米国健康勧告値および試算値(PDF:366KB)

参考 6
米国健康勧告値および試算値
US Drinking water health advisory (HA) program
・目的:一時的な飲料水汚染や法的に規制されていない汚染物質による飲料水汚染の際に
必要な情報や指針を提供
・対象物質:飲料水中に存在する、あるいは存在することが当然予想され、かつ、曝露に
よりヒトに有害な健康影響をもたらす可能性がある物質 (約 200 物質)
・毒性情報、
勧告値、
分析法、
飲料水汚染に関連する処理技術などが記載された HA document
が作成されている。
・健康勧告値 (Health advisory: HA):
曝露期間
対象集団*
One-day HA
~5 日間
小児
100%
7 日以内の曝露による非発がん影響
Ten-day HA
~14 日間
小児
100%
7~30 日間曝露による非発がん影響
Longer-term HA
約 7 年間
小児
100%
亜慢性曝露 (90 日から 1 年間)による
(生涯の 10%)
成人
100%
非発がん影響
生涯
成人
20%
慢性/亜慢性暴露による非発がん影響
Lifetime HA
割当率 根拠データ
*小児: 体重 10 kg, 飲水量 1L/day, 成人: 体重 70 kg, 飲水量 2L/day
・算出方法:
HA (mg/L) =
NOAEL/LOAEL (mg/kg/day) x 体重 (kg)
不確実係数 x 飲水量 (L/day)
x 割当率 (%)
割当率、体重及び飲水量に基づいた成人及び小児相当値の試算
・ 対象物質:日本で水道水質基準が設定されている物質のうち、健康に関する項目
◎ 今回は、毒性の質 (短期曝露でおきるのか?小児で起きるのか?など)の評価は行わない
・ 割当率: 100%
・ 成人 (体重: 50 kg、飲水量: 2 L/day)に関する値と小児 (体重: 10 kg、飲水量: 1L/day)
に関する値を算出する。
・ VSD を基に基準値が求められている場合は、参考として、10-4 リスク相当値(成人)と
その値を基に体重と飲水量で換算した小児相当値を示した。
1
表6-1. 水道水質基準設定項目 (健康に関する項目)に関する米国のOne-day/Ten-day Health advisory (HA)
項目
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
カドミウム及びその化合物
セレン及びその化合物
シアン化物イオン及び塩化シアン
四塩化炭素
シス-1,2-ジクロロエチレン及び
トランス-1,2-ジクロロエチレン
ジクロロメタン
クロロ酢酸
クロロホルム
ブロモジクロロメタン
ジブロモクロロメタン
トリクロロ酢酸
ブロモホルム
ホルムアルデヒド
ホウ素及びその化合物
トリクロロエチレン
塩素酸
テトラクロロエチレン
ベンゼン
ジクロロ酢酸
臭素酸
1,4-ジオキサン
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素
23
24
25
26
27
28
水銀及びその化合物
鉛及びその化合物
ヒ素及びその化合物
六価クロム化合物
フッ素及びその化合物
総トリハロメタン
1
2
3
4
5
Chemicals
Cadmium
Selenium
Cyanide
Carbon tetrachloride
Dichloroethylene (cis-1,2-)
Dichloroethylene (trans-1,2-)
Dichloromethane
Monochloroacetic acid
Chloroform
Bromodichloromethane
Dibromochloromethane
Trichloroacetic acid
Bromoform
Formaldehyde
Boron
Trichloroethylene
Tetrachloroethylene
Benzene
Dichloroacetic acid
Bromate
Dioxane pNitrate (as N)
Nitrite (as N)
Mercury (inorganic)
Lead (at tap)
Arsenic
Chromium (total)
Fluoride
-
One-day HA
[mg/L]
0.04
0.2
4
4
20
10
0.2
4
1
0.6
3
5
10
3
2
0.2
3
0.2
4
100
10
0.002
1
-
Ten-day HA
[mg/L]
0.04
0.2
0.2
3
2
2
0.2
4
0.6
0.6
3
0.2
5
3
2
0.2
3
0.4
100
10
0.002
1
-
評価年
1987
1987
1987
?
?
1993
?
1994
2005
2005
?
2005
1993
2008
1987
1987
1987
?
1998
1987
1993
1993
1987
1987
-
表6-2. 割当率、体重及び飲水量に基づいた成人及び小児相当値の試算
項目
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
カドミウム及びその化合物
セレン及びその化合物
シアン化物イオン及び塩化シアン
四塩化炭素
シス-1,2-ジクロロエチレン及び
トランス-1,2-ジクロロエチレン
ジクロロメタン
クロロ酢酸
クロロホルム
ブロモジクロロメタン
ジブロモクロロメタン
トリクロロ酢酸
ブロモホルム
ホルムアルデヒド
ホウ素及びその化合物
トリクロロエチレン
塩素酸
テトラクロロエチレン
ベンゼン
ジクロロ酢酸
臭素酸
1,4-ジオキサン
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素
水銀及びその化合物
鉛及びその化合物
ヒ素及びその化合物
六価クロム化合物
フッ素及びその化合物
総トリハロメタン
基準値
[mg/L]
0.003
0.01
0.01
0.002
0.04
0.02
0.02
0.06
0.03
0.1
0.2
0.09
0.08
1
0.01
0.6
0.01
0.01
0.04
0.01
0.05
10
0.0005
0.01
0.01
0.05
0.8
0.1
基準値設定根拠
評価値
TWI: 7 μg/kg/week
TDI: 4 μg/kg/day
TDI: 4.5 μg/kg/day
TDI: 0.71 μg/kg/day
TDI: 17 μg/kg/day
TDI: 6 μg/kg/day
TDI: 3.5 μg/kg/day
TDI: 12.9 μg/kg/day
TDI: 6.1 μg/kg/day
TDI: 21 μg/kg/day
TDI: 32.5 μg/kg/day
TDI: 17.9 μg/kg/day
TDI: 15 μg/kg/day
TDI: 96 μg/kg/day
TDI: 1.46 μg/kg/day
TDI: 30 μg/kg/day
VSD: 0.4 μg/kg/day
VSD: 0.4 μg/kg/day
VSD: 1.43 μg/kg/day
VSD: 0.357 μg/kg/day
VSD: 0.054 mg/L
-
割当率
10%
10%
10%
10%
10%
10%
20%
20%
20%
20%
20%
20%
20%
40%
70%
80%
-
試算値 (基準値に対する比)
成人 [mg/L]
小児 [mg/L]
0.03 (10)
0.012 (4)
0.1 (10)
0.04 (4)
0.1 (10)
0.04 (4)
0.02 (10)
0.008 (4)
0.4 (10)
0.16 (4)
0.2
0.1
0.3
0.15
0.5
1
0.45
0.4
0.1
0.1
0.4
0.1
0.5
-
(10)
(5)
(5)
(5)
(5)
(5)
(5)
(5)
(10)
(10)
(10)
(10)
(10)
0.08
0.04
0.12
0.06
0.2
0.4
0.18
0.16
0.04
0.04
0.16
0.04
0.2
-
(4)
(2)
(2)
(2)
(2)
(2)
(2)
(2)
(4)
(4)
(4)
(4)
(4)
水道水質基準値 (健康に関する項目)の設定根拠データ
UF
1
1
1000
1000*
1000*
6
7
8
9
10
11
12
13
14
項目
カドミウム及びその化合物
セレン及びその化合物
シアン化物イオン及び塩化シアン
四塩化炭素
シス-1,2-ジクロロエチレン及び
トランス-1,2-ジクロロエチレン
ジクロロメタン
クロロ酢酸
クロロホルム
ブロモジクロロメタン
ジブロモクロロメタン
トリクロロ酢酸
ブロモホルム
ホルムアルデヒド
ホウ素及びその化合物
15
トリクロロエチレン
16
17
18
塩素酸
テトラクロロエチレン
ベンゼン
19
20
21
22
23
ジクロロ酢酸
臭素酸
1,4-ジオキサン
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素
水銀及びその化合物
-
24
鉛及びその化合物
-
25
ヒ素及びその化合物
-
26
27
28
六価クロム化合物
フッ素及びその化合物
総トリハロメタン
-
1
2
3
4
5
1000*
1000
1000
1000
1000*
1000*
1000*
1000*
100
100
1000*
-
動物種
ヒト
ヒト
ラット
ラット
マウス
根 拠 デ ー タ 試験
毒性影響
国内で実施された2つの疫学調査 近位尿細管の機能障害
疫学研究
- (爪の疾患、臨床症状及び生化学検査項目に影響なし)
13週間飲水投与試験
精巣上体及び精巣重量と精子細胞数の用量依存的減少
12週間経口投与試験
肝毒性(血清酵素増加と小葉中心性空胞変性)
90日間飲水投与試験
血清ALP増加
2年間飲水投与試験
肝腫瘍の増加
2年間飲水投与試験
脾臓重量増加
軽度の肝毒性(血清中肝臓関連酵素及び脂肪性嚢胞の増加)
長期(7.5年間)経口投与試験
2年間混餌投与試験
慢性的肝毒性(肝重量増加、肝細胞の脂肪変性及び肉芽腫)
90日間経口投与試験
肝細胞の脂肪変性(空胞形成)の増加
2年間飲水投与試験
体重減少、血中肝臓関連酵素の増加、肝細胞壊死の重篤度上昇
90日間経口投与試験
肝細胞空胞形成の増加
2年間飲水投与試験
体重減少、前胃粘膜壁の肥厚、腎乳頭壊死の増加など
発生毒性試験
胎児体重減少
(21日間混餌投与)
生殖発生毒性試験
ラット
胎児の心臓異常
(交配前~妊娠期間飲水投与)
ラット
90日間飲水投与試験
甲状腺コロイド枯渇
マウス
2年間経口投与試験
肝細胞癌
疫学調査(吸入暴露)
ヒト
白血病
ラット、マウス 2年間経口投与試験
発がんリスク
発がん性
90-100週間飲水投与試験
マウス
ラット
100週間飲水投与試験
精巣の中皮腫増加
?
肝細胞腫瘍
ラット
MetHb血症
文献調査
ヒト(幼児)
疫学上の結果をもとに0.001 mg/L [PTWI for methylmercury: 3.3 ug/kg/wk, 割当率: 10% (WHO, 1996)]が算出されるものの、
我が国における基準の継続性を考慮して、0.0005 mg/L を維持。
WHOのガイドライン値は0.01 mg/L [PTWI: 5 ug/kg/wk, 体重: 5kg, 飲水量: 0.75L/day (人工栄養乳児), 割当率: 50% (WHO,
1996)]。日本人の血液中の鉛濃度・暴露量は、世界的に見ても低いレベルにあることを考慮して、0.05mg/L以下。なお、
鉛毒性の蓄積性を考慮して長期目標値を0.01mg/Lと設定し、おおむね10年間に鉛管の布設替えを行い、鉛濃度の段階的
な低減化を図る。
ヒ素の発がん性に関するリスクアセスメント関連のかなりの不確実さと飲料水からのヒ素除去の実際的な困難さからみ
て、従来からの基準値を維持。
健康影響に基づく最大耐容濃度 (詳細不明)
ヒト
疫学研究の総合的判断
斑状歯発生予防の観点から (詳細不明) (1958)
消毒副生成物全生成量を抑制するための総括的指標。
ラット
ラット
イヌ
ラット
ラット
ラット
ラット
ラット
ラット