本文ファイル

NAOSITE: Nagasaki University's Academic Output SITE
Title
プレストレスを導入した鋼・コンクリート合成タイドアーチの構造
特性
Author(s)
松田, 浩; 三浦, 昌弘; 崎山, 毅; 森田, 千尋
Citation
長崎大学工学部研究報告 Vol.27(49) p. 241-246, 1997
Issue Date
1997-07
URL
http://hdl.handle.net/10069/15024
Right
This document is downloaded at: 2014-10-28T18:30:11Z
http://naosite.lb.nagasaki-u.ac.jp
長崎大学工学部研究報告
第2
7
巻
第4
9
号
2
41
平成 9年 7月
プ レス トレスを導入 した鋼 ・コンク リー ト合成
タイ ドアーチの構造特性
松
崎
田
山
浩*・三
毅*・森
浦 昌 弘**
田 千 尋*
●
Cha
r
a
c
t
e
r
i
s
t
i
c
so
fPr
e
s
t
r
e
s
s
e
dTi
e
dAr
c
hus
l
ng
Co
nc
r
e
t
e
Fi
l
l
e
dSt
e
e
lAr
c
hRi
b
s
by
Hi
r
os
hiMATSUDA*,Ma
s
a
hi
r
oMI
URA**
Ta
ke
s
hiSAKI
YAMA*a
ndChi
hi
r
oMORI
TA*
Ana
r
c
hs
t
mc
t
ur
ec
a
nr
e
duc
et
hema
xi
mumbe
ndi
l
l
gmo
me
nta
ndt
hea
ppl
i
c
a
t
i
o
nso
fapr
e
s
t
r
e
s
s
l
ng
t
e
c
hni
q
uet
ot
hes
t
e
e
ls
t
r
uc
t
ur
ema
kei
tpos
s
i
bl
et
oi
nc
r
e
a
s
et
hel
oa
d
-C
a
r
r
yi
ngc
a
pac
i
t
ya
swe
l
last
o
e
nl
a
r
get
hee
l
a
s
t
i
cr
e
gl
On.
Fur
t
he
r
mo
r
e,t
heul
t
i
ma
t
es
t
r
e
ng
t
ho
fc
o
nc
r
e
t
e
f
i
l
l
e
dr
e
c
t
a
ngul
a
rs
t
e
e
lt
ube
si
shi
he
g
rt
ha
nt
hes
umma
t
i
o
no
fe
a
c
ho
fs
t
e
e
la
ndc
o
nc
r
e
t
eul
t
i
ma
t
es
t
r
e
ngt
hunde
rc
ompo
s
i
t
eac
t
i
o
no
fa
xi
a
lc
o
mpr
e
s
s
i
vef
o
r
c
e
s
a
ndbe
ndi
ngmo
me
nt
s
.
hes
t
mc
t
ur
a
lc
ha
r
a
c
t
e
r
i
s
t
i
c
so
ft
l
l
eC
O
nC
r
e
t
e
f
i
l
l
e
dt
i
e
da
r
c
ha
r
ei
nve
s
t
i
ga
t
ed.
I
nt
hi
sr
e
po
r
t, t
1.まえがき
3
) を考慮 して,景観
筆者 らは これまで上記 (
1
),(
鉛直荷重 を支配荷重 とする構造物の合理的設計法に
的に も優れ る偏平なタイ ドアーチを対象 として,アー
は, (
1
)アーチの ように形態抵抗 による曲げ応力の排
チ部材 にプ レス トレスを導入 した構造の耐荷力特性 に
2
)高性能な構造要素や部材の使用 ,(
3)主部材
除 ,(
関す る研究 を行 って きた.その結果,タイ ドアーチに
へのプ レス トレスの導入な どが考 え られ る.
プ レス トレスを導入する と,アーチ部材には逆モーメ
アーチ構造は桁構造 と比べその力学的性状 に優れ,
ン トを導入す ることにな り,耐荷力が増大すること,
また偏平アーチは景観的に も優れている.その うえ鋼
最適な導入プ レス トレス量が存在す ること,タイ材,
・コンク リー ト合成構造 を用いれば,力学的特性の大
アーチ部材 との剛性比の影響が顕著であることな どが
いな る向上 を得 ることがで きるもの と考 え られ る.
わかった.
鋼 ・コンク リー ト合成構造 とは,薄肉断面の鋼部材
3) に加 えて ,(
2
) を考慮 し,
本文は,上記 (
1
),(
の内部 に コン ク リー トを充填 し一体化 した ものであ
鋼管 にコンク リー トを充填 した合成構造 を用いたアー
り,鋼管 とコンク リー トのそれぞれの強度の和である
チ構造 を対象 としてその力学的特性 を解析的に明 らか
累加強度以上の強度を期待することがで き,軸方 向圧
にす ること,お よび この ような構造の実構造物への適
縮力または曲げモーメン ト,あるいはその両方 を同時
用性 を追求す ることを 目的 とした ものである.
に受ける部材 に対 して, より高い剛性 と優れた耐荷力
特性 を発揮で きるように した ものである.
鋼部材にコンク リー トを充填 した合成柱 をアーチ リ
ブに用いたアーチ橋 に関する研究には文献 1
)な どが
平成 9年 4月2
5日受理
*構造工学科 (
De
pa
r
t
me
ntofSt
r
uc
t
ur
a
lEngi
ne
e
r
i
ng)
**大学院修士課程構造工学専攻 (
Gr
adua
t
eSt
ude
nt
,De
pa
r
t
me
nto
fSt
r
uc
t
ur
a
lEngi
ne
e
r
i
ng)
2
42
松田
浩 ・三浦
昌弘 ・崎山
毅 ・森 田 千尋
あ り,合成柱 として設計す ることにより鋼部材 よりも
くな り,載荷状況の違いにかかわ らず同様の値 を示す
より高い剛性 と優れた耐荷力特性が発揮で きるこ とが
こ とがわか る.また,Fi
g.2よ り,低 ライズアーチの
報告 されている.本文は文献 1
)に基づ き,コンク リー
最大曲げモーメン トは,全載荷等分布荷重を受けた場
トを充填 した鋼 アーチ リブを用いたタイ ドアーチの構
合 ライズスパ ン比が小さ くなる と大 き くな り,f
/
L-
造特性 について調べた ものであ る.景観的 にも優れる
1
/
1
5の とき,f
/
L-1/5の場合の最大 曲げモー メン ト
偏平なタイ ドアーチにプ レス トレスを導入 した り,令
の約 9倍の値 を示す.これ らの結果 は文献 1
)の 2ヒ
成柱 を用いた りすればそのメ リッ トが生 じて くるもの
ンジ,固定アーチの結果 と同 じ傾 向を示 している.す
と考 え られる.
なわち,アーチを低 ライズ化す る場合,全載荷等分布
荷重は最大軸方向力をほ とん ど変化 させないが,最大
2.鋼製アーチの基本構造特性
曲げモーメン トに大 きな影響 を及ぼす.この結果はタ
まずアーチ構造の基本特性 を把握するために, ライ
ズスパン比 f
/
Lをパ ラメータ として各荷重状態
(
1
/
4
イ ドアーチの場合 に も該 当する.鋼管 にコンク リー ト
を充填 したアーチ リブでは,鋼管のみの 自重 に比べて
点集 中荷重 ,1
/
2点集 中荷重,半載荷等分布荷重 ,全
充填 コンク リー トの 自重が全載荷等分布荷重 として付
載荷等分布荷重)に対する一般的な鋼製 タイ ドアーチ
加 されるので,充填 コンク リー トが断面力に大 きな影
構造 に生 じる各最大断面 力を比較検討 した.Fi
g.1,
響を及ぼす ことが予想 される.
Fi
g.2の横軸 は ライズスパ ン比 f/Lであ り,縦軸 は
f
/
L-1/
5の場合の断面力を基準 とした ときの,それ
3.鋼 ・コンク リー ト合成構造か らなる上路アーチの
ぞれ の f/Lの アー チ に生 じる軸方 向 力 お よび 曲げ
構造特性
モー メン トの増加率 であ る.なお, ライズスパ ン比
3.1 鋼 ・コンク リー ト合成構造の構造特性
-1/15の範 囲内の 8ケースで解析 した.
f
/
Lは 1/
5
Fi
g.1よ り,最大軸方 向力はライズが低 いほ ど大 き
4.
0
.
i
j
Te
bl
e.1 設計条件
1等橋
橋格
2ヒンジ上格式 アーチ橋,上路式 タイ ド
形式
荷等分 荷重
3.
5
責 3・
0
載
中荷
混主(
等
生分
.
(
.之
荷
重
4
点)
点L
、
ヽ
貰 2・
5
番 2.
0
、
ヽ、
ヽ
ヽ
■、、、
1.
5
叫
=
≡
ミ
i
1.
0
0.
5
0.
0
0.
06 0.
080.10
0.
12 0.
14 0.
16 0.
18 0.
20
アーチ橋
アーチ支間
l
o
o.
0
m
幅員
7.
0
m
アーチ リブ間隔
6.
0
m
床版厚
2
2.
0
c
m
舗装厚
6_
O
c
m
ライズスパ ン比 .-
1
/
6
,
_
1
/1
5_.
_
鋼垂
3
5
0.
0
k
g/
m2
使用鋼材
SM4
9
0
コンク リー ト設計基準強度 od-2
40
k
g/
cm 2
ライ ズ ス パ ン比 (
I/L)
Fi
g.1
鋼 アー チ の軸 方 向力比
当1
6.
0
■
L
人1
4・
0
荷
等
分荷
主
71
2
・
0
*
中
.
荷
主
重
等
分
.
(
(重
.
_
2
4
_
点
1
)
…
・
il
O
・
0
=
臣8
.
0
6
.
0
□ 甲的 1
)
活荷重b2
)
死荷重 (充填コンクリー ト)
4.
0
2.
0
0.
0
0.
0
6 0.
080.
1
0 0.
1
2 0.
1
4 0.
1
6 0.
1
80.
20
ライズスパン比 (
i/
L)
Fi
g.
2 鋼アーチの曲げモーメン ト比
Fi
g.
3 載荷状況 (
B活荷重)
プレス トレスを導入 した鋼 ・コンクリー ト合成 タイ ドアーチの構造特性
.2
4
3
0
0
mの 2ヒンジ上
Ta
bl
e
.1に示す ようなスパン長 1
路式アーチ橋の設計条件 に基づ き,鋼アーチ橋および
コンクリー ト充填鋼アーチ橋 に発生する断面力を比較
g.
3は道路橋示方書に従 った設計
検討 した.なお,Fi
g.4に示 す断面 A および Bは,それ
荷重であ り,Fi
/
L-1
/
6お よび 1
/
1
5の とき鋼 アーチに作用す
ぞれ f
る断面力をもとに,許容応力度法により決定 した もの
である.
Fi
g.4の断面 A お よび B を有す る鋼 アーチを基準
として,タイ ドアーチ とした場合,およびコンク リー
/
4
トを充填 したアーチ とした場合の,アーチ リブの 1
点 (
荷重作用点)の断面力の比較結果をFi
g.5,およ
Fi
g.
4 断面形状 [C∽]
g.6に示す.タイ ドアーチではタイの断面積が鋼
びFi
アーチ リブの断面積の 3割, 1割 として計算 した もの
(
f 6qr901×)
F
F庄4:轟
A
:
=EAt
/
EA
である.なお,国中の各点は各構造系において,下か
/
6,1
/
8, 1
/1
0,1
/
1
2,1
/
1
5の ときの
ら順 に〟エ-1
値である.これ らの図より,低 ライズの場合,コンク
●
リー トを充填すると,断面力が大 き くなることがわか
▼
▲
る.また,タイ ドアーチにおいてタイの剛性が低けれ
ば,コンク リー トを充填 した ときの断面力の増加が大
.
i
+.
:
.
'
,
Y
メ
きくなることがわかる.すなわち,タイ ドアーチでは
〕
ジアチー
-義 充攻 2ヒ も
2ヒンジアーチに比べて充填 コンク リー トによる断面
力増加量が大 きくなるので, 2ヒンジアーチほ どには
I
.
'
T/
充或タイ ドアーチ (ニ
■
-0
-0
けー
…
.
.
3
1
)
)
■
0.
0 0.
5 1.
0 1.
5 2.
0 2.
5 3.
0
曲げモーメン ト(
×1
0
8k
gf・c
m2)
Fi
g.
5 境界条件の違いによる鋼アーチ と
コンク リー ト充填アーチの断面力の変化
(
断面 A,細長比 a-1
6
0
.
6
)
鋼重減が図れないことがわかる.
しか しなが ら,プ レス トレスを導入することにより
コンク リー トの 自重による断面力の増加分 を相殺でき
ると考 えることができる.そこで,前述の ようなタイ
7
17-チにプ レス トレスを導入 し断面 力の変化 を調
べ,プ レス トレス導入の効果 を検討 した.
3.
2 プ レス トレスを導入 した鋼 ・コンク リー ト合
(
]6q9
0tX)
F
F荘重青
成構造の構造特性
(
I
) 鋼製箱型断面
L-0.
0
5
の場合の鋼製箱型断面 をもつアー
まず,i/
チ橋 について,プ レス トレスを変化 さ.
せて導入 した と
きの曲げモーメン トの変化 を Fi
g.7に示 す.なお,
図の横軸はアーチ橋軸方向の位置の無次元量,縦軸は
曲げモーメン ト量を示 している.同園 より,プ レス ト
レスを導入することによって曲げモーメン トは小さ く
0.
0 0.
5 1
.
0 1.
5 2.
0 2.
5 3.
0
曲げモーメン ト(
×1
0
8k
gf・c
m2)
Fi
g.
6 境界条件の違いによる鋼アーチ と
コンク リー ト充填アーチの断面力の変化
(
断面 B,細長比 a-1
2
6
.
6
)
な る こ とが わ か る. また同様 に軸 方 向力の変 化 を
Fi
g.
8に示す.曲げモーメン トとは反対 に軸方向力は
プレス トレスの導入に伴 って一様に増加する傾 向を示
している.軸方向力が増加 し曲げモーメン トが減少す
るため,部材断面 に対するプ レス トレスの有効性は評
価 しに くい,このため,部材断面の応力度 を算出 し,
プレス トレスの効果を検討 した.
24
4
松田
浩 ・三浦
昌弘 ・崎山
毅 ・森 田 千尋
0
0
0
2
0
0
5
1
0
0
0
1
0
0
5
(N
uL
DJJ6q)
噸F
F頓
0
0
0
5
0
・Jq
G9
0
TX)上人 {1
5
0
-
(EW
0
1
(義
秒 .
的
(
鋼製箱型 断面,
I /L- 0
.
05
,
断面
的
)
,
I
/
L-0・
0
5
,断面 B
_
)
1.
0
B)
Fi
g.
1
0 下縁応力度 の変化
(
銅製箱型断面
0 5 0 5 0
1l 0l 0 0 1
(
ヽ6
q901×)F
F置4:
凄
(
N
u
L
D・
]
6
q
9
0
TX)4人 へ-料+
義
Fi
g.
7 曲げモーメン トの変化
.
O
o・
O
的
,
i
/
L-0・
0
5
,
断面 B)
1
・
0
(
鋼 ・コンクリー ト合成断面
的
1
・
0
,
I
/
L-0.
0
5
,断面 B)
Fi
g.
1
1 曲げモーメン トの変化
(
鋼製箱型断面
Fi
g.
8 軸方向力のの変化
阜2
500
i
≡l
C
T
)L
2000
き.
■
■
・
R1500
哩
1000
■
●
●
●、
′
′
●
∫
.
∫
●l
.
一
一
I
ー
、
、、
、
、
、
ヽ
ヽ
、
、◆
●
●
■
●
、
、
■
●
.ヽヽヽヽ
ヽ
.,
0
㌧
.
.●
◆
●
●
■
■、
、
ヽ
ヽ●
1
5
●
●
■
●
、
一
一
、
,
、
●
■
、
,
、
一
、
■
●■
P
T
,=
2
5
(t
f
f
、
.
、
.
_
、
◆
、
●
●
ー
●
■■
.
/
'
.
■
.
一
.
一
I
■
.
I.
.
I
'
:
′.
∫
.・
●
√
●
●
●
′
ノ
●
′
●
′
●、
、
■
ヽ
.
'
●
■
●
∼■
●
◆
●
500
O
0
的
,
∫
/
エ -0
.
0
5
,断面 B)
(
鋼製箱型断面
Fi
g.
9 上縁応力度の変化
(
ヽ6q901
×)F
F荘4:
青
0
( 300
C
q
2.
3
2.
4
2.
5
_
2.
6
_
2.
7
2.
8
2.
9
3.
0
1・
0
o・
O
的
1・
0
,
∫
/
エ -0
・
0
5
,断面 B)
(
鋼 ・コンク リー ト合成断面
Fi
g.
1
2 軸方向力の変化
プレス トレスを導入 した鋼 ・コンクリー ト合成 タイ ドアーチの構造特性
2
4
5
は 〟エ-0.
05の場合の鋼製箱型断面
Fi
g.
9,Fi
g.
1
0
箱型断面の場合 と同様であるが,プレス トレスを導入
をもつアーチ橋のプレス トレスの導入に伴 う部材断面
の上線お よび下縁の応力度の変化を示 した ものであ
しない とき (
P。re- 0[
t
f]
),箱型断面の場合 と比べて
.
6
倍,軸方向力は約 2倍の値を
曲げモーメン トは約 1
t
j
l程度のプ レス トレスの導入に
る.同図より,250l
示 し,コンクリー トの 自重がアーチに対 して不利な影
k
gf
/
c
m2】)およ
よって上線の圧縮応力度 (
最大2700[
響を及ぼ していることがわかる.
一方,
部材断面の上線
00l
k
gf
/
c
m2])は減少 し,
び下縁の引張応力度 (
最小8
g.
1
3
,Fi
g.
1
4
および下縁の応力度の変化をそれぞれ Fi
7
00l
k
gf
/c
m2
上線,下縁 ともに最大応力度 (
圧縮)が1
に示す.同園 より,5
0
0l
t
f]程度のプ レス トレス量が
]
,最小応力度 (
圧縮)が700l
k
gf
/
c
m2]程度 に変化す
k
gf
/
必要ではあるが,上線の圧縮応力度 (
最大2200[
る (
下縁の引張応力度は圧縮応力度 に変化する).以
c
m2])および下縁の引張応力度 (
最小900l
k
g
f/
c
m2])
上 より,鉛直荷重を受けるアーチ部材へのプレス トレ
は減少 し,上線,下縁 ともに最大応力度 (
圧縮)が1
1
0
0
スの有効性は確認された.
l
k
g
f/
c
m2],最小応力度 (
圧縮)が600l
k
g
f/
c
m2]程度
に変化する.
(
2
) 銅 ・コンク リー ト合成断面
次に,同一断面にコンクリー トを充填 し,さらにプ
以上の結果 より,プレス トレスの導入によって,コ
レス トレスの導入 した ときの曲げモーメン トおよび軸
ンクリー トを充填 した場合の縁応力度を鋼製箱型断面
g.
1
1および Fi
g.
1
2に示す.
方向力の変化をそれぞれ Fi
の縁応力度 よりも小さ くすることが可能であることが
プレス トレスの導入による断面力の変化の傾向は鋼製
わかる.
旦 2500
t
■
・
ヽ
Ql
こ
き.
2000
健
・
R 1500
0 0 0 0
0 0 0L0
6 5 4 3
(
N
uL
DrJ6q)喝 雫擾
( 3000
C
q
堕
200
1000
100
500
0
0
O
的
1.
0
100
的
1.
0
O
(
鋼 ・コンクリー ト合成断面j
/
L-0・
2
,断面 B)
(
鋼 ・コンクリー ト合成断面,
I
/
L-0・
0
5
,断面 B)
Fi
g.
1
5
1上縁応力度の変化
Fi
g.
1
3 上縁応力度の変化
0
0
1
q
)
噸
0
5
FF
擾
0 0 0 0 0
0 0 0 0 0
5 4 3 2 1
(
6
W Jf6
q)喝V填
0
5
1
(
S
W U\ヽ6
0
-500
-
1000
O
的
1.
0
(
鋼 ・コンクリー ト合成断面,
∫
/
エ -0
・
0
5
,
断面 B)
Fi
g.
1
4 下縁応力度の変化
o
去
1.
0
粒
(
鋼 ・コンクリー ト合成断面
,
∫
/
エ -0
.
2
,断面 B)
Fi
g.
1
6 下縁応力度の変化
2
4
6
松田
浩 ・三浦
昌弘 ・崎山
毅 ・森 田 千尋
L-0.
0
5の偏平 アーチ を対象 として解
前述 では f/
を減ずることができる.その うえプ レス トレスの
析 を行 ったが,次にf/
L-0.
2のアーチを対象 として
導入は,鋼製 アーチ よりもさ らなる効果が発揮で
同様 な解析 を行 った.〟エ-0
.
2の場合の鋼 ・コンク
きる.
リー ト合成断面を有す るアーチ部材の上,下縁応力度
をそれぞれ Fi
g.
1
5,Fi
g.
1
6に示す.同国よ り,プ レス
)
今後現実的なプ レス トレス量 を考慮 し解析,
文献 4
トレスの効果 は前述 と同様 に確認 で きる. しか し,
による照査,および弾塑性有限変形解析を行い,鋼 ・
x
/
L-0.
2
5の上線での最大応力度は減少 してい くが,
コンク リー ト合成 アーチの構造特性 について検討 して
p-1
2【
t
f]程度で x
/
L-0.
7
5の下縁 での最大応力度が
x/
L-0.
2
5の上線での最大応力度 よ りも大 き くな るた
い く予定である.
め, ライズスパン比が大 きい場合はプ レス トレスの効
果はあま り期待で きないことがわかる.
参
考
文 献
(
1
) 佐 々木他 ;コンク リー トを充填 した鋼 アーチ リブ
を用 い た ア ー チ 橋 ...,構 造 工 学 論 文 集
4.まとめ
1.アーチ橋のライズが高い場合,アーチ効果は大 き
Vol
.
4
0A(
1
9
9
4)pp.
1
42
5
-1
4
3
6
(
2
) 道路橋示方書 ・同解説 (
平成 6年 2月)
くなるが,プ レス トレスの効果はあま り期待でき
(
3
) 松 田他 ;鋼 ・コンク リー ト合成 タイ ドアーチの構
ない. これに対 して,偏平なアーチ橋の場合はプ
造特性,
土木学会西部支部研究発表会講演概要集 (
辛
レス トレスの大 きな効果 を期待で きる.
成 8年度)p
p.
3
2
-3
3
2.コンク リー ト充填アーチ橋 は,コンク リー ト充填
分・
だけ作用断面力は大 き くなるが,コンク リー ト
との合成効果 によ り鋼製 アーチ よ りも作用応力度
(
4) 阪神高速道路公団 ;合成柱 (
充てん方式)を看す
る鋼製橋脚の設計 ・施工指針 (
秦)