29.生命科学実習Ⅶ(必修)

29.生命科学実習Ⅶ(必修)
担 当 教 員
対 象 学 年
若宮伸隆、吉田逸朗、小笠原正洋、大谷克城、福澤 純、伊 亮、山 浩、中尾 稔、迫 康仁、立野正敏、佐藤啓介、小林博也、塩野 寛、安積
順一、浅利 優、◎伊 喜久、林由紀子、河端薫雄、赤坂和美、紀野修一
開 講 時 期
単 位 数
コ マ 数
第 2 学 年
前 期
1単位
45コマ
履 修 の 目 的
免疫機構に関わる生体内の反応を、下記のテーマの実験により観察・解析することを通し
て、免疫系が非自己(
)を認識するシステムであることを理解する。
血清反応Ⅰ、Ⅱ、Ⅲでは、ゲル内沈降反応法による抗原抗体複合体の検出、及び補体系の活
性化による溶血反応を行う。これらの実験により、抗原抗体反応の特異性、補体系の活性化経
路、並びに生理活性物質の活性単位に関する基礎理論を習得し、液性免疫に関与する因子の作
用機序についての理解を深める。
生体防御反応で重要な役割を果たす免疫グロブリンの化学構造を、
‐ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動法によって理解するとともに、感染症をはじめ様々な疾患の診断の際、抗体検
出法として広く用いられているウェスタンブロット法と酵素抗体法(
)についてその原
理と手技を学ぶ。
移植における組織の生着と拒絶反応Ⅰ、Ⅱ、Ⅲでは主要組織適合抗原複合体(
)が一致
するマウス間、一致しないマウス間での皮膚移植を行い、移植片の生着と脱落を観察する。こ
の実験により、移植片拒絶反応における
の関与を修得し、生体の異物排除機構に関する理
解を深める。
輸血免疫Ⅰ、Ⅱ及び抗原抗体反応による臨床検査では
式血液型を始めとするヒト血液型
検査、並びに実際の日常検査で使用されているキットにより臨床に直結する検査を行う。
これらの実験により、型不適合輸血あるいは輸血後肝炎等の、輸血による副作用を防止する
ための検査法の基礎理論を習得して、輸血と臨床上重要な免疫反応検査の理解を深める。
による悪性リンパ腫のモノクロナリティーの検討Ⅰ、Ⅱ、Ⅲでは末梢血 リンパ球の免
疫グロブリン遺伝子を
(
)法により増幅・検出する。この実
験により、悪性リンパ腫の
解析法の基礎理論を修得して、遺伝子診断法に関する理解を深
める。
授業の形式(板書、プリント、視聴覚機器の活用、学外見学など)
テーマ毎に、実験の目的、実験に必要な試薬調整、実験方法など必要事項をまとめた資料に
ついて解説しながら実験を進めていく。実験は互いに関連しているので、最終的には得られた
実験結果に考察を加えたレポートを作成し、これを教官に提出する。
成績評価の基準等
筆記試験を行い、レポートの評価と合わせて総合的に成績を評価する。
学生へのメッセージ(履修上の心得など)
免疫グロブリンに関する講義内容をこの実験を通じて理論と方法を修得し一層理解を深め、
大きく変貌しつつあるこの領域の科学の息吹を感じ取ってもらいたい。
〈教科書・参考図書〉
書 名
(参)免疫学イラストテレイテッド
第5版
著 者 名
多 田 富 雄 監 訳
発 行 所
南
江
価 格
堂
6,800円
生命科学実習Ⅶ 第2学年・前期・45コマ(必修)
コマ数
1
2
3
履 修 主 題
履 修 内 容
担当教員
血清反応Ⅰ
ゲル内沈降反応
法による抗原抗
体反応の検出
異種動物アルブミンとこれらに対する抗体を用いて、
オクタロニー法による寒天層内沈降反応を行い、未知抗
原を同定することにより、抗原抗体反応検出法の基礎を
修得して、抗体が抗原分子に特異的に結合する蛋白質で
あることを理解する。
若宮
吉田
小笠原
大谷
福澤
(微生物学)
免疫グロブリンの構造解析に不可欠な試薬の調製と免
疫グロブリンのタンパク質分解酵素処理を行なう。
伊藤(亮)
山
中尾
迫
(寄生虫学)
4
5
免疫グロブリン
の構造解析
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
移植における組 移植における拒絶反応と、主要組織適合抗原複合体
立野
織の生着と拒絶 (
)との関連を解析することを目的として実験を
佐藤
反応
行なう。
の一致するマウス間、異なるマウス間で
小林
Ⅰ
(病理学2)
皮膚の移植を行なう。
‐ポリアク
リルアミドゲル
電気泳動、ウェ
スタンブロット
法ならびに酵素
抗体法
ウェスタンブ
ロット法と酵素
抗体法
18
19
20
21
22
23
24
伊藤(亮)
山
中尾
迫
(寄生虫学)
移植における組 皮膚移植を施したマウスにおける移植片の生着と脱落
立野
の組み合わせとの関連
佐藤
織の生着と拒絶 を観察・判定しその結果と
を解析して、免疫系による異物排除機構における
小林
反応
(病理学2)
の役割を理解する。
Ⅱ
16
17
‐ポリアクリルアミドゲル電気泳動による免疫グロ
ブリンの構造解析を行なう。また、ウェスタンブロット
法では抗原の膜転写、酵素抗体法では抗原感作の手技を
習得する。
伊藤(亮)
山
ウェスタンブロット法と酵素抗体法による発色反応に
中尾
よって抗体の検出を行なう。
迫
(寄生虫学)
移植における組 不適合移植により脱落した移植片の病理組織標
立野
織の生着と拒絶 本を作製・観察して、その病理像の特徴と意味を学び、
佐藤
反応
拒絶反応における免疫機構の作用機序に関する理解を深
小林
(病理学2)
Ⅲ
める。
血清反応Ⅱ
補体系の活性化
による溶血反応
と溶血素価 羊赤血球と抗羊赤血球抗体(溶血素)との抗原抗体複
合体が補体系を活性化し溶血が引き起こされる反応を、
定量的に行って溶血素価を測定し、補体系の活性化経路
を修得して、細胞膜障害複合体(
)の作用に関する
理解を深める。
若宮
吉田
小笠原
大谷
福澤
(微生物学)
生命科学実習Ⅶ 第2学年・前期・45コマ(必修)
コマ数
25
26
27
28
29
30
履 修 主 題
血清反応 Ⅲ
補体系の活性化による羊赤血球の溶血反応を定量的に
補体系の活性化
行って補体価を測定し、生理活性物質の活性単位の定義
による溶血反応
法を習得するとともに、補体系に関する理解を深める。
と補体価
輸血免疫Ⅱ
交差適合試験
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
担当教員
若宮
吉田
小笠原
大谷
福澤
(微生物学)
赤血球表面抗原検査法としての、
式血液型検査法
塩野
輸血免疫Ⅰ
(おもて/うら
)並びに 抗原(
安積
免疫赤血球型検
式)検査法を修得して、輸血後免疫反応による重大な副
浅利
査法
作用防止法としての血液型検査の意義を理解する。
(法医学)
31
32
履 修 内 容
伊藤(喜)
林
式及び 式血液型以外の赤血球型に対する不規
河端
赤坂
則性抗体による、輸血副作用防止の検査法に関する理解
(検査医学)
を深める。
紀野
(輸血部)
抗原抗体反応は生体物質の特異的高感度な検出を目的
抗原抗体反応に として多くの検査用キットに応用されている。実際に臨
よる臨床検査
床検査で使用されている各種キットを用いて、抗原、抗
体を検出し、基本原理、測定の意義を考察する。
による悪
性リンパ腫のモ
ノ ク ロ ナ リ
ティーの検討
Ⅰ
伊藤(喜)
林
河端
赤坂
(検査医学)
(
)法による遺伝子
立野
診断法の原理と方法を修得することを目的として実験を
佐藤
行なう。
法における鋳型
材料を得る目的で、
小林
採血した末梢血の細胞およびリンパ腫細胞から
を
(病理学2)
抽出する。
による悪
鋳型
材料から免疫グロブリン 鎖(
)遺伝子
立野
性リンパ腫のモ
を増幅するための
を行なう。
遺伝子の再構成を
佐藤
ノ ク ロ ナ リ
検出できる
プライマーをセッティングして反応を
小林
ティーの検討
(病理学2)
行い、遺伝子診断法の基礎を修得する。
Ⅱ
による悪
性リンパ腫のモ
ノ ク ロ ナ リ
ティーの検討
Ⅲ
により増幅した
断片をアガロースゲル電気
立野
泳動法により大きさで分画し、その結果を解析して悪性
佐藤
リンパ腫のモノクロナリティーについて理解するととも
小林
に
を検査材料とする遺伝子検査法について理解を
(病理学2)
深める。