温度および湿度のバリデーション/マッピングに関する 5つの - ヴァイサラ

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温度および湿度のバリデーション/マッピングに関する
5つのよくあるご質問
1.
調査では許容範囲の限界値は
いくつに設定すべきですか。
2. どのようなタイプのセンサを
使用すべきですか。
3. 必
要なセンサの数はいくつ
ですか。センサはどこに設置
すればよいですか。
4. センサにはどのような校正が
必要ですか。
5. マッピング調査の適正期間は
どれくらいですか。
質問に対しては、科学的な根拠に基づいて回答すべきであり、施設や製品に対応し、マッピングを行うスペースに
適した内容でなければなりません。
米国食品医薬品局
(FDA)
は、
規制対象の製品が、
医薬品、
医療機器、
生物
由来製剤のいずれであっても、
その強度、
同一性、
安全性、
品質、
純度に影
響を及ぼす可能性がある環境条件を特定しなければならない、
と定めてい
FDAの規制は、
製品の保管スペースについて、
製品に求められる保
ます。
管条件に適した状態が維持されていたことを実証できなければならない、
とも述べています。
医薬品業界では、
温度や湿度に対するこれらの要件を
順守するため、
一般的にマッピングバリデーションを実施しています。
それ
らは通常、
関係している機器
(インキュベータ、
冷蔵庫、
フリーザー、
安定性
、
運転時適
試験槽、
低温室、
保管倉庫など)
の設計据付時適格性確認
(IQ)
とともに実施されます。
格性確認
(OQ)
多くのバリデーション請負業者は、
マッピングバリデーションを競争力のあ
る価格で実施できるだけの機器と専門的知識を備えています。
自社にバリ
デーションの専門的知識がない場合は、
そうした請負業者に任せることは
賢明な選択です。
しかし、
マッピングバリデーションはバリデーション業務の
中で最も簡単なものの一つであり、
社内で非常に簡単に実施できる作業と
いえます。
また、
自社内でのバリデーション能力の構築にもつながります。
請
負業者の中には、
プロトコルの作成や機器の貸し出しをしてくれるところも
あり、
少しずつそのスキルを学んでいくことができます。
マッピングバリデーションを初めて実施しようと考えている方は、
たいてい
このアプリケーションノートではそれ
共通した5つの疑問を抱えています。
らのご質問にお答えします。
調査では許容範囲の限界値は
いくつに設定すべきですか。
保管する対象によります。お客様が実施
された安定性試験の結果や製品の製造
業者が推奨している保管条件を採用する
とよいでしょう。必要に応じて、
より厳しい
限界値を設定することも可能です。一方、
ゆるい限界値を適用してしまうと、その
限界値の正当化が難しくなります。
どのようなタイプのセンサを
使用すべきですか。
センサでは、温度や湿度などの懸念され
る項目を計測すべきです。センサは正確
でなければなりません。許容できる誤差
C、相対湿度なら±
は、温度なら± 0.2°
3%です。熱電対かデータロガーを使用
することができ、
これらの機器はさまざま
な業者から調達できます。データの収集
や、ダウンロード(レポート作成)のため
のソフトウェアを必要とする機器の場合
は、
ソフトウェアがバリデーション済みで
あることと、21 CFR Part 11(連邦規則第
21 条第 11 章)に準拠したものであること
を示す必要があります。必要に応じて、購
入、
レンタル、
リースが必要です。
必要なセンサの数は
いくつですか。
国際製薬技術協会(ISPE)が2011年5月
に発行した「ISPE適正規範指針:コール
ドチェーン管理」にいくつかのガイダン
スが掲載されています。
容積 2m 3 未満のスペースには 9 台のセ
ンサが推奨されます。各隅に1台ずつ、幾
何学的中心に 1 台置くとよいでしょう。こ
れは大半の冷蔵庫、
フリーザー、インキュ
ベータに最適な配置となります。容積2~
20m3のスペースには15台のセンサが推
奨されます。配置は、9台のセンサは同じ
で、追加の6台を側面の壁、天井、床のそ
れぞれの幾何学的中心に置きます。中央
のセンサを除くすべてのセンサは最寄り
の壁から一定の距離を離して設置しなけ
ればなりません。
これらのセンサ位置が
保管に利用できるスペースの実際の容
積を決定することになります。
可能であれば、表示、管理、およびモニタ
リング用プローブの近くにもう1台センサ
を置くべきです。
また、余分なセンサがあ
ればそれらを使用して構いません。
しか
し、データを収集し過ぎないよう注意し
てください。余計な作業が生じるほか、今
後の研究の先例となるためです。
容積が20m3を超えるスペースのマッピ
ングには、簡単なガイドラインはありま
せん。
スペースを詳しく調べ、一般空調設
備(HVAC)、
ドア、窓といった、温度や湿
度の変動を引き起こしそうな要因を特定
する必要があります。
これらの要因に対
する見解を理論的根拠にすれば、試験文
書の審査員はお客様の選択した配置を
理解し、評価するでしょう。
このような大きなスペースに対する最善
のアプローチは、
ラックや棚など、製品が
実際に保管されるスペースのみにセン
サの位置を限定することです。
これによっ
て必要なセンサの数が抑えられ、センサ
配置のプロセスを大幅に簡略化してくれ
ます。
しかし、ラックと棚のみのマッピン
グを行う場合には、製品をマッピングが
実施されたエリアだけに保管する手順
管理が必要になります。
マッピング調査の適正期間は
どれくらいですか。
マッピング 調 査 は、マッピング するス
ペースの環境動態が正確に把握されて
いたことが確信できるように、十分な時
間をかけて行う必要があります。2m 3未
満の小さなスペースではたいてい48時
間で十分です。
これはスペースが頻繁に
利用されないという仮定に基づいてい
ます。
スペースが大きくなり、調査中頻繁
に使用されるようになると、マッピングに
必要な期間は増えます。1週間に5日間使
用される保管倉庫では、1 週間の調査期
間が適当です。
このような大きなスペー
スで、季節変動も考慮するなら、マッピン
グ調査を1 年の中で最も暑い時期と最も
寒い時期に1回ずつ、計2回行います。
これらのすべての質問に関するお客様
の選択については、明確な理論的根拠を
打ち立て、それらをバリデーションのプロ
トコルに盛り込むことが重要です。理論
的根拠は、科学的であり、お客様の施設
や製品に対応しており、かつマッピング
対象であるスペースの用途に適したもの
でなければなりません。
センサにはどのような校正が
必要ですか。
センサについては、調査前に校正済みで
あることを示し、調査後にその校正を検
証しなければなりません。自社の施設で
校正可能な場合には、社内で校正とバリ
デーションを実施していただいて問題あ
りません。ただし、米国立標準技術研究所
(N I ST)にトレーサブルであることが前
提となります。センサを購入またはレン
バリデーションについての詳細は、
www.vaisala.co.jp/contact で
ヴァイサラのライフサイエンス担当
セールスまでお問い合わせください。
www.vaisala.co.jp
タルされる場合は、納入業者に最初の校
正を行ってもらってもよいでしょう。
Ref. B211260JA-A ©Vaisala 2013
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