1 Minds A B C1 C2 D Canadian Task Force case controlled vi alterna tive treatment salvage treatment 1 A 114 139 500/ L AML ALL / MDS 7 G CSF GV HD GVHD 0.3 mg/kg/ 3 500/ L 10 90 500/ L 7 10 HEPA HLA CMV T VRCZ 1 A 好中球減少が長期に持続する急性白血病( AML、ALL ) / 骨髄異形成症候群( MDS )に対する寛解導入療法や、同 種造血幹細胞移植後早期の好中球減少期間は深在性真菌症 深在性真菌症の確定診断には、本来無菌的な部位からの の高リスクと言える。同種移植後は好中球回復後も細胞性 生検標本、針吸引標本などによる病理学的検査、あるいは 免疫、液性免疫障害が持続するが、特に移植後中期・後期 臨床的または画像的に真菌感染症の病像所見を示す部位か にグレードⅡ〜Ⅳの急性 GVHD や慢性 GVHD を発症し、 ら、無菌的手技によって得られた標本の培養陽性が必要で ステロイドなどでの治療を受けている患者では侵襲性アス あるが、血液領域の疾患ではしばしばその施行は困難であ ペルギルス症の発症頻度が高く、リスクが高い。 る。そのために患者のリスク評価(宿主因子) 、真菌症に 急性白血病に対する地固め療法や自家造血幹細胞移植で 関連した臨床症状や検査所見(臨床的基準) 、菌学的所見 は、高リスク群と比較すると深在性真菌症発症の発症頻度 (アスペルギルスガラクトマンナン( Galactomannan; は高くなく、抗真菌薬の予防投与の有用性も確立はしてい GM )抗原やβ-D-グルカン検査)に基づく臨床診断が代 ないため、中間リスクに分類される。ただし、好中球減少 用される。 に加えて粘膜障害、ステロイド、プリンアナログなどによ ( ) る前治療での細胞性免疫低下例、G-CSF のサポートを行 深在性真菌症を規定する最大の因子は、患者が有するリ わない自家移植の場合などでは深在性真菌症発症リスクは スクファクターである。また、環境真菌の場合には治療施 高まると考えられ、複数のリスクファクターを有する場合 設内での集積がリスクとなる場合もある。したがって、適 には予防対策などについては高リスクと同等に扱うのが妥 正な深在性真菌症の診療を行う上で、リスク評価は重要で 当と考えられる。 ある。深在性真菌感染症をきたしやすい宿主因子として、 一方、好中球減少期間が 7 日未満の化学療法では深在性 7〜10 日以上の好中球減少、同種造血幹細胞移植、ステロ 真菌症発症のリスクは低く、抗真菌薬の予防投与も推奨さ イドやその他の細胞性免疫抑制薬などがあげられる。中で れない。 も好中球減少は重要なリスクファクターであり、好中球数 深在性真菌種に共通するリスクファクターのほかに、真 500/μL 未満、特に 100/μL 未満の高度の好中球減少状態 菌種別のリスクファクターも で真菌感染症のリスクが高くなる。また、好中球減少期間 真菌症の診断や予防・治療を進める場合には、これら真菌 が 7 日以上になると侵襲性カンジダ症のリスクが高まり、 種別のリスクファクターも念頭に置きながら方針を検討す さらに 10 日を超えると、侵襲性アスペルギルス症などの る。 に示した。深在性 糸状菌感染症のリスクが高くなると言われる。このため、 A 1 A 114 139 4 FN CT halo sign air crescent sign Al P GM CT D CT MRI Bull s eye sign 1 2 GM GM BAL CT GM CT 1 A にて肝脾小膿瘍や Bull’ s eye sign の有無を確認し、膿瘍 好中球減少患者において、広域抗菌薬不応性の発熱が 4 形成を認めた場合は、可能な限りにおいて穿刺液培養検査 〜7 日以上遷延する場合は、酵母や糸状菌による深在性真 や生検を行う。 菌症の危険性が高く、抗真菌薬治療の検討が必要である。 侵襲性アスペルギルス症 この際、個々の事例で原因となる真菌を具体的に想起して 呼吸器症状、副鼻腔炎症状および中枢神経症状の有無を 診療を行うことが適正診療の鍵となる。特に早期において 確認し、症状がある場合は、胸部の HR(High-resolution) は、好中球減少や細胞性免疫不全を伴っていると、抗菌薬 -CT、頭部や副鼻腔の CT または MRI による画像診断を 不応性の発熱以外の症状が乏しい場合も少なくない。身体 行う。なお、持続する発熱以外に明らかな症状がない場合 所見では深在性真菌症の存在を示唆する局所症状・徴候 でも、全身状態が重篤な場合や好中球減少が遷延すること (例:カンジダ血症やフサリウム血症に伴う皮疹、侵襲性 が予想される場合には、胸部 CT 検査を施行することが望 アスペルギルス症に伴う咳嗽、胸痛、ムーコル症や侵襲性 ましい。胸部 CT にて、主に感染初期に確認される結節影 アスペルギルス症における鼻潰瘍や黒色痂疲など) [深在 の周囲をすりガラス影が取り囲む halo sign、回復期に認 性真菌症の存在を示唆する徴候( 67 ページ 7 参照)]は められる三日月型透亮像である air-crescent sign 又は空 原因真菌の推定に有用な場合がある。ステロイド投与下で 洞を伴う浸潤影を認めた場合、あるいは頭部 CT/MRI に は必ずしも発熱を伴わない場合があるため注意が必要であ て副鼻腔壁や頭蓋底部の破壊像、脳膿瘍や脳梗塞の所見を る。 認めた場合は糸状菌感染症疑い例と診断される。これらの 画像所見に加えて、GM 抗原やβ-D-グルカン検査等の血 2 セットの血液培養検査及び血清学的検査( GM 抗原、 β-D-グルカン検査)を行う。 アスペルギルス抗原はアスペルギルス症、β-D-グルカ 清学的検査が陽性であれば、臨床診断例となるが、肺病変 が存在する場合には、血清学的検査の結果に関わらず、可 能な限り気管支鏡による気管支肺胞洗浄検査を行い、GM ン検査は主にカンジダ症の診断に有用である。なお、血液 抗原、アスペルギルス DNA、鏡検検査( Grocott 染色) 、 培養検査は感度が低いことから、β-D-グルカンの陽性化 培養検査などを提出する。更に、可能な場合は、経気管支 を認めた場合は、血液培養が陰性でもカンジダ感染症の可 的、CT ガイド下又は胸腔鏡下に肺生検を検討する。その 能性を考慮する。 他、真菌症を疑う何らかの臨床所見が存在する場合は該当 カンジダ感染症 部位の穿刺培養液や生検を施行し確定診断に努める。 血液培養検査結果よりカンジダ血症の有無を確認し、陽 ムーコル症 性であれば極力菌種の同定に努める。カンジダ血症と診断 アスペルギルス症と症状や所見が類似しており、その鑑 された場合の対応は、眼症状の有無に関わらず眼底検査を 別が重要である。GM 抗原とβ-D-グルカンが陰性で、副 行い、眼内炎合併の有無を確認することが推奨される。ま 鼻腔炎症状を伴う場合や VRCZ が無効な場合は、ムーコ た主に予防抗真菌薬非投与例で好中球回復期に右季肋部痛 ル症を考慮する。培養による検出率は低く、生検による菌 や血清 Al-P 上昇などの肝機能異常を認めた場合は、慢性 糸の証明が必要であるが、生前診断は困難な場合が多い。 播種性カンジダ症の除外が必要である。腹部エコー・CT A 1 A 114 139 HEPA or ITCZ CPFG MCFG VRCZ L AMB GVHD F FLCZ ITCZ MCFG ITCZ VRCZ MCFG 500 7 10 or L FLCZ ITCZ MCFG ITCZ VRCZ MCFG HEPA C.albicans FLCZ 1 2 3 500 4 L 7 10 GVHD 1 3 1 抗カンジダ対策 1. (F-)FLCZ 1日1回経口または静脈内投与 100〜400 mg/日[AⅠ] 2.ITCZ 内用液または点滴静注 200〜400 mg/日[AⅠ] 3.MCFG 点滴静注 50 mg/日[AⅠ:造血幹細胞移植例] 抗アスペルギルス対策 1.ITCZ 内用液または点滴静注 (アスペルギルス症の高 2.VRCZ 内服 または点滴静注 300〜400 mg/日[AⅠ:造血幹細胞移植例] 3.MCFG 点滴静注 50〜150 mg/日[AⅠ:造血幹細胞移植例] リスク症例に対して) (F-)FLCZ ¶ 200〜400 mg/日[AⅡ] 200〜400 mg/日 1日1回経口投与または点滴静注 (C. albicans や C. parapsilosis など FLCZ 感受性株による真菌症の既往があるとき) [BⅢ] ITCZ 内用液 200〜400 mg/日 1日1回経口投与、 または 200 mg/日 1日1回点滴静注(loading dose:200 mg/回 1日 2 回点滴静注を 2日間) [BⅢ] MCFG 100〜150 mg/日 1日1回点滴静注[BⅢ] VRCZ 200 mg/回(loading dose:初日のみ 300 mg/回)1日 2 回経口 投与、 ¶ または 4.0 mg/kg/回(loading dose:初日のみ 6.0 mg/kg/回)1日 2 回点滴静注[BⅡ] L-AMB 1.0〜2.5 mg/kg 1日1回点滴静注[BⅡ] CPFG 50 mg/24 時間毎(初日のみ 70 mg/24 時間) [BⅢ] *ITCZ および VRCZ;予防効果が不十分と推測される場合には血中濃度測定が推奨される。 有効域参考値(トラフ値) : ITCZ:ITCZ の血中濃度に関しては、未変化体の濃度と、未変化体と同等の抗真菌活性をもつ主要な活性化代謝物である OH 体(ヒドロキシ イトラコナゾール)の合計を参考にする場合がある。未変化体のみの場合、トラフ値 250 ng/mL 以上、未変化体+OH 体の場合、トラフ値 1,000 ng/mL 以上が目安となる。 VRCZ:有効性の面から 2〜3 ng/mL 以上、安全性の面から 4〜5.5 ng/mL 以下を目標とする。 ・わが国における予防投与の保険適用は、ITCZ 内用液、造血幹細胞移植例におけるFLCZ、MCFG(50 mg)にのみ認められている ・ITCZ 内用液の投与量は、海外の臨床試験では 5 mg/kg/日、あるいは 400 mg/日など、わが国で広く用いられている 200 mg/日よりも多く 設定されている。 ・二次予防の抗真菌薬投与量は、原則として治療量に準じる。 #予防として保険適用が認可されているのは、FLCZ(静注液、カプセル製剤、ドライシロップ製剤) ;造血幹細胞移植患者における深在性真菌 症の予防。ITCZ;好中球減少が予測される血液悪性腫瘍又は造血幹細胞移植患者における深在性真菌症の予防。MCFG;造血幹細胞移植者 におけるアスペルギルス症およびカンジダ症の予防、のみ。 ¶VRCZ 経口投与の場合、体重による用量調整を行う(107 頁) 1 A 環境で治療を行うことが推奨される。移植後早期では消化 管や中心静脈ラインを介して感染するカンジダに対する予 防策が必須であるが、アスペルギルスに関しては HEPA a ( ) 高リスク群では抗真菌薬の予防投与の有用性が確立して フィルターを用いて無菌環境に置くことで発症を抑制する ことが期待できるため、糸状菌対策を行うかどうかは施設 いる。真菌感染症の予防は、真菌感染症の既往のない患者 ごとの糸状菌の発症頻度や症例ごとのリスクによる。一方、 での一次予防と、既往のある患者における再燃予防として 同種移植後中・後期での GVHD 発症例ではアスペルギル の二次予防に分けられる。深在性真菌症に対する対策を考 ス症の発症リスクが高く、抗アスペルギルス薬の予防投与 えるにあたっては、真菌感染の既往について詳細に病歴を を検討すべきである。深在性真菌症の予防として VRCZ 見直すことが必要である。 投与を受けている移植レシピエントでは TDM を考慮す 真菌感染症の既往のある患者では、化学療法や造血幹細 る [C1Ⅲ] 。 胞移植により真菌感染症が再燃する可能性があるため、以 自家移植では同種移植ほど深在性真菌症発症のリスクは 前に診断あるいは推定された病原真菌や抗真菌薬の治療効 高くないが、前処置関連の粘膜障害、前治療による細胞性 果によって、予防対象とする真菌の種類を想定して、事例 免疫不全など、好中球減少以外のリスクファクターが加わ ごとに二次予防の予防薬剤を選択する。Candida albicans ることが多く、抗真菌薬の予防投与は広く行われている。 による真菌症の既往の場合には予防薬に FLCZ を選択す カンジダ対策として FLCZ、non-albicans Candida やア ることも可能であるが、non-albicans Candida やアスペ スペルギルス対策として ITCZ や MCFG を用いる。 ルギルスによる感染症の既往がある場合には I T C Z、 化学療法では、予測される好中球減少期間によって、抗 CPFG、MCFG、VRCZ、L-AMB などを選択する。アス 真菌薬の予防投与の必要性を判断する。急性白血病/骨髄 ペルギルスを含む真菌二次予防では、VRCZ や L-AMB 異形成症候群に対する寛解導入療法などの好中球減少が予 が有効であったという報告がある。 測される高リスクの治療では、抗真菌薬の予防投与の有用 真菌感染の既往のない患者での一次予防では、リスク分 性が確立している。急性白血病に対する地固め療法などで 類に基づいて真菌予防の必要性と薬剤服用に伴う副反応 は寛解導入療法ほどの深在性真菌症の発症頻度は高くない (肝腎障害や薬剤相互作用)を勘案して、選択する薬剤を が、粘膜障害や細胞性免疫障害などの好中球減少以外のリ 判断する。高リスクでは一般に抗真菌薬の予防投与が推奨 スクファクターを伴うことが多く、抗真菌薬の予防投与が される。中間リスクではルーチンでの予防投与を推奨する 広く行われている。カンジダ対策として FLCZ、non-al- 根拠はないが、複数のリスクファクターを有する症例が多 bicans Candida やアスペルギルス対策として ITCZ や く、実際には抗真菌薬の予防投与を積極的に検討する場合 MCFG を用いる。好中球減少期間が 7 日未満の低リスク が多い。低リスクでは深在性真菌症の発症頻度は低く、予 群では抗真菌薬の予防投与は推奨されない。 防投与は推奨されない。 急性白血病の寛解導入療法など、高リスクの化学療法で 同種移植は高リスクに分類され、抗真菌薬の予防投与の もできる限り HEPA フィルターを用いた無菌環境で行う 有用性が確立しているが、深在性真菌症発症に関連する免 ことが望ましい。自家移植や急性白血病の地固め療法など 疫不全の種類は同種移植後早期と中〜後期で異なる。移植 もわが国では防護環境での治療が行われていることが多い 後早期は好中球減少と前処置に関連した粘膜障害が主なリ が、高リスク群と比較して、侵襲性アスペルギルス症の発 スクファクターとなり、中〜後期で、GVHD の発症やそ 症リスクは高くないため一般病室の使用を考慮してもよい。 れに対するステロイド投与による貪食能低下、細胞性免疫、 ただし、好中球減少が遷延し、施設内での工事などアスペ 液性免疫不全が主体となる。同種移植を受ける患者では原 ルギルス症発症のリスクが高い場合などには積極的に防護 則として HEPA フィルターと陽圧環境が整備された無菌 環境に入室させることが望ましい。 A 1 A 114 139 4 FN FLCZ 7 A C1 2 / エキノキャンディン系(CPFG[AⅠ] 、 CPFG 50 mg/24 時間毎(初日のみ 70 mg/24 時間) MCFG [AⅡ] ) MCFG 100〜150 mg/24 時間毎 L-AMB [AⅠ] 2.5 mg/kg/24 時間 ※ ITCZ [BⅠ] 200 mg/24 時間毎(2日間は 200 mg/12 時間毎) ※ VRCZ [BⅠ] 4 mg/kg/12 時間毎(1日目は 6 mg/kg/12 時間毎) # 「真菌症が疑われる発熱性好中球減少症」に経験的治療として保険適用が認可されているのは CPFG、 L-AMB、ITCZ(注・内用液)のみ。他の抗真菌薬については適用が取得されている真菌症による‘重症又 は難治性真菌感染症’を想定した発症早期からの治療薬として保険適用あり、と解釈される ※V RCZ、ITCZ の点滴静注は Ccr<30 の腎機能障害時には推奨できない ・L-AMBも腎機能障害者での使用には注意が必要である 3 カンジダ血症に用いる抗真菌薬 第一選択薬 エキノキャンディン系(CPFG、MCFG) CPFG 50 mg/24 時間毎(初日のみ 70 mg/24 時間) ※※ [AⅡ] MCFG 100〜150 mg/24 時間毎(300 mg まで増量可 L-AMB [AⅠ] 2.5〜5 mg/kg/24 時間 ※ 第二選択薬 (F-)FLCZ [CⅡ] ※ VRCZ [BⅡ] ※ ITCZ [BⅢ] ※※※ 400 mg/24 時間(初日のみ 800 mg/24 時間 ) 3〜4 mg/kg/12 時間毎(1日目は 6 mg/kg/12 時間毎) 200 mg/24 時間毎(2日間は 200 mg/12 時間毎) 慢性播種性カンジダ症に用いる抗真菌薬 第一選択薬 (F-)FLCZ [BⅢ] L-AMB [AⅢ] 第二選択薬 ※※※ 400 mg/24 時間(初日のみ 800 mg/24 時間 ) 2.5〜5 mg/kg/24 時間 エキノキャンディン系(CPFG、MCFG) CPFG 50 mg/24 時間毎(初日のみ 70 mg/24 時間) [BⅢ] MCFG 100 mg/24 時間毎 カンジダ眼内炎に用いる抗真菌薬は眼科領域を参照 ※アゾール系抗真菌薬を予防投与で用いていた場合の使用は避ける 初期治療には可能な限り点滴治療を用いる ※※現在のところ充分なエビデンスはない ※※※国内の保険添付文書上では 400 mg まで(プロドラッグであるF-FLCZ であれば 800 mg でのローディングは可能) ) 1 A b 在性真菌症の治療開始が遅れないように、症例毎に検討が / 7 日を超える好中球減少期間が予測される症例のうち、 4〜7 日持続する広域抗菌薬不応性の発熱性好中球減少 必要である。 C カンジダ症 ( Febrile Neutropenia;FN )症例に対し抗真菌治療の開 始を検討する。治療開始のタイミングには経験的治療と早 血液からカンジダ様酵母様真菌が分離される場合、特に 期治療の 2 種類がある。経験的治療とは、広域抗菌薬を開 臨床的に不安定な場合やアゾール系抗真菌薬による予防を 始後、4〜7 日間投与しても不明熱が持続または再燃し、 行っている場合には C. glabrata や C. krusei などアゾー 合計 7 日以上の好中球減少期間が予測される場合に抗真菌 ル低感受性株にも有効なエキノキャンディン系薬または 薬開始する治療戦略のことを指す。一方、深在性真菌症を L-AMB が第一選択となる。中心静脈カテーテルは可能な 示唆する検査所見( GM 抗原、β-D-グルカン、halo sign らば早期に抜去する。臨床的に安定している場合は、菌種 や新たな結節影などの画像所見、培養検査結果など)が得 判明後は られた場合に、陽性所見から想定される真菌種を標的に抗 感受性のある薬剤への変更を考慮しても良い。治療期間は 真菌薬を開始する治療戦略を早期治療と呼ぶ。早期治療開 血液培養陰性化および臨床所見の消失から 2 週間以上で、 始のための最適な指標、診断の戦略については現在研究段 好中球減少中の発症であれば少なくとも好中球数減少期間 階であり、経験的治療と早期治療のいずれが優れた方法か 中は治療継続が必要である [AⅢ] 。すべてのカンジダ血症 の結論は得られていない [C1Ⅰ] 。一般的な早期治療に必要 患者には、播種性眼内炎の精査目的に精密眼底検査を実施 な血液・画像検査( CT )が困難な施設や、全身状態が不 すべきである [AⅡ] 。 安定な場合では経験的治療の優先を考慮する [AⅠ] 。経験 侵襲性アスペルギルス症 2 を参考に、感受性検査判明後は結果に応じて、 的治療を行う場合でも、血液・画像検査等を適宜実施する 第一選択薬は VRCZ であり、初期治療は点滴静注で開 ことにより原因真菌の推定・同定を試みることは、経験的 始する。L-AMB が代替薬となる。特に下気道感染の場合 治療の継続・修正を判断する上で重要である。抗糸状菌予 胸部 CT 検査上、halo sign 陽性の時点で治療を開始する 防投与下ではブレイクスルー感染を考慮し、予防投与とは と予後が有意に良好である。また、副鼻腔に病変のある場 異なるクラスの抗真菌薬の点滴投与への変更を検討する。 合は否定できるまではムーコル症を考慮し、L-AMB の使 FN 以外に症状徴候を伴わない安定した低リスク症例で 用を検討する。VRCZ の治療血中濃度は個人差が大きい の経験的治療は推奨されない[C2Ⅲ] 。このような場合に ため、モニタリング( TDM )の実施が望ましい。治療期 は真菌感染症に関するリスクを再評価し、 「 間に決まったものはなく、通常は臨床経過が良い場合で最 . 診断(臨床症状・徴候・検査) 」に沿って診断を行い、標的 低 6〜12 週、免疫抑制状態が続く場合や臨床経過が思わ 治療の必要性を検討する。 しくない場合にはそれ以上の治療期間が必要である。 しかし、血行動態不安定などの全身状態不良症例では深 4 第一選択薬 第二選択薬 * VRCZ [AⅠ] 4 mg/kg/12 時間毎(1日目は 6 mg/kg/12 時間毎) 代替薬:L-AMB [AⅡ] 2.5〜5 mg/kg/24 時間 エキノキャンディン系(CPFG [BⅡ] 、MCFG [BⅡ] ) ITCZ [BⅡ] CPFG 50 mg/24 時間毎(初日のみ 70 mg/24 時間) ※※ MCFG 150〜300 mg/24 時間毎 200 mg/24 時間毎(2日間は 200 mg/12 時間毎) *初期治療には可能な限り点滴治療を用いる ※※標準治療量は決まっていない A
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