MRSA の arbekacin に対する感受性とアミノグリコシド不活化 酵素産生

36( 36 )
THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 56—1
Feb.
2003
MRSA の arbekacin に対する感受性とアミノグリコシド不活化
酵素産生遺伝子との関連性
田端麻紀子・清水正樹・荒明美奈子・小川 弘
明治製菓株式会社薬品総合研究所
(2002 年 9 月 9 日受付)
Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) のアミノグリコシド不活化酵素産生
遺伝子の一つである aac(6Ј)/aph(2Љ)保有と arbekacin (ABK) 感受性との関連性を ,ABK の
MIC 値が 0.125ϳ64 m g/ml を示す MRSA 計 49 株を用いて検討した。その結果 ,aac(6Ј)/
aph(2Љ)を保有しない 11 株はすべて ABKの MIC が 0.5 m g/ml 以下と感受性であった。一方 ,
この遺伝子を保有する 38 株に対する ABK の MIC は 0.25ϳ64 m g/ml と幅広い分布を示し ,
aac(6Ј)/aph(2Љ)保有株の中には ABK 感受性株と耐性株が存在した。また ,アミノグリコシ
ド系抗菌薬不活化酵素産生遺伝子のうち aac(6Ј)/aph(2Љ)および aad(4Ј,4Љ)を保有し ,かつ
ABKの感受性が異なる3株より調製した粗酵素液作用後のABKおよびgentamicin (GM) の
残存率はいずれもMIC値を反映しており,MICが高い株ほど抗菌活性残存率が低かった。
また ,すべての株で ABK の抗菌活性残存率は GM のそれより高かった。
臨床におけるaac(6Ј)/aph(2Љ)保有株の分離頻度とABKの感受性を確認するため,1999年
に神奈川県内で臨床分離された MRSA について検討した。その結果 ,97 株中 28 株が
aac(6Ј)/aph(2Љ)を保有していたが ,それらはすべて ABK 感受性であった。
以上の結果から ,臨床で分離される MRSA は aac(6Ј)/aph(2Љ)を保有していてもほとんど
の株は ABK 感受性であることが明らかとなった。
aureus
酵素による薬剤の不活化であるが2,3),ABKはこの
(MRSA) は b - ラクタム薬のみならず多くの抗菌薬
AG 不活化酵素に安定な化合物の開発を目的とし
に耐性であり,MRSA起因感染症は治療に難渋し,
た種々の研究により合成・開発された薬剤であり,
院内感染の原因となるなど ,臨床の現場で大きな
ブドウ球菌を代表とするグラム陽性菌およびグラ
Methicillin-resistant
Staphylococcus
1)
問題となっている 。
ム陰性菌の産生するほとんどの AG 不活化酵素に
現在 ,わが国で MRSA 感染症に使用されている
安定である4,5)。ABKに対し耐性を示すMRSAは上
抗菌薬は arbekacin (ABK), vancomycin および teico-
市当初から数 % 認められていたが ,多くが中等度
planinの3薬剤あり,このうち最も早く,1990年に
耐性であり ,その分離頻度はその後ほとんど変化
上市されたのがアミノグリコシド系抗菌薬 (AG)
していない6,7)。しかし,高度耐性株7)や従来の報告
の ABK である。AG に対する耐性機序は主に修飾
と異なる構造部位を修飾する不活化酵素を持つ
Feb.
2003
THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 56—1
ABK 耐性 MRSA も報告されている 8)。堀田らは
MRSA のうち ABK 耐性菌は aac(6Ј)/aph(2Љ)を保有
37( 37 )
3. 最小発育阻止濃度 (minimum inhibitory
concentration; MIC) 測定
していたと報告している 9)。しかし ,この報告は
MIC は Mueller-Hinton broth (MHB, Difco)および
ABK 耐 性 株 か ら の 考 察 で あ り ,逆 に aac(6Ј)/
Mueller-Hinton agar (MHA, Difco) を用い ,日本化
aph(2Љ)保有が ABK 耐性に結びつくかは検討され
学療法学会標準法に準じた寒天平板希釈法 10)によ
ていない。今回我々はMRSAのaac(6Ј)/aph(2Љ)保有
り測定した。
とABKの感受性との関連性について,臨床分離株
を用いて検討したので報告する。
4. 各遺伝子の検出
遺伝子の検出は土崎らの方法 11)に従い ,マルチ
I.実験材料と方法
プレックスコロニー PCR 法にて行った。プライ
マーは表1に示したメチシリン耐性遺伝子(mecA)9)
1. 使用菌株
と AG 修飾酵素産生遺伝子 aac(6 Ј )/aph(2 Љ ) 9) ,
1) ABK 感受性と AG 不活化酵素産生遺伝子保
aad(4Ј,4Љ)12) および aph(3Ј)-III12)を標的遺伝子とす
有との関連の検討
るものを用いた。
当研究所保存臨床分離 MRSA の中から ABK の
MHA 平板に接種し ,35°C 一夜培養後に生育し
MIC 値が 0.125ϳ64 m g/ml の各値を示す 49 株を選
た菌体をPCR反応液[1ϫPCR buffer,dNTPs 各0.2
び ,実験に用いた。
mM , 1 m M MgSO4・H2O, KOD-plus-DNA poly-
2) 最近の臨床分離株における ABK 感受性と
AG 不活化酵素産生遺伝子保有
1999 年に神奈川県内の 7 施設より分離された
MRSA 97 株を使用した。
merase (TOYOBO) 0.4U,プライマー 0.2 または 0.5
m M]20 m lに加えた。
PCR はサーマルサイクラー(TaKaRa PCR Thermal Cycler PERSONAL,宝酒造)を用いて,95°C・
3 分 Æ(95°C・30 秒 Æ50°C・30 秒 Æ72°C・60 秒)
2. 使用薬剤
ϫ30サイクルの条件で行った。得られたPCR産物
ABK(明治製菓)およびgentamicin(GM, 明治製
は1.4%アガロース電気泳動後,エチジウムブロマ
菓)はそれぞれ力価の明らかな原末を用いた。
イド染色し ,観察した。
表 1.コロニー PCR に使用したプライマー
38( 38 )
THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 56—1
5. 粗酵素液の調製
粗酵素液は,生方ら13),澤井ら14)の報告を参考に
Feb.
2003
を停止させた。
残存力価の測定はバイオアッセイにて行った。
して調製した。すなわち ,一夜培養菌液 10 ml を
すなわち ,Bacillus subtilis ATCC 6633 を混釈培養
MHB 200 ml に接種し ,37°C で 5 時間振盪培養後 ,
した感受性ディスク用アガー-N(SDA, 日水)を用
遠心分離により集菌した。生理食塩液で菌体を洗
いて ,これに反応液または対照液を含むペーパー
浄した後 ,TMK buffer[100 mM Tris-HCl, 10 mM
ディスクを置いて 4°C,1 時間予備拡散した後 ,
Mg(CH3COO)2, 60 mM KCl, 6 mM 2- メルカプトエタ
32°C,18ϳ20 時間培養し ,発育阻止円径を測定し
ノール,pH 7.0]
1 mlに菌体を懸濁した。Lysostaphin
た。この条件における標準曲線をもとに阻止円径
(和光純薬工業)を 25 m g/ml となるように添加し ,
から残存薬剤量を算出し,対照を100%とした抗菌
37°C, 30 分反応させて溶菌後 ,さらに超音波破砕
活性残存率を計算した。
し,4°C, 30,000ϫg, 30分遠心分離後の上清を粗酵
素液とした。
II.結果
粗酵素液の蛋白濃度は Bio-Rad protein assay
(Bio-Rad) を用いて測定した。
1. ABK 感受性と AG 不活化酵素産生遺伝子
3 種類の AG 不活化酵素産生遺伝子の保有と
6. 抗菌活性残存率の測定
ABKのMIC値との関係を図1に示した。ABKに対
TMK buffer 20 m l に 40 mM ATP 10 m l, 2 mM acetyl
して種々の感受性を示す MRSA 49 株の中では ,
CoA 10 m lを加えた中に,被験薬液 10 m l,粗酵素液
aac(6Ј)/aph(2Љ)のみを保有する株が6株,aad(4Ј,4Љ)
50 m lを加えて37°C,2時間反応させた。対照はATP
の み を 保 有 す る 株 が 10 株 , aac(6Ј)/aph(2Љ)と
およびacetyl CoAの代わりにTMK bufferを加えた。
aad(4Ј,4Љ)の両方を保有する株が 30 株 ,aac(6Ј)/
その後 ,この反応液の 20 m l をペーパーディスク
aph(2Љ)と aph(3Ј)-III の両方を保有する株が 2 株で ,
(ADVANTEC, 8 mm,薄型)に滴下し ,マイクロ
いずれの遺伝子も保有しない株は1株であった。こ
オーブン(600W,15 秒 ϫ2 回)にて加熱し ,反応
の う ち , aad(4Ј,4Љ)保 有 の 有 無 に か か わ ら ず ,
図 1.Arbekacin に対する感受性の異なる MRSA 49 株におけるアミノグリコシド不活化酵素産
生遺伝子の有無と arbekacin の MIC 分布
Feb.
2003
THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 56—1
39( 39 )
図 2.Arbekacin に対する感受性の異なる MRSA 49 株における gentamicin と arbekacin の
MIC の関係
aac(6Ј)/aph(2Љ)を保有しない 11 株は ABK の MIC が
0.25ϳ64 m g/mlに分布し,GMのMICはABKのMIC
0.5 m g/ml以下と低い値であった。aac(6Ј)/aph(2Љ)を
の約 64ϳ128 倍であった。
保有する 38 株の MIC は 0.25ϳ64 m g/ml と幅広く分
布しており ,4 m g/ml 以下の ABK 感受性株の中に
aac(6Ј)/aph(2Љ)を保有する株が26株認められた(図
1)。
3. AG 不活化酵素作用後の ABK および GM の
抗菌活性残存率
ABK に対する感受性の異なる 49 株の中で ,
aac(6Ј)/aph(2Љ)と aac(4Ј,4Љ) の両方を保有する 30 株
2. ABK と GM の感受性相関
の中から ,ABK 感受性株 (MIC: 0.5, 4 m g/ml) およ
ABK に対する感受性の異なる MRSA 49 株につ
び耐性株 (MIC: 32 m g/ml),計3株を選択し,それぞ
いて ,ABK および GM の MIC 値の相関を図 2 に示
れの菌株より粗酵素液を調製し,ABKおよびGM
した。このうち,aac(6Ј)/aph(2Љ)を保有しない11株
と反応後の抗菌活性残存率をそれぞれ測定した
は GM の MIC が 0.5 m g/ml 以下であり ABK の MIC
(図3)
。ABK,GMいずれもその残存率はMIC値を
とほぼ同様の値を示した。一方,aac(6Ј)/aph(2Љ)を
反映しており,MICが高い株ほど抗菌活性残存率
保有する 38株はすべて GM のMICが16 m g/ml 以上
が低かった。また,すべての株でABKの抗菌活性
であったが ,ABK の MIC は先に述べたように
残存率は GM より高かった。
40( 40 )
THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 56—1
Feb.
2003
図 3.アミノグリコシド不活化酵素作用後の gentamicin (GM)および arbekacin (ABK)の残存率
図 4.1999 年に臨床で分離された MRSA 97 株におけるアミノグリコシド不活化酵素産生遺伝
子の有無と arbekacin の MIC 分布
4. 1999年の臨床分離株におけるABK感受性と
受性であった(図 4)。
不活化酵素産生遺伝子保有
1999年の臨床分離株97株では,90株がaad(4Ј,4Љ)
III.考察
を保有し,このうち24株がaac(6Ј)/aph(2Љ)も保有し
ていた。また,aac(6Ј)/aph(2Љ) のみを保有する株は
臨床分離菌では AG の耐性機構は耐性菌が産生
4 株 ,いずれの遺伝子も保有しない株は 3 株で ,
する AG 修飾酵素による薬剤の不活化が主体であ
aph(3Ј)-IIIを保有する株はなかった。使用した97株
り ,リボゾームなどの作用点の変化や細胞膜の薬
に対するABKのMICはすべて1 m g/ml以下であり,
剤透過性の低下に基づくものは少ない3,5)。AG修飾
aac(6Ј)/aph(2Љ)の有無にかかわらず,すべてABK感
酵素にはアセチル化酵素 (aminoglycoside acetyl-
Feb.
2003
THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 56—1
41( 41 )
transferase; AAC),アデニリル化酵素 (aminoglyco-
を保有する株の中にも ABK 感受性株が存在する
side adenylyltransferase; AAD, またはaminoglycoside
ことが明らかとなった。
nucleotidyltransferase; ANT),およびリン酸化酵素
(aminoglycoside phosphotransferase; APH)があり,グ
また ,ABK と GM の感受性の関係をみると ,
aac(6Ј)/aph(2Љ)を保有しない株はABKとGMのMIC
ラム陽性および陰性菌に広く分布している 。黄
がほぼ同等であるのに対し,aac(6Ј)/aph(2Љ)を保有
色ブドウ球菌が産生する主な酵素は kanamycin 耐
するほとんどの株は ABK の MIC が GM の 1/64ϳ1/
性菌が産生する APH(3Ј),GM 耐性菌が産生する
128であった。aac(6Ј)/aph(2Љ)を保有する株のABK
AAC(6Ј)/APH(2Љ),および tobramycin 耐性で GM 感
とGMに対する感受性の違いは,山下らの報告17)に
受性菌が産生する AAD(4Ј,4Љ)がある 15)。不活化酵
あるように,AG不活化酵素に対する基質特異性の
素による修飾を受けにくい薬剤の開発を目的に合
違いにより ,ABK が GM より AAC(6Ј)/APH(2Љ)の
成された ABK は APH(3Ј)による不活化部位を持た
基質となりにくいためと考えられる。今回の検討
ず,AHB (4-amino-2-hydoroxybutyryl)基による立体
で不活化酵素作用後の ABK の抗菌活性残存率が
障害により AAC(6Ј)/APH(2Љ)および AAD(4Ј,4Љ)に
GMより高い結果も,ABKがGMと比較し,AAC(6Ј)/
3)
16)
不活化されにくいことが明らかとなっている 。
APH(2Љ)の基質となりにくいことを示唆してる。
今回 ,我々はマルチプレックスコロニー PCR 法
ABK 耐性は AAC(6Ј)/APH(2Љ)産生遺伝子の増加
を用い , MRSA から AG 不活化酵素産生遺伝子を
や転写活性の上昇によるものと考えられてい
検出し ,AG 不活化酵素産生遺伝子と ABK 感受性
る 18,19)。今回 ,ABK および GM の感受性が低い株
の関係を検討した。感受性から耐性までABK感受
ほど不活化酵素作用後の抗菌活性残存率が低い結
性の異なる株で検討した結果,aac(6Ј)/aph(2Љ)を保
果であった。これはAAC(6Ј)/APH(2Љ)産生量が株に
有しない株は ABK と GM の両者に感受性であり ,
よって異なり ,産生量の増大により酵素活性が非
aac(6Ј)/aph(2Љ)を保有する株はすべてGMに耐性を
常に高くなった株が ABK 耐性になると考えられ
示した。一方,aac(6Ј)/aph(2Љ)を保有する株はABK
た。ABK耐性株はほとんどがGM高度耐性株であ
に対しては感受性から耐性まで幅広い感受性分布
ると報告されているが7,9,17),今回の検討でも,ABK
を示し ,aac(6Ј)/aph(2Љ)保有株の中には ABK 感受
耐性株はすべてGM高度耐性株であった。これは,
性株と耐性株が存在した。また今回の結果では
ABK 耐性株は AAC(6Ј)/APH(2Љ)産生量が多くなっ
aac(6Ј)/aph(2Љ)保有の有無にかかわらず,aad(4Ј,4Љ)
ているため,ABKより基質となりやすいGMに対
の保有は ABK の感受性に影響を与えていなかっ
し ,高度耐性を示すと考えられた。しかし池本ら
た。aph(3Ј)-III の保有については ABK が APH(3Ј)-
は,1998年から1999年にかけて呼吸器感染症患者
III の作用点を持たないため ,この酵素の産生によ
より分離された MRSA 51 株についての検討で ,
る直接的な影響は無いと思われる。しかし ,
GM 高度耐性株 (MIC: м256 m g/ml) が 5 株検出さ
aph(3Ј)-III を保有している 2 株がいずれも aac(6Ј)/
れたが,ABK 耐性株は1株のみであったと報告し
aph(2Љ)を同時に保有しABK耐性であったため,両
ている 20)。出口ら 7)および鈴木ら18)の報告でもGM
者の保有が耐性化に何らかの関係がある可能性も
高度耐性株のうち,ABK耐性株は約2割であった。
考えられた。
このことからも,ABK耐性となるのはGM高度耐
これらの結果は堀田らの aac(6Ј)/aph(2Љ)を保有
9)
しない株は ABK 感受性株であるとの報告 と一致
していた。さらに今回の検討によりaac(6Ј)/aph(2Љ)
性株の中の一部であり ,必ずしも GM 高度耐性株
がすべて ABK 耐性株ではないと考えられた。
一方,山下ら17)および出口ら7)はABK耐性でGM
42( 42 )
THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 56—1
とABKのMICが同じ株を各1株ずつ報告している。
7)
我々の検討でも 49 株のうち 1 株が ABK の MIC が
64 m g/ml,GM の MIC が 128 m g/ml であった。これ
8)
は ABK の耐性メカニズムが AAC(6Ј)/APH(2Љ)によ
る修飾以外にもあることを示唆しており,今後,更
9)
なる検討が必要である。
臨床における aac(6Ј)/aph(2Љ)保有株の分離頻度
10)
とABKの感受性を確認するため,1999年に神奈川
県内で臨床分離された MRSA について検討した。
11)
その結果 ,97 株中 28 株が aac(6Ј)/aph(2Љ)を保有し
ていたが ,それらはすべて ABK 感受性であった。
12)
また,ABKはGMと比較し不活化酵素の基質とな
り難く,ABK耐性となるためには多量のAAC(6Ј)/
APH(2Љ)産生が必要であると考えられた。
13)
以上の結果から ,臨床で分離される MRSA は
aac(6Ј)/aph(2Љ)を保有していてもほとんどの株は
ABK 感受性であることが明らかとなった。
14)
参考文献
1)
2)
3)
4)
5)
6)
橋本 一:1993 年までの日本におけるメチシリン耐
性黄色ブドウ球菌の薬剤耐性。Jpn. J. Antibiotics 47:
575ϳ584, 1994
近藤信一: アミノ配糖体の耐性機構。薬剤耐性機構
の生化学(三橋 進編)
,pp. 27ϳ58, 学会出版セン
ター ,東京 ,1981
堀田国元: 抗菌薬とその耐性化。各種抗菌薬の耐性
獲得のメカニズム。アミノグリコシド系薬剤。日本臨
牀 55: 1231ϳ1237, 1997
KONDO, S.; K. IINUMA , H. YAMAMOTO , et al.: Syntheses of
1-N-{(S)-4-amino-2-hydroxybutyryl}-kanamycin B and
-3Ј,4Ј-dideoxykanamycin B active against kanamycin-resistant bacteria. J. Antibiotics 26: 412ϳ415, 1973
近藤信一: アルベカシンの開発とメチシリン耐性黄
色ブドウ球菌による酵素的修飾をうけない新規誘導
体の合成。Jpn. J. Antibiotics 47: 561ϳ574, 1994
出口浩一,横田のぞみ ,古口昌美 ,他: 血液 ,呼吸器
由来メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の各種アミノ配
糖体抗生物質に対する感受性。Chemotherapy 35: 476ϳ
481, 1987
15)
16)
17)
18)
19)
20)
21)
Feb.
2003
出口浩一 ,鈴木由美子 ,石原理加 ,他:メチシリン耐
性黄色ブドウ球菌に対するArbekacinの経年的抗菌活
性。Jpn. J. Antibiotics 50: 1ϳ11, 1997
藤村 茂 ,徳江 豊 ,高橋 洋 ,他: Arbekacin 耐
性 MRSA か ら の aminoglycosid 修 飾 酵 素 に よ る
arbekacin の不活化。日本化学療法学会雑誌 47: 1ϳ8,
1999
堀田国元,石川 淳,石井亮一,他:アルベカシン耐
性 MRSA の判定における問題点と PCR 検定の必要性
と有用性。Jpn. J. Antibiotics 52: 525ϳ531, 1999
日本化学療法学会: 最小発育阻止濃度 (MIC) 測定法
再改定について。Chemotherapy 29: 76ϳ79, 1981
土崎尚史 ,石川 淳 ,堀田国元:コロニー PCR 法に
よる MRSA および腸球菌の薬剤耐性遺伝子の迅速検
出。Jpn. J. Antibiotics 53: 422ϳ429, 2000
VANHOOF, R.; C. GODARD, J. CONTENT, et al.: Detection by
polymerase chain reaction of genes encoding aminoglycoside-modifying enzymes in methicillin-resistant
Staphylococcus aureus isolates of epidemic phage
types. J. Med. Microbiol. 41: 282ϳ290,1994
生方公子,紺野昌俊,白幡公勝,他:本邦で分離され
たゲンタマイシン耐性の黄色ブドウ球菌について。
第 3 編 アミノグリコシド系抗生物質の耐性機構に
ついて。Chemotherapy 30: 546ϳ553, 1982
澤井哲夫 ,川辺晴英: 抗生物質不活化酵素の活性測
定。細菌学技術叢書4 Rプラスミドの分子遺伝学的
実験法(日本細菌学会教育委員会編),pp. 25ϳ39,菜
根出版 ,東京 ,1983
岡本了一 ,大久保豊司: MRSA 多剤耐性の機序。ア
ミノ配糖体耐性 MRSA: 耐性機構の分子遺伝学的研
究。日本臨牀 50: 1036ϳ1041, 1992
新島瑞夫: 最新の抗菌薬 XL。Arbekacin。Jpn. J.
Antibiotics 44: 705ϳ717, 1991
山下直子,生方公子,野々口律子,他:アミノ配糖体
薬に耐性のブドウ球菌に対する HBK の抗菌作用。
Chemotherapy 34 S-1: 33ϳ40, 1986
鈴木隆男 ,藤田欣一 ,長町幸雄 ,他: Methicillinresistant Staphylococcus aureusのArbekacin耐性菌出現
について。Jpn. J. Antibiotics 47: 634ϳ639, 1994
有働武三:施設内流行 MRSA に認められた多剤耐性
プラスミドの性状と機能。感染症学雑誌 75: 382ϳ
389, 2001
池本秀雄,森 健,猪狩 淳,他:呼吸器感染症患者
分離菌の薬剤感受性について(1998 年)
。Jpn. J.
Antibiotics 53: 261ϳ298, 2000
HOTTA , K.; C.-B. ZHU, T. OGATA, et al.: Enzymatic 2Ј-Nacetylation of arbekacin and antibiotic activity of its
product. J. Antibiotics 49: 458ϳ464, 1996
Feb.
2003
THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 56—1
43( 43 )
RELATIONSHIP BETWEEN ARBEKACIN-SUSCEPTIBILITY AND
AMINOGLYCOSIDE-RESISTANT GENE OF METHICILLINRESISTANT Staphylococcus aureus (MRSA)
MAKIKO TABATA, MASAKI SHIMIZU, MINAKO ARAAKE and HIROSHI OGAWA
Pharmaceutical Research Center, Meiji Seika Kaisha, Ltd.
760 Morooka-cho, Kohoku-ku, Yokohama, Kanagawa 222-8567, Japan
The susceptibility to arbekacin (ABK) of methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) was investigated to find out how it related to aac(6Ј)/aph(2Љ) gene.
In 49 isolates of MRSA for which MIC of ABK ranged from 0.125 to 64 m g/ml, the MICs of ABK for 38
strains carrying aac(6Ј)/aph(2Љ) gene were widely distributed from 0.25 to 64 , whereas those for 11 strains without that gene were all Ϲ0.5 m g/ml.
Residual rate of ABK activity was higher than that of gentamicin after the reaction with each crude enzyme
preparation extracted from 3 isolates of MRSA, carrying aac(6Ј)/aph(2Љ) and aad(4Ј,4Љ) genes.
Furthermore, 97 strains of MRSA isolated at Kanagawa prefecture in Japan in 1999 were all sensitive to
ABK, although 28 strains of them carried aac(6Ј)/aph(2Љ) gene.
These results showed that ABK resistance was not necessarily related to carrying aac(6Ј)/aph(2Љ) gene in
clinical isolates of MRSA.