してはハザードマップや情報提供、水防対策の強化という一般的なことが
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書かれているが、ゲリラ豪雨が非常に増えていく段階で、地域の自主防災組織の状態や緊
急の避難時に情報が届かない人たち(情報弱者になり得るような人たち)への対応といっ
たことを今後検討していくべきである。
5.閉
会
(了)
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