「鳥の演劇祭 7」公演紹介 ■上演団体:TBTB(シアター・ブレーキング・スルー・バリアズ)[アメリカ] TBTB は、1979 年からニューヨークを拠点に活動する、オフ・ブロードウェイの劇団で、さまざまな障がいのある演劇人 が参加しています。 ■公演名:「パワー・プレイ~障がいをめぐる 6 本のアメリカ短編戯曲」 (原題:「POWER PLAYS: SIX SHORT NEW AMERICAN PLAYS ABOUT DISABILITY」) 今回の公演では、10~15 分の短編を 6 本上演します。いずれも、アメリカの著名な劇作家が TBTB のために書き下 ろしたもので、TBTB が過去 4 年間行っている短編戯曲のフェスティバルで上演されました。今年のフェスティバルは去 る 6 月に行われ、そのタイトルが「POWER PLAYS」でした。 公演タイトルの「POWER」には、いくつかの意味が込められています。まず、現在のアメリカ演劇界において最も力のあ る(優れた)劇作家による書き下ろし作品であるということ。そして、より重要な点として、作品が登場人物間の権力関係 をめぐる闘いを扱っている(『取り戻せない』『人殺し』『完全バリアフリー』)、または障がい者のエンパワーメント(自立や 権利獲得、『私たちの職場へようこそ』『なんでお前が幸せなんだ』『地下鉄』)を描いているということがあります。 ■各上演作品について 『完全バリアフリー』(『Fully Accessible』) 作:ブルース・グラハム(Bruce Graham) バリアフリー化を管轄する市長直属の部局の調査官が、車いすに 乗って劇場にやってくる。調査官の女は、劇場の担当者(支配人?) にあれこれ質問し、バリアフリーになっていない箇所やチケットの割引 制度が整っていないことを指摘し、間接的に公演の招待券を要求す る。怪しく思った担当者が確認すると、そのような部局は存在しない。 担当者が警備会社に連絡すると、現れた警備員も車いすに乗って いた。 ■『取り戻せない』(『Big Payback』) 作:ジェフ・タブニック(Jeff Tabnick) 息子(35 歳)を溺愛する母親(65 歳)。彼女が息子について望むことは、 これまですべて叶えられてきた。一方、息子が恐れ、心配することは、す べて母親に起こってきた。 そして、彼が最も恐れていること、母親の死、が現実のこととなる。が、そ れは彼が望んだことでもあった。 親子の愛憎劇。 ■『私たちの職場へようこそ』(『Welcome to Walmart』) 作:サミュエル・D・ハンター(Samuel D. Hunter) ウォルマートの店舗前で、「Welcome to Walmart」と客に声をかける 従業員の男と女。男は片手がなく、女は車いすに乗っている。 客は、二人が障害を持っていることに気付くと、過剰な反応を示す。 仕事初日の男は、「これは大学を出た自分がやる仕事なのか」と愚 痴をこぼす。 ■『人殺し』(『Murder』) 作:ベカ・ブランステッター(Bekah Brunstetter) 古い友人同士の中年女性 2 二人の会話。一人は職業作家で、もう 一人は最近初めて本を出版した。作家は、友人のデビューを素直に 喜ぶことができない。友情と嫉妬心が交錯し、妄想の中で二人は殺 し合う。 ■『なんでお前が幸せなんだ』 (『THE HAPPY F&+$#@G BLIND GUY』) 作:ブルース・グラハム(Bruce Graham) スーパーマーケットで袋詰めの仕事をする全盲の若い男。彼が楽しそうに、しかもテ キパキと仕事をする(手に取っただけで品物がわかる、など)ので、他の従業員が良 く思っていない。そこで、店長は彼に、もっとつまらなそうに、みじめそうに働くよう、時折 ミスをするように指示する。 ところが彼には、仕事に充実感を感じる理由があった…。 ■『地下鉄』(『Underground』) 作:デビッド・ヘンリー・ホワン(David Henry Hwang) 車いすの女とその夫は、子どもをベビシッターに預け、映画を見に街 へ出るが、地下鉄の駅でエレベーターが故障し、地上に出られなく なる。するとおせっかいな男が現れ、電動なのに妻の車いすを一生 懸命押そうとする。そこに警備員の男も現れる。やがて 3 人の男は、 エレベーターの復旧状況を確認するため、階段で地上へ上がってい く。残された妻の前に、手動車いすに乗る女が現れる。 ※全ての作品写真撮影:Carol Rosegg
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