特集 電子回路の見方・読み方・作り方 ここが一番やっかいな トラブルを引き起こす! アナログ&電源回路 チェックリスト 大塚 昭一郎,今関 雅敬 Syoichiro Ohtsuka/Masataka Imazeki 1.電源にデカップリング・コンデンサは入っていますか? OP アンプの応用例として,マイコンの A−D コン バータ入力部のセンサ信号増幅回路,D−A コンバー タ出力部の出力駆動回路を想定し(図 1),OP アンプ 回路のチェックポイントを抽出しました. OP アンプは電源にノイズが乗ると,そのノイズま で増幅して出力してしまいます.これが発振の原因に なります.マイコンなどのロジック IC は高速のクロ ックで動作しているため,このクロックに同期したノ イズが電源ラインをとおして OP アンプに伝達されて しまうのです. このため OP アンプの電源ラインにノイズ除去用の デカップリング・コンデンサを挿入します.図 2 のよ うに単電源 OP アンプでは電源−GND 間に,両電源 OP アンプでは V +,V − 電源と GND の間にそれぞれ 挿入します.容量は 0.1 μF 程度が一般的です. 基板のレイアウト上では,デカップリング・コンデ ンサは OP アンプの電源端子の近くに設置するのが効 果的です. 図 3(a)の回路図の配線パターン例を図 3(b) に示します.電源 V +の 8 番ピンの直近にデカップリ ング・コンデンサが配置されています. 市販の OP アンプには,1 回路入り,2 回路入り,4 回路入りの品があります.これらの OP アンプ内部で は,電源は 1 系統しかありません.もし,2 回路入りの マイコン センサ 信号の アンプ A-D コン バータ 図 1 OP アンプはセンサの信号を増幅したりフィルタしたり, D−A コンバータの信号を増幅したりする デンサを IC の真横に置いたとしても,回路 B が回路 A に与える影響を完全に取り去ることはできません. そのような場合は,別々の IC に入っている OP アン プを使うしかありません.さらに各々の IC の電源端 子にデカップリング・コンデンサを接続しておきます. VCC − C R1 IN1 2 −8 3+ R2 1 OUT1 IN2 4 IC 1 2 デカップリング・ コンデンサ + R1 IN1 4 デカップリング・ コンデンサ (a)単電源 V− (b)両電源 図 2 OP アンプの電源にはデカップリング・コンデンサが必須 2013 年 4 月号 7 OUT2 IC 2 2 反転入力端子 の近くに置く R2 1 OUT1 IC 5 + 5+ べたグラウンドで囲う デカップリング・ コンデンサ − 6− (a)電源,GND配線,ピン番号を記載した回路図 V+ VCC 1 ここに使うOPアンプのチェックポイントを紹介 OP アンプで,回路 A はセンサからの直流 5 mV の信号 を 500 mV に増幅,回路 B は 5 VP−P,100 kHz のサイン 波を入出力しているとすれば,デカップリング・コン 出力 駆動 回路 D-A コン バータ イントロダクション 回路図記号マメ辞典 第1章 IN2 C 8 VCC 電源端子の 近くに置く OUT2 (b)パターン・レイアウト例 図 3 デカップリング・コンデンサは電源端子の近くに置く 配線パターン設計者に気持ちが伝わるように回路図を描きたい 79 2
© Copyright 2025 ExpyDoc