病態生理学 4.循環器 Cクラス 2011 年後期 真剣に見てください。基本的

病態生理学 4.循環器 C クラス 2011 年後期
真剣に見てください。基本的には皆さんの場合は3A って知っていますか?
ひとつは、attention、注意をそちらに向けるということですね。Attention
please などと話しているときに言いますね。飛行機に乗ると、スチュワーデ
スが昔よくいっていましたけれども。興味を持つということです。皆さんの
場合は、興味を持つということが、まず大事です。興味を持たないと、次の
ステップにはいけませんから。年を取ってくると、興味がなくてもしなけれ
ばならないことがいっぱいあります。ですが、それは仕方がないです。
Attention したあとの次が、action です。行動に移すということです。実際
に興味を持ったことを勉強するとか、調べてみる、関与してみる。最後に、
accomplishment、
あるいは achieve でも良いですね。
成し遂げる。
Achievement
test などやりますが、
ちゃんと出来たかどうかを確認する試験のことですね。
要するに attention、興味を持って、実際に行って、最終的には自分のもの
にする。皆さんは、例えば e カレッジね、興味を持ったとすると、それを聞
いて、ちゃんと理解して、自分で問題が解けるくらいにまでする。3A とい
う、attention, action, achievement それを皆さんの場合。特に、今まで
attention の部分が、要するに e ラーニングというのがありますね。知って
いますか?コンピュータで勉強するという、e ラーニング、この attention
の部分があまり無かったのですね。こんなのをやっているというのを知らな
ければ見ないし、そう言う意味で、今回義務的に、attention を強制した訳
です。それによって、面白いと思ったら、それをどんどん見てもらう。図書
館の本などもそうですね。見てみたら本当に面白い本はいろいろあるのです
が、それを見ないと、いつまでも自分の興味の範囲に入ってこない。時間も
ないので、今日は循環器。
皆さん、これが終わると2週間休講になりますので、その間しっかり e カレ
ッジを勉強しておいてください。
今日は循環器をやりますが、循環器は非常に範囲が広いです。一番、循環器
で今問題になっているのは、AMI、急性心筋梗塞です。血管が詰まる、ここに
冠動脈がありますが、左の方と右の方。かんは冠と書きます。見たら分かる
ように、
心臓をちょうど冠のように、
血管に寄ってまとわりつかれています。
それは何故かというと、
心臓というのは表面から酸素がいきます。
ですから、
これは輪切りになっていますが、表面に冠動脈があって、そこから血管が中
に入っていきます。
そうすると何が起きるかというと、
こういう内側の方は、
なかなか酸素がきません。初めは、血液が心臓の中にあるからここから酸素
をもらうと思いますね。そんなことはないのです。内側の方からは酸素は来
ないのです。カエルとか、両生類は来るのです。カエルは皮膚呼吸をしてい
ると知っているように、酸素を通すところがいっぱいあります。カエルの心
臓だと、内側来るので、その場合は、内側の酸素が十分無ければならないの
で、この心室中隔というものが無いです。カエルの心臓というのは、右と左
の心室がつながっています。
酸素がいつも同じくらいに両方ともなるように。
そうしないと、内側から酸素が来ていますから。ところが、人間とか、は虫
類はそうなってきているのですが、冠動脈というのがあって、表面から酸素
が来るようになっています。ということは、右と左の心室が、同じくらい酸
素が十分ある必要は無いので、中隔が出来て、左の方と右の方で特に血圧が
違います。みなさん、血圧、140/90 以下にしてくださいという、これは高血
圧の。正常な人は 120/80 です。これ以下の血圧になっていると思います。と
ころが肺動脈の方の血圧は、50/10 とかです。非常に低いです。それだけで
十分。逆に高いと、肺の血管というのは壁が薄いです。それは、酸素の交換
をしなければならないから、壁が薄いですから、破れてしまう。血圧を肺の
場合は無理に低くしています。というためには、右と左の心室が別々の圧を
作らないといけないので、中隔が出来たということです。肺呼吸を十分にす
るためには、肺の血圧を下げないといけないので、そのために右心室という
別の空間を作るために、心室中隔というのができたと。カエルの場合は、ほ
とんど皮膚呼吸ですから。水の中に入れておいても、カエルは皮膚から酸素
がもらえるので死にませんね。ところがは虫類くらいになってくると、水の
中に入れると呼吸できなくて死んでしまいます。魚はエラがあるからできま
すが。両生類というのは、肺がまだ十分に発達していないというか、呼吸自
体が皮膚でやっていますので、内側から酸素がどんどんはいるのですが、人
間とかの場合は外側の冠動脈です。そうすると、ここがつまったらどうなる
か。ここが全部、心臓が死んでしまいます。ネクローシス、いわゆる壊死に
なります。そうすると、そういうのが先ほど言った AMI、急性心筋梗塞です
ね、そういうのが普通、昔は1/3くらいの人が死んでいましたが、今は1
/10くらいですね。10人に1人くらいは心筋梗塞で死ぬ、それくらいの
大きな病気です。残った人は、ここの部分が死んだ、大事なのは、心臓の筋
肉というのは再生しません、分裂しません。1回死んだらおしまいです。で
すから、死んだところは線維化して、そこは筋肉が無い状態。筋肉がなけれ
ば収縮できませんので、ポンプの機能、心臓で何が大事かと言うとポンプの
機能ですね、ポンプの機能が出来ません。そうすると、十分血液が出せませ
んので、血圧が維持できない。そうすると脳にも十分いかなくて、そうする
と、いつもぼーっとした頭も働かないし、身体もすごくだるいです。要する
に酸素が来なければ結局いろいろなところが障害を受けてきますね。という
ことで死にます。ほとんどの人は、心不全で死にます。昔だったら死亡診断
書に死因というところに心不全と書いていたのですが、それはみんなそうな
のですね。ですから、意味が無いということで、今はそれをしてはいけない
ということになっていますが、心不全になった原因、例えば心筋梗塞とか癌
とか、そういった元になる原因がある訳です。というわけで、心臓は生きる
か死ぬかに関係しますので、非常に大事な臓器です。ですから、病気として
も非常に注目されているし、何が一番怖いかというと、心筋梗塞です。これ
が起きる原因というのは動脈硬化です。動脈硬化は分かりますか?どこでも
そうなのですが、特に心臓にいっている冠動脈の動脈硬化が起きると、心筋
梗塞を起こす危険があるということです。脳の動脈硬化で脳梗塞も起こしま
すし、腎臓の動脈硬化で腎硬化症という腎不全になりますね。ですから全身
どこでも血管というのが大事です。血管は何が一番大事化というと、内皮細
胞です。血管というのは土管ですが、外側の方は平滑筋という筋肉が、内側
の方に内皮細胞があります。内皮細胞というのは、血栓が出来ないようにし
ているし、コレステロールがここに沈着します。何故かというと、血液中に
コレステロールが高いと、
それが取り込まれてしまうというのもありますし、
あとは炎症があると、そういうところにコレステロールがしみ込みやすくな
ってしまいます。なぜ、血中にコレステロールがあるかというと、それは細
胞膜がコレステロールがないと出来ないのです。コレステロールは身体に必
要なのですが、細胞全部に、そういうので供給しているのですが、酸素と同
じように、ですが、特に内皮細胞の下側、こういうところに蓄積します。そ
う言うのをアテローマと言います。アテローマというのは、粥状、そういう
のが溜まってきて、それがだんだん血管の壁を厚くします。逆に言うと、そ
の血管を強くしているということにもつながるのですが、
あまりしすぎると、
コレステロール自体が酸化して、それをマクロファージが食べてくれるので
すが、マクロファージは酸化したものを処理できない。そうすると、そこに
ずっといるので蓄積して、蓄積しているだけなら良いのですが、それが血管
内皮に障害があったりすると破れて、外に出てきます。そうすると血栓が出
来ます。ですから、血栓が出来る原因というのはアテローマが破裂するため
だと言われています。破裂するというのは、内皮細胞が弱ってくるというこ
とです。当然、コレステロールがいっぱいたまっていても破裂しやすいし、
内皮細胞が弱ってきても破裂する、その2つあります。そうすると、中に溜
まってくると、中側が狭くなってくるので、狭いから血栓が出来るかもしれ
ないという予測が立つのですが、内皮細胞が障害された場合は狭くない場合
もあります。そうすると、突然そこが破れて血栓が出来て、細くもなかった
のに、心筋梗塞になるというのもあります。2つあります。狭くなっている
人だけがなるのではなくて、全く冠動脈に狭窄が無い人も突然破れて、そう
いうのが起きます。破れやすいというのは、前進に炎症がある人です。例え
ば、慢性の炎症ですね。リウマチはあまりありませんが、SLE とか膠原病で
すね。膠原病は女の人に多いので、女の人は基本的にはエストロゲンが高い
ので、血管内皮細胞の障害が少ないのと、コレステロールが下がります、エ
ストロゲンの為に。肝臓でコレステロールが溜め込まれますので。逆に、肝
臓に溜まったコレステロールというのは、胆汁に出ます。胆汁の中で石にな
ります。コレステロール結石は女の人は出来やすいですが、そのかわり血管
にコレステロールが溜まりにくくて、動脈硬化が進みにくいです。これはエ
ストロゲンがある間です。ですから、閉経といって、更年期になって生理が
終わると、エストロゲンが卵巣からあまり出ませんので、そうすると男性と
同じ状況になります。男性の場合は、アンドロゲンは逆に動脈硬化を進める
と言われていますので、なかなか難しい問題ですね。これは、いわゆる循環
器といった場合、今一番大事なのは血管なのです。心臓というよりも血管の
病気、それをコントロールしましょうということで、そうするとコレステロ
ールという、それを下げましょうということになります。悪玉のコレステロ
ールって、皆さん知っていますか?LDL コレステロールというのがあります
が、HDL コレステロールは善玉ですね。良い方というのは、組織の血管のコ
レステロールを取ってくれます。H というのは、ハイデンシティ、L はロウデ
ンシティといって、リポタンパクの密度の違いなのですが、HDL の方が組織
からコレステロールを集めて、肝臓に捨てていきます。逆に LDL コレステロ
ールの方は、肝臓から組織にコレステロールを配りますので、この LDL コレ
ステロールが高い人は血管にコレステロールがつきやすい。逆に HDL コレス
テロールが高い人は、
血管からコレステロールを回収して良い方にいきます。
ということで、こちらを善玉、こちらを悪玉というふうに単純に考えてくだ
さい。本当はもっと複雑です。そうすると、LDL コレステロールというもの
を下げれば下げる程よいということが言えます。普通は、160mg/dl 以下、昔
は 180 くらいだったのですが、だんだん厳しく、なるべく早めに治療しまし
ょうという話になっています。心筋梗塞を一度起こした人は、100 以下にし
てくださいと、非常に下げましょう、出来れば 70 以下にしてくださいと。1
回起こした人ですよ。まだ起こしていない人は、わからないですが、1回起
こした人はまた起こす危険が高いですから。ということで、この LDL コレス
テロールがコントロールされます。そのためにはスタチンという薬があるの
ですが、スタチン。スタチンという薬でコレステロールを下げます。このス
タチンという薬は今非常に売れています。例えば、アメリカでは4兆円くら
い、年間に。皆さん、日本の医療費って知っていますか?だいたい33兆円
です、1年間に。アメリカだともう少し高いのですが、ほとんど4兆円の薬
代にスタチンがなっています。日本はそこまで行っていませんが。将来的に
は、動脈硬化、食事の脂っこいものとか、肥満とか、そういうふうになって
くると、ということですね。
病気にいきますが、その前に解剖、ここにありますが、チェックしておいて
ください。冠動脈、虚血性心疾患に関しては e カレッジでしっかり勉強して
おいてください。結局、それが一番大事なのです。今日はそれ以外の部分を
お話しするということです。
一応言っておきますが、冠動脈は右と左、これは前下行枝と回旋枝2つあり
ます。それで一番大事なのはここの主幹部です。ここで詰まってしまうと助
からない場合が多いです。
次は診察。診察も大事です。というのは、具体的なイメージがわかないと、
病気は理解しづらいですね。一番簡単なのは音を聞くことです。聴診器。皆
さん、聴診器を見たことがあるかどうか分かりませんが、ここが耳にいきま
すね。さきにこういうのがついていて、2つあります。ベル型の部分と、ダ
イアグラム、膜型の部分。膜型の方が高い音、高音、それに対して、ベル型、
ベルというのは膜が無いということなのですが、
こちらは低音が聞こえます。
普通は、膜の方でしっかりつけて聞いてもらいます。ここにあるように、弁
がある位置、ここに弁がありますね、肺動脈弁と大動脈弁、4つ弁がありま
すから、こういう弁の近く、特に心尖部、心臓の心尖部と言いますが、心臓
の突端という意味ですね、ここで聞くと、僧帽弁の音が良く聞こえます。左
心室の一番てっぺんのところですね。特にここのところを注意して聞いても
らいます。というのは、一番多いのは、僧帽弁の病気と、大動脈弁の病気な
訳です。そうすると1番と5番。この辺りをしっかり聞いてもらいます。
具体的にはどんな音が聞こえるかというと、これは心電図。E カレッジで勉
強しましたか?検査のところですね。あとで、今日もやりますが。P 波とい
うのは心房の方です。それに対して、QRS というのがありますが、これは心
室の方の電気現象です。T 波というのは、心室の興奮が終わるところです。
ここの部分というのが、収縮期にあたります。心筋が興奮しているところ。
それ以外のところは、拡張期ということです。だいたい1:2くらいの時間
比率になっています。ギュッと収縮したら2倍の時間で拡張して、心室を充
満するという仕組みになっています。それで、結局今お話ししたいのは音で
す。Ⅰ音とⅡ音という2つの音が、皆さんも聴診器を当てて聞いてもらうと
聞こえると思います。そうするとⅠ音というのがここにあるように、だいた
い音が出来るのは弁が閉じるときです。弁が閉じるときぱちっと音がします
ね、開くときは音がしません。そうすると、Ⅰ音というのは、僧帽弁が閉じ
るときです。僧帽弁というのは、左房と左心室の間にある弁ですね。この僧
帽弁が閉じているときに、収縮します。逆流しないように。そうすると大動
脈の方にぎゅっと出ます。これは大動脈圧ですけれども、大動脈の圧も上が
るし、左心室の圧も上がります。同じ圧ですよね、大動脈弁が開いています
から。ですから、収縮期、駆出期とも言いますが、初めの部分、収縮期の、
ここの部分で僧帽弁が閉じますのでⅠ音。逆にⅡ音の方は、肺動脈弁と大動
脈弁が、ここの場合は大動脈弁なのですが、左の方だけ見ていますから、大
動脈弁が閉じて、そのあとは拡張期血圧になります。これは大動脈の弾力に
よります。逆に、左心室の方は0に近くなります。もう出なくなってきます。
拡張期に、0になったところに、左房から左心室にどんどん流れ込みます。
そうすると、Ⅱ音というのは厳密には2つあります。一つは肺の方ですね、
もう一つは大動脈弁です。A と P の成分があると言うことです。あと、左房
と左心室の圧関係も大事です。ここの微妙な圧格差で入ってくるということ
です。左房の方がちょっとだけ圧が左室よりも高いです。ですから、ここの
最後に収縮します。左房が収縮しています。ここのところ、圧が上がってい
ます。非常に小さい、P 波というのは心房が収縮するときの電気現象、それ
に対して QRS、これは大きいのですが、これは心室が収縮するときの電気現
象と言うことです。
次はレントゲンのお話を簡単にしておきます。こういう形で影が見えます。
大動脈がみえます。大動脈がどんどん、年を取ってくると血管が長くなって
きます、結合組織が増えて、そうするとここのところが飛び出してきます。
そうなると、血圧が少し高いかもしれない、または心臓が大きく肥大してく
る場合もあります。心肥大ですね。特に、高血圧が強いと。特にここの左室
の部分ですね。左室が大きくなります。逆に COPD といって、いわゆる肺気腫
ですね、こうなってくると肺の方が血圧をあげて送らないとだめなので、肺
高血圧になります。普通の高血圧は全体の身体の方なのですが、肺循環だけ
が高血圧になるというのがあって、そうすると右室の方が肥大してきます。
右室というのは前の方にあります。前の方に飛び出してくると、どんどん大
きくなるとこちらまで出てきます。それに対して、左室の方はもろにみえま
すので、だいたいこちらの方が拡大しているかどうか。それを簡単に見るの
は、全体を 100%にしたときに、ここの影、おもに左室の部分が反映します
が、これが 50%以上あるようだったら、正常よりも心臓が大きいねというこ
とです。ただ、注意しなければならないのは、心臓の中の方に大きくなる人
がいます。壁が厚くなって。そう言う人は、全然影を見ても心臓が肥大して
いるというのが分かりません。ですが、実際は壁が厚くなっていますから肥
大なのです。
そういうのを簡単に見る検査として超音波があります。エコーです。ここの
肋間、肋骨と肋骨の隙間のところですね。骨は超音波通りませんから。肋骨
の隙間のところにあててもらって、何を見るかというと、弁の動きです。時
間軸で分かりますので。こちらが頭、こちらが足になります。ちょうど心臓
の心尖部がここにありますね。一番前には右室があります。これは胸の前胸
部から見ています。一番奥には左房があります。左室があって、これが僧帽
弁になります。ここの部分がちょうど僧帽弁になっていて、大動脈は左室の
後ろ側にあって、ここに大動脈弁がある訳です。ですから、この切片で見る
と、僧帽弁と大動脈弁が一緒にみえて、左房もみえてというそう言う形にな
ります。それに対して、このてっぺんのところ、ちょうどみぞおちのあたり
に端子をあててもらうと、ひっくり返って見ているような形になって、こち
らに左室、こちらが右室。弁が、三尖弁があって、僧帽弁があります。これ
はカラードップラーといって、端子に近づいてくるのを赤く表現して、端子
から遠ざかっていくものを青く表現することが出来ます。赤血球の動きを見
ています。そうするともし、逆流すると青くみえたりします。普通はこちら
の方に流れます、正常は。こういう血流の方向も、ドップラー超音波という
方法で見るとみえるということです。当然、壁の厚さ、左室壁、だいたい正
常は3cm 以下、この厚さが厚くなればなるほど、何か病気があって肥大があ
るねということです。そう言うのが分かるし、中隔、あとでお話ししますが、
心筋症というのがあります。心臓の筋肉の病気、心筋症。これは心臓の筋肉
が遺伝的に、うまく収縮できないような病気です。そうすると厚くして頑張
ろうとします。ですが、もともと病気ですから、うまくいかなくて、十分で
ないのですが、そのとき右と左ありますが、左室がどんどん厚くなるし、右
室も厚くなる。そうすると中隔がもっと厚くなります。左と右が一緒になっ
ていますから。ですから、中隔だけいびつに厚くなってそのために大動脈の
流出口のところ、ここでみると、ここですね、ここの部分が厚くなりすぎて、
大動脈から血液があまりいかなくなってしまう。特に、興奮したとき、カテ
コラミンが出ると、収縮が盛んになりますから、そう言うとき特にここが狭
くなって、本来ならどんどん血液を出さなければいけないときに、出ないの
で、突然心臓が止まったりとか、そう言うことになります。
初めに、心不全からお話しします。心不全というのは基本的には、心臓の調
子が悪くなる、ポンプの機能ですね。ただ、注意しなければならないのは、
急性と慢性があります。急性の場合は、もう生きるか死ぬかです。肺の方に
水が溜まって、肺水腫と言いますが、ものすごく苦しい状態です。それに対
して、慢性の場合は、全身に酸素がいきませんので、だるいです。生きるか
死ぬかというよりも、むしろ QOL の問題です。要するに、quality of life、
日常生活がうまくいかない。急性の場合は、生きるか死ぬか。左心室と右心
室、どちらが調子が悪いかによって、特に、左心室の場合は、本当に生きる
か死ぬかですが、右心室の場合は、肺の方に十分いかないのと、静脈が返っ
てきませんからむくみます。ですから、右心室の調子が悪いと、浮腫です。
それに対して、左心室が調子が悪いと、肺水腫。肺に水が溜まります。浮腫
というのは全身という意味です、全身の浮腫。こういう風に、概念的な区別
ができます。ですが、だいたいは左心不全になると、右の方も調子が悪くな
ってきますから。
もうひとつが、収縮不全というものと、拡張不全というものです。これはち
ょっとややこしいのですが、結局、収縮不全というのはポンプの機能がだめ
です。拡張不全というのは、拡張期にしなやかさがない、要するに広がらな
いといけません、心臓も。そして、広がらなければならない。心臓というの
は難しいのです。収縮するときには固くしないといけないし、拡張するとき
にはしなやかに広がらないといけないという、2つの矛盾する仕事をサイク
ルでやっています。ところが、拡張は見たら分かるように、肥大、求心性肥
大といいますが、求心性というのは中心に向かって肥大してくる、そういう
左心室、ここは左心室ですね。こちらが右心室。わかりますか?これはネズ
ミの心臓ですが、人間も同じです。こういう固くなってくると、しなやかで
はないので、血液が充満できない。そういう状態になると、当然、入ってい
ないものはいくら収縮しても十分に出ないということになります。それを拡
張不全と言います。逆に、こういうふうに非常に大きくなって薄っぺらくな
っています。本当は薄っぺらいです。そうすると筋肉が十分に無いので、収
縮する力が弱い。逆に、拡張はどんどんするのですが、収縮が弱くて出ない、
そういうのが収縮不全です。今、この拡張不全の方が増えています。高血圧
が長く続くと、筋肉モリモリになって、特に、高齢の女の人、こういう形に
なりやすいと言われています。心臓の圧負荷、圧負荷というのは高血圧です
ね。そういうのがずっと続いて、それに対して、容量負荷というのは体液量
が増えているような状態です。Na を取りすぎている、塩辛いものを取れば喉
が渇いて水を取りますから。
それからもう一つ大事な概念が、心筋のりモデリング。リというのは、再び
で、
モデルというのは形成するということですから、
再形成ということです。
それはどういうことかというと、結局こういう肥大してみたりとか、肥厚し
てみたり、心臓に対する負荷があるときに、形態が変わることです。さらに
心筋梗塞などを起こすと、そこのところが筋肉が無いので、線維化します。
それもリモデリングと言っています。心筋の壊死があった場合です。アポト
ーシスと書いてあるのは、壊死ではなくて、壊死というのは炎症を起こしま
す。基本的には炎症、壊死というのは死んだものを片付けようとして細胞が
集まってくる、リンパ球とか、好中球とか、白血球も一緒ですが、そういう
ものが集まってきます。アポトーシスの場合は、そのまま死んでくれて、炎
症を起こさない。特に、拡大の場合は、心臓が拡大する場合は、炎症で死ん
でいるのではなくて、圧に耐えられなくなった細胞がアポトーシスで死んで
くれるわけで炎症を起こしません。ところが心筋梗塞などで酸素が来なくて
死んだ場合は、壊死になりますから、その場合は炎症が起きます。そういう
ところ、残ったところが、線維化をして、筋肉が無い状態ですので収縮が出
来ません。
大事なのは、前負荷と後負荷。これも覚えて帰ってくださいね。要するに、
心臓を中心に考えます。心臓に来る前の方。これは体液になりますね。静脈
の血液量にもなる訳です。
それに対して、
後負荷というのは血圧になります。
非常に血圧が高ければ、それが抵抗しない、血管抵抗。左室と右室で違うの
ですが、大事なのは、左室の方に注目しておいてください。これは左心室と
考えると、ここの動脈の、身体の血液というのは体重の8%ぐらいです。60Kg
の人は、だいたい5L くらい身体の中に血液があります。その15%、1L
弱が動脈にあって、4L くらいは静脈とか毛細血管にあります。こういう人
が、1L くらい血液が出ると、動脈の中に血液がなくなってしまいます。動
脈出血の場合ですね。そうすると、血圧が下がって死んでしまうというのが
分かると思います。今、献血で 400ml、昔は 200 でしたが、今は 400 くらい
献血していますけれど、これは静脈から採っていますから。動脈から献血し
ている訳ではありません。静脈から採っていますので、1割くらいあげても
大丈夫ということです。それがもし、動脈からだったら、大変です。半分く
らい動脈の血液がないということですから。
心不全について、少し複雑な図で恐縮ですが、ここの真ん中のところを見て
ください。症状としては、全く症状が無いという状態から、急性の肺水腫、
急性心不全になると肺に水が溜まって苦しくなる、場合によっては血液が出
ないと、先ほど言ったように、血圧が下がって、そういうのをショックと言
います。特に、脳にいく血液がないと、意識がだめになって、意識がなくな
ったりします。そういうのをショックと言います。そういうのになるか、あ
るいは慢性、こういうのをうっ血性心不全と言います。慢性に、うっ血とい
うのは、静脈がうったいしているという意味なのですが、慢性に心臓の調子
が悪いと、全身に体液が増えて、むくみます。そういうのをうっ血性心不全
といって、息はそんなにすぐには苦しくないですが、動けません。動くと苦
しいですから。そう言う形で、日常生活が非常に悪いです。こういうのを繰
り返しています。例えば、慢性の状態から、風邪を引いたりとか感染を起こ
して、心臓の需要が増えると、急性心不全になったりとかします。こういう
症状があるのですが、その元になっている細胞レベルでどんなことが起きて
いるかということがここに書いてあります。
ちょっと難しいので省略します。
ちなみに、薬物治療学Ⅲで講義していますので、詳しく知りたい人は、薬物
治療学Ⅲの講義を見てください。
サイバーキャンパスでアップしてあります。
最近、ビデオの方、ipod で見られるようにしましたので。Ipod と書いてある
ものですね、ダウンロードできますから。そうすれば、どこでも見られます
ね。
それから、症状、これは大事です。スライドを省略する目的でここに集めて
しまったのですが。どういう症状があるか。基本的には、病態生理は症状で
す。皆さん、今、病態生理を勉強していますが、どんな症状があるかという
ことを理解できる、要するにメカニズムが分かりますから。症状をマル覚え
するのではありませんよ。身体にどういうことが起きているから、こんなこ
とが起きるという、それが病態生理な訳です。呼吸困難、これは肺に水が溜
まるからですね。先ほど言ったように、ここの急性肺水腫、慢性でも少し水
が溜まります。特に大事なのは、労作性呼吸困難です。じっとしている分に
は大丈夫、でも動くと苦しくなる、それが特徴です。酸素が足りないという
ことですが、貧血の場合などもなるのですが、こういう心臓の場合は、安静
だと大丈夫だけど動くとだめ。そういうゼイゼイいって音がします、そう言
うのを心臓喘息と昔は言っていました。今も言いますが。喘息といった場合
は、普通は気管支が収縮しているということですが、こういう肺に水が溜ま
ると、気管支も収縮するわけではなくて、周りから圧迫されて細くなったり
します。そういうのを急性肺水腫。特に、咳くらいでいいのですが、痰も出
ます。その痰が粘っこい痰ではなくて、泡が、ぶくぶくした泡が、表面活性
剤ですね、サーファクタントと言います、肺にサーファクタント、肺胞を広
げる表面活性剤、石けんのようなものがあるのですが、そういうのが水と一
緒に痰の中に出てきます。泡が痰の中にあるという特徴があります。チアノ
ーゼというのは紫になることです。O2 ヘモグロビンが、CO2 ヘモグロビンに変
わる訳ですね。これが4g/dl 以上あったら、身体が紫に変わります。ですか
ら、貧血がある人はもともとヘモグロビンが少ないですから、この CO2 ヘモ
グロビンが4もいかないということもあって、チアノーゼは無いのだけど、
酸素が足りないと言うことがあって、貧血の人にはチアノーゼが無い場合も
あります。それもよく試験に出ます。あと、易疲労性というのは、先ほど言
ったようにだるくて何も出来ない。浮腫というのは静脈系にむくむ。頻脈と
いうのは、脈がどんどん速くなる。これはあとでお話ししますが、生体反応
です。いわゆるノルアドレナリンとかアドレナリン、カテコラミンが出てき
て、そのために心臓を刺激する。これはどうしてかというと、心臓の収縮の
回数が増えると、1回あたりの出る量が少なくても、1分間にはたくさん出
る。そういう回数で稼ごうという。夜間多尿というのがあります。昼間は足
の方に水がいっぱい行っているのですが、寝ると心臓の方に返ってきます。
そのときにおしっこになる場合もありますし、あとは起座呼吸といって、座
った方が楽なのです。寝てしまうと肺が十分広がりません。皆さんも起きた
状態だと、肺が下に下がって呼吸が楽です。寝ると、横隔膜をすごく運動し
なければなりませんし、
水が足の方から心臓に返ってきますので、
起座呼吸、
寝ていられない、そういうのも心不全の特徴です。肺炎でしたら、起きても
苦しいですから。
これも大事ですが、これは治療と結びつきます。身体の方のこういう生体反
応が起きるということは、それを治療することで治せるという根拠になりま
す。一つは、前負荷、ナトリウムと水が身体に溜まるというものです。これ
は基本的にはレニン、アンジオテンシン、特にアルドステロンですね、これ
が活性化されてナトリウムの再吸収が増える。そうすると、ますます前負荷
が増大するという悪循環になります。これは時間がかかります。すぐという
わけではありません。腎臓に作用してということですから。
それに対して、後負荷が増大する、交感神経の緊張。これはすぐです。反射
みたいなもので、すぐに起きます。さらに、レニン、アンジオテンシン、ア
ルドステロン系のアンジオテンシンⅡも働いてくるということです。基本的
には、交感神経は非常に速い変化、それに対して、アンジオテンシンは持続
性の変化と考えてください。ですから、治療の対象になるのは、アンジオテ
ンシンⅡ、こちらの方をブロックしたほうが、効率が良いです。交感神経は
すぐに収縮してもまた消える場合があったりしますから。治療の対象として
は、アンジオテンシンをブロックする。あとは交感神経の、特にβ作用です
ね。β作用というのが、心臓の酸素の消費量を増やしたりとか、脈を速くし
たりとかしています。
そういうのがあるので、
このβ作用をブロックします。
体液の方は利尿剤です。おしっこに Na をどんどん排泄して、身体から水分、
Na を減らそうという治療につながります。これは漫画的に書いてあるのがこ
れです。
長期的な効果としては心臓が調子が悪い、血圧も下がるということが起きま
す。これが慢性心不全。それに対して、短期的効果というのは治療の反応で
すね、これは急性心不全のときの身体の反応です。もともとは心臓が悪い、
心筋梗塞を起こすと、心臓から出る血液の量、心拍出量といいます、1分間
に出る量ですが、それが減って、そのために動脈圧がさがって、そうすると
先ほどの反応を起こします。体液を増やして血管を収縮させるという反応。
それで一時的には良くなるのですが、それが慢性的に続くと、いわゆる慢性
心不全になるということです。
0cm ですから、100mmH2O になりますね。これが正常で、それが上がってきま
す。そのためにむくむ訳です。
2つの、左心系と右心系。特にこちらの方が大事です。左心不全の方をしっ
かりまず理解してください。ここにあるように、左心室を中心に考えます。
そうすると、こういう肺水腫、レントゲンで見ると肺に水が溜まっています
ので、
真っ白になっています。
特に注目しなければならないのはこの中心部。
肺門と言います。肺に血管が入ったり出たりするところ。そこのところが特
に白い。それは何故かというと、外側の方はこちらのリンパ管で水を何とか
排水できるのですが、肺門部のところはもろに、圧が高いために、排水でき
ない。そのためにこういう形になっています。ここに書いてあるようなこと
が起きるのですが、血液中の BNP、これは脳性ナトリウム利尿ペプチドです。
脳性となっていますが、
これは心室から出ます。
脳からまず見つかったので、
そういう名前がついてしまいましたが、実際には脳からたくさん出て、ナト
リウムを腎臓から排泄するホルモンです。特に左心系の、左室が多いのです
が、
筋肉が多いですから、
心臓が自分を助けるためにホルモンを作っている。
そのホルモンは腎臓に作用して、体液のナトリウムを捨てて、心臓が楽にし
ようと、自分のためです。血管も拡張します。後負荷と前負荷を両方取って
くれる、心臓の自分のためのホルモンです。ですから、これを測ると、もし
高くなっているようならば心臓の調子が悪いと言うことが分かります。
逆に。
これが高ければ高いほど、だいたい 100pg/dl 以下が正常です。それを超え
るようだったら、それだけひどいと言うことです。高ければ高いほど、場合
に寄っては 1000 を超えたりします。Pg と非常に小さい単位なのですが。そ
ういうのだと、非常に予後が悪い。予後が悪いということは死ぬかもしれな
いということですね。
逆に今度は右心不全の方ですね。これは、右心系を中心に考えますので、結
局は静脈です。心臓に返ってこられなくなりますので、むくみます。押し込
むとへこむとか、頸静脈が怒張と書いてありますが、太くなります。そう言
う状態は、最終的には肺に血液があまりいきませんから、酸素も足りなくな
ってくるのですが、当座は腹水とか胸水が溜まってきます。よく間違えるの
は、胸水というのは右心不全なのです。胸に溜まっていますが、それは腹水
と同じような、場合に横隔膜に穴があいていて、両方ともツーツーな人も稀
にいますけれど。基本的には同じようなメカニズムで溜まると考えてくださ
い。そういうのを端的に見る手法として、中心静脈圧というのがあります。
これは身体の中心の静脈の圧です。心臓に返ってこられなくなると、静脈の
圧がどんどん上がります。正常は10cmH2O です。だいたい13mmH2O という
のが1mmHg にあたりますので、水銀柱にすると非常に小さくなりますが。1
心不全、大事なのは程度です。ピンキリです。非常に軽い心不全と、重い心
不全。良くあるのが、NYHA、これはニューヨークハートアソシエイションと
いって、NY の心臓協会の分類ですが、Ⅰ
〜Ⅳまであります。基本的には、Ⅰ
は予備軍。これから起きるかもしれない。Ⅱ
〜Ⅳがいわゆる本当の心不全と
いうことです。それに対して、こちらの、アメリカンハートアソシエイショ
ンというとことが作った、こちらはステージですね。ステージといった場合
は A から順番に進んでいきます。それに対して、こちらはグレードです。グ
レードとは程度という意味です。ステージは日本語に訳すと、病期というこ
とになります。そうすると、基本的にはステージと行った場合には順繰り進
む。グレードは程度ですから、こちらに行ったら逆に戻ったりとか、症状が
良くなったら戻ったりしますが、ややこしいです。ということでこれが出来
たのですが、そうすると、A と B の方は予備軍にあたります。準備状態です
ね。まだ病気にはなっていないけれど、なる危険のある、ハイリスクなどと
言いますが。それに対して C と D になると病気です。そういう風に考えると
分類が分かりやすいと思います。そういった予備軍を ACC では2つに分けて
います。単なるリスクがある群と、心臓に病気がある群に分けています。両
方とも症状はありませんので、NYHA ではⅠにあたります。症状が出てくる、
治療に反応しない、それで分けています。簡便ですね。治療が効く場合と効
かない場合。NYHA の場合は、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳまで分けています。症状が日常生活
とどのように関係するかというので分けています。大事なのはここです。1
年後にどのくらいが死ぬかという死亡率。いつも症状があって、しかも薬に
反応しない、治療しても症状が取れない、そう言う人は1年後に半分以上が
死んでしまっています。癌の末期のようなものと考えてください。心不全で
も重症になると癌と同じです。癌の末期と言われると、命が無いような感じ
がしますが、心不全の末期も同じくらい命が無いということです。軽くても
3割くらいは死ぬ可能性があると考えてください。心不全自体は非常に予後
と関係します。
アプローチと書いてあるように、まず心不全の人が来たらどういう風な手順
で考えていくか。まず、心臓の超音波をやります。それで先ほどの心拍出量
を調べます。収縮期と拡張期のボリュームを測って、駆出率というのがあり
ます。イジェクションフラクションと言いますが、駆出率です。拡張したの
が、収縮するので、拡張した体積と収縮した体積の比です。駆出率が 100%
という場合は、全部出ました。それに対して0%という場合は、全然出ない。
50%といった場合は、拡張期の体積のボリュームの半分出せたということで
す。基本的には、駆出率が 50%以上、半分以上あればまあまあです。正常と
考えてください。非常に大まかですけれど。逆に半分無い、拡張期の体積の
半分も出せないということが心不全になります。
ですが、
拡張不全の場合は、
駆出率が正常なのでややこしいのですが、
とりあえず、
心エコーで駆出率と、
壁の厚さ、心肥大が無いかどうか、弁の異常が無いかどうかを評価します。
あるいは、心筋梗塞を起こしていると、そこのところが死んでいますので動
きません、壁の動きが悪いとか、そうすると古い心筋梗塞があるかもしれな
いということが分かります。
次の段階として、BNP、先ほどの脳性ナトリウム利尿ペプチドですね、これを
測って、100 以下であれば、心不全ではなくて正常ですから、心臓が悪い訳
ではなくて、苦しい原因は、例えば貧血とか、肺の病気、肺炎とかそういう
ものを考えなければなりません。逆に、それが 500 以上になっていると、か
なり心臓が悪いです。ただ、BNP というのは測るのが難しいです。腎臓で排
泄されますから、人によっては溜まったりしている人もいますから、心不全
の程度と相関しないという意味は、絶対値はあてになりません。その1人で
見て、1000 あったのが 500 に下がっていたら、それは良くなったということ
です。ただ、1000 の人と 500 の人がいたら、1000 の人が重症かというと、そ
れはその人の腎機能とか BNP 代謝などによるので、絶対値はあてになりませ
んが、治療に対する反応とかは可能です。少なくても心不全かどうかという
のは、100 とかそれ以下であれば、否定は出来ます。
次に、虚血。これは冠動脈で狭いところ、心臓が頑張ろうとしているときに、
血管が冠動脈、心臓に来ている血管が細いところがあったら困る訳ですね。
そう言うのが無いかどうかを調べます。
というのはそこにステントといって、
細くなっているところに金網のようなものを入れて、無理に広げてあげれば
そこが十分流れるようになって、心臓が少し酸素が増えて改善するという形
になりますので、治せる病気をまずチェックするということです。特に、突
然死というものがあります。
心臓のポンプが悪いのだと、
酸素が出せなくて、
苦しくて、死ぬということは滅多に無いと思うのですが、なかなか苦しい状
態が続くということですが、突然死というのは不整脈です。あとでお話しし
ますが、酸素が足りないと、心臓から、心筋から、左心室から余分なシグナ
ルが出ます。そうすると不整脈が出て、そのために止まってしまいます。で
すから、ほとんどの心不全というのはポンプがだめというよりも、それに伴
う酸素が足りないことによる不整脈で亡くなります。チェックしておいてく
ださい。
これがグレードによる治療法です。これは薬物療法でやりますので、省略し
ましょう。
治療にいきます。
基本的には、こういう安静とか、食事両方。薬物療法も2種類あって、3種
類という話もありますけれど、心臓の収縮増強というのは難しいのです。心
臓自体がへばっているのに、鞭を打つというのは、不整脈も出やすくなりま
すし、あまりお勧めではないです。基本的には、急性の場合は一時的には良
いのですが、長期的に考えると、前負荷をとるものと、後負荷をとる、2種
類の治療をチェックしておいてください。ここに書いてあるように、座って
いる人は、足の方に血液が溜まって心臓の方にあまり来ませんので楽になり
ます。こういう体勢を自分もとりたがるし、そういうのを取ってあげた方が
良いです。そうすると心臓が回復する可能性があります。負荷をずっとかけ
ていると、心臓はなかなか回復しません。ですが、心臓を休ませてあげる、
そういうのが薬物療法もあるし、食事も、安静も、こういう形で安静にして
もらうということですね。大事なのは、βブロッカーです。βブロッカーと
いうのは、基本的には心臓の収縮力を抑えます。従って、心臓が弱っている
ときに、βブロッカーを使ってしまうと、心臓が収縮できなくなります。で
すから、急性のときには禁忌です。慢性になると、心臓の収縮力というより
も、全体の前負荷とか後負荷とか、全体の兼ね合いになりますので、むしろ
慢性の場合にはβブロッカーが、心臓の酸素消費量を減らしてくれる、休ま
せてくれるということで良いということです。どんなβブロッカーでも良い
ということではなくて、3つのβブロッカーが臨床研究で優位差があったと
いうことです。
これはカルベジロールというのと、
ピンドロールというのと、
セロケンなのですが、ロプレッソール、アセタノールだったかな、忘れまし
たが、あとで出てきます。その3種類だけです。ですから、どんなβブロッ
カーでも良いということではありません。本当の究極は心臓移植です。心臓
を健康な心臓と取り替えっこしてしまうということです。これは脳死でない
と出来ないとか、日本ではちょっと難しいですが。アメリカでは年間 2000
例くらいやっています。日本だと最近増えたとはいえ、20 例くらいです。
こういう最終的には不整脈で亡くなるので、ペースメーカーを入れるという
のがあります。これは左心室と右心室の両方にペースメーカーといって、電
気刺激をします。だいたい心不全になってくると、こちらの左心室が遅くな
ります。右と左を比べたら、左の方がだんとつに仕事をしなければなりませ
んから。そうすると、弱ってくると、本来は右と左が一緒に収縮しないと、
中隔が右と左でバランスが取れて動かないようになっているのですが、先に
右が収縮してしまうと、中隔がこちらの方にいってしまいます。そういうの
もあって、同じ時間に収縮するように、左心室が遅れるのをこういうペース
メーカーで鞭打って、早く収縮させると、ちょうど右と左が同じになる。こ
れはシンクロナイズドといって、同期法と言います。そういうのによって、
画期的に良くなったというものもあります。
以上が心不全。これは総論です。これからは各論、心臓の個々の病気につい
てお話しします。これからは個々の病気ですから、分かりやすいかどうかは
分かりませんが、いろいろ出てきますから。しっかり理解してください。
初めは先天性心疾患。生まれつき、穴があいているとかそう言う病気です。
だいたい1%位と言われています。特に、ウイルス感染です。風疹とか。お
母さんが妊娠中に感染すると起きやすいと言われています。細菌はワクチン
が出来て、
ウイルス感染が減っていますから、
先天性心疾患も減っています。
一番多いのは、心室中隔欠損といって、左心室と右心室の間でうまくできな
い。これは結構難しいのです。ここにあるように。カエルではないものが人
間では出来ているので、結構難しい。ただ、これは幸いなことに自然治癒が
あります。3割くらいは自然に閉じます。そうすれば、別に手術をしなくて
も1歳か2歳くらいのときに閉じてくる。筋肉ですから、心臓が大きくなっ
てきたら、筋肉が十分大きくなって閉じてくれるということです。それに対
して心房中隔欠損。これは筋肉といってもほとんど筋肉は無いですから閉じ
ません。ということで、実際は少ないのですが、成人になると一番多いです。
心房中隔欠損。心房中隔というのは作るのが難しいです。詳しくは説明しま
せんが、ここは2重になっています。要するに上と下で。しかも、ここのと
ころは別にくっついている訳ではないです、結合組織で。基本的にはこちら
からの圧が強い。それで自然に押し付けられて閉じているだけで、もし、こ
ちらの圧が強ければ、こちらに押しよせられてどんどん入っていきます。と
いうのは、
胎児のときはこういう方向に来ていた訳ですね。
産まれたあとに、
これが閉じている訳です。閉じているといっても、べたっとくっついている
訳ではなくて、圧で。だいたい 30%くらいの人はこういうふうにくっついて
いません。
残りの人はきちんとくっついているから大丈夫です。
そうすると、
うーんときばったりすると、こちらからこちらに血栓がとんだりして、脳梗
塞とか、偏頭痛、頭の痛みになったりしています。特に、若い人の脳梗塞と
いうのは、こういうところが穴があいているのではないかと。穴というか、
不十分なここですね、ここが非常にかすかになっているといわれています。
最近はこういうのは心臓をあけなくても、カテーテルでパッチが出来るよう
になっていますので、心臓の開心術はしなくても大丈夫です。
あと、いろいろあります。順番にいきます。
それから、もうひとつ。動脈管開存。ここの肺動脈から大動脈にいく、動脈
管というのが胎児のときには大事でした。ところが産まれたらこれは要らな
くなるので、閉じるはずですが、不十分な人がいます。あってもたいしたこ
とはありませんが。ただ、シャント量、こちらからこちらに流れますが、無
駄な、シャントといって、短絡、無駄な血液になっています。
ここに書いてある、Eisenmenger 症候群といって、これは肺高血圧になる状
態です。シャントの血液のために肺動脈にたくさんいきます。先ほどの、心
房中隔も、心室中隔も同じです。ここからきたらみんな肺動脈にいくわけで
すから、シャントした血液はみんな肺動脈にいきます。ですから、肺動脈の
血流量が普段よりも増えています。こういう人は、ずっと放っておくと、肺
の高血圧になってきます。そうすると、肺の血管が太くなってきます。そう
なってしまうと、手術して肺にいっている血流を減らしてしまうと、今度は
困ります。十分な血液がいかなくなって。ですから、これが起きる前に手術
をしなければなりません。肺高血圧が起きる前に手術をしなければなりませ
ん。
これはプロスタグランジンで開いています。胎児のときはプロスタグランジ
ン、PGE2 が胎児のときにはたくさん出ていて開いているのですが、出生する
とこれがでなくなって、閉じます。インドメタシンというのは、このプロス
タグランジンを人工的に作らなくする、産まれたあとは。逆に、妊娠中にこ
れを使ってしまうと、ここが閉じてしまって困ります。ということで、妊娠
中はこういうのは禁忌になっています。
まずは、心房中隔欠損です。20%ですね。健常成人の20%位に、卵円孔開
存といって、圧があるから閉まっているだけで、反対に右房の方の圧が高ま
ると、短絡してしまうというのがあります。本当に無い人もいます。こうい
う人はパッチを当てなければなりません。自然閉鎖は非常に稀なので、手術
が必要になります。
逆に、心室中隔欠損。こちらですね。こういうのは自然閉鎖がけっこうあり
ます。最も多いのですが、成人にはあまりありません。高位、上の方に開い
ている場合、大動脈の閉鎖不全も伴うというのも有名ですが、難しいので省
略します。
ちょっと難しいのは、Fallot 四徴症というものです。四徴症というのは、4
つの症状がある。基本は、ここの肺動脈が大動脈の方に押し寄せてきていま
す。肺動脈と大動脈は兄弟なのです。あとから、分化しています。そうする
と、普通は大動脈の方が体循環ということで、非常に太くなって、しかもそ
こから冠動脈、先ほどの心臓にいっている血管が出るのですが、人によって
は肺動脈の方が優位になって場合によっては、肺動脈から冠動脈が出たりす
ることもあります。そう言う場合は、心臓に酸素がいかないので大変なので
すが。Fallot 四徴の場合は、たんに肺動脈が押し出してきて、大動脈のため
に圧迫されてここが狭くなってしまいます。それが、ここの肺動脈狭窄にな
ります。そうすると、右心室のほうが一生懸命頑張って肥大します。それで、
こういう状態だと、中隔が無いとこちらに血液が行かないので、必然的に残
るのですが。
大動脈の方が騎乗しますから、
大動脈が優位になっていますね。
ですから、肺動脈がどんどんつぶれていってなくなってしまう病気もありま
す。そういうのを単心室と言います。一つしか、心室がない状態になるので
すが、Fallot 四徴はその前の段階です。肺動脈がまだ完全には滅亡していな
い状態です。これはすぐには症状が出ません。産まれてしばらくして、肺動
脈の血流が増えてきてから症状が出てきます。必要になってきて。身体を動
かすようになってきて、筋肉の血流量が増えてきますから、そういう風にな
ってきてから症状が出てきます。それから泣いたり、無酸素発作というのが
ありますが、ここの部分が特に泣いたときに攣縮して細くなって、肺に血液
がいかなくなります。そういうのでチアノーゼになるとか。そう言うときに
は、こういう治療をします。
異常が先天性でした。次は、心筋症といって、心臓の筋肉の病気です。これ
は珍しいかと皆さん思うかもしれませんが、結構あります。だいたい500
人に1人くらいあると言われています、軽いのも入れると。従って、特に若
い、運動をしていて突然死んでしまうというのは、皆さんの友達にもいるか
もしれませんが、
そういうのはこういう人です。
結構ある病気ではあります。
大きく分けて2つ、拡張型と肥大型があり、拘束型は珍しいです。特に、肥
大型の方、50%以上、遺伝です。しかも優性遺伝です。兄弟がいたら、兄
弟も起きる可能性があるということで、良くお話を聞いてということです。
だいたい死ぬのは不整脈です。心不全で死ぬのではなくて、不整脈が出るた
めに突然死という形になります。肥大型がずっと続いていると、拡張型にな
る場合もあります。筋肉がへばってきて。基本的には、筋肉モリモリになり
ますが、薄っぺらくなって、これが拡張型です。肥大型には2種類あって、
この閉塞型、大動脈の出口のところが狭くならないタイプと、なるタイプ。
これは中隔なのですが。心室中隔が非常に厚くなるタイプ、こういうのが多
いです。
特にこういうタイプに、
こういうところから不整脈が出やすいです。
ということで死ぬ危険が大きいです。
それ以外にも変わったのがありますが、
省略します。
皆さんに良くあるのは、ウイルス感染です。風邪を引いて、ウイルスに感染
したあとに、心筋に感染して、そのために不整脈が出て死んでしまう。風邪
で死んだ人がいたら、
それは不整脈が心筋に感染したウイルスのために出て、
それで死んでしまった、突然死、というのもあります。
拡張型の方からいきます。基本的には、こんな感じで、筋肉が大きいのです
が、ちゃんと並んでいません。収縮するような方向に並んでいない。不規則
な方向に並んでいますので、有効な収縮になりません。その理由は、筋肉の
タンパクのある1種類、だいたい今は200以上遺伝子の異常が知られてい
ます。非常に、いろいろな原因で起きるので難しいのですが、家系によって
違いますし。基本は、筋肉がうまく収縮できないために、余分に太くなって
しまうということです。そうすると、太った筋肉というのは、酸素を必要と
するのですが、冠動脈は十分太くならないので、特に運動したときとか、酸
素が十分必要なときに来ないために、
そのために不整脈が出やすくなります。
ですから、運動中に不整脈で死ぬ。最近というか、今は、心電図で見ると、
非常に大きい波形になっていますので、診断がつきやすいので、心電図検査
を中学校あたりで、みなさんもやったと思います。
それは肥大型ですね。こちらです。肥大型の心筋症を診断するという目的で
やっています。そう言う人は、運動してはいけないということではなくて、
競争的な運動。頑張ってしまうからそこでだめなので、苦しくなったらやめ
てもらえば良いのですね。ですが、競争の運動だとやめないので、というこ
とです。競争的でない運動はやっても良いのですが。ここに書いてあるよう
に、非常に並びが不規則になっています。突然死、年間1%位ずつ死んでい
くということです。
スライド(拡張型心筋症に戻る)
前後しましたが、それに対して、拡張型心筋症はこれも優性遺伝が多いので
すが、遺伝性は肥大型ほどではありません。症状が起きると、拡張型の場合
は進行が早いです。薄いですから。症状が出るということは末期ということ
です。よく、拡張型で、2次性、大酒飲みの人、お酒をいっぱい飲むような
人は5年くらいで。というのは、アルコール自体が心臓に毒です。ですから、
大酒飲みの人で、5年くらいで拡張型になって死ぬ人がいます。肝臓がやら
れる前に心臓がやられてしまうというパターンです。
スライド(肥大型心筋症)
治療は基本はβブロッカーです。これは不整脈の治療にもなるし、心臓が頑
張りすぎるのを抑制してくれるということでよく使います。
次は感染です。ばい菌が、心内膜炎といって、特に弁のところ、こういうと
ころにばい菌が根付きます。なかなかしぶとく、無くなりません。そうする
と弁が閉じないとか、血栓が出来てとんでいって、こういうところに末端の
ところ。指くらいなら良いのですが、頭にいくと脳拘束になりますね。これ
が一番怖いです。特に弁のところに感染します。それが体中に、ばい菌がば
らまかれて敗血症になります。原因は、口の中、Streptococcal というのは
口の中の雑菌です。虫歯がある人とか、抜歯したあと、そう言う人に多いで
す。あと、staphylococcal というのは皮膚ですね。皮膚にいる常在菌です。
小さい指の怪我とか、そういうところから来ます。基本的には、長期に抗生
物質を使わないと。場合によっては、歯を抜いたりするときに、予防的に。
特に普通の人は良いのですが、弁膜症があって、弁に傷がついているような
ひとは、ばい菌がつきやすいので、そう言う人は、歯を抜いたあとに予防的
に抗生物質を飲んでもらいます。
心膜炎といって、今度は外側です。心臓を包んでいる膜に炎症が起きます。
一番多いのはウイルスです。風邪のウイルスでもあります。風邪を引いたあ
とに、心タンポナーゼと言いますが、外側に溜まって、心臓が十分拡張でき
ない、そうすると非常に苦しい。こういうのもあったりします。
次は、大事な弁膜症です。基本的には弁がやられる病気というのは今は減っ
ています。というのは、先ほどのような、心内膜炎というのは抗生物質をや
たらに飲むようになって減ってきたのもありますが、そういうのがなくなっ
て、弁膜症が無くなっています。何が残っているのかというと、動脈硬化に
よる弁膜症です。それは、大動脈弁。僧帽弁というのは、先ほどのリウマチ
熱と言って、これはβ溶連菌といって、のどに感染するばい菌ですね、そう
言うのから来る、2次性の、2次性という意味はそのばい菌に対する抗体が
弁をやっつけてしまう、交差免疫と言いますが。ですから、だいたい1週間
から2週間くらいしてから起きます。喉が痛いと言うときに、β溶連菌とい
うばい菌が増えるのですが、それに対する抗体が2週間くらいかかって出来
てきます。そうするともう喉は治っています。そうすると、その抗体が弁を、
特に僧帽弁は一番大きいですから、それがやられやすいです。そういうのが
あって、昔は多かったのですが、今は減っています。リウマチ熱自体が減っ
ていますから。それに対して、動脈硬化によって、大動脈弁が石灰化します。
動脈の石灰化と同じです。それによって十分閉じないとか、開きにくい、ガ
チガチになって。ここにあるような大動脈弁ですね。三尖弁になっています
が、人によっては二尖弁になっている人がいます。そうすると、開きにくい
訳ですね。そう言うのがあります。
初めに最も大事な、僧帽弁狭窄についてお話しします。MS と言います。マイ
トラードステノーシスです。ここですね、ここが十分開かないということで
す。固くなって。それは何故かといと、僧帽弁というのは、乳頭筋といって、
心室の方の筋肉でパラシュートのように引っ張っています。ですから、この
筋肉の調子が悪くなるのもありますし、これだけが切れたりすると、閉鎖不
全になったりします。狭窄の場合は、先ほど言ったように弁自体が感染した
りとか、抗体ですね、リウマチ熱のとき IgE がここのところを炎症を起こす
訳ですね。そういうので、弁口面積というのがありますが、正常ではこのく
らいありますが、2.5 以下になってくると、十分、左房から左心室に血液が
流れてきません。雑音は、ここにあるように拡張期雑音です。拡張期に十分
流れないといけないのが、無理に流れますので、そのとき、拡張期に雑音が
聞こえます。それだけではなくて、弁が僧帽弁が閉じるときにすごい音がし
ます。というのは、ものすごい一生懸命流していますので、結構広がってい
ます。それがバチッと閉じるのでⅠ音がものすごい大きい音がします。あと
は、石灰化していて、普通の弁よりも、あたった音が、固いものがあたりま
すので、と考えてもらうと分かりやすいです。
それに対して、閉鎖不全は、先ほどのパラシュートのようなものが切れると
か、あるいは緩むとか、いろいろなものがあります。これが結構多いです、
今の場合。特に、プロラプスといって、逸脱症候群、これが非常に多いです。
ただちょこっとしか逆流しないので、血行動態的には意味はないのですが、
このときに先ほどの乳頭筋、逆流したときに乳頭筋が引っ張られて不整脈が
出ます。そのために、不整脈が出たために死んだりとかそう言うことも無い
訳ではありません。
のが聞こえます。
次は大動脈の病気です。特に、大動脈瘤といって、瘤になるところですね。
解離。今からお話しするのは、こういう大動脈、心臓から後の話になります。
これが今、高齢化に向かって増えているものです。狭窄。個々のところが石
灰化して、なかなか弁が開かない。閉鎖不全もあります。
このなかで、腹部大動脈といって、お腹のところの血管が太くなります。何
が問題かというと、破裂することがあります。直径が5cm を超えると破裂す
ることがあります。そうすると、すごい血の海になって、即死になることが
多いです。昔は外から手術していましたが、最近は中側からステントという
のを入れるという手術が出来ています。
特に最近、昔は、開心術といって、人工心肺で心臓を止めて、それで心臓を
開けて手術をしていたのですが、今はカテーテルを使って、バルーンでここ
を広げたりとか、あるいは人工弁を、こういう金網みたいな弁をこういうと
ころに入れるという方法がありますので。僧帽弁もあるのですが、僧帽弁の
場合は結構難しいというのがありますが、大動脈弁の場合はいきなり大動脈
の方から入れられますので、今は、こういうのでやって。特に、お年寄りの
こういう病気が多いので、全身的な侵襲が少ないということで、こういうの
がやられています。ただ、これはお金が 2500 万円くらい要ります。結構高い
手術代がかかります。開心術だと、この場合の1/6とかもっと安いと思い
ます。
あと、雑音です、弁膜症。先ほど、心臓の聴診のときにいうのを忘れました
が、基本的には、弁膜症があると雑音が聞こえます。こういう狭窄の場合は、
収縮期に一生懸命出そうとして、雑音が聞こえます。
それに対して、閉鎖不全の場合は、逆流するのは拡張期ですから。そういう
不整脈いけませんでしたね、残念ながら。時間がないので、不整脈は他のク
ラスで授業をしておきますから、他のクラスの授業を見ておいてください。
いいですか。E カレッジでも検査はやったと思います。あるいはポイントだ
け話しておきましょうか。
基本的には、刺激伝導系というのがあって、洞結節、ここでペースメーカー
が出来ます。
最終的にはここで purkinje 線維というのが左心室と右心室に分
かれていきます。その途中の段階に、房室結節というのがあります。その房
室結節で、足踏みをします。こういう風に。それで、ここのところで足踏み
します。従って、ここの PQ 時間がこの足踏みの時間で、これがあるために、
収縮期と拡張期の時間差が出来ます。
これが心電図の基本です。基本的には、Na チャネルによって脱分極します。
これは QRS です。それで K チャネルによって、過分極していくという。ここ
のところです。T の部分は、カリウムチャネルが大事ということです。後で
お話ししますが、
QT 延長というのがありますね。
QT が長くなる。
そうすると、
いろいろな不整脈がおきたときに死ぬ可能性があります。
ホルター心電図というのは、24時間、こういう形で心電図を記録します。
この人は、ここで頻拍が出ています。それで、やっと不整脈にいきます。
基本的には、不整脈には、徐脈性と頻脈性、この2種類があります。この2
種類に関して、徐脈性の場合はペースメーカーです。ペースメーカーを入れ
るしかありません。本当は。ところが、頻脈性の場合は、薬とか、出るとこ
ろがありますのでそこを焼いてしまう、
アベレーションというのがあります。
焼いてしまいます、出る場所を。基本的には、こういう頻脈性の不整脈、一
番多いのはリエントリーといって、二股に分かれて、こちら側の方が伝わら
ないのだけど、逆行してきて伝わってくるという。そうするとぐるぐる回り
ますので、こういう頻脈になるというのがあります。
あと期外収縮というのがあります。それは突然出るというタイプで、大事な
のは心室性、QRS の幅が広い、同じ形の場合には、上質性といってあまり心
配ないです。ところが、こういう心室性の場合には、特に QT の部分に不整脈
が起きると、あと、心室性の頻脈になる可能性があります。
いろいろな種類があります。
一番大事なのはこれです。心房細動。この心房が震えるようになるというタ
イプがあります。これは血栓が出来ます。これが大事です。そのためにワー
ファリンという血栓溶解剤を使います。
死ぬのは、これです。だいたいは心室頻拍によって死にます。それで電気シ
ョックで、治すしか無いのですが。
WPW も省略します。
それにいく途中の段階。トルサドポアントというのがあります。先ほど言っ
た、T 波のところにちょうど不整脈が入りました。そうするとこういうのが
ずっと続くことになるので、QT が延びている人、そう言う人ほど危険です。
これは徐脈の方です。これは良いですね。
薬。不整脈の薬というのは4種類くらいあります。
房室ブロック、これも徐脈の不整脈の一種です。
最後は心肺蘇生法。これは皆さん、どこかで聞いたことがあると思います。
気道を確保してもらって、あごを引っ張るとここの舌根沈下が起きにくいで
す。5:1、圧迫5に対してというのをやるのですが、最近は、口は、最初
の2 〜3分だったら肺の中に十分酸素があるので、心臓マッサージだけでも
良いと言われています。とりあえず、ここをマッサージしてみる。そうする
と、動き始めるかもしれません。そうすると呼吸も始まります。
最近は薬物療法以外に、
非薬物療法ですね。
ペースメーカーは言いましたが、
アベレーションといのはカテーテルを入れて、卵円孔のところ、中隔のとこ
ろを突き破るというか、もともと穴があいているのでそれを利用して、肺静
脈のところ。昔は肺静脈を焼いていたのですが、心房細動の治療で。心房細
動のときにはここからいっぱい出ています。肺静脈のところから。ここのと
ころを焼いて出ないようにするというのが今はやりです。