第 2 章 福祉サービスの充実 - 神戸市

第 2 章 福祉サービスの充実
少子高齢化、核家族化及び都市化の進行や女性の社会進出の増加などの社会情
勢の変化により、養育・扶養・介護などの家族機能や地域機能が低下している中
で、これらの機能を支援する施策を積極的に推進していきます。
1 基本目標
(高齢者へのサービスの充実)
1.介護保険制度については、「高齢者が尊厳をもって質の高い生活が送れるよう
に」、「安心してサービスが利用できるように」、「公正・公平な介護保険制度の運
営のために」を基本理念として、円滑な推進に取り組みます。
2.高齢者が住みなれた地域での生活を継続できるよう、地域見守り活動など地域
福祉を推進します。
(子どもへのサービスの充実)
3.すべての子どもが健やかに生まれ育つことができるよう、家庭・地域社会の養育
機能の維持向上を図ります。
4.児童福祉施設を充実させるほか、施設退所者が社会適応できるよう援助を行って
いきます。
5.家庭・学校・地域が協働・連携して、子育て・青少年の健全育成を支援してい
きます。
(障害者へのサービスの充実)
6.障害者が入所施設や精神科病院から地域生活に移行したり、地域での生活を続
けていくための支援や就労支援を行います。
7.障害福祉施設は、地域の重要な社会資源として活用していきます。
8.障害者が地域で安心して暮らすことができるよう、利用者本位のサービスを提
供していきます。
105
2 施策展開
〔高齢者〕
1
介護保険事業の円滑な推進(第 3 期神戸市介護保険事業計画から引用)
(1) 総合的な介護予防の推進
①
現状と課題
ア.要支援・要介護状態になることの防止(地域支援事業による介護予防事業)
特定高齢者に対する介護予防の取り組みについては、必要な方の早期発見、個
人に合った適切な事業提供、継続的なサービス提供が十分ではなく、参加者の介
護予防の評価も困難な状態です。
介護予防を効果的に実施していくため、特定高齢者の早期発見から、事業への
参加を通じて生活習慣の改善につなげるまでの統一的な流れの構築が必要です。
また、介護予防に関する市民への啓発等を重視した取り組みや、日常生活の中
で自ら予防に取り組めるような支援に重点を置く必要があります。その際、市民
が抵抗感なく参加できるためには、地域主体の活動を育てることが効果的ですが、
介護予防について理解がある人がまだ少ないという課題があります。
イ.要支援者への対応(予防給付)
要介護状態が軽度の方については、自立支援に向けてサービスの提供がなさ
れるべきところですが、現状では介護サービスの提供が必ずしも状態の改善・
維持につながっていないということが指摘されており、新たに予防給付の制度
が創設されました。
②
施策の方針
ア.要支援・要介護状態になることの防止(地域支援事業による介護予防事業)
(地域での介護予防の取り組みに対する支援)
・地域における介護予防サービス・活動について、利用者が自分に合ったものを
選択でき、多様なものが実施されるよう、地域団体等や、地域において活動し
ているリーダー等の人材育成や支援(研修等)を強化します。
・地域の持っている資源(人材)を活用した取り組みとして、兵庫県看護協会等
と連携し、看護師等の資格を持つボランティアを地域の集会などに派遣し、健
康づくりや介護予防について相談や助言の機会を広く設けることを検討して
いきます。
・見守り推進員は、民生委員等による地域見守り活動とも連携を図り、閉じこも
りがちな方に対する介護予防の啓発や地域活動等への参加勧奨も併せて展開
していきます。
(特定高齢者の抽出(スクリーニング)及び介護予防ケアマネジメントの実施)
106
・特定高齢者に決定された方に対しては、介護予防ケアマネジメントを実施し、
個別の状況に応じた介護予防事業に繋げていきます。
(特定高齢者を対象とする介護予防事業の推進)
・介護予防事業については、あんしんすこやかプラン及び老人保健事業を見直し
ていきます。このうち、特定高齢者が抵抗なく介護予防に参加できるよう、地
域で行われている「生きがい対応型デイサービス」や「配食サービス」につい
ては、運動器の機能向上・栄養改善・口腔機能の向上など介護予防に一層効果
があるよう新たな内容を加えて提供します。
イ.要支援者への対応(予防給付)
(介護予防ケアマネジメントの充実)
・介護予防ケアマネジメントについては、市民に身近な総合相談窓口であるあ
んしんすこやかセンター(地域包括支援センター)において介護保険以外の多
様な地域活動・事業も考慮しながら実施します。また、市は同センターに対
し、適正実施のための助言指導を充実していくとともに、従事者に対する研
修など支援体制を強化することにより、介護予防ケアマネジメントの質の確
保を図っていきます。
・予防給付の対象とされた方でも、利用者の状態等を踏まえた適切なケアマネ
ジメントのもと、本人のできることはできるだけ本人が行うことを基本に、
必要な場合はホームヘルプサービスも提供していきます。
・市では介護予防についてわかりやすく市民・利用者に広報・啓発を行うほか、
あんしんすこやかセンターの窓口で相談を受けます。
(介護予防サービスの質の確保)
・民間事業者の創意工夫により効果的な介護予防プログラムを推進することが
できるよう、事業者に対する情報提供や研修など支援体制を強化していきま
す。
(2) 住みなれた地域での生活支援
①
現状と課題
ア.保健・医療・福祉が連携した総合的・継続的なケアの提供
要介護者の多くは介護ニーズと医療ニーズを併せ持っています。ケアプラン
作成時におけるケアマネジャーと主治医(かかりつけ医)との連携は勿論、保
健・医療・福祉の分野が連携し、個人情報の保護に留意しつつ、情報を共有す
るとともにサービスの質の向上や安定的なサービスの供給に取り組んでいく必
要があります。
本市では、全国的にもユニークな仕組みとして、保健・医療・福祉の 7 団体
107
で構成する神戸市介護サービス協会があります。同協会では、主治医と居宅介
護支援事業者、サービス提供事業者間の連絡調整や情報共有を図るための諸様
式の作成・普及や、利用者の介護状況を事業者・関係機関・家族等で共有する
ための「介護ノート」の作成等、様々な取り組みを行っています。本市として
も同協会と連携しながらこれらの取り組みを支援しています。
また、区レベルでは、「地域ケアネットワーク(保健・医療・福祉連絡会議)」
を開催し、地域でのケア方策の調整・推進を図ってきています。また、あんし
んすこやかセンターを中心として、研修会の開催や情報交換会を実施し、関係
機関の連携強化を行ってきています。
要介護認定時には、介護サービス計画作成に資するため、本人及び主治医の
同意の上、「主治医意見書」を居宅介護支援事業者へ送付することも行っていま
す。
しかしながら、個々のケースにおけるケアマネジャーと主治医の連携につい
ては、必ずしも十分になされていない現状もあり、サービス担当者会議の開催
についても、関係者の時間的制約などから負担感が指摘されています。
イ.あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)の整備・運営
平成 18 年度から介護保険制度改正により、「予防重視」「地域でのケアの充
実」が一層重視されるのに対応し、市では従来の「あんしんすこやかセンター」
の機能を大幅に強化した「あんしんすこやかセンター」(地域包括支援センタ
ー)を公募により選定し、地域の医療機関、住民、事業者等と連携して高齢者
を支える体制づくりを進めていきます。
このあんしんすこやかセンターは、これまでのあんしんすこやかセンターの
果たしてきた役割に加えて、住み慣れた地域での生活の継続支援のための中心
的な役割を果たしていくことが一層求められています。
ウ.認知症高齢者への支援
認知症高齢者対策として、これまでに、老人性認知症センター等における鑑
別診断の実施や、緊急短期入所受入体制の確立とともに、認知症対応型のデイ
サービスセンターやグループホーム、認知症高齢者向けの介護保険施設などを
整備してきました。今後は、認知症高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし
ていくために、生活圏域に通所を基本としながら、訪問や宿泊のサービスを提
供する拠点の整備が求められています。また認知症を理解し、受け入れることが
できる地域の土壌づくりについても、効果的な啓発方法を検討していく必要が
あります。
また、高齢者虐待をうけている高齢者の約 8 割は認知症を有しており、虐待
108
の未然防止と早期対応は緊急的な課題となっています。
エ.地域密着型サービスの展開等なじみの生活圏での支援強化
できるだけ住みなれた地域での生活を継続することが多くの高齢者の願いで
す。今後、ひとりぐらし高齢者や認知症高齢者がますます増加していきますが、
一人ひとりができる限り住みなれた地域での生活を継続でき、それを支えてい
くことが求められています。
このたびの介護保険制度の改正において、身近な市町村で提供されることが
適当なサービス類型として「地域密着型サービス」が創設されました。
この地域密着型サービスについては、
・市町村がサービス事業者の指定、指導監督権限を有する、
・原則として、当該市町村の被保険者のみがサービス利用が可能、
・小規模介護老人福祉施設、小規模介護専用型特定施設、認知症高齢者グル
ープホームについては、生活圏域ごとに必要整備量を超える場合には市町村
は指定の拒否ができる、
ことになっています。
また、在宅生活を支えるためには、地域密着型サービス以外にも、ひとりぐ
らしの高齢者などに対する見守り体制や、緊急時における支援体制を整えるこ
とも重要です。
②
施策の方針
ア.保健・医療・福祉が連携した総合的・継続的なケアの提供
・総合的・継続的なケアの提供を進めるためにも、医療と介護の連携の強化を
さらに図る必要があります。そのため、神戸市介護サービス協会や神戸市ケ
アマネジャー連絡会などの関係団体の協力を得て、連携の強化策を引き続き
検討するとともに、関係者への意識づけを働きかけます。
・あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)の運営にあたっては、ケ
アカンファレンス等の実施を働きかけるなど、主治医やケアマネジャー等と
の連携を強化します。
イ.あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)の整備・運営
(運営の基本方針等)
・あんしんすこやかセンターの運営にあたっては、主治医やケアマネジャー等
との連携を強化するとともに、ボランティアなどの地域活動も含めた地域の
様々な資源を統合した包括的な支援を行う、市民に身近な拠点にしていきま
す。また、「地域包括支援センター運営協議会」に社会福祉協議会や地域活動
109
団体が参画することによって、地域資源のネットワーク化など、地域福祉を
推進していきます。
・本市独自に見守り推進員をあんしんすこやかセンターに配置して「地域見守
り活動推進事業」をあわせて行うことにより、ひとりぐらし高齢者等の状況
把握や地域が主体的に行う介護予防事業等への参加の積極的な働きかけなど
を行います。
その他、権利擁護等に関する関係機関との連携や適正な運営の確保に努めま
す。
ウ.認知症高齢者への支援
(サービスの充実)
・住みなれた生活圏域に、認知症対応型デイサービスや小規模多機能型居宅介
護拠点の整備を行います。
・ホームヘルパーが長時間の見守りを行なう「認知症高齢者訪問支援員派遣事
業」(ほっとヘルパー)においては提供サービスの専門性をより一層高め、生
活の質の向上を図ります。また、介護する家族への支援の充実を図ります。
(啓発・研修、相談体制の強化)
・地域活動のスタッフや関係機関が認知症高齢者を早期に発見し早期対応につ
なぐことができるよう、認知症の理解を促進するための研修に取り組み、高
齢者本人や介護を行なう家族が早期から適切な支援を受けることができるよ
うに努めます。
・ケアマネジャー等に対し、認知症高齢者と家族を支えるためのアセスメント
やサービスの見直し・関係機関との連携について電話や面談により助言を行
っている「認知症高齢者総合相談窓口」を引き続き運営し、相談機能の充実
を図っていきます。
(権利擁護施策の推進)
・行政とケアマネジャー、医師、民生委員などの地域関係機関が、虐待を早期
に発見し、早期の対応を行うための連携のあり方等についての検討を各区レ
ベルで始めており、その成果を活かし、虐待事例の解決に向けた取り組みを
進めていきます。
・認知症高齢者等意思能力の十分でない人の財産等への侵害について、権利擁
護を図る「こうべ安心サポートセンター」
(りんりんネット)を神戸市社会福
祉協議会に設置していますが、福祉機関等の関係者からの認知症高齢者など
の権利擁護についての専門的な相談にも引き続き応じていきます。
エ.地域密着型サービスの展開等なじみの生活圏での支援強化
110
【地域密着型サービスについて(主なもの)
】
(小規模介護老人福祉施設(定員 30 人未満の小規模特別養護老人ホーム)
)
日常生活圏域における居住機能及び小規模多機能型拠点を併設するなど
の在宅サービスの補完・支援機能の拠点と位置づけ、現在特別養護老人ホー
ムが配置されていない地域を中心に整備していきます。
(小規模多機能型居宅介護)
「通い(デイサービス)」を中心として随時の「訪問」や「泊まり」を組み
合わせて提供する多機能を持つ拠点を日常生活圏域にきめ細かく計画的に
整備し、要介護度が中重度の在宅者や認知症の在宅者の生活継続の支援に努
めます。
(3)
施設・居住系サービスの適切な整備
①
現状と課題
高齢者が住みなれた地域の中で、介護を受けながら暮らし続けることが可能と
なるためには、日常生活圏域での地域密着型サービスや在宅サービスの充実はも
ちろんのこと、介護保険施設の整備を推進して施設サービスを適切に提供するこ
とも、高齢者の安心感の確保や重度者への対応のために重要です。
また、高齢者の生活意識の多様化に伴う、早めの住み替え希望に対応する居住
系サービスの適切な拡充が必要となっています。
介護保険事業の円滑な運営のため、第3期介護保険事業計画期間の施設整備数
の必要量を、サービスの質を確保しながら市民のニーズや保険料の水準を勘案し
て、適切に見込んだうえで、設定していく必要があります。
②
施策の方針
(基本方針)
特別養護老人ホーム・老人保健施設については、既定の平成 19 年度計画値を
達成するとともに、要介護認定者の伸びを考慮してさらに増床を図ることとし、
平成 20 年度までにそれぞれ 4,900 床、4,850 床を整備します。
介護療養型医療施設については、現時点での供給量を基本に、事業者の意向を
踏まえた設定としますが、今後の医療制度改革の影響も見ながら弾力的に対応し
ます。
(小規模特別養護老人ホームの地域展開等)
特別養護老人ホームを日常生活圏域における居住機能及び在宅サービス提供
の拠点と位置づけ、日常生活圏域中、特養が整備されていない地域(77 か所中
24 か所)を中心に小規模特別養護老人ホーム(定員29人以下の特養)等を整
備していきます。
111
また、小規模多機能型居宅介護拠点等を日常生活圏域にきめ細かく整備するこ
とにより、在宅支援を充実していきます。
(認知症高齢者グループホーム)
整備にあたっては、認知症高齢者グループホームの整備されていない日常生活
圏域を対象として整備することを基本としています。
(4)
制度の適正な運営
①
現状と課題
ア.適正な要介護認定の確保
本市では、介護保険制度施行当初から、認定調査について、市民の利便性や迅
速性等を確保するという観点から居宅介護支援事業者及び介護保険施設への委
託方式を進め、公正・公平性及び質の確保のため委託先検査や研修等を実施して
きました。しかし、認定申請件数は年々増加傾向にあり、委託事業者数及び調査
員数も増加しており、指導効果の問題や調査員が兼務する介護支援業務の適正な
遂行への支障という問題が生じています。
また、平成 18 年 4 月からの介護保険制度改正に伴い、下記の通り要介護認
定事務を見直す必要が生じています。
【認定調査の委託に関する国の考え方】
・ 新規認定調査は市町村直営(原則)又は指定市町村事務受託法人に限定。
・ 更新・変更は指定居宅介護支援事業者、介護保険施設その他の省令で定め
るもの等に委託可とする。
要介護認定は、利用者それぞれの心身状況や要介護度に応じて必要なサービ
スが適切に利用できるよう、公正・公平性が求められます。
今後も要介護認定の精度を確保し、認定事務の公平・公正かつ効率的な運営
に努め、市民サービスの向上に努めていく必要があります。
イ.サービスの質の確保・向上、及び介護給付の費用適正化
介護保険のサービス提供については、民間事業者の参入を推進することによ
り、必要なサービスの確保と利用者のサービスの選択を可能にしてきました。
しかし、事業者の一部には、例えば、本人の状態像に合わないサービス提供を
行うなど、適切でない例も見受けられます。保険者である市としても、不適切
なサービスの是正はもちろん、全般的なサービスの質の向上のための取り組み
が急務であり、極めて重要な課題であるといえます。また、給付費が毎年増大
していく中で、第 1 号保険料をはじめとする市民負担をできるだけ抑制してい
くためにも、介護給付費の適正化の取り組みが不可欠です。
112
ウ.総合的な相談・情報提供体制の整備
これまで、各種パンフレットの作成、職員が地域に直接出向いて説明する出
前トーク、広報紙の記事掲出、インターネットのホームページ(神戸ケアネッ
ト)の開設など、あらゆる機会・媒体を活用して、市民への周知・情報提供に
努めてきました。
しかしながら、国の制度見直しにおいては、予防給付や地域密着型サービス
などの新たなサービス、要介護認定において設けられる新たな区分(要支援1・
2)、施設に入所される方等に対する利用者負担の見直し、新たな保険料の設定
など、新たな内容が数多く盛り込まれることになりますので、これら改正内容
についてはより一層の周知を行い、市民・利用者の理解を得ていく必要があり
ます。
さらに、高齢者の総合相談機能等を担うこととなるあんしんすこやかセンタ
ー(地域包括支援センター)においても、地域に根ざし、一人ひとりの高齢者に
対応できる、きめの細かい取り組みが求められます。
②
施策の方針
ア.適正な要介護認定の確保
(適正な調査の確保)
・認定調査委託先の集約化
・調査員の専任化
・認定調査の委託先検査及び調査員研修の充実
(要介護認定の精度の向上)
・認定審査会委員の研修内容の充実
・主治医意見書の記載内容の充実
イ.サービスの質の確保・向上、及び介護給付の費用適正化
・引き続き神戸市介護サービス協会と連携・支援を行い、事業者自身の取り組
みを支援しながら、サービスの質の向上に向けた取り組みを行っていきます。
神戸市介護サービス協会では実地に役立つ各種研修会を実施していますが、
さらに研修内容の充実を図っていきます。また、個人情報の保護の取り扱い
についても、神戸市介護サービス協会などの関係団体と協調して取り組み、
各事業者が適切に対応していけるような体制を確立していきます。
・新たに市に付与される立入調査権を活用し、予告期間をおかない実地調査を
行うなど、事業者の指導・監督を強化します。
113
ウ.総合的な相談・情報提供体制の整備
・市民に対する介護保険制度の仕組みや利用の仕方などの周知・情報提供につ
いては、引き続き様々な機会・媒体を活用していき、周知を図っていきます。
また、介護保険制度の改正については、市民向けの説明会を開催するなど多
様な方法により周知を図ります。そのため、地域団体やケアマネジャー・サ
ービス提供事業者等の関係者と一体となって周知に努めていきます。その際、
あんしんすこやかセンターについては、高齢者の総合相談を実施していくと
ともに、高齢者だけの世帯などにもわかりやすい情報を積極的に提供するな
ど、多面的な支援を展開していきます。
・新たに各事業者に義務づけとなる「介護サービス情報の公表」については、
市民やケアマネジャーへ効果的に情報提供や周知・広報ができるよう、あん
しんすこやかセンターの窓口の活用も含め、容易にその情報に接することが
できるような対応をしていきます。
・本市における第三者評価事業については、国の制度改正を踏まえ見直しを行
い、サービスの質の確保・向上の観点から「介護サービス情報の公表」の活
用を検討していきます。
・事業者に対し、
「介護サービス情報の公表」制度を活用するなど、利用者・家
族・地域の人々への積極的な情報提供を働きかけます。
・在日外国人や聴覚障害者の方などのうち、コミュニケーションが困難な方に
対し、介護保険の手続きを行う際、円滑な手続きが可能となるような支援の
実施について、検討していきます。
(5) 低所得者などに配慮した負担の在り方
①
現状と課題
介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支える社会保険制度であり、高齢者
も被保険者(保険の加入者)として、保険給付費の約 19%に相当する額を保険料
として負担していただいています。この保険料は、本人の課税状況や所得の状況、
世帯の課税状況などをもとに段階設定されており、低所得者に配慮されたものとな
っています。
また、介護サービスを利用する際の利用料については、サービスを利用する方と
利用しない方の負担の公平性から、原則として1割の利用料を自己負担していただ
く仕組みとなっています。
保険料や利用料については、被保険者及び利用者の実情も踏まえながら、公平・
公正な負担を基本に、低所得の方への配慮もしていく必要があります。
114
②
施策の方針
(第 1 号保険料)
低所得者への対応、課税層へのきめ細かな対応、並びに税制改正への対応の観
点から施策を実施します。
(利用料)
税制改正(高齢者の非課税限度額の廃止)により平成 18 年度に利用者負担段階
が 2 段階以上上昇する方については、その上昇が 1 段階に止まるように高額介護
サービス費、及び食費・居住費の負担限度額について、激変緩和措置を設けます。
また、段階の上昇が 1 段階の方のうち、一定の要件に該当する方については、社
会福祉法人による軽減制度で対応していきます。
(6) 後期実施計画(介護サービス利用量の推計)
※
第3期神戸市介護保険事業計画の数値目標と合わせるため、平成 20 年度を目
標とする数値を記載しています。
①
施設・居住系サービスの利用見込
施設・居住系サービスについては市内施設の今後の整備状況や、市外施設の利用
状況を勘案し、利用者数を見込んでいます。
(人)
1 8年度
1 9年度
2 0年度
介護老人福祉施設
4,666
4,734
4,789
小規模
介護老人福祉施設
69
165
225
介護老人保健施設
3,894
4,273
4,446
介護療養型医療施設
1,442
1,469
1,469
10,071
10,641
10,929
1,188
1,217
1,250
介護給付
1,377
1,401
1,591
予防給付
399
635
778
2,964
3,253
3,619
13,035
13,894
14,548
小計
認知症高齢者
グループホーム
特定施設
入居者生活介護
小計
施設・居住系サービス合計
115
②居宅サービスの利用見込
居宅サービスの利用見込にあたっては、過去 3 年間のサービス別・要介護度別の
利用率及び 1 人あたり利用量の実績を基に推計しました。ただし、短期入所生活
介護・短期入所療養介護は施設の整備状況とも関連することから、施設整備の状況
も参考にしました。
【利用見込(予防給付を含む)
】
(上段:利用人数、下段:利用量)
単位
訪問介護
18年度
19年度
20年度
人/月
21, 972
21 ,137
2 1,251
人/月
976
980
985
回/年
54, 468
55 ,214
5 6,006
人/月
4, 083
4 ,112
4,267
回/年
268, 876
272 ,253
28 4,923
人/月
283
283
291
回/年
13, 401
13 ,411
1 3,768
人/月
3, 073
3 ,096
3,219
回/年
90, 759
93 ,294
9 9,121
通所介護
人/月
10, 654
11 ,350
1 1,589
通所リハビリテー
ション
人/月
3, 821
3 ,848
3,953
人/月
2, 906
3 ,014
3,088
日/年
353, 640
370 ,126
38 2,997
人/月
473
511
527
日/年
46, 243
50 ,691
5 3,098
人/月
15, 361
15 ,190
1 5,500
603, 538
608 ,980
63 0,748
訪問入浴介護
訪問看護
訪問リハビリテー
ション
居宅療養管理指導
短期入所生活介護
短期入所療養介護
福祉用具貸与
品目/年
福祉用具購入
件/年
7, 968
8 ,079
8,297
住宅改修
件/年
6, 650
6 ,772
6,940
居宅介護支援
人/月
37, 299
38 ,013
3 8,884
116
③
新たなサービスの利用見込
地域密着型サービスのうち、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型通所介護、
夜間対応型訪問介護は新しいサービスですが、既存の類似のサービスの利用実績等
をもとに利用量の推計を行いました。
ア.小規模多機能型居宅介護
同一月に、通所介護・訪問介護・短期入所生活介護を利用している者の実績
等を基に推計をしました。
単位
18年度
19年度
20年度
介護給付
利用者数
人/月
883
1,078
1,372
予防給付
利用者数
人/月
97
166
180
合 計
利用者数
人/月
980
1,244
1,552
イ.認知症対応型通所介護
通所介護のうち「認知症専用単独型通所介護」及び「認知症専用併設型通所
介護」の利用実績等を基に推計しました。
単位
介護給付
18年度
19年度
20年度
利用者数
人/月
637
906
1,239
利用量
回/年
63,853
95,899
136,558
利用者数
人/月
23
44
65
利用量
回/年
1,243
2,419
3,649
利用者数
人/月
660
950
1,304
利用量
回/年
65,096
98,318
140,207
予防給付
合 計
ウ.夜間対応型訪問介護
訪問介護のうち、夜間・早朝、深夜加算のある者の利用実績を基に推計しま
した。
単位
介護給付
利用者数
18年度
人/月
349
※夜間対応型訪問介護は介護給付のみ
117
19年度
363
20年度
375
④
第3期事業計画期間(平成 18~20 年度)における整備目標
ア.介護保険3施設及び介護専用の居住系サービス
( )は 17 年度比
平成 17 年度
平成 19 年度
第 3 期事業計画
整備数
計画値
平成 20 年度
特別養護老人ホーム
4,595 床
4,710 床
4,900 床 (305 床増)
介護老人保健施設
4,352 床
4,700 床
4,850 床 (498 床増)
介護療養型医療施設
1,292 床
1,950 床
1,332 床
3 施 設 計
10,239 床
11,360 床
11,082 床 (843 床増)
認知症高齢者グループホーム
1,309 床
950 床
1,417 床 (108 床増)
778 床
―
878 床 (100 床増)
12,326 床
12,310 床
13,377 床(1,051 床増)
介護専用型特定施設
合
計
(40 床増)
※ケアハウス及び混合型の有料老人ホームの整備数は、介護専用の居住系サービスの対象外である。
イ.ケアハウス及び有料老人ホーム(介護専用型の有料老人ホームは上表の再掲)
平成 17 年度
平成 19 年度
第 3 期事業計画
整備数
計画値
平成 20 年度
介護型ケアハウス
434 床
500 床
1,100 床 (666 床増)
有 料
混合型(特定施設適用床)
970 床
―
1,535 床 (565 床増)
老 人
介護専用型
778 床
―
878 床 (100 床増)
計
1,748 床
―
2,413 床 (665 床増)
計
2,182 床
500 床
3,513 床(1,331 床増)
ホーム
合
ウ.各施設の平成 17 年度整備状況と、現行 19 年度目標値及び新たな 20 年度目標値
特 養
4,595
4,710
4,900
老 健
4,352
4,700
4,850
1,292
療 養 型
1,950
1,332
17年度整備
19年度目標
20年度目標
1,309
認知症 G H
950
434
500
介護型ケアハウス
1,417
1,100
1,748
有料(専用 ・混合型)
2,413
0
1,000
2,000
3 ,000
118
4,000
5,000
6,000
(単位:床)
(2) 地域見守り活動の推進
①
現状と課題
ひとりぐらし高齢者などに対する地域見守り活動は、昭和40年代後半より民生
委員・児童委員活動の一環として、全国に先駆け、友愛訪問が開始され、昭和53
年以降、友愛訪問グループの組織化が進められるとともに、昭和55年からは、ふ
れあい給食サービスが開始されました。
特に、震災後は、災害公営住宅に様々な地域から知らない者どうしが入居し、
しかも、自宅の再建や民間住宅への入居が困難な高齢者や障害者なども多く入居
することとなりました。このようなことから、住民相互の見守りが困難なため、
専門の生活支援スタッフとして「高齢世帯支援員」を配置し、直接の見守り活動
を行うとともに、あわせて、住民どうしがふれあい、見守りができるコミュニテ
ィづくりの支援を行ってきました。
一方、その他の地域においても、高齢化が進むとともに、震災前後の居住区域
の変更が近所づきあいの希薄化や日常生活の不安を増加させるなどの影響を与え
ていることから、さらに、地域見守り活動の全市的な展開を進めています。
平成12年度からは、災害公営住宅以外の地域で地域の友愛訪問等を受けていな
いひとりぐらし高齢者などにも、区社会福祉協議会から地域住民による活動を補
完する「見守りサポーター」を派遣してきました。
また、平成13年度からは、あんしんすこやかセンターにコミュニティワーカー
として「見守り推進員」を配置し、地域の民生委員・児童委員などとの協働によ
り、全市的に、地域で見守りができるコミュニティづくりを進めました。平成18
年度からは、あんしんすこやかセンターを地域包括支援センターに機能強化する
のに合わせ、見守り推進員を引き続き配置し、地域見守り活動の支援を行なうと
ともに、新たに専門職と連携し介護予防の推進を担うこととしています。
平成14年度には、ひとりぐらし高齢者の毎日の暮らしを見守る手法のひとつと
して、ガスメーター等のICTを活用した高齢者見守りサービスをモデル実施し、
その効果や有用性について検証し、平成15年度以降全市に拡大を図りました。
平成17年度からは友愛訪問やふれあい喫茶などのコミュニティサポートグル
ープの育成支援など、地域コミュニティづくり支援に取り組んでいます。
高齢者が外出しやすい環境づくりを進め、自宅に閉じこもらないよう社会参加
を促進することは、高齢者の健康増進や生きがいづくりにとって重要であり、要
介護状態に陥ることの防止にもつながります。本格的な少子化による人口減少社
会が到来し、まちの活力を維持・増進していくためには、高齢者自身が社会の担
い手の一員として活躍できる社会の実現が求められています。
119
②
施策目標
・民生委員・児童委員、友愛訪問グループ、ボランティア団体などとの連携の強
化を図り、小地域見守りネットワークの推進を図るとともに、見守り対象世帯
をひとりぐらし高齢者から高齢者のみの世帯へ拡大し、地域見守り活動の充実
を図ります。
・コミュニティの再生、地域見守り活動の推進など生活支援のネットワーク化を
図るため、コミュニティサポートグループ育成支援事業を積極的に展開し、ひ
とりぐらし高齢者などへの友愛訪問やふれあい給食、ふれあい喫茶などの地域
見守り活動を今後とも支援し、その拡充に努めます。
・市内にあるシルバーハウジングに、LSA(ライフサポートアドバイザー:生
活援助員)を概ね50戸に1人派遣し、入居者の安否確認、生活相談、緊急対応
などを実施します。また、シルバーハウジング以外の高齢者への支援も拡大し
ていきます。
・あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)に見守り推進員を配置し、
地域住民相互の見守り活動を支援するとともに、介護予防・仲間づくり交流事
業を実施するなど、新たに介護予防を推進していきます。また、地域活動支援
の機能を充実していきます。
・大規模で高齢化率の高い公営住宅などに、新たに高齢者自立支援拠点(あんし
んすこやかルーム)を設置し、地域の見守り拠点づくりをモデル的に実施しま
す。
また、ガスメーター等のICTを活用した高齢者見守りサービスを提供して、
地域住民や事業者等と連携を図りながら、きめの細かい見守り支援により、孤
立死の防止を図ります。
・震災や水害などの災害時に備えて、ひとりぐらし高齢者や要介護高齢者等の災
害時要援護者がすみやかに避難できるよう、民生委員や介護保険事業者、あん
しんすこやかセンター等が連携した避難支援を推進していきます。
・クリーンステーションまでのごみ出しが困難なひとりぐらし高齢者、障害者の
世帯に玄関先で収集を行う、「ひまわり収集」を実施します。収集時は声をかけ
るなどして安否確認も行います。地域のコミュニティを大切にしながら安全で
安心な暮らしを支援します。
・老人クラブが実施しているシルバーフレンド訪問支援事業、高齢者相互支援事
業を充実します。
・ボランティアが、ひとりぐらし高齢者などに声の友愛訪問を行う、テレフォン
サポート事業を推進します。
・高齢者の生きがいを高め、健康づくりを推進するため、地域に根ざした活動等
を行う老人クラブの活動を支援します。
120
③
後期4か年実施計画
事業項目
事業の実施方針
ひとりぐらし高
齢者などへの地
域見守り活動の
推進
住み慣れた地域で安心
して暮らし続けていくこ
とができるよう、ひとりぐ
らし高齢者などの安否確
認や閉じこもり防止、介護
予防施策を実施します。
また、民生委員・児童委
員や各区の社会福祉協議
会などと連携・協働を図り
ながら地域コミュニティ
を育成、支援し、地域で市
民相互の見守りができる
新しいシステムづくりに
よる地域見守り活動を支
援するとともに、新たに介
護予防を推進します。
小地域見守りネ
ットワークの推
進
高齢者などの地域での
見守りを進めるため民生
委員、友愛訪問ボランティ
ア、区社協などの連絡会を
開催し、必要な情報交換や
活動調整を行い連携を強
化します。
169 か所
ひとりぐらし高
齢者友愛訪問活
動の推進
友愛訪問グループに助
成するとともに、活動の手
引となるハンドブックを
作成し、友愛訪問活動の推
進を図ります。
友愛訪問グループ数
①効果的な友愛訪問活動を
1,342 団体(18 年 9 月
行うことができるよう支
末)
援していきます。
②説明会を実施し、グルー
プ化を図り、活動のコー
ディネートを行います。
③既存グループに対する
専門性向上のための研
修を実施します。
18 年度末見込
平成 19~22 年度事業内容
・民生委員によるひとり ・高齢化率の高い一般公営
ぐらし高齢者等台帳の 住宅の入居 高齢者に 対
整備
しても支援 の強化を 図
・友愛訪問グループヘの ります。
助成
・ひとりぐらし高齢者等台
・ふれあい給食活動ヘの 帳などに基づき、緊急通
助成
報システム(ケアライン
・テレフォンサポート事 119)と連携することに
業の実施
より、地域見守りとして
(17年度311件)
近隣協力者 の支援及 び
・地域福祉活動コーディ 確保に努め、緊急対応だ
ネーターの配置(各区 けではなく、普段からの
社協1名)
ケア体制の 確立を目 指
・小地域見守りネットワ します。
ークの推進
・あんしんすこやかセン
ターヘの見守り推進員
の配置(154名)、高齢
者情報の一元化
・生活援助員派遣事業
・単身高齢者・老老世帯
実態調査
・緊急通報システム(ケ
アライン119)など
・ガスメーター等のIC
Tを活用した見守りサ
ービス
・高齢者自立支援拠点づ
くり(あんしんすこや
かルーム)
121
169 か所
事業項目
事業の実施方針
ひとりぐらし高
齢者ふれあい給
食活動の推進
ひとりぐらし高齢者ふ
れあい給食活動を実施す
るボランティアグループ
に助成し、活動を支援しま
す。
ひとりぐらし高
齢者に対する配
食サービスの実
施
生きがい対応型
デイサービス
(介護予防・閉
じこもり防止型
デイサービス)
調理困難なひとりぐら
し高齢者などに、配食サー
ビスを実施します。
442,838 食/年
538,000 食/年
(22 年度末)
ひとりぐらし高齢者な
どに、地域福祉センターや
公営住宅の集会所で、給
食、日常動作訓練、趣味活
動とあわせて、介護予防サ
ービスを提供します。
82,103 回/年
116,000 回/年
(22 年度末)
見守り推進員の
配置
あんしんすこやかセン
ターに見守り推進員を配
置し、地域住民相互の見守
り活動を支援するととも
に、新たに介護予防を推進
していきます。
154 人
シルバーハウジ
ングにおける生
活支援の実施
市内にあるシルバーハウ
ジングに、LSA(ライフ
サポートアドバイザー)を
概ね50戸に1人派遣し、入居
者の安否確認、生活相談、
緊急対応などを実施しま
す。
また、シルバーハウジン
グ以外の高齢者への支援
を拡大していきます。
緊急通報システ
ムの取組み
高齢者や障害者などが
火災や救急の緊急時の安
全を確保するため、ケアラ
イン119の緊急通報シ
ステムの取り組みを進め
ます。
18 年度末見込
平成 19~22 年度事業内容
グループ数
①ひとりぐらしの高齢者
262 団体(18 年 9 月末)
にふれあい交流の場を
提供できるよう活動を
支援していきます。
②ボランティアの専門性
向上のための研修を市
民福祉大学などにおい
て充実します。
③区社会福祉協議会と連
携して、相談・指導な
どの支援を充実しま
す。
①コミュニティサポート
グループの 育成支援 な
ど地域住民 による見 守
り活動を支援します。
②地域ごとに介護予防・仲
間づくり交流事業を展
開するなど、介護予防を
推進していきます。
シルバーハウジング
多様化する住まいにお
戸数
2,378戸 ける高齢者の生活面、健
LSA数
54 人 康面での不安に、より柔
軟に対応できるよう、地
域の関係者が連携しつ
つ、高齢者の安心を確保
するための体制づくりに
努めます。
ケアライン119
・一般電話からの接続
約 2,400 件
・専用端末装置
(ペンダント式)
約 4,300 機
・災害公営住宅の緊急
通報装置からの接続
約 360 件
122
高齢化社会の進展に伴
うケアライン119登録
希望者の増加に対応する
ため、一般電話機からの
接続によるサービスを広
く提供できるようにして
いきます。
事業項目
事業の実施方針
18 年度末見込
平成 19~22 年度事業内容
シルバーフレン
ド訪問支援事業
の推進
転居などで新しい環境 登録者(支援員)
に溶け込めない高齢者に、 557 人(17 年度末)
友達として地域社会を紹
介することにより、高齢者
による地域福祉活動を推
進します。
両事業の登録の見直し等
を行い、よりきめの細か
い対応に努めます。
高齢者相互支援
事業の推進
一時的に日常生活に支
障が生じた高齢者を高齢
者自身が世話する、相互支
援活動を推進します。
テレフォンサポ
ート事業の実施
要援護高齢者の早期発 電話訪問世帯 388世帯
復興住宅とともに、一
見、心のケア、予防的な福 ボランティア 173 人
般地域への事業拡充を進
祉サービスの提供のため、
めます。
電話による安否確認を実
施し、地域見守り活動の強
化を図ります。
ガスメーター等
のICTを活用
したサービスの
提供
ガスメーター等のIC
Tを活用した高齢者見守
りサービスを提供して、地
域住民や事業者などと連
携を図りながら、きめの細
かい見守り支援により、孤
立死の防止を図ります。
高齢者自立支援
拠点づくり(あ
んしんすこやか
ルーム)
大規模で高齢化率の高 4か所
い公営住宅内にあんしん
すこやかセンターのブラ
ンチ的な位置づけとして、
新たに高齢者自立支援拠
点(あんしんすこやかルー
ム)を設置し、地域の見守
り拠点づくりを展開しま
す。
高齢者自立支援拠点の
全市展開を進めていきま
す。
災害時要援護者
の避難支援の検
討
震災や水害などの災害 庁内検討会の設置
時に備えて、ひとりぐらし
高齢者や要介護高齢者等
の災害時要援護者がすみ
やかに避難できるよう、民
生委員や介護保険事業者、
あんしんすこやかセンタ
ー等が連携した避難支援
の方策について検討して
いきます。
災害時要援護者の避難支
援マニュアル等の整備
推進員(支援員)
187人(17年度末)
支援回数
327 回(17 年度末)
ガスメーター式
881台
熱センサ式
76 台
(18 年 3 月末)
123
事業項目
事業の実施方針
介護予防訪問指
導事業の実施
あんしんすこやかセン
ターとの連携により認知
症やうつなど介護予防の
取り組みが必要な高齢者
に対して、保健師等が訪問
等により日常生活上の取
り組みや療養上の助言を
行います。
要介護者が円滑に必要
な歯科診療を受けられる
体制を整えます。
誤嚥性肺炎を予防する
必要性を市民や事業者へ
啓発します。
クリーンステーション
までのごみ出しが困難な
ひとりぐらしの高齢者、障
害者の世帯の玄関先で収
集を行います。
要介護者の歯科
保健対策
ひまわり収集の
実施
老人クラブの育
成・支援
高齢者の生活を豊かに
す る た め に 、「 教 養 の 向
上」、「健康の増進」、「レ
クリエーション」、「地域
との交流」などの活動を行
う老人クラブに対し支援
をします。
18 年度末見込
訪問指導事業の
実施
・看護士を活用して実
施
420 回(18 年度)
訪問歯科診療
「歯科保健推進室」
(神戸市歯科医師会運
営)申込数
150 人(18 年度)
941 件(17 年度末)
クラブ数
平成 19~22 年度事業内容
認知症やうつなど介護
予防の取り組みが継続で
きるよう、介護予防の取
り組みが必要な方の支援
に努めます。
誤嚥性肺炎の予防を目
的に、口腔機能の向上の
ための環境整備を図りま
す。
継続実施
新規クラブの結成とあ
548クラブ わせて加入率の向上を図
会員数
ります。
47,015 人
(平成 17 年度末)
124
〔子ども〕
(1) 在宅サービス
①
現状と課題
近年、出生率の低下、女性の社会進出の増加、核家族化の進行、地域社会の連帯
感の低下など家庭と児童を取り巻く社会的環境は大きく変化しています。
子どもの面倒を見ることができないとき、非同居親族や知人に頼ることがほとん
どで、核家族化が進み、家庭内の子育て支援資源が減少しています。
就労形態の多様化などに伴い仕事と子育ての両立の負担感や子育ての負担感が増
大しており、多様な保育ニーズや学童保育のニーズは増加しています。
子育て中の親にとって、子育て仲間が近くに少なくなってきていることや、相談
などができる人及び機会が少なくなってきたことから、親が孤立化する傾向があり、
不安やストレスを抱える親が多くなっています。
このような社会状況の変化を踏まえ、地域社会・学校・企業・行政など社会全体
で総合的に子育てを支援するとともに、子育てを男女ともに担い、子どもが健やか
に生まれ育つための環境づくりを進めていくことが、今後ますます必要となってい
ます。
また、離婚の増加などの変化に対応して、母子・父子家庭の自立支援施策につい
ても充実強化を図っていく必要があります。
②
施策目標
ア.複雑・多様化する児童問題に総合的に対処していくため設置した総合児童セン
ターについて、児童の健全育成を図るための中核施設として、予防指導育成事業、
相談事業などのより一層の充実を図ります。
イ.近年の急速な保育需要の増加により、保育所整備を進めているにも関わらず保
育所待機児童は依然として多く、特に地域別・年齢別のアンバランスが生じてい
ます。地域における保育需要の動向に十分留意しながら、特に待機児童の多い地
域を中心に、新設・増改築、分園設置、規制緩和による多様なサービス供給主体
の参入、廃止幼稚園の利用、赤ちゃんホームなどの拡充を推進するとともに、幼
稚園の空き教室の活用なども含めこれまで以上に既存施設の活用の検討も進めま
す。また、需要の低い地域での定員調整や統廃合等による保育所の適正配置を行
い、地域の需要に応じたきめ細やかな受入体制の整備に努めます。また、保育所
の「保育サービスの質」に関して、第三者評価制度の利用を積極的に進め、保護
者の保育所利用に役立つ情報の提供を図るとともに、各保育所における「保育の
質の向上」を促進するとともに、学校園や保育所などの安全対策も徹底します。
125
ウ.子どもと親の両方の立場を考慮しながら、多様化する保育ニーズに対応して、
一時保育・休日保育・病後児保育の拡充のほか、夜間保育の実施など必要な時に
利用できる保育サービスの提供に努めます。
エ.少子化、核家族化の進行、女性の社会進出等により、放課後に家庭及び地域社
会において適切な保護を受けられない子どもが増加する中、子育てと仕事の両立
支援や放課後における留守家庭児童の安全と健全育成を図るため、学童保育につ
いて、原則として、学童保育需要のある小学校区に整備を図っていくとともに、
既存学童保育所の過密の解消にも取り組み、学童一人あたりの広さを一定の基準
に基づいて確保します。
近年、需要が高まっている学童保育への障害児受入については、障害のある児
童と障害のない児童がさらに利用しやすい学童保育を目指します。
整備にあたっては、児童館、学校の余裕教室・敷地を活用した学童保育コーナ
ーの設置を進めるほか、助成制度を充実させるとともに、助成先に社会福祉法人
以外の法人を加えるなど運営主体の多様化を検討します。
また、児童館学童保育・学童保育コーナーについて、学童保育料の徴収や、保
育所と同様に午後 6 時までの保育とすることなども検討します。
なお、計画期間内においては、需要が高いなど緊急度の高い地域から優先的に
整備していきます。
オ.母子家庭などの心身の健康の保持及び生活の向上を図るため、母子福祉センタ
ーの相談業務などの充実も図ります。
126
③ 後期4か年実施計画
事業項目
事業の実施方針
18 年度末見込
平成 19~22 年度事業内容
総合児童センタ
ーの運営
児童の健全育成をはじ
め児童福祉の中核施設と
して児童問題に総合的に
対応するセンター機能を
強化していきます。
総 合児 童セ ンタ ー利
用者数
334,863 人
(17 年度)
保育所の整備
地域別・年齢別の保育ニ
ーズに対応した保育所の
適正配置を進めていきま
す。
保育所受入枠
約 20,440 人
(18 年 4 月)
①健全育成事業
体力増進や文化活動、
遊びを通じて児童の健
全育成を推進するとと
もに青少年に対する事
業の推進を図ります。
また、地域子育て推進
プロジェクトチームを
設け、地域の住民とと
もに子育て支援を進め
るための取り組みを行
います。
②療育指導事業
情緒障害児などを対象
に予防・指導を行う「発
達クリニック」を実施
します。
また、就学前の発達障
害児とその家族を対象
とした教室及び保育士
など専門職向けの研修
を実施します。
③児童館などの指導
社会全体での子育て支
援や健全育成機能を高
め、健全育成団体の自
主運営の促進を支援し
ます。
また、新しい遊びやモ
デル的な活動の実施の
ほか、地域子育て推進
プロジェクトチームを
設け、児童館等への指
導的な役割を強化しま
す。
④保護者や児童・青少年
の健全育成に携わる市
民に各種講座・教室を
開催するなど、健全育
成・子育て支援につい
ての啓発に努めます。
適正配置の推進
在宅サービス
127
事業項目
事業の実施方針
18 年度末見込
(新規)民間保育
園の老朽改築
老朽化した民間保育園
の改築に必要な経費の一
部を補助します。
-
延長保育の実施
地域別の保育ニーズに
応じ延長保育を全保育所
(園)で行っています。
全園実施
一時保育の拡充
就労形態の多様化や保
護者の急な病気やケガ、育
児に対する心理的・肉体的
負担の軽減などを図るた
め、実施保育所を拡大しま
す。
95 か所(18 年度)
フッ化物洗口の
実施
むし歯予防を促進する
ため、保育所在籍の 4 歳児
以上を対象に全園でフッ
化物洗口を行なっていき
ます。
障害児の健全な発達を
促すため、統合保育を充実
します。
全園実施
引き続き全園での実施
に努めます。
全園実施
(0~6 歳児)
引き続き全園での実施
に努めます。
病後児保育の拡
充
保育所に通所できない
病気回復期の児童などの
通所施設を整備します。
6 箇所
10 か所
(22 年度)
休日保育の拡充
ニーズの動向を見なが
ら、休日保育の実施を目指
します。
モデル実施 1 箇所
実施 3 か所
(22 年度)
夜間保育の実施
ニーズの動向を見なが
ら夜間保育の実施を目指
します。
モデル実施 1 箇所
実施1か所
(22 年度)
第三者評価の実
施
第三者評価制度の利用
を積極的に進め、「保育の
質の向上」と保護者への情
報の提供を促進する。
保護者からの要望が強
い主食提供について全園
で実施します。
すこやか保育の
実施
公立保育所主食
提供の全園実施
平成 19~22 年度事業内容
19 年度 1 か所
その後、順次実施予定
引き続き全園での実施
に努めます。
120 か所
(22 年度)
第三者評価受審 4 か所 神戸方式の第三者評価を
実施していきます。
全園実施
128
引き続き全園で実施しま
す。
事業項目
事業の実施方針
18 年度末見込
平成 19~22 年度事業内容
保育所入所児童健
保育所入所児童の健康 健康診断
引き続き実施します。
康診断の実施
管理の充実を図ります。 ・内科
2回/年
・歯科
1回/年
(4・5 歳児は 2 回)
・耳鼻咽喉科・眼科
1回/年
放課後留守家庭児童の
安全と育成を図るため、原
則として学童保育需要の
ある小学校区に学童保育
の整備を図ります。
①児童館における学童保
育事業
②学校の余裕教室などを
利用した学童保育コー
ナー
③地域方式に対する助成
の充実
④社会福祉法人が社会福
祉施設等を活用して実
施する学童保育事業へ
の助成
⑤学校法人等が幼稚園等
を活用して実施する学
童保育事業への助成
⑥地域団体が市立児童館
において実施する学童
保育事業への助成
①児童館方式
子育てリフレッ
シュステイ事業
の実施
子育て中の保護者に代
わって一時的に児童を乳
児院などで預かる子育て
リフレッシュステイサー
ビスの充実に努めます。
・延べ 12,471 日
引き続き全施設での実
(17 年度実績) 施に努めます。
・実施施設
乳児院
3か所
児童養護施設
14 か所
母子生活支援施設
7か所
・内容
ショートステイ
デイサービス
(午前8時~午後9時)
母子福祉センタ
ーの運営
相談業務、各種講座の内
容充実を図ります。
・各種相談
・教養講座
学童保育の拡充
102 か所
②学童保育コーナー方
式
37 か所
③地域方式
26 か所
④福祉施設方式
7 か所
⑤法人方式
1 か所
⑥地域団体方式
1 か所
計 174 か所
(18 年度)
129
計画期間内において
は、ニーズが高いなど緊
急度の高い地域に順次整
備していきます。
計 200 か所
(22 年度)
児童館学童保育・学
童保育コーナーについ
て、学童保育料の徴収
や保育所と同様に午後
6 時までの保育とする
ことなども検討しま
す。
各種講座内容の充実など
(2) 施設サービス
①
現状と課題
離婚の増加や家庭機能の低下など社会状況の変化に対応して児童福祉施設の充実
を図っていく必要があります。また、児童福祉施設の退所者が社会適応できるよう、
きめ細かな援助を行う必要があります。
②
施策目標
ア.児童福祉施設については、災害・犯罪等から入所児童を守り、施設の安全性を
確保するため、老朽化の激しい施設について順次整備を進めていきます。
また、被虐待児等個別的なケアを必要とする児童が増えるなか、児童の人権を
守り、プライバシーが確保できるよう、個室化を図るとともに、小規模グループ
ケアのための整備、心理療法室の整備を推進し、児童処遇の充実を図ります。
イ.児童福祉施設においては、児童の退所後も自立支援のためのケアを充実してい
きます。
ウ.家庭復帰の困難な児童は、できる限り家庭的な養育を受けることができるよう、
里親の開拓を図ります。
130
③
後期4か年実施計画
事業項目
事業の実施方針
18 年度末見込
平成 19~22 年度事業内容
施設サービス
乳児院・児童養
護施設の整備
母子生活支援施
設の整備
児童養護施設入
所児童の自立支
援
(新規)児童養護
施設等入所児童
の処遇の充実
被虐待児等個別的なケ
アを必要とする児童が増
えるなか、児童の人権を守
り、プライバシーが確保で
きるよう、個室化を図ると
ともに、小規模グループケ
ア、心理療法室等の整備推
進を行い、児童処遇の充実
を図ります。併せて、地域
の子育て支援の推進を図
るため、地域交流スペース
の整備も推進していきま
す。
生活本拠を喪失したほ
か、DV被害を受けた母子
世帯を入所させることに
より、保護を行うとともに
自立を支援するため、施設
の整備を図ります。母子婦
人短期保護事業も実施し
ます。
家庭復帰の目処の立た
ない、原則 18 歳以上の退
所前の児童について、本体
施設の近くに住居を借り、
担当職員による生活指導
を行いながら自立訓練を
行います。
近年、軽度発達障害児等
個別対応が必要な児童の
児童養護施設への入所が
増えているため、これらの
児童の適切な処遇体制の
確保を支援します。
①児童養護施設
14 か所
定員 766 人
②乳児院
3か所
定員
74 人
引き続き推進を図りま
す。
母子生活支援施設
7か所
定員 140 世帯
災害・犯罪等から入所
者を守り、安全性を確保
するため老朽化の激しい
施設について、順次整備
を進めていきます。
-
引き続き推進を図りま
す。
-
131
事業の実施
(3) 子育て支援・青少年の健全育成
①
現状と課題
ア.地域ぐるみでの子育て・青少年の健全育成
近年の都市化・核家族化、女性の社会進出などを背景とした家族機能の変化な
どにより、家庭や地域における子育て機能が低下し、子育てについての不安・悩
みや親の孤立感を増大させています。こうした状況のもと、身近に相談できる相
手や機会を確保する重要性は増し、これまで以上に地域ぐるみでの子育て支援が
必要となってきています。
また、青少年を取り巻く環境が大きく変化していく中で、将来を担う青少年一
人ひとりが未来に希望を持ち、自立や自己実現ができるよう青少年の主体性を尊
重し、家庭・学校・地域が協働・連携しながら、成長段階に応じて、その成長発
達を援助していく必要があります。
イ.相談機能の充実
最近では LD、ADHD 等の軽度発達障害の相談の増加、また、児童虐待につい
ては、核家族・少子化傾向の中、家族関係が単一的な状態となり、近隣との関係
の希薄化と相まって、父母への育児負担と孤立化がますます深刻化してきていま
す。これらの問題に対処するために、家族機能の支援とともに家庭と学校、地域
社会などとの密接な連携が必要となっています。
年度
平成 13 年度 平成 14 年度
件数
24,792
平成 15 年度
平成 16 年度
平成 17 年度
(速報値)
27,600
34,652
34,297
24,254
資料:厚生労働省調べ
表 児童虐待に関する相談受付件数の推移(全国)
(件)
250
197
194
200
182
214
214
16
17
172
143
150
100
61
51
47
8
9
50
0
10
11
12
図 年次別相談・通告件数(神戸市)
132
13
14
15
資料:神戸市こども家庭センター調べ
(年度)
【相談種別】
保護の怠慢・
拒否 56件
26%
【主な虐待者】
身体的虐待
77件 36%
実父以外
の父 19件
9%
その他 4
件 2%
実父 42件
20%
合計
合計
214 件
214 件
心理的虐待
70件 33%
性的虐待 11
件 5%
実母以外
の母 5件
2%
図 児童虐待相談状況(神戸市)【平成 17 年度】
実母 144
件 67%
資料:神戸市こども家庭センター調べ
平成 14 年 3 月に各区に子育て支援室が設置されたことにより、本市では問題
を抱える児童・家庭への支援を、緊急度や重症度において比較的軽度と判断され
たものについては、支援室が調査・対応しており、重度と判断されたものについ
てはこども家庭センター(児童相談所)へ通告・送致されるようになっています。
子育て支援室では、母子保健法に基づき母子健康手帳の交付や乳幼児健診等の
母子保健事業を通じて、早期から広く乳幼児家庭と接する機会をもち、児童の発
達面からのアプローチによる保健活動を行ってきました。子どもの心の安らかな
発達の促進と育児不安の軽減のため、親や乳幼児の心の健康や親子関係からの取
り組みが求められていることから、健診未受診者のフォローやハイリスク家庭へ
のかかわりなど、一層の充実が求められるとともに、こども家庭センターとの連
携を強化していく必要があります。
また、言語面や対人関係が芽生えつつある時期に行われる 1 歳 6 か月健診、3
歳児健診において、発達障害(自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠
陥多動性症候群など)の早期発見のため、問診項目の改定を行います。また、発
見後は要フォロー児教室や専門相談などの機能整備が必要であり、そのため発達
障害者支援センターの整備も含めた早期支援体制を確立していきます。さらに、
健診従事者に対し発達障害の知識の普及を進め、現場の対応力を高めていきます。
依然、深刻な問題である児童虐待については、本人・家族自らの相談よりも、
周辺からの通告などの相談が増加しています。とくに児童虐待では児童の生命に
関わる場合があるため、従来の受身の相談業務ではなくアウトリーチの手法が求
められます。
ハイリスク家庭などに早期の段階から関わり未然に防止することや、「継続指
133
導」などにより地域の中で見守りながら支援をしていく必要のある事例が増えて
おり、予防から見守りまで、各機関が連携しながら対応していく必要があります。
子育ての悩みを抱え、孤立化することが児童虐待につながることが多いため、
保育所、児童館、子育て支援室などで各種事業を実施していますが、子育てサー
クルなど地域に身近で気軽に参加できる場所の充実が必要です。
②
施策目標
ア.地域ぐるみでの子育て支援・青少年の健全育成
地域交流事業を進めながら市民全体の意識を高める広報・啓発活動に努め、子ど
もたちを地域で育てていく意識を高めます。同時に、子育て家庭を地域ぐるみで
サポートするため、子育てサークルの育成や地域における子育て支援拠点として
児童館・保育所などの活用、会員同士で子育てを相互に援助するファミリー・サ
ポート・センターの活用により、地域社会と連携しながら、地域ぐるみの子育て
力の活性化を図ります。さらに、地域で子育て支援活動をされている方を対象に、
研修や講演会などを実施し、地域の子育て力の向上を図ります。また、親子参加
のプログラム充実のほか、地域と福祉施設、学校などが連携し、地域の教育力充
実に取り組みます。
子どもを取り巻く環境が急激に変化する中で、学校と家庭と地域社会がともに
手を携え、生命の尊さなど変わらない価値のあるものを基盤とした教育を推進し
ていきます。
母親の孤立や不安感の増大などに対応するため、民生委員・児童委員、保育所、
児童館、幼稚園などによる子育てネットワークづくりを促進していきます。
子どもたちが地域で自主的な企画活動に参加できる場や、同じ興味や関心を持
つ仲間が集まり、交流できる「居場所」を提供していきます。
・児童館については、児童の健康を増進し、また情操を豊かにすることを目的と
して、親子が楽しく遊ぶことができるような各種プログラム及び健康・しつけ・
育児などの講座を実施し、幼児の健康増進や育児不安の解消などを図るとともに、
親同士のグループづくりを促進するため、「児童館すこやかクラブ」を拡充しま
す。また、高齢者などとふれあう機会を提供します。
・子どもたちが地域社会の中で心豊かに育まれる環境づくりを推進するため、放
課後の小学校でスポーツや文化活動等の様々な体験・交流活動等の取り組みを
行い、安全安心な活動拠点(居場所)づくりを進めます。
・地域の子育て家庭を支援するため、保育所を地域に開かれた施設とし、積極的
に地域での活動に取り組み、子どもの健全育成及び子育て家庭の支援等を行う
「地域交流事業」を推進します。また、地域に密着した子育て専門施設である
保育所の機能を活用して、子育てサークルの育成や施設開放、子育て相談など、
地域における子育て家庭の支援を行う「地域子育て支援センター」を拡充しま
す。
・幼稚園を地域に開放し、幼児の集団遊び、保護者の交流、子育て相談等を実施
します。また、幼稚園では、子育てサークルの支援や預り保育等も行います。
134
・地域のニーズを把握するとともに、児童、妊産婦などの様々な問題に対し相談・
援助を行う児童委員の活動を推進します。特に、児童に関する問題の予防・早期
発見や家庭と学校及び専門の相談機関などとをつなぐパイプ役としての主任児
童委員の活動を推進します。
・青少年の地域での自主的な活動や体験活動の機会の充実を図り、空間としての
居場所づくり・機会としての居場所づくりの両面から、多種多様な活動の場や機
会を提供していきます。
a.子ども達の自主的、主体的な活動を支援するとともに、若いエネルギーを
健全に発散したり、同じ趣味や関心を持つ仲間が集まり、交流できる自由な
空間づくりを進めます。
b.中高生を中心とした青少年の活動拠点を概ね各区に1か所、既存施設等
を活用して整備し、地域ボランティア及び青少年育成団体等の運営協力を得
ながら、中高生を対象とした事業や地域の方々との交流事業を展開していき
ます。
c.地域社会の一員としての自覚を促し、中高生を中心とした青少年が他者と
のふれあいによって豊かな人間性や社会性を身につけることができるよう、
身近な地域で実施される心の居場所となる様々な参加活動を支援します。
イ.相談機能の充実
「児童の権利に関する条約」の精神を踏まえ、子どもを独立した人格として認
め、社会の適切なかかわりの中で健やかに育つ権利を保障する必要があります。
子どものしつけ・心身の発達・いじめ・不登校・虐待などについて深刻な問題
を抱えている家庭に対し、育児・教育・養護などに関する様々な情報を提供する
とともに、各種相談機関の連携を強化し、相談窓口機能の充実などを図ります。
児童虐待に関しては、市の責務や児童の安全確認、立入調査に対応するため、
機能が強化されたこども家庭センター(児童相談所)を中心に関係機関との連携
の充実を図り、緊急対応への体制強化、緊急度に応じた対応の充実を図ります。
母子保健事業は、最初の接点となる母子健康手帳の交付をはじめ、乳幼児健診
など親子と接触する場や役割を持っており、未受診者の中に援助の必要なケース
が含まれている可能性があるため、未受診者へのフォローなどを充実します。
母子保健事業、救急医療を含む医療機関、保育所など子どもにかかわる機関が、
様々な場面で予防・早期発見に努め、必要に応じてこども家庭センターにつなぎ、
早期対応していくことを徹底します。
虐待をしてしまった保護者・家庭へは、再発防止を図るため、保護者カウンセ
リングの実施、主任児童委員等を活用した見守りを行い、家族の再統合や養育機
能の再生強化を推進します。
また、母子保健事業のアウトリーチ手法を活用してプライバシーに配慮した予
防的関わりを充実します。
さらに、積極的に、健康・育児などに関する講座などを開催するとともに、子
育て仲間づくりの機会の提供に努めます。子育て情報の周知を図るなどして地域
135
の関心を高め、地域の子育て事業の充実、子育てグループの育成に取り組むとと
もに、児童に関する専門機関から地域見守りまで、子育て家庭に対する総合的な
支援ネットワークを形成していきます。
136
③
後期4か年実施計画
事業項目
事業の実施方針
18 年度末見込
平成 19~22 年度事業内容
ア.子育て支援・青少年の健全育成
子ども会の育成
①子ども会に対する助成 ①子ども会
327 団体
を行うとともに、児童館
や地域の各種団体との
15,361 人
連携を促進し、活動内容
(平成 17 年度)
の充実を図り、指導者や ② 子ど もフ ェス テ ィ
ジュニアリーダーなど
バルの開催
の養成を強化します。
約 3,000 名参加
②子ども会活動について
(平成 18 年度)
啓発を行い、子ども会組
織の充実を図ります。
③学校週5日制に対応し、
地域における子どもた
ちの受皿づくりとなる
青少年活動のリーダの
養成を図ります。
④児童の野外活動を推進
するリーダーを養成し
ます。
児童館の整備
中学校区に児童館を整
備するとともに、既設児童
館が利用しにくい地域に
ついても、諸条件を勘案し
ながら整備を図っていき
ます。
児童館設置数
119 か所
(総合児童センターを
除く)
(18 年度末)
児童館事業の実
施
①親子が楽しく遊ぶこと
のできるプログラムの
ほか、講座などを開催す
るとともに親同士のグ
ループづくりを促進す
るため児童館すこやか
クラブや児童館キッズ
クラブなどの親子館事
業を拡充します。
②「老人とのふれあい事
業」、「自然とのふれあ
い事業」及び「外国人と
のふれあい事業」を実施
します。
③子育てコミュニティー
育成事業(日祝日開放)
を推進します。
児童館すこやかクラブ
・参加対象:
2~4歳児とその親
113 館で実施
(125 組)
児童館キッズクラブ
30 館で実施
137
①助成制度の充実
②指導者養成の強化
③子ども会の自主運営の
ための支援
④学校や児童館等との関
係の強化
130 か所
(22 年度末)
①親子館事業の内容につ
いて充実に努めます。
②地域社会との連携のも
とに活動プログラムの
充実を図ります。
事業項目
事業の実施方針
18 年度末見込
平成 19~22 年度事業内容
子どもたちが地域社会
の中で心豊かで健やかに
育まれる環境作りを推進
するため、放課後小学校
で、スポーツや文化活動等
の様々な体験・交流活動等
の取り組みを行い、安全・
安心な活動拠点(居場所)
づくりを進めます。
地域で子どもたちを見 守る店・守る家
約 18,000 軒
守る運動を進めるため、不
審者に声をかけられたと
(18 年 8 月)
きなどの一時保護に協力 守る車
してもらえる店舗・民家を
約 5,000 台
募ります。また、市の公用
(18 年 12 月)
車や地域で日常的に運行
している事業者の特定車
両に、守る車として見守り
と緊急時の一時保護を依
頼します。
学校・地域団体の実情
に応じて実施していく。
子どもの遊び場
づくり(みんな
の幼稚園事業)
の実施
幼稚園の園庭を開放し、 公立 46園
地域の幼児に対して集団 私立 64園
遊びを提供するとともに (平成 18 年度)
保護者への子育て相談、子
育て学習などを行います。
公立 46園
私立 64園
(平成 19~22 年度)
保育所地域子育
て支援センター
の拡充
子育ての専門施設であ
る保育所の機能を活用し、
子育てサークルの育成や
施設開放、育児相談などを
行う保育所地域子育て支
援センターを拡充します。
(新規)放課後
子ども教室の実
施
こ ど も 110 番
青少年を守る
店・守る家、守
る車の推進
5 か所(18 年度)
協力してもらえる店
舗・民家及び事業者の募
集
10 か所(22 年度)
保育所地域交流
保育所の子育て知識や経 152 園(17 年度)
事業の拡充
験を活かし、子どもの健全
育成と子育て家庭の支援な
どのため、地域のニーズに
応じた活動を拡充します。
全園実施
ファミリー・サポ
「子育ての応援をしてほ 会員数 3,011 人
ート・センターの しい人」と「子育ての応援 (18 年 10 月末)
充実
をしたい人」とからなる会
員組織で市民相互による子
育 て支援 を行 うファ ミリ
ー・サポート・センター事
業を充実します。
地域に密着したサービス
の提供
母子健康づくり
グループの支援
子育てサークルなどが
存在しない地域を重点
に支援していきます。
妊婦・乳幼児の健康診
査・セミナーを契機とした
母親同士の地域での仲間
づくりを支援します。
400 回/年
(18 年度)
138
事業項目
事業の実施方針
子育てコミュニ
ティ育成事業の
推進
児童館において、地域で
の大人と子どもの交流、大
人同士の交流などの機会
を提供するため、児童館の
地域への開放を推進しま
す。その中で、児童館、区、
区社協が協力し、地域コミ
ュニティづくりを支援す
るために、日祝日開放事業
などを実施します。
地域の幼児(在宅児等)
及び保護者等の中で、継続
した親子活動が実施でき
るグループを対象に、幼稚
園の園庭や保育室を開放
し、未就園児をもつ保護者
等の自主的な子育てグル
ープの活動を支援します。
保護者が互いに子育て
を学んでいこうとする気
持ちを育て、地域の教育力
の充実を図り、幼稚園が核
となる地域のネットワー
ク作りの推進を強化しま
す。
青少年グループ・団体を
育成し、加盟団体の助成と
未組織青少年に対する加
入の呼びかけを行います。
青少年活動を活発にす
るため、青少年の自主的な
活動を助ける専門的知識、
技能を有する青少年リー
ダーを養成します。
それぞれの区を単位と
し、各種地域団体が中心と
なり、地域に根ざしたボラ
ンティア活動や善行、ま
た、困難な環境を克服した
り縁の下の力持ちとして
活躍した青少年を表彰し
ます。
子育てサークル
支援
青少年団体の育
成と加入促進
青少年活動リー
ダーの養成
青少年を地域で
讃える賞の実施
青少年育成協議
会支部との連
携、青少年育成
委員の活用
地域における青少年の
健全育成と非行防止を目
的とした青少年育成協議
会の支部と連携を図りな
がら、支部構成員の青少年
育成委員とともに総合的
な青少年施策を展開して
いきます。
18 年度末見込
平成 19~22 年度事業内容
実施館数 109 館
(17 年度末)
全館実施
地域の保護者による定
期的な自主保育(月2
回程度)
年間 14~29 日
市立幼稚園
22 園
事業継続予定
16 団体
(17 年度)
事業の推進
リーダー養成事業
4事業実施
(17 年度)
事業の推進
個人 62 人
団体 72 団体
(17 年度)
毎年度各区で表彰を実施
6,557 人(17 年度末)
地域での青少年健全育
成活動の新たな担い手の
育成
139
事業項目
事業の実施方針
18 年度末見込
平成 19~22 年度事業内容
青少年の居場所
づくりの推進
青少年の地域での自主
的な活動や体験活動の機
会の充実を図り、空間とし
ての居場所づくり・機会と
しての居場所づくりの両
面から、多種多様な活動の
場や機会を提供していき
ます。
中高生を中心とする青
少年が他者とのふれあい
によって豊かな人間性や
社会性を身につけること
ができるよう、身近な地域
において青少年の心の居
場所となる様々な参加活
動を支援します。
青少年を地域全体で育
んでいくため、夏季・冬
季・春季を強調週間とする
市民運動を展開するとと
もに、青少年育成協議会の
機関紙「希望」などを通じ
て、広報・啓発を進めてい
きます。
インターネット・ホーム
ページ等の活用により、青
少年に関連する情報を提
供します。
「第 5 次神戸市青少年育
成中期計画」の施策の効果
を計るとともに、次年度以
降の施策及び次期中期計
画に反映します。
・中高生活動拠点整備
事業
4区4か所
・中高生の活躍できる
場づくりの推進(中
高生チャレンジステ
ージ)
・概ね各区に1か所、青
少年の活動拠点を整備
・中高生の活躍できる場
づくりの推進
実施件数
30 件
(18 年度予定)
地域による青少年の居場
所づくり事業の推進
・夏季強調週間:7/15~
8/31
・冬季強調週間:12/15
~1/15
・春季強調週間:3/15~
4/15
事業の継続
掲載事項の更新
掲載事項の更新
地域による青少
年の居場所づく
り事業の推進
青少年育成市民
運動の推進
青少年情報の発
信
(新規)神戸市
青少年育成中期
計画の推進
民生委員・児童
委員、主任児童
委員の児童健全
育成活動の推進
・第5次神戸市青少年育
成中期計画の効果の検
証及び新規指標の目標
値設定
・第6次神戸市青少年育
成中期計画の策定
児童、妊産婦などの様々 民生委員・児童委員
な問題に対し、相談・援助
2,520 人(定数)
などを行う民生委員・児童 うち主任児童委員
委員の活動を推進します。
340 人
特に、児童に関する問題の
予防や家庭と相談機関な
どとをつなぐパイプ役と
しての主任児童委員の活
動を推進します。
140
事業項目
事業の実施方針
18 年度末見込
平成 19~22 年度事業内容
児童に関する相
談業務の実施
家庭支援の観点から、相
談機能をより強化してい
きます。
①こども家庭センター
(児童相談所)
相談件数
4,749 件(17 年度)
②区保健福祉部
③児童館子育て相談
④地域子育て支援セン
ター
⑤総合教育センター
⑥青少年補導センター
(教育相談所を含
む)
⑦青少年電話相談室
(青少年会館)
⑧お母さんの電話相談
(婦人会館)
①こども家庭センターを
中心に、区子育て支援
室、児童館子育て相談、
総合教育センター、青少
年補導センターなどが
連携を図り相談ネット
ワークづくりを推進し
ます。
②いじめ、不登校、虐待
などの問題の解決を図
るため、電話相談事業や
公開講座などの実施の
ほか、民生委員・児童委
員、主任児童委員や学校
などの連携を強化しま
す。
③子育てにおける保健・
医療・福祉や育児、健全
育成などに関する総合
的な情報を提供します。
④児童養護施設などの施
設退所児童に対するア
フターケア事業の充実
を図ります。
児童虐待防止対
策の実施
児童虐待の早期発見、早
期対応・再発防止を図ると
ともに、家族の再統合や家
庭の養育機能の再生強化
を推進します。
また、関係機関との連携
を強化するとともに、地域
の人材を有効に活用し、子
育て支援と子どもを虐待
から守る体制を整備しま
す。
・児童虐待防止連絡協
議会の開催
・児童家庭支援センタ
ーの設置(2か所)
・児童虐待防止研修会、
シンポジウム、講演
会の開催
・児童虐待防止 110 番
( 17 年 度 相 談件 数
396 件)
・児童虐待防止サポー
ト制度
・こどもサポーター制
度
・児童虐待 夜間休日
相談ダイヤル(17 年
度通報件数 45 件、相
談件数 374 件)
・保護者カウンセリン
グ
・医療的支援強化事業
早期発見、早期対応を
徹底するとともに、関係
機関との連携を強化、地
域での子育て支援を推進
します。
イ.相談機能の充実
141
・(新規)「要保護児童対
策地域協議会」の設置
・
「子育て支援室」の強化
・未受診児対策
・こどもサポーター制度
・ネットワーク連絡会議
・児童虐待防止プログラ
ムの開発 など
事業項目
事業の実施方針
発達障害支援の
推進
発達障害児(者)の支援
体制の充実をはかります。
(新規)(仮称)発達障害
者支援センターの設
置・運営
・発達障害者支援ネット
ワークの構築
・地域発達支援教室の実
施
・乳幼児健康診査での発
達障害児早期発見体制
の整備
・研修の実施
・普及・啓発
・療育体制検討委員会の
設置・運営
・児童福祉施設における
発達障害児受入体制の
整備
(新規)大学と
連携した新たな
子育て支援事業
の推進
市内の保育士養成校の
指定を受けている大学な
どと連携して、乳幼児が自
由に遊べるスペースを設
け、子育て支援の場を提供
します。
2 校モデル実施予定
(19 年度)
18 年度末見込
142
平成 19~22 年度事業内容
〔障害者〕
(1) 障害福祉サービス
①
現状と課題
かつて障害者への福祉は、施設への措置を中心に実施されてきましたが、その後、
ノーマライゼーションの考え方のもと、地域での在宅サービスや自らの選択による
契約が重視されるようになってきました。このような背景の下、平成 15 年度から
支援費制度が実施されました。しかし、施設では、以前と変わらず定員の空きに応
じて障害者を受け入れてきたので、施設内は、重度の人や軽度の人が入り混じって
いる状況が見られました。
このような状況の中、平成 18 年度から障害者自立支援法が施行されました。そ
こでは、障害者が、そのニーズに応じた選択ができるよう多様な障害福祉サービス
を定め、障害者の主体的な選択を求めています。そのため、障害者が選択できるよ
う相談支援のような援助が必要となります。また、障害者の多様な選択ができるよ
う、事業の質と量の確保が必要となってきます。
一方、「障害者生活実態調査」によれば、施設に入所する障害者の地域生活に対す
る希望は高く、身体障害者で 28.2%、知的障害者で 28.0%となっており、このニ
ーズを重視した地域生活への移行支援を行う必要があります。
また同様に「障害者生活実態調査」によれば、地域での生活を実現するためには、
「昼間や夜間等の介護」、「食事や家事の支援」など日常生活での支援について、身
体障害のある人で 4 割から 5 割、知的障害のある人で 3 割弱の人が必要としてい
ます。また、「神戸市在院患者調査」によれば、精神障害のある人では、「日常生活
を支える制度がない」が 58.5%、次いで「退院へ向けてサポートする人的資源が
乏しい」が 50.7%、「住まいの確保ができない」が 41.4%という回答が多くなっ
ています。
地域生活への移行を進めるにあたり、住まいの確保、日中の居場所の確保その他
在宅サービスや相談支援の充実などが必要となるが、このような地域の福祉力の向
上を通じて、障害者は、自らのニーズに基づき地域で生活することができます。そ
して、施設は大切な社会資源として、本当にその支援を必要とする障害者に対応で
きるようになることが期待されます。
しかし一方、障害の状況などにより地域で生活できない障害のある人もあるため、
施設入所の必要性もあります。
重度重複障害者は、平成 17 年 10 月 1 日現在 790 人で、平成 13 年 10 月 1
日の 584 人と比較すると 35.3%の増となり、年々増加しています。重度・重複障
害者の安心した暮らしのためには医療的ケアが不可欠であり、医療と福祉が確保さ
れる中で、一人ひとりのニーズにあった暮らしができるような支援が必要です。
発達段階にある障害児への支援については、子ども一人ひとりの特性に応じ、成
143
長に適応した一貫性のある療育・保育・教育となるような取り組みが必要です。ま
た、発達障害への対応についても検討する必要があります。
②施策目標
・障害者の地域での生活を支援するため、そのニーズや生活の困難さ、障害の状
況に応じたきめ細やかなサービスが提供できるよう、サービスの充実及び障害福
祉サービスごとの事業者の確保に努めます。
・事業者は、障害者のニーズに沿うように、効率的で質の高いサービスを提供す
ることとし、市は、事業者が、事業の多角化や新たな事業への参入など様々な事
業経営の工夫を進めやすくするための支援を検討します。
・地域生活への移行に際して、地域生活体験プログラムの実施などイメージを喚
起したうえでニーズを確認するとともに、トータル的なコーディネートの実施に
ついて検討します。
・障害の状況や長期の入院・入所により社会適応能力が極端に低下し、地域生活
が困難なケースに対応するため、施設入所支援を確保します。
・地域での生活が困難になった人が施設で生活し、立て直しが図れるようなシス
テムの検討を行います。なお、必要に応じて入所を措置します。
・障害の重度化・重複化に対応した医療機関との連携を検討していきます。
・重度・重複障害者が医療面のサポートを受けながら身近な地域で暮らせる方策
について研究します。
・障害児一人ひとりの特性に応じ、また成長に適応した一貫性のある支援に取り
組みます。
・障害者自立支援法施行後 3 年を目途として行われる措置に向けて、障害児施設
のあり方や療育体制について検討していきます。
・発達障害児の支援も視野に入れ、児童デイサービス事業を積極的に展開します。
(2)
①
利用者本位のサービス提供
現状と課題
障害者が地域で生活していくうえで、相談への支援が必要です。なかでも気軽に
相談できるということは非常に重要です。「障害者生活実態調査」において、「日常
生活での悩み等や権利侵害を受けた場合の相談先」として障害のある人の 6 割程度
が「家族や親戚など身内」を選んでおり、相談の「しやすさ」や「気軽さ」の必要
性が表れています。
本市では、身体・知的障害者地域生活支援センター及び精神障害者地域生活支援
センターを各区に設置し、年間約 77,000 件の相談を受けてきました。「障害者
生活実態調査」によれば、相談窓口や情報の入手先としての利用度は 1 割前後とな
144
っています。障害者自立支援法が施行され、三障害に対応した障害者地域生活支援
センターを各区に設置しましたが、今後は、相談機能の充実と周知が課題となりま
す。
また、日常生活上のニーズや、障害の状況、程度など様々な障害者を適切に支援
していくためには、一人ひとりに応じた個別支援計画の作成・実施・検証が必要と
なってきます。支援費制度においても個別支援計画の作成が義務づけられていまし
たが、今後、更なる充実が課題となります。
②
施策目標
・障害者が、自己の意思に基づき、そのニーズや生活の困難さ、障害の程度や状
況に応じて必要なサービスを選択し、活用し、自分らしい暮らしの実現を目指せ
るよう、障害者の希望する選択ができるよう、各区に設置した障害者地域生活支
援センターにより、情報提供や相談、契約補助などの支援を行います。
・障害者地域生活支援センターでは、ピアカウンセリングの実施について検討し
ていきます。
・具体的な支援を行うにあたっては、一人ひとりのニーズや障害の状況を把握し、
利用者と事業者で支援の目標を共有した上で、個別支援計画を作成します。さら
に、支援実施後の評価により、個別支援計画の見直しを行い、総合的かつ一貫性
をもったケースマネジメントを行います。これにより、きめ細かくかつ着実な生
活の質の向上を図っていきます。
・地域生活への移行や就労移行、その他支援にあたっては、その支援の目標を一
人ひとりの利用者の意向や障害の状況に応じた設定とし、目標に達しない場合で
も、何度でも繰り返すことができるものとします。
145
(3)
後期4か年に相当する実施計画
※神戸市障害者保健福祉計画 2010 後期計画(障害福祉計画)の数値目標と合わせるため、平成
23 年度を目標とする数値を記載しています。
事業項目
事業の実施方針
18 年度末見込
(17 年度実績)
平成 23 年度目標値
入所施設や精神科病院からの地域生活への移行
入所施設から地域
生活への移行
施設入所者のうち、地
域 生 活へ の移 行を 希望
す る 人の 地域 生活 移行
に取り組みます。
―
精神科病院から地
域生活への移行
精神科病院に入院中
の、受け入れ条件が整え
ば 退 院可 能な 精神 障害
者のうち、地域生活への
移 行 を希 望す る人 の地
域 生 活移 行に 取り 組み
ます。
―
平成 23 年度末までに平
成 17 年 10 月 1 日の施設入
所者(身体障害者更生施設
及び精神障害者生活訓練
施設の入所者を除く。)の
10%である 133 人以上と
します。
平成 23 年度末までに 508
人以上
障害者の選択による生活の質の充実
障害者の選択によ
る生活の質の充実
障害者地域生活
支援センター
居宅介護
重度訪問介護
行動援護
重度障害者等包
括支援
障害者のニーズに基づく選択を可能とするよ
う、平成 23 年度までに必要な障害福祉サービスな
どを確保します。
障害のある人や家族、ま 13 箇所設置
たは介護者等からの相談
に応じ必要な情報等の提
供など、地域での生活を支
援します。
自宅で、入浴、排せつ、 (65,411 時間/月)
食事の介護等を行います。
重度の肢体不自由者で
常に介護を必要とする人
に、自宅で、入浴、排せつ、
食事の介護、外出時におけ
る移動支援などを総合的
に行います。
自己判断能力が制限さ
れている人が行動すると
きに、危険を回避するため
に必要な支援、外出支援を
行います。
介護の必要性がとても
高い人に、居宅介護等複数
のサービスを包括的に行
います。
146
平成 23 年度末までの目標
値
14 箇所
86,400 時間/月
事業項目
事業の実施方針
日常生活用具給
付事業
短期入所
日常生活用具を給付し
ます。
自宅で介護する人が病
気の場合などに、短期間、
夜間も含め施設で、入浴、
排せつ、食事の介護等を行
います。
障害者等の介護者が、疾
病等により一時的に介護
が困難となった場合に、障
害者支援施設等において、
日中活動の場を提供しま
す。
医療と常時介護を必要
とする人に、医療機関で機
能訓練、療養上の管理、看
護、介護及び日常生活の世
話を行います。
在宅の重症心身障害児
(者)を対象に、通所により
訓練・療育を行います。
夜間や休日、共同生活を
行う住居で、相談や日常生
活上の援助を行います。
夜間や休日、共同生活を
行う住居で、入浴、排せつ、
食事の介護等を行います。
保証人がいないなどの
理由により一般住宅の入
居が困難な障害者に対し、
入居に必要な支援を行い
ます。
自立した日常生活又は
社会生活ができるよう、一
定期間、身体機能又は生活
能力の向上のために必要
な訓練を行います。
補装具費を支給します。
日中一時支援事
業
(障害児タイム
ケア事業除く)
療養介護
重症心身障害児
(者)通園事業
共同生活援助(グ
ループホーム)
共同生活介護(ケ
アホーム)
住宅入居等支援
事業(居住サポー
ト事業)
自立訓練(機能訓
練)
自立訓練(生活訓
練)
補装具費の支給
児童デイサービ
ス
日中一時支援(障
害児タイムケア
事業)
18 年度末見込
(17 年度実績)
平成 23 年度目標値
(2,184 件/月)
2,720 件/月
(317 人/月)
580 人/月
(85 人/月)
280 人/月
―
330 人分
(60 人分)
120 人分
(200 人分)
740 人分
―
9 箇所で実施
―
80 人分
―
300 人分
(2,524 件/月)
3,100 件/月
障害児に、日常生活にお (17 人分)
ける基本的な動作の指導、
集団生活への適応訓練等
を行います。
知的障害のある中高生 (2 箇所)
等の放課後の活動場所を
確保し、親の就労を支援し
ます。
147
100 人分
8 箇所
事業項目
生活介護
施設入所支援
事業の実施方針
18 年度末見込
(17 年度実績)
常に介護を必要とする ―
人に、昼間、入浴、排せつ、
食事の介護等を行うとと
もに、創作的活動又は生産
活動の機会を提供します。
施設に入所する人に、夜 (1,420 人分)
間や休日、入浴、排せつ、
食事の介護等を行います。
148
平成 23 年度目標値
1,900 人分
1,340 人分
3 施策体系
〔高齢者〕
1.介護保険事業の円滑な推進
(1) 総合的な介護予防の推進
(ア)要支援・要介護状態になることの防止(地域支援事業による介護予防事業)
(イ)要支援者への対応(予防給付)
(2) 住みなれた地域での生活支援
(ア)保健・医療・福祉が連携した総合的・継続的なケアの提供
(イ)あんしんすこやかセンター(地域包括支援センター)の整備・運営
(ウ)認知症高齢者への支援
(エ)地域密着型サービスの展開等なじみの生活圏での支援強化
(3) 施設・居住系サービスの適切な整備
(4) 制度の適正な運営
(ア)適正な要介護認定の確保
(イ)サービスの質の確保・向上、及び介護給付の費用適正化
(ウ)総合的な相談・情報提供体制の整備
(5) 低所得者などに配慮した負担の在り方
(6) 後期実施計画(介護サービス利用量の推計)
①施設・居住系サービスの利用見込
②居宅サービスの利用見込
③新たなサービスの利用見込
④第3期事業計画期間における整備目標
(2) 地域見守り活動の推進
・ひとりぐらし高齢者などへの地域見守り活動の推進
・小地域見守りネットワークの推進
・ひとりぐらし高齢者友愛訪問活動の推進
・ひとりぐらし高齢者ふれあい給食活動の推進
・ひとりぐらし高齢者に対する配食サービスの実施
・生きがい対応型デイサービス(介護予防・閉じこもり防止型デイサービス)
・見守り推進員の配置
・シルバーハウジングにおける生活支援の実施
・緊急通報システムの取組み
・シルバーフレンド訪問支援事業の推進
・高齢者相互支援事業の推進
・テレフォンサポート事業の実施
・ガスメーター等のICTを活用したサービスの提供
・高齢者自立支援拠点づくり(あんしんすこやかルーム)
149
・災害時要援護者の避難支援の検討
・介護予防訪問指導事業の実施
・要介護者の歯科保健対策
・ひまわり収集の実施
・老人クラブの育成・支援
150
〔子ども〕
(1) 在宅サービス
・総合児童センターの運営
・保育所の整備
・(新規)民間保育園の老朽改築
・延長保育の実施
・一時保育の拡充
・フッ化物洗口の実施
・すこやか保育の実施
・病後児保育の拡充
・休日保育の拡充
・夜間保育の実施
・第三者評価の実施
・公立保育所主食提供の全園実施
・保育所入所児童健康診断の実施
・学童保育の拡充
・子育てリフレッシュステイ事業の実施
・母子福祉センターの運営
(2) 施設サービス
・乳児院・児童養護施設の整備
・母子生活支援施設の整備
・児童養護施設等入所児童の自立支援
・(新規)児童養護施設等入所児童の処遇の充実
(3) 地域ぐるみでの子育て・青少年の健全育成
ア.地域社会の子育て・青少年の健全育成
・子ども会の育成
・児童館の整備
・児童館事業の実施
・(新規)放課後子ども教室の実施
・こども110番青少年を守る店・守る家、守る車の推進
・子どもの遊び場づくりの実施
・保育所地域子育て支援センターの拡充
・保育所地域交流事業の拡大
・ファミリーサポートセンターの充実
・母子健康づくりグループの支援
・子育てコミュニティ育成事業の推進
・子育てサークル支援
151
・青少年団体の育成と加入促進
・青少年活動リーダーの養成
・青少年を地域で讃える賞の実施
・青少年育成協議会支部との連携、青少年育成委員の活用
・青少年の居場所づくりの推進
・地域による青少年の居場所づくり事業の推進
・青少年育成市民運動の推進
・青少年情報の発信
・(新規)神戸市青少年育成中期計画の推進
・民生委員・児童委員、主任児童委員の児童健全育成活動の推進
イ.相談機能の充実
・児童に関する相談業務の充実
・児童虐待防止対策の実施
・発達障害支援の推進
・(新規)大学と連携した新たな子育て支援事業の推進
152
〔障害者〕
(1) 障害福祉サービス
(2) 利用者本位のサービス提供
(3) 後期4か年に相当する実施計画
入所施設や精神科病院からの地域生活への移行
・入所施設から地域生活への移行
・精神科病院から地域生活への移行
障害者の選択による生活の質の充実
・障害者の選択による生活の質の充実
・障害者地域生活支援センター
・居宅介護
・重度訪問介護
・行動援護
・重度障害者等包括支援
・日常生活用具給付事業
・短期入所
・日中一時支援事業
・療養介護
・重症心身障害児(者)通園事業
・共同生活援助(グループホーム)
・共同生活介護(ケアホーム)
・住宅入居等支援事業
・自立訓練(機能訓練)
・自立訓練(生活訓練)
・補装具費の支給
・児童デイサービス
・日中一時支援(障害児タイムケア事業)
・生活介護
・施設入所支援
153