74 g 冒 c E , C 2 喜 T . U . D Y v . P L C , o PO 6 R' 研究所 PROJECTREPORT 1 宅 義 式 軸 N B欝 亘 再軍 等 亀 滑 車軒肇等 哲等 讐響 一度食メカニズ封 =対応 した登山適の整備に向けて 和 田克 臣 K. WADA 金 出陽一 Y. KANAI D【 倉方志磨 5. KURAKAT A 横浜事務所 長 沖縄事務所主査 横浜事務所研 究員 AS t u d yo f E r o s i o nMe c h a n i s msf o r Mo u n t a i nT r a i l sCo n s t r u c t i o no nY a k ul s l a n d はじめに 屋久島では、 風化 しやすい花繭岩土壌と多量の降雨の上、 世界自然遺産登録以降、 増力ロした登山者により、 主な登山ル ー トでは踏圧をきっ別 ナにエロージョンが進行 している。 本調査は、このような登山者による踏圧や多量の降雨等 に対応 し、侵食等により失われた植生を復元するための登 山道整備の基本方針等を検討することを目的としたもので ある。 1)登山道に関わる条件 ( 1 ) 自然的条件 ・山岳部における年間降水量が 10, 000m mを越す、世 界でも有数の多雨地帯 ・高山帯では、冬期の気温が氷点下を示すことが多 く、 多量の降雪、降霜をもたらす 屋 なお本報告は、平成 11年度環境庁委託調査である 「 久島の登山道等整備方針検討調査 報告書」 をもとに作成 した。 1. 屋久島の登山道の概要 ・険 しい地形と風化 しやすい花繭岩地帯 ・登山道では、森林土壌にみ られる A。層が欠落 し、場 所によっては母岩が露出 L u ・ ・団結層により、通気透水性が極端に悪い ( 2) 登山利用者の状況 コールデンウイークや夏休みのピーク期に、特に縄文杉 を目的とする登山者の集中がみられる。縄文杉周辺だけで 1日に 300人以上もの人が押 し寄せる状態となることか 一書 別 保 護 地 区 ・ 特 別 地 区 I 原 生 自 然 環 境 保 全 地 域 ■ ■ 一世界 遺 産 条 約 登 鐘 地 域 ( 登鐘面 相' 1 0 , 7 4 7 h a ) - 幸な車道 -■ ■ 登山道等 ら、 現状の登山道では上 り下 りのすれ違いもままならない。 2)登山道の現況 と課題 登山道の現況については、既存資料としてこ提供いただ いた現況写真集にカロ え、対象箇所全区間を踏査 し、現状の 問題等を体感 しながら現況の把握に努めた。現況と主な課 図 1 位置図 調査対象箇所 は、屋久島の登 山道の中で も最 も利用者 の多 い大株歩道 5. 5kmである。 入口か ら宮之浦岳 を経 て淀川登山口までの区間約 1 題について以下に示す。 写真③ PROJECT REPORT-I ( D急傾斜部分での土砂の流l =、 侵食が激 しく、 母岩まで侵 食されている箇所があり、 侵食防止が必要。( 写真( D) ( a表土流亡がひろがり正規ルー トが不明のため拡大防止 が必要。( 写真②) ( ∋木製階段前後の侵食が目立ち、侵食、排水対策も含め て整備が必要。( 写真③) ④木製階段が連続すると登山等の魅力が半減する。 ( 写 真④) 75 められ、総合的な課題としては、以下の点が挙げられた。 ●登山道整備にあたって侵食 ・荒廃防止のための基本的 なメカニズム等を考え伝統的工法や砂防、造園、土木 等、各分野にまたがる工法の応用の検討 ●周辺資材 ( 石材、土埋木、倒木、ヤクシマグケ等)の 活用可能性の検討 ●抜本的対策と細部の修復的な対策、整備とそれぞれに 必要な手法の検討 ⑤ヤクシマグケ帯では、細く深 くえぐられている箇所が 多く、侵食防止と土留め、場合によっては充填埋土等 2. 登山道等整備の方針 を考慮する必要がある。( 写真⑤) 1)基本的な考 え方 ( 昏土留め柵の破壊等が目立ち、かえって荒廃の状況を示 す。( 写真( ◎) この他、 ⑦ウイルソン株周辺の根系保護、立ち入 り防止について 検討が必要 ( ◎木製階段の配置によっては、かえって被害が拡大する こともある。 ( 9すれ違いのための待避場所等が階段前後で必要 写真( 9 ⑩梯子状階段の安全性の確保が必要 ⑰侵食は凍上融解によっても進んでおり、水路化、登山 靴による摩禾 毛だけでなく、他の原因もある。 環境庁、林野庁、及び文化庁が平成 7年 11月に策定 し た 「 屋久島世界遺産地域管理計画」では管理に関して以下 J 】 世界遺産と しての価値を将来にわたって維持 していくことを目 標として、保全に係る各種制度の主旨を踏まえつつ、遺産地域全体 の一体となった管理を行うことを基本とする。 ヨ l 】 】 わたっ 世界遺産としての価値を損なうことのないよう、将来 に て厳正な保護を図ることを基本とする。 ①既存の工作物を改築、増築する場合であっても自然環境に及 ぼす影響を最小限にとどめるよう慎重に取 り扱う。 ②縄文杉など特定の興味地点への利用の集中などが見 られ、人 の みによ 産地 然環 れる ことから、これを防止する措置を講 じる。 ( 9登山等の利用を中心に、すぐれた自然の体験、観察、学習等 の適正な利用を促す。 入 り 込る 遺 域 の 自 境 へ の 影 響 が 懸 念 さ ⑫土留め柵は登山道としての機能と土留めや排水機能等 を総合的に考える必要がある。 ⑬木道全般で積雪時、結氷 して滑 りやすい。 一方これまでの検討の中で、縄文杉を含めた屋久島全体 等が、課題として挙げられた。 の自然についての理解と認識を深めることを基本理念とす 以上のことから単に登山道の細部の改善だけではな く、 べきであると示されており、これらを踏まえて以下の表の 場所によっては抜本的な対策を講ずる必要があることが認 写真( む の考え方と基本方針が設定されている。 ように登山道等整備の基本的な考え方を設定 した。 76 E 警 C S T U D Y P C P 0 R ' /2ooov.L . .6 登山道等の整備に際 してもす ぐれた自然環境の価値を将来 にわた って維持 していくことを目標と し、その価値を損な うことのないよ うな厳正な保護を図ることを基本とする。そのため、自然環境への 影響を最小限に し、利用の集中等を防止 し、登山等の利用を中心に す ぐれた自然環境の適正な利用を促すものと して整備を行 うことと する。 <ルー トの扱い> ①屋久島は、国立公園であると共に森林生態系保護地域に指定さ れてお り、厳正な保護を図る観点か ら、森林帯、ヤクシマグケ 帯とも現況のルー トを基本とする。 ②侵食、崩壊の状況によって、やむを得ず、迂回路の設置、ルー ト変更等の必要がある場合 には、自然への影響を最小限に抑え たものと し、既存の道については元の植生に回復するまでは完 全に閉鎖 し、荒廃 しないようにする。 ③ルー トの明確化を統一的な標示で適切 に行 うとともに、複数化 している部分は拡大防止の措置を図る。 <ルー トの整備水準 > ④登山道と して、登山装備を した利用者を対象と した整備を基本 と し、登山時間の短縮や、通行の利便性を重視 した整備は行わ ない。ただ し、はみだ し防止の措置は講 じるものとする。 G) 登山道の幅員は、自然環境への影響を最小限にするために、現 況の一人通行の幅員を基本 とし、階段の前後等必要な箇所 にす れ違い、待避ができるスペースを確保する。 <整備の工法 > ⑤木道、石段等種々の工法が想定されるのが通行の機能だけでな く、排水、侵食防止、植生復元等を総合的に勘案 しまた伝統的 な工法を参考に しつつ検討する。 ⑦特に水の分散化に重点をおいた整備を図る必要があ り、ルー ト のつづ ら折 り化や、上流部における土留め部分での水の分散等 を図る。 ⑧抜本的整備 と修復的整備 に対応 した工法を検討 し、登山道の状 況に応 じて適用することと し、自然環境への影響は極力最低限 にとどめるものとする。 ⑨いずれも最小限に手を加えることを基本と し、長区間にわたっ ての施設の連続を避ける配慮を行 う。 ⑱整備する資材は既存資材の活用や、周辺の石材、土理木等を用 いることを検討 し、現場周辺以夕、 拍\ らの資材の使用を極力減 ら すように努めるものとする。その際にも屋久島産の資材活用を 基本とする。 <施工 ・維持管理手法 > ⑰登山道整備 に適 した施工、工事、修復手法を検討 し、専門職の参 加をは じめガイ ド等協力者の参加を含めて総合的に検討する。 ⑫整備は、緊急的に対応する必要のある箇所を先行 し、長区間を 一括 した整備は不可能なため、荒廃の源にな っている箇所か ら 荒廃箇所ことに行 うものとする。 ⑱定期的な保守管理が必要であ り、特に破損が軽微な時点での補 修が必要となる。そのために必要な体制を確保 しこれに当たる ものとする。 2)登山道の区分 と区分別整備方針 登山道の整備 に際 しては、立地条件や侵食の状況等 に対 応 した整備が必要であるため、以下のような登山道の区分 を行い、それぞれの整備方針を設定 した。 立地上の区分 地形上の区分 侵食の程度 による区分 人為性による 区 分 森林帯 平坦地 表層の団結化 未整備区間 移行帯 緩傾斜地 表土の流亡 整備区間 ( D立地上の区分に対する方針 ・各立地によ り異なる気象条件や侵食メカニズムに応 じ た対策を行 う。 ・森林帯では、特に利用者が多いことも考慮する。 ・移行帯では、寒冷時の影響とともに上部か らの侵食圧 も高いため、両地域 に対応 した整備を図る。 ・ヤクシマグケ帯では、特に水の分散化に配慮する。 写真( ∋ 白山 ・高山帯歩道 での事例 1 石張 りと丸太 に よる登 山道。歩 道脇 か らの土砂 流 出 を防 ぐため岩 や石により土留めを行 っている ( ∋地形上の区分に対する方針 ・特に傾斜変化点での洗掘防止や通行の障害になる要素 等を考慮 し、必要最小限の整備を図る。 ・急傾斜地では、土留め柵等の措置を講 じる。 ( 9侵食の程度による区分 に対する方針 ・影響の大きい区間か ら整備するが、侵食の影響を軽減 する上では、上流区間の侵食の小さい部分に対する措 置も重要である。 ・ガ リー部で上流側か らの影響の低減化が図れる場合 写真L L l 白山 ・高山帯歩道 での事例 2 木柱土 留 め脇 か らの土砂 流入 を 避 けるため、 木柱土留めに連続 す る よ うに石 を並べ土留め機能 を強化 PROJECT REPORT-I は、現況をベースに被覆を図り侵食の軽減を図る。 ④人為性による区分に対する方針 ・整備破損箇所は、早急に適切な修復を行い、新たな整 備箇所の増大を防ぐよう配慮する。 77 登山道の整備に関わる技術手法として、砂防、造園、土 木等の分野における技術的手法を整理するとともに、白山 や尾瀬等、他の国立公園における事例 ( 写真⑦、⑧)や屋 久島におけるこれまでの事例と伝統的な手法を整理 し、異 体的な工法検討のベースとした。 3. 登山道整備工法 1)侵食のメカニズムからみた登山道整備の留意事項 登山道整備工法の検討にあたっては、登山道の形成と侵 食のメカニズムについての基本的な把握を行い、それらを 踏まえた上で異体的な工法の検討を行った。 侵食の要因としては、雨水や凍上融解、風食等の自然的 要因や登山者の踏圧等の人為的要因があげられるが、多く の場合、これらの複合によって登山道の荒廃化が進むもの である。各要因による侵食のメカニズムから考えられる登 山道整備にあたっての留意事項として以下のものが挙げら 写真( 9 れる。 ・できる限り雨水を集めない工夫を行う。 ・ガリー化が進む区間では、流量、流速の低減化を図り、 掃流力による侵食を弱める。 特に屋久島では、かつて平木や板木の運搬路や岳参 り等 に利用された石畳の道が残されており、自然環境に調和 し た工法としてモデルとなり、水のコン トロールや歩行性能 の面で以下がポイン トとして挙げられる。 ・道の取 り方では、斜面を直登せず縦断方向に水を集め ない取 り方をする ・歩道内に入 り込む水は、間隔を大きくした石を施 し流 速を減 じる ( 写真( 9) ・山腹傾斜面からの水は路肩に大きめの石をおき間隔を 多くして処理する ( 写真⑯) mで一定にせず ・石を利用する階段は段差を 10- 20c 選択性を持たせる。 3)登山道整備工法 異体的な登山道整備工法については、基本的な立地の違 ・侵食を防止する上では、なんらかの被覆を行う。 い( 森林帯とヤクシマグケ帯)と未整備箇所、 整備後に問題 ・森林部では、水流の分散化と表面の被覆が必要。 が 生 じた 箇 ・凍上融解による侵食や風食にも配慮 し、必要に応 じ表 所 等 を軸 に 面被覆を行う。 ・追い越 しやすれ違い等の不可避的な行為によるはみだ 検 討 を行 っ た。 Lを防止するよう現況を踏まえて整備を図る。 ・障害物によるはみ出 しを防ぎ、特に整備 した工作物に 写真⑬ 起因するものを極力なくす。 2)登山道に関わる技術的手法 図 2 A.土壌侵食 により根 や石が露出 しているタイプ 78 E E c E / C 2喜T .U . DY v. P L E . P . 0 6 RT 図 3 B.土壌侵食 が進 み、根 の浮 き上 が り ・痛 みが激 しい タイプ ( Aの進行 タイプ) (ヤ クシマグケ帯) 20cm前後 ・20cm程 度 ・ 土 留等 で水 を分散 する 図 4 C.滝状侵 食 タイプ 図 8 G. 凹状侵 食 タイプ ( ガ リー化 、 水路化 が進行) 部分的な修復 を図るために、ふ とん 簾 と木道等 を設置 し、土砂の堆積化 をすすめる方法 を考慮する。 図5 D.凹状侵食タイプ( ガリー化、水路化が進行) 土留柵 が機能 していない タイプ 図 6 巨. PROJECT REPORT- L 79 ・荒廃の根本的な要因を探るため、文献等により道の形 成や侵食のメカニズムの整理を行った。 ・砂防、造園、土木等の各分野における手法を整理 し、 工法の検討に生か した。 ・屋久島特有の資源 ( 土埋木、伝統的工法等)をできる 限り生か した工法の検討を行った。 登山道整備は、各地域の自然条件等を十分考慮 し、必要 最小限に進めていくことが大切である。登山者は、体格、 体力、経験度等、様々であり、すべての人が満足する工法 を追求することは不可能であるが、歩き方にできるだけ選 択性を持たせることが最も大切であると思われる。 そ して登山道の良好な状態を維持 していくためには、現 地に関する事前情報の提供や登山道整備後の保守管理のシ 図1 0 屋久島石畳登山道参考詳細図 ところが大きく、その構築が今後の課題の一つといえる。 和 田克臣 Ka t s u oml WADA 1980年 九州 芸術 工 科 大 学 大 学 院 1984年 入 ( 生 活 環 境 専 攻 )修 了 、 社 。地域 環 境 ・ 緑 化 ・ラ ン ドス ケ ー プ計画 設計 に従 事。技術士 ( 建設部 門)。 横 浜事務所長 。 金出陽一 本報告は、屋久島の花繭岩土壌と多量の降雨といった特 4. おわりに 多くの国立公園では、度合いこそ異なるものの屋久島の ように自然条件や登山者の集中等 による人為的条件によ り、登山道の荒廃化が進み、その対応策として様々な工法 You l C h I KANAI DE 1 990年香川大学農学部農業生産学 科卒業、 同年入社。 主 に植物の調査 ・ 保全 ・ 活用検 討業務 に従事 。植物調 査室 を経 て現在沖縄事務所主査。 が試みられている。 しか し歩きやすさや維持管理等の理由 倉方志磨 点にポイン トをおき進めた。 Sh l maKURAKATA 1 997年千葉大学 園芸学部緑 地 ・環 境学科卒業 、同年入社 。ラ ン ドスケ ープ計画 ・ 設計 に従事 。 横 浜事務所 研 究員 。 ステムづくり等、利用面 ・管理面ともにソフ トに期待する から、過剰な整備が行われているケースも少なくない。ま た、人為的な整備が新たな荒廃化を引き起こすケースもあ る。このような課題がある中で、本調査では、主に以下の ・実際に対象区問を踏査することによって、見た目の荒 廃状況だけでなく、歩きにくさや危険度、また荒廃が 進行する自然的 ・人為的要因等の把握に努めた. 有の条件下での登山道整備の検討内容であり特殊な例であ るかも しれないが、本報告が他地域での今後の検討の一助 となれば幸いである。 なお本調査は、学識経験者からなる委員会を組織 し、指 導助言を受けながら進められた。
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