都市型住宅の省エネ・快適化変換

東京都立大学21世紀COEプログラム
巨大都市建築ストックの賦活・更新技術育成
Development of Technologies for Activation and Renewal of Building Stocks in Megalopolis
[2005/04/28]
都市型住宅の省エネ・快適化変換
D11
Promotion of Low Energy and Comfortable Houses in Urban Area
須永修通(助教授) 深澤たまき(修士課程) 穴原靖夫(修士課程)
岡本沙織(学部生) 横田歩(学部生)
Nobuyuki SUNAGA (Assoc. Prof.), Tamaki FUKAZAWA (Master Course), Yasuo ANAHARA (Master Course)
Saori OKAMOTO (Undergraduate) and Ayumu YOKOTA (Undergraduate)
ABSTRACT
The series of this projects aims to construct the techniques to convert the residential buildings in urban area into
the passive and low energy architectures (PLEA) and to popularize the low energy and comfortable houses. To
achieve this aim is needed the following process; (1) the ideal solution sets of passive and low energy methods are
clarified, (2) the standard and the decision method to convert residential buildings into PLEA are established, (3) the
construction methods to convert the stock buildings into PLEA are systematically developed. In this year are
discussed the qualities of climate, the buildings’ evaluation method based on the thermal comfort, and so on.
キーワード:環境配慮型住宅,気候特性,評価方法,温熱快適性
Keywords: passive and low energy houses, climate qualities, evaluation method, thermal comfort
1.研究の目標と枠組みおよび問題点
既存住宅を環境調和型(省エネ・快適)住宅へ変換す
るためには,以下の手順が必要と考えられる。
A.まず,環境調和型住宅の理想形(どのような手
法をどのように組み込むか)を明らかにする
環境調和型住宅の理想形では,空調を使わないため
従来のエネルギー使用量などの指標では評価すること
ができない。新たな評価方法を提案構築する。
(3)環境調和型建築・設備手法の体系化を行い,そ
れらの効果を明らかにする
B.次に,この理想形に対し,対象の既存住宅をど
手法にはどのようなものがあり,それらがどの程度
の程度まで環境調和型にすればよいかを決める
効果的なのかを明確にする。すなわち,気候条件に適
判断基準とその手法を提案する
した断熱の程度や自然エネルギー利用手法などを求め,
C.さらに,環境調和型住宅に改修するための構法
・工法を提案・確立する
1.1 環境調和型住宅の理想形を明らかにする
上記のA.環境調和型住宅の理想形とは,さまざま
リスト化する。そのために,既存の戸建および集合住
宅で使用されている手法の傾向分析や実在建築の実測
による性能分析から,各手法の効果および建物全体と
しての性能を明らかにする。
な環境調和型建築・設備手法を地域の特性に合わせて
(4)都市に適した新しい自然エネルギー活用手法,
組み合せた最適解である。しかしながら,環境調和型
省エネルギー手法を提案する
住宅ではその地域の気候に合わせた建物仕様とした上
都市域では,高密度化やヒートアイランド化などに
で自然エネルギーを活用することが基本であるが,各
より,過酷な環境条件となっている。そのような環境
地の気候条件に最適な環境調和手法の組み合わせ,す
条件に適応した環境調和型建築・設備手法を新たに開
なわち最適解は明らかになっていない。また,東京な
発する。
ど都心部での自然エネルギー利用は難しく,さらに都
1.2 既存住宅改修の判断基準・手法を求める
心部と郊外では気候条件が異なるという問題もある。
住宅の改修を考えるとき,住宅全体で,1)建て替
最適解を求めるための課題として,いかのようなこ
え,2)改築,3)改修,4)何もしない,のような
とが考えられる。
判断を行う必要がある。この判断は,構造や意匠,コ
(1)地域および都市と郊外の気候特性の違いを明ら
ストなどさまざまな面からの総合評価により行われる。
かにする
その際,環境調和型住宅への変換に関する判断基準と
まず,気象データの分析から,防御すべき気候要素
と,活用できる気候要素を明らかにする。
(2)最適解を求める際の評価手法を構築する
その手法が必要となる。
具体的には,例えば断熱改修であれば,まず現状の
性能(年間エネルギー使用量,室内温熱環境)と,ある
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[2005/04/28]
改修をしたときの予想値とを比較する。その時,その
グラフを示す。これは,東京都心の年間の外気温度と
改修をするためのエネルギー使用量,コストなどと改
相対湿度のデータから作成したもので,例えば,8月
修によりもたらされる利益(LCCO2やLCCなど)とを比較
は最低気温の平均値は午前5時の約25℃であり,従っ
して,どのような改修を行うべきか,あるいは,新築
て夜間の自然通風により躯体に蓄冷するナイトパージ
した方がよいか,などを判断することになる。このた
は難しい,などのことが読み取れる。
めには,(1)現状の評価方法,(2)改修時の予測
4.温熱快適性を指標とした評価方法とその評価結果
方法,(3)比較評価方法 を確率する必要がある。
図2のように,住宅各室の温熱環境を計算して,そ
1.3 環境調和型住宅への変換構法・工法を確立する
これまでの構法・工法に新しい手法を加え,既存住
宅改修構法・工法を体系化する。体系化には,工事の
れに居住者一人一人の生活パターンを当てはめて代謝
量や着衣量を考慮し,快適範囲に入っているか否かを
判断する方法を提案,検討した。
評価結果の一例を図3に示す。図3は,戸建て住宅
際の省エネ,省コスト,並びに廃棄時の資源化など,
多方面から充分に考慮する必要がある。
に住む家庭婦人の月毎の快適時間率を示したもので,
2.平成16年度の研究概要
この計算条件下では中間期にはかなりの時間快適に過
本年度は,平成17年度からのDプロジェクトの本
格稼働を前に,まず,上記のような研究の枠組みと問
ごせるが,夏季,冬季には快適時間率を高めるため,
他の手法を加味する必要のあることがわかる。
題点を整理するとともに,以下のような検討を行った。
温熱性能評価
(1)地域の気候特性を明らかにするための気象データ
のグラフ化ツール作成
(2)環境配慮型住宅を評価す
シミュレーショ ンによる室環境の算出
A室環境
るための,居住者の温熱快適性を指標とした評価方法
の検討
(3)自然通風時の室内環境を評価するための
モデルプランの作成とシミュレーション計算
B室環境
C室環境
D室環境
E室環境
F室環境
在室スケジュール
(4)集
Aさんの曝露環境
合住宅における環境配慮型建築・設備手法の傾向分析
Bさんの曝露環境
parameter
代謝量(生活スケジュール)
(5)さまざまな手法を採用した公園管理・集会施設の
Cさん曝露環境
parameter
Aさんの環境調整行動
実測評価 (6)外断熱高齢者施設の実測。
許容着衣量
Dさん曝露環境
許容気流速度
本稿では,これらの内(1)∼(3)の成果の一部を示す。
また,新しい自然エネルギー活用,省エネルギー手法
居住者の条件を考慮した快適範囲
については,D112,D113プロジェクトを参照されたい。
快適
3.気候特性の把握
Yes
気象データは,世界数千地点について,外気温,湿
No
快適時間率
快適範囲と曝露環境との温度差(TD)
度,日射量,風向風速などの気象要素が1時間ごとに
1年間分整備されている。これをグラフ化すれば,容
Aさんの温熱性能評価
Cさんの温熱性能評価
易にその地点の傾向を把握することができる。
Bさんの温熱性能評価
Dさんの温熱性能評価
作成したグラフの一例として,図1に時刻別クリモ
図2 温熱快適性を指標とした評価方法
35
Tokyo Center Area
(Average Year)
Summer Comfort Zone
14
Temperature (deg.C)
25
Jun
5
May
5
Aug
Sep
20
9月
10月 11月 12月
20
1)
Dec
Jan
0
40
8月
12
0
12
0
12
0
12
0
12
0
12
0
12
0
12
0
12
0
12 0
12 0
12
0
□参考文献
5
30
7月
図3 月別・時間別快適時間率(家庭婦人)
Nov
20
6月
40
0
Mar
10
5月
0
Feb
0
4月
60
Oct
10
3月
80
Winter Comfort Zone
Apr
15
2月
100
14
Jul
快適時間率 [%]
30
1月
50
60
70
80
Relative Humidity (%)
図1 東京都心の時刻別クリモグラフ
90
100
深澤たまき,居住者の環境調整行動を考慮した温熱性
能評価方法,平成16年度東京都立大学修士論文
2) 横田歩,環境に配慮した集合住宅における環境共生
手法の傾向分析,平成16年度東京都立大学卒業論文
3) 岡本沙織,八王子市郊外に建つ環境共生型地域セン
ターの実測解析,平成16年度東京都立大学卒業論文
東京都立大学 21 世紀COEプログラム
巨大都市建築ストックの賦活・更新技術育成
Development of Technologies for Activation and Renewal of Building Stocks in Megalopolis
D112
[2005/04/28]
屋根を用いた自然エネルギー利用システム
Natural Energy Utilization Systems with Contrivance for Roof
須永修通(助教授) 馬 景輝(博士課程) 咸 哲俊(博士課程) 秋田真範(学部生)
小泉雅生(助教授) 横本吉永(協力者,三協アルミニウム工業)
Nobuyuki SUNAGA (Assoc. Prof.), Jinghui MA (Doc. Course), Zhejun XIAN (Doc. Course), Masanori AKITA (Undergraduate),
Masao KOIZUMI (Assoc. Prof.) and Yoshinaga Y O K O M O TO (COE Collab., Sankyo Aluminum Ind. Co.)
ABSTRACT
The utilization of natural energy is effective strategy to solve the heat island phenomena. The roofs of buildings are
exposed to sky even in cities, and where it is possible to utilize natural energies, not only solar radiation but night
outgoing radiation and so on. In this project are discussed the natural energy utilization systems with the contrivance for
roof, that are “Radiant Cooling System with W ater Flow on Roof” and “Solar Heating System with W ater Floor”.
キーワード:自然エネルギー,住宅,屋根の工夫
Keywords: natural energy, detached house, contrivance for roof
ガラス集熱屋根部分
一般屋根部分(太陽電池)
3325
6629.6
縦ダクト
外気取
込
床下ダクト
水蓄放熱床
吹出口
400
集熱ファン
ボックス
3970
1200
2110
7280
図1 太陽熱水蓄熱床暖房システム実験棟
40
35
屋根ダクト温度
床下ダクト温度
30
25
20 2003/8/22
12:00
14:00
屋根流水
16:00
18:00
夜間冷気取り込み
20:00
22:00
0:00
図2 床下および屋根ダクトの温度変動(2003)
40
屋根ダクト温度
35
30
床下ダクト温度
25
20 2004/7/25
12:00
14:00
屋根流水
16:00
18:00
夜間冷気取り込み
20:00
22:00
0:00
図3 床下および屋根ダクトの温度変動(2004)
10000
0.0
暖房負荷
冷房負荷
-0.1
8000
期間平均PMV
20%
6000
-0.2
38%
47%
4000
-0.3
57%
78%
67
2000
-0.4
-0.5
0
-0.6
Case1 Case2 Case3 Case4 Case5 Case6 Case7
図4 期間暖房負荷のシミュレーション結果
PMV
積算熱負荷[MJ]
1.はじめに
本研究は,都市に適した新しい自然エネルギー活
用手法の一つとして,密集市街地住宅にも組み込む
ことのできる,屋根を利用した自然エネルギー利用
手法について,各システムの効果や問題点を明らか
にし,また既存住宅に組み込む方法やそのための建
築部材について検討することを目的としている。
本報告では,太陽熱水蓄熱床暖房システムおよび
屋根流水放射冷房システムについて,本年度に行っ
た検討結果の概略を示す。
2.太陽熱水蓄熱床暖房システム
夏季の室内気候調整については,昨年に引き続き,
夜間の外気を屋根で放射冷却および屋根流水による
蒸発冷却により冷やして室内に取り込み,冷房・蓄冷
することの効果に関して実験を行い検討した。
その結果の一部,外気取り込み制御方法変更の効
果を示す。2003 年の実験では屋根ダクト温度が 26℃
以下になると取り込みを開始したが,図2のように
床下ダクト温度が一時的に上昇し,熱損失を招く結
果となっていた。そこで 2004 年に,屋根ダクト温度
が床下ダクト温度より低くなったら開始することに
した結果,図 3 のように,開始時の温度上昇はなく
なった。夏季は室内外温度差が小さいため,このよう
な制御方法の違いが性能に大きく影響する。
冬季については,本システムのエネルギー使用量
削減効果を詳細シミュレーションにより検討した。
結果を図4に示す。ケース1は太陽熱暖房がなく合板
床の一般住宅の仕様であり,ケース5が本システム
の仕様である。一般住宅仕様に比べ期間暖房負荷が
57%少なくなることが示されている。ケース3∼5
は軒下から外気を吸い込み屋根で集熱して床暖房す
るものであるが,床の仕様がそれぞれ合板,RC,水
屋根面
屋根面
ポンプ
天井放射パネル ポンプ
天井放射パネル
P1
P1
P2
P2
調整
蓄冷タンク
室内系
調整
蓄冷タンク
日中 夜間
5:30
ON
19:00
ON
(室内温グローブ度 >27℃)
屋根系
5:30
ON
18:30
(蓄冷タンク水温 < 外気湿球温度)
図 5 屋根流水放射冷房システムの概略図
(屋根→パネル/パネル) (パネル) (屋根→パネル / パネル) (パネル)
107W
12345678901
21:00
内部発熱
温度 [℃]
30
7W
7:00
107W
123456789012
21:00
5
日射量 [kW/㎡]
35
7W
7:00
外気温
4
25
3
20
2
パネル表面
湿球
蓄冷タンク
15
10
19:00 1:00
8/3
7:00 13:00 19:00 1:00
8/4
1
0
13:00 19:00
7:00
図 6 室内発熱がある場合の温度変動
室内から除去熱量
[MJ/day ]
稼働率
COP
4
エネルギー消費量
[MJ/day]
蓄熱床である。ケース6,7は室内空気を屋根に循環
して集熱すると仮定したもので,ケース6は屋根全
面を集熱面とした場合,ケース7はガラス集熱面(屋
根面積の約 1/3)とした場合である。これらは暖房負
荷がケース1の 22%,33%となり室内空気循環によ
る効果の高いことが示されているが,これは外気導
入に伴う換気損失がないためである。
3.屋根流水放射冷房システム
屋根流水放射冷房システムは,図5のように,夜
間,屋根に水を流下させて蒸発冷却等で冷やし,雨樋
で受けて室内パネルや蓄熱タンクへ循環させ冷房す
るシステムである。また,昼間に屋根流水を行うと完
全に日射を遮熱することができる。
2004 年の夏は,実験対象室を寝室と想定して内部
発熱を与え,エアコンの設定温度を室内グローブ温
度 27℃とした場合について実験を行った。図6のよ
うに,8月3日,4日は外気温が 30℃を超える真夏
日であるが,室内グローブ温度は 27℃以下に抑えら
れている。3日の1時頃,蓄冷タンク内水温が外気湿
球温度より高くなり,夜間の循環が始まると,室内
107W の発熱があるにもかかわらず,室内グローブ温
度は 27℃から 23℃程度まで低下している。また蓄冷
タンク内の水温は22.5℃から21℃まで下がっている。
この間,室内パネル表面温度は蓄冷タンク内水温と
ほぼ同じ温度まで低下し,また室内グローブ温度と
タンク内水温の差も3℃以下と小さい。日中は室内
系が間欠的に稼働し,蓄冷タンクの冷水によりグ
ローブ温度が 27℃以下に保たれている。
実験建物について,日平均外気温度が 25℃を超え
る日のパネルの除去熱量とエアコンの除去熱量の日
積算値,およびCOP等の日平均値を算出した結果を図
7に示す。本システム発熱なしのモード1の COP が
3.2程度と他のモードより大きくなっているが,これ
はモード開始時の蓄冷タンク内水温がかなり低かっ
たため,夜間の蓄冷運転があまり行われず電力消費
量が少なくなったためである。内部発熱のあるモー
ド2のシステムの稼働率は夜間0.7,日中0.4程度で,
システムCOPは1.4となった。また,日平均エネルギー
消費量7.2MJに対する夜間のエネルギー消費量の占め
る割合は70%であるが,室内からの除去熱量の夜間の
割合は37%と小さい。システムとエアコンを併用した
モード4では,システムによるエネルギー消費量の
割合は 65% で室内からの除去熱量の 82% を占めるが,
COP はモード2とほぼ同じ 1.6 となった。
本システムのCOPは,この実験ではエアコンより小
さくなったが,外気条件によって変動することが示
された。また家全体を冷房する場合に大きくなる可
能性が考えられる。従って夏季全期間について,また
住宅全体を対象として,さらに検討する必要がある。
3.2
0
1
3.2
1.8
2
1.6
1.4
システム
エアコン
夜間
0.5
0
25
20
15
10
5
0
10
5
日中
日中のパネル
10.2
14.8
5.7
37%
7.9
86%
63%
67%
夜間のポンプ7.2
日中のポンプ 70%
96%
Mode1
システム
のみ
12% 16%
6%
22%
25%
47%
9.3
日中のエアコン
13%
82% 64%
夜間のエアコン
22%
7.3
4.4
42% 65%
21%
28%
1.8
0
23.6
夜間のエアコン
日中のエアコン
夜間のパネル
30%
35%
Mode2
Mode3
16%
23%
71%
Mode4
Mode5
システム・ システム・ システム・エアコン・
内部発熱
エアコン エアコン・ 内部発熱
内部発熱
図 7 エネルギー消費量と COP
□参考文献
1) 咸哲俊,水蓄放熱床を持つ太陽熱床暖房システムに関
する研究,東京都立大学博士論文,平成 17 年 3 月
2) J. Ma and N. Sunaga, Radinat Cooling System with Water
Floor on Roof, Proceedings of the 21st PLEA Conference,
pp.443-448, Sept. 2004
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D113
[2005/04/28]
新天井冷房システムの実施実験
A Practical Experiment of New Ceiling Cooling System
須永 修通(助教授) 藤江 創(COE研究員)
田沼 孝啓(学部生) 青木 憲明(協力者 アオキ住宅機材販売株式会社)
Nobuyuki SUNAGA(Assoc. Prof.), So FUJIE (COE. Res.), Takanobu TANUMA (Undergraduate)
And Noriaki AOKI(COE Collaborator/AOKI Housing Equipment Inc.)
ABSTRACT
A new cooling system suitable for hot humid climate is proposed and practically examined. This system has metal
pipes placed at the ceiling level and the pipes, in which the cooling water circulates, cool the room and dehumidify by
the condensing on the pipes. The condensation is drained with the gutters prepared just under the pipes. These pipes
and gutters are designed architecturally. Some experiments were carried out using an actual building, the results show
that this cooling system can make an excellent thermal environment keeping one's head cool and one's feet warm and
has a possibility of reducing the energy consumption by 20-30 % as compared with the normal air-conditioning
system.
キーワード:天井冷房、実験、温熱快適性、省エネルギー
Keywords: ceiling cooling system, field measurement, thermal comfort, energy conservation
2.2改修設計提案
1.はじめに
現在、イニシャルコストの低減、及び、メンテナン
内部は大きく2つのスペ
スの簡易性から、空気冷房が一般的だが、気流や室内
ースに分け、導入部を「ギ
温度分布の偏りによって生じる不快感、ハウスダスト
ャラリー」、奥を「サロ
などの拡散が問題となっている。
ン」とした。
本研究では、冷水を循環させる金属パイプを天井に
ギャラリーは、通りから
設置し、積極的に除湿(結露)させることにより、夏季
来客者を引き込むことを意
に高温多湿となる環境に適した、天井冷房システムを
図して、外部から内部にか
開発することを目的としている。
開発にあたり、試作品を作製し、意匠的な検討を行
う一方、八王子市のショールームで、室内熱環境や電
力使用量など実測を行い、性能分析を行った。
2.ショールームの改修
2.1 建築概要
写真1 外観
けて、帯のように繋がる家
具(サイン兼展示台)や、軒から内部にかけて、折れ
曲がりながら連続する天井をデザインした。
サロンは天井冷房や床暖房をゆっくり体感できる
ように、喫茶用テーブルや畳コーナーを設けた。
また、空間の一体利用が可能となるように、2つ
対象とする建築は、八王子市内に建つ、鉄筋RC造
のスペースは、デザインや仕上げの変化で認識され
4階建ての1階であり、床面積は約120㎡、階高は3.5
るようデザインし、間仕切りはすだれによる簡易的
mである(写真1)。既存の内部仕上げはRC打放し
なものにした。(図1)。
のほか、PB+クロスなど多様な材料が混在していた。
また、夏季用の空調設備として、2kWの天井カセット
式業務用空調機が3台設置されていた。
このスペースは、もともと床暖房のショールームと
して使用されていたが、床暖房の認知度が向上したこ
とから、新たな事業展開として、天井冷房システムを
開発し、試作品の展示及び実験場所としても利用され
ることになった。それに伴い、ショールーム全体の内
装デザインを一新することが求められ、藤江研究員の
設計監理で改修工事が行われた。
図1 改修後平面図
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[2005/04/28]
3.天井冷房システムの設計提案
本システムの特徴は、冷房パネル自体に除湿機能
を持たせることと、そのシステムを天井に広く配置
することである。高温多湿の日本の夏において、快
適な環境を形成するためには、除湿の効果が高く、
また、熱環境的に快適といわれる頭寒足熱の状況を
実現するためには、熱源を面的に天井配置すること
が、最も効果的である。
写真2 改修後内観(ギャラリー)
このようなシステムで問題となるのは結露水の処
理である。これを解決するために、天井に200㎜ピ
ッチで配置される冷水パイプの直下に、結露受とな
るL型アングルに水勾配を付けて配置し、ルーバー
状に見えるように設計した。アングルに溜まった水
は壁裏に設けた樋で1箇所に集められ、スリーブか
ら外部に排出している。また、L型アングルの素材
については二次結露が心配されたため、ポリプロピ
レン材による制作を試みたが、精度が悪く水勾配が
取れなかったため、アルミアングルにそれを貼り付
けるかたちで対応した(写真2)(図2,図3)。
4.性能評価実験の概要
図2 システム図
図3 ルーバー詳細図
表1 測定モード
mode
14℃
送水温度
16℃
18℃
26L/min
流量
10L/min
3/3本
パイプ本数
1/3本
開始
実験期間
終了
1
2
3
4
○
○
○
5
6
7
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
8/13
8/17
8/21
8/24
8/24
8/30
○
○
○
○
8/30
9/6
9/6
9/10
○
9/10
9/16
9/16
9/22
平成16年度、水温14,16,18℃、流量10,26L/min、
パイプ本数を全て使用,1/3使用、と変化させること
により、表1に示す7モードの実験を行った。
実験は、室内50点の温度、流水出入口温度、室内
外各1点の湿度、南側窓面内側の窓面透過日射量を
パソコンとデータロガーを用い、1分間隔で計測し、
10分間の平均値を記録した(図4)。主な測定点は
右図に示す(図5,図6)。また、赤外線放射カメ
ラにより熱画像も撮影し、冷却パイプ付近の温度分
布を確認した(図7)。
5.実験結果と今後の展望
図4 モード2における各部温度と日射量の経時変動
RG: 1 ε : 1 . 0 0
実験結果から、以下のことが明らかになった。
04/08/09
16:51:47
(80.0)
36. 0
34. 0
1)室内の相対湿度が65%以下で、上下温度差が少なく、
32. 0
PMVが0に近いことから、快適な熱環境を形成できる。
28. 0
30. 0
26. 0
24. 0
(図8)
2)モード毎の比較により、室内熱の除去には、送水温
22. 0
20. 0
(-20.0)
図5 測定ポイント(平面)
図7 熱画像
図6 測定ポイント(高さ)
図8 上下温度分布
度やパイプ本数よりも、流量が大きく影響した。
3)システムの改良により、従来のエアコンより20∼30
%省エネルギーとなる可能性がある。
以上のように本システムの有効性は確認されたが、
実用化するには、更なる効率化が求められる。今後、
実測による分析結果を参考に改良を行う一方、建築用
途別の使用方法や現状の空調設備から同システムへの
更新方法を提案し、省エネルギーかつ快適な冷房シス
テムの実現を目指す。
東京都立大学21世紀COEプログラム
巨大都市建築ストックの賦活・更新技術育成
Development of Technologies for Activation and Renewal of Building Stocks in Megalopolis
[2005/04/28]
戸建て住宅の熱性能評価
D21
Thermal Performance Evaluation of Detached Houses
永田 明寛(助教授)
Akihiro NAGATA (Assoc. Prof.)
ABSTRACT
This study aims to develop in-situ measurement methods of the heat loss coefficient, which represents whole
house thermal performance, and the thermal transmittance, which represents a thermal performance of a building
element. Last year, we investigated an in-situ measurement method of the thermal transmittance and proposed a hot
plate method. This hot plate method uses a hot plate and a heat flow meter not in the laboratory, but in the field.
Although it is still a concept, there are many problems remaining for practical use.
キーワード:熱貫流率,断熱,実測 Keywords: thermal transmittance, insulation, in-situ measurement
1.はじめに
行われる一般的な方法と言えよう.後者の熱流計を
2005年2月,地球温暖化防止に関する京都議定書
用いた測定の場合,建物のごく一部しか測定すること
がついに発効し,省エネルギーに対してより一層の
ができないため,熱画像等によって予めあたりをつけ
取組みが求められている.住宅に関しては高効率機
た上で熱流計を設置することになる.この際,柱梁や
器への置き換えとともに,建物の断熱性能向上が課
隅角部等の熱橋部位は熱流量に分布があるため,それ
題となっているが,既存住宅の熱性能を定量的に評
以外の一般部位の測定に限定するのが現実的である.
価する手法は未だ確立されていない.本研究は,大
量のストックを有する既存戸建て住宅の断熱性能を
3.平板加熱法
評価する手法として,住宅全体の断熱性能を表す熱
本報告では,熱流計を用いた熱貫流率の測定法とし
損失係数と部位の断熱性能を表す熱貫流率の現場測
て現在検討を進めている平板加熱法の概要を説明する.
定法を開発することを目的としている.昨年度は,
ISO 9869では通常の使用状態で室内側もしくは屋外
熱貫流率の現場測定法について若干の調査検討を行
側表面に熱流計を設置することを想定している.冬期
ったのでここに報告する.
に内外温度差が十分ついている場合は良いが,夏期や
中間期は意図的に室内温度を上げないと,内外温度差
2.部位の断熱性能の現場測定法
断熱性能の現場測定法として,既に,
がつかないため相当長期間の測定が要求される可能性
が高い.発熱を与える場合は,
(1) ISO 6781:1983, "Thermal insulation - Qualitative
① ファンヒーター等で室全体の空気を加熱
detection of thermal irregularities in building envelopes -
② 熱箱を設け,熱箱内の空気を加熱
infrared method"(断熱―建物外皮の断熱むらの定性
③ 高温放射暖房(電気ストーブ,赤外ランプ)で壁
的検出法―赤外線法)
面を直接加熱
(2) ISO 9869:1994, "Thermal insulation - Building
④ 面状発熱体で壁面を直接加熱(面状発熱体の外側
elements - In-situ measurement of thermal resistance and
に断熱材をおくケースと置かないケースがある)
thermal transmittance"(断熱―建築部位―建築要素の
が考えられる.①の方法は,壁体全体がほぼ均一に加
熱抵抗及び熱貫流率の現場測定法)
温されるため,熱流の1次元性(壁の法線方向の熱流
の2つの国際規格がある.(1)ISO 6781:1983はサーモ
量が均一で壁内で横方向の熱移動が無視できる)につ
カメラによる熱画像から断熱むらを検出する定性的
いてあまり考慮する必要がないという利点がある.も
な手法,(2)ISO 9869:1994は熱流計を用いて特定位
し1次元性が確保できないでもこれは実態としてそう
置の熱貫流率を求める定量的な手法に関するもので
なのであって,測定法に起因する問題ではない(ISO
ある.国内では,対応する規格は現在のところ存在
9869では部位全体を代表する位置に設置することにな
しないが,特に前者の熱画像による方法はしばしば
ってはいる).しかし,熱流計を用いた測定は最低で
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[2005/04/28]
も3日程度は必要となることを考えると,居住状態で
護熱板式熱流計法」に近い(恒温容器に全体を入れる
は困難であるという問題がある(内外温度差を10℃以
とか冷却側の温度も制御するということになっている
上つけるとすると室温が高くなりすぎるため).②∼
が実壁体では難しい).ただし,物性値測定の場合と
④の方法は,壁体を部分的に加熱する方法であるが,
異なり,現実の壁体は多層構成で,前述のように内部
熱流の1次元性を確保しようとした場合,かなり大き
に空気層(通気層に限らない)を含む場合が多い.空
な範囲で一様に発熱させる必要がある.実際,熱箱法
気層があると対流で測定位置外に容易に熱がもれてし
1)
を現場測定に適用した研究事例 では,精度をある程
まうためこれに対する補正が必要となる.空気層が無
度確保するためには1m角程度以上のサイズが必要と
い場合にも,ある場合に比べ影響は少ないものの同様
している.実験室における壁体の断熱性能測定法に,
の補正が必要となる.
JIS A 1420:1999「建築用構成材の断熱性測定方法―校
平板加熱法はまだアイデア段階で,実用化に当って
正熱箱法及び保護熱箱法」(ISO 8990)があるが,伝熱
は多くの課題が残されており,実験やシミュレーショ
面 積 と し て 1.5m 角 以 上 と し て い る ( 熱 抵 抗 が
ンによる検討が必要である.以下に今後の検討課題を
2
0.86m K/W以下,厚さが50mm以下の場合は附属書B
箇条書きで示す.
の小さな伝熱面積をもつ校正熱箱法によっても良いこ
① 加熱板(面状発熱体)の発熱量や寸法
とになっているが,これはJIS化に当って追加された
② 熱流計の寸法
附属書である).実験室による場合は試験体端部が全
③ 断熱材の寸法
周断熱されているがそれでもこの程度の伝熱面積が必
④ 温度測定点の位置.補正のためには,加熱面の上
要とされている.日本の木造住宅を考えた場合,壁内
下左右の温度を測定するなどが考えられるが,特に上
に空気層があることが多いこと,繊維系断熱材では断
方向には十分な距離まで設ける必要があることが想定
熱材内の対流を無視できないことから,相当のサイズ
される.
を考えたとしても,どの程度1次元性が確保されるか
⑤ 解析方法と精度.1次元熱流が仮定できる場合解析
はかなり怪しい.以上のように,①の室全体を加熱す
方法はISO 9869に平均温度差と平均熱流量を用いた簡
る場合を除き,壁体の一部を加熱する場合は1次元性
易な方法と熱容量を考慮した動的な方法が示されてい
を確保するのが困難であるので,加熱面積に関わらず
る.ただし,附属書B 「動的解析法」に示されてい
何らかの補正が必須である.したがって,はじめから
る方法は,時刻間の誤差の相関が考慮されていないの
補正を前提に測定法を構築することとすれば,加熱面
で改良の余地がある.
積を思い切って小さくし測定を簡易化できる可能性が
ある.
④の面状発熱体で壁面を直接加熱する方法(平板加
熱法)は,空間的制約が少なく,面状発熱体を室内側
に置くものとして,面状発熱体の室内側に断熱材を配
することで室内側への熱流を遮断することができる点
から②や③の方法に比べ有利である.そこで④の方法
について今後検討を進めたいと考えている.なお,十
分に内外温度差がある冬期は,終日同一の設定温度で
□謝辞
本研究は(財)建材試験センター「住宅・建築物の長期
断熱性能と建材LCA調査委員会保証性能実証法WG」におけ
る検討の一環として行われたものである.
□参考文献
1) 長井達夫・永田明寛・永村一雄:熱損失係数の推定
の仕組みと運用上の問題,日本建築学会第33回熱シン
ポジウム,pp.29-34,2003.
室内
外気
極力室温変動が無いように暖房するようにすれば結局
温度測定点
①と同じであるので,単に壁体表面に熱流計を設置す
るだけで良いだろう.
平板加熱法は,図1に示すようなものをイメージし
ており,材料の熱伝導率測定法のJIS,
(1) JIS A 1412-1「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測
定方法―第1部:保護熱板法(GHP法)
熱流計
通気層内
加熱板
温度
断熱材
(2) JIS A 1412-2「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測
定方法―第2部:熱流計法(HFM法)
にほぼ該当する.特に,JIS A 1412-2の「附属書B 保
測定対象壁体
図1 平板加熱法のイメージ
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D311
[2005/04/28]
エコスクールへの変換
― 屋上緑化の実測およびシミュレーション評価 ―
Conversion to Ecology School
- An Observational and Simulation Study on Rooftop Greening -
石野久彌(教授)
永田明寛(助教授) 中山哲士(助手) 一ノ瀬雅之(博士課程)
Hisaya ISHINO (Prof.), Akihiro NAGATA (Assoc. Prof.),
Satoshi NAKAYAMA (Res. Assoc.) and Masayuki ICHINOSE (Doctoral Course)
ABSTRACT
Recently, heat-island phenomenon becomes obvious, increase of temperature of urban area well over of global
scale. As a practical measure, governments make it obligatory to green rooftop of buildings. There are some grass
products with lightweight soil, watering system and so on. Many studies about transpiration effect of plants are made,
but these studies mainly dealt with plants on the ground. This research presents thermal performance of actual rooftop
greening products by long term measuring and numerical simulation.
キーワード:エコスクール,屋上緑化,年間評価
Keywords: Ecology school, Rooftop greening, Annual evaluation
率は紫外可視光域(350-780nm)においては,同じ緑色
1. はじめに
近年,都市のヒートアイランドが顕在化する中,具
の人工芝と同様の傾向を示し0.1程度であるが,近赤
体的な対策として行政による屋上緑化の義務化が進め
外域(780-2500nm)においては反射率に差があり芝生面
られるなど,屋上緑化が一般にも普及してきている.
は0.4~0.5程度,人工芝は0.2程度であった.一方,長
当初は,灌水の必要がないなどメンテナンスが容易な
波長放射特性について図3を見ると,都市との熱授受
セダムなどの植物が多く用いられていたが,軽量土壌
表1 測定項目一覧
や給水システムなど個別に特徴がある芝生を用いた屋
日射量
外気温湿度
気象
風向風速
降雨量
断面温度分布
各種屋根表面温度
温度・熱流 測定屋上階下の温湿度
熱流
アルベド
土壌含水率
蒸散
貯水槽の水位
芝生ユニット重量変化
上緑化製品が多種見られるようになった.
本研究では,芝生による屋上緑化について長期的な
実測により実際の屋上緑化製品の熱・水収支パラメー
タ特性を把握し.非定常熱収支モデルを作成して複数
のヒートアイランド緩和手法の比較検討を行った.
2. 実測概要
2-1. スケジュールおよび測定項目
日射計
熱電対,ロガー,おんどとり
2次元超音波風向風速計
雨量計
熱電対,ロガー,おんどとり
熱電対,ロガー
おんどとり
熱流板,ロガー
長短波放射計,分光放射計
含水率計,ロガー
含水率計,ロガー
電子重量計
東京都港区立六本木中学校の屋上緑化を中心に,
2004年7月から2005年2月にかけて表1に示す自動・
手動計測を行った.また,夏季・冬季に1週間ほど
現場にて集中実測を実施した.
2-2. 測定対象の芝生ユニット
図1に示す芝生植栽ユニットSは人工軽量土壌を充
填した芝コンテナと30日分の雨水を貯めることので
図1 緑化ユニットS外観および断面
きる貯水槽から構成される,省管理型屋上緑化シス
1
テムである.その他に,感温性樹脂に芝生を植えつ
射塗料面,人工芝表面を比較対象として設定した.
3. 実測結果
3-1. 放射特性
図2に短波長分光反射率を示す.芝生面の分光反射
0.8
分光反射率[-]
けた緑化ユニットD,コンクリートスラブ面,高反
断面温度分布測定位置
(*乾燥重量:39 kg/m2、湿潤重量:125 kg/m2、貯水量 :86 lit./m2)
0.6
緑化(a)夏期
緑化(b)夏期
高反射塗料(灰色)
緑化(b)冬期
緑化(a)冬期
壁(白色塗装)
0.4
スラブ
0.2
人工芝
0
0
1000
2000
波長[nm]
3000
0
トタン屋根
1000
2000
波長[nm]
図2 屋根構成材表面の分光反射率
3000
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温度[℃]
40
表2 熱収支式
1800
q c + qW + q RS + q RL + qT = 0
q c = α c (t o − t v )
対流
1600
1400
1200
30
全天日射量(第2軸)
水分移動
800
短波長放射 q RS = a S ⋅ I th
600
400
10
(
長波長放射 q RL = ε v L↓ − σ ⋅ Tv
7/20
12:00
7/21
0:00
7/21
12:00
7/22
0:00
図3 芝生葉表面温度と放射温度の比較
0.5
芝生・空気は熱コンダクタンス[W/(㎡K)]
※プロットの白・黒,線の実線
・破線は異なる2測定点の結果
を示している.
芝生表面温放射度から算出 (プロット)
λ
蒸発比β[-]
0.4
0.3
芝生
5
土壌
0.5
空気
11.6
0
0.6
4200
1.6
1900
水
コンクリート
0.2
18:00
7/21
0:00
6:00
12:00
18:00
7/22
0:00
6:00
12:00
芝生表面温度[℃]
よる温度は,芝生葉群内の気温と同等である.
3-2. 蒸散特性
図4は緑化ユニットS貯水槽の水位変化による蒸散
量,芝生表面温度および外気絶対湿度から算出した,
フラックス[W/㎡]
る.夜間0.1から日中0.3程度で推移している.
4. 屋上緑化のシミュレーション
植栽層 d=30mm
土壌 d=60mm
空気層
貯水層 d=40mm
0.028
47
空気
11.6
0
PB
0.17
1000
室内側
9.3
0
コンクリート
d=260mm
断熱材(硬質ウレタン
対象とした緑化製品の蒸発比は地面の植物より若
干高かった.メンテも含めた評価の重要性を示した.
)
d=20mm
空気層
PB d=9.5mm
図5 スラブ断面構成
40
30
芝生表面温度実測値(実線)
芝生表面温度計算値(破線)
20
潜熱フラックス(実測値)
潜熱フラックス(計算値)
顕熱フラックス
(計算値)
300
200
100
0
7/31
0:00
8/1
0:00
8/2
0:00
8/3
0:00
8/4
0:00
図6 計算値と実測値の比較(β=0.25,αc=16)
顕熱放出量
潜熱放出量
日射量
潜熱量/日射量
600
500
※破線は夏季の蒸発比を0.1とした場合
0.6
0.4
0.2
400
0
熱量 [MJ]
4-1. 熱収支モデル
表2に示す非定常熱収支式を連成計算した.水収
支は扱っていない比較的簡易なモデルである.
4-2.実測値との比較検証
計算の信頼性を評価するため,図面や物性資料を
基に表3および図5の入力条件を与え,実測と同じ気
象条件を入力して比較したものが図6である.表面
温度およびフラックスの変化がよく一致している.
4-3. 年間計算
図7は東京の標準年気象データを入力して年間計
算した結果である.実線は蒸発比0.2,破線は活度
のない芝生を想定して蒸発比0.1としたものである.
ヒートアイランド要因となる顕熱フラックス,要因
とならない潜熱フラックスに有意な変化が見られる.
5. まとめ
(6)
1800
400
水面を1として蒸散の効率を表す蒸発比の変動であ
(4)
αc:芝生表面の対流熱伝達率[W/㎡・K], to:外気温
[ ゚ C], tv: 芝 生 表 面 温 度 [ ゚ C], r: 水 の 蒸 発 潜 熱
=2440[J/g], αx:芝生表面の物質移動係数[g/(㎡・s)],
β:蒸発比[-], xsat(t):温度tにおける飽和絶対湿度
[g/g], xo:外気絶対湿度[g/g], as:日射吸収率[-], Ith:
全天日射量[W/㎡], εv:長波長放射率[-], L↓:天空
放射量[W/㎡], Y(j),Z(j):応答係数[W/㎡], NJ:応答
係数の項数, tRM:室温[゚C]
図4 蒸発比の経時変化
となる面的な代表表面温度を表すサーモグラフィに
)
0
断熱材
0.1
0
7/20
12:00
ρc
[W/(m・K)] [kJ/(m3K)]
芝生表面温度から算出 (実線、破線 )
(3)
j =0
表3 各層の熱物性値
0.7
0.6
j =0
0
7/23
0:00
7/22
12:00
4
(2)
)
(5)
NJ
NJ
qT (k ) = ∑ Y( j ) ⋅ t RM (k − j ) − ∑ Z ( j ) ⋅ t v (k − j )
伝導
200
7/20
0:00
(
qW = γ ⋅ α x ⋅ β ⋅ xo − x sat (t )
1000
日射量[W/㎡]
緑化(a)表面放射温度
(プロット)
20
(1)
300
-0.2
200
-0.4
100
-0.6
0
-0.8
-100
-1
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
月
図7 都市へのフラックス年間計算結果(標準年・東京)
潜熱量/日射量 [-]
緑化(a)GL+30
外気温(破線)
緑化(a)GL+10
緑化(a)GL±0
[2005/04/28]