リプレイ：混沌狩り 第 2 話：尽きぬ悦楽 初版時より15 年の月日を経て、ついに混沌に関するあらゆる情報が詰められた 魔書『堕落の書：トゥーム・オヴ・コラプション』が、日本の冒険者のもとへ届けられた。 禍つ神々が提示する堕落の果実は、我々の実存の奥底を捉えて放さない。世界はい ずれ、混沌の力に包まれる。そう、我々は知っている。だが、半ば勝てないと悟り つつも、あえて混沌の支配に抗うのもまた、痛々しくも甘美なものだ。ここに紹介 する、破滅へ向かって突き進む狩人たちの姿を見て、諸君も、明日無き旅路へ乗り 出してくれ！ 文：岡和田晃 前回のあらすじ ケイオス・チャンピオン 彼は、ナーグルの混沌の魔将の装備を手に入れる ことで、その地位を引き継ぎ、人間を超えようと企 てていたのである。 一行は、ナーグル腐れ病に罹患する恐怖に駆ら れながらもベッケンバウアーとその手勢を倒したが、 ケイオス・チャンピオン 混 沌の魔将が身につけていた「百目の兜」は、金 豹騎士アルブレヒトを次の標的に定め、心の隙間に 入り込んだ。アルブレヒトの身体は密かに混沌変異 し、腹には第二の口が開いていたのだった……。 ボリス・トッドブリンガー伯爵率いるミドン軍団の 精鋭は、遠く" 白狼の都 " ミドンヘイムを離れ、エ ンパイアの地を脅かす混沌の軍勢の討伐に出かけ ていた。その最中、南方よりビーストマンの大群が 迫ったという情報が届けられた。伯爵は分遣隊を組 織し、ビーストマン退治へ乗り出させることにした。 シーカーズ 一方、魔狩人の精鋭 " 探求者 " の手から辛くも逃 げ出した魔女のレジーナは、偶然分遣隊と合流し、 ナ ー グ ル 行動を共にすることとなった。 腐敗の神の子ら だが、隠密修道士フェリックスの上司ブロッホが 睨んだ通り、分遣隊の隊長に任じられたベッケンバ GM： 「混沌狩り」第 2 話が始まるよ。君たちはベッ ウアー金豹騎士団副団長は、混沌に魅入られていた。 ケンバウアー卿らを完膚無きまでに虐殺した。それ キャラクター紹介 174 アルブレヒト フェリックス 貴族→従者→金豹騎 士。背 徳 の 物品に魅 入られ、 「惨状を笑う 者」の精神障害を抱 える。担当は、ミステ リ・レビュアーの坂本 峻平氏。 漂泊者→托鉢僧→隠 密 修 道 士。上司のパ ワーハラスメントに本 気に悩む禿頭の美男 子。教 育 学を研 究す る SF 者、香子氏が担 当。 コンラッド レジーナ 遺 跡荒らし→吸血鬼 狩人→魔狩人。愛犬 タマナスを失い、途方 に暮れている。担当は、 「Scoops RPG」 等 で活躍中の高橋志行 氏。 似 非 魔 術 師 → 魔 女。 薄 幸 の 17 歳。 「 腐り ゆく肉体」の精神障害 を持つ。担当は、バン ド活動や合 気道に八 面六臂の活躍の横井 久美子氏。 も束の間、巨大なビースト・オヴ・ナーグルが、ド スンと近づいてくる……。イニシアチブをお願い。 や 高橋：いきなりホットスタートかよ！ 俺の演る ウィッチ・ハンター 魔狩人のコンラッドは（コロコロ）49。俺からみた いだな。辛うじて「恐怖」はしないで済んだが、使 い慣れない連射式クロスボウは外しちまったぜ。 クロークド・ブラザー 香子：自分の役は隠密修道士のフェリックス。ああ、 自分は「恐怖」してしまっていて何もできません。 ナイト・パンサー 坂本：わしは金豹騎士のアルブレヒトを担当してお るのだが、前回、卿から強奪した「百目の兜」が提 示した破滅のヴィジョンが頭を渦巻いているので、 千鳥足になりつつ、不敵にほくそ笑んでおる。 GM：では、心なしか「百目の兜」が期待の眼差しで、 自分を見つめてくる気がする。同時に、前回の冒険 で受けた混沌変異によって開いた腹の口の方から、 「迷ウナ、コノ隙ニ、背後カラバッサリヤッチマエ！ 母上様ニ、イイトコ見セロヨ！」と声が。 ウィッチ 久美子：わたしは魔女のレジーナをプレイしていま す。幸い、 「恐怖」しないで済んだのですが、まず はビースト・オヴ・ナーグルを足止めしなければ。 「突 風」の呪文を唱えます！ 「ティーンチの呪い」も降りかからず、呪文はうま く功を奏し、恐るべきビースト・オヴ・ナーグルは接 近できなくなった。だがコンラッドは、アルブレヒト の様子がおかしいということに気がつく。 コンラッド： （コロコロ） 〈察知〉テストは成功だ。奴 の腹から妙な声が聞こえる。そもそも、あんな後生 大事に兜を抱えているのも変だ。直観を働かせ「何 をやっているアルブレヒト！ その兜を捨てろ！」と 叫んで、組みつく。 （コロコロ）武器技術度テストは 失敗。くそ、幸運点でも失敗！ アルブレヒト： （妙に顔を引きつらせながら） 「どうし た、コンラッド。わしなら心配無用じゃ」 GM：では、コンラッドはアルブレヒトの鎧の隙間か おことわり：コンラッドが成長で《肝っ玉》の異能を取得しているのは、ハウスルールを適用した措置になります。気になる方は、別の異能を取得したものの本キャンペーンでは 使用する機会に恵まれなかったと読み替えをいただけましたら幸いです。 撤退と成長 ら、小型のディーモン、ナーグリングが顔を出した たわい。 のをばっちり見てしまった。で、ナーグリングは、 「オ GM：ビーストから離れて、村の入口へと戻ると、そ GM：では、君の腹にある口が、勝手にわめき始める。 マエガ、仲間ダト思ッテイタ奴ハ、オマエヲ殺ソウト こには後に待機させていた分遣隊の連中が、無惨な 「お前たちの中にも、混沌がいるんだな！」案の定、 シテイル。殺ラレル前ニ、殺レ！」 死体となって転がっており、既に蛆が湧いている。 金豹騎士たちが騒ぐ。 「誰だ、今のは！」 コンラッド： 「ディーモンの声が、聞こえるぞ！ ア コンラッド：……もう蛆になっているのか。 アルブレヒト： 「はは、おふざけが過ぎましたようで。 ルブレヒト、貴様は混沌に侵されているのか！」 フェリックス：ここは退散した方がよいでしょう。 その、場の空気が堅かったので、ちょっとした芸を アルブレヒト： 「いや、わしはそんなことない！」 かくして一行は街道を北上し、伯爵率いる本隊の しようと考えた次第でして、その……」 GM： 「ソウ、オマエハ並ノ混沌ジャナイ。" 終焉ノ もとへと戻ることとなった。その道中でも、ナーグル フェリックス： 「申し訳ありません。ネッツァー殿は 主 " あーけぃおんヲ超エラレル器ナノダ！」では、ア の腐れ病に罹患した貧民などに出くわしたため、レ 混沌との戦いで、少し疲れているのです」 ケイオス・ウォリアー ウォーロック ルブレヒトは「次のキャリア」に「混沌の戦士」と ジーナは、かつての冒険で対峙した黒魔術師サロー GM：激昂した騎士たちは静まらない。 「混沌との戦 書いてね。そして、ナーグリングの「母上様」こと トの広範囲に渡る悪行を思い出さずにはいられな いと言っても、負け戦ではないか！ 肝心のビースト グレート・アンクリーン・ワンから、 「ナーグル神の かった。 マンはどうした？ 奴らを斃し、証拠に鼻を削いで 恩賞」が与えられる。アルブレヒト、 1d100 をお願い。 GM：長い旅を終え、デルベルツの街に着いたよ。 持ってきたのか？ それに、その女は何者だ？」 アルブレヒトト： （コロコロ）49！ コンラッド：さっそく、幸運のお守りを補充し、あと、 コンラッド： 「レジーナ殿は大事な情報提供者です。 GM：では「疫病」だ！ 喜べ、君がナーグル神に 新しい軍犬も購入しよう。 （コロコロ） 〈世間話〉テ 彼女の情報がなければ、我らも遅かれ早かれナーグ 溺愛されていることの証に、君の周囲 500 フィート ストにはことごとく失敗……。 ルどもの餌食となっていたことでしょう」 以内にいるすべてのキャラクターは、疫病に苦しめ GM： 「悪いなァ兄ちゃん、もうお守りは売り切れだ。 コンラッドの一言で、騎士たちは静まりかえった。 られるぞ！ 全員、 【頑健力】テストだ！ あとウチのワン公、どうやらあんたにはなつかないみ というのも、彼らが苛立っていたのは理由があった コンラッド：これはやばい！ （コロコロ）最後の幸 てェだ。人見知りはしないはずだがな……」 からだ。一行が本隊を離散していた間、もう一方の 運点使って失敗、幸運のお守り 2 個使って失敗 コンラッド：魔狩人になるコースは人に好かれるた 金豹騎士副団長コールハース卿が、突然、 「血の暗 ……。 （間髪入れず）なぁ GM、病気って何だ？ めの色んなものを捨てるからなあ（嘆息する） 。 黒神に血を捧げよ！」と狂乱し、殺戮の限りを尽く GM：本当は教えられないんだけど、今回は特別サー GM：ろくにモノは買えなかったみたいだけど、経験 したという事件が起こったという。当のコールハー ビス。 （コロコロ）よし、 「赤痢」と出たよ！ 点の精算はここでやっちゃおう。では、大出血サー スは、ウルリックの聖堂騎士である白狼騎士団の力 コンラッド：仕方ない、これは 3 日で菌を撒き散ら ビスで 400 点プレゼント！ 各自、成長を申告して。 を借りて仕留められた。しかし、ミドン軍団の多くは、 して死ぬな。仲間に迷惑はかけられない。 【運命点】 フェリックス： 【知力】を 15％上昇させ、 【頑健力】 いまだに、身内に敵が潜んでいるのではないかと、 を使う！ を 5％上げました。 〈察知〉は＋ 20％なので、これ 疑心暗鬼に陥ってしまっているのが現状なのだ。 GM：では、 「疫病」の効果は消え失せた。ナーグリ で自分は〈察知〉88％という驚異的数値に（笑） コンラッド： 「私の経験から申し上げますと、人は混 ングは、さぞかし残念そうにしている。 コンラッド： 《肝っ玉》と《特殊武器：クロスボウ類》 沌のアーティファクトに触れて、汚染されていくもの。 コンラッド：こうなったら、アルブレヒトに悪さを吹 に〈学術知識：死霊術〉を取り、 【意志力】を 5％ 何か、そのような経緯があったのでは？」 き込むナーグリングをなんとかするしかないな！ 成長。これで対「恐怖」テストに 7 割近く成功し、 辺りは静まり返った。 会議を取り仕切るボリス・ トッ レジーナ：わたしが「イバラを生みしもの」の呪文で、 遠近両用戦闘、さらに吸血鬼にも詳しいとなる。 ドブリンガー伯爵がおもむろに合図をすると、近侍 ビーストを対処しますから、そのうちに！ アルブレヒト： 【武器技術度】と【耐久力】を伸ばし、 が黒檀の箱を取り出した。中には、コールハース卿 アルブレヒト： （辛うじて正気に戻ったかの様子で） 〈打撃回避〉を熟練。 《重傷打撃》を取った。 が後生大事に抱えていた赤黒い宝石が収められて 「わしがまだまともなうちに、頼む……」 レジーナ：わたしは「輝ける武器」と「嫌 コンラッド： 「お前の想い、無にはしない！」 悪すべき者どもへの障壁」の《俗魔術》 コンラッドはアルブレヒトに非致傷打撃を与えつ を取って、ディーモンにもアンデッドにも つ、聖水を含ませた布を、変異した腹の口に突っ込 対応できるようにしておきました。あと、 み、ナーグリングを掻き出そうとした。すると……。 GM に許可をもらって、使い魔用に使え れるむ・おう゛ ・けいおす GM： 「イヤア、ばっちい！ モウ嫌ダ、混 沌ノ領 域 る経験点をプールしておいたぶんがある へ帰ルウ！」ちっ、では、イバラでダメージを受ける ので、蜥蜴のキルヒが「幸運のお守り」 のも厭わず、ビーストが進軍しよう。 の能力を得ました。 コンラッド： 「アルブレヒト、兜を捨てろ！」 アルブレヒト： （必死の形相で） 「そうは言っても、 作戦会議 兜が手に吸い付いて、離れないんじゃ！」 GM：デルベルツを離れ、1週間ほど歩き、 この後、アルブレヒトは四苦八苦している間に、 ようやく君たちは本隊と合流できたよ。 ビーストの 6 回攻撃を受けたが、なんとか生き延び ちっ、特にワンダリング・モンスターにも た。結局、彼は苦汁の決断を下し、最後の【運命点】 出逢わなかったみたいだ。君たちが本隊 を用いて、無理矢理兜を剥ぎ取り、遠くに投げ捨て に戻ると、さっそく会議が招集された。 たのだった。だが、ビーストの側にいたコンラッドは ベッケンバウアー卿のことを報告すると、 「腐敗の具現」の効果を受け、 【頑健力】が永続的 さすがにどよめきが走るよ。では、アル に 9 点減少する羽目となってしまった。 ブレヒトは〈腹話術〉テストをしてみて。 アルブレヒト： （コロコロ）成功してしまっ 175 バトル・ウィザード いるという。軍属魔術師曰く、どうやら、卿を狂気 へと導いたのは、この、並々ならぬ魔力を秘めた宝 石に違いないという。 ただ、その宝石が何であるのかを解析するには、 ミドンヘイムの神学大学校にて本格的に研究を行な う必要がある。もちろん伯爵は、充分な戦果を上げ るまでミドンヘイムの街へは戻れない。 そこで、ベッケンバウアー卿の変化を目の当たり にした一行が、宝石の正体と来歴とを探り出す任務 を与えられることとなったのである。 堕落は止まらない GM：会議が終わった後、フェリックスは隠密修道 会の上司のブロッホに呼び止められる。 「くく、やは りベッケンバウアーはナーグルに汚染されていたで あろう。この身の言うとおりだったではないか」 フェリックス： 「さすがは、ご慧眼です」 GM： 「そうだろう。おそらくはベッケンバウアーを そそのか 唆した奴がいるに違いない。この身の見立てでは、 コ ー ン ラット おそらくあの血の神だとか鼠だとか言う流れ者の魔 狩人が真犯人だ。ついでに言えば、会議の途中で 騒いだ奴もおそらくは、流れ者の魔狩人に操られて いるに違いない」 コンラッド：すごい妄想力だ（笑） フェリックス：また始まったよ、と思いながら（笑） では、今後とも見張れとのお達しですね」 GM： 「そうではない。もう充分見張った。後は奴が 犯人だという" 証拠 " を見つければそれでよい」 フェリックス： 「でっちあげろということですか」 GM： 「そんなことは言っておらんよ。ただ、奴が犯 人であることは絶対に間違いないからして、万が一 176 証拠が不充分だとしても問題ないということだ」こ こでいきなり、フェリックスのうなじをかぷっと。 フェリックス：ひえーっ！ マジで寒気が。隠密修 道士って、次のキャリアに「暗殺者」があるんです よね。本当に、転職を検討しようかな（笑） 神学大学校にて こうして一行は本隊と離れて、ミドンヘイムへと 向かった。城塞都市ミドンヘイムは山の上にあるの だが、その麓で何やらドワーフたちが騒いでいる。 レジーナが話を聞くと、 「混沌の嵐」に伴うミドンヘ イム包囲戦の際、鼠人間スケイヴンらに内側から攻 められないようにと封鎖された下水道やトンネルが、 次々と破られているらしいと教えられる。 ただならぬ事態が進行しているらしいと思いつつ、 一行はミドンヘイムの " 北門 " から中へ入る。街は 包囲戦の影響でスラム化が激しくなっているものの、 神学大学校へ行く前、デルベルツで買えなかった軍 用犬を無事購入することができた。コンラッドは、 喜んでカインビュルと名づける。その後、身なりを 整え、" 自由人の城 " 区域の神学大学校へ向かった。 GM：君たちの応対に当たるのは、人手不足のため にアルトドルフの光の学府から派遣されてきた、 マギステル き ざ 導 師テルツキという気障な優男だ。 レジーナ：ええっ！ テルツキだったら、わたしは面 識あるはずですよね。 GM：そうだね。エックハルトに連れられ、何度か 君の元勤務先の酒場にやってきたことにしよう。 エックハルトとは、本リプレイの前身「魔力の風 を追う者たち」での登場人物で、レジーナの仲間。 テルツキは、エックハルトの悪友なのだ。 デ モ ネット : Demonette 肉 塊 の 呪 い : Fleshy Curse デモネットは、スラーネッシュの強力な象徴である。 " 悦楽の皇子 " の歪んだ意志に仕えるためだけに存在し、 ある意味では彼らは彼の分身で、堪能した官能的な経 験と、堕落した感性を興奮させる加虐行為に歓喜する。 彼女たちは戦争でスラーネッシュの兵隊としてたびた び使われるが、時々 " 大蛇 " はこれらのクリーチャー の 1 人を邪悪な贈り物として定命者に遣わす。そして、 たいていデモネットはその定命者を殺してしまう。 " 悦楽と苦悶の皇子 " の全てのクリーチャーと同じく、 デモネットたちも恐ろしくて嫌悪すべき存在である。 まともな考えを持ったクリーチャーは、これらの無慈 悲な殺戮者たちに美を見い出さないが、これらのディー モンは何かしら目を引いて楽しませる外見をしており、 彼らの口に出さない意志から目を逸らさせる。クリー ム色で青白い肌をしており、両目は大きなエメラルド 色の深淵で、髪の代わりに角状の骨がうねを作る。両 手の代わりに、両腕の先にカニの爪のような鎌状の鉤 爪が付いている。人間台のこれらのディーモンは、先 に黒い鉤爪がある足のついた両脚で直立する。 奇怪な姿であるので、これらが誘惑者であることを 想像しがたい。歴史は、彼女たちのうっとりさせる存 在と甘い言葉は、多くの定命者を死へ誘惑したとたび たび証明している。デモネットは、鼠をすくみ上がら せる蛇のように、意志薄弱な者をくぎづけにし、より 近づけさせ、確かな動きをし、完璧な唇でふしだらな 言葉をつづり、惑わし、誘惑する。彼女が鉤爪を敵に 突き刺せるほど近づかせるまで。定命者が死んだ時、 彼の命の血が奔流となって流れ出し、彼女は殺人の身 震いと恍惚感、気まぐれな心に性的興奮を与える定命 者の痛みによって哄笑する。 発動値：25 発動時間：半アクション 具材：大きく成長して一塊にされた、生きたクモ 144 匹（＋ 3） 解説：君は、24 ヤード（12 マス）以内の単体のクリー チャーに、制御できない恐るべき過剰発育を促すこと ができる。対象は「困難」 （− 20％）での【意志力】 テストに成功すると呪文に抵抗できる。この呪文を君 が唱えてから毎ラウンド、以下の表で 1d10 をロール し、そのラウンドの効果を決定すること。 肉塊の呪い ロール そのラウンドの効果 1〜 3 犠牲者は肥大し、腱や筋肉は肉体を突き破りランダム な方向へ 2 ヤード（1 マス）噴出する。そこにいたす べての生き物は【敏捷力】テストに失敗すると、肉の 残骸の下に埋没してしまう。それ以降、毎ラウンド「手 強い」 （− 10％） 【敏捷力】テストを行ない、成功す ると抜け出すことができる。1 分以上埋没していると 「窒息」の危険が発生する。 4〜6 触手がランダムな方向に 1d10×2 ヤード（1d10 マ ス）飛び出る。触手が通過した場所にいたものはすべ て【敏捷力】テストに失敗するとダメージ値 3 の命中 を受ける。 7〜8 このターンは何事も起こらない。 9〜0 犠牲者と肥大した肉塊はランダムな方向に 1d10 マス （×2 ヤード）移動する。 『肉塊の呪い』の効果は永続 的なものである。犠牲者の成長は『解呪』されるか、 犠牲者が死亡するまで継続する。 『肉塊の呪い』のすべ ての効果は『解呪』されることによってすべて消失す る。呪文の効果持続中、 犠牲者は無防備状態と見なされ、 一切行動できない。 GM：テルツキは君たちのほうをろくに見もしないが、 エックハルトの名前を出すと俄然、食いつきがよく なる。 「あいつの頼みなんが聞きたくないが、美しい ご婦人の願いを袖にするわけにはいかない」でも、 目はレジーナを見ていない（笑） 「では、鑑定結果と 対処法を調べるのに、一週間ばかり時間をいただけ るかな」と、おもむろに箱を開ける。 レジーナ：相変わらずナルシストだと思いつつ…… えっ、箱を開けちゃうんですか！ GM：では、レジーナは〈察知〉でお願い。 レジーナ： （コロコロ）成功。加えて《第六感》！ GM： （コロコロ）そちらは、特に何もひっかかるも のはない。で、心なしか、箱を開けた時に、中からうっ すらと赤い光が出て、テルツキがニヤリと唇を歪ま せたような気がしたね。 レジーナ： （コロコロ）こういう時に限って、 〈魔力感 知〉に成功していない……。でも、じろじろ見てい ると不審なので、 「それでお願いします」 GM： 「そうそう、宝石の来歴を探っていると言ったね。 今夜、宮殿で仮面舞踏会が開かれるというから、そ ちらで聞いてみたらよいのではないかな？ この私 も、付き合いで参加する予定だ」 一行は舞踏会用に仮面を見繕い、宮殿へと赴く ことにした。フェリックスは途中、 情報屋が集まる 〈最 後の一滴〉亭で話を聞いた。それによると、 「包囲戦」 の被害が激しい " 古草市場 - 古草地区 " 区域あたり の若者が、突如凶暴化して、警備兵に襲いかかっ たりする事件が多発しているとのことである。 ソ ド ム 仮面舞踏会の夜 GM：では夜になり、仮面舞踏会に参加することと なった。伯爵の紹介状があるから、すぐに入れるよ。 と、廊下で、お付きの次女 4 人に囲まれた、美しい 婦人が通りかかる。コンラッド、君がラーミア・ヴァ ンパイアじゃないかと狙っているローエンシュタイン 伯爵夫人だよ。 「あなたは見ない顔ね」 コンラッド： 「ベッケンバウアー卿の護衛です」適 当に言い繕って、見え透いたお世辞を。 GM：夫人はかっと眼を見開く。 【意志力】テスト。 コンラッド： （コロコロ）失敗。幸運点を使っても、 失敗。幸運のお守りを補充ぶんで、なんとか成功。 GM：君はふっと気が遠のきかけた。けれども、な んとか持ち直したね。 コンラッド：気づかないふりして、ホールに入ろう。 GM：では、既に 20 組ほどの男女が、仮面をつけ て踊っている。正面は一段高く、ステージのように なっていて、オーケストラが BGM を奏でている。で、 入ると、アルブレヒトとコンラッドは、それぞれ別の 貴婦人に引っ張って行かれる。アルブレヒトのお相 手は、40 代くらいの妙齢の貴婦人。コンラッドはだ いたい 20 代後半。どちらも驚くほどボディが豊満。 レジーナ：わたしは、テルツキを探します。 GM：派手に髪をかき上げる仕草で、すぐにわかる。 相手も気がついたようで、ごく自然に踊りに誘う。 レジーナ：ぎこちなく、相手に合わせて踊ります。 フェリックス：自分は、 〈姿隠し〉で、物陰に潜んで います。 （コロコロ）成功です。 れ上がり、破裂して噴出するのを感じ取った！ ホーリー・ハンマー・オヴ・シグマー フェリックス：なんてことでしょう！ レジーナ：悔しいけど、ここで最後の【運命点】！ GM：ＯＫ。君たちは急いで、淫らな行為に耽りつ つ血の海に沈んでいく舞踏会場を後にした。 ラーミア・ヴァンパイア 本誌リプレイと同じ ミドンヘイムを舞台にした シナリオ集がついに発売！ 2, 6 2 5 円＋税） 2, 5 0 0 ミドンヘイムの灰燼 コンラッド：……これから、どうしようか。 フェリックス：夫人の書き付けを開いてみます。 GM： 「今すぐこの場を去りなさい。困ったら、わた くしの部屋へ」と、部屋への地図が添えてある。 アルブレヒト：これは、意外じゃな。どうする？ フェリックス：自分は、ブロッホに何でもすぐ「混 沌だ」と言われ続けているので、逆に相手をすぐに は疑わない癖がついているんですよね。 コンラッド：それは面白い。俺の場合、目標の相手 に接近できるんだから、チャンスだと思っている。 レジーナ：では、夫人の部屋に行きましょう。 GM：部屋には鍵がかかっていない。扉を開けると、 夫人が長椅子に腰かけて、 「あの忌まわしい儀式に 巻き込まれず、無事、戻ってこられたようね」と、 にこやかに笑いかける。 「彼らは時折、ああやって舞 踏 会 に 見 せかけて 儀 式を行 ない、少しず つ、 レルム・オヴ・ケイオス 混沌の領域への門を開こうとしているのよ。いずれ は、ミドンヘイム全体を、スラーネッシュのグレー ター・ディーモン、キーパー・オヴ・シークレットに 捧げるつもりね」 コンラッド： 「そこまでわかっていながら、あなたは 何の手も打たないのですか」と、怒りに震える。 GM： 「わたくしは自分で自分の身を護ることができ るので、 問題はないわ。 これもボリス・ トッドブリンガー 伯爵が、遠征などと言って、街をないがしろにして いるがため。わたくしは、長き暗黒の生の間、こう いう光景は何度も目にしてきたの。下々の者はコー ンに帰依し、貴族はスラーネッシュの虜。それが、 この街の正体よ。わたくしは静かに、" 白狼の都 " の 滅亡を、見届けてやるつもり」 コンラッド： 「やはりあなたは、ラーミア・ヴァンパ イアなのか！」と、 「最高」の剣を構える。 GM： 「だったら何なの？ わたくしを殺して、それ ですべてを解決したことにするつもり？ わたしは単 に、事の成り行きを見届けているだけなのに」 ウィッチ・ハンター コ ン ラ ッド： 「 俺 は、 魔 狩 人 で あ る 以 上 に、 ヴァンパイア・ハンター 吸血鬼狩人なんだ！」 GM： 「ふん、ヴァンパイアでも、カーシュタインの こせがれ 小倅、能無しのネクリアークなど、色々いるわ。ど うして、わたくしだけが迫害されなければならない の？ 混沌は、人間がいなくても広がっていく。け れどもヴァンパイアは結局、人間と共存しなければ 生きていけない無力な存在なのよ」 コンラッド：< こんなヴァンパイアがいるとは知らな かった。> と彼は思い、呆然として剣を落とす。 GM：では、ここで今回のセッションはおしまい。 一同：お疲れさまでした！ ■ 円（本体 ■ 発行：ホビージャパン ■発売中 GM：しばらく踊っていると、だんだん、BGM が変 拍子っぽくなり、どことなく旋律が淫猥になります。 アルブレヒト： （コロコロ） 〈大道芸：歌唱〉を持っ ているので振ってみたが、失敗だわい。 GM：そんなアルブレヒトに、パートナーが囁きかけ る。 「お若いのに、ずいぶん踊りに慣れてらっしゃる のですね」と言って、胸を押し付けてくる。 「若いっ ていいわね。食べちゃいたいくらい……」 一方、フェリックスは〈姿隠し〉に成功している はずなのに、なぜかローエンシュタイン伯爵夫人が 声をかけてくる。 「退屈していらっしゃるのね。一緒 に踊りませんこと？」 【意志力】テストをどうぞ。 フェリックス： （コロコロ）成功しました！「いえ、自 分のような朴念仁はあなたの美しいおみ足を踏んで しまうでしょうから、ここは遠慮させて下さい」 GM： 「身持ちが堅くていらっしゃるのね。それでは、 舞踏会は退屈でしょう」と夫人は意味ありげに微笑 む。そして、 フェリックスに紙片を握らせ、 離れる。で、 音楽はさらに歪みを増していき、アルブレヒトやコン ラッドの相手は情熱的に腰を絡めてくる。では、全員、 お楽しみの【意志力】テストだ！ アルブレヒト： （コロコロ）失敗しておる。 コンラッド： （コロコロ）こちらは成功！ フェリックス： （コロコロ）成功してます。 レジーナ： （コロコロ）失敗してます。 GM：アルブレヒトは何だか、意識がぼうっとしてく る。そして、パートナーの女性が、いつの間にかド レスを脱ぎ捨て、一糸まとわぬ姿になっていること に気がつく。だが、その裸は緑色と紫色のまだら模 様という、非常にサイケデリックなものだ！ 君はそ れを不自然だとも思わず、卑猥な踊りを続ける。 コンラッド：俺は意識を取り戻し、 「ちょっと疲れた」 と、半ば強引に相手を引き離そう。 GM：レジーナもぼうっとして、ドレスに手をかけた。 無性に身体が火照り、服を脱ぎ捨てて真っ裸になろ うとする。だが、すんでのところで、テルツキがそ れを押し止める。 「君が私に気があるのはわかってい るから、はしたない真似はよしたまえ」 レジーナ：違うよ（笑）でも、ここがチャンス。こ こで使い魔のキルヒの幸運点を使って思いっきり噛 み付かせて、再度【意志力】テストを試みます。 （コ ロコロ）今度は成功！ GM：君たちはいつのまにか舞踏会場に、" 快楽の 皇子 " に仕えるディーモン、デモネット・オヴ・スラー ネッシュが混じっているのに気がつくね。 コンラッド：やばい、すぐにここから立ち去ろう！ もはや手段を選んではいられないと、コンラッドは アルブレヒトをぶん殴って気絶させ引き摺り、残りの 面々はホールの入り口を護っている番兵を速やかに 斃し、舞踏会場を後にしようとする。 GM： 「逃がすか！」と声がし、レジーナは、100 匹 を越える蜘蛛が押し潰されるようなヴィジョンが浮 かんだかと思うと、突然、全身の腱や筋肉が醜く膨 Warhammer Fantasy Roleplay© Games Workshop Limited 2005. This edition © Games Workshop Limited 2008. Games Workshop, Warhammer, Warhammer Fantasy Roleplay, the foregoing marks’ respective logos and all associated marks, logos, places, names, creatures, races and race insignia/devices/logos/symbols, vehicles, locations, weapons, units and unit insignia, characters, products and illustrations from the Warhammer World and Warhammer Fantasy Roleplay game setting are either ®, TM and/or © Games Workshop Ltd 2000-2008, variably registered in the UK and other countries around the world. This edition published under license to Fantasy Flight Publishing Inc. Fantasy Flight Games and the FFG logo are trademarks of Fantasy Flight Publishing, Inc. All Rights Reserved to their respective owners. Used under license to Hobby Japan. 177
© Copyright 2024 ExpyDoc
