世界の水ストレス度変化と要因の分析 - エネルギー・資源学会

Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4
世界の水ストレス度変化と要因の分析
Analyses on Change in Global Water Stress and Its Major Factors
林
礼 美 *・ 秋 元 圭 吾
Ayami Hayashi
Keigo Akimoto
**
・ 友 田 利 正
***
Toshimasa Tomoda
(原稿受付日 2014 年 3 月 25 日,受理日 2014 年 6 月 27 日)
Exacerbation of water stress is a critical issue for sustainable development of human society. This study analyzes the change
in water stress during this century based on the annual water withdrawal-to-availability ratio, and contributions of major
causes to the change, for each of the global river basins under different socioeconomic development and climate change
scenarios. Examples of the results are as follows: The stress will increase in 58%-62% of the world river basin areas until
around 2030, as a result of population growth and the increase in per capita municipal and industrial water withdrawals. On
the other hand, the stress will decrease in 5% of such areas due to different reasons by region. In the Huang He river basin,
which is currently threatened by high water stress, the stress is expected to increase until around 2030 mainly due to
population growth, and to decrease drastically thereafter due to an increase in water availability and a decrease in per capita
agricultural water withdrawal associated with climate change. Measures in the water management until around 2030 will be
significant in this river basin; and considerations of uncertainties in climate change will be important in a planning of
measures for after 2030, because the climate change influences both water availability and agricultural water withdrawal.
1.はじめに
PWA)等,複数が提案され,流域毎あるいは流域内での水
水は,食料やエネルギーと同様,人間生活の根幹をなし,
移動を考慮したグリッド毎の評価が行われている.指標に
その適切な利用と管理は,持続的発展のために恒久的な課
よって,細かな違いはあるが,アラビア半島や,北アフリ
題である.水は,陸,海,大気を循環しており,陸域に降
カ,中国北東部,南アジア,北アメリカ南西部等で水スト
った水(雨や雪)は,地表からの蒸発散分(広義の green
レス度が高いと評価される点は,ほぼ共通している 8),11).
water)と,河川や地下滞水層に流出する水(blue water)に
ところで,比較的シンプルな指標,WAR に基づく分析に
大別される
1).ここで,green
water の一部も農作物の天水
よると,上述した地域の中には,年間取水量が水資源量を
栽培等に利用されているが,一般に,水(淡水)資源とい
上回る流域がある 12).これは,大よそ次の 2 つのタイプの
うと,人間の主たる管理の対象である blue water を指す事
取水事情に依る.一つは,blue water 以外の水,すなわち,
が多い.その blue water について,世界の年間賦存量は約
淡水化水や,化石水と呼ばれる非再生可能な地下水の取水
40,000~45,000km3 2),3),4)と見積もられている.一方,人間が,
である.淡水化水は,製造に比較的大きなエネルギーを要
生活や農業,工業活動のために取水する量は,2000 年に約
する(エネルギー効率の良い逆浸透膜法でも海水で 3~
3 5)である.
この量は過去
100 年間に 6.5 倍に増えた
4.5[kwh/m3] 13))ため,中東,北アフリカ,米国等経済的に
と推定される 2)が,それでも水資源量の 1/10 以下で,総量
豊かな国を中心に利用されている(2000 年の世界計 5 km3
を見る限り水不足の状況にはならないと考えられる.ここ
14)
で留意すべき点は,水資源の分布は地域偏在性が非常に高
とより,2000 年に乾燥地域のみでも 256 km3(うち約 75%
い
がインド,パキスタン,米国,イラン,中国)が取水され
3,800km
).これに対し,化石水は,井戸を掘り安価に得られるこ
6)事に加え,水資源が豊かな地域から乏しい地域へ輸送
とい
たと推定されている 15).化石水の貯留量は明確でなく,浅
う事である.安価に水を運ぶ方法は,重力に従って流す方
い帯水層を除けばすぐに枯渇するほどでないという見方が
法で,それは流域内に限られる.このため流域内での水資
ある
源量と水利用量とのバランスが重要となる.
利用でないという批判や,地下水位の低下に伴って揚水代
するには,莫大なコストを要するため現実的でない
7)
水利用量と水資源量との比率は,一般に“水ストレス度”
と呼ばれる
8).一方,仮に枯渇するほどでないとしても,持続的
の高騰や,塩水・ヒ素等混入による水質悪化といった問題
の指摘もされている
8).水ストレス度をはかる指標として,年間水
資源量に対する取水量の比(annual water withdrawal-to-
8).もう一つのタイプは,一度利用さ
れた後の廃水の取水である.生活廃水や工業廃水は下水処
9),水需要量に対する取水可能量の
availability ratio: WAR)
理が普及しつつある 16)ものの,農業廃水はほとんどそのま
比(cumulative withdrawal-to-demand ratio: CWD)10),一人
ま河川に戻される.このため,肥料,農薬等による汚染が
当たり年間水資源量(per capita annual water availability:
懸念される.
*,**,***(公財)地球環境産業技術研究機構システム研究グループ
〒619-0292 京都府木津川市木津川台 9-2
E-mail : *[email protected],**[email protected],***[email protected]
第 30 回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンスの
内容をもとに作成されたもの
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このように見ると,水資源量を上回って取水されている流
た,水ストレス度増大の要因について,各要因の寄与度の
域では,水の利用や管理に少なからぬ問題を抱えていると
比較が不十分である.例えば,Alcamo et al.18)で,生活用水
いえる.水資源量・利用量の季節変動性や,人間が直接利
取水量増大と水資源量減少はどちらも水ストレス度増大に
用する以外の水(環境用水)も考慮したならば,問題はよ
寄与するが,どちらの影響がどれだけ大きいかは提示して
り深刻である可能性も十分に考えられる.今後,途上国を
いない.Fung
中心に水の需要が増大し 17),18),温暖化に伴って水資源分布
響が大きいと述べているが,人口以外の人間活動変化が考
も変化する
6)と予想される中,水需給のバランスはどのよ
慮されていないため,将来の水利用を検討するための情報
うに変化するのか,もし変化するならばどのような要因に
としては不十分である.さらに,どの研究も,水ストレス
よるのか.そのような知見は,特に水ストレス度が高い地
度が高く,今後の変化に関する知見が重要と考えられる流
域の今後の水利用・管理,ひいては人類の持続的発展のた
域について,特に記述がない.
et al.21)は,水資源量減少より人口増加の影
本研究では,21 世紀の社会経済発展に伴う水利用変化と
めに重要といえる.
気候変化による水資源量等への影響を考慮し,世界の流域
別に水ストレス度変化とそれに関わる要因の寄与度を分析
2.将来の水ストレス度変化と要因に関する分析
Gosling and Arnell19)は,2050 年に SRES-A1B シナリオ 20)
する.特に,水ストレス度が非常に高く,今後の変化に関
下で,気候変化による PAW や WAR への影響を分析してい
する知見が長期的な水利用・管理の観点から重要と考えら
る.それによると,人口と取水量の変化のみを考慮(気候
れる流域については,代表的な幾つかを例に取り上げ,水
は現状のまま)した場合に比べ,気候変化も考慮した場合
ストレス度変化と各要因の寄与度を詳しく述べる.
に,水ストレス度は地中海域やヨーロッパ,北米,南米,
アフリカ南部等の一部地域で悪化し,逆に,東アジア,南
3.分析方法
アジアで緩和する.これは,気候変化によって水資源量が
3.1 水ストレス度と要因の変化率
前述の地域で減少,逆に後述の地域では増大するためであ
水ストレス度指標として,年間水資源量に対する取水量
る.Hanasaki et al. 17)は,社会経済発展と気候変化が異なる
(生活,工業,農業用水取水量の和)の比(WAR)を用い
複数のシナリオに対し CWD を分析し,21 世紀中庸の水ス
た.年間量比のため,季節間の水需給ギャップは考慮でき
トレス度は,社会経済発展に伴う水需要変化と,気候変化
ないが,計算がシンプル,でありながら,人間活動と気候
に伴う水資源量変化の両方の影響を受ける事を示している.
に関する長期的な変化を反映できるという利点がある.
水ストレス度変化の程度は地域やシナリオによるが,特に
ここで,取水量は人口(P)と一人当たり取水量(D)の
アフリカでは全てのシナリオで,水需要増大のため水スト
積で表わされるとすると,WAR の時点 t1 から t2 の期間平均
レス度は増大すると述べている.
年変化率は,(1)式のように P,D 及び水資源量(R)の変
Alcamo et al. 18)の,SRES-A2, B220)シナリオに対する WAR
化率の和で表現される.
WAR  P  D  R
の分析によると,2050 年代の水ストレス度は 1995 年に比
(1)
(1)式の  記号は,(2)式の形式を意味する.
べ,世界流域面積の 62-76%で増大,逆に,20-29%で減少
する.水ストレス度が増大する流域について,水資源量減
X 
少と取水量増大の影響を比較したところ,ほとんどの流域
X
1
 ln( 2 )
t 2  t1
X1
(2)
では取水量増大の影響の方が大きい.さらに,彼らは,取
ところで,D は,生活,工業,農業各セクターの一人当
水量の増大量をセクター毎に比較し,多くの流域で生活用
たり取水量(それぞれ M,I,A とする)の和で構成される.
水の増大が最も大きいと述べている.Fung et al.21)は,国連
そこで各セクターの水利用変化の影響をみるため, D を
予測の 2060 年人口 22)を用い,全球平均気温上昇が異なる 2
つシナリオに対して PWA を分析している.それによると,
(3)式のように分解する.
D  M  I  A
産業革命前比全球平均気温が+2℃,+4℃のシナリオでは,
 M , I ,  A は,それぞれ,
(3)
M  I  A1
M  I 2  A1
1
1
 ln( 2 1
)
)
 ln( 1
M 1  I 1  A1 ,
t 2  t1
M 1  I 1  A1 , t 2  t1
世界 112 の大規模流域のうち,それぞれ 71,74%の流域で
水ストレス度は増大する,また,その流域の大半において,
水資源量減少より人口増加の影響が大きい.
M  I  A2
1
 ln( 1 1
)
t 2  t1
M 1  I 1  A1 を意味する.
これらの研究は,21 世紀中頃までの世界全体の水ストレ
ス度変化の傾向と代表的要因を把握する上で有益である.
(1),(3)式に基づいて WAR の変化率を,要因別の変化率
但し,その途中 2030 年頃まで,あるいは,21 世紀後半に
に分解することにより,WAR の変化が,どの要因の変化に
ついては示されておらず,時系列変化の理解が難しい.ま
依るものかを分析する.
41
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3.2 水需給モデル
一定とした.
将来の社会経済発展や気候変化を考慮するため,流域毎
農作物生産量や灌漑要求水量の算定に必要な月平均の気
の WAR 及び各要因は,グリッドベースの世界水需給モデ
温,降水量,風速,日射等のグリッド別データは,水資源
ル(グリッド分解能は 15min×15min 他)を用いて算定し
量同様,AOGCM による予測値をパターンスケーリングし,
た.本モデルの詳細は文献 23)を参照されたい.主要構造は
算定する.AOGCM 予測値として,SRES-A1B に対する
図 1 に示すように,グリッド毎に算定した年間の水資源量
MIROC 3.2 (Medres)モデルの予測値 27) を用いた.なお,
と生活,工業,農業用水取水量を河川流域毎 24)に集約し,
AOGCM の気候予測について,中でも水資源量や降水量は,
年間水資源量と取水量の比率(WAR)を計算する.計算時
砂漠地域,南米やアジア等の一部地域で,モデル依存性の
点は,2000~2050 年の 10 年間隔と,2070 年,2100 年であ
ある事が指摘されている 28).AOGCM による気候分布予測
る.
の不確実性への対応が,今後必要である.2000 年の各セク
将来のグリッド別水資源量は,大気海洋結合大循環モデ
ターの年間取水量について,生活用水と工業用水は,モデ
ル(AOGCM)を用いて予測された流出量データを,全球
ルによる国別の算定値が AQUASTAT 統計値 14)と一致して
平均気温上昇シナリオ(3.3 節参照)に応じてパターンスケ
いる.農業(灌漑)用水は,モデルによる世界 11 地域別の
ーリングし,算定する.生活用水取水量は一人当たり GDP
灌漑要求水量が Siebert and Döll29)の算定値と概ね一致して
の増加に伴う一人当たり取水量増加を考慮し,各国の都
いる.
市・農村別に算定する.工業用水は,水使用量の多い産業
の主要製品(粗鋼,紙,エチレン・プロピレン,アンモニ
3.3 分析シナリオ
ア)生産量シナリオと水利用効率シナリオ 23)に基づいて国
社会経済発展と全球平均気温上昇レベル(温暖化レベル)
別に想定する.それらを,グリッド別人口に比例して分布
が異なる 3 つのシナリオ(A+4,A+2,B+4)を用いた.シ
させる.将来のグリッド別人口は,2000 年のグリッド別デ
ナリオ名の“A”と“B”は,人口・一人当たり GDP に,
ータ 25)と ALPS の国別人口シナリオ(3.3 節参照)に基づ
それぞれ ALPS-A シナリオ(中位人口・中位経済成長)と
き,人口の多いグリッドほど人口変化も大きいとして想定
B シナリオ(低位人口・高位経済成長)の値 30)を適用した
する.農業用水は,その大半を占める灌漑用水に着目し,
ことを意味する.シナリオ名の“+2”と“+4”は,2100 年
グリッド毎に灌漑要求水量と灌漑効率に基づいて算定する.
の全球平均気温(産業革命前比)が,それぞれ+2℃,+4℃
ここで,各グリッドの灌漑栽培作物,品種,作付け時期に
である事を意味する.この+4℃シナリオは温室効果ガス排
関する情報は,本モデルにリンクする農業土地利用モデル
出量がベースラインケース,+2℃シナリオは非常に厳しい
で,将来の食料需要,作物生産性,気候を考慮の上分析す
排出抑制ケースについて,簡易気候モデル(気候感度 3℃)
る.灌漑効率は,文献 26)を参考に地域別に設定し,将来も
を用い算出したものである 31).
AOGCM 予測
人口
一人当たりGDP
全球平均気温
気候: 気温, 降水量, 風速,流出量 等
農業土地利用
モデル
一人当たり生活用水
取水量: 都市/農村
食料需要
人口:
都市/農村
作物生産性係数 *2
水資源量
生活用水取水量
水需給
モデル
空間解像度:
グリッド
作物生産
ポテンシャル*1
作物生産量
水多使用産業
主要製品生産量
工業用水
利用効率
工業用水取水量
河川流域
国
工業用水取水量
3部門取水量
作物生産用土地割付け:
天水/灌漑,
作物種,品種,
作付け時期
灌漑要求水量
灌漑用水取水量
全球
WAR
灌漑効率
図1
32 又 54 地域
水需給モデルの主要構造
*1:作付け品種や時期の調整に関する適応を考慮.
*2:過去約 50 年間のトレンドと将来の経済発展を考慮し,作物別に設定 23).
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4.分析結果
減少する(同変化率が,-0.3% p.a.を下回る),変化小(同
4.1 世界全体の傾向
変化率が-0.3% p.a.以上,+0.3% p.a.以下)の流域面積の割
(1) A+4 シナリオ
合をまとめる.表 1 で A+4 シナリオと B+4 シナリオを比較
図 2 に A+4 シナリオに対する,水ストレス度の期間平均
すると,両シナリオの値は類似している.すなわち,2050
年変化率を示す.図 2 (a),(b)に示すように 2050 年頃まで
年頃まで世界の約 60%の地域で水ストレス度は増大する.
は,アフリカ,南米,東南アジア等,広い地域で水ストレ
これは前述したように,アフリカや南米,東南アジア等で
ス度は増大すると算定された.一方,東・南アジアや西欧
主として人口と一人当たり生活用水,工業用水取水量が増
の一部には水ストレス度が減少すると算定された流域もあ
大する事による.但し,2050 年以降はこれらの増加率の鈍
る.2050 年以降,アフリカの水ストレス度増大や東アジア
化に伴い,水ストレス度増大域は次第に縮小する.2 つの
の水ストレス度減少等一部地域では変化が続くものの,多
シナリオで異なるのは,2070-2100 年の水ストレス度減少
くの流域では,水ストレス度の変化は次第に小さくなると
域の割合が A+4 シナリオで 12%に対し B+4 シナリオでは
算定された.なお,図中黒点域は,水ストレス度が 1 以上
22%と大きい点である.これは,主として B+4 シナリオの
の流域を示している.中東,中央アジア,中国北部,アメ
低人口成長を反映し,図 4(1d)に示すように中国東部や,南
リカ西部の一部流域は,21 世紀を通じて厳しい水ストレス
米の流域も水ストレス度減少域と算定された事による.
下にあると算定されている.
A+2 シナリオについて,表 1 の,水ストレス度増大域の
水 ス ト レ ス 度 変 化 の 要 因 に 関 し , A+4 シ ナ リ オ の
面積割合は,A+4,B+4 シナリオの値と大差がない.但し,
2000-2030 年を例に,要因別の期間平均年変化率を図 3 に
水ストレス度減少域の面積割合は,2030 年以降,A+4,B+4
示す.図 3 (a),(b)から,アフリカや南米,南・東南アジア
シナリオに比べ A+2 シナリオで小さい.これは主に,東ア
では,人口増加と一人当たり生活用取水量の増大が,水ス
ジアや南アジア等の一部地域で気候変化の進行に伴って期
トレス度増大に強く寄与すると考えられる.また,図 3 (c)
待された水資源量増大や農業用水取水量低減の効果が,
より,北米や英国等の西欧では,一人当たり工業用水取水
A+2 シナリオでは抑制されるためである.
量の減少が,水ストレス度低下に寄与すると考えられる.
以上 3 つのシナリオに共通する,2050 年頃までは,水ス
背景に,これらの地域で想定した工業用水利用効率の向上
トレス度増大面積が,水ストレス度減少面積を上回るとい
と,英国については水多使用産業(鉄鋼,紙・パルプ,化
う傾向は,Fung et al.21)や Alcamo et al.18),Hanasaki et al.17)
学工業)の生産量減少がある 23).一方,東南アジアやロシ
の結果と同じである.本研究では,アフリカや南米,南・
ア等では,一人当たり工業用水取水量は増大し,水ストレ
東南アジアにおける人口増加と一人当たり生活用水,工業
ス度増大に寄与する.同地域でも水利用効率は向上するが,
用水取水量の増大が,その主要因になるであろう事を明示
それを上回る生産量増大を見込んだことによる.図 3 (d)よ
した.さらに,2050 年以降についても分析し,多くの地域
り,一人当たり農業用水取水量は,南アジア等で減少し,
で人口や一人当たり生活用水,工業用水の取水量増加率が
水ストレス度低減に寄与する.これは,経済発展に伴う作
次第に縮小するに伴い,水ストレス度増大域面積も次第に
物生産性向上 23)と気候変化の両方の影響を考慮した結果で
縮小すると考えられる事を示した.
ある.気候変化に伴う水資源量への影響は地域によって異
表1
なる.アフリカ東部やアジア北西部では水資源量が増大し,
シナリオ
図 3 (e)に示すように水ストレス度低減に寄与する.一方,
米国や中央アジアでは水資源量が減少し,水ストレス度増
A+4
大に寄与すると考えられる.
2030 年以降は(図省略),人口や,生活用水,工業用の
一人当たり取水量の増加率が多くの流域で次第に縮小し,
B+4
水ストレス度増大への寄与も次第に小さくなると算定され
た.一方,水資源量の増減は,気候変化の進行に伴い,2050
年頃にかけて顕在化する地域もあると考えられる.
A+2
(2) 3 シナリオ比較
図 4 に,B+4,A+2 シナリオに対する水ストレス度の期
間平均変化率を示す(A+4 シナリオの結果は図 2 を参照).
水ストレス度増大,減少,変化小の面積割合*1
期間
[年]
2000-2030
2030-2050
2050-2070
2070-2100
2000-2030
2030-2050
2050-2070
2070-2100
2000-2030
2030-2050
2050-2070
2070-2100
水ストレス度
水ストレス度 水ストレス度変
増大域 [%] 減少域 [%] 化小域 [%]
60
5
10
57
10
7
42
13
19
18
12
44
58
57
37
15
62
54
34
18
5
11
17
22
5
8
4
4
11
7
20
37
8
12
36
53
*1:世界全流域 137×106km2 に対する割合.なお,全流域面積のう
また,表 1 には,A+4,B+4,A+2 シナリオ毎に,水ストレ
ち 26%は,低人口密度のため分析対象外流域(図 2, 図 4 の白
スが増大する(期間平均年変化率が,+0.3% p.a.を上回る),
域)
.小数点以下を四捨五入して記載.
43
Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4
(a) 2000-2030 年
(b) 2030-2050 年
(c) 2050-2070 年
(d) 2070-2100 年
-2.0
-1.0
-0.3
+0.3
+1.0
+2.0
[% p.a.]
図 2 水ストレス度の期間平均年変化率 (A+4 シナリオ)
* 期間 t1 - t2 の図中,黒点域は時点 t1 に水ストレス度が 1 以上と算定された流域を示す.
** 白域は,主として低人口( 1人 km2 未満,2000 年)のためストレス度評価の対象外とした流域を示す.
(a) ∆P
(b) ∆̓ M
(c) ∆̓ I
(d) ∆̓ A
(e) −∆R
-2.0
図3
-1.0
-0.3
+0.3
+1.0
要因別の期間平均年変化率 (A+4 シナリオ,2000-2030 年)
* 黒点域,白域の意味は,図 2 参照.
44
+2.0
[% p.a.]
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(1a) B+4, 2000-2030
(1b) B+4, 2030-2050
(1c) B+4, 2050-2070
(1d) B+4, 2070-2100
(2a) A+2, 2000-2030
(2b) A+2, 2030-2050
(2c) A+2, 2050-2070
-2.0
図4
(2d) A+2, 2070-2100
-1.0
-0.3
+0.3
+1.0
+2.0
[% p.a.]
水ストレス度の期間平均年変化率 (図 1a~1d,2a~2d はそれぞれ B+4,A+2 シナリオ)
* 黒点域,白域の意味は,図 2 参照.
表2
河川流域別の面積,2000 年水資源量,取水量等主な量(モデル分析値)
2000年
河川流域
面積
人口
[103km2] [百万人]
水スト
水資源量
取水量
レス度
総量
一人当たり量
総量
生活
工業
農業
(WAR) [km3 yr-1] [m3 人-1 yr-1] [km3 yr-1] 用水[%] 用水[%] 用水[%]
灌漑作物
ユーフラテス
788
46
0.7
91
1,968
61
10
17
73
小麦他
インダス
979
191
4.3
71
369
302
2
1
97
米,小麦他
黄河
763
116
3.2
27
234
87
5
16
79
小麦,米,
トウモロコシ他
コロラド(アリゾナ)
657
8
0.9
16
1,979
15
11
37
52
トウモロコシ他
45
Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4
4.2 厳しい水ストレス下にある流域の結果
年頃以降は,図 5(2b)~(2d)に示すように,気候変化の進行
本節では,水ストレス度が高く,今後の水ストレス度変
に伴って,水資源量が減少する事に加え,一人当たり農業
化の知見が長期的な水利用・管理の観点から特に重要と考
用水取水量の低減が抑制されるため,特に A+4,B+4 シナ
えられる河川流域について詳述する.ここでは例として,
リオ下では水ストレス度が大きく増大すると算定された
ユーフラテス川,インダス川,黄河,コロラド川の各流域
(図 5(2a) ).
を取り上げる.表 2 に各河川流域の面積と 2000 年の水資
黄河流域もインダンス川同様,2000 年の WAR が 3 を上
源・取水量等主な量を示す.また,図 5 に各河川流域の 21
回り,水ストレス度が非常に高いと考えられる流域である
世紀の水ストレス度の時系列変化,及び水ストレス度と各
(図 5(3a)).この流域では,図 5(3b)~(3d)に示すように,
要因の期間平均年変化率を示す.
2030 年頃まで主として人口増加のため,水ストレス度は高
ユーフラテス川流域は,表 2 に示すように,面積 790×
まると考えられる.但し,2030 年頃以降は,どのシナリオ
103km2 で,2000 年の年間水資源量は 91 km3,一方,取水量
も人口が減少に転じる事に加え,気候変化の進行に伴って,
は 61km3(そのうち,農業,工業,生活用水は,それぞれ
水資源量の増大と一人当たり農業用水取水量の減少が予想
約 70,20,10%)である.この流域の水ストレス度は,図
される.このため,水ストレス度は,減少に転じると算定
5(1a)に示すように 2000 年に 0.7 であるが,社会経済発展,
された.特に,A+4,B+4 シナリオでは,気候変化による
気候変化に伴って次第に増大し,A+4,A+2,B+4 全てのシ
水資源量増大と一人当たり農業用水取水量減少の影響が大
ナリオで 2100 年には約 1.5 に達すると算定された.水スト
きく,2070 年以降の水ストレス度が 1 を下回ると算定され
レス度増大の最大要因は,人口増加で,図 5(1b)~(1d) に
た.
示すように全てのシナリオで特に 21 世紀前半に水ストレ
コロラド川流域は,図 5(4a)に示すように, 2000 年の
ス度増大に大きく寄与すると考えられる.人口増加に比べ
WAR が 0.9 であるが,2050 頃までに急速に増大し,2 ある
ると,一人当たり取水量増加の影響は小さい.特に農業用
いはそれ以上に達すると考えられる.この流域で水ストレ
水は,農作物の生産性の向上に伴い 2050 年頃までは,一人
ス度増大の最も大きな要因は,図 5(4b)~(4d)に示すように,
当たり取水量が減少し,ストレス度低減に寄与する.但し,
気候変化に伴う水資源量の大幅な減少である.また,水資
気候変化の進行に伴ってこの流域の灌漑要求水量は増大す
源量減少ほど影響は大きくないが,人口増加も 2050 年頃ま
るため,A+4 シナリオ(図 5(1b))と B+4 シナリオ(図 5(1d))
では,水ストレス度増大に寄与すると考えられる.一人当
では 2070 以降,一人当たり農業用水取水が増加に転じ,水
たり工業用水取水量は,水利用効率の向上に伴ってわずか
ストレス度増大に寄与すると考えられる.なお,水資源量
ながら減少するものの,水資源量減少や人口増加による水
は 21 世紀を通じて大きく変化せず,従って,水ストレス度
ストレス度増大を打ち消すほどではない.一人当たり農業
変化にはほとんど寄与しないと算定された.
用水取水量は,A+4,B+4 シナリオで,21 世紀後半に,大
インダス川流域は,図 5(2a)に示すように,2000 年の水
きく減少し,それまで増大した水ストレス度を低減すると
ストレス度が 4 以上で,非常に高いと推定される流域であ
算定された.これは,比較的灌漑水を多く必要とする穀物
る.取水量の 95%以上が農業用と算定される(表 2).この
の作付面積が減少すると算定された事による.
流域も図 5(2b)~(2d)に示すように,21 世紀の人口増加が著
以上のように,水ストレス度変化の要因は,流域や時点
しく,水ストレス度増大に大きく寄与すると考えられる.
によって異なる.さらに,本研究では社会経済発展と温暖
但し,2030 年頃までは,農作物の生産性向上に伴って一人
化レベルが異なる 3 つのシナリオについて分析したが,要
当たり農業用水取水量も大幅に減少し,人口増加の影響を
因の寄与度は,シナリオによって異なる.例えば,ユーフ
打ち消すため,水ストレス度は 2000 年とほとんど変わらな
ラテス川流域では,3 つのシナリオ間で人口や水資源量に
いと算定された.なお,農作物の生産性について,FAOSTAT
大差がなかった.このため,水ストレス度もシナリオに依
統計 32)によると,2000 年の,パキスタン(インダス川流域
らず似た結果となった.一方,インダス川流域や黄河流域
面積の 90%以上を占める)における米の単収は 3.0 ton ha-1
では,水資源量や一人当たり農業用水取水量が温暖化レベ
で,世界平均や中国のそれぞれ 3.9,6.3 ton ha-1 に比べると
ルによって異なる.このため,特に 2030 年以降の水ストレ
非常に低い.その分,わずかな経済発展に対しても,農作
ス度は,温暖化レベルの異なるシナリオ間で大きく異なる
物生産性が向上する可能性があると想定している 23).2030
結果となった.
46
0
2000
2050
図5
2100
2100
(4a) WAR
-3
1
0
-1
-2
47
(4b) A+4
-3
3
7
2
2
2
0
‐1
‐2
2
1
1
1
∆P
0
∆̓ M
0
-1
-2
-3
-4
1
0
-1
-2
-3
(3c) A+2
-5
-5
-5
-6
-6
-6
(4c) A+2
3
3
3
2
2
2
-3
2070-2100
(2c) A+2
2050-2070
3
2030-2050
1
-3
2070-2100
2050-2070
2030-2050
2000-2030
-2
Change rate [% p.a.]
-1
2000-2030
3
Change rate [% p.a.]
2070-2100
2050-2070
2030-2050
0
2070-2100
-4
1
2050-2070
-3
2000-2030
2
Change rate [% p.a.]
2
2030-2050
2
Change rate [% p.a.]
(3b) A+4
2070-2100
2070-2100
2050-2070
2
2000-2030
-2
Change rate [% p.a.]
-1
‐3
2050-2070
-2
2030-2050
-1
2000-2030
8
Change rate [% p.a.]
0
2070-2100
(3a) WAR
2030-2050
3
2070-2100
1
0
2
Change rate [% p.a.]
-3
(1c) A+2
2050-2070
2
3
2030-2050
3
A+4
A+2
B+4
3
2000-2030
4
(2b) A+4
2070-2100
1
1
-3
2050-2070
2
-2
2030-2050
3
-1
2050-2070
2050
(1b) A+4
2030-2050
A+4
A+2
B+4
0
2000-2030
5
1
2000-2030
4
2100
Change rate [% p.a.]
コロラド
2050
2070-2100
1
A+4
A+2
B+4
2070-2100
3
2050-2070
4
2050-2070
5
2030-2050
6
2070-2100
0
2000
(2a) WAR
2050-2070
黄河
-3
2030-2050
0
2000
(1a) WAR
2030-2050
2
2100
2000-2030
1
Change rate [% p.a.]
2
2000-2030
WAR
A+4
A+2
B+4
2000-2030
インダス
2050
Change rate [% p.a.]
0
2000
Change rate [% p.a.]
WAR
3
Change rate [% p.a.]
WAR
ユーフラテス
2000-2030
WAR
Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4
(1d) B+4
∆P
1
∆̓ M
∆̓ I
0
∆̓ A
-1
-∆R
-2
∆WAR
(2d) B+4
∆P
1
∆̓ M
0
∆̓ I
∆̓ A
-1
-∆R
-2
∆WAR
(3d) B+4
-1
∆̓ I
-2
∆̓ A
-3
-∆R
-4
∆WAR
(4d) B+4
∆P
1
∆̓ M
0
∆̓ I
∆̓ A
-1
-∆R
-2
∆WAR
河川流域別,21 世紀の水ストレス度の時系列変化(図 1~4a),及び
水ストレス度と各要因の期間平均年変化率(図 1~4b,1~4c,1~d はそれぞれ A+4,A+2,B+4 シナリオ)
Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4
5.まとめ
の流域では,早期からの対策が重要といえる.
21 世紀の人口変化や経済発展に伴う水利用変化と気候
ところで,将来の水資源量,気温,降水量,風速,日射
変化に伴う水資源量等の変化を考慮し,世界流域別の水ス
等のグリッドデータとして,本研究では MIROC 3.2
トレス度変化と要因の寄与度を分析した.
(Medres)モデルの予測値のみを用いた.他の AOGCM の予
それによると,2000 年から 2030 年にかけ,アフリカや
測結果も考慮し,モデルによる気候分布予測の不確実性へ
南米,南・東南アジア等を含む世界の 58-62%の地域では,
の対応が必要である.また,WAR は年間の水資源量に基づ
主として人口増加と一人当たり生活用水,工業用水の取水
いているため,豪雨や渇水の影響については別途考慮する
量増加のため,水ストレス度は増大する.一方,東・南ア
必要がある.さらに,本研究では,温暖化レベルが同じで
ジアや西欧の一部の地域を含む世界の 5%の地域では,水
あれば,水資源量も同じと想定したが,農地拡大や植林等
ストレス度は低減する.その要因は地域によって異なり,
により,土地被覆が広範囲で変化する場合は地表の蒸発散
東アジアや南アジアの一部地域では気候変化に伴う水資源
量を変化させ,水資源量に少なからぬ影響を及ぼす可能性
量増大や一人当たり農業用水,工業用水の取水量の低減に
が考えられる.土地被覆の変化を考慮した水資源量評価に
よる.一方,西欧の一部流域では主として一人当たり工業
向け,引き続きモデルの精緻化を検討したい.
用水取水量の低減によると考えられる.気候変化による水
ストレス度への影響は地域によって異なる.東アジアや南
謝辞
アジアの一部地域では気候変化に伴う水資源量増大や一人
本研究で用いた AOGCM の気候予測データは,Program
当たり農業用水取水量低減が,水ストレス度低減に寄与す
for Climate Model Diagnosis and Intercomparison (PCMDI)で
ると考えられる.逆に,中央アジア等では,反対の影響が
整備されたものです.また,RITE システム研究グループの
生じ,水ストレス度増大に寄与する可能性が考えられる.
皆さんには,分析方法等に関し,有意義な議論を頂きまし
2030 年以降は,人口や,生活用水,工業用水の一人当たり
た.各位に感謝致します.
取水量の増加率が次第に縮小し,水ストレス度増大への寄
与も次第に小さくなると考えられる.気候変化の影響は,
参考文献
地域によっては 2050 年頃にかけて顕在化すると考えられ
1)
る.
FAO; Review of world water resources by country, Water
Reports 23 (2003), 3-8.
さらに,水ストレス度が非常に高い流域の,今後の水利
2)
I. A. Shiklomanov; World water resources and their use a
用・管理に関し,次のような示唆が得られた.例えば,黄
joint SHI/UNESCO product (1999).
河流域では,2030 年頃までは,人口増加に伴って水ストレ
http://webworld.unesco.org/water/ihp/db/shiklomanov/. (ア
ス度が増大するが,2030 年以降は主として,気候変化に伴
クセス日 2013.10.23)
う水資源量増大や一人当たり農業用水取水量の減少のため
3)
水ストレス度は減少に転じると考えられる.従って,この
T. Oki and S. Kanae; Global hydrological cycles and world
water resources, Science, 313, 5790, (2006), 1068-1072.
流域では 2030 年頃までの対策が特に重要といえる.また,
4)
花崎直太, 鼎信次郎, 沖 大幹; Bucket 型の陸面過程モ
2030 年以降の水ストレス度減少は,温暖化のレベルに大き
デルをベースにした全球統合水資源モデルの開発,水
く依存すると考えられることより,これ以降の対策は,温
工学論文集, 50, (2006), 529-534.
暖化レベルの不確実性を十分考慮して検討する必要がある.
5)
World Bank; World Development Indicators (2008).
ユーフラテス川流域は,21 世紀を通じて水ストレス度が次
6)
Z. W. Kundzewicz, L. J. Mata et al.; Freshwater resources
第に増大すると考えられる.それは,主として人口増加に
and their management, Climatic change 2007: Impacts,
よるもので,温暖化のレベルに大きく依存しないと考えら
Adaptation and Vulnerability, Cambridge University Press
れる.従って,この流域では,温暖化のレベルに依らず,
(2007), 173-210.
超長期的な対策が必要といえる.インダンス川流域は,2030
7)
沖大幹;水危機ほんとうの話,19-82, 新潮選書(2012).
年以降に,気候変化に伴う水資源量減少等により水ストレ
8)
UNESCO; The United Nations world water development
ス度が増大する.その増大程度は,温暖化レベルに依存す
report 4, volume 1, (2012), 44-132.
ると考えられることより,黄河流域同様,温暖化レベルの
9)
P. Raskin, P. Gleick, P. Kirshen, G. Pontius and K. Strzepek;
不確実性を考慮した対策検討が必要である.コロラド川流
Comprehensive assessment of the freshwater resources of
域は,主として温暖化に伴う水資源量減少のため,水スト
the world, Stockholm Environment Institute, Stockholm,
レス度がどのシナリオ下でも,2050 年頃まで増大する.特
Sweden, (1997), 78pp.
に,2030 年頃までの増大は顕著と考えられることより,こ
10) N. Hanasaki, S. Kanae, T. Oki, K. Masuda, K. Motoya, N.
48
Journal of Japan Society of Energy and Resources, Vol. 35, No. 4
99-116.
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49