熱駆動型MH 冷水システムの動作条件最適化に関する研究 - 早稲田大学

早稲田大学環境総合研究センター
研究クラスター「G 水素モデル社会システムの実現に関する包括的研究」
研究題目
熱駆動型 MH 冷水システムの動作条件最適化に関する研究
著者
勝田 正文,Bae ,石川 敬祐,春名 祐介,森田 英治
Accumulated Flow Rate of H2 NL
1.研究背景・目的
MH 冷水機は排熱や太陽熱で駆動可能なため
トライアウトえひめ
<様々な分野への応用>
冷却能
・ 酪農業、漁業など
0.3~1冷凍トン
CO2 排出削減が期待されるが,合金が高価なた
一次産業へ
使用電力
53kW
・ 倉庫等の冷蔵として
め普及には至っていない.本事業では,低コスト
・ 鉄鋼業、化学工業の
ヒートポンプ
冷却水として
実証地域
MH の開発と合金量当たりの出力向上により低
冷熱
価格化を図り,いちご栽培用冷水機としての実用
活性化
フリーMH
化を目指している.本研究では,運転条件最適化
トライアウトえひめ
倉庫業;
鉄鋼業;
による冷凍能力の向上およびヒートパイプ適用 ・ <研究分野>
低温倉庫
酸素製造
ヒートポンプ用
MHの開発
(深冷分離)
畜産業;
時の反応容器熱交換能力向上の可能性を検証し ・ ヒートポンプ
究
実用研
バルククーラー
実証実験
いちごの
(牛乳貯蔵)
た.
陸上養殖
・ システム評価
ハウス栽培
究
2.研究成果
実証研
早稲田大学
1)MH 冷水機
究
氷を使った
基礎研
モデルシステムによるサイクル運転結果から,
熱輸送システム
北海道大学
東北大学
バイオコーク技研
各合金充填割合と初期水素封入量に一様な関係
廃熱源(工場)
ベンチスケール
北海道バイオマス
将来像検討 民生
実証試験
リサーチ
があることを確認した.出力を向上させるには水
地域
<将来の展望>
工場などの廃熱を用
学術研究
素流量の確保,サイクル時間の短縮が望ましく,
いて氷を作り、民生
地域
へ冷熱を供給する
連続式燃焼合成炉
システム解析
これらを満たすような運転条件を決定した.
1MPa 以下での運用を考慮した場合,MH1 充填量
システム作動原理
運転条件の検討 MH2=100g級モデルシステムにて実施
を 150g とすることで最大水素流量が得られ,合
初期水素封入量
得ら れる冷熱
高温側MH1
低温側MH2
1.0MPa(要求仕様)
金重量あたりの出力は 100g 充填の場合と比べて
合金充填比率
水素移動
1.4 倍程度向上する計算になる.そのため,本年
MH1:MH2=1.5:1
高温排熱
度合金組み合わせでは合金充填比率
水素移動
冷却水(地下水)
合金の能力を
MH1:MH2=1.5:1,水素封入量 1.0MPa と運転条件
最大限発揮
※MH2の反応熱を利用
を決定した.
Temperature(1/T)
ヒートパイプ方式では,熱交換終了におよそ
ヒートパイプ挿入型容器 HP式モデルシステムで得られた出力:0.067kW/kg(MH)
2000 秒を見積もっていたが,結果は 2500 秒を要
数値計算による容器性能予測評価を行い,大型化による性能低下をなくす
2次元非定常伝熱解析
した.これは,放熱の影響に加えて粉体層とヒー
半サイクル時間の影響
トパイプ間の低い熱伝導が影響したものと考え
Oil out
Oil out
られ,これらを改善する方策としてフィンや炭素
繊維などの伝熱促進体を配置することなどが挙
げられる.数値解析では MH 反応熱を計算に組込
Oil in
Oil in
Fig. HP Type Proto Reactor(350mmHP)
み,ヒートパイプ挿入型モデル容器における実験 T = 1000 sec 2000 sec 3000 sec
結果の再現性を得ることができた.装置の大型化に伴う反応速度の低下を避けるため,数値解析により容器内部温度分布
を算出し,プロト容器の性能予測を試みた.計算では合金層内に挿入する HP 本数を 5,7,9 本の場合で計算し,それぞれ
における温度分布の予測を行った.計算モデル,解析結果の一例を図に示す.図より,合金層温度分布を定性的に予測で
きることが確認でき,これら解析結果をもとに高温側合金 2.25kg 充填する実機の設計・製作を行った.結果,合金充填体
積の減少および製作上の技術的限界を考慮し,ヒートパイプ本数 7 本とした.
Pressure(MPa)
※
14
12
10
8
100g-100g(2008)
6
100g-100g
150g-100g
4
170g-100g
2
200g-100g
0
0.8
0.9
1
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
152
20
20
Ø
.4
72
Ø 49
Ø 17
5
200
20
Ø
8
Ø
76
.3
89.1
81.1
°
60
115
48
104
0.1
0.5
0.08
0.4
0.06
0.3
0.2
0.04
0.02
0.1
Refrigeration Capacity
COP
0
0
48
500
1000
1500
2000
2500
COP
18
Refrigeration Capacity kW/kg
Initial Hydrogen Pressure MPa
Fig. Experimental Result of Model System (Refrigeration Process)
0
3000
Half Cycle Time s
Fig. Refrigeration Capacity and COP
2)低炭素・水素エネルギー活用社会に向けた都市システム技術の開発検討委員会への参加(国交省プロジェクト)
研究概要
燃料電池などの水素利用に係る要素技術開発は進んでいるが,都市スケ
ールでの活用及び組合せ方法(システム化技術)に関する検討が不足し
ている点に特に着目した.
研究目的
1.地域内や建物内における水素配管施設などの建設技術を開発する.
2.都市エネルギーセンターを中心とした業務建設用水素活用トータル
エネルギーシステム技術を開発する.
3.水素エネルギーシステムに係る化石燃料依存度の評価方法を開発し,
様々な条件の都市に適用し,低炭素・水素エネルギー活用社会における
都市システムのあり方を根拠とともに提案する.
研究成果例(MH 法による水素精製技術)
MH 法は低圧力域,常温付近温度,広範囲の水素濃度や高純度において
精製可能であり,コンプレッサーなどの可動部を持たないため装置の振
動,騒音が少なく,かつコンパクトである,などの特徴を持つ.純度は
90~99%を確保できる.環境省の地球温暖化プロジェクト『グリーン水
素社会の構築』では,アルミドロス,シリコン由来の水素製造法を開発
し,発生する不純物を含むガスから水素の精製を試みた.
0.105MPa
MH6kg Class Refinement Reactor
(8 path-tube type Inside Heat Exchanger)
0.25MPa
0.6
Adsorption
830NL×2
Device
MPa
LaNi4.7Al0.3
P
MFM
Desulferizer
LaNi4.7Al0.3
GH2
C
Heat Source (High Temperature)
80℃
M
M
C
Ti1.15Fe+CF 6kg
Ti1.15Fe+CF 6kg
Constant Temperature Bath
Ti1.15FeO0.024+CF 6kg
Water 20 ℃
MH1kg Class Storage Reactor
0.9MPa 660NL×3