平成23年度 鹿児島県大学・高校ガイダンスセミナー報告書 - 鹿児島大学

平成23年度
鹿児島県大学・高校ガイダンスセミナー報告書
開催日: 平成23年10月25日(火)
会 場: かごしま県民交流センター
主 催: 鹿児島県大学・高校ガイダンスセミナー実施委員会
後 援: 独立行政法人 大学入試センター
目
次
1 平成23年度鹿児島県大学・高校ガイダンスセミナー実施要項
・・・ 1
2 プログラム
・・・ 2
3 講演 「大学入試センター試験にみる地域別特徴」
大学入試センター 研究開発部
大津起夫 教授
・・・ 3
4 パネルディスカッション
「大学入試を介した高大連携 ~大学が求める能力と高校が育む能力~」
・・・32
(1)高校-大学間連携事業の実践例からわかるその必要性
鹿児島玉龍高等学校
坂本昌弥 教諭
・・・32
(2)鹿屋女子高等学校における進路指導について
鹿屋女子高等学校
青木 誠 教諭
・・・36
(3) 大学入試を介した高大連携 ~大学が求める能力と高校が育む能力~
鹿児島純心女子大学
福田健夫 副学長
・・・41
(4) 大学入試を介した高大連携 ~大学が求める能力と高校がはぐくむ能力~ ・・・43
鹿児島大学理工学研究科
藏脇淳一 教授
5 参加者名簿
・・・59
6 アンケート集計結果
・・・62
平成23年度鹿児島県大学・高校ガイダンスセミナー実施要項
1 趣 旨
高等学校における生徒の志望・適性等に応じた適切な進路指導に資するため,大学の教育研究内容等
について,大学の教員・入試広報担当者等と高等学校の校長及び進路指導担当教員・ホームルーム担
任教員等との意見交換を図る場を設ける。
2 主 催
鹿児島県大学・高校ガイダンスセミナー実施委員会
鹿児島県教育委員会,鹿児島県高等学校長協会,鹿児島県高等学校進路指導研究協議会,
鹿児島純心女子大学,鹿児島大学,鹿屋体育大学,鹿児島国際大学,志學館大学,第一工業大学
3 後 援
独立行政法人大学入試センター
4 開催日時
平成23年10月25日(火)9時20分~12時30分
5 会 場
かごしま県民交流センター (鹿児島市山下町14-50)
6 参加対象者
鹿児島県内の高等学校の校長,進路指導担当教員・ホームルーム担任教員等
国公私立大学の教員,入試広報担当者等
7 参加費
参加する鹿児島県内の各大学及び各高等学校が負担するものとする。
(鹿児島県内の1大学当たり 20,000 円,1高等学校当たり 1,500 円)
1
プ ロ グ ラ ム
【平成23年10月25日(火)9:20~12:30】
会場:かごしま県民交流センター(2階大ホール・展示ロビー)
9:00
(受 付)
9:20
○ 開会挨拶
9:30
松 下 栄 子 氏 鹿児島純心女子大学長
(鹿児島県大学・高校ガイダンスセミナー実施委員会当番大学長)
大 平 和 男 氏 鹿児島県高等学校長協会 理事長
○ 講 演
演題 「大学入試センター試験にみる地域別特徴」
講師 大 津 起 夫 氏 大学入試センター 研究開発部 教授 ○ 質疑応答
10:30 ○ 休 憩(15分)
10:45 ○ パネルディスカッション
テーマ「大学入試を介した高大連携 ~大学が求める能力と高校が育む能力~」
コーディネーター (高等学校:1人,大学 :1人)
黒 木 浩 二 氏
黒 木 浩 二 氏
鹿児島県立加治木高等学校 校長
山 本 一 哉 氏 鹿児島大学 学長補佐
パネリスト(高等学校:2人,大学 :2人)
坂 本 昌 弥 氏 鹿児島市立鹿児島玉龍高等学校 進路指導部主任
青 木 誠 氏 鹿屋市立鹿屋女子高等学校 進路指導部主任
福 田 健 夫 氏 鹿児島純心女子大学 副学長
藏 脇 淳 一 氏 鹿児島大学 大学院理工学研究科 教授(副理学部長)
12:30
○ 閉 会
2
講
講
演
師
「大学入試センター試験にみる地域別特徴」
大津起夫 氏 (大学入試センター 研究開発部 教授)
皆さま、おはようございます。ご紹介いただきました大学入試センター研究開発部の大
津でございます。本日は、「大学入試センター試験にみる地域別特徴」というテーマでお話
しさせていただこうと思います。地域別特徴として、特に科目選択の事実ですね。過去 20
年間に渡ってどういう傾向が見られるかっていう、その事実の傾向を前半にお話して、後
半は地域別の特徴というのはまた別なんですが、大学入試センターの研究開発部の方で、
教育行政それから教育社会学関係の研究者のチームでかなり大規模に調査を行っています。
それは、高校生の進路についての調査なんですが、全国規模で調査は現在も進行中ですが、
それの概要について若干ご紹介しようと思います。それで、前半は私がデータ集計した結
果なんですが、出席されてる方がいらっしゃるんではないかなと思うんですが、昨年の入
学者研究協議会のセミナーで話した内容を 1 部流用しております。後半に関しては、山村、
鈴木、濱中らの今年方告書が出ているものですから、その中から一部を紹介させていただ
きます。
それで、大学入試センターが統一試験を 1979 年から行っているわけなんですが、これは
大体の概要です。1979 年に共通第 1 次学力試験という形で統一試験を始めました。それは
平成元年までです。この期間は 11 年間ですけれども、この間は要するに科目選択に関して
は、科目数は全員一緒という形を取っていました。1954 年から 61 年までは原則して 5 教
科 7 科目の必須だったわけです。その後必須科目の負担が大きいということで、科目数が
減らされて、
昭和 62 年から平成元年までは 5 教科 5 科目を課すという形でやっていました。
1990 年から形態が現在の大学入試センター試験という形になって、先生方ご存じだと思い
ますが、現在まで受験科目数は任意という形。大学の方も、全部使う必要はないと、必要
な科目だけ課してくださいという形で試験を行っているわけです。ただ実施のコマ数とか、
特に社会、理科に関しては色々変遷があります。センター試験になった 1990 年、要するに
平成 2 年から平成 8 年までは実施の時間が 8 コマでそのうち社会が 1 コマ、理科が 3 コマ
という形でした。平成 9 年からは社会 2 コマですね。要するに地歴のコマと、それから公
民のコマという形で社会 2 コマ。それから理科の方を減らして、理科 2 コマという形でや
っていたんですが。特に理科に関わる方から要求があって、特に大学側からの要求だと思
うんですが。理科 3 コマ、要するに物理、化学、生物を全部取れる形を取るということに
なりました。平成 16 年から平成 17 年までは、社会 2 科、理科 3 科目となっています。こ
れは現在まで同じ形で続いているわけです。平成 18 年からは英語のリスニングの試験を新
たに実施するようになりました。これは、リスニング実施に関して、これを実施するため
に時間割とかを若干変える形になりましたけれども。社会 2 科目、理科 3 科目というのは
変わらない。来年から、新たにかなり形式を変えることになりまして、8 コマでやる。それ
3
から社会は、地歴公民は連続した 2 コマで行って、最大 2 科目取れる。理科に関しても、2
コマを連続に行って、理科 2 科目が取れるという形を取ることになります。これがどうい
う影響を及ぼすかちょっと我々もまだ分からないところがあるんですが、こういう形式を
取ることになったということです。
全体の推移なんですが、先生方も大体ご存じではないかなと思いますが。これ、センタ
ー試験の志願者です。それで、これ以前のことはちょっと書いてないんですが、センター
試験になってから、1990 年、ほぼ 20 年間の間にどういうふうに志願者が推移したかとい
うことなんです。1990 年にはセンター試験の志願者数というのは、要するにセンター試験
の申し込みのお金を払った人が大体 43 万人いました。このうち、男子が 31 万人で、女子
が 12 万人です。この時は現役高校生の志願率というのは 15%だけだったんです。だから、
新しく、これは浪人も含んでいますけれども、高校 3 年生で在籍している人のうち 15%し
かセンター試験に出願してはいなかった。ところが、ずっと増えてきて、要するに 1995 年
ですけど、この間にかなり 10 万人ぐらい志願者が増えています。ずっと、2000 年あたり
がピークで、それから少しずつ減ってきています。最近ちょっと増えたりしていますけど、
長期的にはこれからどんどん減っていくだろうと思います。現在、今年ですが、志願者は
大体 56 万人です。これはただし、当然 18 歳人口はどんどん減っていますので、この時は
15%だったんですが、現在では高校 3 年生のうち 41%の学生さんがセンター試験を志願し
ているということになります。ですから、名前は同じです、制度も基本的には同じですけ
れども、1990 年の時のセンター試験の意味合いと、それから現在のセンター試験の意味合
いではかなり違うと言えますね。1990 年の時には、いわゆる国公立を狙うという学生さん
の、かなり少数派の学生をターゲットにした試験であったわけですが、現在では大学進学
する人の 3 分の 2 は受ける。大体、高校生が 1 学年、現在では 106~107 万とかその程度
の学生さんです。このうち 55 万のうち大体 40 万人超が現役ですから、現役のうち 40%ぐ
らいの人はもう受けているということですね。だから、同じようには考えられないという
ことです。特に、この間ずっと志願者数は同じなんですが、これは特にここの 1990 年代に
女子の志願者数が非常に増えた。それで、18 歳人口が減っているにもかかわらず、いわゆ
るセンター試験の志願者数は同じぐらいの人数を保っているということが言えます。これ
が、志願者数の推移です。これが全体の志願者数です。これが男子です。男子は大体 1990
年代の 96~97 年をピークにしてずっと減っています。ところが女子の方は、特に 90 年代
の増加が著しいですよね。それから少しずつ増えています。だから、男子の方は少しずつ
減ってきているんですけれども、女子の増加でセンター試験の場合は、志願者数が持ちこ
たえているというのが全体的な状況です。それで、これ志願率です。当然、18 歳人口が減
っていますので、こちらの方は志願率はずっと一様ではないですけど、ずっとどんどん増
えていき、現在も増え続けています。これで、センター試験の人数が横ばいを保っている
ということです。それで、ただセンター試験の場合は、志願しても受けない人がいます。
大体、年によってある程度変動していますけれども、大体 6~9%ぐらいは試験にやってき
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ません。それから、センター試験の受験者のうち、1 科目以上受けた人のうち、大体 98%
以上が外国語の受験をしています。これから以後の統計は、私自身が計算したもので計算
が大変だったので、1 科目以上の受験者っていう替わりに外国語を受験した人の人数がどう
なっているかっていう事を指標にして色々計算しています。それから、当然、科目選択の
自由がありますから、様々なパターンで受験者の方は科目選択されているわけですが。1 つ
の目安がですね、数学Ⅰ、名前が変わっていますけど、要するに数学、現在では 2 科目あ
って、易しい方と難しい方と考えていただいていいんですが。数学Ⅰ、もしくは数学ⅡA で
すね。こちらの受験者を数学を取っている人っていうのを見ると、数学を取っている人っ
ていうのは地歴公民、それから理科も取っている場合が多い。要するに、おそらく国公立
を主たる志願大学として受験している人達です。こういう層がどれぐらいいるかっていう
ことが問題になるんですが。1990 年の場合には、数学Ⅰ受験した人の取っている科目って
いうのは平均大体 6.2 科目です。数学Ⅰを取っていない人、全部休んだ人は除きます、その
人達は大体 3 科目しか取っていない。おそらくこの構造は大体同じで、2009 年の場合も、
数学Ⅰを受験している人は 5.4 科目、それから数学Ⅰ、数学 A を取っている人は大体 7 科
目を取っています。数学Ⅰを受けなかった人は大体 3 科目。だから、この構造は大体同じ
ということが言えると思います。
これが、都道府県別の現役の志願率です。1990 年、だから最初のセンター試験 1 回目っ
ていうことですね。こういうふうに色分けしたんですが、ここ鹿児島です。地方の方が、
特に西日本の地方がこの段階では受験率が高かった。これ富山と愛知なんですが、ここは
一貫して高いです。東京近辺はこの時は低いわけですね。だんだん変わってきます。これ
が 2000 年、平成 12 年です。だんだん関東近辺も増えてきます。富山、北陸、それから愛
知が受験率非常に高いっていうのは変わらない。それで、どんどん全国的に上がってきて、
この時は結構高い。それから、ここ富山、愛知が高いっていうのは変わらない。こういう
形で地域差はあります。ありますが、要するに、とにかく全国的に志願率は一様ではない
ですけれども、押しなべて上がってきているということが言えます。ただしですね、色々
科目選択の行動を見てみると、東京近辺っていうのはかなり特殊です。これを地域別に分
けて集計してみました。3 つに分けて、埼玉、千葉、東京、神奈川、この 4 つがかなり特殊
なんですけれども、これを分けました。それから、京都、大阪、兵庫、奈良っていうのを 1
つグループにしました。これも大雑把なんですがそれ以外というふうに、この 3 つに分け
てみました。性別と受験者数で地域別と性別に集計して受験者数がどういうふうに推移し
たかっていうことです。ここ 1990 年で、ここ 2005 年ですね。ずっと、1 年ごとには取っ
てないです。5 年おきにとって、最近は若干細かく、2 年おきに取りましたけれども。そう
してみると、これがその他ですね。鹿児島も、九州とか北海道とかは全部含んでいるわけ
ですけども。大体 90 年代後半をピークにして、さっきも言いましたように減ってくる。女
子はどんどんどんどん増えているわけです。東京近辺は大体 2000 年ピークにして横ばいに
なっています。女子はやっぱり少しずつ増えている。それから、大阪ですね。大阪は特に
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同じで、男子がやっぱり減っていて女子が少しずつ増えているという形です。全国的に女
子の増加によって志願者数が持ちこたえているという状況は同じです。
これ、現役の受験率です。だから現役高校生のうち、どれだけの人がセンター試験を受
けてくれたかっていうことです。さっきと同じなんですが、T って書いてあるのは東京です。
東京の男子、東京の女子です。ちょっと見づらいかなと思うんですが。それから、大阪、
福岡だけ取り出してみました。地方の拠点の典型ということで出しているんですが。東京
はずっと、1990 年の時、志願率低かったんですけど、ずっと上がってきました。それから、
女子も上がっている。大阪は、上がっていることは上がっているんですけども、大阪は特
に女子の志願率がなかなか上がっていません。結構低いってことが言えます。福岡は高い。
要するに地方の方が高い。センター試験を受けてくれる率が基本的に高い所が多いです。
全国的にはこういう傾向だということです。これは、九州ですね。大分、宮崎、鹿児島の
分です。皆、傾向は似ているんですけれども、K って所が鹿児島ですけれども、ここです。
見て分かるように、男子と女子に比べると、1990 年では女子の志願率 12~13%ですか、15%
いってないと思います。男子が現役高校生の 30%ぐらいが志願しているんですけど、女子
がこれぐらい。ただし、ずっと上がっています。男子の増加率よりも明らかに女子の増加
率の方が高くて、だんだん迫ってきている。お隣で宮崎に関してはもう女子の方が志願率
が高いかなという程度になっている。ですから、結構県によって、特に男女比ですね、男
女の違いは県によって結構違うという傾向は見られます。なぜかしら、私はこれ事情が分
からなかったんですが、大分に関しては、他の所、90 年代っていうのは結構受験率上がっ
ているんですけど、大分に関しては 90 年代ほぼ横ばいですね。少し減っているかなってい
うぐらいです。ちょっと特異、特別な理由があるのかもしれません。さらに、ある意味地
方の典型という形で 3 つあげたんですが、北海道、それから高知、沖縄です。これもやっ
ぱり上がっているんですね。上がっていますが、沖縄に関しては、やっぱり増加率があま
り上がっていません。女子は上がっているんですね、やはり。90 年代通じて女子の受験率
は 10%から 20%近く、大体倍増しているんですが、男子はそれほどでもありません。2000
年以降は、若干は増えましたけど、5%ぐらい増えていますがそれほど大きくは増えていな
いですね。高知はずっと増えていて、これも特徴的なんですが、女子の方が受験率が高い
です。それから北海道も上がっているんですが、ある意味鹿児島なんかと似た傾向ですけ
れども、女子の方の受験率が低いという傾向が見られます。
大体同じ内容です。ちょっとこれも見づらいかもしれないんですが、これ横の方が男子
の現役生の受験率。それから、縦の方が女子の受験率です。これが要するに、ここのライ
ン上にあれば男子の受験率と女子の受験率が同じだよっていうことです。皆、県によりま
すけど、ここら辺りから出発してこういうふうに向かっている。要するに女子の方が概し
て多いということですね。これ非常に高いんですが、男女とも 5 割超えているっていうの
は、富山です。全国で 1 番センター試験の志願率が高いです。成績も良いんですけれども。
ここが愛知で、愛知も男子に関しては富山より受験率高い、外国語の受験率ですけれども、
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愛知の方が男子に関しては富山より高いですが、女子がそれほどでもない。それから、13
はこれは東京ですね。東京は始めた当初、90 年、これ 90 年、95 年、2000 年、2005 年、
2007 年、2009 年っていうふうにちょっと不規則ですけど、この年を取っているんですが。
最初は非常に低かったんですね。ところが、どんどん伸びて、少なくとも受けている人は
結構多くなってきたっていうことです。福岡以外の九州の各県です。大体皆同じような傾
向で、この辺り、要するに女子が 15%から、男子 20%から 30%の間。それがずっと伸びて、
男女とも 35%から 40%ぐらいの間に、この 20 年間の間に受験率は増加したということで
す。この黒い所、46 番、ちょっと見づらいですが、これが鹿児島です。
ところが外国語です。外国語は全体のうち 98%は受けているので、試験を受けに来た人
の 98%は受けているということですから、とにかくセンター試験に来たっていうこと、受
けに来た人がどれぐらいいるかっていうことなんですが。さっきも言いましたように、こ
れ数学を受けた人です。数学を受けた人はどうかなという事を見てみます。これは全国の
方ですけれども、やっぱり高いのは富山なんですが、ずっとこう伸びて、現在数学に関し
ても 50%はいかないですけれども、40%後半はいってます。愛知も同じです。やっぱり女
子の方が低いんですが、やっぱり高い受験率です。他の所はそれほど高くない。問題なの
は、東京はずっと受験率、特に外国語受けてるっていうか、とくにかく来る人の数は多い
んですが、そのうち数学受けてる人がどれぐらいいるかっていうと、これ 13、14 赤で書い
てあるところが、東京、神奈川なんですが、これぐらいしかいない、大体 3 割しかいませ
ん。要するに外国語の方は 4 割ぐらいいるわけですけれども、これぐらいしかいない。要
するに、センター試験を受けているけれども、フルには取ってないって事なんですね、東
京近辺の人は。要するに、センター試験で受けてくれているのはいいんですが、文系科目
だけとって、数学を含む理系の科目はあまり取っていない。だから、そこら辺の学力はど
うなっているかはセンター試験では把握できないということになります。これは、福岡を
除く九州の各県ですね。これも大体同じですね。だから、地方の方は東京みたいなそうい
う妙な状況は起きてなくて、皆それなりにずっと増加しているし、数学もちゃんと取って
くれています。科目は結構沢山受験してくれているという傾向は見られます。ここら辺は
同じですね。
これも同じことなんですが、数学Ⅰの現役生の受験率で、こっち男子でこっち女子で、
これ 90 年です。ここです。非常に低いんです。これ首都圏です。埼玉、千葉、東京、神奈
川です。1 番低いんですよ、全国で。それで、この状況は 2009 年になってもあまり変わら
ないです。ほぼです。これ 11、12、13、14 っていうのは東京近辺です。27 は大阪ですけ
ども。大都市圏はあまり数学を受けてくれていない。1 番多いのは富山ですね。ここ鹿児島
だと思うんですが。ここら辺りは非常に、だから県によってお受験率が非常に違うという
ことです。ある意味当然なんですが、横が都道府県別の進学率で、これ県コードなんです
が、ここが高校卒業生におけるセンター試験外国語の受験率、どれぐらい受けてくれてい
るかってことです。これが 2007 年見ますと、○が大阪圏で、□が東京近辺ですけども。そ
7
こは、要するに進学率は高いんだけれども、センター試験はそれほど受けてくれてない。
私学が沢山あるから当然だと思うんですが、こういう状況になっています。
大体マップを見ますと、今は科目選択の率のことをお話したんですが、受験率と科目得
点の関係はどうかと。あまり細かいことは申し上げられないんですが、少なくとも外国語
とか数学ⅠA っていう沢山の人が取る科目については、現役生の受験率と科目得点の間には
関係は見られない。要するに、沢山取れば成績の悪いのも取るから、成績が落ちるという
よりは普通に考えればそういう傾向あって当然かなと思うんですが、必ずしもそうなって
いません。沢山の人が受験するから点数が低いという傾向は、外国語や数学に関しては特
に見られません。ただし、他の科目でそういう傾向が見られるものもあります。それから、
7 科目以上の受験生に関して、点数を全部足します。その得点率を見てみると、沢山の人が
沢山の科目を取る県では、やっぱり合計得点率は若干下がるという傾向はやや見られます。
それから、鹿児島について来る前に検討してみたんですが、特徴は、地学 の受験率が非常
に高いということは全国一です。これは、たぶん高校の先生方で頑張っておられる方がい
るんじゃないかなと思うんですが、地学 の受験率が際立って高いという傾向が見られます。
それから、理科総合 B っていう科目があるんですが、これ生物地学分野ですけども、そこ
の成績もなかなか、他の分野に比べると良いという傾向は見られました。おそらく高校で
の教育の影響があるんではないか。あとは、地理的な状況から地学とかに関心を持ってお
られる学生が多いのかもしれません。
それで同じことの繰り返しになるんですが、これ科目数です。これ 1990 年でここが 2005
年です。横がずっと時代で、さっきと同じようにこの東京、大阪、それ以外というふうに 3
区分にして、さらに男女別にセンター試験で受験した科目数がどれぐらいあるかっていう
のをまとめたものです。ここ 1990 年で、それから 95 年ぐらいに、90 年代にかけて取る科
目数が 1 回下がります。全部下がっているんですが、東京以外に関しては、沢山ちゃんと 5
教科 7 科目、基本的には国公立大、課してくださいということでまた増えてきています。
2005 年ぐらいまでずっと取る科目数が増えて、大体横ばいになっているわけです。ところ
が、東京の方は 90 年から 95 年にずっと取る科目が減って、ずっと横ばいのままです。男
子で 4.8 か 9 ぐらいです。大体 5 科目ぐらいですね。女子の方は 4.3 ぐらいですかね。取る
科目が特に東京の女子っていうのは少ないっていう傾向が見られます。これですね、こう
いう所の□の大きさが人数ですね。これが東京の男子、東京の女子、大阪の男子、大阪の女
子っていう形で、これ、1 科目も取ってない人、要するに来なかった人ですね。それから 2
科目取った人、3 科目取った人、6 科目取った人、7 科目取った人っていうことです。ここ
の大きさが人数ですね。東京以外だと 6 科目、7 科目取った人が、1990 年の時には沢山い
るんですね。東京も男子は 6 科目取った人が多いけど、女子は 3 科目の人が多かったとい
うことです。これ横幅が平均ですね。もし全国均一だったら、この点線のラインになると
いうことです。全国レベルより多い所が色変えて赤くなっています。こちらは 2009 年です。
2009 年ですと、大体東京以外はですね、見て分かるんですが、7 科目、8 科目取っている
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人が多い。ところが東京は、男子もこちらの 3 科目の人、どんどん多くなってきている、
相対的に 7 科目より 3 科目の方がだんだん増えてきているということですよね。女子はや
っぱり 3 科目の人が多い。だから、東京に関してはセンター試験受ける人は増えたんだけ
れども、そんなに沢山の科目取ってくれてないということですね。3 科目の人が人数が増え
たんだけども、7 科目フルに取る人はそんなには増えていないということです。それで、今
までのところが大体センター試験の科目選択、過去 20 年分見るとどういう傾向が見られる
かっていうことでした。こういう状況を見ると、地方に関してはそれなりセンター試験が
学力のチェックっていうか、高校生の学力を担保するものとして機能しているってことが
言えると思うんですが、東京近辺に関してはちょっと心配なところがあります。要するに、
自然科学系、数学とか理科をほとんど取らない。文系 3 科目だけで受けている人が結構な
数、大学進学者の中にいるわけで、国民的素養の保証っていうことから考えると、若干不
安なところが無いわけでもありません。それは将来的に考えなければいけないことではな
いかなと、個人的には思っています。
もう 1 つ、こっちの方は先生方、関心あるんではないかなと思うんですが。高校生の進
路に関しての調査っていうのを、大学入試センターの研究開発部で行っています。報告書
が今年出ました。中間、第 1 次調査って、途中経過なんですが、まだこれからも続いてや
るようですが。山村、鈴木、濱中の 3 名で書いています。どういう調査かっていいますと、
2010 年の 11 月から 12 月ぐらいに実施しました。先生方の中にもご協力いただいた方がい
らっしゃると思いますが、どうもありがとうございました。それで、これは全国の高校生
のうちから 10%のクラスを無作為抽出しました。具体的には、5144 校から 510 校を抽出、
廃校を除く 506 校を調査対象としました。そのうち 444 校、大体 88%のご協力をいただい
て、生徒さん 1 万 5315 名の回答を得たっていうことです。これが 1 つの調査。そしてもう
1 つの調査は、離島調査っていうもので、特に離島にある 63 の高校の 3 年生各 1 クラスず
つ、59 校の協力をいただいたいと。こちらの方に関しては 1836 名の回答を得ました。そ
の中から回答を、報告書出ていますが、ちょっと簡単に一部だけをご紹介します。紹介す
るのは 10%のサンプル調査の方です。これはどういう内容を調べたかっていうと、特に就
職希望者に関しては、決定者、どういう実働であるか、どういう理由で就職を選んだのか、
就職先決定とそのルートなどを聞いています。それから、進学希望者に関しては進学を選
んだ理由、それから進学先、それから進学先を選ぶ基準などを聞いています。それから進
路決定、両方含めてですが、進路決定までのプロセスで誰が相談に乗ってくれたか、それ
から経済的な要因と地域的な要因はどういうものであったかっていうことを調べて聞いて
います。それから、高校生活全般に関しては、学校生活をどういうふうに送ったか、それ
から学習とか勉学の構えをどういうふうに考えているかっていうようなことも調べていま
す。このバックグラウンド、要するに答えてくれた学校、生徒さんの全体の状況はどうい
うものであったかっていうことです。高校の設置は、全体は、公立が全体の 4 分の 3 です。
私立は 4 分の 1 です。設置者別に見ると、公立がやっぱり 73.6%、私立が 24%、国立が 2.1%
9
であると。「学校基本調査」によると、公立が 69.8%、私立が 29.9%、国立 0.3%であった
ので、答えてくださったのは公立の方がちょっと率が高いということですね。回答者のう
ち、普通科が 4 分の 3 で、次いで工業科、商業科、総合学科が多かった。具体的な中身で
すが、進路の希望に関しては 4 年制大学の希望が大体 6 割。それから、就職とか専門学校
が 15%、短期大学が 5%、こういう感じの答えになっていました。お父さんお母さんの学歴
ですけれども、お父さんの学歴は高卒までが最も多くて、その割合は大体 56.4%、大体こ
れぐらいがお父さんの学歴に関してですが、高卒です。大学卒以上が 3 分の 1 強で、専門
学校、短大、高専卒は 7.2%ぐらい。大体これぐらいの比率になっています。それから、こ
れ、家庭の状況ですけれども。両親と同居しているっていう人が 8 割、それから父親と一
緒に生活している人っていうのが 2.3%、母親と一緒に生活しているというのが 12.1%。こ
れぐらい結構多いかなと思ったんですが、こういう形で一緒に暮らしている。それから自
宅を出て、寮やアパートで暮らしているという人も 1.6%ぐらいはいる。先程言ってました
ように、就職した学生さん、それから進学をした学生さん、進学を希望する学生さん、就
職を希望する学生さんに関して、それぞれ理由を聞いているわけですけれども。就職を選
んだ理由っていうのを聞くと、もう勉強したくないとか、進学よりも就職の方が自分に向
いているからという人が結構多かった。大体進学よりも就職の方が自分に向いている方、
ほとんど 8 割はそういうふうに答えています。それからやりたい仕事があるっていうのが
66%。4 段階評定ですね。やや当てはまる、それからよく当てはまると答えた方が 8 割。こ
れが 6 割 6 分ということですね。それから、しかしもう勉強したくないからという人も 55%
ぐらいはいたということです。それから 3 分の 1 は、何となくという人もいた。それから
就職決定先に関してもですけれでも、11 月時点で進路が決定している人は大体 68%。それ
から厚生労働省が発表した就職内定率は 68.1%ですから、
調査結果とほぼ一致しています。
男子の内定率が 73%で、女子の方は 61%ぐらい。11 月の時点ですけれども、男子の方がや
や就職の決定状況は高くなっている。それから、どういうふうな形で就職決まったかとい
うことですが、学校推薦が 85%、それから親戚知人が 5%、公務員試験が 3%ぐらいという
ことですね。家業継いだという 1.5%ぐらい。男女差はあんまりなかった。それから、こっ
ちは今度は進学に関してですけれども、進学を希望する人のうち 4 分の 3 は 4 年制大学を
進学先として希望、もしくは決定しているということですね。女子は男子に比べると専門
学校より短期大学への進学希望決定者の比率が高い。当然予想されることではあると思い
ます。希望する、もしくは決定した専門分野、4 年制大学ですが、最も割合が多いのはこう
いう比率になっているんですが、当然数から見ると 2 割が社会科学系。それから 16%が人
文社会系ですね。法学は 17%ぐらいです。教育保健が大体 9%から 10%ぐらいです。看護
医療、医療技術、福祉では 9%ぐらいいます。それで、決定した進学先の所在地と通学方法
ですけれども、進学先は自宅から通えるが過半数。希望も入っていますから、実際こうな
るかどうか分からないんですが、自宅から通えるっていうところが過半数です。青が自宅
から通うで、これは自宅から通う国公立の学校、それから赤が自宅外から通う国公立の学
10
校。区別や区分が見づらいですが、これは自宅から通う私立の学校で、自宅外から通う私
立の学校という形になっています。男子と女子では特に自宅から通える、女子の方が自宅
から通える所を希望している率が高い。それから、合格した時の入試とか、それから最も
真剣に準備している入試がどういうものかというのですね。4 年制大学では一般入試に向け
て真剣に準備した。あるいはこれをターゲットに準備している人が多いというのですね。
専門学校では公募推薦、短期大学では指定校推薦が多かったです。ここは学力試験があっ
たかどうかということですね。自分が合格した科目、もしくは真剣に準備している入試に
関して、学力試験があるかどうかということです。学力試験がない場合が結構多くて、全
体で約 43%ですが、学力試験が現在ではないです。進学に関して学力試験がない形で進学
しているということです。専門学校、短期大学では学力試験が課されない入試が現状では
一般的になってきている、そういう状況です。
ここで簡単にまとめますけれども、前半の話ですが 20 年間に渡って、センター試験の現
役志願率というのは一貫して上昇してきています。ただし東京圏、埼玉、千葉、東京、神
奈川の 4 都県ですが、ここではセンター試験志願率は過去 20 年間に大きく上昇したものの
3 科目以下の受験者が相対的に増加しているという傾向が見られます。それから全体、全国
的なレベルで見ると、センター志願者数における男子の減少を女子の増加で補っているた
めに、総数が横ばいになっている。総数が持ちこたえているというか、そういう状況は言
えると思います。それから、もう 1 つ。高校生の進路に関しての調査に関してご紹介申し
上げましたが、10%調査と離島調査というのを実施しました。研究は現在も進行中であり、
次の調査分析を行う予定だと思います。ご希望の方には、宣伝するように言われたんです
が、山村教授の研究班なんですが、番地書くのを忘れたんですが、153-8501 目黒区駒場で
大学入試研究開発部山村に要求すれば、送りますので。もし関心がある方がありましたら、
是非こちらの方にご連絡お願いしております。早いですが、後は質問ということでよろし
いでしょうか?ここで終わります。
11
平成23年10月25日 鹿児島県大学・高校ガイダンスセミナー
かごしま県民交流センター 鹿児島市山下町
大学入試センター試験にみる
地域別特徴
独立行政法人 大学入試センター
研究開発部 大津起夫
本報告の内容は発表者らの研究成果を示すものであり、必ずしも独
立行政法人大学入試センターの公的見解を表明するものではない。
概要

大学入試センター試験においてみられる特徴,特に科
目選択の傾向とその推移(H22入研協セミナ )
目選択の傾向とその推移(H22入研協セミナー)

「高校生の進路についての調査」
(山村,鈴木,濱中,2011) の結果から一部を紹介
12
大学入試センターによる統一試験

共通第1次学力試験
昭和54年(1979年)-平成元年(1989年)
昭和
昭和54-61年
年
5教科7(6)科目必須
教科 ( )科
須
昭和62-平成元年 5教科5科目必須

大学入試センター試験
受験科目数は任意
平成 2(1990)年―現在まで
平成 2(1990)年-平成 8(1996)年 8コマ 社会1,理科3
平成 9(1997)年-平成15(2003)年
9(1997)年 平成15(2003)年 8コマ 社会2,理科2
社会2 理科2
平成16(2004)年-平成17(2005)年 9コマ 社会2,理科3
平成18(2006)年-平成23(2011)年 英語リスニング実施
平成24(2012)年
8コマ 社会2、理科2
センター試験志願者数(推移表)
実施年
志願者数
(万人)
志願者数男子
(万人)
志願者数女子
(万人)
現役志願率
(%)
1990
43.1
31.1
12.0
15.0
1995
55.7
36.7
19.1
22.5
2000
58.2
35.5
22.7
32.4
2005
57.0
33.8
23.2
35.1
2007
55.3
32.2
23.1
37.8
2009
54.4
31.4
23.0
40.5
2010
55.3
31.8
23.5
41.0
2011
55.9
32.1
23.8
41.5
13
センター試験志願者数の推移
T 全体
1 男子
2 女子
大学入試センター
発表資料に基づく
センター試験 現役志願率の推移
14
志願者数と受験者数

センター試験志願者(受験の申込をした者)のうち、6%
9%が全科目欠席する。
~9%が全科目欠席する。

センター試験受験者(1科目以上)のうち、98%以上が
外国語を受験している。

数学I(数学IA)の受験者は、多科目受験者が多い。
1990年 数学I受験者
(平均6 2科目)
(平均6.2科目)
非受験者(全欠除く)
(平均2.9科目)
2009年数学I受験者
(平均5.4科目)
数学IA受験者
(平均6.9科目)
数学①非受験者(全欠除く) (平均3.1科目)
都道府県別 現役志願率 平成2(1990)

By Mandara
15
都道府県別 現役志願率 平成12(2000)
By
Mandara
都道府県別 現役志願率 平成22(2010)
By Mandara
16
地域別・性別 受験者数の推移
受験者の卒業高校
等の所在地で分類
(大津による集計)
東京圏:埼玉県、千葉県、
東京都、神奈川県
大阪圏:京都府、大阪府、
兵庫県、奈良県
他地域:他の道県
(「検定」などは除く)
1:東京圏
2:東京圏
3:大阪圏
4:大阪圏
5:他地域
6:他地域
男子
女子
男子
女子
男子
女子
都道府県別 現役受験率の推移(1)
T:東京、O:大阪, F:福岡
黒:男子、赤:女子
大阪の女子受験率が低い
対卒業生(外国語)受験率は、全
日制、定時制高校の該当年の3月
卒業生数で,現役受験者数を割っ
た値。計算は大津による。統計情報
開発センター「社会・人口統計体
系」、および文科省Webサイトの「学
校基本調査」を利用
校基本調査」を利用。
ただし、現役受験者数には、通信
制、中等教育学校後期課程、特別
支援学校(盲学校、ろう学校、養護
学校)をも含む。
17
都道府県別 現役受験率の推移(2)
O:大分 M:宮崎
O:大分,M:宮崎,
K:鹿児島
黒:男子,赤:女子
1.鹿児島の女子の
受験率の伸びが大きい
2.鹿児島の男子は
1990-2005の期間横ばい
3.大分の男子受験率は
1990-2000減少
4.宮崎では女子受験率
が男子に追いついた
都道府県別 現役受験率の推移(3)
H:北海道
K:高知、O:沖縄
K:高知 O:沖縄
黒:男子,赤:女子
1.北海道の女子受験率が低い
2.沖縄の受験率の伸びが、2000
年以降低い。
3 高知の男子受験率は 2005年
3.高知の男子受験率は、2005年
以降横ばい。
4.高知、沖縄では女子の受験率
が、男子より大きい
18
都道府県別 現役受験率の推移(4)
都道府県コー
ド
1:北海道
5:秋田
13:東京
14:神奈川
16:富山
23:愛知
27:大阪
28:兵庫
39:高知
40:福岡
47:沖縄
都道府県別 現役受験率の推移(5)
都道府県コード
41:佐賀
42:長崎
43:熊本
44:大分
45:宮崎
46:鹿児島
19
都道府県別 数学I(①)現役受験率の推移
都道府県コード
1:北海道
5:秋田
13 東京
13:東京
14:神奈川
16:富山
23:愛知
27:大阪
28:兵庫
39:高知
40:福岡
47:沖縄
東京圏の数学I(IA)
受験率は、外国語
ほど増加していな
い。
都道府県別 数学I(①)現役受験率の推移
都道府県コード
41:佐賀
42:長崎
43:熊本
44:大分
45:宮崎
46:鹿児島
九州の各県の傾向は
類似している。
20
都道府県別 数学I 現役受験率 平成2(1990)
東京圏の数学受
験率は、北海道
や沖縄より小さい
すべての都道府
県で,女子の受
験率は、男子より
小さい
都道府県別 数学① 現役受験率 平成21(2009)
東京圏の外国語受
験率は20年間に大
きく上昇したが、数
学受験率は、依然と
して小さい。
女子の受験率が男
子より大きい県もあ
る。
21
進学率と受験率 平成19(2007)
大阪圏・ 東
京圏で進学率
に比べセンター
受験率が低い
受験率と科目得点
すくなくとも「外国語」,「数学I(IA)」については、 都道
府県別の現役受験率と 科目得点の間に明確な関係
府県別の現役受験率と、科目得点の間に明確な関係
は認められない。
 ただし最近では、7科目以上現役受験者の率が高いと、
それらの受験者のセンター試験合計得点率が減少す
る緩やかな傾向は、みられる。(過去については、未検
討)
 鹿児島県の「地学I」受験率は際だって高い(平成22)

22
地域別・性別受験科目数の推移
1:東京圏
2:東京圏
3:大阪圏
4:大阪圏
5:他道県
6:他道県
男子
女子
男子
女子
男子
女子
東京圏の科目選択数
東京圏
科目選択数
が少ない。特に女子。
最近全国的にやや減
少の傾向。
地域別・性別 受験科目数 平成2(1990)
大阪圏、他地域
では、6科目お
科目受験
よび7科目受験
者が多い。大阪
圏男子は7科目
が相対的に多い。
東京圏の女子
は3科目受験者
が多い。
東京圏の男子
は6科目受験者
が多く、3科目受
験者も相対的に
多い。
23
地域別・性別 受験科目数 平成21(2009)
大阪圏と他
地域では、
7科目およ
び8科目受
験者が多い。
東京圏では、
男女ともに
3科目受験
者が多い。
「高校生の進路についての調査」について


大学入試センター内のプロジェクト
教育行政 教育社会学の研究者による調査
教育行政・教育社会学の研究者による調査
第1次報告書(2011) 山村滋・鈴木規夫・濱中淳子
2010年(平成22年)11―12月に実施
1)全国の高校3年生の10%のクラスを無作為抽出
5 144校から510校を抽出 廃校をのぞく506校を
5,144校から510校を抽出、廃校をのぞく506校を
対象とする
444校(87.7%)の協力、15,315人の回答
2)離島調査: 離島にある63の高校の3年生各1クラス
59校の協力、1,836人の回答
24
10%サンプル調査 調査内容
就職希望者/決定者の実像
就職を選んだ理由 就職先決定状況とそのル ト、等
就職を選んだ理由・就職先決定状況とそのルート、等
 進学希望者/決定者の実像
進学を選んだ理由、進路先、進路先を選ぶ基準、等
 進路決定までのプロセス
だれが相談にのってくれたか、経済要因と地理要因
 高校生活
学校生活 学習 勉学 のかまえ
学校生活、学習・勉学へのかまえ

高校の設置者・課程・学科・コース
公立が約4分の3。私立は約4分の1
設置者別に見ると 公立(都道府県立+市町村立)
設置者別に見ると、公立(都道府県立+市町村立)
が73.6%、私立が24.2%、国立が2.1%であった。
『学校基本調査』によると平成22年度において高
校3年の生徒数は、公立69.8%、私立29.9%、国立
0.3%であったので、サンプルは、公立と国立が母
集団と比
集団と比べて比率がやや高い。
比率がやや高
回答者のうち普通科が4分の3、ついで工業科、商
業科、総合学科
25
進路希望

四年制大学希望が6割。就職・専門学校が15%。短期
大学は5%
就職
15 7%
15.7%
専門学校進学
15.7%
短期大学進学
4.9%
四年制大学進学
61.6%
アルバイト リ タ
アルバイト・フリーター
0 %
0.7%
その他
0.8%
まだ決めていない
0.7%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
父親・母親の学歴は高卒が過半数

父親の学歴は、高卒までがもっとも多く、その割合は56.4%
であった。次が大学卒上以上で36.2%、専門学校・短大・高
専卒は7.3%であった
36.2%
56.4%
7 3%
7.3%
高卒以下
専門学校・短大・高専卒
26
大卒以上
同居家族と家庭の経済状況


ご両親と同居が8割
同居の家族に関しては、「ご両親と一緒に生活している」が82.5%である。母親
と一緒に生活している生徒も12.1%と1割以上を占めている。また、父親と一緒
に生活している生徒(2.3%)や、ご両親以外の保護者と生活している生徒
(1.5%)のほかに、自宅を出て寮やアパートで生活している生徒(1.6%)もいる
ご両親と一緒に生活している
82.5%
父親と一緒に生活している
2.3%
母親と一緒に生活している
12.1%
ご両親以外の保護者と一緒に生活している
1.5%
自宅を出て、寮やアパートで生活している
1.6%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
就職を選んだ理由
就職を選ぶ理由は、「もう勉強したくない」し、「進学より
も就職のほうが、自分に向いている」から
 以下の結果は、就職希望者2,363人の回答結果を示
したものである。就職選択理由について4段階評定に
就職 択 由
階評定
よって回答を求めたところ、「進学よりも就職のほうが、
自分に向いているから」(79.6%)や「やりたい仕事があ
るから」(66.3%)(「ややあてはまる+よくあてはまる」)
といった自己実現に向けたポジティブ動機に多く回答
が集まった。しかし、「もう勉強したくないから」(54.9%)
とい た動機も回答者の半数以上を占めており 消去
といった動機も回答者の半数以上を占めており、消去
法から見出されたポジティブ動機とみなすことができよ
う。また、「なんとなく」(32.4%)といったモラトリアム的な
考え方に立った者も3割以上いた。

27
就職先決定状況とそのルート
11月時点で進路先が決定している者は68.4%。厚生労働省が発
表した就職内定率は68.1%(平成21年11月末現在)とほぼ同率。
男子の内定率が高い

男子
73.5%
女子
26.5%
61.5%
0%
20%
38.5%
40%
決定した
60%
80%
100%
決定していない
就職先の決定状況(高校3年生11月時点) (無回答を除く)
内定者のうち85%以上が「学校推薦」

内定者のうち、85%以上が「学校推薦」による内定。その他に、「親戚・知人の
紹介」が5.1%、「公務員試験」による者が2.9%であった。男女差はほとんどな
い。
100%
90%
85.5%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
5.1%
2.9%
1.5%
親戚・知人
の紹介
公務員試験
家業を継いだ
5.0%
0%
学校推薦
「決定した人」の内定方法
28
(無回答を除く)
その他
希望する/決定した進学先

約4分の3が四年制大学を進学先として希望・決定している。女
子は男子に比べると専門学校および短期大学への進学希望・
決定者の比率が高い
全体
19.1%
男子
6.0%
15.2%
女子
2.1%
82.7%
22.9%
0%
74.9%
10%
9.9%
20%
67.2%
30%
40%
専門学校
50%
60%
短期大学
70%
80%
90%
100%
四年制大学
希望する/決定した専門分野(四年制大学)

もっとも割合が大きいのは、「社会科学系」
人文社会系
15.9%
社会科学系
21.7%
理学
6.6%
工学
17.1%
農学・水産
4.5%
教育・保育
9.5%
家政・生活科学・栄養
3.2%
医学・歯学・薬学
5.8%
看護・医療技術・福祉
9.2%
芸術
2.2%
その他
4.2%
0%
5%
10%
15%
29
20%
25%
30%
希望する/決定した進学先の所在地と通学方法

進学先は「自宅から通える」が過半数。男子と女子では、女
子にその傾向が強い
全体
18.0%
男子
18.6%
女子
17.4%
0%
10%
23.3%
36.2%
26.7%
32.0%
19.9%
20%
40.4%
30%
自宅から通う
国公立の学校
40%
自宅外から通う
国公立の学校
50%
60%
自宅から通う
私立の学校
70%
19.4%
3.1%
20.3%
2.5%
18.5%
3.8%
80%
自宅外から通う
私立の学校
90%
100%
その他
合格したときの入試/もっとも真剣に準備している入試

四年制大学では一般入試。専門学校は公募推薦。短期大学では
指定校推薦

学力試験がない場合が4割強。専門学校・短期大学では学力試験が課
されない入試が一般的
全体
43.1%
専門学校
56.9%
67.0%
短期大学
33.0%
75.7%
四年制大学
24.3%
34.5%
0%
10%
20%
65.5%
30%
40%
なかった(ない)
50%
60%
あった(ある)
学力試験の有無 無回答を除く
30
70%
80%
90%
100%
まとめ1

20年間にわってセンター現役志願率は上昇

東京圏では、センター試験志願率は大きく上昇したも
のの 3科目以下受験者が相対的に増加している
のの、3科目以下受験者が相対的に増加している

センター志願者数における男子の減少を女子の増加
で補っているために、総数が横ばいになっている
まとめ2

「高校生の進路についての調査」
10%調査、離島調査を実施、研究は現在進行中
報告書の希望は、大学入試センター研究開発部(山村
他)あてへ 〒153-8501 東京都目黒区駒場
都道府県コード
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
新潟県
富山県
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
石川県
福井県
山梨県
長野県
岐阜県
静岡県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
31
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
岡山県
広島県
山口県
徳島県
香川県
愛媛県
高知県
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
沖縄県
パネルディスカッション
「大学入試を介した高大連携
~大学が求める能力と高校が育む能力~」
坂本:皆さんこんにちは。座ったまま失礼いたします。鹿児島玉龍高校の坂本と申します。
今日はどうかよろしくお願いいたします。
青木:皆さんこんにちは。鹿屋女子高等学校で進路指導を担当しております、青木と申し
ます。本日は専門高校の立場で話をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願
いいたします。
福田:鹿児島純心女子大学の副学長をしています、福田と申します。よろしくお願いいた
します。
藏脇:皆様こんにちは。鹿児島大学理工学研究科の藏脇と申します。理学部におけます副
学部長を担当しておりまして、主に教務をしておりますので、今回出席させていただいて
いるという次第でございます。どうかよろしくお願いいたします。
進行:では、パネルディスカッションの進め方についてご説明いたします。まず、パネリ
ストの 4 名の先生にご報告いただくのですが、高校側を代表しましてお二人の先生に連続
してご報告いただいて、簡単なご質問を受けるという形で。続きまして、大学の二人の先
生に連続してご報告いただいて、簡単な質問の方を受けるという形でとりあえずご報告の
方を締めまして。その後にパネルディスカッションを行いたいというふうに考えておりま
す。では、随時フロアの皆様方のご意見とか事例報告、ご質問をいただきたいというふう
に思いますので、よろしくお願いします。
では、まず最初に坂本先生からご報告をよろしくお願いします。
坂本:では皆さん、玉龍高校の方から実践例を紹介させていただきたいと思います。タイ
トルは「高校-大学間連携事業の実践例からわかるその必要性」ということで、玉龍高校
のこれまでの実践、これについて先生方にご報告させていただきたいと思います。内容は
大きくまとめて 4 点、ここに書いてある通り報告させていただきます。
まず 1 番目。大学進学を希望する生徒に対して高校が育むべき力という内容なんですけ
れども、玉龍高校はご存じのように普通科の学校でございます。ですから、この普通科の
立場においてこの大学進学者に対してどのような力を育むべきか、これについて少し考え
たところを報告させていただきたいと思うのですが。普通科におきまして在学する生徒達
の力というんでしょうか、この 2 点。大学進学を前提として必要な力というのはこの 2 点。
32
リベラルアーツに繋がる基礎学力の充実と学びのモチベーション向上、この 2 点だと思わ
れます。リベラルアーツというのはご存じのように、学士教育における人文、社会、自然
科学、これらに繋がる基礎学力を高校でいかにつけるか。これが必要だろうと思います。
それから学びのモチベーション向上ということ。鹿大の人文社会科学研究科がプロジェク
ト研究というのをやっているんですが、そこでは私が以前、地域の教育力と若者の職業観
ということで研究発表をしたことがございます。それの内容を一部報告をさせていただき
たいんですが。大きくアンケート調査、鹿児島大学の学内である合同企業セミナー等で鹿
大の学生に対して、色々アンケートをとりました。これの内容について報告したいんです
けれども。鹿大生のこの職業観というところで、非常に特徴的なものが見えてまいりまし
た。公務員志向が高い、教員志向が高い、特にこれらは鹿児島県、そして鹿児島市、鹿児
島県出身者の公務員、教員、そして地元有名企業、こういった安定指向型の学生が非常に
多かったっていうことが分かってまいりました。そして鹿児島市、鹿児島県出身者の学生
は起業したい、自分で会社を興したりする起業をしたいという、この割合が非常に他県出
身者に比べて少ない。こういったことが今回、このアンケートで分かりました。これは文
部科学省の方が出している、人間力戦略ビジョンというのがあるんですが。そこでは多様
な人材の育成ということを謳っているわけですけれども、玉龍高校の場合は非常にこの鹿
児島大学に進学する率が高い。鹿児島大学にほとんど希望がいっているというふうに思わ
れても結構かと思うんですが。そういった中で、私共の教育が多様な人材育成をしている
のかという点におきましては、非常に反省すべきところが分かってまいりました。見てい
ただきたいんですが。
<映像再生>
なあ、大学どうする?
俺、鹿大にしようかな。
鹿大に行ってどうする?
卒業したら、公務員になろうかな。
どうして?
特になりたいものもないし、親も公務員がいいって言うんだ。
そっか。
33
<再生終了>
坂本:すみません、下手な芝居で申し訳ないんですけれども。イメージとしては玉龍の生
徒、こういう生徒が多いのかなというふうに私共感じております。つまり、多彩な人間を
育てきれていない。地元志向、安定志向の生徒が多いのではないかというふうに感じてお
ります。
それでは、次にアドミッション・ポリシーの高校教育ということで話をさせていただき
たいんですが。これは京都大学が出しているアドミッション・ポリシー、そしてカリキュ
ラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシー、この 3 つなんですけれども。このアドミッショ
ン・ポリシーについて色々調べてみました。そうするとキーワードが、自ら、積極的、興
味、関心、実践、意欲的、学ぶ環境、こういったキーワードが沢山並んでいるわけです。
私達高校の教員は、こうした能力を持つ生徒を数多く育む。そして多様な価値観を持つ生
徒を育むということを大学側から非常に期待されているんだということが分かってまいり
ました。それに対しまして、先程見せましたアンケート結果報告から見まして、もう 1 つ
こういった大学側からの要求に応えきれてないのではないか、そういう気持ちを持ってお
ります。
では、玉龍高校の実践と結果ということで。玉龍高校はご存じのように春夏通算 7 回の
甲子園出場、それから 6 回の花園出場と、部活動も非常に盛んな学校です。そして学習指
導。この違うベクトルで生徒を成長させる。この 2 つの合力で成長させるという、こうい
った戦略で今までやってまいりましたが。どうしてもこの高度化する学問、細分化する学
問、学際化する学問、こういった非常に見えづらい学問に対して生徒の方がなかなか見え
てきていない。つまり、どんな将来を選択していいか分からないという、こういった現象
があるように感じられます。このベクトルの先には多様な学問が見えない壁、自分の将来
像が描けていない、安定志向、地元志向、こういった感じが進路の係をしていまして感じ
ております。ですから玉龍高校「キャリアアップ教育プロジェクト」っていうのを始めた
んですが。学習指導、部活動に対しましてもう 1 点、このキャリア教育。主に高大連携、
こういった 3 点で生徒を引っ張ることで、違う多様な人材を育てることができるのではな
いかというふうに考えました。
鹿児島大学の方で 2006 年に行った実践例をここで報告したいんですが。玉龍高校は中学
校も現在ありますので、この中学生、高校生、これらを全員鹿児島大学の講義でいろんな
体験をさせました。例えば心理学、化学実験、ドイツ語、こういったものを全部で 26 講座
開いて行ったわけなんですけれども。
<映像再生>
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鹿児島市初の中高一貫教育校、鹿児島玉龍中学校の生徒達が今日、ある場所でユニーク
な講座を受けました。
中学生達が講義を受けているのは、鹿児島大学の教室です。これは、今年 4 月に中高一
貫教育校になった鹿児島玉龍が、6 年間を通した進路教育を行う為に今回初めて実施するも
ので、生徒達に具体的な進路意識を持ってもらうことが目的です。
こちらは医学部の教授による化学の講義。中学生にも分かりやすいようおもちゃを使っ
た実験です。
すごい!すごい、すごい!なった、なった!
科学的。
科学的!
いろんな光がこうして皆一緒にそれぞれ、こんなふうに回転、合わさってしまうと、光
の場合は白になる。絵の具の場合は何になる?
黒。
それと逆。光の場合には白くなって色が消えちゃう。
実験をして自分達で答えを導き出す作業に、生徒達、目を輝かせていました。
全然眠くなんないし、楽しいです。教科書でやらないで、何か自分達で実験したりして
るところが中学校と違う。
大学はすごく詳しくいろんなところを授業しているからすごいと思いました。
中学校から大学に来ることができて、何かちょっと、他のところとは違うなって思えた
し、こういうところが大学なんだなって思ったりすることができました。
鹿児島玉龍では、今後大学のほか、企業とも連携し、職場体験や講演等も行っていく方
針だということです。
今日は高校生も講義を受けていたんですが、こうやって一足早く大学の雰囲気を味わう
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というのは、進路選択にとても役に立つかもしれませんね。
そうですね。皆興味津々で講義を受けていましたね。
はい。
<再生終了>
坂本:こういったプログラムを学校でも日々やっております。土曜日の午後、いろんな大
学の先生方に来ていただいて講義をしていただく、いわゆる出前講座、それから中学生の
うちに法科大学院と連携して、司法に関する講座、こういったことも積極的にやっており
ます。これは今年鹿児島大学の理学部・工学部が行った、藏脇先生が中心になって行った
「楽しい化学の体験実験」という、これは化学会の方で主催しているわけですが。こうい
ったことでも生徒の意欲・関心、要するに学びのモチベーションを上げるような取り組み、
こういったことができるかと思います。玉龍の場合は中学校 2 年生で九州大学へ、中 3 で
東大へ、こういったことを体験させることで、高い学びのモチベーション、そして学問と
は何か、こういった事を考えさせることをやっております。
ではまとめとして、基本となることはこの学力向上だと思われます。先程も言いました
けれども、大学で繋がる基礎的な学力を徹底して身に付ける、これが高校の教育のあり方
だと思うんですけれども。それに加えて、学びのモチベーションを上げる為にこういう授
業をして、バランスをとることで生徒を育てていく。こういったことをやっております。
この学びのモチベーション向上、基礎学力の充実、それと高等教育を結ぶ。この中に高大
連携の意義が普通科の場合はあるのかなというふうに感じております。生徒達のこのリベ
ラルアーツに繋がる基礎学力の充実、学びのモチベーション向上、それが多様な人材育成
に繋がっていくだろうと思っております。最後になりましたが、こういったことを終わり
の言葉にしたいと思います。ありがとうございました。
進行:どうもありがとうございました。
では、続きまして青木先生にご報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
青木:それでは鹿屋女子高等学校における取り組みについて発表したいと思います。まず
本校の概要ですが、昭和 33 年創立の大隅半島唯一の女子高校になっております。設置され
ている学科は普通科、商業科、情報処理科、生活科、この 4 学科です。本日に関しまして
は専門学科、それも商業科、情報処理科を中心に説明をさせていただきたいと思います。
本校の進路状況です。近年 4 年間のなんですが、女子生徒だけということもありまして、
大学への進学者は少数です。しかし、見て分かる通り増加傾向にはあります。特徴的な部
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分としては看護医療系への進学、そしてこの短大の部分なんですが、幼児教育系の短大へ
の進学が非常に多くなっております。今回のテーマである高校が育む能力ということで 3
つに分けてみました。1 つ目は専門教育を通して、そして 2 つ目はキャリア教育を通して、
最後の 3 つ目は進路実現に向けて。その中で育む能力について説明させていただきたいと
思います。
まず、専門教育を通してなんですが、本校商業科、情報処理科に入学した生徒に対して
アンケートをとりました。「本校を志望された理由は何ですか?」ということに対して、圧
倒的に資格取得状況を見て本校を希望したという生徒が多くなっております。この資格取
得状況、資格取得というのが非常に生徒にとっての学習意欲の喚起になっております。残
念ながら専門高校に入学してくる生徒というのはそれほど学力的には高くはないです。本
校に入学する生徒もそうでありますし、中学時代もう少し勉強も頑張らなかったという生
徒があるんですが、専門科目に関しましてはゼロからスタートできるということで、非常
に意欲を高くして高校生活をスタートしているように見られます。
資格、もう皆さんもご存じだと思うんですが、知識、技術、そして努力の証として社会
において高く評価されます。さらに付随したものとして、その学習に取り組むことによっ
て計画性、継続力、そして集中力等も身に付きます。学ぶことの喜びみたいなものの中で
得ることができて、生涯学び続けるということをここで知ることもできると考えておりま
す。商業科、情報処理科に関しましては、全国商業高等学校協会主催の 9 つの検定を中心
に幅広く学習しています。さらに上級資格として日商の簿記検定、情報処理技術者試験、
実用英検等も受験しております。現 3 年生も非常に頑張っておりまして、これらの成果を
上げております。ビジネス社会においては簿記・情報・英語が重要なスキルになるという
ことで、この 3 本を大きな柱として学習に取り組ませております。生活科学科の方におき
ましては、全国高等学校家庭科教育振興会が主催します食物と被服の検定を中心に、現在、
情報化がどこの職場でも進んでおりますので、情報に関わる検定に関しても受験させてお
ります。三冠王というのは、食物・洋服・和服の 3 つを 1 級合格すると三冠王と言うらし
いんですが。16 年連続県内トップだという事で、非常によく頑張っております。
キャリア教育を通して育む力なんですが。今非常に本校においてもたぶん専門高校各校、
キャリア教育の重要性がさらに増していると思います。それと言いますのも、このグラフ
にある通り、職業学科からの就職率というのがだんだん下がってきております。20 年前、
74.7%就職したのが今は 46%というところで、半数を切ってしまっています。当然、イコー
ルで進学率が高まっていることになります。これまで就職を目的にキャリア教育を行うだ
ったんですが、進学する生徒が増えているわけですから、進学した上でその先をどう考え
るのかということを踏まえた上で指導しなければいけない部分が出てきております。さら
に今、産業構造が大きく変化し、厳しい就職状況もあることに関してしっかり言っており
ます。さらに正しい職業観、勤労観を養成して、その上でどういう道を歩みたいのか。直
接就職した方がいいのか、それとも進学の上で就職した方がいいのかということを本人達
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に選択させることになります。
キャリアアップ教育を行う上での学校行事を羅列してあるんですが。色々と 1 学年のう
ちから段階的に実施していって、早期のキャリアプランニングを促しております。特に、
毎学年行っているんですが、志望理由書というのを夏休みの宿題にして 2 学期に提出させ
ています。これを職業について考えるきっかけとさせている部分がありまして、少々手間
はかかるんですが担任、そして進路指導部の方で強く生徒にきっかけ作りをさせていると
ころです。現在、景気低迷・業績悪化において企業はこのような形になっています。コス
ト管理の徹底をした結果、単純労働が引かれ、結果として求人が減少している。販売力・
競争力を強化する為に質の高い人材を獲得したい。このような企業の動きによって、高校 3
年間での専門度では企業の求める力として十分ではないという結果になりました。その上
で高度な知識・技術を求め、進学しなければというふうな形で、実際に生徒自身が感じる
部分もあります。来ている求人を見て、本校には 10 年分の求人情報の束を残してあります
のでそれを見ていると、昔はこういう企業もあったのに今はないな。そういう中から生徒
自身も気付きますし、教員からでもこの事実を伝えます。今現在こういう状況なんだとい
う形でガイダンスを行っています。その結果、一昨年度の商業科、情報処理科の卒業生の
動きなんですが、1 年次においては大学希望者は 3 名のみでした。短大に関しても 2 名です
ね。非常に少数だったのですが、ガイダンス等を繰り返した結果、絶対数っていうのは少
ないんですが、大学希望者が 9 名、短大の方に 14 名希望変更を行いました。
この希望者、国公立大学 6 名は全員合格しております。専門力を発揮した上での入試形
態で合格を勝ち取ったものでした。ただ、AO 入試・推薦入試では専門学科枠、あと、取得
資格等を使って合格ができます。先程もあった通り、普通だったら合格できないような大
学にも合格しているんですが、結果的に有利に進学が決定するんだけれども、基礎学力が
不足しているままで入学してしまうという部分があります。先程は国公立大学を取り上げ
ましたが、全商協会の推薦でも有名私立大学に進学できます。昨年度、立命館、他にも明
治大学の方に推薦をいただきましてそこに入学するんですが、果たしてこの子達にその為
の学力は身についているんだろうかというのは非常に今大きな課題になっているところで
す。現在、大学入試においては本校のような AO・推薦入試で受ける生徒達にとってみれば、
面接・小論文、書類選考が中心になっております。この部分だけでなんとか基礎学力向上
を生徒に促すのはなかなか厳しい部分があったり、また先程もありましたが学びのモチベ
ーションを高めるという部分では若干弱い部分もあります。これを徹底するだけであれば、
この対策を練ることはそれほど難しい部分ではないことになってしまっています。私の本
当私見なんですが、専門性を測る学力検査、簿記や情報処理等の学力検査を行えないだろ
うか。また今調査研究や作品製作等が非常に専門高校で盛んになってきています。それを
受験の場で表現する場を設けられないかというふうに考えます。このようなことで、大学
の求める力を明確化していただき、そして生徒の方も新たな学習目標ができて、資格取得
だけでなく、受験の為に勉強をするということがまた加わってくるのではないかというふ
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うに思います。
3 つ目の進路実現に向けてです。就職においては社会で活躍する上で必要となる要素とし
てこのような形でまとめてみました。進学において、特に AO・推薦入試で必要となる要素
はこのようなものではないかと。これを突合せた時に、就職でも進学でも専門高校におい
ては求められているものが共通するのではないかというふうに考えております。その結果、
本校においてはこの 3 つ、もう当たり前のものなんですが、書く力、話す力、そして基礎
学力を徹底的に鍛え上げようと。当たり前のことだけれどもそれを徹底することによって、
道が開けるのではないかというふうに考えております。書く力に関しましては、1 学年以上
に段階的にこのような形で指導を行っていっています。次に話す力ですが、こちらも同じ
ように 1 年生の時から段階的に行っております。弁論大会等、だんだん減らす学校も増や
しているようなんですが、本校においては全員に課しています。冬休みの課題を課して作
文を書かせ、そして学級予選、学年予選を行って本大会という形で、全員参加で文章を書
く、そして話すということを実践させるようにしております。
基礎学力につきましては、
1の課外ですが、これは専門高校である資格取得の為の課外ではございません。それ以
外に英検対策、そして本校に多い美容看護系への進学の対策、少ないですがセンター試験
を受験する生徒もおりますので、その為の対策等も課外を実施して行っております。そし
て実力診断テスト、これ外部の業者のものですが、そちらの方も受験して、全国的な位置
や進路指導への活用等を行っているところです。基礎基本の徹底というのを教育課程でも
中心にしておりまして、深く学ぶことよりも当たり前の内容を当たり前に理解していると
いう形の教育課程を本校では作っています。この数学 A 特講というのも学校設定科目です
が、その 1 つです。数学 A に関して、学習した上でその内容を反復練習しながら定着させ
るというものになっております。合格、早く決まってしまいます。2 学期の段階、今、現段
階でも段々合格者が出ているんですが、これでゴールでは、残りの半年間が非常にもった
いないということで、いくつか挙げております。専門力の総まとめとして 3 学科とも 3 学
期まで検定試験を受検させております。仮に取得できなかった場合には 2 月、自宅学習期
間に補習を行って必ずあるレベルまでは達するような形で卒業をさせるようにしておりま
す。
2の看護医療系進学者の学力不足問題の対応というところで、残念ながら留年、退学、
そして国家試験に不合格になってしまう生徒が増加しているということが分かりましたの
で、昨年度県内各校へアンケートを実施しました。こちらのような 3 つに関してです。そ
の回答を受けまして、合格した後も課外を継続しております。2 月まで継続してできる限り
の力を身に付けた上で上級学校の方へと進めさせています。残念ながらまだ今のところ看
護医療系のみというふうになっております。
3の大学等からの入学前課題に関しましても、未提出の生徒が残念ながらいるようでし
たので、昨年度あたりから確認をして指導をしているところです。来月ですが、合同でロ
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ングホームルームを行って、進学決定者へ今後の学校生活の過ごし方等を説明していくと
ころです。上級学校との連携なんですが、現在このような形です。出前授業や、キャンパ
ス見学会等をさせてもらっています。専門学校さんとですが、上級資格講座等を行っても
らっています。あまり多いとは言えません。先程の玉龍高校さん等を見てみると、出前講
義なんかは年数回程度というふうになっています。というのも、専門学校の生徒は大学進
学者が若干名なものですから、その少数の者に対して行うものはなかなか難しいというと
ころがあります。しかしここにある通り、下の赤いのが職業学科からの大学等への進学率
です。この 20 年間で 15 ポイント上昇しております。今後この上昇傾向は続くと考えてい
ます。さらに、これは学科別の生徒の人数なんですが、全国では職業学科の割合は 19.5%
です。それに対して鹿児島は 41.4%というところで、非常に専門高校で学ぶ生徒達の人数
が多いんです。この 2 つのことからも、今のままではいけないというのは明白だと思いま
す。専門学科に学ぶ人数が多い、そして大学への進学傾向が強まっている。しかし、高校
側の対応が同じだというのではいけない。やはり普通高校と同じような形で、いろんな形
での大学との関わりを深めていかなければ、新たな道へ生徒が踏み出せないというふうに
なってくると思います。しかし現状として、高校から大学への学習、専門高校から大学へ
の学習が繋がってない部分があります。教育課程に連続性がない、当然それはそうだと思
います。各学校で作っているものですから。そして学習内容に重複がある。これはよく聞
くんですが、日商簿記の 2 級まで学習した生徒が大学に入った後、普通高校出身の子達と 0
からまたスタートをして、周りの生徒たちに教えるような状況があるという部分がありま
す。これもやむを得ない部分が当然あると思います。しかし可能であれば、高校大学 7 年
間を見据えた専門教育ができないだろうか。その上で地域経済の即戦力、リーダーとなる
ような人材を育成し、さらには公認会計士、税理士等の高度資格を取得するような形での 7
年間の指導体制が作れないかというふうに考えております。実際これは都心部においては
既に活発化しているようです。当然都心の方は絶対数が多いですので、そういうような生
徒を集めて指導することが可能なんですが、地方でも動きがあります。先月の新聞なんで
すが、これは青森の方での商業高校と大学で、今申し上げたようなこの 7 年間通した上で
の専門教育ができないだろうかという会合が実際に行われたようです。色々と問題はやは
りあるということでした。うちの学校には、商業高校出身者が 10 名しか入らないけど、そ
の子達だけの為に何かをしなければいけないのか等あったんですが、先程示した通りの数
値データもありますので、この辺のことに関して本県においても色々と検討できればとい
うふうに考えております。以上で発表を終わります。
進行:ありがとうございました。坂本先生からは、リベラルアーツに必要な繋がるような
基礎学力とモチベーション、学習意欲を高める努力をされているということでした。特に
モチベーションについては、高大連携のキャリア教育を通じて様々な実践的な活動をされ
ているということでした。青木先生からは、専門高校である鹿屋女子の進学率が非常に上
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がっていて、教育とか進路指導において大変苦労されている、努力されている様子が報告
されました。また専門高校と大学教育との連続性についても、提言をいただきました。お
二人の先生にご報告いただきましたが、ここで何かご質問はありませんでしょうか。ディ
スカッションは後程ございますので、内容確認程度のご質問を受けたいと思いますが、あ
りませんでしょうか。
では続きまして大学側ということで、まず福田先生にご報告をお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。
福田:鹿児島純心女子大学の福田でございます。本日は、これは皆様のレジュメにはござ
いませんのですが、先程の私共の学長が最初に申しました、中教審の答申を踏まえた文部
科学省の通知が平成 21 年 3 月 31 日にございました。その通知、大まかにそこに書いてお
りますが「合格から入試までの学習喚起というテーマで、各大学は AO 入試に限らず全て
の入試方法について、入学手続きをとった者に対し、必要に応じこれら各々の在籍高校と
協力しつつ、入学までに取り組むべき課題を課す等、入学後の教育の為の準備をあらかじ
め講ずることが望ましいこと。」という文科省からの通知がございました。
これを踏まえまして、今回のテーマというのを考えてみたわけでございます。これは文
部科学省のデータでございますが、平成 12 年と 10 年後の平成 22 年で比較いたしますと、
青色の一般教育、それから赤い推薦、そして AO 入試。この緑色ですが、これがもう歴然
と変わっておるというのが分ります。一般入試が 55%。それから AO 入試が相当に増えて
おります。たった 10 年間の差でございます。これは、私立大学だけでございますが、これ
も文科省のデータでございますが、過去 5 年間の経緯を見たものです。推薦・AO が赤です
が、このように私立大学では既に一般入試を逆転しておりまして、このように 51.4%が推
薦・AO 入試でございます。一般入試が減ってきている。そして AO・推薦入試が増えてい
るという現状でございます。
これは私共の大学の現状でございます。最近 4 年間のと申しますのがこの AO 入試、私
共の大学では自己推薦入試と称しておりますが、AO 入試がこの 4 年前から平成 20 年から
始めましたので 4 年間の統計でございます。これで見ますと、まだこの自己推薦の方が逆
転しているというわけではございません。私共の大学では一般入試が現在のところ 56%程
でございます。これは実は昨年入学しました 1 年生、実際申しますと看護学科、私共の大
学には 4 学科ございますが、その中の看護学科の 1 年生の、私が担当しました解剖生理学
のテストの結果でございます。1 年生の後期に週 2 コマ、全体で 30 コマの講義を担当いた
しますが。その 30 コマの講義を全部期末試験でやるというのは大変なことになりますので、
全体を 4 回に分けて復習試験 1、2、3、4 という形で復習テストを行いました。この 4 回の
テストの平均値でございます。この入試形態、青いのが一般入試で入った、赤い四角が推
薦、そして少し見にくいんですが黄色の三角が AO 入試でございます。この縦軸は高校の
評定値の平均値でございます。一応この縦軸は高校での成績ということで、学校差とかそ
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ういうものは完全に無視しておりますが。高校から頂きました入学の時の評定値がここに
書いてあります。それと私がやりました私のテストでの成績を、この黒くしたものでござ
います。そうしますと自己推薦、AO 入試でのこれ非常にこの 3 つですが、非常によくでき
る子がおりますし、全体的にそういえば赤と黄色がこの辺にあるかな。これが 60 点でござ
いますからギリギリのところにあるかなというような感じはいたしますけれども、この試
験の形態によって成績が差があるというほどではございませんでした。ただ、ここの推薦
の、この 1 年に入って半年経った状態での成績でございますので、この辺りがもう少し何
か上げることができないだろうかというのが本日先生方にお願いすることになるかと思い
ます。
これは実は、縦軸も同じ高校の評定値でございますが、私共の大学の全卒業生、4 学科全
部です。今年の 3 月に卒業しました全員をプロットしたものでございます。この横軸は卒
業成績、本人がとりました全学科の得点、平均値でございます。そうしますと、これもも
ちろん相関は全くございません。この評定値と卒業成績の間に相関はありませんけれども、
これで見まして、推薦入学がかなり善戦しているなということが分かります。こちら成績
の良い方でございますが、確かに一般入試で入ってきた者に成績は良いのが多いんですが、
必ずしもそうではないということ。高校の評定値が 3 以下の学生が、卒業時の平均点が 90
に近いというような頑張った子もおりました。今度の卒業生にはまだ AO 入試しておりま
せんでしたので、AO 入試がどのような結果になるか分かりませんけれども、推薦と一般入
学でこのようにプロットしてみますと、推薦入試というのは私共はかなり重要な入試であ
ろうというふうに考えております。
問題点を少し書き上げてみました。それは、推薦・AO 入試、特に私立大学の入試におい
てこれが増加しているということ。それから、合格者の決定が非常に早期に行われる。そ
の推薦・AO 入試合格者の中には、大学の期待と高校での履修科目との食い違いがある生徒
もいる。私の講義、解剖生理学を受けるのに生物を受けてきてないという学生、数名です
がおります。ですから大変苦労していると思いますが、そういうことでございます。入試
決定から入学までの間に、そういう学生に対して何かできないだろうかということが本日
の問題でございます。推薦・AO 入試合格者に対する課題の設定に関して、高大連携ができ
ないだろうか。もう少しきめの細かい、すなわち生徒 1 人 1 人に対する指導、例えば推薦
あるいは AO で入試合格した生徒さんについて、高校での授業の履修とか、得意・不得意
とか、そういうことの情報提供をしていただいて、そして入学までになんとか高大連携で
学力を把握するということができないだろうかというようなことが、本日の先生方にご意
見をいただきたいということでございます。
それからもう 1 つ。私共は 4 学科ありますが、4 学科それぞれアドミッション・ポリシー
を発表しております。こういうアドミッション・ポリシーを大学として入試にどのように
適用しているだろうかと。私共の大学では、面接を行う場合にはこれを非常に重要視して
おります。その他に、アドミッション・ポリシーを確認できるような入試問題が作成でき
42
ないだろうか。これは大学の内部の問題でございますが、私共の大学だけではなくて、後
の 5 つの大学さんでも考えてみてはどうだろうかと思うわけでございます。それから、高
校では大学のアドミッション・ポリシーをどのように捉えておられるんだろうかと。アド
ミッション・ポリシーに関して何か高大連携でできることはないでしょうかということが、
本日の提案でございます。以上でございます。
進行:ありがとうございました。
では、続きまして藏脇先生にご報告をお願いします。
藏脇:藏脇でございます。それでは、ご報告させていただきます。ここに示しますように、
多様な高大連携の形態と現状ということで、私は理系学部に所属しておりますので、その
理系学部に所属する教員としての報告ということでご理解いただければよろしいかと存じ
ます。
それで先程、福田先生から AO 入試に関するデータをお示しいただきましたけれども、
鹿児島大学理学部におきましても、数理情報科学科、物理科学科、そして私が所属してお
ります生命化学科の 3 学科で AO 入試を実施しております。そもそもの AO 入試の導入と
いうのはまた後で述べますけれども、基本的にはアドミッション・ポリシーにマッチング
した生徒さんを、そしてリーダーシップを発揮していただくような生徒さんを、入ってい
ただきたいという主旨があったわけですけれども。そういう意味では、この後に AO 入試
で入ってこられた生徒さん、学生さんの成績の追跡調査に関するデータを紹介しながらコ
メントをさせていただきたいというふうに考えております。それで今年の 7 月ですけれど
も、私共理学部では、関東を北限としまして約 1,530 校の高等学校にアンケートを実施さ
せていただきました。その結果で、どういうことを我々は反省しないといけないのかとい
うデータについても、後半部分で紹介させていただきたいと思います。つまり、AO 入試の
追跡調査と新たに行ったアンケートの結果についての報告をさせていただくと。時間の関
係でそれ以外の現在私共が行っている取り組みというのは、ここの前半最初の部分で紹介
させていただきたいと思います。
当然のことながら、大学の学問を知る入口として高等学校に出張授業、出前授業という
のを全学部実施しているわけですけれども。特に私共の理系学部ではスーパーサイエンス
ハイスクールに対する協力というのをしておりますし、あるいはサイエンスパートナーシ
ップ、そういった、それによるいわゆる協力体制というのを確立しているという状態であ
ります。それでこれですと、一部の中学生・高校生ということになって限定されてしまい
ますので、最近、高等学校のカリキュラムの実情というのは分かっておりますので、そう
いう意味では大学の場で体験型実験を導入して、より多くの、先程坂本先生がご紹介いた
だきましたけれども、体験実験の実施と。基本的には「大学開放プランプロジェクト」と
いうふうに理学部では位置付けている、実施しているということになります。それから学
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会の協力を得て理科・数学教育の普及目的。これはもうご存じの通り、平成 8 年、9 年から
の理科数学離れというものが深刻な問題として、どうにかせないかんということで議論さ
れたわけですけれども。そういう意味では、私共生物化学の分野の教員が協力して、例え
ば学会の協力を得て、こういう全国高校化学グランプリというので賞を行ったりして、要
は普及目的で実施している。今年に限って申し上げれば、これベスト 60 に入れば銅賞とい
うことになるんですが、鶴丸高校の生徒さん受賞されておられますし、こういう形でいろ
んな生物オリンピックあるいは物理のコンテストに鹿児島県の高校生の皆さんも、例えば 1
次予選ですと鹿児島県からもやると。80 名の生徒さんが受験していただいたというデータ
がございます。そういう意味で、こういった取り組みをまさに鹿児島大学理系学部全体と
してやっていく必要があるというふうな感じでいるという次第でございます。
それで先程、福田先生が AO 入試における入学者と成績の相関をお示しいただいたんで
すけれども。これはまず AO 入試ではございませんで、前期の個別の選択別点数分布とい
うのをデータとして、私共の学科のデータをまず紹介をさせていただきます。前期日程の
場合は生命化学科は数学・理科、あるいは理科 2 科目の組み合わせで受験しますので、こ
ういった組み合わせができるんですけれども。基本的には 1 年次に生物系の授業、そして
化学系の授業をとった時に、そういった高校の時にとらなかった科目、とった科目が有利・
不利にはたらくかどうかというのを分布で示したというふうにご理解いただければよろし
いかと思いますが。例えば、高校の時に化学をとらなかったから化学の授業の成績が悪い
んだっていうと、そうでもないという相関のデータが出ているというわけです。それから
この B の方は、選択科目別の点数分布という事で、理科 2 科目を課しているわけですけれ
ども、例えば化学・生物で受験した人が、入学した学生さんが 1 年次に生物系・化学系で
こういう点数に、それの得意・不得意っていうのが出てくるかっていうとそうでもない。
ただし大事なことは、基本的にこの合格ラインになるということは、その最低限のいわゆ
る数学、それから理科ⅠⅡの科目についての十分な理解力というものは必要だということ
が言えると。抽象的な表現でしかまとめていないんですけれども、記録に残すと差し障り
があるということもあるので、履修・理解とも到達度と。先程、ディプロマーポリシーと
いうのを大学に入って要求されるわけですけれども、高校から大学に入る上においてもそ
ういう形で必要性があるというふうに考えているわけですが。その時に例えば、前期日程
と後期で入った学生さんは、基本的に入学までに何をするか大学側からもまだアプローチ
をしておりません。
それで、AO 入試で入学した生徒さん達の追跡調査というのがこちらで、1 年次、2 年次
という形になります。大学 1 期、2 期、1 年で、3 期というのは 2 年ということで、AO 入
試で入った、私共の AO 入試の定員は 6 名ですので、現在のところ 4 名になってる。この
時点でもう学生さんは 6 名っていうのが定員なわけですので、基本的に半分は成績上昇傾
向が見られて、要は少し学力が低下しているのか、あるいはミスマッチがあったかという
ことで、下がり気味の傾向も。ポイントになってくるのはこの生徒さん達をモチベーショ
44
ンをいかに高めるかということで、昔と違って今は各クラス担任というのがおりまして、
それが基本的には生徒さん達のケアをするというのが非常に大事なポイントになってきて
おります。そういった AO 入試で入った生徒さん、それから学生さん、それから後期・前
期日程で入ったその学生さん達が、3 年次なんですけれども、大学を卒業するのに 124 単位
必要なんですけれども、3 年次で言えば大体この程度の単位数になりますので、それと全国
の平均点ということで、例えば入試システムの違いによって成績に差があるかというと、
基本的には必ずしも AO 入試で入った人ほど優れているというわけではないんですけれど
も、見劣りなく、そこそこの成績を収めているというようなことで、基本的に生徒さんの
自主性に任せるべきなんですけれども、その状態ではなかなかこのままの減少傾向になっ
ていくので、基本的にはそれをサポートするということが私共教員の今大事な果たす役目
だということで。鹿児島大学ではピアサポートの構築、それから教育支援体制というのを
学生の休学あるいは退学という割合を減らす為に努力しているということになります。で
すから、基本的に大学というのも常に何を求めているかというと、先程玉龍高校の坂本先
生がおっしゃいましたけれども、キーワードになるのが、やはり意欲・興味・好奇心とい
うことが理系学部にはもちろん大事なことではないかというふうに考えている次第です。
そういう意味で、私共が今どういうふうに何を学生さん、あるいは高校側のニーズにどう
いうふうな課題を考えれば良いのか。つまりどういうことかと言いますと、いわゆる受験
生とか入学生のニーズに応える為に、大学ではどのような方策をとるのが必要なのかとい
うようなことで実態調査をしてみようということで、今年の 7 月から 8 月にかけて関東地
区、西日本地区、九州地区。西日本地区もターゲットにしたのは、新幹線が通ったという
ことで、より鹿児島大学に入学していただけるのではないかというようなことで、あるい
は鹿児島県以外にも受験施設を導入することの是非について検討しようというようなこと
が目的でアンケートを実施したということになります。基本的には、当たり前なんですけ
れども、鹿児島大学まだまだケア不足ということで、各学部学科の教養内容。特に理学部
に関してということなんですが、各学科の教育研究内容を一般向けの、高校生向けの2種
類のタイプのアピールの仕方をしないといけないというのが結論として分かってまいりま
した。その結果をご説明いたしますけれども。1 番目は、もし理学部を受験されるとしたら
どの学科を希望されますか?5 番の方もものすごく強引ですけれども、つまり選択肢となり
ませんというのは基本的に対象となったのが関東、関西ということもありますので、どう
しても距離的ハンデもあるし、認知度もあるということになります。2 番目の最も重要視す
る際のポイントになるのは何なのかというと、1 番目の教育研究内容というものはどういう
ものなのか?つまり、基本的には後で分かりやすく言いますけれども、ホームページ等で、
資料よりも要覧よりもホームページを良く見るということがデータとして出てまいります
ので、そういったところのいわゆる情報発信ということが決め手になるということが分か
ってまいりました。これも当たり前なんですけれども、そういう形の内容と実力の合致力
ということで 1~2 番のデータが非常に高くなる。申し遅れましたけれども、縦軸は 1 番を
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選択された高校の数というふうにご理解ください。そういう意味では、2 番に関しては重要
視されるのは当然であるということになります。私共が気にしておりましたのはどういう
ことなのかというと、一体生徒さん達はつまり高校生はどういう情報をどこから入手する
のかなと思って、あるいは担任の先生からの情報の受け売りだけなのかなというふうに考
えがあるので聞いてみたというわけなんですが。そこにあるようにホームページというも
のを充実すると良いですよと。また遠方ですけれども、関東それから関西の高校からコメ
ントが書いてあるのは、おいでくださいと。そして説明をしてくださいというようなこと
が非常に要望として強く書かれておりました。ですからその時は、なるべく理学部では大
体九州内は出前授業あるいは入試説明会に出かけておりますけれども、ひょっとしたら関
西方面にも足を伸ばさないといけないのかなというようなことを考えている状況です。そ
れから 4 番目なんですけれども、先程もここに圧倒的にこの大学のホームページ、要覧、
パンフレットで。ある高校では要覧、パンフレットはあんまり見ませんと。そしてとにか
く見るのはホームページだけですということで、基本的に偶然にも鹿児島大学も今中期目
標、中期計画の中に教員の情報発信、あるいは学部学科の情報発信の目的の為にホームペ
ージを充実するというようなことで、今計画に従って更新をしております。ですから、そ
れがまさにアンケートの結果によって裏付けられているということで、これらを基に先程
AO 入試それから一般入試で入った学生さん達のケアをしていくということ。それからより
多くの学生さんに鹿児島大学に入学していただく為に、この先生は何をしているんだ、そ
して生命化学科ではどういうことを特徴として売りとしているのか、そういうようなこと
をより発信して、高大連携に努めていくべきだというふうに最近考えているという状況で
ございます。時間をオーバーしましたけれども、これで鹿児島大学の紹介ということで報
告をさせていただきます。どうもありがとうございました。
進行:4 名の方にご報告いただきましたが、ここで何か補足的なコメント等ありませんでし
ょうか?ではフロアの方から、今大学の 2 人の先生のご報告に対して何かご質問はありま
せんでしょうか?ではさっそくディスカッションに移らせていただきたいと思います。4 名
の先生から様々な事例とか問題提起いただきましたが、それらを材料にディスカッション
したいと思います。ただ、時間が 40 分程度しかありませんので、勝手ながら論点を絞りま
して、大学が求める能力、高校が育む能力について。もう 1 つは学力試験を課さない AO
及び推薦入試と学力不足の問題について絞って、大学入試また高大連携の側面からディス
カッションしたいと思います。
まず 1 つ目の論点ですが、大学が求める能力、高校が育む能力とは何か。また大学が求
める能力が高校側に十分伝わっているのか、入試を通じて大学が求める能力を十分測るこ
とができているのか、大学が求める能力をいかにして高校時代に身に付けてもらうかとい
うような問題について、入試アドミッション・ポリシー、学力不足の問題、入学前教育や
入学後の補習教育、高大連携の取り組みと絡めながら議論していきたいと思います。
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まず福田先生、藏脇先生にお尋ねしたいんですが、大学教育において必要な能力、高校
で身に付けてほしい能力についてできるだけ具体的にお話いただいて、それに加えて最近
の学生に不足している能力というのはどういうものか。時間もありませんのでそういう能
力をつけてもらう為にどのような努力を高校の方でしていただきたいかというような点に
ついて、お話をいただきたいと思います。まずは福田先生お願いします。
福田:只今の問題ですけれども、大学として高校の方にお願いする生徒さんの能力。これ
は学力ももちろんでしょうが、学力よりも、学力に入るかもしれませんが例えば会話の能
力とか、それから文章を作る能力とか、そういうのが近頃は大変落ちているように私は思
います。1 つには、メールがいけないのではないか。何もかもメールでやってしまうという
ことが大変障害になっているのではないかなということを感じております。もっと会話の
能力とか、それからコミュニケーションですね。と申しますのが、就職。私共はやはり出
口の問題が 1 番重要な問題でございまして、就職をするにあたって、やはりコミュニケー
ション能力というのが、これは必須でございます。必ずしも成績の良い者が良い会社にい
くとは限りません。成績は今一つという子でも会話能力とかコミュニケーション能力が非
常に優れていれば、大変良い会社にスースーと入っていくということを見ておりますと、
やはり社会が求めているのもそういうことかなというふうに思います。お答えになったか
どうかは分かりませんが、そういうことを感じております。
進行:では続きまして、藏脇先生お願いします。
藏脇:学習するという観点からいきますと、昔ですと高校から大学に入った時にはスムー
ズに授業に入ることができたということは、基本的には能力が高い低いという表現は好ま
しくないかもしれませんけれども、高かったと。最近は先生方ご存じのように学力低下と
いうことが言われているわけですけれども、それで大学が手をこまぬいているかというと
そうではなくて、理学部では入学後に推薦と AO に今限定していますけれども、毎週 1 回
は数学理科の補習ということで、入学前の補佐をどうしても大学の方にアップしている。
どうにかしてスムーズに大学の授業についていけるようにという努力をしないといけない
というのは現状だと思います。私共理系学部の教員は少なくとも、先程の事例報告でもご
紹介申し上げましたけれども、どうにかして実験をやってきてそれでそれから経験的な学
問でそうしてその知識を培ってもらいたいというふうに考えてはいるんですけれども、高
校側もそういう時間的ゆとりはありませんので、それができない実態をどう打開するかと
いう点もどうぞ大学の方に、例えば土曜日曜来てくださいと。そして、実験とか面白さと
いうのを植えつけて実験系の学部の方に入学してもらいたいという努力を今まさにしよう
としているということです。基本的にはモチベーションさえ維持していただければ、それ
なりの素地を持った学生さんが入ってこられるので、それを伸ばすというのが私共の役目
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だろうというふうに考えておりますので、月並みですけれども意欲というかモチベーショ
ンの向上ということを前提に高大連携の中でプログラムが組めたら良いなと、協力するこ
とができれば良いなというふうには考えております。
進行:ありがとうございました。もちろん必要な能力というのは、まずは 5 教科に関する
基礎学習能力というのが大事だと思うんですが、福田先生の方からはそれとも関連しなが
らコミュニケーション能力と文章力が不足していると。私も何々について述べなさいとい
うふうにテストを出すと、箇条書きの答案が最近不可を出して、結局ポイントは分かって
いるんですが文章にできない学生が増えてきていると。文章構成力というのでしょうか?
それがないから、コミュニケーション、発言ができない。自分の考えを伝えられないとい
うのにも繋がっているのかなという福田先生のお話をお聞きして感じました。藏脇先生か
らは、入学後に補習教育を鹿児島大学ではしていると。特にやはり理系で必要なのはモチ
ベーションだと。高大連携を活用して、モチベーションを高めるような教育をやっていき
たい、必要だというようなお話がありました。では、これを受けまして高校側から坂本先
生、青木先生にお尋ねしたいんですが、高校側が捉えている大学が求める能力というのは
何か。またそういう能力というのはアドミッション・ポリシーとか入学試験の科目で一応
高校に示しているつもりなんですが、それがキチッと伝わっているのか。その辺について
坂本先生、青木先生、ご意見ありましたらお願いします。
坂本:私共高校の現場にいる人間が、大学側が一体高校に何を求めているのかということ
について考えます時に、やはり今お話にあったように大学の基礎的なリベラルアーツの教
育についていける力。これを求めていらっしゃるんだろうと思うんです。私共がいろんな
生徒を大学受験に送っていくわけなんですけれども、個人を見ますと非常に指定教科だけ
できる生徒というのがやはりいるんですよ。この特定教科だけできる生徒は、その自分の
得意な教科のところにいくわけですけれども。広げてみますと、やはり先程福田先生がお
っしゃったように、会話の能力が落ちていたり、記述の能力がまだ備わっていなかったり
とか、こういうふうにバランスの悪い生徒というのは送っていいのかなというのは実感と
してあります。ですから、私共が気を付けていることは、とりあえずは大学側のいわゆる
自然科学、人文科学、社会科学、これらどれらにも通じるような基礎的な力。これをでき
るだけ普通科としては送っていきたい。こういった思いで捉えております。それに加えて
もう 1 つ、先程も言いましたけれども、学びのモチベーションを上げて、その専門とする
教科科目に対して非常に意欲的な生徒を送っていきたいなというふうに考えております。
以上です。
青木:今の坂本先生からおっしゃられた通り、当然普通科の生徒に求めているもの、それ
も前提としてさらに専門高校生に対して求めているものというと、当然高校 3 年間で学び
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身に付けた専門力、さらには 3 年間学習してさらにそれを深めたいというふうに考えてい
る探求力を求めているのではないかというふうに考えております。高校側としましても、
資格取得等を通じてその専門力を高めているんですが、資格というのは結構危険なところ
がありまして、それを取るのが目的になってしまう時がたまにあるんですね。あくまでも
資格は証であって、それがきちんといろんな場において実務において発揮できなければい
けませんので、その際にやはり必要になってくるのは基礎学力だと思います。基礎学力が
あればこそ、思考力判断力が働いて、資格取得の中で手に入れた専門力が発揮できるとい
うふうに考えておりますので、その部分について高校側ではしっかりと力をつけた上で大
学に送り出したいと考えております。またもう 1 つのアドミッション・ポリシー等が高校
に伝わっているのかという話なんですが、専門高校はほとんど AO 入試、推薦入試の方で
受けますので、面接等の対策において十分その部分に関して理解をした上で受験をしてお
ります。ただアドミッション・ポリシーをまず見て、この学校が私に一番合っているとい
う形での選択は当然しません。やはり入試の内容であるとか、学びたい分野がここにあっ
て、学費等所在地等があった上で、そこにアドミッション・ポリシーも加わって総合的に
判断するというふうになってきますので、学校でも絶対的な材料になるということはない
です。1 つの材料になるというふうに考えて、認識して解釈して生徒も選んでいると考えて
おります。以上です。
進行:ありがとうございました。では、ここで黒木先生に。
黒木:今日のテーマは大学入試を介した高大連携ということで、そろそろ大学入試という
ことについて皆さんに意見をお聞きしたいと思うんですが。ご存じのように、大学は少子
化によってユニバーサル化して競争の時代から、選択の時代。選抜から選択の時代へ変わ
ってきていて久しいわけでして。このように少子化で選抜から選択の時代に変わっていけ
ば、当然大学生の学力の相対的な低下というのはこれは既定の事実になってくるわけです。
それと共に、今問題にされているのが大学の学士価値も相対的な低下というか、いったい
このままで、日本の教育は良いのか?というのが、各団体で問題にされています。一方で
大学の方は経営的なことが奥底にありまして、青田買いにも似たような入試のあり方とか、
様々な入試が今行われているわけです。結果として国公立大学であっても、個別試験の入
試科目が随分減ってきている。それから推薦入試、AO 入試に関しては学科試験を課さない
というそういう入試が今非常に多くなってきているわけですけれども、このような入試の
あり方というものが、果たして高校に対してどのような影響をもたらしているのか。高校
としては、それに対してどのような要望を持っているのか。その辺りを坂本先生、青木先
生を含めて、フロアの方々からも是非聞かせていただきたい。大学入試というのは、大学
が高校に求める学力、それの重要なメッセージになっているはずです。それが、重要なメ
ッセージとして今機能しているのかどうか。その辺りも含めて、是非お考えを聞かせてい
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ただきたい。ご意見を聞かせていただきたいと考えております。
進行:大変重いテーマですので、パネリストの方またはフロアの大学関係の方、高校の関
係の方どなたでも結構ですので、ご意見お願いできませんでしょうか。坂本先生お願いし
ます。
坂本:大学入試なんですけれども、今特に理工系の大学、入試科目を見てみますと、例え
ば工学部の受験に関しまして、数学で数ⅢC という、高校 3 年生になるんでしょうか、数
ⅢC という科目があるんですけれども、これを課さない大学というのが理工学部の中でも結
構見られてくるようになりました。特に学生募集が厳しいのでしょうか、そういった科目
を緩めることによって学生を募集しようという戦略なのかもしれませんけれども。私共と
しましては工学部に行く、これにつきましては工学部で当然微分積分を使っていくわけな
んですけれども、これが入試科目に課されないということは、非常に送り出す側として不
安な感じがします。ですから高校としましては、そういう生徒につきましても数ⅢC を学校
の中でしっかりやらせて送り出すということをやっているわけなんですけれども、実際の
ところは全国いろんな大学もこういう学科試験で、特に大学が必要とする科目はもう受験
しなくても入れる。こういう時代において生徒達の学びのモチベーションというのは非常
に下がっている。これは担当者としての実感であります。
進行:ありがとうございました。では大学側の先生誰かご意見をお願いできませんでしょ
うか。パネリストの先生いかがでしょうか。
藏脇:今の坂本先生の指摘に関して、コメントと言うか意見という意味で。確かにおっし
ゃる通りで、本当は課したいというのが実態です。しかしながら例えば入試倍率というこ
とを考えてしまうと、そういう楽な方向といいますか、そういう安直な方向でと。確かに
それで科目を決める際にも種々、侃々諤々の議論を学科学部でするんですけれども、どう
してももう 3 倍切ったら駄目ですよというそれが殺し文句みたいに頭の中に出てくるもの
ですから、若干そういう科目数を減少するということをしてしまうというのが過去にも
我々のところでもあったということです。それで基本的に先程大学側高校側との入試に関
してなんですけれども、黒木先生がおっしゃいました、要は基本的には例えば理工学部に
入って卒業する際に、十分な能力というものを培っていただく為に、基本的にはディプロ
マポリシーというのを今策定してやっているわけなんですけれども、原点のところ、今正
直なところ、今どういう実態にあるのかという追跡調査とかそういうののデータをとって
いるということが現状だというふうに考えています。そういう意味では、学士価値という
ものをどこに求めるかということを大学側もキチッと明確にここまでは目標として能力ア
ップに繋げますよという努力を現在している最中というふうにお答えするしか今ないかな
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と思っているところです。
進行:ありがとうございました。今大学入試、やはり非常にいろんな事情が絡んでいて、
先程の原稿とか、科目数を増やすとか、そういうったものは非常に難しいところがあると
いうご説明だったと思いますが。ではそういう中で大学入試がメッセージ性をだんだん失
っていくというそういう中で、さらに高校生にとっては、大学入試に向けてということが
学習モチベーションを高める一種の目標として機能しづらくなっていくという時代にもう
既に今進行しつつあると思うんです。その中で、一体学力向上というものを、今後どう図
っていけばいいのか?大学はそこに対してどのような連携ができるのか?その辺りについ
て、難しいテーマですけれども、私も今非常に勉強中でありますので、是非皆さんの方か
らご意見をおうかがいしたいと思っております。
福田:私はさっきの問題で、科目を増やす問題の話だと思いますが。今話題が変わってい
るみたいですね。
進行:大学入試の機能が失われつつあるとは言いますが、やはり必要な科目についてはし
っかりと大学側が入試科目と指定して、課していくということを怠らないでいただきたい
というのが高校側の強いメッセージというふうに受け取りました。大学入試が高校と大学
を繋ぐ一番の接続点になるわけですが、それと別の面で何か高校時代に大学と一緒に能力
を高める為にできる、高大の接続、高大連携の取り組みについて何かご提案等ございませ
んでしょうか?玉龍高校ではモチベーションを上げる為に大学の先生を招いて、非常に熱
心にキャリア教育をされている。やはり目的意識とか意欲とかあるということが非常に学
習意欲向上にも繋がると思いますので非常に参考になる取り組みだなというふうに思いま
した。他に高大連携という視点で何か、学生の能力を高める工夫、取り組み、アイディア
とかございませんでしょうか?フロアからも何かご意見ございましたら、事例報告でも結
構ですし、ご意見ありませんでしょうか?
1 つ目のテーマは本当に時間が短い中での議論だったんですが、何か最後にご質問ご意見、
全体を通して第 1 段目のテーマについでございませんでしょうか?パネリストの先生、何
か言い残したことはございませんでしょうか?
では大変駆け足ですが 2 つ目のテーマとして、関連しますので学力不足という点でまた
重複してお話していただきたいと思いますが、AO 入試、推薦入試の入学者の学力不足の問
題、入試制度そのものの問題について議論したいと思います。AO 入試、推薦については学
力検査を課さないと。様々な問題がありますが、問題点をあげると合格発表が早いという
ことですよね。学習意欲が失われる、習慣が途切れてしまうと。4 ヶ月間遊んでしまうとい
うのは、1 番大きい問題として出てきていると。2 つ目は今言いましたように、学力検査自
体が課されないので、学習意欲とか、習慣を維持できないと。文科省の方では、何らかの
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基礎学力を測るようなことをやるべきだというような要請がなされておりますが、ここの
問題から派生していると思います。後、特別な入試として最初 AO とか始まったと思うん
ですが、今では言い難いことですが、大学の経営という形で定員がどんどん増えて、特別
な入試ではなくなってきていると。そういう点もかなり大きな問題として挙げられている
と思います。4 つ目は青木先生の方からありましたように、専門高校の進学者が非常に増え
て進学率が上がって、その学生はやはり AO・推薦を利用しているということがこの学力不
足の問題にかなり大きく影響しているかなというような認識を受けました。では福田先生
から主に AO 入試、推薦についての問題のご提起がありましたので、純心女子大の方で AO
とか推薦入学の学力不足についての対応とかの検討状況とか実施状況とか、また連携につ
いてもう少し具体的な何か提案とかありましたら、お願いできませんでしょうか。
福田:AO 入試や推薦入試で入ってまいりました学生に対しまして、4 学科それぞれ独自に
対応しております。大学全体としての対応というのはございませんけれども、入ってきま
した学生に対して学力不足を補う補習教育、それから初年時教育というようなことを通し
ていわゆるリメディアル教育というのもやっております。特に健康栄養学科では、化学の
基礎がないとやはり授業についていけないという学生もおりますので、その辺りを含めて
化学の初歩からの講義をしたりしております。私が関係しております看護についても少し
そういう教育もございますが、講義の中で生物を受けてきていない学生に対して私は解剖
生理学を教えておりますけれども、その対応というのは特にそういう生徒だけを呼び出し
て講義するということはしておりません。その日々の講義の中で、なるべく分かりやすく
対応するということしか私はやっておりません。しかし他の学科では色々なことを考えて
初年時教育等に力を入れているというのが現状でございます。
進行:ありがとうございました。続きまして蔵脇先生ですが、鹿児島大学の場合は AO と
センター試験を課さない推薦Ⅰは全体の入学者の 5%程度で、本当に今でも特別な入試とい
う枠組みです。たまたま理学部が両方されております。理学部では入学前教育も非常に熱
心にされておりますので、その辺の入学前教育の実践について、また AO 入試で入ってき
ている学生が本当に期待している学生がとれているのか、言い難いことかもしれませんが、
そういう学生をきちんととれているのかというのを少し、差し障りのない範囲で教えてい
ただきたい。また理学部は熱心に高大連携されてますので、高大連携という視点から AO・
推薦の学生の学力不足への対応、協力のあり方について少しご提案いただければと思いま
す。
蔵脇:理学部生命化学科が 1 番先に AO 入試を導入いたしました。その時の動機といいま
すのは、推薦ですと 1 回受験生とお会いしただけで、入学を決めてしまう。そうすると、
果たして優秀なのかそれともやる気があるのかというのがよく分からない。ですから十分
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時間をかけて、入学者を選定しようと、合格者を決めようと。そういう意味でリーダーシ
ップを発揮してもらうとか、あるいは化学に、あるいは生物に特化した最初は色々高校の
化学実験とか、化学クラブに入って業績を挙げたりしてとかそういう人が結構応募してく
れましたので、当初の目的は果たしていけたのかなと。つまり優秀な学生が入ってきたこ
ともありました。しかしながら、どんどん年齢が経つにつれて、少し実施時期が早すぎる
というような、8 月ぐらいからもう 2 ヶ月ぐらいかけてやっておりましたので、そういう点
で少し高校側から先程青田買いという言葉もありましたけれども、時期を考えないといけ
ないなということで大体今の 11 月、推薦と同じような時期に日程を変更したという経緯が
あります。それで、基本的にそういったどの程度の実力があるのかというのが分かりませ
んので、どうしてもやはりまず最初は色々レポートを出してもらったり課題を与えてそれ
の理解力というのを把握する為にやってたわけですけれども、どうも先程の、後で申し上
げたいのですけれども、英語・国語力をどうにかして、私共は高大連携で接続して能力ア
ップをしないと、数学・理科以外にどういうふうに、申し上げたいことはそういうレベル
ダウンというのがあるが故に、やはり今取り組んでいるのは高校を退職なさった先生方に
来ていただいて、そして授業を数学と理科に関してはやっていただいている。先程言った
ように、そのおかげで少なくともついてこれるということで、どうしてもトップレベルと
いうことではないんですけれども、今の実態は平均的な学生さんが入ってきているという
のが現状だと思います。ですから今後我々が数学・理科は十分やってきているわけですけ
れども、表現力、あるいは英語力というものがどうしても今落ちているのは事実ですので、
その辺りをもっと今後高校側と協議しながら、あるいは大学として取り組むべき課題の 1
つではないのかなというふうに今考えているという状況です。
福田:入学前教育につきまして、少し高校の先生方にお尋ねというかお願いといいますか、
まだ高校生なんですね。10 月から 11 月に入学は決定します。そうしますと高校生に対して
大学側からもう色々課題、現在レポートを要求したり課題を出して、あるいは本を読んで
もらってその感想文を書いてもらったりというようなことをやっているわけですけども、
それに対して高校の先生方はそれで良いというふうにお考えなのかどうか。まだ高校生な
のに、大学の方から勝手に何かそういう、大学としては遠慮もあります。そういうことが
もしも高大連携という形で積極的に認めていただけるのであれば、もう少し踏み込んだこ
とができるのではないかなというふうに感じております。
進行:ありがとうございました。では続きまして高校のお二人の先生にお聞きしたいんで
すが、まずは AO・推薦入試について高校側、高校生はどのようなご意見をお持ちか、入試
制度自体、学力不足の問題、あと今ありました、入学前教育についての高校側の教育につ
いて。あともう 1 つは早期に合格が決まった学生の学習態度の変化とか他の学生への影響
について、もし事例等がありましたらまとめてお願いします。
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坂本:AO・推薦入試に関しまして、色々な観点があるだろうと思います。私は前いた学校
で言いますと、普通科高校だったんですけれども非常に様々な生徒がいますので、十分な
受験体制というのが学校全体でとれない。こういった中で、例えば工学部や理学部、こう
いったところに進学したい生徒もいますので、そういった生徒を行かす方法として AO 入
試、推薦入試というのは非常に有効性があるだろうと思います。非常に能力が高い子達も
いますので、そういった生徒達を送っていただければありがたいなと思うんですけれども、
今現在勤務している学校で言いますと、AO・推薦入試で合格した人間から 1 人抜け、2 人
抜け、3 人抜け、こうしていくことで、クラスひいては学校全体、これらのモチベーション
が下がることにつきましては教師間の中でも色々議論があります。極力受けない方が良い
という教員もいますし、積極的に活用した方が良いという教員もいるところは、ですから
評価ははっきりと決まっていないわけですけれども、全般的に進学校と言われる大きな学
校の中では AO・推薦入試よりもセンター試験を受けて前期試験で合格していく、こういっ
た方向に向いているだろうとは思います。入学前教育。これも先程おっしゃったんですけ
れども、できれば私共は推薦入試、AO 入試で合格した生徒もセンター試験を受験し、その
後前期試験の前の日まで一般の生徒と一緒に学習をさせております。そういった学校が多
いだろうと思うんですけれども、そういった時に入学前教育というのが入ってきますと、
その生徒がやりこなせたら良いんですけれども、なかなかやりこなせない場合もあるのか
なというふうに思いますので、その中身ということが大事かなというふうに思います。早
期に AO 入試、推薦入試に合格した生徒が他に与える影響というのはやはり見逃せないも
のは確かにあります。10~11 月に決まってしまいますと、クリスマス、お正月こういった
ところそういう生徒は、自分で意図しないながらも周りに配慮しているつもりでしょうけ
れども、やはり今から受験に向かう生徒にとってみれば、うらやましいというか、そうい
った思いもありますので、この辺はできれば時期を揃えていただければ、今の進学校の中
でもやりやすいかなというふうには思っております。
青木:先程の発表でも申し上げましたが、専門学科の生徒に関しましては AO 入試、推薦
入試ほぼそれだけでの受験というふうになっております。それこそ昨日も国公立大学の方
に合格する生徒が出ました。まだ半年あるなというふうに思うと、周囲への影響というの
は非常に大きいと思います。専門学校や短大なんかも含めますと、おそらく 10 月中に本校
の進学希望者の半数近くが決定してしまうと思います。先程の発表でも示したんですが、
その為に 11 月に一度進学決定者を集めてロングホームルーム等を行って、わざわざ高校生
活の残りの過ごし方等といった話をしなければいけない状況です。ただ、今後推薦入試、
AO 入試は学力だけでなくいろんな尺度から生徒の力を測っていただけるということで、専
門高校にとっては非常にありがたい制度です。そして不足してしまっている学力を補う為
に入学前教育を最近盛んにしていただけるのも、ありがたい部分です。普通高校と事情は
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全然違いますので、それこそ合格通知と同時に課題を送りつけるということも全然構わな
いくらいです。教員側も、そして生徒の方も当然センター入試に向けてという形での指導
がない部分がありますので、やや余力はあります。生徒と一緒に与えられた課題を取り組
んで、そして入学までにどういうことを身につければ良いかという目安にもなりますので、
是非積極的にお願いしたいと考えているところです。
進行:ありがとうございました。黒木先生。
黒木:今 AO 入試、推薦入試への対応ということで 30~40 年前には考えられなかったよう
なことが今高校でも大学でも行われております。やはり目的となるのが、高校生の学力と
いうのをいかに維持あるいは向上されていくかということ。そしてひいては大学生の学力
をいかにして維持向上されていくかということ。つまり学士資格の、学士価値維持向上と
いうことが、最終的な目標になっていこうかと思っているところなんですけれども、その
中で高校に求められる学力というのは何なのかということ。今、大学の方からも色々あっ
たわけですけれども、少なくとも高校までは文部科学省の方から学習指導要領というのが
提示されておりまして、全国一律に学習すべき内容というのが決まっております。このこ
とについては大学の方でも是非ご理解いただきたい、そのように感じています。特に今、
大学生の就職戦線が非常に早期になってしまいまして、その影響なのか何なのか私はよく
分かりませんけれども、専門科目の方が 1 年次 2 年次からどんどん入っていって、教養に
ついての講座の価値がだんだん低くなっていくのではないかなということを懸念しており
ます。その中で高校というのは、最終的に教養課程の中の初期段階というふうな感じで位
置づけて、いかにして教養を高めていくのか。それを考えているところです。少なくとも、
今知識基盤社会というのが求められているわけですけれども、その中で求められている人
材というものは、スペシャリストということはよく言われますが、さらにできれば、その
上にゼネラリストとしての素養を基盤としたスペシャリスト、それが求められているので
はないか。その中で教養教育というものをどのようにして保証していくのかというのが、
今非常に私は気になっているところであります。少なくとも高校の 3 年間というものは、
その教養というものを、国・数・英・理科・地歴公民といったような一つ一つのパッケー
ジに微分して、そしてそれを一つ一つ学ぶことによって、それを積分して教養というもの
が成り立っていくという理解で今考えて進めているところですが、だんだんそれが大学入
試のあり方に従って次第にそっちへ向かう学習モチベーションというのが今低下しつつあ
るという現状に直面しております。実際、この間私の学校で学習時間調査を行ったんです
が、1~2 年生の週当たりの学習時間は 17 時間内でございます。平均です。かつてはヨーロ
ッパと言っていた時代があります。平日 4 時間、それから土曜日 6 時間、日曜日 8 時間そ
れぐらいの学習が要求されていた時代があったわけですが、それはもう程遠い過去のもの
になってしまいまして、今現実、高校生の平均で 20 時間を週当たり超えている学校という
55
のは非常にまれになっているのではないか。実際に今高校生の学習モチベーション、非常
に低下しつつある。これはおそらく大学入試のあり方と無縁ではないだろうなと思ってお
ります。この間も東京の方で大学入試研究会というふうなものが、全国の校長を集めて行
われたわけですが、東京の中堅の普通科高校だっていうふうに自己紹介されましたが、そ
の学校の校長先生の悩みっていうのは、生徒の 8 割が 10 月いっぱいで進路先が決まってし
まうと。実は高校で 1 番の身の入った授業が成立しているのは、国公立大学の個別試験に
向けた 2 月のあの 1 ヶ月というのは非常に濃い授業が行われているわけですが、それにつ
いて全くのっかってこない。それどころか 11 月、12 月、1 月というこの 3 ヶ月も、もうほ
とんど勉強については手に付かない状況がある。おそらくこれは、やがて鹿児島県の高校
の状況にどんどんなって浸透していくんだろうという危機意識を持っております。そうし
ていけば、さらにまた高校生の学力低下、引いては大学の学力低下、そして学士価値の相
対的な低下というものに拍車をかけていくのだろう、そんな気がしているんです。そこで
高校と大学のガイダンスセミナーという折角こういう機会がある中で一体それに向かって
大学は何ができるのか。高校は何ができるのか。そこで連携し合える部分は何なのか。違
いは違いと認め合いながら、「よしじゃあここではこういうことをやろう。」「ここではこう
いうことをやろう。」っていうふうなことの住み分けっていうふうなものがどういう点で可
能なのかというふうなことについて、非常に大雑把な話題になりますけれども、色々意見
をまたお聞かせいただければと思います。もう時間があまりないんですけれども。またこ
れをきっかけにそういう考える契機になればなというふうに考えております。意見でござ
いました。以上です。
進行:もう時間がなくなってしまったので、先生今のは今日のまとめということでよろし
いですか?時間の方がなくなってしまいました。フロアの方から何かご意見等ありません
でしょうか?最後に。大平先生、何かございませんでしょうか?
では本日のまとめと言いますか、非常に盛り沢山だったのでまとめづらいんですが、1 つ
はやはり高校側から、必要な科目というのをきっちり入試で課してほしいと。安易な入試
科目の削減とかはやめてほしいというような強い要望がありました。また高大連携のキャ
リア教育によってモチベーションを高めることが学習能力、基礎学力を高めることにも繋
がるのではないかというような印象もありました。あと、最後にこういう高校と大学との
意見交換の機会というのは非常に貴重だと思うんですが、年に 1 回こういう非常に短い時
間しかないので、日頃から進路指導と有志の先生だけではなくて、専門科目の先生同士ざ
っくばらんに年に数回意見を言い合えるような機会を是非作っていただきたい、作りたい
というような感想をこういう短い時間を経験しまして感じました。
では、今日は 4 名のパネリストの先生方どうもありがとうございました。最後に拍手を
お願いいたします。
では以上をもちましてパネルディスカッションを終了させていただきたいと思います。
56
どうもありがとうございました。それではコーディネーターの先生 2 人からパネリストの
先生方、大変ありがとうございました。
それではここでまとめといたしまして、鹿児島大学の教育担当理事でございます、阿部
理事からまとめと謝辞をお願いいたします。
阿部:今日はどうも皆様、ご苦労様でした。5 月頃からこのガイダンスセミナーの準備委員
会をスタートさせまして、このパネルディスカッションのテーマを検討してきたわけです。
今年は珍しくこのテーマに絞り込むのに時間がかかりました。例年ですとわりと 1 回の会
議で決まっていくんですけれども、今年はまたテーマも重かったということもあります。
大学入試を介した高大連携、大学が求める能力と高校が育む能力という、これが全部解決
したら高校の教育も大学の入試も一気に全部解決するのではないかと思ってしまうぐらい
のテーマでございました。きょうパネリストの先生方も非常にこの部分の目的をよく把握
していただいて、それぞれの事例報告も本当にきちんとこの目的に沿った内容を出してい
ただけましたし、大学側も本当によくまとめていただけていたと思います。ただ、やはり
この中で問題になってきた部分というのは、大学でも今後ずっと継続的に考えつつも、や
はり受けてくれる人がいないと大学入試は成り立たない。しかも先程 18 歳人口の減少とい
うこともございましたけれども、日本の国にある私立大学も入れると数百の大学があるわ
けなんですが、この中で志願者が減少することが、イコールその大学の存在意義に関わる
というようなプレッシャーもありまして、どうしても大学入試はギリギリの最低限、最低
ラインの知識を持って入っていただけば、後は大学で一生懸命やりますというような格好
でやっている部分もございます。大学で一生懸命やりますと言いつつも、例えば鹿児島大
学の場合は 12000 人ぐらいの学生がおります。大体 1 学年に 2 千数百名が入ってくるわけ
なんですが、私もついこの間までは現場におりましたので、かなり欲目で見て 3 分の 1 ぐ
らいの学生さんは非常に自主的に勉強もし、自主的にいろんなものにも参加し、何もしな
くてもほっといてもどんどん伸びていく人です。真ん中の 3 分の 1 ぐらいの学生さんは、
少し手を添えてあげると良いのかな。少し手を添えてあげて、少しきっかけを作ってあげ
るとぐいと伸びていく可能性がある。残念ながらかなり残りの 3 分の 1、3 分の 1 では少し
多すぎるかなと思いますけれども、本当に大学に入ってすら目的が見つからない。それか
ら目的を持って入ってきたはずなのに、目的を失ってしまうというような学生さん若干い
らっしゃいます。今大学はそういう学生さん達にどう手を差し伸べていくかというのを
日々「こうすればいいんじゃないか。」「ああすればいいんじゃないか。」というようなこと
をまた検討を進めているところです。これは県内のどこの大学も同じような状況ではない
かと思います。また今後もこのテーマに関しましては先程山本学長補佐の方からもありま
したけれども、やはり継続的に高校側、大学側で意見を持ち寄って色々共同して考えてい
く必要があるのではないかというふうに考えるところでございます。まとめにもなりませ
んけれども、本日のガイダンスセミナーのまとめとさせていただきたいと思います。
57
あともう 1 点お願いがございます。鹿児島県内の大学では地域コンソーシャル鹿児島と
いう大学連携を組んでおります。その中で今日のガイダンスセミナーもこの大学側はこの
コンソーシアム鹿児島の事業の一環というかその 1 部門として実施させていただいており
ますが、もう一つ 12 月に鹿児島県内の 9 大学・短期大学が合同で合同進学ガイダンスを実
施いたします。これは昨年まではやはりこの県内 9 大学短期大学が連携して戦略的大学連
携事業ということで文科省の方から少し事業費を頂いておりました。事業費を頂いていた
おかげで、例えば中央駅からシャトルバスを出して、地方から JR で来た生徒さん達を鹿児
島大学までご案内する。会場を鹿児島大学にしておりますので、そういうことができたわ
けなんですが、事業の方は今年 3 月で終了いたしまして、今度はコンソーシアム鹿児島で
自主事業として継続していくということにしております。期日は 12 月 10 日。先生方の資
料の封筒の中にチラシを入れてございますけれども、12 月 10 日に鹿児島大学郡元キャンパ
スを会場にして実施をいたします。是非今高校 2 年生、高校 1 年生の生徒さん達に参加し
ていただいて、この裏にある大学の授業を少し聞いていただいて、その他に個別相談等に
も対応するように現在着々と計画を立てているところでございますので、是非多くの生徒
さん達、もちろん先生方が見に来ていただいて全く構いませんのでご紹介の程をよろしく
お願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
進行:以上をもちまして、平成 23 年度鹿児島県大学・高校ガイダンスセミナーを終了させ
ていただきます。本日ご参加の皆様方には長時間に渡りましてご協力いただきましてあり
がとうございました。本セミナーの開催に当たりましてご協力いただきました大学入試セ
ンター、講演いただきました大学入試センターの大津教授、鹿児島県教育委員会、各高等
学校、それから各大学の関係者の方々、心から御礼申し上げます。今回の開催に当たりま
して多々不行き届きの点があったと存じます。お許しいただきたいと思います。なお、お
帰りの際にアンケートのご提出をよろしくお願いいたします。それからまだお帰りの際の
駐車場の料金の手続きされてない方、受付の方でやってございますのでお越しいただきた
いと思います。本日はどうもありがとうございました。
58
平成23年度
鹿児島県大学・高校ガイダンスセミナー参加者名簿
◎ コーディネーター ○ パネリスト
鹿児島県教育委員会
高校教育課
指導主事
郡 山 博 司
校長
教諭
大 平 和 男
梶 原 武
伊集院
伊集院
校長
教諭
福 久 高 文
塘 伸一郎
甲南
甲南
校長
教諭 瀬戸上 護
黒 木 誠
鹿児島中央
鹿児島中央
校長
教諭
池 田 久 幸
日 高 大 祐
串木野
川内
川内
教諭
校長
教諭
北 川 秀 利
山之口 大
宮 脇 健 一
川薩清修館
教諭
木 脇 祐 樹
錦江湾
錦江湾
校長
教諭
德 丸 喜代志
満 村 和 洋
薩摩中央
薩摩中央
校長
教諭
江 口 公 三
栫 一 宏
武岡台
武岡台
校長
教諭
内 山 恵 一
瀬戸口 久 也
出水
出水
校長
教諭
除 川 芳 郎
久木田 秀 夫
開陽
開陽
甲陵
甲陵
校長 教諭
校長
教諭
前 田 勉
鳩 宿 克 己
森 永 忠 秋
有 馬 浩 信
大口
大口
校長
教諭
山 下 茂 久
山 口 貴 正
加治木
加治木
国分
国分
校長 ◎ 黒 木 浩 二
教諭
校長
教諭
川 崎 辰 也
大 野 晃 嗣
榮 鶴 裕
福山
福山
教頭
教諭
下 園 聡
井 上 拓 郎
志布志
志布志
高山
校長
教諭
校長
 松 和 成
山 田 和 久
染 川 勝 美
鹿屋
鹿屋
校長
教諭
神 田 芳 文
前 田 寛 明
鹿屋農業
垂水
教諭
校長
石 坂 由 夏
濱 田 弥 生
種子島
種子島
校長
教諭
田 島 洋 輝
福 留 寛
大島
教諭
伊地知 真
大島北
校長
諏訪薗 博 志
高等学校
【鹿児島県】
鶴丸
鶴丸
明桜館
明桜館
校長 教諭
山 元 康 弘
盛 滿 淳 弘
松陽
松陽
校長
教諭
原之園 政 治
池 亀 健 一
鹿児島東
鹿児島東
鹿児島工業
指宿
指宿
教諭
教諭
教諭 校長
教諭
米 森 正 市
野 木 毅
矢 部 恒 俊
鎌 田 英 彦
豊 留 髙 尚
頴娃
頴娃
校長
教諭
内 節 雄
三 原 純 孝
枕崎
枕崎
校長
教諭
上 村 正 文
藤 野 研
加世田
教諭
鶴 田 紋太郎
川辺 川辺
校長
教諭
宮 園 秀 昭
矢 野 智 二
59
古仁屋
喜界
喜界
校長
校長
教諭
荷 副 章 義
藤 﨑 健一郎
當 房 哲 也
徳之島
校長
上 松 博 造
沖永良部
沖永良部
校長
教諭
髙 風 勝 治
新 留 祐 樹
与論
鹿児島玉龍
鹿児島玉龍
校長
校長
池 田 潤一郎
山 元 幸 夫
教諭 ○ 坂 本 昌 弥
鹿児島商業
鹿児島商業
教頭
教諭
新宮領 道 郎
藤 田 康 之
国分中央
国分中央
校長
教諭
野 中 久 光
和 田 淳 義
鹿屋女子
鹿屋女子
校長
有 馬 敏 彦
教諭 ○ 青 木 誠
出水中央
教諭
小 村 育 代
鹿児島
教諭
東 峯 建 実
神村学園高等部 教諭
田 原 小百合
樟南
樟南
樟南
校長
教諭
教諭
時 任 保 彦
光 司 智 徳
畑 野 憲
【宮崎県】
宮崎南
教頭
土 持 勝 洋
妻
校長
篠 原 有 三
【沖縄県】
糸満
教頭
辻 上 弘 子
以上 84人
60
☆ 講師 ◎ コーディネーター ○ パネリスト
独立行政法人大学入試センター
研究開発部 教授
☆ 大 津 起 夫
大学
【鹿児島県】
鹿児島純心女子大学
学長
副学長
国際人間学部長
教員養成センター教授
事務局長
入試広報課長
入試広報課
入試広報課
総務課
松 下 栄 子
○ 福 田 健 夫
影 浦 攻
獅子目 博 文
山 本 文 雄
川 畑 康 成 西久保 正 志
福 崎 雅 宣
益 満 千 恵
鹿屋体育大学
アドミッション・センター長
教務課副課長
前 田 明
中 島 晃 一
鹿児島国際大学
教務部長
入試室長
入試室参事
飯 田 敏 博
大 迫 宗 昭
奥 屋 悦 仁
志學館大学
学長補佐(入試広報担当)
新 内 康 子
入試広報課員
岩 下 陽太郎
第一工業大学
工学部長
川 﨑 三十四
教学部長
山 尾 和 廣
入試事務局長
當 金 一 郎
航空工学科主任教授
酒 井 謙 二
機械システム工学科主任教授
宮 城 雅 夫
自然環境工学科主任教授
徳山ミョーキン
入試課長
木 原 正 行
短期大学
【鹿児島県】
鹿児島純心女子短期大学
入試広報課長
入試広報課主任
入試広報課員
鹿児島大学
理事(教育担当)
学長補佐(高大接続担当) 法文学部教授
教育学部教授
阿 部 美紀子
◎ 山 本 一 哉
朴 源
磯 川 幸 直
大学院理工学研究科(理学系)教授 ○ 藏 脇 淳 一
大学院理工学研究科(理学系)講師
横 川 由起子
医学部教授
吉 元 洋 一
大学院医歯学総合研究科准教授 三 浦 裕 仁
工学系事務課学生係長
小 園 幹 雄
農学部教授
小 島 敏 之
水産学部教授
藤 枝 繁
学生部長
萩 元 良 二
教務課長代理
愛 甲 貴 徳
教務課長代理
十 田 正 文
教務課大学院係長
中 村 稔
教務課共通教育係長
﨑 山 英 博
教務課総務係員
徳 重 真 代
教務課教育センター総務係員
濵 崎 章 子
学生生活課長代理
白 坂 義 浩
学生生活課生活支援係長
野 邉 正 志
学生生活課学生企画係員
伊佐敷 美 和
学生生活課経済支援係員
濱 田 史 門
入試課長
黒 原 敏 博
入試課長代理
畠 俊 洋
入試課入試企画係長 皆 倉 輝 志
入試課
上 園 裕 紀
池 増 弘 美
入試課
増
入試課
永 濵 和 佳
月 精 清 教
赤 塚 和 恵
谷 口 恵 里
第一幼児教育短期大学
入試係
有 村 政 美
高等学校・大学外
(株)ベネッセコーポレーション教育研究開発センター
教育顧問
宇田津 一 郎
以上 57人
合計 141人
61
平成23年度鹿児島県大学・高校ガイダンスセミナー
に関するアンケート集計結果
62
アンケート回答者数
[
1
69人
参加者138人( 講演講師を除く。)
回収率50.0%
]
今回のセミナーは,あなたにとって有意義でしたか。
(1)大いに意義があった
(2)意義があった
(3)どちらとも言えない
(4)意義はなかった
13人
45人
6人
2人
[大いに意義があった]
○それぞれの立場からの具体的な意見が窺えたので大変良かった。
○具体的なデータが大変参考になった。(講演)地方の今後のさらなる努力が大切と思った。
○前回も出会しました。今回のセミナーは,中身も濃く,高校の立場・大学の立場がよく分かっ
たセミナーだと思いました。
○大学の立場,高校でも進学校の立場,専門校の立場,それぞれの立場での意見が聞けて勉強に
なった。
[意義があった]
○いろいろな観点から話が聞けて有意義であった。
○自らの知識・認識にプラスするするところがあった。
○パネルディスカッションがよかった。
○高校・大学からの報告で考えさせられることが多かった。
○本年度の日程は大変良かった。内容も濃密なものになっていた。
[どちらとも言えない]
[意義はなかった]
○本質論において話が煮詰まらない状態である。(大学側が欲しい能力,一般入試で課す科目な
ど)
2
セミナー全般の内容について
(1)たいへん良かった
(2)良かったい
(3)どちらとも言えない
(4)良くなかった
13人
45人
6人
2人
[たいへん良かった]
○バランスがとれていた。
○パネルディスカッション
○これだけの内容に絞り込まれて非常に良かった。
○日頃なかなか考えていない問題点をじっくり考えることのできたよいセミナーだった。
[良かった]
○時間設定等内容ともによかった。
○高校,大学の現状について,お互いの認識が深まったと思う。
63
○半日プログラムでよい。
○全般的にはよかったと思います。今後の工夫も研究を進め更に充実したものとなることを期待
しています。
○高校と大学の接点になる機会ではあるが,本音の部分がまだ言えない。
○高校,大学とも従前のものとはずいぶん内容が精選されており,一歩踏み込んだ高大連携の在
り方が示されていた。
[どちらとも言えない]
○パネルディスカッションの内容がよかった。
○講演で得られる情報が少なかった。
[良くなかった]
○表面的な討議になってしまっている。(大学入試室長,教授,校長,進路主任など核となる人
物が出席しているのだから)
3
講演について
(1)たいへん参考になった
(2)参考になった
(3)どちらとも言えない
(4)参考にならなかった
6人
29人
19人
13人
[たいへん参考になった]
○地域性,男女比等,細かい分析で,参考になった。
○1に記したように資料が参考になった。
○ 2000 年以降センター受験者がふえていない本県(沖縄県)では,これからの取り組みをしっ
かりしていこうと思った。
[参考になった]
○センター試験における教科別得点率等を全国比の中で示して欲しい。それによって県の科目毎
の指導の問題点の把握ができる。
○勉強になりました。
○鹿児島県だけに見られるような特徴について詳細があればなおよかった。
○現役志願率が維持されている理由がよくわかった。
○データを見ながらの説明は,大変おもしろいものでした。
[どちらとも言えない]
○データは参考になったが。
○数字の発表だけであれば,見ればわかる。分析が欲しかった。
○講演者が提示データを把握していなかった。
○演題から期待されるほどの内容ではなかった。
○一般的すぎていたため,具体性に欠けていたため。
○地域別特徴として鹿児島の特徴など具体的に見えてくるのかと思っていました。
○従来にない発表であったが,内容が漠然としていた。もう少し踏み込んだもの,九州及び鹿児
島の特徴について,もっと詳細に教えて欲しかった。
64
[参考にならなかった]
○もう少し,高校の進路指導に役立つような話を聞きたい。入試センター頼りでやっていると,
今後もこのような内容にならざるを得ないのか。
○パネルディスカッションのテーマと無関係。単なる集計結果には興味が持てなかった。
○データの提供だけで実態が見えない。
○センター試験の傾向はわかったが,利用者(受験者,大学,高校教員)にとって利用する情報
はなかった。
○現役受験率の推移等について大変きめ細かな分析をした資料であったが,現場の諸課題解決に
は繋がらなかった。
4
今後,講演で希望するテーマがありましたら,記入してください。
○鹿児島出身者の進学・就職その後の成功者が進学を振り返る。話が上手な方がいいと思います。
○一つの科目の出題分野別の正解率 etc のデータから高校生の学力を分析したテーマ(学力の内
容の分析)
○今後大学入試センターからの研究された説明は大切と思っている。日本の海外との比較,世界
的入試と動向等も知りたい。
○大学生の就職への取り組み。大学の取り組み。
○グローバル化に対する鹿児島独自の取り組み
○政治や社会に対して無関心な若者が増加している。我々教師自身もなかなかその状況を改善で
きない。社会に貢献する青少年の育成が望まれる。以上から,著名なニュースキャスターなど
を講師に呼んで,我々教師(指導層)に示唆と感銘を与える内容を期待する。
○学生の希望先と受け入れ側の比較。希望先と受け入れ先の量はマッチングしているか。
○大学から高校に望むこと。
○研究の第一線にいる研究者(大学の先生)は,学生にどのような教育を行っているか。
○大学の数はこのままでよいのか?(多すぎではないのか?)志願者を意識しすぎ。最後まで勉
強をがんばっている生徒を大切にする入試制度を作る。
○特にありません。具体的な内容のものを講演してほしい。
○大学入試センター試験における鹿児島県の成績の推移
○諸外国と比較した日本の大学教育について(教育レベル,学生数,大学数,費用などの現状は
適正なのか?)
5
パネルディスカッションのテーマはどうでしたか。
(1)たいへん良かった
(2)良かった
(3)どちらとも言えない
(4)良くなかった
20人
36人
7人
1人
[たいへん良かった]
○高大連携の視点から適切であった。内容も充実していた。
○現状を踏まえた問題点について,考えさせられた。
○もう少し聞いていたいと思うディスカッションでした。
○大学進学にむけて,学力に加えて,コミュニケーション能力や文章力,モチベーション維持等
注目しなくてはならない点,ポイントがよくわかった。
65
[良かった]
○高校の先生方二人の発表がよかったです。
○短いプレゼンがわかりやすかった。
○高校の2つの発表,大学の発表等参考になるものがありました。有難うございました。特に玉
龍高校,鹿児島大学の中に参考になる部分もありました。
○普通科と専門高校で入試への対応も違い,AO や推薦入試が良いとか悪いとは言えない。ただ,
大学入学後に専門の勉強を深めるための努力は必要であり,高校ではそれらの能力を高めるよ
う取り組みたい。
○これからの取り組みの参考になった。
○もう少し会場を巻き込むような展開があってもよかったのかなと思いました。準備は非常によ
くなさっていたので,御苦労なさったこととお察し申し致します。
○パネリストの高校及び大学側の発表内容に興味が大いに持てた。高校・大学それぞれが課題と
していることが分かったような気がした。
[どちらとも言えない]
○「大学が求める能力」の部分が,解釈が分散してしまい,議論が深まらなかったと思う。ただ
し,個々の大学の取り組みと実際が発表されたのは良かった。
○入学前事前課題は,大学側は率先してやるべき。(11月~2月にかけて週2回程度は土・日
講座を実施するなど(講師は高校教師でもかまわないのでは))
○内容はよかった。
[良くなかった]
6
今後,パネルディスカッションで希望するテーマがありましたら,記入してください。
○高大,各種大学間での共通点をさぐるのは困難と思われる。今回のテーマがよい。もっと具体
に話し合う機会が欲しい。
○高校の先生方の進路指導の成功・失敗例など。
○日本の将来の発展・繁栄を担う人材の育成をテーマに,高校,大学が担うもの
○世界的視野を踏まえた日本の高校・大学教育に求められるもの
○大学が最終目的にならないための高大連携
○今年度と同じような高大の連携について
○高大連携について更に深めて欲しい。
○良かったです。しかし,核心に迫れなかったのが残念。加治木高校の校長先生の最後の発言が
良かった。このことについて議論したい。
○義務制とどうかかわっていくか。(大学・高校での学力定着を考える。)
7
今後のセミナーの形式・運営方法について
(1)今年度と同様の半日がよい
(2)1日がよい
(3)その他
53人
11人
0人
[今年度と同様の半日がよい]
○1日は長すぎる。半日くらいが適当である。
○午後の半日の方が授業の振替がしやすい。
66
○同様内容で継続するのであれば半日でいい。
○県外からの参加なので,残り半日を学校訪問の時間にあてさせてもらっています。
[1日がよい]
○せっかくの機会なので,分科会等,少人数での話し合いの場も設けて欲しい。
○以前あったように1日が終わった後の講演者・大学関係者との懇親会もあった方が交流も深ま
ってよい。
[その他]
○2時間ほどがよいと思う。
8
セミナーの開催時期について
(1)今回と同時期がよい
(2)夏季休業中がよい
(3)その他
48人
14人
2人
[今回と同時期がよい]
○ただし,他の進路の会と同じ日にならないように日程調整をしていただきたい。(こちらでい
うのは違うかもしれませんが・・)
○時期的にはほぼよいと思っている。
○ AO,推薦入試の話をするのであれば,もう少し早くてもよいと思う。,
○夏季休業中もよいとは思いますが,様々な行事が組まれている現状では飽和ぎみです。
○次年度にむけての新たな方向性を考えるので,適切な時期である。また,季候もよい。
[夏季休業中がよい]
○進路指導の時期を考えると夏季休業中がよい。
○この時期は授業を欠かすことは非常に気になる。出会するために自習などにしなければならな
い。
○正課授業への影響が出ない時期の方が,出席しやすい。
[その他]
○いつでも
○入学試験への指導がこの時期大変であり,もっと早くすべき。
9
セミナーの会場について
(1)良かった
(2)どちらとも言えない
(3)改善すべき点がある
55人
10人
0人
[良かった]
○交通の便や会場の広さなど大変良かった。
○便利
○会場も広くとられ大変よかったと考える。今後もさらに充実させてほしい。
○駐車場が広くてよい。
○非常に会場場所がわかりやすく県外からでも迷わなかった。
67
[どちらとも言えない]
[改善すべき点がある]
10
本セミナーのような大学と高等学校の意見交換の場を来年度以降も開催する必要があると
思いますか。
(1)大いに必要である
(2)どちらかといえば必要
(3)どちらとも言えない
(4)必要ではない
32人
24人
7人
1人
[大いに必要である]
○中・高・大が連携して生徒・学生を育てるという視点が大切である。共通した視点で,課題や
解決策について意見交換することは大切である。
○こういうのは一度中止にするとなくなっていく。日本の社会は年々,面対面の交流が浅くなり,
絆が薄くなっていくのを残念に思っている。中止の方向でなく充実の方向で考えてほしい。
○次に続く会であってほしい。
○どちらかの「説明」でなく,それぞれの考えを述べ合う場として有意義であると思う。
[どちらかといえば必要]
○本音で言える場なら必要
○隔年でよい。
○今回のようなパネルディスカッションの内容であれば開催した方がよい。
[どちらとも言えない]
[必要ではない]
11
その他,お気づきの点やご意見等があれば,記入してください。
○このような会を催すことについては大変なご苦労があったと思います。ご苦労様でした。
○大学だけなら半日で。短大も参加するなら1日で。
○準備等お疲れさまでした。そしてありがとうございました。
○年々,大学高校関係者が努力されていることに感謝している。今後もよろしくお願いしたい。
○世界から見た日本の秋季入学,AO・推薦の動向等も資料提供していただくとよいのではと考
えます。
○駐車場の案内があればありがたいです。駐車場が無料になると知らなかったので,互助組合に
駐めてしまいました。
○パネルディスカッションの最後で,コーディネーターがおっしゃったように,各学問分野(学
部)ごとの分科会でパネルディスカッションのようなものができればよいと思いました。
○パネルディスカッションは,フロアーからの意見を聴くよい場所だと思いますが,パネリスト
以外は発言しづらいと思いました。大変でしょうが,小グループを作るなど工夫をして,多く
の先生方の貴重な意見を出していただくのもいいのではないかと思いました。
○他の高校の進路指導のこと,大学の AO・推薦入試やどのような学生を求めているかが少しわ
68
かりました。今後に活かしたいと思います。
○この場での討論で終わっていたら残念です。文部科学省からも参加していただき,真剣に議論
すべきである。
○運営お疲れ様でした。
○様々な立場からのご意見や実践,大変ためになりました。準備等おつかれ様でした。
69
平成23年度鹿児島県大学・高校ガイダンスセミナーに関するアンケート
[開催日:平成23年10月25日(火)]
このアンケートは,今後,本セミナーを展開していくための参考とします。セミナー終了後に受付
に提出してください。
※設問ごとに該当する番号を○で囲み,また,ご意見・ご感想等を(
1
今回のセミナーは,あなたにとって有意義でしたか。
①大いに意義があった
2
②意義があった
③どちらとも言えない
④意義はなかった
セミナー全般の内容について
①たいへん良かった
3
)内に記入してください。
②良かった
③どちらとも言えない
④良くなかった
講演について
①たいへん参考になった
②参考になった
③どちらとも言えない
4
今後,講演で希望するテーマがありましたら,記入してください。
5
パネルディスカッションのテーマはどうでしたか。
①たいへん良かった
②良かった
③どちらとも言えない
④参考にならなかった
④良くなかった
裏面に続きます。
70
6
今後,パネルディスカッションで希望するテーマがありましたら,記入してください。
7
今後のセミナーの形式・運営方法について
①今年度と同様の半日がよい
8
②1日がよい
③その他
②夏季休業中がよい
③その他
セミナーの開催時期について
①今回と同時期がよい
9
セミナーの会場について
①良かった
10
(今年度は会場を変更しました。)
②どちらとも言えない
③改善すべき点がある
本セミナーのような大学と高等学校の意見交換の場を来年度以降も開催する必要があると思い
ますか。
①大いに必要である
11
②どちらかといえば必要
③どちらとも言えない
④必要ではない
その他,お気づきの点やご意見等がありましたら,記入してください。
ご協力ありがとうございました。
71
主催:鹿児島県大学・高校ガイダンスセミナー実施委員会 ・鹿児島県教育委員会
・鹿児島県高等学校長協会
・鹿児島県高等学校進路指導研究協議会
・鹿児島純心女子大学
・鹿児島大学
・鹿屋体育大学
・鹿児島国際大学
・志學館大学
・第一工業大学
後援:独立行政法人大学入試センター