2011.4実施 専攻説明会資料(PDF 2.7MB) - システム情報科学専攻

北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会 2011
日時:
2011 年 4 月 15 日(金) 15:00~15:50
2011 年 4 月 16 日(土) 13:00~17:00
会場: 北海道大学情報科学研究科棟 A11 講義室(15 日)
北海道大学情報科学研究科棟 11 階会議室(16 日)
専攻ホームページ: http://www.ssi.ist.hokudai.ac.jp
北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
目次
専攻説明会のスケジュール ......................................................................................................................1
システム情報科学専攻の紹介 ...................................................................................................................2
専攻概要 ...............................................................................................................................................2
システム情報科学専攻の構成 ...............................................................................................................2
イントロダクトリセミナー ...................................................................................................................3
システム情報科学研究会(SSI セミナー) ..........................................................................................3
大学院生中間発表会..............................................................................................................................3
サイバーフィールド・リサーチラボ(CFRL)を用いた実践的研究・教育 .............................................3
その他の特色的な研究・教育・支援体制 .............................................................................................3
就職情報 ...............................................................................................................................................4
入学試験について .....................................................................................................................................5
日程.......................................................................................................................................................5
外国語試験について(修士課程) ........................................................................................................5
専門試験科目の出題範囲(修士課程) .................................................................................................5
筆答試験免除(修士課程) ...................................................................................................................5
配属研究室 ............................................................................................................................................6
博士後期課程の入学試験について ........................................................................................................6
【システム基礎論研究室】 ......................................................................................................................7
【システム情報設計学研究室】 ...............................................................................................................8
【システム制御情報学研究室】 ...............................................................................................................9
【システム環境情報学研究室】 .............................................................................................................10
【システム変換学研究室】 .................................................................................................................... 11
【システム統合学研究室】 ....................................................................................................................12
【システム複合情報学研究室】 .............................................................................................................13
【システム共創情報学研究室】 .............................................................................................................14
【システム展開情報学研究室】 .............................................................................................................15
【システムセンシング情報学研究室】...................................................................................................17
専攻説明会のスケジュール
4/15
4/16
15:00~15:20
13:00~13:20
専攻の紹介
15:20~15:50
13:20~13:50
平成 24 年度大学院入学試験について
14:00~15:40
研究室紹介
15:40~16:20
先輩との懇談会
16:20~17:00
研究室見学(要事前登録)
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北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
システム情報科学専攻の紹介
専攻概要
システム情報科学とは,
一言でいえば,
システムを実現するための情報科学技
術の体系です.大きなシステムを構成
していくためには,実に様々な技術を
必要とすることは想像に難くないとこ
ろですが,そのための基本的な手順や
方法論には幾つかの共通構造がありま
す.我々システム情報科学専攻の各研
究室は,デザイン,モデリング,シミ
ュレーション,コントロール,センシングに関するシステム創成技術,システムの変換,統合,共創な
どを通して新たな機能や構造をもつ異なるシステムを構築するシステム融合技術,実産業への拡張展開
を行うための技術・プロジェクト管理を行うためのシステム展開技術,地球観測衛星から伝送されてく
る膨大な観測データを効率的・高精度に処理・解析するシステムセンシング技術を研究目標としていま
す.このような広いスペクトルをもつ技術群の具体的展開や応用を図るために,各研究室が具体的な専
門分野をもちながら,基礎研究,応用研究を勢力的に進めています.人間-ロボット協調システム,電力
ネットワーク,非線形制御システム,生産情報システム,未来型生産システム,システムシミュレーシ
ョン,フィールド情報システムなど,様々なシステムを対象としています.これからも本専攻スタッフ
達は,我々の社会を安全に安定に活力的に継続的に構成するため必要な新しい技術領域をカバーしてい
きます.
システム情報科学専攻の構成
システム情報学専攻は,2 つの基幹講座と連携講座によって構成されています.皆さんが本専攻に入学
した場合には,いずれかの講座に所属する研究室に配属され,指導教員・副指導教員の指導の下,研究
活動を行うことになります.
システム創成情報学講座(基幹講座)
システム基礎論研究室
システム情報設計学研究室
システム制御情報学研究室
システム環境情報学研究室
システム融合情報学講座(基幹講座)
システム変換学研究室
システム統合学研究室
システム複合情報学研究室
システム共創情報学研究室
システム展開情報学講座((株)日立製作所との連携講座)
システムセンシング情報学講座(宇宙航空研究開発機構との連携講座)
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北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
イントロダクトリセミナー
研究・知識の幅を広げるために,自分の所属する研究室以外の研究室で,システム情報学に関するセミ
ナーを修士 1 年の前期に受講してもらっています.この機会を通して,自分の専門分野以外の研究テー
マについて体験的に学習することができます.
システム情報科学研究会(SSI セミナー)
本専攻に属する各研究室のホットトピックを紹介してもらうセミナーを開催しています.SSI セミナー
を通して,他分野を専門とする学生に広く最新の情報を提供します.また,研究室内での閉じた議論で
はできない,広い視点からの議論を行うことで,専攻全体で各研究室活動を盛り上げるとともに,専攻
教職員と学生,さらには本専攻に関心のある方との交流をはかることを目的としています.堅苦しくな
く,昼食や軽食をとりながら,リラックスした雰囲気の研究会を行っています.教職員だけでなく学生
の皆さん,外部の皆さんも参加可能な,オープンなセミナーです.
大学院生中間発表会
本専攻では,修士 1 年ならびに博士後期課程 1,2 年の大学院生に,研
究の進捗状況ならびに学位論文執筆に向けた中長期的なスケジュールを
ポスター形式で発表してもらっております.中間発表会で,専攻内の教
員・学生との意見交換をすることで,それまで気がつかなかった問題点
の発見や,解決策のヒントを得ることができ,その後の研究活動に大い
に役立てることができます.
サイバーフィールド・リサーチラボ(CFRL)を用いた実践的研究・教育
本専攻では,フィールド情報学の研究教育の活動拠点と
して,平成 17 年度よりサイバーフィールド・リサーチ
ラボラトリ(CFRL)を開設しています.CFRL には,
3次元レーザスキャナ(DeltaSphere 3000),日本 SGI
製ロボットプラットフォーム(BlackShip),ZMP 社製
二足歩行ロボット(e-nuvo),キヤノン製パン・チルト・
ズームカメラ(VB-C50iR/VB-C50i)をはじめとして,
フィールド情報学の実践的研究・教育を実施するための
充実したハードウェア・ソフトウェア環境が整備されて
います.
その他の特色的な研究・教育・支援体制
・グローバル COE プログラム「知の創出を支える次世代 IT 基盤拠点」
・博士後期課程を対象とした経済支援制度
・日本学生支援機構の奨学金返還免除制度
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システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
就職情報
過去 5 年間の就職先は以下の通りです(学部卒業生を含む,複数人の企業を含む).
電機・家電
三菱電機,東芝,日立製作所,ソニー,パナソニック,古河電工,
(35 名)
三菱電機メカトロニクスソフトウェア,ミツミ電機,
川崎マイクロエレクトロニクス,住友電工,ダイキン工業,
東芝三菱電機産業システム,朋栄,安川電機
情報・通信
NEC ソフトウェア北海道,NTT データ,東芝ソリューション,
(28 名)
IBM ソリューションズサービス,アルファシステムズ,HTS,エクスプローラ,
NTT ドコモ北海道,国際航業,シーズラボ,ソフトコム,デジタル,
デジタルプロセス,東洋ビジネスエンジニアリング,
日鉄日立システムエンジニアリング,日本 IBM,日本デジタル研究所,
日本電気,パスコ,PFU,ビー・ユー・ジー,富士通,北海道電子機器,
メイテック
自動車(20 名)
トヨタ自動車,デンソー,本田技研工業,ジェイテクト,スズキ,
豊田中央研究所,日産自動車,マツダ
電力(18 名)
北海道電力,東京電力,関西電力,九州電力,きんでん,東北電力,
日本原子力研究所
運輸(9 名)
北海道旅客鉄道,東日本旅客鉄道,鉄道総合技術研究所,北海道国際航空
重工・建設(10 名)
コマツ,清水建設,NTT ファシリティーズ,川崎重工,東洋船舶,三菱重工,
モリタ
精密・医療機器
アロカ,沖データ,キヤノン,東京エレクトロン,ニコン,富士フィルム,
(8 名)
三和工機,リコー
機械・金属・材料
旭硝子,新日本製鐵,住友ゴム工業,東芝エレベータ,東洋製罐,ファナック
(8 名)
大学教員・
島根大学,広島大学,日本大学,大阪府立大学,釧路高専,
公的研究機関
カーネギーメロン大学,産業総合研究所,宇宙航空研究開発機構,
(9 名)
日本総合研究所,
その他(8 名)
総合警備保障,防衛省,釧路市役所, ハウス食品,日本気象協会,野村證券
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北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
入学試験について
日程
平成 24 年度大学院修士課程・博士後期課程入学予定者の入学試験日程(平成 23 年 8 月実施)は以下の
通りです.
出願資格予備審査申請(*) 平成 23 年 5 月 9 日(月)~5 月 13 日(金)
願書受理期間:
平成 23 年 7 月 1 日(金)から 7 月 8 日(金)まで
学科試験実施日:
平成 23 年 8 月 18 日(木) 筆答試験
平成 23 年 8 月 19 日(金) 口頭試問
合格発表日:
平成 23 年 9 月 1 日(木)
(*) 在学期間短縮による志願者」,
「外国の学校教育課程出身者」,
「通信教育による外国の学校教
育課程出身者」
,
「我が国において,外国の大学の課程を有するものとして当該外国の学校教
育制度において位置付けられた教育施設を修了した者」,「専修学校の専門課程を修了した
者」,
「個別の資格審査による志願者」のみ対象
外国語試験について(修士課程)
平成 24 年度大学院入試(平成 23 年 8 月実施)から,英語筆答試験に代わり,TOEIC あるいは TOEFL の
スコアシートによる判定になります(重要).大学院入試実施日(8 月 18 日)から遡って 2 年以内に受
験した TOEIC 個人用公式認定書の原本,または,TOEFL 受験者用控えスコア票の原本の提出が必須
となります.なお,TOEFL-ITP,TOEFL-IP および TOEIC Bridge は不可です.
なお,平成 23 年 5 月 29 日(日)に実施される第 162 回 TOEIC(申込〆切は郵便:4/18,インターネ
ット:4/19 正午,コンビニ:4/19 の 24 時)は結果発送予定日が 6 月 28 日となっており,TOEIC スコ
ア取得を希望する場合には,願書受理期間に間に合う最後の機会になります.TOEFL iBT はもう少し
選択肢が広くなっていますが,スコア配送日が目安程度でしか公表されていないため,各自で確認の上,
計画的にスコアを取得してください.
なお,外国語を日本語で受験する場合には,従来の筆答試験を実施することになります.
専門試験科目の出題範囲(修士課程)
大学院入学試験の専門試験科目の出題範囲は以下の通りです.また,平成 18 年から平成 22 年の各年 8
月に実施された大学院入学試験問題(専門科目)は http://www.ssi.ist.hokudai.ac.jp/Archives.html に
て公開されています(要問合せ).
専門科目 1
A 群(線形代数,常微分方程式,フーリエ変換,情報数学)から 2 問,B 群
(力学,電磁気学,電気回路,線形制御理論,論理回路,データ構造とアル
ゴリズム)から 2 問を選択して解答
専門科目 2
以下の 2 問両方に解答
・科学技術文献の論旨を正しく読解する能力を評価する論述式試験
・問題解決の方法,あるいは,技術と社会の関係を論理的に考え表現する能
力を評価する論述式試験
筆答試験免除(修士課程)
① 「成績証明書」の内容によって筆答試験(専門科目)を免除することがあります.
② 免除される者に対しては,7 月末日までに通知します.
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北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
配属研究室
皆さんが実際にどこの研究室に配属となるかは,入学後に実施する新入学生を対象とした研究室配属希
望調査に基づき決定されます.入学試験の口頭試問の際に希望研究室を聞かれることがありますが,た
とえ合格しても,希望通りの研究室への配属を約束するものではありません.また,配属研究室の希望
が入学試験の合否に影響を及ぼすこともありません.
博士後期課程の入学試験について
筆答試験と口頭試問があります.筆答試験の科目・実施時間等の情報は,予定指導教員に相談してくだ
さい.口頭試問では,これまでの研究成果・進捗状況と,博士後期課程入学後の研究テーマ,学位取得
までのスケジュールなどを説明してもらいます.特に,入学後の研究テーマについては予定指導教員と
相談しておいてください.
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北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
【システム基礎論研究室】
( http://stlab.ssi.ist.hokudai.ac.jp/ )
教授:山下
裕
助教:椿野大輔
■ 研究室概要 本研究室は、システム制御に関係する基礎理論を中心に、人工物・自然現象など幅広い対象を制
御・管理する際のさまざまな問題を解決するための研究を行っています。そのために、微分幾何学・位相幾何学など
の数学の活用、および量子物理などのアイデアの応用などにより、動的システムの制御に新しい知見をもたらすことを
目的としています。
■ 主な研究分野
(1) 制御理論
z 大域的安定化制御 状態空間自体がねじれてユークリッド空間と同相でない場
合、微分可能制御則では通常の意味での大域的(=全ての動作範囲における)安
定化制御はできません。人工衛星の姿勢制御問題, 移動ロボット(右図)の障害物
回避問題, 鉄棒ロボットなど回転を含む制御システムなど実際には多くの対象で
この問題は現れます。本研究室では、不連続フィードバックや高次のファイバー束
に埋め込む方法・ウィーナー過程を用いた方法などを使って、このような対象の大
域的安定化制御の研究をしています。
z 非線形適応制御 実際の制御対象では設計時には未知な要素が含まれていることがあります。そのような未知
パラメータをオンライン推定する適応制御を非線形系に拡張し、さまざまな改良を行っています。特に、非線形
適応オブザーバを利用した制御に着目しています。
z 群構造を持つシステムの制御 大きな次元であっても何らかの構造を持つシステムは、その扱いを簡略化
できる可能性があります。本研究室では、群の構造を持つシステムの安定性解析・制御を研究します。
z 非線形サーボシステム ``完全な''サーボシステムを実現する方法として、内部モデル原理に基づく方法が知
られており、その非線形版が非線形出力レギュレーションです。本研究室では、従来、追従制御ができないとさ
れてきた非最小位相系に対する(準)大域的な追従制御手法を開発しています。
z 量子系のアナロジーによる制御 量子力学の知見を生かし、非線形制御理論、特にリアプノフ関数の構成法
や最適制御に応用する試みをしています。
(2) 制御応用
z 移動ロボットの制御 移動ロボットのフォーメーション形成(左図)や、
フィールド上に分散している移動体の分散制御(右図)に関して研究し
ています。数理的に安定性が証明されるように設計する点において、
「やってみたらできた」という類の手法と違います。
z MLD 形式を使ったモデル予測制御 ある種の非線形システムやロジッ
ク・制約を含むシステムは線形不等式と線形差分方程式(MLD 形式)で近似できますが、そ
れに対し混合整数計画問題を解く方法で、航空機のフォーメーション飛行等のモデル予
測制御を研究しています。 (右図: リアルタイム最適化による障害物回避フォーメーション
飛行シミュレーション)
z ネットワーク越しの遠隔制御 インターネット等のネットワーク越しに遠隔地から物を操る制
御に関して、本研究室では、ロバスト制御・ISS スモールゲイン定理・状態予測を用いる方法など、色々な手法で
研究をしています。
z 偏微分方程式システムの制御 熱分布・均一性を仮定しない化学反応炉・梁の振動などは偏微分方程式で表
現されます。また、数理ファイナンスも偏微分方程式を取り扱います。このような系の制御に関する研究を進めて
います。
z 跳躍系など状態ジャンプを含むシステムの制御 衝突現象など状態ジャンプを含むシステムに関する研究は
まだ不十分で、完成された理論はありません。本研究室では状態空間変形による状態ジャンプ系の表現と制御
を研究しています。また、拡大系の状態ジャンプで不連続制御則を設計する方法を最近開発しています。
z その他、都市構造の Nash 均衡解とそのダイナミックモデル, 自動車のアクティブ操舵などの研究を進めていると
ころです。
-40
3
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p
0
0
20
40
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60
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1
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2
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北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
【システム情報設計学研究室】
( http://www-sdm.ssi.ist.hokudai.ac.jp/ )
教授:金井
理 准教授:伊達宏昭
ミッション
マクロスケールからミクロスケールまでを対象に,利用環境や人間との相互作用を
予測しながら人工物を最適設計できる融合型デジタルエンジニアリング技術の開発
研究対象・手法
進行中のプロジェクト(共同研究先)
● 対象: 大規模3次元環境計測情報,CAD, CAE,
情報機器製品,地理空間情報
● 手法: ソリッド/メッシュ/点群/画像融合型
ハイブリッド幾何モデリング、
身体/認知モデルと3D幾何モデルとの融合
„デジタルハンドを用いた実用的な仮想エルゴノミック評価ソフトの開発
(札幌市立大、医学部,カメラメーカー,デジタルヒューマン研究センタ)
„大規模航空機レーザ計測地形データの自動分類 (航空測量企業)
„MMS計測データからの自動物体認識 (航空測量企業)
„大規模X線CT計測データからのCADモデル自動再構成技術
(日本大学工学部, 道立工業試験場)
„X線CT計測データのCAE応用技術(道立工業試験場)
„デジタルハンドを用いた自転車機能部品の形状最適化
(自転車部品メーカ,製造系情報処理企業)
„デジタルモックアップによる情報機器の超短期間・高精度ユーザビリティ
評価システムの開発 (情報処理企業)
„大規模3Dアセンブリモデルの高速軽量化 (製造系情報処理企業)
„自動車プレス成型品のスプリングバック補正 (CADベンダ)
メンバー
● 教授: 金井 理, 准教授: 伊達 宏昭
● 学生: 博士課程 2名,修士課程 8名,
学部生 6名,留学生 1名
マクロ~ミクロスケール現物融合型設計技術
小型の工業製品から,建築物,市街地や都市に至るさまざまなスケールのオブジェクトを対象として,レーザ計測やX線CTにより得られた
現物計測データと設計データとを融合した新たな設計技術や,大規模形状データ処理アルゴリズムについて研究しています.
特許登
録済み
航空機レーザ計測地表面データの
地物(地表面・建物・植生)自動分類
建築物の設計データとレーザ
計測データとの自動位置合せ
室内レーザ計測データ
からの物体自動認識
計測点群内の規則パターン自動認識
X線CTデータからの解析メッシュ生成
Mask
SB後
形状
金型基
準形状
金型見
込形状
市街地レーザ計測データ
からの柱状物体自動抽出
プラントレーザ計測データからの
配管系統自動認識
レーザ計測データの効率的
管理手法
自動車プレス成型品の
スプリングバック補正
(c1)Si3N 4, 0.005
(c2)Pt, 0.002
Mask
Mask
(c4)ZrO 2, 0.01
(c5)Pt, 0.01
Mask
(c7)Si3N 4, 0.005
Mask
(c3)Si3N 4, 0.002
Mask
(c6)SiO 2, 0.04
Mask
(c8)Pt, 0.005
Removing sacrificial layer
(マイクロ酸素センサの最小工程数プロセス導出例)
3次元CADを用いた
MEMS最適工程設計システム
人間認知モデル融合型設計技術
人間身体モデル融合型設計技術
情報機器の筐体CADデータと,ユーザインタフェースのソフトウエ
ア仕様を組合わせ, デジタルモックアップ上での超短期間ユーザ
ビリティ評価が可能なシステムを開発しています.
人間の手の精巧な3Dモデルである「デジタルハンド」により,製
品3次元CADモデルを把持させ,「持ちやすさ・操作容易性」を
シミュレーションにより定量予測するシステムを開発しています.
タスク表示機能
Grasp Quality値による
把持安定性の定量評価
タスク定義機能
様々な実製品デザインへの応用(共同研究)
特許登
録済み
撮影モ ード を「 写真撮影」 から「 ムービー撮影」 に
変更してください。
UI可動型
仮想実体融合
プロトタイプ
システム
特許登
録済み
UI可動型デジタルモックアップ
操作記録機能
IRLED
テスト結果自動分析機能
(操作間違い箇所,
(操作時間,タスク達成率など)
UI操作部
USBカ メラ
UI可動型デジタルモックアップを用いた
ユーザテスト実行・評価・分析の自動化システム
UI操作部への
手指到達可能性の自動検証
デジタルモックアップと視線追跡を
併用したユーザビリティ評価
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MRI計測による
高精度手指運動モデル構築
データベースに基づく
把持姿勢の自動生成
北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
【システム制御情報学研究室】
( http://www.ssc-lab.com/ )
教授:金子俊一
准教授:田中孝之
助教:松下昭彦
技術専門職員:奥村
豊
人間と共存し協調することができるロボット知能を実現するためには,実世界環境で稼動するセンシン
グ・制御・システム化技術が必須です.システム制御情報学研究室ではセンシングとアクチュエーショ
ンとを有機的に密結合したロボットビジョン・ロボットシステム技術を研究開発しています.具体的に
は,ロバスト画像センシング・計測手法,及び人間に密接した知能ロボットシステムの実現技術に関す
る研究を行なっています.
画像処理とロボットビジョンに関連して
次の研究を行なっています.実環境で観測
される不良観測条件(照明変動,遮蔽,飽
和,変形,スケーリングなど)に対応可能なロバスト画像照合アルゴリズムを研究しています.ロボッ
トマニピュレータを制御するための視覚フィードバック制御法,未知環境下での移動ロボットのランド
マークとなりうる特徴点抽出法,トラクタなどの実速度を測るための画像計測システム,監視システム
などのための夜間画像改善技術の開発など,実用的な技術開発を行なっています.
ロボティクス・メカトロニクスに関連して
次の研究を行なっています.実用的なパワ
ーアシスト技術の研究開発を行っていま
す.小型軽量化筋力補助装置「スマートスーツ」は人に優しいパワーアシスト技術として大きな期待が
寄せられています.大学発ベンチャー企業も設立しました.画像認識技術を取り入れた知能化パワーア
シスト技術を開発しています.葡萄園用除草ロボットプロジェクトでは,葡萄樹を正確に認識するため
の視覚・触覚センシング技術や不整地を走行するための視覚ナビゲーション技術を開発しています.
生体計測とヒューマンインタフェースに
関する研究を行なっています.簡易装着型
の運動計測システムおよび人間機械系ヒ
ューマンインタフェースとしての用途を持つ多種多数のセンサデバイスを内臓したセンサスーツの開
発,超音波を用いた筋活動測定センサデバ
イス,生体センサと筋肉シミュレータに基
づく増力装置の評価システムの開発,人間
の感覚特性に着目した振動を用いた携帯型
情報伝達装置の開発など,先端のセンシン
グ技術を開発しています.
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北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
【システム環境情報学研究室】
( http://dse.ssi.ist.hokudai.ac.jp/ )
教授:小野里 雅彦
准教授:田中 文基
情報
■私たちの目指すところ
人
人・情報・システム・環境の4つをキーワードに,私たちの智が広がる,
より豊かで安全な環境(自然と人工)を構築する研究を行っています.
環境
システム
情報科学+システム工学による賢い環境の創出
■主な研究テーマ
◆サイバーフィールドモデリング: 実世界の対象とその挙動を計算機の中で表現し,製品・設備の設計・生
産・保守等を支援するためのサーバーフィールドの構築を目的としています.実世界と仮想世界の間の情
報連携手法,物体の動的な挙動を簡潔に扱うための4次元形状モデリング,複雑大規模な形状モデル・仮
想環境理解のための3次元ユーザインタフェースなどに関する研究を行っています.(下図左)
◆次世代加工情報モデル: 生産において必要な加工情報モデルは,加工機械やコンピュータだけではなく
人間にも理解でき,加工のために十分な情報を持ち,様々な加工システムで汎用的に利用可能であること
が重要です.本研究では,国際標準である次世代 CNC データモデル・STEP に基づいて,既存の加工用
データ(NC コード)からの加工知識の獲得に関する研究,加工実施・支援において十分な情報を持つ汎用
的な加工情報モデルの構築などを行っています.(下図中)
◆広域災害における被災者と救助者の情報支援に関する研究: 大地震や洪水などの広域災害が発生した
場合,被災したコミュニティ内での情報の収集と配信を速やかに行うことが,効果的な救助や安全な避難を
行う上で重要です.本研究では,上空から被災地の情報収集・配信・中継を行う災害用係留型情報気球
InfoBalloon の研究開発を始めとして,木造家屋のディジタルモデルの倒壊プロセスシミュレーションと内部
構造分析を中心とした「がれき工学」の研究を行っています. (下図右)
■研究室の主な設備等
複合現実感インタフェース(XEONA),卓上 NC 加工装置,触力覚提示装置(PHANToM),3次元位置計測装
置(FASTRACK,MicroScribe),3次元非接触計測器(MegaCapturorII),裸眼立体視ディスプレイ,遠隔監視
用カメラシステム,災害用係留型気球システム(InfoBalloon),PC多数(Windows,LINUX)
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北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
【システム変換学研究室】
( http://sfc.ssi.ist.hokudai.ac.jp/ )
教授:小笠原悟司
准教授:竹本真紹
1. 概要
現代社会において電気エネルギーは,水や空気と
同じように無くてはならないものとなっています。
パワーエレクトロニクス技術は,電力用半導体デバ
イスのスイッチング動作を基本に,この電気エネル
ギーの形態,すなわち電圧・電流・周波数を必要な
形に変換するだけでなく,高速・高精度に制御する
技術です。パワーエレクトロニクス技術は省エネル
ギーのキーテクノロジーであるばかりか,今や総合
パワーマネージメント技術に発展しようとしてい
ます。システム変換学研究室では,電気エネルギー
の発生・伝達・利用の各段階に広く応用されている
電力変換・制御技術について研究しています。また,
電力変換器の EMI/EMC についても研究しています。
[キーワード]
パワーエレクトロニクス,電磁エネルギー変換(電
気機器),EMI/EMC
(3) 電磁環境
z 伝導性 EMI
z 放射性 EMI
z 軸電圧・ベアリング電流
(4) エネルギー
z 電気自動車
z マイクロ水力発電
z 受電変圧器高調波損失
(5) 電動機制御
z IPM モータ
z ステップモータ
z センサレス駆動
z 空転時始動電動機設計
(6) 電動機設計&開発
z ハイブリッド自動車駆動用モータ
z ベアリングレスモータ
z 磁気軸受(Magnetic levitation system)
2. 研究室の特徴
実験を重視した研究スタイルに特長があります。
コンピュータシミュレーションだけではなく,実際
に実験装置を試作し実証試験を行います。実際に動
かしてみないとわからないこともたくさんあります。
また,多数の企業との共同研究を積極的に推進し,
実学を重んじています。そのため,企業との共同研
究などを通じて,実社会で求められている実用的な
専門知識や技術を学べるだけでなく,研究・開発の
進め方などの技術者に求められている基本的な考え
方や素養などもしっかりと学ぶことができます。
4. 特長ある研究テーマの紹介
第 3 章で記述した研究テーマの中から,具体例と
して,「次世代ハイブリッド自動車駆動用モータの
開発」について紹介します。
本研究は,レアアースを使用しない次世代ハイブ
リ ッ ド 自 動車 駆 動 用 モー タ を開発する ために,
NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総
合開発機構)の研究プロジェクトとして,東京理科
大学と共同で,平成 20 年度にスタートした大型研
究プロジェクトです。研究の進捗現状ですが,フェ
ライト磁石のみからなる新構造のロータセグメント
形アキシャルギャップモータを新たに提案し,50
kW の実車搭載レベルのモータを試作・開発しまし
た。そして,希土類磁石を用いた市販 HEV 用 IPM
モータと同サイズで同等の軸出力 51.5 kW を達成
しました。この研究成果は,NHK,TBS,テレビ東
京,毎日新聞,読売新聞,産経新聞,朝日新聞,日
本経済新聞,日刊工業新聞,北海道新聞などといっ
た多数の報道機関に取り上げられており,社会的に
非常に注目を浴びております。
3. 研究分野&内容
(1) 電力変換器
z インバータ
z マトリックスコンバータ
z PFC コンバータ
(2) 電力応用
z アクティブフィルタ
z 自立分散電源
マトリックスコンバータと放射性
ノイズを計測する実験の様子
マイクロ水力発電用に開発した
インバータドライブシステム
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ハイブリッド自動車用 50 kW レア
アースフリーモータの試験の様子
北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
【システム統合学研究室】
( http://si.ssi.ist.hokudai.ac.jp/ )
教授:北裕幸
准教授:原
亮一
助教:田中英一
嘱託職員:石川貞夫
私達の研究室では,21 世紀にふさわしい高度で安全・安心なエ
ネルギーシステムの創造を目的として,電気エネルギーを生成・輸
送する「電力システム」を中心に,ソフト的・ハード的・システム
的な視点から,多角的に研究を行っています.
(1) インテリジェントな系統運用計画手法の開発
電力系統の
運用・計画では,その問題規模の大きさや強い非線形性,部分的に
離散システムであるなどの理由から,多くの場合,求解が困難な数
理計画問題を解かなければなりません.本研究室ではこのような複雑な問題に対し,GA,SA,EP な
どのメタヒューリスティクスや不確定性を取り扱うためのファジィ理論や決定木解析(DTA)などを用
いた,インテリジェントな運用・計画手法を開発しています.
(2) 分散型エネルギー資源(DER)の最適運用・導入計画
近年,
環境に優しい分散型電源導入に対する期待が高まってきています.
また,分散型電源は電力消費地点のすぐ近くに設置できることから,
非常用電源としての活用も期待されています.本研究室では,熱併
給型電源,自然エネルギー型電源,電力貯蔵装置,需要家側制御な
どの分散型エネルギー資源(DER)のもつ経済性・環境負荷の低減
効果,ならびに電力供給信頼度の向上効果などを定量的に評価して
います.また,稚内市に建設された MW 級の太陽光発電システム(メガソーラ)の出力安定化につい
ても研究しています.
(3) 電力自由化
電力自由化に伴い,電力も株のように売り手(発電事業者)と買い手(小売事業者,
需要家)の入札に従い取引量や電気料金が決定されることになりました.本研究室では競争的な電力市
場において,金融工学,実験経済学,リスクマネジメント工学などを用いることで,リスクを回避しつ
つ順当な利益を上げるための市場戦略について研究しています.
(4) 近未来のエネルギークラスタ
電力システムにインテリジェント制御技術,エネルギー貯蔵技術,
パワーエレクトロニクス技術および IT を融合させた近未来のエネルギークラスタ(通称 FRIENDS)
の実用化に向けた研究を行っています.FRIENDS は,電力の品質の制御・地域エネルギー供給の最適
化などを実現可能な,新しい電力供給の概念です.本研究室では,計算機シミュレーションならびに実
験を通して,FRIENDS の実現に向けた開発・研究をしています.
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北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
【システム複合情報学研究室】
( http://hbd.ist.hokudai.ac.jp/ )
教授:五十嵐一
准教授:野口
聡
助教:渡邊浩太
嘱託職員:阿部正雄
キーワード:電磁界解析,最適化,RFID,超電導,メッシュ生成,3次元可視化,強化学習
当研究室では,『電磁界解析に基づく CAE(Computer Aided Engineering)』と『やわらかい情報処理』を主
な研究テーマとしています.前者では,有限要素法の基礎理論,マルチグリッド法による超高速解析法,立
体視を利用した電磁界の 3 次元可視化,磁力線の 3 次元描画,アダプティブメッシュ法,6 面体要素生成,
有限要素メッシュの自動生成,超電導磁石の最適化と安定性解析,プリントアンテナ解析,表面波プラズマ
解析,微細構造の均質化法による解析などに関する研究を行っています.また,現実世界をサイバー世界に
橋渡しをするための仕掛けである RFID(電磁波を用いた IC タグ),
ワイヤレスセンサーの研究をしています.
後者では遺伝的アルゴリズムや免疫型アルゴリズムなど,生物の進化原理を応用したシステム最適化手法,
電磁界解析と進化型最適化手法を用いた電磁機器の最適設計,強化学習の FPGA による実現とロボットの自
律制御への応用,ニューラルネットによる知能システムの自律的構成法などを研究しています.
電波型 RFID センサーの開発
電磁界解析と設計最適化
電磁機器の設計に必要な電磁界解析手法を研究開発
しています.また,電磁界解析と進化計算手法を用い
ることで,設計最適化を行っています.
電磁界解析による最適化
高周波計測
試作したアンテナ
理論と実験の比較
強化学習による自律運動獲得
FPGA(Field Programmable Gate Array)やマイコ
ンを搭載したロボットを強化学習で制御する研究
です . 人間の判断能力に近いアルゴリズムを用
いることで,柔軟性が高く,未知の環境にも自律
的に適応できる制御を目指しています.
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北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
【システム共創情報学研究室】
( http://scc.ist.hokudai.ac.jp/ )
特任教授:本間利久
准教授:木村圭司
本研究室では,地球上のさまざまな場所から得られた情報を元に,コンピュータを用いて,環境変化の
原因解明・予測・制御を行う「フィールド情報学」の研究をしています.現在,夏の北方林(アラスカ)
や乾季の熱帯林(インドネシア)で発生する広範囲の原野・森林火災を人工衛星で発見(リモートセン
シング)し,燃え広がり方を予測(シミュレーション)し,延焼を制御するためのシステム開発を中心
に進めています.本システムは,Web を通して発見・予測・制御に関する双方的情報の流れを積極的に
活用した信頼性の高いシステムを目指しています.このように,異なるシステムの自立・協調を同時に
図りながらシステムを融合したときに現れる新たな情報の研究を行っています.
図 1 は本研究室で研究を進めてい
るフィールドシミュレーション情
報システムの概念図です.このシ
ステムは主に4つの要素から構成
されています.人工衛星 NOAA や
MODIS の画像,地球観測衛星に
よるリモートセンシング画像の取
得とその画像の解析,森林火災の
延焼予測に関するシミュレーショ
ン技術の開発・改良,地図情報や
火災履歴などのデータベース構築,
そして,これらを有機的に組み立
て可視化し,Web による公開を行
う地理情報システムです.現地消
火隊は GPS により位置を知り,携
帯端末によりこのシステムから発
信される情報を取得して,実フィ
ールドにおける消火計画の立案と
図 1 概念図
実施の際には,重要な情報として
利用します.
このフィールドシミュレーション情報システムは,構成要素の特徴を生かして,森林火災以外の対象物
にも応用することができます.リモートセンシング・シミュレーション・位置データベース・GIS・GPS
を組み合わせ,実フィールドとサイバースペース間のインターラクションを図り,新たな実用システム
を研究・開発しています.
修士論文・卒業論文では,上記のフィールドシミュレーション情報システムをもとに,森林火災以外の
事象も研究対象としており,本システムが自然現象や人文社会現象に幅広く応用できることを示してい
ます.
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北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
【システム展開情報学研究室】
( http://www.ssi.ist.hokudai.ac.jp/dev/top.html )
客員教授:前田俊二
客員教授:渡辺正浩
客員准教授:船木謙一
連携講座とは
㈱日立製作所 横浜研究所 生産技術研究センタは,1971年に横浜に設立されたものづくり技術と
製造業の企業経営に関する研究所である,㈱日立製作所 生産技術研究所を前身として,2011年4
月より発足した研究センタです.主な研究分野としては,事業全体の効率向上を図る生産・経営システ
ム,製品品質を高める検査システムなどのシステム技術と,最先端製品の加工,実装,回路などの基盤
技術からなっています.
本連携講座設立の狙いは,情報学に関わる諸分野の教育研究を行う北大 情報科学研究科と,経営シ
ステム・生産技術を専門とする日立横浜研究所 生産技術研究センタが,相互の立場を尊重しつつ連携
して大学院の学生の能力および識見の向上を図ると共に,相互の研究交流を促進し,学術の発展に寄与
することにあります.本講座の主な研究分野は上記システム技術であり,マシンビジョン応用や環境対
応システム,品質評価技法などを含みます.
連携講座に属する学生に対しては,北大プロパーの副指導教員と協調して研究指導に当ります.また,
日立横浜研究所における研究指導も実施します.
連携講座は,産業界のニーズに直接触れられ,技術的視野の拡大や若手研究者のネットワーク形成が
できる,開かれた大学院・企業研究所を目指しています.また将来,日本の製造技術力強化に向けた産
学による新たな取組みへと発展することも願っています.
連携講座の運営:
連携講座室は北海道大学大学院情報科学研究科棟 5 階にありますが,教員は通常は日立製作所の所属
部署にいるので,連携講座在籍学生は副指導教員(研究テーマごとに選定)の研究室に席を持ってここ
で研究をしています.
産業界のリアルな研究テーマを提供し,学生・副指導教員・指導教員・日立の関係研究者の間の定期
的な打合せのもと研究を進めて行きます.
また,一定期間(1~2ヶ月を1~2回),日立横浜研究所での研究も行い,企業での研究開発を実
体験してもらうと同時に,研究テーマの掘り下げを行います.
また,連携講座の教員はシステム展開情報学特論を集中講義(例年,延べ4日間にわたり計 15 コマ)
の形で行い,実践的なシステム開発について講義をおこないます.
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北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
研究内容と研究テーマ例
研究内容
製造業を担う情報システム・検査システムの高度
化を目指して,実応用に即した研究を行っています.
情報システムに関しては,製造業の業務プロセス
革新を目指し,経営情報・設計・生産・環境対応の各
システムの分野で,特に意思決定の支援技術を研究
しています.具体的には,ビジネス環境変化に対す
る損益シミュレーション,製造・調達・品質保証・環境
等の関連部門において起きうる問題の設計段階での
事前評価技術,環境負荷低減や効率的なサプライ
&リサイクルチェーンを実現するための最適化技術・
統計分析技術等のテーマがあります.
また,検査システムに関しては,半導体やハードデ
ィスクのような先端デバイスの高歩留り量産を支える
マシンビジョン応用システムの開発を行っています.
画像処理・パターン認識アルゴリズムの研究開発を
主体に,電子線・光学装置の物理シミュレーションに
裏打ちされた欠陥認識・3 次元パターン計測技術の
開発を進めています.
【キーワード】
経営情報システム,設計・生産システム,環境対応シ
ステム,最適化技術,統計分析技術,マシンビジョン
応用システム,画像処理,パターン認識,3 次元パタ
ーン計測技術
図 グローバル供給計画システム(上) と
半導体ウェハ欠陥検査技術(下)
テーマ例:「散乱光分布を利用した半導体ウェ
ハ上欠陥種分類手法の研究」
半導体ウェハ製造において,検査工程で欠陥位
置と同時に欠陥種を識別して迅速にプロセス条
件にフィードバックすることが望まれます.このた
め,欠陥からの散乱光分布に着目し,散乱光シミ
ュレーションに基づき,得られた散乱光の分布情
報を元に欠陥種を推定する技術の研究を行って
います.
テーマ例:「環境規制対応化学プロセス系製品
向け生産情報管理システムの研究」
製品やその製造活動が環境に与える影響の情
報公開を要求する規制が国際的に拡大してきて
います.これに対応するためには,製品中に含ま
れる化学物質や製造時に投入されるエネルギー,
製品以外の出力である副生成物が,どの製品に
どれだけ関係しているかを把握する必要がありま
す.
そこで,これらを把握可能な化学プロセス系製
品向けのプロセス・プロダクトモデルの研究を行
っています.また,このプロセス・プロダクトモデル
を基に,これらがさまざまな環境規制に適合して
いるかをチェックするため,汎用環境規制モデル
と環境規制チェック機能の研究を行っています.
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北海道大学大学院情報科学研究科
システム情報科学専攻
専攻説明会(2011)
【システムセンシング情報学研究室】
( http://iss.ssi.ist.hokudai.ac.jp/ )
客員教授:森山 隆
客員准教授:田殿武雄
客員准教授:堀 雅裕
■ 概要
現在の私たちの生活環境(衣・食・住)には,地球規模(グローバル)に発生している地球温暖化や
エルニーニョなど様々な気象・気候変動の影響が及んでいます.本講座では,地球環境を形成する様々
な要素(雲,積雪,水文量,植生,海面温度,二酸化炭素等の物理量)の分布および変動を地球観測衛
星のデータから抽出するために必要な技術や新しい手法の開発,また抽出された物理量の時空間分布が
環境にどのようなストレスを与えるのかの評価また予測を行うための手法の開発を行っています.
■ 研究内容
地球観測衛星に代表されるような地球を対象に多種多様なデータを広領域でかつ詳細にセンシングす
るシステム技術について学んでいます.センシングの原理,センシングのためのデバイス,運用のため
のプラットフォーム,データ構造と大規模データの伝送・記憶・処理・検索・表示に関する技術,セン
シング情報の利用事例などについて,実際の観測データに基づいて理解します.
(1)高次画像処理・解析
衛星画像を扱う上で必須の精度や画質の評価・解析手法の高精
度化,多変量解析手法の検討などを行っています.
・幾何補正手法の開発
・放射量補正手法の開発
・DEM/オルソ補正画像作成手法の開発
・画質評価手法の開発
・多次元(時空間)解析手法の開発
・多センサデータを用いた解析手法の開発
(2)地球環境変動の解析
地球環境問題解明に関わるような高度な衛星データ解析
手法の検討と, 抽出された物理量の時空間分布が環境にど
のようなストレスを与えるの かの評価また予測を行うた
めの手法の開発を行っています.
・物理量推定アルゴリズムの開発とこれらの時空間分布解
析
土壌水分, 積雪, 氷河, 凍土, 農業, 森林, 森林火災,
砂漠化, etc.
・雪質(積雪粒径, 温度や汚れ), 雲量情報の解析
・長期(30 年間程度)衛星データの解析手法の検討
・海氷流動の監視手法の検討
・環境ストレスの評価手法の検討
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