The African-American History and Experience written by George Lee Noted by Satoru Takashima Published by YUMI PRESS Content 8: ROAD TO FREEDOM: HARD TO CLIMB 第8章 自由のための黒人の過酷な戦い 今日のテーマは、黒人が解放されたことと、その後の黒人の身分と独立戦争後敗北し た南部諸州がどういう対応をしたかについて説明されています。 奴隷解放により黒人は完全な自由が与えられたと歓喜の声を上げました。親子、兄弟 姉妹、親戚の者がちりぢりばらばらになっていましたが、解放後それらの家族を捜し求 め再会を果たし、未来永劫死が二人を分かつまで別れないという決意の下に日々を暮ら しました。 南北戦争後、敗北した南部はすべての面で衰退しましたが、南部を再建するという時 代に入りました。やがて南部諸州の自治が回復されました。しかし、これらの州では奴 隷法は廃止され、黒人は解放されましたが、奴隷法が黒人法という名前で黒人の差別が 復活しました。 -1- 黒人に奴隷間の結婚、黒人の財産所持、他の黒人に関して裁判での証言、そして契約 する権利が与えられました。しかし、この法律には、次のような制約が課せられ完全な 自由が与えられたわけではありません。 その制約とは以下のような禁止条項でした。 ・武器の保持 ・白人との結婚 ・白人に対する不利な証言 ・契約に従わない行為 ・一定の取引の履行 ・黒人は必ず就労すること 最後の黒人は必ず就労することについて、仕事に就いていない黒人を放浪者と見な し放浪の罪で罰金が科せられました。投獄された黒人を保安官が賃貸して仕事に就か せ、労働で罰金を払わせるというとんでもない法律です。 英語に関する問題と話題: この章には、英語で理解しにくいとか問題とするようなものはありませんでしたが、 教科書の注となじみの薄い熟語の意味を紹介します。 ・"The day of jubilee" had finally come, and the freedmen celebrated. " の"the day of jubiliee" に対して注では、”「ヨベルの日」ユダヤ人の土地に入ってから 50 年ごとの自由解放 の日”となっていますが、”「記念すべき祝いの日」がとうとうやって来ました。”とヒ ゲ・じーちゃんはしました。黒人とユダヤ人およびユダヤ教徒とは関係がないという 考えからこのように訳しました。 ・"This was the day after the party, and reality was beginning to set in." (パーティーの後で、現実が頭をもたげ始めました。) この set in という熟語について、教科書の注では”set in = start 始まる"となって ます。beginning to set in→beginning to startと考えると何故か不自然に感じまし た。set inには、” 〈病気・流行などが〉起こる, 広まりだす” (研究社新英和辞典より) の定義の方が適切ではないかと思います。 -2- ・"Many slaves wrapped up their few belongings and took off." (多くの奴隷がわずかの持ち物をまとめて出発しました。) Took off (take off)は、"I took off my coat."のように”上着を脱ぐ”のように”脱ぐ”と いう意味がよく知られている意味だと思いますが、この場合は”出発する”という意 味です。 ・"Once located, husbands and wives went to a minister to say their vows this time 'till death us do part.' " (一旦居場所が分かり再会すると、夫と妻は牧師の所に行き、今度こそは「死 が私たちを別れさせるまで離れません」と誓いました。) "Till Death Do Us Part"については、研究者リーダーズ +で次のような説明があります。 ”n. 「死が我らを分かつまで」 《英国 BBC テレビの連続喜劇 (1966 ‐ 78); London の East End に住み, 造船所で働く Alf Garnett, その妻 Else, 娘 Rita, その夫 Mike からなる Garnett 一家を中心にしたリアルな sitcom; 従来テレビでタブー視されていた卑俗なこ とばを取り入れ, 社会・倫理問題などを大胆に取り上げて英国テレビに一時代を画した; 米国テレビの喜劇 `All in the Family' のモデルとなった; タイトルは結婚式の誓いのこ とばから》”. "Till death all is life."という表現が、三省堂英語ことわざ辞典(大塚高信・高瀬省三共 編)に載っています。その意味は、”死ぬまではすべて生である”とあります。このこ とわざを捩ったテレビ番組のタイトルでしょうか。 ・"If they did not have a job, they could be fined for vagrancy and rented out by the sheriff until the fine was worked off." (もし彼らに仕事がなければ、放浪の罪で罰金を科せられ、保安官は黒人を 賃貸して罰金を労働で支払わせました。) 今日の閑話: ・ ヒゲ・じーちゃんのホームページの「コラム」のページで以前に扱っているテーマ ですが、その追加版をこの「アメリカ研究会」のページに「今日の閑話」として掲載 します。 -3- 人の価値観の違い ・試食会 ― デパートの地下、イベント過剰、観光地の土産物屋で「試食」が大流 行である。この試食会で次から次へと試食を繰り返し、そして何も買わずに去る人が います。それに対して、買うつもりもなくて試食するのは気が引けると試食しない人 がいます。 ・写真の撮り方 ― ヒゲ・じーちゃんもホームページのために花鳥風月写真を撮り ます。花の写真を撮るとき、できるだけ自然のままをとる人と、自分の気に入った構 図のために枝を折ったり、花を摘んだりして写真を写す人もいます。花の写真につい ては、雨後の趣を出したり、花の葉っぱに生き物がいるのを期待する人は人工の蛙を 葉に載せることまでして撮す人がいます。 ・娘の嫁の出し方 ― 娘を嫁に出すとき、”もうあなたの帰る家はないと思いなさい ”と言い聞かせて嫁に出す親と、”厭なことがあったら直ぐに帰っていらっしゃい”と 言って”仮に家から出す”ような気分の親がいます。 ・料理 ― 家族に美味しいものを食べさせようとして食事を用意する主婦と夜 8 時 過ぎたら”ベントマン、ベントマン”と言って家族に持ち帰りの弁当を食べさせる主 婦といます。 ・人からの贈り物に対する態度 ― 親から贈られたものをたとえつまらないもので も大事に扱い持ち続ける子供と、親からもらったつまらないもの、成人していらなく なったものを親に一言も言わずに捨てたり、換金したりする子供がいます。感謝の念 がないから、親の心が理解できないのでしょう。 ということで、明治時代の小学作法書と小学作法教授書には、賜り物について以下 のように書かれていました。 小學作法書 巻之二 父母のみに限らず凡べて目上の人より物を賜はる時はおし戴きてこれを受くべし。且 つ物のよしあしに拘わらず必ず粗末にすべからず。 小學作法教授書巻ノ一 -4- 人より物を賜るときは両手にて受け戴きて禮辭を述ぶべし 大ナル物ハ両手ニ受ケ小ナル物ハ右手ヲ添ヘテ左掌ニ受ケ徐ニ之ヲ戴キ丁寧 ニ禮辭ヲ陳ブベシ凡長者ノ物ヲ賜フトキ一ニ囘之ヲ辞スルハ可ナリト雖モ之 ヲ受ケザルガ如キハ反テ不敬ナリ故ニ長者ノ賜ハル物ハ假令己ノ好マザル物 ナリトモ謹ミテ之ヲ受クベシ 貰ひたる物は何にても大切になし之を人に與へ又は毀損するべからず 貰ヒタル物ヲ直ニ人ニ與ヘ又ハ毀損スルハ其物ヲ軽視スルガ如クニシテ不敬 ナリ故ニ人ヨリ貰ヒタル物ハ如何ナル物ニテモ大切ニナシ永ク之ヲ秘蔵スベ シ 人より物を貰いたるときは必ず之を父母に告ぐべし 他所ニテ物ヲ貰ヒタル時ハ之ヲ持帰リ其由ヲ父母ニ告ゲ之ヲ出シテ其命ヲ受 ケ若シ又菓子等ニテ其場ニ食セントキハ帰宅ノ後其由ヲ父母ニ告グ可シ父母 之ヲ其人ニ謝ス可キモノナレバナリ 最後に先回のアメ研の更新のとき、特別企画としていろいろな分野の英語を読んで みませんかということで、英文を載せました。それに対するヒゲ・じーちゃんの私訳 を掲載します。汗顔ものの私訳で恐縮しますが、皆さんの訳と比べてみてください。 (誤訳御免) 下記挿入ファイルをクリックしてください。左クリックで開かないときは、右クリ ックして表示されるプルダウンメニューから「ファイルを開く」を選択して開いてく ださい。 -5-
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