PDF 786475 bytes - 日本消化器外科学会

日消外会誌 30(9):1903∼ 1911,1997年
会長講演
胆道外科 とともに
一胆道癌 の臨床 を中心 に一
久留米大学外科学第 2講 座
中 山
和
道
胆 石形成 に関す る実験 的研究 (学位論文)が 胆道外科 に進 む きっか け とな り,陣 頭十 二 指腸切除術
が胆道癌専門 の外科医 に育 てて くれた。
経皮経肝胆道 ドレナ ー ジは胆道癌 の診 断,治 療 とその応用 に必須 の手 技 で あ る と重要視 し,手 技 の
安定 に力 を注 ぎ,術 後合併症 の防止 と思 者集 め に大 い に貢献 した。胆 嚢癌 で は切 除例 142例,切 除率
67.0%,在 院死亡率3.5%で 5生 率 は m,pm 95.5%,ss 49。 2%,se,S16.9%で
全体 として は433%
で あった。
上 部 350%,中
胆管痛 で は切 除711171例
,切 除率 65.0%で ,治 癒切 除例 の 5生 率 は肝 管 ・
下部 35.5%
で,不 満足 な成績 で あった。乳頭部癌 で は症 状,診 断,進 展度診 断,予 後 を左右 す る因子 について詳
述 した。切 除例 は106例,切 除率 855%,在 院死亡率 は24%で ,5生 率 は リンパ 節転移 陽性例 44.4%,
全体 で は566%で あ り,35例 の 5生 例,14171の10生例 を得 て い る.
Key words:
pancreatoduodenectomy,
gallbladder cancer, bile duct cancer, cancer of the papilla of
vater
I.胆 道外科 に進 む きっか け
は じめに
胆道外科 に進 む きっか け,胆 道外科専 門医 に育 てて
私 は昭和33年 (1958年)西 村 正也教授 の久 留米大学
指腸切 除術 についてふれ,胆 道癌 の臨
に述 べ る。
を乳頭部癌
を中心
床
第 2外 科 に入局 した。 当科 は心臓外科 と胆道外科 が 2
くれた膵頭に
Fig. l
Whipplemodifiedmethod
with jejunostomy
( 1968)
本柱 の外科講座 で,私 は胆石症 の臨床 と研究 に興味 を
Reconstructions fOr pancreatoduodenectomy
Whipplemodifiedmethod
with jejunostomyand
Braun'sanastomosis
(1.e72)
※第 49回日消外学会総会
<1997年 6月 11日受理>別 刷請求先 :中 山 和 道
〒839 久 留米市国分町 155-1 久 留米大学医療 セ ン
ター
C h i l d もm c t h o d
(1978)
2(1904)
胆道外科 とともに
持 った。 そ こで胆 石症 の研 究 をは じめ,入 局 3年 目の
日消外会誌 30巻
9号
作 を行 う機会 を得 たが,膵 空腸吻合部 の縫合不全 を起
昭和36年,学 位論文,「胆 石形成 に関す る実験 的研 究」
を完成 した。 内容 は家兎胆裏 に コレステロー ル石 お よ
して しまった。 さっそ く古賀道弘教授 よ り,で きるだ
け安全 な消化管再建法 を考案 す るように と課題 をい た
だ いた。 その後 ,研 究 ・改良 を重 ね て図の ご とき空腸
び ビ リル ビン石 を作成 し,そ の形 成過程 を明 らか に し
た もので結石 の分 析 には化 学 的分析 の他 に,本 邦 で は
2人 目の赤外線吸収 スペ ク トル に よる分析 を行 った。
脚 口側端 を右側側腹壁 よ り空腸療 として 出 し膵空腸 ,
胆管空腸吻合部 の確実 な減圧 を目的 とした空 腸痩造設
whipple変 法 を考案 した2)。
本法 を57例に行 い,縫 合不
この研究 が胆道外科 に進 む きっか け となった。昭和 43
年 7月 に行 われた第 1回 日本消化器 外科学会 には胆 石
症 にお ける術 中胆道造影 の検討 の演題 で発表,昭 和30
全 に よる手術 お よび在院死亡例 はなか った。 1972年に
),手術手技,術 後管理 の 向上 を
は Braun吻 合 を追加 3ン
年代後半 よ り40年代 の始 め まで は胆 石症 に関す る臨床
と研 究 を主 に行 った 1).
な った (Fig。1).縫合材料 も最適材 料 を使用 してお り,
H.胆 道癌専門外科 医 に育 てて くれ た
膵 空腸 吻合 には atraumadcの ナイ ロ ン糸 を1965年よ
まって,1978年 よ りChild法による再建 を行 うよ うに
膵頭十 二指腸切除術
り,胆 管空腸吻合 には本邦最初 と思 われ る1970年よ り
昭和 43年 (1968年)膵 頭十 二 指腸切除術 の全 ての操
Table l
合成 吸収 糸 を使 用 して い る。適切 な縫 合材料 の使 用 も
合 併 症 の 少 な い 手 術 が で き る 一 つ の 要 因 と思 わ れ
る51昭 和 46年 7月 (1971年)に 行 われた第 4回 本学会
COmplications of percutaneous transhe‐
にシンポ ジウム,「膵 お よび肝 外胆道 の悪性腫瘍 」の シ
ンポ ジス トとして発表 す る機会 を得 た。 本庄 一 夫教授
の司会 に よ り羽生富士夫先生 ,田 島芳雄先生,高 本 国
patic biliary drainage
Under sonographic
n-1.404
Complications
5 ( 1 )
夫先生 らと活発 な討論 が行 われ,す ば らしい シンポジ
20
Cholangio-venous
reflex
ウムで,つ い先 日の ように鮮 明 に覚 えて い る。胆道癌
Intra-abdominal
hemorrhage
6 ( 2 )
の領域 において も羽生先生 をは じめ とす る これ らの先
Dislodgement
8
輩 の方 々 に少 しで も追 いつ こ う と努力 を重 ねて きた。
Peritonitis
8
この頃 よ り胆道癌 の診 断治療 に本腰 を入れ は じめた。
Pneumothorax
1
当科 にお け る1965年1月 よ り1996年6月 までの膵頭
十 二 指腸切 除症例 は悪 性疾 患で は乳頭部癌99例,膵 頭
Total
部癌 95例,胆 管癌92例,十 二 指腸悪性腫瘍 13例な ど312
Table 2
Location
Resectability rate of malignant disease
No. of operations
No. of resections
Resection rate(94)
Gallbladder
Bile duct
67 0
Papilla of Vater
93_5
Pancreas
32 8
Liver
57 0
65 0
Total
55 8
Table 3 Resectabilityrate of bile duct cancer
Location
No. of operations
No. of resections(%)
\o. of curativeresections(%)
B r ・
B l ・
B s
(54 6)
14(26 4)
Bm
( 7 1 2 )
19(40 4)
Bi
(73 3)
36(57 1)
3smi
( 5 7 1 )
Total
17
2(25 0)
71(415)
1997年 9月
3(1905)
Table 4
Relationship between diagnostic imaging and pathological pancreatic invation
Direct cholangiograpy
Hypotonic duodenography
Image of the bile duct in the a tpullary region
Stenosis
panc 0
panc la
panc 1b
panc 3
I r r e g u ) a ra n d r i g i d m u c o s a
NIovillty
Rigidity
13
10
3
8
0
5
0
0
Positive
Negative
Positive
1
23
1
24
0
2
10
1
8
0
16
6
14
13
6
3
4
0
4
2
2
0
2
0
2
2
0
l p<00001
l'-5*o_--r*rj-tt-:l
Lp
Spiculation
I
Negative
1
l
p<001
1
( 0.0001ij
Table 5 Relationshipbetweendiagnostic imaging and pathological duodenalinvation
Direct cholangiograpy
[{ypotonic duodenography
Image of the bile duct in the a tpullary region
Stenosis
h/1ovility
Irregular and rigid mucosa
Rigidity
Negative
Positive
Spiculation
Negative
Positive
0
d 0
7
4
1
9
9
d l
6
8
3
13
14
0
d 2
3
14
24
15
25
11
d 3
0
0
1
l'
rl
*r
L
p<0.001
p<0.001
Fig. 2
2
()
t
1
0
o < 0 . 0 0 lt
Lp(0.01
J
Fig.3 US
US
例,良 性疾患 で は慢性膵 炎21例,膵 嚢胞 2例 な ど31例,
率 52%で
合計343711に
施行 した。手 術死亡率 は2.9%,入 院死亡
併症 はほ とん ど経験 しなか った。 この一 連 の臨床,研
あ った。手術手技 の安 定 した最近 10年間 は合
ヽ
牲!通
彗タ
ト本
│と ともに
4(1906)
日
消外会誌 30巻 9号
究 が 時間 がかか って も多少無駄 が あ って も安 全 を最優
み るに術後 の栄 養状 態や消化吸収状態 の総合指数 であ
先 し,出 血 させ な い正 確 な丁寧 な手術 を行 う とい う私
る体重 の変動 で は遠 隔時 に術 前 よ り増加 した症例 は 7
の手術 に対 す る考 え方 の基 礎 とな った。術後 の状 態 で
例,減 少 した症例 は 3例 であった。ま た社会復帰状態
は,Child法 で再建 し10年以上生存 した12例につ い て
で は復帰困難例 は 1例 のみであ った。 その他遠 隔時 に
は胆管 炎症状 はみ られず,OGTT検
査 で もインス リン
を使 用 して い るの は 1例 のみで あ った。 この ように消
Fig.4 US
化管再建法 としての Child法 (I)D II型
)は 満足 で きる
6)').
もので ある
IH.術 後合併症 の予防 と患者集 め ,
経皮経肝 胆道 ドレナ ー ジ
経皮経肝胆道 ドレナ ー ジは胆道癌 の診 断,治 療 とそ
の応用 に必 須 の手技 であ る と重要 視 し,常 に 2∼ 3人
1組 の徒弟制 度 を確立 しその手技 の安定 に力 を注 いで
きた。ド レナ ー ジ用具 のセ ッ トを常備 し,要 請 が あれ
Fig. 5
Fig. 6
Angiography
[{istologl,
│
│ネ
5(1907)
1997年 9月
Table 6
Tumor size and diagnostic image
Comparison of tumor diameter and angiographical findings
No indin宮
Size(mm)
―
-20
Arterial encasement
Ilyper vascularity
Tumor stain
Sencitivity
17
(405)
19
(7()4)
(n=42)
25
( 5 9 5 )
8
(107)
11
(147)
6
(143)
21--40
(n=27)
8
(29 6)
10
(37 0)
12
( 4 4 4 )
7
( 2 5 9 )
(83 3)
( 8 3 3 )
4
(66 7)
0
( 0 0 )
41
(n=6)
6
(1()00)
(
ば車 に積 んで直 ちに出動 し, ド レナ ー ジを行 い,当 科
に引 き寄 せ る とい う方法 で発生率 の少 な い胆道癌 の患
者集 めに大 いに貢献 した。施行症例数 は1996年 6月 ま
で に1,694例に達 し,成 功率 9906%,合
併症発生率 は
超 音 波 ガ イ ド法 で は非 常 に少 な く安 全 な減 黄 法 で あ
る8)9)(Table l),
IV.胆 道癌 の治療成績 の概要
私 が 当科 の消化器外科 グル ー プのテ ー フになってか
らの胆道 ,膵 ,肝 悪性腫瘍手術症例 は Table 2の ご と
くで あ る.今 回 は胆道癌 の うち,胆 嚢癌,胆 管癌 は速
隔成績 を述 べ るに とどめ,乳頭部癌 につ い て詳述 す る.
1.胆 嚢痛
Corelation between macroscopic types,
maximam tumor size and prognosis
Table 7
Nlacroscopic Cases
typc
(1)TllHlor Type
袋
i\{aximanl size
( nrcau :LSD ntnl )
博 巾
5 years survival
tate(!c)
575
Intianlural Protrrding Type
硝
碑
朔
卯
幅
察
験 Posed PF。
血
ding T7P●
(2)Mixed Type
郷
扶
手術例 212例中切除例 は142例,切 除率 は67%,治 癒
切 除率 は59,9%で ,在 院死亡率 は3.5%で あった。遠 隔
成績 で は深達度別 にみ るにその 5年 生存 率 (以下, 5
生率)は m,pm 95.5%,ss 49.2%,se,韻
169%で ,
ProtiHdent ulcentang Type
り
繋
U o】 e r a t i n g
み
測
P r o t r u d i n g
4
T y p e
(3)ucerating TyPc
全体 で は43.3%で あった。ss胆 嚢癌 は遠 隔成績 向上 に
十分 メスの とど く範 l■
l であ り,正 確 な進展度診 断,腫
場所在部位 ,進 展形式 に応 じた適切 な手術 によ り成績
) .基 本術 式 として は肝 外胆
は大 い に向上 しつつあ る1°
(4)sPecial Type
aこ 4
335+74
100,く '
管切 除 十確 実 な R2リ ンパ 節郭 清 十胆 婁肝 床部 楔 状 切
きめの細 か い進展度診 断 を もとに症例 に応 じた適切 な
除 を行 ってい る。
深達度診 断 として は術 中超音 波検査 が もっ とも有 用
で あった,
2.胆 管癌
胆管癌手術症例 の部位別切除率 お よび治癒切 除率 を
み る と肝管 ・
上部 で は546%,26.4%,中
部 は712%,
手術 が必 要 で あ る。hw因 子 に関 して は中部胆 管癌 に
おいて は肝 内胆 管第 1次 分岐部直下 で,下 部胆管癌 に
おいては左 右肝管合流部直下 で切除 した い1い13L
3.乳 頭部癌 の臨床
1)自 験例 の概 要
,全 体 で は650%,
41.5%で あった (Table 3).遠隔成績 で は肝管 ・上 部
乳 頭 部 用 手術 例 124例中切 除 例 は106例,切 除 率 は
855%で ,99例 に膵頭 十 二 指腸切除術 (PD),7例 に乳
で は 5生 率 は治癒 切 除 350%(n=14),非
頭部切 除術 を行 った。治癒切除率 は934%,在
404%,下
部 で は73.3%,571%で
56%(n=39)。
治癒切 除
中下部 で は治癒切 除355%(n=55),
非 治癒切 除6.1%(n=55)で
胆管癌 の治癒切 除率 の 5
率 は24%で
院死亡
あった。
2)症 状
生率 は両者共 に35%で 不満足 な成績 で あった。治癒切
初発 お よび入院時症 状共 に黄疸,腹 痛,発 熱 が 多 く
除 と非治癒切 除 の両者 には遠 隔成績 に明 らか に有意差
を認 め るため,hw,ew,n因
子 につ いて術前 ・
術 中の
み られ ,特 徴 として黄痘例 の約 30%に 黄疸 の消長が あ
り,発 熱例 も約25%に み られた。無黄疸例 も20%に み
6(1908)
胆道外科 とともに
日消外会誌 30巻
9号
Table 8 Corelationbetweenpathologicalfeature and long-termsurvival
Factor
Long-term
survrve
(5 )'ears( )
Not longttterm
(5 years>)
た
2
p-value"
9
0
2
2
2
3
7
︲
4
0
4
γ
3
1
β
1
4
︲
4
︲
2
6
0
︲
3
0
6
0
7
2
9
1
8
1
︲
2
2
2
︲
3
0
2
0
4
2
7
︲
1
7
8
2
0
3
3
1
2
0
3
1
1
9
6
2
5
6
2
3
0
1
0
5
7
a
l
7
3
b
l
5
6
︲
2
0
6
3
0
2
0
5
6
︲
panc
α
F
N y
d
Grade
0
0 4243
p<0_01
0 2413
NS
0 8239
p<001
0 3773
p<001
0 0179
NS
0 7870
1
0
4
p<001
1
7
3
0 9343
6
5
2
0
︲
1
p<005
* : Multivariate Cox proportional
hazards model
られ ,こ れ らは腹 痛,発 熱 の単 一 症状 で来 院 した例 が
多 くみ られた。 これ らの内容 は早期発 見 の手 がか りと
m
panc la(n:17)
。
4
0
3
。
2
”
。
面 に異常 がないた め見落 とされやす く注意 が肝 要 であ
。
6
どの検 査 を行 い診断 され て い る。非露 出腫瘤型 は粘膜
。
7
性十 二 指腸造影法,十 二 指腸 内視鏡 (生検 も含 む),経
皮経肝胆道造影法 (ドレナー ジ後 の再造影 を含 む)な
。
0
無責疸例 において も胆道系酵素 の上 昇 お よび超音波
検 査 で胆管 の拡 張 を認 めそれが きっか け とな り低 緊張
。
9
3)診 断
。
0
して重 要で あ る。
Fig. 7 Cumulative survival curves according to
histological pancreaticinvasion
る。
4)画 像診 断 にお ける進展度診 断
進展度診 断 には超音波 内視鏡検査 は有用 であ るが,
Routine検 査 として行 われ る直 接胆道造 影 にお け る末
端像 (経時的変化 )と 低 緊張性十 二 指腸造影像 の組 み
合 わ せ に よ る進 展 度 診 断 につ い て 述 べ る. 組 織 学 的
p a n c 因 子 との 関係 につ い てみ るに狭 窄型 で動 きが あ
7(1909)
1 9 9 7 年9 月
Table 9
Fig。4の 症例 は腫瘤 の下部 に,非 連続性 の低 エ コー
Recurrence and pancreatic invaslon
の部 を認 め,転 移 と診 断 した。 同症例 の組織像 で小 さ
な低 エ コー の massは 転移 で あつた (Fig.5).
Recurrent rate(n=91)
p a n c0
(n=A)
6)血 管造影所見
乳頭癌 の血 管造影 に関す る報告 は少 な く,当 科 で は
pancla (n=17)
摘 出臓 器血 管造 影,microanglographyお よび透 明標
1的
本 を作製 し,病巣部 の血 管像 を詳 し く検 索 した .術前
panc lb ( n=24)
に血管造影 を施行 し,造 影 良好 な もので,切 除 し術 後
panc2t (n= E)
組織学 的 に十分 に検索 しえた75例を対 象 とした。摘 出
臓 器血 管造影,microanglographyお よび透明標本 で
の病巣部 の血 管像 の観 察 で は肉眼型 ,大 きさ,組 織型
の いか ん を問 わず癌病巣部 の血 管密度 は高 く,管 腔不
Recurrentpattern (n=27 )
整 を伴 う細血管増生 を認 め多血性病変 を示 した。75例
の造影 像 を詳細 に読 み41例,54.7%に 病変 を読 む こ と
R@rocein
pan@tojejuD$toDy
がで きた。
, PeritoDed orcinomloe
l
Ir@l|wftnca
b
,
Irng dishtrt lynph nod€
mehtuis
Fig.6の 症例 は腫瘤潰瘍型 で20×15mm.左 の総肝
動脈 造 影 で PAお よび AAよ りの十 二 指腸 枝 ↑印 の
をめ, 右
部 に e n c a s e m e n t および h y p e r v a s c u l a r i t y認
の胆管造影 との 同時撮影 で胆 管末端 閉塞部 ↑に一 致 し
LiYer metastasis
Inng metastasis
Bnin metastrsis
(%)
て同様 の所 見 が み られ る.panclaと 診 断 した。各種 異
2 8,例
常 所 見 の 発 現 頻 度 で は, h y p e r v a s c utlya 拭
る もの は大 部 分 pancoで 一 部 が panclaで ,閉 塞 型 は
37.3%.arteHal encasement 23例
panclb以 上 が 大 部 分 を 占 め て お り,pancOお よ び
14)(Table 4).
panc la例 は動 きのあ る例 で あった
次 に低 緊張性十 二 指腸造 影所 見 と panc因 子 の 関係
stain 17例
,22.7%に み られた。腫瘤径 と各種異常所見
をみ るに不整硬化 の認 め られな い39例 中33例が pancl
aで その うち pancOが 23例 にみ られ た.ま た鋸 歯状 変
化 が み られた 8例 はす べ て panclb以 上 であった。
組 織 学 的 d因 子 との 関係 をみ る と低 緊 張性 十 二 指
,30,7%.tumor
の出現頻 度 をみ る と2cm以 下 で は所 見 は少 な く,腫 瘤
径 の増大 に比例 して有所 見率 が 多 くな り,所 見 がみ ら
れ る もので は十 二 指腸 筋 層以 上 に浸潤 が お よん で お
り,腫 瘤径 が小 さい もので も tumOr stainを呈 した例
で は膵浸潤陽性 であ った (Table 6)。こ の ように血管
造影 は質的診 断 も可能 で腫瘍 の拡 が り,切 除 の判定 に
腸 造 影像 で 不整硬 化 が み られ た23例 中22例 が d2以 上
で,鋸 歯状変化 が み られ た11例はす べ て d2以上 で あっ
も有用 であ る。
た (Table 5)。この ように基 本 的 な検 査 の 2つ の組 み
Table 7は 肉眼形態 と予 後 をみ る と一 般 に潰 瘍 を有
す る型 の予 後 が一 番不良 との報告 が 多 いが,当 科 にお
合わ せ で も高率 に進 展度診断 が可能 であ る。
5)術 中超音波検 査
術 中超音波検査 は臓 器 に直 接 プ ロー ブを用 い る こ と
がで きるので高周波 のプ ロー ブ を用 い る こ とがで き,
7)肉 眼的形態分類 と予 後
いて はポ リー プ型 を除 き,差 はみ られ なか った (Table
7)。 当科 にお ける潰瘍型 の腫瘤径 は小 さ く,比 較 的早
期 の ものが 多 い た め と思 わ れ る.小 さな潰 瘍 型 で も
超 音 波 内視 鏡検 査 よ り優 れ た画 像 が 得 られ有 用 で あ
oddi筋 に限局 した早期例 はみ られ なか った.小 さな潰
る。症例 を閲覧す る。
瘍型 で は黄疸 の消長 の既往 がみ られ,先 端部 の癌 が崩
Fig.2の 症 例 は露 出腫瘤 型 の 乳頭 部 癌 で 矢 印 の 如
し,粘 膜下層 の低 エ コー層 が きれ いに保 たれ てお りd0
れ落 ちて黄疸 の消長 がみ られた もの と推察 され る。
pancOと 診 断 した。
8)予 後 を左右 す る因子
予後 を左右 す る因子 について 5年 以上長期生存群 と
Fig。3の 症例 は十 二 指腸 壁 の層構 造 に乱 れ を認 め,
5年 以上未満腫瘍 関連死群 とに分 けて組織学的進展度
指腸浸潤 あ りと診 断 した。病理診 断 において
で検討 す るに,INF,ly,U,d,pancが
有意 に非長期
生存例 で高度 であ る (Table 8).そ こで手術 と関係 の
膵,に
も panc2 d2で あった。
8(1910)
胆道外科 とともに
目消外会誌 30巻
9号
Table 10 L)mph llode nletastasis
P o s i t i v er a t e
■
②
0
(()0)
o
C
l
⑫ al
0
(00)
⑫pl
0
(00)
3
①
l
Croup 4
(1
■
(n=1)
⑤
0
(00)
⑭d
h
①o
m
③
⑥
Group 3
(n-1)
0︲
m 00m
(21)
b
①6脩
②a2
(52)
︲
a b
O
①3m⑫
m
③a
③p
3
0
( 3 1 ) (00)
∽o
m
伽︲
側
(156)
①b
⑤a
2()
4
( 2 0 8 ) (42)
・
0
括晋蛤,
(36 5)
9
① ︲伎
Group 1
( n- 3 5 )
The nunrber of the l1'mph nodes
: %
あ る p a n c 因 子 と n 因 子 についてみ るに, p a n c が 予後
は444%で ,① 転移陽性例に6例の5年生存例を得て
を左右 す る因子 として最 も重要で, p a n c l b において両
い る。
者 に明確 に有意差 がでてい る。n 因 子 で は n 2 症例 7 例
よびn因 子 (n2,■3)stage III
組織学的 stage IIお
における①,① 郭清の有無別生存率をみると, 5生 率
=4)100%,R2+
はstage H症例では R2+① 十① (■
に長期生存例 が あ り, そ のため両者 間 に有意差 が み ら
れ なか った。n 2 症例 に 7 例 の 5 年 以上生存 率 を得 た こ
とは リンパ 節郭清 の重要性 を示 す もので 7 例 中 6 例 は
① の転移 であった。組織学膵浸潤の進展度別生存率 を
みると panclaの 5生 率 は75%と 良好であるが,pancl
bで は29.8%と 有意差 を もって不良で,こ の値 か らも
組織学的進行度分類 で は panclbは stage HIに入 れ
るべ きである (Fig.7),
組織学的膵浸潤,再 発率 お よび再発様 式 をみ るに
panclb,panc2,3は 高率 に再発 してお り,再 発様式は
pancO, panclaは 後腹膜再発であった (Table 9). 成
績向上 には症例 に応 じた十分 な後腹膜 郭清,術 中照射
を含む集学的治療 が必要である。
リンパ節郭清 について検討す るに,十 分 に検索 して
96例中転移例 は38例,転 移率 は39.6%で あった。群別
転移陽性率 をみると 1群 36.5%, 2群 156%と 2群 ま
でが高率 である。そ して①転移 が 2群 リンパ節転移 の
① (n=17)73.7%,n因 子 stage III症
例ではR2+⑭ 十
① (n=9)750%,R2+①
(n=5)40.0%で 郭清例が
非郭清例に比べ有意差をもって良好で,乳 頭部癌にお
けるリンパ節郭清の重要性の一端がうかがえた.現 時
点における乳頭部癌の膵頭十二指腸切除症例の 5生 率
は566%で 35例の 5年生存例,14例 の10年生存率を得
ている。
おわ りに
胆 道 外 科 に進 む きっか け,胆 道 癌 専 門 の 外 科 医 に育
て て くれ た膵 頭 十 二 指 腸 切 除術 につ い てふ れ ,胆 道 癌
の 臨 床 を胆 婁 癌 お よび胆 管癌 で は治 療 成 績 を述 べ る に
と どめ ,乳 頭 部 癌 を中心 に述 べ た 。 フL頭部 癌 で は画像
診 断 にお け る進 展 度 診 断,術 中超 音 波検 査 ,血 管 造 影 ,
肉眼 的形 態 分 類 と予 後 ,予 後 を左 右 す る因子 な どにつ
い て述 べ た.乳 頭 部 癌 の 膵 頭 十 二 指 腸 切 除例 の 5生 率
73.3%を 占めていた (Table 10).
は56.6%, リ ンパ 節 転 移 陽性 例 の 5生 率 は444%で
昭和47年 (1972年)4月 に48歳女性,露 出腫瘤型の
小 さな腫瘤 で早期の症例 と思 い,Rl十 ⑫ a2 b2,① ap
35例 の 5年 生 存 例 ,14例 の 10年生 存 例 を得 て い る。
の郭清 を伴 う膵頭十二指腸切除術 を行 った。組織検査
では pancOであったが②b2に転移が認 め られた。2年
7か 月後 に再発 し,再 手術 によ り① a,bを 中心 とした
再発 が認め られた。 このような① の晩期再発例 を 3例
経験 し,① 郭清の重要性 を思 い知 らされ,以 後十分な
① a,b,c,dの
郭清 を Routineに行 うようになった。
昭和56年 (1981年)の リンパ節転移陽性例の 5生 率 は
16%で あったが,現 在 の リンパ節転移陽性例の 5生 率
,
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Clinical Study on Biliary Tract Cancer
Toshimichi Nakayama
Second Department of Surgery, Kurume University School of Medicine
I mentioned about an operation of Pancreatoduodenectomy (PD) which gave me a chance to take an
interest in biliary tract diseases.PD trained me as a surgical specialist of biliary tract malignant diseases.
I referred to our results of clinical treatment in carcinoma of the gallbladder and the extra-hepatic bile
duct. And I also minutely mentioned my opinion about a carcinoma of the Papilla Vater in following
items, 1) How do I diagnose the extension of the carcinoma. 2) Importance and usefulnessof an intraoperative ultrasonography, and 3) angiography. 4) Relation of macroscopic morphological features and
prognosis. 5) Prognostic factors. 6) Others. Survival rates of patients who had been treated by PD because
of the carcinoma of the Papilla Vater was 56.6% at 5 years. And in the cases with lymph nodes
involvement, 5 years survival rates after PD was 44.4%.35 patients survived in 5 years after the
operation, and 14 patients still survived 10 years after the PD.
Reprint requests: Toshimichi Nakayama
of Medicine
JAPAN
Second Department of Surgery, Kurume University School