22 - 全国体育学習研究会

全国体育学
理論はわかる力ヽ現場では無理だ
一 ― それはホントか ? 一
全国体育学習研究会会長
″
研究の進め方の一つとして ,｀互いに話し合う
という方法はきわめて有効なものである。単に形
式的に扱われていることもあるが ,たいていの研
究会で重視されているように思う。
｀
″
ところで ,その話し合いでときに気になる
ことがある。標題に示したのはその一つである。
「
理論は理論としてわかる」とされて ,しかし実際
宇土
正彦
もの自体に問題があるという結論になるかもしれ
ない。あるいは「無理」と考えたものが ,別の部
可能」と
分や条件のくお、う改善をそえることで「
いう共通理解に転ずるかもしれない。
この一歩深められる突っこみで ,生き返り開花
する考え方が出てくるかもしれない。あるいはそ
んなことよりも、より確かな実践の高まりを誘う
には「できない Jという反論である。なるほどそ
うかと思うケースもあるが ,そんなことはあるま
ことになるのでは , とも推測する。
い (真意が受け止められたうえで ,やろうと思う
というものは ,実践のためのものであるから,実
践にまでたどりつくことのできないものは ,理論
などとはとても言い難いように思う。だから一。
理論がわかったということは ,実践にうつすこと
ならば ,できるはずだ)と思うことも少なくない。
もしかすると ,まったく別の意味を表すための
上手な表現かもしれない。しかし,どれがホント
われわれの扱うところの理論とか考え方とか ,
か ,その追求はどうでもよい。われわれの研究会
ができるという判断につながる。そのような関係
では幸いにみんなが仲間である。簡単に「
無理t」
と言わないで ,どうしたら実践に生かせるか ,障
がホントではないだろうか。
会員のみなさんのご健斗を祈る。
害になる事情はどんなことかということを ,提案
者とともに ,いろいろ意見が違うかもしれない人
びとの間で ,じゅうぶんに吟味したいと思う。そ
うすれば ,「わかるJとまで言われたその理論なる
◆ もくじ ◆
第2 9 回全国体育学習研究協議会
特集
秋田大会が日前に
秋田からのお誘いを手にしながら, 1か月後に
迫った秋田大会に向けてようやく心の準備を始め
たところです。
する領域やテーマに関して1「これまで何が明らか
にされてきたかくつみかさねられてきたものは何
か)」,「今何が問題か」等についてのレポートを持
本来ならば秋田との連携を強めながら研究委員
会の活動を推進すべきでしたが ,今年は秋田の実
行委員会の先生方に大会のテーマから内容等々に
ち寄ることをみんなで心がけてみようではありま
せんか。どんなささやかなレポートでも,グルー
ついてすべて任せたままになっております。
秋田の実行委員会の取り組み方は特筆すべきで
研究方法を探る糸日として十分な役目を果すと思
います。
あります。これまで数回にわたって研究会がもた
れており,そのつど,私ども研究委員の仲間に参
加の要請をいただいてきました。出席した委員の
話では ,秋田での 1回目の大会との間に16年間の
ブランクがあり,前回の大会を経験した先生がき
わめて少なく,授業提案者のほとんどが若手の先
生方であるけれども,阿部。今・納谷先生の三本
楽しい体育」
柱がしっかりとリードをして者実に「
・
の授業づくりが進んでいるようです。
ー
われわれは「
楽しい体育Jのスロガンのもとに
数年来授業のあり方を求めてきたわけですが ,や
やもすると考え方が先行し,授業の姿はあまり従
来と変わらない ,理論は解るが授業に結びつける
のは難しい ,などの指摘がよく聞かれます。秋田
わ
の研究仲間は ,このような傾向を打解すべく,「
かりやすい授業づくり」にくな、うを加えておられ
プのみんなで出し合えば ,真の研究課題や解決策,
秋田は遠隔の地です。参加するために多くの出
費が必要となります。大会運営のためにも多額の
費用がかかりますが ,参加者の 1人ひとりが大会
参加のために費すお金はたいへんな額にのぼるこ
とでしょう。だからこそ「この機会を大切にしよ
う」ではありませんか。大いなる無駄使いとなら
産出 (成果)」をみん
ないよう,「投入」に見合う「
なの力で獲得しようではありませんか。
楽しい体
研究の課題はほぼ昨年と同じですが「
育」の考え方を ,学校段階に即し,教師の力や学
校のもつ条件にRDして ,より具体的にしていくグ
ループワークが必要であろうと思います。抽象的
な論議は極力遊けて ,メンバー同士がトコトンわ
かりあえるまで具体的な授業を想定して話を進め
るようです。わずか 1時間程度の提案授業に。こ
のような努力 ,くな、うのすべてが集約されて現れ
るとは思われませんが ,秋田の先生方の 1地道で
評価Jが登場
たいものです。今年は研究内容に「
してきました。難しいとされてきた問題ですが ,
指導活動と一体的に評価に取り組んでいくことの
正直な取り組みに大いに期待したいものです。
重要性が提案されてきました。
・
小学校を中心にしながらも,中学高校までも
さて、秋田大会の課題の〕つは ,むしろ参加す
るわれわれが,どれだけの「つみかさねJを残せる
考慮したカリキュラムのあり方も今回は論議され
かにあるように思います。「つみかさねJという研
つみ
究集録は立派に出版されていますが,内容の「
ることでしょう。現在の指導要領をタタキ台にし
て ,今後のカリキュラムの方向を論じあうのも楽
しいことではありませんか。
秋田大会を私たちみんなの力で成功させたいも
かさね」がどれだけみられたかと,やや厳しく反
省してみますと,必ずしも満足いくものにはなっ
のです。たくさんの方々のご参加をお願い勢しま
ていないように思います。ことしこそ各自が希望
す。
2
｀
鋭閤M閤醗益M閤 ●特集 ‖秋田大会が日前に●閤盤閤M益醗総盤
実践への
基本問題解決の糸日を
の対応にも苦心しています。
秋田大会へは以上述べた問題解決への糸口をつ
かもうと,京都からも多数参加いたします。何か
と足をひっぱることも多いと思いますが ,どうぞ
よろしくお願いします。なお ,実行委員の先生方
京都東山
力
8年前の青山の問題提起に始まった「楽しい体
育」の考え方は ,その方法論を備えて ,実践の段
階に入りました。京都も全体研の流れから取り残
のご苦労に感謝しつつ ,大会の成功を祈ります。
提案授柴へ期待する
一夏の終わりに思うこと一
されないようにかんばっています。しかし,「今さ
ら何を …」としかられそうな初歩的 ,基本的な問
宮崎品田龍吉
題をたくさん抱えています。
ひと言でいえば ,「子どもたちの欲求 .意欲 ,経
ー
験技能。人間関係 ,マナ等の学習への準備状態
に応じた学習のねらいや内容 ,そして学習過程や
学習活動を計画し,ほんとうに 1人ひとりの子ど
もたちが運動の楽しさを求めて自発的・自主的に
・
取り組む指導をしているか Jという問題です。
体育の指導者 1人ひとりが学者になりました。
理論の解説 ,評論はうまいものです。しかし着実
な実践が不足しているのです。
そして今 ,種目から見た子どもの学習への準備
状態が正しくつかめているか ,子どもの現実に種
目が適合しているか ,子どもから見た特性が正し
くおさえられているか。学習のねらいが学習の段
階的な発展の方向を正しく示しているか。という
単元計画上の見直しと施設用具を含む指導に必要
な隼備物の整備という単元のはじめの指導以前の
問題の解決に当たっています。
｀
なかの指導ではやってみた ,どうだった ,う
まく行えたところ ,まずかったところ ,ではどう
″
しよう,こうしよう… … という楽しさ追求への
評価活動に対して ,自己評価の基準をしっかり持
ち ,創意くふうの手がかりを求め ,新たなめあて
を創造し実行しようとする力を育てようとしてい
るか ,その対応に必要な情報を用意しているか ,
指導助言の好機を逃していないか等の自己評価ヘ
日本海は波打ち際からいきなリガクンと深くな
る。ところが不思議なことに20∼30れ沖に膝から
腹くらいの浅瀬が毎年できていた。上級生は皆そ
の浅瀬でふさけたり,ハマグリを取ったりして遊
んでいた。たしか小学 2年生の頃だった。海辺育
ちで多少浮くことはできていたが ,浅瀬まで行く
自信はまだなかった。だが ,そこに行きたくてし
かゝ
た力Sなかった。
そこで ,まず ,ほんの少し沖に出てまだ余力の
残っているうちにすぐ岸に戻る。それを何回か繰
り返す。次の日は少し距離を伸ばして戻る。そこ
まで行きたいという思いがこんなことをさせた。
自分の余力と心の不安とに自間自答しながらの毎
日だった。
そして ,ついにその夏の終わり,そこまで行け
たのである。「ぼくは泳げる」と思うようになっ
たこの日の印象は今でも強烈に残っている。やっ
とみんなの仲間入りができたこと,ハマグリを取
ってそれを水泳パンッの中に入れて戻ったこと,
こんな喜びとともに… (ちょうどこの夏 ,同級生
が水死したというショックがこの想いを倍増させ
ていることもあるのだが)。
‐
やらされる体育から自分でやる体育への転換は,
授業の中で例えばこんな経験や学習を求めている
3
学
のかという気がする。新しい教育理念である「
習の自律的な力Jを重視するということの具体像
に誇りに思っています。思えば 10年前 ,体育の授
業に自信を失い ,他教科への転科を真剣に考えて
が私には ,この夏の日のできどととダブって見え
てくるのである。今考えれば死と背中合わせであ
いたとき ,この会を紹介してもらい参加しました。
学生時代に学習したホイジンガ ,カイヨワ￨いっ
ったし,また ,行くだけならどうして浮き袋を使
わなかったのだろうか ,とも思う。できたのは ,
た名前が現場の先生によって語られ ,それが授業
の中へ生かされていることを知り ,ずいぶん驚き
めあてと場の条件や練習のしかたが力にみあって
いたからであろう。このことが今になっても忘れ
ぬ感動を残した要因になっているのだと思う。こ
教師として支えているとさえ思っています。私事
で長くなりましたが ,この秋田大会に初めて参加
のような要因をどのように子どもに合わせている
か。秋田での提案授業を見る 1つの視点はここに
される ,たぶん若い先生方に ,こうした感激が与
えられ ,自信と誇りをもって今後体育の勉強が続
あると思うのである。
けられるようなゃ優しさと厳しさをもった会にぜ
ひしてはしいと念願しています。それにはまず ,
主体的な議論の輸を /
同山森谷工孝
ました。以後あの小田原大会の感激が自分を体育
大会までに私たちがしておかなくてはならないこ
とがあります。それは今までに積み上げられた理
論と実践を整理するとともに ,何をこの会で議論
すればよいかを明確にしておくことです。そして
秋田大会の研究課題の 3つについて私たちが実践
したものをぶっつけ合いましょう。第 3者に立た
ず ,自分の悩みをぶっつけ合い .頭が極限に達す
るまで議論しましょう。それが新しく参加される
正しく豊かな学習から楽
1979年の東京大会で「
へ
楽し
しい水育」の問題提起がなされた。以後「
先生方に対する礼儀だと思います。
秋田の A先生が昨年の岡山での合宿研究会で私
い体育」の理論と実践が積み上げられてきた。
今では「楽しい体育Jということばは各学校に
定着してきた。しかしまだまだ教師自身が変われ
に言われ ,今の私を支えているありがたいことば
「メモばかりとって。男は迫力ぞ」。きっと秋田大
ず「
楽しい体育」を論じえない体育教師も多い。
そうした中で ,この会に参加できていることを常
0 お知らせ ●
参加される方ヘ
棋日絵￨こ
――一― 秋田大会実行委員会
会はこれにこたえてくれるものと思っています。
会の成功をお祈り致します。
ています。県大会の単独行事として ,第 1日目
(10月25日)の午前 9時 40分∼12時まで ,同じ会
一一 )で「
生涯ス
場 (県立児童会館一一秋田市
・
ー
ポッから見た学校体育指導活動のあり方」
1
について ,県内講師と中央からの講師によるパ
ネルディスカッションを行います。早朝到着さ
れる方 ,どうぞご参加ください。
3
一一―全国から参加される全体研会員の皆さん/
,皆さんのお越しを ,実行委員一同 ,心よりお待
ちしております。
秋田の1 0 月下旬は , 時によって初冬の気配も
感じられます。寒さに対する備えもお忘れなく。
2 車でおいでの方 , 駐車場のない学校 ( 南中学
校) もあります。ご注意を ′
帰路観光地 ( 男鹿半島 , 十和国湖 , 八幡平 ,
国沢湖高原等) に立ち寄ってという方のために1
1 0 月2 7 日( 土) 午後 , 旅行業者を会場に配置する
予定です。ご利用ください。( 閉会式前にはくれ
ぐれも出発なさいませんように/ 念のため。)
4 「パネルディスカッションヘのお誘い」この
秋田県学校体育研究大会J を兼ね
全国大会は「
初心者も ‐
「
楽し,3体育」のとりこに
なる大会lc /
地元
ために
秋団体育の発展の
秋田阿部祐子
埼玉児玉洋予
この 6月に埼玉県で合同合宿研究会が行われ ,
私は ,初めて全体研の全国的規模の大会に参加さ
せていただきました。ここで驚いたことは ,こん
秋田は野も山も色づきはじめてきました。
皆様を迎えるにあたって ,秋田は活気づいてい
ます。
｀お
な未熟者の私を皆さんが温かく迎えてくださり,
初歩的な疑間にも,ていねいに教えてくださった
らが秋田は美人のでどこ ,お米に ,お酒 ,
秋田杉、と歌にもうたい込まれているように ,お
り ,時には頭を寄せ合って考えてくださったこと
でした。そして 1そのとき,私が生意気にも意見
酒はうまいし,色白の美人がたくさんおります。
学習に関しては ,全体研にごぶさたいたしてお
を述べた相手の方が ,大学の先生や指導主事の先
生であると ,後で小峰先生にお伺いして ,赤面す
りますので ,方向をくみ取ることに専念し,会員
一
の皆様に失礼のないように努力した年間でした。
｀
秋田は子どもが自ら進んで取り組み運動の楽
″
しさを求めていく林育学習はどうあればよいか
をテーマに掲げています。
る思いでした。学校を通じて参加する研究会では ,
あまり考えられないことです。指導主事の先生や
大学の先生は ,最初からそのように紹介されます
のでとても自分の意見を言えません。また ,私の
授業実践の欲求はなかなか満たされません。
ところが ,全体研の研究会では名札に県名と名
前だけですし1皆さんの頭の中は ,「子どもが ,ほ
んとうにその運動の楽しさに触れ ,熱中してその
運動に取り組むようになるには ,どうしたらよい
のだろう。
』ということでいっぱいです。それは ,
現場で悩んでいる私たちの気持ちとまったく同じ
なのです。ですから,どんなに議論が白熱しても、
その一点に向かって解決の糸口が見いだされてい
きます。これは参加していて 1とても心地よいも
のでした。その上 ,「もっともっと子どもとともに
勉強しなければ …… 」という意欲が湧いてくるの
秋田の見どころは ,運動の持つ特性に触れ ,子
どもの心理的 ,身体的発達に即応した課題を追求
し,子どもが自らくな、う,創造 ,努力し運動に内
在する価値を追求している姿 ,学習の場における
教師の指導活動が ,生徒にとって邪魔になったり,
見せかけの自主活動でないように ,心して指導活
動に励んでいる教師の姿などが学習場面で随所に
感じとれるでしょう。
また ,秋田の土地柄一一純朴 ,素朴 ,上くささ
等 ―一を持って授業に取り組んでいる教師と子ど
もの姿が ,皆様の目にとまることと思います。
もう一つの見どころは ,中学校の選択のあり方
です。これが全体研の魅力であり,エネルギーで
だと思います。全体研で取り組んでから二年ぐら
一
い過ぎましたが ,提案授業などが少なく,いま
あるとつくづく思いました。
秋田の先生方は ,きっとこの夏休みも準備で大
歩という感を持ってましたが ,秋田では皆様の現
場の役に少しでも立ちたいと思い提案します。
わらわで ,休みもとれなかったこととそのご苦労
以上の見どころを持って ,私たちは皆様のおい
をお察し致します。が 110月に開かれる秋田大会
にも,私のような初心者が多数参加して,「楽しい
体育」の魅力のとりこになり,仲間がどんどん増
えることを望んでやみません。そして ,大会が成
功し,「楽しい体育」が今 ,抱えている問題が少し
でも多く解決され ,毎日の授業に一日でも早く生
かされて ,「生産 ,ズポーツを楽しもう。」という
子どもが増えていくことを願っています。
でをお待ちしてます。
秋田は ,気負わず ,ゆっくりとがんばってます。
ありのままの姿をご覧になり,研究熱心な全体研
の皆様のお力を借りまして ,秋田がよりよい方向
に進んでいけるものと 1今から心待ちしてます。
秋田大会が目前に● 閤鋭益M益鋭閤M
Mパ醗閤M閤盤総●特集 ‖
一十一全国大会も直前になりましたが ,大会を迎
える今のお気持ちから。
「全国から集まって来られる先生方に満足のい
く授業や運営ができるか ,不安な面も残していま
一
すが ,最後の追い込みでみんなが致してがんば
ります。 17年ぶりの全国大会開催なので緊張感も
ありますが ,協力態勢もうまくとれ ,若い人が多
い授業提案者も ,暗中模索ながら"前向きに努力
してくれているので .うれしく思っています。と
にかく,秋田の現在の力量を精いっぱい出し切っ
て ,会員の皆さんに率直な意見を出していただい
て ,これを機会に飛躍していきたい ,と考えてい
ます。
J
一一一新しい体育の考え方や理輪を′秋田の先生
方がどのように受け止めていらっしゃいますか。
「空白が長かっただけに ,理論的な共通理解は
′
｀
まだ浅いと思います。ただ ,これは正しい体育
″
｀
から楽しい体育に移行して日も浅く,秋田だ
けの問題ではないとも思いますが。私たちは今回
の全国大会を引き受けて以来 ,理論的な理解 ,ど1
年間をかけ ,研究会の回数も相当になりましたが ,
どの大会でもそうでしょうが ,学校の事情などで 1
全員が集まって研修できるというわけにはいきま
せんでした。順調に積み重ねるということが困難
で ,1歩前進 1歩停滞という感じですね。しかし,
終盤になって集中できる態勢が整い ,盛り上がっ
ー
てきました。それにしても ,インタハイとこの
大会が重なり ,特に中学校の先生方には両方がん
ばってもらわなくてはならず ,苦労をかけました。
一―一実践への理論の具体化の面で ,どのくらい
進みましたか。
「理論的には納得できるが ,授業への具体化に
ついてはこれでいいのかという不安感が残ってい
るように思います。実践の積み重ねの不足はいか
』
んともしがたい ,というのが率直なところです。
_一一考え方と理論 ,そして授業への具体化 ′ こ
れら全般を通じてどんな点に特に難しさがあり
ましたか。
『ホイジンガ ,カイヨワなどのプレイ論につい
6
ての基礎的な学習をする機会がとれなかったため
に,基本的な考え方の点で理解がもうひとつ深ま
らなかったように思います。
個々の問題をあげますと, 1つは ,指導要領に
示されている各領域の運動種目 (例示)による学
習では ,子どもたちの未来を考えた授業づくりを
思考することに困難が多い ,と感じました。どん
ー
な種目を取り上げたらほんとうに生涯スポツの
基礎教育として意味を持つのか ,カリキュラム検
討の必要性を感じています。
また,小学生と中学生では体育に対する意識に
・
も差異があり,中学生に自発的自主的な活動の
喜びを保障するための授業のあり方が 1まだ不明
確ではないかと思います。中学校における「楽し
い体育」の研究をもっと前進させないといけない
のではないでしょうか。それから,領域別では ,
体操が問題ですね。体操の必要感をどう導くのか。
また ,必要感とか意識を引き出したとしても,彼
らがはんとうに興味を持って取り組むことのでき
る授業はどうつくったらよいのか ,まだまだ困難
は多いですね。
J
一――授業づくりをめぐって具体的な問題はどん
なところにありましたか。
『
基礎的には ,学習を展開させるための考え方
一
は応理解できたが ,実際の場面で ,例えば単元
計画をどう構想し,指導の内容をどう把握するか
まえて回
とか ,こうした考えをどういう手順をお、
めていったらよいか ,といった点にまだとまどい
があります。やっぱり実践の積み重ねが必要です
見つけさせる」
ね。それと,「くふうさせるJとか「
という面で ,具体的に教師がどんな仕事をしたら
ムぃのか ,これは教師の指導活動とも関連します
が ,依然としてはっきりしないようです。
もう 1つあげますと,「楽しい体育」では豊か
な場づくりの必要性が強く言われていますが、施
設・設備の不十分さから,子どもの個人差に対応
できるだけの場の構成がうまくいかず ,この点で
多くの先生方が者慮しているように見受けられ
ます。
』
十一一ところで,選択制についてはどうですか。
「選択制の取り組みが浅いごともあって ,たく
さん問題が残っています。まず ,選択制の意義が
どこにあるのかを生徒に理解させる ,ここに難し
さがありました。これは ,自分から学習を進めて
いくということに生徒が慣れていないということ
』
格的に取り組んでいただきたい ,と思います。
十一一運営面での大会準備もたいへんだったと思
いますが。
『ええ ,インターハイ開催ともからんで ,研究
会と運営面での諸会合への ,予定した先生方の集
まりがばらばらという困難さもありましたが ,現
にも関連していると思いますが 1とにかく,スタ
ートさせるまでにたいへんに時間を費してしまい
ました。それと ,生徒一人ひとりのああてをどう
在では協力態勢も整って ,精いっぱいやっていま
一
す。また ,宿舎面につきましては ,幸い館です
持たせるのか ,どう指導の手を加えたらよいのか ,
教師のほうではっきりしたものを持たないままに
済むように思います。参加される先生方にも,時
間的な面 (グループワークは10時までとして ,そ
授業に入ってしまったために ,ともすれば放任に
なりやすく,悩みました。生徒のノートやカード
れ以降は雑談 ,就寝と区切りをつけてはしい)な
を見て ,その内容から教師のほうで彼のああてや
活動を予想するという手法をとったわけですが ,
べてまかなえるので ,あまりど不便をかけないで
ど,みなさんに心ちよく宿泊していただけるよう1
ご協力をお願いしたいと考えています。』
一一一参加の人数についてはいかがですか。
もとられる。めあてを具体化させるために資料を
用意することもたいせつですが ,この準備がまた
「遠隔地 1秋田での大会でもあり ,どの程度参
加していただけるか ,多少不安をもっています。
また ,県内的に見ても 13泊 4日という研究会は
たいへんでした。とにかく,選択制への取り組み
ほかに例がなく,参加態勢をとるのが難しいとい
J
が浅い。というのが実感です。
_一 ― 研究の面に関連して,全国大会で秋田とし
う事情があって ,ここにも不安材料があるんです
これがとても難しいのですね。また ,時間をとて
て訴えたい事柄′ あるいは問題提起したい事柄
は, どんな点でしょうか。
『理論構成をより確かなものにしたいという願
いとともに ,「だれでもどこでもやれる体育学習」
ね。
J
―一一最後に,全国の会員の皆さんにひと言。
「研究歴に長・短があると思いますが ,思いや
りの心で ,短かく,浅い方にも満足のいく研究が
できるようにお願いしたいですね。秋田としまし
を目指して進みたいと思う。これは ,教師の高齢
化の問題 ,新採用教師が年ごとに多くなりつつあ
ては ,この大会を契機に県の体育指導を再構成し
る情況 1そして ,特に小学校では全教科担任制 (学
の集まりですが ,ご指導をよろしくお願いします。
級担任制 )であること ,こうした種々の事情を考
えると ,私たちの大前提だと思います。一つひと
また ,いろいろ不十分なところが出てくると思
ていきたいと願っているところです。地味な人間
いますが ,載意をもって運営します。実り豊かな
にも多数の会員の参加を得て実践的な交流を豊か
研究会になることを心より願っています。
最後に ,紅葉の時期も終わりに近い自然の景観
なものにしたいと願っています。ほんとうに運動
にもひたれるような天候を祈りたいものです。』
つ問題を解明していく手だてが欲しい。そのため
の喜びを味わわせてやりたい。自分の体に関心を
持ち ,それをよくするように努めさせたい。そん
な生徒を育てていきたいのです。全国の皆さん ,
実践例を持ち寄ってください。そして助言してく
ださい。具体的な問題としては ,主体的に学習を
組み立て ,自律的な態度で学習に臨む子どもの育
成を考える際に ,技能面の指導をいつどんな場面
で行うのか ,ともすれば子どもの浅い経験 ,知識
で上滑りの学習になりやすいので ,この点を問題
点として是非提起したいと思います。』
『選択制についでは ,もの珍しいという程度で
考えるのではなく,「すべての生徒がその子に合
ったねらいを持ち ,心がおどる体育の指導 Jをつ
くるのにどうしても必要なことだという意識で本
壁恵
獄芸
藤
婁
謄雪
￨ま
昏
督
:岳
i替
眸￨
1骨
すべての手どもが, 運動の楽しさを矢□り,
それを深めるために
長野
全国体育学習研究会長野支部の全体計画により,
本年度は全県一会場の夏の合宿研究会が ,新しく
開拓された蓼科山麓女神湖畔参泉閣において ,8
月 5・ 6・7日 2泊 3日の計画に従って開催された,
今回は第25回という節目にあたっていたが ,期日
の都合から86名程の参加者であった。参加者それ
ぞれの抱えている問題に終始熱心に取り組み ,多
くの成果をあげることができたように思う。
それは ,日常の学習指導上の悩みや ,問題特に
「楽しい体育Jの指導を展開していく上の理論と
実践の問題を比較的明確にし。それを持ち寄った
こと ,また一つには ,お忙しいところ遠路おいで
いただいた筑波大学の八代勉先生のご指導の明確
鎌倉
明徳
「止まっているボールを思ったところへける (パ
ス・シュート)JA,止まっているボールをけるこ
とができる。 B,方向を決めてボールをけろうと
することができる。 C,インサイドキックを使っ
て思ったところヘボールをけることができる等々。
また態度面としては ,「約束やルールを守ってで
束やルールを忘れやすい。 B.友だ
ちにいわれて約束やルールを守ることができる。
C,決められたように約束やルールを守ることが
きるJA,約
できる。等々である。これらの自己評価と教師の
評価が学習指導の展開では指導活動に生かされて
くる。
こういった方向に対して八代先生は「もっと ,
さ等によるものであろうと思う。
ー
すべての子どもが ,
本研究会の中心テマは「
めあては具体的に予想されないと ,ただあの表現
ではあいまいではなかったかJと指摘された。こ
運動の楽しさを知り,それを深めるにはどうした
らよいか Jであり。特に指導活動と評価活動に焦
のような雰囲気の中で研究は深められていった。
点をあてたものであった。「楽しい体育」では ,子
どもたちが運動の特性に触れる喜びを求めて ,自
ヤ
主的・自発的に学習を深めていくことができるよ
ている。新卒の先生であって ,合宿の内容も理解
していない方々が 2泊 3日の研究会を終えて ,帰
うに指導することは言うまでもない。運動の機能
的特性に触れる授業をいかにして作り出すかであ
る。そのためには ,その授業でどこが成功し,ど
こが問題であるかを明らかにする必要がある。そ
の上で ,いつ ,どこで ,だれに ,何を ,どのよう
に指導すればよいかを究明することである。教師
は ,評価尺度を明確にすること 1また ,子どもの
自己評価あるいは相互評価をいかにさせるか ,教
師の評価と関連ずけて考えていかなければならな
い。
では具体的にそれぞれのグループではどんなこ
とが研究されただろうか。その例をあげてみたい。
一
小学校中学年「基本の運動」イ子どもの自己
ー
評価を取り入れたラインサッカの学習過程はど
うあったらよいか (研究課題 )Jでは,評価として
次のように考えている。
子どもの自己評価では ,まず、技能面として ,
8
また ,この合宿研究会は ,今年で25年を経過し
っていかれる時は ,自信に満ちている姿に ,しば
しば出会います。そんな一人に今回初めて参加さ
れたT子先生がいます。彼女は次のように語りま
した。八代先生が講演の中で「長野の先生方は授
業中にちゃんと画板を持って子どもたちの動きを
把握しておられる」とおっしゃられたことは私に
とって耳の痛いことでした。経験を積まれた先生
ー
方とのグループワクや懇談会での語り合いの中
で多くのことを勉強させていただきました。恵ま
れた自然の中でせみの声を聴きながら学んだこと
を理論だけでなく実際の授業に生かしていかなく
てはと思っています。
なお長野県下にあっては 1全県合宿の他に郡市
単位でも同様な会をもっているところがあります。
上伊那・下伊那でもほぼ同様に企画され ,多くの
成果を得ています。これらの成果が県下 2会場で
10月に公開され ,現場に生かされようとしてい
ます。
楽しい体育学習をどう進めるか
￨1
神奈サ
江島
紘
神奈川県体育学習研究会では , 今年度も 2 泊 3
日の日程で合宿研究会を開催しました。この合宿
・研究テーマ
人間と運動 ………楽しい体育学習を
研究会は , 1 9 7 3 年 ( 昭和4 9 年) 仙石原体育を語る
。研究の目的
楽しい体育学習を進めるにあたり,
現在問題となっていることを確認 ,
どう進めるか。
会として発足したものを現在も引き続いて行って
いるものです。それ以来今年で11年目になります。
検討し,よりよい発展を目ざして
具体的な方策を探る。
①一般的特性と学習過程の検討
ダンス・表現
途中開催されなかった年が 2度はどありますが ,
10年の長きにわたって開催されている伝統ある合
・研究の内容
宿研究会といってよいかと思います。
今年度は 8月 11日(上)から13日(月)まで行いま
した。場所は ,箱根仙石原湖尻高原にある箱根高
原研修センターです。たいへん涼しい所で今年の
ように連日の猛署の中で , 天然のクーラーの中で
生活できるのはぜいたくな研究環境と申せます。
この研修センターは , 4 人 1 組の部屋になってお
り、各部屋には机も置いてあり研究もしやすくな
今年度の参加者は , 3 0 人で神奈川県内の各研究
グループから参加してもらいました。そのうち女
合宿研究会には 1毎年大学の先生をお招きして
おりますが ,今年度は東京学芸大学の永島惇正先
・
生でした。
ざ
′
日程は次のとおりです。
9 10
15
18 202122
17 19
入浴
力いブレーク
夕いブ
ワーク
ゥ
カ
ブク
浴食
入夕
昼食
ゥ
カ
プワーク
カレー
16
舛ォ
11
13
12 14
(希望者テエス)
8/12
夕食
全体会
オリンピックの最終日とぶつかるという設定に
もかかわらず , その誘惑に打ち勝ち, 熱心にグル
ープ討論を続けました。
この研究会は , 研究テーマ , 目的と研究内容を
事務局が示し, 取り組むことにしております。
以前はそうでなかったのですが , 中央研究委員
会が出来てからは委員会の研究を考えることが多
くなりました。
今年度の研毎テーマ ,目的と研究内容は次のと
おりです。
③評価について考える
ただし, 研究内容の③ については選択する人が
一人もいなかったので今年度は行いませんでした。
以下研究での問題点を述べてみます。
○一般的特性と学習過程の検討 ( ダンス・表現)
を作る過程でいろいろな問題点がでてきたようで
す。
ー
問題点 ……① リズム型にイメジ性がないのか。
子は 9 人でした。
8
検討
このグループではリズム型の学習の単元指導案
っています。
7
②運動の特性に応じた学習形態の
② リズム型における変身とは。
③ リズムの特徴とは具体的にどのよう
なものか。
○運動の特性に応じた学習形態の検討
Aグループ…… このグループは ,体育のもつ様
々な背景を話し合う中で特性と学習形態について
検討を加えていきました。
問題点 ……①場所別グループにおける人間的な助
け合い活動をどのように指導したら
か。
よもヽ
② 集田スポ
ーツの中です個々人の欲求
の充足はどのようにしたらよいのか。
ー
開放的な集団とチムとをどのよう
に考えたらよいのか。
ー
……
このグループはサッカーを中心
Bグルプ
に学習を考えたようです。
ー
問題点 …… ① チームとは何か。グルプとの違い
は
。
② チームのめあてと個のめあてについ
てどう考えるか。
それぞれの問題点については , 今後も検討を続
けたいと思っております。
9
今,あらためて「楽しい体育」を考えるとき
福岡
各県の同志が相集った福岡大会から早や一年 ,
間もなく秋田の地へ体育の仲間達の大移動が始ま
イ
ります。
萬
康孝
ばならない評価は ,自分で自分を評価する自
己評価であり,次は ,友だちからの評価で三
番目が教師からの評価である」と言っている。
私共研究同人は ,福岡大会で積み残された問題
また「教育とは ,自己評価できる子どもを
がどのように論じられ ,解決の方向づけがどのよ
育てることである」ともいわれています。
うになされているか ,深い関心を寄せております。
この期にあたり,「楽しい体育Jの検証軸
に「評価のあり方」を据えることはとても大
それと同時に 1福岡県自体がこの問題をどう受
けとめ、どのような方向づけをしようとしている
切であると思う。
のか ,大いに責任を感するところでもあります。
ところで ,今回は夏の合宿研究会の報告一一と
(21 評価に対する問題
いうことですので ,その概要と一 ,二気づいたこ
とを併せて述べることにいたします。
『今 ,あらためて「楽しい体育Jを考えるとき』
のテーマで ,各領域のリーダーがそれぞれ実践資
料を持ち寄り,昨年の大会の反省並びに今後の研
究の方向なり課題なりを厳しく論じ合いました。
は)「楽しい体育」が矛盾と混乱の域を出ず ,
合同合宿研では ,自己評価の重視があげら
れている。理論的にはその通りなのだが ,果
たして今の現実に即しているだろうか。
ここで ,昭和 51年 ,第 21回福岡大会時の資料の
抜粋を紹介してみます。 (提案校東花畑小 )
ll)子どもが行っている評価結果を残させる。
12)記録された評価カードを分析する。
(3)指導の手だてを再検討し,必要に応じて修
むしろ形式化してしまってはいないか。また
「楽しい体育」の基本的性格,「楽しい体育」
の方法への検証は正しく行われているか ,名
12)「楽しい体育 Jと「グループ学習」とのか
かわりについては ,いまだに「グループ学習
が基盤にないと『楽しい体育Jができない」
0
正する。
(4)実際に指導し,再び追跡する。
(〕実践の経過や結果を整理して記録に残す。
以上の例では ,常に教師が前面に出て ,極めて
指導性の強い福岡独得の味わいが出ております。
(今は大いに転換しつつありますが ………)
という考えがある。
しかしこのことで
「楽しい体育」と「運動技術」の問題では,
技術を軽視するものではないが ,技能レベル
ll)子どもの活動の様子の見過ごし,見落とし
が極端に減ってきた。
が異なる者同志を同じ空間で論ずること自体
(2)めあて設定時の指導が適確にでき ,効率的
に問題があり,行い方 ,楽しみ方にも異なっ
た工夫や心がけが必要である。
(4)評価の問題
「
学習者が運動の特性にどれだけ近づいたか
また,触れることができたか J―― を形成的・
などの利点がありましたが ,反面 ,子どもが記
録カードにとらわれすぎて体育の特性である「身
体活動で目標を達成するJから離れてしまう危険
性も持っておりました。F評価』が理屈抜きに『楽
包しているはずであるから,この点をいつも
ね。
以上 ,簡単に合宿研の概要を挙げてみましたが ,
今回 ,初めてクローズアップされてきた「評価の
問題 Jについて少々述べてみたいと思います。
評価の重要性
一番大切にきれなけれ
教育学者クックが「
10
13)子どもの活動の活性化が期待できる。
診断的にみる。
「楽しい体育」は形成的・診断的評価を内
念頭に置いて指導にあたらねばならない。
(J
でしかも安全面の配慮ができるようになった。
しぃ体育Jのお友だちになれればすばらしいです
各種目の特性のおさえ万, 単元構成をどの
ようにするか
沖縄
古堅宗男
今年の夏の合宿研究会は ,小学校 ,中学校 ,高
楽しい体
等学校より,87名のメンバーが集まり「
その中で問題になっている点は ,
1
単元計画の作成」を内
育の基本的な考え方」と「
容として演習を行った。この合宿にむけて 5月 ∼
方をし,運動を組織化し,ある程度まとまった
長さを単元とする ,ということが視点になった。
7月の間に体操領域を除く全種目の授業実践と授
業研究会を行っての参加である。
各種目の特性の
合宿ではその授業実践をもとに「
おさえ方」「
単元構成をどのようにするか」につい
て協議し,単元計画を作り直した。
楽しい体育の授業の基本的な考え方と実際の授
業とを結びつけた学習活動を以下のような視点か
らまとめた。
特性のおさえ方については ,子どもからみた特
性を重視し,それが生かされる授業の進め方はど
のように工夫すればよいか話し合った。次に楽し
さを味わわせるための「
授業のあり方,進め方 (授
業形態)」について協議をかさね ,その授業を進め
ていくうえで「
生徒の望ましい活動」としてどの
ようなことがあるのか話し合い ,このような望ま
しい学習活動を進めていくための「
指導のポイン
ト」について協議しまとめていった。
発
以上のような基本的な考え方から子どもの「
達に応じた内容」を小学校 ,中学校 .高等学校房」
のカリキュラムの作成について話し合いを行った。
基本の運動をどのように単元構成し,実践を
進めるか。つまりすどのような内容のとりあげ
2
表現運動をどのように単元構成し,実践を進
めるか。つまり,イメージと運動のかかわりで
楽しさを深めていく過程の具体的なものが授業
の中で問題となっている。
3 小学校 1中学校 ,高等学校の学校段階別カリ
キュラムを子どもの発達に応じて内容の編成を
どう考えるか。つまり,小学校の低学年 ,中学
年 ,高学年ではどのような考え方で単元を組む
か ,中学校ではどのような考え方で単元を組む
か。高等学校ではどのような考え方で単元を組
むか。
以上のことについてもっとも基本的なことの共
通理解を深め ,その上で単元の計画や授業実践に
ついてのまとめを行った。
この合宿の成果は ,小学校 ,中学校 ,高等学校
一
が貫性の中で共通項をもてたことと,会員全員
が楽しい体育のかなりの理解が深められたことで
ある。
つみかさねがり
□
43年)『
嵐種ヨの秋何大会は ………第13回大会(昭不
16年前に開催された秋田大会は ,初めて東北で行
われた全国大会として意義深いものがあったが ,加
らない。」《
竹之下先生の議演から》
「スポーツを教育の手段,体力をつける手段に使う
全国大会で初めて具体的に語られを大会としても極
というのが体育なのか ,スポーツとは何かというこ
とを教える ,いわば目的としてのスポーツというも
めて重要である。同大会の「つみかさね」から次の
のを学ぴとらせるということが体育なのか ,という
2つの文章を引用しす参考のために供したい。
「
現在の運動需要は ,スポーツ的なもののほかに ,
問題に当面している。」(竹之下先生の議演から)
「
運動の特性をとらえるために ,…… 運動の効果に
新しい体操を要求している。古いパターンを捨てた
着目した立場ヤ。第 2の立場 ……運動技術の構造の
把握 …。第 3の立場 ……各運動の発生にまでさかの
えて ,プレイ論を手がかりとした「
体育の転換」が
のだが 1体操を捨てたのではないので ,新しい授業
の指導法を考えていかなければならない。急激に変
化する社会の角度から運動をどう考え ,指導法をど
ばって ,それのもっている本質的な特徴をとらえよ
うとする立場である。 …本質的な特性が体育の中で
う考えたらよいか。また子どもは急激な社会変化の
生かされることによって ,教育あるいは体育の教材
中に入って行くのだから体育は現在の子どもを考え
としての機能がじゅうぶんに果たされるものと考え
ると同時に ,卒業後の生活を考えて行わなくてはな
る。」《
松田先生の提案から)
(永島停正)
コ文献紹介扁扁儲縣薫扁縮し
第四部動作の基本
『日本舞踊の基礎』
いるが ,歩き方でも年令 ,職業 ,地位 ,地域 ,性
千代著
花柳
(東京書籍)
今日,クラシック・パレエからディスコまで ,
あらゆるジャ/ルの踊りの愛好者が増えているが ,
日本の伝統的舞踊である日本舞踊については ,世
界的評価を受けながら,我々の生活の中では遠い
存在である。というのも,基本的な技術が検討さ
れず ,やさしい作品からむずかしい作品へと個人
指導される形態が続いてきたことに一因があろう。
歩く,回る.滑るなどの動きの基本が示されて
別による異った歩き方 ,また座り歩き;ひざづめ ,
なんば・なんばん歩き ,特殊な歩き方など ,日本
人の日常的な動作への観察の鋭さと ,踊リヘと洗
練していった姿には驚かされるだろう。
第五部
拍子
れている。
力強く踏み下ろす足拍子についてお、
藤口竜生がその著書「リズムJの中で述べている
日本人のビート感は ,着地に向って力感をおくダ
ウンピートであり,地離れに力感をおくアフター
ビートの諸外国と異るというのと併せて読むと面
本書は ,舞踊歴40年の花柳千代が ,日本舞踊の基
本とされるものを抽出・分類し, 1200余点の写
真と図解で解説したものであり,楽しい体育のバ
白い。また ,「間」は受け渡す呼吸であるという。
レエ型の学習時には大いに参考となるであろう。
第一部日本舞踊のはじめに
と伴奏したり,「はっはいゃあほっほとったん」
日本舞踊は,舞・踊・科から構成され ,「舞」Fま
能がかった静かな動き,「踊」では躍動的な民俗芸
能の動き,「科」(振)では芝居のものまね的な動き
が取り入れられ 1日本の舞踊のすべてが統合され
ているという。また ,日本独特の舞楽・神楽・能
舞台と歌舞伎の舞台について ,礼儀作法 (座る。
立つ。お辞儀)や立位・座位の構え方の特徴につ
いても詳しく知ることができる。
第二部上半身の動きの基本
・
第二部下半身の動きの基本
ー
・
ジャズダンスのアイソレションの練習のよ
うに ,身体の各部位の使い方について解説してい
るが ,大筋運動のみでなく,あご・鼻・ほお・ひ
日拍子といって休符は「やっ」、4分音符は「
とんJ,
8分音符は「と」「こ」で表わし,「やっとことん」
などに新鮮さを感じたりする。
第六部
小道具の基本
扇 ,手ぬぐい。棒 ,刀や笠について ,その歴史
と種類 ,持ち方 ,扱い ,動き ,それに見立てなど
が解説されている。
第八部
応用編
これまでに解説したことをlllみ
入れて連続した
基本練習例をあげている。
第九部
資料編
衣装 ,後見 ,日本舞踊の古典の構成などで終っ
ている。
全般を通じて ,日本は動きの言葉を豊かにもっ
ていることに気づかされる。例えば「反る」とい
じ・手首・指・目など,繊細な表現型をもってい
う動きでも ,えび反り,胡蝶反り,花反り,竹反
り,稲荷反りとそれぞれに名前をもっている。一
ることがわかる。
読されることをお勧めする。
編集後記
(三浦
弓杖 )
紙幅の都合ですべてをご紹介できないのが残念で
すが ,4つの地域に報告をお願いしました。特集
◇ 猛烈な残暑もようやく去りよい季節になりま
した。第2 2 号をお届けします。本号は , 秋田大会
も合宿報告も,秋田大会に備えるのに参考になる
内容ばかりのように思います。いかがでしたでし
直前号ということで , できるだけ多くの先生方に
全国大会へ向けてのお考えやお気持を伺おうとい
◇
う方針で企画しました。又 , この夏も多くの地域
で , 猛暑の中夏季合宿研究会がもたれたようです。
ょう/」
全体研ニュース
第 2 2 号
ょうか。
V秋
国の先生方のご者労は並々ならぬものがあ
ります。感謝しつつ ,「大会で元気に再会しまし
(A
N)
発行 i昭和59年10月20日/責任者 i 全国体育学習研究会会長 : 宇土正彦/ 編集 i 永島
惇正第戸衛佐伯聰夫青木頁細江文利小菅秀夫山本俊彦/ 事務局 ! 〒 3 0 5 茨
筑波大学体育科学系 TEL 0298-53-6364
城県新治郡桜村天王台 1-1-1
ー
米『
全体研ニュス』の製作にあたっては光文書院のご協力を得ています。

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