第1回合同研究成果発表会及び技術相談会の開催について(ご案内)

産科第
890
号
平成19年12月10 日
各
位
新たな産学官連携に向けた連絡会議
議長 大分県産業科学技術センター長 坂下仁志
第1回合同研究成果発表会及び技術相談会の開催について(ご案内)
県内企業の皆さまに試験研究機関の研究成果を活用していただくため、県内外の大学や高専、大分県産業科
学技術センターが合同で下記のとおり標記発表会を開催することとしました。
第1回の今回は、「機械・金属」分野の研究成果発表を予定しています。新分野開拓や新事業の展開、あるい
は試験研究機関との共同研究の足がかりとして、多くの企業の皆さまに参加いただきたいと存じます。また、当日
は、個別の技術相談もお受けします。参加及び相談費用は無料です。
なお、この合同研究成果発表会は、今後、分野ごとに年2回程度開催する予定です。
1
2
日
会
時
場
3
内
容
記
平成20年1月23日(水) 13:30~17:10
大分県産業科学技術センター1階 「多目的ホール」
所在地:大分市高江西1-4361-10
電話:097-596-7101
時 間
発 表 テ ー マ
13:35-14:00 反発硬さ試験とその応用
14:00-14:25
5軸制御ボールエンドミル加工と
くり抜き放電加工
14:25-14:50 精密加工におけるAE信号の伝播特性
発 表 者
所
属
九州工業大学
工学部機械知能工学科
九州工業大学
工学部機械知能工学科
大分大学工学部
機械・エネルギーシステム工学科
エンジンの研究・開発を通した人材育成 大分大学工学部
の模索
機械・エネルギーシステム工学科
15:15-15:25
(休憩)
日本文理大学
15:25-15:50 昆虫型小型飛翔ロボットの開発
航空宇宙工学科
3次元CAD/CAMを用いた精密加工技
日本文理大学
15:50-16:15 術の開発 ~CATIAシステムによる同時
ERC
5軸加工への展開~
大分工業高等専門学校
16:15-16:40 振動切削に関する基礎的研究
機械工学科
機上計測を用いた超精密金型部品の 大分県産業科学技術センタ
16:40-17:05
高効率切削加工技術
ー機械・金属担当
14:50-15:15
職
氏 名
教 授
松田 健次
准教授
吉川 浩一
准教授
木下 和久
助 教
加藤 義隆
教 授
磯貝 紘二
課 長
松村 幸一
准教授
軽部
主幹研究
員
周
大塚 裕俊
4 個別技術相談
5 申 込 期 限
上記時間内に随時行います。
平成20年1月16日(水)
第1回合同研究成果発表会及び技術相談会参加申込書
申込先: FAX(097-596-7110 技術支援 佐藤宛)又は E-mail([email protected])
企業又は団体名
所在地・電話番号
参加者名
技術相談がある場合は、その内容
第1回合同研究成果発表会講演の概要
反発硬さ試験とその応用
九州工業大学 工学部 機械知能工学科 教授 松田健次
(概要)ショア硬さ試験で代表的される反発硬さ試験は、試験機が小形・軽量・安価で、操作法も簡便であるなどの
特徴を持っている。さらに、測定が極めて短時間に終了する上に、測定中ハンマを完全に試験機から独立させる
ことができるため,外乱に対して強く特に現場の評価試験として極めて有効な手段となりえる。
ただし、これまでは単なる硬さ比較法として用いられているに過ぎなかった。この理由は、硬さ試験時に生じてい
る現象が正しく理解されていなかったためであると言える。
本講演では、レーザードップラー振動計および有限要素解析によって捉えたハンマ挙動によって明らかになった
反発硬さの基礎理論を説明するとともに、「硬さ」以外の材料の力学的特性評価への応用、例えば応力-ひずみ
線図の形態の識別や、他の方法では評価が困難な皮膜の付着強度評価への応用の可能性について紹介する。
5軸制御ボールエンドミル加工とくり抜き放電加工
九州工業大学 工学部 機械知能工学科 准教授 吉川浩一
(概要)5軸制御ボールエンドミル加工は、任意の工具姿勢で加工できる特徴をもつ。しかし、工具回転軸の傾斜
方向と加工結果の関係は明らかではない。そこで、任意の工具傾斜角に対して、加工面のカスプ形状と切削抵抗
をシミュレーションする手法とその結果について紹介する。
また、除去すべき領域の輪郭部分だけを加工する、くり抜き放電加工を紹介する。くり抜き放電加工では、単純
な棒状電極を用いるため工具電極の製作と管理が容易である。さらに、除去領域をすべて加工屑にする形彫り放
電加工に対して、省エネルギーで効率よく加工できる可能性がある。
精密加工における AE 信号の伝播特性
大分大学 工学部 機械・エネルギーシステム工学科 准教授・木下和久
(概要)アコースティック・エミッション(AE)信号の計測は、従来、材料の疲労試験を始めとして、工具の損傷検出な
どに用いられてきた。しかしながら、加工中の AE 波の解析結果を十分に工具摩耗・欠損および被削材の破損など
と、十分に関連付けるには、至ってないようである。
次に、ファインセラミックスに対する需要は、さらに、高まるのみであり、ダイヤモンドによる加工が多く用いられて
いる。特に、製品の形状が複雑で薄肉部、穴加工を含む場合、加工条件として、過剰な程に、安全策を取るため
に、多くの時間と手間を有し、製造コストを大幅に引き上げていると思料される。
本報告では基礎試験として、AE の伝播試験を行い、さらに、インプロセスで AE をモニタしながら、研削試験を行
った。その結果、加工中の被削材の割れ、チッピングなど状態変化を識別できることが解かったので報告する。
エンジンの研究・開発を通した人材育成の模索
大分大学 工学部 機械・エネルギーシステム工学科 助教 加藤義隆
(概要)ガソリンエンジンの研究とスターリングエンジンの開発を限られた予算と人材で行っており,人材育成を考
慮して研究手法の模索も行っている.
ガソリンエンジンの研究は,目的が車両の燃費向上であり,車両走行時に常用される運転条件でエンジンの熱
効率を改善させることを試みている.その手法は水素を含む燃料を利用するもので,用途を燃焼に限定することで
発展途上国でも入手可能な装置で水素を含むガス燃料の生成を可能にした.この手法は昨今の自動車が普及す
る地域を意識したものであるが,一方で限られた条件で研究方法を試行錯誤することで活動の場を選ばない技術
者の育成を試みている.現在は含水素燃料のエンジンにおける燃焼性を確認する実験を準備している.
一方スターリングエンジンの研究は,現在試作品が主にお湯の熱で駆動するが,より低い温度の熱源で駆動さ
せることを試みている.信頼性の向上とコストダウンに努めて,製作方法の公開に向けて努力している.
3次元CAD/CAMを用いた精密加工技術の開発
---CATIAシステムによる同時5軸加工への展開---
日本文理大学 ERC 課長 松村幸一
(概要)大変使い易くなった3D・CADのCATIAを使った物作り(設計製作)の方法をパソコンを使って下記の内容
を発表します。
(1)ソリッドモデルを使った組み立て分解
(2)サーフェイスモデルの作成方法
(3)CAMへの展開・・・同時2軸加工~同時5軸加工について
昆虫型超小型飛翔ロボットの研究開発について
日本文理大学 航空宇宙工学科 教授 磯貝紘二
(概要)日本文理大学では、平成17年度より5カ年計画で、文部科学省のハイテク・リサーチ・センター整備事業
の助成を得て「昆虫型超小型飛翔ロボットの研究開発」というプロジェクトを進めています。本プロジェクトの目的
は、トンボのようにホバリング(空中静止)から急発進や急旋回等の自在な飛行が可能な手のひらサイズの飛翔ロ
ボットを開発することです。このような飛翔ロボットは、その飛行特性を生かして、地震で倒壊した建物内の各種の
探査活動や放射能で汚染された地域等、人の近寄れない場所における時速且つ効率よい調査・探索に威力を発
揮することが期待されます。このような飛翔ロボットを開発するための基盤技術として、数値シミュレーション技術、
羽ばたき翼の軽量化技術、小型飛翔ロボットに適した新しい翼型の開発、飛翔ロボットの制御技術等の研究を進
めています。本発表では、これまでに得られた研究成果の概要を紹介いたします。
振動切削に関する基礎的研究
大分工業高等専門学校 機械工学科 准教授 軽部 周
(概要)振動切削とは、工具刃先に微小振幅と振動数を与えながら断続的に切削する精密加工法である。振動切
削により工具―工作物間の摩擦が低減し、切削抵抗および摩擦熱の減少・加工変質層の非発生・工具寿命の延
長などの優れた効果が得られる。また、工具刃先を楕円状に振動させ、加工精度をより向上させる楕円振動切削
の研究も進んでいる。
振動切削は、工具を固定して行う従来の切削加工よりも高精度の加工が可能であるが、切削速度に上限があり
生産性が悪いこと、導入コストが高いこと、操作に熟練者が必要なこと等の理由により敬遠されてきた。しかし近
年、ニッケル基合金、セラミックスなど各種難削材の加工手段として振動切削が見直されている。
本研究では被削材材質および切削速度による加工精度の変化を実験で示し、振動切削を利用する際の基礎的
な知見を与える。更に、加工時における振動切削系の応答を動力学の立場から分析し、得られた知見について述
べる。
機上計測を用いた超精密金型部品の高効率切削加工技術
産業科学技術センター 機械・金属担当 主幹研究員 大塚裕俊
(概要)ものづくり産業の中核である金型の製造現場においては,産業の空洞化が生じつつある.厳しいコスト・品
質競争にさらされている機械加工業の中小企業に対して,生産加工技術を合理化するため,計測機能を含めた
金型加工の高機能化と合理化をはかる必要がある.
とりわけ微細形状をもつ超精密金型部品の高効率切削加工技術についてこれを適用し,電機精密機器を中心
とする金型関連および部品加工関連の県下ものづくり中小企業の生産加工の技術力向上を図る必要がある.
高硬度材金型を長工具寿命の下で,高能率・高精度・短納期で製作し,かつ高精度な仕上げ形状をもつ金型を
加工するためには,切削抵抗制御による工具変形量補正加工と高精度機上計測および修正加工機能とのシステ
ム化が必要である.そこで 18 年度から取り組んでいる機上計測機能を備えた高精度マシニングセンターを母体と
する加工システムの開発状況について報告する.