KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL Phylogeny and evolution of the Girellidae(Teleostei : Perciformes)( Abstract_要旨 ) Yagishita, Naoki Kyoto University (京都大学) 2001-03-23 http://hdl.handle.net/2433/150768 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University ⊂4 8 4】 やぎ した なお き 柳 下 直 己 学位( 専攻分野) 博 士 学 位 記 番 号 農 学位授与の 日付 平 成 1 3年 3 月 2 3日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当 研 究 科 ・専 攻 農 学 研 究 科 応 用 生 物 科 学 専 攻 学位 論文題 目 Phyl oge nya nde vol ut i o noft heGi r e l l i da e( Te l e os t e i: Pe r c i f or me s ) 氏 、名 ( 農 学) 第 1 1 7 9号 博 ( 硬骨魚綱メジナ科魚類の系統 と進化 に関する研究) ( 主 査) 論文調査委員 教 授 中 坊 徹 次 論 文 内 数\ 授 田 中 容 ・の 要 克 教 授 坂 本 萱 旨 スズキ亜 目,メジナ科 ( Gi r e l l i da e )魚類 は沿岸の漁業上,重要 な資源であ りなが ら,学術上の知見 ほとば しい もの とな っている。 そこで,メジナ科魚類の系統 と進化 について明 らかにする目的で,形態 と分子 データを用いて研究 を行 った。得 られた結果 は以下のように要約で きる。 1.束アジア産メジナ属魚類の分類学的再検討 東アジア産のメジナ科メジナ属魚類 は年来,オキナメジナ,メジナ,グロメジナ とされ,それ らの学名は Gi r l e l l ame g2 ' - o r d a n& St a r ks ,1 9 0 7 , G. pm c t at aGr ay,1 8 3 5 ,G.mel a左i c ht hys( Ri c ha r d s o n,1 8 4 6 )とされて きた. ところが, これ naJ ら 3種 を区別するために示 されて きた形態的分類形質には多 くの変異がみ られたために,分類 に混乱 をおこして きた。そこ で,これ らの種の形態的変異 を多 くの標本 に基づいて,分類学的に再検討 した。 その結果, 3種 における歯の形態 と計数形 c oni na ( Ri c ha r d 占 o n,1 8 4 6 )が妥 質においてかな り広い変異の幅があることが判明 したOそ して,タロメジ ナの学名 は G.l 当であることがわかった。 さらに, 3種の東 アジアにおける分布域はオキナメジナは南 日本太平洋側 ・台拷,メジナは日本 海を含む日本列島の南半分 ・朝鮮半島南岸 ・台湾に, クロメジナは南 日本太平洋側 ・台湾 ・香港であることがわかった。 2.分子 データか らみたメジナ科の系統分類学的取 り扱い 同 じ顔面神経のパ ターンを持 ち,メジナ科 と近縁 と考 えられる分類群 について mt DNAの ND2領域6 7 8 塩基 を基 に,系 統解析 を行 った。同時 に,現在混乱 しているメジナ属 に近縁 と草れている分類群の分類階級 について も言及 した。その結果, タカベ属 ( Ldbr ac o gl o s s a) ,Sc o 7 Pi s ,イシダイ属 (Opkgnat hus) ,イスズ ミ属 ( K3 1 4ho s us ) ,i ゴイ属 (Kuhl i a) ,カゴカ キダイ属 (Mi c r o c anf huS)そ してメジナ属 はそれぞれ単系統群 を構成することが示唆 され, また,それ らは別々の科 とし て扱 うべ きであるとい う結論がでた。 これは一般的 に受け入れ られている Ne l s o n( 1 9 9 4)の Kyp ho s i d a eは科 としては不 適当であることを意味 している。 3.分子 データか らみたメジナ属各種の系統類縁関係 0 2 9 塩基 を基 にメジナ属 6種の系統類縁関 本研究で近縁であることがわかった上述の分類群 を外群 として,ND2遺伝子 1 係 を推定 した。その結果,東 アジア産の 3種 は単系統であることが示唆 され,オキナメジナが最初 に分岐 し,メジナとクロ メジナが次 ぎに分岐 した\ ことが推定 された。 4.メジナ科の摂食器官の比較形態 r e l l aGr a y,1 8 3 5)の1 5 種 と Gr ausni gr aPh i l i ppi ,1 8 8 7の計 1 6 種が知 られている。 これ ら 現在のところ,メジナ属 (Gi のうち1 5 種 について,外列歯 と閉顎筋の観察 を行 ったところ,外列歯ではメジナ属で成長 に伴い列数や形が変化する種が多 く見 られ,閉顎筋は臆の接続様式の違いか ら 4パ ターンに分 けることがで きた。また,歯の形態 と周 顎筋のパ ターンには関 連性が見 られ,歯の形態が複雑 な種では,閉顎筋のパ ターンは単純で,歯の形態が単純な種では,閉顎筋のパ ターンは複雑 -1 1 1 3- 5.メジナ属 における摂食器官の進化 と閉顎筋の変化 につい 分子生物学的に推定 された束 アジア産 3種の系統類縁関係 を基 に,メジナ属の種の進化 における歯. て考察 したところ,メジナ属 において歯の形態は植物食性 に特化 した複雑なものか ら,雑食性の傾向のある単純なものへ と 変化 し,その変化 には異時性が関係 したことが示唆 された。 また,歯の形態の変化 に伴い,閉顎筋の臆の接続様式では,歯 とは逆 に単純か ら複雑-の変化が起 こったと推定 された。 r 論 文 審 査 の 結 果 の 要 、 旨 メジナ科魚類 は日本列島沿岸の岩礁域 に普通 にみ られ,漁業上,重要な資源であ りなが ら,形態や生態 に不明なところの 多い分類群である。 本論文は形態 と分子データを用いて,分類 を基礎 に,メジナ科魚類の系統 と進化 について明 らかにした ものである。評価で きる主な点は以下の通 りである。 1.形質に変異が多いため, これまで分類学的に混乱 していた東 アジア産のメジナ科メジナ属魚類 を多 くの標本に基づい て再検討 した結果, オキナメジナ, メジナ, タロメジナの 3種 に整理 され,それ らの学名 は Gi r e l hzme R : i naJ o r da n良 St a r ks ,1 9 0 7 ,G.punc t at aGr ay,1 8 3 5 ,G.l e oni na ( Ri c ha r ds on,1 8 46)であることがわかった。 2.以上の 3種の分布域は,オキナメジナは南 日本太平洋側 ・台湾,メジナは日本海 を含む日本列島の南半分 ・朝鮮半島 南岸 ・台湾に, タロメジナは南 日本太平洋側 ・台湾 ・香港であることがわかった。 3.同 じ顔面神経のパ ターンを持 ち,メジナ属 と近縁 と考 えられる分類群 について mt DNA の ND2領域6 7 8 塩基を基 に, 系統解析 を行 った。その結果,メジナ属 に近縁 な諸属 はそれぞれ別 々の科 として扱 うべ きであるとい う結論がでた。これは l s om (1 9 9 4)の仮説 を覆す ものである。 一般的に受け入れ られている Ne 4.ND2遺伝子 1 0 2 9塩基 を基 にメジナ属 6種の系統類縁関係 を推定 したところ,東 アジア産の 3種 は単系統であること が示唆 され,オキナメジナが最初 に分岐 し,メジナとクロメジナが次 ぎに分岐 したことが判明 した。 5.世界中の温帯海域 に分布するメジナ科1 6 種の うち1 5 種 について,外列歯 と閉顎筋の観察 を行い, これらの形態が植物 性,雑食性 に対応 していることをつ きとめた。 6.分子生物学的に推定 された東 アジア産 3種の系統類縁関係 に歯 と閉顎筋の諸型 をあわせて考察 したところ,メジナ属 では歯の形態は植物食性 に特化 した複雑 なものか ら雑食性の傾向のある単純なものへ と変化 し,歯の形態の変化に伴 って, 閉顎筋の臆の接続様式は,歯 とは逆 に単純か ら複雑へ と変化 したことを推定 した。 以上のように,本論文はこれまで知見の少 なかったメジナ科魚類 について,分類 を基礎 に,分子 と形態データを用いて, それ らの進化の歴史を推定 したものであ り,魚類学,水産学,そ して海洋生物学の発展 に寄与するところが大 きい。 よって,本論文は博士 ( 農学)の学位論文 として価値あるもの と認める。 なお,平成1 3年 2月1 3日,論文 ならびにそれに関連 した分野 にわた り試問 した結果,博士 ( 農学)の学位 を授与 される学 力が十分あるもの と認めた。 ⊥ 111 4-
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