第1回高経年化対応安全研究報告会 海外規制機関との協調 平成21年6月12日 原子力システム安全部 高経年化対策グループ 小山正邦 1 海外規制機関との協調協力の推進 位置づけ ■ 「実用発電用原子炉施設における高経年化対策の充実について」 (平成17年8月31日、原子力安全・保安院) ● 「産学官による技術情報基盤の整備」の国際的な展開が必要 ■ 技術情報基盤の国際的な展開 ● 高経年化対策等に関連した国際協業・国際会議への戦略的・計画的な参加 ● NRC等の海外規制局、IAEA、OECD/NEA等の国際機関との政府間及び民間 ベースの協力に関して、一貫性・継続性をもった国際協業の推進、技術情報交 流を行い、我が国の諸施策実施に際して、これら機関との協調を図るための連 絡・連携調整 ● 我が国を中核としたOECD/NEAにおける高経年化対策に係る協力事業を実効 的に実施することを目的として、産学官・学協会が協力・協調するための連絡・連 携調整 (例)IAEA及びOECD/NEA原子力発電所の長期運転を支援するための経年 管理に関するガイダンス等 2 海外規制機関との協調協力の推進 技術情報の提供 JNESの安全研究 高経年化対応国際共同プロジェクトへの参画例 機 関 プロジェクト名 対象項目 IAEA 経年劣化教訓書(経年 劣化管理プログラム) 経年劣化管理プログラム OECD/NEA SCAP SCCとケーブルの劣化、 知識ベース、推奨実務 NRC PINC ニッケル基合金の応力腐 食割れ(SCC) NNSA/NSC& MOST/KINS RCOP2 原子力機器の健全性 NRC 材料情報交換 材料劣化情報交換 (IRSN) 材料情報交換 材料劣化情報交換 多国間協定 IAEA OECD/NEA 二国間協力 NRC,IRSN NNSA/NSC MOST/KINS 技術情報基盤の整備/国際的展開 国際的情報交換/情報の集約的共有化 安全規制への効率的反映/活用 NRC:米国原子力規制委員会, IRSN: 仏国放射線防護・原子力安全研究所, NNSA: 中国国家核安全局, NSC:核安全中心, MOST: 韓国科学 技術部, KINS:韓国原子力安全技術院 3 ニッケル基合金機器の検査に関するプロジェクト(PINC) ● Oconee発電所3号機での損傷 (2001.2, 制御棒駆動機構装置取付管台) ● Davis-Besse発電所での損傷 (2002.3, 原子炉容器上蓋) ● South Texas Project 発電所での損傷 (2003.4, 炉底部炉内計装筒管台) [Davis-Besse発電所での損傷] 概要 ■ NRCの国際共同研究(PINC) ■ 目 的: ● PWSCC形態の把握 ● 非破壊検査性能の把握等 ■ 期 間: 2003/10-2009/12 ■ 5カ国:日本、米国、フィンランド、スウェーデ ン、韓国 8組織:JNES、東北大学、PWR産業界グ ループ等が参加 ■ JNES: NRC-NISA包括協定, 2004/11か ら参加、国内の調整・取りまとめ PINCプロジェクトの体制 運営委員会 (Steering Committee) TG-Atlas:PWSCCに関するデータベースの作成 TG-NDE:非破壊検査性能の把握、規制ガイドの作成 PINC: Program for the Inspection of Nickel Alloy Components 4 ニッケル基合金機器の検査に関するプロジェクト(PINC) TG-NDEにおける ラウンドロビンテスト ■ 対象: 炉内計装筒管台(BMI)、セーフ エンド異材継手 ■ 実施内容: セーフエンド模擬試験体 (JNES貸与) 非破壊検査、各国持ち回りによ るラウンドロビンテスト ■ 一次冷却材SCC (PWSCC) に対する検査性能を確認 ■ 規制ガイドの作成に反映 加圧水型(PWR) 原子炉容器 JNESの貢献 ■ ニッケル基合金に関する安全研究の成果の情報提供 ■ 試験体の貸与 BMI模擬試験体 (参加国貸与) 5 応力腐食割れ及びケーブル経年劣化プロジェクト (SCAP) 原子力安全・保安院 (NISA)からの特別拠出プロジェクトとして、OECD/NEAに提案し実施。 原子力安全・基盤機構(JNES):技術的支援等の貢献 目 的 ■ 応力腐食割れ(SCC)及びケーブル経年劣化事象に関するデータベースの構築 ■ 収集したデータや情報の体系的な整理・評価に基づく知識ベースの構築 ■ データ等の評価に基づく経年劣化管理の実施に際して規制当局や事業者の手助けとな る推奨実務 の抽出 概 要 ■ 参加国:17カ国 (平成21年5月現在) (アルジェンチン、ベルギー、カナダ、チェコ、フィンランド、仏国、独国、日本、韓国、メキシコ、ノルウェー、スロバキア、 スペイン、スイス、スウェーデン、ウクライナ、米国)、オブサーバ:IAEA, EC ■資 ■期 ■体 金:480,000 (ユーロ/年) 間:2006年6月~2010年6月(4年間) 制:マネージメントボード(MB)、SCCワーキンググループ、 Cable ワーキンググ ループ、コンサルタント、NEA事務局、日本国内の支援体制 6 応力腐食割れ及びケーブル経年劣化プロジェクト (SCAP) SCAPに関する支援体制: NEA-SCAP運営検討会 (JNES内) ◆ SCAPに関する日本データ・情報の収集・整理・取りまとめ ◆ 日本の高経年化技術評価、関連活動を改善するため、SCAP会合からの情報 の評価 ◆ 対応戦略の検討、成果の導入方法(データベースの構成・データの評価・取り まとめの提案等) 日本の体制 OECD/NEA SCAP NEA-SCAP運営検討会 マネージメントボード (MB) 主査:関村東大教授 委員:NISA、JAEA、 事業者、産業界 MB 議長 (関村東大教授) SCC 作業会 ケーブル 作業会 SCC ワーキンググループ 主査:庄子東北大教授 委員:NISA、JAEA、 事業者、産業界 主査:大木早大教授 委員:NISA、JAEA、 事業者、産業界 メンバー (庄子東北大教授, JAEA, NISA, JNES他) 事務局: JNES Cable ワーキンググループ メンバー (大木早大教授, JAEA, NISA, JNES他) コンサルタント: Mr. Schulz 事務局: NEA (1) 事務局: 2005年7月作業会準備のため活動開始、 (2) 準備会: 2005年3月 支援活動の準備開始. 7 応力腐食割れ及びケーブル経年劣化プロジェクト (SCAP) SCC関係 事象データベース ・フォーム 1. 事象の説明・背景・要約 ・フォーム 2. 欠陥の特徴 ・フォーム 3. 供用期間中検査の履歴 ・フォーム 4. 根本原因究明 一般情報 1. 規制要件/ 規格基準 2. 検査/ 監視/ 認定 3. 予防保全/ 緩和 4. 補修/ 取替 5. 欠陥評価 (き裂進展/ 破壊) 6. 研究・開発 各情報に分類 推奨実務 知識ベース 欠陥評価 手法1 手法2 ・・・ 検査技術 手法1 手法2 ・・・ 補修技術 手法1 手法2 ・・・ 取替技術 手法1 手法2 ・・・ 監視技術 手法1 手法2 ・・・ 採用技術 規制案件 ○ 新規 既往 ○ 新規 既往 多種多様の組合せ ○ 認可 既往 ○ 認可 既往 ○ ○ 経年劣化管理プログラム (AMP) 着目すべき機器・部位の選定 ● 経年劣化管理を行うため、世界中の教 訓に基づく知識ベースから機器・部位を 選定することは有益 ● 事象の発生の可能性評価は、詳細な根 本原因究明による 保全方法の選定 ● 適切な保全プログラムは、詳細なメカニ ズムの理解に依る。 監視方法の選定 ● 監視は事業者・規制当局にとっても重要 8 応力腐食割れ及びケーブル経年劣化プロジェクト (SCAP) ケーブル関係 パート 9 状態監視技術の記述 パート8 ケーブルの規制情報 パート7 ケーブル取替 パート 6 ケーブル敷設環境の緩和 パート5 プラント及びケーブル環境条件 パート4 ケーブル環境認定コードデータ パート3ケーブル損傷事象のデータ パート2.3 ケーブル補修 パート 2.2 ケーブルサンプリング (ケーブルデポジットを含む) パート 2.1 ケーブル検査方法/ 供用中の状態監視方法 パート 1 ケーブルの技術データ [敷設ケーブルの例] データベース [ケーブル事象の例] 知識ベース 評価 / 収集したデータ の評価/解析 推奨実務 9 経年劣化教訓書(経年劣化管理プログラム)の策定 長期間運転(LTO)に関する 知識管理システム 経年劣化教訓書 (経年劣化管理プログラム) 機器別経年劣化管理ガイドライン (技術資料:13件) SALTOの成果 IAEA加盟国(日本、仏国等)の 経年劣化管理の実務 一般的な長期間運転(LTO)枠組み、 機械的機器・材料、電気機器・計装、 構造物・構築物 GALL: 一般的経年劣化教訓書、SALTO: 水減速炉の長期間運転の安全面に関する特別拠出プログラム(2003.5-2006), 一般的長期間運転(LTO)枠組み(WG1)、機械的機器・材料(WG2)、電 気機器・計装(WG3)、構造物・構築物(WG4)の各WGで構成。WG1: LTOの一般事項、各WGで必要な条件や範囲を検討。WG2, 3, 4:LTOに関係する構造物等・システム、機器の情報を評価。 出典: IAEA資料を基に作成、website, Plant Life Management (PLiM) for Safe Long Term Operation (LTO), http://www.iaea.org/NuclearPower/PLIM-LTO/plim_DTG_tech_indices.html 10 経年劣化教訓書(経年劣化管理プログラム)の策定 目 的 ■ 日本(55基)、米国(104基)、仏国(58基)等の 経年劣化管理プログラムを基に、IAEAの経年 劣化教訓書(経年劣化管理プログラム:検査、 解析・評価、保全を含む。)を策定 ● 安全上重要なシステム、構造物、機器の 経年劣化管理プログラムの具体例を提供 ● IAEAの原子力発電所の経年劣化管理ガ イドライン(NS-G-2.12, 経年劣化管理の 策定・履行・改善の一般的要件を示す。) を技術的にサポート 国際原子力機関 原子力発電所の経年劣化管理ガイドライン (Safety Guide NS-G-2.12) 経年劣化教訓書 (経年劣化管理ログラム)の策定 JNESの貢献 ■ 我が国の高経年化対応が国際水準に比肩でき るレベルにあるか検証 ■ 我が国の高経年化対応のうち、称揚される産学 官・学協会の取組み成果をGlobal standard (国際標準)とするため、必要な協力、情報発信 経年劣化教訓書(経年劣化管理プログラム)の策定の コンサルタント/技術委員会会合 [2008.5から] (出席者:関村東大教授、JNES、事業者等) 11 経年劣化教訓書(経年劣化管理プログラム)の策定 報告書の構成案 目次案 1.序論 2. 経年劣化管理プログラム ・報告書の背景 ・経年劣化管理プログラムの必要性 ・効果的な経年劣化管理の一般的な特徴 ・経年劣化管理プログラムの異なる取組み ・米国GALL取組みの導入と策定 3. 経年劣化現象の理解 ・経年劣化事象の説明 (原子炉容器の照射脆化、ケーブル経年劣化、低サイクル 疲労、流動加速腐食、SCC、コンクリート構造物のプレストレ ス緩和等) 4. 推奨される経年劣化管理実務 添付1 ・構造物、機器、材料、環境、経年劣化影響及び経 年劣化現象に関する表で資料されている用語の 包括的な説明 添付2 ・推奨される経年劣化管理実務の基礎 参考資料 12 今後の展開 海外規制機関・国際機関等との協調の継続的な実施 ■ 国際的な安全研究 ・ニッケル基合金機器の検査に関するプロジェクト(PINC) ■ 国際機関の活動 ・OECD/NEA: 応力腐食割れ及びケーブル経年劣化プロジェクト(SCAP) ・IAEA:国際版GALL策定会合 ■ 各国規制機関/技術支援機関等との情報交換等 ・ 米国NRC-JNESの個別協定(材料検査、SCC等) ・ 仏国IRSN-JNESの個別協定(材料検査、SCC等:計画中) ■ 国際的な技術支援機関ネットワーク構築に関連したプロジェクトへ ・北東アジア地域協力プロジェクト: 原子力機器の健全性維持( RCOP2 ) より一層の戦略的な推進 ■ 高経年化対応技術戦略マップ(国際協力戦略マップ作成中) [JNES 技術情報調整委員会、技術情報基盤WG、安全研究WG、国際協力WG] ■ 我が国が採るべき国際原子力安全活動の基本的方針と具体的取組み [国際原子力安全ワーキンググループ報告書、2009年2月、総合資源エネルギー調査会、原子力・安全保安部会、原 子力安全基盤小委員会] 13
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