神戸大学理学部同窓会 2007.12.1 理学部校内にて(鈴木 肇:生物 10 期) ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 目 次 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 理学研究科・理学部の庭 第 2 回神戸大学ホームカミングデー開かる.............................. Ⅰ- 2∼ 6 理学研究科長・理学部長から皆様に .................................................................. 理学研究科長 樋口保成 Ⅰ- 7・ 8 自然科学研究科の改組..... 先端融合研究環長 福田秀樹 I- 8・ 9 評議員から皆様へ 小さな生き物の大きな貢献.......................... 評議員 坂本 博 I-10 北米の大学を視察して.................................... 評議員 中川義次 I-10 理学研究科専攻長・理学部学科長から 数学専攻・学科の近況.........................................................山崎 正 I-12 物理学専攻・学科だより....................................................播磨尚朝 I-12 化学専攻・学科だより.........................................................鍔木基成 I-13 生物学専攻・学科だより....................................................林 文夫 I-14 地球惑星科学専攻・学科だより....................................佐藤博明 I-14 理学研究科・理学部人事異動........................................................................ I-15 会員の広場 人物紹介...................................................................................................................... Ⅱ- 1 広場に集いて ........................................................................................................... Ⅱ- 5 研究への取り組み 次世代センサーに関する国際ワークショップ「PD07」 ..... 川越清以 Ⅰ-16 スクッデルダイトに関する国際会議.......................... 播磨尚朝 Ⅰ-17 神戸大学で日本第四紀学会を開催............................... 兵頭政幸 I-18 物理学科最終講義 ........................................................福田行男 I-19・20 数学科 高野先生の最終講演......................................... 足立匡義 I-20 出前授業......................................................................................................................I-21 理学部サイエンスセミナー.................................................................. I-22・23 自然科学研究科博士課程前期課程修了者一覧....................................I-23 理学部卒業者一覧..................................................................................................I-24 理学部卒業者および自然科学研究科博士課程前期課程 修了者進路.................................................................................................................I-24 理学研究科・理学部およびくさの会の就職支援..... 齊藤政彦 I-25 自然科学研究科修士論文題目一覧................................................... I-26・27 くさの会の館 理学部OB・OGによる合同会社説明会...................................... Ⅲ-11・12 理学部卒業・自然科学研究科修了祝賀会 ................................... Ⅲ-15・16 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲ 理 学 研 究 科 ・ 理 学 部 の 庭 第 2 回 神戸大学ホームカミングデイ 開かる ∼卒業生・留学生と・教職員・学生・院生との交流の場∼ 2007(平成 19)年 9 月 29 日 (土)、第 2 回神戸大学ホーム カミングデイが開催されました。 神戸大学は 2004(平成 16)年 4 月、国立大学法人となって 4 年 目を迎え、 この 4 月には 11 学部 すべての上に大学院を持つ高等 教育研究機関である総合大学と して整備されました。また、そ の果たすべき役割と達成のため の道筋をまとめた《神戸大学ビ ジョン 2015》が策定されました。 第 2 回神戸大学ホームカミングデイは留学生ホームカ ミングデイとの合同開催となり、《神戸大学ビジョン 2015》の達成に向けて教育と研究に取り組む神戸大学を 卒業生・留学生に知ってもらうとともに、卒業生・留学 生と教職員・学生・大学院生との交流と親睦を深めるこ とを目的に企画されました。 各学部の特定の卒業年度の方々に対して大学から案内 状が発送されましたが、ご出席いただけなかったくさの 会の皆様に、 ホームカミングデイ当日の写真 (西元俊男) 、 記念式典のあらまし並びに理学部企画のサイエンスツア ー・懇親会(足立 勲、永松陽子、笠原俊二他)の模様 をお届けいたします。 記 念 式 典 今年の記念式典は六甲台講堂を使って、留学生ホー ムカミングデイとの合同開催で執り行われました。各 学部同窓会の代表者や招待者および留学生と、学長、 理事・監事、部局長、教職員などが一堂に会し、NH Kアナウンサー住田功一氏[1983(昭和 58)年経営学 部卒]の司会、応援団総部 吹奏楽部による「セカンド・ センチュリー」の演奏でオープニングしました。 野上智行学長は挨拶で、 「高等商業学校に始まり 105 年の歴史を刻む神戸大学は 2004 年に国立大学法人と なり、現在は 11 学部、12 研究科、1 研究環、1 研究所、 付属病院、多くの付属教育研究施設を持つ、我が国を 応援団吹奏楽部による吹奏 [午前 10 時 30 分∼12 時] 代表する総合大学に 発展して参りました。 このたび、神戸大学 が高等教育研究機関 として果たすべき役 割と、その達成のた めの道筋をまとめた 《神戸大学ビジョン 2015》を策定し、世 界トップクラスの評 価を得る研究機関・教育機関を実現し国際的拠点大学 として 2015 年までに確固たる地位を確立することを 目指しています。この《神戸大学ビジョン 2015》の達 成に向けて取り組む神戸大学をご覧頂きたく、『神戸 大学ホームカミングデイ』を開催いたします。」と述 べられました。 また、学長は「この機会に国、地域、世代を超えて 学生、教職員と親しくご歓談いただき、さらには、同 窓生や先輩、後輩、恩師との旧交を温めていただきた く存じます。」と述べるとともに、今回の記念式典会 場である六甲台講堂の価値と改修工事の必要性、更に そのための同窓生の支援についての言及もありました。 Ⅰ-2 理事・監事、部局長の紹介の後、祝辞に立った新野 幸次郎学友会会長は「学友会組織は reunion すること であり、reunion の機会に基金を集めることができれ ばよいが、日本では同窓会の性質上難しい。」旨を語 り、神戸大学基金と六甲台講堂の改修工事、更にその 具体策にも言及されていました。 その後、イランからの留学生で 2006(平成 18)年自 然科学研究科を修了され、その後も日本で関西の電気 会社に勤められるシリン・ネザマフィさんが「神戸大 学:出会いが与えてくれた可能性」という演題でユー モアを交え、上手な日本語で講演されました。 最後に、六甲男声合唱団・東京六甲男声合唱団・神 戸大学グリークラブによる個々の合唱あるいは合同で、 「商神」から「神戸大学学歌」まで計 8 曲の合唱があ り、薄井洋基理事(ホームカミングデイ担当)の閉会 の挨拶で締めくくられました。 六甲男声合唱団・グリークラブによる合唱 記念式典を終えて ティー・パーティー ティー・パーティー [午後 0 時10 分∼1 時 10 分] 応援団の女性部長による演技 記念講演の内容 [講 師] シリン・ネザマフィ(Nezamafi Shirin)さん、2006 年自然科学研究科修了 「サラム」で第 4 回留学生文学賞受賞[世界 10、11 月号に掲載]、テヘラン生まれ [演 題] 「神戸大学:出会いが与えてくれた可能性」 [要 旨] 神戸大学工学部での始めの頃の学生生活を思い出すに、授業での席の取り方や 留学生との対応の仕方などに始まり、日本人学生との触れ合いは留学生にとってなかなか 馴染み難いものでした。2 年に進級はしましたが、親しく話せる日本の友人はできず、学 校にも行きづらくなってきました。留学生の友人はありましたが、2 年の後半には「自分 はここで何をしているのだろう?」と思いました。 3 年になれたが、同じ状態が続いていました。ところが、あるとき学長に、事故で入院 した留学生の家族との通訳を頼まれて、そのお世話をする中で先生や関係者と親しく話をし、日本人の心情に接す る機会を持つことになりました。この方は、植物人間の状態で結局亡くなられましたが、裁判で勝利することにな ったのは幸いでした。 このような機会に先生と親しく話せるようになって、私が書いてきた「ノート」を見てもらい色々と教えてもら えるようにもなり、日本人学生の友人もできてきました。そして、親しく話ができる友人が沢山できて、「私とい う留学生に味方がいる」ということが分かりました。 日本への留学生の友人のなかには大学を退学した者もいるし、卒業して帰国した者もいます。私がこうして卒業 後就職し、日本に残ってやっておれるのは、神戸大学での出会いが良かったこと、青い芝生はなかったが、充実し た学生生活があったからです。ご静聴ありがとうございました。 Ⅰ-3 理 学 部 企 画 [午後 2 時 30 分∼6 時分] サイエンスツアー サイエンスツアー案内役の学生の皆さん 依頼および改修を済ませた理学部では学生の奨学金(留 学など)に基金が当てられること、さらに、独立行政法 人となってからは、ホームカミングデイなどの情報発信 の場が増えてきたことなどを、開会のあいさつとされま した。 サイエンスツアーは、我が子、我が孫ほど年の開いた 学生が案内、説明を受け持ち、卒業生も、このひととき は懐かしい往年に戻れたのではないかと思います。 午後 2 時からは、学部主催のサイエンスツアーと懇親 会が、卒業生 28 名、在校生 30 名、教員 23 名、事務 5 名の出席のもとで開催されました。樋口研究科長は、平 成 16 年度完了した学舎改修報告 (柱と天井以外はすべて 取り替えられ、学生実習室も広くなった)、ならびに、 学部と大学院の一貫教育が可能になり学生の探求力を養 うための研究の見通しが立て易くなったこと、神戸大学 基金[2007(平成 19)年度中、目標 30 億円]への協力 受付をされた事務の方々 数 学 科 石鹸膜とコンピュータグラフィックスで見る曲面の数学 銅線で作ったいろいろなワイヤーフレームと洗剤を使 って、実際に石鹸膜を自分でも作り、いろいろなフレー ムにできる膜の形を観察させてもらった。表面張力によ り表面積が極小になるように膜の形が決まるのであるが、 立体構造を持つフレームの場合、 外表面だけとは限らず、 意外な内部の膜構造になるものもあり、 おもしろかった。 コンピュータグラフィックスによる演示がもう少し体系 的な説明になっていると大学での研究らしくなるよう感 じた。 物 理 学 科 超短パルスレーザーで探る原子や電子の超高速運動 先ず、10 兆分の 1 秒(=10−13 秒=0.1 ピコ秒)という 極短い時間だけ光る超短パルス光を発生する超高速レー ザー分光装置を見学し、その装置の原理、仕組みを詳し く説明してもらった。 そして、この超短パルス光を用いて、物質中の原子や 電子が行う超高速運動を解明する実験の 1 例(結晶中の フォノンの検出)を実際に行って見せてもらった。30 分 間で見て聞いて理解するには難しい話であったが、レー ザー光を使って、フェムト秒(1000 兆分の 1 秒=10−15 秒)・ピコ秒(1 兆分の 1 秒=10−12 秒)といった非常に 短い時間内の原子・電子の運動を実際に見ることができ るようになっていることを理解することができた。 化 学 科 「分子を作る」、「分子を観る」 化学科のサイエンスツアーでは、「分子を作る」およ び「分子を観る」の二つのテーマで実験室で実際に物質 の合成を見学したり、レーザー光と波長変換のデモンス トレーションを見学した。 担当の先生方に内容とコメントをいただいたので、 ここに紹介します。 Ⅰ-4 1「分子を作る」 2「分子を観る」 「分子を作る」という観点で研究紹介、ならびに実験 の実演を行った。現在、有機材料単独、または無機材料 単独では得られない物性を有する有機―無機複合材料に 関する研究が盛んに行われており、コンタクトレンズや プラスチックハードコート、歯科材料の分野ですでに応 用されている。 今回合成した試料は、有機―無機複合材料の一種であ る、ポリシルセスキオキサン(polysilsesquioxane)で ある。ポリシルセスキオキサンとは、ケイ素ポリマーを 構成するシリコンに、一つの有機官能基(R)と 3 つの 酸素が結合したポリ マーをさす。 従って、 その実験式は、RO3/2 となり 3/2 をあらわ すラテン語「セスキ (sesqui)」がそのポ リマーの総称の一部 として使われている。 当日はそのポリシ ルセスキオキサンを、ゾルゲル法と呼ばれるシリコンア ルコキシドの加水分解、縮合重合反応を利用して作製す る様子を見学していただいた。最初透明な溶液が、加水 分解、縮合重合反応が進むにつれて白濁してゆき、最後 にはゲル状に固化する様子を修士課程 2 年の西村亜希子 さんが実演した。また、この材料は、適度に加熱処理を 施すことで可視発光するので、その発光の様子もあわせ て見学いただいた。 合成実験は、すべてドラフト(排気ダクトを有する実 験設備)の中で行ったが、見学者の方からなぜドラフト 中で反応を行わせるのかについて質問があった。今回行 った化学反応が非常に危険な作業であるかのような印象 をもたれたようであった。 今回の反応では、危険なガスなどは発生しないが、予 期しない事故を防ぐため、化学反応は安全めがね着用の 上、念のためドラフト中で行っている旨説明し、納得し ていただいた。短い見学時間であったが、化学反応の不 思議さと、分子を合成する面白さを味わっていただけた のではないかと思う。 (内野 隆司 准教授) 私の研究室は2006年4月にスタートした若い研究室 なので、OB の方々からどのような洗礼を受けるか戦々 恐々としながらの見学会でした。私の研究室では超短 パルスレーザーを用いた反応の観測と制御を研究テー マとして謳っています。 持ち時間が 30 分∼40 分の中でどこまで上手く研究 内容の説明とデモが出来るか考えた末、研究概要の説 明はアニメーションも交えた概念的な説明にとどめ、 デモ実験として超短パルスレーザーの特徴であり、目 で見ても分かり易い非線形光学効果の実験に絞って行 うことにしました。 超短パルスレーザーの特徴は、光パルスの尖頭出力 が高く、日常生活では目にしない非線形な光学的現象 が簡単に起きる点にあります。私の研究室で使ってい るレーザーパルスは時間幅が 100 フェムト秒(1 フェ ムト秒は 10−15 秒、100 フェムト秒:1 秒=1 秒:約 32 万年)以下なので、パルスあたりのエネルギーは 10−9J 程度でも瞬間的なパルス強度は 10kw 以上になります。 そのようなパルスを使うと何が起きるかを実感して いただくために、まずは非線形光学現象の代表例であ る結晶を使った波長変換(赤い光を青い光に変換、第 2 高調波発生)をお見せした後で、通常の吸収・発光 (青い光を吸収する試料に青い光をあてて、緑色の発 光が見える)と非線形光学的な吸収である 2 光子吸収 と発光(同じ試料に赤い光をあてて、緑色の発光が見 える)をお見せしました。 このような簡単なデモ実験で非線形光学効果を実感 していただき、超短パルスレーザーの特徴を肌で感じ 取っていただけたことを願う次第です。 (和田 昭英 教授) 生 物 学 科 顕微鏡による原生生物の観察と温室見学 生物学科のサイエンスツアーのひとつは顕微鏡による 原生生物の観察。ユーグレナ、オオアメーバ、タイヨウ チュウ(多核、約 100 個)、細胞内にクロレラなどの共 生藻類を持つミドリゾウリムシ、クロロゴニウム、水底 で餌がくるのを待っているオオタイヨウチュウ、葉緑体 がないペラネマを見ていると、まるで万華鏡を覗いてい るようでした。 もうひとつは研究や学生実習用の植物が栽培されてい る温室見学。温室には 2 つのテーマがあり、テーマその Ⅰは「動く植物」。水槽にはすでに野性で絶滅した食虫 植物、「ムジナ藻」が浮いている。1 本の藻に団扇のよ Ⅰ-5 うな 2∼3mm の葉(?)がいくつもついていて、ミジンコ などを捕手すると、くるりと包み込み溶かして吸収する ようだ。さらにオジギソウなど、動く植物が栽培されて いる。テーマそのⅡは「マングローブ植物」。栽培条件 が大変難しい塩性植物である。 他には学生実習用のほうきもろこし、笹葉藻(環境適 応性が強い水草)、ねじれ藻(雄株と雌株)などを見せ て頂いた。笹葉藻は水位が下がっても生存できるが、不 思議なほど姿形がコロッと変わってしまう。人間の美容 整形どころではない。ねじれ藻は雄株の花が水面を浮遊 し出すと雌株は雄花を求めてクルクル回り出す。雌雄の 行動差はあれ、藻も人間もあまり違わないのかな? 地 球 惑 星 科 学 科 衝突!クレーターができるその瞬間を捉える 面もありましたが、クレーターが実際に衝突によって できる様をリアルに体感することができてとても面白 かったですし、感動しました。先生方、ありがとうご ざいました。 地球惑星科学科では、隕石の衝突実験になぞらえた クレーター形成実験が中村先生をはじめとする太陽系 科学研究室の先生方により紹介されました。粒径 50μ m のガラスビーズをしきつめた容器を標的に見立て、 ガラス玉や金属球の弾丸を自由落下させて、標的に衝 突させる実験でした。実験の様子を高速度ビデオで撮 影し、衝突によるクレーターが形成される様子を映像 で見せて頂きました。クレーターの形成時に生じる特 有の放出物が瞬時に同心円状に広がる掘削流の様子は 火山の噴火現象を見ているようにも思いました。 弾丸を参加者自身で落下させてもらいましたので、 標的の中心にうまく衝突するかどうかハラハラする場 懇 親 会 懇親会場に集う教師、学生、同窓生。その年の差 60 歳の皆さん方が長い長い理学部の歴史そのもの。県外か ら久しぶりに母校を訪れた方々もあり、理学部の発展に 驚かれたのではないかと思います。樋口研究科長のごあ いさつ、数学科 2 期の赤垣さんの乾杯で始まった懇親会 で、初めて出会う人と人の話題は何だったでしょう。 最後に、松田同窓会長の御礼のあいさつ、中川副研究 科長のお言葉で会を閉じ、六甲ハイツを後にしました。 今年は大学から、卒業後 55 年[他学部]、45 年[10 期生]、 35 年[20 期生]、25 年[30 期生(地惑 6 期生)]の方が招待さ れました。 来年は 1 期生、11 期生、21 期生、31 期生(地惑は 7 期生) の方が招待されることになります。 Ⅰ-6 理 学 研 究 科 長 ・ 理 学 部 長 か ら 皆 様 に ひぐち やすなり 大学院理学研究科長 兼 理学部長 樋口 保 成 理学研究科長から皆様へ 大学院理学研究科 看板設置式(4 月 2 日) 本年 4 月から大学院理学研究科が発足いたしました。 これに伴い 4 月から理学研究科長を務めることになりま した数学専攻(数学科)の樋口です。今後 2 年間、理学 研究科の教育、研究の発展のためできる限りの努力をし ていくつもりでおります。よろしくお願いいたします。 昨年のくさだよりで 武田前学部長が、自然 科学研究科の解体と理 学、工学、農学、海事 科学の 4 研究科の設立 に至る歴史と経緯は詳 しく報告されており、 もう一度繰り返す必要 はないと思います。そ の報告にこうなる予定 であると書かれたこと 自然科学系先端融合研究環 はその通りに実現して、 看板設置式(4 月 2 日) 4 研究科が発足、自然 科学系先端融合研究環という新しい研究組織が設立され ました。自然科学研究科発足当時のことをご存じの方々 にとっては「よくぞここまで来た」と感無量のことと拝 察いたします。 これからは理学部、理学研究科で一貫して学生を教育 していくことになり、くさの会のメンバーも理学部卒業 生および大学院理学研究科修了生が構成することになり ます。実際に理学研究科が発足してみると、これからは 教育研究の両面において理学だけでその成果を問われる ことになり、研究面の充実と学生の育成ということが今 後ますます重要になってくると思います。それぞれの研 究を支えるためには外部資金の獲得ということは今後一 層重要になりそうですが、理学研究科にとってその中心 的な役割を果たしている科学研究費の基盤研究に間接経 費がつくことになったのは朗報といえます。 これを教育、 研究環境の充実に使えるからです。 Ⅰ-7 去る6月29日には、 自然系 5 部局(自然 科学系先端融合研究 環、理学研究科、工 学研究科、農学研究 科、 海事科学研究科) の発足を祝う記念式 典が開かれ、学長、 理事をはじめ現役お よび元の部局長、評 議員の先生方をお招 きし盛大に祝いまし た。文部科学省から は法人支援課の下敷 樋口研究科長 領課長補佐が見え、 清水高等教育局長の祝辞を代読されました。自然科学 研究科の良いところを受け継いだ形で新研究科がます ます発展することを期待するということでした。 教育、研究両面において、すべてのことはこれから 始まると思います。われわれ教員と職員も学生と一緒 になって理学研究 科の発展に尽くし ていかなくてはい けないとの思いを 新たにしたことで した。今後とも皆 様方のご支援をお 自然科学系先端融合研究環 願い申し上げます。 の発足を祝う記念式典 理学部長から皆様へ 理学研究科長と同時に理学部長の発令も受けました。 先ほど理学研究科の発足について報告しましたが、こ こでは学部のことについて主に報告したいと思います。 4 月になり新入生がキャンパスにあふれて、大学は また活気が出てきたように感じます。理学部の新入生 にはぜひ「なぜだろう?どうしてこんなことが起こる んだろう」といった疑問を持って勉学に励んでいただ きたいと思っております。 今年は就職状況もよく、多くの修士 2 回生と学部 4 回生たちが希望の企業へ就職を決めているようです。 喜ばしいことではありますが、大学にいる間に勉強や 研究の楽しさや喜びを少しでも味わってから卒業して くれればとも願っており、これからの残り 1 年足らず の期間を有意義に勉学、研究に打ち込んで過ごしてほ しいものだと思っております。 技術革新が相次ぎ、変化の激しい現代において、た だ単に技術の知識を持っているというだけではすぐに 時代に取り残されてしまうことは皆様痛感されているこ とと思います。大事なことは、時代の変化に対応できる 柔軟性と新しい知識を次々と吸収できる基礎力と応用力 を持つことで、このような教育がなされているところが 我らの理学部なのだと考えています。この理学部で「わ からん、さっぱりわからん」と悩みながら何とか理解し ようと頭をひねった経験が将来に大きく生きると思いま す。 6 月には麻疹(はしか)で全学休校という初めての経 験をいたしました。幸い、その後の新たな学内伝染はな く、収束いたしました。しかし、休校の影響は大きく、 来年度はこのようなことのないように今から大学の保健 委員会で検討しております。理学部からも感染者が 1 名 出たことは、この問題がよそ事ではないことを示してお ります。 今年から来年にかけて神戸大学は大学認証評価、中期 目標期間中の業務実績評価と大きな評価を受けることに なり、その準備で忙しいことになりそうです。できるだ け立派な自己評価書を効率的に作り上げるようにしたい と考えています。 評価時代の真っただ中にあり、評価の結果が大学の将 来に直接関係するようになってきた今、学生による授 業評価、卒業生による在学時の教育評価などは今後の 理学部の教育を良くしていくための指針として機能し ていくものになります。したがって、学生、卒業生も また神戸大学理学部をよりよくしていく作業に参加す ることになり、その協力が必要不可欠になります。 すでに、就職支援の数々のイベントや神戸大学基金 へのご協力など、理学部同窓会には大きなご支援を続 けていただいておりますが、なお一層のご支援をいた だきますようお願い申し上げます。 理学部とくさの会との懇談会(4 月 18 日) 自 然 科 学 研 究 科 の 改 組 ふくだ ひでき 自然科学系先端融合研究環長 大学院工学研究科教授 福田 秀樹 1.自然科学研究科の 25 年の歴史 神戸大学大学院自然科学研究科は、1981(昭和 56)年 4 月に理学部、工学部、農学部を母体とする後期課程の みの独立研究科として全国に先駆けて設置された後、25 年余りの間に質量ともに目覚しい充実を図ることができ ました。 ● ● ● ● ● 第 3 期科学技術基本計画の重要政策の推進 重点分野領域における大型研究の提案 ポスト 21 世紀 COE への展開 21 世紀 COE プログラム 3 拠点の推進 文部科学省等が公募する教育プログラムの推進 重点研究チーム課題 COE プログラム 3 拠点 自然科学系先端融合研究環 研究環長 副研究環長(評議員) 重点研究部 理学系、工学系、農学系、 海事科学系コーディネータ 重点分野 21 研究チーム センター群 遺伝子実験センター バイオシグナル研究センター 内海域環境教育研究センター 都市安全研究センター 分子フォトサイエンス研究センター 自然科学系先端融合研究環と理学研究科、工学研究科、農学研究科 海事科学研究科との関連図 自然科学系先端融合研究環の組織と役割 [付図 1] Ⅰ-8 [付図 2] 1) 2) この間の経緯は、 〈 第一期 〉修士課程 3 研究科(理学、工学、農学)と 独立研究科である後期課程とが分離していた制度的限界 を解消し、一貫した教育を進めるための区分制研究科へ の移行[1994(平成 6)年] 〈 第二期 〉先端的・重点的研究を推進するための専攻 の再編成、研究科専任教員の大幅な増加による担当教員 の充実、 国際大学院特別コースの設置による教育の充実、 連携大学院の設置による他の組織との連携強化 [1997(平 成 9)∼1999(平成 11)年] 〈 第三期 〉神戸商船大学との統合を契機にする、より 専門性が高く国際的レベルの教育研究を推進するための 組織改革[2003(平成 15)年]の 3 期に区分できます。 これらの改組を通じて、自然科学研究科は発足当初の 揺籃期の蓄積の上に、2 回の組織改革を経て、新しい変 革を待つ成熟期に至ったといえます。 2.自然科学研究科改組の概要 このような時期に、2005(平成 17)年、大学院教育の実 質化を謳った「新時代の大学院教育」(中央教育審議会 答申)および重点分野における選択と集中など主要政策 を提示した「科学技術に関する基本政策について」(総 合科学技術会議)が同時に発表されました。自然科学研 究科はこれらに応え、「多様な人材を養成する教育改革 と先端的研究の推進」を図るために、2007(平成 19)年 4 月に全国の大学に先駆けて大幅な組織改革を行うことに しました。幾度かの議論を尽くした結果、自然科学研究 科を解体し、次のように再編成しました(付図 1 参照)。 (1) 大学院を理学研究科(数学、物理学、化学、生物学、 地球惑星科学の 5 専攻)、工学研究科(建築学、市民工 学、電気電子工学、機械工学、応用化学、知能学の 6 専 攻)、農学研究科(食料共生システム学、資源生命科学、 生命機能科学の 3 専攻)、海事科学研究科(海事科学の 1 専攻)の 4 研究科に分離し、各学部と直結した組織。 (2) 先端的研究の推進母体として、5 つの関連研究セン ターを包含した「自然科学系先端融合研究環」(以下、 研究環という)。なお、全ての教員は従来の各学部所属 から、各大学院研究科あるいは研究環のいずれかに所属 することになります。 3.自然科学系先端融合研究環の特徴 本研究環は、重点研究部と 5 つの関連研究センター群 から構成されます(付図 2 参照)。 重点研究部では、従来より推進してきた学際性・統合 性の調和がとれた教育研究をより積極的に発展させると ともに、重点分野の設定と融合領域の拠点形成の推進を 図るために、重点分野で先端的な教育研究を切り拓いて いる研究チームを核として、21 の精査された重点研究チ ームを編成しました。 このように独立した 4 つの研究科と密接な連携を図る と共に、主要な研究センターを包括した研究環は自然科 学系の研究推進の核となる重要な部局組織であり、全国 で始めての組織形態として大いに注目されています。 4.改組による教育改革 本改組を契機に、(a)「自然科学系プログラムコース 認定制度」の導人、(b)大学院前期課程および後期課程 における「先端融合科学特論ⅠⅡ」など、研究科間にま たがる新たな連携教育プログラムを設定しました。その ほか、工学系では、高度専門職業人を育成するための専 攻横断的な「マルチメジャーコース」や、企業で働く 30 ∼40 歳代の技術者を対象とした「医工連携コース」など の制度も導入することにより、次に述べる特徴ある教育 が可能となりました。 (1) 学生の視点に立った見通しの良い学部・大学院 一貫教育 (2) ディシプリンを重視した基礎的素養の涵養を 目指す教育 (3) 先端融合領域での成果をフィードバックする 教育 (4) 他研究科と連携した学際融合教育 以上述べましたように、本学大学院自然科学研究科の 抜本的な組織改革により、長年の懸案事項であった各分 野における研究科の設立と重点分野における先端融合研 究を推進できる新たな研究環を設立することになりまし た。このような改組を契機として、国際的にも世界トッ プレベルの研究大学として、発展してゆくものと期待し [神戸大学最前線(7 月)より転載] ております。 重 点 研 究 チ ー ム 課 題 1) ・計算による数理科学の展開 ・知的精密生産研究 COEプログラム3拠点2) ・最先端加速器で探る素粒子と時空の物理研究 ・災害リスク減災戦略研究 ・創製光分子科学研究 ・安全と共生の都市学 ・都市域沿岸環境再生プロジェクト ・バイオリファイナリー研究 ・蛋白質のシグナル伝達機能研究 ・ヘルスバイオサイエンス研究 ・惑星系の起源と進化研究 ・循環型地域環境の創成科学研究 ・ナノエンジニアリング研究 ・ゲノム育種研究 ・IT 技術とロボティックス技術の融合 ・病害虫・雑草の総合防除研究 ・環境・エネルギー研究 ・環境遺伝子研究 ・地域創生のための建設学研究 ・海事環境保全研究 Ⅰ-9 ① 蛋白質のシグナル伝達機能 ② 惑星系の起源と進化 ③ 安全と共生のための都市 空間デザイン戦略 評 議 員 か ら 皆 様 へ 小さな生き物の大きな貢献 評議員 理学研究科 副研究科長 Caenorhabditis elegans (セノラ さかもと ひろし 坂本 博 レガンスを使 って神経や脳 ブディティス・エ の研究をやろ レガンス)、略し うと提案しま て C elegans (シ した。こんな ー・エレガンス)は 小さな虫を使 バクテリアなどを って神経機能 食べて普通は土の のような高次 中で生活し、成虫 スーン・ストロム教授 寒天培地上をサインカーブを描きなが (カリフォルニア大学サンタクルズ校) で体長1mm 位の な現象を研究 ら動き回るシー・エレガンス。下方に 細長い線虫の仲間。 見える一番大きなものが成虫、それよ しようなんて普通は思いもよらないアイデアですが、ブ 私がこの小さな生 り小さなものは幼虫。寒天培地上に這 レンナー博士は最終的には現在のゲノムプロジェクト き物を新しい研究 った跡が見える。楕円形に見える小さ (生物のDNA配列をすべて決めることで遺伝情報を解明し な粒は成虫から生み出された受精卵。 材料にと決めたの ようとするもの)の先駆けとなる研究を共同研究者達と は、神戸大学に赴 進展させました。 任して半年位経った 1993(平成5)年の春頃でした。神戸 また、シー・エレガンスを使った研究の過程で、遺伝的 大学に移ってから半年間は指導する学生もいなかったの にプログラムされた「細胞死(アポトーシス)」が発見さ で、机と椅子と本棚だけの部屋で、これから何を研究し れましたが、この現象は我々ヒトにも共通する普遍的な ようかと考えてばかりいました。 この時、ふと何でもいいから生き物を材料にした「生 ものでした。これらの業績によって、ブレンナー博士は 物学らしい仕事」をしたいと考えました。実は、前任地 ロバート・ホロヴィッツ博士、ジョン・サルストン博士と の京都大学理学部では選択的なRNAスプライシングによ 共に2002(平成14)年のノーベル生理学・医学賞を受賞し ってショウジョウバエの雌雄が決まる仕組みを研究して ました。受賞理由は「器官発生とプログラムされた細胞 いましたが、実験方法は主として生化学的なもので、実 死の遺伝的調節の発見」というものでした。さらに、 際にはショウジョウバエは飼育していませんでした(現 2006(平成18)年のノーベル生理学・医学賞は、「RNA干渉: 在神戸大学理学研究科の井上邦夫准教授が、当時、大学 2本鎖RNAによる遺伝子サイレンシングの発見」という理 院生としてこの研究をリード)。また、前任地の教授から、 由で、アンドリュー・ファイア博士とクレイグ・メロ博士 神戸大学では何か新しいことをやりなさい(言い換えれ に授与されました。このRNA干渉という現象は、シー・エ ば、京都大学時代の仕事はしないこと)と言われていまし レガンスを使った研究によって始めて明確になり、その たので、これを機に実際に生き物を飼って、新しい研究 後この現象がヒトにも存在する普遍的なものであること の材料にしようという気になったのだと思います。 が明らかになったのです。最近ではマイクロRNAという小 いろいろ考えたあげく、飼育に余りお金がかからず(こ さなRNAがヒトを含めた様々な生物種で遺伝子の働きを れは極めて重要)、遺伝学も分子生物学的な研究もできる、 調節していることが分かってきましたが、このマイクロ ということからシー・エレガンスを選び、とりあえず昔と RNAもシー・エレガンスで最初に発見されました。 った杵柄という感覚で、RNA関連のいろいろな研究を始め シー・エレガンスのゲノムは1998(平成10)年に多細胞 ました。紆余曲折がありましたが、最近、私達のシー・エ 生物として始めて解読され、2003(平成15)年にはヒトゲ レガンスを使った研究は、生殖細胞の発生や分化をテー ノムの解読が完了しました。これらの成果は生物学や医 マにしたものにほぼ収束しつつあり、面白い研究成果も 学など様々な分野に大きなインパクトを与えました。一 出てきつつあります。ここまで、私がどうしてシー・エレ 方で、RNA干渉やマイクロRNAの発見は、私たちがこれま ガンスを使った研究に入ったかを説明してきましたが、 でもっていた遺伝子の概念の変更を迫っていますし、さ これは前置きでここからが本題です。実は、シー・エレガ らには、ヒトの病気を治療するための薬の開発に応用さ ンスが生物学や医学の分野にいかに貢献しているかを皆 れようとしています。このように、小さな虫ながらシー・ さんに是非知っておいてもらいたいのです。 エレガンスが科学の発展に大きな貢献をしていることが 現在研究に用いられているシー・エレガンスの標準株 分かると思います(もちろん、本当に貢献したのはシー・ はN2株で、実はシドニー・ブレンナー博士(メッセンジャ エレガンスを使って新しい発見をした研究者です)。 ーRNAの発見や遺伝暗号の解読で有名、沖縄大学院大学の ノーベル賞の対象となる研究のキーワードのひとつは 学長に就任予定)が世界中に広めたものです。彼は1960年 「普遍性の発見」でしょう。そうだとすると、シー・エレ 代に約1,000個の体細胞から成る小さな生き物、シー・エ ガンスというシンプルな生き物でこそ普遍性の糸口とな Ⅰ-10 るものが見つかり易いのかもしれません。 シー・エレガン スを使った研究はいろいろな視点から現在も世界中で行 われており、これらの研究によって新しい現象が発見さ れたり、これまで謎だったことが解明されたりするかも しれません。当分私もこの小さな、見ようによっては可 愛い生き物を使って研究を続けていこうと考えています。 もし何か面白いことを発見できたら同窓会誌を通じて皆 さんに紹介したいと思います。それでは、乞うご期待。 北米の大学を視察して 評議員 理学研究科 副研究科長 この秋、野上学長の発案で、神戸大学と協力関係を結 んでいる北米大陸の4大学、 ブリティッシュ・コロンビア 大学、ワシントン大学、ピッツバーグ大学、イエール大 学 に お け る 教 育 向 上 の 取 り 組 み 、 所 謂 Faculty Development (FD)を調査するために北米調査団(Aコー ス、Bコース)が派遣されました。 10 月の第一週がAコースで北米西海岸のブリティッ シュ・コロンビア大学(カナダ・バンクーバー)とワシン トン大学(米ワシントン州・シアトル)をめぐる調査、第 二週は B コースで米国東部のピッツバーグ大学(ペンシ ルバニア州・ピッツバーグ)とイエール大学(コネチカッ ト州・ニューヘブン)をめぐる調査が行われました。私は このうちAコ ースの調査団 に参加しまし たので、その 時のことを少 しお話しさせ て頂きます。 昨今、日本 の大学人を悩 ませ大きなス ワシントン大学物理・天文学科 トレスを与え ている2つのキーワードがあります。「競争」と「評価」 です。研究資金は「競争」を通して配分され、研究成果 は絶えず「評価」にさらされ、「評価」の結果は「競争」 の勝敗に影響を与えます。一見正当に見えるのですが、 この「競争」と「評価」のために時間を使い神経をすり 減らし、 正常な研究・教育活動が阻害される実態のあるの が大きな問題です。今回この「競争」と「評価」の先進 国アメリカ・カナダの大学における FD の実態をつぶさに 調査するのが北米調査の目的でありました。 私にとって最も印象に残ったのはブリティッシュ・コ ロンビア大学(UBC)で聞いた Education Effectiveness の取り組みの話でした。大学の教授連は「競争」 と「評価」に加え、さらに専攻・大学の運営等々に大変忙 しい毎日を送っているのが現状です。このような状況の 下で FD として考えなければならないことは、 「これ以上 研究活動を破壊することなく」大学教育の質を向上させ る工夫を考えることです。これを Education Effectiveness と呼んでいます。 もっと時間をかけて授業の準 備をすれば、あるいはもっとお金を使って多くの優秀な 教授を雇い、クラス当たりの学生数を減らすことができ れば教育の質向上は達成されるでしょう。 しかし、これでは Education Effectiveness が高い なかがわ よしつぐ 中川 義次 ワシントン大学にて(筆者:後列右から2人目) とは言えない。いま以上に手間もお金もかけずに教育の 質の向上を図る工夫、これが大学にとって今最も必要な ものである、という話でありました。まことに結構なお 話であったのですが、聞いているうちに、そのようなう まい「工夫」が実際にあり得るものかどうか内心大いに 疑問を抱かずにはいられませんでした。 UBC では、Teaching Assistant(教授よりずっと安価 な)を使って授業の質向上を図る試行を行っているとの ことでありました。それにしても「これ以上研究活動を 破壊することなく」という言葉は、私の心に深く印象付 けられました。 また、UBC では、FD 全般に携わる専門の部署があり、 若い教員や経験の浅い教員に対して授業方法や授業技術 に関するワークショップやセミナーが頻繁に開催されて いるようです。授業評価については、学生による授業評 価の他に教員の相互参観によるピア・レビュウもあり細 かな点検・指摘が行われるようです。 ただ、UBC でもワシントン大学(UW)でも聞きましたが、 将来の昇進やテニュア獲得を狙う若手教員には自分の評 価を高めることに繋がるために授業評価や FD に関する 関心は高いが、一般教員は必ずしもそうではない、経験 を積んだ教授たちには教育に関してそれぞれの哲学や価 値観を持っている人が多く、一律の評価基準に異議を唱 える人もいる、という我々にとってはほっとする現状指 摘もありました。 「評価」先進国のアメリカにはやはりそれなりの試行 錯誤の歴史があり、 その上に現状の FD や評価のシステム ができているのだと思います。UBC でも UW でも「評価」 は永遠の課題であり、現状が最良のシステムだとは決し て考えてはいないと語っていました。ましてや「評価」 後進国の日本で、安易にアメリカのシステムの真似をし て Education Effectiveness を下げるようなこと にはならぬようにと祈るばかりであります。 Ⅰ-11 理学研究科専攻長 兼 理学部学科長 から皆様へ やまざき 数 学 専攻・学科の近況 数学専攻長 兼 数学科長 山 崎 2007(平成 19)年度の数学専攻長・学科長の山崎です。数 学専攻・数学科の近況をお知らせします。 まず、教員の異動ですが、2007(平成 19)年3月をもっ て解析数理講座の高野恭一教授が定年退職されました。高 野先生は、1974(昭和 49)年 10 月に理学部講師として赴任 され、以後 32 年半にわたって数学科の教育研究に貢献し てくださいました。同じく3月末に、応用数理講座の庵原 謙治助手が群馬大学教育学部へ准教授として転出されま した。 一方、2007 年9月に構造数理講座に吉永正彦助教が赴 任され、10 月には、解析数理講座の足立匡義准教授が教 授に昇進され、更に構造数理講座に小池達也准教授が、応 用数理講座に矢野孝次講師が赴任されました。 次にうれしいお知らせです。吉岡康太教授が「ベクトル 束のモジュライの研究」により、2007 年度日本数学会代 数学賞を受賞されました。 ただし 正 2005(平成 17)年度から 数学科独自の取組みとし て始めた高大連携数学交 流セミナーの第2回目を 2006(平成 18)年 11 月 25 日(土)に開催しました。今 年度も開催の予定をして いますので、関心をお持ち の卒業生はぜひご参加下 さい。 数学科では、 ホームページを充実させておりますので、 これ以外の活動につきましては、数学科のホームページ http://www.math.kobe-u.ac.jp/index-j.html をご覧下 さい。今後は今まで以上に、同窓会の皆様にご理解・ご支 援をいただかなくてはいけないことが多くなることと思 いますが、よろしくお願いします。 はりま 物理学 専攻・学科だより ひさとも 物理学専攻長 兼 物理学科長 播磨 尚 朝 物理学専攻長・学科長の播磨です。 神戸大学に来てまだ 4年目と日が浅く、不案内な事もたくさんありますが、 よろしくお願いします。理学研究科物理学専攻と物理学 科の近況をお知らせします。 まず、教員の異動です。2006 年(平成 18 年)10 月1日 に物性物理学講座助教授として大道英二先生が東京大学 物性研究所から着任されました。同じ 10 月1日に、粒子 物理学講座の川越清以先生が自然科学研究科数物科学専 攻の教授に昇任されました。2007 年(平成 19 年)3月 には、物性物理学講座の福田行男教授が定年退職されま した。3月3日には福田先生の最終講義と歓送迎会を行 い、合わせて物理学科の同窓会総会も行われました。 皆さんもご存知のように、2007 年4月より新しく理学 研究科が設置されました。博士課程は前期課程と後期課 程の両方が物理学専攻となります。この改組により、自 然科学研究科に所属されていた物理系の先生も理学研究 科に所属されるように、従来よりもなお一層、一体的な 運営が可能になっています。 また、改組とは別に従来の助教授が准教授、助手が助 教となりました。4月1日には、粒子物理学講座准教授 として、山 祐司先生が高エネルギー加速器研究機構か ら着任されました。さらに、10 月1日に、物性物理学講 座教授として藤秀樹先生が、広島大学より着任されまし た。また、同じ 10 月1日に物性物理学大講座の助教であ った水戸毅先生が、兵庫県立大学理学部准教授として転 出されました。水戸先生の新天地でのご活躍をお祈りし ております。 この1年間の物理学専攻 の皆さんの活躍をお伝えい たします。岡村英一助教授 らの論文が2月に、水戸 毅助教らの論文が4月に、 日本物理学会の英文学術誌 「Journal of Physical Society of Japan」で注目 論文に選ばれました。 それぞれの論文のタイト ル は Universal scaling in the dynamical conductivity of heavy-fermion Ce and Yb compounds と、 Observation of Symmetry Lowering Associated with the Metal- insulator transition in SmRu4P12 by 101 Ru-NQR です。 また、9月には林青司教授が「フレーバーを変える中 性カレントにおける重い粒子の寄与の研究」の業績で中 央大学・稲見武夫教授とともに、第7回素粒子メダルを 受賞されました。これらの物理学専攻の教員の活躍は、 理学研究科のホームページなどでも紹介されていますの で、ご存知の方も多いと思います。 学外向けの行事としては、例年通り、物理学専攻・物理 学科として、オープンラボ、サイエンスセミナー、高校 生見学会、出前授業などの活動にも取り組んでいます。 毎回、高校生や他大学の学生にはたくさんの参加をいた だいていますし、お陰様で大学院の入学試験では本学以 外からも多くの学生に志願していただいています。 Ⅰ-12 しかし、いわゆる掛け持ち受験が多く、合格者の辞退 も少なくないと言わざるを得ません。大学院の定員確保 が難しいのは全国的な問題のようで、これは神戸大学の 中だけでは解決できないように思います。 そんな中でも、 教員一同、より一層のきめ細かな教育を行いながら、国 際的な研究成果を出し続けるように努力しておりますの で、同窓会の皆さまからのより一層のご理解とご協力を お願いします。 つばき 化 学 専攻・学科だより もとなり 化学専攻長 兼 化学科長 鍔木 基 成 皆様に化学専攻・化学科の近況をお伝えいたします。 まず、教員の異動ですが、今年の3月末をもって有機 化学講座の山村公明教授、物理化学講座の吉田憲鐵助教 授が定年退職されました。また同じく3月末をもって、 有機化学講座の高田彰二助教授が京都大学大学院理学研 究科生物科学専攻生物物理教室へ転出されました。山村 先生は残念ながらご出席されませんでしたが、化学科送 別会を3月15日に「第一楼」にて開催いたしました。 私にとってはわずか4年半という短い期間ではありま したが、3人の先生とご一緒に化学科の教員として仕事 をさせていただいたことに非常に感謝いたしております。 さて、8月からは持田智行先生が無機化学講座の教授 として東邦大学理学部化学科より着任されました。現在 は新しい研究室の立ち上げ中でありますが、最先端の研 究成果を期待すると共に、将来の化学専攻を引っ張って いくような人材を輩出されんことを期待しております。 次にお知らせしなければならないことは機構改革に関 することです。本年平成19年4月1日をもって、大学院 改組が行われました。これまであった大学院自然科学研 究科は解消され、新たに4つの独立した研究科に分離し ました。化学専攻は新しく設立された理学研究科に属す ることになり、これに伴い、大学院は博士課程前後期課 程ともに化学専攻という一貫した名称を名乗ることがで きることになります。 教員組織もこの大学院の改変に合わせて変更されまし た。まず、教員の所属が基本的には大学院理学研究科に 所属することになりました(ただし、分子フォトサイエ ンスセンター所属の教員は、新たに設けられた「自然科 学系先端融合研究環」に所属することになります)。 さらに、「助教授」は「准教授」になり、「助手」の 職種は「助教」と「助手」に2分されました。この改変 に伴い、2007(平成19)年度からは、博士課程前期課程化 学専攻の定員が23名から28名に増加され、また博士課程 後期課程化学専攻の定員も7名となりました。これから は他大学出身の大学院生を積極的に招き入れなければ化 学専攻の学生定員が維持できなくなる可能性があります。 さらに、大学院でのカリキュラムについても大幅な変 更が行われました。具体的にはコア科目としての共通基 礎的な講義(選択必修)と専門性の高い講義(選択)の 2種類に分けるようにしたことです。これは「教養およ び幅広い化学の専門的な知識を身につけ、未開拓の分野 への意欲的取り組みと問題認識及び解決能力を身に 第 一 楼 に て (筆者:前列左から4人目) つけた創造力のある人材を養成する」という化学専攻の 教育目的に合わせたものです。 理学研究科では、以前から、「サイエンスセミナー」、 「出前授業」、「高大連携授業」、などいろいろな学外 への情報提供・アピールといった活動に積極的に取り組 んでおり、化学専攻でもこれらの行事に積極的に参加協 力しております。神戸大学ホームカミングデイという全 学的な取り組みの一環として、昨年に引き続いて理学研 究科でのホームカミングデイ行事が9月29日に開催され、 化学科出身の先輩方もお越し頂きました。 化学専攻独自の取り組みとしては、昨年から始めた他 大学の学部生・大学院生を対象とした「オープンラボ」を 6月30日に開催いたしました。残念ながら、今年は昨年 に比べ参加者が少なかったのですが、熱心な参加者に恵 まれたことで安堵いたしました。この催しは他大学から の優秀な学生を化学専攻の大学院生として招き入れたい との気持ちからの試みで、来年度以降も積極的に行うこ とを計画しております。 このように、 大学院を中心とした組織に生まれ変わり、 大学院教育の充実を図ることにより、 化学専攻・化学科は 教育と研究の両面においてさらなる飛躍を目指したいと 考えております。来年度4月には新たな教員2名を迎え るための人事も進行中です。 化学専攻・化学科は変動と改 革の時期を迎えております。 化学専攻・化学科のさらなる 飛躍発展のために、 学生・教員の皆様の努力と協力をお願 いすると共に、化学科同窓生の皆様からの一層のご援助 とご指導をお願いいたします。 Ⅰ-13 生物学 専攻・学科 だより 生物学専攻長 兼 理学部 生物学科長 2007(平成 19)年度の生物学専攻長・学科長として専攻 および学科のお世話をさせていただいている林です。 さて、本年度から理学研究科が発足し、博士課程前期 課程と後期課程まで一本化された生物学専攻の学部組織 として、生物学科も衣替えいたしました。これにより基 礎生物科学に関する学部・大学院教育が一貫して行える ようになり、今まさに新しい教育研究体制を充実したも のにすべく教員全員で奮闘しているところです。 本年度に入ってからの人事異動としては、バイオシグ ナル研究センターから新たに4名の兼務教員、発達科学 部から1名の教員をお迎えすることができました。 まず、 本年4月からバイオシグナル研究センターの白井康仁准 教授と高橋美樹子講師が専攻・本学科の兼務教員となら れ、発達科学部の安達卓准教授が、本専攻の教員として 着任されました。さらに、7月からは「ゲノム DNA 損傷 に対する細胞応答とその異常がもたらす病態の解明」を ご専門とされる菅澤薫教授(理化学研究所和光よりバイ オシグナル研究センターに4月着任)とバイオシグナル 研究センター鎌田真司准教授とが生物学専攻および生物 学科の教育・研究にご尽力いただけることになりました。 新しい体制に移行した生物学専攻・生物学科の教員は 2007 年7月現在 29 名で、連携講座の教員6名と合わせ て総勢 35 名となりました。このうち、16 名が生物学専 攻本務教員で、19 名が各センターおよび連携講座からの 兼務教員という構成です。 学生定員は学部 25 名(内5名は3年次編入)、博士課 程前期課程 22 名、博士課程後期課程8名となっており、 教育・研究面での幅が広がってきたとともに質の高さを 誇る陣容となりました。この利点をいかに活かしていけ るかが問われているということで、大学院教育を充実さ せるための新たな取り組みが始まっています。博士課程 後期課程では毎年経過報告が義務づけられましたし、前 期課程でも2年生が夏休み前にポスター発表を行う機会 を作りました。試行的に行われた本年度のポスター発表 会でも学生諸君が他分野の教員に質問攻めに合う光景が 随所に見られ大変盛り上がりました。 昨年度は生物学科メンバーの関与する 21 世紀COE 「蛋白質のシグナル伝達機能」は大きな成果を挙げつつ 地球惑星科学 専攻・学科だより はやし ふみお 林 文夫 終了しました。本年度は それを発展させた形のグ ローバルCOEが医学系 研究科を中心にした構成 で採択され、事業推進担 当者としてバイオシグナ ル研究センターの吉川潮 教授、斎藤尚亮教授、小野 功貴教授に加え、昨年生 物学科に着任された尾崎 まみこ教授が参加される ことになりました。本COEは、大学院教育プログラム として優秀な人材を育成することが求められていますが、 この事業の進展が生物学専攻・生物学科全体の活性化に つながることを心がけねばならないと思います。 一方、高校生に神戸大学理学部生物学科を知ってもら い、興味を持ってもらおうという活動も活発に行ってい ます。本年度も理学部主催の高校生見学会やサイエンス セミナー(ともに7月末)にとりくみ、セミナーでは尾 崎教授に『食いしんぼと怒りんぼの生物学−─動物行動 のしくみを考える』という講演をしていただき、前川教 授、 羽生田助教にはセミナーを開講していただきました。 また、生物学科が独自に提供している「神戸大学オー プンラボ」では高校の先生と生徒諸君を対象にした走査 電顕、蛍光顕微鏡、そして分子系統学の体験学習会を開 くことができ、なかなか好評でした。出前授業とともに これらの試みは、生物学科志望者の数に少なからぬ影響 を与えているようです。昨年から始めた大学院前期課程 入学希望の学生さんのための説明会も5月に行い、お陰 様で外部からたくさんの入学希望者に来ていただくこと ができました。 生物学専攻・生物学科は全学共通教育で全学の基礎教 育にしっかりと貢献していくとともに、新しい組織に生 まれ変わったのを契機にして、研究と教育の両面でさら なる飛躍を目指したいと考えています。 最後になりましたが、 同窓会の皆様におかれましても、 私たち生物学専攻・生物学科の活動に対し、一層のご支 援をよろしくお願いしたいと思います。 さとう ひろあき 地球惑星科学専攻長 兼 地球惑星科学科長 佐藤 博 明 本年4月に大学院自然科学研究科の改組が行われ、理 学部は大学院化され、地球惑星科学科スタッフは全員、 理学研究科地球惑星科学専攻が本務になりました。 また、 教員の名称の変更があり、「助教授」は「准教授」に、 「助手」は「助教」に変更になりました。それぞれ若干 職務内容の変更が可能となり、特に、助教の職務につい ては、授業担当や研究指導について、若干拡げた内容の 可能性を現在研究科内で検討しております。いずれにし てもこれらの変化は、神戸大学が研究大学としての将来 を考えていることの表れかと思います。 専攻の状況について、まず、4月に惑星科学研究セン ターが3年の時限ではありますが立ち上がりました。こ れに伴い、これまでCOE助手の伊藤洋一助手が、惑星 科学研究センター准教授に昇任され、COE助手の竹内 Ⅰ-14 拓助手が、 惑星科学研究センター助教に異動されました。 さらに新任として4月に林祥介教授 (地球惑星大気科学) と阿部新助助教が赴任されました。 林先生は、昨年度海洋開発機構に異動された山中大学 先生の後任で、北海道大学大学院理学研究科地球惑星科 学専攻教授からの異動です。阿部先生は、伊藤洋一助手 の後枠のCOE助教にCOE研究員から採用になりまし た。これで今年度の専攻スタッフは、合計 26 名で、地球 科学講座が14名、 惑星科学講座が12名となっています。 この他に、昨年5月に転出された山下助手の後枠人事が 現在おこなわれております。また、非線形科学分野の小 松崎民樹准教授が北海道大学電子科学研究所教授として 本年 10 月に転出されました。 地球惑星科学専攻の沿革については専攻のホームペー ジに概略が記されています。1973(昭和 48)年に5講座学 生定員 30 名で地球科学科として立ち上がり、1981(昭和 56)年には博士課程 (自然科学研究科) が設置されました。 1993(平成5)年には地球科学講座と惑星科学講座の2講 座になり地球惑星科学科と改称しました。この間、惑星 科学のスタッフが増強され、その結果として 2003(平成 15)年に全国で惑星科学としては唯一の 21 世紀COEプ ログラム(Center of Excellence:世界的研究教育拠点) として「惑星系の起源と進化」(代表、向井正教授)が 採択となりました。 今年度はその最終年で あり、またそれを発展さ せてグローバルCOEへ の申請へと向かっている ようです。1973、1993、 2003 と末尾が3の年に 重要な変化が生じている ので、あと5年余り経過 して 2013(平成 25)年頃 に地球惑星科学専攻に何か大きな変化があるのでは、と 思ったりしますが、地震や噴火の予知で、こんな周期性 を言ったら笑われるでしょうから、冗談はこれくらいに しておきます。 ただ、ちょっと気になるのは、1973 年、1981 年、1993 年、2003 年の改組、変化は研究科・学科の中心になる方々 が変化を意図した結果だと思うのですが、現在、スタッ フの間で専攻の将来構想、変化の方向について議論やコ ンセンサスへの動きがあまり見えないように感じます。 まあ、専攻長は順繰りの当番で棚上げされており、潜行 した動きがあるのかも知れません。 理学研究科・理学部人事異動 氏 名 異 動 後 異 [ 退 職 ・ 異 動 ] [2006 年 12 月∼2007 年 11 月] 動 前 備 考 高野 恭一 庵原 謙治 福田 行男 高田 彰二 山村 公明 吉田 憲鐵 佐藤 賢一 小松崎民樹 水戸 毅 青山学院大学 理工学部物理数理学科 教授 数学科 解析数理講座 教授 定年退職 群馬大学 教育学部 准教授 数学科 応用数理講座 助手 転 出 物理学科 物性物理学 教授 定年退職 山崎 大道 秋本 菅澤 安達 林 伊藤 阿部 竹内 持田 吉永 藤 小池 矢野 足立 物理学専攻 粒子物理学講座 准教授 京都大学 大学院理学研究科 准教授 化学科 有機化学講座 助教授 化学科 有機化学講座 教授 化学科 物理化学講座 助教授 京都産業大学 工学部生物工学科 准教授 遺伝子実験センター 助手 北海道大学 電子科学研究所 教授 地球惑星科学専攻 惑星科学講座 准教授 兵庫県立大学 大学院理学研究科 准教授 物理学専攻 物性物理学講座 助教 転 出 移動日 3 月 31 日 定年退職 転 出 転 出 10 月 1 日 着 任 3月1日 [ 着 任 ・ 昇 任 ] 祐司 英二 誠志 薫 卓 祥介 洋一 新助 拓 智行 正彦 秀樹 達也 孝次 匡義 高エネルギー加速器機構 助手 物理学専攻 物性物理学講座 准教授 東京大学 物性研究所 助手 分子フォトサイエンス研究センター 准教授 北海道大学 大学院工学研究科 助手 バイオシグナル研究センター 教授 理化学研究所 生物学専攻 生命情報伝達講座 准教授 発達科学部 地球惑星科学専攻 地球科学講座 教授 北海道大学 地球惑星科学専攻 惑星科学講座 准教授 大学院自然科学研究科 助手 地球惑星科学専攻 惑星科学講座 助教 大学院自然科学研究科 COE 研究員 地球惑星科学専攻 惑星科学講座 助教 大学院自然科学研究科 助手 化学専攻 有機化学講座 教授 東邦大学 理学部 8月1日 数学専攻 構造数理講座 助教 学振海外特別研究員 9月1日 物理学専攻 物性物理学講座 教授 広島大学 大学院先端物質科学研究科 准教授 数学専攻 解析数理講座 准教授 京都大学 大学院理学研究科 助教 数学専攻 応用数理講座 講師 日本学術振興会 特別研究員 PD 数学専攻 解析数理講座 教授 数学専攻 解析数理講座 准教授 Ⅰ-15 着 任 10 月 1 日 昇 任 研 究 へ の 取 り 組 み 次世代光センサーに関する国際ワークショップ「PD07」 かわごえ きよとも 理学研究科 物理学専攻 粒子物理学講座 川 越 清以 2007(平成 19)年6月 27 日から 29 日までの3日間、 教授は浜松ホトニク 次世代光センサーに関する国際ワークショップ 「PD07」 ス社とともに、常識 を、神戸大学理学研究科で開催した。 はずれなほど大きい 光センサーはその名の通り光を検出するための素子 直径 50cm の光電子 で、様々な実験装置や機械で「目」の役割を果たす。 増倍管を開発したこ 素粒子実験分野では大量の最先端光センサーを測定器 とで、直径 20 cm の に使うことが多い。ところが世界ナンバーワンのシェ 光電子増倍管を使用 アを持つ浜松ホトニクス社によると、現在では光セン したアメリカのライ サーの大口顧客は医療関係など他分野であり、素粒子 バル実験に勝利する 実験向けの売り上げはたかだか数%に過ぎないそうで ことができた。 ある。しかし、光センサーに究極の性能を求め続ける 一方、フォトダイ 素粒子実験は依然として新しい光センサー開発の牽引 オードなど半導体を用いた光センサーも様々な分野で 役となっている。 幅広く使われている。例えば、2008(平成 20)年に運転 まず、素粒子実験と光センサーの関係を説明してお を開始するスイス・ジュネーブにある CERN 研究所の こう。素粒子は物質を構成する究極の粒子であり、電 LHC 実験では大量のアバランシェ型フォトダイオード 子顕微鏡を使っても見えはしない。目に見えない素粒 (APD、これも浜松ホトニクス社製)がカロリメータ検 子を実験的に研究するには、高エネルギー粒子と粒子 出器に使用されている。 検出器を組み合わせた一種の 「顕微鏡」 が必要になる。 そして最近、革新的な半導体光センサーがロシアで 高エネルギー粒子は粒子加速器を使って人工的に生成 考案され、大きな注目を集めている。これは、ピクセ するか、空から降ってくる天然の高エネルギー宇宙線 ル化された APD をガイガーモードで動作させ、各ピク を用いる。 セルの信号の和を並列に読み出すもので 一方、粒子検出器とは、荷電粒子が物質中を通過す (1) 1mm2 程度のコンパクトな大きさ (2) 低バイアス電圧で高ゲイン るときに残す微かな痕跡をとらえるものである。これ (3) 優れた photon counting 能力 は、飛行機自身が見えなくても、それが通過した後に などの利点を持つ。SiPM、MRS、MAPD、G-APD、GPD な 残る飛行機雲を見れば、飛行機がどこに飛んで行った ど、製造開発元によって多くの呼び名があり、日本で かわかるのと同じ理屈である。 は浜松ホトニクスが MPPC の製品名で商品化した (今回 かつては霧箱、泡箱、原子核乾板など、粒子の飛跡 の国際ワークショップで、一般名称を PPD(=Pixelated を「視覚的に」そのままとらえるタイプの検出器が活 Photon Detector)とすることを提唱した)。 躍した。現在の素粒子実験では、粒子が物質を通過す 神戸大学では次世代の素粒子実験のための検出器の る際に放出する微弱な光や電離現象を増幅し、電気信 開発研究を長年行ってきており、その重要な開発要素 号として取り出す方法を用いることが多い。 そのうち、 として光センサーの開発研究に力を入れてきた。PPD 微弱な光をとらえるタイプの粒子検出器で高性能の にもいち早く着目し、その性能評価を行ってきたが、 「光センサー」が必要となる。 PPD に注目したのはもちろん我々だけではない。2005 これまでもっともよく素粒子実験に用いられてきた のは光電子増倍管(PMT=Photo Multiplier Tube)である。 (平成 17)年度に、高エネルギー加速器研究機構(KEK) 測定器開発室の主要研究テーマのひとつとなって以来、 光電子増倍管は一種の真空管で、光(光子)を電子に 2005 年 12 月(KEK)、2006(平成 18)年 12 月(浜松)に国 変換する光電面とその電子を増幅する部分で構成され 内ワークショップが開催されるなど、日本でも多くの ている。 大学で活発に研究活動・研究発表が行われている。 小柴昌俊東京大学名誉教授がカミオカンデ実験でニ 今回初の国際ワークショップ「PD07」を開催するに ュートリノ天文学を開拓し、ノーベル賞を受賞された あたり、そのなかでも研究実績があり、立地にも恵ま ことはまだ記憶に新しい。この実験では、われわれの れた神戸大が会場を提供することになったわけである。 銀河系の隣にあるマゼラン星雲で起きた超新星爆発で 会場として選んだのは理学研究科講義棟(Z 棟)の 発生し、16 万年かけて地球に到着したニュートリノを Z201・Z202 教室であり、参加者 100 名位までの研究会 検出した。地下深く設置された水タンクの中でニュー を開催できる十分な大きさがある。無線 LAN 設備を新 トリノがたたき出した電子の発する微弱な光(チェレ 規に設置したことで、さらに使いやすくなった。 ンコフ光)を光電子増倍管でとらえたのである。小柴 Ⅰ-16 スクッテルダイトに関する国際会議の開催 9月 26 日から 30 日までの5 日間、神戸大学百年記念館でス クッテルダイトに関する国際会 議(International Conference on "New Quantum Phenomena in Skutterudite and ReLated Systems")が開催され、海外8カ国 からの参加者 18 名を含めた約 150 名の参加がありました。本会議では、39 件の口頭 講演と 88 件のポスター講演が行われ、 質の高い発表に 対して多くの質問や議論が行われました。 スクッテルダイトという奇妙な名前は、もともとノ ルウエーの地名に由来するコバルト鉱物の名前です。 この鉱物に希土類やアクチナイドを充填すると、高効 率の熱電材料や新奇な超伝導、あるいは隠れた秩序な どの興味深い物性を示す化合物が数多く見つかってい ます。 これは 10 数年前にアメリカで熱電材料として注 目された物質群ですが、その後、強相関電子系と呼ば れる物性物理学の観点から、その基礎物性が注目され るようになりました。 平成 15 年度から科学研究費補助金の特定領域とし てスクッテルダイトが取り上げられたこともあり、ス クッテルダイトの基礎研究は日本が大きくリードして います。特定領域研究のメンバーとして北は北海道大 学から南は琉球大学まで 80 名以上の常勤の研究者と その他多くの博士研究員や学生などが研究に参加して います。神戸大学では理学研究科物理学専攻からこの 特定領域研究に私と和田信二、難波孝夫、岡村英一、 水戸 毅の各先生と多くの学生が参加しています。私 が特定領域全体の世話役をしている事もあり、今回の 国際会議が神戸大学で開催されることになりました。 神戸大学での会議となると、多くの方は三宮周辺の ホテルに泊まる事になります。特に外国からの参加者 は平均年齢が高いのですが、ほとんどの方が阪急六甲 からの登り坂を苦ともせず徒歩で来ていました。街中 の会場(例えば、国際会館)に比べて、交通の便はよい はりま ひさとも 理学研究科 物理学専攻 理論物理学講座 播磨 尚朝 とは言えませんが、多くの参加者が百年記念館からの 眺めを楽しみに開場よりも早く来ていたのが印象的で した。よく考えれば、オーストリアには海はありませ んし、フランスやアメリカの人達も普段は海に接する 機会がないのでしょう。海外からの参加者に大阪湾の 眺めをこれほど楽しんで頂けるとは思ってもみません でした。会議中はそれほど天気が良くはなかったので すが、一度だけ生駒山から金剛山を抜けて和泉葛城山 を経て紀淡海峡に達する山際をはっきりと観る事がで きました。口頭講演を行った六甲ホールも会場が広く スクリーンも大きく好評でした。ポスター講演を行っ たホール周辺のスペースは海側が全面窓でとても明る く、議論も活発に行われました。 以上のように百年記念館は会場として申し分ないの ですが、大学での土日の会議の開催は、昼食が問題に なります。大学キャンパス内にコンビニエンスストア ができたおかげで、普段の休日出勤の際に昼食を取る のはとても便利になりました。しかし、150 名の会議 参加者となると話は別です。近辺の仕出し弁当などを 調査している最中に朗報が入りました。 9月 29 日(土) はホームカミングデーなので学内の食堂は営業すると の事です。これで、土曜の昼食の心配をする必要もな くなりました。(9月 30 日(日)はお昼で終了)ホーム カミングデーが重なったお陰で(会議の日程が決まっ たのは昨年のホームカミングデーの開催が決まる前で す。)昼食の心配をしなくてよかったのですが、ホー ムカミングデーの行事の一部と勘違いして会議の会場 を訪れる同窓生の方がたくさんいらっしゃいました。 しかし、それも神戸大学の研究活動の一部を知って頂 く上でよかったのだろうと思います。 Ⅰ-17 神戸大学で日本第四紀学会を開催 ひょうどう まさゆき 内海域環境教育研究センター 兼 地球惑星科学専攻 教授 兵 頭 政 幸 日本第四紀学会 2007(平成 19 年)年大会が本年8月 の取材は1カ月経過した今でも時々きています。 31 日(金)∼9月2日(日)の3日間、神戸大学百年記念 2日目は滝川記念学術交流会館で、日本第四紀学会 館を主会場に開催されました。大会実行委員会事務局 と神戸大学都市安全研究センター、神戸大学内海域環 長の立場で紹介をさせて頂きます。1∼2日目に通常 境教育研究センターが共催して、市民向けの公開講座 の一般講演、ポスター発表を行い、3日目に神戸大学 「大地の変動と地震・津波」を開催しました。定員 120 内海域環境教育研究センターと共催してシンポジウム 名に対し、マスコミ関係者5名を含む 113 名の参加が 「瀬戸内海の変遷―自然・環境・人」を開催。シンポ ありました。活断層、地震、津波に関する第一線の研 ジウムの趣旨は地質学、地理学、地球物理学、古生物 究者による分かりやすい講演に、参加者はみな非常に 学、考古学、海洋環境科学の視点で瀬戸内海における 熱心に聞き入り、会場内は熱気に包まれていました。 自然の移り変わり、環境、人間活動を概観し、将来の ところで今大会で脚光を浴びた活断層研究は、第四 この地域の環境保全や防災についても考えるというも 紀学だけでなく、地質学や地震学の中でも行われ、現 の。最後の総合討論では熱心な議論が続きました。 在日本は世界のトップを走っているといえます。神戸 大会の目玉は今年7月 16 日に発生した「2007 年新 大学はその草分け的存在であったことはご存知でしょ 潟県中越沖地震」の後、最初に開かれる地球惑星科学 うか。まだ活断層という言葉自体一般には知られてい 関連の学会として口火を切る、緊急セッション「中越 なかった 1974(昭和 49)年に、 発足したばかりの理学部 沖地震・能登半島地震」でした。すでに講演要旨集も 地球科学科に杉村 新教授が着任され、 神戸大学は一躍 印刷済みでしたが、大会までに間もない8月初旬に開 日本における活断層研究の拠点になりました。杉村教 催を決定し、講演者を緊急募集しました。当日は新聞 授を中心に活発な研究が繰り広げられ、卒業生の中に 社 5 社に加え、 はこの分野の第一線で活躍している人たちもいます。 テレビ局1社 現在の理学部地球惑星科学科テクトニクス教育研究分 も取材に訪れ、 野の宮田隆夫教授はその流れを受け継いでいます。 原発に被害を 3日間の大会運営には理学部地球惑星科学科の3年 もたらした中 生、4年生、大学院生 18 名の方が協力し、テキパキと 越沖地震のイ した仕事ぶりが多くの参加者にとても好評でした。 ンパクトの大 学生 きさを改めて の皆さ テレビ取材 認識させられ んご苦 ました。活断層地域に建設された原発の危険性を社会 労様で に対して強く訴えておられる石橋克彦地球惑星科学科 した。 教授の影響も大きいと思います。電話によるマスコミ 受付をされた方々 「大地の変動と地震・津波」を受講して 開始約30分前に約80席がうまり、 直前には満席(120 席)になり、参加者の関心の高さが伝わってきました。 以下の3つの講演を聴くことができました。 ・西日本の活断層 岡田篤正 立 命 館 大 学 教授 ・南海巨大地震と私たちのくらし 石橋克彦 神 戸 大 学 教授 ・津波堆積物が示す地震の規模と周期 藤原 治 産業技術総合研究所 講演者は、いずれも専門的な内容を一般の方にもわ かり易いように語りかけておられましたので、4時間 半がとても短く感じられ、学会の一般向け講演として は他に類をみないほど充実していました。 岡田先生は、20 世紀最大の気象災害である『伊勢湾 台風』の翌年の 1960(昭和 35)年に 20 世紀最大の地震 災害である『関東大震災』(1923)の発生した9月1 日を 『防災の日』 に定めたのだと述べておられました。 防災の日が、震災に限らない、広く自然災害全般を対 象とした日であることを納得しました。 神戸大学の都市安全研究センター教授である石橋先 生のお話は、とりわけ聴衆を引きつけるものでした。 想定されている東南海・南海地震は、12 年前の阪神大 震災とは地震の性質が違うので、災害の種類も大きく 異なると考えるべきだというご指摘がありました。ま た、1000 年を一瞬と考えれば、地震は天気の変化と似 ている、という説明が印象に残りました。 藤原先生は、津波堆積物の研究がご専門です。巨大 津波・巨大噴火などの『低頻度巨大災害』というキー ワードと『津波は波ではない。海からの洪水である。』 とのフレーズが印象的でした。ビッグバンからの 137 億年も地球の歴史 46 億年も重要ですが、 今回の講演会 を聴いて、人類誕生以後∼現在∼次に予想される災害 に直結する近未来を扱う第四紀学の重要性を感じると 同時に、このように充実した講演会が開催できること (会誌委員 加藤 誠夫) が誇らしく思えました。 Ⅰ-18 物 理 学 科 最 終 講 義 ふくだ ゆきお 物理学科 教授 福田 行男 レーザー分光、量子光学と歩んだ 40 年:光ポンピング分光からアクシオン探索まで 1.はじめに このたび神戸大学を定年退職するに当たり、このよう な最終講義の場を用意して頂きありがとうございます。 今日は、研究生活を振り返って表題のお話しをさせて 頂きます。私は、1944(昭和 19)年に福岡県の若松市(現・ 北九州市若松区)に生まれ、1962(昭和 37)年に福岡県立 若松高等学校を卒業しました。湯川秀樹という名前に惹 かれて入学した京都大学で、大学・大学院の学生時代を 含めて 26 年間、その後の 19 年間は神戸大学でお世話に なりました。 大学院進学からおよそ 40 年、その間一貫して、磁気共 鳴、量子エレクトロニクス、レーザー分光、量子光学等 の分野で、電磁波と物質の相互作用に関わる研究を続け てきました。その間、1983(昭和 58)年5月から1年間ミ ュンヘンのマックスプランク量子光学研究所に滞在しま した。 2.電波分光学、レーザーとの出会い 1966(昭和 41)年の修士課程進学の折りに電波分光学 の研究室を選んだことが、その後の研究の方向を決める ことになりました。研究室では磁気共鳴の研究が中心で したが、発明されてまだ数年のレーザーを手掛け始めて おり、その後まもなく手作りのルビーレーザーが発振し たという時期でした。 大学院修士課程での最初の研究テーマは、「ルビー (Cr3+: Al2O3)の光励起状態における電子スピン共鳴の光 学的検出」であり、光と電波の二重共鳴という現象でし た。磁場中で液体ヘリウム温度に冷やしたルビー試料に マイクロ波と水銀灯の光を同時に照射しながら磁場を変 化させて、クロムイオンの光励起状態の磁気共鳴を蛍光 強度の変化を通して高感度に検出しました。 この研究は、 気体試料を対象としていた光ポンピング分光の方法を固 体試料に適用する新しい試みでした。 博士論文は、「ルビーにおける Cross Relaxation の 光検出と Energy Transfer」という題目でした。当時は まだワープロなどが普及する前で、学位論文は原稿用紙 に鉛筆で手書きしたものをゼロックスコピーして提出し ました。 この研究と並行して、ルビーレーザーからの円偏光パ ルスをルビー試料に照射して磁化を誘起し、その時間発 展をピックアップコイルで観測する実験を始めました。 これを端緒に、レーザー光を利用して多様な分光学的研 究を長く続けることになります。 3.その後の研究テーマ これまでの研究テーマを並べると、まず、光励起状態 ESR、光誘起磁化 (量子ビート)、同期量子ビート、量子 ビートエコー…という 40 年間通して続いた一連の研究 があります。 これらは、光ある いはレーザー光と 物質の相互作用に よる副準位間コヒ ーレンスの生成と 制御に関する研究 で、応用的には電 波を使わない純光 学的な磁気共鳴法 の開発と言えるものです。具体的には、レーザー光を円 偏光にして吸収させ物質系に円偏光が持つ運動量を移し て磁化を生成させ、これを光学的に検出します。種々の 光パルス列を工夫し、多様な高速かつ高感度の新しい磁 気光学的分光法を創案して研究しました。 また、発展的な研究テーマとして、レーザー光誘起過 渡格子、周期的光励起によるコヒーレントフォノンの共 鳴励起、分光学的位相緩和のダイナミックス、リュード ベリー原子を用いた未発見素粒子アクシオンの探索、レ ーザーと光共振器を用いたアクシオンの探索、不安定原 子核の光偏極と磁気共鳴、ポール・トラップによる荷電 粒子の制御と一次元量子系波動関数の可視化、確率共鳴 現象を利用した微小信号検出法の開発、共鳴媒質中の光 の伝播・群速度、電磁誘導透過、などを手掛けました。 一見雑多にも見えるかも知れませんが、いずれも電磁 波と物質の相互作用の基礎過程に関わる研究であり、レ ーザーを使った基礎物理学の研究だと考えています。い わゆる物性の研究とは基本的に異なり、個々の物質の特 性に依存しない普遍的な現象の基礎研究を主眼としてき ましたので、実験に用いる試料にはルビーやアルカリ金 属蒸気などの物性がよく分かっているシンプルな物質を 選んでいます。 ミュンヘンでの 1 年は、ミュンヘン工科大学の学生 W. Ketterle 君と共同で、水素3原子分子 H3の分光実験を しました。その仕事で学位論文を書いた後に MIT に移っ た彼が、2001(平成 13)年のノーベル賞を受賞したのは嬉 しいニュースでした。 4.未発見素粒子アクシオンの探索 色々な研究をしてきた中でかなり毛色の変わったテ ーマが「未発見素粒子アクシオンの探索」です。これは、 素粒子の標準理論が存在を予言するが、実験的には未だ に確証が得られていない素粒子アクシオンを量子光学的 手法を使った独創的な測定方法で検証しようという挑戦 的な研究です。アクシオンは宇宙のダークマターの有力 な候補でもあり、これを検証することは現代物理学にお ける極めて重要な課題の一つと考えられていますが、物 Ⅰ-19 質との相互作用が極端に弱いため未だ誰も観測に成功し ていません。 理論によれば極めて小さい確率ではあるが、磁場の中 でアクシオンと光子が相互に変換するとされ、これを利 用してアクシオンを検出する2つの実験の提案と試みに 関する興味深い論文が 1987 年の夏に発表されました。 私 が神戸大学に移って来る前年のことで、これを読んです ぐに検出感度を格段に改善する手法をそれぞれの実験に 導入するアイデアが頭に浮かび、2つの実験計画を立案 しました。当時、この1つでもうまく行けば大変な結果 になるかも知れないと、密かに興奮を覚えた記憶があり ます。 その1つ「リュードベリー原子を用いた未発見素粒子 アクシオンの探索」を題目に、その秋の科研費を申請し ました。この計画は地球の周りに充満しているとされる アクシオンを強い磁場中でマイクロ波光子に変換してこ れを検出する実験に、リュードベリー原子を利用したマ イクロ波単一光子計数法を導入したものです。この方法 は熱雑音を理論的限界まで抑制できる理想的な検出法で す。科研費の配分を受け、最初の段階の研究を推進しま したが、間もなくこの計画は私の手を離れ、京都大学で 最近かなり大きな規模の実験施設がきるまでに発展して います。 もう1つは「レーザーと光共振器を用いたアクシオン の生成と検出」で、これは神戸大学に移った後に、理論 の先生方の協力も得て理論と実験両面からの基礎研究を 行い、プロトタイプの実験装置を設計・試作してテスト 実験を行いました。この実験は、先ずレーザー光を磁場 中でアクシオンに変換し、光を遮る隔壁を素通りするア クシオンを別の磁場中で光子に逆変換して検出する実験 で、これに光共振器を導入することにより期待される信 号強度を 108倍ほど増強させます。 理論が間違っていればアクシオンを検出できるかも 知れないという淡い期待も虚しく、理論的な予想に違わ ず、顕著な成果もないままにこの研究は敢え無く終わる ことになりました。成果が見え難いこの種の研究は、修 士論文用の研究テーマとして残念ながら適しないとも思 いました。いずれにせよ、これは私が手掛けた中で最も 夢のある研究テーマではありました。 5.おわりに このように、40 年間思うままに研究生活を送ってこら れたのも、私を何時も暖かく導き支えて下さった皆様、 教職員、学生の皆様のお陰とこの機会に改めて感謝の気 持ちを述べさせて頂きます。本当にありがとうございま した。最後に、皆様の益々のご活躍・ご発展を祈ります。 (3月3日 於:瀧川学術交流会館) あだち 数学科高野先生の最終講演 ただよし 理学研究科教授 数学専攻 足立 匡 義 最終講演される高野先生 3月9日、長年神戸大学理学部数学科の顔として勤め てこられた高野恭一教授の定年退職を記念して、特別講 演会が開かれました。数学科では最終講義を行う伝統が ないというのと、目立ったことはしないという、高野先 生の御意向もありまして、最終講義に代わるものとして 開かれたものです。 また、 そのお知らせも大きく出さないで欲しいという、 先生のたってのご希望に沿って、宣伝をそれほどするこ とはなかったのですが、たくさんの方々が特別講演会お よびその後のワインパーティーに出席されました。これ はひとえに高野先生の人徳のなせる業だと思われます。 高野先生は 1974 年(昭和 49)講師として数学科に着任 され、その後、1977(昭和 52)年には助教授に昇任、 1986(昭和 61)年には教授の職に就かれました。先生の研 究対象は特殊関数で、特に超幾何関数やパンルヴェ関数 など、常微分方程式の解として与えられるものを中心に 研究され、今もって精力的に研究を推進されています。 高野先生が数学科の関数方程式関係の研究グループを強 力にリードしてこられたことは、現在の数学科教員の陣 容を見ても明白だと思われます。 また、国際学術雑誌 Funkcialaj Ekvacioj の編集 (日 本数学会函数方程式論分科会) および出版 (神戸大学理 学部数学科) にも長年尽力されました。今年、無事第 50 巻が出版されるに至ったのは、高野先生のご尽力の賜物 と言っても過言ではありません。 特別講演会での講演題目は「神戸大学で研究した事」 だったのですが、33 年にわたる神戸大学でのご自身の研 究を、トピックスに分けてゆっくりと丁寧に話される様 は、高野先生のお人柄を如実に映し出しており、特にご 自身が気に入っている研究論文のことを話されていると きの先生の笑顔がとても印象的でした。 また、東京大学在学時に同期であった数学科の佐々木 武教授のお祝いの言葉から始まったワインパーティーで の、お2人の掛け合いがとても楽しかったのが強く印象 に残りました。現在、高野先生は青山学院大学理工学部 物理・数理学科でご教鞭を執られています。 これからもま すますお元気で。 Ⅰ-20 理 学 部 出 前 授 業 【2006・2007】 Ⅰ. 出前授業の目的 (理学部ホームページより) 理学部では、未来を担う若い人達に学問の基礎となる理学の教育研究の意義を理解していただくと共に、高等学校と 大学との連携を図るべく,昨年度に引き続き「出前授業」を全学科(数学科、物理学科、化学科、生物学科、地球惑星科学 科)で実施しております。詳しくは理学部ホームページ(http://www.sci.kobe-u.ac.jp/demae/main.html)をご覧ください。 Ⅱ 訪問先と経過 (理学部事務提供) [ 2006(平成 18)年度 ] 明 石 B 三 村 星 陵 M 高 山 西宮甲山 B 向 井 兵 庫 C 大 堺 大西 P 岡 村 西宮北 C 大久保 上 宮 M 高 山 B 前川 C 大 堺 西宮東 M ラスマン 富田林 P 林 B 鶴 見 平 城 P 福 田 P 大久保 啓光学園 P 河 本 P 原 P 原 E 乙 藤 C 姫野 明石清水 P 川 越 C 猪名川 M 福 山 宝塚北 赤 穂 P 久保木 鈴蘭台 B 向井 B 深 見 小 野 P 大久保 龍 野 B 向井 E 鎌 田 加古川南 P 坂 本 長 田 C 瀬恒 姫路飾西 C 網 井 P 福田 北 条 C 笠 原 P 水戸 北摂三田 P 蔵 重 西宮東 M ラスマン 北 条 P 河 本 啓光学園 C 笠 原 B 鶴 見 三 原 C 瀬 恒 富田林 E 兵 頭 夢野台 E 阿 部 E はしもと 川西緑台 B 深 見 三田学園 M 斎 藤 仁川学院 葺 合 御 影 [ 2007(平成 19)年度 ] (予定も含む) 明 石 西 P 大久保 三田学園 M 福 山 赤 穂 P 岡 村 神 港 P 大久保 尼崎小田 B 小 菅 洲 本 M ラスマン 姫路飾西 E 阿 部 尼崎稲園 M 高 山 津 名 M 中 西 兵 庫 B 鶴 見 伊丹西 E 長 田 P 岡 村 葺 合 P 倉 重 六 甲 B 鶴 見 P 久保木 C 姫 野 岸和田 E 兵 頭 小 はしもと 野 P 河 本 M:数学専攻、P:物理学専攻、C:化学専攻、B:生物学専攻、E:地球惑星科学専攻 Ⅲ. 2007 年度出前授業メニュー 【数 学】 ・オイラーの数学をめぐって 齋藤 政彦 教授 ・むすんで・ほどいて(結び目の数学) 中西 康剛 教授 ・最短の柵で囲まれた最大の牧場 ラスマン ウェイン 准教授 ・数と確率の話 福山 克司 教授 ・方程式を解く 高山 信毅 教授 【物理学】 ・色の起源と光スペクトル 河本 敏郎 准教授 岡村 英一 准教授 ・放射光が拓く現代光物性学の最前線 難波 孝夫 教授 ・液体窒素を使って極低温の世界で遊んでみよう 太田 仁 教授、 大久保 晋 助教 ・超伝導の話 和田 信二 教授、 久保木一浩 准教授 木戸 毅 助教 ・素粒子と宇宙 原 俊雄 准教授 川越 清以 准教授、 蔵重 久弥 准教授 ・自然における対称性と物理学 林 青司 教授 坂本 眞人 助教 ・相対論の不思議な世界、量子論の不思議な世界 坂本 眞人 助教 【化 学】 ・水の化学 姫野 貞之 ・分子の形について考えよう 瀬恒潤一郎 教授 教授 (理学部ホームページより) ・分子分光学入門:光を利用して分子の構造と変化を知る 笠原 俊二 准教授 ・表面の分子科学:ナノテクノロジーへの序曲 大西 洋 教授 ・タンパク質の高次構造と機能 田村 厚夫 准教授 ・光合成生物の光エネルギー捕獲 秋本 誠志 准教授 【生物学】 ・小さな RNA の大きな役割 井上 邦夫 准教授 ・蛋白質のフォールディングとミスフォールディング 橘 秀樹 准教授 ・植物ホルモンの働き 鶴見 誠二 准教授 ・遺伝子から蛋白質へ 北川 円 助教 ・花の多様性と進化 小菅 桂子 准教授 ・地球環境を支える光合成酸素発生系 村上 明男 准教授 【 地球惑星科学 】 ・日本は二本(日本列島の形成史) 乙藤 洋一郎 教授 ・磁気や電気で見る地球の歴史・地球の内部 山口 覚 講師 ・火山の噴火と災害 鎌田 桂子 准教授 ・地球環境と人類の進化 兵頭 政幸 教授 ・カオス=混沌!? 小松崎民樹 准教授 ・生命の存在する惑星が形成される条件 はしもと じょーじ 助教 ・流星・彗星・小惑星を探る 阿部 新助 助教 Ⅰ-21 理学部 サイエンスセミナー2007 「サイエンスの今」 全体講演会の講演風景 理学部では 2001(平成 13) 年から「サイエンスセミナ ー」を毎年開催し、数学、物理学、化学、生物学、地球 惑星科学の5分野についての最新の研究をわかりやすく 紹介しております。 日常なかなか触れる事のできない 「科 学の面白さや楽しさ」や「科学と社会のつながり」を幅 広い世代の方々に理解し体験していただく事を目的にし ています。セミナーは、高校生以上を対象に、参加料は 無料です。 本年も7月 28 日(土)、29 日(日) の両日に開催されま したので、以下にご報告いたします。 Ⅱ.概要 「最先端の科学をわかりやすく」というテーマで、28 日(土)は六甲ホールで数学、物理、化学、生物、地球惑 星科学の5学科の全体講演が行われ、 また 29 日(日)は理 学部と百年記念館神大会館のセミナー室などを利用して、 学科別のセミナーが行われました。 両日とも 128 名の方が参加されました。セミナー終了 後、樋口理学研究科長から修了証書が授与されました。 司会をされる兵頭教授 Ⅲ.内容 [1日目:7 月 28 日(土)] 挨拶される樋口理学研究科長 全体講演会 「火山に関するサイズの話」 地球惑星科学専攻 佐藤 博明 教 授 「計算の歴史からたどる数と確率」 数学専攻 福山 克司 教 授 「強磁場が拓く新しい物性の世界」 物理学専攻 太田 仁 教 授 「分子を観る」 化学専攻 冨宅喜代一 教 授 「食いしんぼと怒りんぼの生物学−動物行動のしくみ を考える」 生物学専攻 尾崎まみこ 教 授 山根事務長(左端)と受付をされた事務の皆さん Ⅰ-22 【 化学セミナー】 「レーザー光で見る分子の動き」 化学専攻 富永 圭介 教 授 「有機化学ワールド:日常生活の有機化合物」 化学専攻 網井 秀樹 准教授 [2日目:7 月 29 日(日)] 分野別セミナー 分野別セミナー担当講師の紹介 【 数学セミナー 】 「オイラーの数学から-『無限解析序説』への招待」 数学専攻 野海 正俊 教 授 「四次元の世界を見る」 数学専攻 佐藤 進 准教授 【 物理学セミナー 】 「ニュートリノの不思議」 物理学専攻 鈴木 州 助 教 「超伝導とはどんな現象か」 物理学専攻 久保木一浩 准教授 生物学セミナー】 「毒素の生物学」 生物学専攻 前川 昌平 教 授 「藻類を通して見る生物の多様性」 生物学専攻 羽生田岳昭 助 教 【 地球惑星科学セミナー】 「星と惑星系の誕生」 地球惑星科学専攻 相川 祐理 助 教 「地球惑星科学:見えるもの,見えないものをみる」 地球惑星科学専攻 宮田 隆夫 教 授 自然科学研究科 博士課程前期課程 修了者一覧 数 学 専 攻 17 名 物理学専攻 20 名 化 学 専 攻 24 名 生物学専攻 20 名 地球惑星科学専攻 23 名 Ⅰ-23 【2006 年度】 理 学 部 卒 業 者 一 覧 数学科 34 名 物理学科 35 名 化学科 32 名 生物学科 34 名 地球惑星科学科 42 名 【2006 年度】 理学部 卒業者 および 自然科学研究科博士課程前期課程 修了者 進路 【2006 年度】 卒 業 者 修 了 者 177 名 (就職 48 名:進学 129 名) 104 名 (就職 76 名:進学 28 名) 数 学 科 34 名 (就職 17 名:進学 17 名) 数 学 専 攻 17 名 (就職 16 名:進学 1 名) NECシステムテクノロジー、NTTソフトウェア、京阪電気鉄道、 アセットマネジメント、伊予銀行、NTTデータ、興行第一ライフ、 シスコシステムズ、住友生命コンピュータサービス、 JFEシステムズ、大同生命保険、大和総研、日本オラクル、 ハートフォード生命、日立電子サービス、三菱東京UFJ、 日本生命保険、ノバシステム、IT関連企業、教員(3)、その他(3) 明治安田生命保険、教員(4)、その他(4) 神戸大学大学院(16)、大阪大学大学院 神戸大学大学院 物 理 学 科 35 名 (就職 8 名:進学 27 名) 物 理 学 専 攻 20 名 (就職 13 名:進学 7 名) Wave Technology、鹿児島銀行、東陽テクニカ、富士通ビーエスジー、 いすゞ自動車、伊藤忠テクノソリューションズ、キャノン、 予備校講師、その他(3) コベルコ科研、住友電気工業、東京エレクトロン、東芝、 西山ステンレスケミカル、P&G、三菱電機、WOWOW、その他(2) 神戸大学大学院(21)、大阪大学大学院(2)、京都大学大学院、 神戸大学大学院(6)、総合研究大学院大学 東京大学大学院(2)、横浜国立大学大学院 化 学 科 32 名 (就職 7 名:進学 25 名) 化 学 専 攻 24 名 (就職 21 名:進学 3 名) スタッフサービス・ホールディングス、積水ハウス、 NTN、キャノン、京セラミタ、神戸製鋼所、昭和シェル石油、 大日本スクリーン製造、大丸百貨店、トランスコスモス、藤原広告、 住友化学、住友ゴム工業、積水化学工業、ダイキン工業、 教員 大日本印刷(2)、大日本スクリーン製造、中外製薬、日本触媒(2)、 富士フィルム、松下電工、三菱マテリアル、村田製作所、 ヤマハマリン、YKK 神戸大学大学院(23)、京都大学大学院(2) 神戸大学大学院(3) 生 物 学 科 34 名 (就職 7 名:進学 27 名) 生 物 学 専 攻 20 名 (就職 13 名:進学 7 名) グライナージャパン、ケーケーシー情報システム アストラゼネカ、飯田、厚生労働省福岡検疫所、 日立システムアンドサービス、ホンダトレーディング、リクルート、 地方公務員 神戸大学大学院(23)、大阪大学大学院(2)、東京大学大学院、 神戸大学大学院(7) 総合研究大学院 地球惑星科学科 42 名 (就職 9 名:進学 33 名) 地球惑星科学専攻 23 名 (就職 13 名:進学 10 名) エスアールアイシステムズ、NECシステムテクノロジー、大和証券、 アズワン、岩谷産業、オージス総研、国際協力機構、 東芝、トラストシステム、阪急電鉄、富士通フロンテック、ユニクロ、 住友生命コンピューターサービス、ソフトバンク、TIS、 その他 電通国際情報サービス、日研総業、日本総研ソリューションズ、 RACE、地方公務員、その他 神戸大学大学院(16)京都大学大学院(9)、東京大学大学院(7)、 神戸大学大学院(10) 鳥取大学大学院 Ⅰ-24 理学研究科・理学部 および くさの会の就職支援 2007(平成 19)年 1 月から、数学科就職委員となり、委 員長を引き継ぎました。昨年のくさだよりの原委員長の 報告にありますように、2004 年(平成 16 年)1 月に理学 部の就職委員会が結成され、まだ活動歴の短い委員会で す。この間、理学部同窓会(就職支援委員会)および教務 学生係のサポートを受けつつ活動して参りました。 法人化後の神戸大学の中期計画に「各部局の就職支援 組織および同窓会を連携させた就職・進路ネットワーク を構築する。」とあり、その計画に沿って同窓会と理学 研究科・理学部就職委員会との連携を図るのがこの委員 会の目的だと思います。 実際、 就職委員会の開催時には、 同窓会から松田会長、峯本就職支援委員長が出席され、 協力企業名(申込順) (株)NTTデータ 富士通(株) 日立公共システム エンジニアリング(株) NECソフト(株) 日立ソフトウェア エンジニアリング(株) 明治安田生命保険(相) 大同生命保険(株) TIS(株) (株)東芝 住友電気工業(株) (株)ルネサステクノロジ (株)東陽テクニカ 大日本印刷(株) 大日本スクリーン製造(株) (株)日本触媒 (株)INAX (株)カネカ (株)村田製作所 シスメックス(株) 中外製薬(株) (株)ベネッセコーポレーション NECエレクトロニクス(株) (株)日立製作所 新日鉄ソリューション(株) 岩谷産業(株) (株)神戸製鋼所 小野薬品工業(株) 明石市 OB・OG出席者 (数学 35) (自数 7、数学 48) (自数 3、数学 44) (数学 53) (自化 5、化学 46) (自地 7、地惑 24) (数学 44) (数学 42) (自地 11、地惑 28) (修物 16) (自物 10、物理 51) (自数 11、数学 52) (物理 35) (自数 11、数学 52) (自物 6、物理 47) (自物 6、物理 47) (物理 55) (自化 9、化学 50) (自化 11、化学 52) (修化 23) (自化 3、化学 44) (自化 12、化学 53) (自化 11、化学 52) (自物 11、物理 52) (自生 5、生物 46) (生物 54) (自物 8、物理 49) (自物 11) (物理 36) (自化 12、化学 53) (地惑 24) さいとう まさひこ 就職委員長 理学研究科 数学専攻 教授 齊 藤 政彦 様々な助言を頂いており ます。改組のため本年4 月から理学研究科が発足 し、委員会名も理学研究 科・理学部就職委員会と なり、各専攻の委員は各 専攻・学科の学生の就職 支援に加え、 理学研究科・ 理学部全体の就職支援活 動にもご協力頂いています。 本年度も昨年に引き続き、 理学研究科・理学部就職委員 会と理学部同窓会就職支援委員会の共催により、理学部 Z103 教室で講師を森田茂幸氏 [(株)ディスコ] にお願 いし、神戸大学理学系就職ガイダンスを開催しました。 非常に具体的かつ様々なデータ、エピソードを交えた お話は大変興味深く、就職活動にとって有益なものでし た。たとえば、2007年度、2008(平成20)年度は団塊の世 代の大量退職、企業の業績回復等で「空前の売り手市場」 とのことですが、その反面、近年、就職後すぐに退職し てしまう人の割合が3割もいるとの説明がありました。 会社の名前だけにとらわれずに、自分にあった仕事、 会社を選ぶことが大事である事を強調されました。 また、 仕事は生活のため、社会のため、自分のためという3つ の要素が満たされて初めて充実したものになること、ま た正社員とフリーターの生涯賃金の差の大きさなど具体 的な数字を交えたお話は説得力十分でした。 [第1回] 日時:10 月 3 日(水) 17:00∼18:30 内容 理学系学生のための「就職活動の進め方」 参加 学部生 21 名、修士生 52 名、計 73 名 [第2回] 日時 10 月 12 日(金) 17:00∼19:00 内容 エントリーシートの書き方 [第3回] 日時 10月26日(金) 17:00∼18:30 内容 理学系学生のための「就職活動マナー・筆記試験 対策・業界研究」 続いて、11 月 9 日(金)の午後に神戸大学理学系OB・ OGによる合同会社説明会を行いました(概要下記)。 [2007(平成 19)年度OB・OGによる合同会社説明会] 日時 11 月 9 日(金) 14:00∼19:00 場所 理学部Z棟、Y棟の教室 内容 (第1部) 参加企業出席者紹介 14:00∼14:30 (第2部) 企業別ブースでの面談 14:30∼17:00 (第3部) 懇親会 17:30∼19:00 本年度は学生の内定も好調で、その面では、就職委員 の仕事はそれほど難しいものではありませんでした。一 方、博士卒後の就職支援など、大変難しい課題は手つか ずのままです。同窓会の皆様にも理学系就職支援活動へ のますますのご協力をお願いいたします。 Ⅰ-25 自 然 科 学 研 究 科 [題目左横は指導教員] 【数 学 専 攻】 中 西 野 海 渡 邉 高 野 野 海 吉 岡 高 山 山 渡 邉 福 山 渡 邉 福 山 野 呂 足 立 ラスマン ラスマン 山 高 野 On Gordian Distances for Knots 超幾何型複素積分に付随する微分方程式系について 有理数体上のある楕円曲線の rank について Appell の F2 の monodromy 群について 原点に確定特異点,無限遠点に Poincaré rank 1 の不確定特異点を持つ線形微分方程式について On the holomorphic vector bundles over compact complex surfaces コドンの代数的統計モデルについて 双曲型 Coxeter 群について Dirichlet の算術級数定理について 独立確率変数の和の上級関数・下級関数について 有理数体上の楕円曲線の torsion 部分群について 部分列が従う重複対数の法則の証明 多重ゼータ値の予想次元について Stark Hamiltonian に対する多次元逆散乱問題について Linear Weingarten surfaces in Lorentzian 3-space Constant Gaussian curvature surfaces and their parallel surfaces Coxeter 群の元の表示について 退化大久保方程式について 【物 理 学 専 攻】 原 難 波 林 蔵 重 和 田 林 川 越 福 田 福 田 難 波 林 西 野 播 磨 岡 村 太 田 太 田 川 越 林 久保木 櫻 井 K2K 実験第 2 期における SciFi 検出器を用いたニュートリノ反応事象の研究 Tm モノカルコゲナイド化合物及び CeB6 の光学伝導度と電子状態 標準模型とミューオンの異常磁気能率 ATLAS エンドキャップトリガーにおける宇宙線ミューオン事象の研究 重い電子系 Yb 化合物 YbCu5 の圧力効果 高次元ゲージ/重力理論における超対称性 Micro Pixel Chamber(μ-pic)の安定性向上と高増幅率化に向けた研究 量子常誘電体における不純物誘起相転移と紫外光照射効果 遷移金属酸化物における光誘起磁化と超高速スピンダイナミックス 多重極限赤外顕微鏡を用いた充填スクッテルダイト化合物 PrFe4P12 の光学伝導度と電子状態の研究 量子コンピュータの理論的考察 基本原理と物理的実現方法 平均場相互作用を持つイジングモデルの臨界現象 YbAl3C3 における電場勾配の理論的研究 Ce 充填スクッテルダイト化合物の光学伝導度と電子状態 S=1/2 ジグザグ鎖反強磁性体の高周波 ESR による研究 パイロクロア格子を持つ磁性体の強磁場 ESR による研究 ILC 実験用フルシミュレータによる Particle Flow Algorithm の研究 高次元理論と世代数問題 高温超伝導体の超伝導・反強磁性共存相における不純物効果 電子ビーム多価イオン源及び照射機構の開発 【化 学 専 攻】 網 大 大 林 富 姫 内 富 山 田 林 姫 瀬 姫 吉 井 西 西 永 野 野 永 村 村 野 恒 野 田 芳香族炭素−酸素結合の活性化を用いる分子変換反応の開発 縮合モリブデン酸をビルディング・ブロックとする結晶設計の研究 走査プローブ顕微鏡を用いたルテニウム色素吸着二酸化チタン表面の観察 Mizoroki-Heck Reaction Using Imidazole-Palladium(Ⅱ)Complexes 電解質水溶液中における蛍光性色素分子の動的挙動に関する分光学的研究 欠損型タングストリン酸錯体を配位子とするキャピラリー電気泳動分析 アモルファス SiO 薄膜の構造,反応と電気伝導特性 ミオグロビンのダイナミクスに対するヘムプロピオン酸基の効果 アセナフチレン縮環アズレノイドエノンの合成とアズレノイドエノンの炭素−炭素二重結合の新規還元反応の開発 金属結合性ヘリックスペプチドナノファイバーの創出 光学活性シッフ塩基−亜鉛系による触媒的不斉付加反応の開発 三元 Keggin 型ポリオキソメタレート錯体の生成条件の研究 C2 対称性ポルフィリノイドの合成とその金属錯体に関する研究 金属イオン含有 Keggin 型タングステン酸錯体の生成条件とボルタンメトリック酸化遷元挙動 ソフトマトリックス中に分散した Pd ナノ粒子の水素吸収挙動 Ⅰ-26 修 士 論 文 題 目 一 覧 内 山 吉 富 冨 大 田 笠 内 野 村 田 永 宅 堺 村 原 野 [2006 年度] シリカゲルの発光特性に及ぼす微細構造及び真空紫外光照射の影響 α,β-不飽和カルボニル基を有する 4 環性ヘテロ芳香族縮環アズレン環の合成 担持ナノ Pd のサイズ効果:水素吸収脱離挙動による検討 グルコース酸化酵素の光誘起電子移動反応 気相生体分子イオンの極低温冷却とレーザー分光 電位変調蛍光法を用いたローダミン色素の油水界面吸着反応の研究 立体構造変化で機能誘起される抗菌タンパク質の設計 ジベンゾフラン分子の超高分解能レーザー分光 アルキルアルミニウムとアモルファスシリカ微粒子の反応及び発光特性 【生 物 学 専 攻】 鶴 小 坂 吉 坂 齋 坂 洲 林 三 向 前 前 小 宮 深 見 菅 本 川 本 藤 本 崎 工 向 洲 深 藤 井 崎 見 村 井 川 川 野 本 見 シロイヌナズナの根におけるオーキシン輸送体 AUX1 の機能解析 水生植物ヒルムシロ属における高温ストレス応答の解析 神経特異的 RNA 結合タンパク質 HuD の翻訳調節機能に関する研究 AMPK による mTOR シグナル伝達系制御機構の解析 新規ヘテロクロマチン局在因子とリボソーム RNA 成熟との機能的連関の解析 ヒスタミン分泌における PKC の役割−アクチンのリモデリングとの機能協関− 線虫 Caenorhabditis elegans の生殖巣におけるクロモドメインタンパク質 MRG-1 の機能解析 細胞内共生生物が宿主ミドリゾウリムシに与える影響 視細胞円板膜におけるG蛋白質トランスデューシンの一分子観察 高等植物における葉内無機イオン分布とその形成機構 タンパク質リン酸化酵素 PKN2 の免疫化学的および組織学的解析と PKN2 遺伝子改変動物作成 脳組織のセプチン複合体の調製と解析 神経細胞膜画分中の膜微小領域の脂質組成 アンカリング蛋白質 CG-NAP 及び Kendrin の機能解析−細胞周期依存的な中心体の構造変化への関与について− VPS9 ドメインをコードする遺伝子の分裂酵母細胞における働き Involvement of Phosphatidylinositol 3-kinase in Sequential Activation of Src and Phospholipase Cγ in Fertilized Xenopus Eggs アブラナ科タネツケバナにおける開花調節因子 FLC 転写量の自然変異 タンパク質リン酸化酵素 PKN3 の機能解析−遺伝子改変動物の作成および酵素学的解析− 管状マスティゴネマ構成タンパク質の解析 がん細胞の血清飢餓抵抗性の分子メカニズム−ヒト膀胱癌 5637 株を用いた解析− 【地 球 惑 星 科 学 専 攻】 向 井 向 井 留 岡 向 井 兵 頭 向 井 郡 司 鎌 田 中 川 小松崎 中 村 留 岡 向 郡 乙 宮 井 司 藤 田 小松崎 向 井 向 井 向 井 中 村 留 岡 向 井 氷天体の焼結過程による強度獲得 小型望遠鏡による系外惑星のトランジット探査 クロム同位体を使ったユレイライト隕石の起源に関する研究 固有運動による Post T Tauri 型星の探査 インドネシア・ジャワ島サンギランにおける初期人類化石産出層を含む更新世堆積物の岩石磁気学的研究 高銀緯分子雲 MBM55 に付随する YSO の探査 不完全な認識の貼り合わせによる全体について Wholeness Based on Gluing of Incomplete Information 三瓶火砕流の流動方向の研究−粒子径と粒子配列の関係− ダストの衝突破壊によるサイズ分布の進化 一分子時系列情報におけるダイナミックスの階層性解析 小天体内部の構造と強度の関係の実験的研究 ∼ガラスビーズ焼結体を用いた衝突破壊強度測定∼ Fine-Grained Rims in Tagish Lake Carbonaceous Chondrite: Evidence for Formation by Aqueous Alteration on the Parent Body 太陽面活動領域 NOAA10786 における黒点運動の解析 flash-lag effect を用いた主観的な時間知覚の研究 Tectonic features of SE Asia inferred from the paleomagnetic study in Yunnan province,China 破壊現象における幾何学的パターンの代数学的解釈 Algebraic Interpretation of Geometric Patterns in Fracture Event 水の場としての集団運動と生体分子構造転移ダイナミックス Tタウリ型連星の近赤外コロナグラフ観測 プレアデスに属する若い恒星の金属量測定 HⅡ領域 RCW62 に付随するブライトリム分子雲の近赤外撮像観測 小天体表面模擬試料による Opposition Surge の研究 Aqueous alteration process of the clasts in the CM carbonaceous chondrites G 型巨星の組成解析 Ⅰ-27 会 員 の 広 場 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 目 次 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 人 物 紹 介 安川克己先生が瑞宝章中綬章を受章されました·········兵頭政幸 麦林布道先生が瑞宝章中綬章を受章されました 吉岡康太教授の代数学賞受賞について·····························齋藤政彦 「おのころ」 による調査で海洋調査技術学会技術賞を受賞 Ⅱ−1 Ⅱ−2 Ⅱ−2 Ⅱ−2 第7回素粒子メダルを受賞して············································ 林 青司 日本物理学会英文誌の注目論文に選ばれて··················· 岡村英一 日本物理学会英文誌の注目論文に選ばれて··················· 水戸 毅 第 23 回化学反応討論会でベストポスター賞を受賞 Ⅱ−3 Ⅱ−3 Ⅱ−4 Ⅱ−4 広場に集いて 近 況 報 告···············································································山内 一 私の目に光を残し給え!···························································髙木恕司 神戸大学への想いと学生の募集定員··································山本秀夫 二回目の大学生活··········································································伊藤三郎 KUC37 会 卒業 45 周年記念大会の報告·······················峯本 工 蝶を追って 50 年·············································································岩村 巌 もったいない?···············································································風岡 巌 Ⅱ−5 Ⅱ−5 Ⅱ−6 Ⅱ−7 Ⅱ−7 Ⅱ−8 Ⅱ−9 定年退職いたしました!!······················································船越俊介 Ⅱ-10 ヒューストン滞在記·····································································岩切 博 持続可能性(Sustainability)············································中島雅晴 最近思うこと····················································································藤森陽子 Ⅱ-11 Ⅱ-12 Ⅱ-13 近況について···················································································· 小島康男 短歌と共に························································································· 小林和子 一見偶然に見える必然································································ 榎 克哉 大学入試問題と高校教育について······································· 尾崎充雄 Ⅱ-13 Ⅱ-14 Ⅱ-14 Ⅱ-15 45 歳のステップ・アップ休暇 ··············································· 山口哲弥 Ⅱ-16 息子によせて···················································································· 田中加代子 Ⅱ-17 野 外 実 習··············································································· 池田もも Ⅱ-19 アルバイトを通して得たもの················································· 冨山祐美 Ⅱ-19 イタリアでのサンプリング······················································ 山口礼実 Ⅱ-20 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲ 安川克己先生が 瑞宝章中綬章を受章されました ひょうどう まさゆき 兵 頭 政幸 2007(平成 19)年春の叙勲において、瑞宝章綬章**を受 章された安川先生は、1975(昭和 50)年に神戸大学理学部 地球科学科・海洋科学講座教授として着任後数多くの研 究者を育成されました。 また、先生は 1986(昭和 61)年から 1990(平成2)年ま で理学部長、1991(平成3)年から 1994(平成6)年まで神 戸大学付属図書館長を務められて退官されましたが、そ の後、1994(昭和 49)年から 2002(平成 14)年まで大阪短 期大学長・南大阪大学長と、 長年にわたり教育研究に携わ ってこられ、その功労により受章されました。 安川先生の受章をお祝いする会(2007 年 6 月 24 日) 2007(平成 19)年6月 24 日に、神戸大学理学部地球科 2 列目 左から 2 人目:安川先生、前列左端:筆者 学科(地球惑星科学科)の旧海洋科学研究室の門下生 13 の卒業生を中心に、同窓会(懇親会)を毎年秋ごろ会場を 名が集い、大阪梅田の「かつ里」にて安川先生の受章を 京都・大阪・神戸の順に移しながら開いています。 他講座・ お祝いする会を開きました。 他分野の卒業生や教員の参加もあります。 先生のご希望で形式ばらない会にさせていただきまし 海洋科学講座卒業生はもとより、理学部地球科学科・ た。遠路はるばる沖縄や鹿児島からの参加者や、梅田周 地球惑星科学科の卒業生、あるいは、旧教員の方で一度 辺から勤務時間の合間を縫って駆けつけてくれた方もい のぞいてみようと思われる方は、ぜひ兵頭までメール< ました。受章式の詳しい様子などを伺いながら、また、 mhyodo@kobe-u.ac.jp>にてご連絡ください。 昔の懐かしい話にわいて、時間を忘れるひとときを過ご (地惑1期、地修1期) しました。 このたびの受章の報は電子メールアドレスを把握して ** 瑞宝章(Orders of the Sacred Treasure) いる 40 数名の卒業生・研究室関係者にしかお知らせする 1888(明治 21)年に制定された日本の勲章です。 ことができませんでしたが、連絡できなかった方々にこ 国家または公共に対し功労があり、公務等に長年 の紙面をかりてお詫びします。 従事し、成績を挙げた方が授与対象とされています。 なお、最近、旧海洋科学講座(地球電磁気学分野含む) Ⅱ-1 麦林布道先生が 瑞宝章中綬章を受章されました 2007(平成 19)年秋の叙勲で、神戸大学名誉教授 麦林 布道先生が瑞宝章中綬章を受章されましたので、お知ら せいたします。おめでとうございます。 先生は 1953(昭和 28)年に文理学部物理学科に着任さ れ、19 年間理学部で教鞭をとられました。1972(昭和 47) 年に工学部電気電子工学科に教授として栄転されたのち は、評議員などを歴任され、1989(平成元)年3月に退官 されました。(詳しくは次号でご紹介いたします。) 吉岡康太教授の代数学賞受賞について さいとう まさひこ 理学研究科教授 数学専攻 齋 藤 政 彦 数学専攻構造数理講座の 吉岡康太教授が 2007(平成 19) 年度日本数学会代数学 賞を受賞されました。この 賞は日本数学会代数学分科 会が中心になって 1998(平 成 10)年に設立され、広い 意味での代数学の進展に著 しく貢献した人を顕彰して います。設立以来、毎年2 名ないし1名の代数学各分 野の研究者が受賞していま 賞状を手に(吉岡教授) す。 この賞の詳しい情報は、 http://www.math.wani.osaka-u.ac.jp/group/Numberth/ algebra/daisugakusho.html をご覧ください。 受賞の対象となった業績は「ベクトル束のモジュライ の研究」です。式で定義された曲った空間を研究するの が代数幾何学の研究目的ですが、吉岡教授はその曲った 空間の上の各点にまっすぐの空間(線形空間)が乗って いるベクトル束という代数幾何的な対象について研究し、 特にそのベクトル束全体を集めた空間 (モジュライ空間) の構造を大学院時代よりさまざまな手法によって研究さ れています。 受賞の対象になった業績は3つあり、ひとつ目は代数 曲面上のベクトル束のモジュライ空間の位相不変量であ るベッチ数の決定です。特に、それより得られるポアン カレ多項式の母関数に保型形式が現れる事が示されます。 この結果は、当時数理物理学者 Vafa と Witten が提唱 した S 双対性予想をサポートする結果として、数学のみ ならず数理物理においても注目を浴びました。 二つ目は、 K3曲面やアーベル曲面上のベクトル束のモジュライ空 間の構造に関して新しく深い結果です。 2004(平成 16)年以降、京都大学の中島 啓氏と数理物 理学者の Nekrasov 氏の提唱した予想「4次元の SU(r)同 変 Donaldson 不変量(Instanton 数)から得られる分配 関数の主要項が Seiberg-Witten プレポテンシャルと一 致する」について共同研究され、この予想を解決された のが三つ目の研究です。現在、この分野で世界的に最も 注目されている研究者の一人として、毎年多くの国際研 究集会に招待され講演を行なわれています。 吉岡教授は、1997(平成9)年4月に広島大学理学部助 手から神戸大学理学部数学科講師として赴任され、1999 (平成 11)年4月助教授、 2006(平成 18)年4月教授に昇任 され現在に至っておられます。また、数学専攻の教務委 員としても、 改組時の難しい職責をこなしておられます。 このたびの吉岡教授の受賞に際して、数学専攻の同僚 として心からお祝いを述べるとともに、これからの吉岡 教授の研究にますます期待したいと思います。 プロフィール 1994(平成 6)年 京都大学大学院理学研究科数学専攻 博士後期課程修了(理学博士) 日本学術振興会特別研究員(PD) 1995(平成 7)年 広島大学理学部(数学科) 助手 1997(平成 9)年 神戸大学理学部(数学科) 講師 1999(平成 11)年 神戸大学理学部(数学科) 助教授 2006(平成 18)年 神戸大学理学部(数学科) 教授 1997(平成 9)年 第 1 回建部賞を受賞 「代数曲面の安定ベクトル束のモジュライの研究」 「おのころ」による調査で 海洋調査技術学会技術賞を受賞 おのころ丸(竣工式にて) 内海域環境教育研究センターの島 伸和准教授が調査 に協力した論文『瀬戸内海播磨灘での海底重力測定』(上 嶋正人、石原丈実、小泉金一郎、押田 淳、藤本博己、金 沢敏彦各氏との共著) で、海洋調査技術学会から技術賞 を受賞されました。 受賞理由は、瀬戸内海播磨沖で神戸大学の小型調査船 「おのころ」と東京大学地震研究所、海洋研究所の海底重 力計を用いて、簡便に海底の重力調査を実施し、約 25 点の重力測定値を得て、播磨灘におけるデータ空白域を 解消するとともに、浅海域の海底重力調査手法を確立し たことによるものです。 なお、調査に当たっては中野 有氏、牛原康博氏が実 習調査船「おのころ」を操船、神戸大学院生の北田数也、 岩本久則両氏が船上の観測に協力をされました。 Ⅱ-2 第 7 回素粒子メダルを受賞して りん せいじ 理学研究科教授 物理学専攻 林 青司 て発見されるに至り、我々の求めた表式はその寄与を正 確に表すものとして、 FCNC 過程やCP対称性の破れの解 析、等に用いられているようです。 今後もこれを励みに、新理論をどう探るか、という観 点に立った研究に力を注いで行きたいと考えております。 プロフィール 1981(昭和 56)年 東京大学大学院理学系研究科 物理学専攻博士課程修了(理学博士) 1984(昭和 59)年 米国ブルックヘブン国立研究所研究員 1987(昭和 62)年 高エネルギー物理学研究所物理研究部 助手 [1990(平成 2)年はヨーロッパ原子核研究機構研究員] 1992(平成 4)年 神戸大学理学部 助教授 1996(平成 8)年 神戸大学理学部 教授 2007(平成 19)年 大学院理学研究科教授(配置換) 日本物理学会英文誌の 注目論文に選ばれて 素粒子メダルを受賞する筆者(右側) 私の専門は物理の中の素粒子理論という分野です。こ の度「第7回素粒子メダル」という賞を、中央大学教授 の稲見武夫氏と共に頂戴したのですが、その研究の内容 を解説して欲しいとの 「くさの会」 からのご依頼に従い、 簡単に紹介させて頂く次第です。 万物を構成する最も基本的な粒子を研究する素粒子物 理学は、実験データに存在するパズルを自然に説明する 新しい理論を理論家が構築し、その新理論特有の予言を 実験的に検証する、という風にして発展してきました。 新理論は理論特有の新粒子の存在を予言します。新粒子 はたいがい重い粒子であり、これを直接生成しようとす ると大きなエネルギーの加速器が必要になります。 では、 現在の比較的低エネルギーの世界で、予言されている新 粒子の存在を確かめたりその性質(特に質量)を決定す ることはできないのでしょうか? ここで立ちはだかるのが量子電磁力学等で証明された decoupling theorem と呼ばれる定理で、「重い粒子 の低エネルギー過程における効果は、その質量の逆ベキ で抑制され、従って重要ではない」というものです。 しかし我々は、標準模型のような自発的対称性の破れ を伴う理論では decouple しない non-decoupling 効 果が存在し得るのではないか、との予想の下に、重いフ ェルミ粒子の Flavor Changing Neutral Current (FCNC) という過程への寄与を計算し、重い粒子の質量2乗で増 大するような重要な non-decoupling 効果が存在するこ とを示す事ができました(T. Inami and C.S. Lim, Progr. Theor. Phys. 65(1981)297)。 当時、新粒子としてはトップクォークがあり、質量は せいぜい 30 GeV 程度であまり重くない、と漠然と思わ れていたのですが、我々の主な興味は non-decoupling という理論的側面にあったので、あまりこれに左右され ずに、非常に重いフェルミ粒子にも適用可能な一般的な 表式を導出したのでした。結果的には、その後トップク ォークは 175 GeV という質量を持つ非常に重い粒子とし おかむら ひでかず 岡村 英一 私は 1995(平成7) 年以来、物理学科のス タッフとして教育・研 究に携わっています。 研究の専門は物性実験 で、 主に① 希土類化合 物の赤外線による研究、 そして② 高エネルギ ー電子線から生じるシ ンクロトロン放射光を 用いた物性実験を行っ ています。 今回これら両方の内容を含んだ論文「Universal Scaling in the Dynamical Conductivity of Heavy Fermion Ce and Yb Compounds(ヘビー・フェルミオン Ce および Yb 化合物の動的伝導度における普遍的スケーリング) 」 が、 幸いにも日本物理学会の英文学術誌 2007(平成 19)年2 月号の「注目論文」に選ばれました。 Ce(セリウム)や Yb(イッテルビウム)は多くの方に とって聞き慣れない元素名だと思いますが、周期表の下 の方に表示されている「希土類」とよばれる、文字通り 産出量が少ない元素(ほとんどは中国で産出)の内の2 つです。 希土類原子は f 電子とよばれる電子を持っていますが、 この f 電子の特殊な性質のため、希土類化合物では真空 中の電子の 10 倍から 1000 倍も大きな質量を持つ 「重い」 電子が観測されます。 今回の研究では多くの Ce, Yb 化合物における f 電子の 状態を、 赤外線を用いた分光実験で系統的に調べました。 そしてこれら物質に共通する普遍的な性質を新たに発見 したことが評価されました。今回の発見は直ちに何か実 Ⅱ-3 用的な応用に結びつく訳ではありませんが、希土類化合 物は例えば次世代の省エネ照明と期待される白色 LED に 含まれる蛍光体など、ハイテクを支える機能性材料にも 多く使われています。このような技術をより発展させる ためには、その基礎をなす希土類化合物希土類化合物の 性質を電子レベルでミクロに理解することが不可欠です。 今回の研究は、赤外線を用いた実験手法が有利で有用 なツールとなる可能性も示していると考えています。 1984(昭和 59)年 1988(昭和 63)年 1990(平成 2)年 1995(平成 7)年 2002(平成 14)年 2007(平成 19)年 プロフィール 兵庫県立長田高等学校卒業 大阪大学工学部応用物理学科卒業 大阪大学大学院工学研究科 応用物理学専攻修士課程修了 Northeastern University Ph.D 取得 神戸大学理学部物理学科 助手 大学院自然科学研究科 助教授 大学院理学研究科物理学専攻准教授 に信号が観測されるはずのνQ と 2νQ 周辺で信号を探し ます。 その結果、 比較的容易に2νQ 周辺に信号を発見し、 興味深いデータが次々と出始めました。 しかし、後に分かったことは、実は当初のνQ の予測が 実際の値とたまたま二倍だけずれていたのです。だから こそ、2νQ 周辺に信号が観測されたわけで、その後しば らくは「そんな都合の良い偶然があるだろうか」という 思いが離れませんでした。私たちの好調はそれからも続 きました。核四重極共鳴による明確な四極子秩序観測は 過去に殆ど例が無く、上述の例とは全く異なる物質で、 またもや非常にきれいな研究結果が得られたのです 3)。 前者は博士後期課程2年の正木了君、後者は同3年の 富澤智君が精力的に研究を行っています。運も実力のう ち、むしろ好機をものにして、着実にそして主体的に研 究を進める両サトル君の努力が結実したものでしょう。 1) Journal of the Physical Society Japan. 2) S. Masaki, et al., J. Phys. Soc. Jpn. 76, 043714 (2007). 3) S. Tomisawa, et al., Phys. Rev. B 投稿中 日本物理学会英文誌の 注目論文に選ばれて 1998(平成 10)年 み と たけし 水戸 毅 2001(平成 13)年 2007(平成 19)年 (10 月より) プロフィール 大阪大学大学院基礎工学研究科 物理系博士課程修了 日本学術振興会特別研究員 神戸大学理学部 助手 神戸大学大学院理学研究科 助教 兵庫県立大学理学部 准教授 第 23 回化学反応討論会で ベストポスター賞を受賞 会での発表を終えて(鹿児島、2007 年 3 月) 左から:正木さん、富澤さん、筆者、OBの小山さん 私たちが JPSJ1)に投稿した論文 2)が、この度注目論文 に採択されました。 多くの物質は低温にすると種々の 「相 転移」を起こし、より安定な状態をとります。私たちの 報告は、電子が原子内で分布を変える「四極子秩序」と いう一般には観測が困難な相転移を、「核四重極共鳴」 という実験手法によって検出に成功した、というもので す。 研究が成功するかどうかには、 研究の目のつけどころ、 高い研究能力(技術) 、などが要求されますが、未知の研 究領域では当然ながら「運」にも大きく左右されます。 核四重極共鳴測定の難しさの一つは、測定を行えば自動 的にデータが得られるというものではなく、まず共鳴信 号を探し出さなくてはいけない点にあります。これを見 つけ出せなければ、仕事にならないのです。 今回私たちはルテニウム元素に関して測定を試みまし た。初めに共鳴が生じる周波数νQ の予測を立て、原理的 自然科学研究科 博士課程後期課程 分子物質科学専攻 基礎分子科学講座の藤原亮正さん(指導教員:冨宅喜代 一教授)と、理学研究科 博士課程前期課程 理学研究科 化学専攻 物理化学講座の丸山規司さん(指導教員:大西 洋教授)が第 23 回化学反応討論会(2007 年 6 月 13 日∼ 15 日、神戸大学百年記念館六甲ホールで開催)でベスト ポスター賞を受賞されました。この賞は優秀なポスター 発表を行った若手研究者に贈られるものです。 藤原さんの発表題目は「極低温冷却したプロトン化ジ ペプチドの構造と反応性」で、生体分子の気相クラスタ ーの分光学的研究として、製作したエレクトロスプレー イオン源を備えた温度可変光解離分光装置を用いて、温 度制御したプロトン化ジペプチドの紫外・赤外分光を行 い、構造と反応性の議論を行ったものです。 丸山さんの発表題目は「NaTaO3 光触媒の時間分解赤外 分光法による解析」で、光エネルギーを用いて表面化学 反応を起こす光触媒に関する研究で、励起光を照射した 光触媒の赤外光吸収の時間変化を時間分解赤外分光法に よって観測して励起電子の減衰過程を調べたものです。 これらの研究内容と両氏の卓越した発表が高く評価さ れました。 Ⅱ-4 広 場 に 集 い て 近 況 報 告 私の目に光を残し給え! やまのうち はじめ 山 内 一 1957(昭和 32)年故皆川先生から「日立製作所で原子力 事業を始めるので人を集めているが行ってみないか」と のお話を頂き、それ以来約 50 年、東京の 10 年、シカゴ の1年を除き創業地の日立市に腰を落ち着けてしまい、 すっかり神戸にはご無沙汰続きです。 振り返って見ると、原子力発電所の放射線遮蔽を皮切 りに、安全設計、プロジェクト管理、発電所の運営管理、 経営等々を通して技術は決してうそをつかないことを身 をもって経験しながら幸いにも大過なく会社人間的生活 を4年前に卒業し、やっと自由になったのをチャンスと ばかり気ままに毎日を楽しんでいる今日この頃です。 現役時代はあまり気にも掛けなかった居住地域社会と の交流でしたが、最近は市の地域公民館連絡協議会長や ら、その他団地の役員等何かお役に立てばと暇に任せて 請われるままに何でもやることにして余暇を有効活用中 というところです。縦社会の会社と違って種々雑多の人 格、教養、地域性等々纏めるのに一苦労でかなりのスト レスがあるものの、それなりに楽しむことも最近では覚 え、自分ながら成長したなあーと思っています。 たかぎ ひろし 髙木 恕司 今年は例年に比し 異常な酷暑が長く続 きましたが、皆様お 元気ですか。私は残 念ながら、今夏7月 下旬突然、 奇病・難病 の一つ「左目にヘル ペス菌による桐沢型 急性網膜壊死」の宣 告を受け、大阪国立 病院に緊急入院と通 院の繰り返しでした。 皆様もご存知と思いますが、この病気は発症すると約 2週間で「失明」するというもので、私の場合は発見が 遅れたため、点眼・飲み薬・点滴(ステロイド・抗生物質な ど)・網膜注射・レーザー治療など処方されましたが、結 果として約 60% の視野がなくなり、丁度「暗幕」が半分 以上閉められた状態で何も見えないようになりました。 網膜壊死の発症原因は、一番多いのは「糖尿病患者」 だそうで、その他「緑内障」「リュウマチ」「結核菌」 など微生物によるものが多いのだそうです。私の場合は 血液検査・胸部レントゲン・検尿などの検査をされたが、 すべてマイナス反応で最終的に「ヘルペス菌」によるこ とが判明するまで数日かかりました。 これを書いている時点(9 月 22 日)では、私の網膜壊 死の広がりは既に止まりレーザー治療も終わり、3週間 東京神五会第 25 回ゴルフ会 2006/10/31 於 藤ヶ谷 CC の安定期間を経ていたので、9 月 25 日に「網膜剥離」の (前列左から5人目:筆者) 手術開始が予定されました。 ストレス解放策の一つは、同期の連中とのゴルフ会で 専門の医師団の様子から「網膜壊死の広がりを止める す。関東地区に住んでいる5回生約 160 名の内ゴルフ仲 治療」が終わるまではかなり不安でしたが「網膜剥離の 間が約 60 名、13 年前から東京神五会(神戸大学5回生) 治療」の段階になると方程式・手順が決まっているのか、 ゴルフ会と名づけて毎年春秋2回のコンペが開催され、 担当医も落ち着いた雰囲気で、私自身まな板の鯉となり 既に 26 回を数えている。 その他やはり5回生のゴルフコ 医師団にお任せするしかありません。左目の明かりが半 ンペが年6回、特に法学部中心のゴルフでは春は神戸、 減した今、右目を襲われぬように予防しなければなりま 秋は関東での開催で趣味のドライブを生かし友人との相 せん。 乗りで車での神戸往復など大いに楽しんでおり、ひとつ 後悔しても仕方ないことですが、 予兆とされている「飛 のコンペが終わるとわくわくしながら次のコンペを待ち 蚊症」の段階で自分自身が年々加齢の身であることを自 わびているような始末。 覚し、もっと早く専門医に診察してもらうべきだったこ かつての会社仲間や地元の人とのゴルフもあるけれど、 とを悔やんでおります。 なんと言ってもお互い気心の分かっている学生時代の友 未だすべてが終わった訳ではありませんが、今回初め 人たちとの交流が、情報の交換、教養の向上などを含め ての入院を経験し、 病院のシステムや各種医療機器(スリ て心身ともに本当にリフレッシュでき、健康の許す限り ットランプ・ゴールドマンの視野計・眼底写真装置・レー (物理5期) 今後も続けていきたいと思っています。 ザー治療器・ランドルト環検査器など) や看護師・介護士・ 薬剤師・栄養士その他多くの病院関係者のそれぞれの役 Ⅱ-5 割を垣間見て得た体験・知識から勉強させられた点も 多々ありました。 私のような網膜壊死を発症する人が最近多くなってい ると聞きましたので、皆さんが「飛蚊症」や「視力低下」 などに気がつかれたら、直ぐ専門医に診察してもらうよ (物理7期) うにお勧めいたします。 神戸大学への想いと学生の募集定員 やまもと ひでお 山 本 (松井) 秀夫 かねがね気になるのが学生の募集定員の件だ。受験シー ズンになると倍率などが新聞に掲載され、定員に目がい く。 そこで別表に 2007(平成 19)年度の国立大学理学部募 集定員のランキング表を作成した。東京大学、東京工業 大学、筑波大学は学群になっており、内容が判然としな いため外したが、それらがトップランクにあることは間 違いない。 確かに我々の時代に較べると増えてはいるが、我が神 戸大学は最下位から3番目なのだ。また、新制大学の中 にも旧帝国大学に近い募集定員を確保している大学があ る点も注目したい。やはり、実社会においては数や量の 多さが 力 であることも事実である。 受験業界によれば、神戸大学は十大難関大学に入るそ うだから、数を増やしても期待に応えてくれる人材がた くさん集まると確信している。色々と障害はあるだろう が、ぜひ一考していただき、少なくとも現定員の5割増 しの 210 名を一次目標にしてはいかがなものか。 2007 年度 国立大学理学部 募集定員 オーストリアのバード・ホーフ・ガスタインの丘にて 古い資料を整理していたら化学科在学中の講義録、実 験レポートやテストペーパーが出てきて一挙に 40 数年 前にタイムスリップし、当時の色々なことが彷彿として きた。 定員 40 名に対して 41∼42 名が入学し、教養課程を終 え、専門課程に上るときに4学科に分かれ、化学科には 男子ばかり 11 名が集まった。私は有機化学教室に入り、 「パラポリフェニールの合成とその UV 特性」を卒論テー マに選び、接写カメラをさげて文献調査に駆けずり廻っ たり、日夜研究室にこもって実験に取り組んだことが懐 かしく思い出される。少人数のため教官と学生がほぼ1 対1で指導を受ける濃密な状況にあり、少数精鋭主義の 良さを実感した。 卒業して帝人(株)に入社し、研究・生産・管理を経て関 係会社の経営を経験させていただき、現在は田舎と都会 の2地域生活や海外旅行を楽しむことができるのも、神 戸大学あってのことと感謝している。会社生活において は大学で教えられた知識、勉強の仕方、基礎的技術、理 論的合理的思考の展開、仮説の実証のための実験の重要 性、不断の究理等々が根幹にあり、自分の財産の礎とな ったことは疑う余地がない。 古希となり神戸大学への想いはより強まると同時に、 順 位 大学名 募集 人員 順 位 1 京都大学 311 14 富山大学 180 2 東北大学 282 15 熊本大学 180 3 北海道大学 273 16 茨城大学 175 4 大阪大学 225 17 山口大学 174 5 九州大学 222 18 静岡大学 171 6 名古屋大学 220 19 金沢大学 170 7 千葉大学 205 20 新潟大学 161 〃 埼玉大学 205 21 鹿児島大学 150 9 高知大学 204 22 奈良女子大学 149 10 信州大学 201 23 山形大学 146 11 広島大学 193 24 神戸大学 140 12 琉球大学 191 25 お茶の水女子大学 101 13 愛媛大学 182 26 岡山大学 大学名 募集 人員 96 素晴らしい研究業績を残す人や、企業や公的機関で実 績を挙げる人が比例して増えることで初めて他大学と互 角に競合できると考えられる。増員に併せて将来もっと 期待できるバイオサイエンス学科の増設も望むところだ。 いずれも容易なプロジェクトでないことは承知してい るが、より多くの若者に夢を与え、より多くの後輩たち が巣立つことは卒業生にとっても嬉しいことである。評 議員や教授会の方々には夢で終わらせることなく、飛躍 発展のビッグプロジェクトとして捕えていただき、実現 に向けた行動計画が早急に作られることを切望する。 (化学9期) Ⅱ-6 二回目の大学生活 KUC37 会 卒業 45 周年記念大会の報告 さぶろう みねもと たくみ 伊藤 三 郎 いとう 峯本 工 「いよっ!日 本一」 という日 曜日午前 10 時、 NHK放映の番 組をご存知でし ょうか。本年5 月 27 日 に滋賀 県が取り上げら れ、その日本一 作品展示会に出展した作品の一部 とは、65 才以 上のボランティア参加率 42.6 % で日本一であります。 その背景には種々ありますが、その一つとして滋賀県 では定年後のお年寄りを、地域の担い手、ボランティア 活動のリーダー養成を主な目的にした大学が設けられて います。その名はレイカディア大学と呼び、レイク(湖) とアルカディア (古代ギリシァの理想郷) の合成語です。 今年で 29 年の歴史があります。 大学には選択科目として園芸学科、陶芸学科、文芸学 科、生活科学科、スポーツレクレーション学科の5つが あり、私は 70 才を前にして陶芸学科に昨年 10 月より入 学し、70 の手習いを始めました。以前より地域の役員や 民生委員と、何かと本人の意思とは別に、いろいろ関わ ってきましたが、これを機に自分の遊びも周りとの関わ りも両立したいと考えて入学しました。 必須科目(ボランティアのための基礎)2日、選択科 目4∼5日の月7日ほどの学校通いですが若さを取り戻 して、作陶に励んでおります。粘土の塊りから器の形を 造るのが難しく、また釉薬をつけ焼き上げると、なんと 思いもよらない作品になってしまいます。この年になっ て初めて、自分の腕とセンスのなさを思い知らされて繰 り返しトライの連続です。 先生は信楽焼きのさる有名(!)な方で、各地の百貨 店や展示会場などで展示会をしておられる方です。当校 では年1回作品の展示会があり全員出展します。写真は 当日出展した作品群(一部)です。1年生では花入れ、 湯のみ、抹茶椀、徳利、ぐい飲みなど、形を造るのが精 一杯でしたが、2年では茶器、お皿の色付け、模様付け など、より複雑な品物の作陶に挑戦していけるよう秘策 を練っています。 2年間修行して卒業した後は、必須科目で勉強した知 識、今までの経験、それに新しく挑戦した陶芸をドッキ ングして地域の人たちとの繋がりを持ち続けようと思い ます。 陶芸科で学んでいる 25 名の仲間たちともグループ を作って、陶器の山を家中一杯作ろうと思ってます。家 内にじゃまになるわね∼、といわれながら。 (物理8期) KUC37 会 45 周年記念大会参加者(文学部 10 期生とともに) 昭和 37 年3月に神戸大学を卒業した者の全学 (教育学 部、文学部、理学部、法学部、経営学部、経済学部、工 学部の 7 学部)の同期会をKUC37 会と称し、これまで に卒業 25,30、35、40 周年に大会を行ってきました。 今年は卒業 45 周年にあたり、 神戸大学のホームカミン グデイ(9月 29 日)を盛り上げるためにもと、同じ日に 大学内で記念大会を行いました。 さらに農学部、 医学部、 海事学部の同期会にも呼びかけましたところ、農学部と 海事学部の卒業生には応じていただけましたが、医学部 の方々からは残念ながら色よい返事が頂けませんでした。 しかし、45 周年記念大会は9学部合同の同期会(対象と なる同期生の総数は 1,075 名)となりました。 記念大会は、国際文化学部の体育館に 247 名の同期生 と野上智行学長、新野幸次郎学友会会長をお招きして行 われました。会は同期の物故者に対する黙祷で始まり、 記念大会委員長の挨拶、招待者のご挨拶、神戸大学基金 への同期生から 620 万円の寄付金目録の贈呈、有志によ るコーラスと進み、今回から新たに参加した海事学部同 期生代表の音頭による乾杯の後に歓談に移りました。 学生時代のエピソード、特に教養部時代の話題が懐か しく、時の過ぎるのも忘れて語り、旧友の近況情報の交 換など、旧交を温める2時間余がアッ!という間に過ぎ ました。また、前日には記念ゴルフ大会、囲碁将棋の名 人決定会を行い、9月 26 日∼10 月5日まで神戸大学ア カデミア館2階でKUC37 会展示会を行い 11 名が力作 を出展しました。 記念大会には理学部から岩田俊彦(数学)、 上田正一(物 理)、峯本工(物理)、西庄重次郎(化学)、鈴木肇(生物) 君の5名が参加しました。KUC37 会展示会には井口舜 二(物理)君が陶芸作品を、5号以後の「くさだより」の 表紙絵を描いてくれている鈴木 肇君が絵画を出展しま した。記念大会終了後には理学部のホームカミングデイ 行事である懇親会に上記の上田、峯本、西庄君と新たに 宮井幸男(物理)君が参加し、在職中の諸先生および後輩 学生諸君と歓談を楽しみました。 (物理 10 期) Ⅱ-7 蝶を追って 50 年 いわむら いわお 岩村 巖 小学 1 年生の時、母親 に「夏休みの宿題に昆虫 採集をしなさい」と言わ れたのがきっかけで、虫 に興味を持つようになり ました。当時は近くの野 山に出かけては走り回っ て、トンボやカブトムシ 好古館での 37 会の皆さん 等いろんなものを採って 左から:安井さん、筆者 いました。 中学・高校時代 岩井さん、鈴木さん も虫取りは続けていましたが、本格的に採集をやり始め たのは大学に入ってから、的を蝶に絞ったのもその頃で す。同好の友人とグループを組んで、長期の休み等には 日本各地に出かけて蝶を採集して回りました。 以来今日まで 50 年近く、 勤務の合間等を利用して全国 各地を回り、 日本に棲息している蝶の調査・研究に取り組 んできました。現在日本には 240 種近い蝶が土着してい ることが知られておりますが、そのほぼすべてを集める ことができました。また、自分の手で「いろんな蝶を育 ててみたい」という強い気持ちから、蝶の飼育にも力を 入れ、庭とは別に家の裏に飼育用の食樹・食草園を作り、 日本産の蝶のうち南や北にしかない食草を食べる蝶以外 は、だいたい育てられるだけの植物が揃いました。 昨年の7月 20 日∼8月 31 日までのおよそ 40 日間、 赤 穂市立海洋科学館で「日本の蝶その魅力」というテーマ で特別展を、また、本年5月 12 日∼6月 24 日までの 40 日余り、小野市立好古館で特別展「日本の蝶・播磨の蝶」 を開催しました。いずれの特別展においても、迷蝶を加 えて 240 種、およそ 3,500 頭の蝶を展示いたしました。 また、生きた蝶の姿にも触れてもらいたいとの願いか ら、特別展の会期中に成虫になる種類の蝶の幼虫や蛹の 展示も併せて行いました。幼虫がえさの食草を食べてい る姿や蛹へと変化する様子、蛹が羽化して成虫になる瞬 間などを見て、自然界の不思議さ、素晴らしさを実感し てもらいたいと考えたからです。しかし、幼虫の展示に は食草・食樹の準備やら幼虫の確保等々、 いろいろと事前 の準備が必要となります。 蝶の幼虫は一般に木や草の葉を、時には花や実を食べ て成長しますが、どんな植物でも食べるかというと決し てそうではありません。種によって食べるものがかなり 限定されております。一般に蝶の食べる植物をその蝶の 食草(食樹)と言いますが、日本の国蝶、オオムラサキは エノキやエゾエノキ等のニレ科の植物しか食べませんし、 4月の桜の咲く頃に姿を見せることから、俗に春の女神 とも呼ばれている美しい蝶ギフチョウはヒメカンアオイ、 ランヨウアオイ等のカンアオイ類しか食べません。 赤穂市立海洋科学館での展示(2006 年 7 月 19 日) 従って、蝶の幼虫を展示しようとすれば事前に展示す る蝶の幼虫が食べる食樹の鉢植えを作っておく等の準備 が必要となります。また年間を通して卵、幼虫、蛹、成 虫と変態していく決まった周年経過を持つ蝶のうち、ど の種類が展示期間中にちょうど幼虫の時期を迎えるかを 調べ、どの種類を選んで展示するかにも苦心しました。 幼虫の補充をどうするか等々、いろいろと苦労がありま したが、会場で羽化して飛び回る蝶の姿に歓声をあげて いる子供たちの姿を見るにつけ、良い展示会ができたの ではないかと思っております。 今後も体力の許す限り、蝶を追い続けたいと思ってお ります。日本に棲息しているすべての種類の蝶を自分の 手で採ってみたい、また、すべての日本産の蝶を飼育し (生物 10 期) てみたいとも思っております。 Ⅱ-8 もったいない? かぜおか いわお 風岡 巖 卒業アルバムから (中列右から2人目:筆者) コンピュータ関係の仕事がしたいと、1962(昭和 37)年 10 月から数学科(当時は情報系学科はほとんどなかっ た)へ進み、1965(昭和 40)年3月に卒業したが、当時の 教科書や参考書が今なお本棚に並んでいる。 ゼミでは橋本純次先生のもとでコンピュータと関係深 いブール代数を含んでいる束論(lattice theory)を専 攻した。卒業後、希望どおり大手重工業の情報システム 部門に入社した。 超大型コンピュータを導入した直後で、 設計技術者 2,000 名をプログラム作成できるように養成 する計画があり、入社早々3ケ月の教育を受けるとすぐ に社内教育の講師を3年間務めた。 その後エンジニアリング系業務へのコンピュータの適 応を約 20 年、コンピュータの運用管理を 10 年、コンピ ュータ関連事業開発を 10 年経験した。 コンピュータも大 型から始めミニコン、スーパーミニコン、スパコン、オ フコン、EWS、PCなどコンピュータ技術の発展に追 随しながら、常にチャレンジする大変充実した会社生活 だった。残念ながら、数学科で勉強したことを直接使う 事はなかったが、システム分析や構築に際しては数学的 なアプローチが大変役立った。 在学時代に、 文学部・理学部が共に六甲台へ移転したこ とから、初めて全学部が協力して卒業アルバムを作成し た。そこに浦太郎先生が書かれた「数学は楽し」を思い 出し、時間の余裕ができたら数学を楽しみたいという思 いもあり、専門書は大切に保管しておいた。 2年前に仕事を卒業し、時間たっぷりの生活が始まっ た。まずは高木貞治の解析概論、ジュニア時代に勉強会 でも使ったファン・デル・ヴェルデンの現代代数学、実函 数論、トポロジー…卒業後購入した束論入門、佐藤徳意 先生の数学解析序説など順次開いてパラパラ眺めてみる が、それ以上は深まらない。何とか楽しめる本を見つけ たいとの思いはあるが、学生時代に理解できなかった事 を今更無理なのか。丸善などの数学コーナーには今も並 んでいるこれらの本たちをどうしたものか。もったいな (数学 13 期) い。皆様はどうされたのでしょうか。 Ⅱ-9 定年退職いたしました!! ふなこし しゅんすけ 船越 俊 介 理学部数学科の 修士課程に入学さ せていただいたの が1966(昭和41)年 ですから、以来41 年間お世話になっ た神戸大学を 2007(平成19)年3 月末で定年退職い たしました。 それにつけても、 涙の出る程の懐か しさで40年昔が、 まさに昨日のこと のように思い出されます。 まず、1965(昭和40)年9月の大学院の入学試験の面接 では、第2外国語のフランス語について、浦太郎先生の 「あまりできていませんね」に対して、「あれはブルバ ーキーの『位相空間論』の序文からですね」と応えたと ころ、橋本純次先生が「それだけ知っていればよいでし ょう」と助けていただきました。 入学後の指導教官は井関清志先生で、 中村昌稔さん (神 戸大学退職)と共に、当時A.グロータンディツクによっ て導入された「核型空間(Nuclear Space)」に関するA. ピィーチの『Nuklearelokalkonvexe Raume』を読みまし た。全く初めてのドイツ語で、数学の内容の難しさとと もに苦労いたしました。 なお、同期の井関ゼミには、私たち2人の他に、「積 分論」の村上理一郎さん(島根大学退職)と「ポテンシ ャル論」 の村沢忠司さん(高田短期大学長)がおられま した。修士修了後は、2年半大阪大学理学部の博士課程 で「局所コンパクト群の核型空間への表現」を研究テー マにしました。 そして、1969(昭和44)年10月に、いまだ大学紛争の余 波の残る教養部に赴任させていただきました。その後、 教育学部、発達科学部と神戸大学のみで37年半の教育・ 研究生活を楽しく過ごさせていただきました。 くさの会の皆様との関わりは、教育学部に移ってから の主たる教育・研究対象とした「数学教育」を通しての ことが多くありました。お力添えとご協力に感謝の念で いっぱいです。 4月からは、甲南女子大学で、保育士、幼稚園教員、 小学校教員の育成に関わらせていただいております。 くさの会の皆様のご健康とご発展を祈念いたしており (修数2期) ます。 Ⅱ-10 ヒューストン滞在記 いわきり ひろし 岩切 博 ロデオでの陽気なおばさんたち 2004(平成 16)年から3年間、仕事でヒューストンに滞 在しました。ヒューストンはテキサス州にあります。200 万人程度の人口で全米で4位の都会ですが、人口密度が 低いせいもあって大都会という感じではなく、東京やニ ューヨークのように雑然とした人の流れもなく、州都で ないこともあるのかやはり田舎の雰囲気があります。 人口だけでなく貿易量も2∼3番目であり、IT産業 が盛んでありながら意外に日本人には知られていませ ん。日本の面積の2倍もある土地からメキシコ湾も含め て石油が豊富に採れ非常に裕福な州です。このため連邦 税はあるものの州税はありません。 ヒューストンと言えばNASAです。ここは、スペー スシャトル等の管制センター、宇宙飛行士の訓練センタ ーおよび宇宙ステーションや次世代スペースシャトル等 の研究開発センターであって、一般の人が考えているよ うなロケットの発射基地ではありません。元大統領に因 んでジョンソン宇宙センターと銘打っています。やはり 一番人気のある場所で観光客はひっきりなしに訪れ、広 大な敷地をバスで見学していきます。アポロ宇宙船を打 ち上げたサターンロケットも展示されています。屋外に 展示されていたため傷みが激しく現在は建物で覆われて います。 宇宙ステーションは各国が資金、技術、資材および人 材を出し合って研究開発していて、日本からも提供され ています。これまでは日本からの出資が足りなかったせ いか、ここで働く日本の宇宙飛行士たちは肩身の狭い思 いをしていたそうです。ここに居ますと向井千秋さんの 講演を聞く機会等に恵まれ、 結構優雅な思いをしました。 時々仕事で郊外に行く時があります。フリーウェイを 70 マイル/時程度のスピードで3∼4時間の運転はザラ です。遠くに行きますと西部の町そのものが現れます。 そう、そこはカウボーイの州の都市なのです。昔、ロー ハイドを見て育ったお陰でしょうか、意外に違和感があ りません。 3月にはロデオ大会が開催されます。各地から腕自慢 Ⅱ-11 が幌馬車で何日も掛けてヒューストンにやって来ます。 大らかなもので、道路は牛や馬に占領され馬糞だらけに なっても誰も文句は言いません。これはお祭りなので、 少々の不便は我慢するものなのです。 ロデオの競技は流石に本場で大したものです。 荒れ馬、 荒れ牛に乗り片手で鞍又は手綱を握り数分も頑張ります。 当然身体を立てていては無理、殆ど身体を仰向けに寝か せて振り落とされないようにします。それでも最後には 多くが振り落とされ蹴られて怪我をする場合もあります。 馬がなぜ暴れるかというのは訳がありまして、下腹部を 紐できつく縛るのです。このため馬が痛がって暴れるの です。競技では常に2人の騎手が付いていて勝負がつい たら直ぐに紐を解きます。 これで馬は大人しくなります。 人々は陽気でフレンドリーです。ビールを飲みながら ウエスタンをバックにダンスをします。嫌味の無い洒落 は日本人にないところです。このように遊び呆けている ように見えながら、 特にホワイトカラーは良く働きます。 休日、あるいは夜遅くまで働いています。最近、日本で も話題になったホワイトカラー・エグゼクティブそのも のです。少なくとも現地で見る限りは日本人よりも良く 働いています。休日に事務所に出て行くと駐車場の半分 は埋まっています。日本人は見かけません。少し反省し なければいけないことだと思います。 テキサスではアメリカザリガニをよく食べます。頭が 大きく身は少ないのですがこれが中々美味しいのです。 レストランでは揚げ物にしてしまうので脂っこくてもた れます。家庭ではボイルします。特に人を呼んでザリガ ニパーティをやる時は、生きたザリガニを大量に仕入れ て保管しなければなりません。量によってはバスタブを 使わざるを得ないこともあります。味付けは結構スパイ スを効かせます。 この他、テキサスステーキが有名でここの人たちは馬 鹿でかいステーキをぺろりと平らげます。当然のことな がら肥満という結果になります。これをテキサスサイズ と呼びますが、幸いなことに私はそのように呼ばれる前 (物理 19 期) に帰ることができました。 持続可能性(Sustainability) なかじま まさはる 中島 雅晴 一昨年、ある大学教授にお誘いを受け、一緒にユーテ ィリティ・コンピューティング(UC)戦略に関する書 籍の原稿を書いた。UCとは、電気や水道のようなユー ティリティ(公共施設)と同様に、誰でも、何時でも、 何処からでも、必要とする量を、安心して、利用できる 仕組みを実現するIT基盤であり、その上に成り立つサ ービスモデルとも言える。 人気のある催事や魅力的な商品提供などのイベントが 実施されると、それに対して社会的規模の要求が瞬間的 かつ集中して起こり、その要求を受付けるIT処理の能 モンシロチョウ 力が限界を超えてしまう事態も発生し得る。電話受付サ ービスを利用すると、「混み合っています。しばらくお 待ちください。」と繰り返されうんざりした経験を持つ が、同様にコンピュータの仕組みが瞬間最大風速に耐え 切れずパニックとなり、サービス継続が不可能なことに なる状況である。つまり、公共サービスが回避すべき停 電や断水の状態になる。 UCの仕組みを大雑把に捉えると、世界中に在るコン ピュータシステムを適宜ネットワーク化し、単一コンピ ュータシステムの負荷が高くなり過ぎ単独で対応できな くなった時に、余力ある他のコンピュータシステム能力 を借りられる仕組みである。また、自身がダウンしてし まった時の代行も依頼できる仕組みでもある。 通常は自力で働いているが、多忙な時に、病気になっ た時に、外に応援を頼む様なものである。単一のシステ ムにおいて、かなり先を予測して需要ピークに合わせた 資源(IT能力)を準備したとすれば、通常時に大きな 遊休資源を作ることになる。UCでは、この無駄な資源 の排除によって、料金面での顧客サービス向上も実現で きる。昨今の通信事業者のコンピュータシステムに係る 問題報道は、記憶に新しい所だが、この様な分野でこそ UCを早期実現すべきとの視点も含めて著作に取組んだ。 UCの仕組みは、一部実現化しつつある。しかし、現 在の時点で述べると、色々なサービス利用者のニーズに 応えるために各企業のコンピュータシステムは、そのハ ードウェアもソフトウェアも日々改革を進めているが、 UC化への道程はまだ長い。 持続可能性は、英語のサスティナビリティと言う表現 が定着しているが、その意味する所は、特に環境面を意 識して、将来の在り方を損なうことなく現在の在り方を 満足させることである。 企業各社のサスティナビリティ・ レポートを読むと、よく理解できる。UCは、ITの世 界におけるサスティナビリティではないかと考えている。 目線を変えて、自然界の生き物についての事である。 最近に知り得たことだが、春の比較的早い時期から秋に かけて見かけるモンシロチョウは、その間に6世代ほど の世代交代をしているそうである。早春に現れたモンシ ロチョウは、 やがて次の世代を残して死に、 次の世代は、 卵から孵りアブラナ科植物の葉を食べてサナギに成長し、 4月頃に立派なモンシロチョウになって飛び廻る。この ような連鎖が秋まで続くわけで、1年中見る蝶は、同じ 蝶が長く生きている訳ではない。 Ⅱ-12 蝉の一生は、「地中に7年、地上では7日間の命」と 言うが、蝉の種類によってかなり差異があるようだ。た だ、蝶のように1年の中で世代交代はない。激しく鳴く 蝉の姿と、ひらひらと軽やかに舞う蝶を比べて、このよ うな生態の差に頷けるような気がする。 昆虫の世界では、 この様な世代の維持方法がサスティナビリティと言える。 人間の営みにおいては、先の事を考えず足元の利便性 や利益だけを追求する性向への反省が、サスティナビリ ティの大事な点である。自然界においては、種別に応じ 秩序正しく繰り返して世代を維持することがサスティナ ビリティである。 従って、我々にとって、自然界のサスティナビリティ を保証するサスティナビリティへの取り組みが肝心なこ とであると言えるのではないだろうか。 モンシロチョウが夏の花咲く庭に舞う姿を見て、今年の 何世代目かなと思い馳せるうちに飛び去った。 (数学 20 期) 最近思うこと ふじもり ようこ 藤 森 陽子 大学を卒業して 33 年が経過 し、 教職生活も 34 年目を迎えて います。大学4年生の時、母校 で教育実習を受けましたが、2 週間が非常に長く感じるほど息 苦しい毎日でした。教員採用試 験を受けるのを止めようかとも 考えましたが、 親の願いもあり、 とにかく受けることにしました。 そのような私でしたから試験 に合格して就職しても気持ちの 京都文化博物館にて (2007 年8月) 上ですっきりしないものをいつ も抱えていました。就職1年目の夏休み、毎日悩み辞め ようかといつも考えていました。そのように過ごしたの が3年ほど続き、あとはあきらめの境地でここまで続け てきたように思います。 しかし、仕事の上でやるからには一生懸命やろうとい う気持ちは常にもっていました。ときどきふと迷いがよ ぎることはありました。そのうち、先輩の薦めもあり、 管理職の道へと進みました。 先日、かっての教え子が学校を訪ねてきました。聞く ところによると教員採用試験を受けようと思うというの です。どうして教師の道を選んだのかと聞いたところ、 当時その教え子が私に進路について相談したところ、 「こ れからまだまだいろんな道があるではないですか」とい った趣旨のことを言ったようです。 それを聞いて先生も同じように悩んでいるんだと共感 し、教師は生徒に勇気を与えてくれる存在であることに 思い至り教師の道を選んだということのようです。それ を聞いた私は何と無責任なアドバイスをしたものかと本 当に恥ずかしくなりましたが、このような私でもその当 時勇気を与える生徒の存在があったことが、これまでの 迷いを少なからず払拭したような気持ちになっています。 今は、教えることそのものからは離れましたので、あ る意味以前に抱いていた迷いを感じず、学校運営をやっ ております。しかし、今も教職が本当に自分に適した職 業であるのか、これはいつまでも解答が出ないものでは (数学 22 期) ないかと最近つくづく考えます。 近況について こじま やすお 小島 康男 物理学科を 1975 年に卒業 し、日本アイ・ビー・エム株 式会社に入社しました。会社 では、システムエンジニアと して顧客の情報システムの設 計・開発・運用、新システム の企画立案を担当しました。 2002 年7月に退職し、小島総 合研究所という屋号で自営の コンサルタント業を始めました。現在、 −中小・中堅企業に対してITをいかに経営に活用する かというようなコンサルティング −公的機関の中小企業支援のお手伝い(商工会議所が運 営するインキュベーション施設の入居者に対する経営 相談、など) −IT関連のセミナーの講師 などをしています。2年前に、情報診断士の会という小 島が事務局を務める中小企業診断士の有志でつくる会か ら 「なぜあなたの会社はITで儲からないのか (同友館) 」 という本も出版させていただきました。サラリーマンか ら自営業になって楽しく仕事をさせていただいています。 最近思うのは、いかに自分が物事がわかっていなかっ たかということです。中堅ソフトウェア会社さんの新人 研修講師を担当させていただくことがあります。その講 義では、「お客様の本音を理解しなさい」、「そのため にはお客様のいうことを良く聞くことです」、などと偉 そうにしゃべっています。でも自分自身を振り返ってみ ると、すべて自分に対しても言わないといけないことで す。大学生の時はもちろん就職してからでも、この講義 で自分がしゃべっているような「相手の身になって考え よう」という意識が全然なかったような気がします。 相手の話をよく聞こうという姿勢が少しでもとれるよ うになってきたのは、ごく最近のことです。学生時代か らそういうことに気がついて実践できていれば、と思わ ないではありません。しかし、「まだ遅くない、これか らも勉強して自分は成長できる」と、この歳になって思 (物理 23 期) えるようになってきたこの頃です。 Ⅱ-13 短歌と共に こばやし かずこ 小 林 (坂本) 和子 私は 1980(昭和 55)年に当時生物学科細胞学教室の助 手をされていた松田吉弘先生の研究室に入らせていただ き、同期の松尾正彦君と共に、松田先生から卒業研究お よび修士課程の計3年間ご指導をいただきました。その 間、木内直子さん、山崎淳子さん、斉藤達昭君といった 優秀な後輩たちにも恵まれ楽しく過ごさせて頂きました。 卒業後は大阪の製薬会社の研究所に勤めましたが、そ の後結婚して岡山に移り、現在は岡山大学医学部で非常 勤研究員をしています。約十年前から自己免疫疾患と動 脈硬化に関する研究に携わっており、その研究で論文博 士を神戸大学で取得させて頂きました。その際も松田先 生にご指導をいただき大変お世話になり感謝しておりま す。その頃詠んだ拙歌をご紹介します。 一見偶然に見える必然 えのき かつや 榎 克哉 ・壁に当たり進めぬ時期も長かれど 続け来られしことありがたし ・ようやくに良き指導者とテーマ得て 博士の学位論文成りぬ ・厳しくもあたたかき指導いただきて 学位審査を無事に終えたり 私は、17 年前から短歌を始めました。ちょうど娘が生 まれて数ヶ月の頃で育児日記代わりに子供達の様子を歌 にしていました。毎月の締め切りに追われ、推敲に苦し みましたが、その苦心こそが楽しいのだと続けていく内 にわかりました。 ・遠空の花火見せむと抱き上げれば 幼子暗さに目をつぶりおり(娘2歳の夏) ・滑り台の上にて足を踏み鳴らし 鉄板の響き楽しむ女童 (娘2歳の冬) ・満月がついてくるよと童らは 車の窓よりお月見しており(保育園の帰途) ・道端のすみれたんぽぽ愛でながら (娘5歳) 娘と歩く登園の朝 拙いながらも私の人生の貴重な瞬間を短歌に残す事が できました。気候よく、自然に恵まれた岡山に住むお陰 で、いろいろと題材が授かります。 ・梅雨晴れの花葉(かよう)の池に高く低く 蓮の葉茂る所狭しと (後楽園) ・曲水の流れに緑の藻は揺れて 鯉の大小あまたが泳ぐ これからも人生の潤いとして短歌を続けていこうと思 っています。 (生物 29 期) 自宅前で荻原健司元選手と(左:筆者) この3年間、本当にいろいろなことがありました。 現在 49 歳ですが、生きてきた 46 年分の色々なことが 一気に起きた…そんな感じです。そんな中で気がついた のは人生に起きるすべてのことは「一見偶然に見える必 然」なのではないかということです。 それに気がつくまでは、 自分の運命を悲しみ、 うらみ、 運命を変えようとジタバタと悪あがきして生きてきたよ うに思います。この言葉がストンと心から受け入れられ るようになった時、肩の重荷がなくなり、今起きている ことに逆らわずに、そのことに対して心からわき上がっ てくることに素直に耳を傾け、行動できるようになりま した。つらいこと、苦しいことから逃げなくなり、人間 の世界に起きていることは、人間が解決できるようにな っているのやと思えるようになっていました。また人生 が一回きりだとしたらいろいろなことをやりたいという 気持ちも強くわいてきました。 去年カーレースに出場し、愛車アルファ 156 で鈴鹿を 走り、2分 10 秒台の記録を残すことができました。その 後も鈴鹿、富士でのレースに3ヶ月に一回くらい参加し ています。3年前に京都の寺社巡りを始め、廻った寺社 は 250 を超えました。その時に撮った写真で2年連続三 千院写真展特別賞を頂きました。小堀門主から色紙とト ロフィーを渡され感激しました。「慈光」と書かれた言 葉をかみしめながら1日をスタートさせています。カメ ラもお陰様でニコン D70 からソニーα100 に進化し、年 末には京都検定にもチャレンジします。 Ⅱ-14 去年からフリーマーケットを始め、神戸ポートアイラ ンド、宝塚ガーデンパレス、大阪南港、京セラドーム、 万博公園、滋賀大学、JR膳所、大津中町、長浜黒壁、 浜大津明日都・アーカスなど月に1∼2回協力して下さ る方と出店しています。売上はユニセフ、大津市、京都 新聞社に寄付しています。マンションのローンもなくな った(ほかの借金は退職金を超えます)ので自分のために だけお金を使わず、本当に必要としている方に使ってい ただくこともいいのではないかと、 ふと思い始めました。 3年前から専門を生かした活動もしています。去年琵 琶湖博物館で兵庫教育大学修士論文の中で書いて実践し たことを発表したり、8月3日には大津市の小中学校の 先生 26 名を案内して花折断層、 古琵琶湖層群中に残るゾ ウの足跡を観察してもらったりしています。小中学校で は地学が専門の人がいないので喜んでもらえました。 学部生の時は本当に何も勉強しない学生でした。おお らかに見守って頂き、卒業させていただいたのは安川先 生はじめ当時の先生方のお陰です。同期には猛者がいっ ぱいいます。くさの会会報にも登場していますが、これ からも数多く登場することでしょう。 さて今日は、この原稿を書いた後、京都五条坂の陶器 市へ行き、信楽焼の窯元である上田大さんのお店を訪ね ようと思います。信楽の町をパステルカラーにするとが んばっておられます。夜は琵琶湖大花火大会です。そし て…話が長くなりました。続きは第3回ホームカミング (地惑5期) デイで互いの話を語り合いましょう。 大学入試問題と高校教育について おざき あつお 尾崎 充雄 ついて説明しな さい。」として います。以下、 さらなる難問が 続きますが、問 題と解答例は大 学HPにありま すのでご参照下 さい。この図形は、いわゆる右脳的な見方では同じよう に見えるが、左脳を働かせて分析的に見ることで本質的 違いが見えてくるというもので、パッと見ると小学生向 けの頭の体操のようでもあります。 一方、左脳的には違いがあっても、右脳的に再び同一 視することは左脳的分析と相補的であるという教訓を含 んでおり、非常に深い内容となっています。おそらく多 くの受験生には手も足も出ないような問題でしたが、こ のような含蓄のある問題を大学入試で出題することで、 高校生あるいは高校教員の意識改革にもつながると思わ れます。他の学部・学科でも神戸大学後期は他の大学に 比べて良問ぞろいです。ぜひこのような後期入試を継続 して欲しいと思います。 私が高校で理科を教えていて生徒に最も伝えたいのは 「本質を見抜く目」です。実はこれは、私自身が神戸大 学理学部で学んだ本当に大切な宝物でもあります。私が 大学に在籍した頃は、杉村新先生、宇井忠英先生らがお られ、毎日が目からウロコの連続でした。 高校で表面的にしか学んでいなかった事柄の一つ一つ に、ことごとく本質的な見解を講義していただいた経験 は、今なお新鮮に脳裏に蘇ってきます。そのような大先 生の講義と比べるのはおこがましいですが、微力ながら 高校教育においても、本質を見る目を養う講義へ挑戦し (地惑 10 期・気象予報士) 続けようと思っています。 ハワイ島 パホイホイ溶岩の上にて 高校教育は良くも悪くも大学入試問題の影響をかなり 受けてしまいます。私は仕事柄、毎年膨大な量の大学入 試問題を目にしていますが、高校教育にとって本当にプ ラスになる良問を出題している大学は少ないように思い ます。そのような状況下でも、砂漠の中のオアシス的良 問を神戸大学で頻繁に見ることができます。 右上の図は 2005(平成 17)年度入試の後期、 地球惑星科 学科で出題されたもので 「図形AとBの本質的な違いに Ⅱ-15 45 歳のステップ・アップ休暇 やまぐち てつや 山 口 哲弥 JEEP 島の砂浜にて 生物学科を卒業して 20 年余りが経ちました。 卒業して 製薬企業に就職、経営学修士の取得で米国留学したり、 内閣府で科学技術政策を担当しましたが、振り返れば神 戸で学んだ生命科学が原点にあるように思います。 さて、 勤務する会社が 45 歳の社員に付与する2週間の 休暇を使って、7月初めにマーシャル諸島とトラック諸 島の海を潜ってきましたので、 近況代わりに報告します。 戦前日本の統治領だった太平洋に広がるこれらの島々 は、米国統治を経て今は独立国です。日本からはグアム 経由のコンチネンタル航空を乗り継ぐ必要がありますが、 その不便さも手伝ってか手付かずの元気な珊瑚が残って いました。大空の下に広がる澄みわたった海、真っ白な ビーチと椰子の木を湛える小さな島々、そして種類豊富 なサンゴとそこに住まう色彩鮮やかな魚たちを、まるで 貸し切りのように楽しめました。 特に印象深かったのが、 初体験の沈船ダイビングです。 1944(昭和 19)年の大空襲でトラック諸島に沈んだ多数 の日本艦船のうち、環礁内の3隻の沈船に潜りました。 そのうちの富士川丸は、映画「タイタニック」の冒頭シ ーンにも使われたそうで、船倉などには藻屑が堆積して いて 60 年余の時の経過を感じる一方、酒瓶や生活品が 所々に散在し、かつての生活の名残りが見られました。 何れの船舶も様々な美しいサンゴに飾られ、無数の魚た ちが住み着き、穏やかな海に静かに佇んでいました。戦 争の悲惨な傷跡を大自然が癒しているかのようでした。 擬似無人島体験といった趣向で、直径 30 m しかない JEEP 島にも泊まりました。ダイバーにチョッとした人気 の島の様子は吉田宏司氏の「Southing Jeep Island」と いう写真エッセイ集に詳しいのですが、日中は椰子の木 陰で寝そべり、気が向けば珊瑚礁をシュノーケリング、 夕は雨水のシャワーを浴びて限定数名の宿泊者と語らい、 夜は満天の星空の下に布団を持ち出して眠ることができ ます。45 歳の休暇に相応しく、大自然の中で存分にリフ レッシュするとともに、南の島のゆったりとした時間の (生物 32 期) 中で自分を振り返ることができました。 Ⅱ-16 息子によせて たなか か よ こ 田中 加代子 中央:基成さん、右隣:筆者 息子は昨年10月、 38歳の人生半ばで生涯を閉じました。 この場をお借りして、息子を知る方々へお世話になった お礼を申し上げますと共に、少し息子への思いを綴らせ ていただきます。 24歳で神戸大学へ遅い入学となり、1996(平成8)年理 学部を卒業し、 大学院へ進みました。 分子集合科学修了、 博士(理学)の学位を取れたのは平成14年でした。その 間、研究の場は、神戸、東京、柏、卒業後も愛媛、京都、 神奈川と、一人西へ東への14年間でした。生まれも育ち も大阪ですが、今は実家、奈良の王寺です。静養に帰っ てからの4ヶ月のみが、一緒に暮らせた日々でした。 愛媛大学研究室のホームページに今も自己紹介が残っ ています。 それを見て初めてあの子の思いを知りました。 趣味はモータースポーツをミル貝(生まれ変わるならレ ーサーになりたいと常々考えています)、特技は人間観 察と遺伝子組み換え、好物はエビス麦酒、嫌いな飲物は 発泡酒と……。 それからは、エビス麦酒をお供えするようになりまし た。子供の頃から体が弱く、活発に動けない分、人の動 きに目を向けるようになったのでしょう。 心の奥までも。 また、私の姉が突然難病「間質性肺炎」に犯され、一ヶ 月で亡くなった時も、自分は難病治療研究センター(主 にリュウマチを研究)にいるにもかかわらず何の力にも なれず、迷わず天国へ行けることを願って、スキンヘッ ドにする一途なところもありました。 心身ともに葛藤し続けて生きていたように思える息子 の短い人生、研究一筋よく頑張っていました。心配も人 一倍かけさせられました。今は楽になって眠っているこ とでしょう。 その分、 私は哀しみを背負っておりますが、 あの子が残していったアメショーとスコテッシュの猫2 匹を世話しながら、癒され救われています。 (田中基成[自生3期、生物 44 期]の母) 同窓の方で息子の学生時代の写真をお持ちでしたら、 同窓会事務局まで連絡してください。複製させて頂きた く、よろしくお願いします。 Ⅱ-17 野 外 実 習 いけだ 池田 もも 生物学科には全部で4回実習があります。兵庫県内各 地で野鳥の観察などをする野外実習Ⅰ、淡路島にある内 海域環境教育研究センターで海藻の採集、調査をする臨 海実習Ⅰ・Ⅱ、 そして沖縄の西表島で亜熱帯の自然につい て学ぶ野外実習Ⅱの4つです。 今回はこの野外実習Ⅱについて書きたいと思います。 今年は6月の 28 日∼7月2日の5泊6日で行われまし た。西表島は本州よりもはるか南西に位置する、八重山 諸島を構成する島々のひとつです。東京からは 2100 ㎞、 沖縄本島からも 430 ㎞ ありますが、 それに比べて台湾か らは 200 ㎞ という距離です。今回の実習でも、海岸で中 国語の書かれたペットボトルを発見し、西表島の位置を 実感しました。 さて、西表島といえば西表島ヤマネコが有名ですが、 残念ながら今回は出会うことができませんでした。それ もそのはず、地元の方でも、夜道でライトに照らされる 目を何度かみたことがあるという程度だと聞きました。 その代わり普段見られないような貴重な植物や動物に沢 山出会うことができました。 中でも印象的だったのがウミショウブです。ウミショ ウブはトチカガミ科ウミショウブ属に分類される海草の 一種で、 国内では西表島と石垣島にのみ分布しています。 真夏の大潮の引いたときにだけ咲くので、幻の花と言わ れているそうです。ウミショウブは雄株が3mm ほどの小 さな白い花を咲かせ、その花が水面をすべるように移動 して、雌花に取り込まれるという変わった受粉様式をし ています。 今年は2週間前の新月にかなりの花が咲いてしまい、 見られるかどうかわからないということでしたが、ラッ キーなことに、観察するのに十分な数の花が咲いていま した。雄株から、気泡に包まれて雄花が浮かび上がり、 水面に到達するとともに形を変化させて移動していく様 は、 とても幻想的でいくら見ていても飽きませんでした。 このウミショウブの観察のほかにもサガリバナの観察 や、 西表島が北限となっている貴重なニッパヤシの観察、 日本の滝 100 選にも選ばれているマリユドゥの滝とカン ビレーの滝までのハイキング(?)、 と盛りだくさんの内容 で、他ではできないような体験を沢山させていただきま した。例年は、やはり慣れない暑さのせいか、途中でダ ウンする人もいるそうですが、今年は最後まで全員で実 習に参加する事ができました。私にとって忘れられない 一生の思い出になりました。また機会があれば西表島に (生物学科3年) 行きたいと思います。 アルバイトを通して得たもの とみやま ゆ み 冨 山 祐美 筆者:後列右側 早いもので、神戸大学に入学してもうすぐ4年が経と うとしています。当初はとても長いものになるだろうと 考えていた大学生活も、理学部で出会った気の置けない 仲間たちのおかげで、過ぎてみればあっという間の出来 事のように感じずにはいられません。 それでも私は、この4年間で様々な経験をすることが できました。中でも大学1年生の頃から続けている家庭 教師や個別指導塾の講師のアルバイトを通して経験した ことは、非常に有意義なものとして心に残っています。 まず、塾に通う生徒は年齢も目的も様々であり、彼ら と接することで私は自分の視野を広げることができまし た。 それだけでなく、アルバイトを始めるまでは予想もし なかった経験がもうひとつあったのです。それは、講師 である私の方が生徒からエネルギーを貰えるということ でした。生徒の「わからなかったことが理解できて嬉し い!」と言って喜ぶ笑顔や、「難しそうだけど、この問 題やってみる!」という積極性は、私が大学での高度な 勉強にくじけそうになった時の大きな心の支えとなった ことを忘れはしないでしょう。 私にとって、この仕事はもはや単なるお金を得る手段 ではなく、やりがいを実感しつつ自分も生徒と共に成長 できる経験としてこれまで続けて来られたことを心から 嬉しく思っています。 学部生活も残りわずか。学びたいことを学べる環境に 感謝しつつ、日々専門的な学力においても人間性の面で もまだまだ自分の未熟さを痛感するばかりです。これま での経験を通して学んだことを生かして、少しでも自分 を成長させられるよう、残りの学部生活を精一杯過ごし (数学科4年) ていきたいと考えています。 Ⅱ-19 イタリアでのサンプリング やまぐち あやみ 山 口 礼実 ポンペイ遺跡で同行した先生方と(中央:筆者) 大学生活最後の一年が始まるとともに、楽しみにして いたヴェスビオ火山へのサンプリングに行くことが決ま りました。私の研究テーマは、472 年にヴェスビオ火山 が噴火した際に出た火山堆積物の定置温度の推定です。 宿舎から見たヴェスビオ火山 ヴェスビオ火山とは、約2万年前から活動を開始し、 有史以降も大噴火を繰り返しているイタリアの代表的な 活火山の一つです。この大噴火によって、ヴェスビオ火 山の周辺には、ポンペイやエルコラーノなどの埋没した 町が複数存在します。 私はこの研究で、ヴェスビオ火山の北側に位置する、 ソンマベスビアーナの遺跡を埋没させた要因となってい る 472 年の噴火による火山堆積物について研究し、噴火 堆積機構について考えていきたいと思っています。 サンプリングは5月の24日から31日までの一週間で、 東京大学の地震研究所の先生方が同行してくださること になっていたので、一人で成田まで行き、合流すること になりました。初めて会う人たちと知らない土地で一週 間過ごすのは、不安と楽しみが丁度半々くらいで、とて もどきどきしました。 イタリアには深夜に着き、次の日からサンプリングが 始まりました。私が宿泊していたところの周りは田舎で あったこともありますが、見渡す限り果樹園で緑に覆わ れていたので、日本にいるような錯覚に陥ったりもしま した。 けれども、宿舎から見える美しくてかっこいいヴェス ビオ火山を見上げると、イタリアにいるんだなぁと実感 が湧いてきました。日本では見ることのできない、荒い 運転、うどんのようなパスタ、大きなモッツァレラチー ズ、理解できないイタリア語……毎日が驚きと発見の連 続でした。 中でも日常生活で一番驚いたことは治安の悪さでした。 スーパーでは大きなかばんは万引き防止のために持ち込 み禁止で、入り口には荷物を入れておくためのロッカー が設置されていました。ナポリの駅付近では、気付けば 私のリュックの前ポケットが全開で、中に入っていた時 計が姿を消していました。普段の生活では気付けなかっ た日本の治安の良さを改めて実感させられました。 けれども、 イタリアの人たちはとてもフレンドリーで、 話好きなので、サンプリング中も、通りすがりの地元の 人々によく声をかけられました。一度会話が始まると1 時間ほど作業が中断することもありましたが、お天気に 恵まれ、サンプリングは順調に進んでいきました。サン プリングの露頭は砂山の上にあることが多く、足場が不 安定な為、何度も砂山を転げ落ちたりもしました。砂な ので、落ちても全然痛くないのですが、ポケットの中が 砂だらけになっていることもありました。 植物にとっても良い気候の時期に行ったので、黄色や ピンクの花がたくさん咲いていて、とてもきれいな景色 に囲まれながら作業することができました。作業に慣れ るにつれ、どんどん楽しくなっていき、気付けばあっと いう間に予定していた地点のサンプリングが終わってし まいました。 サンプリングが無事終了したので、残りの時間を使っ てヴェスビオの火口付近を歩いたり、ヴェスビオ火山で 犠牲になったポンペイの遺跡を見に行き、火山の壮大さ を改めて感じました。 今回のサンプリングでは、やりたかったこと全部が叶 い、とても良い経験ができたと思います。実際に自分の 足でサンプリングをすることによって、大学にいるだけ では学べないことをたくさん学べました。イタリアに行 く機会を与えて下さった先生方や、現地でお世話になっ た先生方には心から感謝しています。 日本に帰り、ヴェスビオ火山が恋しくなり、思わず周 りを見て探してしまったりしてしまいますが、イタリア での一週間で学んだことや経験した思い出を大切にして、 残りの1年を有意義に楽しく過ごしたいと思っています。 (地球惑星科学科4年) Ⅱ-20 く さ の 会 の 館 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ くさの会 20 年の歩み·········································· 会 長 松田吉弘 田村道夫さんを偲ぶ······················· 神戸大学名誉教授 磯野克己 ·································································· 目 次 Ⅲ−1 Ⅲ−3 理学研究科准教授 小菅桂子 訃 報 ································································································· 雑賀亜幌先生を偲んで ·················· 神戸大学名誉教授 加藤 肇 くさの会就職支援活動の報告················· 就職委員長 峯本 工 寄 付 者 芳 名 録····································································· 会計報告,監査報告,活動報告 ······················································ くさの会事務局から ············································ 副会長 西元俊男 くさの会役員一覧··················································································· Ⅲ−3 Ⅲ−4 Ⅲ−4 Ⅲ−5 Ⅲ−6 Ⅲ−7 Ⅲ−7 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼ 神戸大学クラブ(KUC)の活動 運営委員 木戸健二 Ⅲ−8 編 集 後 記······························································· 会誌委員 Ⅲ−7・8 2007 年青少年のための科学の祭典ひょうご県内大会 ご報告 ······································································· 大会委員長 原 俊雄 Ⅲ−9 科学の祭典神戸会場に出展して ········ 中西敏昭,西海將雄 Ⅲ-10 理学部OB・OGによる合同会社説明会··························· Ⅲ-11・12 物理学科同窓会総会····················································· 足立 勲 Ⅲ-13 化学科同窓会総会·························································· 笠原俊二 Ⅲ-13 2007 年度 入学者ガイダンス·················································· Ⅲ-14 2006 年度 卒業・修了祝賀会·················································· Ⅲ-15・16 ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲ く さ の 会 2 0 年 の 歩 み 会員の皆様、お元気でお過ごしでしょうか。 くさの会が活動を再開してから 20 年が経過しました。 理学部同窓会再発足(1986 年)後は、「持続ある活動」を 基本方針として、歴代の会長を始め、役員、理事、事務 局員など大勢の方々がボランティアとして同窓会活動を 支えてきました。さらに、学部長をはじめとする理学部 各位の暖かいご支援とご協力によって、今日まで歩み続 けることができました。僭越ではございますが、この場 を借りまして厚くお礼申し上げます。 当初から同窓会活動に関わってきました私にとり、こ の 20 年間は大変長く感じられ、 また思い出深いものがあ ります。 この稿では皆様に、 同窓会活動の現状について、 過去 20 年間の歩みを簡単に振り返りながらお伝えした いと思います。くさの会の沿革については、ホームペー ジ (http://www2.kobe-u.ac.jp/ kusaa/) をご覧下さい。 1.会員 くさの会の会員は、正会員(理学部卒業者、専攻生・ 専攻科修了者、 大学院修士・自然科学研究科前期課程修了 者、医学進学者、任意加入者、および学部・大学院在学者) と特別会員(現・旧教員など)で構成されています。 現在、在学者を除いた正会員数は、6,173 名です。20 年前(2,808 名)の実に2.2倍に達しています。本会は、 永らく卒業・修了者全員が同窓会員であるという方針と、 それに沿った取扱いを行ってきました。しかし、2年前 の個人情報保護法の施行以降は、 新規の卒業・修了者の中 に同窓会への情報非提供者が出てきたため、現在では、 残念ながら卒業・修了者全員がくさの会会員という訳に はいかなくなりました。 一方、 本年4月から理学部は大学院理学研究科となり、 前期課程(修士)と後期課程(博士)を貫く大学院が新設さ れました。このことに関連して、今後は、他大学等から 来られて後期課程を修了された方にも会員となっていた だくとともに、 これまで 20 数年間続いてきた大学院自然 科学研究科後期課程の理学系修了者の方にも任意加入を 勧めていくことにしました。まだ少数ですが、すでに会 まつだ よしひろ くさの会 会長 松田 吉弘 入学手続き会場にて(左から:村上さん、林さん、筆者) 員になられた方もおられます。皆様のまわりに該当者が おられましたら、ぜひお勧めください。 2.名簿 本年 11 月に「同窓会名簿 2007」を発行しました。名 簿を希望されている会員の方には、本号の「くさだより」 と同梱でお手元に届いていることでしょう。20 年の間、 ほぼ4年毎に発行を重ね、今回が5版目となります。 同窓会活動の最も大切な原動力は、同窓会員の動向を 把握することです。くさの会では、3版目(1999 年発行) から、 事務局に独自のデータベースを置き、 会員の異動、 卒業・修了者の追加(毎年)、名簿発行直前の確認調査、さ らに名簿原稿の整理・編集に至るまで、 作業のすべてを事 務局員と役員、理事が行ってきました。また、情報管理 に細心の注意を払うとともに、 情報は決して売買の対 象としない とのポリシーのもとに、厳しい財政状況に もかかわらず、名簿は非売品とし、会員限定(4版目から は名簿希望会員のみ)の無償配布を続けてきました。 今回の確認調査では、正会員と特別会員、計 5,300 名 余に調査票をお送りし、実に約 2,500 名(回答率 47 %)の 方々から回答が寄せられました。くさの会事務局の地道 な情報管理の努力に対する理解と信頼を、会員の皆様が 情報提供に託して下さったものと大変嬉しく思っており ます。今後ともご支援とご協力をお願い致します。 Ⅲ-1 3.会誌 会誌は年1回の発行で、1990(平成2) 年の創刊以来、 今回が第 18 号となります。 第5号からは、名称を「会誌」から「く さだより」に改め、体裁もA5版からA 4版になりました。第 12 号からは、一部 ページのカラー化や増頁がなされ、同窓 生にわかりやすく情報を伝えるために写 真を多用するなど、編集上多くの工夫が 施されました。とくに、総ページ数の半 分近くを占める「理学部の庭」では、大 学法人化(2004 年) や大学院大学化 (2007 年)によって目まぐるしく変貌し つつある大学、とりわけ理学部の様子を できるだけ詳しく会員に伝えています。 一方で、年々の発行部数増加などに伴 うコスト上昇を抑えるために、会誌担当 理事の負担は増えています。現在では、すべての編集・ 校正作業を業者に委託しないで自前で行い、極力、経費 削減に努めています。 4.事務局 長い間、 くさの会は事務局室を持っていませんでした。 2005(平成 17)年、理学部学舎改修の完成にともなって、 学生支援室(B312 号室)の奥に念願の同窓会室が設けら れました。 本年4月からは、 大学と正式に契約を交わし、 事務局室利用料の支払いを開始しました。このことに伴 って、新しい外線電話番号とメールアドレスの取得、会 計処理体制の確立、各種事務機器の設置など、 独り立 ち のために必要な措置をとりました。 現在、事務局は、事務局長、事務局次長(2名)、さら に週3日間(月、水、金曜日の 10 時∼17 時)常在する事 務局員の活動によって支えられています。もう一人の事 務局員は、 ホームページの作成と更新に携わっています。 5.財政 くさの会運営の基幹となる財源は、会費と寄付金であ ります。1988(昭和 63)年度から現在まで、会費は、各年 度の学部および大学院修士課程入学者(進学者は除く)か ら、入学時に 30,000 円(終身会費)を徴収しています。 過去 20 年間の会計報告書を「くさだより」で調べてみ ますと、毎年の収入は、会費納入率(当初ほぼ 100 %、 現在約 70 %)の低下と、景気の低迷などによる寄付金・ 預金利子の低下によって減少しています。 一方、 支出は、 この間の会員数の倍増と理学部支援に関連する支出など によって大幅に増加しています。 右上の図:繰越金の推移をご覧ください。1988 年度か らの当初 10 年間は、黒字決算が続き、繰越金が4千万円 近くに達しました。しかし、1999(平成 11)年度以降は、 理学部創立 50 周年記念事業など、 理学部支援のための特 別支出が続き、経常会計も赤字気味となり、現在では、 繰越金が半分程度にまで減少しました。名簿や会誌発行 費の節約も限度にきており、「持続ある活動」の維持に は、早急に予算組み立ての見直しを迫られています。 6.理学部(大学院理学研究科) 理学部の発展をサポートする同窓会活動は、 2000(平成 12)年頃から次第に活発になっています(上図参照)。 在学 会員に対する働きかけも、毎年の卒業・修了祝賀会(2000 年から)、理学部・大学院入学者ガイダンス(2004 年か ら)、理学部OB・OGによる合同会社説明会(2005 年 から)などを通して行っています。 一方、昨年から、神戸大学と理学部が9月の最終土曜 日に神戸大学ホームカミングデイを催し、多数の教職員 や学生達が、講演会や改装なった理学部のキャンパスツ アー・サイエンスデモなどで、卒業・修了者に対するサ ービスに務められています。 今後、理学部と同窓会の間での もちつもたれつ の 良好な関係が、 ますます緊密になることを願っています。 7.学友会 学友会は、神戸大学の 10 同窓会の連合体であり、大学 と各同窓会との間のパイプ役的な機能を果たしています。 たとえば、個人情報保護法の施行後、2006(平成 18)年に は大学と学友会、それに学友会と各同窓会との間に覚書 が交わされ、新規卒業・修了者の情報が、大学社会連携 課⇒学友会⇒単位同窓会のルートで流れています。 また、 神戸大学が 2004(平成 16)年から年2回発行して いる、受験生や一般社会人向けの広報誌「KOBE university STYLE」に、学友会や各同窓会活動などの記事を掲 載しています。学友会の運営は、幹事会と常任幹事会で 協議されています。現在の懸案は、学友会と(株)神戸学 術事業会との関係をどのように進めるかということであ ります。 来年(2008 年)は、4年毎の「くさの会総会」を、9月 27 日(土)の第3回ホームカミングデイの日に一緒に行 う予定であります。皆様、是非お誘い合わせの上、大学 キャンパスにお出向き下さい。合わせて、現在募集中の 「神戸大学基金」 へのご協力もよろしくお願い致します。 終わりに、今後ともくさの会の活動にご理解とご協力 をいただきますよう、重ねてお願い申し上げます。 Ⅲ-2 田 村 道 夫 さ ん を 偲 ぶ お会いする機会がありませんでしたので、神戸大学での 8年間をどのように振り返っておられたのかということ については、 ついに尋ねることができませんでした。 今 ごろ、あの世とやらから、「そんなこと言うたかてしゃ あないやないか。」と笑い飛ばしておられるかも知れま せん。 (かずさDNA研究所 参与) 自然科学系先端融合研究環 遺伝子実験センター こすげ 田村道夫先生(後列左から4人目) 田村道夫先生が 2007(平成 19)年6月 22 日にご逝去さ れ、 同日付で多年の功労があった方に与えられます勲章、 瑞宝小綬章が叙勲されました。 いその かつみ 神戸大学名誉教授 磯野 克己 私は 1983(昭和 58)年9月に生物学科に赴任してきま したが、田村さんはそれより約半年早く、4月に大阪大 学より赴任され、系統学講座の教授として着任されてい ました。いろいろな事情から、当時は生物学科の5人の 教授のうち在職していたのは金久さんただ一人でしたの で、それ以来、生物学科の教官人事を始めとする学科運 営のための各種の案件、学生ならびに大学院生の教育、 理学部ならびに大学院自然科学研究科の組織改革、等々 山積していた業務をこなす必要がありました。 幸いに私を含む3人の教授の間では、特定の問題に関 する意見の相違はあっても、生物学科をよくしていこう という点では完全に意見が一致していましたので、時に は一緒に食事をしたりお茶を飲んだりしながら、大いに 議論してよりよい方策を探ることに努力しました。 多くの場合、田村さんの論点は比較的明快でしたが、 時にはやや理不尽なことを強引に主張することもありま した。そんな時の田村さんはいい意味でも悪い意味でも 自説を曲げない科学者の面目躍如たるところがあり、場 合によってはなだめすかしたり、言い合いになったりし ながらも、 何とか共同して教室運営に当たってきました。 田村さんが 1991(平成3)年に停年退職されてからは 訃 報 【 特別会員(旧)】 雑賀 亜幌(化学 2002 年) 田村 道夫(生物) 折田 末男(旧事務局長) 【 卒業生・修了生 】 丹治 隆一(物理 3期) 東 松本 重彰(物理 15 期) 山元 哲夫(化学 1期) 浅野 飯阪 捷義(化学 10 期) 上野山登久(生物 27、修生 15 期) 田中 基成(生物 44、自生3期) 小西 覚(化学 2期) けいこ 准教授 小菅 桂子 背広に泥だらけのキャラバンシューズ、朗々と響く声 で「おはよう、講義は何時に始めたらええか?」。田村 先生との出会いは私の大学生活、最初の授業でした。先 生は頑固そうに見えましたが、実際には柔軟かつ現実的 で、研究面でも新しい情報や技術を取り入れて私の研究 を指導して下さいました。あれから 30 年あまり、学問の 師であり父のような存在であった先生の悲報、未だに信 じられません。 先生は永年、原始的被子植物群の分類・系統学的研究 を精力的に進められ、特に神戸大学ではキンポウゲ科の 分類体系の集大成に取り組まれました。その成果は陸上 植物の系統・分類学のバイブルである Die Natulichen Pflanzenfamilien の 17 巻として平成 7 年に出版されま した。日本の植物学者がこの本の執筆を担当したのは初 めてのことで、この功績に対して平成 13 年には、第9回 松下幸之助花の万博記念賞が授与されました。 また、先生の主宰で 1975(昭和 50)年より始まった 被 子植物談話会 は、陸上植物の分類系統学を志す関西地 域の研究者や院生間の研究交流の場として画期的なもの で、現在、日本の植物分類系統学の第一線で活躍してい る多くの研究者を輩出しました。 先生が退官された頃から、分類学は分子系統学として 急激に進展してきました。しかし、先生が集大成された 分類学はこれからも研究の基盤として重要な役割を担っ ていきます。田村先生、永年のご指導ありがとうござい ました。 健策(物理 8期) 高田 昭典(生物 13、修生1期) 進(地惑 2期) 上記の方々につきご逝去の報告を受けました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。 Ⅲ-3 合掌 雑 賀 亜 幌 先 生 を 偲 ん で かとう 雑賀亜幌 先生の追悼文の依頼を受けた。雑賀先生は 2002(平成 14)年3月にお亡くなりになられたとのこと で、いささか遅きに失した感はあるが、雑賀先生が構造 化学の初代の助教授(その頃は助教授だけの研究室)で あり、私は構造化学の助手・助教授・教授を勤めさせてい ただいたので、お引き受けをした。 しかし、私は神戸大学時代の雑賀先生を知りません。 神戸大学百年史を参照すると、1961(昭和 36)年に助教授 として神戸大学に赴任し、1965(昭和 40)年に京都大学教 授として転出されました。その頃私は京都大学の4年生 でしたから、着任早々の雑賀先生を記憶しています。 その頃注目されだした核磁気共鳴(NMR)のケミカ ルシフトの基本理論として、Saika-Slichter の理論が著 名であり、京都大学に引き抜かれたのではないかと推察 しています。 私は 1968(昭和 43)年に神戸大学に着任させて頂いた のですが、雑賀先生の後任に加藤義文先生(当時助教授) はじめ 神戸大学名誉教授 加藤 肇 が着任していらっしゃいました。加藤義文先生は雑賀先 生と大の仲良し(多分、加藤義文先生は雑賀先生の最も 親しい人)であり、この頃雑賀先生は、非常勤講師とし て半年間、毎週講義に神戸大学に来ていらっしゃいまし た。その際、加藤義文先生や私共構造化学研究室の者と 雑賀先生とで研究論文読書会を行っていましたし、会食 もさせて頂きました。 研究論文読書会では加藤義文先生と私が喧々諤々と議 論するのを、雑賀先生は物静かに聞いていて、最後にぼ そぼそとコメントされるという感じが印象として残って います。 学者としては、孤高の人という感じで、加藤義文先生 とは共同研究もしていらっしゃいましたが、殆んど自分 だけで、思うところを探求なさったのではないかと推察 しています。飄々とした風貌で、いつもにこやかに話し ていらっしゃったのが印象的でした。 先生のご冥福をお祈り申し上げます。 くさの会就職支援活動の報告 みねもと くさの会 就職支援委員会 委員長 峯 本 くさの会就職支援委員会では在学生会員の就職活動を 支援すべく、例年のように理学部就職委員会と合同会議 形式によって委員先生方のご指導のもとに活動を続けて います。また、工学部の同窓会である神戸大学工学振興 会(KTC)や神戸大学生協などと共に理工系学生・大学 院学生を対象とする就職セミナー、製造業企業説明会な どを共催するという形でも活動を続けています。 今年も合同会議を1月10日、6月6日、7月27日、9月13 日、10月31日に行ってきました。「神戸大学理学部就職 ガイダンス」(10月3日、10月12日、10月26日の17時∼18 時30分に3回シリーズで開催)には、総数190名を超える 学生が参加し、熱心に取り組んでいました。 2007年度の「OB・OGによる会社合同説明会」は28 社(内公共団体1)が参加して、 11月9日の午後に行われま した。この日は六甲台祭の前夜祭にあたり、113名 (研究 科:65名、学部:26名、その他:22名) の学生・院生が参 加し、OB・OGも22社から31名 が参加して下さいまし た。今回参加の企業には、260名ほどのOB・OGが活躍 されております。懇親会には樋口研究科長、坂本副研究 科長、中川副研究科長、就職委員会の先生方がご出席く ださり、理学部事務の方々のご協力もいただき、学生と OB・OGとの有意義な情報交換の場として成功裏に終 えることができました。 KTCとの共催では、1月30、31日に「きらりと光る優 良企業説明会」、7月7日に「工場見学の進め」、10月5 Ⅲ-4 たくみ 工 あいさつされる峯本委員長 日に製薬関係業界研究の会、10月19日に食品関係業界研 究の会を行いました。今後も年内のほぼ隔週ごとに業界 研究を行う予定にしています。これらの研究会は授業後 の17時∼19時30分に行っていますが、参加学生が多く、 会場の準備に苦労するという嬉しい悲鳴をあげています。 本年も上記の会を実施するにあたり理学研究科の協力 は勿論のこと、理学部就職委員会、理学部教務係、KT C事務局のご協力を得ています。特に理学部就職委員会 委員長齋藤政彦教授、理学部教務学生係長佐藤祥二氏に は多大のご協力を頂きました。 心より感謝申しあげます。 これらの活動をとおして学生から得たアンケートでは、 学生支援室に相談員の配置を要望するものが増えてきて おり、これにどのように応えるかが今後の課題です。 今後も先輩諸氏のご助言・ご協力をお願いいたします。 (物理 10 期) 寄 付 者 芳 名 録 [旧 教 員] 3 (数学:1 名) 10 (物理:5 名) 5 3 10 3 [化学専攻・学科] 1 3 5 1 1 1 3 3 5 50 20 [物理学専攻・学科] 5 5 1 3 3 5 1 1 5 1 3 10 (生物:4 名) 3 3 2 (化学:4 名) 【 2006 年 12 月∼2007 年 11 月 】 (39 名) (50 名) 10 2 2 1 1 20 10 10 3 5 5 10 10 [生物学専攻・学科] 3 5 2 10 5 1 5 5 5 10 5 10 10 10 2 1 10 5 5 10 20 10 1 (48 名) 3 5 5 2 5 [地球惑星科学 20 5 3 2 10 3 1 1 2 20 2 5 30 1 10 10 10 3 (生物:1 名) 10 10 5 2 5 (地惑:1 名) 10 10 20 5 3 5 3 1 3 2 5 5 1 2 5 10 2 2 3 5 10 10 20 2 5 5 5 2 3 10 3 5 1 5 3 5 1 1 3 10 2 1 3 2 10 10 5 3 1 5 30 5 2 2 10 2 5 3 10 5 3 3 5 3 3 1 15 5 3 3 1 3 10 2 5 5 2 3 2 3 5 1 3 1 1 3 2 3 3 5 2 10 1 10 10 1 3 1 2 5 3 1 2 3 2 3 3 2 10 [現 教 (数学:2 名) (化学:2 名) 員] [数学専攻・学科] (24 名) 専攻・学科] (26 名) 10 [敬 称 略 単位:千円、千円以下四捨五入] 総額 1,124,000 円 の寄付を頂戴いたしました。誠にありがとうございました。 Ⅲ-5 会 計 報 告 監 査 報 告 【2006 年度】 [期間:2006 年4月∼2007 年3月] 【 収 入 の 部】 (単位:千円) 科 目 決 算 予 (2006 年度) 算 21,626 21,125 経 常 収 入 (B) 4,421 4,900 (内訳)会費収入 4,410 4,890 10 10 会員等寄付金(C) 1,096 900 収 入 合 計 (B+C) 5,517 5,800 27,142 26,925 総 額 【 支 出 の 部】 科 目 決 算 事務局費 (2007 年度) 2,230 (内訳)人 件 費 982 1,100 用 度 費 554 600 通 信 費 31 30 交 通 費 427 350 150 運 営 費 214 120 79 80 35 40 101 100 通常事業費 3,767 5,620 (内訳)会 誌 発 行 費 1,811 1,800 名簿管理費 0 900 ホームページ管理費 3 0 就職支援活動費 0 150 費 29 100 母校援助費 800 800 卒業式経費 153 900 (内訳)会 議 費 郵便振替料金 雑 費 外 務 学 友 会 分担 金 110 110 学科同窓会活動費 681 700 科学の祭典援助費 150 150 30 10 特別事業費 42 1,500 (内訳)ホームカミングデイ援助費 42 0 雑 費 名簿発行費 予 備 費 1,500 0 100 支出合計 6,017 9,570 次年度繰越金 21,125 17,355 総 27,142 26,925 額 会計監査 寺門 靖高 会計監査 山際 紀一 活 動 報 告 算 1,994 施設利用費 2007 年5月9日 (単位:千円)) 予 (2006 年度) 監査の結果、上記の通り相違ないことを確認しました。 (2007 年度) 前年度繰越金(A) 預金利息(定期) 【2006 年度】 Ⅲ-6 [2006 年 12 月(下線表示)∼2007 年 11 月] ① 理事会 12 月 2日(土)、 5月 12 日(土) ② 正副会長会議 2月 28 日(水) ③ 理学部懇談会 4月 18 日(水) ④ 会誌委員会 6月 2日(土)、 8月 8日(水) [企画会議] 9月 12 日(水)、 9月 29 日(土)、10 月 18 日(木) 11 月 8日(木)、 11 月 22 日(木) [編集会議] ⑤ 総務・会計委員会 3月 23 日(金) [卒業・修了祝賀会] 3月 14 日(水)、 3月 26 日(月) [07 年度会費納入手続] 5月 9日(金) [会計監査] ⑥ 理学部就職委員会 1月 10 日(水)、 6月 6日(水)、7月 27 日(金) 9月 13 日(木)、10 月 31 日(水) [理学部と合同会議] 10 月 3日(水)、10 月 12 日(金)、10 月 26 日(金) [支援ガイダンス] 11 月 9日(金) [OB・OG による会社合同説明会] ⑦ 学友会 12 月 19 日(火)、 4月 23 日(月) [幹事会] 11 月 29 日(水)、 2月 14 日(水)、6月 1日(金) 9月 7日(金)、 10 月 26 日(金)、9月 22 日(金) [常任委員会(小委員会改め)] 5月 11 日(金)、 11 月 16 日(金) [広報委員会] ⑧ ホームカミングデイプロジェクトチーム委員会 4月 4日(水)、 6月 1日(金)、 6月 21 日(木) ⑨ ホームカミングデイ 9月 29 日(土) ⑩ 科学の祭典 8月 25 日(土)∼26 日(日) [神戸会場] ⑪ 神戸大学クラブ(KUC) 1月 11 日(木)、 3月 16 日(木)、 6月 14 日(木) 9月 27 日(木) [運営委員会] 2月 24 日(土) 、5月 24 日(木) 、 7月 26 日(木) 10 月 10 日(木) [講演会、行事] ⑫ 学長を囲む会 5月 28 日(月) く さ の 会 事 務 局 か ら にしもと B棟の再生改修後から学生支援室(B棟3階 312 号室) の奥半分に仮住まいしてきましたが、坂本前理学部長事 務代理および平井前事務長のご尽力により、神戸大学と 契約し、本年4月から本住まいを開始しています。 これに伴い、場所の賃料、光熱費の負担が発生します が、くさの会として定着する環境が整い、312 号室には同 窓会のプレートも設置して頂きました。今後理学研究科 の発足に伴う同窓会名称の確定を待って、事務局入口の 看板を設置することにしています。 さて、事務局はわずか9㎡ですが、狭い中で、本年2 月から小型金庫の設置、上置収納書庫の設置に始まり、 3月には会誌委員会で必要なコピー機を購入設置、7月 には流し台上に収納庫を追加作成し、以前は収納できな かった代々の事務局長研究室を転々としていた同窓会書 類も引き取りました。その際、再建大会からの写真を整 理してアルバムに収め、収納庫にまとめています。 としお 副会長 事務局次長 西 元 俊男 長い間、事務局は代々の事務局長研究室の片隅をお借 りして活動し、5回の引越も経験しましたが、今後はこ こを拠点に活動することになります。皆さまが理学部を 訪問された折は是非お立ち寄りください。月、水、金曜 日は事務局の林さんがお迎えいたします。 くさの会理事の皆さん (2007 年5月 12 日) く さ の 会 役 員 一 覧 会 長 松田 吉弘 (生物 12 期、学友会) 副会長 高木 恕司 (物理 7期、学友会) 副会長・事務局長 兵頭 政幸 (地球 1期、修地1期、学友会) 副会長・事務局次長 西元 俊男 (数学 13 期、KUC) 藤井 寿 (化学 14 期、修化2期) 事務局員 林 恭子 (化学 27 期) 村上公弥子 (地球 25 期) 【 ホームページ委員会 】 藤井 寿 (委員長) 斎藤 恵逸 (修化 13 期) 松崎 光弘 (地球 11 期、修地 11 期) 堀江 修 (生物 46 期) 【 総務・会計委員会 】 中西 康剛 (委員長、修数 14 期) 高橋 美貴 (物理 26 期、修物 14 期) 山本 孝恵 (地球 2期) 【会誌委員会】 西元 俊男 (委員長) 永松 陽子 (副委員長、生物 17 期) 足立 勲 (物理 14 期、修物2期) 加藤 誠夫 (修地 1期) 久保田 浩 (数学 31 期) 笠原 俊二 (化学 36 期、修化 24 期) 【名簿委員会】 兵頭 政幸 (委員長) 原 俊雄 (物理 21 期、修物 11 期) 大野 隆 (修化 11 期) 藤谷 達也 (地球 1期、修地2期) 山口 泰人 (自生8期) 【外務委員会】 木戸 健二 (委員長、化学 21 期、KUC) 西元 俊男 (KUC) 中西 敏昭 (生物 20 期、修生8期) 藤森 陽子 (数学 22 期、KUC) 【 就職支援委員会 】 峯本 工 (委員長、物理 10 期) 南 孝久 (化学 13 期) 永松 陽子 木戸 健二 改発 秀彦 (数学 26 期) 高橋 美貴 会計監査 山際 紀一 寺門 靖高 編 (物理 12 期) (地球 1期) 集 退職後、故郷で農を楽しんできましたが、生活のために 絵画、コーラス、園芸、写真、物作りなど、さすがサイ 「農業」 にせんと忙しくしている中に、今年は秋が深まった エンティスト。器用な先輩たちから生き方を学んで頂ける 感じです。今年も沢山の方に原稿をお願いし、快く引き受 機会にもなると思います。 (生物 17 期 永松 陽子) けて下さって立派な原稿を書いて頂きましたことを深く感 お忙しいにもかかわらず、快く原稿や資料を提供してく 謝し、心より御礼申し上げます。今後とも、ご協力をよろ しくお願い致します。 ださいました理学部教員ならびに事務室の方々、会員の皆 (物理 14 期、修物2期 足立 勲) 様に感謝いたします。おかげさまで、今年も立派な会誌を 今年は団塊の世代が定年を迎えました。すでに現役を卒 お届けすることができたかと思います。 業された先輩の方々とともに、理学部に関わって下さるこ 私事ですが、8 月末に第 2 子が誕生し、9 月は国内外で学 とを期待しています。その第一歩として、青空が拡がる六 会発表に飛び回り、公私共に多忙な状況が極まっておりま 甲ハイツを埋め尽くすように理学部の建物が林立している した。そのため会誌委員の方にはご迷惑をおかけしました 様子を来秋の同窓会大会でご覧頂ければ幸いです。 がご容赦のほどを。 Ⅲ-7 (化学 36 期、修化 24 期 笠原 俊二) 神戸大学クラブ(KUC)の活動 き ど けんじ 神戸大学クラブ 運営委員 木戸 健二 神戸大学クラブ(以下KUCという)は神戸大学全学 部の卒業生と教職員のクラブとして設立され、各学部か らの委員により運営されております。委員の任期は2年 で理学部からは、昨年と同様、西元さん(数学 13 期)、 藤森さん(数学 22 期)と私(化学 21 期)の3名が担当 しております。KUCの主な行事は各学部持ち回りの講 演会ですが、 昨年 11 月の経済経営研究所長後藤教授の講 演をもって一巡したので、 本年からは 「活躍中の OB 依頼」 を平行して行い、各学部への依頼は年2∼3回にすると いう方針でスタートしました。 10 月には医学部の岡田安弘名誉教授による講演「もの 忘れの科学―記憶とは何だろう」が話され、脳の記憶メ カニズムについての説明やいつまでも若々しい頭を保つ にはどうしたらよいかが語られました。 なお、 KUCに は、ゴル フ同好会、 英雄を語 る会、旅 行会や囲 碁クラブ などがあ KUC囲碁クラブの例会の一コマ り、それ ぞれ活動をしております。私の所属している囲碁クラブ は毎月1回海事科学部関係の会館「海洋会」へ集まって 囲碁の研鑽をしております。この夏には関西棋院の山田 規善九段を迎えて指導碁をしてもらいました。 このような学部を越え、職域を越えた交流は刺激が多 くおもしろいものです。残念ながら、KUCに占める「く さの会」の会員はたいへん少なく全会員約 500 名のうち 20 名ほどです。皆様もぜひKUCに入会して下さい。 (化学 21 期) 今年は「笑う門には福来る」ではないが、大学サーク ル落研の協力による「新春落語会」から始まった。5月 には神戸大学東京オフィス・コーディネータの植村建男 氏による「文学作品、歌謡曲、映画に描かれた神戸大学 と卒業生たち」の講演会が開催された。植村氏は経済学 部を卒業後、住友海上火災に入社し、定年後エッセイス トとしてご活躍されております。神戸大学は、城山三郎 氏の小説「鼠」や宝塚映画「若い瞳」や歌謡曲の「港が みえる丘」などに登場し、それらのエピソードの紹介が あった。 また、7月には加西にある神戸大学農学部の農場見学 会があった。ここでは、神戸大学ブランドの純米大吟醸 酒「神戸の香」の酒蔵レストランで昼食を食べたり、フ ラワーセンターの見学をしたりしました。 後 記 会誌委員2年目を迎えましたが、仕事が多忙で編集委員会 にほとんど出席できず、皆様にご迷惑をおかけしています。 キャンパスの息吹きが感じられる学生・院生の方の原稿が 年々増えて喜ばしいことです。また、先生方のご活躍や海外 の話題、珍しい話題に触れると、知らない内容が多いことに 驚き、広く一般に知って頂きたい、私たちは内向きになって いる、などと反省させられます。 (修地1期 加藤 誠夫) ご執筆の原稿は大学組織や卒業年次、学科を考慮して掲載し ていますが、紙面の構成から一部で順番が逆になっている場合 がありますのでご了承ください。 (数学 13 期 西元 俊男) 会誌も 18 回目の発行となりました。会誌にはその時々の理 学部、会員の姿が残っています。今日まで先生方を始め、ご 執筆頂いた方、ご寄付をお寄せ頂いた方、編集に携わった方 など、多くの方のご支援により頓挫することなく継続発行す ることができました。ここに厚くお礼申し上げます。 Ⅲ-8 第 17 号に誤りがありました。ここに、お詫びいたします。 (誤) くさ会代表として、科学科同窓会総会 発 行 神戸大学理学部同窓会くさの会 発行日 2007 年 12 月 1 日 責任者 会長 松田 吉弘 事務局 〒657-8501 神戸市灘区六甲台町 1-1 Tel/Fax (078)806-3055 Eメール kusaa@people.kobe-u.ac.jp ホームページ http://www2.kobe-u.ac.jp/ kusaa/ 「2007 年 青少年のための科学の祭典ひょうご県内大会」のご報告 はら 子どもたちに科学の楽しさ を伝えるための実体験型科学 丹波会場 南但馬会場 実験「青少年のための科学の 豊岡会場 祭典 2007」は兵庫県下の8会 北はりま会場 場で開催し、 延べ 12,068 名が 西はりま会場 訪れ、神戸会場でも多くの子 淡路会場 供たちでにぎわいました。 姫路会場 青少年のための科学の祭典 神戸会場 も 16 年目 (神戸会場では 13 年目) を迎え、昨年度実績では全国で 約 98 ヶ所で開催され、延べ 47 万人近 い方が参加されました。 くさの会では、生物学科の先輩たち が神戸大学理学部同窓会として医学部 保健学科と神戸会場でブースを設けて 活動されていました。 (物理 21 期、修物 11 期) 大会スタッフ (後列左2人目:筆者) 大 神 戸 会 場 の 出 展 内 容 ◎ 1 2 3 4 5 ◎ 6 7 ◎ 8 9 10 11 12 ◎ 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 としお 俊雄 ひょうご県内大会連絡協議会 大会委員長 原 ひ ょ う ご 県 内 大 会 会 場 7月 29 日(日) 丹波市立崇広小学校 459 名 7月 29 日(日) 和田山駅前アートほほえみ 200 名 8月4・5日(土・日) 兵庫県但馬県民局但馬文教府 994 名 8月5日(日) 多可町立那珂ふれあい館 1,234 名 8月4日(土) 県立先端科学技術支援センター 1,161 名 8月 18・19 日(土・日) 淡路サティ 2,055 名 8月 11・12 日(土・日) 県立大学書写キャンパス 1,197 名 8月 25・26 日(土・日) 神戸市立青少年科学館 4,768 名 ◎ 24 25 26 27 28 29 ◎ 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 ◎ 41 42 43 44 45 46 47 48 49 特別企画「丹波の恐竜」 [講演] 大型草食恐竜の発見・発掘の話 [ワークショップ] 恐竜化石などが入った石を割ってみよう!! 丹波の恐竜化石発掘パネル展示 デジタル紙芝居「恐竜のなぞ」 恐竜模型ペパザウルスを作ろう ステージ -196℃の世界を体験しよう ファミリー電波教室 ワークショップ ラジオを作ろう 万華鏡を作ろう ピンホールカメラを作ろう いろながし・マープリング 作ってみよう聴診器 力・運動・光・電気の科学 自然の素材でいろいろな笛を作ろう 遊ぶ電気は自分で起こそう 接着剤で動く船を作って競争しよう! ストロー笛を作ろう 鏡を使わずに透明万華鏡を作ってみよう! コマの首振りと自転車のまがり方 リニアモーターカーを走らせよう コマ!・こま!・コマ! ゴムの力でにょろにょろぴょん♪ 超簡単リニアモーターを作ろう 水中お団子移しかえゲームを作って遊ぼう Ⅲ-9 会 受 付 物質の性質と変化の科学 見てみよう!ケミカルガーデン 水が氷になっていく様子を見よう (くさの会) 電気ペンで文字を書こう! 植物色素の不思議 プラスチックの中にある塩素を調べてみよう スーパーボールを作ろう 生き物の科学 海藻ゴリゴリ 台所で遺伝子を取り出してみよう (くさの会) ヤマイモをさわるとかゆくなるのは? 水生生物ワールドへようこそ!! 日淡でアイスクリーム!日本産淡水魚を飼おうⅣ クマムシに会おう 変化アサガオのふしぎ 不思議な植物オジギソウ 花粉がのびるのびる Let s Try 葉脈標本 海藻押し葉を作ろう 生活・地球の科学と数学の世界 和ろうそく 指紋採取に挑戦! 立体視の不思議 できるかな?この立体!PART7 星を見る人 地球の自転で起きることを見よう アクセサリー作りで石の不思議! サイエンスツアーへのおさそい 科学の祭典ライブ配信 「 科 学 の 祭 典 」 ∼ 神 戸 会 場 に 出 展 し て ∼ 子どもたちに科学のおもしろさを伝えるためのイベントである「青少年のための科学の祭典」は東京での全国大会 を中心に全国各地で開催されています。ひょうご大会は兵庫県下の神戸、姫路、豊岡、南但馬、淡路、丹波、西はり ま、北はりまの 8 つの会場で行われました。理科離れが叫ばれている今日ですが、親子で熱心に実験や説明を受けて おられる様子をみると、この子どもたちの中から未来のノーベル賞受賞者が出るかもしれないと期待します。理学部 同窓会では神戸大会に以下の 2 つのブースを出展しました。 台所から遺伝子を取り出してみよう なかにし としあき 中西 敏昭 台所用品のすり鉢やお茶パック、洗剤や食塩、消毒用 アルコールを使ってブロッコリーからDNAを取り出し ました。 水が氷になっていく様子を見よう にしうみ まさ お 西 海 將雄 精製水を過冷却状態にして、そこに氷を入れて過冷却 水を凍らせ、その様子を見るという内容です。 精製水に不純物が混ざると、冷却していく途中で凍っ てしまい失敗します。また、過冷却水ができてもその扱 家に帰ってからでも材料を代えたり、実験方法の様々 いも難しく、振動を与えるとすぐに凍ってしまいます。 な工夫ができるように身近な器具を使うことを心がけま 今回は「凍っていく様子を見る」ということを重視し した。 ましたので、過冷却水をつくる作業はほぼこちらでやり このブース担当は 6 名で、現役の神戸大学の学生さん ました。そして、子どもたちには過冷却水のビンを取り や院生にも応援していただいています。子どもたちには 出し、温度計を抜き、氷を入れるという最後のところだ 遺伝子について説明しながら実験をさせ、今日のことが けをやってもらい、できる限り「凍っていく様子を見ら 印象に残るようにDNA模型も組み立ててもらいました。 れる」 ようにしました。 それでもビンを取り出すときや、 なかなか好評でした。いつもそうですが、親の方が熱心 温度計を抜くときに振動を与えてしまって凍ってしまう でたいへん興味を持たれます。 こともありました。しかし、それはそれで、凍る前は− この「科学の祭典」ひょうご大会は理学部の原 俊雄 4℃だった過冷却水が、凍るときに一気に0℃まで上昇 氏を大会委員長として毎年実施されています。 すると、特に親のほうが興味深い様子でした。このブー 理学部同窓会の支援が、今日の理科教育に貢献できる スは理学部同窓会員 4 名で担当しました。 ものと思います。来年は同窓会として別のテーマのブー 来年度も出展するつもりですので、新メンバーの参加 スの参加を期待しています。 を期待しています。ぜひ、声をかけてください。 (生物 20 期、修生 8 期) (生物 39 期) Ⅲ-10 自 然 科 学 研 究 科 ・ 理 学 部 O B ・ O G に よ る 参 加 さ れ た 企 業 の 方 々 (株) N T T デ ー タ 富 士 通 (株) 日立公共システムエンジニアリング(株) N E C ソ フ ト (株) 日立ソフトウェアエンジニアリング(株) 明治安田生命保険(相) 大 同 生 命 保 険 (株) T I S (株) (株) 東 芝 住 友 電 気 工 業 (株) (株)ルネサステクノロジ (株) 東 陽 テ ク ニ カ 大 日 本 印 刷 (株) 大日本スクリーン製造(株) (株) 日 本 触 媒 Ⅲ-11 合 同 会 社 説 明 会 【 2007(平成 19)年 11 月 9 日(金)、申し込み順 】 理学研究科・くさの会 就職委員の方々 お世話頂いた事務の方と峯本さん、永松さん、林さん (株) I N A X (株) カ ネ カ (株) 村 田 製 作 所 シスメックス(株) 中 外 製 薬 (株) (株)ベネッセコーポレーション NECエレクトロニクス(株) (株) 日 立 製 作 所 新日鉄ソリューションズ(株) 岩 谷 産 業 (株) (株) 神 戸 製 鋼 所 小野薬品工業(株) 明 石 市 懇 親 会 に て Ⅲ-12 物 理 学 科 同 窓 会 総 会 あだち 物理学科同窓会 会長 足立 いさお 勲 本年 3 月 3 日(土)、神戸大学内の 瀧川記念学術交流会館において、総会 が開催されました。福田研究室の学生 さんを含む 20 数名の参加者があり、 会 長挨拶に引き続き、活動報告・会計報 告、 青少年のための科学の祭典の報告、 および今後の活動について話し合いま した。 その後、物理学科物性部門の福田行 雄教授 (本年 3 月末をもって定年退職) による退職記念講演「レーザー分光、 量子分光学と歩んだ 40 年:光ポンピン グ分光からアクシオン探索まで」が同 会場にて物理学科主催で行われました ので同窓生も全員記念講演に参加しま した。続いて、物理学科と共催で福田 先生に感謝の意を表して歓送会を行い ましたが、物理学科の先生および卒業 生が多数ご参加くださいました。 (物理 14 期、修物 2 期) 化 学 科 同 窓 会 「神戸大学理化セミナー2007」 2007(平成 19)年 10 月 14 日(日)、本 学内の瀧川記念学術交流会館に於いて化学 科同窓会恒例の「理化セミナー」が開催さ れ、理学部化学科旧・現教員をはじめ約 30 名の同窓生が参加されました。 今回は、私たちの生活に密着したテーマ として、神戸大学農学部ご出身の新家龍先 生(神戸大学名誉教授)と化学科 17 期生で 神戸市環境保健研究所にて長年環境問題に 取り組まれていた伊藤義明先生に講演をお 願いしました。 新家先生には、「人と自然の共存をめざ して」というタイトルで、生命科学・宗教 的立場から「いのち」について講演してい ただきました。 内容は幅広い分野にわたり、 連続的世界観(日本人)と非連続的世界観 (西洋人)、健康と医療、食育の大切さと食の環境の 変化について、 右脳教育について、 生命科学の問題点、 精神活動など、様々なトピックスを絡めて、人のいの ち、精神について、興味深いお話を聞かせていただき ました。 次に伊藤先生には、「発癌と環境」というタイトル で、人のがんの主要な要因・発生のメカニズム・発が かさはら しゅんじ 化学科同窓会 庶務幹事 笠 原 俊二 ん性と突然変異原性の関係・環境(食品・大気・水) 中に存在する主な発がん性物質などについて説明して いただき、生活環境中の発癌性物質および発癌抑制物 質についてのお話を聞かせていただきました。 セミナーの後は、理化 2 期卒業の古川 薫さんの乾 杯で懇親会が始まり、懐かしく楽しいひと時を過ごす (化学 36 期、修化 24 期) ことができました。 Ⅲ-13 2 0 0 7 年 度 入 学 者 ガ イ ダ ン ス 理学研究科 博士課程後期課程 数 学 科 物 理 学 科 化 学 科 生 物 学 科 地球惑星科学科 三年次編入者 Ⅲ-14 2 0 0 6 年 度 2007(平成 19)年 3 月 23 日(金)、恒 例の理学部と共催の「2006(平成 18)年度 卒業・修了祝賀会」をZ講義棟 2 階の多目 的室で開催いたしました。 数 学 科 物 理 学 科 化 学 科 生 物 学 科 地球惑星科学科 Ⅲ-15 卒 業 ・ 修 了 祝 賀 会 当日は卒業・修了者を祝福して、教員、 同窓会員、在学生が集い、満室、盛況な祝 賀会になりました。 2007 年度は 2008 年 3 月 25 日(火)の予定です。 数 学 専 攻 物 理 学 専 攻 化 学 専 攻 生 物 学 専 攻 地球惑星科学専攻 Ⅲ-16 くさの会からのお知らせ 来年 9 月 27 日(土)の「ホームカミングデイ」に集まろう。 第 2 回 ホームカミングデイ 理学部懇親会にて(Ⅰ-6P) 理学研究科看板設置式(Ⅰ-7・8P) ぜひ、この日を今から予定して空けておいて ください。理学部では卒業年度に関係なく、皆 様多数の参加をお待ちしています。ご卒業の 期、あるいは卒業後○○年目の同窓会の集いを 兼ねて、ホームカミングデイに参加されるのも 良いと思います。なお、当日、「くさの会総会」 を開催いたしますので、併せてご参加をお願い 申し上げます。 決まりましたらホームページ http://www2.kobe-u.ac.jp/ kusaa/ でお知らせします。 卒業・修了祝賀会(Ⅲ-15・16P) 科学の祭典(Ⅲ-9・10P) サイエンスセミナー(Ⅰ-22・23P) アポロ宇宙船打ち上げのロケット(ヒューストン、Ⅱ-11P) ワシントン大学図書館(Ⅰ-11P) 地球惑星科学科同窓会のお知らせ 開催日 2008(平成 20)年 4 月 26 日(土) 来春定年退職される 石橋克彦 理学研究科教授も ご出席くださる予定です。 詳しくは来春 2 月頃にご案内をお届けします。 タンザニア国立公園のシマウマ(Ⅱ-15・16P)
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