CSR報告書2010(PDF:8.9MB) - 鴻池組

CSR Report 2010
Corporate Social Responsibility Report
〒530-8517 大阪府大阪市北区梅田3-4-5 毎日インテシオ
TEL.06-6343-3500
http://www.konoike.co.jp/
鴻池組はチャレンジ25キャンペーンに参加しています。
鴻池組 CSR報告書
本レポートの環境配慮について
用紙は、適切に管理された森林から出荷された材を含む森林認証紙を使用し、
インクは、VOC(揮発性有機化合物)の発生を低減する大豆油インクを使用、
有害廃液を排出しない水なし印刷方式を採用しています。
Cert no. XXX-XXX-000
鴻池組の CSR
Contents
〈鴻池組の CSR の柱〉イノベーションの創造
創造
1
創造
2
創造
3
技術に裏付けされた
高品質の創造
社会の安心・安全への貢献
顧客満足度向上
鴻池組の CSR /編集方針
1
トップインタビュー
3
優良な社会資本の整備のために
5
クローズアップ 日和山観光
7
施設工事
お客様の満足のために
9
鴻池組に関わる
人と自然が調和した
ゆたかな環境の創造
環境負荷低減
環境の保全・修復
すべての
人びとからの
環境負荷低減のために
11
環境の保全・修復のために
15
社会的価値向上のために
17
信頼の獲得
夢と誇りを持てる
会社の創造
「社会的価値」の向上
「働きがい」の創出
編集方針
参考にしたガイドライン
第 4 号となる本報告書の発刊にあたって構成を大幅に見直
GRI(Global Reporting Initiative)
し、鴻池組が CSR の柱「イノベーションの創造」として掲げる 3
「サステナビリティ レポーティング ガイドライン 2006」
つの「創造」に沿った記事構成としました。
環境省
また、前号に引き続き、鴻池組が、社会の信頼に応えるため
「環境報告ガイドライン 2007 年版」
「働きがい」の創出のために
21
仕事の「質」を高めるために
23
信頼に応える体制づくり
25
企業の持続性を高めるために
26
情報マネジメント
27
安全マネジメント
28
皆様の声にお応えします
29
会社概要
30
常に社会から
必要とされ、
社会に貢献できる
鴻池組
には「こう変わるべき」と信じて取り組んだ活動の紹介を、報告
書としての網羅性よりも重視し、その活動をいきいきと伝える
発行時期
ために、関係者の声をできるだけ多くとりあげるよう心がけま
今回:2010 年 7 月
した。
次回:2011 年 3 月発行予定
幅広くさまざまなお立場の方に、鴻池組が社会とどのような
ホームページのご案内
鴻池組は適切な情報開示のためにホームページを開設し、
対象範囲
事業活動や保有技術などに関する、より詳細な情報を提供して
対象期間:2009 年度(2008 年 10 月∼2009 年 9 月)
います。また、本報告書ならびに CSR 活動そのものに関するご
ただし、当該期間以前の取り組みや以降の活動報告
意見につきましても、ホームページからお寄せいただくことが
も一部掲載しています。
できます。
対象組織:株式会社鴻池組単体であり、関係会社は含んでいま
http://www.konoike.co.jp/
せん。
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
01
関わりを結ぼうとしているのかをご覧いただければ幸いです。
02
トップインタビュー
Top Interview
社 是
【誠 実】
時代の推移、社会の変化にかかわらず
我々の行動の原点であり、人間関係の
根幹である。
品質保証と顧客満足は「もの創り」の
絶対条件である。
プロ意識を持ち、
きめ細かい配慮と
システマティックな対応が求められる。
【敏 速】
経営理念
る職長を引き続き確保していくため、
「職長マスター制度」の運用を開始
にとり入れることで、当社と協力会社双方の収益向上に役立てようという
考えです。
お客様との関係においては、普段お客様と接している営業担当者の意
見を技術開発に反映させる仕組みとして、
「ソリューション会議」を設置し
・環境と共生し「もの創り」を通して
社会に貢献する。
・
「品質保証」
と
「顧客満足」を提供し、
さらなる相互信頼のもとに永続的な
事業活動を実現する。
・
「夢と誇りを持てる会社」を創造する。
段階からお客様に接触することで、お客様の要望を的確に汲みとり、敏
速にお応えできる体制も構築しています(P9 参照)。
さらには、若手社員の意見を積極的に経営に反映し、経営への参画意
識を高めるべく、
「イノベーション会議」もスタートしました(P23 参照)。
これらの取り組みが具体的な成果となって表れるにはまだ時間が必要
ですが、今後ますますコミュニケーションの充実を図り、外部からの声、
内部の声に真摯に耳を傾けながら、社内の改革を進めていきます。
現場の力を通じ、建設会社の
社会的使命を果たすために
当社の仕事は、多くの人たちの暮らしに利便性、安全性、快適性を提
供するという社会的意義を有しています。一方で、環境に直接手を加える
ことは建設業の宿命でもあり、環境分野には当然注力していかなければ
なりません。ISO14001 に適合した環境マネジメントシステムに従い適切
に対応しているほか、CSR 報告書やホームページを通じて、活動の詳細
代表取締役社長
をお伝えしています。
社会全体の変革期に求められる姿勢
事業としても、ダイオキシン類や PCB による汚染土壌の浄化について、
当社が開発してきたさまざまな技術を結集し取り組んでいるほか、工事
2010 年度は現在実行中の 3 ヵ年中期経営計画の最終年度にあたり、
を行う際は現場の状況を確認し、生物多様性に配慮した施工を行うなど
体質強化を図る
「JUMP」の 1 年であると位置づけ、
「収益力 1%UP への
しています(P16 参照)。
チャレンジ」をテーマに掲げました。2008 年 11 月に私が社長に就任して
建設会社にとっては現場こそが生産拠点であり、また、さまざまな関係
以来、受注額中心から収益重視へのシフト、さらに販管費を徹底的に見
者との接点を持つ、いわば社会に対する窓口でもあります。それゆえ現
直すなどの積み重ねで、全社員が意識改革に取り組んできた結果、計画
場には、地域の方々との融和や環境負荷の低減といった取り組みに加え、
の達成に向け順調に推移しています。現在、社会は、次々と物を消費して
次世代の育成場所としての機能、あるいは環境貢献技術の実証機関とし
いくフロー型から、大切に使い続けるストック型へと大きく舵を切ってい
ての機能など、CSR を果たすための多くの役割を求めています。
ますが、この変化は今後も続いていくでしょう。建設業を取り巻く状況も
私はよくお客様に「なんでも言ってください、無理難題を言ってくださ
刻々と変わっており、技術的な欲求に基づく技術開発ではなく、お客様の
い」とお願いすることがあります。図面どおりにつくることが顧客満足に
ニーズにきめ細かく応えられる技術が重要になっています。
直結するわけではありません。お客様が潜在的に持つ要望を汲みとるに
また、企業としての体力を高めるため、収益力 UP へ向けて蓄積してき
は、現場が中心的な役割を担うことが必要なのです。今後も
「最高の現場
た具体的手法を、従業員や部門に固有のノウハウとしてではなく、会社全
力をもって、お客様の笑顔を最大に!」をスローガンに、現場を支援する
体の力としていつでも引き出せる状態にすることが必要だと考えています。
体制をさらに整えていきたいと考えています。
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
03
幅に減少すると予測されています。優良な建設には欠かせない存在であ
ました。また、
「企画営業設計グループ」を新設し、設計担当者が初期の
企業にとって「速さは力」である。
事業の企画・立案・計画・実行を
素早くなさなければならない。
建設業を取り巻く社会環境が大きく変化していく中で、鴻池組がこれからめざす姿についてご紹介します。
建設業の就業者数は現在約 490 万人ですが、高齢化などにより今後大
しました(P21 参照)。優秀な職長さんの知恵と経験を現場運営に積極的
【懇 切】
最高の現場力をもって
お客様の笑顔を最大に!
コミュニケーションを密にすることで
次のステップへつなげる
04
創造
1 技術に裏付けされた高品質の創造
優良な社会資本の整備のために
高品質なインフラや建物をお客様に提供すること。それが私たち鴻池組の使命であると考えています。
高いレベルの品質は、構造物の長寿命化につながり、長寿命化は地球温暖化防止の有効な手段となります。
既存躯体の有効利用と建物の長寿命化
トンネルの機能向上による長寿命化
既存地下躯体の利用
リノベーションによる長寿命化
活線隣接歩道増設工法
廃棄物の抑制は地球温暖化防止へ向けた重要な課題です。
高 度 経 済 成 長 下で、私 たちはスクラップ&ビルドというフ
交通安全対策の一環としての歩道整備事業が、全国各地で
本工法の特徴は以下のとおりです。
建物の長寿命化が、その主要な解決策ですが、部分的に活用
ロー消費型社会を続け、地球温暖化の原因をつくってきました。
歩道の新設あるいは増設という形で進められています。
■坑口部の用地が狭くても建設できます。
することでも廃棄物を減らすことができます。当社では、既存建
その反省から、環境負荷を抑え長期にわたり使用することがで
しかしながら、トンネルや橋梁の区間については、経済性や
■社会ストックを活かしながら歩道を確保できます。
物の地下外壁や基礎を新設建物に再利用する以下の技術につ
きる
「サステナブル建築」の必要性を痛感し、その普及に取り組
用地取得などの問題から、これらの事業がなかなか進まない状
■開口部の設置により防犯効果が期待できます。
いて、積極的に取り組んでいます。
んでいます。
況にあります。
■活線拡幅工事に比べて経済的です。
①地下外壁を山留めとして利用
「サステナブル建築」は新築だけでなく、既存建物への適用
本工法は、社会ストックである既設の道路トンネルの交通を
■歩道トンネルを車道トンネルの避難坑として利用できます。
既存地下外壁の強度検討をした上で、山留め壁として利用し、
が重要であり、建物の状況の把握と、今後の使用予定に応じた
確保しながら、隣接した歩道トンネルを安全かつ経済的に増設
その内側に新設躯体を構築します。
リノベーション(総合的改修・改造)が求められます。特に安全
するものです。また、既設道路トンネルと新設歩道トンネルとの
②底版を基礎下地盤として利用
性を高める
「耐震改修」や、建物使用に伴うCO2 排出を抑制す
間に、防犯対策としての窓と避難口が設置された構造とするこ
既存の底版を撤去せず、その上部に新設基礎を構築して基
る
「省エネルギー改修」
「設備更新」は、環境にやさしい建物へ
とで、歩行者に対する安全性を高めることができます。
礎下地盤として利用します。既存と新設基礎の間にはラップ
と導くための長寿命化技術です。
[特許登録番号 4180437]
ルコンクリート
(流動化処理土等)を充填し空隙をなくします。
耐震改修
③底版を地盤アンカーの支持材として利用
省エネ
改修
地下工事中は地下水の被圧があると、浮き上がり力が発生し
設備更新
「活線隣接歩道増設工法」概念図
ます。地盤アンカーを用いて浮き上がり対策とする場合には、
底版をアンカー定着する支持材として利用します。
バリア
フリー化
■山留め壁、基礎下地盤としての利用例
防災改修
建物のリノベーション
既存壁の
山留め利用
新設地下躯体
IT 技術
対応
温度制御噴霧式養生システム
(K-tics)
劣化改修
美装
コンバー
ジョン
イメージ
刷新
既存地下躯体
トンネル施工時における長寿命化技術
トンネル構造物の本体部材である覆工コンクリートの施工で
本工法の特徴は以下のとおりです。
は、施工性、構造等の特殊性から、これまでコンクリート打設後
■コンクリートの材齢ごとに最適な養生管理ができます。
の養生に関して十分な対策がとられてきませんでした。このた
■表面の緻密化、強度発現の増進に寄与し、表面の欠陥の発
め、養生不足による表面の欠陥(ひび割れなど)の発生、強度
生を低減することができます。
低下などによる長期耐久性低下の要因となっていました。
■長期耐久性の向上、ライフサイクルコスト
(維持管理,修繕更
本工法は型枠脱枠後、移動式の養生台車を据えつけることに
新費用)の低減、長寿命化を図ることができます。
より、コンクリートを一定期間(7 日間)湿潤状態に養生できるよ
既存基礎を基礎下地盤として利用
う工夫したものです。
既存地下躯体撤去範囲
具体的には微粒子状の霧発生装置により均一な湿度状態に
ラップルコンクリート打設範囲
ある養生空間を形成し、事前解析による温度シミュレーション
イメージ刷新の事例
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
耐震改修の事例(学校)
施します。その結果として品質性能の向上が可能となります。こ
れまで、養生条件の厳しい北海道の 2 現場を含む全国の 7 現場
に導入し、その効果を確認しています。
地下外壁利用例
05
ノズル噴霧状況
と現場における温度・湿度の制御により、最適な養生管理を実
地下外壁・底版利用例
改修前
改修後
温度制御噴霧式養生システム 現場適用状況
06
長年にわたる工事の実績で
「鴻池組に任せておけば安心」という
信頼を寄せています。
日和山観光 様
困難な条件に適切に対応する工事
日和山観光は、地域の観光事業振興のため、創業者の今津文治
郎が昭和 9 年に日和山海岸で水族館を開設したのが始まりです。
当時、民間の水族館は珍しく、その意味では日本のマリンアミュー
ズメントパークの草分けでもあります。
鴻池組に工事をお願いしたのは、昭和 49 年のホテル金波楼改
築工事からですが、それ以前の建物はすべて自社で建ててきました。
「みんなで考え、みんなで造る」というのが創業者のモットーであり、
日本海を臨む「ホテル金波楼」
「城崎マリンワールド」
クローズアップ
日和山観光 施設工事
日和山観光様からの信頼にお応えし
但馬を代表する観光施設の工事に
35 年以上にわたって取り組んでいます。
日和山観光株式会社様(以下、日和山観光様)は、日本海の雄大な景観を一望するホテル金波楼や、年間約 50 万人の観光客
で賑わう城崎マリンワールドなど、但馬地方を代表する観光施設を幅広く展開されています。鴻池組は 1974 年から各種観光施
社長自らスコップをふるい、社員と一緒になって旅館やレストラン
改築工事を行っておりますが、そこでも長谷川所長がホテルのス
などを造り上げてきました。
タッフと緊密に連絡を取り合い、宿泊のお客様からクレームがない
ホテル金波楼も城崎マリンワールドも山陰海岸国立公園の景勝
ように、常に配慮していただいています。
地にあり、そのすばらしい自然に悪影響がないように、工事は細心
の注意が必要です。また、工事期間中もホテルや観光施設は営業
常に進化が必要な観光施設
していますので、お客様の安全確保や騒音などへの配慮も常に必
お客様に心から楽しんでいただくことが、私たちの事業です。そ
要です。城崎マリンワールドの各施設は波打ち際にありますので、
れには建物も魅力あるものでなければいけません。たとえば、城崎
特に冬は日本海の厳しい自然環境下での工事になります。
マリンワールドの各施設は日本海の景観とマッチした重厚な外観
そうした困難な条件に適切に対応し、大きなトラブルもなく工事
になるよう打ち放しコンクリートを採用しています。イルカとアシカ
を進めていただいていることが、35 年以上にわたって鴻池組に工
のショーを開演しているシーランドスタジアムの支柱のない天井
事をお願いしている理由です。現在、
「ホテル金波楼渚館」の客室
や、水族館の「シーズー」にある日本一の水深を誇る水槽など、どの
施設も通常の建築にはない難しさがあります。私たちの難しい注文
設の工事を継続して担当し、厚い信頼をいただいています。
をカタチにしていくには、豊富な経験と高い技術力が必要です。
おかげさまで、城崎マリンワールドは但馬を代表する観光名所と
山陰海岸国立公園の景勝地で
環境とお客さまに配慮しながら難工事に挑む
鴻池組からのコメント
名湯で有名な城崎温泉から車で約 5 分の距離にある日和山海岸
して、年間約 50 万人ものお客様に来場していただいています。しか
チームの一員として、日和山観光様と
素晴らしい関係を築いています。
も、リピーター率は 60%にもなります。何度来られても、常に新鮮
な楽しみを提供するために、毎年ショーの内容を変えたり、新しい
は、山陰海岸国立公園でも屈指の景勝地として知られています。日
私が日和山観光様の工事を初めて担
アトラクションを追加したりと、私たちは常に進化を図っています。
和山観光様がこの地に、水族館を中心とした観光事業を始められ
当させていただいたのは、30 年近く前の
今後も、さらに魅力を増すための改築や増築工事が必要になっ
た の は、昭 和 9(1934)年 にさか の ぼります。そ の 後、食 堂、旅 館、
ことになります。以後、さまざまな工事に
売店などを順次整備され、地域の観光振興に貢献されてきました。
携わりましたが、どの建築も発注者、設計
鴻 池 組 は 1974 年 の「ホテル 金 波 楼」増 改 築 から、水 族 館「シー
事務所、そして当社が一つのチームとして、
ズー」を中心にショーやアトラクションなど多彩な楽しみがある「城
みんなで知恵を出し合い、苦労しながら
崎マリンワールド」の各種施設、さらに関連グループ会社が運営され
日和山観光株式会社
取締役 施設管理部 部長
造り上げてきました。そうしたすばらしい
ているドライブイン、ゴルフ場のクラブハウスなども含めて、日和山
長谷川 吉孝
観光様の主だった工事すべてを施工してきました。現在も「ホテル金
改築工事 工事事務所長
ホテル金波楼渚館客室
り越えてこられたのだと思います。
アクアパレス
ホテル金波楼
すぐ前の海はサザエやアワビの好漁場です。そのため、工事に際し
35 年以上にわたる信頼関係を築いてき
ては周辺環境への細心の配慮が求められます。また、営業中である
ました。その信頼にお応えするため、常
IN▶
喫茶
シーズー
(館内)
ショップ
喫茶
シーランドスタジアム
アジバー
ショップ
カフェ&レストラン
テラス
ダイブ
シーズー
(屋外)
フィッシング
竣工
工事名
「ホテル金波楼」改築工事
ドルフィンタンク
1991 年
「ホテル金波楼」増改築工事
遊覧船マリンビュー
1993 年
城崎マリンワールド「シーズー」改築工事
2000 年
城崎マリンワールド「シーランドスタジアム」建設工事
2003 年
城崎マリンワールド「ダイブ」建設工事
2009 年
城崎マリンワールド「カフェ&レストランテラス」建設工事
ショップ
日和 山 観 光 様とは、当 社 の 諸 先 輩 が
しいと思っています。
1975 年
◀OUT
これらの建物は国立公園に指定されている山陰海岸沿いにあり、
ように、今後もきめ細かな対応と高い技術力で、私たちを支えてほ
●日和山観光様 主な工事
関係があるので、難しい条件の工事も乗
波楼渚館」の客室改築工事が進行中です(2010 年秋竣工予定)。
ホテルや観光施設のお客様の安全確保や騒音などへの配慮も必
に緊張感を持って誠実に対応していくこ
要です。さらに、どの施設も海抜 0 メートルから30 メートルの敷地
とが、私の使命です。日和山海岸に来ら
にあり、波打ち際へのアプローチがないなど、工事にあたっては非
れたお客様に常に新鮮な感動を提供で
常に難しい条件をすべてクリアしなければなりません。
きるよう、日和山観光様はたえず進化さ
兵庫県豊岡市瀬戸 1090
電話:0796-28-2111
http://www.kinparo.com/
鴻池組では各種の建築工事で培った技術や技法、ノウハウ、さら
れています。私たちは工事を通して、そ
●城崎マリンワールド
に土木技術なども駆使して、こうした難工事に挑んできました。今
の進化のお手伝いをしていきたいと考え
後も、誠実な施工と高度な技術で、日和山観光様の信頼と期待に
ています。
お応えしていきます。
●ホテル金波楼
宮
勝美
山陰支店 豊岡営業所長
兵庫県豊岡市瀬戸 1090
電話:0796-28-2300
http://www.hiyoriyama.co.jp/
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
07
てくるでしょう。工事については鴻池組に任せていれば安心という
松本 良彦 様
08
創造
1 技術に裏付けされた高品質の創造
お客様の満足のために
鴻池組は常にお客様の視点に立ち、価値あるソリューション
(お客様の問題解決)&サービスを提供することで、
真のお客様満足を追求していきます。
お客様満足度向上への取り組み
鴻池組は顧客第一主義を掲げ、常にお客様の視点に立ち、
●企画営業設計グループの業務
●リノベーション業務
企画営業設計グループでは、従来の計画設計業務に加えて、
現存する建物の価値を高めて長く機能させることに主眼をお
検証結果を技術開発の方向性にフィードバックすることで、
ソリューションの観点に立ち、大きく二つの業務領域を明確に
いたリノベーション案件が増加しています。特に耐震改修、省エ
お客様により満足していただけるよう、提案力を向上させる仕
しました。一つは土地情報とセットになった新築案件への企画
ネ改修は法改正の後押しを受け、さらには各種の補助金制度も
のか」を追求しています。
組みになっています。
提案業務であり、もう一つは、フローからストック社会への転換
追い風となって、社会的にも注目される市場となっています。
2009 年 5月には、お客様の抱える問題を解決するため、社内に
2009 年 10 月には、さらなる提案力の強化を図るため、設計
を背景としたリノベーション業務です。
リノベーショングループと企画営業設計グループが連携を強化
「市場で何が求められているのか」
「お客様は何を求めている
「ソリューション会議」を組織しました。営業本部が主体となり、本
部門に企画営業設計グループを新設しました。
し、お客様の所有する建物に関するソリューションを提供します。
社と本支店の営業・工務・設計部門のメンバーで構成しています。
また、近年ストック市場が拡大する中、お客様の資産のより
●企画提案業務
特にお客様とのコミュニケーション機会に恵まれる本支店の
有効な活用について提案できるよう、2010 年 4 月にリノベー
企画提案は土地と建物に関するハード面の提案にとどまらず、
営業担当者が、お客様の声(ニーズ)を取りまとめ、ソリューショ
ショングループを営業部門に新設。工務・設計部門の担当者も
補助金活用や資金計画、事業収支計画などを提案することで、
ン会議でブレークダウンし、
「製品やサービスの質と価格の関
参画し、タイムリーな対応を目指しています。
建設事業の川上段階から深く関わっていこうとするものです。
そのために、土地情報は営業部不動産グループ、資金計画・事
係」について、お客様目線での検証を行っています。
業収支は営業部、工程・工法提案は建築部と、さまざまな部門
とのコラボレーションにより、お客様にとって最適な企画提案
を心がけています。
ニーズの把握
・営業担当
・企画営業設計担当
・リノベーション担当
企画営業設計グループの
ミーティング
お客様
しばらく経って同じお客様からまた別の案件についてご
VO
IC
E
お客様の声
「お客様目線とは」
お客様の立場になって
価格は?
商品力は?
ソリュー
ション部門
施工部門
品質は?
アフター
は?
・見積担当
・工務(企画)担当
・現場
ソリューション
会議
ソリューション&
サービスの提供
・営業担当
・企画営業設計担当
・リノベーション担当
技術開発部門
・技術研究所
・技術部
を得るために重要な要素なのではないかと感じました。
井上 光二
●さらなる展開∼「リノベーショングループ」
大阪本店 建築設計部 部長
企画営業設計グループ
そして 2010 年 4 月、
「リノベーショングループ」が新設さ
れました。建物再生に向けて総合的な改修を提案する
「ス
●戸惑いからのスタート
トック&リユース」の時代に必須の部署です。営業部内の組
「営業」という言葉が部署名に加わることによる戸惑い、
織ですが、設計・見積・工務関係者を加えた「社内横断的組
抵抗感。これが長く技術畑で仕事をしてきたグループ員の率
織」として、企画営業設計グループからも私を含む 3 名が関
直な感想です。取り組みのメニューが例示され、イメージが
わることとなりました。部署名だけでなく、今度は実際に「営
概ね確立されてのスタートでしたが、いざ動きはじめると、
業」の一員として活動することになります。他部署のメンバー
どう行動していけばいいのか? 他部署からは何でもやれる
とも積極的に意見を交わし、お客様の立場に立った提案を
「魔法の部署」のように理解されているのでは?と感じたこと
目指して活動中です。
もあります。しかし、それが期待の現れであるなら、それに
●お客様の満足のために…
応えなければなりません。待っている姿勢から、自らが変わ
従来の縦割り組織に風穴をあけた、というのがこの「リノ
ることの必要性が実感されてきたのは、数ヵ月が経過したこ
ベーショングループ」の最大の特徴といえます。そしてその
ろでしょうか。
機動力となっているのが「企画営業設計グループ」です。
●潜在する要望を形に…
従来の設計の枠にとどまらず、お客様の潜在的要望を掘
2009 年 10 月に新設された企画営業設計グループは、お客様
お客様はむしろ少数です。お客様の言葉に潜むニーズを設計
最近、あるお客様から相談依頼を受けました。その時点で
り起こし、真にお客様の求めることを実現できるよう、一歩
目線のソリューション(お客様の問題解決)を常に考え、ゼネコ
のプロとして読み取り、的確に具現化し、タイムリーに提案して
内容は不明です。まずは出向いてお話を伺います。徐々に求
ずつ歩んでいるところです。企画営業設計グループは、着実
ンとしての総合力をフルに発揮した提案を行うための、いわば
いくための組織です。
められていることが判明し、解決策について助言します。
に成長しようとしています。
コーディネーターです。自らのニーズについて、明確に語られる
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
09
企画営業設計グループ
相談が…。こういう地道なことの繰り返しが、お客様の信頼
企画営業設計グループ
担当者の声
10
創造
2 人と自然が調和したゆたかな環境の創造
環境負荷低減のために
∼環境マネジメントシステム∼
地球温暖化防止、廃棄物の減量とリサイクル、省エネルギー、環境配慮設計等について
具体的な数値目標を掲げ、達成に向けた取り組みを通してゆたかな環境を創造していきます。
2009 年度環境目標と実績(2009 年 1 月 1 日∼2009 年 12 月 31 日)
環境方針
施工段階における CO2 排出抑制に向けて目標に掲げていた、
面において、建築施工部門で工期短縮(維持管理エネルギーの
鴻池組は、建設活動を通じて地域社会との相互信頼を深め、環境と調和を図りながら、良き企業市民として果たすべき責任を
建設発生土場内利用率(運搬距離の短縮による CO2 削減)につ
削減)の目標を達成することができませんでした。
全うするとともに、健全な環境を次代に引き継いでいくため、環境経営を推進する。
いて、場内敷地等の問題により、土木・建築施工部門ともに目
その他の目標については、良好な数値で目標を達成しました。
法規制等の順守 … 環境に関する法令、ならびに地域社会との協定等の同意するその他の要求事項を順守する。
標を達成することができませんでした。また、省エネルギーの
環境への取り組み … 環境マネジメントシステムを活用して環境負荷の低減に努め、継続的改善を図る。
目的
○建設作業に伴う地域住民への環境配慮
法令順守
○建設廃棄物の適正処理と減量化
○建設作業に伴う大気汚染および地球温暖化の抑制
地球温暖化防止
○省エネ・省資源・3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進
○生態系保全の推進
廃棄物対策と
リサイクルの推進
○環境保全技術・手法の開発および提案
社
情
会
報
貢
公
献 … 環境保全および環境創出技術を通じて、人と自然の調和したゆたかな環境の創造へ貢献する。
開 … 環境保全の取り組みと実績を、ホームページおよび CSR 報告書を通じて広く一般に開示する。
内部環境監査
全部門
社有車の燃料使用量の削減
前年度使用量を上回らないようにする
59.6ℓ/ 人
56.4ℓ/ 人
○
管理部門
施工段階における二酸化炭素の排出抑制
建設発生土の場内利用率
85%
82.4%
×
土木施工部門
75%
69.2%
×
建築施工部門
燃料使用量の削減
前年度使用量を上回らないようにする
0.95ℓ/t
0.93ℓ/t
○
機材センター部門
用紙等を含む事務用品費の削減
2009 年度予算対比 3%削減
12.9%削減
○
管理部門
16.70%
7.2%
○
土木施工部門
32.50%
30.7%
○
建築施工部門
98.8Kwh/ 延㎡
94.7Kwh/ 延㎡
○
管理部門
12.6kwh/t
12.5kwh/t
○
機材センター部門
56.0%
○
土木施工部門
32.9%
×
建築施工部門
164 件
̶
全部門
廃棄物の最終処分量の削減
最終処分率前年度実績比 2%削減
前年度使用量を上回らないようにする
工事施工における電力使用量の低減
工期短縮 5% の工事件数を対象工事の半数以上とする
総合評価入札における環境関連対応
提案事項の取りまとめ
環境配慮設計の提案
環境関連工事の受注協力
総合入札方式の入札案件のうち技術
評価点で最高得点の 80% 以上を獲得
60%
85.7%
○
土木技術部門
省エネルギー配慮設計
22.2 点
26.0 点
○
建築設計部門
リサクル材採用配慮設計
12.2 点
14.0 点
○
建築設計部門
環境目的に関する設計提案ポイント
35 ポイント/ 百億円
39.4 ポイント/ 百億円
○
土木技術部門
策などに関する重要事項を決定します。また、管理本部長をトッ
監査を年 1 回実施していま
プマネジメントとして環境マネジメントシステムを運用し、環境
す。また、4 月∼6 月にはトッ
保全活動の推進と継続的な改善に取り組んでいます。
プマネジメントによる本支
2009 年度の実績を踏まえて担当部門と協議を行った結果、
店監査も実施しています。
2010 年度も取り組み事項は継続し、目標値についてのみ見直
2010 年度環境目標
(2009 年度内部監査:
トップマネジメントによる本支店監査
外部審査登録機関による審査
(管理本部長)
本社 環境委員会
統括環境管理責任者
(副)統括環境管理責任者
環境管理責任者
環境システム管理者
内部環境監査委員
廃棄物対策と
リサイクルの推進
省エネルギーの促進
20日に受審し、観察事項 2
件、充実点 12 件がありまし
2010 年度目標
※観察事項…ISO の規格に抵触しな
環境配慮設計の推進
いが、時間経過とともに環境に影
響を与えるようであれば、検討を
環境災害件数
0件
全部門
社有車の燃料使用量の削減
前年度使用量を上回らないようにする
56.4ℓ/ 人
管理部門
建設発生土の場内利用率
88%
土木施工部門
土砂の搬入・搬出量の削減
̶
建築施工部門
燃料使用量の削減
前年度使用量を上回らないようにする
0.93ℓ/t
機材センター部門
用紙等を含む事務用品費の削減
2010 年度予算の厳守
施工段階における二酸化炭素の排出抑制
外部審査
土木施工部門
31.50%
建築施工部門
前年度使用量を上回らないようにする
94.7Kwh/ 延㎡
管理部門
工期短縮 5%以上達成の工事件数を
対象工事の昨年度実績以上とする
56%
土木施工部門
工期短縮 2%以上達成の工事件数を
対象工事の 50%以上にする
50%以上
建築施工部門
提案事項の取りまとめ
̶
全部門
総合入札方式の入札案件のうち技術評価点で
最高得点の 80% 以上を獲得
75%以上
土木技術部門
省エネルギー配慮設計
26.0 点
建築設計部門
リサクル材採用配慮設計
14.0 点
建築設計部門
環境目的に関する設計提案ポイント
38 ポイント/ 百億円
土木技術部門
最終処分率前年度実績比 1%削減
電気使用量の削減
工事施工における電力使用量の低減
環境配慮設計の提案
管理部門
6.2%
廃棄物の最終処分量の削減
環境関連工事の受注協力
要する事項
実施担当部門
環境災害の防止
総合評価入札における環境関連対応
た。
しを行うことで、より効果的に運用できるよう改めました。
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
本支店 環境委員会
地球温暖化防止
ジメントシステム評価センターの審査を受審しています。
2009 年度は 11月18日∼
本・支店長
部門、作業所
当社の環境マネジメントシステムが ISO14001 規格に適合し
ていることを検証するため、年 1 回外部審査登録機関(株)マネ
本社 環境システム管理者
目的
法令順守
トップマネジメント
̶
【評価】
○:目標を達成 △:目標は未達成だが前年度より成果がある ×:前年度より悪化
中央安全衛生・環境会議
11
○
内部環境監査委員による
30 部門 92 工事事務所)
実施担当部門
0件
社長を議長とする中央安全衛生・環境会議で、管理方針、方
社 長
評価
0件
電気使用量の削減
環境配慮設計の推進
■環境管理体制
実績
環境災害件数
省エネルギーの促進
2009 年 5 月29 日
環境管理体制
2009 年度目標
環境災害の防止
12
創造
2 人と自然が調和したゆたかな環境の創造
環境負荷低減のために
∼取り組み内容∼
工事現場から発生する産業廃棄物の発生を減量化する取り組みや、
地球温暖化防止のために CO2 排出を抑制する取り組みを積極的に行っています。
産業廃棄物減量化への取り組み
地球温暖化防止への取り組み
産業廃棄物減量化の検討
建設廃棄物排出状況
チャレンジ 25 キャンペーン
施工段階におけるCO2 排出量の推移
工事着工時に行なわれる基準打ち合せの際に、産業廃棄物
2009 年度の建設廃棄物発生量は 505 千 tとなり、2008 年度
CO2 マイナス 25%の達成に向けたチャレンジ 25 キャンペー
2009 年 度の施工段階におけるCO2 排出量原単位は、34.2t
の発生量を予測し、発生抑制するための手法などを検討してい
と比較して 19%減少しました。2008 年度の発生量、最終処分
ンに参加の宣言を行い、ISO14001とあわせて活動を実施して
-CO2/ 億円となり、前年度比 26.2%増となりました。大型建築工
ます。また、産業廃棄物処理業者については、本支店で処理施
率の増加を受け、工事事務所で排出抑制、リサイクルの推進に
います。この活動は施工分野のみではなく、設計、オフィス活動
事の開始時期にあたり、重機稼動数、建設発生土の運搬回数な
設の視察を行い、推薦業者名簿を作成することで、優良業者の
取り組んだ結果、最終処分率は 2 ポイント良化しました。今後
など、当社の事業活動すべてにおいて適用します。
どが増加したことが原因です。
選定に努めています。
も着工前の低減計画、分別排出を促進し、一層の排出抑制、最
次世代に良好な環境を引き継ぐため、積極的な活動を行っ
1990 年度比で原単位は 8.9%の増加、総排出量は 44.6%の
終処分率の低減に努めます。
ています。
減少となりました。2010 年度は、建設発生土の再利用などに努
め、CO2 排出量原単位の削減に取り組んでいきます。
■廃棄物発生量
(千 t)
(%)
9.5
800
10
700
600
5.7
500
7.5
59
8
38
24
400
300
200
399
565
467
2007 年度
2008 年度
2009 年度
100
0
■ 最終処分量
■ リサイクル量
6
120
4
90
2
0
0
25
20
75
59
71
15
67
55
10
5
1990
2006
■ 総排出量
2007
2008
2009
排出量原単位
0
2012(年度)
目標値
建設業において CO2 の排出量が最も多いのは、建設重機と
工事事務所の取り組み事例
は、年々使用現場数、発行枚数とも増加しています。
建設発生土等の運搬車両によるものです。工事事務所では、ア
岡崎花園造成工事(愛知県岡崎市)では、森林造成に使用す
イドリングストップ、省燃費運転の励行を協力会社へ要請して
る土砂の運搬について、近隣ならびに周辺環境への配慮、CO2
います。
排出抑制のために、車両による運搬ではなく、ベルトコンベア
また、省 燃 費 運 転を実 践 するた め の 教 育を工 事 事 務 所で
による運搬を行いました。
行っています。今後もこうした活動を通じて CO2 発生抑制に努
これにより、10t 積みダンプ換算で 96,000 台相当、排出量にし
めます。
て差し引き 190CO2-t の CO2 発生を抑制できました。
(%)
■ 電子マニフェスト使用現場数
電子マニフェスト使用率(対紙ベース)
328
50
43.4
40
30
187
200
138
150
20
20.7
100
10
50
7.8
0
2007 年度
2008 年度
2009 年度
0
■2009 年度外部表彰実績
表彰機関
賞名
工事名称
リデュース・リュース・リサイクル推進協議会
会長賞
此花下水処理場ポンプ場築造工事
リデュース・リュース・リサイクル推進協議会
会長賞
仁賀ダム本体工事
福岡市
福岡市都市景観賞
九州大学(元岡)実験研究棟新営工事
福岡市
福岡市都市景観賞
九州大学(伊都)全学教育施設棟新営その他工事
建築・設備維持保全推進協会
BELCA 賞
NTT 横須賀研究開発センター
愛知県
愛知まちなみ建築賞
岡崎市図書館交流プラザ Libra
ベルトコンベア投入ホッパー
ベルトコンベア全景
ベルトコンベア稼働状況
ヘッドシューター
工事事務所での座学および実技講習会
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
13
30
2006 年度より導入を推進している電子マニフェストについて
250
を受けました。
27.1
23.4
CO2 排出量の削減活動
300
などに対して、右の団体より表彰
35
27.6
電子マニフェスト
350
3R 活動、CO2 削減活動、景観保全
26.9
121
(t-CO2 / 億円)
30
チャレンジ 25 宣言証
■電子マニフェスト使用状況
本支店による処理施設視察
34.2
31.4
60
最終処分率
(件)
工 事 事 務 所で 取り組んで いる、
150
※本年より集計期間を 1月∼12月に変更したため、2007 年度の数量は、
前回 CSR 報告書と変わっています。
工事別産業廃棄物処理計画書・実施書
環境関連表彰の受賞
■施工段階におけるCO2 排出量(総量、原単位)
(千 t)
14
創造
2 人と自然が調和したゆたかな環境の創造
環境の保全・修復のために
鴻池組は「環境保全および環境創出技術を通じて、人と自然の調和したゆたかな環境の創造へ貢献する」ことを
環境方針の中に定め、各現場でさまざまな活動を行っています。
環境修復への取り組み事例
生物多様性保全への取り組み事例
●岐阜市北部地区 産業廃棄物不法投棄事案 特定支障除去等事業対策工事
●嵯峨野線宇津根地区路盤新設他工事
産業廃棄物処理業者による、約 75 万㎥にもおよぶ廃棄物
工事を行うにあたり、事前に現場の状況を確認したところ、
このアユモドキの大きなすみかが橋台施工箇所付近にあ
の不法投棄が発覚し、その後の調査で、埋められている廃棄
工事区域内の桂川支流に国の天然記念物「アユモドキ」が
ることが確認されたため、施工計画を立案するにあたっては、
物が燃焼していること、また、その燃焼によりダイオキシン
生息していることが判明しました。
行政、専門家、発注者および当社で協議を繰り返し、アユモ
類が発生していることが確認されました。
アユモドキはドジョウ科の淡水魚で、姿形や動きがアユに
ドキの生息地を
このダイオキシン類の、大気や浸出水による拡散のおそれ
似ていることからそう呼ばれていますが、ドジョウの仲間ら
守りながらの施
が生活環境保全上の支障と
しく口髭を生やしています。生息環境の悪化により数が激減
工方法を検討し
特 定され、この 支 障を除 去
し、環境省レッドリストの絶
ました。
するた め に「燃 焼 部 分 の 消
滅危惧 IA 類(CR)に指定さ
火」
「高濃度のダイオキシン
れ、現在では琵琶湖淀川水
類に汚染された廃棄物の除
系 および 岡 山 県 の 一 部 に
去」
「急峻なのり面の崩落防
止」を当社が施工しています。廃棄物選別作業
な魚です。
アユモドキ※
施工方法を検討した結果、橋台の施工時には振動・騒音の少
ない工法を採用したり、濁水流出防止のために濁水処理設備
ポイントである消火対策工事では、はじめに補助消火として水蒸
を設置したりといった工夫を行いました。また、橋梁の施工時
気の注入を行います。その後ボーリングで上部から穴を開け、注
を採用しました(右図参照)。
100℃熱源
この工法を採用することで、ア
水蒸気注入
補助消火 70m
10m
4㎏/㎠
る処理を行い、その水を再度消火水として利用しています。
アユモドキ生息地
橋 梁
ます。そのため水処理対策工事としてダイオキシン類を除去す
ドさせて運んでくる横引き工法
70℃熱源
レール
橋 梁︵新設軌道︶
水にはダイオキシン類などの有害物質が含まれる可能性があり
蒸気
橋台
既 存 軌 道
組み立て、設置すべき場所までレールを引いてその上をスライ
ボイラ
∼9 ㎏ / ㎠
■横引き工法の概要図
には、橋梁の組み立てをすみかの近くでは行わず、別の場所で
注水消火
水することにより安全で確実な消火を行っています。
当工事では消火作業に大量の水を使用しますが、使用した
アユモドキの生息地
橋をスライドして
■消火対策工概要図
物掘削・選別工事④場内整備工事の 4 つに分けられます。一番の
水のリサイクル
アユモドキ生息箇所
の み 生 息 する非 常 に 貴 重
施工状況
施工概要
工事は大別すると①消火対策工事②水処理対策工事③廃棄
橋梁設置位置
河 川
ユモドキの生活に悪影響を与え
ることなく、無事に橋梁を設置す
ることができました。
橋台
レール
橋梁横引き状況
当工事は今後、2012 年までダイオキシン類などに汚染され
ている可能性のある不法投棄廃棄物を掘削除去していく予定
さまざまな人たちの協力によって
廃棄物については、ダイオキシン類に高濃度に汚染されてい
です。地域の方々の不安を払拭し、1 日も早く安全で美しい元の
アユモドキ保全活動は、行政や NPO、大学関係者など幅広い
るかどうか峻別を行い、汚染されていないと判断されたものは、
風景に戻すべく工事を進めています。
人たちが関わっており、工事を進めるにあたっては、いろいろと
紙や木くずなどの可燃物、金属くずなどの金属類、土砂などの
貴重なご意見をいただきました。また、工事により影響を受ける
不燃物に選別されます。テントの中で、ベルトコンベアに乗って
可能性のある水路はすべて調査していただき、アユモドキ以外の
流れてくる廃棄物が機械と人の手によって選別されていき、可
生物も含めて施工中一時的に避難させるため、関係者やボラン
燃物は現場の外へ適正に搬出処分、金属類はリサイクル、土砂
ティアのみなさんと協力して捕獲イベントを開催しました。捕獲
などの不燃物は再度ダイオキシン類に汚染されていないことを
した生物は、亀岡市より提供を受けた飼育場所で大学生のみな
こうしてさまざまな人たちのご協力により、アユモドキの生息
確認したうえで、現場内の整形土として再利用しています。
さんに飼育していただき、工事完了後に元の場所に放流しました。
地を守りながら無事に工事を終えることができました。
捕獲イベント風景
※写真提供 /NPO 法人 亀岡 人と自然のネットワーク http://ayumodoki.net/
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
15
土のリサイクル
16
創造
3 夢と誇りを持てる会社の創造
社会的価値向上のために
∼地域社会とのつながり∼
鴻池組は、地域社会とともに発展しつづける企業でありたいと考えています。
「共生」を柱に、従業員一人ひとりが「良き市民」として地域社会に参画できる企業を目指します。
コミュニティとの積極的な関わり
よりよい社会の実現に向けて
地域社会とのコミュニケーション実践例
2008 年 12 月、2 日間にわたり、地元の幼稚園児 110 名を招
待し、記念イベント
「揖屋工区調整池でお絵かき大会」を開催し
IC
E
貢献
VO
共生
ました。発注者や現場所長から調整池の役割などを説明した後、
福田 顕規 様
調整池の底面をキャンバスにして、思いおもい、色とりどりの絵
コミュニティとの積極的な関わり
イベントに参加された
幼稚園の先生の声
意東幼児園 教諭
を描いてもらいました。
現場見学会の開催
話をいただいたときには、興味深い活動だと思う反
するなど、さまざまな形で建設工事への理解を深める活動を
など、調整池の稼動後には体験できない遊びを楽しんでもらい
面、そんなに広いところで、子どもたちがうまくできるの
です。時に振動や騒音を発生させご迷惑をおかけしたり、危険
行っています。
ました。
かと不安がありました。しかし実際に描き始めると、最初
回避のため高い塀で囲うことで、不安を与えてしまうこともあり
このイベントを通じて、地域社会の方々に、本事業が担う役
は隅で固まっていた子供たちが、だんだん広がり、自由
ます。
割などへの理解をさらに深めてもらうことができました。
に喜々として絵を描きはじめ、私たちも楽しくなりました。
従業員が地域社会の方々と直接対話することによって、工事の
VO
鴻池組では、現場見学会を積極的に開催し、工事現場で働く
IC
E
また年少組の園児たちには、手作りの凧あげや、ボール遊び
建設工事は、地域社会の方々にさまざまな影響を与える事業
その際に、現場の方が、危ないところがあればやさしく
現場所長の声
注意をされたり、子どもたちも工事のことを尋ねたり、お
安全性や意義を十分にご理解いただき、地域の方々のご不安
蓮池 巧
を少しでも解消できるよう努力を続けています。また、解放的
工事事務所長
互いにコミュニケーションが取れたことも有意義でした。
北陸新幹線 滑川大掛高架橋工事
こちらの現場は、園児たちの通学路にもあたりますので、
な現場を心がけることで現場の従業員も、より緊張感を持って
工事に取り組むことができます。
また、鴻池組では、自治体職員の方々を対象とした現場見学
会を実施し、発注者と公的機関とのコミュニケーションを促進
安全・安心の面でもつながりができたことは、とても良
今回の見学会に参加された地方自治体職員の方々か
ら、現場視察後、施工方法、技術面、品質管理面、安全面、
かったと思います。このような機会は、なかなかないと思
イベントに参加された意東幼児園の園児た
ち
(島根県八東郡)
青空の下でお絵かき
協力会社等々に関し多岐にわたる質問があり、
「土木技
いますが、機会があれば、他の園児たちにもぜひ経験さ
せてあげたい活動でした。
術者」として、同じ目線でいろいろな問題意識を持ってお
られることを痛感しました。
後日、
「参加した若手課員が、日ごろの疑問が解消し、
岡崎市岩中町住民を対象とした現場見学会
第二東名高速道路 岩中工事
(愛知県岡崎市)
「子ども110 番工事事務所」の設置
清掃活動の実施
とても参考になったと皆喜んでいた」とお聞きし、新幹線
子どもが巻き込まれる事件・事故の被害を少しでも減らすべ
建設工事を行うにあたり近隣環境を汚すことのないよう、さ
事業への理解度向上に多少なりとも貢献できたことをう
く、試験的に「子ども 110 番工事事務所」を設置しました。安全
まざまな配慮や工夫を行っています。さらに、工事に携わる一
れしく思いました。
管理の面から、すべての現場で取り組める活動ではありません
人ひとりが自主的に清掃活動を行うことで、現場周辺の美化に
が、条件が整えば、今後拡大していきたい活動のひとつです。
努めています。また、多くの現場で、地域主催の清掃活動に参
富山県土木部職員の皆様を招いて現場見学
会を開催
北陸新幹線 滑川大掛高架橋工事
(富山県滑川市)
加するなど、積極的かつ広範囲な取り組みを行っています。
地域行事への参加
するよう心がけ、相互理解を深める取り組みを行っています。
理解いただくだけではなく、現場の従業員が地域を理解するこ
また、こうした活動を通じて、工事竣工・引渡し後も、発注者
とも大切であると考えています。そこで鴻池組では、地域社会と
やエンドユーザーの方々が地域社会に溶け込みやすい環境づ
のコミュニケーションの一環として、地域行事に積極的に参加
くりに努めています。
葛原浦海岸清掃活動へ参加
東九州道(蒲江∼県境)浦之迫トンネル南新
設工事
(大分県佐伯市)
子ども 110 番工事事務所 (仮称)福祉センター建築工事(愛知県豊田市 )
仁賀町れんげ祭りに参加しての餅つき風景
仁賀ダム本体工事
(広島県竹原市)
品川区の方々と
「川の日」イベントへ参加
東京都勝島ポンプ所流入管渠工事
(東京都品川区)
通学の生徒への声がけ安全啓発活動
2008-2010 年度 影野トンネル北工事
(高知県高岡郡)
豊作を祈る地元秋祭りへの参加
米原 BP 入江地区道路改良工事
(滋賀県米原市)
職長会主催による付近一斉清掃
(仮称)NFC 丸の内ビル新築工事
(愛知県名古屋市)
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
17
工事を円滑に進めるためには、地域の方々に工事についてご
18
創造
3 夢と誇りを持てる会社の創造
社会的価値向上のために
∼一人ひとりができること∼
「常に社会から求められ、社会に貢献できる鴻池組」であるためには、よりよい社会の実現に向けて、
一人ひとりが「できることから実践していく」意識を持つことが大切だと考えています。
「名チャリ実験」への参加
よりよい社会の実現に向けて
「書き損じハガキキャンペーン」への協力
世界には、経済的な理由などにより学校へ通うことが困難な
おける自転車の放置があります。放置自転車は人や車の交通を
子どもがおよそ 7,500 万人いるといわれています。社団法人日
青年海外協力隊の
方々の声(2)
阻害するだけでなく、撤去や廃棄に多くの費用と労力が投じら
本ユネスコ協会連盟では、そんな子どもたちへ教育の機会を
れています。
与える運動として、世界寺子屋活動を行っています。その活動
り組みはじめました。特に開発途上であったアフリカ諸国の基盤
石黒 千晶 様
この問題を解消するため、2009 年秋から冬にかけて、名古
の 一 つ に「書 き損じハ ガ キ キャン ペ ーン」が あり、鴻 池 組 は
整備工事に積極的に参加し、現在も多くの工事を施工しています。
青年海外協力隊
切りに海外へ進出し、1980 年代に入ると本格的に海外工事に取
VO
鴻池組は、1958 年インドネシアにおける紡績工場の工事を皮
IC
E
現在、日本で社会問題となっていることの一つに、市街地に
海外でのエイズ対策教育の実施
そのアフリカ諸国では、1990 年代よりHIV 感染が大きな問題
屋市で「名チャリ社会実験 2009」という取り組みが試験的に実
2007 年度よりこの活動に賛同し、社内で集めた未使用ハガキ
施されました。これは無料の会員登録をすることによって、名古
を同団体に寄付しています。
となっています。特に南部アフリカは HIV 感染者率が世界で最
今回ご依頼をいただき、キリマネで活動する隊員 3 人
屋市内の放置自転車を、ステーション(専用の貸出・返却場所)
「一人でも多くの子どもたちに学びの場を提供する」̶鴻池
も高いといわれており、各国が種々の予防や治療対策を行って
で協力してエイズ対策教育を行うことができたことをとて
であれば、どこでも借りて利用できるというものです。放置自転
組は微力ながら、今後もこの活動を支援し協力していきます。
います。鴻池組では、現在橋梁工事を施工しているモザンビー
もうれしく思っています。同じ任地にいても、職種の異な
車を有効活用できるうえ、自動車利用により発生する CO 2 排出
クにおいて、近隣住民およびローカル作業員を対象としたエイ
る隊員と現地人がともに一つのことを成し遂げる機会は
量の削減が期待されます。
ズ対策教育を企画し、工事事務所の近郊都市に派遣されてい
少なく、今回の経験は私たちにとって学びの多いものと
この実施期間は、約 2 ヵ月と短いものでしたが、鴻池組も会
る海外青年協力隊(JOCV)の協力を得て、エイズの恐ろしさや
なりました。モザンビークでのエイズ感染は年々上昇して
員登録を行い、営業活動などの外出時に利用しました。こういっ
予防方法などの教育を実施しました。
おり、病院や学校だけでの予防教育ではとても十分とは
た試みに参加することは、社会問題に対する意識の向上をもた
今後も地域の実情に応じた取り組みを続けていきたいと考
いえません。
らします。鴻池組は職員一人ひとりが問題意識を持って行動し、
えます。
このような作業員や近隣住民に対する予防教育は見落
より良い社会の実現に貢献したいと考えています。
た予防教育のため、ぜひ今後も協力して活動していきた
VO
の場だったと感じています。幅広い対象に向けた継続し
IC
E
とされている部分であり、今回は貴重なエイズ対策教育
いと思います。
「名チャリ実験」
参加者の声
柏原 利彦
VO
IC
E
青年海外協力隊の
方々の声(1)
青年海外協力隊の
方々の声(3)
ハガキ1枚の募金で例えば…
ネパール
7 本の鉛筆
アフガニスタン ノート2 冊
■ハガキをネパールでの鉛筆に換算
1939 本
2000
※グラフ上の鉛筆
1 本あたり:500 本
1500
1000
【書き損じハガキ提出実績】
2007・2008 年度
2009 年度
2010 年度
33 枚
76 枚
277 枚
532 本
500
0
231 本
2007・2008 2009
2010(年度)
「チャリティカレンダー市」への協力
「チャリティカレンダー市」という催しをご存知でしょうか。こ
の催しは、不要なその年のカレンダーをチャリティバザーで売
るというもので、1997 年から特定非営利活動法人日本災害救
今回で 3 回目となる社会実験は「ビジネス利用」の可
援ボランティアネットワークにより、毎年 1 月初旬に開催されて
大町 佳代 様
能性も追求したいという趣旨でしたので、さっそく法人会
います。その収益金は、植林活動を行っている団体への寄付金
青年海外協力隊
員登録を行いました。さわやかな秋晴れの日の自転車は
や災害被災者支援活動費として利用されています。
気分も上々でした。
企業では毎年未使用のカレンダーが処分されてきました。鴻
二村 輔 様
今回のエイズ予防啓発活動のように、テレビ局などの
青年海外協力隊
協力を得て、地域社会に企業としての社会貢献を発信す
池組では有効利用のため、2008 年より社内の余剰カレンダー
を集め、カレンダー市に無償提供しています。
ることも、現地の人々にとって情報の利益となると思いま
エコキャップ運動の推進
このような場をいただいて、我々協力隊員としてはこの
す。現地の人々にとっては、企業が行っているプロジェク
社内にペットボトルキャップを集める収集箱を設置し、集まっ
上なくうれしく思っております。成果の程をモニタリングす
トに対する興味はあるものの、なかなか知る機会がない
たキャップを専門のリサイクル業者へ発送しています。
■カレンダー提供実績(2008∼2010 年度)
1000
ることはできませんが、ぜひ継続して実施していきたいと
というのが現状です。
この運動は NPO 法人エコキャップ推進協会が実施している
800
思います。モザンビークだけに限っても、エイズ以外に女
今回のように企業が行っている社会貢献を、その企業
もので、リサイクル業者からの売却金は、ワクチン購入費として
600
性の社会進出、環境問題、教育機会の均等と日本にはな
のプロジェクトも含めてテレビやラジオなどのメディアを
発展途上国へ寄付されています。
いさまざまな問題があります。これらは我々国際協力に従
利用し地域に発信することは、現地の住民たちが自国で
事している者にとっては無視できない問題であり、今後も
行われていることを知るうえでも有益なものとなると思
企業様と協力できる機会があることを願っております。
います。
853 部
579 部
400
200
0
72 部
2008
2009
2010
(年度)
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
19
エイズ教育の実施状況
(モザンビーク・キリマネ市)
VO
エイズの怖さを現地の踊りで表現
(モザンビーク・キリマネ市)
IC
E
名古屋支店 総務部総務課 主任
50 円のハガキは
45 円の募金となります
20
創造
3 夢と誇りを持てる会社の創造
「働きがい」の創出のために
鴻池組は、建設現場が常に
「働きがい」に満ちた職場になるように、
協力会社とともにさまざまな取り組みを行っています。
IC
E
職長マスター認定制度
VO
「職長マスター認定制度」の概要
鴻池組は、2010 年度より
「職長マスター認定制度」の運用を
■職長マスター認定制度 運用計画例
開始しました。これは、優秀な職長を職長マスターとして認定し、
工事計画および工事施工に積極的に携わってもらうことで、現
場運営の効率化、工期短縮などの「生産性と収益性の向上」を
受注前施工検討会
工事契約前
竹下 浩
出席者
・見積段階の工事計画提案
・職長マスター
・コストダウン案の提案
・見積担当者
「職長マスター認定制度」
担当者の声
大阪本店 建築部長
●職長マスターの役割
具体的には「徹底した計画と管理による 3M(無理、無駄、
ムラ)の排除」
「発注者・設計事務所の要望に沿った品質管
理」
「安全・環境面での災害の未然防止」に職長マスターは
当社と一体となり、強力なリーダーシップを発揮していただ
●職長マスター認定制度の導入
きたいと考えています。
当社は従来から
「生産性向上委員会」
「着前会議(着工前
●今後への期待
また、協力会社にとっては、優秀な職長の育成を受注機会の
検討会)」など現場生産性の向上を目指した取り組みを、鴻
現在、躯体職種を中心に建築で 17 名、また土木で 9 名の
増大につなげるという、協力会社と鴻池組の「共栄の実」を確
池組・協力会社が一体となって実施してきました。しかし、建
方を認定し、大阪本店としての制度がスタートしました。今
目指すものです。
(見積段階)
・工務担当者
保するための取り組みと位置づけています。
「職長マスター」認定要件
以下の要件のうち、①および②∼④の要件のうち 2 つ以上を
満たすと認められる職長を職長マスターとして認定しています。
①コスト低減に向けた活動を積極的に実践できる。
工事契約∼
着手
②工程管理に優れるとともに、強力なリーダーシップで
設産業を取り巻く環境が厳しさを増す中、さらに連携を深め
回認定された方たちは、現場間・職長間の情報共有の要と
る取り組みが必要となってきました。このような中で、受注
なり、匠集団「チーム KONOIKE」の主軸を担い、現場運営の
前、受注後にかかわらず、職長の方々の意見を工事計画や
原動力となっていただける方たちです。今後より多くの優秀
現場運営に積極的に取り入れ、職長間の情報共有を行い、
な職長を任命し、大阪本店全現場での活動となるよう、幅を
広げて取り組んでいきたいと思います。
着前会議
出席者
・施工方法、手順の確認、提案
・職長マスター
優秀な職長を育てることによって、受注機会の拡大と収益の
・仮設計画、工程の確認、提案
・関連職種職長
向上を目指す「職長マスター認定制度」を始めました。
・作業役割分担の確認
・工事事務所長
・コストダウン策の提案
・店内管理者
VO
④安全や環境面で災害等を発生させぬよう、
適切な対応を講じることができる。
施工中フィードバック会議
■職長マスター認定制度 概念図
工事期間
受注機会の増大
出席者
・着前会議打合事項の見直し
・職長マスター
・さらなる良化策の提案
・関連職種職長
・工事事務所長
・店内管理者
協力会社
鴻池組
共栄の実
職長マスター
竣工後フィードバック会議
収益向上
職長マスターの声
渡辺 睦翁 様
竹島 民博 様
翁有建設株式会社
翁有建設株式会社
代表取締役
職長
●職長のやりがいにつながることを期待
●今後の課題を次の現場に生かして
職長マスターの取り組みについては、現場運営の効率
今回は記念すべき第 1 回の職長マスターに認定いた
化、生産性の向上につながるだけでなく、安全面や品質
だき、大変光栄に思います。これからは工事に着工前か
面でもよい影響が出るものと思っています。また、現場の
ら関わっていくことで、少しでも仕事の進み具合がよくな
第一線で活躍している職長をこういった形で評価してい
るようにもっていき、それによってコスト縮減、職人の賃
ただけるのは、私ども協力会社からすると非常にうれし
金アップが叶えばと思っています。
いことで、職人の地位向上、ひいては「本人のやりがい」
そのためにも、積極的に打合せの場に参加したいと
・施工方法、手順の検証
・職長マスター
にもつながるものと期待しています。
思っていますが、職長マスターとして受注前から関わって
・仮設計画、工程の検証
・関連職種職長
現在、大阪の建築の現場では、ほぼすべてで着前会議
いく中で、自分たちの意見がどこまで役に立つのだろう
・コストダウン策の検証
・工事事務所長
・今後課題の抽出
・店内管理者
が実施されていますが、私どもが工事受注前や工事竣工
かといった不安もあります。
後に関わることは、ほとんどありませんでした。これから
これからは工事竣工後のフィードバック会議にも参加
は、そういった場にも職長マスターが参加し、意見を述
することで、着前会議などで提案した施工方法やコスト
べたり要望を伝えたりすることで、今以上の収益向上に
ダウン策の検証、反省を行い、今後の課題を抽出して次
つながればと思います。
の現場に生かすことができればと思っています。
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
21
工事竣工後
出席者
職長マスター
所属会社の声
VO
IC
E
③施主要望に沿った品質管理に当社と一体となって取り組める
IC
E
他職種も含めて現場運営を牽引していく能力がある。
22
創造
3 夢と誇りを持てる会社の創造
仕事の「質」
を高めるために
従業員が「働きがい」を持っていきいきと仕事に従事するためには、仕事の「量」に追われる環境を改め、
仕事の「質」を高めていく環境づくりが必要であると鴻池組は考えます。
イノベーション会議の開催
「仕事と生活の調和」に向けた取り組みの推進
イノベーション会議とは、会社に対して経営改善に関する提
加の機会を与えることで意欲を高めるとともに、次世代のリー
鴻池組では「働き方を Change!」をスローガンに、
「仕事と
言を行うための若手社員で構成される会議であり、斬新な着想
ダーを育成することを目的に新設されたものです。
生活の調和」に向けた活動に取り組んでいます。
■「仕事と生活の調和」アクションプラン
仕事(会社)と生活(個人)の調和の推進
一斉土曜閉所の推進や NO 残業デーの実践にあたっては、個
や意見を会社経営に役立てること、ならびに若手社員に経営参
働き方を Change!
人・グループ・工事事務所・部課が自主的に時間をコントロール
しっかり仕事して、きっちり休む
VO
IC
E
し、メリハリ( 仕事の選択と集中 ) をもって業務遂行することで
イノベーション会議
出席メンバーの声(1)
小嶌 淑之
大阪本店 建築設計部設計課 主任
会社の改革をめざして
このような会議を開催したことに対して、当社も本気で体
集まっていますので、自分自身にとっても恵まれた機会を与
効率の向上に努め、スケジュール管理の徹底により総労働時間
えられたと喜びを感じました。
の抑制につなげています。
会議では問題点の抽出は数多くできるものの、なかなか
店内・工事事務所を問わず、個人や職場ごとの休暇・休日の
抜本的な解決策に辿り着けないもどかしさはありますが、継
設定について余裕を持って業務工程に組み込めるよう、定期的
続して会議、検討を行うことによって、会社体質の改善につ
に行われる週間・月間の工程打合会などでは、管理職が中心と
ながると思っております。
なり職場環境の改善を進めています。
会社運営に直結するテーマを扱っているので、抜本的な
質を変え、ボトムアップで意見を取り入れ、会社の変革を目
改革は難しいですが、今後も継続して取り組み、一歩ずつ良
指していることを実感しました。メンバーも全国各部門から
い方向に向かって行けばと考えております。
■「統一土曜閉所運動」閉所率推移
100
鴻池組
日建協平均
58.5
本社 土木本部企画部 企画課長
20
りました。全国からメンバーが集まっていますので、同じ部
0
門でも地域によって考え方も違うことが分かりました。
メンバーの意見がスピーディに反映され、会社として実行
していく事象を目の当たりにした時、真剣に経営について考
メンバーに選ばれた時は正直とまどいました。これまで所
えることが重要であることを再認識しました。
属した部署における問題点については対応してきたつもり
多くの社員が参加し、会社の問題点について共通認識を
ですが、会社全体の問題点の抽出や改善という、経営面か
持って前に進んでいけば、必ず改善されていくと思います。
40.7
ら考える機会があまりなかったからです。土木系職員として
59.0
IC
E
VO
会社が目指すもの
個人が目指すもの
誰もが働きたいと思い、胸を張って
次世代に引き継げる会社
生きがい・働きがいにあふれた
企業人・家庭人としての自立
1. 閉所日を組み入れた工程の立案と確実な実行
一斉土曜閉所の推進【1回 / 月】
NO 残業デーの実施【2 日以上 / 月】
2008 年 6月
2008 年 11月
2009 年 6月
2009 年 11月
3. 休暇取得の推進
有給休暇取得推進日の活用
※
「統一土曜閉所運動」とは、毎年 6月と11月の第 2 土曜日に現場事務所を一斉に閉所し、
「休むことの大切さを考えよう」という運動で、建設業の 38 の労働組合が加盟する
日建協が進めているものです。
※グラフの閉所率は読み替え
(第 2 土曜以外の土曜閉所)を含む数値です。
現場特別休暇(社休)の取得【6 日以内 / 年】
●遅れても被害が大きくないものは、思い切って後回しに。
人事管理者の声
本社 管理本部 人事部長
●一日のうちでデスクワークに集中する時間帯を自分で設
定し、極力約束や外出の予定を入れない。
といった工夫が必要になるでしょう。
具体的な仕事の進め方としては、
いった疑念もありました。
しかし会議に出席した今、普段ならば言いにくい意見や、
現在、鴻池組では「仕事と生活の調和」に関するアクショ
●不要な図表は割愛し、箇条書きでまとめる。
思い切った提案などが発言できる雰囲気が作られており、ま
ンプランを定め、仕事の「質」を高めることに全社をあげて
●会議や打ち合わせ資料は A4 サイズ 1 枚にまとめる。
た社長も毎回出席され、発言に対する回答がその場でなさ
取り組んでいます。残業を減らすには、まず意識改革が重要
といった、自分だけでなく他の人の業務時間をも短縮する
れるなど、メンバーからの提言が経営者に届いている事が
です。残業前提の働き方に慣れていると効率的に働けない
協力や、
実感でき、当初の不安を拭い去ることができました。
ため、
「できれば」ではなく
「絶対に」定時で退社するという
●重要な案件はこまめに上司や顧客に報告し、早めに仕上
当初、このような取り組みは、メンバーの本音が出ない、
会議テーマは難しく、事前準備も大変ですが“ 会社が変
決意が大切です。
げる。
経営陣の協力が得られず、会社の改革に至らないなど、は
わる ”ことを体感でき、会議に出席できることをうれしく感じ
また仕事の優先順位は「緊急度」でなく「重要度」で決定
というような、コミュニケーションを密にすることで手戻りを
たしてこのプロジェクトは成果を生みだせるのだろうか?と
ています。
するという方向性も大切になってきます。
無くすといった取り組みが不可欠だと考えます。
山沢 晴康
大阪本店 建築部建築課 主任
提言が経営者に届いていることを実感
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
23
能力の向上・新たな価値創造による
会社への貢献
2. 時間内に効率的に働くワークスタイルの確立
田村 俊彦
イノベーション会議
出席メンバーの声(3)
一人ひとりの意識改革・働きがいの
向上への支援
できることから始めよう!
39.6
VO
会社の問題点に共通認識を持ち、前へ進む
個人
個人が会社へ
76.4
E
井澤 武史
会社
会社が個人へ
63.1
62.2
40
て具体的なことを検討すると、分かっていないことが多くあ
55.1
IC
VO
IC
E
60
イノベーション会議
出席メンバーの声(2)
やりがいのある仕事と充実した生活のバランスをとりながら、持てる能力を最大限に発揮する
(%)
80
それなりに分かっているつもりでしたが、いざ会議に参加し
∼時間は自分でコントロール∼
24
信頼に応える体制づくり
企業の持続性を高めるために
CSR 推進体制の中核となるCSR 委員会を、社長を中心とする経営陣で構成することにより、
鴻池組は事業活動に伴って発生するさまざまなリスクを早期に把握し、
経営とCSR を一体のものとして捉える体制づくりを行っています。
その影響を最小限に抑えるための体制整備に努めています。
コーポレートガバナンス※
リスクの低減に向けた取り組み
取締役会は 7 名で構成され、うち 1 名が社外取締役です。ま
の取れた経営判断を行う体制としています。
潜在するリスクのピックアップ
た機動的な人事を行うため取締役の任期を 1 年としています。
監査役会は 4 名で構成され、うち 2 名が社外監査役です。年
事業活動に伴って発生するさまざまなリスクについては、で
鴻池組では、公益通報者保護法に準拠した内部通報制度や
社長が議長を務める経営会議は、会社経営に関する重要事
4 回および必要に応じ随時開催される監査役会では、監査方針
きればそのリスクが顕在化する前に抽出し、その要因を除去す
リスク・モニタリング制度を整備し、潜在的なリスクの早期把握
項の審議を行うとともに、各本部長およびその他の業務執行責
の決定、会計監査人からの報告聴取、必要に応じて取締役等か
ることが理想的です。
とその要因の除去に取り組んでいます。
任者が会社の業務執行に関して意見を述べる場として毎月開
らの報告聴取を行うとともに、監査結果などについて監査役相
■潜在するリスクのピックアップ
催され、こうした経営層の意思疎通を欠かさぬことで、バランス
互に意見・情報交換を行っています。
制度名
内部通報
(公益通報)
■コーポレートガバナンス体制
報告されるリスクの種類
コンプライアンス・リスク
(不正・不法行為)
報告媒体・手段
窓口への通報
(電話、メールなど)
株主総会
選任・解任
報告経路(概略)
外部
経営企画室
本支店
選任・解任
選任・解任
社長
倫理・コンプライアンス委員会
CSR 委員会
通報により制度の不備などが明らかになった
場合は委員会で対策を検討
取締役会
取締役 7 名(うち、社外取締役 1 名)
監査
監査役会
監査役 4 名(うち、社外監査役 2 名)
連携
リスク・
モニタリング
選任・解任
リスク全般
経営企画室が
各本支店に対して
ヒアリングを実施
本支店
経営企画室
コンプライアンス・リスクは倫理・
コンプライアンス委員会へ処理を付託
社長
経営会議
各本部
経営企画室
リスク管理対策委員会
CSR 委員会
倫理・コンプライアンス委員会
報告
(管理・営業・土木・建築)
会計監査人
顕在化したリスクの情報集約と対応
CSR 推進部
会計監査
※ コーポレートガバナンス
一般に
「企業統治」と訳されます。経営者の暴走
を監視し、意思決定の透明性を高めるなど、経営
を最適に制御することをいいます。
事業組織
一方、顕在化したリスクに対しては迅速な判断と対応が求め
また顕在化したリスクへの対応やその後の経過については、
られます。そのため顕在化したリスクの種類に応じて、CSR 委員
CSR 委員会他の会議において定例的に報告され、事態が収束
会もしくは社長を中心とする経営層へ情報を迅速に届け、瞬時
に至るまで、会社として目を離さない仕組みになっています。
に的確な対応をとれるように体制を整備しています。
■顕在化したリスクの情報集約
CSR 推進体制
重要懸案事項
報告
鴻池組の CSR 推進体制は、社長を委員長、関連役員をメン
えています。
バーとする
「CSR 委員会」を中心に構築しています。同委員会は、
また CSR 推進専任部署として経営企画室に「CSR 推進部」を
CSR の取り組みに関する施策等の意思決定機関として、CSR 推
設 置し、CSR 推 進 計 画 の 策 定、CSR 推 進 体 制 の 継 続 的 改 善、
進活動の定着と継続を図っています。さらに「CSR 委員会」の下
CSR に関するモニタリング、CSR 関連委員会の運営、CSR に関
部組織として
「倫理・コンプライアンス委員会」
「リスク管理対策
する社内啓発活動など、専属者による部門横断の取り組みを企
委員会」を設置し、CSR 推進活動を総合的に実践する体制を整
画、実行しています。
社長
顕在化したリスクのうち、
報告媒体・手段
報告経路(概略)
「重要懸案事項報告書」
・製品・サービスに関するもの
・コンプライアンスに関するもの
本支店
経営企画室
本支店
管理本部安全環境業務部
本支店
管理本部総務部
CSR 委員会
など早急な対応を要するもの
災害発生報告
その他の
リスクに関する
報告
■CSR 推進体制図
報告されるリスクの種類
労働災害
第三者災害
環境災害
自然災害
火災など
係争案件に関わる情報
取引先の倒産情報など
「災害速報」ならびに
「災害事故発生報告」
所定様式による報告
もしくは社内メールなど
各本部長
各本部長
社長
社長
倫理・コンプライアンス委員会
CSR 委員会
リスク管理対策委員会
(管理、営業、土木、建築)
各本部
経営企画室
CSR 推進部
内部通報制度(公益通報)
相談窓口
危機管理体制の強化
各部門
各部門
各部門
鴻池組では大規模な災害発生を想定した「危機管理対策要
に努めています。2009 年度においては新たに新型インフルエ
CSR の実践
CSR の実践
CSR の実践
綱」を定めるなど、事業継続計画の整備と危機管理体制の強化
ンザ流行への対処方針を策定し、全従業員に周知を図りました。
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
25
制度名
26
情報マネジメント
安全マネジメント
より効率的・効果的な情報化推進とIT の積極的活用̶ 。
建設現場における危険・有害要因を除去し、より安全で快適な職場づくりのために
全社的観点から情報システムのあり方を見直し、内部統制や情報セキュリティのさらなる強化を目指します。
PDCA サイクルをまわし、協力会社とともに災害防止に取り組んでいます。
システム検討委員会
ホームページへのご意見・お問い合わせ
安全管理体制
鴻池組ではお客様の情報や個人情報など、企業内部の情報
鴻池組のホームページは、企業活動に関わるさまざまな情
Plan(計画)
Do(実施)
を適切に管理することが、企業活動を支える重要な要素である
報について適時・適切に公開する場であると同時に、さまざま
労働災害評価システムにより、過去 5 ヵ年に当社で発
危険・有害要因の低減のための施策について、社長を
と考えています。
な立場の方からのご意見やお問い合わせをいただくための重
生した労働災害の分析を行い、危険・有害要因の特定を
議長とする中央安全衛生・環境会議において審議し、安全
その上でさまざまに変化する経営環境に対応するため、より
要な窓口でもあります。
行います。これを踏まえ、特定された要因を低減するた
衛生・環境管理方針ならびに重点実施事項を決定します。
効率的・効果的な情報化推進を目的とし、中期的・全社的展望
ホームページの窓口にいただいたお問い合わせやご意見は、
めの施策を策定しています。
に基づいたシステム計画を策定する
「システム検討委員会」を
貴重なモニタリング資料として分析と課題抽出を行い、より良
2009 年度に設置し、活動を開始しました。
いコミュニケーションの構築に役立てています。
決定された施策を実行するため、本支店では管理計画書
を作成し、職員および協力会社に対して教育を実施します。
2009 年度にいただいたお問い合わせやご意見は 237 件に
■システム検討委員会活動方針
上り、関連する社内の各部門と情報共有を行い、対応に努めま
(1)業務ならびにデータの可視化推進
労働災害評価システム画面
した。
(2)大胆な合理化の推進
(3)内部統制・情報セキュリティのさらなる強化
(4)情報システム構築・運用体制の再整備
現在、システム検討委員会では、活動計画の Phase 1「現行
お問い合わせ・ご意見の
データベース画面
出された問題点や、新たに提起された課題について精査し、一
災害が発生した場合、災害データ入力を行い、危険・
管理方針および目標の達成に向けた本支店の実施状況
有害要因のデータを蓄積します。この登録された情報に
を確認するために、年 4 回の特別パトロールと総括安全衛
基 づ き、次 年 度 に 当
生担当役員による本支店監査を実施しています。
ある、危険・有害要因
を特定します。
部システムの機能改良や新規構築による対応を行っています。
また情報資産を集中的に管理する仕組みを整備したことにより、
Check(評価)
社が取り組む必要が
業務システムの整理・確認」を進める中で、全社的観点から抽
情報セキュリティ対策については、現在の施策を一部刷新し、
Act(改善)
動画版社長メッセージ配信
内部統制や情報セキュリティの単なる強化ではなく、情報シス
社長から役職員へのアナウンスメントはどの企業においても
テムの面からコンプライアンス徹底をより強力に推し進める体
行われるものです。
制が整いました。
鴻池組ではメールなどによる単なる文章発信ではなく、社長
社長パトロール
災害データ入力画面
安全成績
の込めた「思い」が直接役職員へ届くようIT を積極活用し、社
長メッセージをイントラネット上に動画で配信しています。
■活動計画
・業務プロセスの図式化など
・現行システムの課題抽出と改善方法検討
・システム全体の関連性精査など
強度率
2009 年度の死亡災害は 0 件でしたが、発生頻度を表す度数
災害の大きさを表す強度率は、2008 年度に交通災害による
率は昨年度を上回る結果となりました。災害多発に対して、文
死亡(2 件)が発生したため、大きな値を示していますが、この
書により防止対策の徹底を指示しました。
年以外は軽微な災害が主体となっています。
■度数率(災害発生率)の推移
■強度率の推移
(%)
(%)
2.0
1.5
1.89
1.0
1.55
1.0
0.8
0.99
0.97
Phase 3
システム全体計画策定
0.70
0.5
0.6
0.85
0.92
0.0
全体計画を策定
2005 年度
当社度数率
2006 年度
0.4
0.2
0.43
・中期的 / 全社的展望に基づき、
1.10
1.2
1.95
動画版社長メッセージ
27
度数率
2007 年度
建設業度数率
2008 年度
2009 年度
0.0
0.26
0.37
0.12
0.33
0.41
0.14
2005 年度
当社強度率
2006 年度
2007 年度
2008 年度
0.07
2009 年度
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
Phase 2
情報システム構築計画立案
・情報セキュリティの強化
・システム間データ連携状況確認
・緊急性の高い課題への対応
Phase 1
現行業務システムの整理・確認
総括安全衛生担当役員による監査
建設業強度率
28
アンケート結果
会社概要
皆様の声にお応えします
事業概要
「鴻池組 CSR 報告書 2009 アンケート」により多くの貴重なご意見が寄せられました。
ご協力をいただいた皆様に厚くお礼申し上げます。アンケートの集計結果、ならびにお寄せいただいたご意見に基づき
「CSR 報告書 2010」や会社としての CSR 活動に改善を加えた点などをご紹介します。
創
業 : 明治 4(1871)年
設
立 : 大正 7(1918)年 6 月
資 本 金 : 52 億 5 千万円
事 業 項 目 : 1. 建設工事の企画、測量、設計、監理、請負及びコンサルティングに関する事業
2. 不動産の売買貸借及びその仲介並びに所有管理に関する事業
3. 骨材及び砂利の採取販売に関する事業
報告書全体を通していかがでしたか
読みやすさ
分かりやすさ
情報の量
4. 建設用資材の製造及び販売に関する事業
情報の質
5. 土地及びその定着物の信託に係る信託受益権の販売、代理、媒介、
鴻池組の
CSR 活動について
並びに土地及びその定着物の借地権及び地上権の信託に係る信託受益権の販売、媒介
6. 不動産の鑑定評価に関する事業
普通
6%
普通
44%
読みやすい
56%
普通
50%
分かりやすい
50%
適量
56%
多い
44%
普通
50%
高い
50%
評価できる
94%
7. 前各号に関連する一切の事業
許
可:特 定 建 設 業 許 可
鴻池組の CSR 活動、CSR 報告書についてお寄せいただいたご意見
主なご意見・ご要望とその対応
ご意見
安全衛生マネジメントの一環として災害事例をデータベース化し、協力会社でも閲覧、利用できるようにならな
いでしょうか。
こうした声にお応えすべく、すでに一部の本支店においてはメール配信の形で、災害事例のデータ開示を行って
鴻池組から
も検討していますが、蓄積しているデータの中には個人情報なども含まれていますので、開示情報の範囲や閲
鴻池組の CSR 活動がよく分かりました。イメージの悪い工事現場がこういう活動を通して地域住民の方々にも理
解されるよう、鴻池組が建設業の先駆者となって取り組まれることを期待しています。
建設現場は、地域社会をはじめ発注者、協力会社の方々などさまざまな関係者と最も多くの接点を持つ場所であ
ると同時に、各地域に出向き、その場所に溶け込んで仕事を行うという、建設業の特徴が最も端的に表れている
場所でもあります。そういった意味で、鴻池組でも建設現場を会社にとっての「CSR 活動実践の窓口」と位置づけ、
鴻池組から
地域住民の方との融和や次世代の育成、環境負荷低減への取り組みや環境貢献技術の実証といった数多くの
CSR 活動を現場で実践しています。
鴻池組から
建 21 第 101 号
測
第(9)-7302 号
量
業
者
登
録
宅 地 建 物 取 引 業
国土交通大臣許可(11)第 1268 号
第二種金融商品取引業者登録
近畿財務局長(金商)第 145 号
不動産鑑定業者登録
東京都知事(1)第 2209 号
受注・売上実績
■受注工事高
(単位:億円)
4000
2809
3000
3045
2913
2000
2171
2352
2304
1828
2050
建築
土木
1205
637
第 93 期
'05/9
692
第 94 期
'06/9
608
第 95 期
'07/9
604
第 96 期
'08/9
(単位:億円)
4000
3000
2655
1000
0
■売上高
3109
41
2807
27
2902
39
2855
14
2213 3
2000
2184
2064
2162
2100
建築
1565
1000
883
623
第 97 期
'09/9
0
第 93 期
'05/9
不動産
714
700
740
644
第 94 期
'06/9
第 95 期
'07/9
第 96 期
'08/9
第 97 期
'09/9
土木
本社ならびに本支店所在地
事業所名
郵便番号
所在地
電話番号
本社・大阪本店
530-8517
大阪府大阪市北区梅田 3-4-5
06-6343-3500
東京本店
136-8880
東京都江東区南砂 2-7-5
03-5617-7500
北海道支店
060-0061
北海道札幌市中央区南一条西 14-1
011-271-4141
地道ではありますが、こうした活動が建設業のイメージアップにつながり、またそこで働く協力会社の方々や従業
東北支店
980-0021
宮城県仙台市青葉区中央 2-9-27
022-266-1275
員の働きがいと誇りを高めていくものと考えています。
横浜支店
231-0023
神奈川県横浜市中区山下町 74-1
045-201-2831
名古屋支店
460-0003
愛知県名古屋市中区錦 2-19-1
052-202-4500
京都支店
604-8151
京都府京都市中京区蛸薬師通烏丸西入ル橋弁慶町 227
075-211-5116
神戸支店
650-0024
兵庫県神戸市中央区海岸通 4
078-331-6857
広島支店
730-8533
広島県広島市中区八丁堀 2-31
082-228-1161
現在、鴻池組では協力会社の皆様との共栄に向けた新たな取り組みを進めています(P21∼22 の記事をご参照
山陰支店
690-0887
島根県松江市殿町 516
0852-22-1551
ください)ので、自ずと関連記事が増えてくるものと思います。
九州支店
810-0041
福岡県福岡市中央区大名 1-14-45
092-721-5025
また CSR に向けた取り組みも、今後は協力会社の皆様と一体で考えていく必要がありますので、ご意見をお聞き
南九州支店
892-0825
鹿児島県鹿児島市大黒町 2-11
099-225-0321
海外事業部
136-8880
東京都江東区南砂 2-7-5
03-5617-7860
技術研究所
305-0003
茨城県つくば市桜 1-20-1
029-857-2000
協力会社の紹介や、現場に対しての意見を掲載するコーナーを作ってみてはいかがですか。
する機会を増やしていく方針であり、その内容についても適宜「CSR 報告書」に掲載していく予定です。
鴻池組 CSR報告書 2010
鴻池組 CSR報告書 2010
29
ご意見
建 設 コン サ ルタント登 録
います。会社として災害事例のデータベース化は完了しており、全社的に協力会社の皆様と情報を共有すること
覧・利用方法などを協力会社の皆様と協議していきたいと考えます。
ご意見
国土交通大臣許可(特 -19)第 2399 号
30