こどもの城(財団法人児童育成協会) 独立行政法人福祉医療機構子育て支援基金助成事業 ― 1) モデル事業報告 ― 事業の目的 「豊橋子育てネットゆずり葉」は、設立当初より『むすんで広がる子育て支援』をテ ーマにネットワークのあり方を模索していました。今回、「小・中学生の交流事業」、 中でも父親の参加を促す委託事業を企画するにあたり、まさに目指しているテーマに 近づく良い機会となる事業であると考え、取り組むこととなりました。 少子化が進む現代に於いて、男女共同参画の視点からも男性の育児参加は大変重要 な間題です。現に、ゆずり葉の会員も、それぞれが父親・母親であり、当事者でもあ るわけですが、それぞれの家庭を振り返ると、決して十分に男性の育児参加がなされ ているとは言えないことを実感し、どうしたら「父親」が積極的に子育てに参加する のかを考えたところ、やはり“子どもと過ごす時間”が、「幸せな時間」であるという ことを実感してもらうのが一番必要なことではないかということになりました。 さらに豊橋市は、人口 38 万という中核市ではありますが、行政の取り組みもまだまだ 縦割りのままで行われていることが多く、ボランティアや市民活動団体も意識の差が 大きい部分もあるので、市制 100 周年という節目に、市全休にこの事業を通じて何か メヅセージを送ることができたらと考えました。その為には、市内の様々な立場の方 に参加をして頂くことを目指して取り組むこととしました。 2) 事業の具体的な内容 市内で渚動する「おやじの会」など男性が関わっている会に呼びかけをし、学習会 と情報交換を進め、さらに一般の父親の参加・理解を深める取り組みを通して多くの 当事者達の意識啓発を行うことを目的としました。 『むすんで広がる子育て支援―地域で子育ておやじの子育て―』 5 回講座(連続でなく 1 回のみの参加も可) 豊橋市 100 周年事業サポートイベントに申請(市の広報紙に募集を掲載できるとい う利点のみ) <内容> 第 1 回 中西功帯氏講演会 (小坂井おやじの会代表) 「地域で子育ておやじの子育て」 日時:9 月 10 日(土)午後 1 時 30 分~3 時 30 分 場所:豊橋市市民センター (豊橋市松葉町) 参加者:12 名 <目的> 講師が「おやじの会」を立ち上げた経緯や、苦労をより具体的に話していただく ことで、おやじの会に対するイメージを明確にし、身近に感じられる取り組みで あると、参加者が認識できる内容でとお願いしました。 ☆以下資料 *「おやじの会」設立のいきさつとして 3 つのキーワード: 郷土愛、予防、本音 3 つ の 主 旨 : PTA 活動の支援組織として、PTA ではできない活動を率 先して協力する。 : 地域のおやじとして“地域で子どもを育てる”をスロー ガンに父親の力を結集して活動。 : 地域に友達を作る・・・会社人間から地域の人へ を揚げ、平成11年度より活動。 *具体的な活動 教育談義、学校支援、夜間パトロール、親子スポーツ交流、その他 *現況と今後について 学校担当者との連絡を密にし、例会に参加要請している。 PTA とは一線を画し、地域の学校支援ボランティアとして活動する。 自ら考え、行動できる協力者の確保が難しいことが課題である。 この会は委託事業の導入にあたる部分なので地域で活動する男性グループに働きかけ、 もっと多くの人に聞いて頂きたかったが、土曜日を設定したところ、仕事、或いは9 月ということで地域イベントと重なってしまい参加者が少なかったのが残念でした。 それでも、PTA 関係者の中に地元で「おやじの会」を作りたいと考えている方がみえ、 熱心に質問されていたので、地道な活動というのはこうして少しずつ地域に受け入れ られ広がりをもっていくものだとあらためて感じました。 第 2 回 久保田力氏 講演会 (浜松大学教授) 「父親の子育て参加の変化について考えよう」 ~NewZea1and と日本との比較から~ 日時:10月2日(日)1:00~12:00 場所:豊橋市職員会館 5 階会議室 参加者:35 名 <目的> 保育の専門職を育てる立場の方に、父親の子育て参加の重要性をお話しいただくこと で、講演会参加者(特に男性)の意識啓発を狙う。加えて講師は、ニュージーランドのプ レイセンターについて詳しいので様々な視点からみた子育て支援策についでのご意見 が伺えると考えました。 ☆以下資料 「こども健康学科」にっいて *こどもの健やかな育ちを実現するための様々な意味における環境のあ り方を多角的に考究する父母や大人達の役割や責任・ 「人間関係」とし ての子育て環境問題を含む 直輸人的な杜会思想やシステムとこの国に伝統的な精神的土壌との関係 *民主主義(デモクラシー) *バリアフリー/ユニバーサルデザイン化杜会 *男女共同参画杜会 *父親(男性)の子育て参加 *子育て支援 この国(この文化)なりの「父親(男性)の子育て参加」の形があったはず・・・ *確かに「参加」はしてこなかったかもしれないが、それなりの「参画」は、し てきたのではないか? *「存在感」 ・「責任」 ・「経済的生活基盤」・ 「基本的意志決定」という視点で考え てみると… *子育て作業の単純計算的な分割は、本当の「子育て分担」や「子育て参加」と は限らない *「父親(男性)の子育て参加」を《十把一絡げ》的に論じていいのか? 子育て支援のあり方について、 “サービスと支援の狭間”で揺れているボランティアも多 いはずです。講師の力強い「子育て支援とは…決して代行(やってあげる)ではなく、自分で できるよう手助け(サポート)すること」ということばは深く心に残りましたニュージーラン ドのプレイセンターをそのま日本で取り入れるのは難しいとは思いますが、その「理念」 は学ぶべきもので、私たち子育て支援活動に携わる者も「自分の行っている子育て支援と は何か」を見つめ直す良い機会となりました。 また、この回は男性の参加者が多く、また、行政の方の参加もあり、講師の男女共同参 画杜会に向けての父親(男性)の子育て参加のお話を熱心に聞き入っていてくださ いました。 第 3 回じゃんだら自然塾講座 「父子で挑戦!ウォールクライミング&冒険ゲーム」 日時:11 月 13 日(日) 第1部 AM10:00~12:00 第 2 部 PM1:00~3:00 対象:小中学生の父親と子ども 場所:高師緑地(雨天の場合は生活家庭館) 参加者:54 名 <目的> 「じやんだら自然塾」への委託として行いました。 父子でウォールクライミングをすることで、父と子のニコミュニケーションを図る。 冒険ゲームでは・父子の協力、数家族での協力も必要とするので家族の絆をより感じ ることができる。またさらに高師緑地公園の自然の中で遊ぶことで、身近な自然を体 で感じとってもらう。 ☆以下資料 ウォールルクライミングは、高さ2.5m、幅3.6mの壁に取っ掛かりとなるこ ぶし大の石を配置してあり、それをつかんだりしながら上ったり、横に動いていった りする。自分の力で登りきったり、難しいコースをやることで達成感を得ることがる ことができる。 冒険ゲームは・公園内の木にロープを張ってそのトプの上を歩いてわたったりして いくロ一プを網の目に張り、ロープに触れずにチーム全員が反対側にいくゲームなど をする。 ◎スケジュール 06:00 スタッフ準備開始 09:40 午前の部受付開始(机・受付用紙) 10:00 あいさつスタッフ紹介 10:30 2グループに分かれウォールクライミングと冒険ゲームを実施 12:00 終了 スタッフ振り返り アンケート 12:40 午後の部受付開始 13:00 あいさつスタッフ紹介 13:30 2 グループに分かれウォールクライミングと冒険ゲームを実施 15:00 終了 スタッフ振り返り アンケート 「じゃんだら自然塾」は豊橋動物園の副園長されていた方を中心に、三遠南信全域をフィ ールドとして活動をされているグループです。 “感じる” (自然体験) “関わる” (共感体験) “生きる”(生活体験)の3つのことを大切に環境教育プログラムを展開されています。今回 のウォールクライミングは豊橋で体験できるのは初めてということもあり父と子、 共に 大変盛り上がり楽しむことができました。 冒険 ゲームも「猛毒の川渡り」という父も子も煉瓦を1個ずつもらい、川にみたてた フィールドを向こう岸へ渡でるゲームですが、これはひとり、或いはお父さんと二人では 渡ることはできません。みんなで協力して初めて渡れるのですが、そこにたどり着くまで の様子が大変おもしろい人間模様です。もう一つ「蜘蛛の巣」というゲームは、木と木の 間にロープを張り、人が通れそうなぐらいのマスがいくつか作ってあり、それをグループ で協力してみんなで通り抜けるというゲームです。マスの大きさはいろいろなので、誰が どこを通るのかしっかり相談をしないと完結しません。 初めて会った見知らぬ人と、子どもを交えて楽しんでいるお父さん方は、お母さんが申 し込んだとは思えないくらいに生き生きとして、目が輝いていました。 朝「え、この親子関係はどうなの!」という親子も帰りには手をつないで帰って行きま した。どの方もまた参加したいと言ってこられたので、体験とは何事にも代え難いとつく づく感じました。 第 4 回じゃんだら自然塾講座 「父子で自然探検!ネイチャーエクスプロアリングと“ものづくり”」 日時:11 月 27 日(日) 午前、午後ともに 3 回目と同じ 対象:小中学生の父親とこども 場所:高師緑地(雨天は生活家庭館) 参加者:60 名 <目的> 父子で高師緑地の自然を探検することで、コニケーションをはかる。身近な公園で楽 しむことで身の回りの自然に興味をもってもらい、加えて自分で見付けた素材でもの つくりをし、よりいっそうの愛着をもってもらう。 ネイチャーエクスプロアリングでは、目標とそこで感じることが記されたサインシー トを1グループで1セットもって、高師緑地公園のなかを回って五感で感じてきても らう。まわりながら、自分の気に入った自然素材(木の実 木の葉羽毛など)を拾っ てきて、それを使ってのものつくりをする。作り上げたフレームは自分へのおみやげ とする。家に帰ってからも自然への興味をつなぐことができる。 スケジュール オリエンテーション 6~8 名のグループで 3 分ほど間隔を開けて出発する。ネイチャ ーカードに従い記されたものを見つける。 帰って来た順ばんにものつくりにはいる。 ものつくり 回っているときに拾ってきたもので、フレームづくり。 サインシートをみんなで見ながら、そこに記されたヒントをもとに、その自然を見つ け出すネイチャーエクスプロアリングは、グループのみんなとわいわいしながら公園を 回るのでとてもゆったりとした楽しい時間が過ごせます。このサインシートはその場所、 その季飾によって自然の顔が違うので、1回1回作り替えられます。制作者の熱意が参 加者にも伝わるようです。 この第 4 回に注目すべきは、フレーム作りにかけるお父さんの情熱です。公園を歩い ているときからあれこれと見つけ、実際に作り出したら集中してしまい子どもどころで はない方もいました。お父さんが楽しそうに物をつくっていると、こども達もどんどん のってきます。親の笑顔がこども達にとってどれだけの力になるのか、実感した回でし た。 第5回 新井野洋一氏を囲んで(愛知大学教授) 「父子でトークバトル!」 日時:12 月 4 日(日)10:00~12:00 場所:生活家庭館 集会室 <目的> 4回までの企画に参加した経験を元に親子で本音をぶつけ合おうという企画です。 どこまで、互いに語ることができるのか興味がもてます。 講師である新井野氏がまずやられたのは、机を対面に置き、親側と子ども側とわけ、な おかつ、それぞれ親子が真正面で対面するというものでした。 最初に紙が配られ、まず、第一問は、自分の子どもの仲のいい友だちを4人あげてくだ さいというものでした。子どもも自分の友だちを書き、親と照らし合わせます。 このようにして次々と質問が出され、親子で歓喜の声があがっていきました。 先生が最後におっしゃったのは、 「正直な子を育てましょう!」 「プロを育てましょう!」 ということでした。こどもたちが自分の好きなことを見つけ、それに向かって素直に邁進 することができたら…その後押しができるのは親なのですと。そして私たち親に一番気を つけて欲しいのは活字や情報(映像)に惑わされない教育をしてくださいということでした。 私たち親も子どもの頃にほんの少し帰れたような“あたたかい”トークバトルでした。 参加してくださった親子の方々にとっては、いつもと違う子どもの姿をみることができた のではないかと思います。 事業の成果と今後の課題 ゆずり葉は市民活動同体レベルのネットワークです。まだ、立ち上がって 2 年とい うこともあり、この事業についても運営委員でまず提案をし、全体会で可決をし、と いう手順で進めてきました。実質、運営委員がおおかた動いてしまうこともあり、妻 務局があるわけではないので、この事業を行うにあたり、すべての会貴がこの事業に 熱意があったわけではありません。30 団体という違いを認め合おうと集まったネッ トワークの宿命でもあります。しかしながらそんな中でも思いに叶う講師の侯補をご 紹介して下さったり、また、行政の方達のご協力も得て情報を発信することができた りと、人と人が繋がり何かが成し遂げられていく様を実感しました。今回講師にお迎 えした方々は、決して小さな子どもばかりを相手にお仕事なさっているわけではあ りませんが、主旨に賛同し、ご協力頂いた方ばかりです。今回ご参加頂いた方々とも、 この小さな出会いから明日へとつながると信じております。 最後に何をするにも、頭の中だけで批判するのではなく、前向きなアクションにつ いては、出来る限り協力しようと思えるために、そしてしっかりと気持ちがつながる ためには、まず参加して体験をして頂くこと!それは、この事業で見た、数々のお父 さんの笑顔とそれに答えるこども達の笑顔が物語っていました、ゆずり葉の会員も、 ひとりひとりが、ゆずり葉の行う事業に参加し、意見を持っていくならば、ネットワ ークとしても更なる発展が望める でしょう。 ひとりひとりが未来を力強く生き抜くために、 「豊橋子育てネットゆずり葉」は、豊 かな子育てができるまちを目指します。
© Copyright 2024 ExpyDoc