会津西部木質バイオマス研究協議会 ペレットプラント運営可能性調査 報 告 書 平成20年3月 株式会社アグリパワー 目 次 1. はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2. 原料調達の検討 (1)原料の特定 a.間伐材からのペレット原料量の検討 ・・・・・・・・・ 2 b.ペレットプラントの規模 ・・・・・・・・・・・・・・ 2 c.必要森林面積 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2~3 (2)搬出作業による経費の算出 ・・・・・・・・・・・・・・・3~5 (3)間伐における補助金 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 (4)原料の乾燥 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5~6 a.山元での乾燥 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6~8 b.山元から搬出後の乾燥方法 ・・・・・・・・・・・・・ 8~9 (5)間伐材の自然乾燥 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 3. プラントの検討 (1)設計条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 (2)設備費 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 (3)経費 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10~11 (4)ペレット製造収支 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11~12 4. 温筒ペレットボイラーの実績と温泉施設ボイラーの改良計画 (1)温筒ペレットボイラーの実績 ・・・・・・・・・・・・・12~18 (2)温泉施設ボイラーの改良計画 ・・・・・・・・・・・・・18 5. 農業用ハウスボイラの現況 ・・・・・・・・・・・・・・・19~20 6. 高度林業施行機械の価格 ・・・・・・・・・・・・・・・・20~34 7. 事業主体 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35~36 8. ペレット生産によるCO2削減量 ・・・・・・・・・・・・36~37 9. まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37 10.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37 参考資料 1. はじめに 本調査は,会津西部に位置する杉の間伐によるペレットプラントの建設計画を進め る上でその可能性について検討したものである。 原料調達のための高度施工林業機械による伐採・運搬と自然乾燥方法やプラントの 設置場所を仮定し設備費・経費を検討し原価計算をして原料の購入可能額の推定を した。 更にペレットボイラーの使用実績と既存温泉をモデルとした灯油焚きボイラーか らペレットボイラーに改良した場合の設備費について検討した。 - 1 - 2.原料調達の検討 (1)原料の特定 会津西部地域の人工林は杉であり急傾斜地に植林されているのが多いことと 安い外国産におされ間伐や枝払いなどの手入れが進んでいないのが現状である。 このことで,原料は間伐の促進を図る必要があることで間伐材を対象として進 める。 a.間伐材からのペレット原料量の検討 新潟県旧上川村(現阿賀町)の地域新エネルギービジョン報告書によると, 22ha の列状間伐の実績は以下の通りである。 間伐量 用材 ペレット原料 38.2㎥/ha 14.5㎥/ha 18.7㎥/ha 100% 38% 49% 林地残材 5.0㎥/ha 13% これによると,38%は用材として販売し,49%はペレット原料にあてる としている。 会津西部地域ではトビクサレなどにより用材としての販売の可能性が有る のか,またはその比率などが今後の検討課題となる。 b.ペレットプラントの規模 ペレットの製造能力時間当り1tクラス(1,500t/年)のプラントを設 置すると仮定すると(三島町新エネルギー詳細ビジョンP-60), 年間生産量 生産能力1,500t×稼働率80%=1,200t c.必要森林面積 (a) (計算) ・ペレット1,200t製造するのに必要なオガコの量は 1,200t×0.15=8,000㎥ となる。 ・8,000㎥のオガコにするのに必要な間伐材の量は 8,000㎥÷2.5=3,200㎥ となる。 ・係数0.15と2.5の根拠 原木1㎥をオガコにすると(通常2.5倍~3倍の体積になるといわれてい る)2.5倍とすると2.5㎥となり、2.5㎥のオガコから出来るペレッ トは,2.5㎥×0.15(アグリパワーの実績によると、0.15~0. 20)=0.375tとなる。 ・林地残材以外をペレットにした場合の必要森林面積は,1ha 当りのペレット 原料の間伐材量 間伐量38.2㎥/ha-(間伐量38.2㎥/ha×林地残13%) =33.2㎥/ha 一年間に必要な間伐面積3,200㎥/年÷33.2㎥/ha=96.4ha/ 年となる。 よって、ペレット製造を継続するのに必要な杉の森林面積45年で3回間 - 2 - 伐を行うと仮定すると, 96.4ha/年×(45年÷3回) =1,446ha (b)用材を販売した場合の必要森林面積は, (計算) ・1ha 当りのペレット原料の間伐材量 間伐量38.2㎥/ha×ペレット材49%=18.7㎥/ha ・ペレット1,200t製造に必要な間伐面積 ペレット1,200t製造に必要な間伐材の量を3,200㎥/年と仮定 すると, 3,200㎥/年÷18.7㎥/ha=171.1ha/年 ・ペレット製造を継続するのに必要な杉の森林面積 45年で3回間伐を行うと仮定すると, 171.1ha/年×(45年÷3回)=2,567ha となる。 (c)皆伐の場合の必要森林面積は, (計算) ・間伐は45年で3回実施し,1回平均22%の間伐を行うので皆伐は, ペレット1,200t製造に必要な伐採面積96.4ha/年×22% =21.2ha/年 ・ペレット製造を継続するのに必要な杉の森林面積 4 5 年 で 3 回 間 伐 を 行 う と 仮 定 す る と , 2 1 . 2 ha / 年 × 4 5 年 =954ha となる。 (2)搬出作業による経費の算定 急傾斜地で搬出道路の無い場所での原料調達には高性能機械の導入と列状間伐 が適切と考えられる。 機械の組合せは以下の通りとした。 立木伐倒 チェーンソー 集 材 タワーヤーダ 枝払・玉切 進 材 積込・運搬 プロセッサー フォワーダ トラック a.上川村地域新エネルギービジョン報告書によると, 間伐作業は,伐倒・集材・造材までは一貫して作業するため,間伐ペレット材を 搬出するための新たな作業は不要であり,既存の間伐作業からの作業増はほとんど ない。間伐ペレット材を作業道から林道まで,フォワーダにより運搬することが追 加コストとなる。 ① フォワーダにかかるコスト ・フォワーダの1日当りコストは,人件費を含めて 35,000 円/日程度 ・フォワーダ1日当りの搬出可能量は,作業道が1㎞程度で,15~20㎥と考え - 3 - られる。 したがって1㎥当りのコストは,35,000 円/日÷15~20 ㎥/日=1,750~2,300 円 /㎥ ② トラック運搬にかかるコスト ・林道から加工施設までの距離が10㎞以内とすると運搬費用は,現状の単価では 3,000 円/㎥程度である。 よって,1㎥当りの素材運搬にかかるコストは,合計(①+②)で 4,750~5,300 円/㎥。 b.会津流域林業活性化センターの木質バイオマス利用地域実行プログラムの報告書に よると, ① フォワーダ運搬にかかるコスト ・ フォワーダの1日当りコストは,人件費を含めて 35,000~40,000 円程度と想定 され平均 35,000 円とする。 ・ フォワーダ1日当りの搬出可能量は,作業道の長さが 0.5 ㎞程度で,20~30 ㎥ と考えられる。したがって,1㎥当りコストは,1,170~1,400 円程度。 ② トラック運搬にかかるコスト ・ 林道から加工施設までの距離が 40 ㎞以内とすると運搬費用は,現状の単価では 2,000 円/㎥程度である。 よって,1㎥当りの素材運搬にかかるコストは,合計(①+②)で 3,170~3,400 円/㎥。 c.協和木材㈱代表取締役佐川広御気興氏の聞取調査報告書によると,会津の場合は用 材率が非常に低いと思います。どちらかというと合板向け,集成材向けのB材が多い わけですが,パルプ材と言われて2mに切っていた材は,以前より価格が上がり,約 9,000~10,000円/㎥で荷受しています。 そうすると,その価格で山で手取りがいくらになるか。運賃が3,000~4,0 00円。山元渡し原木価格が5,000~6,000円にしかならないので,4,0 00円以下で切り出さないと採算が合わないということになります。 4,000円で切り出せば採算点。1㎥当り1,000~2,000円の間伐材を 2mに切って山元で約5,000~6,000円で売って採算の合う作業をする。 この作業コストで成り立たなくては間伐が成り立たない。それで成り立つ素材生産 体制を作る必要があります。 プロセッサー,ハーベスタで切り出しまで作業すれば,1㎥当り4,000円のコ ストでできます。 よって,上記a・b・cにはある程度の差はあるが,現場で実際に作業しているc の話を重要視すると,枝払い・玉切・集材は 4,000 円/㎥,運搬は 4,000 円/㎥と考 えても良いと思われる。 - 4 - (3)間伐における補助金 福島県の間伐における補助金は間伐率20%で材の搬出無しの場合で87,00 0円/ha,間伐率30%で材の搬出無しの場合で119,000円/ha としてい る。 間伐率30%としての原料1㎥当りの補助金は,119,000円/ha÷38. 2㎥/ha=3,115円/㎥。ただし,材を搬出した場合は適用外になる可能性も あり。その場合,森林環境税を適用できるようにして行くべきだ。 現在森林環境税は運搬の補助として1,200円/㎥が出る。よって,枝払い・ 玉切・集積・運搬が8,000円として,補助金3,115円+1,200円=4, 315円円を差し引くと,残り3,685円/㎥の持ち出しとなる。 この持出し分をペレット製造に伴う乾燥に天然乾燥を導入することで削減され るコストで充当できる可能性がある。その検討は後で実施する。 (4)原料の乾燥 伐採直後の水分値は60%前後であり,ペレット製造の為には水分値を約2 0%まで低下させる必要がある。 原木で乾燥させるかオガコに加工した後に乾燥させるかその両者を組合せた 乾燥をさせるか,やり方により燃料費の削減額が大きく左右する。 4ヶ町村を見ると学校跡地や工場跡地等があることと,山での乾燥方法が二度 手間になることを考えると,山元から搬出後に乾燥する方法が得策と思われる。 a.山元での乾燥方法 (a)立枯らし乾燥 立枯らし乾燥には,木の表面に幅1cm 深さ 0.5cm の溝を環状に掘る方法と,樹 皮を一定の割合で剥皮する方法がある。 東京都林業試験場年報(平成14年度版)の多摩産材の品質向上に関する試 験の立枯らしによるスギの天然乾燥試験の結果は以下の通り。 ・木の表面に幅1cm 深さ 0.5cm の溝を環状に掘る方法 溝堀り,樹皮剥皮共に約60日で含水率30%以下になる。 - 5 - - 6 - ・樹皮を一定の割合で剥皮する方法 60% 心材 50% 辺材 含 水 率 40% 30% 20% 10% 0% 20日 40日 60日 80日 乾 燥日数 70日で35%以下になる。 (b)葉枯らし乾燥 葉枯らし乾燥とは,伐倒後一定期間そのまま林内に放置し,枝葉が黄変し,さら に赤く枯れるまで天然乾燥させるもので,一般に「アク抜き」あるいは「渋出し」 と称する特殊な乾燥処理法の一種である。 徳島県のスギ葉枯らし乾燥手引き(昭和63年3月)によると,おおよそ2ヶ月 で40%程度まで乾燥する。 - 7 - (注)供試木は枝葉付,樹皮付,赤心である。 事例1はスギ35年生,胸高直径26~32㎝,9~11月,9本の平均値(徳島県) 事例2はスギ67年生,胸高直径26~35㎝,11~2月,3本の平均値(徳島県) 事例3はスギ70年生,胸高直径28~40㎝,7~12月,3本の平均値(高知県) 事例4はスギ23年生,胸高直径12㎝, 8~11月,2本の平均値(徳島県) ※乾量基準含水率 b.山元から搬出後の乾燥方法 当社にて,2つの方法でスギの間伐材の天然乾燥試験を実施した。 その結果は以下の通り。 間伐材を長さ50cm に玉切りし薪割したものは,約30日で含水率30%以下に なった。 長さ2mで丸太のままで行ったものは,120日で含水率40%程度になった。 (5)間伐材の自然乾燥 通常間伐材60%の水分値を30%まで低下させるには,チップやオガコに粉砕し て乾燥させる。その乾燥のための熱源に灯油等使用しているが,自然乾燥の可能性を - 8 - 見つけるためにすでに間伐材で試験をしていた。 100% 原木重量比 オガコ水分値 80% 60% 40% 20% 0% 0日 20日 40日 60日 80日 100日 120日 140日 (試験結果) 初期水分 48.7% 120日後 42.0% 水分低下量 48.7%-42.0%=6.7% 日当り水分低下量 6.7%÷120日=0.06%/日となる。 よって、60%から30%まで水分を下げる場合 (60%-30%)÷0.06%/日=500日≒1年半 よって,約1年半で乾燥する見込み 3. プラントの検討 ① 設計条件 a.原材量 2の原料調達で計算した値3,200㎥の原木で算出する。 b.原料の水分値 自然乾燥で30%まで低下したものを原料とする。 c.乾燥熱源 灯油の温筒ボイラーとする。 ② 設備費 製造能力1,500tで試算した。建物,高圧受電設備,機械設備等を合計す ると145,400千円となる。 - 9 - a.建物 遊休施設を改造し使用するとして,10,000千円計上する。 b.高圧受電設備 既存設備があるかもしれないが,新設費用として7,200千円計上する。 c.機械設備等 径200mm以下の間伐材を原料とすることで,自動薪割機は除外すると, 128,200千円となる。内訳は以下の通り。 原木乾燥置場設備 10,000千円 オガコ製造機 28,080千円 オガコ乾燥機 31,840千円 ペレットミル 24,400千円 冷却装置 2,280千円 自動計量梱包機 3,040千円 操作盤 2,560千円 その他付属品 26,000千円 ③ 経費 a.固定費 (1)資本費 (機械設備のみ50%補助を前提,残額は自己資金で調達) ・ 減価償却費 (建築関係 10.0 百万円) 償却方法:均等 残存価額:10% 償却期間:15年 (機械設備 59.1 百万円) 償却方法:均等 残存価額:10% 償却期間:10年 ・ 固定資産税 合計 年 5,919千円 評価率 80%,税率 1.4% 年 1,436千円 (2)人件費 3名,14千円/人,年間200日 年 8,400千円 (3)管理費 人件費の23%(福利厚生費含む) 年 1,932千円 年 800千円 (4)メンテナンス費 (5)消耗品費 b.変動費 (1)灯油代 (2)電気代 年 3,500千円 固定費計 21,987千円 @90円/㍑,稼働率80% 稼働率80% - 10 - 年 918千円 年 5,384千円 変動費計 6,302千円 ④ ペレット製造収支 a.収入 小売単価 運搬費 工場出荷単価 収入計 b.支出 固定費 変動費 支出計 20,000円÷4,000㎏= 小売単価-運搬費 37.8円/㎏×1,200t= 42.8円/㎏ 5.0円/㎏ 37.8円/㎏ 45,360千円 21,987千円 6,302千円 28,289千円 c.収支 17,071千円 年間1,200tのペレットを小売価格42.8円/㎏で販売した場合の収支差額 は17,071千円となる。 一方,1,200tのペレットを生産するには,原料の間伐材が3,200㎥必要 になると,収支差額を購入費に充てた場合,1㎥当り5,335円となり,枝払い・ 玉切・集積・運搬が8,000円として,補助金3,115円+1,200円=4, 315円を差し引いた持ち出し分3,685円に十分である。 同じように,12,000t/年以外に3通りの製造量を算出したものが以下の表 である。 1年目 2年目 3年目以降 (参考) 100日 150日 200日 250日 6時間 6時間 6時間 8時間 製造量 600t 900t 1,200t 2,000t 間伐材の量 1,600 ㎥ 2,400 ㎥ 3,200 ㎥ 5,333 ㎥ 作業日数 機械稼動時間 収 入 22,680 千円 34,020 千円 45,360 千円 75,600 千円 支 出 21,349 千円 24,820 千円 28,289 千円 37,087 千円 収 支 9,200 千円 17,071 千円 38,513 千円 832 円/㎥ 3,833 円/㎥ 5,335 円/㎥ 7,222 円/㎥ 8,844 千円 11,792 千円 19,652 千円 18,861 千円 1,331 千円 原料1㎥に充てられ る額 間 伐 材 を 間伐材 3,685 円 / 購入費 ㎥で購入し 収支 た場合 累損 5,896 千円 ▲ 4,565 千 円 356 千円 5,279 千円 ▲ 4,565 千円 ▲4,200 千円 1,079 千円 - 11 - よって,2年目900t製造で単年度黒字,3年目1,200t製造で累損の解消が可 能である。また,稼動日数,機械稼動時間を増やすことで年間2,000tまで供 給が可能であり,利益も大きくなる。 4. 温筒ペレットボイラーの実績と温泉施設ボイラーの改良計画 (1)温筒ペレットボイラーの実績 阿賀町立上条小学校には、教室の冬期間暖房用として(50万kcal)として導入さ れており、実質2年間の実績があることから、その時のペレットボイラーの導入計画 とその実績については以下のとおり a.阿賀町立上条小学校木質焚温水ボイラー導入計画 - 12 - - 13 - - 14 - - 15 - - 16 - - 17 - b.ペレット年間消費量(実績) 18年度 数量 4月納品 4,474 kg 11月納品 5,339 kg 12月納品 5,297 kg 1月納品 9,535 kg 2月納品 4,892 kg 3月納品 5,665 kg 合計 35,202 kg 単価 39 円 39 円 39 円 39 円 39 円 39 円 39 円 19年度 数量 金額 4月納品 2,813 kg 174,486 円 208,221 円 11月納品 3,213 kg 206,583 円 12月納品 5,641 kg 1月納品 9,100 kg 371,865 円 2月納品 5,250 kg 190,788 円 3月納品 5,250 kg 220,935 円 合計 31,267 kg 1,372,878 円 単価 39 円 39 円 39 円 39 円 39 円 39 円 39 円 金額 109,707 円 125,307 円 219,999 円 354,900 円 204,750 円 204,750 円 1,219,413 円 以上により、ペレットの消費量は約62t/年で単価40円/㎏として2,490 千円/年と予測していたが、実績は単価39円/kg で、18年度は約35tの1,3 73千円で、19年度は約31tの1,219千円となった。 また、当初 A 重油30,509㍑/年で(阿賀町立上条小学校木質ペレット焚ボイ ラ導入計画概要による予測)この量を現在の単価85円/㍑で試算すると、30,5 09㍑/年×85円/㍑=2,593千円/年となり、1,200千円以上の大幅な 削減となっている。 これは、教室の内装に木質の板材を張るなどの燃料費削減のための設計になってい ることと、効率的な運転に努めていることが大きな要因となっていると考えられる。 (2) 温泉施設ボイラの改良計画 既存温泉施設をモデルとして、木質ペレット焚へ改良した場合の計画は以下のとお り a 改良工事概要 現在のボイラ室は奥まったところにあり、燃料用サイロは4tユニック車の入る ところに設置する必要があり、新設のボイラー室を設けて温水を送るものとして 計画した。 b 工事費 ①本体工事 機械設備 ボイラ ペレットサイロ その他 工事費 諸経費 計 8,000,000 5,800,000 720,000 1,480,000 950,000 500,000 9,650,000 ②建物・既存設備撤去 5,700,000 よって、①+②=9,650,000+5,700,000=15,350,000円 5. 農業用ハウスボイラの現況 - 18 - a 農業用温水温風ボイラの現況について 近年、農業用ハウスでのペレット焚温水温風ボイラの採用が多くなっている。 特に洞爺湖サミットをひかえている伊達市(北海道)においては温水ボイラ35 基、温風ボイラ25基合計60基のボイラ(3万 kcal)の導入を決めた。150 万円/基×60基=9,000万円の総事業費となる。 その他に各所で農業用ボイラの試験が行われており、新潟県では平成19年3 月にチューリップ切花の促成栽培に、平成20年3月にはトマト栽培に取り組ん でいる。その他にボイラから排出されているCO2をハウス用に排出して、育成 効果を上げる試験も行われてきた。今後は、温泉に利用する他に地産地消を図る 上では農業や林業、漁業への活用も重要となってくると考える。 b 新潟県のチューリップ栽培試験の状況 c 農業用ボイラの温風発生装置(出典:金子農機ホームページ) - 19 - 6.高度林業施行機械の価格 (1)高性能機械化伐出システムの例 機械化システムは間伐や皆伐などの伐採方法や地形・規模などにより決まる が,その検討にあたりその例は下記の通り a.北海道足寄町におけるペレット製造と燃焼熱利用事業調査報告書より抜粋 - 20 - b.イワフジ興業㈱ホームページよりの素材生産の作業システムの抜粋 - 21 - - 22 - - 23 - - 24 - - 25 - - 26 - - 27 - - 28 - - 29 - (2)新キャタピラー三菱によるスイングヤーダ(集材)ハーベスタ(造材)の機械 価額およびリースの場合の例は下記の通り a.スイングヤーダ(312C) 機械価額 19,500千円 3年リース 残価 5,000千円 月額リース代 486,465円 残価 2,900千円 月額リース代 543,480円 5年リース 残価 3,000千円 月額リース代 348,075円 残価 1,800千円 月額リース代 366,555円 b.ハーベスタ(314CCR) 機械価額 21,000千円 3年リース 残価 6,000千円 月額リース代 507,255円 残価 3,300千円 月額リース代 580,440円 5年リース 残価 4,000千円 月額リース代 362,985円 残価 2,200千円 月額リース代 393,750円 - 30 - (3)高性能機械化システム事例 a.岩手県 ㈲二和木材 - 31 - - 32 - b.石川県森林組合連合会 - 33 - - 34 - 7.事業主体 ① 公社造林での間伐材とお金の流れ a.現状 県林業公社の収入:国・県からの補助金および用材販売による収入。なお, 収入は土地所有者と分収する。(公社6:土地所有者4) :材の流れ 国・県 :金の流れ 補助金 買取工場 販売 県林業公社(6) 分収 土地所有者(4) 用材 用材 委託費 用材 委託費 森林林業者 森林組合 b.今後 (a)補助金を使用した間伐材 新たにペレット工場が設置された場合(公社6:土地所有者4) ペレット工場 販売 間伐材 買取工場 販売 用材 :材の流れ 国・県 :金の流れ 補助金 県林業公社(6) 分収 委託費 間伐材 用材 委託費 用材 森林林業者 森林組合 - 35 - 土地所有者(4) 間伐委託費 土建業者 (b)森林環境税を使用した間伐材 ペレット工場 :金の流れ 環境税 間伐材 買取工場 市町村役場 販売 補助金 用材 販売 補助金 土建業者 森林林業者 買取工場 :材の流れ 県 7. ペレット生産によるCO2削減量 ①ペレット燃料の使用によるCO2の減分 ペレット生産量 1,200t/年 ペレット発熱量 4,710kcal/㎏ (杉間伐材バーク有のペレット製造試験結果より) 熱量換算 1,200t×4,710=5,652,000kcal/年 (5,652Gkcal/年) 灯油の発熱量 8,900kcal/ℓ 灯油の換算使用量 5,652,000÷8,900=635kℓ CO2排出量原単位 0.6896kg-C/ℓ CO2排出削減分 635×0.6896=438t/年 ②プラント消費電力によるCO2増 電力消費量 264,268kwh CO2排出量原単位 0.1178kg-C/ℓ CO2排出換算分 264,268×0.1178=31t/年 ③ペレット製造に伴う灯油によるCO2増 灯油消費量 10,200ℓ CO2排出量原単位 0.6896kg-C/ℓ CO2排出換算分 10,200×0.6896=7t/年 よって ①-②-③=438-31-7=400t/年のCO2削減量となる - 36 - 8.まとめ 本事業はハイリターンは無いが雇用の創出と山の環境改善,将来の良産材の確保 が期待される。 ①原料の供給 間伐 計画 森林 間伐 ●事業 主体 -県林 業 公 社 ●問題点 -間伐材 が山に残 っている -虫害木 が未処理 ●対応策 林道へ 運搬 ②ペレットプラント の運営 プラント へ運搬 ペレット 加工 製品 運搬 -森林組合 -森林林業業者 -土建業者 -ペレット生 産会社 -林業では生 活出来ない -土場からの 運搬がコスト 高 -原料の確保 -原料の安定供給 -高性能機械の導入 -運搬に補助 -販路の確立 -安定経営 -設置場所 -原料の自然乾 燥に大面積 -工場や学校 の跡地利用で 乾燥場確保 ③ペレットの消費 販売 お客 様 -各市町村 -民間企業 -個人 -安定供給に不 安があり ボイ ラ/ストーブ導 入に躊躇 -ボイラ等機器導入に 補助 ・市町村営施設へ冷暖 房用ボイラ導入(老人 介護施設,学校病院, 保育園)温泉加温用ボ イラ ・農業用ハウスボイラ ・一般家庭用ストーブ 10.おわりに 自然乾燥の導入により、乾燥に必要な灯油代を大幅に減少できることで原料調達の ための費用に充てることができることで原材料の運出は可能となった。 会津坂下町の温泉施設にペレットボイラーが2月に導入され新聞で報道されたこと や灯油などの値上げもあいまって、温泉の経営者や学校への導入の可能性などの問合 せが多くなっていることを考えると販売先ではなく、山元からの搬出計画を重点的に 調査すべきである。 - 37 -
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