第1回 皇學館大学ヒューマンネットワーク部 川北広太郎さん、山口阿美さん (皇學館大学社会福祉学部 4 年生) 【ヒューマンネットワーク部について】 皇學館大学名張校舎の学生が立ち上げた当部は、今回インタビューを受けてくださった川北さ ん、山口さんが社会福祉学部の 12 期生にあたり、 「オープン・カレッジ活動」と「だあこ活動」 を二本柱として月 3~4 回活動している。現在の部員数は、4 年生 4 名、3 年生 7 名、2 年生 6 名の計 16 名で、皇學館大学にあるボランティア関連の部活、サークルの中でも中心となって活 動している組織の一つである。 【活動内容】 ●オープン・カレッジ活動 義務教育、あるいは高校 3 年間終了後も継続的に勉強したいという強い意志を持ちながらも、 希望が叶わない環境の中にいる障がい者の方達へ、当部の学生が教える立場に立って授業を行い、 学びの場、成長・発達できる場を提供する活動。①学習の保証、②発達・変化の保証、③大学の 地域貢献を活動理念とし、平成 22 年度までは、兵庫県西宮市にある甲子園浜自然環境センター にて、 「自然」をテーマに受講生への授業を行ってきた。甲子園浜に生息する貝類、カニ類の生態 を調べ、特徴を知ってもらう等、講義形式の授業のみでなく、センター内にある資料館を利用し て、受講生自ら生き物の生態についての調べ学習をするなど、受講生の主体的な参加を促す工夫 もされている。年間 3、4 回行われ、各回受講生は 6 名程と、少人数ながらも楽しく活動が行わ れている。 平成 23 年度からは、大学のキャンパス統合による事情で活動が休止しているが、オープン・ カレッジ活動は全国の大学で行われているため積極的に情報交換をしたり、活動内容の見直しを 進めるなど、次回の開催へ向けて準備が進められている。 ●だあこ活動 平成 23 年度よりメインの活動となっている「だあこ活動」は、名張市にある「だあこ」と呼 ばれる家で、さまざまな障害のある子どもたちと一緒に料理を作ったり、製作活動を行うなどし て、余暇支援に取り組むものである。上記のオープン・カレッジ活動に比べてレクリエーション 要素が強いものの、事前に参加者個々の状況を把握するよう努め、参加者にとっても当部の部員 にとっても学びの多き機会となっている。 川北さん、山口さんの熱い“想い” ヒューマンネットワーク部へ入部したきっかけは? 川北さん:昔からボランティアに興味があったので。大学も社会福祉士の資格に挑戦でき る、皇学館大学の社会福祉学部を選びました。 山口さん:中高と続けてきたボランティア活動を大学でも 続けたかったんです。私も、皇学館大学で保育士や 介護士を目指したいなぁと思っていました。 オープン・カレッジ活動やだあこ活動で障害者の方たちと接するにあたって、気を付けてい ることや心がけていることは? お二人:活動の前に、まずフェイスシートというものを使って、参加される障害者の方々 の情報を把握します。これにより、それぞれ何ができて 何ができないのかわかるので、参加者に対する個々のサ ポートもしやすいですし、私たちの活動理念の一つであ る「発達・変化の保証」といった面でも効果があるんで すよ。 4 年間ヒューマンネットワーク部で活動を続けてきて、つらかったこと、大変だったことは? 川北さん:オープン・カレッジ活動やだあこ活動において、障害者の方々とどう接すれば よいのかわからなかったことも大変でしたが、 何よりも部活のマネージメントに苦労しました。 新入部員の勧誘であったり、現部員をどうまと めていったらよいのかなど・・・でも悩んでい たときに、ある OB の方が「特別何かしなくて も、一緒にいる時間を増やしてみよう」とアドバ イスしてくださり、部員みんなでお昼ごはんを一 緒に食べたり、他愛のない話をして、少しずつお互 いの壁を取り払っていけるように努力しました。 お二人にとってずばり、ボランティアとはなんですか? 川北さん:ボランティアと聞くと「福祉」というイメージが強いですが、街頭募金や清掃 活動も立派なボランティアです。そういう意味で、ボランティアって幅広くて、 奥が深いなぁとひしひしと感じますね。ボランティアはもちろん人相手の活動 なので、コミュニケーションの大切さも学んでいます。 山口さん:私にとってボランティアは、自分自身を成長させてくれるものです。私は、 「ボ ランティアをしている」というよりは、「オープン・カレッジ活動をしている」 とか「だあこ活動をしている」という感覚なのですが、そうした活動を通して、 障害者の人たちと同じ目線に立つことができていると思います。 インタビューを終えて… 今回インタビューをさせて頂いたヒューマンネットワーク部さんは、とても活動的な部活であ ることがお二人のお話を聞かせて頂く中で感じることが出来た。次世代を担っていくであろう 2 年生、3 年生の人数が多いこともその理由の一つとして挙げられると思う。 オープン・カレッジ活動に関して、自分たちの大学で活動を完結させてしまうのではなく、他 のオープン・カレッジ活動を行っている大学との交流によって、活動のフィードバックをしっか り行っている点がとても魅力的だと感じた。 また、だあこ活動では、障害者の方とのやりとりのために様々な困難に直面する機会も多いが、 それによって自分自身の考え方や部活の理念等を見直すことが出来たとおっしゃっていた。 川北さん、山口さん共にとても積極的な方で、関係者の方から行事に個人的にお誘いを受ける ほどとても信頼の厚い方達であることも実感した。川北さんがボランティアとは「すごい広い意 味だと感じる、とても奥深い」とおっしゃった言葉はとても印象に残っている。 最後になりましたが、お忙しい中私達のインタビューに快く引き受けて下さり、本当にありがと うございました。また、このインタビューの機会をくださった皇學館大学の守本先生へも感謝の 意を表します。 (坂上 卓) ボランティアは自分を成長させてくれるもの。ボランティアを通して、障害者の人たちと同じ 目線に立つことができた。 「こんなこと、あんなことができないんだ」ではなく、「どうしたらで きるようになるだろう?」と考えるようになった――――― 大学入学から 4 年間、ヒューマンネットワーク部に所属し、障害者の教育支援ボランティアに 携わってきた川北さん、山口さんの口から出た、重みのある言葉。 「障害者の人たちと同じ目線に 立つこと」がいかに難しいことで、でもとても必要であることを、お二人は今回のインタビュー の中で訴えかけていました。そんなお二人も、ボランティア活動に本格的に取り組まれたのは大 学入学後だとか。ヒューマンネットワーク部に入部されたのも、 「中学、高校時代にやっていたボ ランティア活動を大学でも続けられたらいいな」 「将来、保育士や介護士になる上で役に立ちそう」 といった何気ない気持ちからだったそう。気軽に足を踏み入れたボランティア活動というフィー ルドで、たくさんのことを経験し、学び、そしてボランティアを“幅の広い、奥の深いおもしろ いもの”だと話してくださったお二人の体験談は、初めてのインタビューで緊張していた私を温 かい気持ちにさせてくれる素敵なものでした。(楠 麻祐子) 川北さん、山口さん、本当にありがとうございました☆ と き:2013 年 1 月 22 日(火)14:40~16:10 ところ:皇學館大学 聞き手:楠 麻祐子(三重大学人文学部 3 年生) 坂上 卓(三重大学生物資源学部 3 年生)
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