静岡県西部地域の産業概要 (第14号) 静岡県工業技術研究所 浜松 工 業 技 術 支 援 セ ン タ ー 平 成 21年 7月 は じ め に 平成21年3月に発表された平成19年工業統計調査の結果によれば、静岡県は事業所数で全国 5位、従業者数と製造品出荷額等で3位に位置する全国有数の工業県です。製造品出荷額の7 割は、輸送機械、電気機械、化学工業、一般機械、飲料・タバコ・飼料、食料品の産業で占め られています。また、御前崎市、菊川市以西の県西部地域は、輸送機械を中心とする産業の事 業所数、従業者数および製造品出荷額が県の約5割を占める製造業の盛んな地域となっていま す。 平成20年の製造業を取り巻く経済動向は、前半は原油・原材料価格が急激に高騰し、中小の 下請け企業は価格転嫁が行えない状況でした。さらに、後半は米国における金融危機を契機と した世界同時の不況により、製造業では大幅な減産が行われており、これまで日本経済をリー ドしてきた輸送機器が集積する当地域においても非常に厳しい状況となっています。 西部地域は、地域産業界と大学、県、市、商工会議所などの多くの産業支援機関が強力なネ ットワークを構築して、フォトンバレープロジェクトをはじめ新産業創出、人材・技術者育成、 新素材・新成形技術の普及など多彩な事業を連携しながら取り組んでおり、新規産業の創出や これを担う技術の伝承・高度化が強く期待されています。当センターにおいても、県の産業支 援機関として、地域企業・産業における技術課題の解決や技術の高度化の支援に積極的に取り 組んでいます。6月には富士山静岡空港の開港も予定されており、国際、国内外の交流による 活性化で新しい産業の創出が期待されています。 本誌は、当センターが技術支援の対象としている県西部地域の産業動向を工業統計調査の結 果や聞き取り調査などによりまとめたものです。調査対象は担当している繊維産業、機械金属 産業、光技術産業、電気電子産業、楽器産業分野にプラスチック産業分野も加え、6分野とし ました。 調査に使用した統計資料の多くは平成19年の調査結果であるため、昨年後半からの景気後退 の状況は今回の報告では表れていません。 しかし、本誌を地域産業の動向把握などのためにご活用いただければ幸いです。なお、この 調査にあたり、ご協力をいただきました関係機関等の皆様に厚くお礼申し上げます。 平成21年7月 静岡県工業技術研究所 浜松工業技術支援センター センター長 鈴 木 敏 博 目 次 1.静岡県内製造業の産業構成 ・・・・・・・・ 1 2.繊維産業の概要 ・・・・・・・・ 3 静岡県西部地域の繊維産業構成 ・・・・・・・・ 4 県内繊維産業の地域分布 ・・・・・・・・ 9 県内製造業に占める繊維産業の年次推移 ・・・・・・・・ 9 県内繊維産業による織物生産量の推移 ・・・・・・・・ 10 ・・・・・・・・ 11 西部地域における機械金属産業関係の団体 ・・・・・・・・ 14 西部地域の機械金属産業の業種別年次推移 ・・・・・・・・ 15 西部地域の機械金属産業の分布 ・・・・・・・・ 16 県内の輸送機械(自動車・二輪車)生産の年次推移 ・・・・・・・・ 17 県内の工作機械・木工機械・金型生産の年次推移 ・・・・・・・・ 17 ・・・・・・・・ 18 光産業の国内生産額推移(光機器・装置、光部品) ・・・・・・・・ 19 西部地域の光関連企業の光産業製品売上高推移 ・・・・・・・・ 19 ・・・・・・・・ 20 ・・・・・・・・ 21 ・・・・・・・・ 22 ・・・・・・・・ 22 ・・・・・・・・ 23 ・・・・・・・・ 27 ・・・・・・・・ 28 3.機械金属産業の概要 4.光関連産業の概要 5.電気・電子産業の概要 電気・電子産業の年次推移と西部地域における分布 6.楽器産業の概要 県内の楽器産業における生産量の推移 7.プラスチック・ゴム製品製造産業の概要 プラスチック・ゴム製品製造産業分類 プラスチック・ゴム製品製造産業の5年間の推移と 西部地域における分布 (本誌では、御前崎市、菊川市、掛川市、磐田市、袋井市、浜松市、湖西市、 森町、新居町の市町を西部地域としてまとめています。) 金属製品 11% 非鉄・鉄 鋼 3% プラス チック製 品 7% 1.静岡県内製造業の産業構成 1.1 その他 28% 県内製造業の特徴 県内製造業における事業所数は12,427事 業所(全国5位)で、2年連続で減少した。 産業別の事業所数では一般・精密機械が最 も多く、以下、食料品、輸送機械、金属製 品の順となっている。 従業者数は 457,695人(全国3位)で3 年連続で増加しており、輸送機械が最も多 く、以下、電気機械等、一般・精密機械、 食料品と続いている。 製造品出荷額等は 19兆4,102億円(全国 3位)で4年連続の増加であり、輸送機械 と一般・精密機械が占める比率が従業者数 での比率よりさらに高くなっている。 その他 19% 食料品 12% 化学工業 電気機械 1% 等 8% その他 18% 非鉄・鉄鋼 金属製品3% 5% プラスチッ ク製品 4% 繊維産業 1% 一般・精密 機械 13% 食料品 10% 輸送機械 12% 産業分類別事業所数 金属製品 非鉄・鉄鋼 6% 3% プラスチッ ク製品 6% 繊維産業 1% 一般・精 密機械 15% 繊維産業 3% 一般・精密 機械 9% 食料品 6% 化学工業 8% 化学工業 5% 電気機械等 17% 輸送機械 22% 電気機械等 15% 輸送機械 29% 産業中分類別製造品出荷額 産業分類別従業者数 表 1-1 平成19年度の静岡県内製造業の産業構成 項目 前年比 従業者数 前年比 製造品出荷額 前年比 事業所数 (%) (人) (%) (百万円) (%) 産業分類 金 属 製 品 1,424 95.8 27,781 100.6 613,594 102.6 非鉄・鉄鋼 343 107.5 14,738 109.6 992,436 114.2 プラスチック製品 930 102.5 28,503 101.8 745,716 107.9 一般・精密機械 1,854 99.8 57,771 102.8 1,707,552 107.2 輸送機械 1,438 100.8 100,592 101.4 5,877,799 104.6 電気機械 等 1,046 101.5 71,225 106.8 3,303,267 114.9 化学工業 179 105.3 24,093 105.7 1,524,826 106.5 食 料 品 1,472 99.7 44,664 105.1 1,074,047 105.4 繊維工業・衣服 406 93.3 6,352 96.9 115,167 102.0 そ の 他 3,335 97.6 81,976 97.7 3,455,861 100.9 総数 ・ 前年比 12,427 94.7 457,695 101.2 19,410,265 105.3 出典: 平成19年工業統計調査報告(「静岡県の工業」:静岡県企画部経済統計室) ◎従業者4人以上の事業所 ◎電気機械等は電気機械、情報通信機械、電子部品・デバイスの合計 1 1.2 県西部地域の製造業の特徴 県西部地域には、製造業の事業所が 5,254 事業所あり、県内全体の42%を 占めている。 輸送機械を中心に、電気・電子、精 密・一般機械、金属、プラスチックが 集積しており、従業者数、製造品出荷 額等のいずれも、増加傾向を示してい る。ただし、繊維工業については、事 業所、従業員数、製造品出荷額等のい ずれも、減少傾向である。 金属製品 12% 非鉄・鉄鋼 3% そ の 他 20% 繊維工業・衣服 6% プラスチック製品 9% 食料品 7% 一般・精密機械 13% 化学工業 1% 電気機械 等 9% 輸送機械 20% 産業中分類別西部地区事業所数 そ の他 14% 金属製品 非鉄・鉄鋼 6% 3% 繊維工業・衣服 2% 繊維工業・衣服 1% 食料品 2% プラスチック製品 7% 食料品 5% 一般・精密機械 9% 化学工業 3% 電気機械 等 18% 輸送機械 33% そ の他 15% 金属 製品 3% 非鉄・鉄鋼 3% プラスチック製品 4% 一般・精密機械 5% 化学工業 4% 電気機械 等 19% 輸送機械 44% 産業中分類別西部地区製造品出荷額 産業中分類別西部地区従業者数 表 1-2 平成19年度の西部地区製造業の産業構成 前年比 従業者数 前年比 製造品出荷額 前年比 事業所数 産業分類 (%) (人) (%) (百万円) (%) 金 属 製 品 639 97.4 13,064 97.0 291,658 104.1 非鉄・鉄鋼 149 111.2 5,857 111.8 363,285 117.1 プラスチック製品 474 102.8 14,927 104.3 407,039 113.4 一般・精密機械 672 100.6 20,340 102.9 557,480 104.8 輸送機械 1,010 99.8 75,302 102.7 4,688,150 104.5 電気機械 等 454 103.9 40,834 110.5 2,080,477 123.2 化学工業 61 110.9 5,949 114.2 414,618 111.5 食 料 品 341 101.8 11,473 110.0 235,566 103.2 繊維工業・衣服 296 93.1 4,342 94.8 81,656 93.9 そ の 他 1,082 91.3 31,024 94.0 1,557,570 97.4 総数 ・ 前年比 5,254 100.1 223,112 103.1 10,677,499 107.4 出典: 平成19年工業統計調査(平成19年確報工業地区編:経済産業省経済産業政策局調査統計部) ◎従業者4人以上の事業所 ◎電気機械等は電気機械、情報通信機械、電子部品・デバイスの合計 ◎集計対象:磐田市、掛川市、袋井市、御前崎市、牧之原市、菊川市、森町、浜松市、湖西市、新居町 項目 2 2.繊維産業の概要 本県の繊維産業は昭和40年後半を最盛期として、以後、減少を続け、最近は中国などからの安価な 輸入品に国内需要を奪われ、依然、厳しい状況が続いている。 また、県内製造業に占める繊維産業の比率も減少の一途であり(表2-1、図2-1)、他産業の牽引役 の面影は薄く、出荷額等でも1%未満に落ち込んでから久しい。平成19年の統計では事業所数6.5%、 従業員数1.8%、製造出荷額等0.6%となっている。 表 2-1 県 内 製 造 業 に 占 め る 繊 維 産 業 の 年 次 推 移 項目 年 事業所数(全事業所) 全 体 繊 維 比率(%) 従業者数(人、全事業所) 製造出荷額等(百万円,4人以上) 全 体 繊 維 比率(%) 全 体 繊 維 比率(%) 比率 (%) 9年 28,025 2,393 8.5 509,471 19,477 3.8 17,008,725 341,040 2.0 27,905 2,277 8.2 508,782 18,589 3.7 16,341,886 309,407 1.9 10年 11年 27,449 2,177 7.9 489,554 17,201 3.5 15,860,988 272,156 1.7 25,717 1,907 7.4 482,098 15,319 3.2 16,610,776 261,208 1.6 12年 13年 25,450 1,789 7.0 476,822 14,615 3.1 16,186,259 200,178 1.2 14年 24,564 1,733 7.1 459,405 11,177 2.4 16,185,060 222,261 1.4 22,593 1,516 6.7 451,808 10,358 2.3 15,963,846 141,841 0.9 15年 16年 22,808 1,489 6.5 453,379 9,437 2.1 16,699,764 126,340 0.8 21,195 1,321 6.2 457,922 8,774 1.9 17,322,744 121,406 0.7 17年 18年 22,959 1,510 6.6 467,954 8,740 1.9 18,234,667 112,874 0.6 19年 23,458 1,527 6.5 480,207 8,648 1.8 19,410,264 115,167 0.6 「11 繊維工業」「12 衣服」の合計 (ただ し、平成14年度ま では 、産業分類細分類 1742 合成繊維を含む。 出典:平成19年工業統計調査報告書 -静岡県の工 業-(県企画部経済統計室) 平 成21年3月 9.0 8.0 7.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 事業所数 従業者数 製造出荷額等 9 年 1 0 年 1 1 年 1 2 年 1 3 年 1 4 年 1 5 年 1 6 年 1 7 年 1 8 年 1 9 年 図 2-1 県内製造業に占める繊維産業比率の推移 繊維産業の地域分布をみてみると、表2-2、図2-2に示すように県西部地域に集中しており、事業所数 では70%、製造出荷額で約80%が県西部となっている。また、過去10年間の県内製造業に占める繊維産 業の比率は、図2-1に示すように漸減傾向にある。産地の形態としては、織物の製造加工を中心として織 布準備、織布、染色加工、縫製などの各工程が高度に分業化している。県西部地域の繊維産業構成を図 2-3に示す。経営形態は、産元・商社、織元などのオルガナイザー的な企業からの賃加工が主体であり、 小ロット・納期短縮の要求や数量そのものの減少により経営は苦しく、また経営者の高齢化も進んでい る。企業の中には、国からの支援を得た自立化支援事業により新たな経営体制への転換をはかり、従来 3 図 2-3 静 岡 県 西 部 地 域 の 繊 維 産 業 構 成 染色整理業 静岡県織物染色協同組合 浜松織物染色加工協同組合 糸染業9(H19年現在) 紡績・化合繊・アパレルメーカ 総合商社・専門商社 集散地問屋 縫 製 業 4 9 静岡県衣料工業協同組合 9 サイジング業 遠織組合サイジング部会 天龍社サイジング工場 糊付業 整 経 業 産地問屋(産元商社) 浜松広巾織物産元協同組合 静岡別珍コール天産元協同組合 浜松織物卸商協同組合 協同組合浜松卸商センター 29 6 32 67 織 布 業 遠州織物工業協同組合 140(1,662) 天龍社織物工業協同組合 133(1,586) 浜松織物協同組合 71( 741) 静岡県繊維資材工業組合 細幅織物 60 紐類2(H19年現在) 撚 糸 業 綛 揚 げ 業 別珍・コール天 1 仕上げ業 剪 毛 業 静岡県別珍・コール天剪毛工業組合 17(42.5) 管 巻 き 業 苛性漬け業 経 通 し 業 平成20年12月現在 数値は、組合員数等(設備台数) 出 所:関連組合資料等 4 3 1 4 の産元依存を離脱して、商品企画から設計、生産、加工、縫製、販売までを自ら手がけることを目指す 企業も現れている。こういった企業においては、商品企画、アパレルや販売への連結が、まだ弱いた め、消費ニーズを迅速かつ的確に捉え、これに対応した商品を提供する経営意識、体制への改革が進 められている。他産地との連携、若手あるいは後継経営者(異分野業種を含めた)との協力体制によ り、独自のブランド構築や製品の販路を開拓するグループもみられる。また、新しい商品の開発やモノ づくりにおいて、日本古来の伝統技術を復活(手機、藍染、文様など)させて、斬新さや懐古の趣を狙 うケースも広がりつつある。 事業所数 従業者数 製造出荷額 0% 20% 西 部 (西 遠 ) 40% 60% 西 部 (中 遠) 中部 80% 100% 東部 図2-2 繊維産業の県内地域別構成比率 表 2-2 県 内 繊 維 産 業 の 地 域 分 布 西 部 地 域 (平19年) 中 部 地 域 (平19年) 東 部 地 域 (平19年) 事業 従業者 製造出荷額 事業 従業者 製造出荷額 事業 従業者 製造出荷額 所数 数(人) 等(万円) 所数 数(人) 等(万円) 所数 数(人) 等(万円) 浜松市 203 2,662 4,247,595 静岡市 25 247 350,040 富士市 22 251 185,512 磐田市* 40 784 1,524,424 藤枝市 6 258 530,910 沼津市 8 111 34,356 掛川市* 14 270 520,999 吉田町 8 168 324,472 三島市 5 76 36,595 袋井市* 12 171 1,032,159 焼津市 8 62 52,467 函南町 4 134 X 御前崎市* 御殿場市 5 154 481,887 島田市 4 216 X 4 227 382,468 湖西市 牧之原市 3 40 X 10 165 117,839 小山町 2 94 X 森町* 富士宮市 4 24 19,493 川根本町 3 25 X 3 49 48,777 新居町 大井川町 計 3 44 X 2 10 X 48 942 687,708 計 計 284 4,149 7,826,557 66 1,151 1,375,728 (その他:松崎町1企業{28人}、長泉町1 企業{22人}、芝川町1企業{11人}、清 (その他、菊川市*に2企業{18人}) *印は、中遠地域の市町 水町1企業{5人}、河津町1企業{8人}、 「11 繊維工業」 「12 衣服」の合計 従業者4人以上の事業所を対象 (ただし、企業数が3以下の場合、製造品出荷額等のデータは非公開となる。) 富士川町1企業{8人}) 2.1 織布準備(撚糸業、整経業、サイジング業) 撚糸業は、そのほとんどが県西部地域に分布している。整経業は、浜松市、磐田市に分布している。 サイジング業は「遠州織物工業協同組合サイジング部会」の3企業、設備7台(平成19年は(3企業、 7台)、以下、同じように前年値を()で示す。)と「天龍社織物工業協同組合内サイジング」の1企業、 同2台(1台稼働) (1企業、2台)が、サイジングを専業として浜松市と磐田市で稼働している。 先染織物の糊付を主体とした糊付業に携わる企業数は、綛・チーズ糊付専業が2(2) 企業、先染サ イジング専業が2(3)企業 の合計4(5)社 である。 2.2 織布業(広幅織物業、小幅織物業、繊維資材製造業) 広幅織物の組合として「遠州織物工業協同組合」「天龍社織物工業協同組合」2組合、小幅織物は 「浜松織物協同組合」1組合、資材関係「静岡県繊維資材工業組合」の組合が組織されている。広幅 5 と小幅の過去15年間の織機台数並びに織物生産量の推移を図2-4に示す。 「遠州織物工業協同組合」の加入企業は140企業で、織機保有台数は1,622台 (142企業、1,669台) である。生産品種は、綿織物(綾織物、変り織、先染織物、平織、朱子織など) 、ポリエステル関連(平 織生地、平織先染、綾織生地、綾織先染、変織生地、変織先染、麻混など) 、スフ織物などに分類される が、近年は上記以外の生地も多い。生産量は平成19年と比べ綿織物は16%減少し、ポリエステル関連 織物は微減、産地全体では10%の減少となっている(表2-3)。 企業数、織機台数とも減少傾向が続くが、かろうじて生産量が確保できているのは、小ロット、短 納期物で、消費地東京に近いという利便性や蓄積された高度技術や製品開発に熱心な織布業が多いこ となど、繊維産地としての総合的な強さが評価されていることによると推測される。 また、最近では新規の販路開拓のため、JC(ジャパンクリエーション)、ギフトショーなどの商 談展示会や、浜松メッセ、浜松市東区役所展示会のエコバック作成など地域への働きかけに熱心な企 業が増えてきた。オリジナルな織物・製品をインターネット販売する企業も現れている。 織機台数 生産量(千㎡) 80,000 7,000 台数 浜織組合 台数 遠織組合 台数 天龍社組合 生産量 浜織組合 生産量 遠織組合 生産量 天龍社組合 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 1,000 0 0 6年 7年 8年 9年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 図 2-4 広幅・小幅織物の組合別織機台数と織物生産量 「天龍社織物工業協同組合」加入企業は、133企業で織機台数1,586台(144企業、1,714台)であり、 企業数は前年比8%減、織機台数7%減となっている。生産量は昨年に比べて別珍が20%減、コール テンが13%の減、一般織物は59%減で、一般織物の生産量の落ち込みは大きかった。全体では46%の 減であった(表2-4)。また、福田地区にサイジング業を存続させるため、平成18年10月から組合でサ イジングを操業している。 天龍社の組合員の中にも、遠州織物工業協同組合と同様、商談展示会の利用や浜松ファブリックパ フォーマーズ(HFP)の活動に参加して、開発した新製品を展示会へ出品するなど活路開拓を図る 企業も数社みられる。 「浜松織物協同組合」加入は、織元19、内織5、織布46、その他1の71社(75)である。綿素材の ゆかたや甚平、作務衣、綿着尺などの生地を中心に、正絹・絹紡・リネン・ウール・シール/ウール・ 合繊などの着尺や丹前および各種帯地などを生産している(表2-5)。組合員企業は、浜松市および磐 田市に集中し、その規模は51工場、織機台数は741台(791)である。従事者の高齢化による廃業や操 業時間の短縮などにより、生産数量は総じて減少傾向にある。厳しい状況が続いていたところに、昨 秋以降、厳しさが、さらに加速され、当面先行きにも明るい展望は見出せない状況にある。 このような状況を打破するためは、産地の形態再構築の推進や産地独自の新製品開発、新技術開発 などによる商品の高付加価値化によって活性化を図るとともに、後継者育成が急務となっている。 「静岡県繊維資材工業組合」は、細幅織物業53企業、紐類織物業2企業が加入している。現在、事 6 務局職員を常駐させず、19年度からは組合の統計業務も中止している。この内、細幅織物関連は浜松 市、吉田町、牧之原市(旧、榛原町)などに多く、製紐関連は富士市で稼働している。生産品種は、 細幅織物では、薄地テープ、中・厚地テープ、包帯の3品種、紐類では、靴紐、組紐、ゴム紐の3品 種に大別される。用途は、産業用資材の吊りベルト、シートベルト、家具等の耐震資材などのほか、 レジャーやスポーツ関係の製品もあり、用途分野は広く、ほとんど内需向けとなっている。 2.3 別珍・コール天二次加工業、仕上げ業 別珍剪毛業とコール天剪毛業で構成されており、磐田市福田地区およびその周辺地域に分布してい る。「静岡県別珍・コール天剪毛組合」の組合員数と設備は、17企業42.5セット(19企業49.5セット) の中でコール天は8社(うち4社休業)24台(13台稼働)、別珍は9社(うち2社休業)18.5セット (14.5セット稼働)となっている。受注が少なく生産量も大幅に減少している。景気低迷と従事者の 高齢化により組合の存続が危惧されている。 仕上げ業は、磐田市内に1 社(1)のみの操業となった。別珍・コール天織物のカッティング(剪毛) 前の苛性処理工程(別珍のみ)とカッティング後の糊抜き、パイルを立たる解毛、パイルを揃える毛 焼きは、これらのパイル織物にとって重要な加工工程であるが、仕事量がまとまらず操業すら危ぶま れている。また、後発の中国式乾式解毛を研究する企業が現れている。 2.4 染色業(糸染業、広幅織物染色業、小幅織物染色業) 糸染業9社で「静岡県繊維染色工業組合」が組織され浜松市内を中心に操業していたが、平成19年 12月31日に組合組織が解散された。現在、綿糸の染色・漂白を主体に、春・夏の先染めの内需織物用 を中心に、チーズ染色機、噴射染色機の設備で加工している。 広幅織物染色業は「静岡県織物染色協同組合」に加入し、浜松、磐田に分布しており、企業数4+1 (+1は休業状態の企業)(4+1)である。図2-5、表2-6に示すように、広幅染色加工数量は昨年比2%減 で、加工品目別数量では、精練漂白品は4%増、浸染品5%減、捺染品3%増、整理品15%の減であっ た。加工数量の減少に追い討ちをかけるように、燃料の重油、染料、薬品の値上がりで経営は圧迫され、 燃料の重油に代わる石炭や木クズ用のボイラーに変えるなどの対応に追われる。定番品や大ロットの受 注は海外へ移行し、切り替え段取りに手間のかかる小ロットの加工受注の増加も経営を苦しめている。 今年は、天然指向で草木染め、茶染め、オーガニック綿加工、アトピー防止加工、その他の付帯加工な ど、海外ではできない高度技術を駆使した特徴のある加工が多くなっている。そのため、販売戦略を海 外(アジア地域)に向け輸出拡大を図り、自社の企画、縫製、ブランド構築で販売するなど、活路の切 り拓きが必死で取組まれている。 加工量(千㎡) 250,000 精練漂白 200,000 浸 染 捺 染 整 理 150,000 100,000 50,000 0 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 図 2-5 広幅染色加工の推移 7 18年 19年 20年 小幅織物染色業は「浜松織物染色加工協同組合」に加入し、ゆかたの注染加工と機械捺染を中心に、 無地染、整理、広幅染めの5業種に分かれている。企業数は9(11)で、すべて浜松市内に立地し比較的 小規模企業が多い。近年、ゆかたが若者に好まれて消費が拡大しているが、安価な広幅織物のプリント 素材のゆかたや中国ゆかたの伸長が著しく、伝統技術による注染ゆかたは価格面で劣勢を強いられ、減 少傾向を脱し切れないでいる。この傾向は、東京、大阪などのゆかた産地においても同様であり、廃業 や規模縮小する企業が現れ、 その反動で東京産地の手ぬぐいの染色が回ってきているようである (表2-7) 。 2.5 縫製業 県内の縫製業関連の団体としては、沼津市を中心とする企業で組織された「静岡県東部アパレル工 業振興会」と浜松市を中心に組織された「静岡県縫製工業協同組合」がいずれも解散したので、焼津市 など県中部地区の「静岡県衣料工業協同組合」の1組合のみとなった。当組合は、企業数9(10)で構 成され、幼稚園服、学生服、白衣や事務服関連を主体に生産している。業態としては規模の縮小は否 めないが、現状維持の状況で仕事が続いている。縫製業においては、労働力確保が極めて困難で経営 上の重大な課題となっている。 2.6 繊維産元業 産地問屋としては、「浜松広幅織物産元協同組合」に29(30)社、「静岡県別珍・コール天産元協同 組合」に6(8)社、「浜松織物卸商協同組合」32(37)社、「協同組合浜松卸商センター」に67(68)社が 加入している。 「浜松広幅織物産元協同組合」は、浜松市を中心に、企画提案、委託生産、受発注管理、生産管理で 地域の繊維業界のリーダー的役割を担ってきたが、規模の縮小や独自経営へ転向する企業が増えてきて おり、組合内企業間の結びつきは希薄化が進んでいるようである。企画提案でチャレンジの気概のある 企業は、社団法人静岡県繊維協会が地域の繊維産業振興のため、開催する東京、大阪などの繊維関連イ ベントへの出展に参画して、顧客確保に努めている。 「静岡県別珍・コール天産元協同組合」は、実際に産元業として活動している加入企業は3社であ るが、組合組織は維持されている。 「浜松織物卸商協同組合」は、平成9年に国の繊維製品品質表示者番号承認規定が廃止されたこと に伴い、製品への信頼性確保のため、組合独自の団体番号制度を導入し、製品に組合名、電話番号、 管理番号(H-○○○○○[数字]など)を標記し新たな責任体制を確立した。これにより消費者や事 業者はこの番号を手掛かりに製品の品質情報入手や品質管理を行うことができ、消費者から製品に対 する提案や購入要望などが多数寄せられようになった。また、「浜松本染ゆかた」の商標登録(平成 17年10月)によって、他産地との差別化を図っている。現在、浜松地域のゆかた取扱量は全国一である が、同組合と浜松織物染色加工協同組合とで「浜松ゆかた振興会」を立ち上げ、「浜松ゆかたまつり」 などを開催し、ゆかたの消費・販売拡大を図っている。 「協同組合浜松卸商センター」は、浜松卸商団地内の企業を構成員としており、その6割が繊維関連 業である。昭和46年7月団地完成経過とともに状況変化に対応し、繊維業以外の組合員が加入している ことを強みとした独自の地域活性化活動の展開にチャレンジしている。組合員による「団地再整備特別 委員会」を立ち上げ、新しいまちづくりを進めている。消費拡大のため、 「南区浜松卸商団地まつり」を 開催して集客事業を展開するなど、一般人への認知度を高める活動をしている。また、20年度に中国の 世界最大規模の総合卸市場を視察して、中国からの輸入・販売を行う「日中交易特別委員会」やインター ネットによるホームページ販売「ほいさっさ」を立ち上げ、市場拡大を図っている。 8 表2-1 県 内 繊 維 産 業 の 地 域 分 布 西 部 地 域 (平19年) 中 部 地 域 (平19年) 東 部 地 域 (平19年) 従業者数 製造出荷額等 従業者数 製造出荷額等 従業者数 製造出荷額等 事業所数 事業所数 事業所数 (人) (万円) (人) (万円) (人) (万円) 浜松市 静岡市 富士市 203 2,662 4,247,595 25 247 350,040 22 251 185,512 磐田市* 40 784 1,524,424 藤枝市 6 258 530,910 沼津市 8 111 34,356 掛川市* 14 270 520,999 吉田町 8 168 324,472 三島市 5 76 36,595 袋井市* 12 171 1,032,159 焼津市 8 62 52,467 函南町 4 134 X 御前崎市* 5 154 481,887 島田市 4 216 X 御殿場市 4 227 382,468 湖西市 3 40 X 牧之原市 10 165 117,839 小山町 2 94 X 森町* 富士宮市 4 24 19,493 川根本町 3 25 X 3 49 48,777 新居町 3 44 X 大井川町 2 10 X 計 48 942 687,708 計 284 4,149 7,826,557 計 66 1,151 1,375,728 (その他、松崎町 1 企業{28 人}、長泉町 1 企業{22 人} (その他、菊川市*に2企業{18 人}) *印は、中遠地域の市町 芝川町 1 企業{11 人}、清水町 1 企業{5 人} 「11 繊維工業」 「12 衣服」の合計 従業者4人以上の事業所を対象 河津町 1 企業{8 人}富士川町 1 企業{8 人}) (ただし、企業数が3以下の場合、製造品出荷額等のデータは非公開となる。) 表2-2 県内製造業に占める繊維産業の年次推移 事業所数(全事業所) 従業者数(人、全事業所) 製造出荷額等(百万円,4人以上) 項目 年 全 体 繊 維 比率(%) 全 体 繊 維 比率(%) 全 体 繊 維 比率(%) 9年 28,025 2,393 8.5 509,471 19,477 3.8 17,008,725 341,040 2.0 10年 27,905 2,277 8.2 508,782 18,589 3.7 16,341,886 309,407 1.9 11年 27,449 2,177 7.9 489,554 17,201 3.5 15,860,988 272,156 1.7 12年 25,717 1,907 7.4 482,098 15,319 3.2 16,610,776 261,208 1.6 13年 25,450 1,789 7.0 476,822 14,615 3.1 16,186,259 200,178 1.2 14年 24,564 1,733 7.1 459,405 11,177 2.4 16,185,060 222,261 1.4 15年 22,593 1,516 6.7 451,808 10,358 2.3 15,963,846 141,841 0.9 16年 22,808 1,489 6.5 453,379 9,437 2.1 16,699,764 126,340 0.8 17年 21,195 1,321 6.2 457,922 8,774 1.9 17,322,744 121,406 0.7 18年 22,959 1,510 6.6 467,954 8,740 1.9 18,234,667 112,874 0.6 19年 23,458 1,527 6.5 480,207 8,648 1.8 19,410,264 115,167 0.6 「11 繊維工業」「12 衣服」の合計 (ただし、平成 14 年度までは、産業分類細分類 1742 合成繊維を含む。) 出典:平成19年工業統計調査報告書(2007年)-静岡県の工業-(県企画部経済統計室) 9 県内繊維産業による織物生産量の推移 表2-3 広幅織物品種別生産数量の推移 (出所:遠州織物工業協同組合まとめ) 平成11 年 平成12 年 平成13 年 平成14 年 平成15 年 平成 16 年 平成 17 年 平成18 年 平成19 年 平成20 年 企 業 数 311 268 252 223 213 197 174 162 142 140 設備台数 3,738 3,219 3,085 2,759 2,619 2,316 1,970 1,828 1,669 1,622 19,768 9,227 303 0 1,317 16,637 9,219 662 0 1,086 合 計 43,032 38,279 34,662 34,317 33,835 31,863 31,304 31,512 30,615 綿織物:金巾、ホプリン、ローン、他の平織、綾織、朱子、変り織、先染織物、別珍、コール天、その他の合計 ポリエステル関連:平織生地、平織先染め、綾織生地、綾織先染、変り織生地、変わり先染、麻混、その他合繊の合計 27,604 綿 織 物 ポリエステル関連 ス フ 織 物 毛 織 物 その他の織物 27,756 14,262 264 23 727 25,112 12,105 159 0 903 23,193 10,165 283 5 1,016 24,478 8,602 108 3 1,126 23,935 8,854 168 1 877 22,360 8,103 198 1 1,201 20,958 7,746 205 0 2,395 20,419 8,646 394 0 2,053 表2-4 広幅織物品種別生産数量の推移 (出所:天龍社織物協同組合まとめ 一次受検数量) 平成11 年 平成12 年 平成13 年 平成14 年 平成15 年 平成 16 年 (単位:千㎡) 平成 17 年 平成18 年 平成19 年 平成20 年 企 業 数 設備台数 322 4,453 271 3,740 237 3,179 216 2,887 206 2,746 189 2,296 173 2,090 155 1,881 144 1,714 133 1,586 別 珍 コール天 一般織物 2,376 10,629 3,393 2,177 9,147 2,552 1,624 8,013 2,572 1,077 7,201 2,232 1,155 7,350 1,908 1,442 5,366 2,344 1,504 3,897 2,911 1,250 3,006 2,424 654 1,202 4,297 522 1,050 1,768 合 16,398 13,876 12,209 10,510 10,413 9,152 8,312 6,680 6,153 3,340 計 別珍、コール天:単糸、双糸、その他の合計 表2-5 小幅織物品種別生産数量 一般織物:綿・スフ、合繊、その他の合計 (出所:浜松織物協同組合のまとめ) (単位:千㎡) 平成11 年 平成12 年 平成13 年 平成14 年 平成15 年 平成 16 年 企 業 数 設備台数 綿織物 合 繊 毛織物 合 計 平成 17 年 平成18 年 平成19 年 平成20 年 145 2,016 129 1,680 115 1,472 90 1,260 88 1,085 88 1,085 87 1,065 82 831 75 791 71 741 926 340 26 681 250 19 592 217 17 510 185 9 460 165 6 471 168 6 525 178 8 491 172 11 470 145 12 443 124 12 1,292 950 826 704 631 645 711 674 627 579 綿織物:先染、生地、その他 合繊:合繊、その他(絹、絹紡) 毛織物:先染、生地、シルク/ウール、帯 県内繊維産業による染色生産量の推移 表2-6 広幅織物染色加工数量の推移 (出所:静岡県織物染色協同組合のまとめ) 平成11 年 平成12 年 平成13 年 平成14 年 平成15 年 平成 16 年 企 業 (単位:千㎡) 平成 17 年 平成18 年 平成19 年 平成20 年 数 10 8 8 7 7 6 6 4 4 4 精練漂白加工量 浸染加工量 捺染加工量 整理加工量 37,492 96,923 48,633 8,388 29,904 86,401 47,420 6,078 29,984 84,403 45,190 3,755 32,166 75,963 37,115 2,084 29,046 73,150 35,845 1,838 19,015 74,714 32,814 1,791 12,335 64,117 27,711 1,871 11,424 61,593 19,648 1,764 10,340 48,079 20,264 1,401 10,778 45,555 20,802 1,194 計 191,436 169,803 163,332 147,328 139,879 128,334 106,034 94,429 80,084 78,329 表2-7 小幅織物染色加工数量の推移 (出所:浜松織物染色加工協同組合のまとめ) 平成11 年 平成12 年 平成13 年 平成14 年 平成15 年 平成 16 年 (単位:千反) 平成 17 年 平成18 年 平成19 年 平成20 年 数 21 21 17 15 14 14 13 12 11 9 ウール着尺加工量 手拭加工量 254 3 10 226 3 11 194 3 13 182 3 13 169 3 14 158 2 14 155 2 15 143 2 18 100 2 25 80 1 32 計 267 240 210 198 186 174 172 163 127 113 企 業 ゆかた加工量 10 3.機械金属産業の概要 3.1 地域的特徴 平成19年における本県の製造品出荷額等の合計は19兆4,103億円で、この内、機械金属産業 (鉄鋼業、非鉄金属、金属製品、一般機械、輸送機械、精密機械の6業種)は、9兆1,914億円 (県全体の47%)である。また、西部地域の機械金属産業の製造品出荷額等は5兆6,116億円で あり、本県全体の29%、西部地域全体の56%を占め、西部地域の産業構造の中で非常に重要 な地位を占めている。中でも浜松市、磐田市及び湖西市では、機械金属産業の占める比率が 高くなっている。輸送機械を主とした西部地域の機械金属産業は、IT不況やバブル崩壊等、 他の産業が不調の時も殆ど右肩上がりの好調を維持してきたのも大きな特徴である。 図3-1に示すように、西部地域における機械金属産業の6業種中では、製造品出荷額等の大 半を輸送機械産業で占めているが、他の5業種や電気・電子産業やプラスチック製品製造業等 も輸送機械メーカーのサプライヤー・チェーンに組み込まれていることが多く、輸送機械産 業を支える裾野は西部地域全体に広がっているといえる。 西部地域の事業所の規模を見ると、政令指定都市浜松市に半数以上の事業所が存在してい るが、1事業所あたりの製造品出荷額等は14.4億円で、湖西市の98億円、磐田市の42億円に 比べ、1/3~1/7と低い値となっている。これは湖西市や磐田市に大事業所が多く立地してい るためと考えられる。現在、浜松市内や県外の企業が、大きな生産拠点を求め、郊外に工場 立地する動きがあり、西部地域の中でも市町間で企業誘致の綱引きが認められる。 経年変化を見ると、機械金属産業の事業所数は僅かながら減少傾向、従業者数は微増で推 移し、製造品出荷額等は増加傾向となっている。このことから、西部地域の機械金属産業で は、企業規模の拡大、製造品の高付加価値化が続いていることが推察される。 今回の調査は平成19年の工業統料に基づいており、平成20年秋からの経済危機に伴う製造 業への影響は確認できない。特に好調であった西部地域の機械金属産業は大きな打撃を受け ている模様で、平成20年度工業統計の出荷額等は大きく変動することが予測される。 製造品出荷額等 従業者数 事業所数 全 県 西部地域 2,000 全 県 (千人) 西部地域 (千億円) 120 60 100 50 80 40 60 30 40 20 20 10 0 0 全 県 西部地域 1,800 1,600 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 11 機 械 機 械 製 品 金 属 機 械 精 密 輸 送 一 般 金 属 業 図3-1 県内の機械金属産業の業種別比較表 非 鉄 鉄 鋼 械 械 機 機 精 密 機 械 輸 送 品 製 金 属 一 般 属 業 金 鉄 鋼 非 鉄 機 械 機 械 製 品 金 属 機 械 精 密 輸 送 一 般 金 属 非 鉄 鉄 鋼 業 0 7000 6000 事業所数 5000 4000 3000 2000 1000 0 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 16 17 18 19 16 17 18 19 平成 全 県 西部地域 図3-2 機械金属産業事業所数の推移 従業者数(千人) 250 200 150 100 50 0 8 9 10 11 12 13 14 15 平成 全 県 西部地域 図3-3 機械金属産業従業者数の推移 製造品出荷額等(千億円) 100 80 60 40 20 0 8 9 10 11 12 13 14 15 平成 全 県 西部地域 図3-4 機械金属産業製造品出荷額等の推移 12 3 . 2 輸送 機 械 の 概要 県内における平成20年の自動車完成車(軽自動車を含む)の生産は、生産台数164万台(前年比 -7.4%)、生産額1兆5,963億円(同-2%)で、世界同時不況による景気減速の影響を受け、この 10年ではじめて前年生産を下回った。また、自動車部品も在庫調整と減産により、生産額が9,986 億円(同-8.3%)と、前年より減少した。 県内の二輪車完成車の生産台数は、国内および海外での販売減の影響を受け、平成20年は前年 の100万台を大幅に割り込み74万台(前年比-32%)となり、生産額も4,090億円(同-27.8%)に 大幅減少した。また、二輪車部品の生産も2,100億円(同-22.3%)に減少している。 1,800 1,600 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 90,000 80,000 生産金額(百万円) 生産金額(10億円) 3.3 工作機械・金型産業の概要 県内金属工作機械の平成20年生産額は、806億円(前年比+2.7%)であった。上期は、中国を中 心とした外需と自動車業界の内需のもとで推移していたが、下期は、世界的景気の減速に伴う海 外需要の減少および企業の設備投資の縮小に伴い生産額は減少している。 県内の木材加工機械製造(従業者30人以上事業所)は、長らく減少傾向を示してきたが、平成 15年の生産額73億円を底に持ち直し、昨年まで年間生産額100億円前後で一進一退の様相を見せて いた。しかし平成20年は生産額73億円(前年比-26%)と、急激に減少した。 県内の金型生産(従業者20人以上事業所)は、平成9年の生産額473億円から漸減傾向にあった が、平成14年の生産額327億円を底に持ち直し、平成20年は、19年と比較して生産台数は若干の減 少したものの、生産額では406億円(前年比+13%)と増加した。 金型生産は、表3-5に示すように平成19年の従業者4人以上の事業所での統計では、県内の製造 品出荷額は1,200億円であった。同年の従業者20人以上事業所の生産額が359億円と全体の1/3であ ることを考えると、金型製造が小規模・零細企業によって支えられていることがわかる。また金 型種類別では、プレス用及びプラスチック用金型の製造品出荷額がそれぞれ588億円(全体比49%)、 337億円(同28%)と高く、これにダイカストを含む鋳造用金型の3者で全体の85%を占めている。 なお静岡県の金型の製造品出荷額は愛知県に次いで全国第2位となっている。 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 平成 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 自動車完成車 二輪車完成車 図3-6 70,000 平成 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 金属工作機械(50人以上) 木材加工機械(30人以上) 金型(20人以上) 自動車部品 二輪車部品 県内の自動車・二輪車の生産推移 図3-7 県内の工作機械・木工機械・金型の (従業員50人以上) 生産推移 13 図3-8 西 部 地 域 の 機 械 金 属 産 業 関 係 の 団 体(概 要) 38 15 31 業種別組合 浜松鍍金工業協同組合 日本超硬刃物協同組合 浜松機械工具商協同組合 155 51 63 7 339 6 3 1 地域組合 浜松鉄工機械工業協同組合 浜北機械金属工業協同組合 湖西金属工業協同組合 袋井精密工業協同組合 静岡県西部商工協同組合 芙蓉技研協同組合 ハママツメタル加工協同組合 八木式製茶機協同組合 一般機械 精密機械 金属製品 鉄 鋼 2 14 24 11 11 9 7 22 29 14 16 13 11 10 27 15 14 4 7 13 エコポリス工業団地(掛川) 13 都田アソシエイツ 協同組合都田テクノパーク テクノフロンティア浜松 70 11 8 非鉄金属 そ の 他 82 26 5 企業協力組合 スズキ協力協同組合 浜自ボデー協同組合 ツルミオートパーツ協同組合 企 業 集 積 組 合 輸送機械 菊川工業団地協同組合 菊川中央工業団地協同組合 大東工業団地協同組合 掛川工業団地協同組合 福田工業団地協同組合 豊田富里工業団地協同組合 協同組合磐田鉄工センター 磐田さぎさか工業団地協同組合 浜松鉄工団地協同組合 浜松湖南工業団地協同組合 浜松共同団地協同組合 協同組合テクノランド細江 新居鉄工団地協同組合 湖西工業団地協同組合 協同組合浜松技術工業団地 浜松馬郡工業団地協同組合 協同組合テクニカルパーク湖西 浜松三新工業団地協同組合 協同組合東豊センター 浜松西テクノ協同組合 出 典:静岡県中小企業団体中央会の組合・企業ホームページの情報により、協同組合リストを作成。各団体の加入者数は電話またはホームページでの聞き取り調査による(H21 年 3 月現在) 14 表 3-1 西部地域の機械金属産業の業種別年次推移 項目 業種 事 業 所 数 平成 13 年 平成 14 年 平成 15 年 平成 16 年 平成 17 年 平成 18 年 平成 19 年 鉄鋼業 非鉄金属 金属製品 一般機械 輸送機械 精密機械 74 72 685 599 1,053 29 68 59 632 586 1,030 23 66 73 621 601 1,045 33 59 63 640 585 978 33 70 69 657 618 1,006 33 65 65 630 606 989 32 71 73 610 603 987 38 合 2,512 2,398 2,439 2,358 2,453 2,387 2,382 計 項目 業種 従 業 者 数 (人) 平成 13 年 平成 14 年 平成 15 年 平成 16 年 平成 17 年 平成 18 年 平成 19 年 鉄鋼業 非鉄金属 金属製品 一般機械 輸送機械 精密機械 1,639 2,502 12,370 16,163 65,285 742 1,469 2,397 11,638 15,578 64,135 625 1,541 2,996 11,295 14,728 64,276 331 1,769 3,496 12,305 16,050 65,706 1,782 2,004 3,479 12,796 15,997 70,624 1,826 1,842 3,368 12,728 15,840 71,046 1,990 1,929 3,791 12,247 17,228 72,752 2,011 合 98,701 95,842 95,167 101,108 106,726 106,814 109,958 計 項目 業種 製造品出荷額 等 ( 億円) 平成 13 年 平成 14 年 平成 15 年 平成 16 年 平成 17 年 平成 18 年 平成 19 年 鉄鋼業 非鉄金属 金属製品 一般機械 輸送機械 精密機械 485 795 2,526 3,829 34,028 207 514 950 2,308 3,511 39,210 199 517 1,270 2,260 3,439 35,168 77 589 1,189 2,438 4,256 36,481 91 1,109 1,630 2,742 4,341 38,567 765 1,120 1,576 2,640 4,491 43,122 484 1,237 2,176 2,735 4,659 44,737 572 合 41,870 46,692 42,731 45,044 49,154 53,433 56,116 計 出典:平成 13 年~平成 19 年 工業統計調査報告書 -静岡県の工業- (県企画部経済統計室) 従業者4人以上の事業所 15 表 3-2 西 部 地 域 の 機 械 金 属 産 業 の 分 布 西部地域全業種 項目 地域 鉄鋼業 非鉄金属 金属製品 事業所数 従業者数 (人) 製造品出荷額等 (億円) 事業所数 従業者数 (人) 製造品出荷額等 (億円) 事業所数 従業者数 (人) 製造品出荷額等 (億円) 事業所数 従業者数 (人) 浜 松 市 磐 田 市 掛 川 市 袋 井 市 菊 川 市 湖 西 市 御前崎市 森 町 新 居 町 2,856 737 433 273 189 204 134 103 85 92,627 40,248 22,984 13,937 8,941 21,188 4,299 4,194 2,528 32,257 24,682 14,626 5,441 2,908 16,685 1,152 1,031 601 33 7 9 6 11 1 4 - 933 177 159 60 128 4 468 - 751 203 67 16 52 × 148 - 36 16 5 1 6 4 5 - 1,685 1,197 90 60 599 65 95 - 886 652 267 × 316 15 40 - 362 90 53 33 14 23 16 14 5 6,526 1,660 1,654 935 412 387 417 224 32 1,325 305 458 292 72 86 156 39 2 計 5,014 210,946 99,383 71 1,929 1,237 73 3,791 2,176 610 12,247 2,735 一般機械 項目 地域 輸送機械 精密機械 製造品出荷額等 (億円) 機械金属産業合計 事業所数 従業者数 (人) 製造品出荷額等 (億円) 事業所数 従業者数 (人) 製造品出荷額等 (億円) 事業所数 従業者数 (人) 製造品出荷額等 (億円) 事業所数 従業者数 (人) 369 95 32 29 29 20 16 6 7 8,175 4,558 1,166 587 1,658 411 465 109 99 2,025 1,477 191 190 575 68 89 24 20 584 157 44 34 28 76 17 8 39 33,393 17,518 3,200 3,295 2,715 9,084 728 1,123 1,696 14,861 12,888 1,904 1,171 719 12,357 112 245 480 22 4 1 4 1 4 1 1 1,146 126 206 435 45 40 8 5 334 41 × 192 × 5 × × 1,406 369 144 107 89 128 53 34 52 51,858 25,236 6,475 5,372 5,557 9,991 2,078 1,559 1,832 20,182 15,566 2,887 1,861 1,734 12,531 505 348 502 計 603 17,228 4,659 987 72,752 44,737 出典:平成 19 年工業統計調査報告書 -静岡県の工業- (県企画部経済統計室) 従業者4人以上の事業所 38 2,011 572 2,382 109,958 56,116 浜 松 市 磐 田 市 掛 川 市 袋 井 市 菊 川 市 湖 西 市 御前崎市 森 町 新 居 町 16 製造品出荷額等 (億円) 表3-3 西部地域における輸送機械(自動車・二輪車)の生産推移 自動車(軽自動車を含む) 静岡県 完成車生産 二 輪 車(ホンダ・ヤマハ・スズキ) 静岡県 静岡県 完成車生産 二輪車部品 静岡県 自動車部品 生産数量 前年比 金額 前年比 金額 前年比 台数 前年比 金額 前年比 金額 前年比 (台) (%) (百万円) (%) (百万円) (%) (台) (%) (百万円) (%) (百万円) (%) 平成 10 年 1,178,863 877,320 540,338 1,630,601 412,277 平成 11 年 1,338,349 13.5 1,005,407 14.6 526,712 -2.5 1,360,867 -16.5 384,722 -6.7 - 平成 12 年 1,424,612 6.4 1,060,650 5.5 595,045 13.0 1,507,833 10.8 420,452 9.3 - 平成 13 年 1,468,544 3.1 1,222,443 15.3 574,770 -3.4 1,425,142 -5.5 411,483 -2.1 - 平成 14 年 1,633,190 11.2 1,270,468 3.9 839,027 46.0 1,304,716 -8.5 439,354 6.8 204,415 平成 15 年 1,552,325 -5.0 1,290,276 1.6 846,549 0.9 1,182,437 -9.4 418,094 -4.8 203,762 -0.3 平成 16 年 1,666,896 7.4 1,316,532 2.0 904,414 6.8 1,260,637 6.6 433,061 3.6 232,938 14.3 平成 17 年 1,768,174 6.1 1,421,154 7.9 999,554 10.5 1,322,247 4.9 492,066 13.6 255,372 9.6 平成 18 年 1,852,625 4.8 1,597,225 12.4 1,028,391 2.9 1,182,415 -10.6 508,718 3.4 295,860 15.9 平成 19 年 1,765,974 -4.7 1,628,060 1.9 1,088,475 5.8 1,084,582 -8.3 566,303 11.3 270,142 -8.7 平成 20 年 1,635,210 -7.4 1,595,533 -2.0 998,518 -8.3 737,539 -32.0 408,983 -27.8 210,023 -22.3 (注)出典:「静岡県の統計 No.691~No.702 (静岡県企画部経済統計室)」 表3-4 - 調査対象企業:従業員50人以上 県内工作機械・木工機械・金型の生産推移 金属工作機械 生産数量 前年比 生産金額 (台) (%) (百万円) 木材加工機械 金 生産数量 前年比 生産金額 生産数量 前年比 (台) (%) (百万円) (台) (%) 型 生産金額 (百万円) 平成9年 4,615 -3.9 69,699 4,093 -19.2 22,364 14,166 37.2 47,308 平成 10 年 4,721 2.3 72,502 1,941 -52.6 16,543 13,869 -2.1 42,563 平成 11 年 3,595 -23.9 46,128 1,530 -21.2 12,962 13,548 -2.3 34,683 平成 12 年 4,408 22.6 49,166 2,177 42.3 13,427 15,177 12.0 38,742 平成 13 年 4,518 2.5 55,282 1,609 -26.1 10,421 14,502 -4.4 36,936 平成 14 年 2,620 -42.0 29,334 データなし - 8,093 13,704 -5.5 32,675 平成 15 年 3,236 23.5 34,606 データなし - 7,260 10,810 -21.1 34,597 平成 16 年 3,869 19.6 36,314 データなし - 9,137 11,075 2.5 37,451 平成 17 年 4,567 18.0 52,640 データなし - 10,330 11,183 1.0 37,312 平成 18 年 5,283 15.7 61,824 データなし - 8,913 13,272 18.7 45,869 平成 19 年 6,371 20.6 78,512 データなし - 9,904 13,841 4.3 35,840 平成20 年 5,887 -7.6 80,644 データなし - 7,321 13,709 -1.0 40,620 (注)出典:「静岡県の統計No.691~No.702 (静岡県企画部経済統計室)」 調査対象企業 金属工作機械:従業者50人以上 木材加工機械:従業者30人以上 金型:従業者20人以上 表3-5 県内の金型製造種類別の事業所数と製造品出荷額 事業所数 製造品出荷額 (百万円) プレス用 鍛造用 154 12 58,777 1,779 鋳造用 その他の金型、 合計 プラスチック用 ゴム・ガラス用 33 108 10 72 389 11,135 33,658 1,539 13,071 119,959 (ダイカスト含) 出典:平成19年度工業統計調査報告書 ―静岡県の工業― (県企画部経済統計室) 従業員数4人以上の事業所 17 同部分品・附属品 4-1 光関連概要 P18 PM 6/29/2009 作成日時:5/6/2009 5:19:00 4.光関連産業の概要 光技術は、従来からの照明やイメージング、計測・分析といった応用から、レーザーの発明に端を発 した大容量光通信および光情報処理、さらには高出力・高密度レーザーによる表面改質や微細加工など に応用分野を拡大している。また、光技術は機械・金属やバイオ、ナノテクノロジーなどの多様な技術、 産業との融合性のよい技術として、今や国内産業のリーディング技術となっている。 本県西部地域は、光技術に関する研究・開発実績の豊富な大学、研究機関、企業が立地しており、光 技術をコア技術にしたベンチャー企業が数多く起業するなど、 地域として光技術への関心は非常に高い。 4.1 国内の光産業動向 財団法人光産業技術振興協会は、昭和 55 年度以来、光産業動向調査委員会を設置し、毎年光産業の動 向調査を実施してきている。このたびの調査では、7 つの製品分野別調査専門委員会を設けて平成 19 年 度実績の報告とともに、平成 20 年度見込みおよび平成 21 年度予測の分析が行われた。発表された調査 結果によると、平成 19 年度の実績は対前年度比 2.6%増の 8 兆 705 億円と増加したが、平成 20 年度は 1.3%減の 7 兆 9,644 億円と減少が見込まれる。さらに、平成 21 年度には 2.6%減の 7 兆 7,579 億円と予 測をしている。平成 19 年度の製品分野別生産の実績を多い順にみると、ディスプレイ分野 3 兆 5,745 億円( 3.4 %, 構成比 44.3 %)、入出力分野 2 兆 1,019 億円( 5.8 %, 同 26.0 %)、情報記録分野 6,012 億円(-9.6 %, 同 7.4 %)、 情報通信分野 5,375 億円(0.6 %, 同 6.7 %)、 レーザー加工分野 4,691 億円(7.2 %, 同 5.8 %)、太陽電池分野 4,018 億円( 4.6 %, 同 5.0 %)、センシング・計測分野 2,423 億円(-10.7 %, 同 3.0 %)等であり、特に情報記録分野とセンシング・計測分野において落ち込み、太陽電池分野で増加を 示している。 4.2 静岡県の光関連産業 現在、県西部地域には、発光・受光素子、光回路部品、光ファイバなどの光部品の製造に関わる企業、 光ディスク用ピックアップ、光ディスク評価装置、精密形状計測機器、LED表示装置、光応用果実選 果機などの光応用機器の製造に関わる企業が立地している。近年、これら光技術製品を主軸としている 企業以外にも、輸送機械関連や電子機器関連で光応用製品を開発して新たな事業拡大を目指す企業が現 れてきている。例えば、輸送機械部品の省力加工や高品質化をめざすレーザー加工装置が地域の複数企 業の連携によって開発され注目されている。また、異業種交流の中から半導体レーザーによる機械部品 の計測機器を開発し商品展開している企業や三次元レーザースキャナーにより加工精度を高める付属設 備の商品化をした企業、半導体レーザーを組み込んだ健康・医療分野の新製品開発企業など、光技術の 産業応用が顕著となってきている。 地域の基盤産業である機械金属や繊維、 楽器などの業種においても、 技術開発や製品開発への展開で光技術の導入される機会は増えてくるものと推測される。 今回調査した県西部各企業における生産額(今回の調査対象企業の決算期は、平成 19 年 9 月~平成 20 年 9 月)は、全体的に見ればやや増加傾向であった。 4.3 光技術の産業応用に対する取り組み 県西部地域では、産業界、大学、官が地域を挙げて共同で超短パルスレーザーの開発を行う「静岡県 地域結集型共同研究事業」が事業を終了した。当センターでは引き続き、県事業「レーザー計測制御プ ロジェクト」として産業応用研究を目指している。また、同様に地域産学官により次世代型光センサと イメージング技術を産業・医療などの分野に応用することを目指す「知的クラスター創成事業」も、 「知 的クラスター創成事業Ⅱ期」事業が始まっている。現在、当センターでは、設置されている高出力半導 体レーザーやフェムト秒レーザーおよび広ダイナミックレンジイメージングデバイスなどの設備資源・ 技術資源と、これら大型共同研究事業の成果を機能的に活用促進している。また人材の育成では、 「レー ザーによるものづくり中核人材育成」中堅技術者の人材育成の支援を始めた。 当センターは地域産業界、大学、浜松商工会議所や三遠南信バイタライゼーション浜松支部などの産 業支援機関とともに、これらの取り組みを行い、地域企業に対して事業化支援、成果普及することによ り、県西部地域を中心とした光関連産業のさらなる集積の促進を図っている。 18 4-2 表 4-1P19 6/29/2009 作成日時:3/19/2009 5:12:00 PM 表4-1 光産業の国内生産額推移(光機器・装置、光部品) 単位 : 金額(百万円)、前年比(%) 平成20年 平成21年度 平成5年度 平成6年度 平成7年度 平成8年度 平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 度 (1993年度) (1994年度) (1995年度) (1996年度) (1997年度) (1998年度) (1999年度) (2000年度) (2001年度) (2002年度) (2003年度) (2004年度) (2005年度) (2006年度) (2007年度) (2008年度) (2009年度) 実績 実績 実績 実績 実績 実績 実績 実績 実績 実績 実績 実績 実績 実績 (実績) (見込) (予測) 光 ・ 金 額 2,607,230 2,720,435 2,853,823 2,596,332 2,899,014 3,178,892 3,942,183 4,254,030 3,583,615 3,750,032 4,438,759 4,267,250 4,201,547 4,327,346 4,424,866 4,244,400 4,149,862 機装 器 置 (前年比) 99.6 104.3 104.9 91.0 111.7 109.7 124.0 107.9 84.2 104.6 118.4 96.1 98.5 103.0 102.3 98.1 93.8 光 金 額 986,024 1,172,236 1,219,516 1,509,752 1,706,450 1,751,912 2,415,300 2,815,194 2,421,298 2,415,080 2,949,541 3,299,917 3,342,408 3,537,478 3,645,598 3,720,009 3,607,994 部 品 (前年比) 115.3 118.9 104.0 123.8 113.0 102.7 137.9 116.6 86.0 99.7 122.1 111.9 101.3 105.8 103.1 105.2 99.0 合 金 額 3,593,254 3,892,671 4,073,339 4,106,084 4,605,464 4,930,804 6,357,483 7,069,224 6,004,913 6,165,112 7,388,300 7,567,167 7,543,955 7,864,824 8,070,464 7,964,409 7,757,856 計 (前年比) 103.5 108.3 104.6 100.8 112.2 107.1 128.9 111.2 84.9 102.7 119.8 102.4 99.7 104.3 102.6 101.3 96.1 財団法人光産業技術振興協会光産業動向調査(平成20年3月6日発表)による 売上高 (百万円) 500,000 県西部に立地する 14 企業の光産業製品(光電変換素 400,000 子、光ファイバ、光変調器、光ピックアップ、ディスプレイ 300,000 装置、その他光応用製品等)の売上高を集計した。 200,000 100,000 参考: ・財団法人静岡経済研究所「2009静岡県会社要覧」 0 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 ・各社インターネットホームページに記載された資料 平成 (年度) ・訪問または電話による企業担当者への取材 図4-1 西部地域の光関連企業における光産業製品売上高の推移 19 5.電気・電子産業の概要 5.1 県内の電気・電子産業の概要 平成14年3月に産業分類が改正され、「電気・電子産業」は「電気機械器具製造業」、「情報通信機械 器具製造業」及び「電子部品・デバイス製造業」に分割されたので、この3業種を「電気・電子産業」 としてまとめた。 県内の電気・電子産業が製造業全体に占める位置付けは、全事業所数12,427に対し1,046事業所で、 全体に占める割合は8.4%となっている。また、全従業員数457,695人に対し71,225人で、全体に占め る割合は15.6%となっている。さらに、全製造品出荷額180,791億円に対し29,966億円で、全体に占め る割合は16.6%となっている。 電気・電子産業について、ここ3年の年次推移を見ると「電気機械器具製造業」では、事業所数は減 少に歯止めがかかり、従業員数及び製造品出荷額は微増している。「情報通信機械器具製造業」では、 従業員数は増加しているが、出荷額は減少傾向にある。「電子部品・デバイス製造業」では、事業所数、 従業員数、出荷額共に減少していたが、19年では大幅に増加している。 3業種の従業員1人当りの出荷額をみると「電気機械器具製造業」が3.8千万円、「情報通信機械器具 製造業」が7.3千万円、「電子部品・デバイス製造業」が3.2千万円であり、「情報通信機械器具製造業」 が2.3倍程になっている。 製造品出荷額で見ると、電気・電子産業は全県の15.8%を占め、これは輸送機械製造業の31.2%に 次ぎ、第2位に位置している。ここ5年間で見てみても順調に伸びており、堅調に推移している。 5.2 西部地域の概要 県西部地域の電気・電子産業は 432事業所であり、県全体(1,046事業所)の41%を占めている。こ の割合はここ数年間ほとんど同じであるが、3業種でみてみると特徴が大きく表れる。「電気機械器具 製造業」では、事業所数、従業員数、製造品出荷額とも県全体の4割程度になっているが、「情報通信 機械器具製造業」と「電子部品・デバイス製造業」では、事業所数が5割、従業員数が7割程度で製造品 出荷額は8割を占める程になっている。また、「電気機械器具製造業」では湖西市、「情報通信機械器 具製造業」では掛川市、「電子部品・デバイス製造業」では磐田市で事業所数が少ないのにも関わらず、 従業員数及び製造品出荷額で飛び抜けて多くなっている。これは、それぞれに特化した大企業が存在し ていることを示している。また、「電気機械器具製造業」ではそれぞれの市町に事業所があり分散が見 られるが、「情報通信機械器具製造業」と「電子部品・デバイス製造業」では浜松市と他の2、3地域 に集中傾向にある。 5年間の推移を見てみると、事業所数では県全体が減少から横ばい傾向であるが、西部地域は変わって いない。従業員数はこの地域での増加が県全体数の増加へと繋がっていると見られ、雇用の受け皿とな っている。また、製造品出荷額も西部地域では18年には大企業の移転により若干減少したが、堅調に推 移している。 電気・電子産業においては、技術革新の速度が速く、また生産の海外移転が進んでおり、中小企業 といえども、独自の技術開発や製品開発などにより、自社技術の差別化、製品の高付加価値化への努 力が一層必要となってきている。 20 表5-1 電気・電子産業の西部地域における分布と年次推移 項目 地域 17年県全体 18年県全体 19年県全体 西部地域 (製造品出荷額:千万円) 電子部品・デバイス 電気機械器具 情報通信機械器具 事業所数 従業員数(人) 製造品出荷額 事業所数 従業員数(人) 製造品出荷額 822 796 796 300 37.7 173 37 23 13 31 3 7 6 7 比率(%) 浜松市 磐田市 掛川市 袋井市 湖西市 御前崎市 菊川市 森町 新居町 46,899 49,505 51,286 21,563 42.0 6,673 1,303 1,903 783 9,805 103 743 111 139 177,175 194,027 195,781 81,288 41.5 15,639 2,666 17,885 4,021 38,422 11 2,523 101 20 92 84 89 46 51.7 23 4 9 7 2 - 1 - - 8,557 8,730 9,691 6,648 68.6 1,596 90 3,270 1,562 98 - 32 - - 事業所数 従業員数(人) 製造品出荷額 78,705 72,905 70,925 55,310 78.0 4,169 191 42,270 8,680 × - × - - 158 151 161 86 53.4 57 12 5 2 3 4 1 - 2 9,424 8,485 10,248 7,794 76.1 3,268 3,068 153 59 604 600 13 - 29 31,482 20,484 32,950 28,359 86.1 11,223 14,861 248 × 998 1,029 × - × 出典:平成19年工業統計調査報告書 -静岡県の工業- (県企画部経済統計室) (×印はデータ非公開、-印は該当数値なし) 従業者数4人以上の事業所 西部地域の電気・電子産業事業所数の年次推移 (事業所数) 1200 西部地域の電気・電子産業製造品出荷額の年次 推移 (人) 西部地域の電気・電子産業従業員数の年次推移 80,000 (千万円) 300,000 70,000 1000 250,000 60,000 800 50,000 600 200,000 40,000 150,000 30,000 400 100,000 20,000 200 50,000 10,000 0 0 平成15年 平成16年 平成17年 平成19年 0.10西部:電気機械器具 0 平成15年 平成16年 平成17年 西部:情報通信機械 平成18年 平成19年 西部:電子部品・デバイス 21 平成15年 平成16年 平成17年 西部地域以外 平成18年 平成19年 6.楽器産業の概要 浜松地方には世界的に著名な楽器メーカが古くから立地し、楽器生産では全国一の生産高を誇 っている。静岡県楽器製造協会の調べによれば、平成20年の製品出荷額は797億円である。昨年よ り6.1%の減であるが、10年前と比べると31%減少している。生活の多様化、児童数の減少、ピア ノ・電子ピアノの普及一巡などと海外生産シフトにより、長期間にわたり生産高は右肩下がりで 推移してきた。最近は、国内販売の不振が続いている。主力のピアノ生産は、金額で楽器全体の 42%を占め、消音ピアノや輸出に支えられ横ばい状態である。電子オルガンは、16年に大ヒット した時に比べ半減しているが横ばい状態である。管楽器の生産量は10年間以上ほぼ横ばい状態で あったが20年には減少している。しかし金額ベースでは微減に止まっている。電子キーボードは 近年横ばい状態であるが、10年前とは生産数量では5%、金額では30%程に落ち込んでいる。電子 楽器は、現在も海外生産規模の拡大が図られており、今後も減少の傾向は続くものと思われる。 しかしながら、楽器産業の社会的重要性は依然として高く、浜松市は「音楽文化都市のまちづ くり」を推進している。アクト音楽ホール、楽器博物館などが設けられ、国際ピアノコンクール などの各種の音楽イベントも多く開催されている。一方、メーカでは中高年向け音楽教室の拡充 や楽器レンタルシステムの導入を行い、製品の高級化、本物指向など、音楽文化の高揚と合わせ て、国内市場活性化のための方策も試みられている。 表 6-1 項目 年 県内の楽器産業における生産量の推移 (生産数量:台、 生産金額:百万円、 前年比:%) ピ ア ノ 生産数量 電 気・電 子 ピ ア ノ 前年比 生産金額 前年比 生産数量 電 子 オ ル ガ ン 前年比 生産金額 前年比 生産数量 前年比 生産金額 前年比 平成10年 147,376 94.6 49,064 91.9 132,410 98.4 17,719 100.0 36,472 89.1 15,079 119.4 11年 135,041 91.6 47,413 96.6 114,034 86.1 13,702 77.3 34,260 93.9 11,749 12年 136,392 101.0 50,872 107.3 134,270 117.7 13,779 100.6 31,255 91.2 9,328 79.4 13年 118,814 87.1 42,090 82.7 103,533 77.1 12,658 91.9 24,903 79.7 7,300 78.3 14年 108,313 91.2 37,438 88.9 112,222 108.4 12,229 96.6 27,313 109.7 6,504 89.1 15年 116,554 107.6 39,628 105.8 95,256 84.9 11,739 96.0 19,899 72.9 3,606 55.4 16年 115,554 99.1 37,631 95.0 98,739 103.7 11,119 94.7 32,166 161.6 17年 117,972 102.1 36,925 98.1 94,032 95.2 10,672 96.0 24,217 75.3 7,176 65.3 18年 128,943 109.3 36,903 99.9 85,828 91.3 13,072 122.5 15,058 62.2 4,737 66.0 19年 127,445 98.8 37,301 101.1 91,792 106.9 14,506 111.0 15,798 104.9 4,288 90.5 20年 134,765 105.7 33,642 90.2 電 子 キ ー ボ ー ド 90,696 98.8 13,367 管 楽 器 92.1 項目 年 生産数量 前年比 生産金額 前年比 生産数量 16,347 103.5 その他の楽器 77.9 10,985 304.6 4,774 111.3 総合計 前年比 生産金額 前年比 生産金額 前年比 生産金額 前年比 平成10年 373,741 64.6 13,180 82.8 248,395 106.4 15,684 122.7 4,824 112.3 115,550 99.0 11年 392,032 104.9 11,877 90.1 232,700 93.7 14,680 93.6 3,151 65.3 102,572 88.8 12年 265,655 67.8 7,503 63.2 211,734 91.0 14,833 101.0 2,334 74.1 98,649 96.2 13年 34,794 13.1 6,099 81.3 197,836 93.4 14,019 94.5 3,483 149.2 85,649 86.8 14年 17,665 50.8 3,763 61.7 204,403 103.3 13,758 98.1 3,572 102.6 77,264 90.2 15年 19,063 107.9 2,606 69.3 204,454 100.0 15,074 109.6 3,692 103.4 76,345 98.8 16年 13,066 68.5 2,422 92.9 198,097 96.9 15,867 105.3 3,430 92.9 17年 18,885 144.5 3,741 154.5 201,436 101.7 16,102 101.5 3,902 113.8 78,518 18年 19,533 103.4 3,637 97.2 218,744 108.6 17,355 107.8 6,209 159.1 81,913 104.3 19年 15,199 77.8 3,344 91.9 221,102 101.1 18,246 105.1 7,205 116.0 20年 18,950 124.7 3,893 116.4 187,115 84.6 17,234 94.5 6,790 94.2 出所:静岡県楽器生産販売状況表(静岡県楽器製造協会調査) 22 81,454 106.7 96.4 84,891 103.6 79,700 93.9 7.プラスチック・ゴム製品製造産業の概要 7.1 県内のプラスチック製品製造業及びゴム製品製造業の概要 県内のプラスチック製品製造業及びゴム製品製造業の事業所数、従業員数、製造品出荷額等の 県内全製造業(4人以上の事業所)に占める比率を表7-1に示す。また、プラスチック及びゴム製 品製造業の小分類を表7-2、表7-3に示す。 表7-1 県内のプラスチック製品製造業とゴム製品製造業の実数及び全製造業に対する比率 プラスチック製品製造業 ゴム製品製造業 実数 比率(%) 実数 比率(%) 事業所 930 7.5 147 1.2 従業員(人) 28,503 6.2 7,649 1.7 製造品出荷額等(億円) 7,457 3.8 2,277 1.2 プラスチック製品製造業では、図7-1に示すように事業所数、従業者数、製造品出荷額とも工業 用プラスチック製品製造業が最も多く、全体に占める割合は、それぞれ469事業所(50%)、14,108 人(50%)、3,127億円(42%)となっている。また第2位のプラスチックフィルム・シート・床 材・合成皮革製造業は事業所数割合では126事業所(13%)であるが、製造品出荷額は1,889億円 (25%)を占めており企業規模が大きいことを示している。 プラスチック製品は、軽量化志向の高まりや用途の多様化に伴い増加傾向にあり、防水性に優 れたFRPを応用したユニットバスなどの製品も注目されている。FRP製造業が分類所属する発 泡・強化プラスチック製品製造業は、111事業所(12%)、従業者数3,331人(12%)、714億円 (9.6%)である。 プラスチック板・ 棒・管・継 手・異形押出製品製造業 事業所数 プラスチックフィルム・シー ト・床材・合成皮革製造業 工業用プラスチック製品製 造業 従業者数 発泡・強化プラスチック製 品製造業 プラスチック成型材料製造 業(廃プラスチックを含む) 製造品出荷額 その他のプラスチック製品 製造業 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 図7-1 平成19年度プラスチック製品製造業の比較 ゴム製品製造業の中では、図7-2に示すようにゴムベルト・ゴムホース・工業用ゴム製品製造業 が事業所数、従業者数、製造品出荷額ともいずれも最多で、全体に占める割合は、それぞれ119 事業所(81%)、6,018人(79%)、1,658億円(73%)となっている。 またプラスチック製品製造、ゴム製品製造の両産業における、ここ5年間の年次推移を表7-4 に示す。 プラスチック製品製造業は、事業所数でほぼ横ばい、従業者数、製造品出荷額は年々増加傾向 にある。出荷額ではこの5年で2000億円以上の増加となっている。 一方、ゴム製品製造業では多少の増減はあるものの、事業所数は減少傾向、従業者数、製造品 出荷額は横ばい状態である。 23 タイヤ・チューブ製造業 事業所数 ゴム製・プラスチッ ク製履 物・同付属品製造業 従業者数 ゴムベルト・ゴムホース・工 業用ゴム製品製造業 製造品出荷額 その他のゴム製品製造業 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 図7-2 平成19年度ゴム製品製造業の比較 7.2 西部地域のプラスチック製品製造業の概要 平成19年における西部地域のプラスチック製品製造業は、表7-4に示すように435事業所(全県 比47%)、従業者数14,167人(同49.7%)で、県全体事業所、従業者数の半数近くを占め、製造 品出荷額は3,746億円(同50.2%)と、西部地域が50%を超えている。 またこの5年間の推移を図7-3に示す。この5年間で事業所は5%、従業者数は14%、製造品出 荷額は43%と、いずれも増加している。 4,000 15,000 500 事業所数 14,000 450 製造品出荷額(億円) 従業者数(人) 3,000 13,000 400 12,000 350 11,000 300 10,000 H15 H16 H17 H18 H19 2,000 1,000 H15 H16 H17 H18 H15 H19 H16 H17 H18 H19 図 7-3 西部地域プラスチック製品製造業の推移(事業所数、従業者数、製造品出荷額) 500 その他プラスチック製品 プラスチック板・棒 450 工業用プラスチック製品 400 プラスチック製容器 プラスチックフィルム 350 工業用プラスチック加工 事業所数 また、経済産業省経済産業政策局 調査統計部が集計した工業統計表 の「工業地区編」の製品出荷額上位 60位の産業細分類のデータから、事 業所数、従業員数、製造品出荷額の いずれも『工業用プラスチック製品 製造業(加工業を除く)』の占める 比重が大きかった。 プラスチックフィルム・ シート・床材・合成皮革 強化プラスチック製容 器・浴槽等 300 250 200 ◎工業統計表「工業地区編」データ [経済産業省経済産業政策局調査統 計部] ◎集計対象:磐田市、掛川市、袋井 市、御前崎市、牧之原市、菊川市、 森町、浜松市、湖西市、新居町 150 100 50 0 2002 24 2003 2004 2005 2006 2007 図7-4 西部地域プラスチック製品製造業事業所数 450,000 16000 400,000 14000 350,000 12000 300,000 製造品出荷額(百万円) 従業員数 10000 8000 6000 4000 250,000 200,000 150,000 100,000 2000 50,000 0 0 2002 2003 2004 2005 2006 2002 2007 図7-5 西部地域プラスチック製品製造業従業員数 7.3 2003 2004 2005 2006 2007 図7-6 西部地域プラスチック製品製造出荷額 西部地域ゴム製品製造業の概要 平成19年における西部地域のゴム製品製造業は、表7-4に示すように88事業所(全県比60%)、 従業者数4,169人(同55%)で、県全体の半数以上を占めており、製造品出荷額においても、1,103 億円(同48%)と、およそ50%となっている。 またこの5年間の推移を図7-4に示す。事業所数は減少傾向にあり、この5年間で-14%減少し ており、一方、従業者数は13%増加した。また製造品出荷額は、18年度に1,274億円の最高額で あったが、19年度は一転して前年比-14%の減少となった。19年度は、5企業が存在する森町の 製造品出荷額の落ち込みが激しかったことが、その原因となっている。 4,500 105 事業所数 4,300 100 95 4,100 90 3,900 85 3,700 2,000 従業者数(人) 製造品出荷額(億円) 1,500 1,000 3,500 80 H15 H16 H17 H18 H19 500 H15 H16 H17 H18 H19 H15 H16 H17 図 7-7 西部地域ゴム製品製造業の推移(事業所数、従業者数、製造品出荷額) 25 H18 H19 5000 150 その他ゴム製品製造業 工業用ゴム製品製造業 その他ゴム製品製造業 工業用ゴム製品製造業 4500 120 4000 3500 従業者数(人) 事業所数 90 60 3000 2500 2000 1500 30 1000 500 0 0 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2002 図7-8 西部地域ゴム製品製造業事業所数 2003 2004 2005 2006 2007 図7-9 西部地域ゴム製品製造業従業員数 経済産業省 経済産業政策局調査統計部発表 の工業統計表の「工業地区編」の製品出荷額上 位60位の産業細分類のデータから、ゴム製品製 造業のうち『工業用ゴム製品製造業』が事業所 数、従業員数、製造品出荷額のいずれにおいて も大きな比重を占めている。 150,000 その他ゴム 製品製造業 工業用ゴム製品製造業 ◎工業統計表「工業地区編」データ [経済産業 省経済産業政策局調査統計部] ◎集計対象:磐田市、掛川市、袋井市、御前崎 市、牧之原市、菊川市、森町、浜松市、湖西市、 新居町 製造品出荷額(百万円) 120,000 90,000 60,000 30,000 0 2002 2003 2004 2005 2006 図7-10 西部地域ゴム製品製造業出荷額 26 2007 表7-1 平成19年度プラスチック製品製造業産業分類比較(県全体) 事業所数 比率 従業者数 比率 製造品出荷額 比率 (人) (百万円) プラスチック製品製造業 930 100 28,503 100 74,571,646 100 プラスチック板・棒・管・継手・異形押出製品製造業 43 4.6% 1,554 5.5% 6,060,163 8.1% 産業分類 プラスチック板・棒 プラスチック管 プラスチック継手 プラスチック異形押出製品 プラスチック板・棒・管・継手・異形押出製品の加工品 プラスチックフィルム・シート・床材・合成皮革製造業 プラスチックフィルム プラスチックシート プラスチック床材 合成皮革 2 10 2 9 20 735 351 8 205 255 126 13.5% 39 6 1 4 76 プラスチックフィルム・シート・床材・合成皮革製品の加工品 × 934,204 × 435,618 364,146 5,070 17.8% 1,744 710 16 643 1,957 18,887,846 25.3% 8,106,205 × × 2,346,371 5,265,457 工業用プラスチック製品製造業 469 50.4% 14,108 49.5% 31,268,605 41.9% 工業用プラスチック製品(加工品を除く) 工業プラスチック製品の加工品 367 102 11,761 2,347 28,029,872 3,238,733 発泡・強化プラスチック製品製造業 111 11.9% 軟質プラスチック発泡製品(反硬質性を含む) 硬質プラスチック発泡製品 強化プラスチック製板・棒・管・継手 強化プラスチック製容器・浴槽等 発泡・強化プラスチック製品の加工品 プラスチック成型材料製造業(廃プラスチックを含む) プラスチック成形材料 廃プラスチック製品 44 14 1 28 24 50 5.4% 39 11 その他のプラスチック製品製造業 7,144,642 1,019 455 32 1,250 575 2,081,360 × × 2,130,301 1,513,943 667 2.3% 553 114 131 14.1% プラスチック製日用雑貨・食卓用品 プラスチック製容器 他に分類されないプラスチック製品 他に分類されないプラスチック製品の加工品 3,331 11.7% 23 41 28 39 2,311,850 9.6% 3.1% 2,092,907 218,943 3,773 13.2% 8,898,540 11.9% 690 1,465 825 793 1,348,943 4,389,283 1,990,327 1,169,987 表7-2 平成19年度ゴム製品製造業産業分類比較(県全体) 産業分類 ゴム製品製造業 タイヤ・チューブ製造業 自動車タイヤ・チューブ(航空機用を含む) 自転車タイヤ・チューブ 事業所数 比率 従業者数 比率 製造品出荷額 比率 (人) (百万円) 147 100 7,649 100 22,770,143 100 5 3.4% 1,091 14.3% 5,374,472 23.6% 5 1,091 - - ゴム製・プラスチック製履物・同付属品製造業 12 ゴム製履物・同附属品 プラスチック製履物・同附属品 2 10 8.2% 91 5,374,472 - 1.2% 15 78 94,382 0.4% × × ゴムベルト・ゴムホース・工業用ゴム製品製造業 119 81.0% 6,018 78.7% 16,580,423 72.8% ゴムベルト ゴムホース 工業用ゴム製品 5 5 109 203 153 5,662 299,763 288,438 15,992,222 その他のゴム製品製造業 11 7.5% 449 5.9% 720,866 ゴム引布 1 6 × 医療・衛生用ゴム製品 2 321 × ゴム練生地 3 40 95459 更正タイヤ - - - 再生ゴム - - - 他に分類されないゴム製品 5 82 30927 出典:平成19年工業統計調査報告書 -静岡県の工業- (県企画部経済統計室) 従業者数4人以上の事業所 (×印はデータ非公開、-印は該当数値なし) 27 3.2% 表7-3 プラスチック・ゴム製品製造産業の5年間の推移と西部地域における分布 (製造品出荷額;万円) 地 域 県 全 体 西部地域 平 成 十 五 年 度 平 成 十 六 年 度 平 成 十 七 年 度 平 成 十 八 年 度 平 成 十 九 年 度 プラスチック製品製造業 ゴム製品製造業 事業所数 従業者数(人) 製造品出荷額 事業所数 従業者数(人) 製造品出荷額 917 25,037 54,059,689 191 6,912 19,862,788 416 11,572 26,154,950 102 3,703 10,349,095 浜松市 西 磐田市 部 掛川市 地 域 袋井市 市 湖西市 町 御前崎市 小 菊川市 森町 計 新居町 219 71 30 40 14 12 22 6 2 5,161 2,904 690 1,343 313 250 754 157 × 11,125,537 6,824,980 1,569,545 3,007,741 674,355 538,837 1,917,477 496,478 × 県 全 体 西部地域 885 408 25,872 12,523 浜松市 西 磐田市 部 掛川市 地 域 袋井市 市 湖西市 町 御前崎市 小 菊川市 森町 計 新居町 210 70 34 38 14 13 21 6 2 県 全 体 西部地域 39 23 9 11 6 7 7 108 160 1,070 - 1,200,248 988,629 2,549,789 458,481 - 172,266 278,428 4,701,254 - 58,379,415 26,839,412 166 97 6,993 3,840 21,669,903 11,541,845 5,405 3,119 788 1,331 327 269 722 188 374 12,263,171 5,790,491 1,883,821 2,865,680 728,030 713,294 2,072,865 522,060 × 37 21 13 8 570 447 1,001 296 - 187 248 1,091 - 780,583 822,667 2,695,776 480,189 - 997,244 365,788 5,399,598 - 936 424 27,166 13,064 64,110,575 30,990,385 160 95 6,841 3,784 21,761,967 11,404,099 浜松市 西 磐田市 部 掛川市 地 域 袋井市 市 湖西市 町 御前崎市 小 菊川市 森町 計 新居町 216 72 36 38 16 16 21 6 3 5,412 3,326 747 1,614 382 284 738 156 405 13,004,296 7,326,900 1,863,165 4,423,930 801,214 761,498 2,153,535 486,071 169,776 37 17 13 9 1 4 7 7 688 389 1,007 320 6 97 252 1,025 - 1,191,479 780,482 2,838,990 437,366 × 145,909 471,561 5,538,312 - 県 全 体 西部地域 907 423 27,995 13,566 69,120,294 33,166,656 140 85 6,894 3,773 23,176,527 12,740,680 浜松市 西 磐田市 部 掛川市 地 域 袋井市 市 湖西市 町 御前崎市 小 菊川市 森町 計 新居町 212 76 35 39 18 12 21 6 4 5,550 3,423 845 1,699 412 252 794 170 421 13,615,400 8,255,264 1,934,553 4,806,884 874,638 675,031 2,304,942 437,393 262,551 33 17 10 7 641 437 1,005 290 - 106 267 1,027 - 1,498,527 879,999 3,038,258 320,847 - 155,858 487,383 6,359,808 - 県 全 体 西部地域 930 435 28,503 14,167 74,571,646 37,458,523 147 88 7,649 4,169 22,770,143 11,031,472 浜松市 西 磐田市 部 掛川市 地 域 袋井市 市 湖西市 町 御前崎市 小 菊川市 森町 計 新居町 223 74 37 38 17 13 21 6 6 6,075 3,446 891 1,632 387 370 874 160 332 14,094,147 11,272,339 2,219,879 4,807,741 878,887 706,339 2,375,001 505,692 598,498 33 18 11 11 694 425 1,079 421 - 104 240 1,206 - 2,136,623 935,103 3,261,549 441,925 - 171,010 495,259 3,590,003 - - - - - 5 6 7 - - - 4 7 7 - - 4 6 5 - 639 468 941 317 ※ 旧市町村分のデータについては合併した市に含む。 出典:平成19年工業統計調査報告書 -静岡県の工業- (県企画部経済統計室) 従業者数4人以上の事業所 (×印はデータ非公開、-印は該当数値なし) 28 表 7-4 製造品出荷額上位 60 位までのプラスチック・関連製造業の産業細分類別統計 表 7-4-1 事業所数 製造業計 化学工業 プラスチック 製品製造業 (別掲を除く) ゴム製品製造業 プラスチック製造業 その他化学工業 小計 強化プラスチック製容器・浴槽等製造業 プラスチックフィルム・シート・床材・合成 皮革加工業 工業用プラスチック製品加工業 プラスチックフィルム製造業 プラスチック製容器製造業 工業用プラスチック製品製造業(加工業を除 く) プラスチック板・棒製造業 その他プラスチック製品製造業 小計 工業用ゴム製品製造業 その他ゴム製品製造業 小計 2002 5523 3 57 60 12 2003 5634 3 56 59 13 2004 5285 3 57 60 ― 2005 5510 ― ― 59 ― 2006 5259 2 53 55 ― 2007 5254 3 58 61 ― 20 24 18 35 36 42 ― 16 22 ― 15 18 55 13 18 36 14 15 38 14 15 39 16 14 182 175 183 201 207 214 164 416 80 19 99 1 185 431 87 23 110 1 131 419 49 50 99 1 158 460 79 19 98 1 150 461 77 11 88 ― 149 474 77 14 91 表 7―4―2 従業者数 製造業計 化学工業 プラスチック 製品製造業 (別掲を除く) ゴム製品製造業 プラスチック製造業 その他化学工業 小計 強化プラスチック製容器・浴槽等 製造業 プラスチックフィルム・シート・ 床材・合成皮革加工業 工業用プラスチック製品加工業 プラスチックフィルム製造業 プラスチック製容器製造業 工業用プラスチック製品製造業 (加工業を除く) プラスチック板・棒製造業 その他プラスチック製品製造業 小計 工業用ゴム製品製造業 その他ゴム製品製造業 小計 (人) 2002 196119 357 4244 4601 2003 196302 353 4383 4736 370 402 497 570 438 808 845 995 ― 746 882 ― 724 856 1248 711 850 679 732 757 698 733 795 751 1431 787 5072 5013 5525 5964 6413 6915 ― 3787 11354 3357 611 3968 ― 4737 12302 3524 728 4252 634 3421 12827 2977 1211 4188 802 4036 13778 3508 667 4175 844 3978 14306 3812 364 4176 ― 4048 14927 3907 696 4603 29 2004 199240 212 4626 4838 2005 212515 ― ― 5205 2006 216345 106 5182 5288 2007 223112 124 5825 5949 ― ― ― ― 表 7-4-3 製造品出荷額 製造業計 化学工業 プラスチック 製品製造業 (別掲を除く) ゴム製品製造業 プラスチック製造業 その他化学工業 小計 強化プラスチック製 容器・浴槽等製造業 プラスチックフィル ム・シート・床材 ・合成皮革加工業 工業用プラスチック 製品加工業 プラスチックフィル ム製造業 プラスチック製容器 製造業 工業用プラスチック 製品製造業 (加工業を除く) プラスチック板 ・棒製造業 その他プラスチック 製品製造業 小計 工業用ゴム製品製造 業 その他ゴム製品製造 業 小計 (百万円) 2002 2003 2004 2005 2006 2007 8,349,521 8,056,804 8,507,654 9,180,773 9,940,908 10,677,499 13,455 14,500 15,463 ― ― 13,173 73,043 71,378 70,078 ― ― 84,900 86,498 85,878 85,541 88,887 96,468 98,073 11,624 9,653 ― ― ― ― 12,646 14,272 10,418 24,673 25,679 28,663 ― ― 19,087 9,235 10,824 11,620 26,507 27,066 26,376 28,073 29,371 32,093 31,452 29,075 32,709 31,857 31,024 30,034 106,293 106,755 120,060 138,795 155,241 173,455 ― ― ― ― ― 84,891 93,147 90,226 103,198 106,724 131,174 273,413 279,968 298,876 335,831 358,863 407,039 99,081 105,645 103,999 118,537 138,051 115,818 9792 12603 25567 11767 5658 12356 108,873 118,248 129,566 130,304 143,709 128,174 ◎工業統計表「工業地区編」データ [経済産業省経済産業政策局調査統計部] ◎集計対象:磐田市、掛川市、袋井市、御前崎市、牧之原市、菊川市、森町、浜松市、湖西市、新居町 30 ― (「静岡県西部地域の産業概要」編集委員) 技術支援担当 光電子科 鈴 木 一 之(主任研究員) 磯 部 賢 二(科長) 眞 好(研究主幹) 〃 レーザープロジェクトスタッフ 神 谷 〃 光 スタッフ 三 浦 〃 電子 スタッフ 長 谷 川 機械材料科 清(主任研究員) 茂(研究主幹) 佐 藤 憲 治(科長) 〃 機械 スタッフ(平成20年度) 木 野 浩 成(主任研究員) 〃 材料 スタッフ 伊 藤 芳 典(主任研究員) 〃 繊維高分子材料スタッフ 田 端 孝 光(研究主幹) 〃 繊維高分子材料スタッフ 半 田 克 美(研究主幹) 静岡県西部地域の産業概要 ( 第 14号 ) 平成21年7月 編集・発行 〒 431-2103 静岡県工業技術研究所 浜松工業技術支援センター 浜松市北区新都田一丁目3番3号 TEL 053-428-4151 FAX 053-428-4160 E-mail:[email protected] URL http://www.iri.pref.shizuoka.jp/hamamatsu
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