熊本県地域ケア体制整備構想の概要

熊本県地域ケア体制整備構想の概要
1
地域ケア体制の在り方及び療養病床の再編成に関する基本方針
(1)
①
②
③
(2)
基本理念
高齢者の尊厳の保持
市町村の自主的・主体的取組みの推進
介護サービス、高齢者向けの住まいと見守りサービス、在宅医療等、住み慣れた地域で
の生活を支える基盤整備の推進
療養病床の再編成に関する基本姿勢
①
医療の必要性が高い方に対しては医療療養病床でサービスを提供し、医療の必要性の低
い方には適切な介護サービスを提供する。
② 入院患者や家族の不安を解消するよう利用者の状態に応じた受け皿の確保を図る。
③ 療養病床の転換は、医療機関の自主的な判断によることを基本とする。
④ 市町村、関係機関等と情報交換を図りながら、連携して計画的に転換を推進する。
(3)
圏域
本構想における圏域については 、保健医療サービスと福祉サービスの連携を図る観点から 、
高齢者保健福祉圏域及び二次保健医療圏域と一致させるものとして、 11 圏域を設定。
2
地域ケア体制整備構想策定に当たっての関係計画との調和
(1)
策定の背景
・
・
介護療養型医療施設の廃止など療養病床の再編成の本格化。
将来的な介護等のニーズや社会資源の状況等に即した「地域ケア体制」の計画的な整備
の必要性。
・ 療養病床の再編成における地域の特性に応じた対応及び明確な将来像の提示の必要性。
・ 国の基本指針において構想策定の基本的な考え方や具体的な策定手順の提示。
・ 医療計画、県医療費適正化計画及び県介護保険事業支援計画における統一的・横断的な
基本方針策定の必要性。
(2)
医療計画、医療費適正化計画及び介護保険事業支援計画との関係
①
医療計画
医療計画の基本方針、医療法施行規則における基準病床数の算定式等を適切に踏まえ、
本構想と医療計画との整合性を図る。
② 県医療費適正化計画
医療費適正化計画における療養病床の病床数に関する数値目標を達成することを前提と
して、療養病床転換推進計画を作成する。
③ 県介護保険事業支援計画
介護サービスの必要量の見込み及び療養病床転換推進計画については、第3期介護保険
事業支援計画との整合性に配慮するとともに、平成20年度に策定する第4期介護保険事
業(支援)計画との調和を保つよう留意する。
※地域ケア体制整備構想と関係計画の位置付けは別紙1を参照
1
熊本県における各計画の名称及び略称
計画名
県計画名(略名)
医療計画
熊本県保健医療計画
(保健医療計画)
医療費適正化計画
熊本県における医療費の
見通し に関する計画(仮称)
(医療費見通し計画)
介護保険事業支援計画 熊本県 高齢者かがやきプラン
(かがやきプラン)
3
根拠法
医療法第 30 条の 4
高齢者の医療の確保
に関する法律第 9 条
介護保険法第 118 条
地域ケア体制の将来像
(1)
平成47年に向けた介護サービス、見守りサービス等の需要等の見通し
①
②
75歳以上人口(後期高齢者数)の増加に伴い、要介護(支援)認定者数も増加。
施設・居住系サービスの需要は、地域ケア(在宅介護及び在宅療養体制)が進展するこ
とで減少すると見込まれる。
※現状のままであれば、現在よりも施設・居住系サービスの需要が増加する。
③ 見守り等を要する者の見通しは、施設・居住系サービスの需要と相関関係にあり、地域
ケアが進展し、施設・居住系サービスの需要が低くなれば、高くなる傾向にある。
熊本県における地域ケア整備に係る諸ニーズ及び供給の将来推計の概要(長期推計 )(人)
①人口及び高齢者数の見通し
・高齢者数(65歳以上人口)
(75歳以上人口)
②要介護(支援)認定者数の見通し
・要介護(支援)認定者数
うち重度(要介護4∼5)
そのうち単独・夫婦のみ世帯
③施設・居住系サービス(主に中重度用)のニーズ
・ケースⅠ:地域ケアが相当程度進んだケース
・ケースⅡ:地域ケアがある程度進んだケース
・ケースⅢ:重度化シフトのみが生じたケース
・参考ケース :現状のままのニーズが続いたケース
④見守り等を要する者の見通し(ケースⅠの場合)
(2)
平成17
(2005)
平成27
(2015)
平成37
(2025)
平成47
(2035)
434,366
216,038
500,402
263,786
527,046
287,863
495,542
297,933
81,002
17,765
5,772
102,808
22,867
7,319
109,782
24,542
7,952
115,384
25,965
8,505
19,488
19,488
19,488
19,488
36,870
16,670
16,670
16,670
24,593
45,709
14,234
16,079
17,924
26,360
50,709
12,498
15,748
18,997
27,874
51,663
介護予防・健康長寿づくりの推進
①
予防重視型システムへの転換
・介護予防事業の創設、生活習慣病対策の強化など予防重視型システムへの転換。
・生涯を通じた健康づくりの推進や、健康づくりを支援する社会環境整備の取り組み。
② 「くまもと健康・長寿づくりプロジェクト」の取り組み
・生活の質の向上を目指した健康づくりの場と機会の提供を総合的に推進。
・介護予防については、自分らしい生活を実現できるよう支援。
(3)
地域における高齢者の介護サービス、見守りサービス等の望ましい将来像
①
急性期医療から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるような診療計画を医療機関で共有
するなど、途切れのない連携体制が構築されている。
② 在宅生活ができる限り継続できるように訪問看護や訪問介護のほか、小規模多機能型居
宅介護等、地域密着型サービスも普及している。
③ 主治医(かかりつけ医 )、介護支援専門員、地域包括支援センターその他の関係機関の
連携によるケアマネジメント体制等の構築が図られ 、在宅療養支援体制が整備されている 。
④ 一人暮らしや夫婦のみの高齢者世帯の見守りサービス等が行われている。
⑤ 生活支援のための配食サービス、外出支援サービス等が行われている。
2
⑥
今後施設を必要とする方の増加も見込まれるため 、将来の利用者の見込み等を踏まえて 、
介護保険施設も一定程度整備されている。
※将来像のイメージについては別紙2を参照
(4) 地域における高齢者の介護及び見守り等の中長期的な体制の確保
①
②
③
④
⑤
4
平成23年度までの介護サービス等の必要量の見込み及びその確保方策
(1)
①
②
③
(2)
①
②
③
④
(3)
5
市町村主体の地域ケア体制の整備
在宅療養支援体制の整備
地域包括支援センターを中心とした地域連携体制の充実・強化
地域住民等との交流と地域社会への参画の強化
高齢者の生活を支える居住環境の充実
平成23年度までの各年度の介護サービス等の必要量の見込み
高齢者人口の増加に伴い、要介護認定者数が増加。
訪問介護等、在宅サービスの利用回数(利用人数)は増加。
施設・居住系サービス利用者数は医療療養病床の介護保険施設等への転換により、平成
21年度から増加。
介護サービス等の必要量を確保するための方策
在宅生活に365日・24時間の安心を届けるサービスの確保
地域包括支援センターを中心とした地域連携体制の確立
地域住民等との交流と地域社会への参画の推進
高齢者の生活を支える居住環境の整備
地域ケア体制整備のための取組みの参考事例
療養病床の転換の推進
(1) 療養病床を巡る現状と課題
① 療養病床の配置状況及び入院患者の状況
県内の療養病床を有する医療機関に対し、アンケート調査を実施(別紙3 )。
② 医療機関、介護保険施設等の配置状況及び地域特性
施設種別及び圏域により、整備水準が異なるが、地域密着型サービスや高齢者向け住ま
い等については、中山間地域の整備水準は低い傾向にある。
③ 療養病床が果たすべき役割及び療養病床の再編成に伴う課題
・有床診療所は老健施設等の設備・人員基準を満たすことが難しく、転換が困難。
・転換に伴い関連法令の基準を満たすとともに、必要な法手続を行う必要がある。
・国の介護施設の在り方検討の見通しが不透明なため、医療機関が転換を判断できない。
・高 齢 者 専 用 賃 貸 住 宅 で 提 供 さ れ る サ ー ビ ス の 質 を 確 保 す る 仕 組 み が 必 要 。
・医療機関にとって転換のための更なる費用負担が難しく、転換した後の運営を含め、将
来的な経営面での不安がある。
・医療療養病床から介護保険施設等への転換により、介護給付の増加が予想されるため、
市町村の介護保険財政に与える影響を考慮する必要がある。
・転換予定の医療療養病床の入院患者については要介護認定を円滑に行うとともに状況に
応じて養護老人ホームの措置や有料老人ホームへの入居を支援する必要がある。
・療養病床が介護保険施設等に転換されることにより、施設の介護職員など介護サービス
を提供する人材の確保が必要。
3
・療養病床の入院患者が特別養護老人ホームに入所する場合、医療機関との連携体制の構
築や特別養護老人ホームで提供できる医療処置と必要なスタッフ確保について検討し、
対策を講じる必要がある。
・中山間地域においては、在宅介護や在宅療養を担うサービス事業所の開設が困難である
ため、地域ケアの基盤整備が進みづらい状況にある。
・訪問看護等の在宅生活を支援するためのサービスにおいて必要な看護師が確保されるよ
う、看護師の人員基準及び供給、育成等について充実させる必要がある。
(2)
①
療養病床転換推進計画
作成の趣旨
・転換対象は構想策定時点から療養病床であるもの
・医療機関の自主的な判断を尊重
・アンケート調査等を参考に入院患者の状態や施設の状況を勘案して検討
・県の「医療費見通し計画」に定める平成24年度末の療養病床の病床数に関する数値目標
を達成することを前提
療養病床圏域別転換数(H23年度末時点)
保健福祉圏域
H19.4.1時点 療養病床数(回復期リハ病床除く)
医療療養病床
熊本
宇城
有明
鹿本
菊池
阿蘇
上益城
八代
芦北
球磨
天草
総計
②
3,890
963
929
354
518
501
572
748
407
622
1,360
10,864
介護療養病床
2,047
502
519
203
220
405
429
484
279
373
1,132
6,593
療養病床転換計画表
4
1,843
461
410
151
298
96
143
264
128
249
228
4,271
H23年度末時点
医療療養病床数
1,949
384
439
200
234
288
359
393
197
322
889
5,654
H23年度末時点
介護施設等転換数
1,941
579
490
154
284
213
213
355
210
300
471
5,210
③ 第3期及び第4期熊本県高齢者かがやきプランとの連携
・第3期計画期間内の療養病床転換については、必要入所(利用)定員総数の弾力的運用
を前提として、市町村長の意見を踏まえて指定の可否を判断する。
・平成20年度当初に転換意向アンケートを実施し 、転換見通しに見直しが必要な場合は 、
第4期プランに反映する形で調整を行う。
(3)
療養病床の転換への支援措置
①
都道府県の基本的役割
・国の転換支援策の周知
・市町村と連携による地域密着型サービス事業所への転換支援
・高齢者専用賃貸住宅など 、「住まい」分野の支援
・市町村財政への影響に対する助言及び第4期介護保険事業計画の策定支援
② 相談体制の構築
・療養病床転換支援に関する相談窓口を設置
・利用者等の身近な相談窓口として、市町村における相談体制を推進
③ 都道府県の支援措置
・医療機関説明会の開催
・入院患者の介護保険施設への入所支援
・療養病床転換に伴う市町村事務の支援
・療養病床転換に要する費用助成
圏域別各論
県内11圏域ごとに地域特性を踏まえて以下を作成
1
2
3
地域概要及び特性
地域ケア体制の将来像
平成23年度までの介護サービス等の必要量の見込み及びその確保方策
4
療養病床の転換の推進
地域ケア体制の在り方及び療養病床の再編
成に関する基本方針
5
6
・具体的にいくつかの老人保
健福祉圏域を取り上げ、地
域の施設整備水準,高齢化
の状況、将来ニーズ等に応
じたモデルプランを作成
地域ケアモデルプラン
の作成
・平均在院日数の短縮に関する政策目標
・医療費の見通し 等
全国医療費適正化基本方針 (H19目途)
・医療機能に関する指標
・望ましい保健医療提供体制 等
医療計画の基本指針 (H19目途)
・都道府県計画・市町村計画の基本的事項(参酌
標準、他の計画との関係等) 等
介護保険事業支援計画の基本指針
(H19目途)
<療養病床の転換に関連する部分>
反映
地域ケア体制整備指針(H19年6月)
・地域ケア体制整備の基本方針
・地域の利用見込みの設定
・療養病床の転換
・各計画への反映
地域ケア体制整備指針
の検討
療養病床の再編成に伴う地域ケア体制整備指針の検討
国
都道府県医療費
適正化計画
(H20∼24)
都道府県医療計画
(H20∼24)
第4期介護保険事業
支援計画
(H21∼23)
(H20∼)
反映
都道府県地域ケア
体制整備構想
(H19年度)
市町村と協力の上以下を策定
地域ケア体制整備構想と関係計画の位置付け
・平均在院日数の短縮に関する政策目
標
・療養病床数の目標
・医療費適正化の取組を行うことによる
医療費の見通し 等
・医療機関の機能分化・連携と医療機
能の集約化・重点化の促進
・事業別の指標と数値目標
・事業ごとの医療連携体制 等
・各年度の施設の必要利用定員総数
・介護サービス量の見込み 等
老健施設・特養・ケアハウス等
…老人保健福祉圏域単位
都道府県が広域的に調整
地域密着サービス
…市町村の日常生活圏域単位
・療養病床の転換(転換推進計画)
相談体制・助成等転換支援措置の検討
・地域ケア体制整備の方針
・各サービスの利用見込み
都道府県
別紙1
7
〈凡例〉
診 療
医療病床
ワーク
・・・ネット
サービス利用
・・・診療
・・・連携
副主治医
他の診療所
地域医療
支援病院
急性期病院
サテライト型小規模老
人保健施設
民生委員
老人クラブ等
多様な住まい
訪問診療
ステーション
訪問看護
訪問介護
事業所
訪問リハ
事業所
通所介護・
通所リハビリ
センター
療養介護
短期入所生活・
生きがいデイサービス
サロン事業
集合住宅(高専賃等)
地域包括
支援センター
ケアマネジャー
サービス利用
地 域 (見 守り )
ネットワーク
自 宅
住宅改修
診療所
主治医
(かかりつけ医)
居宅介護
支援事業所
在宅療養支
市町村
在宅介護サービス
在宅療養支援体制
介 護
在宅復帰の支援
介護老人保健施設
介護保険施設
援診療所等
歯科医師会
医師会
回復期病院
医療療養病床
外来診療
訪問看護
ステーション
歯科
診療所
医 療
熊本県における地域ケアの将来像のイメージ
地域レストラン
配食サービス
移送サービス
有料老人ホーム等
特定施設
地域密着型特定施設
小規模多機能型
居宅介護事業者
地域密着型
サービス
認知症高齢者
グループホーム
地域密着型特別
養護老人ホーム
特別養護老人ホーム
終末期を含めた在宅に代わる生活
別紙2
別紙3
「療養病床転換意向等アンケート調査」結果
平成19年8月1日 熊本県実施
調査目的
直近の状況を踏まえた医療機関の転換意向等を把握することにより、本県における療
養病床転換推進計画等を盛り込んだ「地域ケア体制整備構想」を今年度中を目途に作成
するための基礎資料とすることを目的としたアンケート調査を実施(平成18年10月1日に
も実施)。
結果
調査票送付施設:223医療機関
回答施設数 :222医療機関
回答率 :99.6%
②入院患者数
①病床数
(再掲)
医療療養 介護保険
病床
移行準備
病床
(再掲)
介護療養 経過型介
病床
護療養病
床
(再掲)
医療療養 介護保険
病床
移行準備
病床
(再掲)
介護療養 経過型介
病床
護療養病
床
前
回
6,809床
0床
4,410床
0床
前
回
6,170人
0人
4,131人
0人
今
回
6,521床
40床
4,149床
73床
今
回
5,923人
26人
3,915人
54人
③療養病床全体における転換意向
○療養病床全体では、最終的には医療療養病床が48.5%、老健施設への転換が15.9%であり、未定
は25.7%と全体の約4分の1を占めている状態である。
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
前回
医療療養病床
36.1%
一般
病床
6.1%
介護 介護老人
療養
保健施設
病床
3.2% 6.7%
未定
45.8%
特別養護老人ホーム 1.7%
今回
∼H23
一般
病床
4.7%
医療療養病床
52.1%
介護
療養
病床
7.1%
介護老人
保健施設
12.3%
未定
20.8%
特別養護老人ホーム 1.7%
今回
H24
医療療養病床
48.5%
一般
病床
6.1%
介護老人
保健施設
15.9%
未定
25.7%
廃止 1.1%
8
100%