第 1 章 計画の背景と目的 第1章 計画の背景と目的 1 生涯学習とは 2 生涯学習を取り巻く環境 3 刈谷市の概況 4 刈谷市における生涯学習の現状と課題 第 1 章 計画の背景と目的 第 1章 計画の背景と目的 1 生涯学習とは 生涯学習とは、生活水準や職業上の能力の向上、自分の価値観に従った生き方の実現(自己実現) を目指して、自発的な意思に基づき、生涯を通じて学ぶことです。 そして、生涯学習は家庭や学校及び地域社会の中で意図的・組織的な学習活動として行われるだけ でなく、スポーツ活動、文化活動、趣味・レクリエーション活動、ボランティア活動等の中でも行わ れるものです。 したがって、小・中学校や高校、大学等の学校、公民館・図書館・体育館等の社会教育施設の講座・ 教室、企業・事業所の研修、民間のカルチャースクールやスポーツクラブの講座等の組織的な学習だ けでなく、私たちが生活の中で関心のあるものを調べたり、ボランティア活動に参加したり、親子で スポーツを楽しんだりしながら、何かを学び取ることも生涯学習であるといえます。 このように、生涯学習は人々の生涯を通じて、多様な機会、方法により展開される学習活動全体を 指すものといえます。 3 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 2 生涯学習を取り巻く環境 (1)社会情勢・市民生活の変化 ①ライフスタイルの多様化と余暇時間の増大 今日、経済・社会の成熟化により、人々の価値観やライフスタイルは多様化、個性化していま す。また、仕事や家事に関わる時間が以前より減少するとともに、平均寿命が 80 歳を超えるよ うになり、自由時間の過ごし方について、一人ひとりの生きがいにつながる多様な選択肢が求め られつつあります。さらに、国際化や高度情報通信化の進展、広域交通網の整備等により、特に 個人レベルでの交流や情報の交換等がしやすくなり、自己実現の可能性が拡大しつつあります。 一方、物や情報のはんらん、経済・社会の変動、人と人とのつながりの希薄化に伴い、心の病 気や犯罪など、個人が抱える内面的な危うさが顕在化することも多くなっています。 図表 1- 1 一日の生活時間の推移 (時間.分) 平成3年 10. 25 平成8年 10. 32 7.18 6.09 平成13年 10. 34 7.00 6.26 平成18年 10. 35 7.04 6.21 一次活動 (睡眠、食事など 生理的に必要な時間) 7.39 二次活動 (仕事、家事など 社会生活活動時間) 5.56 三次活動 (余暇活動など 自由に使える時間) 資料:総務省「社会生活基本調査」 注)15 歳以上、週全体の総平均時間 4 第 1 章 計画の背景と目的 ②知識基盤社会の進行や経済・社会の変化 21 世紀は新しい知識が経済・社会のあらゆる領域で基盤となり、重要性を増す「知識基盤社会」 の時代であるといわれています。そのような社会では、知識を新たに創造していくことの価値が 高くなり、常に主体的に学び続けることが重要となります。また、国際化、情報化、科学技術が 急速に進展しており、経済・社会の変化に対応していく必要があります。このように、現代は生 涯にわたり学んでいくことが大切な時代となっています。 ③家庭や地域の教育力の低下 核家族化、少子化、都市化、地縁的なつながりの希薄化等により、家庭や地域の教育力の低下 が指摘されています。子どもの基礎的な生活習慣を形成し、子どもの安定した情緒や豊かな心を はぐくんでいくためには、家庭や地域の教育力が欠かせません。社会全体で子どもを育てる視点 から、学校・家庭・地域の連携が求められています。 図表 1- 2 刈谷市の家族類型別世帯数の推移 (世帯) 35,000 平成12年 30,000 平成17年 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 核家族世帯 その他の 親族世帯 親族世帯 非親族世帯 単独世帯 資料:平成 17 年国勢調査 注)核家族とは、夫婦のみ、又は夫婦と未婚の子どものみで構成されている家族を指す。 5 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 ④高齢化 生活の質を向上するためには、生涯にわたり、心身の健康の維持や向上に努めることが重要で あり、生涯学習においては知の側面と同時に、体の側面も重要になります。現在、団塊の世代の 高齢化による高齢者の急速な増加が見込まれ、心身共に元気な高齢者づくりを推進し、各人の人 生を豊かにするとともに、医療費等の増大の抑制につながるという視点を持つことも重要になり ます。特に、計画期間内では、退職した後の団塊の世代の人々を地域に迎える体制の充実が求め られます。 図表 1- 3 刈谷市の人口推計と高齢化率の推移 (人) (%) 180,000 150,000 30.0 142,133 159,729 161,522 162,184 153,365 157,017 25.4 148,622 25.0 23.0 21.5 120,000 65歳~ 15~64歳 0~14歳 高齢化率 20.0 20.7 19.0 90,000 15.0 15.8 13.4 60,000 10.0 30,000 5.0 0 0.0 H17 H22 H27 H32 H37 H42 H47 資料:人口問題研究所「将来人口推計」 6 第 1 章 計画の背景と目的 ⑤地域社会の連帯感の低下 消費文化の定着、労働時間の低減、少子化・核家族化の進展等により、個人中心の生活様式が 広がった現在、人と人との連帯感が低下してきています。特に、本市では活発な産業を背景に、 市外から多くの人を受け入れており、これらの人と地域社会とのつながりが希薄になりがちな都 市構造をもちます。これらは、子ども同士のふれあいの機会の減少等にもつながり、子どもたち のたくましさや社会性の低下を引き起こす懸念が生じています。 一方で、行政面では地方分権が進み、地方の個性がクローズアップされる中で、地域づくりを 再度見直し、地域社会における新たな人のつながりを生み出していく必要があります。 ⑥市民協働のまちづくり 国の地方分権改革により、地域における生活者としての視点がより重視されるようになってき ました。これまでは、市民の暮らしに必要な公共サービスは行政が主に提供してきましたが、法 的制度を前提とした公平な行政によるサービスだけでは、今日の複雑化・個別化する市民のニー ズに効果的に対応するのは難しい状況になっています。行政と市民が協力しあいながら必要な施 策を考えて進めていく「市民協働」を柱とするまちづくりが必要です。 7 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 (2)国の動き 我が国では、昭和 56 年の中央教育審議会答申「生涯教育について」において、 「人々は、自己 の充実・啓発や生活の向上のため、適切かつ豊かな学習の機会を求めている。これらの学習は、 各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とするものであり、必要に応じ、自己に適した手 段・方法は、これを自ら選んで、生涯を通じて行うものである。」と生涯学習が定義されました。 昭和 59 年には臨時教育審議会が設置され、昭和 60 年から昭和 62 年にかけて出された答申で は、学歴社会から生涯学習体系への移行が我が国における重要な課題として提起されています。 平成2年には「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律(通称:生涯学 習振興法)」が制定され、翌年、文部省(現:文部科学省)が告示した「生涯学習の振興に資す るための都道府県の事業の推進体制の整備に関する基準」で、生涯学習の振興を図るために行政 が担うべき役割が明確に示されました。 このような生涯学習推進の動きの中で、平成2年に文部省(現:文部科学省)内に「生涯学習 審議会」が設置(平成 13 年に文部科学省内に中央教育審議会生涯学習分科会として再編)され、 教育全般のあり方を審議する中央教育審議会とともに、変化する社会の状況に合わせた生涯学習 推進のための方策等について今日まで審議が重ねられています。平成4年の「今後の社会の動向 に対応した生涯学習の充実方策について」、平成 10 年の「社会の変化に対応した今後の社会教育 行政の在り方について」 、平成 11 年の「生活体験・自然体験が日本の子どものこころをはぐくむ」、 平成 12 年の「新しい情報通信技術を活用した生涯学習の推進方策について」等の答申が相次い で出され、変化する社会状況に合わせた生涯学習推進の方策が、その都度提示されています。 さらに、平成 13 年に改正された「社会教育法」では、家庭教育が教育委員会の事務とされる 等、家庭教育重視の傾向が強まりました。平成 14 年度からは、完全学校週5日制が始まり、そ れに伴って中央教育審議会答申「青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について」では、青 少年の奉仕・体験活動の推進が求められています。 また、家庭や地域の教育力の低下、異年齢・異世代間交流の減少、問題行動の深刻化等、若年 層に関わる社会的課題を背景に、学校の校庭や教室等に安全で安心して活動できる子どもたちの 居場所(活動拠点)を緊急に用意する「地域子ども教室推進事業」を中心とした「子どもの居場 所づくり新プラン」が平成 16 年3月から実施されています。 平成 18 年に改正された教育基本法では、新たに生涯学習の理念が明記され、平成 20 年に策定 された教育振興基本計画においても、だれもが生涯にわたっていつでもどこでも学べる環境づく りが取り組むべき施策として盛り込まれ、生涯学習社会の実現が求められています。 平成 20 年には、中央教育審議会答申「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について~ 知の循環型社会の構築を目指して~」が出され、新しい時代に対応し自立した個人や地域社会の 形成に向けた生涯学習振興・社会教育の重要性が示されました。今後の生涯学習の振興において は、個人の要望や社会の要請から一人ひとりの生涯を通じた学習を支援し、その学習成果を活用 することにより社会全体の教育力が高まり、新たな学習の需要が起こる「知の循環型社会」の構 築が必要であるとしています。 8 第 1 章 計画の背景と目的 図表 1- 4 今後の生涯学習振興方策の基本的方向 学習成果の活用 一人ひとりの生涯を通じた学習への支援 + 社会の要請 ○変化に対応し、社会を生き抜く力 (「生きる力」等)の育成 ○多様な学習機会、再チャレンジ可能な 知の循環型社会の構築 個人の要望 社会全体の教育力の向上 環境の整備、相談体制の充実 ○学習成果の評価の通用性 学校 + 家庭 + 地域 ○身近な地域における家庭教育支援 ○学校を拠点に地域ぐるみで子どもの 教育を行う環境づくり ○社会教育施設等とのネットワーク化 など ○大学等との連携 など 新たな学習の需要 資料:「新しい時代を切り開く生涯学習の振興方策について~知の循環型社会の構築を目指して~」(中央教育審議会) 9 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 (3)愛知県の動き 愛知県では、平成5年に「愛知県生涯学習審議会」が設置され、平成7年には「21 世紀を展望 した愛知県の生涯学習振興の基本方策について」の答申が行われました。 この答申を受け、愛知県における生涯学習推進体制が整備され、生涯学習推進本部が設置され ました。平成8年3月には、推進本部により、生涯学習施策の方向や主要な事業を示した「愛知 県生涯学習推進構想」が策定され、現在この構想に基づき「学習機会の拡充」、 「学習環境の整備」、 「学習成果の評価と活用」の3つの柱に体系化された生涯学習施策が推進されています。 また、生涯学習審議会では、平成9年2月に「リカレント教育の振興方策について」、平成 11 年1月に「愛知県における生涯学習情報ネットワークの在り方について」の報告が行われました。 そのほか、平成 15 年には「愛知県生涯学習推進センター」が開設されたほか、現在、各種講座 の開催や生涯学習情報誌発行等の事業が行われています。 さらに、平成 17 年2月に出された「愛知の教育を考える懇談会 最終報告」や、平成 18 年3 月に策定された「新しい政策の指針」の内容を受け、平成 19 年4月に「あいちの教育に関する アクションプラン」が策定され、「自らを高めること」と「社会に役立つこと」を基本的視点と した「あいちの人間像」の実現を目指し、家庭・地域・学校の協働による教育が推進されていま す。 10 第 1 章 計画の背景と目的 (4)刈谷市における取組 ①上位計画 本市では、平成 15 年に第6次刈谷市総合計画を策定し、平成 24 年を目標年次として構想の実 現を目指しています。 この中では、 「まちづくりの6つの方針」の1つとして、 「魅力ある市民の生きがいづくり」を 掲げ、以下のような方針を示しています。 都市が魅力的であるためには、そこに住む人、働く人、学ぶ人、そして遊ぶ人々が、皆いきい きと魅力的でなければなりません。 子供たちは日々喜びに満ち、若者は夢と希望を持ち、さらにすべての市民が生きがいのある充 実した人生を送ることができるよう、福祉の行き届いた生涯学習をめざしたまちづくりを進めま す。 また、 「施策展開のための5つの基本方針」の中では、 「個性的で心ゆたかな人を育てるまちづ くり」と題し、21 世紀の刈谷市が魅力的な人々であふれるよう、全市民的な生涯学習による「ひ とづくり」を進めることとし、以下の6つの考え方を示しています。 ・基礎教育は、人格形成のために大変重要です。幼児教育も義務教育も生涯学習の体系の中に位 置づけ、個性を尊重し、やさしい気持ちや郷土愛に富んだゆたかな心を育てます。また、知識、 技能を修得させるとともに、ゆたかな創造性を育む教育を進めます。 ・家庭の教育力や地域の教育力を高め、いきいきと活動的な青少年を育てます。 ・生涯学習推進計画の策定や拠点整備を行い、すべての市民がいつでも自由に参加し活動できる よう、学習機会の充実と環境整備を進めます。 ・社会の多様化、ソフト化に伴い、いろいろな分野での人材不足が予想されます。例えば、新し い産業を支える専門技術者や情報化要員、市民の健康を支える医療要員やカウンセラー、高齢 者や障害者のための介護要員、地域づくりのためのリーダーなど、多様な人材が必要とされま す。こうしたニーズに対応するため、埋もれた人材を掘り起こすとともに、優れた人材の育成 に努めます。 ・文化活動やスポーツ活動は、生涯学習のための重要な要素です。すべての市民が「一文化一ス ポーツ」に親しめるよう、身近な活動施設を始めとする環境整備を進めます。同時に、より優 れた文化、より高度なスポーツにふれられるような機会の創出と場の整備を進めます。 ・21 世紀には労働時間の短縮が進み、長期休暇もさらに拡大し、自由時間の活用はゆたかな暮ら しのための大切なポイントとなるでしょう。この自由時間を市民が有意義に活用できるよう、 各種の情報提供を行うとともに、保養施設や野外活動施設などの整備充実に努めます。 11 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 これらの基本方針の下で、 「生涯学習」を始めとした「幼児教育」、 「義務教育」、 「高校・大学」、 「青少年育成」、 「社会参加活動」、 「スポーツ」、 「文化・芸術」、 「男女共同参画」といった、生涯 学習に密接に関連する分野を含む9項目を、主要施策として挙げています。 第6次刈谷市総合計画における「生涯学習」分野では、以下のような都市像を設定しています。 ○性別、世代を超えたすべての人が、生涯学習に対する意欲を持って活動しています。 ○いつでもどこでも生涯学習に関する情報を得ることができます。 ○気軽に参加できる生涯学習の場、活動拠点となるグループがあります。 ○自らが生涯学習で得た知識や経験を基に、指導者になろうとする人材が育っています。 ②生涯学習推進計画 刈谷市では、平成 17 年3月に、平成 17~26 年度を計画期間として第2次刈谷市生涯学習推進 計画を策定しました。「自ら求め 自ら満たし 生きがいをもつ 生涯学習都市」を基本理念と して、計画の実現に向け「低年齢からのひとづくり」、 「学習機会の提供」、 「生涯学習施設の運営・ 整備」、「学習情報の提供・相談体制の充実」「学習活動の支援と活性化」「地域・民間との協働」 の6分野で施策を展開しています。 ③その他の関連計画 総合計画を上位計画として、様々な計画が策定されており、生涯学習に関連する分野において、 「刈谷市男女共同参画プラン」、 「刈谷市次世代育成支援行動計画」、 「刈谷市地域福祉計画」及び 「刈谷市環境基本計画」等が策定されています。 12 第 1 章 計画の背景と目的 3 刈谷市の概況 (1)地勢 本市は愛知県のほぼ中央に位置し、中部圏の中核都市名古屋から 20km の位置にあります。 国道1号、23 号等の幹線道路が市の中央部を横断しているほか、JR 刈谷駅は JR 名古屋駅か ら 16 分と交通の便にも恵まれています。市の中央部には自動車関連産業の工場が並ぶ一方、 市北部の丘陵地には畑作中心の農村地帯、市南部には豊かな田園が整備され、近代農業が盛ん に行われています。 図表 1-5 刈谷市の位置 図表 1- 6 刈谷市の地域区分 13 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 (2)人口 平成 17 年国勢調査における本市の人口は、141,522 人となっています。 図は、平成 17 年国勢調査から本市と全国の年齢別人口構成を比較したグラフです。比較の ため、本市の男女別年齢別人口を基準にし、全国の男女別年齢別人口構成率を本市の人口に乗 じた数字を用いています。 本市の年齢別人口構成は、全国の傾向と同じく、50 歳代後半(いわゆる「団塊の世代」)及 び 20 歳代後半~30 歳代前半の人口が多く、65 歳以上の人口は少なくなっています。また、20 歳代~30 歳代及びその子どもの世代が多いことが特徴的ですが、これは自動車関連産業の集積 地であることと強い関係があると考えられます。 図表 1- 7 刈谷市と全国の人口に占める年齢別人口構成 100~ 男 性 女 性 95~99 90~94 刈谷市 全国 85~89 80~84 75~79 70~74 65~69 60~64 55~59 50~54 45~49 40~44 35~39 30~34 25~29 20~24 15~19 10~14 5~9 0~4 8,000 6,000 4,000 2,000 0 0 2,000 4,000 6,000 8,000 資料:平成 17 年国勢調査 14 第 1 章 計画の背景と目的 (3)産業 本市の産業別就業人口は、第二次産業及び第三次産業がそれぞれ 5 割弱となっています。本 市は、輸送用機械器具製造業を中心に内陸工業地帯の中核として発展してきたため、中でも製 造業の就業人口が最も多く、全体の 42.2%を占めています。 図表 1- 8 刈谷市産業別就業者割合 0 20 40 60 47.6 1.5 第一次産業 80 100(%) 1.9 49.1 第二次産業 第三次産業 分類不能の産業 資料:平成 17 年国勢調査 図表 1- 9 刈谷市産業別就業者人口 第一次産業 第二次産業 農業 1,134 林業 - 漁業 5 鉱業 4 建設業 4,082 製造業 31,840 電気・ガス・熱供給・水道 第三次産業 171 情報通信業 1,021 運輸業 2,722 卸売・小売業 10,051 金融・保険業 1,089 540 不動産業 飲食店,宿泊業 3,349 医療,福祉 4,059 教育,学習支援業 2,706 複合サービス事業 521 サービス業(他に分類されないもの) 9,594 公務(他に分類されないもの) 1,219 1,409 分類不能の産業 資料:平成 17 年国勢調査 15 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 (4)歴史・文化 戦国の時代、尾張国緒川から刈谷へ進出してきた水野氏が、刈谷城を核とした城下町を形成 したことから、刈谷の町・村が拡大していきました。その後、明治 21 年に東海道本線が開通 し、刈谷駅が設置され、大正3年には三河鉄道(現名古屋鉄道)も開通する等、交通の要衝と して工業・商業が発展してきました。 昭和 25 年4月1日に、県下 11 番目の市として刈谷市が誕生し、同 30 年に碧海郡富士松村 と依佐美村の一部を合併することにより現在の市域を形成しました。 このような長い歴史を持つ本市は、89 件の指定文化財及び1件の登録文化財を有しています。 図表 1- 10 刈谷市の文化財 国指定 天然記念物 県指定 市指定 1 合計 2 3 絵画 3 8 11 彫刻 2 8 10 10 10 13 14 1 1 工芸品 1 史跡 建造物 書跡 3 7 10 考古資料 1 10 11 古文書 9 9 典籍 1 1 有形民俗文化財 6 6 1 2 3 11 77 89 無形民俗文化財 合計 1 1 国の登録文化財 資料:文化振興課 16 第 1 章 計画の背景と目的 4 刈谷市における生涯学習の現状と課題 本市におけるこれまでの生涯学習への取組を踏まえ、今後の課題を以下のように整理します。 (1)低年齢からのひとづくり ・家庭におけるひとづくり ・学校におけるひとづくり ・地域におけるひとづくり (2)学習機会の提供 ・市民ニーズにこたえる学習機会の提供 ・時代の変化に対応したプログラムの充実 ・生涯にわたる学習活動の促進 (3)生涯学習施設の運営・整備 ・施設の有効活用と使いやすさの向上 (4)学習情報の提供・相談体制の充実 ・情報提供の充実 ・相談体制の充実 (5)学習活動の支援と活性化 ・団体の自主的活動の支援 ・学習成果の発表・評価と人材活用 ・指導者の養成と活用 (6)地域・民間との協働 ・自立した地域団体の確立 ・民間との役割分担 ・多様な団体・機関との連携 ・推進体制の充実 17 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 (1)低年齢からのひとづくり ①現状と課題 ■社会環境の変化による家庭・地域の教育力の低下 全国的な核家族化の進行、地域の連帯意識の希薄化等により、家庭や地域の教育機能の低下 が懸念されています。特に本市の特徴として、核家族が多いこと、市外からの転入者の割合が 高いこと等があげられ、教育機能の低下を招きやすい環境にあるといえます。 家庭においては、子育てについての不安や悩みを抱えている親も多く、様々な家庭環境に対 応できる幅広い支援が求められています。また、学校に対する期待として、基礎学力の向上だ けでなく、多様な経験・価値観を学ぶ場、自分で考え、他の人を思いやりながら協力して行動 する「生きる力」をはぐくむことが求められるようになっています。さらに、地域においては、 都市化の進展により近所づきあいが少なくなっていることを背景に、地域全体で子どもを安全 に育てることができる環境づくりが求められています。 図表 1- 11 子育てに不安感や負担感を感じることがあるか 0 20 就学前児童の 保護者 7.9 小学生児童の 保護者 9.2 非常に感じる 40 60 57.7 25.4 53.7 時々感じる 80 29.6 あまり感じない なんともいえない 100 (%) 6.8 5.8 2.2 1.6 不明・無回答 資料:刈谷市「次世代育成支援に関する市民アンケート調査」(平成 21 年) 18 第 1 章 計画の背景と目的 ■刈谷市の取組 本市では、子育て支援センターを3カ所開設するとともに、講座や教室を多数開催し、子育 て家庭の支援を充実させてきました。また、ハツラツかりやっ子育成支援事業や放課後子ども 教室などを通じ、地域におけるひとづくりを支援しています。また、学校では職場体験や保育 実習など、多様な学習機会を提供しています。 今後も、家庭、学校、地域、行政の役割分担と連携を図りながら、長期的な視点に立ち、低 年齢からのひとづくりを進めていく必要があります。 図表 1- 12 学齢期の生涯学習概念図 19 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 ②課題の整理 ○家庭におけるひとづくり 家庭は生涯学習を推進する上で、その基盤になる部分を担っています。また、成人にな ってからも絶えず新たな課題に向かって学習を継続する力を、子どものうちに育てること が求められます。そのため、核家族化、少子化等が進行する中、子育て支援等の施策を進 めることにより、家庭の教育力の向上を図る必要があります。 ○学校におけるひとづくり 学校教育では、生涯にわたる人格形成の基礎を培うため、基礎的・基本的な内容の指導 を徹底しつつ、個性を生かす教育の充実を図るとともに、自己教育力の育成を図ることが 必要です。そのため、単なる知識や技能の習得だけではなく、子どもが自ら考え、主体的 に判断し、行動するために必要な資質や能力の向上を図る必要があります。 ○地域におけるひとづくり 心豊かな子どもたちを地域全体ではぐくむため、地域における様々な機関・団体、家庭、 学校の支援・協力のもとで、多様な体験活動の機会の提供や居場所づくり等を進める必要 があります。 20 第 1 章 計画の背景と目的 (2)学習機会の提供 ①現状と課題 ■市民の生涯学習の取組状況 過去1年間に生涯学習に取り組んだ人の割合は、75.0%と、前回調査より高くなりました。 その目的は「趣味・生きがいのため」「気分転換・ストレス解消・気晴らしのため」が多くな っています。それ以外では、10 歳代は「知識・教養を身につけるため」、60 歳以上は「健康・ 体力づくりのため」が多くなっています。今後も市民の生涯学習の取組を支援していくことが 重要です。 図表 1- 13 過去1年間の生涯学習の取組状況 0 20 前回調査 (平成15年) 40 60 80 69.2 今回調査 (平成21年) 100(%) 30.8 75.0 過去1年間に生涯学習に取り組んだ 25.0 過去1年間、生涯学習に取り組んでいない 資料:平成 21 年度 生涯学習に関する市民意識調査 図表 1- 14 生涯学習を行う目的(上位5項目) 0 20 40 60 80(%) 65.4 趣味・生きがいのため 55.2 気分転換・ストレス解消・気晴らしのため 48.5 健康・体力づくりのため 41.8 知識・教養を身につけるため 30.1 友人や仲間づくりのため 資料:平成 21 年度 生涯学習に関する市民意識調査 21 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 ■今後取り組んでみたい生涯学習と取り組む際の課題 市民意識調査によると、市民の9割以上が「健康・スポーツ」や「文化鑑賞」をはじめ、何 らかの生涯学習に取り組んでみたいと考えており、生涯学習に積極的であるといえます。一方、 生涯学習に取り組む際には、「費用がかかる」「講座などの開催時間が合わない」「きっかけが つかめない」などが問題となっていることがわかります。これらの問題に対応しながら、市民 の積極的な取組を支援していくことが必要です。 図表 1- 15 今後取り組んでみたい生涯学習(現在からの継続も含む)(上位5項目) 0 20 40 60 80(%) 47.8 健康・スポーツ 33.3 文化鑑賞 27.3 家庭生活に関する知識の習得 22.1 パソコン・インターネットの使い方 19.5 職業上必要な知識の習得 資料:平成 21 年度 生涯学習に関する市民意識調査 図表 1- 16 生涯学習に取り組むときの問題点(上位5項目) 0 20 40 60 80(%) 36.3 費用がかかる 30.9 講座などの開催時間が合わない 26.1 きっかけがつかめない 希望する内容の講座や教室がない 18.2 身近なところに施設や場所がない 18.1 資料:平成 21 年度 生涯学習に関する市民意識調査 22 第 1 章 計画の背景と目的 ■余暇時間 自由に使いやすい時間は、「土曜日の午後」「日曜日・祝日の午後」「平日の午前」など幅広 く分散していますが、10 歳代は「日曜日・祝日の午後」が高い一方、60 歳以上は「平日の午 「平 前」 「平日の午後」が高くなっており、会社員、公務員・団体職員、学生は「平日の午前」 日の午後」の割合が低く、専業主婦、無職は同時間帯の割合が高いなど、属性別で傾向が異な っていることから、多様な市民への学習機会を提供していくためには、それぞれの余暇時間の 傾向を踏まえ、講座の開催日や開催時間を設定していく必要があります。 図表 1- 17 自由に使いやすい時間帯 0 20 40 土曜日の午後 32.4 日曜日・祝日の午後 30.8 60 80 (%) 29.4 平日の午前 27.8 平日の午後 26.8 日曜日・祝日の午前 24.9 土曜日の午前 土曜日の夜間 23.7 平日の夜間 23.1 20.1 日曜日・祝日の夜間 12.4 自由になる時間がほとんどない 資料:平成 21 年度 生涯学習に関する市民意識調査 ■刈谷市が力を入れるべきこと 市民意識調査では、「誰でも気軽に参加できるような講座を増やす」の割合が最も高くなっ ています。ターゲット層に合わせた講座内容や時間設定、気軽に参加できるような回数設定や 料金設定を検討し、生涯学習に取り組むきっかけづくりを行うことが必要です。 図表 1- 18 刈谷市が力を入れるべきこと(上位5項目) 0 20 40 60 80 (%) 56.1 誰でも気軽に参加できるような講座を増やす 情報提供や相談機能を充実させる 25.0 職業に役立つ内容の講座を増やす 20.4 子育て支援やボランティアなど、社会に役立つ 講座を増やす 20.1 インターネット、通信教育など在宅での生涯 学習の機会を増やす 19.3 資料:平成 21 年度 生涯学習に関する市民意識調査 23 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 ■高齢者の急速な増加 本市の高齢化は今後急速に進むことが予想され、特に現在 50 歳代後半の団塊の世代が多く 定年を迎え、職場から地域に戻ってくることが想定されます。これらの高齢者は、技能・知識 を有し、学習意欲も高いと考えられるため、その健康づくり・生きがいづくりを支援していく 必要があります。 図表 1- 19 刈谷市における高齢者数と高齢化率の推移 単位:人(%) H11 H16 H21 H26 総高齢者 14,400(11.0) 17,767(12.8) 21,679(14.9) 26,497(17.2) 前期高齢者(65~74 歳) 7,582( 5.8) 8,704( 6.3) 12,548( 8.6) 15,003( 9.7) 後期高齢者(75 歳以上) 6,818( 5.2) 9,063( 6.5) 9,131( 6.3) 11,494( 7.5) 資料:刈谷市の統計(各年4月1日現在) (平成 26 年は老人福祉計画(第4期)推計値) ■刈谷市の取組 本市では、多様な市民ニーズにこたえるために体系化した学習プログラムを構築し、受講者ア ンケートなどを通じて市民の意見を取り入れ、充実したプログラム編成に努めています。また、 環境や福祉など、社会の要請にこたえる多様なプログラムを提供しているほか、高齢者向け講座 も充実させ、健康増進やいきがいづくりに取り組んでいます。 また、多様なライフスタイルに合わせ、平日夜間や休日にも講座・教室を開催したほか、託児 付きの講座を増やすなどの取組も行っています。 市民意識調査では、気軽に参加できる講座の開催のニーズが高くなっています。費用や時間、 場所などの問題のほか、きっかけがつかめないという市民の意見も多く、市民のニーズに対応し た学習機会を提供していくためには、生涯学習に取り組むきっかけとなるような講座設定を行う 必要があります。 また、プログラムの提供に当たっては、地域や民間との協働や役割分担を進めていく必要があ ります。 図表 1- 20 刈谷ふれあいカレッジにおける講座・教室数(平成 21 年度) コース名 内容 講座・教室数 芸術・芸能コース 音楽、書道、陶芸、工芸、茶道、展覧会、娯楽、演劇 スポーツ・健康コース 水泳、球技、健康づくり、その他のスポーツ 創造・科学コース 農業、気象・天文、生物 16 件 人間社会コース 情報・通信、福祉、男女共同参画、環境 31 件 国際・文化教養コース 文学、語学、歴史、国際交流 51 件 総合・体験コース 講演会、参加・体験、発表会、イベント 51 件 家庭生活コース 教育・保育、道徳、料理、被服、人生設計、消費生活、美容 合 計 97 件 112 件 125 件 483 件 ※生涯学習情報誌「よかよかガイド」掲載分。他機関・近隣開催の講座・教室は除く 24 第 1 章 計画の背景と目的 ②課題の整理 ○市民ニーズにこたえる学習機会の提供 市民ニーズに対応した学習機会を提供していくためには、学習者のニーズの把握に努め ながら、プログラムの内容だけでなく、開催場所や曜日、時間等についても柔軟なサービ ス提供体制を整える必要があります。 また、そのためには、行政と民間それぞれの役割を明確にし、サービス提供での協働や 分担を行っていくことが重要になります。 ○時代の変化に対応したプログラムの充実 多様化する学習方法や市民ニーズを把握し、変化しつづける社会情勢を適確にとらえた プログラムの提供を進めていく必要があります。 ○生涯にわたる学習活動の促進 幼少期から高齢期まで、市民の生涯にわたる学習活動を支援するためには、人生の各時 期における学習目標をあらためて整理した上で、施策を進めていく必要があります。 特に、団塊の世代の人たちが定年を迎え、地域に多くの高齢者が戻ってくることに対応 し、生きがいが持てる地域社会を形成するとともに、高度な知識や技術を持った高齢者の 社会参加を促進するための方策を検討していく必要があります。 25 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 (3)生涯学習施設の運営・整備 ①現状と課題 ■地域における生涯学習の拠点整備 生涯学習都市の実現のためには、市民のだれもがどこでも学習活動に取り組める環境が必要で あり、活動の拠点となる施設の整備が不可欠となります。その拠点施設の適正な配置を行うため の地域区分として「日常生活圏」、「交流圏」、「全市圏」といった3段階の「学習圏」を設定し、 それぞれの圏域が担う役割と施設整備の考え方を次のように整理しています。 図表 1- 21 学習圏の圏域、施設機能及び主な施設 学習圏 圏域 施設機能 施設(例) ¾ 日常生活に関わる課題の学習や地域 日常生活圏 22 の行政区や 小学校区 住民相互の交流を図ることを目的とし、 市民館 生涯学習の基盤を形成する 幼稚園や小学校等の ¾ 市民が地域に根ざした活動を行う環境 施設開放など を整える 交流圏 「北部」、「中 ¾ より広域な範囲での地 域間交流 や、よ 部」、「南部」の り充実した設備機能を地域住民へ提供 3圏域 する 生涯学習センター 中学校の施設開放など ¾ 日常生活圏や交流圏では充足しにくい 高度で専門的な学習ニーズに対応する 全市圏 全市域 ¾ 市民の学習活動における中核的な施設 や、専門的な機能を持った施設を整備 する 26 美術館 総合運動公園など 第 1 章 計画の背景と目的 図表 1- 22 刈谷市の主な公共施設(平成 22 年3月現在) 分類 数 該当施設 学習・ 教育関連施設 北部生涯学習センター、南部生涯学習センター、中央生涯学習セ 文化施設 生涯学習センター 3 中央公民館 1 社会教育センター 地域公民館 4 東刈谷公民館、富士松公民館、小垣江公民館、北部公民館 市民館 22 井ケ谷市民館ほか 図書館 3 中央図書館、城町図書館、富士松図書館 芸術・文化施設 4 保健施設 1 ンター(平成 22 年4月開館) 市民会館(平成 22 年3月閉館)、美術館、郷土資料館、市民ホール (平成 22 年4月開館) 保健センター 保健福祉施設 生きがいセンター、青葉老人センター、東刈谷老人センター、富士 高齢者施設 9 松老人センター、小垣江老人センター、北部老人センター、高齢者 交流プラザ、ぬくもりプラザ、いきいきプラザ 青葉児童館、中央児童館、東刈谷児童館、富士松児童館、小垣江 児童施設 10 児童館、北部児童館、一ツ木児童館、あおば子育て支援センター、 南部子育て支援センター、北部子育て支援センター 障害者施設 1 心身障害者福祉会館 球場 1 刈谷球場 小垣江グラウンド、井ケ谷グラウンド、港町グラウンド、日高公園グ グラウンド 8 ラウンド、原崎公園グラウンド、野田公園グラウンド、青山公園グラ ウンド、狩野公園グラウンド 野外活動・ レクリエーション施設 2 ウェーブスタジアム刈谷、グリーングラウンド刈谷(総合運動公園) 広場 3 亀城公園運動広場、金山運動広場、双葉小学校分離校予定地 体育館 2 体育館、ウィングアリーナ刈谷 プール 3 洲原温水プール、ウォーターパレスKC、ウィングアリーナ刈谷 テニスコート 5 運動公園 1 総合運動公園 総合公園 3 亀城公園、洲原公園、岩ケ池公園 近隣公園 7 街区公園 86 相生公園、神明公園ほか 63 須賀児童遊園、沖野児童遊園ほか 児童遊園・広場・遊 園 住吉テニスコート、狩野公園テニスコート、洲原テニスコート、神田 公園テニスコート、塩田テニスコート 日高公園、原崎公園、野田公園、青山公園、狩野公園、小垣江公 園、猿渡公園 十朋亭、交通児童遊園、産業振興センター、洲原ロッジ、市民ボラ その他 8 ンティア活動支援センター、市民休暇村、生きがい楽農センター、フ ローラルガーデンよさみ 27 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 ■施設の運営・整備 学習圏を基礎とした学習活動拠点整備を進めるため、南部生涯学習センターに続き、北部生 涯学習センター及び中央生涯学習センターを整備したほか、ウィングアリーナ刈谷や刈谷市体 育館武道施設等、専門的施設の整備も進めました。また、「歴史の小径」を活用した歴史学習 や休耕地での市民菜園の実施、市民休暇村の運営等により、生涯学習の場として史跡や自然環 境を活用することを促進しています。 今後は、すべての市民がどこでも自分に合った学習ができる環境を目指し、生涯学習施設の 運営について検討していく必要があります。 ■既設施設の有効活用と使いやすさの向上 学校施設である体育館やグラウンドを開放し、既存施設の活用を進めるとともに、学習施設 のバリアフリー化や無料で利用できる公共施設連絡バスの増便などを通して、施設の利用環境 やアクセス環境を向上させてきました。 また、公共施設予約案内システムを更新し、抽選結果のメール配信など使いやすさの向上や セキュリティの強化を行っています。 さらに、図書館のインターネット予約や配送システムの確立による貸出返却の利便性向上な ど、市民のニーズに対応した施設サービスの提供にも努めています。 今後も企業等の施設について一層の施設開放を依頼していくほか、学校施設・機能の地域へ の開放について、総合型地域スポーツクラブ等の地域活動への支援と併せて検討していく必要 があります。また、サービスの継続・改良を進めながら、施設環境の更なる向上を目指してい く必要があります。 28 第 1 章 計画の背景と目的 ②課題の整理 ○施設の有効活用と使いやすさの向上 生涯学習センターや市民センター、市民館など既存の学習施設が、市民に積極的に活用 されるように、適切に運営していく必要があります。また、市民が施設をより快適に利用 することができるよう、利用条件や利用時間の拡大等、市民ニーズに合わせた柔軟な施設 運営の検討を進めるほか、公共施設連絡バスの運行の充実によるアクセス環境の向上等、 だれもが快適に利用できる施設環境を実現していく必要があります。 さらに、企業等の施設及び学校施設についての更なる開放促進など、多様な施設の活用 を進めていくほか、施設の活用を促進するため、公共・民間における利用可能な施設に関 する情報を積極的に提供していく必要があります。 29 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 (4)学習情報の提供・相談体制の充実 ①現状と課題 ■生涯学習の浸透 平成 21 年度に実施した市民意識調査によると、「生涯学習」という言葉の認知率は、平成 15 年度における前回調査の 83.0%から 88.9%へと高くなっており、「生涯学習」という言葉が市民 生活に浸透しているといえます。一方、言葉の理解率については、64.4%から 53.6%へと後退し ており、言葉の浸透は進んだものの、意味の理解は進んでいないことがわかります。 今後も、市民の生涯学習への理解を促進し学習活動を活発にしていくため、啓発や情報提供に 努める必要があります。 図表 1- 23 0 20 「生涯学習」について 40 60 53.6 聞いたことがあり、 意味も知っている 100 (%) 80 35.3 聞いたことはあるが、 意味は知らない 11.1 聞いたことがない 資料:平成 21 年度 生涯学習に関する市民意識調査 ■相談体制 市民の学習活動を支援・援助するため、担当部署において生涯学習に関する相談への対応を行 っています。また、担当職員を資格取得の研修に派遣し、相談機能の強化を図っています。 今後の課題としては、市民がより気軽に相談ができるよう、地域に根ざした相談体制の確立が 挙げられます。 30 第 1 章 計画の背景と目的 ■生涯学習情報の提供 生涯学習の情報源としては、「友人・知人」が最も多くなっていますが、10 歳代は「職場や学 校、地域のチラシ・情報誌」、20~40 歳代は「インターネット」、50 歳代は「友人・知人」、60 歳代以上は「市民だより」の割合が最も高く、年齢層により情報媒体が異なっています。 本市では、生涯学習情報誌「よかよかガイド」を年2回発行し、各種イベントや他機関のプロ グラム等を含めて、総合的に情報を提供しています。さらに、市民だより、刈谷市ホームページ 等の多様な情報媒体を積極的に活用し、市民に対する情報提供を進めています。 また、クラブ・サークル等名簿による各種団体の紹介や生涯学習指導者名簿による指導者の紹 介のほか、施設の予約・空き状況については公共施設予約案内システムにより情報提供を行って います。今後も、市民の多様な情報収集方法に対応し、きめ細かく効率的に情報提供を行うこと が必要です。 図表 1- 24 生涯学習の情報源(上位5項目) 0 20 40 60 80(%) 40.6 友人・知人 32.6 インターネット 29.1 市民だより 20.7 職場や学校、地域のチラシ・情報誌 18.4 民間のチラシ・情報誌 資料:平成 21 年度 生涯学習に関する市民意識調査 図表 1- 25 情報提供の種類 名称 市民だより 刈谷市ホームページ 回数 内容 月2回(1日、15 日)発行 講座・教室、イベント等の掲載 随時 講座・教室、イベント等の掲載 施設情報の掲載、予約システム 出前講座、市民講座、よかよかガイド、クラブ・サ ークル等名簿、生涯学習指導者名簿の掲載 生涯学習情報誌 年2回(4月、9月)発行 「よかよかガイド」 刈谷市、近隣市及び他機関が実施する講座・教 室、イベント等について、内容、日時、場所、対 象、費用等の掲載 クラブ・サークル等名簿 隔年(HP上は随時更新) クラブ・サークル等の掲載 生涯学習指導者名簿 隔年(HP上は随時更新) 生涯学習指導者の掲載 その他 随時 公共施設での講座、教室、イベントなどのチラシ 配布 資料:生涯学習課 31 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 ②課題の整理 ○情報提供の充実 市民に生涯学習を行うきっかけを提供するとともに、学習活動の充実を図るため、講座 やサークル、施設等について、対象者やメディアの特性を踏まえた効果的な情報提供を行 っていく必要があります。また、その上で、市民が必要に応じて生涯学習に必要な様々な 情報をいつでも、どこでも、だれでも自由に活用できるような、総合的な生涯学習情報シ ステムを整備していく必要があります。 ○相談体制の充実 市民の学習活動を支援するため、相談窓口の機能強化や地域における相談体制の確立等 を進め、市民が気軽に的確な助言、指導が受けられる環境を整える必要があります。 32 第 1 章 計画の背景と目的 (5)学習活動の支援と活性化 ①現状と課題 ■団体等の育成・支援 本市には、主に市民センター等で活動している自主クラブ・団体が多数存在しており、また、 その活動を支える刈谷市体育協会や刈谷文化協会等の組織団体も存在しています。そのほか、ス ポーツを通じて健全育成を推進する各種スポーツ団体や、野外活動や奉仕活動を推進するスカウ ト活動団体、更に企業援助によるクラブも存在し、特に刈谷少年発明クラブは、各種コンクール で優秀な成績を収めているほか、作品が特許を取得する等多くの実績を残しています。 本市では、こうした各種団体への支援や、ボランティア活動等の団体活動を積極的に行うこと のできる環境づくりに努めるほか、講座・教室の受講者同士の交流を呼びかけ、新たなグループ の結成を支援しています。 また、刈谷市民ボランティア活動支援センターを開設し、ボランティアを始めとする様々な市 民活動に関する情報の収集・提供や相談等の活動支援を行っています。一方で、総合型地域スポ ーツクラブを各中学地区で設立し、生活に密着した地域における自立的な活動の支援を行ってい ます。 一方で、クラブ・サークル等名簿の登録団体数は減少傾向にあり、既存団体の新たなメンバー の確保やメンバーの高齢化が課題となっています。今後力を入れたいことも「メンバーを増やし たい」が最も多く、情報発信の場の提供が求められています。 今後は、これらの活動を充実させ、活発化していくため、団体等に関する情報の収集・提供や、 情報発信の支援、活動場所の確保等、活動環境の整備を進めるほか、各団体等に対する助言・指 導等に努める必要があります。 図表 1- 26 クラブ・サークル等名簿登録団体数の推移 年度 クラブ・サークル等数 H17 H19 H21 446 団体 391 団体 347 団体 資料:クラブ・サークル等名簿 図表 1- 27 今後力を入れたい活動(上位5項目) 0 20 40 60 80(%) 61.5 メンバーを増やしたい 21.2 社会貢献やボランティア活動を充実させたい 14.7 様々な団体や人と交流したい 12.1 練習の回数を増やしたい 10.0 運営体制や運営資金などを充実させたい 資料:平成 21 年度 生涯学習登録団体アンケート 33 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 ■成果の活用 平成 20 年に実施された内閣府による「生涯学習に関する世論調査」によると、身に付けた知 識等の社会的評価について、「評価するのがよい」と回答した人の割合は 66.1%にのぼっていま す。その評価方法については、「学習成果を活用する機会を増やす(発表会・作品展示会などを 増やす、地域の生涯学習の指導者として活用するなど)」が最も多く、次いで「学習活動を証明 する(修了証・認定証を出す、表彰する、履歴書に生涯学習欄を設けるなど)」 「公的な資格の取 得に当たって評価する」「学習した経歴や経験を公的な機関が認証して、どの地域や団体でも通 用するようにする」となっています。 現在、本市では社会教育センター及び各市民センターで年1回学習発表会を開催していますが、 全市的なイベントは開催されていません。また、市民講座等を受講した市民に対し修了証を発行 し、身に付けた知識や技能を評価する制度をとっていますが、社会に認められるような制度には 至っておらず、積極的な学習の契機とはなっていないのが現状です。今後、発表の場の充実や講 師としての活用、顕彰・認定制度の検討など、適切な評価制度の確立についての検討が必要であ ると考えられます。 図表 1- 28 身につけた知識等の社会的評価 0 20 40 35.4 60 80 30.7 100 (%) 13.4 19.7 0.8 何らかの形で 社会的に評価する ことが望ましい 一定水準以上の ものを、社会的に 評価するのがよい その他 わからない 社会的に評価 すべきではない 資料:内閣府「生涯学習に関する世論調査」(平成 20 年) 図表 1- 29 身につけた知識等の評価方法(上位4項目) 0 学習成果を活用する機会を増やす(発表会・作品展 示会などを増やす、地域の生涯学習の指導者とし て活用するなど) 学習活動を証明する(修了証、認定証を出す、表彰 する、履歴書に生涯学習欄を設けるなど) 20 40 60 80(%) 35.3 32.8 31.5 公的な資格の取得に当たって評価する 学習した経歴や経験を公的な機関が認証して、ど の地域や団体でも通用するようにする 30.7 資料:内閣府「生涯学習に関する世論調査」(平成 20 年) 34 第 1 章 計画の背景と目的 ■指導者の養成と活用 本市では生涯学習指導者名簿を作成しています。平成 20 年 11 月時点で、264 人(実人数 211 人)の指導者が登録されていますが、登録者数は減少傾向にあります。 また、登録指導者アンケートでは、 「指導力の向上」のほか、 「受講者・参加者数の不足」、 「指 導の機会の不足」が課題として挙げられています。 今後は、指導者の養成を引き続き行うとともに、指導者名簿の活用を促進し、リーダーバンク の充実を図るほか、学習成果として得た知識や経験を指導者として還元できる仕組みづくりが求 められます。 図表 1- 30 指導者名簿登録者数の推移 年度 登録者数(実人数) H18 H20 319 人(253 人) 264 人(211 人) 資料:刈谷市生涯学習指導者名簿 図表 1- 31 指導する中での課題(上位5項目) 0 20 40 60 80(%) 33.3 指導力の向上 29.8 受講者・参加者数の不足 19.9 指導の機会の不足 17.0 指導をする際の練習・活動場所の確保 14.9 指導した人たちの発表場所(出場機会)の確保 資料:平成 21 年度 生涯学習登録指導者アンケート 35 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 ②課題の整理 ○団体の自主的活動の支援 市民が主体的・継続的に学習活動を行う上で重要となるクラブ・サークル等に対して、 活動環境の整備や助言・指導等の支援を行い、活動を活発化させるとともに、新たなグル ープの結成を促進する必要があります。 ○学習成果の発表・評価と人材活用 市民が意欲を持って主体的に学習活動を行えるよう、学習成果の発表の場や活用の機会 を充実するとともに、適切な評価制度を確立する必要があります。 また、人材活用を積極的に進めるには、主体的に市民活動を行っている団体の活動の場 を整え、それらの情報を提供することができる仕組みづくりが必要です。 ○指導者の養成と活用 市民の生きがいを創出しつつ、学習意欲を高めていくため、指導者が育つ環境づくりを 進める必要があります。 また、指導者の活動の場が拡大するよう、生涯学習指導者名簿の活用の促進等、リーダ ーバンク制度の充実を図る必要があります。 36 第 1 章 計画の背景と目的 (6)地域・民間との協働 ①現状と課題 ■生涯学習推進体制の整備 第1次計画策定から今日まで、本市では生涯学習関連組織の育成とともに、行政と地域・民間 との連携・協力体制の確立を目指し、生涯学習推進体制の整備に努めてきました。 生涯学習に関連する各種団体への支援等を行うとともに、刈谷市民ボランティア活動支援セン ターを開設し、ボランティアを始めとする市民活動に関する情報の収集・提供や相談等の活動支 援を行い、市民の自立した学習活動のための環境づくりに努めています。 今後は、地域・民間との連携・協力体制の強化や、生涯学習推進における行政の役割の明確化 を進めることが求められます。 ②課題の整理 ○自立した地域団体の確立 市民主体の学習活動の推進を図るとともに生涯学習を通じたコミュニティの活性化を 図るため、それぞれの地域で活動しているボランティア団体やクラブ・サークル等への支 援を進めていく必要があります。 ○民間との役割分担 民間が多様な学習プログラムを提供している状況を踏まえ、役割分担を明確化し、また、 施設の開放促進や情報交換、事業の共催等を進めていく必要があります。 ○多様な団体・機関との連携 多様な学習機会を創出し、市民の学習方法や学習内容に対するニーズを満たしていくた め、市民活動団体や高等教育機関、地域企業等との連携を強化し、より高度で広範な学習 活動を可能とする環境づくりを行っていく必要があります。 ○推進体制の充実 地方分権が進む中で、生涯学習を含む様々な場面で市民と行政との協働が求められてい ます。そのため、市民ニーズを施策に反映する仕組みのあり方について研究を進めるとと もに、庁内の推進体制の充実に努める必要があります。 37 第 2 次刈谷市生涯学習推進計画 38
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