メディア産業論 第7回:放送(4)、携帯(1) 中間レポートについて

2012/11/12
メディア産業論
第7回:放送(4)、携帯(1)
2012.11.12
宿南 達志郎
中間レポートについて
• テーマ:メディアの歴史と現状
– 授業で扱った(扱う予定の)メディアについて論じるこ
と。
• 新聞、出版、放送、携帯、ブロードバンド、広告のいずれか。
– A4で1ページ程度。参考文献等を明記のこと。
• 提出期限:
– 8回目の授業時(11/19 月)
– または、事務室のReport Box(11/21 水 17:00pm)
• 評価の比率=30%
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Part1:放送(4)
CATV
CATVの歴史‐1
• ●辺地・都市の難視聴解消共聴施設の誕生
– ケーブルテレビの第1号である伊香保
• ●自主放送の誕生
– 1963年9月に、岐阜県の郡上八幡テレビ共同聴視施
設組合は初の自主放送(地域情報を自主的に取材・
撮影・制作し放送)
• ●「区域外再送信」と「自主放送の充実」でケー
ブルビジネスを展開
– 1970年10月、甲府市の日本ネットワークサービス
(NNS)が、東京波を受信して区域外再送信サービス
を開始した。
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CATVの歴史‐2
– 1984年1月、「ジャパン・ケーブル・ネットワーク
(JCN)」(幹事社:㈱電通)を旗あげした。
• JCN加盟局は、1990年には45局体制に拡大
• ●都市型ケーブルテレビ時代の幕開け
– 1980年代半ば頃になると、「都市型」と呼ばれる
大規模ケーブルテレビ事業者が誕生
– 都市型ケーブルテレビとは、
• ①中継増幅器が双方向機能を持つ
• ②引き込み端子数1万以上
• ③自主放送が5チャンネル以上
CATVの歴史‐3
• ●衛星多チャンネル時代の到来
– ケーブルテレビでは衛星放送を新しい「付加価
値」として認識し、「衛星放送はケーブルテレビ
で」というキャンペーンを行った。
• ●郵政省「CATV発展に向けての施策」(1993)
① 事業展開の広域化
② CATV事業者の電気通信事業への展開
③ 外資規制の緩和
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CATVの歴史‐4
• ●家庭へのインターネットサービス普及の推
進役
– 1996年10月1日、武蔵野三鷹ケーブルテレビ㈱
が日本で初のケーブルインターネット接続サービ
スを開始した。
• 2004年12月末には352事業者に
• ●ケーブルテレビのVODサービス
– 2004年12月、トーカイコムがVODサービスを開始
した。
CATVの歴史‐5
• ●CATV電話開始
– 1997年、タイタス・コミュニケーションズ(柏市)、
杉並ケーブルテレビ)
• ●モバイルサービス開始
– 2006年、J:COMグループ
• ●大手2社の経営統合で寡占化
– 2012年10月:1位のJCOMと、2位のJCNが20
13年秋に経営統合と発表される。
– 新会社の市場占有率(シェア)は約5割となる。
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地デジへの対応(2011‐2015)
CATV(大手297社)の経営状況
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CATVの契約数
10年で倍増:1300万(H13)→2600万(H23)
県別の普及率Best/Worst
普及率ベスト10
徳島
大阪
山梨
東京
三重
福井
兵庫
神奈川
富山
大分
普及率ワースト10
88.5%
87.8%
83.8%
81.0%
77.1%
73.8%
70.0%
65.3%
64.8%
64.6%
0.0%
50.0%
100.0%
福島
鹿児島
群馬
秋田
青森
山形
新潟
北海道
茨城
栃木
4.0%
7.6%
13.6%
15.7%
16.9%
17.5%
20.8%
21.1%
21.3%
23.4%
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
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CATV普及率とその要因
• 普及率が高い要因(過去)・・ Community Antenna TV
– かなりの田舎。難視聴地域。
• 普及率が高い要因(現在)・・Cable TV
– 大都市・・・マンションが多い。高所得者が多い。
• 東京、大阪など
– 大都市圏近郊・・・大都市への通勤・通学者が多く、
地元の情報よりも首都圏の情報を重視する
• 山梨、三重など
– 地上波のTV局数が少ない・・・県外の放送もCATVに
加入すると視聴できる
• 徳島(1局)、福井(2局)、山梨(2局)、富山(3局)など
CATVの事業収支
全体は420億円の黒字、48社が赤字
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企業研究:J‐COM
J‐COMの歴史‐1
• 1995年:住友商事と米国TCI(当時は米国最大の
CATV)の合弁会社として設立。
• 2000年:タイタス・コミュニケーションズ(マイクロ
ソフト、伊藤忠商事、東芝等が出資)を子会社化
• 2005年:小田急情報サービス、ケーブルテレビ
神戸を子会社化
• 2006年:関西マルチメディアサービス、六甲アイ
ランドケーブルビジョン、さくらケーブルテレビ、
ケーブルウエスト(松下系)などを子会社化
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J‐COMの歴史‐2
• 2007年:ジュピターTV(番組供給)と合併
• 2008年:京都ケーブルコミュニケーションズを子
会社化城北ニューメディア
• 2009年:メディアッティ・コミュニケーションズ(業
界3位、トーメン出資)を子会社化
• 2012年:業界2位のJCNとの経営統合を発表
• ⇒統合後は、市場シェア50%、売上5000億円、
加入数400万世帯の企業となる
J:COMのサービス契約数
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J:COMのサービス別収入
CSの人気コンテンツ
J:COMが出資・運営する専門チャンネル
CSチャンネルランキング(順位 チャンネル名 総加入世帯数)
• 2. キッズステーション 869
万
• 6. 時代劇専門チャンネル
822万
• 11. 日本映画専門チャンネ
ル763万
• 12. 日経CNBC 757万
• 14. AXN 752万
• 15. ムービープラス 750万
• 17. J SPORTS 745万
• 20. ゴルフネットワーク
726万
• 21. ディスカバリーチャンネ
ル 703万
• 23. ♪LaLa TV 681万
• 29. アニマルプラネット
614万
• 33. アクトオンTV 480万
• 40. チャンネル銀河 410万
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Asmik Aceを子会社化
• 2012.3.30連結子会社に
(100%出資)
• 売上:97億円
• 企画・製作・配給
– 『大奥』、『武士の家計簿』、『ト
ランスポーター』、『サヨナライ
ツカ』、『天国からのエール』な
ど
• 販売
– DVDなど映像パッケージの販
売、
– テレビ局や配信事業者、海外
への番組販売
• 最近・今後の新作
– 『ヘルター・スケル
ター』
– 『僕等がいた 前篇・
後篇』
– 『ワン・デイ 23年のラ
ブストーリー』
– 『夢売るふたり』
– 『しあわせのパン』
– 『のぼうの城』
– 『伏 鉄砲娘の捕物帳』
KDDIとの共同制作も
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まとめ(多チャンネル映像市場)
• 多チャンネル化は、この10年で一気に進んだ。
– 配信方法の選択肢も、CATV、衛星アンテナ、光ネット
へと広がった。
• 視聴方法も、以下の次元で多様化した。
– 時間軸(リアルタイム、録画、VOD)
– ロケーション(自宅、職場、移動中)
– 視聴デバイス(テレビ、PC、タブレット、スマホ)
• しかし、芸術的、記録的価値のある映像が潤沢
に制作され、流通しているわけではない。
– JCOMのAsmik Ace子会社化がプラスに働いて欲しい。
Part2:携帯
• 日本の携帯市場の歴史
– Video版 カノッサの屈辱 “携帯Special”
• ©フジテレビ 2007
• 1。ポケベルの歴史
• 2。携帯電話市場の歴史(補足)
• 3。メディアとしてのケータイ(⇒来週)
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1。無線呼出(ポケットベル)の歴史
• 1968年サービス開始
• 呼び出し音のみ
– 用件は公衆電話で確認
• 1行の固定メッセージ
–
–
–
–
「14106」=「アイシテル(愛してる)」
「0840(おはよう)」
「724106(何してる?)」
入力は公衆電話などから
「ポケベルが鳴らなくて」主題歌 OP「この空が味方なら」ED
1993年NTVドラマ。主演:緒形拳、裕木奈江
ポケベルの契約数(携帯との比較)
ピークは1995年:1061万
翌年(1996)には携帯に抜かれた
携帯
ポケベル
14000
12000
10000
8000
6000
4000
2000
0
1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010
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• 1996年がピーク(1078
万、うちドコモは649万)
– カナや漢字の表示
– 小型・軽量化
• など生き延びる努力を
し続けた。
• しかし、2007年3月31日
にドコモはポケベル
サービス廃止
2。携帯電話の歴史(補足)
• 自動車電話:1979年
– ステータス・シンボル・・・発信4:着信1
• ショルダーホン:1985年
– 3Kg、2300cc、通話時間40分。・・・「ビジネスバッ
グ」
• (一応)携帯電話:1987年
– 900g、900cc、通話時間60分・・・「レンガ」
• (ホントの)携帯電話(mova):1991年
– 230g、165cc
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携帯電話の契約数(固定との比較)
1000万超:1995、1億超:2007
固定超:2000
携帯
固定
14000
12000
10000
8000
6000
4000
2000
0
1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010
携帯電話の契約数(対数目盛)
10万超:’87、100万超:’91
100000
10000
1000
100
10
1
1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010
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小型化・軽量化の歴史
• 音声通話用の
時代
– 小型、軽量、薄
型を追及
– 1998年に最小
化
• メール、ネット
接続の時代
– 小型化よりも高
機能化
– (premini除く)
時期
機種名
重量
大きさ
1985
ショルダー 3kg
ホン
2300cc
1987
900g
900cc
1991
携帯電
話
ムーバ
230g
165cc
1996
P201
97g
123cc
1998
1999
P207
D501i
68g
92g
81cc
114cc
2004
Premini
69g
71cc
第3世代携帯の契約数(万)
auが先行→ドコモ追越→SBが追撃
au
DoCoMo
Softbank
70000
60000
50000
40000
30000
20000
10000
0
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
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日本の携帯電話市場‐2
• 「話す」から「打つ」へ
– スカイメール(デジタルホン):1997年11月
– i‐mode(ドコモ):1999年2月
• 「文字」から「画像」へ
– 写メール(J‐Phone):2000年11月
• 「画像」から「映像」へ
– ムービーメール(au):2002年9月
• 「コミュニケーション」から「生活機能」へ
– おサイフケータイ、万歩計、人ナビ
日本の携帯電話市場‐3
• 「第二世代」から「第三世代」へ
– FOMA(ドコモ):2001年10月
– CDMA 1X(au):2002年4月
– VGS:本格展開は2003年12月
– CDMA 1X WIN:2003年10月
– ⇒第三世代への移行(初期)はauが先行。
• 技術の互換性で優位に
– 他社は完全置き換えだが、auは一部置き換えで可能だった。
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日本の携帯電話市場‐4
• 「Jフォン」から「Vodafone」から「Softbank」へ
– 世界最大の携帯電話会社の参入:2001年10月
– 同社の撤退:2006年4月
– 社名も変更(ソフトバンク・モバイルへ):2006年
10月
• 「番号ポータビリティ(MNP)」と「本格競争」へ
– MNP導入:2006年10月
– ソフトバンクの「¥0」戦略:2006年10月
• 「ホワイトプラン」:2007年1月、「Wホワイト」:3月、「ホ
ワイト家族24」:6月
日本の携帯電話市場‐5
• 販売奨励金の制限
– 電話機取替時の価格上昇。新規は引き続き
格安。
• ネットブックの接続用
– ネットブックのゼロ円販売
• スマートフォンの急増
– iPhone, Xperia,(iPad)
• 高速化、SIMロック解除、WiMaxとの競争
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純増数とシェア推移
スマホで再活性化、SBのシェア高い(41%)
docomo
au
sb
em
1000
800
600
400
200
0
2007
2008
2009
2010
2011
(参考)純増数の過去最高は、1067万(1996年度)
契約数の推移
SBはauの56%(‘07)→85%(‘12)に
docomo
au
softbank
emobile
7000
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0
2007.3
2008.3
2009.3
2010.3
2011.3
2012.3 2012_10
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