第2部 環境の状況及び環境の保全に関し講じた施策[PDF - 長崎県

第 2 部
環境の状況及び環境の保全に関し講じた施策
(平成14年度)
第2部
環境への負荷が少ない循環型社会の実現
第1節
1
大気環境の保全
大気汚染防止対策の推進
〔環境政策課〕
現状・施策
(1)大気常時測定結果
大気汚染防止法に基づき、工場・事業場等から排出されるばい煙が主な
汚染源である二酸化硫黄、浮遊粒子状物質、二酸化窒素及び光化学オキシ
ダントの4項目について、県内7市19町の45一般環境大気測定局(二
酸化窒素については43測定局)で継続的な測定が行われています。
平成14年度は、光化学オキシダント及び浮遊粒子状物質で全局(それ
ぞれ30局、45局)で環境基準を達成できませんでした。
ほかの項目については全ての局で環境基準を達成しました。
有害大気汚染物質について3市7地点19項目(ベンゼン、トリクロロ
エチレン、テトラクロロエチレンなど)について調査したところ長崎市役
所沿道でベンゼンが環境基準を超過しました。
ア.環境基準対象項目
A.二酸化硫黄(SO2)
7市19町46測定局(自動車排出ガス測定局1局含む。)で測定を
行い、全ての測定局において測定時間が 6,000時間以上の有効測定
局でした。
a.環境基準達成状況
環境基準達成状況を表1-1-1-1に、濃度上位測定局を表1-1-1
-2に示しました。
・短期的評価
全ての測定局が環境基準を達成しました。
・長期的評価
全ての測定局が環境基準を達成しました。
なお、過去10年間の測定結果でもすべての有効測定局が環
境基準を達成しています。
7
第2部
第1章
環境の状況及び環境の保全に関し講じた施策(平成14年度)
b.経年変化
第2部
県下各地域を代表する測定局を6局選定し、各測定局の過去10
年間における経年変化を図1-1-1-3に示しました。
また、長期暴露の観点から平均的な動きをみるために年平均値に
ついても図1-1-1-4に示しました。
表1-1-1-1
二酸化硫黄の環境基準達成状況(短期的評価、長期的評価)
測定
年
度
(平成) 局数
短 期 的 評 価
長 期 的 評 価
達
成
非達成
達成率
有効測
達
成
非達成
達成率
局
数
局
(%)
定局数
局
数
局
(%)
数
数
5
49
48
1
97.9
47
47
0
100
6
49
48
1
97.9
49
49
0
100
7
49
48
1
97.9
48
48
0
100
8
45
45
0
100
45
45
0
100
9
45
45
0
100
45
45
0
100
10
45
44
1
45
45
0
100
11
46
46
0
100
46
46
0
100
12
46
46
0
100
46
46
0
100
13
46
46
0
100
46
46
0
100
14
46
46
0
100
46
46
0
100
表1-1-1-2
97.8
二酸化硫黄濃度の上位測定局(平成14年度)
1時間の最高値
日平均値の2%除外値
(ppm)
(ppm)
順位
年
平
均
値
(ppm)
順位
順位
1
i諫早市役所
0.064
1
早岐
0.016
1
早岐
0.006
2
多良見町役場 0.060
2
諫早市役所
0.011
2
島原市役所
0.005
3
雪浦
0.051
3
島原市役所
0.010
2
諌早市役所
0.005
4
木場
0.045
4
東長崎支所
0.008
5
島原市役所
0.040
4
口之津
0.008
8
図1-1-1-3
二酸化硫黄の2%除外値の経年変化
第2部
( ppm)
0 .0 1 8
0 .0 1 6
0 .0 1 4
0 .0 1 2
0 .0 1 0
0 .0 0 8
0 .0 0 6
0 .0 0 4
0 .0 0 2
0 .0 0 0
(年 度 )
平成5
6
7
8
9
10
北 消 防 署 (長 崎 市 )
島 原 市 役 所 (県 南 )
松 浦 志 佐 (県 北 )
図1-1-1-4
11
12
13
14
柚 木 (佐 世 保 市 )
大 村 (県 央 )
雪 浦 (西 彼 )
二酸化硫黄の年平均値の経年変化
(ppm)
0.007
0.006
0.005
0.004
0.003
0.002
0.001
(年度)
0.000
平成5
6
7
8
9
10
北消防署(長崎市)
島原市役所(県南)
松浦志佐(県北)
11
12
13
柚木(佐世保市)
大村(県央)
雪浦(西彼)
9
14
B.浮遊粒子状物質(SPM)
第2部
7市19町49測定局(自動車排出ガス測定局4局含む 。)で測定を
行い、全ての測定局において測定時間が6,000時間以上の有効測
定局でした。
a.環境基準達成状況
環境基準達成状況を表1-1-1-5に、濃度上位測定局を表1-1-1
-6に示しました。
・短期的評価
49測定局全ての測定局において環境基準を達成できません
でした。1時間値及び日平均値の環境基準の超過状況において
も、全ての測定局で超過していました。
・長期的評価
49測定局中48測定局が日平均値0.10mg/m3 を2日以上
連続して超えており、環境基準を達成できませんでした。2日
以上連続して超えたのは平成14年4月、11月の黄砂が観測
された時期と一致しており、自然的要因の影響が考えられます。
b.経年変化
県下各地域の代表測定局の2%除外値及び年平均値による過去1
0年間の経年変化を図1-1-1-7及び図1-1-1-8に示しました。
表1-1-1-5
浮遊粒子状物質の環境基準達成状況(短期的評価、長期的評価)
測定
年
度
(平成) 局数
短 期 的 評 価
長 期 的 評 価
達
成
非達成
達成率
有効測
達
成
非達成
達成率
局
数
局
(%)
定局数
局
数
局
(%)
数
数
5
44
3
41
6.8
42
13
29
31.0
6
48
3
45
7.0
48
48
0
100
7
48
22
26
45.8
47
44
3
93.6
8
45
18
27
40.0
44
44
0
100
9
45
9
36
20.0
45
42
3
93.3
10
45
5
40
11.1
45
26
19
57.8
11
46
7
39
15.2
46
46
0
100
12
47
5
42
10.6
47
32
15
68.1
13
48
0
48
0
48
2
46
4.2
14
49
0
49
0
49
1
48
2.0
10
表1-1-1-6
浮遊粒子状物質濃度の上位測定局(平成14年度)
3
m を超えた時間数
順位
1
(時間)
m を超えた日数
順位
時津小学校
1
1
村松
2
2
2
2
1
島原市役所
大串
3
島原市役所
0.037
2
村松
雪浦
0.036
2
小ヶ倉支所
0.082
雪浦
4
大塔
0.036
4
4
大塔
0.081
大串
4
値
(mg/m3)
0.085
遠見岳
21
5
均
0.090
島原市役所
22
5
村松
4
川棚
平
値
(mg/m ) 順位
4
面高
年
3
6
23
3
外
順位
村松
23
3
除
(日)
27
2
日平均値の2%
3
0.034
5
諫早市役所
0.081
大塔
0.033
6
面高
21
0.033
図1-1-1-7
浮遊粒子状物質の2%除外値の経年変化
(mg/m3)
0.100
0.080
0.060
0.040
0.020
(年度)
0.000
平成5
6
7
8
9
北消防署(長崎市)
島原市役所(県南)
松浦志佐(県北)
11
10
11
12
13
柚木(佐世保市)
大村(県央)
雪浦(西彼)
14
第2部
1時間値が0.2mg/ 日平均値が0.1mg/
図1-1-1-8
浮遊粒子状物質の年平均値の経年変化
第2部
(mg/m3)
0.050
0.040
0.030
0.020
0.010
(年度)
0.000
平成5
6
7
8
9
10
11
北消防署(長崎市)
島原市役所(県南)
松浦志佐(県北)
12
13
14
柚木(佐世保市)
大村(県央)
雪浦(西彼)
C.二酸化窒素(NO2)
7市19町48測定局で測定を行い、全ての測定局において測定時
間が6,000時間以上の有効測定局でした。
a.環境基準達成状況
・一般環境大気測定局
7市19町43局で測定を行い、全ての測定局が環境基準を
達成しました。(表1-1-1-9)
日平均値の年間98%値(以下「98%値」という 。)及び年
平均値が高い上位測定局について表1-1-1-10に示しました 。
また、県下各地域の代表的な測定局の98%値と年平均値の
推移を図1-1-1-11、図1-1-1-12に示しました。
表1-1-1-9
年 度
測定局数
二酸化窒素の環境基準達成状況
有効測定局数
達成局数
非達成局数
達成率(%)
(平成) 一般局 自排局 一般局 自排局 一般局 自排局 一般局 自排局 一般局 自排局
5
44
5
42
5
42
5
0
0
100
100
6
44
5
44
5
44
3
0
2
100
60
7
44
5
43
5
43
4
0
1
100
80
8
41
5
41
5
41
5
0
0
100
100
9
42
5
42
5
42
3
0
2
100
60
10
42
5
42
5
42
3
0
2
100
60
11
43
5
43
5
43
4
0
1
100
80
12
43
5
43
5
43
4
0
1
100
80
13
43
5
43
5
43
4
0
1
100
80
14
43
5
43
5
43
3
0
2
100
60
12
表1-1-1-10
二酸化窒素濃度の上位測定局(平成14年度)
自動車排出ガス測定局
日平均値の年間98%値
順位
(単位:ppm)
1 長崎駅前
0.034
2
0.073
小ヶ倉支所
2
福石
0.028
3
0.061
諫早市役所
3
中央橋
0.028
4
0.052
大野
4
長崎市役所
0.026
5
0.051
大塔
5
日宇
0.026
図1-1-1-11
第2部
一般環境大気測定局
日平均値の年間98%値
順位
(単位:ppm)
1 北消防署
0.037
二酸化窒素の98%値の経年変化(一般環境大気測定局)
(ppm )
0.0 50
0.0 40
0.0 30
0.0 20
0.0 10
(年 度 )
0.0 00
平成5
6
7
8
9
10
11
北 消 防 署 (長 崎 市 )
島 原 市 役 所 (県 南 )
松 浦 志 佐 (県 北 )
図1-1-1-12
12
13
14
柚 木 (佐 世 保 市 )
大 村 (県 央 )
雪 浦 (西 彼 )
二酸化窒素の年平均値の経年変化(一般環境大気測定局)
(ppm )
0.025
0.020
0.015
0.010
0.005
(年 度 )
0.000
平成5
6
7
8
9
10
北 消 防 署 (長 崎 市 )
島 原 市 役 所 (県 南 )
松 浦 志 佐 (県 北 )
13
11
12
13
柚木(佐世保市)
大村(県央)
雪浦(西彼)
14
D.光化学オキシダント(Ox)
第2部
a.環境基準達成状況
過去10年間における光化学オキシダントの環境基準達成状況を
表1-1-1-13に、県下各地域別に環境基準超過時間数が多い測定
局の月別の超過状況を図1-1-1-14、濃度上位測定局を表1-1-115に示しました。
光化学オキシダントは、例年大部分の測定局が環境基準を達成し
ていませんが、平成14年度においても6市12町30局で測定した
結果、すべての測定局が環境基準を達成しませんでした。
季節別、地域別にみると、3∼6月の春季、9∼10月の秋季の
2季に濃度が高くなる傾向にあり、超過時間数の多い測定局は、西
彼杵郡、北松浦郡や佐世保市の郊外部に集中しており、例年と同様
の傾向でした。
表1-1-1-13
光化学オキシダントの環境基準達成状況
非
年
度 測定局数 達成局数
局
数
達
成
局
環境基準を100時間以上
(平成)
超
過
し
た
局
数
達
成
(%)
5
30
0
30
28
0.0
6
30
0
30
26
0.0
7
30
1
29
23
3.3
8
30
0
30
28
0.0
9
30
0
30
27
0.0
10
30
0
30
27
0.0
11
30
0
30
27
0.0
12
30
0
30
24
0.0
13
30
0
30
26
0.0
14
30
0
30
26
0.0
14
率
図1-1-1-14
光化学オキシダントの環境基準月別超過状況
第2部
(時 間 )
350
300
250
200
150
100
50
(月 )
0
4
5
6
7
8
9
10
11
12
1
2
3
平 成 7年 度
平 成 8年 度
平 成 9年 度
平 成 10年 度
平 成 11年 度
平 成 12年 度
平 成 13年 度
平 成 14年 度
表1-1-1-15
光化学オキシダント濃度の上位測定局(平成14年度)
昼間の1時間値の最高値
(ppm)
昼間の1時間値が0.06ppmを 昼間の1時間値の年平均値
超えた時間数(日数)
順位
順位
(ppm)
順位
1
柚木
0.121
1
柚木
1,060(143)
1
柚木
0.059
1
小佐々
0.121
2
石岳
959(130)
1
小佐々
0.059
3
石岳
0.120
3
黒崎中学校
953(137)
2
大串
0.057
4
大串
0.118
4
鹿町
934(125)
2
鹿町
0.057
5
俵ヶ浦
0.117
5
小佐々
912(139)
イ.環境基準対象外項目
A.非メタン炭化水素
炭化水素のうち非メタン炭化水素は窒素酸化物が共存すると光化学
反応により光化学オキシダント発生の原因となるために、本県では例
年一般環境大気測定局2局、自動車排出ガス測定局4局で測定を実施
しています。
光化学オキシダントの環境基準である0.06ppm( 昼間の1時間値)
に対応する非メタン炭化水素の濃度は0.20∼0.031ppmC(6∼9
時の3時間平均値)のゾーンに相当するとして、この濃度を光化学オ
キシダント生成防止の指針値としています。
年間の状況を表1-1-1-16に示しました。6∼9時における年平
均値は一般環境大気測定局0.06∼0.09ppmC、自動車排出ガス測
定局0.37∼0.38ppmCでした。6∼9時の3時間平均値が指針値
の上限を超えた日については4測定局でみられ、自動車排出ガス測定
局において特に多くみられました。
年平均値による経年変化を図1-1-1-17に示しました。
15
表1-1-1-16
第2部
測定局の区分
非メタン炭化水素の年間の状況(平成14年度)
6∼9時の3時間
6∼9時における
年平均値
平均値が0.31ppmC
年平均値(ppmC)
(ppmC)
を 超 え た 日 数
一般環境大気測定局
自動車排出ガス測定局
5∼ 18日/年間
171∼273日/年間
図1-1-1-17
0.8
0.07∼0.13
0.06∼0.09
0.42∼0.47
0.37∼0.38
非メタン炭化水素の年平均値の経年変化
(ppm C )
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
(年 度 )
0.1
0
平成5
6
7
8
9
10
長崎 駅前(長崎市 )
福 石 (佐 世 保 市 )
松浦 志佐(北松)
11
12
13
14
長崎市 役所(長崎市)
日宇(佐世保 市)
村松(西彼)
(2)有害大気汚染物質調査
大気汚染防止法第18条の23の規定に基づき、平成14年度は環境基
準が定められている4物質(ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロ
ロエチレン及びジクロロメタン)等測定方法が確立している19物質につ
いて3市1町8地点で調査を実施しました。
ア.環境基準が定められている4物質
表1-1-1-18に示すように4物質に係る県内の調査結果は、ベンゼ
ンについて、長崎市役所で環境基準を超過しましたが、その他の地点及
びその他の項目については全ての調査地点で環境基準を下回るととも
に、平成13年度に環境省等が実施した全国の調査結果と比較して低い
濃度レベルでした。
16
表1-1-1-18
平成14年度ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びジクロロメタン調査結果
物質名
県の調査結果
環境省等の調査結果
環境
(平成14年度)
(平成13年度)
基準
地点数 平均値 年平均値の範囲 地点数 平均値 年平均値の範囲
ベンゼン
7
2.4
1.3∼3.8
368
2.2
0.49∼5.2
3
トリクロロエチレン
6
1.2
(0.10)∼6.5
332
1.3
0.022∼26
200
テトラクロロエチレン
6
0.20 (0.10)∼0.37
333
0.52
0.026∼4.4
200
ジクロロメタン
6
0.87
307
3.0
0.17∼20
150
0.50∼1.6
*括弧書きの数値については、平均値の算出結果が検出下限値未満の値であったこ
とを示します。
イ.その他の物質について
その他の物質については平成13年度に環境省等が実施した全国の調
査結果と比較して、アセトアルデヒド、酸化エチレン、1,3−ブタジ
エン、ホルムアルデヒド、ヒ素及びクロムについてやや高い地点が見ら
れるものの、その他9項目については全体的に全国平均値と同程度のレ
ベルかそれ以下の濃度レベルでした。
(3)発生源の現況
〔環境政策課〕
ア.固定発生源
本県には大気汚染に関与する固定発生源として、工場や事業場に設置
されているボイラー・加熱炉・廃棄物焼却炉等のばい煙を発生する施設
と、土石・鉱物を対象とした堆積場・ベルトコンベア・破砕機等の粉じ
ん(一般粉じん)を発生する施設があります。大気汚染防止法ではこれ
らの施設のうち、ばい煙や粉じんを多く発生し、大気を汚染するおそれ
のある一定規模以上のものを「ばい煙発生施設」及び「一般粉じん発生
施設」として、設置やその構造の変更等に際し届出を義務付けるととも
に、ばい煙の排出量や一般粉じん発生施設の管理について規制していま
す。なお、長崎県内には平成13年度末現在、アスベストを扱う「特定
粉じん発生施設」の届出はありませんでした。
A.ばい煙発生施設
本県に設置されているばい煙発生施設は、平成14年度末現在で表
1-1-1-19のとおり、1,711施設であり、長崎市・佐世保市・大
村市・諌早市及び香焼町に多く集中しています。
平成13年度と比較して、特に目立った変化はありませんが、ここ
数年の傾向として小型ボイラー(伝熱面積が小さい反面、燃焼能力が
大きい)と電気工作物(非常用自家発電施設)が増加しており、この
傾向は今後も続くと予想されます。
17
第2部
(単位:μg/m3)
表1-1-1-19
ばい煙発生施設設置状況
第2部
施 設 の 種 類 長崎市 佐世保市
ボイラー
260
146
溶解炉
3
3
加熱炉
16
15
3
1
焼成炉・溶融炉
直火炉
(平成15年3月31日現在)
西彼保健所
県央保健所
県南保健所
その他
79
251
110
169
5
8
2
電気炉
3
廃棄物焼却炉
6
3
11
2
1
42
28
32
1
4
19
131
ガス工作物
計
424
4
28
60
3
12
21
27
ディーゼル機関
電気工作物
計
1,015
1
乾燥炉
合
合
79
36
6
5
266
153
90
19
60
145
1
3
4
15
36
487
11
422
149
297
1,711
B.一般粉じん発生施設
本県に設置されている一般粉じん発生施設は平成14年度末現在で
表1-1-1-20のとおり、881施設です。施設の種類は堆積場、ベル
ト(バケット)コンベア、破砕機及び摩砕機が多く全体の約9割を占
めており、その大半は砕石場・アスファルトプラント及び県下3か所
の火力発電所(松島・大村・松浦)に設置されています。
表1-1-1-20 一般粉じん発生施設設置状況
施 設 の 種 類 長崎市 佐世保市
堆積場
(平成15年3月31日現在)
西彼保健所
県央保健所
県南保健所
その他
合
計
9
19
8
55
2
56
149
ベルトコンベア
48
6
17
89
17
258
435
破砕機・摩砕機
16
6
6
74
6
64
172
ふるい
16
3
6
36
1
45
107
電気工作物
合
計
18
89
34
37
272
18
18
26
423
881
イ.移動発生源
都市部において窒素酸化物・一酸化炭素・炭化水素による大気汚染への
影響が大きくなっています。
本県における自動車保有台数は、図1-1-1-21のとおり年々増加し
ており、平成2年度末の67.9万台から平成12年度末現在の85.0万台
と、過去10年余りで約1.3倍の伸びとなっています。車種別にみると
普通乗用車と軽自動車が圧倒的に多く、着実に増加を続けています。
図1-1-1-21
県内自動車保有台数の推移
(台数)
900000
800000
700000
系列7
系列6
系列5
系列4
系列3
系列2
系列1
600000
500000
400000
300000
200000
100000
0
平成3
〃4
〃5
〃6
〃7
〃8
〃9
〃10
〃11
〃12
(年度)
ウ.燃料の使用状況
本県における液体燃料販売量(長崎県石油協組合調べ)の推移を表1
-1-1-22に示しました。
液体燃料については、昭和55年度の 236万kLがピークでしたが、
その後、経済の低成長期へ入り操業時間の短縮、産業構造の方向転換及
び省エネルギー対策により年々需要が減り、昭和60年度には 168万k
Lでピーク時の70%になりました。しかし、その後の景気回復により
増加傾向を示しましたが、平成8年度をピークに最近は減少傾向を示し
ています。ばい煙発生施設の多くは、重油を使用しており、行政指導及
び企業努力により重油の低硫黄化が図られています。
19
第2部
移動発生源には自動車・航空機・船舶等があり、その中でも自動車は
第2部
表1-1-1-22
年
度 ガソリン
液体燃料販売量の推移
灯
油
軽
(単位:千kL)
油
A重油
B重油
C重油
合
計
昭和60
400
165
311
466
43
294
1,679
〃
61
411
172
328
513
38
288
1,750
〃
62
413
187
370
529
39
256
1,794
〃
63
434
185
403
562
32
551
2,167
平成 元
443
183
392
570
29
648
2,265
〃
2
464
183
425
555
31
673
2,331
〃
3
482
209
500
588
16
518
2,313
〃
4
496
215
479
565
2
607
2,366
〃
5
510
226
482
522
1
496
2,237
〃
6
536
215
514
481
0
554
2,300
〃
7
559
251
529
447
0
494
2,280
〃
8
589
251
546
443
0
538
2,367
〃
9
594
232
521
446
0
306
2,099
〃
10
593
201
559
444
0
272
2,069
〃
11
608
218
519
458
0
222
2,025
〃
12
602
207
466
444
0
289
2,008
〃
13
611
199
491
459
0
231
1,991
〃
14
591
210
454
425
0
187
1,867
(4)大気環境保全対策
〔環境政策課〕
ア.固定発生源対策
大気汚染防止法では、ばい煙発生施設に対する規制として硫黄酸化物
・ばいじん・有害物質(窒素酸化物・塩化水素等)について排出基準が
定められています。また、一般粉じん発生施設については、土石や鉱物
からの粉じん飛散防止のための施設の構造・使用に対して基準が定めら
れています。
本県では、工場や事業場のばい煙発生施設及び一般粉じん発生施設を
対象に立入検査を実施し、ばい煙発生施設にあっては、必要に応じてば
い煙濃度の測定を実施しています。さらに、ばい煙排出者が自ら排出ば
い煙をチェックし、管理することにより大気環境の保全に努めるよう指
導しています。
平成14年度の立入検査状況は、表1-1-1-23のとおりであり、各
種届出事項をチェックし、変更事項の届出・ばい煙濃度の自主測定の励
行・施設の適正運用・一般粉じん発生施設からの粉じん飛散防止等につ
いて検査しました。
20
表1-1-1-23
分
立 入 検 査
ばい煙濃度
施
の測定件数
施設数
設
数
ばい煙発生施設
1,068
357
10
一般粉じん発生施設
1,160
144
ー
2,592
501
10
合
計
また、本県には、大型固定発生源である火力発電所が4か所に立地し
ていますが、排煙脱硫装置や電気集じん機等種々の大気汚染防止施設を
設置し、周辺大気環境の保全を図っています。更に、事業者・地元市町
及び県とで環境保全協定を締結し、硫黄酸化物・窒素酸化物・ばいじん
の各物質について現行の排出基準よりも更に厳しい協定値を設定してい
ます。各発電所の発生源には、硫黄酸化物及び窒素酸化物濃度の自動測
定機が設置され 、本県テレメータシステムにより常時監視していますが、
平成14年度も協定値を超えることはありませんでした。
イ.大気汚染緊急時対策
本県では、昭和54年4月にテレメータシステムによる大気環境濃度
の常時測定を開始したのを契機に、それまで制定されていた大気汚染緊
急時対策要綱を全面改正しました(昭和54年6月4日)。
本県における二酸化硫黄・浮遊粒子状物質・一酸化炭素及び二酸化窒
素の4物質の環境濃度は、緊急時の濃度よりかなり低いレベルにありま
すが、光化学オキシダントは、注意報発令濃度(0.120ppm)に達し
たことはないものの、一部の測定局ではこれに近い濃度がこれまでに出
現しています。このため、日頃から気象状況を把握しておくとともに、
関係機関・住民等への周知連絡体制を整えているところです。
また、松浦市では、ほぼ同時に立地した2電力企業の国内最大級の出
力(各2号機完成時 370万kw)を有する石炭火力発電所が稼働して
おり、このため北松地域においては、前記要綱をふまえて環境保全協定
に基づく発令濃度ランクを定める等、更にきめ細かい緊急時の対応を図
っています。
ウ.監視測定体制の整備
本県では、大気汚染防止法第20条及び第22条の規定に基づき、昭和
45年から自動測定による大気環境の常時監視を開始し、その後、測定
局を遂次増設し監視体制を強化してきました。さらに監視業務の効率化
及び大気汚染緊急時に対処するため、昭和54年度にはテレメータシス
テムを導入しました。また、昭和61年度には、松浦火力発電所(石炭
専焼)の立地に伴い県北地域における監視体制を強化するため、測定局
の増設及びテレメータシステムの中枢である中央監視センター機能の拡
充整備を図りました。
21
第2部
区
立入検査実施状況(平成14年度)
今後、常時監視にあたっては、汚染物質濃度の動向への迅速な対応、
第2部
より効率的なデータ処理等が要求されるため、最新の技術によるシステ
ムを平成7∼8年度にかけて導入し、広域大気汚染に的確な対応を図る
ことが可能となりました。
また、平成7年度末までには、61局(環境保全協定に基づく企業測
定局を含む 。)で大気環境及び発生源の状況を常時測定していましたが、
平成8年度に測定局を57局に整理統合し、さらに平成11年度に佐世保
市で局の追加等の見直しを行い現在58局となっています(表1-1-1-2
4 )。
エ.有害大気汚染物質調査の推進
大気汚染防止法の一部改正(H9.4.1施行)により、継続的に摂取さ
れる場合には人の健康を損なうおそれのある物質で大気汚染の原因とな
る物質のうち、健康リスクが高い22物質を優先取組物質と指定し、地
方公共団体がモニタリングを実施する対象物質として指定されました。
本県では、平成9年度からベンゼン、トリクロロエチレン及びテトラ
クロロエチレン等測定方法が確立している16物質についてのモニタリ
ングを開始しました。
なお 、平成10年度に有害大気汚染物質モニタリング指針が改正され、
ダイオキシン類、水銀、ベンゾ(a)ピレンの3物質がモニタリング対象
物質に追加されたことにより、平成10年度からこの3物質を追加した
計19物質のモニタリングを実施しています。
さらに、平成12年度には、新たに測定法が追加された酸化エチレン
を加え 、現在は、ダイオキシン類を除いて計19物質を測定しています 。
(ダイオキシン類は別掲)
22
表1-1-1-24
大気常時測定局の設置状況
局数
大気汚染物質
環境基準対象項目
気象
第2部
測定
(平成15年3月31日現在)
その他の項目
二 浮 二 光 一 一 メ 非 硫 窒 風 日 放
酸 遊 酸 化 酸 酸 タ メ 黄 素 向 射 射
小 合 化 粒 化 学 化 化 ン タ 酸 酸 ・ 量 収
測定機関
測 定 局 区 分
硫 子 窒 オ 炭 窒
ン 化 化 風
支
黄 状 素 キ 素 素
炭 物 物 速
量
計 計
物
シ
化
質
ダ
水
ン
素
ト
長 崎 県
一般環境大気測定局
15 15 15 15 15 12
−
15
2
2
−
−
15
2
2
長 崎 市
一般環境大気測定局
4
自動車排出ガス測定局
3
一般環境大気測定局
4
自動車排出ガス測定局
2
佐世保市
企
業
一般環境大気測定局
(電源開発・
7
4
4
4
4
−
4
−
−
−
−
4
−
−
−
3
3
−
3
3
2
2
−
−
−
−
−
4
4
4
4
−
4
−
−
−
−
4
−
−
1
1
2
−
2
2
2
2
−
−
1
−
−
22 22 22 22 20 10
−
20
−
−
−
−
22
−
−
6
そ の 他
1
1
煙 源 局
7
7
1
−
−
−
−
−
−
−
−
7
7
−
−
−
46 49 48 30
5
48
6
6
7
7
47
2
2
九州電力)
合
計
58
課題
○
大気環境基準の維持達成に向けた工場・事業場からのばい煙等の排出抑
制対策や、有害大気汚染物質の使用実態及び排出状況等の把握並びに削減
対策等の指導の推進が必要です。
23
2
自動車排出ガス抑制対策の推進
第2部
現状・施策
(1)自動車排出ガス測定結果
〔環境政策課〕
自動車排出ガスの寄与が大きい二酸化窒素と一酸化炭素について、5か
所の自動車排出ガス測定局で継続して測定を行っています。
平成14年度は、長崎駅前測定局及び佐世保市福石局で二酸化窒素が0.
065ppmで環境基準(0.060ppm)をわずかに超過しました。
なお、一酸化炭素は全ての測定局で環境基準を達成しています。
図1-1-2-1
二酸化窒素の98%値の経年変化
(ppm )
0 .0 8 0
環 境 基 準 0 .0 6 p p m
0 .0 7 0
0 .0 6 0
0 .0 5 0
0 .0 4 0
0 .0 3 0
0 .0 2 0
0 .0 1 0
0 .0 0 0
平成5
6
8
9
10
11
長 崎 駅 前 (長 崎 市 )
長 崎 市 役 所 (長 崎 市 )
福 石 (佐 世 保 市 )
日 宇 (佐 世 保 市 )
図1-1-2-2
6
7
12
13
14
中 央 橋 (長 崎 市 )
一酸化炭素の2%除外値の経年変化
(ppm )
5
4
3
2
1
0
平成5
6
7
8
9
10
11
長 崎 駅 前 (長 崎 市 )
長 崎 市 役 所 (長 崎 市 )
福 石 (佐 世 保 市 )
日 宇 (佐 世 保 市 )
(2)環境運転宣言の実施
12
13
14
中 央 橋 (長 崎 市 )
〔環境政策課〕
平成10年3月に「長崎県自動車排出ガス対策推進協議会」が採択した
環境運転宣言<不要なアイドリングはやめます><空ぶかし、急発進はや
めます><むだな荷物は積みません>を広く県民にアピールしています。
24
(3)マイカー自粛、公共交通機関の利用促進
〔交通政策課〕
ラシ配布等により、マイカー自粛、公共交通機関の利用促進の啓発に取り
組みました。
また、バス車内の読み取り機にかざすだけで、運賃支払いができるIC
パスカードの導入に対する支援を行いました。
(4)物流の効率化
〔交通政策課〕
トラック輸送の効率化については、空荷トラックの活用を図るための情
報システムが導入されつつあります。
また、都市内物流に関して、経済産業省において、長崎市浜の町商店街
における共同配送を実現させるための検討が行われました。
(5)内航海運及び鉄道貨物輸送の利用促進
〔交通政策課〕
鉄道貨物輸送の利用促進に関しては、現在、JR貨物長崎駅が自動車代
行駅として位置づけられ、長崎駅と拠点駅(佐賀県鍋島駅)間の輸送はト
ラックで行われています。
(6)交通網の充実
〔道路建設課〕
ア.都市圏における円滑な交通確保のため、渋滞を緩和し、交通に起因す
る環境負荷を低減する道路網の充実に取り組んでいます。
具体的には、バイパス、環状道路、現道拡幅等による交通容量拡大策
を県土115か所で展開しています。
イ.都市部を中心に一部の地域では、道路沿線に植樹帯を設け、良好な生
活環境の創造を行っています。
(7)アイドリング・ストップ運動の推進
〔交通局(県営バス)〕
アイドリング・ストップ運動の推進のため、営業所立哨及び停留所立哨
における実地指導や乗務員を対象とした研修会を実施し、併せて省燃費運
転(エコドライブ)を行っています。
なお、アイドリングストップ&スタートシステム搭載車両を車両更新時
に購入しています。
25
第2部
長崎都市圏において、ゴールデン・ウィーク等交通混雑期において、チ
(8)交通公害対策の推進
第2部
ア.交通規制
〔長崎県警察本部〕
〔警察本部交通規制課〕
交通公害防止を目的に、交差点や交通渋滞箇所における交通流の整序
化のための交通規制を実施しました。
また、交通渋滞による排気ガスの増加を防止するため、幹線道路を対
象とした最高速度規制等の見直しによる交通円滑化対策を実施しまし
た。
さらに、暴走車両の騒音対策として、住民の要望・苦情を踏まえた夜
間の通行禁止等の規制を実施し大きな成果をあげました。
表1-1-2-3
種
別
交通規制の状況
平成14年度中の実施数
区間
平成14年度末の累計
延長(m)
区間
延長(m)
歩行者用道路
2
620
239
59,019
車両通行禁止
8
ー589
377
193,045
駐 車 禁 止
26
9,719
一 方 通 行
4
495
速 度 規 制
18
9,603
イ.信号機の高度化
2,506 1,943,680
690
175,389
1,906 2,986,198
〔警察本部交通規制課〕
交通渋滞を解消し、自動車等からの排気ガス及び騒音等を減少させる
ため、信号機の表示調整、制御機能の高度化を図りました。
表1-1-2-4
区
信号機の設置状況
分
設
平 成 1 4 年 度 末 の 信 号 機 数
ウ.交通管制センターの効果的な運用
数
1,999
平 成 1 4 年 度 中 の 新 設 数
平 成 1 4 年 度 信 号 機 の 高 度 化
置
161
改
良
67
〔警察本部交通規制課〕
信号機を管制エリアに取り込み、交通管制センターのコンピューター
で効果的に制御して、排気ガスによる大気汚染、騒音等の交通公害の防
止に努めました。
26
表1-1-2-5
交通管制センターの状況
平成14年度中の実施数
平成14年度末累計
長 崎 佐世保 諫 早 大 村
長 崎
佐世保
諫 早
大 村
制御範囲
ー
ー
ー
ー
75km
43km
39k
21k
(路線延長)
m
m
集中制御信号機 ー
ー
ー
ー
363基 180基
96基
81基
フリーパターン ー
ー
ー
ー
14基
4基
1基
ー
式情報板
エ.交通指導取締り
〔警察本部交通指導課〕
大気汚染、騒音及び振動など交通公害の原因となる整備不良車両運転
違反・積載重量制限超過違反等の取締りを強化するとともに、暴走族に
対する指導取締りを強化しました。
課題
○
自動車排出ガス対策を推進するためには、自動車単体の構造・技術的課
題や都市計画、運輸計画を含めた総合的な道路交通体系の整備面からの課
題、さらには運転者一人ひとりの意識の問題等多岐に渡って施策を展開す
る必要があります。
○
マイカー自粛、公共交通機関の利用促進についての啓発を引き続き行う
とともに、都市部においては、自家用車から公共交通機関に乗り換えるパ
ーク・アンド・ライドや通勤シャトルバスの運行などを検討する必要があ
ります。
○
交通量の伸びに道路整備が追いつかない状況にあります。今後ますます、
公共事業費が減少する中、財源確保が課題となっています。
○
都市部沿線では、用地取得が難航するケースが多く、植樹帯設置のため
の拡幅計画が理解されにくい傾向があります。
○
概ねアイドリング・ストップ運動は実施されていますが、県営バス乗務
員へ趣旨を徹底して更に実施率を向上させる必要があります。
27
第2部
年度区分
第2節
第2部
1
水環境の保全
海域・河川・湖沼等の水質保全対策の推進
現状・施策
(1)公共用水域の水質監視状況
〔環境政策課〕
都市化・産業化の進展により、清流の枯渇、水質の悪化、地下水の減少
等水循環の変化に起因する様々な問題が生じています。
そこで、水質汚濁防止法に基づき、知事は、公共用水域及び地下水の水
質の汚濁状況を常時監視することとされており、毎年作成される測定計画
に従って、県、長崎市及び佐世保市等関係機関が公共用水域及び地下水の
水質調査を実施しています。
公共用水域については、県内の主要河川及び海域の226地点で調査を
実施しました。
河川の調査地点数は76河川82水域110地点で、このうち環境基準
の維持達成状況を把握するための地点(「 環境基準地点」といいます 。)
は、50河川57水域60地点です。
また、海域の調査地点数は14水域116地点で、このうち環境基準地
点は14水域84地点です。
ア.河川
生活環境の保全に関する環境基準(生活環境項目)のうち、河川の水
質汚濁の状況をBOD(生物化学的酸素要求量)の環境基準達成率でみ
ると、表1-2-1-1のとおりで、57水域中7水域が未達成で達成率は
87.7%でした。最近5年間の環境基準達成率は、86%∼91%を
推移していますが、浦上川、喜々津川等の都市河川では高い汚濁がみら
れています(図1-2-1-2)。
また、人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)については、ふ
っ素が1地点(西大川の高速道下流)で、ほう素が4地点で環境基準を
超過していました。
28
年度
河川におけるBODの環境基準達成率
環境基準
達成率
達成水域数
(%)
第2部
表1-2-1-1
類型指定水域数
10
57
52
91.2
11
57
49
86.0
12
57(56)
49
87.5
13
57
51
89.5
14
57
50
87.7
注1)a達成率=環境基準達成水域数/類型指定水域数×100
注2)
12年度は57水域60地点のうち、1水域1地点で測定不能
図1-2-1-2
平成14年度
主要河川のBOD75%値
8.0
6.0
4.0
2.0
有馬川
東大川
有家川
神代川
土黒川
境川
雪浦川
神浦川
福江川
鰐川
幡鉾川
佐 々川
谷江川
喜 々津 川
西海川
29
川棚川
時津川
長与川
小 森 川 ︵2 ︶
小 森 川 ︵1 ︶
日宇川
相浦川
鹿尾川
佐世保川
本 明 川 ︵2 ︶
本 明 川 ︵1 ︶
中 島 川 ︵3 ︶
中 島 川 ︵2 ︶
中 島 川 ︵1 ︶
浦 上 川 ︵3 ︶
浦 上 川 ︵2 ︶
浦 上 川 ︵1 ︶
0.0
イ.海域
第2部
海域の水質汚濁の状況をCOD(化学的酸素要求量)の環境基準達成
率でみると、表1-2-1-3のとおりで、84地点中24地点が不適合で
適合率は71.4%でした。特に東大川河口水域、大村湾や佐世保湾等
閉鎖性海域で汚濁がみられています(図1-2-1-4)。特に閉鎖性の強い
大村湾では、昭和51年以降毎年環境基準を超過しています。
なお、閉鎖性の強い大村湾、長崎湾、佐世保湾、伊万里湾の4海域に
ついて 、赤潮の発生や魚介類への被害を招く富栄養化の防止を図るため、
全窒素・全燐の環境基準の類型指定を行い、平成12年度よりその類型
指定に基づく測定を開始しています。海域の全窒素及び全燐は11水域
中3水域(全窒素は3水域、全燐は1水域)が環境基準または暫定目標
を未達成で達成率は72.7%でした。
また、人の健康の保護に関する環境基準については、全ての測定地点
で全項目とも環境基準を達成しています。
表1-2-1-3
海域におけるCODの環境基準達成率
類型指定
環境基準
達成率
環境基準
水 域 数
達成水域数
(%)a
地 点 数
環境基準
適
合
地 点 数
年度
適合率
(%)b
10
14
9
64.3
83
46
55.4
11
14
10
71.4
83
54
65.1
12
14
9
64.3
84
55
65.5
13
14
10
71.4
84
59
70.2
14
14
8
57.1
84
60
71.4
注1)a達成率=環境基準達成水域数/類型指定水域数×100
b適合率=環境基準適合地点数/環境基準地点数×100
注2)海域の水質の状況については、国は水域数を基本とした「達成率」で評価しているが、本県では対
馬海域、壱岐海域、五島海域、松浦海域、北松海域、西彼海域及び橘湾を含む広い水域が「長崎県沿
岸海域」という1水域となり、各水域ごとの水質の状況が把握しにくいので、環境基準地点を基本と
した「適合率」で評価している。
30
図1-2-1-4
平成14年度
海域のCOD75%値
第2部
5.0
4.0
3.0
2.0
1.0
東大川河口水域
(長 崎 県 沿 岸 海 域)
橘湾
西彼海域
北松海域
松浦海域
五島海域
壱岐海域
対馬海域
網場湾
大村湾
佐 世 保 湾 ︵2 ︶
佐 世 保 湾 ︵1 ︶
早岐瀬戸
長 崎 湾 ︵2 ︶
(2)地下水
長 崎 湾 ︵1 ︶
有 明 海 ︵1 6 ︶
有 明 海 ︵1 1 ︶
有 明 海 ︵1 2 ︶
有 明 海 ︵1 3 ︶
有 明 海 ︵1 5 ︶
0.0
〔環境政策課〕
地下水については、トリクロロエチレン等の人の健康の保護に関する項
目について、地域の全体的な地下水質の概況を把握するために実施する「概
況調査 」、概況調査等により新たに発見された汚染について、その汚染範
囲を確認するために実施する「汚染井戸周辺地区調査」、及び汚染井戸周
辺地区調査により確認された汚染の状態を継続して監視するために実施す
る「定期モニタリング調査」に分けて実施しました。
ア.概況調査
長崎市及び佐世保市の2市の計26地点で調査を実施し、結果は次の
とおりです。
砒素が2地点で検出され、うち1地点で環境基準超過していました。
環境基準は超過していませんでしたが、テトラクロロエチレンが1地点
で、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が21地点で、ふっ素が2地点で、ほ
う素が1地点で検出されました。
イ.汚染井戸周辺地区調査
長崎市及び佐世保市の2市の計25地点で調査を実施し、結果は次の
とおりです。
トリクロロエチレンが3地点で検出され、うち2地点で環境基準超過、
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が20地点で検出され、うち1地点で環境
基準超過、ほう素が6地点で検出されたうち2地点で環境基準超過して
いました。
31
環境基準は超過していませんでしたが、鉛が1地点で、シス-1,2-ジ
第2部
クロロエチレンが2地点で、テトラクロロエチレンが1地点で、ふっ素
が3地点で検出されました。
ウ.定期モニタリング調査
5市6町の計37地点で調査を実施し、結果は次のとおりです。
総水銀が1地点で検出され、環境基準超過、シス-1,2-ジクロロエチ
レンが3地点で検出されうち1地点で環境基準超過、トリクロロエチレ
ンが5地点で検出され、うち2地点で環境基準超過、テトラクロロエチ
レンが7地点で検出され、うち4地点で環境基準超過、硝酸性窒素及び
亜硝酸性窒素が36地点で検出され、うち14地点で環境基準超過して
いました。
環境基準は超過していませんでしたが、鉛が1地点で、砒素が1地点
で、ふっ素が12地点で、ほう素が3地点で検出されました。
(3)海水浴場の調査
〔環境政策課〕
海水浴場の水質調査は、県下の主要な23海水浴場で、遊泳前と遊泳中
の2回、ふん便性大腸菌群数、油膜の有無、COD、透明度の4項目につ
いて実施し、調査結果は表1-2-1-5のとおりで 、不適な海水浴場はなく 、
全体として概ね良好な水質を維持していました。
表1-2-1-5
平成15年度海水浴場の水質調査結果
平成15年度
水質の区分
遊泳中
遊泳前
水質AA
14(60.9%)
17(73.9%)
水質 A
8(34.8%)
6(26.1%)
水質 B
1( 4.3%)
0
水質 C
0
0
適
0
0
適
可
不
計
23(100%)
(4)大村湾水質保全対策
23(100%)
〔環境政策課〕
大村湾は、南北に約26km 、東西に約11km、面積約320km 2 、
容積約
47億 â の閉鎖性内湾であり、県本土の中央部に位置し古くから
多くの人々に親しまれています。
32
大村湾の化学的酸素要求量(COD)は、昭和51年度以降毎年環境基
こ数年漸増の傾向にあります。
大村湾の水質汚濁対策として、水質汚濁防止法及び長崎県公害防止条例
による工場・事業場排水規制のほか昭和60年7月に「大村湾水質保全要
綱(平成7年9月一部改正 )」を策定し、生活排水対策等各種対策を計画
的に推進しています。
この要綱で定めている基本的な方策は次のとおりです。
ア.大村湾の水質保全対策を推進するための県、市町、県民及び事業者の
責務
イ.施策の指針となる「基本計画」の策定
ウ.大村湾流域における1ha以上の開発行為に対する事前届出及び事前
協議の実施
エ.生活排水の排出抑制
オ.工場・事業場に対する監視指導及び家畜ふん尿の適正処理、施肥の適
正化
カ.湾の機能改善のための底質改善対策、海岸、河川の保全等
さらに、湾の富栄養化を防止するため、平成12年4月に全窒素、全燐
について環境基準の類型指定を行いました。
また、
「 大村湾をきれいにする会( 長崎市、佐世保市、大村市、諫早市 、
時津町、西彼町 、多良見町 、長与町、琴海町、西海町、東彼杵町、川棚町 、
波佐見町、長崎県 )」では、毎年、湾内に浮遊するゴミを除去するととも
に住民に対し水質保全の啓発活動を行っています。
33
第2部
準(2mg/ ç )を超過し、平成14年度は全湾の平均値が3.1mg/ ç でこ
第2部
(5)諫早湾干拓調整池の水質保全対策
〔環境政策課〕
平成10年2月に策定した「 諫早湾干拓調整池水質保全計画 」に基づき 、
国、県、市町等の関係機関が連携して下水道、農業集落排水施設、合併処
理浄化槽の整備促進や工場・事業場排水対策等各種対策を推進していま
す。
また、事業者(九州農政局)が行う環境モニタリング調査計画及び調査
結果について「諫早湾干拓地域環境調査委員会」において、専門的観点か
ら検討・評価を行い 、「諫早湾干拓事業環境モニタリング連絡会議」へ助
言・指導を行っています。
さらに、調整池流域の1市4町(諫早市、高来町、森山町、愛野町、吾
妻町)は、それぞれ生活排水対策推進計画を策定し、計画的な生活排水対
策を推進しています。
課題
○
河川は近年改善の傾向は見られますが、下水道等の生活排水処理施設の
整備の遅れにより、市街地を流れる都市河川や都市周辺で開発が進む地域
を流域に持つ河川等で水質の改善が進まないのが課題です。
○
海域は 、本県の場合、地形的に閉鎖性の強い海域を多く抱えていますが 、
この閉鎖性海域は海水の交換が悪いことに加え、生活排水等の流入のため
に水質が悪化していて、その改善が課題です。
○
地下水については、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が広域的に検出され、
一部の地域で環境基準を超過しており、今後の対策が課題となります。
○
陸域からの汚濁対策に加えて、今後、藻場の育成など自然が持っている
水質浄化能力を活用した湾の直接浄化対策の研究、技術開発が必要です。
○
諫早湾干拓調整池については、水質保全計画の計画期間が平成14年度
までであったため、その後の水質保全対策について、平成15年3月「第
2期諫早湾干拓調整池水質保全計画」を策定しました。
さらに、干拓工事は、平成18年度に終了予定ですが、新たに造成する
調整池は、公共用水域として環境基本法に基づき水質環境基準の類型指定
が必要となります。このため、水質の状況を把握する継続的なモニタリン
グ調査が必要です。
34
生活排水対策の推進
第2部
2
現状・施策
(1)生活排水対策の総合的推進
〔環境政策課〕
近年における公共用水域の水質汚濁の主な原因は、炊事、洗濯、入浴な
ど私たちの日常生活に伴う生活排水が大きな要因となっています。
生活排水対策を推進するために、下水道整備を促進するほか、地域の実
情に応じ農業集落排水施設、コミュニティ・プラント、合併処理浄化槽等
の各種生活排水処理施設の整備を推進するとともに、各家庭からの汚濁負
荷を削減するため住民意識の啓発、住民による実践活動の推進等の対策を
実施しています。
表1-2-2-1
平成14年度末生活排水処理施設整備状況
処理施設整備人口(万人)
処
理
施
設
名
長
下
水
道
72
農業・漁業集落排水等
4
合 併 処 理 浄 化 槽
17
コミュニティ・プラント
1
崎
県
(47.3%)
(
国
8,257(65.1%)
2.6%)
311(
2.5%)
(11.1%)
993(
7.9%)
38(
0.3%)
(
計
0.7%)
94
9,599
12,669
総
人
口
152
整
備
率
61.7 %
注:(
全
75.8 %
)内は、各施設ごとの総人口に対する整備人口の割合
(2)下水道
〔都市計画課〕
ア.現状(平成14年度末現在)
A.普及率
47.2%
B.事業実施市町
4市27町
C.供用開始済み市町
4市13町
イ.施策
平成20年度に普及率60%等を目標とした「水澄むふるさとづくり
構想」を策定し、市町村事業に対する支援を行っています。
A.促進交付金
財政力の弱い市町村に対し、事業費に応じた一定割合の交付を行っ
ています 。(平成14年度実績:18町)
35
第2部
B.過疎市町村代行事業
過疎地域において県が下水道根幹施設の整備を行っています。
(平成14年度実績:3町)
C.基本構想策定費補助・基本計画策定費補助
(平成14年度実績:1町)
(3)合併処理浄化槽の普及促進
〔廃棄物・リサイクル対策課〕
本県では、生活雑排水による公共用水域の汚濁等の生活環境の悪化に対
処するため、合併処理浄化槽の設置及び整備の推進を図っています。
合併処理浄化槽の設置状況は、表1-2-2-2のとおり、その設置基数は
年々増加しており、平成14年度は、前年度より3,147基(前年比11
%)増加し、総数で31,338基となりました。
ア.合併処理浄化槽整備事業
合併処理浄化槽設置に対する補助制度は、昭和60年度から、閉鎖性
水域である大村湾流域を対象にスタートし、平成3年度より、補助対象
を県下全域に拡大し実施しています。平成14年度は、国庫補助と県費
補助をうけて66市町村が整備事業を実施し、2,660基を整備しま
した。
表1-2-2-2
単独処理
浄化槽
合併処理
浄化槽
合
基数
構成比
基数
構成比
計 各年度別浄化槽設置基数(基、%)
7年度
24,398
(68.9)
11,022
(31.1)
35,420
8年度
24,753
(63.8)
14,069
(36.2)
38,822
9年度
24,843
(59.8)
16,717
(40.2)
41,560
36
10年度 11年度 12年度 13年度 14年度
24,765 24,325 23,918 23,507 23,246
(56.0) (52.1)
(48.6)
(45.5)
(42.6)
19,428 22,382 25,282 28,191 31,338
(44.0) (47.9)
(51.4)
(54.5)
(57.4)
44,193 46,707 49,200 51,698 54,584
〔水産基盤計画課〕
ア.漁業集落環境整備事業
漁業集落は、漁業者を含めた住民の生活の場であり、水産業の持続的
発展の基盤たる役割を果たしている漁業地域の中核をなしていますが、
その立地条件等から下水道等生活基盤の整備が立ち後れており、漁港及
び周辺水域の水質の悪化が進んでいる状況です。よって、漁業集落の生
活環境の改善を図るとともに、漁港及び周辺水域の水質浄化を図るため、
汚水処理施設の整備を進めることとし、平成14年度は、阿翁浦漁港等
8港において漁業集落排水施設の整備を行いました。
イ.漁港漁村総合整備事業
漁村の生活環境は、都市部に比べて遅れた状況にあり、離島・辺地等
の自然的、社会的に厳しい条件下にある漁村においては一層顕著なもの
となっており、また 、漁業者の高齢化 、後継者不足も進んでる状況です。
よって、漁村地域の生活安定と地方定住の促進を図るため、生産及び生
活の重要な基盤である漁港施設の設備と背後の漁村の生活環境施設の設
備を総合的に推進することとし、平成14年度は、古里漁港において、
漁業集落排水等の整備を行いました。
(5)農業集落排水事業の整備構想
〔農村整備課〕
県では平成9年3月に「長崎県下水道等整備構想」を策定し、農業集落
地域の約12万人を対象として、農業集落排水事業を実施することとして
います。
平成14年度は、県内12地区で集落排水施設の整備に取り組み、この
うち8地区の整備が完了しました。
(6)諫早湾干拓事業関連水質保全緊急対策資金利子助成事業
〔諫早湾干拓室〕
諫早湾干拓調整池の水質保全対策のひとつとして、流域における農業集
落排水施設への接続に伴う宅内配管工事費用等の負担軽減を図りました。
ア.平成12年度実績
A.諫早市
636,857円
B.森山町
1,174,358円
C,愛野町
157,302円
合
計
1,968,517円
37
第2部
(4)漁村の集落排水施設整備(下水道)
第2部
課題
○
生活排水の処理率を高めるためには、地域住民の生活排水対策への理解
と協力のもと、下水道や農業・漁業集落排水処理施設、合併処理浄化槽等
の一層の普及促進が重要です。
○
汚水処理施設の整備は全国と比較すると遅れており、水環境保全のため
にも整備を進める必要がありますが、未実施の所は離島地域や過疎地域で
財政力の弱い市町村が多く、なかなか整備速度が上がらない状況です。
○
合併浄化槽の設置を計画的に進めていくためには、市町村が設置・管理
を行う浄化槽市町村整備推進事業(旧名称:特定地域生活排水処理事業)
を推進する必要があります。
○
漁村については、依然、都市部との格差は大きく、今後、さらなる整備
促進が必要です。
○
本県の農業集落排水事業は、水質保全を図る必要がある大村湾や諌早湾
干拓調整池などの閉鎖性水域周辺を中心に進めています。今後は、離島地
域を含めた県下全域での整備を進めていく必要があります。
○
諫早湾干拓調整池の水質保全対策は緊急的な課題であり、宅内改造費用
の負担を軽減することにより、対象地域における農業集落排水施設への早
期接続を図っていく必要があります。
38
第2部
3
工場・事業場等排水対策の推進
現状・施策
(1)工場・事業場の監視状況
〔環境政策課〕
水質汚濁防止法及び長崎県公害防止条例に基づき、工場・事業場に立入
検査を実施し、排水基準の遵守状況等を確認するとともに、排水基準に違
反し又は違反する恐れのある事業場については、改善の指導及び勧告、さ
らには改善命令等の行政措置を行っています。
平成14年度において改善勧告を行った事業場は1件(長崎市・佐世保
市含む)で、処理施設等の改善、施設の維持管理の徹底により、改善が完
了しています。
また、環境基準を達成できず、水質が悪化している閉鎖性海域である大
村湾流域等の工場・事業場については、条例に基づき法令よりも厳しい上
乗せ排水基準や横出し排水基準を適用し、水質汚濁防止の強化を図ってい
ます。
さらに 、有害物質については、県下の取扱い事業場の立入検査を実施し 、
排水処理や地下水汚染の未然防止等について監視指導を行っています。
平成14年度における特定事業場及び指定施設に係る監視指導状況は表
1-2-3-1のとおりです。
表1-2-3-1
特定事業場等の立入検査実施状況(平成14年度)
ア.特定事業場(長崎市・佐世保市含む)
排水基準適用
立入検査
改善指導
改善勧告
改善命令
事 業 場 数
件
件
件
件
特定事業場数
5,602
622
数
1,078
数
122
数
1
数
0
イ.指定施設設置事業場(佐世保市含む)
排水基準適用
立入検査
改善指導
改善勧告
改善命令
事 業 場 数
件
件
件
件
指定事業場数
833
72
数
26
数
4
数
0
数
0
課題
○
本県の場合、法及び条例の排水基準が適用されない工場・事業場数が多
く、これらの工場・事業場への指導をどうするかが課題です。
39
第2部
4
水の循環利用
現状・施策
(1)雨水・再生水の利用
〔水資源政策室〕
水の循環利用とは、雨水や再生水を利用して、工場、ビル、住宅やこれ
ら施設が集まった一定の地域において、飲用水までの水質を要しない雑用
水として、トイレ洗浄水、樹木への散水、洗車等に利用することをいいま
す。
県では、雨水、再生水の利用施設について、公用または公共用の建築物
には積極的に導入を図るとともに、市町村や民間施設、個人住宅等におい
ても導入を進めるよう、平成11年度は「雨水利用のすすめ 」、平成12
年度は「再生水利用のすすめ 」、平成13年度には「節水機器利用のすす
め」の啓発用冊子を作成し、水の循環利用の啓発に努めています。
表1-2-4-1
使用目的別
生活用水の目的別内訳
1日平均使用量
構成比
(トン /日 )
備考
( %)
洗
濯
126,783
25.6
風
呂
166,403
33.6
炊
事
99,049
20.0
ト
イ
レ
43,582
8.8
雑用水
そ
の
他
59,430
12.0
雑用水
計
495,247
100.0
合
(平成13年度長崎県水道事業概要からの推計値)
(2)水源地域整備事業、緑のダム整備事業
〔林務課〕
水資源に乏しい本県において、県土の60%を占める森林は良質の水の
供給源であり、水を育む緑のダムとして重要です。
近年の森林生産活動の長期的停滞により、水資源のかん養等の森林がも
つ公益的機能の低下した森林が増加しており、水資源確保上重要な水源森
林の整備を図り、森林の持つ水源かん養機能の高度化、及び良好な森林水
環境の形成を図ります。
ア.平成14年度実施状況
A.水資源地域整備事業
4箇所
事業費
388,072千円
治山ダム10基、流路工1.0式、森林整備
B.緑のダム整備事業
17箇所
治山ダム2基、森林整備
40
事業費
190.7ha
184,000千円
38.2ha
○
新たに建設される公共用建築物には、雨水利用設備等の導入が図られて
いますが、民間施設、家庭への導入については、今後市町村と連携し促進
していきます。
○
荒廃した森林の整備を図るとともに、林業不振の中で木材利用を積極的
に行い、森林所有者の林業に対する意欲の向上を図り、併せて、上流域の
森林の重要性を広く理解を深める必要があります。
41
第2部
課題
第3節
第2部
1
土壌・土地基盤の保全
土壌環境の保全
現状・施策
(1)土壌汚染の現状
〔環境政策課〕
土壌汚染は地下水汚染と密接に関連し、地下水を生活用水や飲用水とし
て利用している地域では、生活環境や健康被害に直結した大きな問題とな
ります。
本県では、次の(2)のとおり、対馬の佐須地区で農用地汚染が確認さ
れ、土地改良が行われました。
一方、健康被害対策については、昭和41年から佐須地区住民に対して
住民健康調査を実施し、昭和43年以降からは国が示した健康調査方式に
基づき住民健康調査を実施してきました。長崎県では、平成11年度まで
に延べ8,023名(要観察地域6,892名、対照地域1,131名)の住民健康
調査を実施しました。
なお、昭和52年から要経過観察者に対する健康調査を県の事業として
実施してきましたが、この事業は、平成11年度で終了しました。
現在は、特に大規模な土壌汚染は発生していません。
(2)対馬における農用地のカドミウム汚染の現状と対策
〔農産園芸課〕
昭和40年代後半に対馬厳原町の佐須地区では、長年の鉱業活動に伴う重
金属による農用地の汚染が確認され、 55.05haが「農用地の土壌の汚染
防止等に関する法律」に基づき、農用地土壌汚染対策地域に指定されまし
た。鉱害防止工事は昭和48年から継続して実施され、昭和55年にすべて
完了しました。また汚染が確認された農用地においては、昭和59年から6
2年にかけて、県営の公害防除特別土地改良事業が実施され、事業完了に伴
い昭和59年から昭和62年にかけて4回に分けて全指定面積が解除されま
した。解除後も土壌汚染防止のために現在に至るまで、定点を設け継続的
に調査を行っています。
(3)土壌汚染対策法施行への対応〔環境政策課〕
土壌汚染による健康影響の懸念や対策の確立への社会的要請が強まって
いる状況を踏まえ、国民の安全と安心の確保を図るため、「土壌汚染対策
法」が、平成14年5月29日に公布、平成15年2月15日から施行さ
れ、使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場、又は事業場の敷
地であった土地や土壌汚染により人の健康被害が生ずるおそれがある土地
があると認める時は、当該土地所有者は土壌調査を実施し県知事に報告す
ることになっております。
42
土壌調査で指定基準を超える有害物質が判明した場合、県知事は指定区
ています。
現時点では本県では指定区域はありませんが、今後、同法に基づき土壌
汚染対策に取り組んでいく方針です。
(4)農業生産と環境対策
〔農産園芸課〕
ア.環境保全型農業の推進
農業は食糧の供給の機能のほか、国土の保全や環境の保全といった多
面的機能を有しています。
平成11年7月「食糧・農業・農村基本法」が制定され、その理念及び施策
の中で、農業の持続的な発展のためには、農業の自然循環機能の維持増進
が重要とされました。関連法律として「持続性の高い農業生産方式の導
入に関する法律」(以下「持続農業法」)が制定されました。
この中で、農業がその多様な機能を発揮していくためには、環境と調和
しつつ持続的な生産を行うことが可能な農業生産方式で農業を営むこと
が重要であるとされています。
本県では、「長崎県環境保全型農業推進協議会」(平成4年9月設置)にお
いて、「長崎県環境保全型農業推進基本方針」(平成6年3月)を策定し、現
行農業技術を評価した上で、有機性資源の有効利用による土作りを基本
とし、化学肥料・農薬の適正使用により、土壌、地下水等の自然・農業生産
環境の保全を推進してきました。
課題
○
現在、県内で特に大規模な土壌汚染は発生していませんが、一部の地域
でテトラクロロエチレン等有機塩素化合物や硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
の地下水汚染が確認されています。
○
本県では平成12年5月に「持続農業法」に基づいて「長崎県持続性の高い
農業生産の導入に関する指針」を策定しました。持続性の高い農業生産方
式(土作り、化学肥料低減技術及び化学農薬低減技術を一体的に行う)の導
入をする農業者を、「持続農業法」に基づきエコファーマーとしての認定を
推進します。
43
第2部
域として公示し汚染土壌の除去等の措置を講じることを命じることになっ
2
地盤環境の保全
〔環境政策課〕
第2部
現状・施策
諫早市や森山町の沖積層からなる地域では、地下水の汲み上げにより地盤
沈下が発生した地区がみられます。
現在 、地盤沈下の進行は確認されていませんが、当該地域では 、水道用水、
農業用水、工業用水等地下水の利用が継続されており、今後も地下水位の動
向には注意が必要です。
44
第4節
廃棄物・リサイクル対策の推進
第2部
1
廃棄物の発生抑制
現状・施策
(1)一般廃棄物
〔廃棄物・リサイクル対策課〕
廃棄物の発生を抑制するためには、発生・排出段階での抑制と中間処理
施設による減量化が必要です。
市町村においては、ごみ処理手数料の有料化、各家庭による生ごみのコ
ンポスト化、多量排出事業者への排出抑制指導などを実施することで発生
抑制を図り、併せて、収集したごみから資源化物を選別しリサイクルする
ことで、最終処分量の減量化に努めています。
県では、ごみの発生抑制と減量化について、県民の意識改革を推し進め
るため、ごみ減量化・リサイクル等に関する各種広報を行い、また、身近
にできる取り組みとして「マイバッグ・キャンペーン(買い物袋持参運
動)」の推進などを図っています。
ア.ごみ処理
長崎県における一人一日あたりのごみ排出量は、高い水準のまま横ば
い状態が続いており、平成12年度の各都道府県民一人あたりの排出量
と比較すると多い方から16番目で、全国平均値と比較すると36グラ
ム低い値となっています。
図1-4-1-1
一人一日あたりごみ排出量の推移(集団回収量含む)
(g/人・日)
1,500
1143
1174
1152
1189
1120
1185
1,000
1153
1138
1105
1162
1163
1149
1105
500
0
H7
H8
H9
H10
H11
全国
H12
長崎県
H13
ごみ処理の体系を図1-4-1-2に示します。平成13年度におけるご
みの排出量は、約600千tであり、前年度に比べて約19千t(△3 .
1%)減少しています。
ごみ処理については、全排出量の99.2%が市町村等で計画的に処理
45
されており、その内訳は、焼却施設搬入83.0%、焼却施設以外の中
第2部
間処理施設搬入10.0% 、直接埋立処分5.6%となっています。また、
全排出量の0.8%は自家処理されています。
ごみ処理事業費は、処理施設の建設・改良費と処理・維持改良費に分
けられ、処理・維持改良費からの処理単価は1t当たり30千円、年間
一人当たり12千円となっています。
図1-4-1-2
ごみの処理系統(平成13年度)
ごみ処理フロー図(平成13年度実績)
人口等(単位:千人)
ごみ量等(単位:t/年)
⑨直接埋立 33,254(5.6%)
最終処分場
ごみ処理量内訳
106,159
収集ごみ+直接搬入ごみ
1.4%
(17.8%)
594,906
直接資源化
8,337
焼却残渣の埋立 59,096
10.0%
選別・破砕等
59,375
A
B
総
計
5.6%
①可燃ごみ
446,957
⑩直接焼却
直接最終処分
493,940(83.0%)
画
33,254
②不燃ごみ
焼却施設からの
40,642
資源化量
収
焼 却
3,022
施 設
処理残渣の埋立
人
(13,809)
集
③資源ごみ
処理残渣の焼
32,416
減量化
却
人
(10,827)
6,057
442,649
直接焼却
口
口
④その他
74.4%
1,075
1,533
17,926
7,961
493,940
粗大ごみ処理施
1,523
設
⑤粗大ごみ
⑪焼却以外の
6,239
83.0%
3,908
中間処理
2,124
59,375(10.0%)
7,334
40,289
⑥直接搬入ごみ
資源化等を行う
67,577
施設
30,831
自家
資源化量
(内訳)紙類20,451 金属999
46,098
処理
人口
10
418
7.8%
⑦自家処理量
4,814
742
1,160
その他の施設
⑫直接資源化8,337
最終処分
0
⑧集団回収量
106,159
23,300
17.8%
ガラス類1,074
PET 類 1
その他775
⑬資源化量 46,098(7.8%)
(資源ごみを直接再生業者等へ搬入されたもの)
(内訳)
[収集ごみ]=①+②+③+④+⑤=527,329t/年
紙類
8,612
金属
19,629
ガラス類 9,980
[収集ごみ+直接搬入ごみ]=①+②+③+④+⑤+⑥=594,906t/年
PET 類
その他
2,237
5,640
[ごみ総排出量(ごみ総処理量)
]=①+②+③+④+⑤+⑥+⑦=599,720t/年
[1人1日当たり排出量]=(①+②+③+④+⑤+⑥+⑦)÷県人口(1,533,436人)÷365日=1071.5g/人・日
イ.し尿処理
平成13年度における処理人口と処理系統を図1-4-1-3に示します 。
水洗化人口の割 合は、57.9%で、そのうち、公共下水道によるもの
38.2%、コミュニティ・プラントや浄化槽によるものが19.7%とな
っています。水洗化率は、公共下水道の普及に伴い、前年度より 6.4
ポイント増加しています。
46
また 、収集されたし尿及び浄化槽汚泥は、し尿処理施設(96.4% )、
その他の処理(0.1%)で処理されています。
図1-4-1-3
し尿の処理人口と処理系統(平成12年度)
し尿処理等フロー図(平成13年度実績)
①
②
総
水
⑥
処理人口等 (単位:人)
排水
し尿処理量等(単位:kl/年)
下水道等終末処理場
公共下水
道人口
洗
586,001
汚泥
(38.2%)
化
浄
化
槽
133,751
人
人
排水
口
578,693 ⑧し尿処理施設
⑦
888,478
浄化槽等
(57.9%)
人口
し尿処理
125
302,477
口
127,229
705,922
⑨下水道投入
施設
360
(19.7%)
96.37%
235
し尿
3,537
③
計 画
④
処理量
⑩農地還元
1,533,436
非
計
水
画
洗
収
化
集
人
人
口
口
644,958
635,016
(42.1%)
(41.4%)
681
732,513
4,218
16,407
598,762
⑪海洋投入
4,815
下水道投入 0.05%
21,222
0
⑫その他の処理
791
6,830
⑤
農地還元
0.58%
海洋投入
2.9%
その他
0.1%
791
⑬自家処理
6,928
98
自家処理人口
9,942(0.7%)
[計画処理量(含む浄化槽汚泥)]=⑧+⑨+⑩+⑪+⑫=732,513kl・・・・・a
[総処理量(計画処理量+自家処理量)
]=⑧+⑨+⑩+⑪+⑫+⑬=739,441kl・・・・・b
[し尿処理施設及び下水道投入による処理率]=(⑧+⑨)÷ a =96.4%
[1人1日当たりし尿計画処理量]=(a −127,229)÷④÷365日=2.61㍑/人・日
[1人1日当たりし尿排出量]=(b −127,229−791)÷③÷365日=2.60㍑/人・日
[1人1日当たり浄化槽汚泥計画処理量]=127,229÷⑦÷365日=1.15㍑/人・日
[1人1日当たり浄化槽汚泥排出量]=(127,229+791)÷⑦÷365日=1.16㍑/人・日
(2)産業廃棄物
〔廃棄物・リサイクル対策課〕
ア.排出状況
平成11年度に実施した産業廃棄物実態調査及び県農林部の畜産廃棄
物調査結果によると、平成10年度の産業廃棄物の総排出量は、約 58
8.5万トンと推計されます。
排出量を業種別にみると、農業・林業・漁業(家畜ふん尿等)約 17
47
第2部
海洋投入(2.9% )、下水道投入(0.05% )、農地還元(0.58% )、
8.5万トン(30.0% )、建設業(がれき類等)約152.4万トン(26.0
第2部
% )、電気・ガス・水道業(ばいじん、汚泥等)約133.5万トン(22.
8% )、製造業(汚泥等)約56.4万トン(9.6%)、鉱業(鉱さい等)約
41.3万トン(7.1%)となっています。
このうち約155.3万t(26.0%)が排出事業者や処理業者により減
量化されています。減量化の内訳は、種類別にみると電気・ガス・水道
業及び製造業から排出される汚泥の脱水が大半を占めています。
この様な現状の中で、産業廃棄物を可能な限り資源化・再生利用する
ことは、最終処分場の延命化のみならず、資源の乏しい我が国にとって
極めて重要なことであります。
平成14年3月に策定した長崎県廃棄物処理計画では、平成17年度
を目標年度として、業種別・廃棄物別に減量化及び資源化の数値目標を
設定し、産業廃棄物の資源化・再生利用を重点的に推進して循環型の社
会システムへの転換を図ることとしています。
(3)第一次長崎県温暖化対策実行計画による実施
〔環境政策課〕
平成12年度より「第1次長崎県温暖化対策実行計画」に基づき、県の
事務事業に伴って発生する廃棄物の発生量の抑制と再資源化のため、数値
目標を掲げ取り組んでいます。平成13年度の廃棄物発生量は3,055
トンで基準年度に対して目標の10%を上回る14.9%の削減率になり
ました。
課題
○
産業廃棄物の排出抑制対策を一層進めていく必要があります。
○
再資源化される事務系廃棄物の資源化率が低いものにとどまっており、
今後は、分別の徹底を図り、再資源化のルートを確保するよう取り組む必
要があります。
48
2
リサイクルの推進
第2部
現状・施策
(1)一般廃棄物
〔廃棄物・リサイクル対策課〕
一般廃棄物のリサイクルについては、主に、資源ごみの分別収集、資源
化施設による資源回収及び集団回収により取り組まれています。
平成13年度のリサイクル率は11.23%で、年々増加の傾向を見せて
いますが、平成12年度の全国平均と比較すると2.9ポイントほど少な
い値となっています。
ア.リサイクル目標の設定
平成13年度に策定した「長崎県廃棄物処理計画」において、ゴミの
ない、資源循環型の長崎県「ゴミゼロながさき」を形成するため、将来の
目標値を設定しました。
(現
(目
状)
標)
平成11年度の再生利用量
6
万トン
排出量に占める割合
9
%
平成17年度の再生利用量
排出量に占める割合
11.7
20
万トン
%
イ.資源ごみの分別収集
平成9年に実施された「容器包装リサイクル法」に基づき一般家庭の
ごみから資源ごみ(びん・缶・ペットボトル・プラスチック及び紙製容
器包装・段ボール・飲料用紙パックなど)を分別収集することにより資
源の再生利用を推進しています。
平成14年度は、容器包装廃棄物(10品目)を含めた一般廃棄物全
体の分別数には、22分別から4分別までと幅があるものの、全79市町
村において分別収集が実施されており、空き缶やペットホトルなどの容
器包装廃棄物、約27,997トンが資源ごみとして収集されました。
ウ.資源化施設による資源回収
市町村は、収集したごみの中から、リサイクルプラザやストックヤー
ドなどの資源化施設において資源化物の回収( 民間業者への委託を含む)
を行っています。
平成13年度の資源化量は46,098トンとなっており、内訳は、
紙類8,612トン、金属19,629トン、ガラス類9,980トン、ペ
ットボトル2,237トン、プラスチック類736トン、その他が4,9
04トンです。
エ.集団回収
集団回収は、以前から町内会や子供会などによって行われており、そ
の売却収入は団体の活動資金等に利用されています。大半の市町村では、
地域の自主活動の促進とごみ減量化・リサイクルの促進が図られること
から、これらの団体による集団回収活動に対し助成金を交付して集団回
49
収の促進を図っています。
第2部
平成13年度の回収量は、23,300トンとなっており、内訳は、紙
類20,451トン、金属999トン、ガラス類1,074トン、ペットボト
ル1トン、その他が775トンとなっています。
(2)産業廃棄物
〔廃棄物・リサイクル対策課〕
ア.資源化
資源化量は、産業廃棄物発生量のうち有償物として回収される量と再
生利用される量との合計です。
実態調査においては、有償物量は約28.1万t、再生利用量は約318.
1万tで あり、合計約346.2万tが資源化されています。
再生利用の主なものは、 図2−4−1に示すとおり、 家畜ふん尿、
がれき類、ばいじん、汚泥、金属くずなどとなっています。
また 、「第4次長崎県産業廃棄物処理計画」に基づき産業廃棄物の再
生利用の推進を図るとともに、資源のリサイクルに関する調査研究とし
て、産、学、官からなる長崎県産業廃棄物資源化ガイドライン作成検討
委員会を中心に、産業廃棄物のうち未利用資源として活用可能なものに
焦点をあて、現場向けの技術書を作成しています。
平成9年度は、未利用資源堆肥化解説書(蓄ふん編)、平成10年度は
同(有機汚泥編)、平成11∼12年度に同(焼酎粕編)を作成しています。
図2−4−1
再生利用の概要
(単位
再生
排出量
万トン)
主な種類
利用量
家畜ふん尿(52.6%)
318.1
がれき類
(36.7%)
ばいじん
( 6.2%)
汚泥
( 2.0%)
金属くず
( 1.6%)
585.5
減量化量
153.3
(再生利用量の内訳)
(100
%)
最終処分量
市町村処理
110.6
その他保管
(18.8%)
6.6
(1.2%)
50
(3)家畜排泄物の利用の現状と施策
〔畜産課〕
ことは、資源の有効活用の観点から重要であり、環境への負荷の少ない資
源循環型農業の推進にも資するものです。しかしながら、規模拡大の進行
に伴い畜産経営の一部において、野積み・素掘り等の不適切な処理が行わ
れております。
このため、県では、平成11年11月に「家畜排せつ物の管理の適正化
及び利用の促進に関する法律」が施行されたことを受け、県内おける家畜
排せつ物の適正管理を促進するため、目標となる県計画(長崎県における
家畜排せつ物の利用の促進を図るための計画)を平成12年8月に策定公
表しました。
また、10月には「長崎県資源循環型畜産確立基本方針」を策定し、家
畜排せつ物の管理利用の方針及び推進体制等について定め、畜産環境の保
全とたい肥の耕種部門での利用促進を図るための措置を講じました。
ア.ハード事業
A.国庫補助事業による施設整備
業
実
施
主
体
12箇所
市町村名
事
名
畜
種
佐世保市
平松地区堆肥生産組合
乳用牛
発酵施設
有 明 町
農事組合法人森岡牧場
乳用牛
発酵施設、機械
国 見 町
山ノ上堆肥生産組合
肉用牛
発酵施設、機械
西有家町
松尾山堆肥生産組合
豚
深 江 町
深江酪農第1堆肥生産組合
乳用牛
発酵施設、機械
深 江 町
深江酪農第3堆肥生産組合
乳用牛
発酵施設、機械
富 江 町
(有)草野ファーム
豚
発酵施設
岐 宿 町
(有)アジサイ
豚
尿処理施
吾 妻 町
雲仙堆肥生産組合
乳用牛
発酵施設、機械
吾 妻 町
阿母崎酪農浄化組合
乳用牛
汚水処理施設
吾 妻 町
山田地区堆肥生産組合
乳用牛
発酵施設、機械
吾 妻 町
阿母地区堆肥生産組合
乳用牛
発酵施設、機械
B.リース事業(1/2補助付き)による整備
・強制発酵装置
3箇所
・浄化処理施設
1箇所
51
・発酵施設等
事
業
内
容
密閉コンポ、浄化槽
30箇所
26箇所
第2部
家畜ふん尿は、適正に管理を行い、堆きゅう肥として利用の推進を図る
第2部
C.県単独事業による施設整備
19箇所
市町村名
事
体
佐世保市
田代地区堆肥利用供給組合
大 村 市
東大村地区液肥利用組合
西 彼 町
西彼町肉用牛堆肥生産組合
肉用牛
堆肥舎
西 彼 町
小迎養鶏堆肥利用組合
採卵鶏
堆肥舎
西 海 町
中浦酪農堆肥生産利用組合
乳用牛
発酵施設
西 海 町
七釜地域堆肥生産組合
肉用牛
堆肥舎
西 海 町
(有)中村産業
田 平 町
米の内堆肥利用組合
肉用牛
堆肥舎
吉 井 町
吉井地区堆肥利用組合
肉用牛
堆肥舎、機械
佐 々 町
15角山前田堆肥利用供給組合
肉用肉
堆肥舎
佐 々 町
15角山丸尾堆肥利用供給組合
肉用肉
堆肥舎
西有家町
広畑堆肥生産組合
肉用肉
堆肥舎、機械
西有家町
下蜂久保堆肥生産組合
乳用肉
堆肥舎、機械
郷ノ浦町
半城本村堆肥利用組合
肉用肉
堆肥舎、機械
業
実
施
主
名
畜
種
乳用牛
豚
豚
事
業
内
容
堆肥舎
尿処理機械
尿処理施設
イ.ソフト事業
・長崎県資源循環畜産確立推進指導協議会の開催
・畜産経営環境保全実態調査
種類
件数
水
質
汚
濁
18
悪
臭
水質汚濁と
1回
悪臭と害虫
悪臭
12
(4)農業分野のリサイクル
3回
そ の
計
他
6
4
5
45
〔農産園芸課〕
農業分野においては稲わら、麦わら、農作物残さ等の廃棄物をたい肥化
することや飼料化することによる未利用資源のリサイクルが期待されてい
ます。農業にとっても良質堆肥を生産し、農地に還元することは土づくり
を基本とした持続的農業の普及につながっていくと考えられます。
堆肥等の有機物を投入することは化学肥料の施用を低減することがで
き、地下水汚染防止等の環境保全の一端を担うことができます。
このため、循環型農業の目標として、長崎県未利用資源リサイクル推進
マスタープランを策定しました。
52
課題
ゴミのない、資源循環型の長崎県「ゴミゼロながさき」を形成するため
には 、「長崎県廃棄物処理計画」で定めた基本目標や、具体的な減量化目
標を確実に達成していくことが重要です。
そのためには、県民、事業者、行政が互いに協力しながら役割を分担し
て、各種施策を展開していく必要があります。
○
現状の一般廃棄物リサイクル率が全国平均に比べ低いため、住民と連携
した分別回収システムの整備を図るなど、より一層の取り組みが必要です。
○
産業廃棄物の再使用やリサイクルの推進による産業廃棄物の再生利用の
促進や、再資源化商品の活用などが必要です。
○
家畜排泄物は、農産物や飼料作物の生産に有効利用されていますが、混
住化や畜産の規模拡大の進行を背景に、本県の一部の地域で、畜産経営に
起因する水質汚濁や悪臭の発生等の問題が生じており、今後の畜産の健全
な発展にとって大きな課題となっています。
また、平成11年11月に「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促
進に関する法律」が施行され、野積み、素堀りなどの不適正処理がされて
いる畜産経営体は、平成16年10月までに適正な処理への施設の改善、
整備が求められています。
○
今後、農業分野のリサイクルを推進する上では、未利用資源の有効活用
法について試験研究する必要があり、また、地域リサイクルを推進するた
めに有機性未利用資源の発生状況を調査し、地域内においてのリサイクル
の確立を図る必要があります。
○
資源化される廃棄物の利用を促進するため、公共工事における資材調達
が再生資源により行われるよう取組を進めていく必要があります。
○
国の機関においては、グリーン購入法(通称)により環境物品の購入を
促進しますので、本県においても、環境負荷低減のためにも、その考え方
の導入を図っていくことが必要です。
53
第2部
○
3
廃棄物の適正処理の推進
第2部
現状・施策
(1)一般廃棄物
〔廃棄物・リサイクル対策課〕
ア.一般廃棄物処理計画
市町村は、ごみ及び生活排水の処理について、廃棄物の処理及び清掃
に関する法律第6条第1項の規定により、同法の重要な柱として位置付
けられる一般廃棄物処理計画を策定しなければならないことになってい
ます。
特に、近年はごみ量が増加し、ごみ処理施設及び最終処分場の確保難
等の理由から、ごみの排出抑制や再資源化の推進に併せて、ごみ処理施
設及び最終処分場の計画的整備がより一層必要となってきています。加
えて、台所、風呂等から排出される生活排水に対する処理の重要性が高
まっている中で、生活排水対策をさらに計画的、総合的に推進すること
が必要になっています。
このような状況にあって、県は、平成13年度に、循環型社会の構築
を柱とした「長崎県廃棄物処理計画」を策定し、廃棄物の適正処理、減
量化、リサイクル及び環境教育等を推進しています。
イ.一般廃棄物処理施設の整備
A.施設整備状況
一般廃棄物処理施設の整備状況は、表1-4-3-1のとおりです。
一般廃棄物を適正に処理するため 、「長崎県廃棄物処理計画 」、「長崎
県ごみ処理広域化計画」や市町村の「一般廃棄物処理計画」等に基づい
て、今後も処理施設の計画的な整備を推進します。
表1-4-3-1
一般廃棄物処理施設(平成15年3月31日現在)
施設区分
ごみ焼却施設
施設数
全連続式
准連続式
機械化バッチ式
計
埋立処分地施設
粗大ごみ処理施設
資源化施設
し尿処理施設
コミニュニテイ・プラント
注1)ごみ焼却施設は稼働施設のみ。
し尿処理施設
54
処理能力等計
6
1,258 t/日
7
545 t/日
30
459 t/日
43
2,262 t/日
35 1,270,050 m3
9
222 t/日
18
264 t/日
38
1,880 kl/日
11
4,245 m3/日
整備事業:環境省)が設けられており、平成14年度は、計11事
業(新規3、継続8)が同制度を活用し施設の整備を行いました。
整備事業の内容は、表1-4-3-2に示しており、老朽化施設に
ついては、引き続き、計画的に更新していくこととしています。
表1-4-3-2
廃棄物処理施設国庫補助事業の実績(平成14年度)
(単位:千円)
施設区分
設置主体名
規模
対馬総町村組合
北松北部環境組合
ごみ処理施設
福江市
県央県南広域環境組合
上五島地域広域市町村圏組合
対馬総町村組合
リサイクルプラザ
北松北部環境組合
リサイクルセンター 郷ノ浦町
対馬総町村組合
埋立処分地施設
汚泥再生処理センター 北松北部環境組合
コミニュニテイ・プラント 大島町
合計
11事業
事業年度
平成13年度国費
12∼14
13∼14
13∼14
14∼16
13∼14
12∼14
13∼15
14
39000m3 12∼14
148kl/日 14∼16
990m3/日 10∼14
92,256
414,034
216,947
2,382,355
122,016
73,060
210,150
47,463
93,563
342,342
11,198
60t/日
70t/日
58t/日
300t/日
40t/日
21t/日
17t/日
0.39t/日
−
−
4,005,384
注)平成14年度国費には、次年度への繰越分を含む。
B.ごみ処理広域化
長崎県では、ごみ焼却に伴うダイオキシン類の発生や最終処分場の
確保難などの状況に的確に対処するため、国が平成9年1月に示した
「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」や 、「ご
み処理広域化計画について」の国の通知等を受けて、平成11年3月
に「長崎県ごみ処理広域化計画」を策定しました。
この計画では、ダイオキシン類の削減、焼却残渣の高度処理、資源
化の推進、余熱利用の推進、最終処分場の適正化などを主要な目的と
しており、長崎県内を7広域ブロックに分け、平成11年度で60施
設あるごみ焼却施設を平成30年度を目標に9施設に集約することと
しています。
なお、広域処理は既存施設の建設年次が異なるため、必要に応じて
各ブロック内で段階的に実施していきます。
55
第2部
廃棄物処理施設を整備する場合、国庫補助制度(廃棄物処理施設
表1-4-3-3
第2部
広域ブロック名
ごみ焼却施設の集約化状況
構成市町村数
計画策定時
平成10年度末
目
標
平成30年度
長崎・西彼ブロック
1市14町
15
2
佐世保・県北ブロック
3市13町1村
12
2
県央・県南ブロック
3市21町
12
1
下五島ブロック
1市5町
6
1
上五島ブロック
7町
7
1
壱岐ブロック
4町
4
1
対馬ブロック
6町
4
1
60
9
合
計
表1-4-3-4
広域化計画策定後の各ブロックの状況(平成14年度)
広域ブロック名
長崎・西彼ブロック
状
況
香焼町が長崎市へごみ処理を委託。西彼杵広域連合( 9町 )
が広域処理施設を計画。
佐世保・県北ブロック 鹿町町、江迎町が佐世保広域北部塵芥一部事務組合へ加盟。北松北部環
境組合(2市3町)の広域処理施設が平成16年4月稼働予定。
県央・県南ブロック
県央県南広域環境組合(2市15町)が広域処理施設を建設中。
下五島ブロック
福江市の広域処理施設(1市4町分)が平成14年11月稼働。
上五島ブロック
上五島地域広域市町村圏組合(5町)の広域処理施設が平成14
年9月稼働 。
対馬ブロック
対馬総町村組合(6町)の広域処理施設が平成14年12月
稼働。
ウ.監視、指導
A.ダイオキシン類対策
ダイオキシン類が人の生命や健康に重大な影響を与えるおそれがあ
る物質であることと、その発生源が主に廃棄物の焼却施設であること
から、国は、平成9年の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の改
正や平成11年の「ダイオキシン類対策特別措置法」の制定により、
廃棄物焼却施設の設置者に排ガス中のダイオキシン類の検査等を義務
付けるとともに、構造や維持管理に関する基準の強化を図ってきてい
ます。
平成14年度に、法に基づき設置者が実施した排ガス中のダイオキ
シン類濃度の自主検査結果は、 表1-4-3-5 のとおりであり、すべ
ての施設で排出基準(80ng-TEQ/m3N)以内となっています。
なお、平成14年12月より適用される恒久(強化)基準に適合して
いない焼却施設については、構造・維持管理の状況についての立ち入
56
り調査等を実施し、施設の改善(場合によっては施設の廃止を含め)に
表1-4-3-5
第2部
ついて指導を行っていきます。
排ガス中のダイオキシン類濃度自主検査結果(平成14年度)
一般廃棄物焼却施設数
51
自主検査実施数
51
3
現基準(80ng-TEQ/m N)適合数
51
恒久基準(平成14年12月より適用)適合数
40
B.一般廃棄物最終処分場対策
不燃物や焼却灰を埋め立てる最終処分場を適正に維持管理し、生活
環境の保全を図るため 、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基
づき、監視指導を行っています。
平成14年度末で、市町村が設置する最終処分場76ケ所のうち
39ケ所が、遮水工や浸出液処理設備のない不適正施設として閉鎖や
埋立物の制限を行っていますが、これらの施設については、適正閉鎖
に向けて指導を行っているところです。
(2)産業廃棄物
〔廃棄物・リサイクル対策課〕
ア.産業廃棄物処理業者の状況
産業廃棄物の処理は、排出事業者自ら行うことが原則ですが、事業者
の処理を補完するものとして、県又は政令市(長崎市、佐世保市)の許
可を得た業者により一部が処理されています。
産業廃棄物処理業者の許可状況は、表1-4-3-6のとおりであり、
収集運搬業が全体の90%を占めています。
この産業廃棄物処理業者は、専門処理業者として社会的に大きな役割
を担っているため 、(社)長崎県産業廃棄物協会と連携し、資質の向上
を図る等の育成・指導を行っています。
表1-4-3-6
産業廃棄物処理業者の許可状況
(平成15年3月31日現在)
業の種類
産業 収集運搬業
佐世保市
計
580
406
2,122
169
44
33
246
1,305
624
439
2,368
127
74
78
279
4
1
3
8
小計
131
75
81
287
合計
1,436
699
520
2,655
小計
特管 収集運搬業
廃棄 処分業
物
長崎市
1,136
廃棄 処分業
物
長崎県
注)
57
上記数値は延べ数です。
イ.産業廃棄物処理施設の状況
第2部
一定規模以上の施設として許可(届出)を要する産業廃棄物処理施設
の設置状況は、表1-4-3-7のとおりです。今後とも共同処理施設を
含め処理施設の設置を促進する必要があります。
表1-4-3-7
産業廃棄物処理施設設置許可状況
(平成15年3月31日現在)
処理施設の種類
長崎県
長崎
佐世保市
合計
汚泥の脱水施設
67
5
4
76
汚泥の乾燥施設
8
2
1
11
汚泥の焼却施設
9
1
10
廃油の油水分離施設
3
1
5
廃油の焼却施設
6
廃酸・廃アルカリの中和施設
廃プラスチック類の破砕施設
木くず・がれき類の
破砕施設
1
6
27
1
28
9
2
11
126
34
14
174
2
7
廃プラスチック類の焼却施設
5
コンクリート固形化施設
1
1
PCB廃棄物分解施設
1
1
その他の焼却施設
14
1
5
20
277
46
28
351
最終処分場(安定型 )
16
3
5
24
最終処分場(管理型 )
10
2
26
5
5
36
303
51
33
387
中間処理施設小計
最終処分場小計
合
計
12
注)上記数値は延べ数である。
ウ .最終処分場の状況
県における最終処分場の状況を型別にみると表1−4−3−8のとお
りですが、近年、最終処分場の設置は極めて困難な状況にあります。
58
最終処分場の設置状況(平成15年3月31日現在)
区分
政令市
県
種類
長崎市
施設数
16
容 量
1,933,523
残容量
704,250
処理業者 施設数
2
管
容 量
41,103
所
有 残容量
7,032
理
施設数
8
事 業 者 容 量
8,798,063
型 所
有 残容量
2,479,792
施設数
10
小計
容 量
8,839,166
残容量
2,486,824
施設数
26
計
容 量
10,772,689
残容量
3,191,074
(注) 容量の単位:m3
3
332,958
8,700
1
103,085
0
1
7,000
1,062
2
110,085
1,062
5
443,043
9,762
安定型
計
佐世保市
5
79,363
17,749
24
2,345,844
730,699
3
144,188
7,032
9
8,805,063
2,487,886
12
8,949,451
2,487,886
36
11,295,095
3,218,585
5
79,363
17,749
エ.監視、指導の状況
排出事業者、処理業者に対する指導は、報告の徴収及び保健所による
立入調査を中心として行っており、今後とも監視、指導の強化を図って
いきます。
平成14年度における立入調査等の実施状況(政令市を除く)は、表
1−4−3−9、表1−4−3−10のとおりです。
表1−4−3−9
監視、指導状況
立入調 口 答 指 文 書 指 報 告 徴
査件数 導件数 導件数 収
特管産廃排出事業者
88
36
産廃排出事業者
465
168
産廃処理業者
405
160
0
0
0
0
958
364
1
14
公共
計
表1−4−3−10
排出事業者
命令・処
分件数
1
11
3
1
1
苦情処理件数
処理業者
無許可
受
付
数
109
8
6
立
入
数
104
8
4
59
第2部
表1−4−3−8
オ.特別管理産業廃棄物排出事業者の指導状況
第2部
特別管理産業廃棄物(爆発性、毒性、感染症等を有する産業廃棄物)
の適正処理を推進するため、排出事業者に対し、①管理責任者の設置
②マニフェストの交付 ③各種報告の提出等の指導を各保健所単位で行
っており、これらの指導を通じて今後とも適正処理体制の整備を進めま
す。
(3)その他の廃棄物
〔廃棄物・リサイクル対策課〕
ア.環境美化(空き缶等散乱ごみ対策)の推進
本県においては、豊かで美しい自然環境を守り、快適な生活環境を創
造していくことを目的とし、併せて、観光立県として美しい街づくりが
何よりも重要であるとの認識に立って、平成6年4月に、緑化の推進、
ごみの散乱防止、資源リサイクルの推進を3本の柱とする「長崎県環境
美化の推進に関する条例」を施行しました。
その後、県下すべての市町村において同様の条例が制定されており、
これらを踏まえ、市町村・県が一体となり、緑化、ごみ散乱防止などに
取り組んでいるところです。
県では、市町村や長崎県保健環境連合会等の各種環境美化団体の協力
を得て、8月の「クリーンながさき推進月間」を中心として、清掃活動
や緑化活動等の実践活動を展開していますが、特に空き缶等については、
各種飲料製品の大量消費や自動販売機の普及に伴い、空き缶等が、道路
沿いをはじめ人出の多い所には広く散乱するなど、その処理対策が大き
な社会問題ともなっています。
この問題は、広域的に対処することが重要であることから、九州各県
が統一して7月∼8月の2カ月間を「九州各県空きかん散乱防止対策統
一キャンペーン」期間として定め、ラジオスポットやポスター等により
散乱防止の啓発活動を実施する他、市町村や各種環境美化団体の協力を
得て、空き缶回収キャンペーン等の活動を展開しています。
平成14年度は、6月2日(日)を「第22回空きかん回収キャンペ
ーン」の県下統一実施日として位置づけ、散乱している空き缶回収を中
心とした実践活動を市町村及び各種団体等において行い、資源リサイク
ルや環境美化に対する県民意識の高揚を図り、美しく住み良いふるさと
づくりの推進を図りました。
60
表1−4−3−11
年度
参加市町村 数 参加人員(人 ) 回 収個数 (千個) 回収重 量(トン)
35
44
37
50
48
54
75
16 H 8
17 H 9
18 H10
19 H11
20 H12
21 H13
22 H14
66,524
80,129
45,907
88,337
80,858
95,076
137,209
1,253
1,466
1,244
1,357
1,012
1,094
1,338
第2部
回
空き缶回収キャンペーンの実施状況
備考
60
65
53
61
41
48
55
※各年度とも統一行動日 実施市町村 分の集計
イ.廃棄物不法投棄取締パトロール
廃棄物の急激な増加に伴い、不法に投棄される廃棄物も後を絶たない
状況にあります。このような不法投棄を防止するため、平成5年度から
廃棄物適正処理推進指導員(平成12度末現在5名)を配置して「廃棄
物不法投棄取締パトロール実施要領」に基づき廃棄物の不法投棄取締パ
トロールを強化し、廃棄物の不法投棄等不適正処理の防止に努めていま
す。
表1−4−3−12
9年度
発見件数 ( 件)
投棄量
10年度
11年度
12年度
13年度
14年度
624
679
593
549
631
23,577
25,419
13,608
12,138
11,774
443
( m3) 18,450
廃棄物不法投棄取締パトロール実施結果
撤去件数 ( 件)
188
211
285
278
295
361
未撤去累計( 件)
1,213
1,626
2,020
2,335
2,589
2,859
ウ.廃船処理の状況
廃船の処理は、原因者(船舶所有者)が責任をもって行うことが原則
ですが、なんら処理されないままナンバープレート等をはずし、海岸等
へ放置されている事例がみられます。こうした船舶の不適正処理は、船
舶航行上支障をきたすとともに、海岸の美しい景観を損なうことにもな
ります。
このような廃船の不法投棄を未然に防止するため、昭和55年 7月
に「長崎県廃船処理対策要領」を制定し、廃船届けが提出された時点に
おける現地確認及び処理指導を柱とし、関係機関( 海上保安部、海運局、
県漁連、県庁関係各課等)が有機的に連携し、指導を実施しています。
61
表1−4−3−13
廃船処理の状況
第2部
H9年度
H10年度
H11年度
H12年度 H13年度 H14年度
漁
漁
漁
漁
一
一
一
船
般
船
般
船
般
一
船
漁
一
般 船
漁
一
般 船
般
焼
却
163
0
156
0
78
0
43
0
34
埋
立
12
0
3
0
8
0
1
0
2
1
業者委託
85
2
58
0
58
2
48
0
29
44
2
売却・他
157
0
191
0
165
0
84
0
77
52
19
計
417
2
408
0
309
2
176
0
142
125
21
1
1
28
課題
○
ダイオキシン類対策を含めた環境保全のための設備経費など、施設建設
経費は年を追うごとに高額になってきており、施設の運営費を含めて市町
村にとって大きな負担となっています。このため、国への国庫補助制度(現
行補助率1/4)の改正による負担軽減措置と併せて、受益者負担による
新たな経費分担の枠組みを検討すべき時期にきています。
○
最終処分場の浸出水による水源・公共用水域の汚染及び焼却施設からの
ダイオキシン類の発生により、住民の不安・不信を招いています。従って 、
いかにして産業廃棄物処理施設の安全性を確保し、住民の不安を解消する
かが大きな課題になっています。
○
最終処分場は県下に36ケ所(平成15年3月31日現在)設置されてい
ますが、大手企業が設置しているものを除けば残容量が乏しいため、受け
入れ先が逼迫した状況です。
○
最終処分場の新規設置については適地不足、周辺住民の反対等により、
将来的な建設が懸念されています。
○
環境美化の一層の推進に向け、行政機関と民間団体等が連携し、各種の
実践活動を通じ、県民の意識の高揚を図る必要があります。
○
不法投棄物の撤去改善は原因者(投棄実行者)が行うことが原則です。
よって、不法投棄の未然防止のための取締パトロールの強化、及び発見し
た不法投棄事案についての徹底的な追跡調査を行い、早期改善に努める必
要があります。
62
騒音・振動・悪臭対策の推進
1
騒音・振動・悪臭対策の推進
第2部
第5節
現状・施策
(1)騒音の現況
〔環境政策課〕
ア.騒音苦情
長崎県では例年600∼1,000件の公害苦情がありますが、その
うち大気汚染、水質汚濁に関する苦情に次いで多いのが悪臭、騒音など
の感覚公害に関する苦情です。
騒音苦情は、平成14年度は全体の公害苦情件数の約11.6%を占
めており、発生源別にみると建設作業に係るものが最も多く、次いで商
店・飲食店からの近隣騒音に係るものと、身近なものが増加しています。
図1-5-1-1
年度別発生源別騒音苦情件数の経年変化
件
140
127
120
100
125
125
H12年度
H13年度
114
88
80
60
40
20
0
H10年度
図1-5-1-2
H11年度
発生源別騒音苦情件数(平成14年度)
その他 (12
件)
家庭生活 (7
件)
交通機関 (2
件)
建設作業
件)
(40
商店・飲食店
(32件)
工場等 (14
件)
63
H14年度
イ.環境騒音
第2部
静かで快適な生活環境を保全し創造していくためには、まず、環境騒
音の状況を適切に把握し改善対策の指標とすることが大切です。そのた
め、騒音に係る環境基準の類型指定を行っている主要な7市6町におい
て、環境監視のための測定点228地点を定めて環境騒音定点調査を実
施しました。
環境騒音定点調査の結果は、表1-5-1-3のとおりでした。
表1-5-1-3
環境騒音定点調査結果(平成14年度)
市 町 村
区
長 崎 市
A類型
B類型
C類型
A類型
B類型
C類型
A類型
B類型
C類型
A類型
B類型
C類型
A類型
B類型
C類型
A類型
B類型
C類型
A類型
B類型
C類型
A類型
B類型
C類型
A類型
B類型
C類型
A類型
B類型
C類型
A類型
B類型
C類型
A類型
B類型
C類型
佐世保市
島 原 市
諫 早 市
大 村 市
平 戸 市
松 浦 市
香 焼 町
三 和 町
多良見町
長 与 町
時 津 町
分
測定地 適 合 地 点 数
点数 2時 昼間 夜間
間帯
15
10
13
11
19
14
15
14
16
9
16
9
11
11
11
11
6
3
5
3
19
13
14
13
2
2
2
2
7
4
4
7
6
6
6
6
10
9
9
9
9
9
9
9
6
6
6
6
9
4
6
5
9
4
5
6
10
8
8
9
1
1
1
1
3
1
3
2
4
3
4
3
5
4
4
5
6
4
4
4
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
2
1
1
1
1
2
2
2
2
3
3
3
3
1
1
1
1
4
2
2
3
1
1
1
1
2
2
2
2
7
6
6
6
2
2
2
2
3
2
3
2
7
6
6
6
6
2
3
4
3
1
2
1
64
適 合 率(%)
2時
昼間
夜間
間帯
67
87
73
74
79
74
56
100
56
100 100 100
50
83
50
68
74
68
100 100 100
57
57
100
100 100 100
100 100 100
100 100 100
100 100 100
44
67
56
44
56
67
80
90
80
100 100 100
33
100
67
75
100
75
80
80
100
67
67
67
100 100 100
100 100 100
100 100 100
100 100 100
100 100 100
100 100 100
100 100 100
50
50
75
100 100 100
100 100 100
86
86
86
100 100 100
67
100
67
86
86
86
33
50
67
33
67
33
ウ.自動車騒音
乏しく、市中心部へ向かう幹線道路が少なく狭いため、朝夕のピーク時
は相当な交通渋滞を引き起こしています。
本県の自動車保有台数は第1節1で述べたように、平成3年度からの
推移をみても年々増加を続け、平成14年度末で約87.0万台となって
います。
A.自動車騒音(環境基準関係)
県下15区間について面的評価を行った結果、表1-5-1-4に示す
ように昼間・夜間ともに環境基準を達成した住居等の割合(環境基準
達成率)は87.4%でした。
表1−5−1−4
自動車騒音面的評価結果(平成14年度)
環境基 準達成 率
NO
観 測地点 名
路線 名
昼間
夜間
昼夜
1 松浦 市志佐 町白浜 免
国 道 20 4 号 線
7 7 .2
9 8 .4
7 7 .2
2 佐々町 本田原 免
国 道 20 4 号 線
8 9 .1
6 6 .9
6 6 .9
3 川棚 町百津 郷
国 道 20 5 号 線
9 8 .4
1 0 0 .0
9 8 .4
4 時 津町浦 郷
国 道 20 6 号 線
1 0 0 .0
1 0 0 .0
1 0 0 .0
5 時津 町左底 郷
国 道 20 6 号 線
7 6 .1
8 5 .0
7 6 .1
6 琴海 町西海 郷
国 道 20 6 号 線
1 0 0 .0
1 0 0 .0
1 0 0 .0
7 高 来町里 免
国 道 20 7 号 線
9 0 .2
5 4 .1
5 4 .1
8 諫早 市長田 町
国 道 20 7 号 線
1 0 0 .0
8 7 .7
8 7 .7
9 諫早市 小豆崎 町
国 道 20 7 号 線
7 2 .3
6 1 .9
6 1 .9
10 諫早 市城見 町
国 道 20 7 号 線
9 9 .3
9 9 .3
9 9 .3
11 諫早 市宇都 町
国 道 20 7 号 線
9 2 .9
6 4 .3
6 4 .3
12 時津 町浜田 郷
国 道 20 7 号 線
1 0 0 .0
1 0 0 .0
1 0 0 .0
13 諫早 市貝津 町
大 村貝津 線
1 0 0 .0
8 3 .9
8 3 .9
14 長与 町嬉里 郷
東長 崎長与 線
1 0 0 .0
1 0 0 .0
1 0 0 .0
15 諫 早市幸 町
有喜 本諫早 停車場 線
1 0 0 .0
1 0 0 .0
1 0 0 .0
B.自動車騒音(要請限度関係)
平成14年度の要請限度騒音測定については、表に示すとおりであ
り県内の6市5町の主要幹線道路を中心とした、国道59地点、県道1
0地点、市町道12地点、その他2地点の計83地点について調査を実
施しました。
調査結果の評価を行った83地点について、要請限度(騒音規制法
第17条第1項の自動車騒音の限度)の超過状況をみると、昼間・夜
間の2時間帯のいずれかが要請限度を超過している測定地点は、9地
点(10.8%)でした。
65
第2部
従来から本県の道路事情は悪く、特に長崎市及び佐世保市は平坦地に
表1−5−1−6
第2部
市町名
自動車騒音市町別地点数
測定
地点数
要請限度区域区分
夜間のみ
超
過
2時間帯の
全てが以下
地点数
%
地点数
2時間帯の
全てが超過
%
地点数
%
長崎市
17
15
88.2
1
5.9
1
5.9
佐世保市
島原市
16
1
16
1
100.0
100.0
0
0
0.0
0.0
0
0
0.0
0.0
諫早市
22
16
72.7
6
27.3
0
0.0
大村市
松浦市
7
12
7
11
100.0
91.7
0
4
0.0
30.8
0
0
0.0
0.0
平戸市
4
2
50.0
2
50.0
0
0.0
長与町
2
2
100.0
0
0.0
0
0.0
時津町
1
0
0.0
1
100.0
1
100.0
多良見町
1
1
100.0
1
100.0
0
0.0
83
71
85.5
9
10.8
2
2.4
合
計
表1−5−1−7
区域区分
要請限度超過状況
地点数
要請限度超過状況
時間帯別
2時間帯ともに要請限度以下
a区域
b区域
c区域
合計
11
25
51
87
地点
%
10
91.0
夜間のみ要請限度超過
1
9.0
2時間帯ともに要請限度超過
0
0.0
2時間帯ともに要請限度以下
22
92.0
夜間のみ要請限度超過
2
8.0
2時間帯ともに要請限度超過
0
0.0
2時間帯ともに要請限度以下
39
81.0
夜間のみ要請限度超過
6
13.0
2時間帯ともに要請限度超過
2
4.0
2時間帯ともに要請限度以下
71
86.0
夜間のみ要請限度超過
9
11.0
2時間帯ともに要請限度超過
2
2.0
66
エ.航空機騒音
2本の滑走路があります。昭和50年5月のB滑走路供用開始後は、民
間の定期航空路としての航空機の離発着はすべてB滑走路において行わ
れています。A滑走路は、海上自衛隊、県警本部、県消防防災課のヘリ
コプター及び民間の小型機に利用されています。
国内路線は、平成15年10月1日現在で12路線41便であり、そ
の他に国際線としてソウル定期便(週3便)が運航されています。
平成10年度以降の空輸実績は図1-5-1-8に示すとおりであり、平
成14年度は、貨物量は約1.8万トンとやや減少傾向を示しており、
国内線利用者数は267万人となっている。
一方、オリエンタルブリッジ路線の乗客数は、福江路線への参入等に
より前年より64,497人増加し 、120,125人(前年比215.
9%)と増加しています。
図1-5-1-8
乗客及び貨物空輸実績
3,100
3,000
2,900
2,800
2,700
2,600
2,500
2,400
41,444
48,005
53,533
60,910
28,983
3,060
2,740
2,940
2,670
2,780
H10
H11
H12
国内線乗客(千人)
H13
70,000
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
国際線乗客(人)
国内線乗客(千人)
A.乗客
H14
国際線乗客(人)
B.貨物
20,000
918
987
1,200
862
1,000
800
15,000
10,000
5,000
18,479
19,579
H11
H12
国内線貨物(トン)
67
280
18,664
17,526
H13
H14
21,249
0
H10
387
国際線貨物(トン)
600
400
200
0
国際線貨物(トン)
国内線貨物(トン)
25,000
第2部
長崎空港には、本土側のA滑走路(旧大村空港 )、海上のB滑走路の
一方、チャーター機、経由機を含む国際線乗客数は、前年比13.8
第2部
%増の60,910人となりました。
長崎空港のB滑走路は、大村市の陸域部から西方約1㎞、また、着陸
コースに当たる諌早市、多良見町の陸域部からは北方約11㎞の海で隔
てられた大村湾上に位置しており、航空機騒音対策上は他の空港に比較
し恵まれた条件下にあります。
B滑走路周辺地域における航空機騒音の測定監視は、諌早市、大村市 、
多良見町と県が共同して、海上空港開設の昭和50年から実施していま
す。
平成14年度の測定結果は、測定した11測定地点で53∼65WECP
NLの範囲にあり、すべての地点において環境基準を満足しています(図
1-5-1-9)。また、昭和59年度から測定を行っているA滑走路周辺地
域については、平成14年度は6地点の測定地点のうち5地点で環境基
準を超過し、今後の動向に注目する必要があります(図1-5-1-10)。
図1-5-1-9
B滑走路周辺地域における航空機騒音測定結果( 平成14年度)
航 空 機 騒 音 測 定 結 果 (H14)
WECPNL
70
65
65
65
61
60
61
60
56
58
61
58
55
53
55
50
45
久山町住宅
土師野尾公民館
若葉町住宅
真津山小学校
久山町住宅
伊木力研修館
シーサイド喜々津
三浦出張所
釜川内
図1-5-1-10
久原住宅︵前船津
公民館︶
大村市役所
40
A滑走路周辺地域における航空機騒音測定結果( 平成14年度)
航 空 機 騒 音 測 定 結 果 (H 1 4 )
W ECPNL
環 境 基 準 (7 0 、 7 5 W E C P N L )
90
80
82
70
76
60
50
65
84
81
68
40
30
20
10
古賀島町住宅 D
古賀島町住宅 C
68
古賀島町住宅 B
古賀島町住宅 A
今津町住宅
富 の原 小 学 校
0
(2)振動の現況
〔環境政策課〕
大きいために、苦情の発生は少なく、最近の苦情件数は年間数件程度とな
っています。
また、道路における交通振動についても、例年要請限度を超えることは
なく、比較的良好な状態です。
図1-5-1-11
年度別振動苦情件数
件
9
8
8
7
6
5
4
4
3
3
2
2
1
1
0
H10年 度
H11年 度
H12年 度
H13年 度
H14年 度
平成14年度は、県下の主要幹線道路における交通振動の測定を43地点
で実施しました。
うち、3か所で振動レベルが昼間に50デシベル(dB)を超えましたが、
いずれも法で定める要請限度は超えていません。
(3)悪臭の現況
〔環境政策課〕
悪臭に関する苦情件数は、経年的に減少していましたが、最近はやや
増加傾向にあります。発生源別にみると、従来は畜産農業や食品工場につ
いての苦情が多かったのですが、最近では一般家庭や商店・飲食店からの
悪臭に関する苦情が高率となっています。
図1-5-1-12
年度別悪臭苦情件数
件
140
126
123
122
120
104
93
100
80
60
40
20
0
H10年 度
H11年 度
69
H12年 度
H13年 度
H14年 度
第2部
振動は騒音と同時に発生することが多いですが、騒音に比べ距離減衰が
第2部
図1-5-1-13
悪臭苦情の発生源別件数(平成14年度126件))
農畜産産業
(20件)
その他
(40件)
食品等製造業
(17件)
飲食店等サービス業
(21件)
家庭生活
(28件)
(4)騒音防止対策
〔環境政策課〕
本県における騒音の規制は、昭和33年7月に施行された長崎県騒音防
止条例に始まりますが、昭和43年に騒音規制法が制定されたのに伴って
昭和44年に条例の全面改正を行い、長崎県公害防止条例として現在に至
っています。
県条例では、法の適用を受けない4種類の施設(冷凍機、クーリングタ
ワー、板金・製缶作業場、鉄骨・橋梁作業場)を「指定施設」として届出
及び規制の対象としているほか、指定施設以外のもの、深夜騒音及び拡声
機放送等についても騒音規制を実施しています。また 、「カラオケ」に代
表される音響機器等による深夜営業騒音に対しては、昭和57年3月、条
例改正を行い規制対象としました。
なお、騒音規制事務は市町村の自治事務とされていますので、市町村長
が事業者に対して、特定工場等及び特定建設作業から発生する騒音の規制
基準の遵守及び周辺の生活環境を損なわないよう行政指導を行なうことと
なっています。平成14年度は、法及び条例に基づく改善勧告、改善命令
は行われませんでした。
自動車、航空機、鉄道等の交通騒音対策は、発生源対策のみでは難しい
面が多く、今後は、道路構造の検討、土地利用の適正化等を含めた総合的
な施策の推進が必要です。
また、生活様式の変化、人口の集中化等による近隣騒音問題は多様化し 、
しかも増加する傾向にあることから、住民の啓発を含めたきめ細かな対応
が必要です。
70
ア.騒音に係る環境基準の類型指定
指定し、その後、順次指定市町を拡大し、平成15年3月末現在で8市
39町において指定を実施している(表1-5-1-15)。
一方、航空機騒音については、長崎空港周辺の大村市、諌早市、多良
見町の2市1町について、航空機騒音に係る環境基準の類型指定を昭和
58年6月1日に行っています。
表1-5-1-15
騒音に係る環境基準の類型指定状況
告示年月日
昭和58年
5年31日
昭和59年
5月18日
昭和60年
6月7日
昭和61年
5月9日
昭和62年
4月24日
昭和63年
4月22日
平成元年
4月14日
平成2年
4月13日
平成3年
4月23日
平成4年
5月6日
告示番号
第464号
施行日
6月1日
第428号
6月1日
第509号
6月7日
第401号
5月9日
第458号
5月1日
第450号
5月1日
第459号
5月1日
第497号
5月1日
第463号
5月1日
第523号
5月6日
長
大
島
時
福
(平成15年3月末現在)
地域指定の実施市町
崎 市 佐世保市 諌 早 市
村 市
原 市 多良見町 長 与 町
津 町
江 市 平 戸 市 香 焼 町
松 浦 市
東彼杵町
有 明 町
佐 々 町
野母崎町
国 見 町
口之津町
上五島町
西 彼 町
崎 戸 町
森 山 町
吾 妻 町
飯 盛 町
三 和 町 琴 海 町
川 棚 町 波佐見町
小 浜 町 西有家町
郷ノ浦町 厳 原 町
大瀬戸町 高 来 町
加津佐町 有 家 町
生 月 町 江 迎 町
有 川 町
西 海 町 大 島 町
外 海 町
小長井町 愛 野 町
瑞 穂 町 田 平 町
千々石町
(合計
8市39町)
イ.騒音規制地域
騒音規制法に基づく騒音規制地域については、昭和44年3月に長
崎市、佐世保市を指定し以後順次指定地域を拡大し、平成15年3月末
現在で8市57町を指定するに至っています(表1-5-1-16)。
地域指定については、都市計画の用途地域を基本とし、市町村長の意
見をきき第1種区域から第4種区域までの区分指定を行っていますが、
土地利用の変化等により規制地域の見直しの必要性が生じてきた場合に
は、規制地域の指定変更を行っています。
71
第2部
騒音に係る環境基準の類型指定は、昭和58年5月に長崎市他3市を
表1-5-1-16
騒音規制法に基づく騒音規制地域の指定状況( 平成15年3月末現在)
第2部
告示年月日
告示番号
施行日
地域指定の実施市町
昭和44年
第197号
4月1日
長 崎 市
佐世保市
第726号
9月15日
諌 早 市
大 村 市
島 原 市
長 与 町
時 津 町
川 棚 町
多良見町
加津佐町
田 平 町
郷ノ浦町
厳 原 町
松 浦 市
香 焼 町
野母崎町
3月28日
昭和46年
9月14日
昭和47年
1月14日
昭和50年
第17号
1月15日
の2
第382号
5月17日
5月16日
昭和51年
佐 々 町
第272号
4月14日
平 戸 市
第313号
4月2日
福 江 市
伊王島町
高 島 町
三 和 町
琴 海 町
西 彼 町
西 海 町
大 島 町
崎 戸 町
大瀬戸町
外 海 町
東彼杵町
波佐見町
森 山 町
飯 盛 町
高 来 町
小長井町
生 月 町
福 島 町
江 迎 町
鹿 町 町
小佐々町
吉 井 町
世知原町
上五島町
有 川 町
奈良尾町
有 明 町
国 見 町
瑞 穂 町
吾 妻 町
愛 野 町
千々石町
小 浜 町
南串山町
口之津町
南有馬町
北有馬町
有 家 町
西有家町
布 津 町
深 江 町
富 江 町
玉之浦町
三井楽町
岐 宿 町
奈 留 町
4月13日
昭和57年
4月 2日
昭和58年
第94号
1月28日
1月28日
昭和62年
第459号
5月1日
4月24日
(合計
8市57町)
ウ.規制対象施設
騒音規制法では、工場・事業場に設置されている施設のうち、特に騒
音の発生が著しい施設については11種類を「特定施設」として、建設
作業については8種類を「特定建設作業」として定め、規制の対象とし
ています。また、特定施設以外で規制が必要なものについては、県公害
防止条例により4種類を指定施設として規制の対象としています。
本県における特定施設等の平成14年度末の設置状況は、表1-5-1-1
7、1-5-1-18に示すとおりですが 、特定施設としては空気圧縮機等が、
指定施設としては冷凍機やクーリングタワーが多く設置されています。
また、特定建設作業の届出状況は表1-5-1-19に示すとおりです。
72
表1-5-1-17
法に基づく騒音に係る特定施設の設置状況
施
設
の
種
類
特定工場等総数
特 定 施 設 数
1.金属加工機械
110
434
2.空気圧縮機及び送風機
148
1,473
17
165
1
7
32
43
6.穀物用製粉機
4
5
7.木材加工機械
43
97
機
2
11
9.印 刷 機 械
24
126
2
5
24
35
407
2,401
3.土石用破砕機等
4.織
機
5.建設用資材製造機械
8.抄
紙
10.合成樹脂用射出成形機
11.鋳型造型機
計
注) 2種類以上の特定施設が設置されている特定工場等については、
主要な特定施設の欄のみに計上しています。
表1-5-1-18
県条例に基づく騒音に係る指定施設の設置状況
( 平成15年3月末現在 )
施
設
1.冷
の
凍
種
類
工 場 等 総 数
機
特 定 施 設 数
411
1,962
2.クーリングタワー
305
1,280
3.板金・製缶作業場
292
301
42
60
1,050
3,603
4.鉄骨・橋梁の作業場
計
表1-5-1-19
法に基づく騒音に係る特定建設作業の届出状況
(平成14年度)
作
業
の
種
類
届出件数
1.くい打機等を使用する作業
11
2.びょう打機を使用する作業
0
3.さく岩機を使用する作業
29
4.空気圧縮機を使用する作業
12
5.コンクリートプラント等を設けて行う作業
6.バックホウを使用する作業
1
11
7.トラクターショベルを使用する作業
0
8.ブルドーザーを使用する作業
0
計
73
64
第2部
( 平成15年3月末現在)
エ.規制基準等
第2部
特定施設を設置する工場・事業場及び特定建設作業から発生する騒音
については、騒音規制法に規制基準(音量基準及び特定建設作業につい
ては作業時間等の規制が加わる)が定められており、また、条例で定め
る指定施設についても規制基準(音量基準)が定められ、さらに拡声機
放送・深夜騒音の制限等が定められています。
オ.深夜営業騒音の規制
飲食店等における営業騒音については、昭和57年3月に長崎県公害
防止条例の一部が改正され、同57年9月1日から、騒音規制地域内の主
に住居系区域において営業する飲食店等(対象業種指定)を対象に、深
夜(23時∼6 時 )のカラオケ等の音響機器の使用が制限されています。
規制の主な内容は、図1-5-1-20のとおりです。
図1-5-1-20
深夜営業騒音の規制
時
間
騒音規制区域
22
23
0
1
第1種区域
2
3
4
5
6
7
使用時間の制限
第2種区域
第3種区域
音 量 の 規 制
第4種区域
(規制を受ける区域)
騒音規制区域のうち、第1種規制区域、第2種規制区域の全域及び第3種規制
区域で市町村長の意見を聞いて知事が定める一部の区域
(対象となる営業)
食品衛生法に規定する飲食店営業及び喫茶店営業のうち客席等を設けて客に飲
食させる営業
・食堂
・料理店
・すし屋
・旅
館
・スナック
・バー
・キャバレー
・喫茶店
・レストラン
など
(使用の制限を受ける音響機器)
・カラオケ装置
・音響再生装置
・楽器
・拡声装置
・有線放送受信装置
カ.道路交通騒音対策
発生源対策として、全ての自動車及び原動機付自転車について、自動
車騒音規制が実施されています。
新車に対しては、定常走行騒音、排気騒音、市街地を走行する際に発
生する最大の騒音である加速騒音について規制が行われ、使用過程車に
対しても定常走行騒音、近接排気騒音についての規制が行われています。
74
さらに、これらの規制の実効をあげるために、自動車騒音についての
する検査等が実施されています。
なお、市町村長は、騒音レベルが一定の限度をこえ、生活環境が著し
くそこなわれていると認めるときは、公安委員会に対して、道路交通法
の規定による措置をとるべきことを要請し、また、必要があると認める
ときは、当該道路部分の構造の改善等に関し、道路管理者等に対して意
見を述べることができます。
本県では、平成8年度に国、県の関係機関による「長崎県沿道環境整
備協議会」を発足させ、交通公害対策を協議しています。同協議会にお
いて道路交通騒音低減を当面の課題として位置づけ、その具体的対策と
して「低騒音舗装」を敷設しています。
キ.総合的施策の推進
住民の生活環境を騒音から保全するためには、以上に掲げた対策のほ
かに、騒音発生施設と住居との分離等による土地利用の適正化、騒音防
止技術等の開発、騒音防止施設の設置や施設改善の促進、交通騒音に対
する総合的施策の推進、監視測定体制の整備、近隣騒音防止のための住
民に対する啓発等、種々の対応が必要です。なお、道路交通騒音対策の
体系図を図1-5-1-21に示します。
図1-5-1-21
道路交通騒音対策の体系図
自動車構造の改善
発生源対策
走行状態の改善
許容限度の強化
車両検査、点検整備の徹底
電気自動車の開発及び利用の促進
交通管制システム及び信号機の系統化等による交通円滑
化の推進
最高速度の制限、車線指定等の交通規制の推進
過積載車、整備不良車両等の規制違反車両の取締
道路
交通
騒音
対策
交通流対策
交通量の抑制
大量公共輸送機関への転換
共同輸配送の推進
道路交通網整備
環境保全に配慮した環状道路、バイパス等の整備による
道路機能の強化
物流施設の適正に配置による大型車の都心部への乗
物流対策
交通流誘導
道路構造の改善
沿道対策
入れ抑制等
案内標識の設置等によるバイパスへの交通の誘導
生活ゾーン規制による道路交通の排除等
遮音壁の設置
環境施設帯、植樹帯の緩衝空間の確保
路面の改良等
民家・学校等の防音工事及び移転の実施
緩衝建築物の誘導
沿道土地利用の適正化等
75
第2部
新規検査、継続検査等が行われ、また、街頭における整備不良車両に対
<備考>
その他の対策としては、(1)道路の新設、改造にあたっての環境影響評価の実
第2部
施、(2)監視測定体制の充実強化、(3)騒音防止技術の開発研究の推進、(4)新
交通システム開発、(5)自動車使用適正化のための啓蒙活動等があります。
(5)低騒音舗装の敷設
〔道路維持課〕
ア.環境基準対象項目
A.騒音
幹線交通道路において騒音指数の基準値昼間70デシベル夜間65
デシベルをこえる地域について県管理の国道・県道において低騒音舗
装を施工し、沿道環境の改善を図ります。
(6)振動防止対策
〔環境政策課〕
法に基づく振動規制地域の指定については、昭和53年3月に指定を実
施して以来、現在7市6町について地域指定を行っています。振動規制法
に基づく規制事務は、騒音規制法と同じく、市町村の自治事務であり、市
町村長は特定工場等及び特定建設作業から発生する振動が規制基準等に適
合するよう行政指導を行うとともに、規制基準を超える場合は、必要に応
じて改善勧告、改善命令等の行政措置を行うことができます。なお、平成
14年度は改善勧告等は行われませんでした。
ア.振動規制地域
振動規制法に基づく振動規制地域の指定状況は、表1-5-1-22のと
おりです。規制区域の指定に当たっては、原則として騒音規制区域との
整合(騒音規制区域の1種・2種は振動規制区域の1種に、騒音規制区
域の3種・4種は振動規制区域の2種に相当)を図っています。なお、
振動は騒音に比べ遠くまで伝わりにくいという性質や用途地域の性格
上、工業専用地域については指定から除外しています。
表1-5-1-22
振動規制法に基づく振動規制地域の指定状況
(平成15年3月末現在)
告示年月日
昭和53年
3月10日
告示番号
第201号
昭和54年
3月23日
昭和60年
6月7日
第223号
施行日
3月11日 長
諌
長
3月24日 松
第511号
6月 7日
崎
早
与
浦
地域指定の実施市町
市 佐世保市 島 原 市
市 大 村 市 香 焼 町
町 時 津 町
市 多良見町
福 江 市
東彼杵町
( 合計
川 棚 町
7市 6町 )
イ.規制対象施設
振動規制法では、工場・事業場に設置される施設のうち、特に振動が
76
著しい10種類を「特定施設」として、また、建設作業についても4種
県内の振動規制地域内に、平成15年3月末現在で設置されている特
定施設及び14年度中の特定建設作業の届出状況は、表1-5-1-23、表
1-5-1-24に示すとおりです。
ウ.規制基準等
振動規制法で定める「特定施設」を設置している工場・事業場につい
ては、振動レベルの規制基準 、「特定建設作業」については、振動レベ
ルの規制のほか 、作業時間の制限等の基準による規制が行われています。
表1-5-1-23
法に基づく振動に係る特定施設の設置状況(平成15年3月末現在)
施
設
の
種
類
特定工場等総数
1.金属加工機械
特 定 施 設 数
64
281
110
451
15
156
2
14
5.コンクリートブロックマシン等
6
10
6.木材加工機械
3
5
16
55
8.練用ロール機
0
0
9.合成樹脂用射出成形機
3
10
0
0
219
982
2.圧
縮
機
3.土石用破砕機等
4.織
機
7.印 刷 機 械
10.鋳型造型機
計
注) 2種類以上の特定施設が設置されている特定工場等については、
主要な特定施設の欄のみに計上しています。
表1-5-1-24
法に基づく振動に係る特定建設作業の届出状況( 平成14年度)
作
業
の
種
類
1.くい打機等を使用する作業
届出件数
18
2.鋼球を使用して破壊する作業
0
3.舗装版破砕機を使用する作業
1
4.ブレーカーを使用する作業
計
77
26
45
第2部
類を「特定建設作業」として定め、規制の対象としています。
(7)悪臭防止対策
〔環境政策課〕
第2部
悪臭防止法では、不快なにおいの原因となる22物質に対して各物質ご
との規制を行うこととなっており、指定地域内に立地する全ての工場、事
業場から排出されるこれらの悪臭物質を規制しています。
悪臭を防止する必要があると認められる地域は、規制地域として知事が
指定することになっていますが、昭和49年5月10日に指定の告示を行っ
て以来、平成15年3月末現在、8市20町において地域指定を行ってい
ます(表1-5-1-25)。
事業場等に対する規制及び指導、悪臭測定等の事務は、市町村の自治事
務となっており、市町村長は、規制地域内の事業場等から発生する悪臭物
質が規制基準に適合しないことにより、住民の生活環境が損なわれている
と認めるときは、改善勧告等を行うことができますが、平成14年度に改
善勧告及び改善命令に至った事例はありませんでした。
本県では、平成8年7月26日に、新たに悪臭物質に追加されたプロピ
オンアルデヒド等10物質の規制基準を定め、計22物質について規制基準
を定めています。
併せて、近年、事業場から排出される排出水中に含まれる悪臭物質に起
因する悪臭苦情等に対応するため、排出水に係る硫黄系4物質の規制基準
を定めました。
一方、悪臭の原因となる特定の物質ごとの排出濃度に着目した従来の規
制制度のみでは、ある発生源から複数の悪臭の原因となる物質が排出され、
これらが相加、相乗されるなどして人の嗅覚に強く感じられる複合臭の問
題に十分対応できないことや、悪臭の原因となる未規制の多種多様な物質
への実効性のある対応が困難であることから、これらに適切に対応するた
め、悪臭防止法が改正され、嗅覚測定法が導入されました。このため、臭
気指数による規制に向け市町村と協議を行っていますが、規制基準の設定
及び地域指定には至っていません。
なお、本県では、官能試験法(三点比較式臭袋法)を取り入れた「長崎
県悪臭防止指導要綱」を昭和59年4月21日に制定し、同年5月1日か
ら適用しています。
この要綱は、適用地域を県下全域として第1種区域(法に基づき知事が
定めた規制地域のうちの「A区域 」)と第2種区域(第1種区域以外の区
域)とに区分し、それぞれの区域に立地する事業場の敷地境界線及び煙突
その他の排出口における臭気濃度の基準及び施設基準を定めており、これ
らを行政指導の指針としています。この官能試験法の採用により、人間の
嗅覚による悪臭を総合的に評価すると同時に、法に定める機器測定の対応
が困難な市町村についても、悪臭評価のより柔軟な対応が可能となってい
ます。
78
表1-5-1-25
悪臭防止法第3条の規定に基づく悪臭規制地域の指定状況
告示年月日
昭和49年
告示番号
施行日
第1240号
5月11日
地
域
指
定
の
実
施
市
町
(新規指定)
5月10日
長崎市
佐世保市
三和町
長与町
小佐々町
島原市
時津町
佐々町
諌早市
琴海町
郷ノ浦町
大村市
川棚町
厳原町
香焼町
波佐見町
野母崎町
生月町
上対馬町
*5物質(アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、トリメチルアミン)の規制基準を併せて告示
昭和55年
第280号
4月3日
(一部変更)
4月3日
昭和56年
長崎市
第416号
4月24日
(一部変更)
4月24日
長崎市
佐世保市
三和町
長与町
小佐々町
島原市
時津町
諌早市
琴海町
大村市
川棚町
佐々町
郷ノ浦町
厳原町
伊王島町
多良見町
西彼町
香焼町
波佐見町
野母崎町
生月町
上対馬町
(新規指定)
平戸市
*昭和49年第1240号の廃止に伴い、昭和56年第417号により新たに二硫化メチル、アセトアルデヒド、スチレ
ンの3物質を加えた規制基準を告示
昭和60年
第512号
6月7日
(一部変更)
6月7日
長崎市
佐世保市
大村市
平戸市
東彼杵町
世知原町
長与町
時津町
(新規指定)
福江市
昭和61年
第404号
5月9日
(新規指定)
第462号
5月1日
(一部変更)
第499号
5月1日
(一部変更)
第521号
5月6日
(新規指定)
5月9日
平成元年
松浦市
4月14日
平成2年
佐世保市
4月13日
平成4年
島原市
三和町
5月6日
千々石町
*平成4年第522号により昭和56年第417号を改正し、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草
酸の4物質を加えた規制基準を併せて告示
平成6年
第519号
4月22日
第737号
7月26日
4月22日
平成8年
(一部変更)
佐世保市
7月26日
*昭和56年第 417号の廃止に伴い、平成8年第737号により新たにプロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデ
ヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、イソブタノール、酢酸エチル、
メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンの10物質を加えた敷地境界線の地表及び排出口における規制基準(悪
臭防止法施行規則第3条により除くこととされる特定悪臭物質を除く)、並びにメチルメルカプタン、硫化水素、
硫
化メチル、二硫化メチルの4物質にかかる排出水中における規制基準を告示
平成10年
第199号
3月3日
3月3日
平成13年
諫早市、松浦市
第193号
3月6日
(一部変更)
第280号
3月15日
(一部変更)
3月6日
平成14年
大村市
3月15日
平成15年
(一部変更)
諫早市、長与町、時津町
第284号
3月14日
3月14日
(一部変更)
大村市、長与町
合
計
8市20町
79
第2部
( 平成15年3月現在 )
(8)調査研究等
〔環境政策課〕
第2部
悪臭公害に対して適切な対応を図るためには、悪臭成分及び悪臭発生機
構の解明、迅速かつ適確な測定方法及び効果的な悪臭防止技術の確立など
総合的な検討が必要です。
悪臭物質の機器による測定にあたっては、技術力や機材整備等で対応の
困難な市町村もあり、委託できるよう定められていますが、県でも、必要
に応じて悪臭の測定等に協力する体制を整えています。さらに、保健所及
び市町村の公害担当職員を対象とした国の研修会の紹介、各種情報を提供
し、法律並びに県指導要綱による悪臭防止指導体制の充実を図っています。
課題
○
発生源と住居との分離等による土地利用の適正化、防止技術の開発と防
止施設の整備・改善の促進、交通騒音に対する総合的施策の推進と監視体
制の整備、近隣騒音等の日常生活に起因する公害防止のための住民意識の
高揚が課題です。
○
現在の交通騒音調査箇所以外でも騒音調査を実施し、環境基準値を越え
る箇所の早期把握が必要です。
○
交通量の伸びに道路整備が追いつかない状況にあります。今後ますます、
公共事業費が減少する中、財源確保が課題となっています。
○
都市部沿線では、用地取得が難航するケースが多く、騒音防止のための
緑地帯設置による大幅な追加買収は理解されにくい現状です。
○
悪臭については、単一物質ではなく複数の物質が混合した複合臭気によ
る苦情に対応するため、従来の物質濃度規制ではなく人の嗅覚測定を用い
た臭気指数規制方式の推進が必要です。
80
第6節
第2部
1
化学物質の環境リスク対策の推進
化学物質の適正管理
現状・施策
(1)化学物質の規制の推移
〔環境政策課〕
現在、多数の化学物質が製造・使用されている中で、ダイオキシン類や内
分泌攪乱物質(環境ホルモン)による健康影響、トリクロロエチレン等によ
る土壌や地下水汚染、また、製造・使用が禁止された後も難分解性のため環
境中に残留しているPCBや農薬のDDT等野生生物への影響など化学物質
による環境影響について、近年、多くの関心が持たれています。
化学物質による環境汚染を防止するために、これまで「 大気汚染防止法(昭
和43年6月 )」、「水質汚濁防止法(昭和45年12月 )」による特定の化
学物質に対する環境中への排出規制や「化学物質の審査及び製造等の規制に
関する法律(昭和48年10月 )」による化学物質の製造・使用の規制等が
行われ、対策が進められてきました。
さらに、平成12年1月には「ダイオキシン類対策特別措置法」が施行さ
れ 、この法律に基づき、ダイオキシン類を発生する施設に対して監視を行い 、
あわせて周辺環境(大気、水質、土壌)の測定を行っています。
また、平成11年7月には「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び
管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)」が制定され、平成14年度
から完全施行されます。PRTR法では、工場・事業場が取り扱う(製造や
廃棄処分を含む)化学物質を自ら適正管理し、その取り扱い状況を県を通じ
て国に報告することにより、環境への排出を抑制することが主目的となって
います。
この法律は、従来の規制的排出抑制を骨格とする法律と異なり、事業者が
自主的に化学物質の適正管理を行うことを義務づけた特色ある法律です。
課題
○
化学物質は、多種、多様な形態で使用され、環境中に排出されており、
また非常に微量でも健康や環境に影響する物質があり、環境監視を継続し
て実施することが大切です。
さらに、超微量の化学物質に対する分析技術の開発も重要な課題です。
81
2
環境ホルモン対策の推進
第2部
現状・施策
(1)環境ホルモン調査の現況
〔環境政策課〕
人や野生生物の内分泌作用をかく乱し、生殖機能阻害等を引き起こす可
能性のある外因性内分泌化学物質(いわゆる環境ホルモン)は、科学的に
は未解明な点が多く残されているものの、世代を越えた影響をもたらすお
それがあることが指摘されています。
そのため、国においては、環境ホルモン戦略計画Speed'98の中で示さ
れる65物質(群)を対象として、これらの化学物質の内分泌かく乱作用等
の評価・解明と併せて、環境中における存在濃度等の実態把握を目的とし
て、平成10年度より全国規模の調査を実施しています。
平成14年度は、県内では前年度と同様に水質2地点、底質1地点でそ
れぞれ27物質について調査が実施され、その調査結果は、表1-6-2-1
のとおりです。
表1-6-2-1
地点
区分
浦上川
水質
長崎県内で実施された環境ホルモン全国調査結果(環境省)
検出された化学物質
検出物質数
9
17β-エストラジオール, PCB(二∼六塩化物), 2,4-ジ
クロロフェノール, ビスフェノールA, ベンゾフェノン
13
水質
17α-エストラジオール, 17β-エストラジオール, PCB(二∼六
塩化物), 4-t-ブチルフェノール, ノニルフェノール, 2,4-ジクロロフェノ
西大川
ール, ビスフェノールA, フタル酸ジ-2-エチルヘキシル, ベンゾフェノン
17α-エストラジオール, 17β-エストラジオール, PCB(一∼八塩
底質
17
化物), トリブチルスズ, ノニルフェノール, 4-t-オクチルフェノール, ビスフェノ
ールA, フタル酸ジ-n-ブチル, フタル酸ジ-2-エチルヘキシル, ベンゾ(a)
ピレン
また、長崎県においても、平成12年度から3か年間で県内の主な水域
で延べ120地点において、公共用水域(水質、底質)及び地下水におけ
る存在状況調査を実施しています。
平成14年度は、水質は25地点で42物質を、底質は7地点で42物
質の調査を行いました。
調査結果の概要は次のとおりです。
ア.水質からは、調査した42物質のうち、トリブチルスズが検出されま
した。検出された物質(トリブチルスズ)の検出割合は、検出下限値を
僅かに超える程度であり、検出濃度は全国調査結果(平成13年度(以
下同じ 。))の検出範囲内でした。
82
イ.底質からは、調査した42物質のうち、トリブチルスズ等7物質が検
そのうち、トリブチルスズ及びトリフェニルスズの検出割合が、全国
調査結果より高くなっています。また、検出濃度については、いずれも
全国調査結果の検出範囲内でした。
調査結果の概要は、表1-6-2-2のとおりです。
表1-6-2-2
環境ホルモン調査結果(平成14年度)
検出された物質
区分
検出割合
検出範囲
フタル酸ブチルベンジル
底質
1/7
ND∼12
フタル酸ジ2-エチルヘキシル
底質
4/7
ND∼570
検出された地点
福江港
佐々港 、福江港 、厳原港、
為石港
4-t-オクチルフェノール
底質
1/7
ND∼17
佐々港
ビスフェノールA
底質
1/7
ND∼7.8
佐々港
トリブチルスズ
水質
1/4
ND∼0.004
厳原港
底質
7/7
1.0∼33
佐々港、福江港、厳原港
有喜港、為石港、小浜港
多以良港
トリフェニルスズ
底質
5/7
ND∼6.8
佐々港、福江港、厳原港
有喜港、為石港
ポリ塩化ビフェニル類
底質
3/7
ND∼14
佐々港、福江港、厳原港
(PCB)
(単位)水質:μg/L ,
底質:μg/kg(乾土)
課題
○
環境ホルモン戦略計画Speed'98の中で示される65物質(群)のうち、
評価基準(魚類に対する予測無影響濃度)が設定されているのは現在、ノ
ニルフェノール及び4-t-オクチルフェノールの2項目(いずれも水質濃度)
であり、他の多くの物質については未だ評価基準がなく、現在環境省にて
リスク評価が行われています。
○
環境ホルモンと生体影響との因果関係や生態系での動態に関する十分な
解明と的確な評価基準の確立や、環境中における環境ホルモン物質の存在
濃度等の実態把握、 環境ホルモン物質の使用状況の実態把握並びに事業者
による化学物質の適正管理の推進が必要です。
83
第2部
出されました。
3
ダイオキシン類削減対策の推進
〔環境政策課〕
第2部
現状・施策
(1)ダイオキシン類に係る環境の常時監視
ダイオキシン類は、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあ
る物質であることから、ダイオキシン類による環境汚染を防止するため、
ダイオキシン類対策特別措置法が平成11年7月に制定され、平成12年1
月から施行されました。
本県では、平成10年度から大気汚染防止法に基づき大気環境中のダイ
オキシン類濃度調査を行ってきましたが、平成12年度からはダイオキシ
ン類対策特別措置法に基づき、大気環境のほか公共用水域(水質 、底質)、
地下水及び土壌についてもダイオキシン類の汚染状況調査を実施していま
す。
平成14年度は、国土交通省九州地方整備局、長崎県及び長崎市で大気
11地点、公共用水域81地点(水質48、底質33 )、地下水15地点及
び土壌43地点の延べ150地点で調査を行いましたが、すべての地点で
環境基準を満足していました。
平成14年度の調査結果の概要は、表1-6-3-1のとおりです。
なお、大気中のダイオキシン類濃度は、図1-6-3-2に示すとおり全国
的に低下の傾向にあり 、本県でも同様に低下傾向にあります。これは、廃棄
物焼却炉等からの排出量の削減対策が進んできたものと推察されます。
表1-6-3-1
環境媒体
大
公共用
水 域
気
質
底
質
測
区 域
地点数
平均値
長崎県
11
0.040
0.020∼0.13
国
966
0.093
0.0066∼ 0.84
長崎県
48
0.12
0.020∼ 0.70
1.976
0.25
0.010∼ 2.7
33
6.3
0.47 ∼ 23
1,553
11
0.0087∼640
全
国
長崎県
全
国
長崎県
地下水
土壌
調 査
全
水
環境調査結果の概要(平成14年度)
全
国
一般環境
長崎県
調
全
査
国
発 生 源
長崎県
周辺調査
全
国
定
測
定
結
最小値∼最大値
15
0.064
0.019∼ 0.097
1,310
0.060
0.011∼2.0
27
0.65
0.00060∼.5.9
3.4
0 ∼ 250
6.7
0.00049∼40
4.7
0.00013∼130
2,282
16
1,018
84
果
単
位
pg-TEQ/m
3
環
境
基
準
0.6
pg-TEQ/ç
1
pg-TEQ/g
未設定
pg-TEQ/ç
1
pg-TEQ/g
1,000
図1-6-3-1
大気環境中のダイオキシン類濃度の推移(単位:pg-TEQ/m3)
第2部
0.6
全国
長崎県
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
H.10
H.11
H.12
年 度
H.13
H.14
(2)ダイオキシン類の発生源対策
ダイオキシン類対策特別措置法では、ダイオキシン類を発生する施設を特
定施設として指定し、排出規制を行っています。本県に設置されている特定
施設は、平成14年度末で表1-6-3-3のとおり、大気基準適用施設197施
設及び水質基準適用施設39施設(うち、排出水を排出する施設は4施設)
の計236施設です。
平成14年度における特定施設に対する立入検査及び指導状況は表1-6-3
-4のとおりです。
表1-6-3-3
区
分
大
気
基
準
適
用
施
設
水
質
基
準
適
用
施
設
特 定 施 設
の
種
類
アルミ合金製造の溶解炉
4t/h以上
廃棄
2t∼4t/h
物焼
0.2t∼2t/h
却炉
0.05t∼0.2t/h
0.05t/h未満
小
計
計
廃棄
物焼
却炉
排ガス洗浄施設
湿式集じん施設
灰の貯留施設
小
計
PCBの分解・洗浄施設
アセチレン洗浄施設
下水道終末処理施設
汚水の共同処理施設
計
特定施設の設置状況(平成15年3月31日現在)
長崎市
佐世保
市
4
4
1
12
2
19
19
6
5
3
18
18
6
2
8
1
2
3
西 彼
保健所
4
15
12
2
33
33
5
1
6
2
1
5
11
15
13
県 南
保健所
県 北
保健所
4
11
5
離島
1
9
4
44
45
3
17
5
1
26
26
20
20
6
5
2
6
5
2
2
1
3
5
2
3
85
8
合計
地区
22
11
3
36
36
1
1
1
8
県 央
保健所
1
13
22
87
63
11
196
197
27
6
33
2
1
2
1
39
表1-6-3-4
第2部
立 入
施設数
特定施設の指導等状況(平成14年度)
報告徴
収件数
測定件数
口頭指
導件数
文書指
導件数
改善勧
告件数
改善命
令件数
大気関係
246
1
25
95
49
1
0
水質関係
43
0
1
0
0
0
0
計
289
1
26
95
49
1
0
また、ダイオキシン類の主たる発生源である廃棄物焼却炉からの排出ガ
ス中のダイオキシン類濃度については、平成10年度から立入検査を実施
して調査を行っています。
平成14年度は、大気基準適用施設25施設及び水質基準適用施設1施
設の合計26施設に立入検査を実施して、排出ガス及び排出水中のダイオ
キシン類濃度を測定しました。
大気基準適用施設について、新排出基準適用(平成14年12月1日)
後に立入検査を実施した14施設のうち、1施設が排出基準を超過してい
たが、施設の改善指導を行った結果、改善後の自主検査で基準に適合しま
した。
新排出基準適用以前に立入検査を実施した11施設については、当時の
排出基準(旧基準)には適合していましたが、新排出基準を超過していた
施設が5施設ありました。これらの施設は、その後施設の改善を実施し自
主検査を実施した結果、いずれの施設も新排出基準に適合していました。
水質基準適用施設について、PCB分解施設からの排水を処理する共同
処理施設1施設へ立入検査を実施した結果、排出基準に適合していました。
立入検査結果の概要は、表1-6-3-5のとおりです。
表1-6-3-5
特定施設への立入検査結果の概要(平成14年度)
ア.大気基準適用施設(廃棄物焼却炉)
施 設 種 別
一般廃棄物焼却炉
産業廃棄物焼却炉
その他の廃棄物焼却炉
合
計
立
入
施
設
数
基準超過の状況
適
用
基
準
該
当
施
設
旧基準
新基準
旧基準
新基準
8
1
3
10
1.0∼51
0.04
0.055∼27
3
旧基準
新基準
−
3
25
旧基準
新基準
11
14
9
13
検 査 結 果
当時の
基 準
新基準iに
てらし
た場合
(*1)
0
0
0
−
0
−
4
−
1
−
−
0.31∼21
−
1
−
−
−
−
−
−
0
1
0
−
3
(ng-TEQ/m N)
0.0000022∼
5.9
(*1)新基準は、平成14年12月1日から適用。
86
超
過
施
設
数
0
0
5
−
措
置
状
況
施設
改善
イ.水質基準適用施設
施 設 種 別
汚水の共同処理施設
合
1
計
1
適
用
基
準
基準超過の状況
該
当
施
設
検 査 結 果
超
過
施
設
数
3
(ng-TEQ/m N)
旧基準
1
新基準
−
旧基準
新基準
0.0022
当時の
基
準
新基準iに
てらし
た場合
(*1)
0
0
0
−
−
−
−
1
−
0
0
0
−
−
−
−
−
措
置
状
況
(*1)新基準は、平成15年1月15日から適用。
また、平成12年度からダイオキシン類対策特別措置法に基づき設置者
による自主測定並びに測定結果の報告が義務づけられました。
平成14年度は、長崎県及び長崎市へ157施設から排出ガス中等のダ
イオキシン類濃度の測定結果報告がありました。
大気基準適用施設について、新排出基準適用(平成14年12月1日)
以前に自主検査を実施した施設のうち、当時の排出基準には適合している
ものの新排出基準を超過した施設が2施設ありましたが、新排出基準適用
後に自主検査を実施した施設は、すべて排出基準に適合していました。
水質基準適用施設については、自主検査の報告があつた5施設すべて、
排出基準に適合していました。
その概要は、表1-6-3-6のとおりです。
表1-6-3-6
設置者による自主測定結果(平成14年度)
ア.大気基準適用施設
特定施設の種類
対象
施 設
数
(*1)
アルミニウム合金製造業
1
一般
廃棄物
焼却炉
廃棄物
焼却炉
産業
廃棄物
焼却炉
その他の
焼却炉
小
計
58
18
78
155
適
用
報告済
測定結果
基
準
施設数
(ng-TEQ/m N)
旧基準
1
新基準
−
旧基準
47
新基準
11
旧基準
13
新基準
5
旧基準
60
新基準
15
旧基準
121
新基準
31
3
1
58
18
75
152
基準超過の状況
超
過
施
設
数
当時の
基 準
新基準に
てらした
場合(*2)
1.7
0
0
0
−
−
−
−
0.00036∼7.8
0
0
0
0.000095∼
9.3
0
−
−
0.00041∼9.9
0
0
0
0.52∼9.2
0
−
−
0∼16
0
0
2
0.000004∼
4.1
0
−
−
−
0
0
2
−
0
−
−
備考*1 休止中又は建設中の施設を除く。
*2 大気基準適用施設の既存施設に係る新基準は、平成14年12月1日から適用。
87
第2部
立
入
施
設
数
イ.水質基準適用施設
第2部
特定施設の種類
廃棄物焼却炉の
排ガス洗浄施設
下水道終末処理施設
汚水の共同処理施
設
小
備考*1
*2
計
対象
施 設
数
(*1)
2
2
1
5
適
用
報告済
基
準
施設数
旧基準
2
新基準
−
旧基準
2
新基準
−
旧基準
1
新基準
−
旧基準
5
新基準
−
基準超過の状況
測定結果
超
(ng-TEQ/m N) 過
施
設
数
3
2
0.00028∼
0.0022
2
0.00082∼
0.0065
−
1
5
0
当時の
基 準
0
新基準に
てらした
場合(*2)
0
−
−
−
0
0
0
−
−
−
−
0.002
0
0
0
−
−
−
−
−
0
0
0
−
−
−
−
休止中又は建設中の施設を除く。
水質基準適用施設の既存施設に係る新基準は、平成15年1月15日から適用。
課題
○
環境中におけるダイオキシン類汚染状況の実態把握、平成14年12月1
日から適用される排出ガスに係る新しい排出基準に適合するための高度処
理施設の整備、工場・事業場や家庭等に設置されている簡易廃棄物焼却炉
の使用自粛の推進などが必要です。
88
第2章
人と自然とが共生する快適な環境づくり
1
優れた自然と多様な生物が生息する地域の保全
豊かな自然環境の保全
現状・施策
(1)長崎県の自然環境の特色と概況
〔自然保護課〕
ア.地形・地質
長崎県は日本の西端に位置し、多くの半島と五島、壱岐、対馬など大
小594の島々からなり海岸線の延長は約4,178㎞に達し全国第2
位の長さです。陸域は平坦地に乏しく、至るところに山地、丘陵が起伏
しているが海抜 1,000mを越す山地は県下に7か所だけで大部分は 5
00m以下の丘陵です。河川は、延長、流域面積が小さいのが特徴で、
平野は小規模で、諌早市、大村市、波佐見町周辺にややまとまってみら
れるにすぎません。
また、地質は極めて複雑な様相を呈しています。西彼杵半島、長崎半
島などは、結晶片岩類の変成岩や安山岩等の火成岩から成っており、侵
食により山頂は準平原をなしています。壱岐郡、南松浦郡、北松浦郡、
平戸、松浦、佐世保は第三紀層とこれを覆う玄武岩等の台地や小火山か
らなり、川棚、大村、諌早、北高、島原半島は、新第三紀層及び古第三
紀層(特に炭田地域)とこれを覆った豊肥火山活動の輝石安山岩と、山
陰系の角閃石安山岩のドームからなっています。河川流域には沖積地帯
が形成され、土質はおおむね砂質、ないし粘土質です。
89
第2部
第1節
図2-1-1-1
長崎県地質概要図
第2部
イ.動植物
長崎県の動物は、地理的及び地形的な原因により、その種類や分布に
大きな影響を受けています。
A.哺乳類
西彼杵半島と多良山系にイノシシ、五島列島、野母半島にキュウシ
ュウジカ、対馬にツシマジカが生息しています。また、対馬には、国
の天然記念物となっているツシマヤマネコ、ツシマテンが生息してお
り、本土で多く見られるノウサギやタヌキは生息していません。
B.鳥類
雲仙・多良山系は、森林性の野鳥の繁殖地であり、オオルリ、キビ
タキ、センダイムシクイ、ヤブサメ等が生息しています。諫早湾周辺
は水鳥の渡来地で 、カモ類の渡来とともに、ヨシ原には、ツリスガラ、
オオジュリン等の冬鳥が渡来しています。また、対馬は渡り鳥の中継
地として、平戸市阿値賀島、福江市男女群島は、オオミズナギドリの
繁殖地として知られています。
90
C.魚類
は海魚で、淡水魚は種類、数とも少ないのです。海魚は暖海性のイワ
シ、トビウオ、アジ等の回遊が見られ、特異な分布として有明海の干
潟にムツゴロウ、ワラスボ、ハゼ類が分布しています。淡水魚は、コ
イ、フナ、アブラハヤ、カワムツ等が見られます。
D.昆虫
県内に3万種程度生息していると推定されますが、長崎県の固有種、
固有亜種を含む特産種は少なくとも数百種いるものと思われます。ま
た、稀にタテハモドキ、リュウキュウムラサキ等の迷チョウが確認さ
れています。
E.植生
長崎県の植生の特徴は、日本列島の夏緑樹林域の西限にあたり、大
陸系植物の南下、南方系植物の北上です。
日本列島の夏緑樹林の西限にあたることは、雲仙岳、多良岳山系の
山頂部に発達する表日本側の夏緑樹林要素からなるコハウチワカエデ
−ケクロモジ群落によって示されます。大陸系植物の南下は、対馬北
部の二次林コナラ−ノグルミ群落と島原半島まで南下するイワシデ群
落などで示されます。南方系植物の北上は、マルバニッケイ群落、モ
クタチバナ群落、コウライシバ群落、タブ−ムサシアブミ群落の北上
した分布で示されます。しかしながら、自然植生域としてまとまって
いるのは、雲仙普賢岳の上部と男女群島のみで、他の自然植生域は、
比較的大規模に残っている対馬を除いて代償植生域の中に孤島のよう
に、小面積で散在しています。
これは、本県の人口密度(370.6人/k㎡)が全国平均より約
35人も高く、しかも海抜の高い山地が少ないことによるものと思わ
れます。平野部分は居住地か水田であり、丘陵地は畑地、果樹園とな
っており、丘陵地から山地にかけて二次林と植林地が広がり、二次林
域の各所では用材としてのスギ、ヒノキの植林が行われています。
海岸域は、急崖部分に人為的影響を受けていないことと岩斜面のた
めダルマギクーホソバワダン群集等が残存し、また砂丘、砂浜、塩湿
地の自然群落も小規模ながら各所に発達しています。
91
第2部
国内で見られる約半分の 1,000種類が確認されています。大部分
ウ.自然景観
第2部
長崎県の自然景観の特徴は、594の島々と入り組んだ海岸線、細長
い半島及び多くの火山によってできた、海岸景観と山岳景観にあります。
海岸景観としては、西海国立公園九十九島の松の緑と海の青さのコン
トラストが美しい多島海景観、壱岐対馬国定公園の中核部となっている
浅芽湾の溺れ谷景観が上げられます。
山岳景観としては、四季折々に美しい姿を見せる雲仙岳、広大な有明
海の干潟へ至るなだらかな裾野を持つ多良岳の火山景観があげられま
す。
また、五島列島では、大小様々な島々と火山による特異な景観を見る
ことができます。昭和61年度に実施された第3回自然環境保全基礎調
査の自然景観資源調査結果では、陸系と水系に分けた上位5位は次のよ
うになっています。
表2-1-1-2
順位
自然景観資源ランク
自然景観資源名
(陸系)
箇所数
順位
自然景観資源名
(水系)
箇所数
1
火山
45
1
海食崖
40
2
山脈・山地・高地
14
2
滝
27
3
火山群
11
3
砂浜・礫浜
19
4
火山性高原
10
4
陸けい砂洲
9
5
非火山性高原
5
5
溺れ谷
7
5
岩脈
5
(2)自然環境の現状
〔自然保護課〕
ア.長崎県の植生状況
長崎県の植生については、第2回自然環境保全基礎調査(昭和54年
度)及び第3回自然環境保全基礎調査(昭和58年度、59年度、60年
度)により全県的な現存植生図として取りまとめられました。これによ
ると、植林地・耕作地植生が全体の45%を占め、次にヤブツバキクラ
ス域代償植生となり 、この二つを合わせると全体の約88%を占めます 。
第4回自然環境保全基礎調査により、その後の植生の改変状況を把握
するため、地球観測衛生画像の解析による調査を実施されました。これ
によると最近10年間での10ha以上の広面積にわたる改変の頻度は、
シイ・カシ萌芽林において最も多く、次いでスギ・ヒノキ植林、水田雑
草の順です。この順序は改変面積についてもいえることです。改変の原
因として森林伐採、造成地化、人工草地化が主なものです。詳しくみる
とこの10年間において、宅地造成、工業団地造成、道路工事、ゴルフ
場化が主要な原因としてあげられます。海岸域の埋め立てもこの10年
92
間に盛んに行われ、本土側ばかりでなく、離島においても各地で行われ 、
岸植生が消失しています。人為による植生改変以外に、1991年以降に
は雲仙普賢岳噴火による大規模な植生改変がおきています。雲仙岳の東
斜面においては、火砕流によって島原市のほぼ海岸部まで影響を受け、
ヤマボウシ群落、ヤマグルマ−ヒカゲツツジ群落、アカガシ−ミヤマシ
キミ群集、アカマツ−ヤマツツジ群集、スギ−ヒノキ植林、シイ・カシ
萌芽林、畑地雑草群落などが消失しました。それ以外の斜面においても
普賢岳周辺地域は、火山性ガスの影響で樹林が枯死し、植生破壊が引き
起こされました。
イ.自然海浜の現状
本県の大きな特徴の一つは、入り組んだ海岸線と 597の多数の島し
ょをかかえていることです。
平成5年度に実施された第4回自然環境保全基礎調査での、自然海岸
線の延長距離 2903.48㎞は、全国1位(北海道からは北方4島を除
く 。)です。
長崎県は、全国で有数の水産県であり、港湾・漁港の数も多い。本土
部では、自然海岸が海岸線総延長の41.4%を占めますが、埋め立て等
による人工海岸化が進んでいます。島しょ部は、自然海岸が78.9%を
占め、自然海岸が多く残っています。
表2-1-1-3
区
長
分
崎
本
自然海岸
県
土
全
嶼
国
島
土
嶼
人工海岸
573.68
698.32
69.51
13.73
16.72
433.57
2,469.91
271.08
25.88
河 口 部
1.78
341.18
1.68
32.57
0.16
357.14
0.10
78.92
9.67
11.41
0.00
18,105.65
4,467.49
9,941.78
263.96
30.33
0.81
13.63
合計
4,177.26
0.04
302.60
55.24
本
半自然海岸
2,903.48.
41.39
島
海岸線の延長(第4回自然環境保全基礎調査)
8,527.83
3,070.31
7,206.47
239.57
44.78
16.12
37.84
1.26
9,577.82
1,397.18
2,735.31
24.39
69.73
10.17
19.92
0.18
1,047.51
3,129.75
32,778.88
19,044.18
13,734.70
(上段:延長距離km、下段:合計に対する%)
93
第2部
面積的にはわずかであるがハマビワーオニヤブソテツ群集をはじめ、海
(3)自然環境の現状把握
〔自然保護課〕
第2部
自然環境の保全を図るためには、自然環境の現状を的確に把握すること
が基本です。植生、野生動物、地形地質等の変遷状況を継続的に把握する
とともに、人間活動と自然との関係や自然のメカニズムの解明、生態系の
保全技術の開発等の科学的な調査研究を進める必要があります。
このため、長崎県においては、全国的に実施される自然環境保全基礎調
査を経年的に実施するとともに、長崎県の自然環境の特徴に応じた各種の
調査を実施しています。
ア.自然環境保全基礎調査等の実施
自然環境保全基礎調査は、我が国における自然環境の現状を的確に把
握し、自然環境の保全の施策を推進するための基礎資料とするために、
陸域、陸水域及び海域の生物等の現況について調査を行うもので、昭和
48年度から実施しているものです。
平成5年度から新たに第5回自然環境保全基礎調査がスタートし、湿
地調査、従来から行われていた干潟藻場調査・海岸調査等を併せた形の
海域の自然環境調査としての海岸調査、また生物多様性調査としての種
の多様性調査を実施しました。平成11年度からは、継続して種の多様
性調査を行い、湿地調査の結果については、表2-1-1-4、自然環境保
全基礎調査の体系については、図2-1-1-5のとおりです。
イ.その他の調査
平成10年度、平成11年度の2か年をかけ、生物多様性保全の一つ
として、対馬沿岸地域の生態系の解明を行うための調査を環境省からの
委託を受けて実施しました。この調査により、特定の環境の要因を受け 、
それに適応した動植物が分布することが定性的に確認されました。また、
本県の”無人島の自然戸籍簿”づくりであり、自然保護、自然観察の場
としての活用を図るための基礎資料とするため、県内の無人島の自然調
査を平成2年度から平成4年度にかけて実施しました。
94
表2-1-1-4
湿地名称
面積
湿地のタイプ
番号
湿地名称
(ha)
1
原生沼
2
3
面積
(ha)
1.1
中間湿原
13
白岳北湿地
0.2
中間湿原
本明川下流域
90.0
河口干潟
14
焼山南湿地
0.2
中間湿原
唐比湿地
12.0
休耕田
15
雪浦川下流域
30.0
河口干潟
放棄水田
16
田ノ浜湿地
10.0
休耕田
4
平川原池
4.7
溜池
5
針尾東町湿地
2.7
潟湖
6
小森川下流域
7.0
河畔
7
三重田町湿地
10.0
放棄水田
17
太田湿地
1.4
黒崎湿地
9.4
休耕田
18
低層湿原
佐保湿地
1.2
竹辺町溜池
0.7
溜池
10
大潟町湿地
13.4
潟湖
11
吹切湿地
12
白似田南湿地
1.5
0.1
休耕田
放棄水田
19
廻湿地
6.0
放棄水田
9
休耕田
放棄水田
放棄水田
8
湿地のタイプ
休耕田
放棄水田
20
奈切湿地
2.1
休耕田
放棄水田
休耕田
21
桑木場溜池
放棄水田
22
中間湿原
23
95
0.6
低層湿原
荒川湿地
0.03
中間湿原
下開湿地
0.4
中間湿原
第2部
番号
湿地分布一覧表
図2-1-1-5
第2部
植
物
自然環境保全基礎調査概要
植生自然度
植生調査
昭和48
昭和54,昭和58∼昭和60,平成2∼4
すぐれた自然調査
(植
物)
特定植物群落調査
昭和48
昭和53,昭和59∼昭和61,平成9∼10
巨樹、巨木林調査
自
昭和63
動植物分布調査
然
(植
物)
平成5
環
種の多様性調査
平成6∼11
境
環境指標種調査
昭和59,平成3
保
動
物
すぐれた自然調査
動物分布調査
(野生動物)
全
・哺乳類
昭和48
哺乳類分布調査
平成12∼14
・鳥類
・は虫類
基
・両生類
・淡水魚類
礎
・昆虫類
・貝類
調
昭和59,昭和60,平成3,平成5
査
地質・地形
すぐれた自然調査
表土改変状況調査
歴史的自然
(地質、地形、歴
昭和54
景観
史的自然環境)
自然景観資源調査
昭和48
陸水域
昭和61
陸水域自然度
河川調査
(河
川)
昭和54,昭和60,平成4
(湖
沼)
湖沼調査
昭和48
昭和54,昭和60,平成3
湿地調査
平成5
海
域
海域自然度
平成8
海岸調査
昭和48
昭和53,昭和59
すぐれた自然調査
干潟・藻場調査
(海中自然環境)
昭和53,平成元
昭和48
海域環境調査
昭和53
海域生物調査
昭和53,昭和59∼61
サンゴ礁調査
昭和53、平成3
96
海辺調査
平成8
表2-1-1-6
無人島調査
調査箇所数
特記事項
第2部
調査1(市町村への聞き取り調査)
513島
(土地利用現況)
○過去に居住の経緯があった島:33島
○過去に耕作の経緯があった島:49島
○放牧を過去にしていた無人島:12島
(自然現況)
○島の外観が主に裸岩からなる岩石島:127島
○島の外観が大部分草地からなる島:24島
○島の外観が樹林からなる島:289島
○島の外観が複合してなる島:20島
(人文現況)
○島の由来をもつ無人島:41島
○遺跡・古墳のある島:26島
○宗教的にかかわる島:19島
調査2(現地調査)
調査箇所数
特記事項
110島
(地形・地質)
無人島の地質と地形が明らかとなった。特に海浜の特殊地形地質である
ビーチロックが、新たに6箇所で確認されました。
(植物)
南方系植物の西廻り分布や大陸系植物の南下分布、日韓海峡地域を分布
の中心とする植物の新産地が確認されました。
(哺乳類)
タヌキ、シカ、キクガシラコウモリ等を目撃しましたが、帰化状態のヤ
ギやイヌの野生化が認められました。
(鳥類)
カラスバト、ウチヤマセンニュウ、オオミズナギドリの新しい生息地が
確認されました。
(爬虫類・両生類)
ニシヤモリの新たな分布が確認されました。
(昆虫類)
ウルシゴキブリの新たな産地が確認され、海流分布が一層明らかとなり
ました。
(海生生物)
ホリカワマタキビガイが五島、壱岐、対馬と広く分布していることが確
認されました。
97
(4)自然環境保全のための地域指定
〔自然保護課〕
第2部
我々の生活を取り巻く自然環境は、様々な物質的及び精神的恩恵を与え
てくれます。この豊かな自然環境を持続的に保全していくには、自然保護
思想の普及啓発や人々の経済活動と自然環境とのバランスのとれた発展を
図っていく必要があります。そのための手立てとして、自然環境の要素と
なる地形・地質、動植物、自然景観等の優れたところを地域指定という形
で保護し、あわせて適正な利用を図っています。
また、自然環境保全制度の体系は、図2-1-1-7のように多岐にわたっ
ています。
環境保全
の基本法
環
境
基
本
法
中
央
環
境
審
議
会
図2-1-1-7
環
境
基
本
計
画
自然環境保
全の基本法
自
然
境
保
全
法
自
然
環
境
保
全
基
礎
調
査
自
然
環
境
保
全
基
本
方
針
国土利用
基本法
国
土
利
用
計
画
法
国
土
利
用
計
画
土
地
利
用
基
本
計
画
自然環境保全制度の体系
自然環境保全法(環境省)
原生自然環境保全地域
自然環境保全地域
の指定と保全
都道府県自然環境保全地域
自然公園法(環境省)
国立公園、国定公園、都道府県立自然公園の保護と利用
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(環境省)
野生鳥獣の保護と狩猟の適正化
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(環境省)
絶滅のおそれのある野生動植物種の保護
温泉法(環境省)
温泉の保護と適正利用
文化財保護法(文化庁)
史跡・名勝・天然記念物の指定と保護
古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(国土交通省)
歴史的風土等の指定と保全
農業振興地域の整備に関する法律・農地法(農林水産省)
農業地域の指定と保全
森林法(林野庁)
林業地域の指定と保全
森林法(林野庁)
保安林の指定と保全
海岸法(運輸省、国土交通省、農林水産省)
海岸保全区域の指定と保全
都市緑地保全法(国土交通省)
緑地保全地区の指定と保全
首都圏近郊緑地保全法、近畿圏の保全区域の整備に関する法律
首都圏・近畿圏の近郊緑地の指定と保全
都市公園法(国土交通省)
都市公園の設置と管理
都市計画法(国土交通省)
風致地区の指定と保全
都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律(国土交通省)
都市保存樹、保存樹林の指定と保存
生産緑地法(国土交通省)
生産緑地の指定と保全
二国間条約
鳥獣保護の国際協力
(日米渡り鳥等保護条約、日中渡り
鳥等保護協定、日豪渡り鳥等保護協定)
多国間条約
(ラムサール条約、ワシントン条約)
98
ア.県自然環境保全地域
②特異な地形地質を有する区域等、③自然環境が優れた状態を維持して
いる海岸等、④植物の自生地、野生動物の生息地などで、自然的社会的
諸条件からみてその区域内における自然環境を保全することが特に必要
な地域を対象とし、長崎県自然環境保全条例に基づき指定されるもので
す。現在、上県郡上対馬町茂木の茂木海岸外13地域(表2-1-1-8及び
図2-1-1-9)が、昭和51年12月に指定されています。
県自然環境保全地域は、制度上、地種区分が設けられており、当該地
域における自然環境の特質に即して特に保全を図るべき特別地区と、特
別地区の外縁に位置し、同地区と有機的に連鎖した普通地区に区分され
ます。
当初、地域の指定地はいずれも普通地区ですが、その後、保全地域の
指定から6年余りを経過し、地元の理解も深まってきたため、保全対策
を積極的に推進し自然保護行政を充実させる意味で、保全計画の再検討
に着手し、その第一段階として昭和59年度に表2-1-1-8のとおり、五
島地区の5か所に特別地区を指定し、自然環境保全の充実に努めていま
す。この他、今後自然環境保全地域を自然観察、課外授業、野外活動等
自然環境の学習の場としての活用及び環境モニタリングの準備地等に利
用することを検討しています。
99
第2部
長崎県自然環境保全条例に基づき、優れた自然環境の特質を備えた地
域を自然環境保全地域に指定しています。
県自然環境保全地域は 、①優れた天然林が相当部分を占める森林区域、
表2-1-1-8
第2部
(ア) 普通地区(指定 S51.12.17)
位置番号
地域名
1
茂木海岸
2
合歓ノ木
3
青海海岸
4
妙見
5
子ソ崎
6
津和崎海岸
7
高峰西海岸
8
大瀬良東海岸
9
矢堅崎西海岸
10
舅ヶ島奈木崎海岸
11
末津島前島
12
田ノ浦海岸
13
鐙瀬海岸
14
虚空蔵山
合計
(イ) 特別地区(指定 S59.4.6)
特別地区名
面積(ha)
末津島特別地区
10.0
舅ヶ島特別地区
矢堅崎西海岸特別地区
21.7
22.0
高峰西海岸特別地区
28.3
大瀬良東海岸特別地区
合
計
48.0
所在地
上県郡上対馬町茂木
上県郡上対馬町琴
上県郡峰町青海
下県郡豊玉町唐洲
下県郡美津島町鶏知
南松浦郡新魚目町竹下
南松浦郡新魚目町高峰、下ヶ浦観言山
南松浦郡新魚目町深追、藤首
南松浦郡上五島町字大高崎、白水、熊高
南松浦郡奈留町舅ヶ島
南松浦郡奈留町大字泊
福江市田ノ浦町田ノ浦
福江市上崎山町上崎山
東彼杵郡川棚町木場
面積(ha)
41.4
57.8
42.0
39.5
12.5
13.7
49.2
73.2
64.3
8.2
13.9
26.5
39.7
114.8
596.7
特 質 の 概 略
延長約300mにおよぶ岩礫で形成された大規模な沿岸
砂洲で地形的に貴重です。
海触崖と板状節理が露頭する特異な海岸地形。
大規模なリアス式海岸の典型が連続し、植生につい
ても自然度の高い海岸植生が発達しています。
五島を代表する典型的な沈降海岸として卓越し、植
生的にも重要な地域です。
同
上
130.0
図2-1-1-9
(注:
県自然環境保全地域
県自然環境保全地域位置図
図中の番号は、表2-2-1-8
100
自然環境保全地域の位置番号)
イ.自然公園
の利用の増進を図るために、国立公園、国定公園及び県立自然公園を指
定してます。
表2-1-1-10
種
別
国 立 公 園
国 定 公 園
県立自然公園
合
計
自然公園の地域別面積
公 園 面 積
(ha)
37,504.0
12,303.9
24,282.2
74,090.1
公園数
2
2
6
10
県土地面積に
対する比率(%)
9.2
3.0
5.9
18.1
ウ.鳥獣保護区
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律に基づき、鳥獣の積極的な
保護増殖を図るため、狩猟を禁止する地域を設定しています。
(5)大規模開発等における自然保護への配慮
〔自然保護課〕
大規模開発行為が実施される場合、土地利用が自然公園区域、県自然環
境保全地域及び鳥獣保護区特別保護地区であれば、それぞれの個別法によ
り自然環境への影響を審査することになりますが、指定地域以外について
は、次の制度により総合的な調整を行います。
ア.県土地利用対策要綱
A.開発行為の事前協議
開発区域が1ha以上の一団の土地である場合、開発行為に関する
関係法令に基づく申請又は届出を行う前に、開発行為事前協議申出書
を知事に対し提出する必要があります。
イ.県環境影響評価条例
A.環境影響評価
環境に著しい影響を及ぼすおそれのある開発事業について、環境ア
セスメントを実施すべき事業の要件、環境アセスメントの一連の手続
き、住民の参加、知事や市町村長の関与、調査・予測及び評価の方法
を定めています。
101
第2部
自然公園法に基づき、すぐれた自然の風景地を保護するとともに、そ
(6)自然環境保全審議会
〔自然保護課〕
第2部
自然環境保全法第51条に基づき、自然環境保全地域の指定、保全計画
の策定、国定公園、県立自然公園計画の決定、鳥獣保護事業計画の策定、
鳥獣保護区の設定等について、知事の諮問に応じ調査・審議を行っていま
す。なお、温泉法及び自然環境保全法の一部改正に伴い、平成4年度より
従前の温泉審議会が廃止され、本審議会に温泉部会が併設されました。
審議会は、学識経験者及び関係行政機関の職員25名(条例上委員定数
35名)で構成され、委員の任期は2年です。
(7)温泉の保護と利用
〔自然保護課〕
ア.温泉の利用
我が国は世界でも有数の温泉国であり、本県においては、雲仙・小浜 、
湯ノ本等の国民保養温泉地をはじめとして多くの温泉地があります。加
えて各温泉地をとりまく自然景観の特性と相まって、古くから国民の保
健休養地として幅広く親しまれ行楽の中心地を構成してきました。
特に近年は、温泉ブームに加え、地方の地域振興策として、温泉に対
する注目が集まっています。その中で「温泉法」はこれらの温泉を保護
しその適正な利用を図ることを目的とし、温泉を掘削又は増掘する場合
や動力を設置する場合には県知事の許可を、温泉を公共の浴用又は飲用
に供しようとする場合には県知事又は長崎市長、佐世保市長の許可を受
けなければならない旨定めています。
県内温泉の地域別温泉数及び掘削許可等の行政処分件数は、表2-11-11及び表2-1-1-13のとおりです。温泉の医治効用は、温度その他
の物理的因子、含まれている化学成分、温泉地の地勢や気候、利用者の
生活状態の変化等の総合作用に対する生体反応によるものであり、温泉
の成分のみによって各温泉の効用を決めることはできません。温泉の一
般的禁忌症及び適応症は表2-1-1-14のとおりです。
また、温泉水には老化現象が認められ、地中から湧出した直後の新鮮
な温泉水が最も効用があるといわれており、それぞれの泉質に適した利
用をしなければ、逆に症状を悪化させる場合があります。特に飲用には
新鮮な温泉水を用いるとともに、源泉及び飲泉施設については、公衆衛
生上の十分な配慮が必要です。今後、温泉はこれまでの湯治的利用から
より医学的温泉療法、またそれを含んでの保健的利用へと進展していく
ことが予想されます。全国的にもその兆候は顕著であり、本県において
も国の制度としての国民保健温泉地の育成等様々な角度からの新たな温
泉利用の可能性を探る必要があります。
102
表2-1-1-11
温泉利用状況(平成15年3月31日現在)
103
第2部
所轄保市 町 温 泉 源泉 利用源泉数未利用源泉 温度別源泉数
湧出量/分
宿泊 収 容 年度延宿泊 温泉利用 国民保養温
総数 (A) 数 (B) 25℃25℃以上42℃水蒸気
施設
の公衆浴泉地年度延 主たる泉質名
健所名村 名 地 名 A+B 自噴 動力自噴 動力 未満42℃未満以上・ガス自 噴 動 力 数 定 員 利用人員 場施設 宿泊人員
西 彼野母崎 高 浜 1 1
1
10
1
42
418
塩化物泉
〃
〃
1
1
1
40
塩化物泉
〃 野 母 1
1
1
79 1
95
15,061
1
含鉄泉
三 和
1
1
1
104
単純温泉
長 与 道ノ尾 1
1
1
75
1
単純温泉
〃
岡
1
1
1
300
1
炭酸水素塩泉
時 津 日 並 1
1
1
55 1
70
4,976
1
単純温泉
西 彼 西 彼 1
1
1
300
1
塩化物泉
西 海 西 海 1 1
1
60 1
28
1
塩化物泉
計
9 2
6 1
0 3
5 1
0
10
1,013 4
235
20,455
6
0
県 央諌 早 松 里 1
1
1
72 1
58
1,907
1
塩化物泉
大 村 大 村 6
1 4
1 3
3
71 1
15
30
塩化物泉
東彼杵 東彼杵 1
1
1
1
単純温泉
川 棚 川 棚 3
1
2 2
1
108 1
149
24,181
1
塩化物泉
波佐見 波佐見 6
6
6
406 5
100
4,068
2
炭酸水素塩泉
森 山 唐 比 1
1
1
170 1
48
1,232
1
塩化物泉
飯 盛 飯 盛 2
2
2
1,230
2
塩化物泉
計
20 0 13 4
3 13
4 3
0
0
2,057 9
370
31,418
8
0
県 南島 原 島 原 7 3
2 2
7
164
280 6 1,202 249,060
4
炭酸水素塩泉
有 明
1
1
1
200
1
炭酸水素塩泉
瑞 穂
1
1
1
90
2
塩化物泉
千々石
1
1
1
169
単純温泉
小 浜 小 浜 31 13 11 7
31
6,002
4,167 30 2,922 250,002
15 250,002 塩化物泉
〃 雲 仙 46 45
1
46
算定不能
22 4,615 498,582
12 498,582 硫黄泉
加津佐
1
1 1
337
塩化物泉
口之津
1
1
1
136 1
79
8,966
1
塩化物泉
南有馬
3
3
3
480 2
69
10,512
2
単純温泉
西有家 須 川 1
1
1
124 1
36
898
1
単純温泉
深 江島原・深江 2
1
1 1
1
173
炭酸水素塩泉
計
95 61 21 10
3 3
14 78
0 6,166
6,156 62 8,923 1,018,020
38 748,584
県 北平 戸 田の浦 1 1
1
6
1
29
1,075
単純温泉
〃
1 1
1
17
1
11
386
1
単純温泉
〃 千里ヶ浜 1
1
1
78 2
516
88,191
2
炭酸水素塩泉
〃 平 戸 1
1
1
200 10 1,402 190,378
6
炭酸水素塩泉
大 島
1
1
1
2 1
53
1,844
1
炭酸水素塩泉
生 月
1
1
1
64
1
炭酸水素塩泉
福 島 喜内瀬 1
1
1
40 1
68
8,173
塩化物泉
鷹 島 阿翁免 1
1
1
390 1
114
18,594
2
塩化物泉
鹿 町
1
1
1
280
1
炭酸水素塩泉
世知原 世知原 1
1
1
83 1
43
4,029
1
塩化物泉
計
10 2
8 0
0 2
5 3
0
23
1,137 18 2,236 312,670
15
0
五 島福 江 福 江 1
1
1
100 1
448
21,780
2
含鉄泉
富 江 富 江 1
1
1
209
1
塩化物泉
玉之浦 荒 川 5 5
5
350
6
183
9,974
3
塩化物泉
岐 宿 岐 宿 1
1
1
350
1
塩化物泉
計
8 5
3 0
0 0
3 5
0 350
659 7
631
31,754
7
0
上五島奈良尾 奈良尾 1
1
1
20.8 1
50
490
1
塩化物泉
新魚目 新魚目 1
1
1
130.0 1
82
1,957
1
単純温泉
計
2 0
2 0
0 0
2 0
0
0
151 2
132
2,447
2
0
壱 岐郷ノ浦 郷ノ浦 1
1
1
塩化物泉
〃 〃
1
1
1
125
塩化物泉
勝 本 湯 本 15 11
1 3
15
9
380
21,308
11
21,308 塩化物泉
〃
〃
3 3
3
3
168
36,850
36,850 塩化物泉
芦 辺 江 角 1
1
1
塩化物泉
計
21 14
3 3
1 0
1 20
0
0
125 12
548
58,158
11
58,158
対 馬美津島 知 1
1
1
90 1
76
12,000
2
単純温泉
上対馬
1 1
1
152
単純温泉
計
2 1
1 0
0 0
2 0
0 152
90 1
76
12,000
2
0
長崎市長 崎 矢 上 1
1
1
60 1
26
2,178
1
塩化物泉
〃 中 里 1
1
1
炭酸水素塩泉
〃 江の浦 1
1
1
333 1
56
10,247
1
塩化物泉
〃 五 島 1
1
1
200
1
塩化物泉
計
4 0
4 0
0 3
1 0
0
0
593 2
82
12,425
3
0
表2-1-1-12
温泉の定義
第2部
1.温度(温泉源から採取されるときの温度とする)摂氏25度以上
2.物質(下に掲げるもののうち、いずれかに該当)
物 質 名
含有量(1㎏中)
溶存物質(ガス性のものを除く 。)
総量 1,000mg以上
遊離炭酸(CO2)
250mg以上
・
リチウムイオン(Li )
1mg以上
・・
ストロンチウムイオン(Sr )
10mg以上
・・
バリウムイオン(Ba )
5mg以上
・・
・・・
フェロ又はフェリイオン(Fe ,Fe )
10mg以上
第1マンガンイオン(Mn ’’)
10mg以上
・
水素イオン(H )
1mg以上
臭素イオン(Br ’ )
5mg以上
沃素イオン(I ’)
1mg以上
ふっ素イオン(F ’)
2mg以上
ヒドロひ酸イオン(HASO4 ”)
1.3mg以上
メタ亜ひ酸(HASO2 )
1mg以上
総硫黄(S )〔HS’+S2 O3 ”+H2 S に対応するもの〕
1mg以上
メタほう酸(HBO2 )
5mg以上
メタけい酸(H2 SiO3 )
50mg以上
重炭酸そうだ(NaHCO3 )
340mg以上
ラドン(Rn)
20(100億分の1キュリー単位)以上
ラジウム塩(Raとして)
1/1 億mg以上
注)温泉とは1又は2のいずれかの基準を満たすこと。
表 2-1-1-13
掘 削 許 可
増 堀 許 可
動 力 装 置許 可
温 泉 利 用許 可
合 計
H5
7
1
7
15
30
H6
12
0
3
37
52
表2-1-1-14
一
般
的
禁
忌
行政処分件数
H7
7
1
7
13
28
H8
4
0
3
3
10
H9 H 10
11
4
0
0
3
6
29
13
43
23
H 11
10
1
8
19
38
H 12 H 13 H 14
11
5
7
0
0
0
4
2
6
51
66
19
66
73
32
一般的禁忌症及び適応症
症
一
急性疾患(特に熱性疾患 )、進行性結核、悪性
瘍、重い心臓病、呼吸不全、腎不全、出血性疾
患、高度の貧血、その他病勢進行中の疾患、
妊娠中の婦人
般
的
適
応
症
神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動ま痺、
関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器
病、痔疾、冷え症、病後回復期、疲労回復、
健康増進
104
イ.国民保養温泉地
かつ健全な保養地として大いに活用される場所を「温泉法」に基づいて
環境大臣が指定した地域です。
長崎県では、雲仙・小浜温泉、壱岐湯ノ本温泉が指定されています。
なお、湯ノ本温泉が平成3年度に、国民保健温泉地(国民保養温泉地
のうち、医師の協力を得て温泉の保健的利用を促進することが期待でき
る条件を備えた温泉地)の指定を受け、平成3年度から5年度にかけて
国庫補助事業により整備が行われています。
表2-1-1-15
温泉地名
指定年
国民保養温泉地・国民保健温泉地整備状況一覧表
指定面積
整備年度
整
141.6ha
(小浜)
昭和37年度
理
内
容
国民保養温泉地
小
浜
・
雲
(雲仙)
昭和31年
仙
(小浜)
昭和37年
壱岐
湯ノ 本
昭和46年
(平成3
年変更)
昭和40年度
昭和41年度
昭和44年度
〃
昭和51年度
温泉保養地大浴場(鉄筋コンクリート建531㎡、
国庫補助事業)
(昭和40年より国民宿舎建設)
駐車場建設(面積2,021㎡ 国庫補助事業)
園地(面積2,660㎡ 国庫補助事業)
温泉プール(本体、付帯施設国庫補助事業)
温泉プール(上家、町単独事業)
温泉プール(子供プール本体、付帯施設、国庫補
助事業)
(46.0ha)
昭和46、48
年度
温泉館新築(町単独事業)
温泉館新築(町単独事業)
46.0ha
平成3年度
園地(面積1,150㎡、街路灯国庫補助事業)
園地(遊具設置町単独事業)
ゲートボール場(面積2,934㎡、休憩所国庫補
助事業)
温泉掘削(深さ600m、揚湯施設町単独事業)
ゲートボール場(便所53㎡、歩道L54m、国庫
補助事業)
温泉センター基本設計(町単独事業)
多目的保養温泉センター(町単独事業予定)
11.4ha
国民保健温泉地
壱岐
湯ノ本
平成3年
平成4年度
〃
平成5年度
〃
〃
105
第2部
国民保養温泉地は、温泉地のうち、温泉利用の効果が十分期待され、
(8)森林
〔林務課〕
第2部
本県の森林面積は、243,764ha(平成14年度末)で、県土の
約60%を占めており 、林産物の供給のほか 、県土の保全 、水源のかん養、
生活環境の保全、保健文化等等の公益的機能を通じて私たちの生活と密接
に関わっています。
森林の公益的機能の維持増進のため、森林整備保全、治山事業等による
森林の管理を推進しています。
課題
○
自然林の保全は野生動植物保護の観点から最も効果的です。特に絶滅の
危機に瀕している動物についてその原因が自然林の減少に起因しているも
のが多く見られることからも、できるだけ広い面積の自然林を保全するこ
とが必要です。
○
森林面積の約40%がスギ、ヒノキの人工林で、人工林においては特に
森林が有する公益的機能の発揮に重要な間伐の一層の推進が必要です。
○
近年河川改修や農地改良により自然の草地、湿地が減少しています。特
に湿地の面積は森林と比べても大変狭く、その環境が破壊されると代わり
の生息地がなく動植物は急速に絶滅に瀕してしまいます。今後、貴重な種
が生息する草原や湿地については、立地条件も含めた総合的保全への取り
組みが必要です。
106
2
希少な生物の継続的監視と保全対策の実施
第2部
現状・施策
(1)生物の多様性
〔自然保護課〕
地球上には豊かで多様な生物が生息しています。これらの生物の種、そ
の遺伝的多様性、そしてそれらが構成する生態系をひとまとめにしたのが、
生物の多様性です。人間社会は昔から生物の多様性に多くを依存して生き
てきました。森林生態系は、燃料・医薬品・建築資材・動物の生息地を提
供し、湿地や水辺の生態系は、水質を保全し水生生物を保護し、海洋生態
系は、食料を供給し、気候を調節しています。農業生態系は、食料生産を
担っており、生態系は、さらに、レクレーションと観光の機会も与えてい
ます。しかし、自然が失われ、生物が絶滅していくと、生物の多様性も失
われ、私たちの生存基盤そのものが揺らぐことになります。
(2)長崎県レッドデータブック
〔自然保護課〕
長崎県レッドデータブックは、県内の絶滅のおそれのある希少な野生動
植物種に係る基礎資料の集積を図ることを目的として、1998年、専門
家34名からなる長崎県希少野生動植物評価選定委員会(レッドデータブ
ック委員会)を設置し、3か年をかけ取りまとめられました。
長崎県は、南北約310㎞、西南210㎞にわたる広大な空間を占め、
海岸延長4177㎞、島しょ数約600で、対馬暖流が沿岸を北上し、か
つて大陸と陸続きであったという地史的変遷過程もつため多様な生物相を
育んでいます。チョウセンヤマツツジ、ツシマヤマネコ、アムールカナヘ
ビなど大陸系の動植物が対馬で見られ、対馬暖流の影響からハマジンチョ
ウ、ショウベンノキ、ヘゴ、オオタニワタリ、タイワンツバメシジミなど
南方系の動植物も見られます。また、島や半島が多いことからイトラッキ
ョウなど固有種(長崎県にしか生育・生息してないもの)も多く見られま
す。
本県のレッドデータブックは、自然環境の基盤となる地史及び自然環境
の現状から10ブロックに地域区分をし、種の整理、地域の特殊性・状況
の分析を行い、生息分布図を掲載していることが特徴となっています。
107
表2-1-2-1
第2部
カテゴリー
分類群名
維管束植物
哺乳類
両生類
爬虫類
魚類
海産哺乳類
藻類
鳥類
クモ類
昆虫類
甲殻類/剣尾類
その他無脊椎
総計
絶滅
レッドリスト掲載種
野生絶滅 危惧ⅠA 危惧ⅠB 危惧Ⅱ類 準絶滅 情報不足 地域個体 県地域
EX
20
EW
1
CR
111
3
EN
238
VU
144
5
3
1
5
1
NT
27
4
2
6
6
15
10
43
3
1
3
1
1
1
1
1
34
14
10
58
85
67
1
1
238
22
1
1
211
340
(3)希少な野性動植物の保護
DD
116
LP
県LP
9
4
3
3
3
1
19
8
3
4
2
12
1
52
17
3
総計
550
16
6
11
22
4
2
97
18
265
7
2
1,000
〔自然保護課〕
長崎県で絶滅が危惧される種として、維管束植物550種、脊椎動物1
56種 、無脊椎動物292種、藻類2種の計1000種が選定されました。
これらの種を選定した意義は、今後保護すべき種に客観的な基準を与えた
点にあります。各種の動植物は個々に生存しているのではなく、希少な植
物の上にはそれを食べる希少な動物がいて、相互に関係をもって生存して
います。一つの希少種を保護することで、結果的にその回りの多くの種を
も保護することができます。
希少種を保護するためには、①生育生息地の保護(開発からの保護)②
乱獲からの保護③外来種の問題など解決すべき問題が多くあります。
長崎県では、平成13年度にレッドデータブック委員会の会長、各部会
長からなる希少野生動植物保全検討委員会を設置し、「長崎県希少野生動
植物の保護に関する基本方針」を策定しました。
14年度は、基本方針で示された緊急に保護が必要な地区について県自
然環境保全条例の保全地域・野生動植物保護地区に指定できるかどうか現
地調査を行っています。
108
(4)ツシマヤマネコ保護増殖事業の推進
〔自然保護課〕
「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づく国内
希少野生動植物種に指定されていることから、国が上県町棹崎に整備した
「対馬野生生物保護センター」を拠点に、「保護増殖事業」の一つとして
ツシマヤマネコのモニタリング調査、痕跡調査、生息情報の収集及び保護
思想の普及啓発等を実施しています。
県では、上県町棹崎地区一帯を人が自然と触れあうことのできる「対馬
自然の森」として位置づけており、今後、同地区でツシマヤマネコが安定
的に生存できる環境を保全するなどして、エコツーリズムの導入による野
生生物保護と地域振興の調和を目指しています。
課題
○
生物学的知見に基づき、希少な野生動植物の種の個体の捕獲・採取及び
生息地等における行為を規制するなどの措置が必要です。
○
個体の生息・生育状況や生態的特性を考慮しつつ、食物条件の改善、飼
育・栽培下における繁殖など個体の繁殖の促進についての検討が必要です。
○
野生動植物の多様性を確保するためにも、野生動植物の生息・生育空間
の復元・創造に努めることが必要です。
○
希少な野生動植物の種の保護施策は、生物学的知見などに基づき適切に
実施される必要があるために、施策の推進に必要な調査研究を推進する必
要があります。
○
希少な野生動植物の種の保護の重要性に対する県民等の理解を深めるた
めの普及啓発を推進する必要があります。
109
第2部
長崎県の対馬にのみ生息し、絶滅が心配されているツシマヤマネコは
3
自然公園制度等の運用
第2部
現状・施策
(1)自然公園制度について
〔自然保護課〕
自然公園には、我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地
として指定する国立公園、国立公園の風景に準ずる優れた自然の風景地と
して指定する国定公園、都道府県の風景を代表する風景地として指定する
都道府県立公園があります 。本県では、表2-1-1-10のとおり指定され、
全体面積は741K㎡で県土面積の18.1%を占め、自然環境の保全に資す
るとともに、野生体験、自然観察、野外レクリェーション等自然とのふれ
あいの場として重要な役割を果たしています。
図2-1-3-1
自然公園位置図
110
(2)公園計画の再検討
〔自然保護課〕
計画を定めることになっています。国においては、国立公園を取り巻く社
会条件等の変化に対応するため昭和57年度から自然保護の強化を基調と
して公園計画の再検討を行っています。また、再検討が終了した公園につ
いては、おおむね5年ごとに公園計画の点検を実施しています。
国定公園においても、国立公園に準じて再検討を進めることとされ再検
討が終了した公園については国立公園と同様に点検を実施することになっ
ています。
(3)自然公園における風致景観の保護
〔自然保護課〕
自然公園には、風致景観の保護のため、特別地域、特別保護地区、及び
海中公園地区が指定されています。(表2-1-3-2)これらの地域において
各種行為を行う場合は、環境大臣又は県知事の許可が必要であり、その際
は、自然公園法施行規則第11条に規定する許可基準により判断し、風致
景観の適正な保護に努めています。
また、普通地域においても、一定の行為について県知事へ届け出ること
としており、これにより風景の保護に努めています。平成14年度におけ
る各種行為に対する許認可申請の処理状況は表2-1-3-2のとおりです。
111
第2部
自然公園法において、自然公園の適正な保護及び利用を図るために公園
表2-1-3-2
第2部
項
目
面
指定年月日
区
分
雲仙天草国立公園
国 雲
立
公
地
域
西 海 国 立 公 園
園
国
仙
小
園
県
浦
小
地
積(海域を除く)
特
保
地
別
護 特別地域
区
海 中
普通地域
公 園
地 区
12,858.0
588.0
4,360.0
7,910.0
S30. 3.16
24,646.0
80.0
23,571.0
995.0
30.4
37,504.0
668.0
27,931.0
8,905.0
30.4
11,946.0
289.0
11,454.0
203.0
47.5
S43. 7.22
定 玄 海 国 定 公 園
松
計
(単位:ha)
S 9. 3.16
計
壱岐対馬国定公園
公 北
保護計画一覧表
S31. 6. 1
北松浦地域編入
域 S43. 7.22
計
357.9
12,303.9
-
289.0
357.9
11,811.9
-
203.0
-
-
47.5
-
多 良 岳 県 立 公 園
S26. 4. 6
6,542.5
-
-
6,542.5
野 母 半 島
S30.10.13
7,090.0
-
-
7,090.0
-
S37. 1.10
3,514.2
-
34.0
3,480.2
-
S41. 1.11
2,235.0
-
45.0
2,190.0
-
S41. 1.11
3,065.5
-
-
3,065.5
-
S45. 1.20
1,835.0
-
-
1,835.0
-
24,282.2
-
79.0
24,203.2
-
39,821.9
33,311.2
〃
立
自
北
松
然 大
公
村
西彼杵半島
〃
湾
〃
〃
園
島 原 半 島
小
〃
計
自 然 公 園 合 計
74,090.1
957.0
77.9
(注)西海国立公園の海中公園地区の指定は、昭和47年10月16日、壱岐対馬国定公園
の海中公園地区の指定は、昭和53年6月16日です。
112
表2-1-3-3
平成14年度許認可申請の処理状況(件数)
大臣
非常
災害
応急
処置
普
地
行
届
通 国の
域 特例 合
為 通知
出
計
2
0
2
0
0
0
0
0
0
3
7
雲仙天草 知事
23
6
0
0
0
2
0
0
1
0
32
国立公園 雲仙
8
0
0
5
0
0
0
0
0
0
13
小計 33
6
2
5
0
2
0
0
1
3
52
大臣
0
1
0
3
0
0
0
0
1
知事 36
0
0
3
0
5
0
0
4
0
県北 14
0
0
7
0
0
0
0
0
0
21
五島
0
0
0
0
0
0
0
0
0
2
小計 58
0
1
10
3
5
0
0
4
1
82
知事 30
2
1
2
0
1
0
0
5
2
43
0
0
0
0
0
0
0
1
0
5
国定公園 対馬 10
0
0
0
0
0
0
0
0
0
10
小計 44
2
1
2
0
1
0
0
6
2
知事
2
0
1
0
0
0
0
0
2
0
5
県北
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
小計
3
0
1
0
0
0
0
0
2
0
6
138
8
5
17
3
8
0
0
13
6
198
西
6
11
48
海
国立公園
2
壱岐対馬 壱岐
玄
4
58
海
国定公園
合
計
*国の特例
工作物の新築協議
6件
事業の変更協議
2件
高山植物の採取協議
0件
〔県立自然公園〕
多良岳県立公園………1件
大村湾県立公園………2件
野母半島県立公園……3件
西彼杵半島県立公園…1件
北松県立公園…………1件
島原半島県立公園……0件
計
8件
〔公園事業処理件数〕
雲仙天草……………15件
壱岐対馬………………2件
西
玄
海……………12件
海………………0件
113
計29件
第2部
工 作 木 竹 土 石 広 告 水 面 土 地 高 山
公 園 名 処理 物 の の
の
物 の の
の
植 物
新 築 伐 採 採 取 設 置 埋 立 変 形 の
等
変 更 採 取
(4)緑のダイヤモンド計画事業
〔自然保護課〕
第2部
普賢岳の噴火活動により荒廃した国立公園雲仙の自然環境の修復を図る
とともに、新たな火山景観を含む多様な資源を活かし、公園利用施設の総
合的な整備を行うため、平成8年度に県において「国立公園雲仙総合整備
計画(雲仙ルネサンス計画 )」を策定し、ガマダス計画の重点プロジェク
トに位置づけました。
平成9年度に国の「緑のダイヤモンド計画事業」として採択が決定し一
部事業に着手し、国は同時に県計画を参考として雲仙地域の「緑のダイヤ
モンド計画」を策定しました。平成10年度から本格的な整備に取り組ん
でいます。
表2-1-3-4
事
業
平成14年度
名
緑のダイヤモンド計画事業(環境省直轄事業)
市町名
規
模
及
び
構
雲仙温泉博物展示施設
小浜町
博物展示施設
雲 仙 温 泉 園 地
小浜町
サイト造園・園路・電気設備
造
事業費(千円)
310,000
78,000
(国庫補助事業)
公園名
市町名
事 業 名
小 浜 町 絹笠山周回線
歩道
規 模 及 び 構 造
展望デッキ 1基、歩道 L=2340m、
事業費(千円)
33,000
サイト造園 A=471.2㎡、ウッドデッキ 1基
四阿 1棟、標識工 一式
小 浜 町 雲仙温泉園地
用地取得 A=5,137㎡、休憩所 1棟、
354,316
サイト造園 A=5,300㎡、給水施設 一式、
電気設備 一式
雲仙天草 小 浜 町 宝 原 園 地
サイト造園 A=3,000㎡、園路 L=720m、
107,096
展望台(木造) 1基、休憩所(木造) 2棟、
国立公園
公衆便所(RC造水洗) 1棟、標識工 一式
小 浜 町 矢岳園地
植生復元施設 A=4,999.5㎡、
34,000
歩道L=270.5m、標識工 一式
深 江 町 上大野木場仁
田峠線歩道
立木補償 一式、歩道L=4,000m、
北有馬町 論所原園地
サイト造園 A=3,179.1㎡、歩道 L=280m、
65,000
サイト造園 A=300㎡
31,000
休憩所(木造) 1棟
小 浜 町 池ノ原園地
駐車場 A=3,600㎡、植栽帯
114
60,588
利用誘導拠点整備事業
・整備期間:7か年(平成9∼15年度)
・全体事業費:70億∼80億円程度
(5)自然保護のための民有地買い上げ
〔自然保護課〕
自然環境保全地域や自然公園のように自然の特異性、希少性、固有性の
観点から優れた自然環境を有する地域は、自然環境保全法や自然公園法等
により木竹の伐採、土地の形状の変更、工作物の設置等を行う場合行政庁
の許可が必要です。
したがって、基本的には自然環境の保全については制度的に担保されて
いますが 、保全地域等の土地所有者及び利害関係者との調整を図るために、
ある程度伐採等を容認する必要があり、私有地であれば通常の管理行為の
うちに貴重な自然が損なわれることも危惧されます。
このため、長崎県自然保護基金条例に基づく自然保護基金を設置し、県
内のすぐれた自然を保護するとともにその利用の増進に必要な不動産を取
得し、逐次公有地化を図っています。取得対象は、自然保護のため特に重
要で、かつ緊急に取得することが必要と認められる不動産、又はその他自
然保護の推進のために当該不動産を先行取得することが必要と認められる
不動産です。なお、国の制度として、自然公園内の特定民有地の買上げに
伴う交付公債の元利償還金補助制度があり、当該制度を併せて活用しなが
ら逐次公有地の拡張を図っています。平成14年度までの取得状況は、次
のとおりです。
115
第2部
○雲仙天草立公園雲仙地域総合整備基本計画(緑のダイヤモンド計画事業)の概要
・自然環境保全修復事業、自然体験フィールド整備事業、利用拠点整備事業、
表2-1-3-5
第2部
年度
48
地
区
名
島原市杉谷原名字肥賀太郎
自然保護基金による買収地一覧
面
積
78,720.12㎡
備
考
国立公園特別保護地区内であり、私権との調整上 買収
しました。
49
壱岐郡石田町筒城浜
49
東彼杵郡川棚町大崎半島
52,225.00
123,713.00
筒城浜園地整備事業地であるため買収しました。
くじゃく園入口車道両側の民有地で、特に自然景観維持
のため買収しました。
51
福江市平蔵町字竹ノ子島
90,643.43
地先海中を海中公園に指定しており、このため陸地の保
護が重要なため買収しました。
52
52
〃
5,024.43
北松浦郡鹿町町九十九島免字大
157,006.00
島
53
(上記51年度分竹ノ子島に同じ)
西海国立公園区域の大島に某企業の観光開発の計画がな
されたが地元民の反対で私権との調整上買収しました。
福江市平蔵町字竹ノ子島
6,851.55
(上記51年度分竹ノ子島に同じ)
壱岐対馬国定公園第1種特別地域で浅茅湾の中心部で自
54
下県郡美津島町大字島山字四十八
谷
然景観のすぐれた地域であり、土地所有者から立木の伐
42,473.00
採申請があり、これによる損傷が著しいことが予想され
たため買収しました。
56
北松浦郡鹿町町九十九島免字戌島
56
壱岐郡石田町筒城浜
12,495.00
3,988.00
南高来郡小浜町雲仙字矢岳118
57
番地1
(上記52年度分大島に同じ)
(上記49年度分に同じ)
雲仙の景観を構成する重要な位置を占め、かつ県有地、
128,822.70
国有地に囲まれた土地であり特に保護する必要があるた
め買収しました。
59
下県郡美津島町大字島山字御所
103,994.00
(上記54年度分四十八谷に同じ)
ノ浦及び狭瀬戸
63
東彼杵郡川棚町三越郷字大崎東
平490番他他2筆
3
大村湾県立公園大崎半島国民休養地内の県有地の隣接地
3,916.00
東彼杵郡川棚町三越郷字大崎東
であり、風致の維持及び利用の増進のため買収しました 。
15,401.00
平486-1,2
278.33
380-33,46
19,614.11
543-5
国立公園
9件
5か所
国定〃
4
3
合計 県立〃
3
1
計 〃
16件
白雲の池園地の入口として借りていた民有地を、
者の申出により買収しました。
南高来郡小浜町雲仙字宝原
7
自然
景観維持のために買収しました。
南高来郡小浜町雲仙字絹笠
7
くじゃく園入口車道に隣接する民有地で、特に、
845,165.67
9か所
116
宝原園地の利用増進のため買収した。
所有
(6)自然公園における環境保全対策
〔自然保護課〕
自然公園の利用によりもたらすゴミは、単に美観を損ねるだけでなく
悪臭の発生など、環境汚染を引き起こしていることが多くあります。そ
こで、特に利用者の多い国立公園内の主要な利用地域の美化清掃を積極
的に推進するため、現地における美化清掃団体の育成強化を図り、それ
らの団体が行う清掃活動事業に対し補助を行っています。
このほか、自然公園の利用地域において、自然公園法第16条の2の
主旨に基づき、県・市・町及び関係団体が協力して美化清掃活動を実施
するとともに「ゴミ持ち帰り運動」等美化思想の普及啓発を行っていま
す。
表2-1-3-6
美化清掃活動事業実施状況(平成14年度)
国立公園名
地域名
西
海
鹿子前
1,700,000円
西
海
弓張岳
1,700,000円
〃
西
海
平
戸
1,700,000円
〃
平戸支部
西
海
福
江
1,700,000円
〃
福江支部
雲仙天草
雲
仙
3,714,000円
5か所
10,514,000円
計
事
業
費
実
施
団
長崎県自然公園協議会
(財)自然公園財団
体
佐世保支部
〃
雲仙支部
イ.環境管理事業
雲仙の春を代表する景観であるミヤマキリシマ群落は、放牧により形
成された人為的な景観です。この景観を維持するためには地元「雲仙を
美しくする会」の下草刈りのボランティア活動の協力を得ています。ま
た、雲仙温泉の原生沼は県内でも貴重な高層湿原です。この沼は、かっ
ての池沼であったものが、植物の遺体の堆積や周囲からの土砂の流入に
よって埋まり、現在の湿原ができたもので、近年干陸化がすすんでいま
す。県雲仙公園事務所では、定期的に草刈りや集水桝の土砂の除去を行
い現状の維持に努めています。
117
第2部
ア.自然公園の美化清掃活動事業
ウ.管理体制の強化
第2部
国立公園の管理については、国において、現地管理業務体制の整備が
図られ、雲仙天草・西海両国立公園については、九州地区自然保護事務
所をはじめ雲仙天草国立公園雲仙自然保護官事務所(小浜町雲仙 )、西
海国立公園佐世保自然保護官事務所(佐世保市)及び福江自然保護官事
務所(福江市)が直接管理業務にあたっています。
国定公園及び県立自然公園の管理については、所管する県地方機関を
はじめ関係市町村、民間団体の協力を得て、その適正を期しており、近
年の自然公園をとりまく諸情勢の変化に対処するため、市町村担当者会
議を開催するなど地域の特性に応じた管理体制の強化に努めています。
課題
○
自然公園指定後も地元関係市町村等地域との連携を密にし、地域の実情
を把握し、よりよい公園として適正な維持管理を行っていく必要がありま
す。
118
第2節
第2部
1
身近な自然の保全と創造
河川・沿岸環境の保全・復元・創造
現状・施策
(1)漁港の環境整備
〔水産基盤計画課〕
ア.漁港環境整備事業
漁港の周辺は美しい自然に恵まれている反面、険狭な場所に立地し、
民家も密集している場合も多く、土地に余裕がないこともあり都市部と
比べ緑地、広場等住民の憩いの場が不足している状況です。よって、漁
港とその周辺の景観を保持し、環境美化を進めて快適で潤いのある漁港
環境を形づくるとともに、漁港における作業効率と安全性の向上を図る
ため、植栽、休憩所、運動施設等の整備を進めることとし、平成13年
度は小値賀漁港等20港において緑地等の整備を行いました。
(2)海岸環境の整備
〔水産基盤計画課〕
現在、価値観の多様化や少子・高齢化等が進む中で、海岸も災害に対す
る安全の一層の向上ばかりでなく、良好な海岸環境の整備が図られ、人々
の多様な利用が適正に行われる空間となることが求められています。よっ
て、海岸の区域において国土保全と合わせて、国民の休養の場としての利
用できる豊かで潤いのある海岸環境を創り出すため、養浜、親水施設、植
栽、遊歩道などの整備を進めることとし、平成14年度は、有喜漁港等4
港において海岸環境の整備を行いました。
(3)海岸環境の整備
〔港湾課〕
ア.海岸環境整備事業
A.エコ・コースト事業
国土保全及び人命財産の保護と併せて、生物や景観に配慮した自然
に優しい海岸づくりを推進するため、県内2港の海岸において、整備
(事業費3億2,700万円)を行いました。
(4)良好な河川環境の整備と保全
〔河川課〕
ア.多自然型川づくりの推進
A.河川改修事業
治水を目的とする河川改修事業においても、すべての箇所で多自
然型川づくりを行いました。(県下35河川)
119
イ.県民の利用しやすい親水空間の確保
第2部
A.河川環境整備事業
人と自然がふれあえる場としての河川環境の向上を図るとともに 、
動植物の良好な生息環境の整備と保全を図りました。(県下3河川)
ウ.河川愛護運動の支援
A.県民参加の地域づくり事業
河川愛護団体の登録や里親制度の導入により、県民主体の河川愛
護活動を支援した。
(5)漁場環境の保全と創造
〔水産基盤計画課〕
近年、藻場の消失、河川からの生活排水等の流入、ゴミの堆積等によ
り漁場環境が悪化し、生産が低下している漁場の回復を図るため、海底
に堆積したゴミの除去や藻場の造成を行いました。
ア.海底に堆積したゴミの除去
・実施地区: 橘湾(長崎市・千々石町)
・実施面積:
2,500 ha
・除去量
:
15.0・
イ.藻場の造成:
・実施地区及び造成面積
西彼北
1.00 ha(大瀬戸0.38、西海0.62)
下対馬
0.80 ha(厳原0.80)
生
1.38 ha(生月1.38)
月
ウ.低質の改善
・実施地区及び造成面積
島原市・深江町
大村湾
(6)磯焼け対策
0.83 ha
108.00 ha
下川原(大村市)
有明町
0.38 ha
200.00 ha
〔水産基盤計画課〕
ア.養生基質設置、母藻移植、食害生物防除・駆除等による藻場の回復
・維持増大
:野母崎町等21か所
イ.母藻供給を目的とした藻場造成
(7)漁場環境保全対策
:西海町・厳原町・大瀬戸町
〔水産基盤計画課〕
漁場環境の悪化に伴う漁業被害の発生や漁業生産の低下が懸念されて
いるため、県下各地に調査地点を設け、水産業普及指導センターの調査
指導員が水質・底質・藻場・赤潮等の定期的調査を行ない、漁場環境の
長期的変化の監視を行いました。
また 、赤潮の発生等漁業被害のおそれがある場合、適時調査を実施し、
漁業者に対し被害の防止や赤潮等発生時の緊急措置に対する指導等を行
いました。
120
(8)海砂採取の際の水産資源保護と自然環境保全との調和
〔監理課〕
海砂採取の認可にあたっては、水産資源の保護と自然環境の保全と
の調和を図るため、関係する漁協の同意書を添付させています。
・平成14年度認可件数
56件
課題
○
整備により海岸環境の整備は図られつつありますが、さらなる整備促進
が必要です。
○
事業の実施にあたり、高潮等の自然災害から海岸を防護することとあわ
せ、生態系や自然景観等周辺の自然環境に配慮した海岸の形成に努めます。
○
本県の地形的条件から洪水時の流速が大きいため、治水事業と自然環境
の保全とは相矛盾する部分はありますが、工法等の工夫により両立を目指
し取り組んでいきます。
○
漁場環境の悪化に伴う漁業生産の低下が問題となっており、漁場の生産
力回復と水産資源の生息環境の改善のため、漁場環境の定期的監視ととも
に海底に堆積するゴミの除去、海底耕うん、浚渫、作れい、藻場の造成等
による漁場環境の改善が必要です。
121
第2部
ア.海砂採取にかかる認可事務
2
地域ぐるみでの裏山・里山・水辺地等の保全
第2部
現状・施策
(1)野生鳥獣の保護管理
〔自然保護課〕
ア.野生鳥獣の生息状況
長崎県の県土面積は、多くの島々を擁することから、県域としては九
州本土にも匹敵する広がりを持っています。
位置的にはアジア大陸に近く、また、かつての大陸と陸続きの時代に
は野生鳥獣の移動ルートであったという地理的、歴史的特異性により、
日本在来の野生鳥獣のほか、海洋性の鳥類や大陸系の鳥獣などを数多く
見ることができます。
A.鳥類
これまで 380種を超える鳥類が記録されています。これは我が国
で知られている鳥類の約6割にも相当します。とりわけ対馬や男女群
島は、大陸性の渡り鳥の飛来地として知られ、コウライウグイス、オ
ウチュウ、イナバヒタキ、ヤマショウビンそれにカンムリカッコウと
いった本土部では観察例が極めて少ない野鳥が旅鳥として記録されて
いるのをはじめ、水鳥類の渡来地である本土部の諌早湾周辺ではカモ
類が群れをなして越冬します。また、国内希少野生動植物種に指定さ
れたアカヒゲ 、それにカラスバトや海洋性鳥類のカンムリウミスズメ、
オオミズナギドリなどの男女群島での繁殖、ミヤマホオジロやマミチ
ャジナイ 、シロハラなどの対馬での繁殖も特筆すべき事項です 。なお 、
春、秋の渡りの季節にナベヅル、マナヅルなどのツル類、アカハラダ
カなどのタカ類が大群で本県を縦断するようにして通過するのが観察
されます。
B.獣類
県内に生息する獣類は7目14科42種が知られています。本土部に
はキュウシュウジカ、イノシシ、ホンドタヌキをはじめノウサギ、ホ
ンドキツネ、ホンドイタチ等が生息し、多良山系の一部にはヤマネも
生息します。島嶼では五島列島にキュウシュウジカ、イノシシなどが
生息し、対馬には国内希少野生動植物種に指定されているツシマヤマ
ネコをはじめ、ツシマテン、チョウセンイタチ、ツシマジカなどが生
息します。
なお、狩猟鳥獣の種類などは、資料編のとおりです。
122
イ.野生鳥獣の保護管理の推進
経済、あるいはレクリエーションの観点からも、県民にとって必要不可
欠な存在です。このような野生鳥獣のもつ様々な価値は今日広く認識さ
れるところとなっており、県内外を問わず野生鳥獣の保護に対する要請
はますます高まってきています。
こうした近年の野生鳥獣保護の要請に対応するために各種の施策を講
じ、野生鳥獣保護の一層の充実を図っています。
ウ.鳥獣の保護管理対策の強化
A.第9次鳥獣保護事業計画の推進
野生鳥獣の適正な管理を図るため平成13年度に策定した第9次鳥
獣保護事業計画(平成14年度∼平成18年度)により、野生鳥獣の
保護繁殖のために鳥獣保護区や休猟区の設定計画やキジの放鳥計画を
定めるとともに、野生鳥獣による農林被害対策のための有害鳥獣捕獲
の基準等を策定しました。本計画が終了する平成18年度末には本県
内の鳥獣保護区設定数は102箇所、面積は39,599 ha となる予
定です。
B.鳥獣保護区の設定
鳥獣保護区は、野生鳥獣の保護繁殖を図るため鳥獣の生息環境を保
全する必要のある地域に設定するもので、国が設定管理する国設鳥獣
保護区と県が設定管理する県設鳥獣保護区があります。これらの鳥獣
保護区は、その性格により森林性鳥獣生息地の保護区、大規模生息地
の保護区、集団渡来地の保護区、集団繁殖地の保護区、誘致地区の保
護区 、特定鳥獣生息地の保護区及び愛護地区の保護区に区分されます。
県下の鳥獣保護区の設定状況は表2-2-2-1、資料14のとおりです
表2-2-2-1
鳥獣保護区設定状況(総括表)
国
箇 所
①
森林鳥獣生息地
②
集 団 渡 来 地
③
集 団 繁 殖 地
④
誘
⑤
希少鳥獣生息地
⑥
愛
致
護
計
地
地
設
面
積 ha
県
箇 所
40
(平成15年3月31日)
設
面
計
積 ha
箇 所
29,187
40
77
1
416
区
1
1,173
区
2
1,589
123
2
面
積 ha
29,187
2
77
1
416
26
7,469
26
7,469
4
1,168
5
2,341
22
689
22
689
94
38,617
96
40,206
第2部
野生鳥獣は、自然環境を構成する重要な要素であるとともに、学術、
C.鳥獣保護のための調査・事業
第2部
県は、野生鳥獣の適正な保護管理を行うための判断材料と得るため、
次のような野生鳥獣の生息状況等の調査、事業を実施しました。
a.ツシマヤマネコ生息特別調査
対馬にのみ生息し、絶滅の危機に瀕しているツシマヤマネコの生
息状況や生態を把握し、今後の保護増殖事業の資料とするため、平
成6年度から3箇年で生息状況調査、人工繁殖のための個体の捕獲
作業等を実施しました。
b.ガンカモ科鳥類生息調査
毎年1月中旬に全国で一斉に行われている調査で、県内では44
箇所で実施しました。
D.鳥獣保護及び被害対策
野生鳥獣は益害両面の習性をもつものが多いことから、保護対策を
進める一方、農林水産物に被害を及ぼすものについては地域の農林水
産業の保全と振興に資するため、適切な方法で防除、捕獲を行うよう
に指導しています。また、駆除のための捕獲許可に際しては、被害の
発生状況等を十分に考慮し、捕獲の時期や方法、捕獲数等が適切とな
るよう指導しています。なお、近年市街地及び倉庫において、糞、羽
毛等による被害をもたらしているドバトについても、捕獲箱等による
捕獲を行っています。
平成14年度の捕獲状況は表2-2-2-2のとおりです。
表2-2-2-2
有害鳥獣捕獲実績(平成14年度)
鳥
カラス類
12,046
スズメ
類(羽)
ヒヨドリ
2,783
1,913
ドバト
3,157
獣
イノシシ
3,404
シカ
1,246
カモ 類
133
その他
770
計
20,802
類(頭)
タヌキ
318
ノウサギ
84
124
タイワンリス
4,027
その他
66
計
9,145
E.負傷鳥獣の保護
佐世保市亜熱帯動植物園等に収容して治療を行い、回復後、自然界へ
復帰させています。
平成14年度の保護状況は表2-2-2-3のとおりです。
表2-2-2-3
負傷疾病鳥獣保護状況(平成14年度)
治療、収容施設
取扱件数(頭羽数)
佐世保市亜熱帯動植物園
244
長 崎 県 獣 医 師 会
217
そ
の
他(職員)
計
11
472
F.鳥獣保護員の配置
鳥獣保護員は、鳥獣保護区の管理や一般住民に対する保護思想の普
及啓発等鳥獣保護及び狩猟の適正化に関する業務に従事するとして、
知事が法律に基づき委嘱しています。
表2-2-2-4
市町村名
人数
(自然保護課管内)
長 崎 市
3
諫 早 市
1
大 村 市
1
野母崎町
1
三 和 町
1
長 与 町
1
琴 海 町
1
西 彼 町
1
西 海 町
1
崎 戸 町
1
大瀬戸町
1
外 海 町
1
森 山 町
1
飯 盛 町
1
高 来 町
1
小長井町
1
小 計
18
市町村名
鳥獣保護員配置数
人数
(県北振興局管内)
佐世保市
2
平 戸 市
1
松 浦 市
1
東彼杵町
1
波佐見町
1
大 島 町
1
生 月 町
1
小値賀町
1
宇 久 町
1
田 平 町
1
福 島 町
1
鷹 島 町
1
江 迎 町
1
鹿 町 町
1
小佐々町
1
佐 々 町
1
世知原町
1
小 計
18
125
市町村名
人数
(島原振興局管内)
島 原 市
1
有 明 町
1
国 見 町
1
吾 妻 町
1
小 浜 町
1
加津佐町
1
西有家町
1
南有馬町
1
有 家 町
1
深 江 町
1
小 計
10
(五島支庁管内)
福 江 市
2
富 江 町
1
玉之浦町
1
三井楽町
1
岐 宿 町
1
若 松 町
1
上五島町
1
新魚目町
1
有 川 町
1
奈良尾町
1
小 計
11
市町村名
人数
(壱岐支庁管内)
芦 辺 町
1
石 田 町
1
小 計
2
(対馬支庁管内)
厳 原 町
2
美津島町
2
豊 玉 町
2
峰
町
2
上 県 町
2
上対馬町
2
小 計
12
合
計
71
第2部
県民により保護された負傷疾病鳥獣及び野鳥のヒナ等については、
第2部
エ.適正な狩猟の推進
A.狩猟の現状
狩猟の適正化を推進する観点から、狩猟者の資質の向上と秩序ある
狩猟の確保を目的として、昭和54年から狩猟免許試験制度が導入さ
れています。
また、狩猟と鳥獣保護との調整、狩猟事故による被害者救済(ハン
ター賠償責任保険最低限加入の義務化)を徹底するため、昭和54年
から狩猟者登録制度が実施されました。したがって狩猟免許を受けた
のち、狩猟しようとする者は、都道府県知事の登録を受けなければ狩
猟をすることができないことになっています。
平成14年度の狩猟免状及び狩猟者登録証の交付状況は、表2-2-25のとおりです。
表2-2-2-5
狩猟免状及び狩猟者登録証の交付状況(単位:件)
(狩猟免状
網・わな猟
758
網・わな猟
平成14年度)
第1種銃猟
1,212
第1種銃猟
第2種銃猟
41
第2種銃猟
計
2,011
計
県内者
531
996
91
1,618
県外者
3
182
3
188
534
1,178
94
1,806
計
126
B.休猟区、捕獲禁止区域の設定
期間を定めて、県下の可猟面積の3分の1程度を設定することとして
おり、平成15年3月31日現在24箇所、40.451 ha です。捕
獲禁止区域については、特定の狩猟鳥獣の保護繁殖を図るため、区域
や期間又は猟法を定めて捕獲を禁止しています。
休猟区及び捕獲禁止区域の設定状況は資料15,16及び表2-2-26のとおりです。
表2-2-2-6
名
捕獲禁止区域一覧表
称
期
間
面積(ha)
八郎岳シカ捕獲禁止区域
H 8.11.1∼ H18.10.31
728
壱岐郡コウライキジ捕獲禁止区域
H14.11.1∼ H19.10.31
13,925
対馬メスコウライキジ捕獲禁止区域
H 8.11.1∼ H18.10.31
70,993
大島村メスコウライキジ捕獲禁止区
H14.11.1∼ H19.10.31
1,532
域
計
4箇所
87,178
※メスヤマドリ、メスキジは全国一
円で捕獲禁止。ただし、メスヤマド
H14.11.1∼ H19.10.31
全国一円
リ、メスキジの捕獲を目的に含む放
鳥獣猟区を除く。
C.キジの放鳥
休猟区のうち、キジの増殖を図る必要が認められる箇所については、
1箇所当たり30羽程度のキジを放鳥しており、例年県下で約750羽
を放鳥しています。
D.狩猟事故、違反の防止
a.銃猟禁止区域の設定
銃猟による危険を防止するため、農林業上の利用が恒久的に行わ
れている地域、野外レクレーションの場として利用者の多い地域及
び銃猟による事故発生のおそれのある区域については、通常10年
間の期間を銃猟禁止区域として設定することにしており、平成15
年3月31日現在で82箇所、17,362 ha です。
銃猟禁止区域の設定状況は、資料(18)のとおりです。
b.狩猟者講習会の実施
狩猟免許(有効期間3年)の更新希望者に対し、適性検査及び法
令、鳥獣の判別、猟具の取扱いについて、各1時間の講習を実施し
ています。
127
第2部
休猟区については、狩猟鳥獣の自然増加を図る目的で、3年以内の
c.安全狩猟のための講習委託
第2部
狩猟事故の未然防止、法律の遵守について徹底した研修を行うた
め、また、狩猟免許試験、適性検査に係る技能試験補助員及び講習
講師の応援等、県猟友会へ事業の一部を委託しています。
b.狩猟期間中の取締りパトロール
事故や違反の防止を目的として、日の出前、日中、日没後の指導
取締りを、県警本部とともに実施しています。
オ.野生鳥獣の保護思想の普及啓発
県民の野生生物に対する理解と保護意識を高めるために、県内3ヶ所
で探鳥会(バードウオッチング)を開催したほか、愛鳥週間ポスターコ
ンクール等を実施しています。
(2)中山間地域での農業継続と農薬等の低減
〔農政課〕
ア.中山間地域等直接支払制度の実施
A.農山村地域の多面的機能の維持・確保
平成14年度は、7市47町1村の農業生産条件の不利地域におい
て、約6,650ヘクタ−ルの農用地を対象に、農道や用排水路の整
備、畦畔の雑草及び耕作放棄地の管理を含め、稲作等を主体としまし
た農業生産活動等を通じ、水田の持つダム機能による水源のかん養、
洪水防止と景観維持の草花等の植え付けなど農山村地域の多面的な機
能の維持・確保が図られています。
(3)森林の維持・保全
〔林務課〕
ア.森林空間総合整備事業
人が自然とふれあう長崎市民の森の整備に対し助成を行いました。
・森林整備
74 ha
・標識類整備
71基
・路網整備
406m
イ.絆の森整備事業
人が自然とふれあう場の提供や野生動物との共存のために森林整備を
実施した方に対し助成を行いました。
・森林整備
69 ha
・鳥獣害防止施設等設置
・路網整備
250m
474m
ウ.水土保全森整備事業
森林の緑のダムとしての機能を高めるために、造林・保育・間伐など
を実施した方に助成を行いました。
・間伐面積
3,173 ha
・路網整備
12、456m
128
(4)諫早湾干拓自然干陸地景観保全事業
イ.内
約10 ha
容:菜の花植栽、散策道、駐車場整備等
(5)水辺の環境整備
〔農村整備課〕
農村地域にある農業用のダムや水利施設は、適切な維持管理を図ってい
くとともに、施設の周辺は豊かな水辺の空間として、自然環境を保全して
いく必要があります。
このため、県では地域用水環境整備事業等で農業用水利施設の整備保全
を図るとともに、地域住民も親しめる水辺環境整備を行っています。
平成14年度は、県内5地区で、管理道路などの整備と合わせ、自然の
環境に配慮した親水広場や遊歩道の整備ほか、休息施設や駐車場の整備に
取り組みました。
(6)中山間ふるさと水と土保全対策
〔農村整備課〕
農村のため池や用排水路などの農業用施設や、棚田などの農地は、農業
生産活動を通じて、水源の涵養や地域の自然、文化などを育んできました。
過疎化・高齢化がすすむ中山間地域では、このような施設や農地の保全
が難しくなっており、県では「長崎県中山間ふるさと活性化基金」を創設
し、都市住民も含めた地域ぐるみの保全活動を支援しています。
平成14年度は、保全活動に取り組む地域リーダーの研修会や、有識者
や学術経験者を交えた推進会議の開催、棚田などの保全活動に取り組む集
落への活動費の助成、都市住民へのキャンペーン活動などを実施しました。
課題
○
近年、シカ、イノシシ等の野生鳥獣による農林業被害が急増しています 。
これには被害防除施設の整備とともに、有害鳥獣の駆除に従事できる狩猟
者の確保と育成、及び効果的に被害対策を講じるための鳥獣生息実態調査
が必要です。
○
集落の農業者を主体に住民参加の話し合いによる多面的機能を高める直
接支払制度の推進強化の一つとして、取り組みの優良事例集を作成し、対
象地域住民への意識高揚を図っていきます。
○
多面的な機能強化と併せて、自然景観形成のための「彼岸花」、「水仙」
など草花等の植栽を推進します。
○
自然干陸地において、菜の花が植栽でき、優れた景観が形成されました
が、菜の花のみでは、当地への来訪時期が短期間に限られます。
○
農村の水辺空間や農業用の施設、農地などは、地域の大切な資源であり 、
その保全活動に対して、広く県民に理解を求めていく必要があります。
129
第2部
ア.植栽箇所:高来町深海地先
〔諫早湾干拓室〕
3
都市環境の保全と創造
第2部
現状・施策
(1)長崎県の屋外広告物行政
〔都市計画課〕
屋外広告物には、はり紙や立看板といった簡易なものから広告板や広告
塔、ネオンサイン等に至るまで多彩な形態のものがあり、社会への情報発
信源として、また、市街地における賑わいの一要素として重要な役割を担
っています。
しかし 、屋外広告物の掲出状況は決して良好な状態とは言えず、はり紙 、
はり札、立看板やのぼり旗といった簡易な違法広告物が氾濫し、その他の
広告物についても無秩序な掲出が目立っています。
本県では、このような違反広告物に対して様々な規制・誘導を行うとと
もに、長崎市・佐世保市・大村市においては、住民の方々の協力を得て、
違反広告物除却推進運動(クリーンフェイス運動)を行っています。
また、地域の個性を活かした魅力的な景観形成を推進するため、新たに
「長崎県広告景観モデル地区制度」を設け、島原市森岳広告景観モデル地
区をしていました。
(2)県民の参加と協力によるまちづくり
〔都市計画課〕
良好な都市環境の形成に努めるため、都市計画に住民の意見を反映させ
る事が必要ですが、公聴会の開催、都市計画案の縦覧、意見書の提出等の
規定を設け、住民が積極的に都市計画に参加した上で、県の施策に協力で
きるような実際的基盤を制度化しています。
(3)都市における自然環境等の保全
〔都市計画課〕
ア.都市公園の整備
都市公園は、人々にゆとりとやすらぎを与えるとともに緑のオープン
スペースとしての整備を進めており、本県の一人あたりの都市公園面積
は11.03㎡/人(H14年度末現在)で全国平均を上回っています。
平成14年度は、都市公園等国庫補助事業で13公園を整備していま
す。
表2-2-3-1
都市公園国庫補助事業予算額
区分
事業費
14年度(単位:千円)
国費
住区基幹公園
20,000
10,000
都市基幹公園
1,895,000
910,000
111,000
37,000
2,026,000
957,000
大規模公園
合
計
130
図2-2-3-2
第2部
一人あたりの都市公園面積(㎡/人)
(㎡ / 人 )
一 人 あた りの 都 市 公 園 面 積
12.00
10.00
8.00
6.00
4.00
2.00
0.00
全国
長崎県
平 成 10年
平 成 11年 平 成 12年 平 成 13年 平 成 14年
年度
イ.緑の基本計画
都市緑地保全法第2条の2の規定に基づき、都市における緑地の保全
及び緑化の推進を総合的かつ計画的に実施するための緑の基本計画は、
平成14年度末現在で全国で553市区町村が策定を完了しています。
県内においては、平成14年度末で、長崎市・佐世保市・諫早市・大
村市の4市だけであるため、早期の策定を指導しています。
ウ.県民の緑化意識の高揚
春の都市緑化推進運動の関連催事として林務課と共同で「親と子の新
緑のつどい」の開催や「都市緑化月間 」、「春の都市緑化推進運動」等
に実施される関係市町の緑化行事を通じて、緑化思想の普及に努めてい
ます。
エ.風致地区
風致地区は、都市における自然的景観を主体とする良好な都市景観を
維持するため、市街地の自然景勝地、市街地周辺の丘陵地、景観の優れ
た水辺地、歴史的意義を有する地域、緑豊かな低密度住宅地等を指定す
るもので、現在、県内には5市3町において、43か所約5,736h
a(平成14年度末現在)が指定されています。
条例により建築等の行為に一定の制限を設け、良好な都市景観を維持
しています。
(4)電線類地中化の推進
〔道路維持課〕
電柱・電線を取り除き電線類を地中化することにより、都市災害防止・
バリアフリー推進・都市景観の向上を図るため電線類地中化を推進しま
す。
131
(5)花いっぱいふるさとづくり推進事業
〔自然保護課〕
第2部
住民参加による花のまちづくりを進めるため、花壇コンクール、花壇づ
くり講習会、花とみどりのまちづくり講座を実施します。平成 1 5年度花
壇コンクールには、1 5市町村から44団体の応募があり、入賞団体は表
2-2 -3-3のとおりです。
また 、「自然との共生」をテーマに、行政、住民、企業、学校、自然保
護関係団体等の連携により、自然と共生する地域づくりを進めるためのフ
ォーラムを開催します。
表2 -2-3-3
平成 1 5年度花壇コンクール入賞団体一覧
花壇造成者
区
分
団 体 名
代表者名
最優秀賞(県知事賞)
川棚町心の花を育てる会
西坂 保憲
川棚町 JR 小串駅構内
優秀賞
佐世保市立愛宕中学校
大賀 章
愛宕中学校、愛宕幼稚園敷地内
(県緑化推進協会賞)
香焼町安保自治会
今井
努力賞
愛野町老人クラブ千鳥会
島田 公光
愛野町千鳥川沿線
福田 好博
川棚町上組郷地区
佐世保市立木風小学校
大渕 正宣
佐世保市立木風小学校敷地内
盲養護老人ホーム光公明荘
橋本 静香
諫早市有喜町(光明荘敷地内)
川棚町立川棚中学校
本山 修
川棚町立川棚中学校敷地内
西海町天久保郷
原口 考治
西海町天久保地区
吾妻美人会(吾妻町)
川原 末代
吾妻町役場前交差点
(県緑化推進協会理事長賞) 川棚町上組郷
(6)花のある街かどづくり
設 置 場 所
清和 香焼町安保地区
〔自然保護課〕
美しい長崎県づくりを推進するために、県都長崎市及び県北部の中心都
市佐世保市の玄関口にあたる道路沿線に整備した緑地の維持管理を行うと
ともに、市街地においては主要道路の歩道敷に草花を植栽したプランター
を設置しました。また、県管理道路の路側帯に多年生草花の種子を播種し 、
四季を通じ開花する草花で道路景観の修景を図っています。
(7)長崎県環境美化基金運営事業
〔自然保護課〕
県は、昭和55年度に「長崎県みどりの基金条例」を制定し、昭和56年
度から県・市町村及び民間の拠出による基金の積立を開始し、昭和61年
度には目標額の4億円を達成し平成2年度には6億円が積み立てられまし
た。平成6年度、同基金と長崎県環境保全基金等を合わせて、12億円の
「長崎県環境美化基金」が新たに設置され、この基金の運用益の一部を財
源として、市町村の緑化事業や学校法人・社会福祉法人等の施設の緑化事
業に対する補助を行っています。
132
表2 -2-3 -4
対 象 施 設
上県町
事 業 概 要
アジサイロード
総事業費
低木 1,067本
計
(8)公共施設等緑化推進事業
(千円)
交 付 額
1,560
780
1,560
780
〔自然保護課〕
国は、国土の緑化に関し、総合的かつ効率的な諸施策を推進するため、
昭和58年4月に関係5省庁からなる緑化推進連絡会議を設置し 、「緑化推
進運動の実施方針」を決定しました。この方針に基づき、昭和58年度か
ら緑化宝くじを発売し、その収益金は、地方公共団体が行う緑化事業の財
源として配分されます。平成14年度は、県有施設の緑化事業としては表
2-2-3-5の事業を行い、市町村施設の緑化事業に対しては表2-2-3-6の
とおり補助を行っています。
表2 -2-3 -5
施
設
平成 1 4年度緑化宝くじによる県緑化事業
名
所 在 地
事 業 概 要
事業費(千円)
七ツ岳登山口公園
南松浦郡五島町 植栽工一式
1,373
県立五島高校
福江市池田町
植栽工一式
6,006
県立開成学園
長崎市平山台
植栽工一式
2,815
県立鶴南養護学校
西彼杵郡三和町
植栽工一式
1,884
県北振興局
佐世保市木場田町
植栽工一式
1,022
表2-2 -3-6
申請者
平成 1 4年度緑化宝くじによる緑化補助事業
対象施設
事業概要
事業費
(千円)
交付額
長崎市長
市道小江原町春木町号線
高木16本
3,444
1,720
高島町長
高島町光町地区緑地
低木217本、花壇造成
1,500
750
多良見町長
JR 長崎本線山川内法面
高木6本、低木1,500本外
6,799
3,390
森山町長
町道大開潟揚線
低木90本、花壇造成外
1,880
930
大島村長
いさりびの里
ツツジ類979本
5,708
2,850
吉井町長
牧の岳自然公園
高木28本、低木30本
1,199
590
島原市長
ひょうたん池公園
高木24本
2,108
1,050
福江市長
鬼岳園地
中低木70本
568
568
鐙瀬園地
中低木80本
644
644
有川町長
有川町青少年旅行村
中木100本
3,800
1,900
美津島町長
あそうベイパーク
高木55本、低木190本外
3,000
1,500
上県町長
アジサイロード
高木125本
1,560
780
上対馬町長
鰐浦漁港関連車道
高木200本
1,189
590
32,326
16,632
12市町村13施設
133
第2部
申 請 者
平成 1 4年度長崎県環境美化基金緑化補助事業
課題
第2部
○
今後も、屋外広告物法及び長崎県屋外広告物条例に基づき 、「美観風致
の維持 」、「公衆への危害の防止」の観点から適正な指導・監督を行いま
す。特に、違反広告物に対しては、これまで以上に指導を強化し、屋外広
告物に関する地域住民の方々への啓発にも努めていきます。
○
都市計画決定等の手続きについて、これまで以上に県民の方々への周知
徹底に努めていきます。
○
都市公園の整備により都市環境の向上が図られつつありますが、欧米諸
国と比較すると低水準であることから、更なる整備促進が必要です。
○
快適な都市環境の形成を図るために、「緑の基本計画」の早期策定が必
要です。
○
新電線類地中化計画(第四次五か年計画、H11∼ H15)まで計画があ
るがその後の計画がありません。
134
4
自然災害防止対策の推進
第2部
現状・施策
(1)「ながさき水源の森」の認定
〔林務課〕
近年、生活水準の向上等により、水需要は年々増加傾向にありますが、
一方、平成6年の異常渇水では、県内各地で水不足が問題となるなど、
供給量の不足が憂慮されます。
水資源に乏しい本県にとって、県土の60%を占める森林は、豊かで
良質な水の供給源であり、中長期の水資源対策を考えるとき、緑のダム
としての森林の果たす役割は大です。
そこで、各地の水源地・溜地・河川の取水場の上流の森林を「ながさ
き水源の森」として選定し、公表することにより、県民に緑のダムとし
ての森林の重要性をPRするとともに、県民の理解と協力のもとに森林
を守り育て、重要な水資源を次代に引き継ぎます。
・平成14年度までの実施状況:119箇所、22,570 ha
(2)優良農地の確保、農地の適正な耕作地利用
〔農政課〕
ア.中山間地域等直接支払制度の実施
A.優良農地の確保と効率利用(再掲)
平成14年度は、7市47町1村の農業生産条件の不利地域にお
きまして、約6,650ヘクタ−ルの農用地を対象に、農道や用排
水路の整備、畦畔の雑草及び耕作放棄地の管理を含め、稲作等を主
体としました農業生産活動等を通じ、水田の持つダム機能による水
源のかん養、洪水防止と景観維持の草花等の植え付けなど農山村地
域の多面的な機能の維持・確保が図られています。
(3)土砂の流出抑制
ア.砂防事業等
〔砂防課、林務課〕
〔砂防課〕
自然現象としての山腹等の浸食作用は絶えず進んでおり、この現象の
うち人間生活に影響を及ぼすのが災害です。当課では、これらの土砂災
害を防止・軽減するため砂防・地すべり・急傾斜事業を行っています。
平成14年度実施状況
・砂防事業
30箇所
・地すべり対策事業
30箇所
・急傾斜地崩壊対策事業
74箇所
135
イ.山地治山事業等
〔林務課〕
第2部
森林の維持造成を通じて、山地に起因する災害から、生命・財産を
保全するために、山地災害対策として、山地治山事業、防災対策総合
治山事業、地すべり防止事業等を実施しています。
平成14年度実施状況
・山地治山事業
18箇所
・防災対策総合治山事業
5箇所
・地すべり防止事業
9箇所
・自然災害防止事業
18箇所
・荒廃山地総合対策事業
11箇所
※山地災害危険地区着手率
26%
(4)治山治水事業等による安全なまちづくりの推進
〔河川課〕
ア.河川・海岸整備の推進
A.河川改修事業・海岸保全事業
河川改修事業や海岸保全事業により、自然環境の整備と保全を推
進しました。
(県下35河川・6海岸)
(5)森林の造成
〔林務課〕
山地からの土砂流出を防いだり森林資源の充実を図るため、間伐・枝
打等の森林保育を実施したり、森林の複層化・長伐期化や天然林の育成
を行った方に対し助成を行いました。
表2-2-4-1
平成13年度森林整備事業実績
事業名
流域森林総合整備事業
一般造林事業
公的分収林整備推進事業
保全松林緊急保護整備事業
広葉樹林整備特別対策事業
合計
森林整備 路網整備
(ha)
2,730
31
1,222
9
31
4,023
136
(m)
8,612
松くい虫
鳥獣害防
被害木処
止
理
(m)
( )
3,584
3,240
131
12,327
3,240
事業費
(千円)
648,445
14,216
310,928
2,760
42,922
9,726
2,760 1,006,237
課題
集落の農業者を主体に住民参加の話し合いによる優良農地の効率利用
のため、直接支払制度の推進強化の一つとして、地域における取り組み
の優良事例集を作成し、対象地域住民への意識高揚を図ります。
○
多面的機能強化のための遊休水田等の保全管理を推進します。
○
本県は全国第3位の土砂災害危険箇所を抱えており、その整備率は、
砂防4.4 %、地すべり6.5%、急傾斜21.0%と全国平均に比して極めて低
いものとなっているため、今後とも事業を積極的に推進していく必要が
あります。
○
本県は平地に乏しく、山からすぐ海に至る地形で、県の北部には地す
べり地帯があり、多くの離島・半島を有し、台風の常襲地帯に位置して
います。そのため山地災害危険地区が3,677箇所と多数あり、整備
率は26%と全国平均43%と比べて低いものとなっているため、今後
とも山地災害対策を積極的に推進し、山地災害危険地の整備を図ってい
く必要があります。
○
本県の治水施設の整備はいまだ立ち後れており、今後一層事業の進捗
を図る必要があります。
137
第2部
○
第3節
第2部
1
人と自然とのふれあい促進
自然環境教育のフィールドの提供
現状・施策
(1)グリーン・ツーリズムの推進
〔農政課〕
ア.長崎県グリーン・ツーリズム推進協議会事業の実施
県では平成8年に県グリーン・ツーリズム推進協議会を設立し、市町
村や農業団体の出資・協力及び国の支援を受けながら本県グリーン・ツ
ーリズムの啓蒙普及に努めています。
平成14年度は主に以下の事業を実施しました。
・「 るーらる長崎」等の情報誌の発行
・インストラクター養成講座の開催
・シンポジウムの開催
・インターネットによる情報発信等
イ.都市農村交流対策事業市町村事業の実施
平成13年度より市町村事業として国の支援を受けながら、都市農村
交流事業を実施しています。
・グリーン・ツーリズム推進地域育成事業(国1/2
町1/2)
大瀬戸町、西海町、外海町、森山町で実施
(2)自然に親しむ各種の行事の実施
〔自然保護課〕
人々が自然に対する理解を深め、自然を大切にしようとする心とモラル
を育成するため、自然公園の健全な野外レクリェーションの場である園地、
ビジターセンターや自然歩道等の施設を活用し、以下の自然に親しむ活動
等を通じ、自然教育を積極的に推進しています。実績は表2-3-1-1の通り
です。
138
表2-3-1-1
雲仙天草
国立公園
期
日
8月24日
行
事
名
内
容
(雷雨のため中止)
第21回長崎県
こども自然公園大会
開 催 地
主催者名
県 営 雲 仙 ゴ 雲仙観光協会
ルフ場
小浜町
「はだしで遊ぼう雲仙」
〃
7月20日
∼
8月29日
雲 仙 自 然 体 感 プ ロ グ 自然観察会
草木染め教室
ラム
雲 仙 公 園 ヒ ゙ 雲仙公園
ジターセンター
ビジターセンター
バ ー ド カ ー ビ ン グ 教 雲 仙 周 辺 の 運営協議会
室等
自然歩道
西海国立
公
園
4月29日
第13回
グリーングリーン
DAYin三井楽
清 掃 活 動 ・ 記 念 植 樹 白 良 ヶ 浜 万 グリーングリ
・ 万 葉 ウ ォ ー ク ス タ 葉公園
ーンDAY実
ンプラリー・乗馬体
行委員会
験・抽選会
〃
5月 5日
五島鬼岳で遊ぼう
ク ラ フ ト 教 室 ・ バ ラ 福江市
モ ン 凧 あ げ ・ 野 外 コ 鬼岳園地
ンサート・綱引き大
会等
〃
7月20日
第15回
蛤浜で遊ぼデー
蛤 浜 大 清 掃 、 地 引 き 蛤 浜 海 水 浴 有川町観光協
網、手作りイカダレ 場
会
ース等
〃
7月18日
∼
9月3日
野崎島ワイルドパーク
自然体験キャンプ
野崎島自然体験
野 崎 島 自 然 小値賀町
( 野 生 鹿 観 察 ・ 海 の 学塾村
自然体験・カヌー・
登山・釣り他)
〃
9月22日
嵯峨島体感ウォーク
自然歩道散策
自然観察
〃
3月2日
安満岳・鯛の鼻自然観察 自然観察会
会
壱岐対馬
国定公園
9月22日
自然観察会
九州自然
歩道
3月2日
自然観察
平成14年度
「 九 州 自 然 歩 道 を 歩 自然歩道散策
こう長崎県大会」
福江市観光協
会
三井楽町
嵯峨島
三井楽町
平戸市
平戸観光協会
安満岳∼鯛の
鼻
ア カ ハ ラ ダ カ の 渡 内山峠
厳原町
りと龍良山原始林 (アカハラ
の自然観察会
ダカ観察所 )
・龍良山原
始林
諫 早 市 土 師 長崎県自然公
野 尾 ∼ 花 ノ 園協議会
木∼長崎市
中里町
7月26日∼ 夏 休 み 昆 虫 工 作 教 室 昆 虫 等 の 造 形 物 を 工 たびら昆虫
8月24日
・ 夜 行 性 昆 虫 の 観 察 作 す る 、 夜 の 昆 虫 観 自然園
察会、他
会等
(3)自然とのふれあいを推進する指導者等の育成
田平町振興公
社
〔自然保護課〕
自然環境の保護及び自然公園の適正な利用を確保し、自然環境行政を推
進するためには、市町村及び民間の協力が不可欠です。自然保護活動の基
礎となる自然に親しみ、自然を育む心を醸成するには、民間指導者の自主
的な啓発活動に負うところが大きいのです。県は長崎県自然環境保全条例
に基づき、自然環境保全地域や自然公園を巡回し、自然環境の保全及び動
植物の保護の状況を把握するとともに、自然保護について指導するため自
139
第2部
公園名
自然に親しむ運動実績(平成14年度)
然保護指導員を委嘱し、県下各地域に配置しています。また、特に、国立
第2部
公園及び国定公園を保護しその利用の適正化を図るため、自然公園指導員
43名が環境省自然環境局長から委嘱されています。
も
り
(4)森林 とのふれあい
〔林務課〕
ア.県民の森
も
り
森林 とのふれあいを求める県民のニーズが高まっています。
県民の多様化するニーズに対応するため、県民ボランティアからなる
インタープリター(森の案内人)を平成12年度から14年度までに8
1名養成しました。
県民の森利用者に対して、インタープリター(森の案内人)は、自然
観察、ネイチャーゲーム、木工クラフト、オリエンテーリング及び星空
観察等得意な分野を重点的にきめ細かく解説指導しています。
お年寄りから子供まで、利用者は自然の理解を深め、県民の森に親し
んでいただきます。
(5)市民農園の整備
〔農村整備課〕
緑豊かな農村地域で、耕作放棄地などを活用して市民農園を整備し、都
市住民が農業と自然に親しむ環境づくりを推進しています。
平成14年度は、琴海町で0.9haの市民農園の整備を実施していま
す。
課題
○
受け入れ地域住民のグリーン・ツーリズムに対する意識が十分でなく、
現況では行政主導型となっており、県及び各町グリーン・ツーリズム推進
協議会の運営も民間レベルまで至っていません。
○
効果的なPRや情報提供システムの整備、体験指導者等の人材育成・確
保が必要です。
○
農林漁家、宿泊施設及び交流施設等関係機関の連携が十分でなく、魅力
ある商品につながっていません。また、離島等遠隔地では島内のアクセス
や交通費が課題となり、手頃な料金設定が難しい状況です。
○
今後、重点的に自然学習のための魅力あふれる活動プログラムづくり等
を行う必要があります。
○
県民の森のさらなるPRとが必要です。
○
市民農園の利用促進のため多くの県民の理解と、農園管理のための農家
の積極的な協力が必要です。
140
2
自然公園等利用施設の整備促進
第2部
現状・施策
(1)自然公園の利用状況
〔自然保護課〕
自然公園等の利用者数を把握することは、公園計画の策定及び施設整備
等の基礎資料となり、自然公園行政の推進に欠くことができないものであ
り毎年調査を実施しています。平成13年の利用者数は、13,914千人で
対前年比1%の減少となっています。
表2-3-2-1
国立公園
国定公園
県
立
自然公園
公園別利用者数調(単位;千人)
雲仙天草
西
海
小 計
壱岐対馬
玄
海
小 計
野母半島
多 良 岳
大 村 湾
島原半島
西彼杵半島
北
松
小 計
合 計
利
用
平成12 年
者
数
平成13 年
3,646
4,347
7,993
1,371
129
1,500
1,810
806
661
654
381
260
4,572
14,065
3,344
4,403
7,747
1,411
142
1,553
1,899
824
680
560
369
282
4,614
13,914
(2)国立公園・国定公園・県立自然公園の利用施設
対前年比
0.92
1.01
0.97
1.03
1.10
1.04
1.05
1.02
1.03
0.86
0.97
1.08
1.01
0.99
〔自然保護課〕
自然公園は人々が自然との交流を図る健全な野外レクリェーションの場
として、ますますその重要性が高まっていますので、地域にふさわしい利
用施設を計画的に整備し、快適で適正な利用の推進を図ることにしていま
す。公園施設については、自然環境に配慮しつつ、自然とのふれあいを求
める県民のニーズに応え、安全で快適な利用を推進するため、自然公園の
利用計画に基づき直轄、国庫補助、県単独、県費補助事業等により園路、
園地、休憩所、公衆便所、野営場、駐車場等公共的な施設の整備を年次計
画によって実施しています。
なお、平成14年度における自然公園の整備状況は、表2-3-2-2のとお
りです。
141
第2部
表2-3-2-2
公園名
市町名
国立・国定公園の整備状況(国庫補助事業)(平成14年度)
事 業 名
西
海 玉之浦町 七岳父ヶ岳線歩道
国立公園
佐世保市 鹿 子 前 園 地
規 模 及 び 構 造
事業費(千円)
歩道工 L=705m、標識工 一式
21,320
駐車場 A=3,838㎡、サイト造園 A =50㎡、
56,227
公衆便所(RC造水洗) 1棟
佐世保市 九 十 九 島 地 区
自然資源調査、利用実態調査、
10,000
環境共生調査費 検討会開催、計画策定
補助
生 月 町 生月島線歩道
歩道 L=692.7m、休憩所(木造) 1棟、
34,091
標識工 一式
壱岐対馬 上対馬町 三 宇 田 浜 園 地
国定公園
・野営場
勝 本 町 勝 本 園 地
シャワー棟(木造) 1棟、標識工 一式、
34,782
サイト造園 A=2,000㎡
休憩所(木造) A=121.5㎡
142
31,580
平成14年度長崎県自然公園等施設整備費県費補助金実績
(単位:円)
管轄機関 公園名
事 業 名
事 業 内 容
多良岳
竜頭泉
遊歩道橋
県立公園
遊歩道橋
事業額
補助額
備 考
(市町村名)
1基
5,250,000
2,100,000 継続事業
7,350,000
2,740,000 新規事業
7,212,450
2,200,000 新規事業
5,285,700
2,640,000 新規事業
5,838,000
2,646,000 継続事業
(東彼杵町) 設置工事
県
西海
柿の浜
シャワー室
北
国立公園
海水浴場
兼トイレ兼
振
(小値賀町) 整備事業
カヌー置場、 1棟
興
休憩所、
局
案内標識板、 3箇所
斜路整備
西海
御崎野営場
シャワー室
国立公園
整備工事
兼炊事棟、
(生月町)
1箇所
1箇所
1棟
卓 ベ ン チ 、 6基
案内標識板
1箇所
壱
壱岐対馬
清石浜駐車場
駐車場舗装、 一式
岐
国定公園
整備事業
木柵取替
一式
支
(芦辺町)
庁
対
壱岐対馬
豆酘崎園地
木柵
L= 130m
馬
国定公園
整備事業
舗装工
400㎡
支
(厳原町)
庁
合
計
30,936,150
143
12,326,000
第2部
表2-3-2-3
(3)九州自然歩道の整備
〔自然保護課〕
第2部
自然歩道の利用を促進するために、歩道の改修と老朽化した案内板や標
識等施設の補修等を実施しています。
図2-3-2-4
九州自然歩道ルート
佐世保市
国見山
弓張岳
隠居岳
烏帽子山
大島
川棚
虚空蔵山
経ヶ岳
五家原岳
大村市
多良岳
小長井
諫早市
長浦岳
時津
岩屋山
九千部岳
普賢岳
金比羅山
小浜
稲佐山
深江
高岩山
香焼
口之津
144
(4)雲仙公園
〔自然保護課〕
雲仙は島原半島の中央部に位置し,雲仙火山の主峰をなす普賢岳(1,
359 m)、国見岳(1,347 m)、妙見岳(1,333 m)、九千部岳(1,062 m)等
が急峻な山岳地形を形成していますが、平成2年にはじまった火山活動
により新たに平成新山(1,486 m)が加わりました。中腹部には雲仙地
獄と呼ばれる噴気地帯があり、周辺には旅館ホテルを中心とした雲仙温
泉街が形成されています。
県では明治44年、雲仙地獄周辺の官有地を県営温泉公園とし、雲仙
の優れた自然を活用し観光客、特に外国人客の誘致を図るため、全国に
先駆けて自然公園の整備、管理を開始しました。昭和9年、国立公園制
度の発足とともに、雲仙はわが国第1号の国立公園に指定されました。
戦前は外国人保養地、戦後は九州を代表する温泉宿泊地として発展して
きましたが、平成 2年11月に普賢岳が198年ぶりに噴火し、度重な
る火砕流の発生等により雲仙公園利用者が一時激減しました。その後は、
若干の増減はあるものの利用者も徐々に回復のきざしを見せています。
イ.雲仙公園の利用施設の整備と管理
雲仙公園のレクリェーション利用に供するため自然公園等整備事業に
より園地、駐車場、自然歩道等を整備しています。雲仙温泉地区の国有
地においては、環境省が直轄事業としてビジターセンター、雲仙地獄探
勝歩道を整備し、その他に国庫補助事業として県が田代原野営場、池ノ
原園地、宝原園地等の整備を行っています。これらの施設の管理は、直
轄事業分については 、(財)自然公園財団などで、国庫補助事業分につ
いては、県雲仙公園事務所が主に行っています。
また、県では自然公園の有料施設として雲仙ゴルフ場、仁田峠循環自
動車道路を運営しています。
A.雲仙ゴルフ場
大正2年に、県営施設として開設された日本最初のパブリックゴル
フコースで、広さは30ヘクタールあり、9ホールのコースとして多
くの人に親しまれており、昭和42年10月にはショートコース9ホー
ルが完成し、多様な利用が可能となりました。さらに 、「雲仙」が国
立公園指定60周年を迎えることを記念して、平成6年度に新しいク
ラブハウスが完成しました。
なお、平成14年度におけるゴルフ利用者は本コース(10,057人) 、
ショートコース(1,581人) 、計(11,638人) となり前年比で11.5%
減少しました。
145
第2部
ア.雲仙公園の概要
第2部
表2-3-2-5
種
別
雲仙ゴルフ場利用状況
年度
本コース
4月
(利用者数:
5月
6月
7月
8月
9月
人)
10月
13
704
1,153
760
1,811
2,291
1,259
859
14
735
1,097
773
1,547
2,099
1,352
796
シ ョ ー ト 13
14
コース
171
276
178
218
183
236
240
139
177
162
112
195
245
160
3月
合
計
種
別
年度
本コース
11月
13
884
12月
1月
2月
401
188
198
447
10,955
14
716
351
157
124
310
10,057
シ ョ ー ト 13
14
コース
242
156
45
91
152
2,188
119
71
61
47
93
1,581
B.仁田峠循環自動車道路
昭和11年に仁田峠∼終点(現在の下り線)5,802 m・幅員4.0 m
が完成し、さらに昭和31年に池ノ原∼仁田峠間(現在の上り線)4,
438m・幅員4.0m が整備され、総延長10,240m のうち一部国道に
移管され、現在の8,200m の区間が有料道路となっています。
昭和12年には定期バスが運行を開始しました。
平成14年度における車輌通行台数は、125,738台で前年比
で6.2%減少しました。
表2-3-2-6
4月
仁田峠循環自動車道路利用状況(台数)
5月
6月
7月
8月
9月
平成13年度
7,878
23,951
5,851
7,465
14,650
9,178
平成14年度
8,920
20,017
6,858
6,031
13,592
9,965
1月
2月
3月
計
10月
11月
12月
平成13年度
10,389
27,902
6,912
5,490
6,100
8,279
134,045
平成14年度
12,338
24,723
6,291
5,533
4,476
6,994
125,738
(5)国民宿舎
〔自然保護課〕
国民宿舎は、豊かな自然環境に恵まれた自然公園などの休養地において
健全な保健休養のため、国民のだれもが低廉な料金で、快適でしかも安心
して利用できる休養施設です。
本県には、表2-3-2-7のとおり、公営が8宿舎、民営が2宿舎あり、健
全な憩いの場として地域社会にとけこんでおり、宿舎としてばかりでなく
地域の集会などにも利用されています。過去、利用状況が低迷を続けた時
期もありましたが、近年、週休2日制等余暇時間が増えていくのに伴い、
国民宿舎の良さも見直されるようになってきました。
146
表2-3-2-7
公
営
宿
舎
名
設置主体名
所
在
地
収容人員
望洋荘
小浜町
南高来郡小浜町南本町10
国見山荘
世知原町
北松浦郡世知原町上野原免320-4
壱岐島荘
勝本町
壱岐郡勝本町立石西触101
120
つばき荘
福島町
北松浦郡福島町喜内瀬免655
102
くじゃく荘
川棚町
東彼杵郡川棚町小串郷272
149
プチホテルたびらんど
田平町
北松浦郡田平町野田免字ハエサキ210-6
81
96
南松浦郡新魚目町小串郷1087
108
上対馬荘
上県郡上対馬町大字西泊390
100
民
青雲荘
営
国民宿舎歌ヶ浦
考
100
しんうおのめ温泉荘 新魚目町
上対馬町
備
南高来郡小浜町雲仙小地獄
北松浦郡鹿町町下歌ヶ浦免105-1
課題
○
今後の自然公園における施設整備については、老朽化の進んでいる既存
施設について、バリヤフリー対策も含めた再整備や、自然公園の景観を楽
しむための展望を中心とした施設園地だけではなく自然観察や野外体験
等、自然学習の場としての施設整備を進める必要があります。また 、「エ
コツーリズム」といった新しい形態の公園利用にも十分対応できる施設整
備を行い、より一層公園の利用増加を図る必要があります。
147
第2部
区分
国民宿舎一覧
第2部
第4節
歴史的環境の保全と創造
1
歴史的環境の保全と創造
現状・施策
(1)文化財(史跡・名勝・天然記念物)の保護
〔学芸文化課〕
史跡、名勝、天然記念物等の文化財は、歴史上の、また、自然の貴重な
財産であり、これを保護することは重要なことです。これらの文化財につ
いては、国指定のものは「文化財保護法」で、県指定のものは「長崎県文
化財保護条例」で、市町村指定のものは「文化財保護条例」で保護の必要
性、方法が定められています。
文化財には、有形文化財、無形文化財等いくつかの種類がありますが、
この中で貝塚、古墳、城跡、その他の遺跡で歴史上又は学術上価値の高い
ものを「史跡」に、庭園、海浜、山岳、その他の名勝地で学術上又は観賞
上価値の高いものを「名勝」に、動植物及び地質鉱物で学術上価値の高い
ものを「天然記念物」に、それぞれ国、県、市町村で指定しています。
これらの指定文化財については、保護・保存に影響をあたえるような行
為について制限を行い 、定期巡視等も実施するなど、保護に努めています 。
なお、平成15年3月31日現在、県内の国、県指定文化財(史跡名勝
天然記念物)の件数は表のとおりです。
表2-4-1-1
指定文化財の指定状況(平成15年3月31日)
史跡
名勝
天然記念物
26件
3件
36件
(特別史跡を含む)
(特別史跡を含む)
県
96件
1件
102件
合計
122件
4件
138件
国
148
第3章
県民・事業者・行政のパートナーシップによる環境づくり
1
第2部
第1節
環境教育・環境学習等の推進
学校等における環境教育・環境学習の推進
現状・施策
(1)総合的な学習を中心とした体験的・実践的な環境教育の推進
〔学校教育課〕
ア.年間指導計画に位置づけた取組
県内494校の公立小・中学校学校で、年間指導計画に環境教育を位
置づけ、何らかの形で取り組んでいます。
また、関連する教科等(理科、社会科、技術家庭科、生活科、特別活
動)だけでなく 、「総合的な学習の時間」でも取り組んでいる学校が、
437校あります。
イ.研究指定校(県教委指定)
長崎市立川平小学校(平成15∼16年度)
ウ.表彰
職域において創意工夫育成功労学校として、東彼杵町立千綿中学校が
表彰されました。
(2)環境教育に関する教職員研修の充実
〔学校教育課〕
ア.県教育センター研修への参加
衛生公害研究所で学ぶ環境教育研修講座
小・中・高等学校教員9名が参加し、環境科学的な知識・技能につ
いて研修し、環境教育の指導力向上を図るとともに、学校教育の中で
実践できる環境教育のあり方を探る。
イ.全国的な研修への参加
A.全国環境学習フェア・環境教育担当教員講習会
環境教育に意欲的に取り組んでいる小・中・高等学校の教員7名が
参加しました、
(3)環境教育・環境学習等の推進状況
〔環境政策課〕
環境学習・環境保全活動を推進するため、こどもエコクラブの結成を
支援し、66団体が登録されました。
149
第2部
課題
○
環境教育関係研修の成果を環境教育の実践にどう生かすか、また、身近
な環境問題を素材にして、地域人材や施設を活用した体験的環境学習をど
う工夫していくかが課題です。
○
こどもエコクラブ事業では、クラブ数の拡大と活動内容の活性化を図る
必要があります。
150
2 社会における環境教育・環境学習の推進
第2部
現状・施策
(1)環境アドバイザー派遣事業
〔環境政策課〕
公民館、学校などが自主的に開催する研修会等に有識者・実践活動家な
どを講師として派遣しています。平成14年度は、リサイクル、エコクッ
キング、水生生物調査、星空観察など多岐にわたるテーマの研修会等に2
5回の講師派遣(受講者数:1,286人)を行いました。
(2)環境学習用ビデオの購入・貸し出し
〔環境政策課〕
環境問題に対する知識の普及や学習のために、環境関連のビデオを購入
し(所有本数100本 )、県民に貸し出しています。
(3)こどもエコクラブ
〔環境政策課〕
環境省の呼びかけで平成7年度からはじまった、小・中学生ならだれで
も参加できる環境活動のクラブです。平成14年度は県内で66クラブ、
1,792人が活動しました。
「長崎県こどもエコクラブ事務局」の事業として、各クラブの子どもた
ちの活動を支援ため、佐世保市の青少年の天地で「こどもエコクラブ交流
会」を開催し、活動報告や情報交換を行い交流を深めました。
(4)環境副読本
〔環境政策課〕
中学校における環境教育の学習参考資料として「私たちのくらしと環境」
を18,000部成し、県内の中学1年生全員に配布しました。
課題
○
学校、家庭、企業、地域社会における環境保全意識の高揚を図る環境教
育・環境学習の推進により、環境に配慮した行動を自主的に実践できる人
づくりが必要です。
151
第2節
第2部
1
自主的な環境保全行動の促進
県・市町村の環境保全に向けた取組の推進
現状・施策
(1)県の取組
〔環境政策課〕
県は、事業者であり消費者であるという立場に立ち 、「環境保全のため
の率先実行行動計画大綱 」(平成8年3月制定)を作成し、省資源や省エ
ネルギーなどの率先的な取組を行ってきました。その後、地球温暖化対策
の推進に関する法律に基づき、平成12年3月に地球温暖化防止を目的と
した「第一次長崎県温暖化対策実行計画」を作成し、省資源・省エネルギ
ーやリサイクルの推進、廃棄物の減量、グリーン購入などの目標を掲げて
環境保全に向けた行動に取り組んでいます。
(2)市町村の取組
〔環境政策課〕
市町村においても、県と同様な地球温暖化防止のための実行計画を策定
し、率先的な環境保全行動を行っています。
課題
○
事業者として環境保全のための行動をさらに推進していくとともに、行
政として事業者・県民と一体となった取組やそのための体制づくり、情報
提供を進めていくことが重要です。
152
2
県民の環境保全に向けた取り組みの推進
第2部
現状・施策
(1)ゴミゼロながさき推進会議
〔廃棄物・リサイクル対策課〕
平成15年2月の「ゴミゼロながさき推進会議」において 、「ゴミゼロ
ながさき実践計画」を策定しました。本計画は、本県の将来像である「ゴ
ミのない資源循環型の長崎県『ゴミゼロながさき 』」を形成するため、県
民・事業者・行政(県・市町村)が互いに協力し、それぞれの役割分担に
応じた目標の実現に向けての取り組みを示した、具体的な活動方針です。
県としては、本計画に基づく県民・事業者の実践活動を支援するため、
平成15年度から「ゴミゼロながさき推進事業」を展開しています。
(2)長崎県保健環境連合会
〔廃棄物・リサイクル対策課〕
県は、環境美化団体組織の充実強化と県下各地区での環境保全活動の推
進を図るため、各市町村の自治会組織で構成する長崎県保健環境連合会の
活動を支援しています。
同連合会では、昭和61年度から「保健環境推進委員制度」を設け、地
域環境保全活動のリーダーを育成するとともに、県と共催して「美しいふ
るさと推進大会 」(10月、東彼杵町)を開催するなど県民参加による環境
保全活動を積極的に展開しました。
また、地域における環境美化活動の輪を広げ、活性化し、定着させるこ
とを目的に民間ボランティア団体の育成、支援のための補助金交付を行っ
たほか、6月の空き缶回収キャンペーンや8月のクリーンながさき推進月
間を中心として、各市町村保健環境連合会と各種民間団体等が協力し、清
掃活動や緑化活動等の実践活動を展開しました。
(3)マイ・バッグ・キャンペーン
〔廃棄物・リサイクル対策課〕
ごみの減量化やリサイクルに対する住民・事業者の意識は高揚しつつあ
りますが、必ずしも実践が伴っていない状況です。
そのため、ごみ減量化の第一歩として、スーパー等での買い物の際は、
消費者及び事業者の自主的努力により削減可能である「レジ袋」に代えて
「買い物袋」を持参するよう推進し、住民・事業者の意識改革を推し進め
るため、特に10月を買い物袋持参運動の強化月間として、マイ・バッグ
・キャンペーン(買い物袋持参運動)を平成10年度より実施しています。
(4)NPO・ボランティア活動の支援
〔県民生活課〕
平成12年7月、長崎市大黒町に県民ボランティア活動支援センターを
開設し、ボランティアやNPO活動の支援を行いました。
ア.平成14年度利用人数:7,047人
153
イ.県民ボランティア活動支援センターにおける環境分野に取り組む市民
第2部
活動団体の登録数:10団体
ウ.主たる活動として環境保全に取り組むNPO法人の設立数:3団体
(5)環境アドバイザー派遣事業(再掲)
〔環境政策課〕
公民館、学校などが自主的に開催する研修会等に、有識者・実践活動家
などを講師として派遣しています。平成14年度には、リサイクル、エコ
クッキング、水生生物調査、星空観測など多岐にわたるテーマの研修会等
に25回の講師派遣(受講者数:1,286人)を行いました
(6)省エネチェックリスト(環境家計簿)の作成、配布
〔環境政策課〕
電気、ガス、水道、灯油、ガソリン、経由の使用料を記入し、省資源・
省エネルギーをこころがけるとともに、各使用料に排出係数をかけること
により、二酸化炭素の排出量も算出できる環境家計簿を作成しています。
平成14年度は、市町村や民間団体などを通じて一般家庭に簡易版(4ケ
月記入)3千部充実版(12ケ月記入)3千部を配布しました。
(7)ポスター展の開催
〔環境政策課〕
「地球環境保全」をテーマに、小・中学生による環境保全ポスターを募
集(応募数:1,731点)し、優秀賞(52点)について公表するとと
もに、県内デパートなど3ケ所で展示会を開催しました。
また、優秀作品は実用的なカレンダー型ポスターとして印刷し、各学校
等へ配布し、さらに作品は、環境副読本や環境家計簿等の表紙として使用
しました。
課題
○
県民に豊かで美しい自然を守り、清潔で快適な生活環境を求める意識の
高揚とともに、県民が環境保全のために自主的に実践活動に参加しようと
いう意識改革を促していくことが必要です。
○
廃棄物の発生を抑え減量化・リサイクルを推進するためには、県民、事
業者、行政が各々責任の下、確実に取組を実施していくことが重要です。
そのため 、「県民のゴミゼロ意識の確立」等を柱に、自主的実践行動と
して 、家庭でできるゴミの減量化やマイ・バッグ運動( 買い物袋持参運動 )
の推進等が必要です。
154
3 事業者の環境保全に向けた取り組みの推進
第2部
現状・施策
(1)エコショップの認定
〔環境政策課〕
簡易包装の実施や買い物袋の持参の奨励、トレイなどの店頭回収、再生
原料を使用した製品の販売など、環境に配慮した事業活動を実施している
小売り店舗をエコショップとして認定しています。平成14年度は、新た
に85店舗を認定し、平成10年度からの認定店舗は、504店舗(平成
14年度末現在)になります。
また、これらの店舗には、エコショップを示す認定書を配布しています 。
課題
○
事業者の取組状況の把握と環境保全活動の拡大を図る必要があります。
155
第4章
地球環境保全を目指す地域的取組と国際的取組
第2部
第1節
1
地球温暖化の防止
温室効果ガスの排出・吸収源対策
現状・施策
(1)温室効果ガスの排出量
〔環境政策課〕
我が国における平成12年度の温室効果ガスの総排出量は13億700
万トン(二酸化炭素換算 )で、京都議定書の規定による基準年(平成2年)
の排出量(12億2400万トン)と比較して約8 .0%の増加となって
います。
このうち、二酸化炭素排出量は、12億3700万トンで基準年と比較
して10.5%の増加となっています。
本県における二酸化炭素排出量は、平成12年度で1,016万トン、
前年度から0.2%減少し、県民一人あたりの年間排出量は6 .7トンと
なっています。
(2)地方公共団体の事務・事業に係る温室効果ガス排出抑制計画
〔環境政策課〕
ア.県の計画
県は、平成12年3月に「第一次長崎県温暖化対策実行計画」を策定
し、同年4月から温室効果ガス等の削減に取り組んでいます。
平成13年度の実績は表4−1−1のとおりです。
二酸化炭素排出量は、軽油などの燃料関係の排出量が427トン(前
年比1%)削減できたものの、電気使用量の増加による排出量の増加が
あり、前年度に比べ329トン( 前年比0 .5% )の増加となりました。
今後とも、目標達成に向け取り組むこととしています。
156
表4-1-1-1
第一次長崎県温暖化対策実行計画の平成14年度実績
10年度
14年度
(基準年度)
二酸化炭素排出量
内訳
燃料
削減率
(実績)
(%)
16年度(目標年度)
目標値
削減率
トン
71,416
70,426
1.4
燃料関係
トン
46,032
42,741
7.1
−
−
電気関係
トン
25,384
27,685
増 9.1
−
−
66,033
7.5
ガソリン
Kl
2,304
2,371
灯油
Kl
851
654
軽油
Kl
9,988
9,060
ジェット燃料 Kl
25
37
増 48
23
10
2,859
2,076
27
2,573
10
149
142
134
10
1,724
2,519
増 46
1,551
10
Kl
7
8
増 14
6
10
kWh
64,474
70,240
58,027
10
A重油
Kl
LPG
t
都市ガス
千m
その他燃料
電気使用量
3
コピー用紙購入量 千枚
146,468
20,424
増
2.9
23
9.3
4.7
増
8.9
18
2,074
10
766
10
9,565
4.2
117,174
廃棄物発生量
トン
3,591
2,795
22
3,232
廃棄物資源化率
%
−
22.7
−
50
20
10
−
イ.市町村の計画
市町村においても、県と同様に計画を策定し、地球温暖化防止の取組
を行っています。14年度までに、59市町村が作成しました。未策定
市町村に対しては、策定の技術的支援を行っています。
(3)公共交通機関の利用促進
〔交通政策課〕
長崎都市圏において、ゴールデン・ウィーク等交通混雑期において、チ
ラシ配布等により、マイカー自粛、公共交通機関の利用促進の啓発に取り
組みました。
課題
○
温室効果ガス排出量の削減のために、事業者や県民と一体となった取組
が必要です。
○
交通渋滞は依然と解消していないため、マイカー自粛、公共交通機関の
利用促進について、継続して啓発に努める必要があります。
157
第2部
調査項目
2
省エネルギーの推進・エネルギーの有効利用
第2部
現状・施策
(1)エネルギー使用量の現状
〔環境政策課〕
本県における燃料等エネルギー消費は、増加傾向にあります。
(2)省エネチェックリスト(環境家計簿)の作成、配布(再掲)
〔環境政策課〕
電気、ガス、水道、灯油、ガソリン、軽油の使用量を毎月記入し、省資
源・省エネルギーを心がけるとともに、各使用量に排出係数をかけること
により、二酸化炭素の排出量も算出できる環境家計簿を作成しています。
平成15年版は、市町村や民間団体を通じて一般家庭に簡易版(4ヶ月
記入 )、充実版(12ヶ月記入)3千部を配布しました。
(3)新エネルギーに対する取り組み
〔商工労働政策課〕
平成12年2月に、新エネルギー利用の促進と、それに伴う県内産業
の活性化を目的に「長崎県地域新エネルギービジョン」を策定するとと
もに、平成12年度及び13年度には、新エネルギー普及啓発のため「新
エネルギーフェア」や自治体連絡会議の開催、導入事例集の作成配布等
を行い、県民や市町村に対して、環境に優しい新エネルギーの紹介と導
入促進に取りくみました。
今後は、個別の案件毎に関連情報の提供や関係団体との連絡調整のサ
ポートを行っていきます。
(4)風力発電
〔商工労働政策課〕
本県は地勢的に風況がよく風力発電に適しているといわれ、特に市町村
において直営・第三セクターにより発電所が建設され公共施設の電源、あ
るいは売電がなされています。また近年は売電を目的として民間事業者の
参入も相次いでおり、九州でも有数の風力発電地域となっています。
(5)太陽光発電
〔商工労働政策課〕
太陽光のエネルギーは無尽蔵であり環境に優しいとされ、古くから給湯
を目的に利用されてきましたが、近年は家庭用を中心に小規模な発電設備
が普及しており、本県でも毎年500件程度設置されています。
158
課題
新エネルギーの導入やエネルギー消費効率の高い機器の購入、省エネル
ギーシステムの導入、さらに県民の省エネルギー意識の高揚と取組の実施
が必要です。
○
風力発電・太陽光発電は環境負荷が少なくクリーンな発電方式ですが、
風況・日射量など自然条件に左右され供給が不安定です。また、原子力・
化石燃料による大規模発電と比較すると発電コストが割高なことから、今
後は普及促進を図ることにより、生産コストの低廉化、技術革新による供
給安定化が必要です。
159
第2部
○
第2節
第2部
1
オゾン層の保護・酸性雨対策等の推進
オゾン層の保護対策の推進
現状・施策
(1)フロン対策の推進
〔環境政策課〕
平成14年4月に施行された「フロン回収破壊法」により、業務用冷凍
空調機、カーエアコンからのフロン回収が義務付けされました。
これに伴い、法の確実な施行を促すため、フロン回収業者に対する監視・
指導を行いました。
表4-2-1-1
業務用冷凍空調機器からのフロン回収実績(平成14年度)
フロンの種類
回収台数
CFC
HCFC
677
5、619.9
1,638
11、015.5
108
412.2
HFC
表4-2-1-2
回収量(Kg)
カーエアコンからのフロン回収の実績(平成14年度)
フロンの種類
回収台数
回収量(Kg)
CFC
8,942
3、060.5
HFC
2,761
1、539.4
課題
○
CFC等のオゾン層破壊物質は既に生産が規制されていますが、過去に
生産され、家庭用冷蔵庫、冷凍空調機器、カーエアコン等の機器に充填さ
れた形で存在しているCFCについて、機器が廃棄される際に回収・処理
を進めることが必要です。
○
家電リサイクル法及びフロン回収破壊法が施行され、製品中からのフロ
ン回収が義務づけられるとともに回収にかかる制度が設けられました。今
後は、法の内容やユーザーの費用負担等について、事業者・ユーザーへ周
知し、より円滑な回収・処理を進めることが必要です。
160
2
酸性雨対策の推進
第2部
現状・施策
(1)酸性雨調査
〔環境政策課〕
雨水自動採取装置による1降雨の調査を3市4地点で実施しました。p
Hの年平均値及び1降雨の酸性雨出現率を表4-2-2-1に示します。この
4地点での1降雨のpHの年平均値は4.6∼4.9の範囲にあり 、この値は 、
環境省が全国49地点で実施した第4次酸性雨調査結果(平成10∼12
年度)の範囲内(4.4∼5.9)でした。また、4地点での1降雨時の酸
性雨出現率及びpH年平均値の経年変化を表4-2-2-2に示します。
4地点以外にも、県では環境省が設置している酸性雨測定所(対馬・五
島)の管理及び運営を行うとともに、検体の採取・成分分析も行っていま
す。
表4-2-2-1
調
査
地
酸性雨の出現状況及びpHの年平均値(平成14年度)
点
降雨
pHの平均値
数
酸性雨出現率(%) 強酸性雨出現率(%)
1降雨
1降雨
1降雨
88
4.73
94.3
8.0
長崎市クリーンセンター
87
4.58
97.7
11.5
佐 世 保 市 保 健 所
76
4.63
96.1
5.3
県
62
4.86
93.5
1.6
式
見
央
ダ
保
ム
健
所
① 1降雨
:雨の降り始めから降り終わりまでの一連の雨をいいます。
② 酸性雨
:pH値が5.6以下の雨をいいます。
③ 強酸性雨:pH値が4.0未満の雨をいいます。
pHについて
中性
酸
0
1
2
3
性
4
アルカリ性
5
6
7
強酸性雨
酸性雨
161
8
9
10
11
12
13
14
表4-2-2-2
第2部
調査地点
1降雨の酸性雨出現状況及びpHの年平均値の経年変化
年
度
7
8
9
10
11
12
13
14
酸性雨出現率(%)
式見ダム
(pH≦ 5.6)
87.3 93.2 90.7 94.9 98.9 79.3 84.1 94.3
強酸性雨出現率
(pH<4.0) (%)
1.4
5.5
1.3
0.0
5.7
1.1
3.7
8.0
pHの年平均値
4.9
4.7
5.0
4.9
4.8
4.9
4.8
4.7
-
-
(pH<4.0) (%)
-
-
7.5
7.4
8.0
6.1
2.7 11.5
pHの年平均値
-
-
4.8
4.7
4.6
4.9
4.8
酸性雨出現率(%)
長崎市クリー (pH≦ 5.6)
ンセンター
90.0 95.1 98.9 89.0 90.7 97.7
強酸性雨出現率
4.6
酸性雨出現率(%)
佐世保市保健 (pH≦ 5.6)
所
97.1 97.2 98.5 95.3 97.4 83.1 90.9 96.1
強酸性雨出現率
(pH<4.0) (%)
7.4
9.7
1.5
4.7 11.5
6.5
7.6
5.3
pHの年平均値
4.6
4.5
4.6
4.7
4.9
4.7
4.6
4.6
酸性雨出現率(%)
県央保健所※ (pH≦ 5.6)
90.9 78.5 90.9 83.3 97.6 71.0 82.0 93.5
強酸性雨出現率
(pH<4.0) (%) 10.6
3.1
0.0
0.0
4.8
1.1
1.6
1.6
pHの年平均値
5.0
5.2
5.0
4.8
5.0
4.8
4.9
4.8
※平成9年度から調査地点を大村保健所から県央保健所に変更
課題
○
酸性雨の原因物質は、自動車、家庭から出るゴミの焼却、重油や石炭を
燃やして発電する火力発電所等から発生します。酸性雨の発生を防ぐには
私たち一人一人が資源やエネルギーのむだ使いをなくすことが重要です。
162
3
熱帯林の保護対策の推進
第2部
現状・施策
(1)熱帯林の保護
〔林務課〕
熱帯地域では、1年間に我が国の国土面積の3分の1に相当する森林面
積( 約1,300万 ha)が減少しています。主な原因は、農地への転用、
非伝統的な焼畑、過放牧等といわれています。
熱帯林再生のための技術的な国際協力等を推進すべきでありますが、平
成14年度、本県での取組みはありません。
課題
○
国(林野庁)では、基礎調査、先駆的技術の開発等の事業に取り組んで
おり、NGO等の民間活動の支援等も行っていますが、本県では取り組み
にいたっていません。
163
第3節
第2部
1
海洋汚染の防止
漂着油・漂流ごみ対策の推進
現状・施策
(1)漂着油による汚染対策
〔水産基盤計画課〕
例年、離島をはじめとした県内各地の海岸で、船舶事故や原因者不明の
漂着油事故が発生しています。
平成14年4月には平戸瀬戸において、愛媛県の船舶が座礁し燃料油が
流出、平戸瀬戸周辺から有川湾周辺まで広範囲に油が漂着しました。
このため県は 、「漂流油等による長崎県沿岸汚染対策要綱」に基づき、
関係部課である危機管理・消防防災課、環境政策課、漁政課において情報
の収集、伝達を行うとともに、海上保安部、関係市町村、関係漁協、県漁
連と連携して、油の回収除去や被害状況調査を行いました。
(2)漁場油汚濁被害救済基金への負担金拠出
〔水産基盤計画課〕
原因者不明の油濁による漁場被害に対する救済金の支給と油濁の拡大防
止、汚染漁場載清掃に要した費用の支払いを行うために設立された(財)
漁場油濁被害救済基金に対し、負担金を支出しました。
(3)漂着ごみ対策
〔廃棄物・リサイクル対策課〕
本県は、海岸線の延長が4,165kmにおよび、北海道に告ぐ全国第
2位の長さを誇る全国有数の海洋県です。また、地理的にも韓国や中国に
近い位置であるため、国内外からの様々な種類のごみが本県海岸に漂着し
ています。
このため、政府施策に関する提案・要望として 、「漂流及び漂着ごみの
対策」について国に提案を行うとともに、平成14年10月に「漂流・漂
着ごみ問題対策協議会」を設置し、県、市町村、関係団体による連携した
取組を検討しています。
又、日本海沿岸漂着物調査(( 財)環日本海環境協力センター)に参加
し、は壱岐、対馬の2海岸で例年調査をしています。
(4)海浜の環境美化対策
〔水産基盤計画課〕
本県では、その地理的条件から国内外からの原因者の特定できない様々
なごみが海面に漂流したり、漂着したりしています。
これらのゴミは、海浜の美観を損ねるだけでなく、漁場の汚染を招き、
また漁船等の航行の支障や漁船・漁具の損傷、沿岸漁場環境の悪化と水産
資源への影響が懸念されます。
このため海洋環境保全のための住民意識の啓発を図るとともに、海浜の
164
環境美化を進めるため、県・市町村・漁協等の漁業団体で組織する「長崎
日までの30日間の推進期間中にポスター・新聞等による環境美化キャン
ペーンを行うとともに、県下一斉浜そうじを実施しました。
また有明海の漁場環境を改善するため、本県と佐賀・福岡・熊本の有明
海沿岸4県で組織する「有明海沿岸4県漁場環境保全総合美化推進事業推
進協議会」が、有明海の漁場環境保全に関する啓発活動、並びに夏季を中
心に漁船による漂流ゴミの回収や海浜清掃を行いました。
課題
○
漂流油・漂流ごみによる沿岸環境の悪化を防止するためには、市町村、
海上保安部等の関係機関との連携のもとに、監視・防除体制を確立すると
ともに、回収活動の実施、環境保全のための住民意識の啓発等が必要です 。
○
本県における漂流漂着ごみ問題に関し、県と市町村が協力し、実情を把
握するとともに、国にも施策を提案・要望しながら、効果的な対策を実施
していく必要があります。
165
第2部
県海と渚環境美化推進委員会」が中心となって、7月15日から8月13
第4節
第2部
1
国際的取組の推進
環境保全のための国際協力の推進
現状・施策
(1)日韓海峡沿岸環境技術交流事業
〔環境政策課〕
平成4年8月に開催された九州北部4県(福岡県、佐賀県、長崎県)と
韓国南岸1市3道( 釜山廣域市、全羅南道、慶尚南道、済洲道)による「日
韓海峡沿岸県・市・道知事交流会議」での協議事項を踏まえ、平成5年1
0月に福岡市で「日韓海峡沿岸環境技術交流会議」が開催されました。こ
の会議での合意事項に基づき、日韓両地域での環境問題や環境行政施策等
に関する情報交換及び両地域間での友好と相互理解を深めるとともに、環
境に関する共同事業等の展開を図ることを目的に事業を実施しています。
なお、平成12年度より山口県が事業に正式参加しました。
平成14年度からは 、「日韓都市間大旗汚染度比較評価」に取り組み、
黄砂等による視程障害現象や、浮遊粒子状物質による健康被害の懸念につ
いて日韓の都市間の大気汚染物質調査、解析を行っています。
また、環境問題に対する共同施策として、平成15年度から3ケ年間、
両国において「海の環境美化キャンペーン」を実施することで合意しまし
た。関係8県市道の知事メッセージの発進や、世界環境デーを中心とした
環境美化活動を実施していきます。
課題
○
環境に関する共同調査研究ばかりではなく、環境問題や環境行政施策等
に関する情報交換及び共同施策の推進を図る必要があります。
166
第5章
第2部
1
環境保全のための共通的基盤的施策の推進
適正な土地利用の推進
現状・施策
(1)長崎県土地利用基本計画の基本方向に沿った環境に配慮した
土地利用の推進
〔土地対策室〕
土地利用関係各課との調整を図り、長崎県土地利用基本計画の変更を行い
ました。
・変更内容
都市地域13ha拡大、農業地域153ha拡大、
森林地域18ha縮小、白地地域42ha縮小
(2)市町村国土利用計画策定への支援
〔土地対策室〕
市町村が行う国土利用計画策定の支援を行いました。
167
2
調査研究・技術開発の推進、監視観測の充実
第2部
現状・施策
(1)衛生公害研究所の調査研究の推進
〔衛生公害研究所〕
ア.研究体制の強化
衛生公害研究所は、長崎県における保健環境行政施策の展開を図るうえ
で、その支えとなる科学的情報の提供を担う中核的な試験研究機関であり、
組織は1課2部(4科)の構成です。
近年の社会経済の発展に伴って生じる環境問題は変貌しており、地球規
模での環境問題から、都市生活型の大気汚染や水質汚濁、廃棄物の処理や
リサイクルに係る問題、化学物質による環境汚染など、地域環境問題が生
じています。これらに的確に対応するために、所要の調査、研究を実施し
ています。
平成14年度の業務の主なものを下記に示しますが、本県が我が国の西
端に位置していることから、国境を越えた酸性化物質の移流機構解析調査
など東アジア規模の広範な調査研究や、国及び九州各県と連携を取りなが
ら実施している酸性雨調査、また、大村湾の水質汚濁など閉鎖性水域の富
栄養化問題や環境ホルモンなどの化学物質による環境汚染の実態調査及び
イボニシへの生態影響調査、廃棄物の再資源化研究など、地域環境の状況
を的確に把握し対策に資するための試験検査、調査研究を実施しました。
業務内容は下記の通りです。
A.大気関係
・大気環境常時監視
・煙道排ガス測定
・酸性雨調査
・ダイオキシン類測定
・悪臭調査
・溶融スラグ有効利用指針作成
B.水質関係
・大村湾水質浄化対策に係わる調査研究
・イボニシに対する環境ホルモン影響調査
・公共用水域水質測定
・地下水質測定
・化学物質環境汚染実態調査
・工場・事業場排水測定
・河川の生物学的水質判定
・トリハロメタン生成能調査
・諫早湾干拓調整池に係る調査
・環境ホルモン調査
・藻類の有効利用による閉鎖性水域の浄化研究
・自然水質浄化機能活用実験事業
C.その他
・廃棄物に係る調査、研究
・環境教育
・環境放射能測定
・保健所職員等の研修指導
・温泉の理化学検査
168
イ.試験検査、調査研究業務
A.大気環境常時監視
大気環境について一般環境大気測定局45局及び自動車排ガス測定局
5局の計50局で、また、石炭火力発電所の煙道排ガス測定局7局で常
時監視を行いました。
B.酸性雨等調査
昭和58年、国の酸性雨一斉調査に合わせ長崎市式見、大村市(平成
9年諫早市に移設)において雨の自動採取器による毎降雨時の調査を開
始し、平成元年、平成6年にはそれぞれ対馬、五島に測定局を追加設置
し継続して調査しています。
C.煙道排ガス測定
大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律並びにダイオキ
シン類対策特別措置法に基づき、廃棄物焼却炉24施設について排ガス
中のダイオキシン類を測定しました。
D.溶融スラグ有効マニャアル作成
一般廃棄物の焼却溶融により発生するスラグの有効利用を図るための
調査研究を行いました。
E.公共用水域水質監視
大村湾海域、流入河川等27地点(海域18、河川19)について水
質の汚濁状況の調査を実施しました。
F.諫早湾干拓調整池及び流入河川調査
調整池の水質保全対策に資するため、水質、プランクトン、底質等の
調査を調整池10地点、流入河川等14地点で実施しました。
G.地下水質調査
トリクロロエチレン等の化学物質で汚染された井戸の定期モニタリン
グ調査や硝酸性窒素等の汚染等の概況調査を実施しました。
H.環境ホルモン調査
県内の主要な河川、海域、地下水等について、環境ホルモン(ビスフ
ェノールA等)の実態調査を実施しました。
I.イボニシに対する環境ホルモン影響調査
環境ホルモンの影響によるイボニシのメスのオス化( インポセックス)
現象の現状調査と調査地点の有機スズ濃度を測定しました。
J.自然水質浄化機能活用実験事業
農村集落排水処理施設の窒素、リンの高度処理として、植物を利用し
た水質浄化実証試験に取り組みました。
K.大村湾水質浄化対策に係わる調査研究
大村湾内での浅場、人工海浜、藻場の浄化効果による水環境浄化手法
の導入検討を行うため、また、陸域からの窒素、リンの負荷削減のため
の廃棄物等を活用した浄化装置の技術開発等を行うため、事前の予備試
169
第2部
平成14年度の主な試験検査、調査研究業務は次のとおりです。
験及び調査等を実施しました。
第2部
L.生物を用いた内湾環境修復研究
簡単な曝気を行いながら、養殖カキによる内湾での栄養塩基の除去手
法に関する実証試験を行うため、対象内湾(形上湾)の現状把握調査及
び予備実験等を実施しました。
M.東アジア規模の粒子状物質動態解明とその影響に関する研究
大気中の粒子状物質が、水環境、河川生態、森林生態に与える影響を
把握するために、雲仙で採取された霧氷の成分分析と汚染物質起源の推
定を行いました。
N.日韓都市間大気汚染度比較評価
日韓海峡沿岸環境技術交流事業として、視程障害と大気汚染物質との
関連を調査しました。
ウ.指導講習
平成14年度の主な研修指導は次のとおりです。
A.環境関係測定技術研修
県立保健所担当職員を対象に、水質の一般項目及び栄養塩類の分析研
修を実施しました。
B.環境アドバイザー事業
地域団体等を対象に、自分たちの身近な環境問題について講演しまし
た。
C.水生生物による水質調査指導
地域団体、小学生を対象に、現地河川で水生生物調査を実施するとと
もに、水質保全の啓発を行いました。
D.環境教育に関する研修
県内の小中高の学校の教職員を対象に、環境教育に係る実習、講演等
を実施しました。
(2)産学官連携による取り組み
(科学技術振興課)
地域結集型共同研究事業(平成13∼18年度)
「ミクロ海洋生物の生理機能活用技術の開発」
A.研究機関
長崎大学、長崎総合科学大学、県立長崎シーボルト大学、佐世保工業
高等専門学校、総合水産試験場、衛生公害研究所、工業技術センター、
三菱重工業㈱長崎研究所 等
B.研究成果
生物生産の場としての沿岸・内湾域の海洋環境を把握・保全し、かつ、
生物生産を最大限に発揮させるために、ミクロ海洋生物(微生物、プラ
ンクトン、藻類等)の生理・生態を多角的に活用する技術を開発します 。
170
(3)工業技術センターの取り組み
(工業技術センター)
「仔魚・餌料プランクトンの行動モニタリング技術の開発」
A.研究機関
工業技術センター、宮崎大学工学部、長崎大学工学部
B.研究内容
仔魚・餌料プランクトンの行動を動画処理技術により自動的にモニタ
リングする装置を試作し、その原理の実証及びシステムの有効性の確認
を行います。
平成13年度は、研究計画の立案と機器の導入を行い、平成14年度
は、二次元で仔魚・餌料プランクトンの動きを測定する装置を工業技術
センターで試作しました。
イ。
「カキのいかだ養殖に適した曝気装置の構造と運転制御システムの研究」
(平成13∼14年度)
A.研究機関
工業技術センター、海洋科学技術センター、衛生公害研究所
B.研究内容
カキ養殖の効果的な環境改善対策として、従来より安価な曝気装置と
その運転制御システムを開発します。
平成13年度は、曝気装置を備えたカキ筏曝気装置の設計検討を行っ
た。
(4)窯業技術センターの取り組み
〔窯業技術センター〕
ア.中小企業技術開発産学官連携促進事業(平成11∼14年度)
「低温焼成セラミックスの開発」
A.研究機関
京都市工業試験場、福井県工業技術センター、北海道立工業試験場、産
業技術総合研究所
等
B.研究成果
陶磁器くず、廃石膏型等の窯業廃棄物のリサイクル技術の開発を行い
ます。
平成14年度は、引き続き、低温で焼成したセラミックスの特性につ
いて評価を行うとともに、内装材への展開を図るため、加飾技術につい
て検討を行いました。また、調湿内装建材の市場動向に関する調査を行
い、成果普及講習会を行いました。
(5)総合水産試験場の取り組み
〔総合水産試験場〕
総合水産試験場は、本県水産業の振興を技術開発の分野から積極的に支援
していくため 、「資源管理型漁業の推進(資源の評価、資源状態に合った漁
171
第2部
ア。地域結集型共同研究事業(平成13∼18年度)
具漁法の開発等 )、「栽培漁業の推進(放流種苗の量産技術開発、効果的種
第2部
苗放流手法の開発等 )」、「漁場環境保全(沿岸漁場改善手法開発、赤潮発生
機構解明等 )」、
「 魚類養殖業の安定( 新魚種や環境配慮型の養殖技術開発等」、
「水産物の高度利用(低・未利用資源の有効利用、消費者ニーズ対応の加工
技術開発等 )」などに重点を置いた調査研究に取り組んでいます。
平成14年度の取り組み状況は以下の通りです。
ア.長崎市福田地先および小佐々町楠泊地先において、底質改良剤散布漁場
の効果追跡調査を実施し、底質の改善状況についての検討を行いました。
イ.伊万里湾と大村湾において、有毒プランクトンモニタリング調査として
夏季を中心に海況・水質・プランクトンの動向(伊万里湾4回、大村湾
2回)・底質(各湾1回)調査を実施しました。
ウ.有明海と橘湾において、有害赤潮種シャットネラについて、赤潮発生予
察手法を開発するため、発生消滅過程の把握を目的として、夏季に遊泳
細胞出現状況等の調査(各海域3回)と夏季にシスト調査を実施しまし
た。
エ.大村湾において、有害赤潮種ヘテロカプサについて、赤潮発生予察手法
を開発するため、同種の出現状況調査を夏季以降に実施しました。
オ.赤潮による被害防止の一助として県内の赤潮発生状況についての情報を
収集し、関係機関等に連絡しました。また、特に養殖魚介類への危険が
予想される場合には注意報を出し、漁業者への指導を行いました。なお、
平成14年次には、赤潮は36件発生し、うち漁業被害を伴ったものが
1件ありました。
カ.美津島町において赤潮対策等についての研修を行いました。
キ.干潟域の環境改善のための方策として、諫早湾内小長井地先で増殖可能
な貝類の調査と環境調査を実施しました。また、覆砂が、底泥からの栄
養塩基溶出や底泥の酸素消費をどの程度抑制するかについても調査しま
した。
(5)総合農林試験場の取り組み
〔総合農林試験場〕
総合農林試験場は、長崎県の農林業の振興を図るために、その支えとなる農
林業の研究・開発を行っている試験研究機関です。
本場(諫早市)及び2支場では、農作物のうち水稲、麦、大豆、野菜、ばれい
しょ、花き、林業、茶等の農林産物の生産技術並びに経営、農業機械、土壌肥料、
病害虫、流通加工、バイオテクノロジー等についての試験研究を実施していま
す。
試験研究の方向として、長崎県農林業の地域特性に応じた主産地育成の推
進を基調とし、農産物の高品質生産や省力化技術確立等の時代の要請に応え
つつ、農家所得の向上を目指して明日への新しい技術開発と地域の抱える課
題に即応する技術確立を目標に研究を進めています。
172
平成14年度の取り組み状況は以下の通りです。
ヘアリーベッチ、レンゲ、クリムソンクローバー等による抑草効果、水
稲基肥としての効果を検討しました。
イ.地力維持作物に肥効調節型肥料を組み合わせた地域特産畑作物肥培管理
技術の開発緩行性肥料利用による肥料節減効果について検討しました。
ウ.耕種的病害虫防除技術の開発
緑肥鋤込みによるばれいしょそうか病軽減効果、線虫抑制効果について
検討しました。
エ.環境に優しい資材等の利用技術の開発
ばれいしょ、レタス、タマネギ、かんしょ用生分解性マルチの選定試験
を行いました。
オ.森林のモニタリング研究
地球温暖化に係わる炭酸ガスの吸収源としての森林の働きが注目されて
います。森林の状態と変化を客観的調査により把握し、その保全に努めた
森林資源モニタリングを実施しました。
カ.未利用資源活用促進事業
農業集落排水汚泥等の利活用に関する試験を行い、ビデオ等花壇用草花
に利用可能であることを明らかにしました。
キ.環境保全型農業技術の確立
畜通ふん等堆肥の特性解明及び水稲、アスパラガス、レタス、バレイシ
ョ、ニンジンの環境保全的施用技術の確立試験を行いました。
ク.自然水質浄化機能活用実験事業
農業集落排水施設から排出される処理水について各種植物の水質浄化機
能の可能性を検討し、シュロカヤツリ、カラーが自然水質浄化対策導入植
物として有望であることを明らかにしました。
ケ.トマト黄化葉病防除技術の確立
トマト黄化葉病の簡易診断技術の確立と発生生態の解明及びその防除対
策試験を行いました。
コ.ジャガイモシストセンチュウの環境保全型防除技術の確立
抵抗性品種を用いたジャガイモシストセンチュウの耕種的防除法及び出
芽細菌を利用した生物的防除法について試験しました。
サ.総合的病害虫管理推進事業
メロンえそ斑点病のに対する臭化メチル代替防除技術確立試験を行いま
した。
シ.茶の環境保全型栽培体系確立
茶の減肥・減農薬による環境保全型栽培技術確立試験を行いました。
173
第2部
ア.雑草抑制緑肥を利用した肥料・農薬節減型水稲移植栽培技術の確立
(6)果樹試験場の取り組み
〔果樹試験場〕
第2部
ア.果樹病害虫の低コスト・少資材年間防除体系の確立
薬剤散布に偏りすぎた病害虫の防除体系の改善を図るため、病害虫の発
生予察と被害許容水準の解明による効率的な防除回数低減技術の確立及び
生物的、耕種的防除法の活用による少農薬、低コスト防除技術の確立に取
り組みました。
イ.有機物活用による化学肥料節減技術の開発
周辺水域へ環境負荷をかけない環境保全型農業を果樹園でも実践するた
めに、堆肥など有機物の肥料的評価を行い、有機物活用による化学肥料節
減技術の確立に取り組みました。
(7)畜産試験場の取り組み
〔畜産試験場〕
畜産試験場は、長崎県における畜産振興を図るうえで、その支えとなる
畜産技術の研究・開発と技術者養成を担う試験研究機関です。
本場は、1課、3技術科で構成され、乳用牛、肉用牛、豚、鶏、草地飼
料の生産管理技術及びバイオテクノロジー、放牧管理、家畜排せつ物処理
利用技術等を中心に試験研究を行っています。
環境問題については、家畜ふんの堆肥化や利用促進を図る技術について
の検討や農家に対する適正処理に関する啓発を行っています。
また、養豚経営における尿汚水浄化における窒素・リン除去の高度化技
術にも取り組んでいます。
ア.家畜ふん尿の堆肥化・利用促進技術の開発
平成16年より「家畜はいせつ物の管理の適正化及び利用の促進に関す
る法律」が完全施工されるため、家畜はいせつ物の不適切な処理方法(野
積みや素堀り)を解消することが当面の大きな課題であり、畜産試験場で
は、低コストで維持管理が易しい処理施設の開発・普及に向けた試験を実
施しています。
イ.家畜尿汚水浄化技術の検討
養豚の尿汚水処理施設の適正な規模を算定するため、排出する尿汚水中
の汚濁負荷量の調査を行っています。
また、水質保全を目的に活性汚泥法による処理水中の窒素・リンなどの
除去率向上技術について検討を行っています。
ウ.畜産用尿汚水処理施設の実証展示
畜産環境規制の強化に伴い、十分な農地を持たない養豚経営では、尿汚
水の浄化処理施設を整備する必要があります。そのため、建設費や運転経
費が安く、維持管理が容易で耐久性が高いOD(オキシデーション・ディ
ッチ)型回分式活性汚泥法の汚水処理施設を場内に実証展示し、農家への
普及に取り組んでいます。
174
(8)一般環境調査研究
〔環境政策課〕
全般にわたって監視、観測を実施しました。さらに地域特性を生かした科学
技術の振興を効率的、効果的に進めるため、地域における科学技術振興策と
して民間企業、大学、工業技術センターなど県の試験・研究機関と連携し産
学官共同研究に取り組みました。
また、酸性雨や環境ホルモンなどの研究は国立環境研究所や他県の研究所
と連携し、調査研究を実施しました。
(9)放射能調査研究
〔環境政策課〕
本県では、昭和36年度以降、科学技術庁(現在の文部科学省)の委託と
して環境放射能水準調査を毎年実施しています。
この調査では、全ベータ線放射能調査(降雨ごとの測定 )、核種分析調査
(γ線の存在核種ごとの放射能濃度の測定)、空間線量率調査(月1回のサ
ーベメータによる測定と併せて、環境モニタリングボストによる毎時自動連
続の測定)を行いました。
この調査結果(資料集参照)から異常な環境放射能は検出されませんでし
た。
また、原子力潜水艦の寄港に伴う放射能調査についても、昭和39年度以
降、科学技術庁、佐世保市等により毎回実施しています。更に、文部科学省
により入港時以外に、3か月に1回、定期的な海水、海底土及び海生生物等
調査も行われています。
平成14年度は原子力潜水艦が25回寄港しましたが 、「放射能分析評価
委員会」及び「原子力軍艦放射能調査専門家会議」において検討、評価が行
われ、従来の佐世保港における放射能水準に比して、有意な差は認められな
いという結果が出されました。
(10)廃棄物資源化技術の開発
〔廃棄物・リサイクル対策課〕
平成13、14の2ケ年にわたり、産、学、官からなる「長崎県溶融スラ
グ有効利用マニュアル作成委員会(委員長:長崎大学工学部棚橋教授)を中
心に、溶融スラグの土木・建設資材への適正利用を促進するために必要とな
る基本事項について検討し 、「長崎県溶融スラグ有効利用指針(案 )」をま
とめました。
175
第2部
長崎県衛生公害研究所では、長崎県の大気、水質、土壌、地下水など環境
課題
第2部
○
「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」が平成11
年に施行されたことにより、家畜排せつ物の不適切な処理方法(野積みや素
掘り)を解消することが当面の大きな課題です。畜産試験場でも低コストで
維持管理が易しい処理施設の普及に向けた試験に取り組んでいます。
○
それぞれの試験研究課題は環境保全を前提に実施されていますが、特に土
壌肥料や病害虫部門では環境に優しい農業技術確立を目指した課題に今後も
積極的に取り組みます。
○
産学官共同研究の推進とともに、地域における持続的発展が可能な環境と
共生する技術の導入、普及を目指すことが今後の重要な課題となります。
また、地道ではありますが、従来の監視観測体制の充実強化も必要です。
○
科学技術庁の委託による環境放射能水準調査や原子力潜水艦の寄港に伴う
放射能調査についても今後、県民の生活環境の保全上の観点からも必要です。
176
3
環境配慮の推進
第2部
現状・施策
(1)環境アセスメント審査
〔環境政策課〕
環境影響評価制度の推進を図るとともに、平成2年に制定されたリゾート
開発に係る環境保全対策の基本方針等に基づき地域環境の保全を図っていま
す。
ア.環境影響評価の審査
A.環境影響評価法及び長崎県環境影響評価条例に規定する対象事業の環
境影響評価の審査
B.審査件数
審
S55∼H12
道路
15
港湾
33
査
終
H13
審査中
H14
H14年度末
2
鉄道・飛行場
2
1
事業場・工場
23
2
団地
了
1
1
6
1
埋立・干拓
29
1
リゾート
12
5
ダム
1
3
エネルギー備蓄
2
1
その他
22
合計
145
3
2
1
3
15
イ.環境影響評価制度の推進
昭和55年制定以来19年が経過していた長崎県環境影響評価事務指導
要綱を全面的に見直しを行い、長崎県環境影響評価条例を制定 (平成11
年10月19日公布、平成12年4月18日全面施行)し、環境影響評価実務
者を対象とした説明会を長崎市と佐世保市で開催しました。
また、制度啓発のため県広報に掲載したほか、リーフレットを作成し配
布しました。
課題
○
情報公開の方法として、インターネット利用の研究が必要です。
177
4
環境情報の整備と交流
第2部
現状・施策
(1)環境情報総合システムの構築
ア.環境情報の整備状況
〔環境政策課〕
平成14年度中に「 長崎県の環境ホームページ 」を開設し、県下の大気、
水質に関する環境情報はもとより、環境関連の各種情報を一元的に整理し
ます。
課題
○
総合的な情報収集・発信機能の整備が必要です。
○
長崎県の環境ホームページを設置することにより、県内の大気、水質等の
挙動以外にも長崎県の環境行政の動向等を発信しつつ、県民に身近な環境情
報を手軽に入手できるようにすることが必要です。
178
5
公害苦情と公害紛争の適正処理
第2部
現状・施策
(1)公害苦情受付
〔環境政策課〕
県や市町村の公害担当部署には、公害紛争処理法第49条第2項に基づく
公害苦情相談員や公害苦情担当職員が配置されており、その受付、処理にあ
たっています。
表5-5-1
公害苦情受付件数
平成13年 平成14年
合
計
小計
公
害
939
948
600
583
典
大気汚染
198
227
型
水質汚濁
124
120
7
土壌汚染
3
1
公
騒音
107
107
害
振動
4
2
104
126
339
365
の
地盤沈下
悪臭
種
典
類
公害苦情
の受付
(2)公害紛争処理
小計
型
電波障害
7
不法投棄
230
233
公
ふん・尿の害
18
10
害
害虫等の発生
9
14
以
動物死骸の放置
13
1
外
その他
69
107
県
155
147
市町村
784
801
〔環境政策課〕
公害に係る紛争について、迅速かつ適正な解決を図るため、公害紛争処理
法に基づき、公害審査委員候補者を委嘱し、あっせん、調停等公害紛争を処
理する体制を整えています。
(3)公害事犯
〔長崎県警察本部生活保安課〕
警察は、広域な産業廃棄物の不法投棄事犯など環境破壊行為を「環境犯罪 」
と位置づけ、その対策を推進中です。
特に、組織的、計画的、広域にわたる産業廃棄物不法投棄事犯、有害廃棄
物事犯及び野焼きを伴う廃棄物事犯、暴力団が関与する事犯、行政指導を無
視して行われる事犯を重点に取り締まりを実施しました。
179
第2部
表5-5-2
取締法令
過去5年間の公害事犯検挙状況
平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年
廃棄物
件数
17
24
29
32
40
処理法
人員
28
28
33
35
57
課題
○
関係法令で厳正に対処できる場合を除いては、繰り返し発生する事例が多
く当事者間で納得、理解を得るまでの相談等協議を重ねる必要があり、その
解決に時間を要することが多くみられます。
180
6
環境管理システムの促進
第2部
現状・施策
(1)環境マネジメントシステムの取組
〔環境政策課〕
近年、環境保全に対する関心の高まりから、全国的に環境マネジメントシ
ステムの構築に取り組む企業が増えています。
県自らも1事業者という認識に立ち、平成15年3月にISO14001
を認証取得しました。県内の自治体では、長崎市、佐世保市、上五島町が取
得しています。
(2)ISO14001等の認証取得促進
〔商工金融課・産業振興課〕
ISO9000:14001の認証取得を目指す県内の中小企業に対し、
認証取得資金貸付、コンサノタント斡旋、認証取得のための研修会等の開催
を実施しました。
・平成14年度ISO認証取得資金貸付実績
(内
ISO14001
・平成14年度コンサルタント斡旋実績
(内
8件
35,059千円
3,456千円)
17件
ISO14001
実績無し)
・平成14年度ISO認証取得のための研修会等の開催実績
トップセミナー
8回
(9000関係のみ)
内部監査員要請講座
6回
(9000関係のみ)
課題
○
循環型社会の形成を図るため、環境マネジメントシステムの手法を用いて、
継続的に環境負荷の軽減に努める必要があります。
県自らも、システムを活用したエコ・オフィス活動を、組織全体で取組む
ことが必要です。
181
第2部
7
誘導的措置の活用等
現状・施策
(1)廃棄物の発生抑制・減量化に対する誘導的措置
〔廃棄物・リサイクル対策課〕
ア.ゴミの発生抑制・減量化目標の設定
平成13年度に策定した「長崎県廃棄物処理計画」において、ゴミのな
い、資源循環型の長崎県「ゴミゼロながさき」を形成するため、将来の目
標値を設定しました。
(現
状)
平成11年度の排出量
県民一人一日当たりの排出量
(目
標)
平成17年度の排出量
県民一人一日当たりの排出量
63
万トン
1,120 g/人日
58.6万トン
1,086 g/人日
イ.ごみ処理手数料の有料化
最終処分場が逼迫している中、ごみの減量化を進めるためには、ごみ処
理手数料の有料化が効果的な手法の一つです。また、受益者負担の原則を
周知することで、地域住民への啓発効果もあり、本県でも75の市町村に
おいて導入されています。
(2)公的支援
〔産業振興課〕
14年度においては、各種の助成事業を活用し、環境関連分野の技術に対
する研究開発や商品化、企業化等に対して、8件、合計28,897千円の
補助金の助成を行いました。
ア.中小企業経営革新支援事業補助金
知事より経営革新計画の承認を受けた企業が実施する新商品・新技術開
発、販路開拓、人材育成等の事業に対して補助を行いました。
(単位:千円)
事業主体
テ
(株)マツヤ産業
ー
マ
廃棄物を混合した浸水性コンク
補助金額
3,850
リートブロックの開発
協和機工(株)
アオコ回収システムの新技術開
6,419
「洗える紙オムツカバー」販路
5,762
発
島津興商(株)
開発計画
182
技術開発を促進し、技術改善を図るため、地域産業の振興に寄与する新
製品、新技術の開発を行う中小企業に対して補助を行いました。
A.事業主体
(有)イーテック
B.事業内容
高カロリー廃棄物(牛骨粉・FRP等)の安全焼却方式
の開発 。(トルネード小型焼却炉改善による)
C.補助金額
7,086千円
ウ.新技術商品化予備的研究助成事業
成長が見込まれる新規分野の技術やアイデアの発掘を行い、商品化のた
めの予備的研究の助成を行いました。
(単位:千円)
事業主体
山陽保安産業㈱
テ
ー
マ
工場等排気装置用スライド吸引
補助金額
1,500
口付きダクト
(株)一龍陶苑
無機系廃棄物の水熱処理による
1,500
栄養塩基除去材の開発
(株)永石エンジニ
食品廃棄物用流動層乾燥機
1,500
陶磁器廃棄物等全員リサイクル
1,500
アリング
重山陶器(株)
した水質浄化ブロックの研究
エ.地域見本市・国際見本市等出展支援事業
県内企業が、自社開発製品を県外(海外含む)で行われる展示会に出展
する経費の一部を助成しました。
(単位:千円)
事業主体
(株)マサキ・エン
ヴェック
(株)エヌイーケイ
島原産業(株)
山電(株)
テ
ー
マ
補助金額
河川環境展2002
975
エコテク2002
607
びわ湖国際環境ビジネスメッセ
900
ニューアース2002
559
2002NEW環境展
343
183
第2部
イ.技術改善費補助金
第2部
(3)風力発電
〔商工労働政策課〕
国が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)をとおして設置費
用の1/3∼1/2を助成しています。本制度による風力発電事業が円滑に
導入されるよう周知啓発に努めています。
(4)太陽光発電
〔商工労働政策課〕
住宅用太陽光発電設備について、国が新エネルギー財団(NEF)をとお
して、助成制度を設けており、本制度による太陽光発電設備の普及促進に努
めています。
(5)誘導的措置の実施状況
〔環境政策課〕
経済的措置として、生活排水対策重点地域において市町村が行う啓発事業
に対する補助事業を、諫早湾流域において実施しました。
非経済的措置として、エコショップの認定制度があり 、「エコショップ」
であることを証明する「エコショップ認定証」を各認定店舗に配布し、消費
者に環境にやさしい小売店への誘導を図りました。
課題
○再資源化した環境関連製品が、既存の再資源化していない製品のコストダウ
ンに追いついていないため、環境関連製品の需要と販路を確保することが困
難です。また、環境関連装置の価格が高く、特に新規事業の場合導入のリス
クが高いため、民間金融機関からの資金の調達が困難です。しかし、先行投
資に対する公的助成が十分に整っているとはいえません。
このため、環境関連製品の生産・流通システムのコストダウンと公的支
援制度等により投資効率の改善を図り、需要を喚起する必要があります。
また、排出事業者とリサイクル・環境関連事業者とを連携するのに必要な
情報と提供場所を整備する必要があります。
○
さらに、中小企業には、特殊な分野の技術やノウハウに長けた人材が少な
いので、この面での公的試験研究機関の支援が必要です。
○廃棄物の発生抑制・減量化を進めるための経済的手法として大分県姫島等で
導入されているデポジット(預かり金)制度が有効な方法と考えられます。
特に離島が多い長崎県にとっては、各離島の実情に応じたデポジット制度の
導入について検討していく必要があります。
○
再資源化した環境関連製品が、既存の再資源化していない製品のコストダ
ウンに追いついていないため、環境関連製品の需要と販路を確保することが
困難です。
○
環境関連製品の生産・流通システムのコストダウンと公的支援制度等によ
り投資効率の改善を図り、需要を喚起する必要があります。
184
排出事業者とリサイクル・環境関連事業者とを連携するのに必要な情報と
提供場所を整備する必要があります。
○
中小企業には、特殊な分野の技術やノウハウに長けた人材が少ないので、
この面での公的試験研究機関の支援が必要です。
○
近年、風力発電・太陽光発電に対する事業者・住民の関心が高く、NED
O・NEF共に助成条件が厳しくなってきています。また、風力発電につい
ては、九州各地で九州電力に接続し売電することが各風力発電間での競争に
なっています。
185
第2部
○
8
規制的措置の活用
第2部
現状・施策
(1)環境基準の類型指定
〔環境政策課〕
大村湾においては、昭和49年度に公害対策基本法(現在、環境基本法)
に基づき、大村湾の水質環境基準を海域A類型(化学的酸素要求量:COD
2.0mg/ç 以下)に指定し、以降CODの汚濁負荷量削減を主目的に、工場
・事業場排水対策、生活排水対策等各種の対策を推進していますが、閉鎖性
水域は窒素、燐による水質の富栄養化が懸念されるため、平成12年4月に
全窒素・全燐に係る環境基準の水域類型の指定をおこないました。
その他、平成12年度には長崎湾、佐世保湾、伊万里湾を全窒素・全燐に
係る環境基準の類型指定を行いました。
表5-8-1
海
域
全窒素・全燐に係る環境基準類型指定状況
名
類型の区分
大村湾
Ⅰ類型
基
準
値
全窒素:0.2mg/ç
全燐:0.02mg/
伊万里湾(長崎県側水域)
Ⅱ類型
全窒素:0.3mg/ç
全燐:0.03mg/
大村湾(早岐瀬戸側水域)
長崎湾
Ⅲ類型
佐世保湾
全窒素:0.6mg/ç
全燐:0.05mg/
(2)環境基準の類型指定見直し
〔環境政策課〕
水質汚濁に係る環境基準のうち、生活環境の保全に関する環境基準は、各
県が管轄する公共用水域に関して、利用目的に応じた水域類型の指定を行う
こととされており、長崎県では昭和49年度から逐次類型指定を行ってきま
したが、水質改善がみられる海域や河川については、さらに良好な水環境を
保全するため、環境基準の類型指定の見直しを図ることとし、長崎市の浦上
川、中島川、大村湾流域の西海川、鈴田川等で見直しのための検討を行って
います。
課題
○
これらの規制的な措置に加えて、私たちの生活様式を見直し、環境と調和
した持続可能な経済活動を促す誘導的措置の活用が必要です。
186