最近の経済・金融情勢 - 農林中金総合研究所

今月の情勢 ∼経済・金融の動向∼
最近の経済・金融情勢
・ 米国では、消費の自律的増加や情報関連機器を中心とする設備投資が牽引役となり、04年後半も4%程度の
成長が続く予想である。しかし、6月非農業部門雇用者の増加が事前予想を下回り雇用拡大期待が後退するな
ど、7月に発表された経済指標の多くは期待倒れで、先行き成長鈍化の懸念を生じている。
・ 米国の政策金利は6月末に0.25%引き上げられたが、グリーンスパンFRB議長など連銀首脳の発言にはイ
ンフレ警戒感が滲む。8月の連邦公開市場委員会での利上げ可否など、今後は利上げペースが注目ポイント。
(前期比年率:%)
米 国 の 経 済 成 長 動 向 (B l o o m b e r g 予 測 集 計 )
9
非 農 業 雇 用 ・製 造 業 新 規 雇 用 者 数 変 化
(6 月 、 単 位 : 千 人 )
400
実績
8
04/07 予測平均
7
40
350
20
300
04/06 予測平均
250
6
0
200
5
4
4.3
4.2
3
▲ 20
150
3.9
4.1
100
3.7
見通し
▲ 40
50
3.6
▲ 60
0
2
▲ 50
1
02/03
02/09
03/03
03/09
04/03
04/09
▲ 80
03/6
03/10
非農業雇用前月比
05/03
04/2
04/6
製造業新規雇用者数(右軸)
Bloomberg データから農中総研作成
見通しはBloomberg社集計の調査機関見通し
・ わが国の生産動向は電子部品・デバイス等ハイテク関連業種が輸出に牽引される形で増加してきたが、足下で
は伸びの鈍化傾向が見られる。また、日銀「短期経済観測」の設備投資計画は上方修正され、当面の設備投資
は増加基調をたどると思われる。しかし、内外景気動向に加え、一部デジタル関連では供給過剰懸念も浮上し
ており、注意が必要だろう。
7
5
3
1
▲ 1
(千億円)
4
11.0
3
10.5
2
10.0
1
9.5
0
9.0
▲ 1
機械受注(船舶・電力除く民需)の推移
単月
3ヶ月移動平均
2004/02
(%)
前年同月比増減率(左軸)
資料 経済産業省「鉱工業生産」
(注) 予測は、製造工業生産予測調査の当月見込みと翌月見込みの季節調整済増減率
7.5
2003/05
前月比増減率(右軸)
2003/08
2002/11
2003/02
2002/05
2002/08
2001/11
▲ 4
2002/02
04年04∼06月見通し
前四半期比:▲3.2%
8.0
2001/05
▲ 3
見通し
8.5
▲ 2
2000/11
▲ 3
▲ 5
▲ 7
▲ 9
▲ 11
▲ 13
▲ 15
2001/08
5
2004/05
経産省予測
2003/11
鉱工業生産の推移
(%)
11
9
内閣府「機械受注」より農中総研作成
・ 景気上昇と物価安定化の期待から量的緩和政策解除への思惑が浮上。これを受け新発10年国債利回りは、
6月17日に1.94%まで一時上昇したが、その後は狭いレンジで推移。消費者物価は原油など商品市況上昇
を背景に価格転嫁もある程度予想されるが、一時的・政策的な要因の剥落もあり下落が続くと予想される。
全国(生鮮食品除く)消費者物価変化率(前年比)
米、独、日本の国債利回り動向
(%)
0.6%
5.0
4.8
電気ガス・水道
公共サ-ビス
一般サ-ビス
農産物(米等)
生鮮食品除く総合
0.6%
2.00
0.4%
0.4%
1.90
0.2%
0.2%
0.0%
0.0%
1.80
4.6
工業製品(含む出版)
1.70
4.4
-0.2%
-0.2%
-0.4%
-0.4%
-0.6%
-0.6%
1.30
-0.8%
-0.8%
1.20
-1.0%
1.60
1.50
4.2
米国 財務省証券10年物国債利回(左軸) 1.40
独国 10年物国債利回(左軸)
4.0
日本 新発10年国債利回(右軸)
3.8
6/02
6/09
6/16
6/23
6/30
7/07
7/14
-1.2%
2001/04
Bloomberg データから農中総研作成
金融市場 2004 年 8 月号
-1.0%
(総務省「消費者物価指数」から農中総研作成)
7/21
18
2001/10
2002/04
2002/10
2003/04
2003/10
-1.2%
2004/04
㈱農林中金総合研究所
最近の主な出来事
月日
政治・財 政
経 済 ・金 融
海 外 ・その他
6月18日(金 ) ・政 府 、イラク復 興 支 援 特 別 措 置 法 の 施 行 令 改 正 ・金 融 庁 、UFJグル ー プに 4件 の 業 務 改 善 命 令 を発
と、自衛隊派遣の基本計画の変更を閣議決定
動
6月21日(月 ) ・経 済 財 政諮 問 会 議 、「日 本経 済 21世 紀 ビジョン」の ・三 井 住友 フィナンシャル グル ー プ、消 費 者 金 融 大 手
策定のため専門調査会を設置することで合意
プロミスを傘下に収め、資本・業務提携で合意
・米 投 資 会 社大 手 カー ライル ・グル ー プと京 セラ、PH
S国内最大手のDDI
ポケットを買収
6月25日(金 ) ・日 銀 、政 策 委 ・金 融 政 策 決 定 会 合 で当 座 預 金 残 高
目標を現行の30兆∼35兆円程度に据え置き決定
6月26日(土 ) ・北 朝 鮮 の 核 問 題 を巡 る6 カ国 協 議 、核 凍 結 へ 向 け
早期に措置をとるとの議長声明を発表し閉幕
・中 央 銀 行 総裁 会 議 、国際 決 済 銀 行(BI
S)規 制 の 抜
本改正案(バーゼル2)を承認
6月28日(月 )
・イラクを占 領 統 治 してきた CPA( 連 合 国 暫 定 当 局 )、
イラク暫定政府への主権移譲完了
6月29日(火 )
・薄 型 テレビの 2003 年 出 荷 額 が 初 め てブラウ ン管 テ
レビを上回る(電子情報技術産業協会)
6月30日(水 )
・インターネ ット関 連 会 社 の ライブドア 、プロ野 球 「近 ・米 FRB、FF金 利 の 誘 導 目 標 を0.25 ポ イント引 き上
鉄バファローズ」を買収する意向であることを発表
げ、1.25%に決定
・サントリー、青いバラの開発に世界で初めて成功
・ECB(欧 州 中 央 銀 行 )、定 例 理 事 会 で 政 策 金 利 を年
2.0%のまま据え置き決定
7月01日(木 )
7月05日(月 )
・ロシア石 油 大 手 ユコス、外 国 の 債 権銀 行団 か ら10
億ドル(約1090億円)の債務不履行を通告される
7月06日(火 )
・米 民 主 党 の 大 統 領 候 補 ケリー氏 、副 大 統 領 候 補に
エドワーズ氏を指名
7月09日(金 ) ・拉 致 被 害者 の 曽 我 ひ とみさん 、インドネ シアの首 都
ジャカルタで家族と再会
7月11日(日 ) ・参 議 院 議 員 選 挙 、民 主 が 大 幅 躍 進 し50議 席 を獲
得、自民は改選議席割れの49議席
7月13日(火 ) ・公 正 取 引 委 員 会 、米 マ イクロソフトに 対 し、独 占 禁
止法違反(不公正な取引方法)で排除勧告
・日銀、展望リポート(4月分)の物価見通し変更せず
7月15日(木 )
7月16日(金 )
・米 インテ ル 4-6月 期 の 決 算 、売 上 高 は 前 年 同 期 比
+18%増。市場予想、会社予想を下回る。
・OPEC、8月から日量50万バレルの増産を決定
・三 菱 東 京 FGとUFJホー ル デ ィング ス 、共 同 持 株 会
社による経営統合を正式発表
7月18日(日 ) ・インドネ シアで再 会 した 拉致 被 害 者 曽 我 ひ とみ さん
一家が帰国
7月20日(火 ) ・三 宅 島 の あ る東 京 都 三 宅 村 の 村 長 、来 年 2 月 に避
難指示を解除する方針を発表
・グ リーンスパ ン米 FRB議 長、議 会 証 言 で、緩 や か な
利上げペースを強調
・米 マイクロソフト、今 後 4年 間 で最 大 750億 ドル (約
8.1兆円)規模の株主還元策を実施すると発表
7月21日(水 ) ・内 閣 府 、実 質 経 済 成 長 率 を1.8% と見 込 ん だ2004年 ・鉄 鋼 各 社 、電 機 ・家 電 向 け 表 面 処 理 鋼 板 など 薄 板
度の政府経済見通しを3.5%に上方修正
鋼板 を10月 出 荷 分 か ら1トン当 たり平 均 7000円 前
・日韓首脳会談
後、10%程度値上げへ
7月22日(木 )
・米 同 時 テロ独 立調 査 委 員 会 、ブッシュ、クリントン新
旧両政府の対策を批判する最終報告書を発表
政府と日銀の景況判断
年 月
政府月例報告
2003年
日銀金融経済月報
7月
おおむね横ばいとなっているが、このところ 一
部 に 弱 い 動 きが み ら れ る
横 這 い 圏 内 の 動 きを 続 け て い る 。 設 備 投 資 は
緩やかな持ち直し基調
8月
お お む ね 横 ば い と な っ て い る が 、景 気 を 巡 る
環 境 に 変 化 の 兆 しが み ら れ る
横 這 い 圏 内 の 動 きを 続 け て い る 。 輸 出 が 近 い
うちに増勢基調を取り戻す
景 気 は 、持 ち 直 し に 向 け た 動 きが み ら れ る
横 這 い 圏 内 の 動 きを 続 け て い る 。 輸 出 環 境 な
ど に 改 善 の 兆 しが み ら れ る
景気は持ち直しに向けた動きがみられる
緩 や か な 景 気 回 復 へ の 基 盤が 整 い つ つ あ る
景 気 は持ち直している
緩やかに回復しつつある
景気は持ち直している
緩 や か に回 復 し て い る
設 備 投 資 と 輸 出 に 支 え ら れ 、着 実 に 回 復 し て
いる
緩やかに回復している
1月
設備投資と輸出に支えられ、着実に回復して
いる。
緩やかに回復している
2月
設備投資と輸出に支えられ、着実な回復を続
けている。
緩やかに回復している
3月
4月
企業部門の改善に広がりがみられ、着実な回
復を続けている
緩やかな回復を続けており、国内需要も底堅
さを増している
5月
企業部門の改善に広がりがみられ、着実な回
復を続けている
緩やかな回復を続けており、国内需要も底固
さを増している
企業部門の改善に広がりがみられ、着実な回
復を続けている
回復を続けている
6月
企 業 部 門 の 改 善 が家計部門に広がり見せ、堅
調 に 回 復を続けている
回復を続けている
7月
9月
10月
11月
12月
2004年
金融市場 2004 年 8 月号
19
㈱農林中金総合研究所
内外の経済金融データ
(%)
(%)
米国ISM製造業景況指数とGDP動向
64
9
62
8
60
61.1 7
58
6
56
5
54
4
52
3
50
2
48
1
46
0
44
▲1
GDP 前期比(右軸)
42
▲2
I
S
M
製
造
業
指
数
(
左
軸
)
40
38
▲3
86/03 88/0390/03 92/03 94/03 96/03 98/03 00/03 02/03 04/03
Bol ombergデータから農中総研作成 ISM(米供給管理協会指数)を3ヶ月先行
(%)
短観の設備投資計画:前年度比の推移
84∼98
平均
1999
5
2004
0
2000
2001
-5
2002
-10
2003
日銀短観より農中総研作成
※
全
規
模
・
全
産
業
-15
3月調査 6月調査 9月調査 12月調査 実績見込 実績
2004
(注)90年代後半の米国GDPの平均成長率は3.7%
(兆円)
400
日経平均株価と東証の時価総額
12,000
日経平均
380
時価総額
11,500
360
11,000
10,000
2003/4/28
7607.88円
320
134.0
利回り
1.85
134.5
135.0
1.75
1.65
136.5
280
9,000
8,500
260
8,000
240
7,500
220
03/01
1.95
133.5
136.0
300
9,500
(新発10年国債利回:%)
Bloomberg データから農中総研作成
135.5
03/05
03/07
03/08
03/10
03/12
04/02
04/04
←債券相場上昇
10,500
340
国債相場の動向
(10年国債先物期近,円)
133.0
債券相場下落→
(円)
12,500
債先
日足
137.0
1.55
137.5
138.0
1.45
138.5
139.0
2004/6/3
1.35
2004/6/13
2004/6/23
2004/7/3
2004/7/13
2004/7/23
04/06
Bol ombergから農中総研作成
(03年1月=
135 100)
130
125
120
115
鉱工業生産(全体とハイテク)の動向
鉱工業生産
一般機械
電子部品・デバイス
精密機械
民生用電子機械
前年同月比 (%)
国内企業物価指数の推移と要因分解
一般機器
2.0
電気精密機器
1.0
化学・プラス
ティック製品
石油・石炭製
品
輸送用機器
0.0
110
105
鉄鋼・金属製
品
▲ 1.0
100
紙パ・木製品
95
85
2003/04
2003/08
経産省「鉱工業生産」から農中総研作成
金融市場 2004 年 8 月号
その他
▲ 2.0
90
総平均(右軸)
2003/12
2004/04
▲ 3.0
2002/05
20
2002/11
2003/05
2003/11
2004/05
㈱農林中金総合研究所
今後の内外中期スケジュール
区分
時期
政 治
04年度 4∼9月 7月 参議院通常選挙
(H16)
7月 臨時国会
国 内
海 外
経済・
金融
9月 「銀行株式保有制限法」で銀 8月 アテネ夏季五輪
行は保有株式を基本的自己資本以
内へ
10∼3月 9月 内閣改造・自民党役 10月 年金保険料引き上げ(予定)10月 G7財務相・中央銀行総
員人事
裁会議、
I
MF・
世銀総会
1月 通常国会
千円、五千円、一万円の各紙幣改 11月 米国大統領選・連邦議
刷
会選挙
11月 ASEAN首脳会議(ビエ
ンチャン)
11月 チリでAPEC首脳会議
1月 自動車リサイクル法施行
1月 1日迄に、WTO新ラウンド
交渉終結
04年度末:「金融再生プログラム」
の不良債権比率半減の達成期限
4月:ペイオフ解禁(除く決済性預 PS等次世代ゲーム機相次い
で投入との観測
貯金)
05年度
(H17)
住民税分の配偶者特別控除の廃 Windows XP後継バージョンを
市場投入
止
固定資産の減損会計完全実施
英国でG8サミット
3∼9月:愛知万博
10月末 TOPI
X浮動株比率の段 EU上場企業によるIASBの国
階的な調整開始
際財務報告基準(IFRS)
採用
デフレ脱却時期目標:05年度以降
06
9月自民党総裁任期切れ
年度
(H18)
金融市場 2004 年 8 月号
12月末 新BIS規制適用開始
(先進 的手 法については7年末か
21
ロシアでG8サミット
2月 イタリア・トリノ冬季五輪
ドイツでFIFAワールドカップ
㈱農林中金総合研究所