H-2 鋳鉄溶湯と鋳型の界面反応 10-1-035-0001 1. 緒言 前川 祥太 2.2 表面粗さ測定 近年,様々な製品の部品が鋳造によって製造され ているが,求められる精度や品質は年々高まってき サーフコーダ SE-40C を用いて段差の側面部,底 面部の表面粗さ Rz(十点平均粗さ)の測定を行った. ている.しかし注湯の際,砂型の砂粒間に溶湯が入 り込み,あるいは溶湯が砂型と化学反応を起こし, 差込や焼着といった鋳造欠陥が発生することで、鋳 物表面に凹凸が現れてしまう.これにより鋳物の表 面加工にコストや時間がかかっている. 3. 実験結果および考察 表面粗さ測定を行った結果,以下の表 2,3 の結果が得られた. 表より試験片の上部と下部で差が見られた.これ 本実験ではステップコーン鋳型を用いて,溶湯に は重力や圧力,冷却速度の差によるものであると考 かかる圧力や冷却速度の違いによる表面欠陥の発生 えた.また,FCD と FC の結果を比較したところ溶 原因や対策を特定することを目的とする. 湯成分や黒鉛形状によって差が見られた.これは表 面張力の差によるものであると考えられる. 2. 実験方法 表 2 側面部の表面粗さ(μm) 本実験では,図 1 に示すステップコーン鋳型を用 材質 いて下に示す表1の目標組成の下 FCD,FCV,FC 温度 1639 1623 1639 1623 1639 1623 1 49 37 91 59 92 93 2 53 52 87 53 88 91 3 93 45 82 50 91 96 4 98 95 83 96 106 108 5 91 88 86 78 122 91 6 87 83 85 74 - - 7 74 86 93 86 - - それぞれ 3 種類の成分の溶湯で溶解を行った. FCD FCV FC 表 3 底面部の表面粗さ(μm) FCD 材質 図 1 ステップコーン鋳型 2.1 溶解 本実験の溶解条件は,FCD・FCV・FC の 3 水準 を用いて行い,その際の注湯温度は焼着の観察のた め,1639K,1623K の 2 水準にて行った. FCV FC 温度 1639 1623 1639 1623 1639 1623 1 67 73 82 84 130 77 2 61 84 85 87 109 94 3 68 69 83 109 101 101 4 78 81 86 106 95 93 5 53 52 84 113 - - 6 ※ ※ 106 93 - - また砂型に用いた砂は粒度指数 AFS25.8 のもの 4. 結言 である. (1) 重力,圧力の影響により試験片の下部になるに 表1 目標組成 C Si Mn P S Mg FCD 3.6 2.7 0.2 <0.050 <0.010 0.04 FCV 3.6 2.7 0.2 <0.050 <0.010 0.02 FC 3.3 1.8 0.6 <0.150 <0.040 - つれて表面粗さが大きくなった. (2) 試験片下部になるにつれ冷却速度が遅くなり表 面粗さが大きくなった. (3) 黒鉛形状の差によっても表面粗さに影響が見ら れた.
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