2014年5月1日 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 1 一般教育演習 クイズで学ぶ化学と科学 2014年度第1学期・木曜日第5校時(16:30-18:00) 高等教育機能開発総合センター E306 大谷文章(おおたにぶんしょう) 触媒化学研究センター・教授 環境科学院環境物質科学専攻・教授(兼担) 北キャンパス創成科学研究棟03-311-2号室 ■ 触媒化学のフロンティア(金曜5/4月11日) 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 2 授業の目標・到達目標 ■ 各回数題出題されるクイズに答えることによって「化学 と科学とはなにか」を学ぶ.答えの内容は「何か書かれ ているかぎり」評価しない.《30%》 ■ 受講者は,「化学と科学を理解するのに役に立つクイ ズ」を作成・発表して受講者どうしのディスカッション を行う. 《50%》 ■ 各講義の最後に提出する「感想と意見」は(ニックネー ムつきで)公開とし,受講者はニックネームを設定する. ■ 担当者に対する最低1つの質問をすること.次回に質問 と答えのそれぞれについて投票してランキング 《20%》 ■ 科学的な視点と方法の基礎を身につける 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 3 おぼえておいてほしいこと ■知識はえられません: 化学そのものは教えませんので, 知識をえることを期待しないでください. ■ じぶんで考える: します じぶんで考えるためのヒントをしめ ■ 柔軟な考えを: これまでの感想を見ると「考え方,も のの見方が変わった」というものがほとんどです.変わ る(変える)ことに対しての柔軟性が必要です. 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 4 Q: 前回の質問/回答に投票してください ■ 配布した「感想/質問と回答」をみて いいと思った質問 いいと思った回答 をそれぞれニックネームで投票してください.集計結果 は次回に発表します. 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 5 予定 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) 4月10日 4月17日 4月24日 5月1日 5月8日 5月15日 5月22日 5月29日 6月12日 6月26日 6月27日 7月3日 7月10日 7月17日 7月22日 7月24日 7月24日 キーワードをつかって自己紹介 この部屋のなかの物質/アボガドロ数とは 髪の毛の本数とは/分子量/必要・十分条件/エベレスト登山 電子レンジ/インターネット上の情報 バスの法則/ダイエットチラシ/インチキ 図書館情報学入門(情報教育館情報メディア教育実習室C) 実験ノートの書き方/ヨーロッパ地図 血液型/カイ二乗分布 電池とは何か 科学の三冠王 (6講時/休講) リサイクル エコロジー 地球温暖化/認識/「○○○た」とは何か (クイズ提出期限) [クイズの発表](1) (6講時)[クイズの発表](2) 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 6 図書館情報学入門 5月15日(木)5講目(16時30分∼18時00分) 情報教育館2階演習室C http://www.hokudai.ac.jp/bureau/info-j/johokanmap.htm ※北図書館と高等教育推進機構の間にある建物です。2階の「情報メデ ィア教育実習室C」という部屋が開催場所になります。 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 7 同定: 物質の構造の決定 Q どうやったら生成物を決定(同定)できますか ■ ある化学物質を合成したことを証明するにはどうしたら よいか ■ ある化学物質の純度が(ほぼ)100%であることをしめ すにはどうしたらよいか ■ 標品(純品)の構造はどうやってきめるのか 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 8 二重収束質量分析法(ミリマス) ・12Cをのぞく原子は端数の重さをもつ ・整数部が同じでも,元素組成が異なると分子量は異なる C10H8O2 = 160.052430 C9H8ON2 = 160.063663 陽子 中性子 中間子 ・・・・ 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 9 光触媒による有機合成の報告例(同定の問題) ナフタレンを原料とする光触媒反応(酸化チタン) 元素分析なし・ガスクロマトグラフで標品と一致 有機化学では元素分析結果が0.3 %以内で一致することが必須 最初の報告 後の報告 CHO OH OH CHO どちらの化合物も組成式:C10H8O2 = 160.05 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 10 必要条件と十分条件 ■ ある物質の構造を特定する 件 十分条件 はなく,あるのは 必要条 だけ(いくつ必要条件があるのか不明). 《真理》 十分条件 E 必要条件 B A C ■ 「もしこの物質が目的物質なら」 ・実験結果Aが得られるはず・・・得られた 例:NMR ・実験結果Bが得られるはず・・・得られた 例:分子量 ・実験結果Cが得られるはず・・・得られた 例:赤外吸収 ・実験結果Dが得られるはず・・・得られた 例:元素分析 ...だから(経験的に) D 「この物質は目的物質である可能性がきわめて高い」 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 11 登山ルート ■ ridge(稜線)をのぼる主要な3 本の登山ルート ■ 通常は,どれかのルートで登 り,おなじルートをおりてくる =ベースキャンプの問題 ■ トラバース(横にすすむ)こと は事実上不可能 B 頂上 A C 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 12 電子レンジ Q 電子レンジで食品が温まるのはなぜですか 国内統計(2001年)家電流通データ総覧[http://www.kaden-pc.com/] 世帯普及率: 95.7% 世帯保有台数:1.016 日立・http://kadenfan.hitachi.co.jp/range/lineup/sx1.html 東芝・http://www.toshiba.co.jp/webcata/range/er_a2.htm 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 13 主要耐久消費財の世帯普及率の推移 1997年で90%超・2009年でほぼ99% 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 14 英語の問題 Q 電子レンジの英語は何 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 15 インターネットで見る「電子レンジのしくみ」(1) 摩擦熱? 日本電機工業会ウェブページより http://www.jema-net.or.jp/Japanese/kaden/renji/renji-index.htm 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 16 インターネットで見る「電子レンジのしくみ」(2) ■電子レンジのしくみ■ 図1に電子レンジの構造を示します。 通常使用状態では電子レンジの電波は,(1) マグ ネトロンの(2) アンテナから電波が発振され(3) 導波管を経由して(4) オーブンにはいり直 接あるいは反射を繰り返しながら大半の電波は(5) 食品(水分)に吸収され食品が加熱さ れます。(厳密には食品を加熱したときでも一部は反射波がマグネトロンのアンテナに 戻ってきて若干の温度上昇が発生していますが)食品をいれずに加熱したり、金属容器 を使用すると反射波が多く発生し、上記のような故障の原因となります。(情報はシャ ープより提供) 「化学への質問ありまへんか」ウェブページより http://www.chemistryquestion.com/index.htm 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 17 インターネットで見る「電子レンジのしくみ」(3) 電子レンジは、マグネトロンという装置で発生させた高周波の電波(マイクロ波: 2,450MHz)を使い食品を加熱します。このマイクロ波を食品に当てると、水分を中心にし て食品全体でマイクロ波が熱に変わり加熱します。食器等は電波(マイクロ波)を吸収し ないので、加熱されず食品のみ加熱されます。また食品の内部まで均一に加熱されるので、 オーブンのように表面だけが焦げて中まで火が通らないということがありません。 「電気の科学館」ウェブページより http://www.chuden.co.jp/e-museum/denkiarekore/knowledge/trip/housing/renzi.html 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 18 インターネットで見る「電子レンジのしくみ」(4) まず、「マグネトロン」 という部分の先端から発 生される高周波の電波に よって食品に含まれてい る水の分子などを振動さ せ、まさつ熱を生じさせ ます。そのまさつ熱が広 がって食品全体をあたた める、っというのが電子 レンジの仕組みです。ま た、食器等は電波(マイ クロ波)を吸収しないの で、加熱されず食品のみ 加熱されます。 「Electrical Appliances Around Us」ウェブページより http://contest.thinkquest.jp/tqj2002/50504/Rsikumi2.htm 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 19 インターネットで見る「電子レンジのしくみ」(5) 水分子を振動させ温める 魔法のようですが原理は簡単です。水はご く小さな分子という粒からできています。こ の粒を振動させて熱を発生させ温めているの です。昔、子供たちが冬に暖を取るために遊 んだ「おしくらまんじゅう」と似ています。 電子レンジでは分子を振動させるためにマイ クロ波という電波を照射します。 電子レンジの正体は「マイクロ波発生装置」なのです。電波を当てて振動を起 こしますので、電波を反射するものは温めることができません。コップだけを温 めようと思っても電子レンジでは無理なのです。水のように電波を吸収するもの でなければ温まらないのです。一般に食べ物が温まるのは水分を含んでいるから なのです。 「禎子のハイテクライフ」ウェブページより http://www.topics.or.jp/rensai/sadako/2000/page13.html 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 20 インターネットで見る「電子レンジのしくみ」(6) 「マイクロ波(は)があたって、水の分子(みずのぶんし)が 振動(しんどう)すると、お互い(おたがい)にぶつかった り、こすれたりするよね?」 「そのときまさつがおきるから熱(あつ)くなるのよ。」 「電気の不思議」ウェブページより http://www.iee.or.jp/emf/renji2.htm 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 21 英語の問題 Q 電子レンジは英語で何? Q 「チンする」の英語は何? 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 22 英語の問題 Q 電子レンジは英語で何? Q 「チンする」の英語は何? • Microwave oven • Nuke/Micro: "Nuke it." 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 23 励起状態 ●光化学反応は, 励起状態 を経由して進行する.励起状態にもいろいろある. (1) 電子励起: 光合成や光触媒反応 【紫外光・可視光】 (2) 振動励起: ひなたの水 【赤外光】 (3) 回転励起: 電子レンジ(電子レンジでは「電子」は飛んでませ ん) 【マイクロ波】 光(電磁波) 励起状態をつくるのが... 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 24 電磁波とは? Q 光は電磁波: つぎのうちで電磁波はどれ? アルファ線・ベータ線・ガンマ線・エックス線・紫外線・可視線・ 赤外線・マイクロ波・電波(ラジオ波)・電子線 振動方向は互いに直交 磁場の振動 電場の振動 光の進行 方向 波長 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 25 電磁波とは? Q 光は電磁波: つぎのうちで電磁波はどれ? アルファ線・ベータ線・ガンマ線・エックス線・紫外線・可視線・ 赤外線・マイクロ波・電波(ラジオ波)・電子線 振動方向は互いに直交 磁場の振動 電場の振動 光の進行 方向 波長 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 26 光の波と粒 光は波と同時に粒子である(光子:photon):質量はない 電子は粒子であると同時に波である:質量がある 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 27 Q: 光の速度は? ■ 波長が短いほどエネルギー が大きい ■ 真空中での電磁波の進行速 度は波長によらず一定 ■ 一定時間あたりの振動数= 周波数・1秒あたりの振動 数:ヘルツ(Hz) ■ 波長×振動数=光速 光速/波長=周波数 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 28 Q: 光の速度は? ■ 波長が短いほどエネルギー が大きい ■ 真空中での電磁波の進行速 度は波長によらず一定 (毎秒約30万キロメートル) ■ 一定時間あたりの振動数= 周波数・1秒あたりの振動 数:ヘルツ(Hz) ■ 波長×振動数=光速 光速/波長=周波数 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 29 光のもつエネルギー 小さな弾丸と大きな弾丸の破壊力とエネルギー 合計のエネルギーが同じでも破壊のしかたが異なる 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 30 Q:葉が緑に見えるのはなぜ? 光と物質のかかわり 光の三原色:白から青をとりのぞくと黄色になる(補色) 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 31 Q:葉が緑に見えるのはなぜ? 光と物質のかかわり 光の三原色:白から青をとりのぞくと黄色になる(補色) 樹木の葉が緑に見えるのは: 太陽の光があらゆる波長の可視光を含んでいる(白色光) 葉の中の物質である葉緑素(クロロフィル)が赤と青(紫)の光を吸収 残った青と黄の光が反射して緑色に見える 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 32 光と影 紫と黄と黒の影 2006年2月層雲峡氷瀑まつりにて 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 33 光と影 紫と黄と黒の影 V+Y =W W-V-Y =B W-Y =V 2006年2月層雲峡氷瀑まつりにて W-V =Y 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 34 クロロフィルの電子スペクトル ■ 電子(吸収)スペクトル(electronic absorption spectrum) UV-Vis(「ゆーぶいびす」と呼ぶ人が増えてきた):横軸が波長 ■ ヒント: 赤と青の光の波長はそれぞれ約650 nmと約450 nm 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 35 光と物質の相互作用:エネルギーのやりとり ・ 電子/振動/回転エネルギーは量子化されている(とびとびの値) ・ エネルギー状態(準位)の差が「エネルギーギャップ」 ・ エネルギーギャップに等しいエネルギーをもつ光だけが吸収される ・ 吸収されて高いエネルギー状態になることを励起という ・ 励起されると,何かにエネルギーをあたえて,もとの状態にもどろ うとする(緩和) 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 36 電子エネルギー 物質の基本単位は原子: 原子核と電子 正電荷をもつ原子核と負電荷をもつ電子が引きつけあう 電子は波としての性質をもつ 両方を満足させるのが量子力学 電子のエネルギーは量子化されている: とびとび 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 37 振動エネルギー 分子は原子が結びついてできている 原子が結合するとは,電子が両方の原子核の間に入って相互作用する バネによって原子核が結びついていると考えることができる 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 38 回転エネルギー・並進エネルギー ■回転エネルギー(振動エネルギーより小さい) 分子が回転(双極子モーメントの変化がある場合) 電子レンジのしくみに関連する 量子化されている ■並進エネルギー 分子自身が運動する エネルギー: されていない 量子化 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 39 励起と光吸収スペクトル 電子励起: 振動や回転の状態のためのエネルギーに幅がある スペクトルが幅をもつ(ブロードになる) 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 40 電子レンジ:水分子の回転励起と緩和 ■マグネトロン(発振器)から出るマイクロ波 周波数2.45 GHz・波長12 cm ■水分子が回転励起(もともと回転している) 水分子が回転していない氷ではマイクロ波は吸収されない ■緩和:分子の並進エネルギー(熱)に変換される 電磁波のエネルギー → 水分子の回転励起 → 並進エネルギー 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 41 電子レンジで食品が加熱される理由は Q なぜ電子レンジで食品が加熱されるのか. 電子レンジの仕組み 検索 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 42 インターネット検索 ■ Google(グーグル)の場合 ・スペース(半角/全角)でくぎると『AND』検索 ・単語を切りたくないときは,「"」(半角の引用符)で囲む: 「 大谷文章」と「"大谷文章"」では結果が異なることがある ・単語の前に「-」(半角のハイフン)をつけると,『NOT』の意味 になる: 「大谷 -北大」だと,「大谷」は入っているが,「北大 」がないもの 260,000 37 イケメン 大谷文章 検索 イケメン "大谷文章" 検索 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 43 質問... メールで送ってください.本文の各項目内は改行なしで... 48時間以内(土曜日の午後6時まで) to: [email protected] subject: qz20140501-学生証番号 body(本文): 名前《改行》 ニックネーム《改行》 今回の講義の感想・意見《改行》 質問(すくなくとも1つ) 北大 大谷研 検索 qz20140501-12345678 2014/05/01─「クイズで学ぶ化学と科学」第4回 44
© Copyright 2025 ExpyDoc