国際開発工学専攻説明会および研究室見学会(4/16)の配布資料

東京工業大学 大学院理工学研究科
国際開発工学専攻
Department of International Development Engineering
化学工学の視点から
環境工学の視点から
機械工学の視点から
情報工学の視点から
電気工学の視点から
土木工学の視点から
問題を見つめ、海外から来た学生と共に研究することで
国際感覚と専門能力を身に付けた
新しいエンジニアを目指す
平成17年10月・平成18年4月入学
修士課程進学案内
http://www.ide.titech.ac.jp
専攻説明会および研究室見学会
日時:2005 年 4 月 16 日(土) 14:00~16:00
場所:大岡山キャンパス 石川台 4 号館 地下 1 階 B04/05 会議室
プログラム:
14:00-14:15 専攻の紹介
14:15-14:30 入試の説明
14:30-15:00 専攻を構成する研究室の紹介
15:00-16:00 各研究室の見学(系別,石川台 4 号館および大岡山南 6 号館)
専攻の概要
国際開発工学専攻は,人類の福祉の向上を目標とし,これを工学的及び技術的側面から支えるための教育研究を行なうことを目的と
して,1999 年 4 月に設置された専攻です.
この目標のためには,基礎的な生活水準が得られていない開発途上国及び地域で,社会基盤や経済基盤に関する実効的で効率的な
開発を進めていく必要があります.また,人類に大きく影響する環境問題などの諸問題が,国際的で広い工学的分野に関係しています.
例えば,地球温暖化の問題では,ある一つの国で放出した二酸化炭素が,世界中に影響を与えてしまいます.国際問題というと,人社
系である国際経済や国際関係の専門家が動かしているように思いますが,技術協力という言葉もあるように,実際の開発の現場では専
門技術者が中心的な役割を担っています.開発や環境の問題解決を図るためには,利用可能なあらゆる技術を駆使して,現実的で低コ
ストな方法を探らなければなりません.また,開発途上国に対しても,そのような技術を移転していかなければ,問題を解決することはで
きません.
これらの問題の解答を導き出すために,本専攻では一つの工学分野ばかりでなく,化工,機械,電気・情報,土木系の専門を持つ教員
が協力し,総合的な教育体制を形成しています.さらには,国際協力事業団等とも連係して,国際協力の場で必要となる地域環境・国際
経済などの教育も積極的に行なっています.
国際開発に関する総合的なプログラムを提供するだけでは,人社系の国際開発学と変わりありません.工学に関する専門性の裏付け
があって,初めて技術者としての真価が発揮できます.修士論文研究においては,他の専攻と同様に研究室に所属し,国際開発を意識
しながら,専門性の高い研究に従事することで,技術者としての素養及びスキルを養成します.
日本国憲法前文にあるように,「自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって」,しかも,そうでなければこれからの
問題を解決することはできません.本専攻の教育における最大の目的は,国際的な枠組の中で問題を解決していくことができる能力,勇
気,リーダシップを持った技術者を育成することであり,そのためのカリキュラムを用意しています.
開発の樹:本専攻のコンセプト
実際の運営
【講義】
国際開発および関連する工学技術に関する専門科目を履修します.現在開講されている科目は以下の通りです.詳細は Web ページに
掲載されているシラバスを参照して下さい.講義名が英語の科目は英語により開講されています.
[I系] 国際開発に関する科目,3 科目以上履修(○は必修)
○国際開発プロジェクト特論
発展途上国での一国あるいは複数国を含むプロジェクトの発掘,計画,設計,施工,管理・運営について環境を考慮して解明する.
さらに,ISO,ASTM 等の国際スタンダードについても解説する.
国際環境工学
発展途上国においては,その開発が進む一方で,種々の自然的及び社会的要因が複雑に絡み合った環境問題が生ずる.これらは
地域的な視野のみならず国際的な視野で解決しなければならない.本講では,これらの環境問題の相互関係の全般,個々の環境
問題およびこれらに対する研究,対策等について概説する.
開発プロジェクト演習
発展途上国の主にマクロ経済の向上を目指した国あるいは地域全体の基本計画(交通,通信,エネルギー,コンビナート等)につい
て,作成のプロセス及び計画の妥当性を練る演習とする.特に,学生自身の資料作成能力及び発表能力の向上を図り,インターネ
ット,その他情報収集活動に基づいた計画作成とする.
International Development Projects with Case Method
This course aims at introducing practical approaches to development projects. The important and crucial ability for effective
project management is the ability to think, analyze, discuss, and develop solutions to problems as professionals may
encounter in the field. The case method, using stories based on actual events, is introduced. In order to enhance interest in
development arena and to promote exposure to different areas of development, case materials in this course cover various
fields of development projects.
Mathematical Science in Development Engineering
Basic mathematical science is learned for international developing engineering. Hilbert space, Banach space, linear
functional, projection theorem, and optimum control problem are explained related to the functional analysis and optimization
theorem. Furthermore, their applications are provided.
国際共存
他者と共存していくには相手のことを良く知ると同時に自分のことも良く知る必要がある.企業の海外進出例や報道された国内・国
際問題等を題材に,個人・民族・国家・組織の異なるレベルで自己と他者,また両者の関係について考察を共に行う.
国際実習演習A,国際実習演習B
学生自らが国際開発工学に関連した実習を企画・参加・実施し,開発の現状・実務・技術・教育・研究などの様々な体験を通じて,大
学における実習との関連を体得する.
Sustainable Development and Integrated Management Approach
This course aims at introducing various approaches to sustainable development. The first half of the course looks at major
theories of international development and how they are applied in practical situation. The latter part will take a close look at
on-going development projects in selected countries with implication of role of engineering (and engineers). The students
are expected to participate in discussion and analyze the project from engineering point of view within the context of
“Sustainable Development.”
[II系] 工学技術に関する科目
土木系科目
Advanced Geotechnical Engineering, Regional Atmospheric Environment, Durability and Maintenance of Construction
Materials
電気・情報系科目
Fundamentals of Electrical Engineering, Basic Theories for Information Processing, Rural Telecommunications
化工系科目
国際資源産業論第一, 国際資源産業論第二, 開発プロセスシステム論
機械系科目
国際開発生産システム工学, 開発シミュレーション工学
[III系] 語学科目
International Engineering Communication A, International Engineering Communication B
また,各学生の専門分野に合わせて,関連専攻(化学工学専攻/機械系各専攻/電気・情報系各専攻/土木工学専攻)の講義を,「副
専門」として履修することを推奨しています.
【研究】
各研究室における研究は,必ずしも国際開発を専門とするものとは限りませんが,エンジニアとしての技量を身に付けることをより重視し
ています.ただし,指導教官と相談の上,海外の開発や技術移転に関連したテーマも選択できます.
研究室における輪講や実験は,下記の講究や特別実験として各学期ごとに履修が必要で,すべて必修単位となっています.
[IV系] 講究及び特別実験
○国際開発工学特別実験第一,○同第二,○同第三,○同第四,○国際開発工学講究第一,○同第二,○同第三,○同第四
なお,国際開発工学特別実験第一は,分野を越えた幅広い見識・ネットワークを身に付けるために,異なる系の研究室の研究を体験す
るもので,異なる分野から構成される本専攻ならではの科目となっています.
【海外研修等】
「国際実習演習A」「国際実習演習B」(I系)では,さまざまな海外研修を自分で計画・実施して,単位を取得することができます.詳細に
関しては各教員にお尋ね下さい.
【修士論文】
本専攻では,修士論文発表会は英語で行います.日頃から英語を使う機会が多いので,学生は抵抗を持たずにレベルの高い発表を行
っています.異なる分野の学生同士が研究を通じて交流する機会でもあります.
修了後の進路
専攻設立以来の修了生の進路は以下の通りです.
平成 12 年度
平成 13 年度
平成 14 年度
平成 15 年度
平成 16 年度
三共(株)
旭化成
三井化学(株)
日揮(株)
日揮(株)
(株)日揮
Calgon Carbon Asia
富士写真フィルム
味の素
(株)日立製作所
三菱ガス化学
昭和アルミニウム(マレー
(株)KOEI
オルガノ(株)
(株)長大
本田技研工業(株)
凸版印刷
ニコン(株)
富士重工業(株)
シア)
九州電力
(株)ニチロ
シャープ(株)
ボッシュ(株)
任天堂(株)
電源開発株式会社
P&G
ソニー・エリクソン・モバイ
マレーシア松下電子部品
大和証券投資信託委託
横河電機株式会社
フジ写真フィルム(株)
NECソフト株式会社
三菱重工業(株)
日本電気
三菱電機(株)
富士通(株)
NTTコミュニケーションズ
横河電機
日本放送協会
(株) NS ソリューション
特許庁
株式会社エーエスイー
日立製作所
(株)日立製作所
NTT 西日本
大成建設(株)
サンマイクロシステムズ
日本アイ・ビー・エム
Ferrotec Corporation
NTT
東洋ビジネスエンジニアリ
トランス・コスモス株式会
日本テレコム
千代田化工建設
(株)奥村組
日本放送協会
東亜建設工業(株)
中央 復 建コ ン サル タン ツ
ニッセイ情報テクノロジ
松下通信工業
(株)アイエスアイディ・ブラ
日本アイ・ビー・エム
松下電器産業
日本放送協会
大成建設
(株)電通リサーチ
(株)企画開発
東洋エンジニアリング
(株)パデコ
清水建設株式会社
日建設計シビル
(株)富士総合研究所
日本ユニシス・ソフトウェア
伊藤忠商事
三井物産(株)
国土交通省
UFJ 銀行
日本下水道事業団
シティバンク(株)
JR九州
国際開発工学専攻(博士)
(株)パスコ
東急建設(株)
JR東海
久寶特許事務所
東芝(株)
野村総合研究所
パシフィックコンサルタンツ
東海旅客鉄道(株)
日本技術貿易(株)
三菱商事
三井住友銀行
横浜市役所
日立製作所(株)
安田火災海上保険
国際開発工学専攻(博士)
国際開発工学専攻(博士)
NOK(株)
社
(株)
東京海上リスクコンサルテ
ィング(株)
ルコミュニケーションズ
ックストン
(株)
(株)
(株)
ング(株)
東洋エンジニアリング(株)
ソフトバンク(株)
千代田化工建設(株)
富士通(株)
独立行政法人鉄道建設・
ニイウス(株)
運輸施設整備支援機構
(株)東京建設コンサルタン
ト
三菱電機(株)
鉄道建設・運輸施設整備
支援機構
国際開発工学専攻(博士)
安川情報システム(株)
集積システム専攻(博士)
ソニー(株)
キノグラム
リクルートスタッフィング
キヤノン(株)
国際開発工学専攻(博士)
岡山大学大学院文化科学
研究科(博士)
神戸大学大学院国際協力
研究科(博士)
就職先の業種としては,製造業(機械・自動車,通信・情報,化学関連),サービス業(エネルギー,情報通信,交通),建設業,シンクタン
ク・総合エンジニアリング,政府機関などが多く占めるほか,大学院博士後期課程への進学者も多くいます.
入学試験
入学試験は,平成 17 年 10 月入学者および平成 18 年 4 月入学者に対して一括で実施します.入学試験は,「口述試験」と「筆頭試験」
の 2 種類があります.なお,下記の日程は予定ですので,正式な試験日程については,募集要項で必ず確認してください.
願書受付
口述試験受験資格者の書類選考(成績証明書および志望理由書による)
6 月 13 日~17 日
7 月 15 日に発送する受験票に口述試験受験資格の有無が明記されています.
有資格者
無資格者
面接により学力試験,志望動機および分野の質
不合格者
口述試験 8 月 4 日
筆頭試験 8 月 16~17 日
筆頭試験の詳細は下記の通りです.
有資格者 8 月 25 日発表
疑などを行い,合否を判定します.口述試験合格
者は筆頭試験・口頭試問が免除されます.
口頭試問 8 月 30 日
面接により志望動機および分野の質疑などを
合格者
行い,合否を判定します.
合格者
合格 9 月 16 日発表
「筆頭試験」の科目は「外国語科目」「専門科目」の 2 科目です.本年度から変更となりましたので,注意して下さい.
【外国語科目】
英語の成績は TOEFL(CBT あるいは PBT),もしくは TOEIC のスコアに基づいて評価します.これらいずれかのスコアを提出しないと受
験できません.TOEFL-ITP,TOEIC-IP 等の団体特別受験制度でのスコアは利用できません.願書提出期限から過去5年間のスコアが
有効です.なお,やむを得ない理由で出願時にスコアを添付できない場合には,出願時に TOEFL(CBT あるいは PBT)もしくは TOEIC
の受験票の写しを提出し,8 月 17 日 17 時までにスコアを専攻長に提出して下さい.
【専門科目】
専門科目は①国際開発工学,②化学工学,③機械・制御情報系,④電気電子工学・電子物理工学,⑤情報工学・通信工学,⑥土木工
学のいずれかを選択し,受験してください.
①国際開発工学
(1) 国際開発に関する基礎知識* (2) 微分積分学
(3) 線形代数学 (4) 力学 (5) 電気磁気学 (6) 熱力学
の中から(1)を含んで 4 問を選択
②化学工学
化学工学専攻と同じ
③機械・制御情報系
機械物理工学専攻・機械制御システム専攻・機械宇宙システム
専攻・情報環境学専攻(機械系)と同じ
④電気電子工学・電子物理工学
電気電子工学専攻・電子物理工学専攻と同じ
⑤情報工学
集積システム専攻・計算工学専攻と同じ
⑥土木工学
土木工学専攻と同じ
*「国際開発に関する基礎知識」の出題範囲は,昨年度までの「国際開発工学」と同一です.なお,工学部開発システム工学科でどのよう
なことを教えているか知りたい人はシラバスを参照して下さい.
http://www.ide.titech.ac.jp/jp/curriculum/undergraduate/H17/syl_b/index.html
また,希望者にはアンケートと引き換えに旧「国際開発工学」(新問題(1)に対応)の過去の試験問題を差し上げます.
【併願】
他専攻と併願する学生は,併願先専攻の専門科目を受験してください.併願できる専攻および対応する専門科目は以下のようになりま
す.なお,併願する場合,本専攻で志望できる指導教員の系には制限があります.
受験する専門科目
併願できる専攻
①国際開発工学
志望可能な教員の系
化工系
機械系
電気・情報系
②化学工学
化学工学専攻
③機械・制御情報系
土木系
化工系
機械系
④電気電子工学・電子物理工学
電気電子工学専攻・電子物理工学専攻
⑤情報工学
集積システム専攻, 計算工学専攻
⑥土木工学
土木工学専攻
電気・情報系
土木系
【学外学生の合格状況】
本専攻では学外生も積極的に受け入れています.昨年度は合格者 19 名中 5 名(上智大学,電気通信大学,立命館大学,東京理科大
学),一昨年度は合格者 33 名中 9 名(東京農工大学,明治大学,慶應義塾大学,天津大学,インドネシア大学,横浜国立大学,武蔵工
業大学,上智大学,千葉大学)が学外受験生でした.
先輩からのメッセージ
浜本 純平 (2003 年度修了)
勤務先 東亜建設工業株式会社
配属先 九州支店:福岡支社(2003-2004)⇒宮古島支社(2004-2005)⇒国際事業部(2005)
自然界の現象はさまざまな要因が絡み合って生じており,会社においては,目の前にある現象・問題をどう捉え,分析し,対処・解決する
かということを求められます.さらに言うと,その現象を捉える情報を得るための,積極性・対人対応(コミュニケーション)・地域に馴染む
適応性,また,その問題を必ず解決するという粘り強さ等が求められていると感じます.
上記に対し,本専攻では,全く違う地域・文化圏において活動されている先生方から,それぞれの活動を通して各地でどのような問題が
起こっており,どのように分析し,どのように解決できたのかということを知ることができました.また,いろいろな地域の留学生と接するこ
とで,文化・考え方の相違を感じ,逆に自分たちにとって何が本当の幸せなのだろうか等の共通の問題に対して意見を交わすことができ
たことは人生の中で大きな財産になったと感じます.大学院で取り組む研究では,研究するということを通して,テーマをどう捉え,どう分
析し,対処・解決するかというストーリーの組立て方を学ぶことができました.また,粘り強く取り組むことがいかに大切か,そしてそれを
達成したときの充実感がどんなものなのか感じることができました.さらに,指導教官の要求レベルは高く,研究を進めるうちに学生が物
事を捕らえるレベルを相当に引き上げてもらえたと思います.
現在の勤務先は,国際開発工学専攻で触れた地域での仕事がほとんどです.その地域では現在も先生方が活動されており,問題が生
じた場合でも大変心強いものとなっています.また,国際開発工学専攻において,国際という大きなフィールドを通して,自分のこと・自分
たちの生まれた地域のこと,暮らしている地域の事等を考えたことは,アイデンティティーを確立するに当たってとても重要であったと感じ
ます.このように,国際開発工学専攻へ進学したことは,現在かけがえのない価値のあるものとなっています.
羽田 勝之(2003 年度修了)
現在 国際開発工学専攻博士課程 2 年生
知らない人に自分の所属が国際開発工学だと言うと,必ず何やっ
てるんですか,と聞かれます.事実,コンセプトにつかみどころが
ないという感覚は,入る前も卒業してみても一緒です.私は在学
中,専門の無線通信の研究に加えて,モンゴルで 2 回,現地の電
力インフラ・エレクトロニクス機器の普及状況の調査に参加しまし
た.そこでは,科学技術に関する深い知識と洞察だけでなく,現地
の方とのコミュニケーション能力,例えば技術に親しくない方々に
も分かりやすく技術的なことを説明したり,アドバイスをする能力,
また,プロジェクトの一員として,のグループの中での振舞い方な
ど,研究室の中では学べないことをたくさん経験できました.一番
痛感したのは,素晴らしい知識や技術も,人に伝えなければ何も
役に立たないし,評価もされない,ということです.技術立国をうたう日本,それを支える技術者こそ,どんな状況にいても自分の役割を
認識し,あるときは旗振り役,あるときはコンサルタント,そしてあるときは研究者として,様々なスキルと柔軟性を身につけるべきだと思
います.この専攻は,それを実体験を通して学べる,貴重な場を提供してくれます.私はようやく社会に出るスタートラインに立ったところ
ですが,その準備段階として,自分の可能性を発掘できたことを有意義に思っています.皆さんも,この学科で自分の可能性を発掘して
みませんか?
各研究室の研究内容
研究内容,指導体制,研究環境などの詳細に関しては,各研究室のホームページを参照するとともに,教員と直接コンタクトして確認して
下さい.各研究室の連絡先及びホームページは http://www.ide.titech.ac.jp/jp/faculty.html から参照できます.
日野出研究室 [email protected] (化工系,石川台 4 号館 4F)
大気および水環境問題について,無機固体化学を基本とした研究を行っています.大気環
境問題において,酸性雨の発生源とされる窒素酸化物に関し,チタニア担持金属触媒を基
礎として自動車排ガス浄化触媒の研究を行い,硫黄酸化物に関しては,シェブレル相と呼ば
れる三元系硫化物を用いた水素化脱硫触媒の研究を行っています.また,悪臭の原因とさ
れる硫化水素について,新規吸着剤の研究も行っています.水環境問題においては,湖沼
ヘドロから吸着剤を製造し,水中の重金属除去に応用する研究を行っています.その他,未
利用無機資源の有効利用など,無機固体に関する研究を行っています.図は排煙脱硝装
置の概念図.
廣瀬研究室 [email protected] (化工系,石川台 4 号館 4F)
バイオテクノロジーの進歩に伴って,多くの生物材料が単離・生成され,化学工学的に用い
ることができます.例えば,血液中成分である抗原や抗体は高分子材料によく吸着します.
この性質を利用して,微量成分を検出するイムノアッセイ法を開発しています.さらに,高分
子材料はラテックスや膜として用いることで,化学ミクロプロセスを構成し,イムノアッセイプ
ロセスにおける物質拡散や透過現象を化学工学的に解析しています.
江頭研究室 [email protected] (化工系,石川台 4 号館 3F)
化学プロセスを構築する際には,各種原料の性状,プロセスの運転条件を左右する環境条
件,プロセスに関連する経済状況,など国や地域によって様々に変化する要素が重要となり
ます.開発途上国におけるプロセスの構築においては,先進国での手法がそのまま利用で
きない場合がある一方で,途上国特有の要素をうまく組み合せることでプロセス構築を進め
ることができる場合もあります.我々は,実験,その結果に基づいたプロセス計算,などを通
して,途上国における特に分離を中心とした化学プロセスの構築について研究しています.
図はマレーシア北部等におけるゴム木材を原料とする家具部品製造プロセスの改良.
高橋研究室 [email protected] (機械系,石川台 4 号館 2F)
電化製品の軽薄短小化はマイクロ実装技術に大きく依存しています.本研究室では,ナノ・
マイクロ実装に必須のボンディングやマニピュレーション技術に関して,精密な実験と理論
の両面から研究を行っています.写真は,超高真空中で任意の固体をイオンビームや光
(熱)で処理し,表面数原子層にある物質と化学状態を確認した上で,固体同士を接触さ
せ,固体間に働く力を精密に計測する自作の装置で,世界唯一のものです.量子統計力学
や分子(動)力学シミュレーション等に基づいて解析しています.メンバーは狭い学問分野や
国内に閉じこもらず,機械,電磁気,材料,等々の基礎知識を総合的に駆使して国際的に
活躍しています.海外の科学技術者も多数出入りして居り,様々な交流が有ります.
持丸研究室 [email protected] (機械系,石川台 4 号館 2F)
水,空気など環境に大きく影響する媒体(流体)の熱流動現象の数理論的解明,食品,高分
子溶融液などいわゆる非ニュートン流体の熱流動現象の数理論的解明,溶融金属の熱流
動現象の解明など対象を限定することなく数値流体力学の研究を行っています.正確,高
精度,高速をモットーに新規に開発したスペクトル差分法を武器に,科学的に真理を追究し
ています.可能なら解析解を追究し,時には数値シミュレーションを行い,国際雑誌に発表し
ています.右下は冷却,加熱水平細線周りの定常流線を表したもので,論文の一部です.
山下研究室 [email protected] (電気・情報系,南 6 号館 2F)
ムーアの法則に代表されるように,計算機の計算速度や通信速度は,指数関数的にその速
度を向上させています.しかしながら,認識や画像処理に関してはその性能は十分ではな
く,本研究室では,より豊かな情報化社会の実現を目指して,パターン認識のための新しい
概念や評価基準の考案,ブロック歪やモスキート雑音を低減できる高性能画像符号化のた
めの新しい方式の検討,効率的で高速に画像を処理するためのプロセッサアーキテクチャ
に関する研究を行っています.右図は,革新的なスケジューリングを可能にする本研究室で
提案している PACCS (PAcked Code Computing System)計算機アーキテクチャのブロッ
ク図を示したものです.
高田研究室 [email protected] (電気・情報系,南 6 号館 2F)
さまざまな応用を見込んだ無線通信および電波応用計測に関する研究を行っています.具
体的には,USB ケーブルの無線化,超高速の無線 LAN,高速道路の自動料金収受,第 4
世代の移動通信など未来のシステムに,主に電波伝搬およびアンテナ技術の観点から取り
組む一方,野生動物の位置検出や方向探知・測距などの計測・信号処理技術も扱っていま
す.研究テーマの多くが内外の大学・企業・研究機関などとの共同研究です.一方,開発イ
ンフラとしての無線通信システムにも取り組んでおり,通信手段のないルーラル地域への迅
速なネットワーク敷設に関してフィールド調査を行っています. 図は超広帯域伝搬経路測
定装置の構成図で,さまざまな屋内環境における測定・モデル化に活躍しています.
太田研究室 [email protected] (土木系,南 6 号館 2F)
不動の大地と思われている地盤ですが,実は常に動いています.宇宙・海洋とならんで,地
盤は未知の世界で一杯です.大自然が悠久の時間をかけて造形した地盤を,学問として研
究する.地震や地殻変動といった自然現象.農山村での農林活動.治山治水・防風防火・
耐震といった防災活動.都市部での生活基盤整備.空港・港湾・道路・鉄道などの運輸交通
施設の整備.自然や人間が地盤にこのような働きかけをする.それに対する地盤のリアクシ
ョンを,地盤材料と地下水の大規模連成コンピュータ・シミュレーションで解明する.これが研
究内容です.やりがいのある新分野もドンドン生まれています.写真は学生と一緒に汚染地
盤浄化技術の実用化実験をしているところです.
大即研究室 [email protected] (土木系,南 6 号館 2F)
21 世紀は,ものを大事にし,環境を考える世紀です.このことも考えて.当研究室では構造
物の維持管理・耐久性を研究対象としています.主として,コンクリート構造物を対象として,
①コンクリート中のイオンの移動,②電気化学的補修工法,③コンクリート中の微小領域,
④世界各地の低品質骨材,④コンクリート中鉄筋の腐食,⑤コンクリート表層部の欠陥評価
手法,に関する研究を行っています.特に,本専攻では,アジアに関連するように心がけ,ア
ジア各地での現地調査や温度・湿度の影響などに多大の関心を寄せています.写真は,コ
ンク リート中への中性化 (炭酸 ガスの浸 入による pH の低下 )に及ぼす骨材周辺 の
ITZ(Interfacial Transition Zone)の影響を示したものです.
神田研究室 [email protected] (土木系,石川台 4 号館 4F)
ヒートアイランドや大気汚染問題に代表されるように,東京などアジアのメガシティーにおけ
る大気環境の悪化は深刻な問題です.本研究室では,従来の気象学・水文学・地理学・土
木工学・建築工学の枠を超えた横断的立場からこの問題に取り組もんでいます.都市圏―
大気圏―水圏におけるエネルギー・水循環を一つのフローとして捉え,野外観測・大規模屋
外実験・スーパーコンピュータシミュレーションなどを駆使して,物理的側面に根ざした都市
計画を提案します.